JP2004045993A - 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光散乱やブリードがなく、均一な状態の光導電層であって低表面エネルギーと機械的、電気的耐久性を両立した高感度かつ低残留電位の電子写真感光体、及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】支持体上に感光層を有する電子写真感光体において該電子写真感光体の感光層が硬化性有機ケイ素系高分子及び下記一般式(1)
【外1】
(Aは窒素原子を2つ以上含有する正孔輸送性基を示し、Qは加水分解性基または水酸基を示し、R2は置換もしくは無置換の一価炭化水素基を示し、R3は置換もしくは無置換のアルキレン基またはアリーレン基を示し、mは1〜3の整数を示し、lは正の整数を示す。)
で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を硬化することによって得られる樹脂を含有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】支持体上に感光層を有する電子写真感光体において該電子写真感光体の感光層が硬化性有機ケイ素系高分子及び下記一般式(1)
【外1】
(Aは窒素原子を2つ以上含有する正孔輸送性基を示し、Qは加水分解性基または水酸基を示し、R2は置換もしくは無置換の一価炭化水素基を示し、R3は置換もしくは無置換のアルキレン基またはアリーレン基を示し、mは1〜3の整数を示し、lは正の整数を示す。)
で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を硬化することによって得られる樹脂を含有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の感光層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真感光体の感光層には、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機光導電性物質が広く用いられてきた。近年、安全性が高い、量産に適している、コストが安いなどの利点から、有機光導電性物質を電子写真感光体の感光層に用いる研究が盛んに行われ、数多くの感光体が提案され実用化されている。その中でも、電荷発生材料を含有する電荷発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層に機能分離させた積層型感光体が感度、耐久性等が優れているという点で研究の主流となっている。しかし、上記積層型感光体においても複写機やレーザービームプリンターで、帯電、露光、現像、転写、除電等の画像形成プロセスを繰り返すことによって、帯電電位の低下や残留電位の上昇が起こり画像にカブリやボケ等の欠陥が生じ、電気的耐久性が十分ではない。
【0003】
また、電子写真感光体の表面には、帯電手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段等により機械的な影響が直接に加えられるために、それらに対する機械的耐久性が要求される。
【0004】
具体的には、摺擦による感光体表面の摩耗や傷の発生、及び高湿下におけるコロナ帯電時に発生しやすいオゾンによる感光体表面の劣化などに対する耐久性が要求される。また、現像とクリーニングの繰り返しなどに起因した、感光体表面へのトナーの付着という問題もあり、これに対しては感光体表面のクリーニング性の向上が求められている。
【0005】
上記のような感光体表面に要求される様々な特性を満たすために感光層上に樹脂を主成分とする種々の表面保護層を設ける試みがなされている。例えば、特開昭57−30843号公報には、導電性粒子として金属酸化物粒子を添加することによって抵抗を制御した保護層が提案されている。
【0006】
また、表面層中に種々の物質を添加することで感光体表面の物性を改善することも検討されている。例えば、シリコーンの低表面エネルギーに注目した添加物としては、シリコーンオイル(特開昭61−132954)、ポリジメチルシロキサン、シリコーン樹脂粉体(特開平4−324454)、架橋シリコーン樹脂、ポリ(カーボネートーシリコン)ブロック共重合体、シリコーン変成ポリウレタン、シリコーン変成ポリエステルが報告されている。
【0007】
低表面エネルギーの代表的なポリマーとしてはフッ素系高分子があり、該フッ素系高分子としては、ポリテトラフルオロエチレン粉体、フッ化カーボン粉末等が挙げられる。
【0008】
しかしながら、金属酸化物等を含む表面保護層は高い硬度を有するものが得られるが、表面エネルギーは大きくなりやすいためにクリーニング性等に問題がある。シリコーン系樹脂は表面エネルギーが小さい点で優れているが他の樹脂に対して十分な相溶性を示さないため、添加系では凝集しやすく光散乱を生じたり、ブリードして表面に偏析するために安定した特性を示さない等の問題があった。また、低表面エネルギーのポリマーであるフッ素系高分子は一般に溶媒に不溶であり、分散性も不良であることから、平滑な感光体表面を得ることが困難であり、屈折率も小さいことから光散乱が生じやすく、それによる透明性の劣化を生じる問題点があった。また、フッ素系高分子は一般的に柔らかいために傷がつきやすい問題点があった。
【0009】
さらに、表面保護層や添加剤を用いることによって感度や残電等の電子写真特性が悪化する等の弊害があった。
【0010】
一方、電子写真用の光源としては、コスト、装置の大きさの点から半導体レーザーが用いられているが、現在主として用いられている半導体レーザーはその発振波長が赤〜近赤外領域にあるため、長波長の光に十分な感度を有する電子写真感光体の開発が進められてきた。フタロシアニン化合物はこうした長波長領域まで感度を有する電荷発生材料として極めて有効であり、特にオキシチタニルフタロシアニンは従来のフタロシアニン化合物に比べ優れた感度を有しており、これまでに特開昭61−217050号公報、特開昭61−239248号公報、特開昭62−67094号公報、特開昭63−218768号公報、特開昭64−17066号公報などに高感度な様々な結晶型のオキシチタニウムフタロシアニンが報告されている。
【0011】
オキシチタニウムフタロシアニンを用いた電子写真感光体は前途のように優れた感度特性を有している反面、残留電位が比較的高いという欠点を有している。このような特性においては電子写真のプロセス速度が速い、あるいはプロセスサイクルの短い系、さらにはレーザー露光を用いる場合のレーザースポットが小さい系などにおいて、電位コントラストがとりにくくなるという欠点を有する。また、例えばオキシチタニウムフタロシアニンを電荷発生層として積層型感光体を形成しようとする場合、中間層や、表面保護層などの処方設計ラチチュードが狭くなり好ましくない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記の問題点を解決することのできる、すなわち光散乱やブリードがなく、均一な状態の光導電層であって低表面エネルギーと機械的、電気的耐久性を両立した高感度かつ低残留電位の電子写真感光体、及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、支持体上に感光層を有する電子写真感光体において該電子写真感光体の感光層が硬化性有機ケイ素系高分子及び下記一般式(1)
【外3】
【0014】
(Aは窒素原子を2つ以上含有する正孔輸送性基を示し、Qは加水分解性基または水酸基を示し、R2は置換もしくは無置換の一価炭化水素基を示し、R3は置換もしくは無置換のアルキレン基またはアリーレン基を示し、mは1〜3の整数を示し、lは正の整数を示す。)
で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を硬化することによって得られる樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【0015】
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置である。
【0016】
【発明の実施の形態】
上記式(1)において、Qは加水分解性基または水酸基を示し、加水分解性基をしては、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエチル基等が挙げられ、より好ましくは−OR1で示される。R1は加水分解性基であるアルコキシ基あるいはアルコキシアルコキシ基を形成する基であり、炭素数が1〜6の整数であることが好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、メトキシエチル基等が挙げられる。Qとしては、式−OR1であるアルコキシ基が好ましい。一般にケイ素原子に結合している加水分解性基の数が1または2のときは有機ケイ素化合物自体での高分子化反応は抑制されるが、mが3のときは縮合反応が生じ易く高度に架橋反応を行うことが可能であることから、得られる重合体の硬度等の改善が期待できる。
【0017】
Rはアルキレン基またはアリーレン基を示し、炭素数が1〜18であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、シクロヘキシリデン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、更にはこれらが結合した基等が挙げられる。また、Rが有してもよい置換基としてはメチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基のアリール基、フッ素原子塩素原子等のハロゲン原子が挙げられる。これらの中ではRが式−(CH2)n−(nは正の整数)で示されることが好ましい。
【0018】
nは1〜18であることが更に好ましいが、必ずしも直鎖状である必要はない。nが19以上では電荷輸送性基Aが運動しやすいため硬度が低下し、ケイ素原子に直接電荷輸送性基が結合していると立体障害等で安定性、物性に悪影響を与え易い。nは好ましくは2〜8である。また、lは正の整数を示すが、1〜5であることが好ましい。lが6以上では加水分解、重縮合反応において未反応基が残りやすいため電子写真特性等が低下し易い。
【0019】
また、本発明における電荷輸送性とは電荷を輸送する能力のことである。イオン化ポテンシャルで6.2eV以下であることが好ましい。つまり、前記式(1)で示される有機ケイ素変性電荷輸送性化合物及びAの水素付加物は、イオン化ポテンシャルが6.2eV以下であることが好ましく、特には4.5〜6.2eVであることが好ましい。イオン化ポテンシャルが6.2eVを越えると正孔注入が起こりにくく帯電し易くなる。また、4.5eV未満では化合物が容易に酸化されるために劣化し易くなる。イオン化ポテンシャルは大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)によって測定される。
【0020】
また、上記有機ケイ素変成正孔輸送性化合物は正孔輸送能として1×10−7cm2/Vsec以上のドリフト移動度を有しているものが好ましい。1×10−7cm2/Vsec以下では電子写真感光体として露光後、現像までに正孔が十分に移動できないために見かけ上感度が低減し、残留電位も高くなってしまう問題が発生する場合がある。
