JP2004037834A - 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明は表面に正孔輸送能のないバインダーに起因する感度の低下や残留電位の上昇などの電気的特性の悪化を招かず光散乱やブリードがなく均一な状態の光導電層であって低表面エネルギーと機械的、電気的耐久性を両立した電子写真感光体及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することにある。
【解決手段】支持体上に感光層を有する電子写真感光体において該電子写真感光体の表面層が下記式(1)
【外1】
(Aは正孔輸送性基を示しR1は置換もしくは無置換のアルキレン基またはアリーレン基を示しQは加水分解性基または水酸基を示しR2は置換もしくは無置換の一価炭化水素基を示しnは1〜3の整数を示し、mは正の整数を示し、n×mは3以上である。)
で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の重縮合生成物をバインダー成分として、重縮合性基を持たない正孔輸送性有機分子を分散させた電子写真感光体。
【選択図】 図1
【解決手段】支持体上に感光層を有する電子写真感光体において該電子写真感光体の表面層が下記式(1)
【外1】
(Aは正孔輸送性基を示しR1は置換もしくは無置換のアルキレン基またはアリーレン基を示しQは加水分解性基または水酸基を示しR2は置換もしくは無置換の一価炭化水素基を示しnは1〜3の整数を示し、mは正の整数を示し、n×mは3以上である。)
で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の重縮合生成物をバインダー成分として、重縮合性基を持たない正孔輸送性有機分子を分散させた電子写真感光体。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の表面層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体の表面層には、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段等により電気的あるいは機械的な影響が直接に加えられるために、それらに対する耐久性が要求される。具体的には、摺擦による感光体表面の摩耗や傷の発生、及び高温下におけるコロナ帯電の感光体表面の劣化等に対する耐久性が要求される。また、現像とクリーニングの繰り返し等に起因した、感光体表面へのトナーの付着という問題もあり、これに対しては感光体表面のクリーニング性の向上が求められている。
また、感度の低下や残留電位の上昇などの悪化を招かないような電気的特性も要求されている。
【0003】
上記のような感光体表面に要求される様々な特性を満たすために、感光層上に樹脂を主成分とする種々の表面保護層を設ける試みがなされている。例えば、特開昭57−30843号公報には、導電性粒子として金属酸化物粒子を添加することによって抵抗を制御した保護層が提案されている。
【0004】
また、表面層中に種々の物質を添加することで感光体表面の物性を改善することも検討されている。例えば、シリコーンの低表面エネルギーに注目した添加物としては、シリコーンオイル(特開昭61−132954号公報)、ポリジメチルシロキサン、シリコーン樹脂粉体(特開平4−324454号公報)、架橋シリコーン樹脂、(ポリカーボネート−シリコン)ブロック共重合体、シリコーン変成ポリウレタン、シリコーン変成ポリエステルが報告されている。低表面エネルギーの代表的なポリマーとしてはフッ素系高分子があり、フッ素系高分子としては、ポリテトラフルオロエチレン粉体、フッ化カーボン粉末等が挙げられる。また、耐磨耗性や電気的特性の向上の観点から表面層に電荷輸送性ポリエステルを用いる報告もされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、現在おもに用いられているような樹脂バインダー成分中に正孔輸送性有機分子を分散した表面層以外にも電気的特性の向上のために金属酸化物粒子などの種々の物質を分散した表面保護層や電荷輸送層が提案されているが、通常のバインダー樹脂成分には正孔輸送能はないため、バインダー樹脂の含有量を多くした場合には感度の低下や残留電位の上昇などの電気的特性の悪化を招きやすいという問題があった。
【0006】
また、金属酸化物等を含む表面保護層は高い硬度及び電荷輸送能を有するものが得られるが、表面抵抗が低いために画像ボケしやすいという問題がある。シリコーン系樹脂は表面エネルギーが小さい点で優れているが他の樹脂に対して十分な相溶性を示さないため、添加した場合に凝集しやすく光散乱を生じたり、ブリードして表面に偏析するために安定した特性を示さない等の問題があった。また、低表面エネルギーのポリマーであるフッ素系高分子は一般に溶媒に不溶であり、分散性も不良であることから、平滑な感光体表面を得ることが困難であり、屈折率も小さいことから光散乱が生じやすく、それによる透明性の劣化を生じる問題点があった。また、フッ素系高分子は一般的に柔らかいために傷がつきやすい問題点があった。
【0007】
本発明の目的は上記の問題点を解決することのできる、すなわち正孔輸送能のないバインダー成分に起因する感度の低下や残留電位の上昇などの電気的特性の悪化を招かず、光散乱やブリードがなく、均一な状態の光導電層であって低表面エネルギーと機械的、電気的耐久性を両立した電子写真感光体、及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、支持体上に感光層を有する電子写真感光体において該電子写真感光体の表面層が下記式(1)
【外8】
【0009】
(Aは正孔輸送性基を示し、R1は置換もしくは無置換のアルキレン基またはアリーレン基を示し、Qは加水分解性基または水酸基を示し、R2は置換もしくは無置換の一価炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示し、mは正の整数を示し、n×mは3以上である。)
で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の重縮合生成物をバインダー成分として、重縮合性基を持たない正孔輸送性有機分子を分散させた電子写真感光体である。
【0010】
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置である。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記式(1)及び(2)はクロロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン類、SiH含有物等であり、Q及びQ’は加水分解性基または水酸基を示し、加水分解性基としては、アルコキシ基、オキシム基、イソシアナト基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、ハロゲン基等が挙げられ、反応性の高さと保存性のバランスにより決定される。
【0012】
R1はアルキレン基またはアリーレン基を示し、炭素数が1〜18であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、シクロヘキシリデン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、更にはこれらが結合した基等が挙げられる。また、R1が有してもよい置換基としてはメチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基のアリール基、フッ素原子塩素原子等のハロゲン原子が挙げられる。これらの中ではR1が式−(CH2)m’−(m’は正の整数)で示されることが好ましい。
【0013】
m’は1〜18であることが更に好ましいが、必ずしも直鎖状である必要はない。m’が19以上では正孔輸送性基Aが運動しやすいため硬度が低下し、ケイ素原子に直接電荷輸送性基が結合していると立体障害等で反応性、物性に悪影響を与え易い。m’は更に好ましくは2〜8である。また、mは正の整数を示すが、1〜5であることが好ましい。mが6以上では合成が困難であり、また加水分解、重縮合反応において未反応基が残りやすいため電子写真特性等が低下し易い。
【0014】
また、本発明における電荷輸送性とは電荷を輸送する能力のことであり、イオン化ポテンシャルで6.2eV以下であることが好ましい。つまり、前記式(1)で示される有機ケイ素変性電荷輸送性化合物の重縮合生成物及びAの水素付加物は、イオン化ポテンシャルが6.2eV以下であることが好ましく、特には4.5〜6.2eVであることが好ましい。イオン化ポテンシャルが6.2eVを超えると正孔注入が起こりにくく帯電し易くなる。また、4.5eV未満では化合物が容易に酸化されるために劣化し易くなる。イオン化ポテンシャルは大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)によって測定される。
【0015】
また、上記有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の重縮合生成物は正孔輸送能として1×10−7cm2/Vsec以上のドリフト移動度を有しているものが好ましい。1×10−7cm2/Vsec以下では電子写真感光体として露光後、現像までに正孔が十分に移動できないために見かけ上感度が低減し、残留電位も高くなってしまう問題が発生する場合がある。
【0016】
上記式(1)の正孔輸送性基Aとしては、正孔輸送性を示すものであればいずれのものでもよく、その水素付加化合物(正孔輸送性有機分子)として示せば、例えばオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体等が挙げられる。
【0017】
正孔輸送性基Aとしては、構造が下記式(3)
【外9】
【0018】
(R4、R5及びR6は有機基であり、少なくともR5は芳香族炭化水素環基または複素環基を示し、R4、R5及びR6は同一であっても異なっていてもよい。)
で示されるものが好ましい。
【0019】
このように正孔輸送性基AはR4、R5及びR6からm個の水素原子が除かれて形成された基である。
【0020】
R4、R5及びR6の構造の好ましい具体例を以下に示す。
【0021】
【外10】
【0022】
【外11】
【0023】
また本発明の表面層は重縮合性基を持たない正孔輸送性有機分子を同時に含有するものである。この正孔輸送性有機分子としては上記式(1)の正孔輸送性基Aの水素付加化合物と同様の物質が用いられ、例としてはポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリスチリルアントラセン等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、カルバゾール、等の複素環化合物、トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体等の低分子化合物であり、上記式(1)の正孔輸送性基Aの水素付加化合物と同じであっても異なっていても良い。
【0024】
上記式(1)の有機ケイ素変成電荷輸送性化合物の合成方法としては、公知の方法、例えば、芳香族環にビニル基を有する化合物と置換基を有する水素化ケイ素化合物とから白金系触媒、或いは有機過酸化物等を触媒にヒドロシリル化反応を行うものが好適に用いられる。この場合に使用される白金触媒についてはとくに限定するものではなく、通常のヒドロシリル化反応、付加型シリコーンゴムに用いられている白金触媒であればよく、塩化白金、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−フォスフィン錯体等が挙げられる。白金触媒の添加量に関しては特に制限するものではないが、残留触媒が特性に悪影響を与えないようにできる限り少量で用いることが望ましい。芳香族環にビニル基を有する化合物と置換基を有する水素化ケイ素化合物とから白金系触媒等により、付加反応により本発明の化合物を合成する場合にはビニル基のα位と反応する場合とβ位と反応する場合があり、一般には混合物が生じる。本発明においてはα位、β位のどちらに反応したのものも用いられるが、ケイ素原子と電荷輸送性基を結合している炭化水素基の炭素数が少ない場合には立体障害からはβ位に反応したものが好ましい。
【0025】
有機過酸化物としては室温以上に半減期を示すものであればよく、特に、ラウリルパーオキシド等のアルキル過酸化物が水素引き抜きを起こしにくいことから好適に用いることができる。ビニル基を有しないものについては、芳香族環をホルミル化し、還元、脱水するか直接Wittig反応によりビニル基を導入する方法等により、本発明の合成原料として用いることが可能である。
【0026】
本発明の表面層は(1)式で示される正孔輸送性化合物の縮合物をバインダー成分に用いたものであるが、第二のバインダー成分として(2)式で表されるケイ素化合物を含有する事が出来る。(2)式で表されるケイ素化合物の具体例を挙げると、テトラアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、フェニルトリアルコキシシラン、メチルフェニルジアルコキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N−トリメチルシリル−N−メチルアセトアミドなどのシラザン類、もしくはクロロシラン類、SiH含有物等であり、これらは重縮合生成物として表面層に含有される。
【0027】
上記(1)式で示される有機ケイ素変性正孔輸送性化合物及び(2)式で表されるケイ素化合物の加水分解、重縮合には、必ずしも触媒が必要ではないが、通常ケイ素樹脂等の加水分解、重縮合に用いられる触媒の使用を妨げるものではなく、加水分解、重縮合に要する時間、硬化温度等を考慮してジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オクトエート等のアルキル錫有機酸塩等もしくはノルマルブチルチタネート等の有機チタン酸エステルから適宜選択される。
【0028】
本発明においては、(1)式で表される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の重縮合時に3次元架橋構造が形成されることにより、各元素間の運動や外部からの化合物の侵入が困難になることから、硬度や機械的強度が増大し、耐摩耗性が向上するのみでなく、帯電時に発生するアーク放電等の電気的な障害や化学物質等に対する耐久性も向上させることが可能となる。
【0029】
硬化の条件としては100〜200℃で加熱することが好ましい。100℃以下では硬化反応に時間がかかるため、未反応の加水分解性基が残存する可能性もある。200℃以上では電荷輸送性基が酸化劣化しやすくなり、悪影響が発生しやすい。より望ましくは、120〜160℃で加熱硬化して用いられる。