【0021】
上記式(1)の正孔輸送性基Aとしては、窒素原子を2つ以上含有する正孔輸送性基を示し、さらに構造が下記式(2)で示されるものが好ましい。
【外4】
【0022】
(R4、R5、R6及びR7は有機基であり、そのうちの少なくとも1つは芳香族炭化水素環基または複素環基を示し、R4、R5、R6及びR7は同一であっても異なっていてもよい。R8は芳香族炭化水素環基をしめす。)
このように正孔輸送性基AはR4、R5、R6及びR7のうちのいくつかの基の水素原子が除かれて形成された基である。
【0023】
R4、R5、R6及びR7の構造の好ましい具体例を以下に示す。
【外5】
【0024】
【外6】
【0025】
R8の構造の好ましい具体例を以下に示す。
【外7】
【0026】
上記式(1)の有機ケイ素変成電荷輸送性化合物の合成方法としては、公知の方法、例えば、芳香族環にビニル基を有する化合物と置換基を有する水素化ケイ素化合物とから白金系触媒、或いは有機過酸化物等を触媒にヒドロシリル化反応を行うものが好適に用いられる。この場合に使用される白金触媒についてはとくに限定するものではなく、通常のヒドロシリル化反応、付加型シリコーンゴムに用いられている白金触媒であればよく、塩化白金、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−フォスフィン錯体等が挙げられる。白金触媒の添加量に関しては特に制限するものではないが、残留触媒が特性に悪影響を与えないようにできる限り少量で用いることが望ましい。芳香族環にビニル基を有する化合物と置換基を有する水素化ケイ素化合物とから白金系触媒等により、付加反応により本発明の化合物を合成する場合にはビニル基のα位と反応する場合とβ位と反応する場合があり、一般には混合物が生じる。本発明においてはα位、β位のどちらに反応したのものも用いられるが、ケイ素原子と電荷輸送性基を結合している炭化水素基の炭素数が少ない場合には立体障害からはβ位に反応したものが好ましい。
【0027】
有機過酸化物としては室温以上に半減期を示すものであればよく、特に、ラウリルパーオキシド等のアルキル過酸化物が水素引き抜きを起こしにくいことから好適に用いることができる。ビニル基を有しないものについては、芳香族環をホルミル化し、還元、脱水するか直接Witting反応によりビニル基を導入する方法等により、本発明の合成原料として用いることが可能である。
【0028】
上記樹脂の加水分解、重縮合には、必ずしも触媒が必要ではないが、通常ケイ素樹脂の加水分解、重縮合に用いられる触媒の使用を妨げるものではなく、加水分解、重縮合に要する時間、硬化温度等を考慮してジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オクトエート等のアルキル錫有機酸塩等もしくはノルマルブチルチタネート等の有機チタン酸エステルから適宜選択される。
【0029】
本発明においては、有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の重合時に3次元架橋構造が形成されることにより、各元素間の運動や外部からの化合物の侵入が困難になることから、硬度や機械的強度が増大し、耐摩耗性が向上するのみでなく、帯電時に発生するアーク放電等の電気的な障害や化学物質等に対する耐久性も向上させることが可能となる。
【0030】
次に、有機ケイ素系高分子について説明する。
【0031】
有機ケイ素系高分子としては、オルガノポリシロキサン、ポリシルアルキレンシロキサン、ポリシルアリーレンシロキサン等が例示される。また、ケイ素原子に結合した一価の炭素水素基とケイ素原子との数の比が0.5〜1.5であることが好ましい。この比が1.0を境にこれより低くなるに従いガラスの組成に近く、加熱重量減少が少なく生成する樹脂は硬くなる傾向があり、0.5未満では膜形成が困難である。また、この比が1.0より高くなるに従いこれとは逆の傾向を示し、オルガノポリシロキサンの場合は2.0でポリジオルガノシロキサンとなるため、1.5を越えるとゴム的要素が強くなりすぎ、硬度が低下する。
【0032】
オルガノポリシロキサンとしては、下記式(3)で示される構造単位を有する物が好ましい。
【0033】
R7 rSiO(4−r−s)/2(OR8)s (3)
(R7は直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アルケニル基またはアリール基を示し、R8は水素原子またはアルキル基を示し、r及びsはモル比を示す。)
前記式(3)において、R7はケイ素原子に結合した一価の炭化水素基であり、炭素数が1〜18であることが好ましく、直鎖あるいは分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、オクタデシル基等が挙げられ、アリール基としては例えばフェニル基、トリル基等が挙げられ、更には、例えばトリフルオロプロピル基、ヘプタフルオロペンチル基、ナノフルオロヘキシル基等で代表されるフロロ炭化水素基、クロロメチル基、クロロエチル基等のクロロ炭化水素基等、直鎖あるいは分岐の飽和炭化水素基ハロゲン置換体が挙げられる。
【0034】
R7は必ずしも単一の種類である必要はなく、樹脂特性の改良、溶媒に対する溶解性の改良等に応じて適宜選択される。メチル基とフェニル基が混在する系ではメチル基単独であるよりも一般に有機化合物との親和性が向上することは周知の事実である。また、フロロ炭化水素基を導入すると、オルガノポリシロキサンでも一般高分子の場合と同様にフッ素原子の効果により表面張力が減少し、そのため、撥水・撥油等のオルガノポリシロキサンの特性が変化する。本発明においても、より低い表面張力が求められる場合には、適宜、フロロ炭化水素と結合したケイ素単位を共重合して導入することができる。なおrはモル比を示し、平均0.5〜1.5であることが好ましい。
【0035】
本発明において、ケイ素原子に結合したOR8基は水酸基または加水分解縮合可能な基である。R8は、水素、及びメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基から選択される。OR8基におけるR8は水素からアルキル基の炭素数が多くなるにつれて反応性が低下する特性を示し、使用される反応系に応じて適宜選択される。加水分解縮合可能な基の比率はsによって示されるが、0.01以上であることが好ましい。樹脂の硬度が架橋密度で調整されることは周知であり、本発明においても前述のケイ素原子に結合した加水分解縮合可能な基の数を制御することにより可能となる。しかしながら、該加水分解縮合可能な基が多すぎると未反応で残存する可能性があり、使用環境中で加水分解されるために表面特性等に悪影響を与えやすい。好ましいsの値は0.01〜1.5である。
【0036】
ケイ素樹脂の一般的な特性の一つに有機化合物に対する親和性、溶解性が極めて悪いことがある。例えば、通常の有機樹脂で使用されている酸化防止剤、紫外線吸収剤等はジメチルシロキサンポリマーに全く溶解性を示さず樹脂中で凝集する。一般に用いられる電荷輸送性化合物もその例外ではなく、電荷輸送の目的に使用可能な濃度に溶解することは困難である。しかし、本発明の前記式(1)で示される電荷輸送性化合物と前記ケイ素系高分子、特にオルガノポリシロキサンは相溶性に優れ、機械的特性を大幅に改善することが可能にした。
【0037】
前記有機ケイ素系高分子は、硬化させる際に架橋剤を加えて、これを介して架橋されることもできる。
【0038】
更に、架橋剤として下記式(4)で示されるシラン化合物を用いることにより、硬化性組成物を硬化して得られる光導電層の硬度や強度等の物性の制御が容易になる。
【0039】
R9 aSiY4−a (4)
(R9は直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アルケニル基またはアリール基を示し、Yは加水分解性基を示し、aはモル比を示す。)
前記式(4)において、R9はケイ素原子に結合した一価の炭化水素基であり、炭素数が1〜18であることが好ましく、直鎖あるいは分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、ビニル基、アリル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。Yで示される加水分解性基をしては、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシ基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、等が挙げられる。
【0040】
上記樹脂の架橋硬化には、必ずしも触媒が必要ではないが、通常ケイ素樹脂の硬化に用いられる触媒の使用を妨げるものではなく、硬化に要する時間、硬化温度等を考慮してジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オクトエート等のアルキル錫有機酸塩等もしくはノルマルブチルチタネート等の有機チタン酸エステルから適宜選択される。
【0041】
架橋剤としての式(4)で示されるシラン化合物の具体例としてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、これらのアルコキシ基の代わりにアセトキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、イソプロペノキシ基に置換したシラン等が挙げられる。架橋剤はエチルポリシリケートのようなオリゴマー状のものでもよい。
【0042】
本発明で使用するオルガノポリシロキサンの製造方法としては、特公昭26−2696号、特公昭28−6297号に記載されている方法を始めとして、Chemistry and Technology of Silicones,Chapter5,p.191〜(Walter Noll, AcademicPress,Inc.1968)のシロキサンポリマー合成方法がある。例えば、ケイ素原子に対する一価の有機基の置換数rが平均0.5〜1.5であるオルガノアルコキシシラン、オルガノハロゲノシランを有機溶媒中に溶解し、酸或いは塩基存在化で加水分解、縮合することによって重合し、その後溶媒を除去することによって合成される。本発明で使用するオルガノポリシロキサンはトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサノン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、及びクロロホルム、クロロベンゼン等の含ハロゲン炭化水素、エタノール、ブタノール等のアルコールなどの溶媒中に溶解させて使用される。
【0043】
本発明においては、硬化性の有機ケイ素系高分子と、本発明の有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の硬化時に3次元架橋構造が形成されることにより、各元素間の運動や外部からの化合物の侵入が困難になることから、硬度や機械的強度が増大し、耐摩耗性が向上するのみでなく、帯電時に発生するアーク放電等の電気的な障害や化学物質等に対する耐久性も向上させることが可能となる。
【0044】