【0030】
本発明の正孔輸送能を有する硬化性組成物をもちいて電子写真感光体を製造する例を下記に示す。
【0031】
電子写真感光体の支持体(図1及び2中の1)としては支持対自体が導電性を有するもの、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、チタン、ニッケル、マグネシウム、インジウム、金、白金、銀、鉄等を用いることが出来る。その他にアルミニウム、酸化インジウム、酸化スズ、金、等を蒸着等によりプラスチック等の誘電体基材に被膜形成し、導電層としたものや、導電性微粒子をプラスチックや紙に混合したもの等を用いることが出来る。これらの導電性基材は均一な導電性が求められるとともに平滑な表面が重要である。表面の平滑性はその上層に形成される下引き層、電荷発生層、正孔輸送層の均一性に大きな影響を与えることから、その表面荒さは0.3μm以下で用いられることが好ましい。0.3μm以上の凹凸は下引き層や電荷発生層のような薄い層に印加される局所電場を大きく変化させてしまうためにその特性が大きく変化してしまい電荷注入や残電のむら等の欠陥を生じ易いことから好ましくない。
【0032】
特に導電性微粒子をポリマーバインダー中に分散して塗布することにより得られる導電層(図1及び2中の2)は形成が容易であり、均質な表面を形成することに適している。このとき用いられる導電性微粒子の1次粒径は100nm以下であり、より好ましくは50nm以下のものが用いられる。導電性微粒子としては、導電性酸化亜鉛、導電性酸化チタン、Al、Au、Cu、Ag、Co、Ni、Fe、カーボンブラック、ITO、酸化スズ、酸化インジウム、インジウム、等が用いられ、これらを絶縁性微粒子の表面にコーテイングして用いてもよい。前記導電性微粒子の含有量は体積抵抗が十分に低くなるように使用され、好ましくは1x1010Ωcm以下の抵抗となるように添加される。より好ましくは1x108Ωcm以下で用いられる。
【0033】
レーザー等のコヒーレントな光源を用いて露光する場合は、干渉による画像劣化を防止するために、上記導電性基材の表面に凹凸を形成することも可能である。このときは電荷注入や残留電位のむら等の欠陥が生じにくいように使用する波長の1/2λ程度の凹凸を直径が数μm以下のシリカビーズ等の絶縁物を分散することにより、10μm以下の周期で形成して用いることが可能である。
【0034】
本発明においては、基材と光導電層の中間に、注入阻止機能と接着機能をもつ下引層(図1及び2中の3)を設けることもできる。下引き層の材料としてはカゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレンーアクリル酸コポリマー、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン、金属アルコキシドの縮合物等が挙げられる。下引き層の膜厚は0.1μm〜10μmであることが好ましく、特には0.3μm〜3μmであることが好ましい。
【0035】
感光層としては電荷発生物質を含有する電荷発生層(図1及び2中の4)と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層(図1及び2中の5)からなる機能分離タイプのものや電荷発生物質と電荷輸送物質を同一の層に含有する単層タイプ(不図示)が用いられる。
【0036】
電荷発生材料としては、例えば、セレンーテルル、ピリリウム系染料、チオピリリウム系染料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、ジベンズピレンキノン系顔料、ピラントロン系顔料、トリスアゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、アゾ系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、シアニン系顔料等を用いることができる。
【0037】
本発明の表面層は電荷輸送層(図1中の5)もしくは正孔輸送能を有する表面保護層(図2中の6)として用いることが可能である。
【0038】
単層感光体として用いる場合は前記電荷発生材料と本発明の正孔輸送性化合物の重縮合生成物と組み合わせて用いることにより良好な特性が得られる。
【0039】
本発明の表面層では(1)式で示される正孔輸送性化合物の重縮合生成物と(2)式で示されるケイ素化合物の重縮合生成物以外のバインダー成分を用いる事は好ましくない。正孔輸送能のないバインダー成分の添加は電気的特性に悪影響を与えやすく、またケイ素系以外のバインダー成分は本発明の表面層に含有した場合に有機ケイ素変性正孔輸送性化合物と同時に縮合させる事が困難であるため用いない事が好ましい。しかしながら、機械的特性の改良や耐久性向上のために最低限の添加剤を用いることができる。このような添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定化剤、架橋剤、潤滑剤、導電性制御剤等が用いられる。
【0040】
本発明における電荷発生層の膜厚は3μm以下であることが好ましく、特には0.01〜1μmであることが好ましい。また、電荷輸送層の膜厚は1〜40μmであることが好ましく、特には3〜30μmであることが好ましい。
【0041】
感光層が単層タイプである場合は、その膜厚は1〜40μmであることが好ましく、特には3〜30μmであることが好ましい。
【0042】
本発明における表面保護層の厚みは、1〜15μmであることが好ましい。1μm以下では保護効果が十分ではなく、15μmを超えると感光層全体の膜厚が増加することにより、画像劣化が生じ易くなってしまうことから好ましくない。
【0043】
本発明においては、更に、露光手段が照射する光ビームのスポット面積と電子写真感光体が有する感光層の膜厚の積が2×104μm3以下であることが好ましい。また、この積は現像コントラストの大きさ(現像時の感光体上の電位差)の点で2×103μm3以上であることが好ましい。2×103μm3に満たないと十分な現像コントラストは得にくくなる傾向になる。
【0044】
この場合、本発明に用いられる露光方法は、光をドット状に照射することによって感光体上に静電潜像を形成する物である。その光源は特に制限されるものではないが、より小さなスポット面積をより容易に得ることができるという点でレーザー光及びLED光であることが好ましい。
【0045】
図3に光の強度分布、スポット径及びスポット面積(S)と感光層の厚さの積の関係を示す。光スポットは一般的には図3に示すように主走査スポット径(ab)と副走査スポット径(cd)を有する楕円形の形状を有しており、本発明におけるスポット面積と感光層の厚さの積は、該光スポットが感光層へ照射されている部分の体積(V)であるといえる。
【0046】
該光のスポット面積(S)は感光層上の面積であり、光の強度がピーク強度(A)の1/e2(B)以上である部分の面積で表される。用いられる光源としては半導体レーザーやLED等が挙げられ、光強度分布についてもガウス分布やローレンツ分布等があるが、いずれの場合もピーク強度(A)1/e2(B)以上の強度の部分をスポット面積(S)とする。なお、スポット面積(S)は、感光体の位置にCCDカメラを設置することにより測定することができる。
【0047】
本発明における光のスポット面積は4×103μm2以下であることが好ましく、特には3×103μm2以下であることが好ましい。4×103μm2を超えると隣接画素の光と重複し易くなり、階調再現性が不安定となりやすい。また、コストの点から1×103μm2以上であることが好ましい。
【0048】
上記観点からは、本発明における感光層の厚さは12μm以下であることが好ましく、特には10μm以下であることが好ましい。
【0049】
本発明の電子写真感光体は、極めて優れた機械的強度及び低表面エネルギー性を有しているので、このような系に用いられる感光体として非常に好ましい。
【0050】
図4に本発明のプロセスカートリッジを有する画像形成装置の第1の例の概略構成を示す。
【0051】
図において7はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸8を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体7は、回転過程において、一次帯電手段9によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、レーザービーム走査露光等の像露光手段(不図示)からの画像露光10を受ける。こうして感光体7の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0052】
形成された静電潜像は、現像手段11によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は不図示の給紙部から感光体7と転写手段12との間に感光体7の回転と同期取り出されて給紙された転写材13に、転写手段12により順次転写されていく。
【0053】
像転写を受けた転写材13は、感光体面から分離されて像定着手段14へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外にプリントアウトされる。
【0054】
像転写後の感光体7の表面は、クリーニング手段15によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光16により除電処理された後、繰り返し像形成に使用される。なお、一次帯電手段9が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0055】
本発明においては、上述の電子写真感光体7、一次帯電手段9、現像手段11及びクリーニング手段15等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、一次帯電手段7と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール18等の案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ17とすることができる。
【0056】
図5に本発明の画像形成装置の第2の例であるカラー複写機の概略構成を示す。図において201はイメージスキャナ部であり、原稿を読み取り、デジタル信号処理を行う部分である。また、202はプリンタ部であり、イメージスキャナ201に読み取られた原稿画像に対応した画像を用紙にフルカラーでプリント出力する部分である。
【0057】
イメージスキャナ部201において、200は原稿厚板であり、原稿台ガラス203上の原稿204を固定するために用いられる。原稿204は、ハロゲンランプ205の光で照射される。原稿204からの反射光はミラー206、207に導かれ、レンズ208により3本のCCDラインセンサで構成される3ラインセンサ(以下CCDという)210上に像を結ぶ。CCD210は原稿からの光情報を色分解して、フェルカラー情報のうちレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)成分として信号処理部209に送られる。なお、205、206は速度vで、207は1/2vでラインセンサの電気的走査方向(以下、主走査方向)に対して垂直方向(以下、副走査方向)に機械的に動くことにより、原稿全面を走査する。
【0058】
信号処理部211では読み取られた信号を電気的に処理し、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、及びブラック(BK)の各成分に分解し、プリンタ部200に送られ、計4回の原稿走査により一回のプリントアウトが完成する。
【0059】
イメージスキャナ部201より送られてくるM,C,Y,及びBKの画像信号は、レーザドライバ212に送られる。レーザドライバ212は画像信号に応じ、半導体レーザ213を変調駆動する。レーザ光はポリゴンミラー214、f−θレンズ215、ミラー216を介し、感光体ドラム217上を走査する。
【0060】
218は回転現像器であり、マゼンタ現像器219、シアン現像器220、イエロー現像器221、ブラック現像器222より構成され、4つの現像器が交互に感光体ドラムに接し、感光体ドラム217上に形成されたM,C,Y,BKの静電潜像を対応するトナーで現像する。
【0061】
223は転写ドラムで、用紙カセット224または225より給紙された用紙をこの転写ドラム223に巻付け、感光体ドラム217上に現像されたトナー像を用紙に転写する。
【0062】
このようにしてM,C,Y,BKの4色が順次転写された後に、用紙は定着ユニット226を通過して定着後、排紙される。
【0063】
次に本発明に用いられる硬化性有機ケイ素高分子の合成例を示す。
【0064】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に用いられる有機ケイ素変成電荷輸送性化合物の合成例を示す。
[合成例1]
4−[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンの合成
〈4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドの合成〉
三つ口フラスコにトリフェニルアミン101.4gとDMF35.5mlを入れ、氷水冷却下、撹拌しながらオキシ塩化リン84.4mlを滴下し、温度を95℃に上げて5時間反応させた。反応液を4l の温水へ注ぎ1時間撹拌した。その後、沈殿物をロ取し、エタノール/水(1:1)の混合溶液で洗浄し、4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドを得た。収量91.5g(収率81.0%)。
【0065】
〈4−ビニルトリフェニルアミンの合成〉
水素化ナトリウム14.6g、1,2−ジメトキシエタン700mlを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらトリメチルホスフォニウムブロマイド130.8gを加えた。次に無水エタノールを一滴加えた後、70℃で4時間反応させた。これに4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒド100gを加え、70℃に温度を上げ5時間反応させた反応液を濾過し、濾液と沈殿物のエーテル抽出液を一緒にし水洗した。ついで、エーテル液を塩化カルシウムで脱水後、エーテルを除去し、反応混合物を得た。これをエタノールから再結晶を行い、針状、淡黄色のビニルトリフェニルアミンを得た。収量83.4g(収率84.0%)。
【0066】
〈4−ビニルトリフェニルアミンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン9.9g (60mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.018mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら4−ビニルトリフェニルアミン8.2g のトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除き、淡黄色油状の4−[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンを得た。収量12.1g(収率91.7%)。
【0067】
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、5.68eVであった。
【0068】
この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約8μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を形成した。このサンプルに対してパルス巾3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ1x10−7cm2/Vsecであった。
【0069】
[合成例2]
4,4’−ビス[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンの合成
〈N,N−ビス(4−ホルミルフェニル)アミノベンゼンの合成〉
三つ口フラスコにトリフェニルアミン50.7gとDMF35.5mlを入れ、氷水冷却下、撹拌しながらオキシ塩化リン84.4mlを滴下した。滴下終了後、混合溶液を95℃で5時間反応させ、5リットルの温水へ注ぎ1時間撹拌した。その後、沈殿物を濾取し、エタノール/水(1:1)の混合溶液で洗浄し、N,N−ビス(4−ホルミルフェニル)アミノベンゼンを得た。収量36.4g(収率58.5%)。
【0070】
〈N,N−ビス(4−ビニルフェニル)アミノベンゼンの合成〉
水素化ナトリウム4.8g、1,2−ジメトキシエタン700mlを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらメチルトリフェニルホスフォニウムブロマイド73.2gを加えた。次に無水エタノールを一滴加えた後、70℃で4時間反応させた。以上のようにして得られた反応混合液にN,N−ビス(4−ホルミルフェニル)アミノベンゼン30.0gを加え、70℃で5時間反応させた後、水洗し、トルエン抽出した。ついで、トルエン溶液を塩化カルシウムで脱水後、溶媒を除去し淡黄色のN,N−ビス(4−ビニルフェニル)アミノベンゼンを得た。収量18.4g(収率62.2%)。
【0071】
〈N,N−ビス(4−ビニルフェニル)アミノベンゼンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン9.9g(60mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.018mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらN,N−ビス(4−ビニルフェニル)アミノベンゼン2.6g(8.7mmol)のトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状の4,4’−ビス[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンを得た。収量4.4g(収率80.6%)。
【0072】
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、5.67eVであった。
【0073】
この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約5μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を形成した。このサンプルに対してパルス巾3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ3x10−7cm2/Vsecであった。
【0074】
[合成例3]
4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンの合成
〈N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノベンゼンの合成〉
4−ヨード−o−キシレン38.5g (166mmol)、無水炭酸カリウム22.9g (166mmol)及び銅粉7.0gをニトロベンゼン20mlに加え、撹拌下加熱還流を8時間行った。冷却後濾過し、沈殿を除去した。得られた反応混合物をシリカゲルカラムを通しN,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノベンゼンを得た。収量15.7g(収率69%)。
【0075】
〈4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]ベンズアルデヒドの合成〉
三つ口フラスコに[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]ベンゼン124.6gDMF35.5mlを入れ、氷水冷却下、撹拌しながらオキシ塩化リン84.4mlを滴下した。滴下終了後、混合溶液を95℃で5時間反応させ、4l の温水へ注ぎ1時間撹拌した。その後、沈殿物をロ取し、エタノール/水(1:1)の混合溶液で洗浄し、4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]ベンズアルデヒドを得た。収量107.6g(収率79.0%)。
【0076】
〈4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレンの合成〉
水素化ナトリウム12.1g、1,2−ジメトキシエタン580mlを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらトリメチルホスフォニウムブロマイド108.5gを加えた。次に無水エタノールを一滴加えた後、70℃で4時間反応させた。以上のようにして得られた反応混合液に4ー[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]ベンズアルデヒド100.0gを加え、70℃で5時間反応させた後、ロ別し、ロ取したケーキをエーテル抽出しロ液と一緒しにし水洗した。ついで、エーテル液を塩化カルシウムで脱水後、エーテルを除去し、反応混合物を得た。これをエタノールで再結晶二回行い、針状、4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレンを得た。収量84.5g(収率85.0%)。
【0077】
〈4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン6.0g及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.54mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレン9.9gのトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状の4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンを得た。収量13.4g(収率90.1%)。
【0078】
H−NMRスペクトルを図6に示す(ブルカー社製、APC300 NMRスペクトロメータ)。
【0079】
C−NMRスペクトルを図7に示す(ブルカー社製、APC300 NMRスペクトロメータ)。
【0080】
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、5.26eVであった。
【0081】
この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約5μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を形成した。このサンプルに対してパルス巾3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ9x10−7cm2/Vsecであった。
【0082】
[合成例4]
4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンの合成
〈4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン6.0g (37mmol)及びジクロロ(h−シクロオクタ−1,5−ジエン)白金(II)0.34mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレン9.9gのトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状の4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンを得た。収量14.0g(収率94.2%)。
【0083】
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、5.31eVであった。
【0084】
この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約5μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を形成した。このサンプルに対してパルス巾3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ7x10−7cm2/Vsecであった。
【0085】
[合成例5]
4−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]トリフェニルアミンの合成
〈4−ブロモトリフェニルアミンの合成〉
N−ブロモスクシンイミド8.0g (45mmol)、トリフェニルアミン10.0g (41mmol)を200ml三つ口フラスコに入れ、N,N−ジメチルホルムアミド150mlを加えた後、室温下で一晩撹拌した。次いで、N,N−ジメチルホルムアミドを除去し、得られた固形物を四塩化炭素で抽出した。その後、四塩化炭素を除去し、得られた反応混合物をエタノールで二回再結晶を行い、白色固体の4−ブロモトリフェニルアミンを得た。収量8.2g(収率61.7%)。
【0086】
〈4−N,N−ジフェニルアミノアリルベンゼンの合成〉
300ml四つ口フラスコにマグネシウム金属1.0g (40mmol)を入れ窒素置換を行った。次いでジエチルエーテル100mlを加え撹拌を開始した。そこへ4−ブロモトリフェニルアミン8.6g (27mmol)を溶解したジエチルエーテル溶液30mlをゆっくり滴下した。約3ml滴下したところでゆるやかに還流が始まった。還流させながら、さらにジエチルエーテル溶液の滴下を続け、滴下終了後、さらに一時間還流を行った。以上のようにして得られたグリニャール試薬溶液を室温まで戻し、次にアリルクロライド2.1g (27mmol)のジエチルエーテル溶液40mlを氷令しながらゆっくり滴下した。滴下終了後、反応混合物を2時間還流し反応を熟成した。その後、水50mlを氷令しながら加え加水分解を行った。次に、エーテル層を抽出し飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、水で2回洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、ジエチルエーテルを除去し白色固体の4−N,N−ジフェニルアミノアリルベンゼンを得た。収量4.9g(収率63.2%)。
【0087】
〈4−N,N−ジフェニルアミノアリルベンゼンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン6.0g (37mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.54mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら4−N,N−ジフェニルアミノアリルベンゼン9.7g (34mmol)のトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70。Cで3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状の4−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]トリフェニルアミンを得た。収量10.7g(収率70.1%)。
【0088】
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、5.72eVであった。
【0089】
この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約9μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を形成した。このサンプルに対してパルス巾3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ1.4x10−7cm2/Vsecであった。
【0090】
[合成例6]
N,N’−ビス{4−〔2−(メチルジメトキシシシリル)エチル〕フェニル}−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジンの合成
トルエン40ml、メチルジメトキシシラン4.0g (38mmol)及びジクロロ(h−シクロオクタ−1,5−ジエン)白金(II)0.34mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらN,N’−ビス−4−(ビニルフェニル)−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジン15.7gのトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状のN,N’−ビス{4−〔2−(メチルジメトキシシシリル)エチル〕フェニル}−N,N’−ビス−(フェニル)ーベンジジンを得た。収量は16.8gであった。
【0091】
[合成例7]