前記有機ケイ素系高分子と有機ケイ素変成電荷輸送性を硬化する前の溶液(本発明の硬化性組成物ともいう)は、例えば両者を溶解する溶媒中に混合することで得られる。有機ケイ素系高分子の溶媒を取り除いた固形分100重量部に対して有機ケイ素変成電荷輸送性化合物は20〜200重量部混合して用いられる。20重量部インタフェースかでは電荷輸送性が不十分となるために帯電電位が増加して好ましくない。また、200重量部以上では機械的強度が低下し、表面エネルギーが増加することから好ましくない。より好ましくは有機ケイ素系高分子100重量部に対して有機ケイ素変成電荷輸送性化合物は30〜150重量部で用いられる。
【0045】
本発明においては、前もってアルコキシシランなどの電荷輸送能を持たないケイ素系化合物と有機ケイ素変成電荷輸送性化合物を部分的に重合させても良い。この場合には感光体への塗布に支障のない溶液もしくは分散液であれば用いることができる。
【0046】
硬化の条件としては100〜200℃で加熱することが好ましい。100℃以下では硬化反応に時間がかかるため、未反応の加水分解性基が残存する可能性もある。200℃以上では電荷輸送性基が酸化劣化しやすくなり、悪影響が発生しやすい。より望ましくは、120〜160℃で加熱硬化して用いられる。
【0047】
本発明の正孔輸送能を有する硬化性組成物をもちいて電子写真感光体を製造する例を下記に示す。
【0048】
電子写真感光体の支持体(図1及び図2中の1)としては支持体自体が導電性を有するもの、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、チタン、ニッケル、マグネシウム、インジウム、金、白金、銀、鉄等を用いることが出来る。その他にアルミニウム、酸化インジウム、酸化スズ、金、等を蒸着等によりプラスチック等の誘電体基材に被膜形成し、導電層としたものや、導電性微粒子をプラスチックや紙に混合したもの等を用いることが出来る。これらの導電性基材は均一な導電性が求められるとともに平滑な表面が重要である。表面の平滑性はその上層に形成される下引層、電荷発生層、正孔輸送層の均一性に大きな影響を与えることから、その表面荒さは0.3μm以下で用いられることが好ましい。0.3μm以上の凹凸は下引層や電荷発生層のような薄い層に印加される局所電場を大きく変化させてしまうためにその特性が大きく変化してしまい電荷注入や残電のむら等の欠陥を生じ易いことから好ましくない。
【0049】
特に導電性微粒子をポリマーバインダー中に分散して塗布することにより得られる導電層は形成が容易であり、均質な表面を形成することに適している。このとき用いられる導電性微粒子の1次粒径は100nm以下であり、より好ましくは50nm以下のものが用いられる。導電性微粒子としては、導電性酸化亜鉛、導電性酸化チタン、Al、Au、Cu、Ag、Co、Ni、Fe、カーボンブラック、ITO、酸化スズ、酸化インジウム、インジウム、等が用いられ、これらを絶縁性微粒子の表面にコーティングして用いてもよい。前記導電性微粒子の含有量は体積抵抗が十分に低くなるように使用され、好ましくは1×1010Ωcm以下の抵抗となるように添加される。より好ましくは1×108Ωcm以下で用いられる。
【0050】
レーザー等のコヒーレントな光源を用いて露光する場合は干渉による画像劣化を防止するために上記導電性基材の表面に凹凸を形成することも可能である。このときは電荷注入や残留電位のむら等の欠陥が生じにくいように使用する波長の1/2λ程度の凹凸を数μm以下の直径のシリカビーズ等の絶縁物を分散することに10μm以下の周期で形成して用いることが可能である。
【0051】
本発明においては、基材と光導電層の中間に、注入阻止機能と接着機能をもつ下引層(図1及び2中の3)を設けることもできる。下引層の材料としてはカゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレンーアクリル酸コポリマー、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン、等が挙げられる。下引層の膜厚は0.1μm〜10μmであることが好ましく、特には0.3μm〜3μmであることが好ましい。
【0052】
感光層としては電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層からなる機能分離タイプのものや電荷発生物質と電荷輸送物質を同一の層に含有する単層タイプが用いられる。
【0053】
機能分離タイプの感光層について説明すると、感光層の構成としては、電荷発生層上に電荷輸送層を積層する構成と、電荷輸送層上に電荷発生層を積層する構成がある。
【0054】
電荷発生材料としては、例えば、セレンーテルル、ピリリウム系染料、チオピリリウム系染料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、ジベンズピレンキノン系顔料、ピラントロン系顔料、アゾ系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、シアニン系顔料等を用いることができる。これらの電荷発生材料のうち、本発明においては、特にアゾ顔料及びフタロシアニン顔料が適している。フタロシアニン顔料としては、無金属フタロシアニン、銅フタロシアニン、ガリウムフタロシアニン、オキシチタニウムフタロシアニン等が挙げられる。このうち特に長波長光に対して高感度を有するオキシチタニウムフタロシアニンが好ましく、例えば特開昭61−239248号公報、特開昭62−67094号公報、特開平3−128973号公報及び平3−200790号公報に開示がある。これらの中でも、特開平3−128973号公報に開示のCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)において、9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°に特徴的なピークを有する結晶形であるオキシチタニウムフタロシアニンがより好ましい。
【0055】
結着剤としては、広範な絶縁性樹脂から選択でき、例えばポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリアリレート、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、セルロース系樹脂等の樹脂が挙げられる。電荷発生層中に含有する樹脂は、80重量%以下、好ましくは50重量%以下が適している。電荷発生層の厚さは5μm以下、特に0.05〜2μmであることが好ましい。
【0056】
本発明の正孔輸送能を有する硬化性組成物の硬化物は電荷輸送層もしくは正孔輸送能を有する表面保護層として用いることが可能である。
【0057】
本発明における電荷輸送層の膜厚は1〜40μmであることが好ましく、特には3〜30μmであることが好ましい。本発明における表面保護層の厚みは、1〜15μmであることが好ましい。1μm以下では保護効果が十分ではなく、15μmを越えると感光層全体の膜厚が増加することにより、画像劣化が生じ易くなってしまうことから好ましくない。
【0058】
光導電層には前記化合物以外にも機械的特性の改良や耐久性向上のために添加剤を用いることができる。このような添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定化剤、架橋剤、潤滑剤、導電性制御剤等が用いられる。
【0059】
本発明においては、更に、露光手段が照射する光ビームのスポット面積と電子写真感光体が有する感光層の膜厚の積が2×104μm3以下であることが好ましい。また、この積は現像コントラストの大きさ(現像時の感光体上の電位差)の点で2×103μm3以上であることが好ましい。2×103μm3に満たないと十分な現像コントラストは得にくくなる傾向になる。
【0060】
この場合、本発明に用いられる露光方法は、光をドット状に照射することによって感光体上に静電潜像を形成する物である。その光源は特に制限されるものではないが、より小さなスポット面積をより容易に得ることができるという点でレーザー光及びLED光であることが好ましい。
【0061】
図3に光の強度分布、スポット径及びスポット面積(S)と感光層の厚さの積の関係を示す。光スポットは一般的には図3に示すように主走査スポット径(ab)と副走査スポット径(cd)を有する楕円形の形状を有しており、本発明におけるスポット面積と感光層の厚さの積は、該光スポットが感光層へ照射されている部分の体積(V)であるといえる。該光ビームのスポット面積はピーク強度の1/e2に減少するまでの部分で表わされる。
【0062】
該光のスポット面積(S)は感光層上の面積であり、光の強度がピーク強度(A)の1/e2(B)以上である部分の面積で表される。用いられる光源としては半導体レーザやLED等が挙げられ、光強度分布についてもガウス分布、ローレンツ分布等があるが、いずれの場合もピーク強度(A)1/e2(B)以上の強度の部分をスポット面積(S)とする。なお、スポット面積(S)は、感光体の位置にCCDカメラを設置することにより測定することができる。
【0063】
本発明における光のスポット面積は4×103μm2以下であることが好ましく、特には3×103μm2以下であることが好ましい。4×103μm2を越えると隣接画素の光と重複し易くなり、階調再現性が不安定となりやすい。また、コストの点から1×103μm2以上であることが好ましい。
【0064】
上記観点からは、本発明における感光層の厚さは12μm以下であることが好ましく、特には10μm以下であることが好ましい。
【0065】
図2に本発明のプロセスカートリッジを有する画像形成装置の第1の例の概略構成を示す。
【0066】
図において7はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸8を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体7は、回転過程において、一次帯電手段9によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、レーザービーム走査露光等の像露光手段(不図示)からの画像露光10を受ける。こうして感光体7の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0067】
形成された静電潜像は、現像手段11によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は不図示の給紙部から感光体7と転写手段12との間に感光体7の回転と同期取り出されて給紙された転写材13に、転写手段12により順次転写されていく。
【0068】
像転写を受けた転写材13は、感光体面から分離されて像定着手段14へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外にプリントアウトされる。
【0069】
像転写後の感光体7の表面は、クリーニング手段15によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光16により除電処理された後、繰り返し像形成に使用される。なお、一次帯電手段9が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0070】