4−[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミン(合成例1)10gと後述の実施例1にて使用したトリアリールアミン化合物10gをテトラヒドロフラン33.4gに溶解し、ジブチル錫ジアセテート0.2gを加え混合した。これをガラス板にバーコートを用いて塗布し、140度で15時間乾燥した。顕微鏡で観察したところ均一フィルムが形成されたことが判明した。
【0092】
[比較合成例1]
メチルトリエトキシシラン10gをテトラヒドロフラン21.7gに溶解し、溶液に正孔輸送性化合物として合成例7と同様に後述の実施例1にて使用したトリアリールアミン化合物3g溶解し、ジブチル錫ジアセテート0.2gを加え混合した。合成例7と同様に硬化させてフィルムを形成した。フィルムは白濁し顕微鏡ではトリアリールアミン化合物の析出が観測された。
【0093】
[比較合成例2]
メチルトリエトキシシランに変えて フェニルトリエトキシシランを用いたほかは比較合成例1と同様にフィルムを形成した。生成したフィルムは不透明性は低下したものの、顕微鏡観測ではトリアリールアミン化合物の結晶が析出していた。
【0094】
[合成例8]
4−(N−エチル−N−フェニルアミノ) −[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンの合成
〈4−( N−エチル−N−フェニルアミノ)ベンズアルデヒドの合成〉
三つ口フラスコにジフェニルエチルアミン82gとDMF35.5mlを加え、氷水冷却下、撹拌しながらオキシ塩化リン84.4mlを滴下し、滴下終了後、温度を95℃に昇温して5時間反応させた。その後、沈殿物をロ取し、エタノール/水(1:1)の混合溶液で洗浄し、4−( N−フェニルアミノ)エチルベンズアルデヒドを得た。収量62g。
【0095】
〈4−(N−エチル−N−フェニルアミノ)スチレンの合成〉
水素化ナトリウム14.6g、1,2−ジメトキシエタン700mlを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらトリメチルホスフォニウムブロマイド130.8gを加えた。次に無水エタノールを一滴加えた後、70℃に温度を昇温し、5時間反応させた。反応液をろ過し、ろ液と沈殿物のエーテル抽出液を一緒にして水洗した。ついで、エーテル液を塩化カルシウムで脱水後、エーテルを除去し、反応混合物を得た。これをエタノールから再結晶を行い、針状、淡黄色の結晶を得た。収量62.4g。
【0096】
〈4−(N−エチル−N−フェニルアミノ)スチレンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン9.9g( 60mmol )及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.018mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら4−ビニルフェニル(N−フェニル,N−エチル)アミン7.6gのトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去して、淡黄色油状の4−(N−エチル−N−フェニルアミノ) −[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンを得た。収量7.8g
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、6.3eVであった。
【0097】
この化合物10gと後述の実施例1にて使用したトリアリールアミン化合物10gをテトラヒドロフラン33.4gに溶解し、ジブチル錫ジアセテート0.2gを加えて混合し、銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約5μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を形成した。
このサンプルに対してパルス巾3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ2x10−8cm2/Vsecであった。
【0098】
[実施例1]
鏡面加工により作成した外径80mmのアルミニウムシリンダー上に、フェノール樹脂(商品名 プライオーフェン、大日本インキ化学工業(株)製)167部をメチルセロソルブ100部に溶解したものへ導電性硫酸バリウム超微粒子(1次粒径50nm)200部及び平均粒径2μmのシリコーン樹脂粒子3部を分散したものを浸せきコーテイング法により塗工し、乾燥後の膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0099】
上記導電層上にアルコール可溶性共重合ナイロン(商品名 アミランCM−8000、東レ(株)製)5部をメタノール95部に溶解した溶液を浸せきコーテイング法により塗工した。80℃で10分間乾燥して、膜厚が1μmの下引き層を形成した。
【0100】
次に、電荷発生層用分散液として下記のビスアゾ顔料5部をシクロヘキサノン95部にポリビニルベンザール(ベンザール化度75%以上)2部を溶解した液に加え、サンドミルで20時間分散した。この分散液を先に形成した下引き層の上に乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように浸せきコーテイング法で塗工した。
【0101】
【外12】
【0102】
ついで、下記の構造式を有するトリアリールアミン化合物5部とポリカーボネート樹脂(商品名 Z−200 、三菱瓦斯化学(株)製)5部をクロロベンゼン70部に溶解した電荷輸送層用の液に平均粒径2μmのシリコーン樹脂微粒子0.3部を添加したものを前記の電荷発生層の上に浸せきコーテイング法により乾燥後10μmの膜厚に塗工した。
【0103】
【外13】
【0104】
次に合成例4で合成した4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼン50部と上記のトリアリールアミン化合物50部をテトラヒドロフラン167部に溶解し、ジブチル錫ジアセテート1部を加え混合した溶液をスプレーコーテイング法により、塗工した。
【0105】
140℃で4時間乾燥、熱硬化することで2μmの表面保護層を形成した。
【0106】
この電子写真感光体を−700Vに帯電して波長680nmの光で電子写真特性を測定したところ、E1/2(−350Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が1.1μJ/cm2、残留電位−8Vと良好であった。
【0107】
本電子写真感光体をキヤノン製デジタルフルカラー複写機CLC−500を副走査方向で63.5μm、主走査方向で20μmの照射スポット径1/e2となるように改造した評価機を用いて初期帯電−400Vに設定して画像評価を行ったところ、初期及び10万枚耐久試験後も黒ポチ等の電荷注入もなく、感光体の摩耗量も1.5μmと少なく、均一性の優れた画像出力が得られ、階調再現性も400dpiで256階調と極めて良好であった。
【0108】
[比較例1]
実施例1において保護層を塗工しないこと以外は同様にして作成した電子写真感光体の画像評価を行ったところ、2万枚の耐久試験後に黒ポチ等が大量に発生したために良好な画像は得られなかった。感光体の摩耗量は2万枚で5μmと極めて大きかった。
【0109】
[実施例2]
引き抜き加工により得られた外径30mmのアルミニウムシリンダー上に実施例1と同様に下引き層までを形成した。
【0110】
次に、電荷発生層用分散液としてCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2゜)の9.0゜、14.2゜、23.9゜及び27.1゜に強いピークを有するオキシチタニルフタロシアニン顔料5部をシクロヘキサノン95部にポリビニルベンザール(ベンザール化度75%以上)2部を溶解した液に加え、サンドミルで2時間分散した。
【0111】
この分散液を先に形成した下引き層の上に乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように浸せきコーテイング法で塗工した。
【0112】
ついで、合成例4で合成した有機ケイ素変成トリアリールアミン化合物50部と実施例1にて使用したトリアリールアミン化合物40g部とメチルトリエトキシシラン10部をテトラヒドロフラン167部に溶解し、ジブチル錫ジアセテート1部を加え混合した溶液を前記の電荷発生層の上に浸せきコーテイング法により塗工した。120℃で5時間乾燥、熱硬化して電荷輸送層の膜厚10μmの透明で均一な電荷輸送層を作成した。鉛筆硬度は5Hであり、水の接触角は107度であった。
【0113】
この電子写真感光体を−700Vに帯電し、露光しないで1秒後の表面電位を測定したところ、暗減衰は36Vであった。
【0114】
また、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定したところ、E1/2(−350Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.19J/cm2、残留電位が−13Vと良好であった。
【0115】
本電子写真感光体をキヤノン製レーザービームプリンタLBP−8・の改造機(スポット経(1/e2)を副走査方向で63.5μm、主走査方向で20μmに改造)を用い初期帯電−500Vに設定して画像評価をおこなったところ、4000枚の耐久試験後の感光体の摩耗量は0.1μm以下と極めて少なく、耐久後の水の接触角も100度と良好で、画像の劣化もなく、600dpi相当の入力信号においてのハイライト部の1画素再現性も十分であった。
【0116】
[比較例2]
実施例1において用いたトリアリールアミン化合物4部とポリカーボネート樹脂(商品名 Z−200 、三菱瓦斯化学(株)製)5部とメチルトリエトキシシラン1部をクロロベンゼン50部とテトラヒドロフラン20部に溶解した電荷輸送層用の液を実施例2の電荷発生層の上に浸せきコーテイング法により塗工することによって、乾燥後の膜厚が10μmの電荷輸送層を形成した。得られた電子写真感光体を実施例2と同様に評価した。ところ、4000枚の耐久試験後は干渉縞及び黒ポチが認められ、摩耗量が1.8μmと大きく、水の接触角も79度と小さいために不良であり、600dpiでのハイライト部の1画素再現も不十分でムラがあった。
【0117】
[実施例3]
実施例2と同様のアルミニウムシリンダー上に、フェノール樹脂(商品名 プライオーフェン、大日本インキ化学工業(株)製)167部をメチルセロソルブ100部に溶解したものへ導電性硫酸バリウム超微粒子(1次粒径50nm)200部を分散したものを浸せきコーティング法により、乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗工した。この導電性支持体に実施例2と同様にして膜厚1μmの下引き層及び膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0118】
ついで、合成例4で合成した有機ケイ素変成トリアリールアミン化合物50部と実施例1にて使用したトリアリールアミン化合物40部をテトラヒドロフラン167部に溶解し、ジブチル錫ジアセテート2部を加え混合した溶液に更にフェニルトリエトキシシラン10部を添加したものを前記の電荷発生層の上に浸せきコーテイング法により塗工した。120℃にて5時間乾燥、熱硬化して膜厚10μmの電荷輸送層を形成した。
【0119】
鉛筆硬度は5Hであり、水の接触角108度であった。
【0120】
この電子写真感光体を−700Vに帯電し、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定したところ、E1/2(−350Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.20J/cm2、残留電位−11Vと良好であった。
【0121】
本電子写真感光体を実施例2と同様のキヤノン製レーザービームプリンタを用い、初期帯電−500Vに設定して画像評価をおこなったとろ、1万枚の耐久試験後の感光体の摩耗量は0.3μmと極めて少なく、水の接触角は100度と良好で黒ポチ等の電荷注入及び干渉縞による画像の劣化もなく、600dpi相当の入力信号においてのハイライト部の1画素再現性も十分であった。
【0122】
[実施例4]
実施例1と同様にして、電荷輸送層まで形成した。
【0123】
次に表面保護層として合成例6で合成したN,N’−ビス{4−〔2−(メチルジメトキシシシリル)エチル〕フェニル}−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジン50部と実施例1にて使用したトリアリールアミン化合物50部をテトラヒドロフラン167部に溶解し、ジブチル錫ジアセテート1部を加え混合した溶液をスプレーコーテイング法により、塗工した。
【0124】
140℃で4時間乾燥、熱硬化することで透明で均一な膜厚が2μmの表面保護層を形成した。鉛筆硬度は4Hであり、水の接触角は110度であった。
【0125】
この電子写真感光体を実施例1と同様にして評価したところ、E1/2(−350Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.9μJ/cm2、残留電位が−14Vと良好であった。
【0126】
また、この電子写真感光体を実施例1と同様のデジタルフルカラー複写機を用いて初期帯電−400V設定して画像評価を行ったところ、1万枚の耐久試験後の摩耗量は0.18μmと極めて少なく、水の接触角は105度であり、ハイライト部、高濃度部の再現性の優れた画像が得られた。
【0127】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、正孔輸送能のないバインダー成分に起因する感度の低下や残留電位の上昇などの電気的特性の悪化を招かず、光散乱やブリードがなく、均一で、低表面エネルギーと機械的、電気的耐久性を両立した電子写真感光体、及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の層構成の例を示す図である。
【図2】本発明の電子写真感光体の層構成の例を示す図である。
【図3】光の強度分布、スポット径及び光のスポット面積と感光層の厚さの積の関係を示す図である。
【図4】本発明の画像形成装置の第1の例の概略構成を示す図である。
【図5】本発明の画像形成装置の第2の例の概略構成を示す図である。
【図6】合成例1の4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンのH−NMRスペクトルである。
【図7】合成例1の4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンのC−NMRスペクトルである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の表面層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体の表面層には、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段等により電気的あるいは機械的な影響が直接に加えられるために、それらに対する耐久性が要求される。具体的には、摺擦による感光体表面の摩耗や傷の発生、及び高温下におけるコロナ帯電の感光体表面の劣化等に対する耐久性が要求される。また、現像とクリーニングの繰り返し等に起因した、感光体表面へのトナーの付着という問題もあり、これに対しては感光体表面のクリーニング性の向上が求められている。
また、感度の低下や残留電位の上昇などの悪化を招かないような電気的特性も要求されている。
【0003】
上記のような感光体表面に要求される様々な特性を満たすために、感光層上に樹脂を主成分とする種々の表面保護層を設ける試みがなされている。例えば、特開昭57−30843号公報には、導電性粒子として金属酸化物粒子を添加することによって抵抗を制御した保護層が提案されている。
【0004】
また、表面層中に種々の物質を添加することで感光体表面の物性を改善することも検討されている。例えば、シリコーンの低表面エネルギーに注目した添加物としては、シリコーンオイル(特開昭61−132954号公報)、ポリジメチルシロキサン、シリコーン樹脂粉体(特開平4−324454号公報)、架橋シリコーン樹脂、(ポリカーボネート−シリコン)ブロック共重合体、シリコーン変成ポリウレタン、シリコーン変成ポリエステルが報告されている。低表面エネルギーの代表的なポリマーとしてはフッ素系高分子があり、フッ素系高分子としては、ポリテトラフルオロエチレン粉体、フッ化カーボン粉末等が挙げられる。また、耐磨耗性や電気的特性の向上の観点から表面層に電荷輸送性ポリエステルを用いる報告もされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、現在おもに用いられているような樹脂バインダー成分中に正孔輸送性有機分子を分散した表面層以外にも電気的特性の向上のために金属酸化物粒子などの種々の物質を分散した表面保護層や電荷輸送層が提案されているが、通常のバインダー樹脂成分には正孔輸送能はないため、バインダー樹脂の含有量を多くした場合には感度の低下や残留電位の上昇などの電気的特性の悪化を招きやすいという問題があった。
【0006】
また、金属酸化物等を含む表面保護層は高い硬度及び電荷輸送能を有するものが得られるが、表面抵抗が低いために画像ボケしやすいという問題がある。シリコーン系樹脂は表面エネルギーが小さい点で優れているが他の樹脂に対して十分な相溶性を示さないため、添加した場合に凝集しやすく光散乱を生じたり、ブリードして表面に偏析するために安定した特性を示さない等の問題があった。また、低表面エネルギーのポリマーであるフッ素系高分子は一般に溶媒に不溶であり、分散性も不良であることから、平滑な感光体表面を得ることが困難であり、屈折率も小さいことから光散乱が生じやすく、それによる透明性の劣化を生じる問題点があった。また、フッ素系高分子は一般的に柔らかいために傷がつきやすい問題点があった。
【0007】
本発明の目的は上記の問題点を解決することのできる、すなわち正孔輸送能のないバインダー成分に起因する感度の低下や残留電位の上昇などの電気的特性の悪化を招かず、光散乱やブリードがなく、均一な状態の光導電層であって低表面エネルギーと機械的、電気的耐久性を両立した電子写真感光体、及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、支持体上に感光層を有する電子写真感光体において該電子写真感光体の表面層が下記式(1)
【外8】
【0009】
(Aは正孔輸送性基を示し、R1は置換もしくは無置換のアルキレン基またはアリーレン基を示し、Qは加水分解性基または水酸基を示し、R2は置換もしくは無置換の一価炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示し、mは正の整数を示し、n×mは3以上である。)
で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の重縮合生成物をバインダー成分として、重縮合性基を持たない正孔輸送性有機分子を分散させた電子写真感光体である。
【0010】
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置である。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記式(1)及び(2)はクロロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン類、SiH含有物等であり、Q及びQ’は加水分解性基または水酸基を示し、加水分解性基としては、アルコキシ基、オキシム基、イソシアナト基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、ハロゲン基等が挙げられ、反応性の高さと保存性のバランスにより決定される。
【0012】
R1はアルキレン基またはアリーレン基を示し、炭素数が1〜18であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、シクロヘキシリデン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、更にはこれらが結合した基等が挙げられる。また、R1が有してもよい置換基としてはメチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基のアリール基、フッ素原子塩素原子等のハロゲン原子が挙げられる。これらの中ではR1が式−(CH2)m’−(m’は正の整数)で示されることが好ましい。
【0013】
m’は1〜18であることが更に好ましいが、必ずしも直鎖状である必要はない。m’が19以上では正孔輸送性基Aが運動しやすいため硬度が低下し、ケイ素原子に直接電荷輸送性基が結合していると立体障害等で反応性、物性に悪影響を与え易い。m’は更に好ましくは2〜8である。また、mは正の整数を示すが、1〜5であることが好ましい。mが6以上では合成が困難であり、また加水分解、重縮合反応において未反応基が残りやすいため電子写真特性等が低下し易い。
【0014】
また、本発明における電荷輸送性とは電荷を輸送する能力のことであり、イオン化ポテンシャルで6.2eV以下であることが好ましい。つまり、前記式(1)で示される有機ケイ素変性電荷輸送性化合物の重縮合生成物及びAの水素付加物は、イオン化ポテンシャルが6.2eV以下であることが好ましく、特には4.5〜6.2eVであることが好ましい。イオン化ポテンシャルが6.2eVを超えると正孔注入が起こりにくく帯電し易くなる。また、4.5eV未満では化合物が容易に酸化されるために劣化し易くなる。イオン化ポテンシャルは大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)によって測定される。
【0015】
また、上記有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の重縮合生成物は正孔輸送能として1×10−7cm2/Vsec以上のドリフト移動度を有しているものが好ましい。1×10−7cm2/Vsec以下では電子写真感光体として露光後、現像までに正孔が十分に移動できないために見かけ上感度が低減し、残留電位も高くなってしまう問題が発生する場合がある。
【0016】
上記式(1)の正孔輸送性基Aとしては、正孔輸送性を示すものであればいずれのものでもよく、その水素付加化合物(正孔輸送性有機分子)として示せば、例えばオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体等が挙げられる。
【0017】
正孔輸送性基Aとしては、構造が下記式(3)
【外9】
【0018】
(R4、R5及びR6は有機基であり、少なくともR5は芳香族炭化水素環基または複素環基を示し、R4、R5及びR6は同一であっても異なっていてもよい。)
で示されるものが好ましい。
【0019】
このように正孔輸送性基AはR4、R5及びR6からm個の水素原子が除かれて形成された基である。
【0020】
R4、R5及びR6の構造の好ましい具体例を以下に示す。
【0021】
【外10】
【0022】
【外11】
【0023】
また本発明の表面層は重縮合性基を持たない正孔輸送性有機分子を同時に含有するものである。この正孔輸送性有機分子としては上記式(1)の正孔輸送性基Aの水素付加化合物と同様の物質が用いられ、例としてはポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリスチリルアントラセン等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、カルバゾール、等の複素環化合物、トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体等の低分子化合物であり、上記式(1)の正孔輸送性基Aの水素付加化合物と同じであっても異なっていても良い。
【0024】
上記式(1)の有機ケイ素変成電荷輸送性化合物の合成方法としては、公知の方法、例えば、芳香族環にビニル基を有する化合物と置換基を有する水素化ケイ素化合物とから白金系触媒、或いは有機過酸化物等を触媒にヒドロシリル化反応を行うものが好適に用いられる。この場合に使用される白金触媒についてはとくに限定するものではなく、通常のヒドロシリル化反応、付加型シリコーンゴムに用いられている白金触媒であればよく、塩化白金、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−フォスフィン錯体等が挙げられる。白金触媒の添加量に関しては特に制限するものではないが、残留触媒が特性に悪影響を与えないようにできる限り少量で用いることが望ましい。芳香族環にビニル基を有する化合物と置換基を有する水素化ケイ素化合物とから白金系触媒等により、付加反応により本発明の化合物を合成する場合にはビニル基のα位と反応する場合とβ位と反応する場合があり、一般には混合物が生じる。本発明においてはα位、β位のどちらに反応したのものも用いられるが、ケイ素原子と電荷輸送性基を結合している炭化水素基の炭素数が少ない場合には立体障害からはβ位に反応したものが好ましい。
【0025】
有機過酸化物としては室温以上に半減期を示すものであればよく、特に、ラウリルパーオキシド等のアルキル過酸化物が水素引き抜きを起こしにくいことから好適に用いることができる。ビニル基を有しないものについては、芳香族環をホルミル化し、還元、脱水するか直接Wittig反応によりビニル基を導入する方法等により、本発明の合成原料として用いることが可能である。
【0026】
本発明の表面層は(1)式で示される正孔輸送性化合物の縮合物をバインダー成分に用いたものであるが、第二のバインダー成分として(2)式で表されるケイ素化合物を含有する事が出来る。(2)式で表されるケイ素化合物の具体例を挙げると、テトラアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、フェニルトリアルコキシシラン、メチルフェニルジアルコキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N−トリメチルシリル−N−メチルアセトアミドなどのシラザン類、もしくはクロロシラン類、SiH含有物等であり、これらは重縮合生成物として表面層に含有される。
【0027】
上記(1)式で示される有機ケイ素変性正孔輸送性化合物及び(2)式で表されるケイ素化合物の加水分解、重縮合には、必ずしも触媒が必要ではないが、通常ケイ素樹脂等の加水分解、重縮合に用いられる触媒の使用を妨げるものではなく、加水分解、重縮合に要する時間、硬化温度等を考慮してジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オクトエート等のアルキル錫有機酸塩等もしくはノルマルブチルチタネート等の有機チタン酸エステルから適宜選択される。
【0028】
本発明においては、(1)式で表される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の重縮合時に3次元架橋構造が形成されることにより、各元素間の運動や外部からの化合物の侵入が困難になることから、硬度や機械的強度が増大し、耐摩耗性が向上するのみでなく、帯電時に発生するアーク放電等の電気的な障害や化学物質等に対する耐久性も向上させることが可能となる。
【0029】
硬化の条件としては100〜200℃で加熱することが好ましい。100℃以下では硬化反応に時間がかかるため、未反応の加水分解性基が残存する可能性もある。200℃以上では電荷輸送性基が酸化劣化しやすくなり、悪影響が発生しやすい。より望ましくは、120〜160℃で加熱硬化して用いられる。
【0030】
本発明の正孔輸送能を有する硬化性組成物をもちいて電子写真感光体を製造する例を下記に示す。
【0031】
電子写真感光体の支持体(図1及び2中の1)としては支持対自体が導電性を有するもの、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、チタン、ニッケル、マグネシウム、インジウム、金、白金、銀、鉄等を用いることが出来る。その他にアルミニウム、酸化インジウム、酸化スズ、金、等を蒸着等によりプラスチック等の誘電体基材に被膜形成し、導電層としたものや、導電性微粒子をプラスチックや紙に混合したもの等を用いることが出来る。これらの導電性基材は均一な導電性が求められるとともに平滑な表面が重要である。表面の平滑性はその上層に形成される下引き層、電荷発生層、正孔輸送層の均一性に大きな影響を与えることから、その表面荒さは0.3μm以下で用いられることが好ましい。0.3μm以上の凹凸は下引き層や電荷発生層のような薄い層に印加される局所電場を大きく変化させてしまうためにその特性が大きく変化してしまい電荷注入や残電のむら等の欠陥を生じ易いことから好ましくない。
【0032】
特に導電性微粒子をポリマーバインダー中に分散して塗布することにより得られる導電層(図1及び2中の2)は形成が容易であり、均質な表面を形成することに適している。このとき用いられる導電性微粒子の1次粒径は100nm以下であり、より好ましくは50nm以下のものが用いられる。導電性微粒子としては、導電性酸化亜鉛、導電性酸化チタン、Al、Au、Cu、Ag、Co、Ni、Fe、カーボンブラック、ITO、酸化スズ、酸化インジウム、インジウム、等が用いられ、これらを絶縁性微粒子の表面にコーテイングして用いてもよい。前記導電性微粒子の含有量は体積抵抗が十分に低くなるように使用され、好ましくは1x1010Ωcm以下の抵抗となるように添加される。より好ましくは1x108Ωcm以下で用いられる。