本発明においては、上述の電子写真感光体7、一次帯電手段9、現像手段11及びクリーニング手段15等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、一次帯電手段7と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール18等の案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ17とすることができる。
【0071】
図3に本発明の画像形成装置の第2の例であるカラー複写機の概略構成を示す。
【0072】
図において201はイメージスキャナ部であり、原稿を読み取り、デジタル信号処理を行う部分である。また、202はプリンタ部であり、イメージスキャナ201に読み取られた原稿画像に対応した画像を用紙にフルカラーでプリント出力する部分である。
【0073】
イメージスキャナ部201において、200は原稿厚板であり、原稿台ガラス203上の原稿204は赤外カットフィルター208を通ったハロゲンランプ205の光で照射され、原稿204からの反射光はミラー206、207に導かれ、レンズ209により3本のCCDラインセンサ(CCD)210上に像を結び、フルカラー情報レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)成分として信号処理部211に送られる。なお、205、206は速度vで、207は1/2vでラインセンサの電気的走査方向(以下、主走査方向)に対して垂直方向(以下、副走査方向)に機械的に動くことにより、原稿全面を走査する。
【0074】
信号処理部211では読み取られた信号を電気的に処理し、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(BK)の各成分に分解し、プリンタ部200に送れ、計4回の原稿走査により一回プリントアウトが完成する。
【0075】
イメージスキャナ部201より送られてくるM,C,Y,BKの画像信号は、レーザドライバ212に送られる。レーザドライバ212は画像信号に応じ、半導体レーザ213を変調駆動する。レーザ光はポリゴンミラー214、f−θレンズ215、ミラー216を介し、感光体ドラム217上を走査する。
【0076】
218は回転現像機であり、マゼンタ現像器219、シアン現像器220、イエロー現像器221、ブラック現像器222より構成され、4つの現像器が交互に感光体ドラムに接し、感光体ドラム217上に形成されたM,C,Y及びBKの静電潜像を対応するトナーで現像する。
【0077】
223は転写ドラムで、用紙カセット224または225より給紙された用紙をこの転写ドラム223に巻付け、感光体ドラム217上に現像されたトナー像を用紙に転写する。
【0078】
このようにしてM,C,Y及びBKの4色が順次転写された後に、用紙は定着ユニット226を通過して定着後、排紙される。
【0079】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明する。本発明に用いられる硬化性有機ケイ素高分子は、例えば以下のようにして合成した。
【0080】
(合成例1)
メチルポリシロキサン樹脂を主成分とする硬化性樹脂溶液の調整
メチルシロキサン単位80モル%、ジメチルシロキサン単位20モル%からなる1wt%のシラノール基を含むシロキサン樹脂10gをトルエン10gに溶解し、これに、メチルトリ(メチルエチルケトキシム)シラン11.5g、ジブチル錫ジアセテート0.2gを加え均一な溶液にした。
【0081】
(合成例2)
メチルフェニルポリシロキサン樹脂を主成分とする硬化性樹脂溶液の調整
フェニルシロキサン単位40モル%、ジフェニルシロキサン単位20モル%、メチルシロキサン単位20モル%、ジメチルシロキサン単位20%からなる1wt%のシラノール基を含むシロキサン樹脂12gをトルエン10gに溶解しジブチル錫ジアセテート0.2gを加え均一な溶液にした。
【0082】
本発明に用いられる有機ケイ素変成電荷輸送性化合物は、例えば以下のようにして合成した。
【0083】
(合成例3)
2,7−ビス{4′−〔2−(トリエトキシシリル)エチル〕ジフェニルアミノ}−9,9ジメチルフルオレンの合成
トルエン40ml、トリエトキシシラン9.9g(60mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(O)のトルエン溶液0.018mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら2,7−ビス(4′−ビニルジフェニルアミノ)−9,9−ジメチルフルオレン16gのトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除き、淡黄色油状の2,7−ビス{4′−〔2−(トリエトキシシリル)エチル〕ジフェニルアミノ}−9,9−ジメチルフルオレンを得た。収量は21.8gであった。
【0084】
(合成例4)
N,N′−ビス{4−〔2−(メチルジメトキシシシリル)エチル〕フェニル}−N,N′−ビス−(フェニル)−ベンジジンの合成
トルエン40ml、メチルジメトキシシラン4.0g(38mmol)及びジクロロ(h−シクロオクタ−1,5−ジエン)白金(II)0.34mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらN,N′−ビス−4−(ビニルフェニル)−N,N′−ビス−(フェニル)−ベンジジン15.7gのトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状のN,N′−ビス{4−〔2−(メチルジメトキシシシリル)エチル〕フェニル}−N.N′−ビス−(フェニル)−ベンジジンを得た。収量は16.8gであった。
【0085】
(実施例1)
引き抜き加工により得られた外径30mmのアルミニウムシリンダー上に、フェノール樹脂(商品名 プライオーフェン、大日本インキ化学工業(株)製)167部をメチルセロソルブ100部に溶解したものへ導電性硫酸バリウム超微粒子(1次粒径50nm)200部及び平均粒径2μmのシリコーン樹脂粒子3部を分散したものを浸漬コーティング法により塗工し、乾燥後の膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0086】
上記導電層上にアルコール可溶性共重合ナイロン(商品名 アミランCM−8000、東レ(株)製)5部をメタノール95部に溶解した溶液を浸漬コーティング法により塗工した。80℃で10分間乾燥して、膜厚が0.5μmの下引層を形成した。
【0087】
次に、電荷発生層用分散液としてCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2゜)の9.0゜、14.2゜、23.9゜及び27.9゜に強いピークを有するオキシチタニルフタロシアニン顔料5部をシクロヘキサノン95部にポリビニルベンザール(ベンザール化度75%以上)2部を溶解した液に加え、サンドミルで2時間分散した。
【0088】
この分散液を先に形成した下引層の上に乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように浸漬コーティング法で塗工した。
【0089】
ついで、合成例3で合成した有機ケイ素変成トリアリールアミン化合物30部と合成例1のシリコーン系熱硬化樹脂10部をトルエン100部をトルエン100部に加え溶解したものを前記の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工した。120℃で3時間乾燥、熱硬化して電荷輸送層の膜厚12μmの透明で均一な電荷輸送層を作成した。
【0090】
この電子写真感光体を−500Vに帯電し、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定したところ、E1/2(−250Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.18J/cm2、残留電位が−20Vと非常に良好であった。
【0091】
本電子写真感光体をキヤノン製レーザービームプリンタLBP−8IVの改造機((1/e2)を副走査方向で63.5μm、主走査方向で20μmの照射スポット径となるように改造)を用い初期帯電−500Vに設定して画像評価を行ったところ、4000枚の耐久試験後においても画像の劣化がなく、600dpi相当の入力信号においてのハイライト部の1画素再現性も十分であった。
【0092】
(比較例1)
実施例1と同様にして、電荷発生層まで形成した。次いで、下記のトリアリールアミン化合物6部と、
【外8】
【0093】
ポリカーボネート樹脂(商品名Z−200、三菱瓦斯化学(株)製)6部をクロロベンゼン70部に溶解した電荷輸送層用の液を実施例2の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工することによって、乾燥後の膜厚が12μmの電荷輸送層を形成した。この電子写真感光体を−500Vに帯電し、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定したところ、E1/2(−250Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.32J/cm2、残留電位が−96Vと大きかった。
【0094】
本電子写真感光体をキヤノン製レーザービームプリンタLBP−8IVの改造機((1/e2)を副走査方向で63.5μm、主走査方向で20μmの照射スポット径となるように改造)を用い初期帯電−500Vに設定して画像評価を行ったところ、5000枚の耐久試験後は干渉縞及び黒ポチが認められ、600dpi相当の入力信号においてのハイライト部の1画素再現性も不十分でむらがあった。
【0095】
(実施例2)
実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、フェノール樹脂(商品名 プライオーフェン、大日本インキ化学工業(株)製)167部をメチルセロソルブ100部に溶解したものへ導電性硫酸バリウム超微粒子(1次粒径50nm)200部を分散したものを浸漬コーティング法により、乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗工した。この導電性支持体に実施例2と同様にして膜厚1μmの下引層及び膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0096】
ついで、合成例4で合成した有機ケイ素変成トリアリールアミン化合物30部と合成例2のシリコーン系熱硬化樹脂10部をトルエン100部に加え溶解したものを前記の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工した。120℃で3時間乾燥、熱硬化して電荷輸送層の膜厚12μmの透明で均一な電荷輸送層を作成した。
【0097】
この電子写真感光体を−500Vに帯電し、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定したところ、E1/2(−250Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.17J/cm2、残留電位−18Vと非常に良好であった。
【0098】