【0033】
レーザー等のコヒーレントな光源を用いて露光する場合は、干渉による画像劣化を防止するために、上記導電性基材の表面に凹凸を形成することも可能である。このときは電荷注入や残留電位のむら等の欠陥が生じにくいように使用する波長の1/2λ程度の凹凸を直径が数μm以下のシリカビーズ等の絶縁物を分散することにより、10μm以下の周期で形成して用いることが可能である。
【0034】
本発明においては、基材と光導電層の中間に、注入阻止機能と接着機能をもつ下引層(図1及び2中の3)を設けることもできる。下引き層の材料としてはカゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレンーアクリル酸コポリマー、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン、金属アルコキシドの縮合物等が挙げられる。下引き層の膜厚は0.1μm〜10μmであることが好ましく、特には0.3μm〜3μmであることが好ましい。
【0035】
感光層としては電荷発生物質を含有する電荷発生層(図1及び2中の4)と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層(図1及び2中の5)からなる機能分離タイプのものや電荷発生物質と電荷輸送物質を同一の層に含有する単層タイプ(不図示)が用いられる。
【0036】
電荷発生材料としては、例えば、セレンーテルル、ピリリウム系染料、チオピリリウム系染料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、ジベンズピレンキノン系顔料、ピラントロン系顔料、トリスアゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、アゾ系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、シアニン系顔料等を用いることができる。
【0037】
本発明の表面層は電荷輸送層(図1中の5)もしくは正孔輸送能を有する表面保護層(図2中の6)として用いることが可能である。
【0038】
単層感光体として用いる場合は前記電荷発生材料と本発明の正孔輸送性化合物の重縮合生成物と組み合わせて用いることにより良好な特性が得られる。
【0039】
本発明の表面層では(1)式で示される正孔輸送性化合物の重縮合生成物と(2)式で示されるケイ素化合物の重縮合生成物以外のバインダー成分を用いる事は好ましくない。正孔輸送能のないバインダー成分の添加は電気的特性に悪影響を与えやすく、またケイ素系以外のバインダー成分は本発明の表面層に含有した場合に有機ケイ素変性正孔輸送性化合物と同時に縮合させる事が困難であるため用いない事が好ましい。しかしながら、機械的特性の改良や耐久性向上のために最低限の添加剤を用いることができる。このような添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定化剤、架橋剤、潤滑剤、導電性制御剤等が用いられる。
【0040】
本発明における電荷発生層の膜厚は3μm以下であることが好ましく、特には0.01〜1μmであることが好ましい。また、電荷輸送層の膜厚は1〜40μmであることが好ましく、特には3〜30μmであることが好ましい。
【0041】
感光層が単層タイプである場合は、その膜厚は1〜40μmであることが好ましく、特には3〜30μmであることが好ましい。
【0042】
本発明における表面保護層の厚みは、1〜15μmであることが好ましい。1μm以下では保護効果が十分ではなく、15μmを超えると感光層全体の膜厚が増加することにより、画像劣化が生じ易くなってしまうことから好ましくない。
【0043】
本発明においては、更に、露光手段が照射する光ビームのスポット面積と電子写真感光体が有する感光層の膜厚の積が2×104μm3以下であることが好ましい。また、この積は現像コントラストの大きさ(現像時の感光体上の電位差)の点で2×103μm3以上であることが好ましい。2×103μm3に満たないと十分な現像コントラストは得にくくなる傾向になる。
【0044】
この場合、本発明に用いられる露光方法は、光をドット状に照射することによって感光体上に静電潜像を形成する物である。その光源は特に制限されるものではないが、より小さなスポット面積をより容易に得ることができるという点でレーザー光及びLED光であることが好ましい。
【0045】
図3に光の強度分布、スポット径及びスポット面積(S)と感光層の厚さの積の関係を示す。光スポットは一般的には図3に示すように主走査スポット径(ab)と副走査スポット径(cd)を有する楕円形の形状を有しており、本発明におけるスポット面積と感光層の厚さの積は、該光スポットが感光層へ照射されている部分の体積(V)であるといえる。
【0046】
該光のスポット面積(S)は感光層上の面積であり、光の強度がピーク強度(A)の1/e2(B)以上である部分の面積で表される。用いられる光源としては半導体レーザーやLED等が挙げられ、光強度分布についてもガウス分布やローレンツ分布等があるが、いずれの場合もピーク強度(A)1/e2(B)以上の強度の部分をスポット面積(S)とする。なお、スポット面積(S)は、感光体の位置にCCDカメラを設置することにより測定することができる。
【0047】
本発明における光のスポット面積は4×103μm2以下であることが好ましく、特には3×103μm2以下であることが好ましい。4×103μm2を超えると隣接画素の光と重複し易くなり、階調再現性が不安定となりやすい。また、コストの点から1×103μm2以上であることが好ましい。
【0048】
上記観点からは、本発明における感光層の厚さは12μm以下であることが好ましく、特には10μm以下であることが好ましい。
【0049】
本発明の電子写真感光体は、極めて優れた機械的強度及び低表面エネルギー性を有しているので、このような系に用いられる感光体として非常に好ましい。
【0050】
図4に本発明のプロセスカートリッジを有する画像形成装置の第1の例の概略構成を示す。
【0051】
図において7はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸8を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体7は、回転過程において、一次帯電手段9によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、レーザービーム走査露光等の像露光手段(不図示)からの画像露光10を受ける。こうして感光体7の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0052】
形成された静電潜像は、現像手段11によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は不図示の給紙部から感光体7と転写手段12との間に感光体7の回転と同期取り出されて給紙された転写材13に、転写手段12により順次転写されていく。
【0053】
像転写を受けた転写材13は、感光体面から分離されて像定着手段14へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外にプリントアウトされる。
【0054】
像転写後の感光体7の表面は、クリーニング手段15によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光16により除電処理された後、繰り返し像形成に使用される。なお、一次帯電手段9が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0055】
本発明においては、上述の電子写真感光体7、一次帯電手段9、現像手段11及びクリーニング手段15等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、一次帯電手段7と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール18等の案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ17とすることができる。
【0056】
図5に本発明の画像形成装置の第2の例であるカラー複写機の概略構成を示す。図において201はイメージスキャナ部であり、原稿を読み取り、デジタル信号処理を行う部分である。また、202はプリンタ部であり、イメージスキャナ201に読み取られた原稿画像に対応した画像を用紙にフルカラーでプリント出力する部分である。
【0057】
イメージスキャナ部201において、200は原稿厚板であり、原稿台ガラス203上の原稿204を固定するために用いられる。原稿204は、ハロゲンランプ205の光で照射される。原稿204からの反射光はミラー206、207に導かれ、レンズ208により3本のCCDラインセンサで構成される3ラインセンサ(以下CCDという)210上に像を結ぶ。CCD210は原稿からの光情報を色分解して、フェルカラー情報のうちレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)成分として信号処理部209に送られる。なお、205、206は速度vで、207は1/2vでラインセンサの電気的走査方向(以下、主走査方向)に対して垂直方向(以下、副走査方向)に機械的に動くことにより、原稿全面を走査する。
【0058】
信号処理部211では読み取られた信号を電気的に処理し、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、及びブラック(BK)の各成分に分解し、プリンタ部200に送られ、計4回の原稿走査により一回のプリントアウトが完成する。
【0059】
イメージスキャナ部201より送られてくるM,C,Y,及びBKの画像信号は、レーザドライバ212に送られる。レーザドライバ212は画像信号に応じ、半導体レーザ213を変調駆動する。レーザ光はポリゴンミラー214、f−θレンズ215、ミラー216を介し、感光体ドラム217上を走査する。
【0060】
218は回転現像器であり、マゼンタ現像器219、シアン現像器220、イエロー現像器221、ブラック現像器222より構成され、4つの現像器が交互に感光体ドラムに接し、感光体ドラム217上に形成されたM,C,Y,BKの静電潜像を対応するトナーで現像する。
【0061】
223は転写ドラムで、用紙カセット224または225より給紙された用紙をこの転写ドラム223に巻付け、感光体ドラム217上に現像されたトナー像を用紙に転写する。
【0062】
このようにしてM,C,Y,BKの4色が順次転写された後に、用紙は定着ユニット226を通過して定着後、排紙される。
【0063】
次に本発明に用いられる硬化性有機ケイ素高分子の合成例を示す。
【0064】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に用いられる有機ケイ素変成電荷輸送性化合物の合成例を示す。
[合成例1]
4−[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンの合成
〈4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドの合成〉
三つ口フラスコにトリフェニルアミン101.4gとDMF35.5mlを入れ、氷水冷却下、撹拌しながらオキシ塩化リン84.4mlを滴下し、温度を95℃に上げて5時間反応させた。反応液を4l の温水へ注ぎ1時間撹拌した。その後、沈殿物をロ取し、エタノール/水(1:1)の混合溶液で洗浄し、4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドを得た。収量91.5g(収率81.0%)。
【0065】
〈4−ビニルトリフェニルアミンの合成〉
水素化ナトリウム14.6g、1,2−ジメトキシエタン700mlを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらトリメチルホスフォニウムブロマイド130.8gを加えた。次に無水エタノールを一滴加えた後、70℃で4時間反応させた。これに4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒド100gを加え、70℃に温度を上げ5時間反応させた反応液を濾過し、濾液と沈殿物のエーテル抽出液を一緒にし水洗した。ついで、エーテル液を塩化カルシウムで脱水後、エーテルを除去し、反応混合物を得た。これをエタノールから再結晶を行い、針状、淡黄色のビニルトリフェニルアミンを得た。収量83.4g(収率84.0%)。
【0066】
〈4−ビニルトリフェニルアミンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン9.9g (60mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.018mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら4−ビニルトリフェニルアミン8.2g のトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除き、淡黄色油状の4−[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンを得た。収量12.1g(収率91.7%)。
【0067】
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、5.68eVであった。
【0068】
この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約8μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を形成した。このサンプルに対してパルス巾3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ1x10−7cm2/Vsecであった。
【0069】
[合成例2]
4,4’−ビス[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンの合成
〈N,N−ビス(4−ホルミルフェニル)アミノベンゼンの合成〉