本電子写真感光体を実施例2と同様のキヤノン製レーザービームプリンタを用い初期帯電−500Vに設定して画像評価を行ったところ、5000枚の耐久試験後においても画像の劣化がなく、600dpi相当の入力信号においてのハイライト部の1画素再現性も十分であった。
【0099】
(実施例3)
外径80mmのアルミニウムシリンダー上に、10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉末50部、フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ30部、メタノール30部及びシリコーンオイル(ポリメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、重量平均分子量3000)0.002部を1φmmガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して調整した導電層用塗料を浸漬塗布し、140℃で30分間乾燥して膜厚20μmの導電層を形成した。
【0100】
次に、アルコール可溶性共重合ナイロン(商品名 アミランCM−8000、東レ(株)製)5部をメタノール95部に溶解した溶液を浸漬コーティング法により塗工した。80℃で10分間乾燥して、膜厚が1μmの下引層を形成した。
【0101】
次に、電荷発生層として下記のビスアゾ顔料5部をシクロヘキサノン95部にポリビニルベンザール(ベンザール化度75%以上)2部を溶解した液に加え、サンドミルで20時間分散した。この分散液を先に形成した下引層の上に乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように浸漬コーティング法で塗工した。
【外9】
【0102】
ついで、合成例3で合成した有機ケイ素変成トリアリールアミン化合物30部と合成例1のシリコーン系熱硬化樹脂10部をトルエン100部に加え溶解したものを前記の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工した。150℃で3時間乾燥、熱硬化して電荷輸送層の膜厚12μmの透明で均一な電荷輸送層を作成した。
【0103】
この電子写真感光体を−500Vに帯電し、波長680nmの光で電子写真特性を測定したところ、E1/2(−250Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.6J/cm2、残留電位が−12Vと非常に良好であった。
【0104】
本電子写真感光体をキヤノン製デジタルフルカラー複写機CLC−500を副走査方向で63.5μm、主走査方向で20μmの照射スポット径となるように改造した評価機にて初期帯電−500Vに設定して画像評価を行ったところ、初期及び10万枚耐久試験後も黒ポチ等の電荷注入及び干渉縞もなく、均一性の優れた画像出力が得られ、階調再現性も400dpiで256階調ときわめて良好であった。
【0105】
(比較例2)
実施例3と同様にして、電荷発生層まで形成した。
【0106】
次いで、下記のトリアリールアミン化合物6部と、
【外10】
【0107】
ポリカーボネート樹脂(商品名Z−200、三菱瓦斯化学(株)製)6部をクロロベンゼン70部に溶解した電荷輸送層用の液を実施例2の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工することによって、乾燥後の膜厚が12μmの電荷輸送層を形成した。この電子写真感光体を−500Vに帯電し、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定したところ、E1/2(−250Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が1.5J/cm2、残留電位が−48Vと大きかった。
【0108】
本電子写真感光体を実施例3と同様に画像評価したところ、2万枚の耐久試験後に黒ポチ等が大量に発生したために良好な画像は得られなかった。
【0109】
(実施例4)
実施例2と同様にして、電荷発生層まで形成した。
【0110】
ついで、合成例3で合成した有機ケイ素変成トリアリールアミン化合物30部と合成例1のシリコーン系熱硬化樹脂10部をトルエン100部に加え溶解したものを前記の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工した。150℃で3時間乾燥、熱硬化して電荷輸送層の膜厚12μmの透明で均一な電荷輸送層を作成した。
【0111】
この電子写真感光体を−500Vに帯電し、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定したところ、E1/2(−250Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.55J/cm2、残留電位−10Vと非常に良好であった。
【0112】
本電子写真感光体をキヤノン製デジタルフルカラー複写機CLC−500を副走査方向で63.5μm、主走査方向で20μmの照射スポット径となるように改造した評価機にて初期帯電−500Vに設定して画像評価を行ったところ、初期及び10万枚耐久試験後も黒ポチ等の電荷注入及び干渉縞もなく、均一性の優れた画像出力が得られ、階調再現性も400dpiで256階調ときわめて良好であった。
【0113】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、光散乱やブリードがなく、均一な状態の光導電層であって低表面エネルギーと機械的、電気的耐久性を両立した高感度かつ低残留電位の電子写真感光体、及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】光の強度分布、スポット径及び光のスポット面積と感光層の厚さの積の関係を示す図である。
【図2】本発明の画像形成装置の第1の例の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の画像形成装置の第2の例の概略構成を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の感光層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真感光体の感光層には、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機光導電性物質が広く用いられてきた。近年、安全性が高い、量産に適している、コストが安いなどの利点から、有機光導電性物質を電子写真感光体の感光層に用いる研究が盛んに行われ、数多くの感光体が提案され実用化されている。その中でも、電荷発生材料を含有する電荷発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層に機能分離させた積層型感光体が感度、耐久性等が優れているという点で研究の主流となっている。しかし、上記積層型感光体においても複写機やレーザービームプリンターで、帯電、露光、現像、転写、除電等の画像形成プロセスを繰り返すことによって、帯電電位の低下や残留電位の上昇が起こり画像にカブリやボケ等の欠陥が生じ、電気的耐久性が十分ではない。
【0003】
また、電子写真感光体の表面には、帯電手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段等により機械的な影響が直接に加えられるために、それらに対する機械的耐久性が要求される。
【0004】
具体的には、摺擦による感光体表面の摩耗や傷の発生、及び高湿下におけるコロナ帯電時に発生しやすいオゾンによる感光体表面の劣化などに対する耐久性が要求される。また、現像とクリーニングの繰り返しなどに起因した、感光体表面へのトナーの付着という問題もあり、これに対しては感光体表面のクリーニング性の向上が求められている。
【0005】
上記のような感光体表面に要求される様々な特性を満たすために感光層上に樹脂を主成分とする種々の表面保護層を設ける試みがなされている。例えば、特開昭57−30843号公報には、導電性粒子として金属酸化物粒子を添加することによって抵抗を制御した保護層が提案されている。
【0006】
また、表面層中に種々の物質を添加することで感光体表面の物性を改善することも検討されている。例えば、シリコーンの低表面エネルギーに注目した添加物としては、シリコーンオイル(特開昭61−132954)、ポリジメチルシロキサン、シリコーン樹脂粉体(特開平4−324454)、架橋シリコーン樹脂、ポリ(カーボネートーシリコン)ブロック共重合体、シリコーン変成ポリウレタン、シリコーン変成ポリエステルが報告されている。
【0007】
低表面エネルギーの代表的なポリマーとしてはフッ素系高分子があり、該フッ素系高分子としては、ポリテトラフルオロエチレン粉体、フッ化カーボン粉末等が挙げられる。
【0008】
しかしながら、金属酸化物等を含む表面保護層は高い硬度を有するものが得られるが、表面エネルギーは大きくなりやすいためにクリーニング性等に問題がある。シリコーン系樹脂は表面エネルギーが小さい点で優れているが他の樹脂に対して十分な相溶性を示さないため、添加系では凝集しやすく光散乱を生じたり、ブリードして表面に偏析するために安定した特性を示さない等の問題があった。また、低表面エネルギーのポリマーであるフッ素系高分子は一般に溶媒に不溶であり、分散性も不良であることから、平滑な感光体表面を得ることが困難であり、屈折率も小さいことから光散乱が生じやすく、それによる透明性の劣化を生じる問題点があった。また、フッ素系高分子は一般的に柔らかいために傷がつきやすい問題点があった。
【0009】
さらに、表面保護層や添加剤を用いることによって感度や残電等の電子写真特性が悪化する等の弊害があった。
【0010】
一方、電子写真用の光源としては、コスト、装置の大きさの点から半導体レーザーが用いられているが、現在主として用いられている半導体レーザーはその発振波長が赤〜近赤外領域にあるため、長波長の光に十分な感度を有する電子写真感光体の開発が進められてきた。フタロシアニン化合物はこうした長波長領域まで感度を有する電荷発生材料として極めて有効であり、特にオキシチタニルフタロシアニンは従来のフタロシアニン化合物に比べ優れた感度を有しており、これまでに特開昭61−217050号公報、特開昭61−239248号公報、特開昭62−67094号公報、特開昭63−218768号公報、特開昭64−17066号公報などに高感度な様々な結晶型のオキシチタニウムフタロシアニンが報告されている。
【0011】
オキシチタニウムフタロシアニンを用いた電子写真感光体は前途のように優れた感度特性を有している反面、残留電位が比較的高いという欠点を有している。このような特性においては電子写真のプロセス速度が速い、あるいはプロセスサイクルの短い系、さらにはレーザー露光を用いる場合のレーザースポットが小さい系などにおいて、電位コントラストがとりにくくなるという欠点を有する。また、例えばオキシチタニウムフタロシアニンを電荷発生層として積層型感光体を形成しようとする場合、中間層や、表面保護層などの処方設計ラチチュードが狭くなり好ましくない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記の問題点を解決することのできる、すなわち光散乱やブリードがなく、均一な状態の光導電層であって低表面エネルギーと機械的、電気的耐久性を両立した高感度かつ低残留電位の電子写真感光体、及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、支持体上に感光層を有する電子写真感光体において該電子写真感光体の感光層が硬化性有機ケイ素系高分子及び下記一般式(1)
【外3】
【0014】
(Aは窒素原子を2つ以上含有する正孔輸送性基を示し、Qは加水分解性基または水酸基を示し、R2は置換もしくは無置換の一価炭化水素基を示し、R3は置換もしくは無置換のアルキレン基またはアリーレン基を示し、mは1〜3の整数を示し、lは正の整数を示す。)
で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を硬化することによって得られる樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【0015】
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置である。
【0016】
【発明の実施の形態】
上記式(1)において、Qは加水分解性基または水酸基を示し、加水分解性基をしては、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエチル基等が挙げられ、より好ましくは−OR1で示される。R1は加水分解性基であるアルコキシ基あるいはアルコキシアルコキシ基を形成する基であり、炭素数が1〜6の整数であることが好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、メトキシエチル基等が挙げられる。Qとしては、式−OR1であるアルコキシ基が好ましい。一般にケイ素原子に結合している加水分解性基の数が1または2のときは有機ケイ素化合物自体での高分子化反応は抑制されるが、mが3のときは縮合反応が生じ易く高度に架橋反応を行うことが可能であることから、得られる重合体の硬度等の改善が期待できる。
【0017】
Rはアルキレン基またはアリーレン基を示し、炭素数が1〜18であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、シクロヘキシリデン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、更にはこれらが結合した基等が挙げられる。また、Rが有してもよい置換基としてはメチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基のアリール基、フッ素原子塩素原子等のハロゲン原子が挙げられる。これらの中ではRが式−(CH2)n−(nは正の整数)で示されることが好ましい。
【0018】
nは1〜18であることが更に好ましいが、必ずしも直鎖状である必要はない。nが19以上では電荷輸送性基Aが運動しやすいため硬度が低下し、ケイ素原子に直接電荷輸送性基が結合していると立体障害等で安定性、物性に悪影響を与え易い。nは好ましくは2〜8である。また、lは正の整数を示すが、1〜5であることが好ましい。lが6以上では加水分解、重縮合反応において未反応基が残りやすいため電子写真特性等が低下し易い。
【0019】
また、本発明における電荷輸送性とは電荷を輸送する能力のことである。イオン化ポテンシャルで6.2eV以下であることが好ましい。つまり、前記式(1)で示される有機ケイ素変性電荷輸送性化合物及びAの水素付加物は、イオン化ポテンシャルが6.2eV以下であることが好ましく、特には4.5〜6.2eVであることが好ましい。イオン化ポテンシャルが6.2eVを越えると正孔注入が起こりにくく帯電し易くなる。また、4.5eV未満では化合物が容易に酸化されるために劣化し易くなる。イオン化ポテンシャルは大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)によって測定される。
【0020】
また、上記有機ケイ素変成正孔輸送性化合物は正孔輸送能として1×10−7cm2/Vsec以上のドリフト移動度を有しているものが好ましい。1×10−7cm2/Vsec以下では電子写真感光体として露光後、現像までに正孔が十分に移動できないために見かけ上感度が低減し、残留電位も高くなってしまう問題が発生する場合がある。
【0021】
上記式(1)の正孔輸送性基Aとしては、窒素原子を2つ以上含有する正孔輸送性基を示し、さらに構造が下記式(2)で示されるものが好ましい。
【外4】
【0022】
(R4、R5、R6及びR7は有機基であり、そのうちの少なくとも1つは芳香族炭化水素環基または複素環基を示し、R4、R5、R6及びR7は同一であっても異なっていてもよい。R8は芳香族炭化水素環基をしめす。)
このように正孔輸送性基AはR4、R5、R6及びR7のうちのいくつかの基の水素原子が除かれて形成された基である。
【0023】
R4、R5、R6及びR7の構造の好ましい具体例を以下に示す。
【外5】
【0024】
【外6】
【0025】
R8の構造の好ましい具体例を以下に示す。
【外7】
【0026】
上記式(1)の有機ケイ素変成電荷輸送性化合物の合成方法としては、公知の方法、例えば、芳香族環にビニル基を有する化合物と置換基を有する水素化ケイ素化合物とから白金系触媒、或いは有機過酸化物等を触媒にヒドロシリル化反応を行うものが好適に用いられる。この場合に使用される白金触媒についてはとくに限定するものではなく、通常のヒドロシリル化反応、付加型シリコーンゴムに用いられている白金触媒であればよく、塩化白金、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−フォスフィン錯体等が挙げられる。白金触媒の添加量に関しては特に制限するものではないが、残留触媒が特性に悪影響を与えないようにできる限り少量で用いることが望ましい。芳香族環にビニル基を有する化合物と置換基を有する水素化ケイ素化合物とから白金系触媒等により、付加反応により本発明の化合物を合成する場合にはビニル基のα位と反応する場合とβ位と反応する場合があり、一般には混合物が生じる。本発明においてはα位、β位のどちらに反応したのものも用いられるが、ケイ素原子と電荷輸送性基を結合している炭化水素基の炭素数が少ない場合には立体障害からはβ位に反応したものが好ましい。
【0027】
有機過酸化物としては室温以上に半減期を示すものであればよく、特に、ラウリルパーオキシド等のアルキル過酸化物が水素引き抜きを起こしにくいことから好適に用いることができる。ビニル基を有しないものについては、芳香族環をホルミル化し、還元、脱水するか直接Witting反応によりビニル基を導入する方法等により、本発明の合成原料として用いることが可能である。
【0028】
上記樹脂の加水分解、重縮合には、必ずしも触媒が必要ではないが、通常ケイ素樹脂の加水分解、重縮合に用いられる触媒の使用を妨げるものではなく、加水分解、重縮合に要する時間、硬化温度等を考慮してジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オクトエート等のアルキル錫有機酸塩等もしくはノルマルブチルチタネート等の有機チタン酸エステルから適宜選択される。
【0029】
本発明においては、有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の重合時に3次元架橋構造が形成されることにより、各元素間の運動や外部からの化合物の侵入が困難になることから、硬度や機械的強度が増大し、耐摩耗性が向上するのみでなく、帯電時に発生するアーク放電等の電気的な障害や化学物質等に対する耐久性も向上させることが可能となる。
【0030】
次に、有機ケイ素系高分子について説明する。
【0031】
有機ケイ素系高分子としては、オルガノポリシロキサン、ポリシルアルキレンシロキサン、ポリシルアリーレンシロキサン等が例示される。また、ケイ素原子に結合した一価の炭素水素基とケイ素原子との数の比が0.5〜1.5であることが好ましい。この比が1.0を境にこれより低くなるに従いガラスの組成に近く、加熱重量減少が少なく生成する樹脂は硬くなる傾向があり、0.5未満では膜形成が困難である。また、この比が1.0より高くなるに従いこれとは逆の傾向を示し、オルガノポリシロキサンの場合は2.0でポリジオルガノシロキサンとなるため、1.5を越えるとゴム的要素が強くなりすぎ、硬度が低下する。
【0032】
オルガノポリシロキサンとしては、下記式(3)で示される構造単位を有する物が好ましい。
【0033】
R7 rSiO(4−r−s)/2(OR8)s (3)
(R7は直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アルケニル基またはアリール基を示し、R8は水素原子またはアルキル基を示し、r及びsはモル比を示す。)
前記式(3)において、R7はケイ素原子に結合した一価の炭化水素基であり、炭素数が1〜18であることが好ましく、直鎖あるいは分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、オクタデシル基等が挙げられ、アリール基としては例えばフェニル基、トリル基等が挙げられ、更には、例えばトリフルオロプロピル基、ヘプタフルオロペンチル基、ナノフルオロヘキシル基等で代表されるフロロ炭化水素基、クロロメチル基、クロロエチル基等のクロロ炭化水素基等、直鎖あるいは分岐の飽和炭化水素基ハロゲン置換体が挙げられる。
【0034】
R7は必ずしも単一の種類である必要はなく、樹脂特性の改良、溶媒に対する溶解性の改良等に応じて適宜選択される。メチル基とフェニル基が混在する系ではメチル基単独であるよりも一般に有機化合物との親和性が向上することは周知の事実である。また、フロロ炭化水素基を導入すると、オルガノポリシロキサンでも一般高分子の場合と同様にフッ素原子の効果により表面張力が減少し、そのため、撥水・撥油等のオルガノポリシロキサンの特性が変化する。本発明においても、より低い表面張力が求められる場合には、適宜、フロロ炭化水素と結合したケイ素単位を共重合して導入することができる。なおrはモル比を示し、平均0.5〜1.5であることが好ましい。
【0035】
本発明において、ケイ素原子に結合したOR8基は水酸基または加水分解縮合可能な基である。R8は、水素、及びメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基から選択される。OR8基におけるR8は水素からアルキル基の炭素数が多くなるにつれて反応性が低下する特性を示し、使用される反応系に応じて適宜選択される。加水分解縮合可能な基の比率はsによって示されるが、0.01以上であることが好ましい。樹脂の硬度が架橋密度で調整されることは周知であり、本発明においても前述のケイ素原子に結合した加水分解縮合可能な基の数を制御することにより可能となる。しかしながら、該加水分解縮合可能な基が多すぎると未反応で残存する可能性があり、使用環境中で加水分解されるために表面特性等に悪影響を与えやすい。好ましいsの値は0.01〜1.5である。
【0036】