三つ口フラスコにトリフェニルアミン50.7gとDMF35.5mlを入れ、氷水冷却下、撹拌しながらオキシ塩化リン84.4mlを滴下した。滴下終了後、混合溶液を95℃で5時間反応させ、5リットルの温水へ注ぎ1時間撹拌した。その後、沈殿物を濾取し、エタノール/水(1:1)の混合溶液で洗浄し、N,N−ビス(4−ホルミルフェニル)アミノベンゼンを得た。収量36.4g(収率58.5%)。
【0070】
〈N,N−ビス(4−ビニルフェニル)アミノベンゼンの合成〉
水素化ナトリウム4.8g、1,2−ジメトキシエタン700mlを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらメチルトリフェニルホスフォニウムブロマイド73.2gを加えた。次に無水エタノールを一滴加えた後、70℃で4時間反応させた。以上のようにして得られた反応混合液にN,N−ビス(4−ホルミルフェニル)アミノベンゼン30.0gを加え、70℃で5時間反応させた後、水洗し、トルエン抽出した。ついで、トルエン溶液を塩化カルシウムで脱水後、溶媒を除去し淡黄色のN,N−ビス(4−ビニルフェニル)アミノベンゼンを得た。収量18.4g(収率62.2%)。
【0071】
〈N,N−ビス(4−ビニルフェニル)アミノベンゼンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン9.9g(60mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.018mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらN,N−ビス(4−ビニルフェニル)アミノベンゼン2.6g(8.7mmol)のトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状の4,4’−ビス[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンを得た。収量4.4g(収率80.6%)。
【0072】
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、5.67eVであった。
【0073】
この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約5μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を形成した。このサンプルに対してパルス巾3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ3x10−7cm2/Vsecであった。
【0074】
[合成例3]
4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンの合成
〈N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノベンゼンの合成〉
4−ヨード−o−キシレン38.5g (166mmol)、無水炭酸カリウム22.9g (166mmol)及び銅粉7.0gをニトロベンゼン20mlに加え、撹拌下加熱還流を8時間行った。冷却後濾過し、沈殿を除去した。得られた反応混合物をシリカゲルカラムを通しN,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノベンゼンを得た。収量15.7g(収率69%)。
【0075】
〈4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]ベンズアルデヒドの合成〉
三つ口フラスコに[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]ベンゼン124.6gDMF35.5mlを入れ、氷水冷却下、撹拌しながらオキシ塩化リン84.4mlを滴下した。滴下終了後、混合溶液を95℃で5時間反応させ、4l の温水へ注ぎ1時間撹拌した。その後、沈殿物をロ取し、エタノール/水(1:1)の混合溶液で洗浄し、4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]ベンズアルデヒドを得た。収量107.6g(収率79.0%)。
【0076】
〈4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレンの合成〉
水素化ナトリウム12.1g、1,2−ジメトキシエタン580mlを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらトリメチルホスフォニウムブロマイド108.5gを加えた。次に無水エタノールを一滴加えた後、70℃で4時間反応させた。以上のようにして得られた反応混合液に4ー[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]ベンズアルデヒド100.0gを加え、70℃で5時間反応させた後、ロ別し、ロ取したケーキをエーテル抽出しロ液と一緒しにし水洗した。ついで、エーテル液を塩化カルシウムで脱水後、エーテルを除去し、反応混合物を得た。これをエタノールで再結晶二回行い、針状、4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレンを得た。収量84.5g(収率85.0%)。
【0077】
〈4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン6.0g及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.54mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレン9.9gのトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状の4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンを得た。収量13.4g(収率90.1%)。
【0078】
H−NMRスペクトルを図6に示す(ブルカー社製、APC300 NMRスペクトロメータ)。
【0079】
C−NMRスペクトルを図7に示す(ブルカー社製、APC300 NMRスペクトロメータ)。
【0080】
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、5.26eVであった。
【0081】
この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約5μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を形成した。このサンプルに対してパルス巾3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ9x10−7cm2/Vsecであった。
【0082】
[合成例4]
4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンの合成
〈4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン6.0g (37mmol)及びジクロロ(h−シクロオクタ−1,5−ジエン)白金(II)0.34mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレン9.9gのトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状の4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンを得た。収量14.0g(収率94.2%)。
【0083】
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、5.31eVであった。
【0084】
この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約5μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を形成した。このサンプルに対してパルス巾3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ7x10−7cm2/Vsecであった。
【0085】
[合成例5]
4−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]トリフェニルアミンの合成
〈4−ブロモトリフェニルアミンの合成〉
N−ブロモスクシンイミド8.0g (45mmol)、トリフェニルアミン10.0g (41mmol)を200ml三つ口フラスコに入れ、N,N−ジメチルホルムアミド150mlを加えた後、室温下で一晩撹拌した。次いで、N,N−ジメチルホルムアミドを除去し、得られた固形物を四塩化炭素で抽出した。その後、四塩化炭素を除去し、得られた反応混合物をエタノールで二回再結晶を行い、白色固体の4−ブロモトリフェニルアミンを得た。収量8.2g(収率61.7%)。
【0086】
〈4−N,N−ジフェニルアミノアリルベンゼンの合成〉
300ml四つ口フラスコにマグネシウム金属1.0g (40mmol)を入れ窒素置換を行った。次いでジエチルエーテル100mlを加え撹拌を開始した。そこへ4−ブロモトリフェニルアミン8.6g (27mmol)を溶解したジエチルエーテル溶液30mlをゆっくり滴下した。約3ml滴下したところでゆるやかに還流が始まった。還流させながら、さらにジエチルエーテル溶液の滴下を続け、滴下終了後、さらに一時間還流を行った。以上のようにして得られたグリニャール試薬溶液を室温まで戻し、次にアリルクロライド2.1g (27mmol)のジエチルエーテル溶液40mlを氷令しながらゆっくり滴下した。滴下終了後、反応混合物を2時間還流し反応を熟成した。その後、水50mlを氷令しながら加え加水分解を行った。次に、エーテル層を抽出し飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、水で2回洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、ジエチルエーテルを除去し白色固体の4−N,N−ジフェニルアミノアリルベンゼンを得た。収量4.9g(収率63.2%)。
【0087】
〈4−N,N−ジフェニルアミノアリルベンゼンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン6.0g (37mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.54mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら4−N,N−ジフェニルアミノアリルベンゼン9.7g (34mmol)のトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70。Cで3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状の4−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]トリフェニルアミンを得た。収量10.7g(収率70.1%)。
【0088】
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、5.72eVであった。
【0089】
この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約9μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を形成した。このサンプルに対してパルス巾3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ1.4x10−7cm2/Vsecであった。
【0090】
[合成例6]
N,N’−ビス{4−〔2−(メチルジメトキシシシリル)エチル〕フェニル}−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジンの合成
トルエン40ml、メチルジメトキシシラン4.0g (38mmol)及びジクロロ(h−シクロオクタ−1,5−ジエン)白金(II)0.34mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらN,N’−ビス−4−(ビニルフェニル)−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジン15.7gのトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状のN,N’−ビス{4−〔2−(メチルジメトキシシシリル)エチル〕フェニル}−N,N’−ビス−(フェニル)ーベンジジンを得た。収量は16.8gであった。
【0091】
[合成例7]
4−[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミン(合成例1)10gと後述の実施例1にて使用したトリアリールアミン化合物10gをテトラヒドロフラン33.4gに溶解し、ジブチル錫ジアセテート0.2gを加え混合した。これをガラス板にバーコートを用いて塗布し、140度で15時間乾燥した。顕微鏡で観察したところ均一フィルムが形成されたことが判明した。
【0092】
[比較合成例1]
メチルトリエトキシシラン10gをテトラヒドロフラン21.7gに溶解し、溶液に正孔輸送性化合物として合成例7と同様に後述の実施例1にて使用したトリアリールアミン化合物3g溶解し、ジブチル錫ジアセテート0.2gを加え混合した。合成例7と同様に硬化させてフィルムを形成した。フィルムは白濁し顕微鏡ではトリアリールアミン化合物の析出が観測された。
【0093】
[比較合成例2]
メチルトリエトキシシランに変えて フェニルトリエトキシシランを用いたほかは比較合成例1と同様にフィルムを形成した。生成したフィルムは不透明性は低下したものの、顕微鏡観測ではトリアリールアミン化合物の結晶が析出していた。
【0094】
[合成例8]
4−(N−エチル−N−フェニルアミノ) −[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンの合成
〈4−( N−エチル−N−フェニルアミノ)ベンズアルデヒドの合成〉
三つ口フラスコにジフェニルエチルアミン82gとDMF35.5mlを加え、氷水冷却下、撹拌しながらオキシ塩化リン84.4mlを滴下し、滴下終了後、温度を95℃に昇温して5時間反応させた。その後、沈殿物をロ取し、エタノール/水(1:1)の混合溶液で洗浄し、4−( N−フェニルアミノ)エチルベンズアルデヒドを得た。収量62g。
【0095】
〈4−(N−エチル−N−フェニルアミノ)スチレンの合成〉
水素化ナトリウム14.6g、1,2−ジメトキシエタン700mlを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらトリメチルホスフォニウムブロマイド130.8gを加えた。次に無水エタノールを一滴加えた後、70℃に温度を昇温し、5時間反応させた。反応液をろ過し、ろ液と沈殿物のエーテル抽出液を一緒にして水洗した。ついで、エーテル液を塩化カルシウムで脱水後、エーテルを除去し、反応混合物を得た。これをエタノールから再結晶を行い、針状、淡黄色の結晶を得た。収量62.4g。
【0096】
〈4−(N−エチル−N−フェニルアミノ)スチレンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン9.9g( 60mmol )及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.018mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら4−ビニルフェニル(N−フェニル,N−エチル)アミン7.6gのトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去して、淡黄色油状の4−(N−エチル−N−フェニルアミノ) −[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンを得た。収量7.8g
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、6.3eVであった。
【0097】
この化合物10gと後述の実施例1にて使用したトリアリールアミン化合物10gをテトラヒドロフラン33.4gに溶解し、ジブチル錫ジアセテート0.2gを加えて混合し、銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約5μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を形成した。
このサンプルに対してパルス巾3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ2x10−8cm2/Vsecであった。
【0098】
[実施例1]
鏡面加工により作成した外径80mmのアルミニウムシリンダー上に、フェノール樹脂(商品名 プライオーフェン、大日本インキ化学工業(株)製)167部をメチルセロソルブ100部に溶解したものへ導電性硫酸バリウム超微粒子(1次粒径50nm)200部及び平均粒径2μmのシリコーン樹脂粒子3部を分散したものを浸せきコーテイング法により塗工し、乾燥後の膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0099】
上記導電層上にアルコール可溶性共重合ナイロン(商品名 アミランCM−8000、東レ(株)製)5部をメタノール95部に溶解した溶液を浸せきコーテイング法により塗工した。80℃で10分間乾燥して、膜厚が1μmの下引き層を形成した。
【0100】
次に、電荷発生層用分散液として下記のビスアゾ顔料5部をシクロヘキサノン95部にポリビニルベンザール(ベンザール化度75%以上)2部を溶解した液に加え、サンドミルで20時間分散した。この分散液を先に形成した下引き層の上に乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように浸せきコーテイング法で塗工した。
【0101】
【外12】
【0102】
ついで、下記の構造式を有するトリアリールアミン化合物5部とポリカーボネート樹脂(商品名 Z−200 、三菱瓦斯化学(株)製)5部をクロロベンゼン70部に溶解した電荷輸送層用の液に平均粒径2μmのシリコーン樹脂微粒子0.3部を添加したものを前記の電荷発生層の上に浸せきコーテイング法により乾燥後10μmの膜厚に塗工した。
【0103】
【外13】
【0104】
次に合成例4で合成した4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼン50部と上記のトリアリールアミン化合物50部をテトラヒドロフラン167部に溶解し、ジブチル錫ジアセテート1部を加え混合した溶液をスプレーコーテイング法により、塗工した。
【0105】
140℃で4時間乾燥、熱硬化することで2μmの表面保護層を形成した。
【0106】
この電子写真感光体を−700Vに帯電して波長680nmの光で電子写真特性を測定したところ、E1/2(−350Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が1.1μJ/cm2、残留電位−8Vと良好であった。
【0107】
本電子写真感光体をキヤノン製デジタルフルカラー複写機CLC−500を副走査方向で63.5μm、主走査方向で20μmの照射スポット径1/e2となるように改造した評価機を用いて初期帯電−400Vに設定して画像評価を行ったところ、初期及び10万枚耐久試験後も黒ポチ等の電荷注入もなく、感光体の摩耗量も1.5μmと少なく、均一性の優れた画像出力が得られ、階調再現性も400dpiで256階調と極めて良好であった。
【0108】
[比較例1]
実施例1において保護層を塗工しないこと以外は同様にして作成した電子写真感光体の画像評価を行ったところ、2万枚の耐久試験後に黒ポチ等が大量に発生したために良好な画像は得られなかった。感光体の摩耗量は2万枚で5μmと極めて大きかった。
【0109】
[実施例2]
引き抜き加工により得られた外径30mmのアルミニウムシリンダー上に実施例1と同様に下引き層までを形成した。
【0110】
次に、電荷発生層用分散液としてCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2゜)の9.0゜、14.2゜、23.9゜及び27.1゜に強いピークを有するオキシチタニルフタロシアニン顔料5部をシクロヘキサノン95部にポリビニルベンザール(ベンザール化度75%以上)2部を溶解した液に加え、サンドミルで2時間分散した。
【0111】
この分散液を先に形成した下引き層の上に乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように浸せきコーテイング法で塗工した。
【0112】
ついで、合成例4で合成した有機ケイ素変成トリアリールアミン化合物50部と実施例1にて使用したトリアリールアミン化合物40g部とメチルトリエトキシシラン10部をテトラヒドロフラン167部に溶解し、ジブチル錫ジアセテート1部を加え混合した溶液を前記の電荷発生層の上に浸せきコーテイング法により塗工した。120℃で5時間乾燥、熱硬化して電荷輸送層の膜厚10μmの透明で均一な電荷輸送層を作成した。鉛筆硬度は5Hであり、水の接触角は107度であった。
【0113】
この電子写真感光体を−700Vに帯電し、露光しないで1秒後の表面電位を測定したところ、暗減衰は36Vであった。
【0114】
また、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定したところ、E1/2(−350Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.19J/cm2、残留電位が−13Vと良好であった。
【0115】
本電子写真感光体をキヤノン製レーザービームプリンタLBP−8・の改造機(スポット経(1/e2)を副走査方向で63.5μm、主走査方向で20μmに改造)を用い初期帯電−500Vに設定して画像評価をおこなったところ、4000枚の耐久試験後の感光体の摩耗量は0.1μm以下と極めて少なく、耐久後の水の接触角も100度と良好で、画像の劣化もなく、600dpi相当の入力信号においてのハイライト部の1画素再現性も十分であった。
【0116】
[比較例2]
実施例1において用いたトリアリールアミン化合物4部とポリカーボネート樹脂(商品名 Z−200 、三菱瓦斯化学(株)製)5部とメチルトリエトキシシラン1部をクロロベンゼン50部とテトラヒドロフラン20部に溶解した電荷輸送層用の液を実施例2の電荷発生層の上に浸せきコーテイング法により塗工することによって、乾燥後の膜厚が10μmの電荷輸送層を形成した。得られた電子写真感光体を実施例2と同様に評価した。ところ、4000枚の耐久試験後は干渉縞及び黒ポチが認められ、摩耗量が1.8μmと大きく、水の接触角も79度と小さいために不良であり、600dpiでのハイライト部の1画素再現も不十分でムラがあった。
【0117】
[実施例3]
実施例2と同様のアルミニウムシリンダー上に、フェノール樹脂(商品名 プライオーフェン、大日本インキ化学工業(株)製)167部をメチルセロソルブ100部に溶解したものへ導電性硫酸バリウム超微粒子(1次粒径50nm)200部を分散したものを浸せきコーティング法により、乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗工した。この導電性支持体に実施例2と同様にして膜厚1μmの下引き層及び膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0118】
ついで、合成例4で合成した有機ケイ素変成トリアリールアミン化合物50部と実施例1にて使用したトリアリールアミン化合物40部をテトラヒドロフラン167部に溶解し、ジブチル錫ジアセテート2部を加え混合した溶液に更にフェニルトリエトキシシラン10部を添加したものを前記の電荷発生層の上に浸せきコーテイング法により塗工した。120℃にて5時間乾燥、熱硬化して膜厚10μmの電荷輸送層を形成した。
【0119】
鉛筆硬度は5Hであり、水の接触角108度であった。
【0120】
この電子写真感光体を−700Vに帯電し、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定したところ、E1/2(−350Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.20J/cm2、残留電位−11Vと良好であった。
【0121】
本電子写真感光体を実施例2と同様のキヤノン製レーザービームプリンタを用い、初期帯電−500Vに設定して画像評価をおこなったとろ、1万枚の耐久試験後の感光体の摩耗量は0.3μmと極めて少なく、水の接触角は100度と良好で黒ポチ等の電荷注入及び干渉縞による画像の劣化もなく、600dpi相当の入力信号においてのハイライト部の1画素再現性も十分であった。
【0122】
[実施例4]
実施例1と同様にして、電荷輸送層まで形成した。
【0123】
次に表面保護層として合成例6で合成したN,N’−ビス{4−〔2−(メチルジメトキシシシリル)エチル〕フェニル}−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジン50部と実施例1にて使用したトリアリールアミン化合物50部をテトラヒドロフラン167部に溶解し、ジブチル錫ジアセテート1部を加え混合した溶液をスプレーコーテイング法により、塗工した。
【0124】
140℃で4時間乾燥、熱硬化することで透明で均一な膜厚が2μmの表面保護層を形成した。鉛筆硬度は4Hであり、水の接触角は110度であった。
【0125】
この電子写真感光体を実施例1と同様にして評価したところ、E1/2(−350Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.9μJ/cm2、残留電位が−14Vと良好であった。
【0126】
また、この電子写真感光体を実施例1と同様のデジタルフルカラー複写機を用いて初期帯電−400V設定して画像評価を行ったところ、1万枚の耐久試験後の摩耗量は0.18μmと極めて少なく、水の接触角は105度であり、ハイライト部、高濃度部の再現性の優れた画像が得られた。
【0127】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、正孔輸送能のないバインダー成分に起因する感度の低下や残留電位の上昇などの電気的特性の悪化を招かず、光散乱やブリードがなく、均一で、低表面エネルギーと機械的、電気的耐久性を両立した電子写真感光体、及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の層構成の例を示す図である。
【図2】本発明の電子写真感光体の層構成の例を示す図である。
【図3】光の強度分布、スポット径及び光のスポット面積と感光層の厚さの積の関係を示す図である。
【図4】本発明の画像形成装置の第1の例の概略構成を示す図である。
【図5】本発明の画像形成装置の第2の例の概略構成を示す図である。
【図6】合成例1の4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンのH−NMRスペクトルである。
【図7】合成例1の4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンのC−NMRスペクトルである。
Claims (9)
- 上記(1)で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の重縮合生成物が4.5〜6.2eVのイオン化ポテンシャルを有する請求項1〜3に記載の電子写真感光体。
- 上記(1)で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の重縮合生成物が1×10−7cm2/Vsec以上のドリフト移動度を有する請求項1〜4に記載の電子写真感光体。
- 電子写真感光体、及び帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくともひとつの手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、該電子写真感光体が支持体上に感光層を有する電子写真感光体であって、該電子写真感光体の表面層が下記式(1)
【外4】
(Aは正孔輸送性基を示し、R1は置換もしくは無置換のアルキレン基またはアリーレン基を示し、Qは加水分解性基または水酸基を示し、R2は置換もしくは無置換の一価炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示し、mは正の整数を示し、n×mは3以上である。)
で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の重縮合生成物をバインダー成分として、重縮合性基を持たない正孔輸送性有機分子を分散させたプロセスカートリッジ。
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