ケイ素樹脂の一般的な特性の一つに有機化合物に対する親和性、溶解性が極めて悪いことがある。例えば、通常の有機樹脂で使用されている酸化防止剤、紫外線吸収剤等はジメチルシロキサンポリマーに全く溶解性を示さず樹脂中で凝集する。一般に用いられる電荷輸送性化合物もその例外ではなく、電荷輸送の目的に使用可能な濃度に溶解することは困難である。しかし、本発明の前記式(1)で示される電荷輸送性化合物と前記ケイ素系高分子、特にオルガノポリシロキサンは相溶性に優れ、機械的特性を大幅に改善することが可能にした。
【0037】
前記有機ケイ素系高分子は、硬化させる際に架橋剤を加えて、これを介して架橋されることもできる。
【0038】
更に、架橋剤として下記式(4)で示されるシラン化合物を用いることにより、硬化性組成物を硬化して得られる光導電層の硬度や強度等の物性の制御が容易になる。
【0039】
R9 aSiY4−a (4)
(R9は直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アルケニル基またはアリール基を示し、Yは加水分解性基を示し、aはモル比を示す。)
前記式(4)において、R9はケイ素原子に結合した一価の炭化水素基であり、炭素数が1〜18であることが好ましく、直鎖あるいは分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、ビニル基、アリル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。Yで示される加水分解性基をしては、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシ基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、等が挙げられる。
【0040】
上記樹脂の架橋硬化には、必ずしも触媒が必要ではないが、通常ケイ素樹脂の硬化に用いられる触媒の使用を妨げるものではなく、硬化に要する時間、硬化温度等を考慮してジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オクトエート等のアルキル錫有機酸塩等もしくはノルマルブチルチタネート等の有機チタン酸エステルから適宜選択される。
【0041】
架橋剤としての式(4)で示されるシラン化合物の具体例としてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、これらのアルコキシ基の代わりにアセトキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、イソプロペノキシ基に置換したシラン等が挙げられる。架橋剤はエチルポリシリケートのようなオリゴマー状のものでもよい。
【0042】
本発明で使用するオルガノポリシロキサンの製造方法としては、特公昭26−2696号、特公昭28−6297号に記載されている方法を始めとして、Chemistry and Technology of Silicones,Chapter5,p.191〜(Walter Noll, AcademicPress,Inc.1968)のシロキサンポリマー合成方法がある。例えば、ケイ素原子に対する一価の有機基の置換数rが平均0.5〜1.5であるオルガノアルコキシシラン、オルガノハロゲノシランを有機溶媒中に溶解し、酸或いは塩基存在化で加水分解、縮合することによって重合し、その後溶媒を除去することによって合成される。本発明で使用するオルガノポリシロキサンはトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサノン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、及びクロロホルム、クロロベンゼン等の含ハロゲン炭化水素、エタノール、ブタノール等のアルコールなどの溶媒中に溶解させて使用される。
【0043】
本発明においては、硬化性の有機ケイ素系高分子と、本発明の有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の硬化時に3次元架橋構造が形成されることにより、各元素間の運動や外部からの化合物の侵入が困難になることから、硬度や機械的強度が増大し、耐摩耗性が向上するのみでなく、帯電時に発生するアーク放電等の電気的な障害や化学物質等に対する耐久性も向上させることが可能となる。
【0044】
前記有機ケイ素系高分子と有機ケイ素変成電荷輸送性を硬化する前の溶液(本発明の硬化性組成物ともいう)は、例えば両者を溶解する溶媒中に混合することで得られる。有機ケイ素系高分子の溶媒を取り除いた固形分100重量部に対して有機ケイ素変成電荷輸送性化合物は20〜200重量部混合して用いられる。20重量部インタフェースかでは電荷輸送性が不十分となるために帯電電位が増加して好ましくない。また、200重量部以上では機械的強度が低下し、表面エネルギーが増加することから好ましくない。より好ましくは有機ケイ素系高分子100重量部に対して有機ケイ素変成電荷輸送性化合物は30〜150重量部で用いられる。
【0045】
本発明においては、前もってアルコキシシランなどの電荷輸送能を持たないケイ素系化合物と有機ケイ素変成電荷輸送性化合物を部分的に重合させても良い。この場合には感光体への塗布に支障のない溶液もしくは分散液であれば用いることができる。
【0046】
硬化の条件としては100〜200℃で加熱することが好ましい。100℃以下では硬化反応に時間がかかるため、未反応の加水分解性基が残存する可能性もある。200℃以上では電荷輸送性基が酸化劣化しやすくなり、悪影響が発生しやすい。より望ましくは、120〜160℃で加熱硬化して用いられる。
【0047】
本発明の正孔輸送能を有する硬化性組成物をもちいて電子写真感光体を製造する例を下記に示す。
【0048】
電子写真感光体の支持体(図1及び図2中の1)としては支持体自体が導電性を有するもの、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、チタン、ニッケル、マグネシウム、インジウム、金、白金、銀、鉄等を用いることが出来る。その他にアルミニウム、酸化インジウム、酸化スズ、金、等を蒸着等によりプラスチック等の誘電体基材に被膜形成し、導電層としたものや、導電性微粒子をプラスチックや紙に混合したもの等を用いることが出来る。これらの導電性基材は均一な導電性が求められるとともに平滑な表面が重要である。表面の平滑性はその上層に形成される下引層、電荷発生層、正孔輸送層の均一性に大きな影響を与えることから、その表面荒さは0.3μm以下で用いられることが好ましい。0.3μm以上の凹凸は下引層や電荷発生層のような薄い層に印加される局所電場を大きく変化させてしまうためにその特性が大きく変化してしまい電荷注入や残電のむら等の欠陥を生じ易いことから好ましくない。
【0049】
特に導電性微粒子をポリマーバインダー中に分散して塗布することにより得られる導電層は形成が容易であり、均質な表面を形成することに適している。このとき用いられる導電性微粒子の1次粒径は100nm以下であり、より好ましくは50nm以下のものが用いられる。導電性微粒子としては、導電性酸化亜鉛、導電性酸化チタン、Al、Au、Cu、Ag、Co、Ni、Fe、カーボンブラック、ITO、酸化スズ、酸化インジウム、インジウム、等が用いられ、これらを絶縁性微粒子の表面にコーティングして用いてもよい。前記導電性微粒子の含有量は体積抵抗が十分に低くなるように使用され、好ましくは1×1010Ωcm以下の抵抗となるように添加される。より好ましくは1×108Ωcm以下で用いられる。
【0050】
レーザー等のコヒーレントな光源を用いて露光する場合は干渉による画像劣化を防止するために上記導電性基材の表面に凹凸を形成することも可能である。このときは電荷注入や残留電位のむら等の欠陥が生じにくいように使用する波長の1/2λ程度の凹凸を数μm以下の直径のシリカビーズ等の絶縁物を分散することに10μm以下の周期で形成して用いることが可能である。
【0051】
本発明においては、基材と光導電層の中間に、注入阻止機能と接着機能をもつ下引層(図1及び2中の3)を設けることもできる。下引層の材料としてはカゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレンーアクリル酸コポリマー、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン、等が挙げられる。下引層の膜厚は0.1μm〜10μmであることが好ましく、特には0.3μm〜3μmであることが好ましい。
【0052】
感光層としては電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層からなる機能分離タイプのものや電荷発生物質と電荷輸送物質を同一の層に含有する単層タイプが用いられる。
【0053】
機能分離タイプの感光層について説明すると、感光層の構成としては、電荷発生層上に電荷輸送層を積層する構成と、電荷輸送層上に電荷発生層を積層する構成がある。
【0054】
電荷発生材料としては、例えば、セレンーテルル、ピリリウム系染料、チオピリリウム系染料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、ジベンズピレンキノン系顔料、ピラントロン系顔料、アゾ系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、シアニン系顔料等を用いることができる。これらの電荷発生材料のうち、本発明においては、特にアゾ顔料及びフタロシアニン顔料が適している。フタロシアニン顔料としては、無金属フタロシアニン、銅フタロシアニン、ガリウムフタロシアニン、オキシチタニウムフタロシアニン等が挙げられる。このうち特に長波長光に対して高感度を有するオキシチタニウムフタロシアニンが好ましく、例えば特開昭61−239248号公報、特開昭62−67094号公報、特開平3−128973号公報及び平3−200790号公報に開示がある。これらの中でも、特開平3−128973号公報に開示のCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)において、9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°に特徴的なピークを有する結晶形であるオキシチタニウムフタロシアニンがより好ましい。
【0055】
結着剤としては、広範な絶縁性樹脂から選択でき、例えばポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリアリレート、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、セルロース系樹脂等の樹脂が挙げられる。電荷発生層中に含有する樹脂は、80重量%以下、好ましくは50重量%以下が適している。電荷発生層の厚さは5μm以下、特に0.05〜2μmであることが好ましい。
【0056】
本発明の正孔輸送能を有する硬化性組成物の硬化物は電荷輸送層もしくは正孔輸送能を有する表面保護層として用いることが可能である。
【0057】
本発明における電荷輸送層の膜厚は1〜40μmであることが好ましく、特には3〜30μmであることが好ましい。本発明における表面保護層の厚みは、1〜15μmであることが好ましい。1μm以下では保護効果が十分ではなく、15μmを越えると感光層全体の膜厚が増加することにより、画像劣化が生じ易くなってしまうことから好ましくない。
【0058】
光導電層には前記化合物以外にも機械的特性の改良や耐久性向上のために添加剤を用いることができる。このような添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定化剤、架橋剤、潤滑剤、導電性制御剤等が用いられる。
【0059】
本発明においては、更に、露光手段が照射する光ビームのスポット面積と電子写真感光体が有する感光層の膜厚の積が2×104μm3以下であることが好ましい。また、この積は現像コントラストの大きさ(現像時の感光体上の電位差)の点で2×103μm3以上であることが好ましい。2×103μm3に満たないと十分な現像コントラストは得にくくなる傾向になる。
【0060】
この場合、本発明に用いられる露光方法は、光をドット状に照射することによって感光体上に静電潜像を形成する物である。その光源は特に制限されるものではないが、より小さなスポット面積をより容易に得ることができるという点でレーザー光及びLED光であることが好ましい。
【0061】
図3に光の強度分布、スポット径及びスポット面積(S)と感光層の厚さの積の関係を示す。光スポットは一般的には図3に示すように主走査スポット径(ab)と副走査スポット径(cd)を有する楕円形の形状を有しており、本発明におけるスポット面積と感光層の厚さの積は、該光スポットが感光層へ照射されている部分の体積(V)であるといえる。該光ビームのスポット面積はピーク強度の1/e2に減少するまでの部分で表わされる。
【0062】
該光のスポット面積(S)は感光層上の面積であり、光の強度がピーク強度(A)の1/e2(B)以上である部分の面積で表される。用いられる光源としては半導体レーザやLED等が挙げられ、光強度分布についてもガウス分布、ローレンツ分布等があるが、いずれの場合もピーク強度(A)1/e2(B)以上の強度の部分をスポット面積(S)とする。なお、スポット面積(S)は、感光体の位置にCCDカメラを設置することにより測定することができる。
【0063】
本発明における光のスポット面積は4×103μm2以下であることが好ましく、特には3×103μm2以下であることが好ましい。4×103μm2を越えると隣接画素の光と重複し易くなり、階調再現性が不安定となりやすい。また、コストの点から1×103μm2以上であることが好ましい。
【0064】
上記観点からは、本発明における感光層の厚さは12μm以下であることが好ましく、特には10μm以下であることが好ましい。
【0065】
図2に本発明のプロセスカートリッジを有する画像形成装置の第1の例の概略構成を示す。
【0066】
図において7はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸8を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体7は、回転過程において、一次帯電手段9によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、レーザービーム走査露光等の像露光手段(不図示)からの画像露光10を受ける。こうして感光体7の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0067】
形成された静電潜像は、現像手段11によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は不図示の給紙部から感光体7と転写手段12との間に感光体7の回転と同期取り出されて給紙された転写材13に、転写手段12により順次転写されていく。
【0068】
像転写を受けた転写材13は、感光体面から分離されて像定着手段14へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外にプリントアウトされる。
【0069】
像転写後の感光体7の表面は、クリーニング手段15によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光16により除電処理された後、繰り返し像形成に使用される。なお、一次帯電手段9が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0070】
本発明においては、上述の電子写真感光体7、一次帯電手段9、現像手段11及びクリーニング手段15等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、一次帯電手段7と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール18等の案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ17とすることができる。
【0071】
図3に本発明の画像形成装置の第2の例であるカラー複写機の概略構成を示す。
【0072】
図において201はイメージスキャナ部であり、原稿を読み取り、デジタル信号処理を行う部分である。また、202はプリンタ部であり、イメージスキャナ201に読み取られた原稿画像に対応した画像を用紙にフルカラーでプリント出力する部分である。
【0073】
イメージスキャナ部201において、200は原稿厚板であり、原稿台ガラス203上の原稿204は赤外カットフィルター208を通ったハロゲンランプ205の光で照射され、原稿204からの反射光はミラー206、207に導かれ、レンズ209により3本のCCDラインセンサ(CCD)210上に像を結び、フルカラー情報レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)成分として信号処理部211に送られる。なお、205、206は速度vで、207は1/2vでラインセンサの電気的走査方向(以下、主走査方向)に対して垂直方向(以下、副走査方向)に機械的に動くことにより、原稿全面を走査する。
【0074】
信号処理部211では読み取られた信号を電気的に処理し、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(BK)の各成分に分解し、プリンタ部200に送れ、計4回の原稿走査により一回プリントアウトが完成する。
【0075】
イメージスキャナ部201より送られてくるM,C,Y,BKの画像信号は、レーザドライバ212に送られる。レーザドライバ212は画像信号に応じ、半導体レーザ213を変調駆動する。レーザ光はポリゴンミラー214、f−θレンズ215、ミラー216を介し、感光体ドラム217上を走査する。
【0076】
218は回転現像機であり、マゼンタ現像器219、シアン現像器220、イエロー現像器221、ブラック現像器222より構成され、4つの現像器が交互に感光体ドラムに接し、感光体ドラム217上に形成されたM,C,Y及びBKの静電潜像を対応するトナーで現像する。
【0077】
223は転写ドラムで、用紙カセット224または225より給紙された用紙をこの転写ドラム223に巻付け、感光体ドラム217上に現像されたトナー像を用紙に転写する。
【0078】
このようにしてM,C,Y及びBKの4色が順次転写された後に、用紙は定着ユニット226を通過して定着後、排紙される。
【0079】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明する。本発明に用いられる硬化性有機ケイ素高分子は、例えば以下のようにして合成した。
【0080】
(合成例1)
メチルポリシロキサン樹脂を主成分とする硬化性樹脂溶液の調整
メチルシロキサン単位80モル%、ジメチルシロキサン単位20モル%からなる1wt%のシラノール基を含むシロキサン樹脂10gをトルエン10gに溶解し、これに、メチルトリ(メチルエチルケトキシム)シラン11.5g、ジブチル錫ジアセテート0.2gを加え均一な溶液にした。
【0081】
(合成例2)
メチルフェニルポリシロキサン樹脂を主成分とする硬化性樹脂溶液の調整
フェニルシロキサン単位40モル%、ジフェニルシロキサン単位20モル%、メチルシロキサン単位20モル%、ジメチルシロキサン単位20%からなる1wt%のシラノール基を含むシロキサン樹脂12gをトルエン10gに溶解しジブチル錫ジアセテート0.2gを加え均一な溶液にした。
【0082】
本発明に用いられる有機ケイ素変成電荷輸送性化合物は、例えば以下のようにして合成した。
【0083】
(合成例3)
2,7−ビス{4′−〔2−(トリエトキシシリル)エチル〕ジフェニルアミノ}−9,9ジメチルフルオレンの合成
トルエン40ml、トリエトキシシラン9.9g(60mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(O)のトルエン溶液0.018mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら2,7−ビス(4′−ビニルジフェニルアミノ)−9,9−ジメチルフルオレン16gのトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除き、淡黄色油状の2,7−ビス{4′−〔2−(トリエトキシシリル)エチル〕ジフェニルアミノ}−9,9−ジメチルフルオレンを得た。収量は21.8gであった。
【0084】
(合成例4)
N,N′−ビス{4−〔2−(メチルジメトキシシシリル)エチル〕フェニル}−N,N′−ビス−(フェニル)−ベンジジンの合成
トルエン40ml、メチルジメトキシシラン4.0g(38mmol)及びジクロロ(h−シクロオクタ−1,5−ジエン)白金(II)0.34mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらN,N′−ビス−4−(ビニルフェニル)−N,N′−ビス−(フェニル)−ベンジジン15.7gのトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状のN,N′−ビス{4−〔2−(メチルジメトキシシシリル)エチル〕フェニル}−N.N′−ビス−(フェニル)−ベンジジンを得た。収量は16.8gであった。
【0085】
(実施例1)
引き抜き加工により得られた外径30mmのアルミニウムシリンダー上に、フェノール樹脂(商品名 プライオーフェン、大日本インキ化学工業(株)製)167部をメチルセロソルブ100部に溶解したものへ導電性硫酸バリウム超微粒子(1次粒径50nm)200部及び平均粒径2μmのシリコーン樹脂粒子3部を分散したものを浸漬コーティング法により塗工し、乾燥後の膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0086】
上記導電層上にアルコール可溶性共重合ナイロン(商品名 アミランCM−8000、東レ(株)製)5部をメタノール95部に溶解した溶液を浸漬コーティング法により塗工した。80℃で10分間乾燥して、膜厚が0.5μmの下引層を形成した。
【0087】
次に、電荷発生層用分散液としてCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2゜)の9.0゜、14.2゜、23.9゜及び27.9゜に強いピークを有するオキシチタニルフタロシアニン顔料5部をシクロヘキサノン95部にポリビニルベンザール(ベンザール化度75%以上)2部を溶解した液に加え、サンドミルで2時間分散した。
【0088】
この分散液を先に形成した下引層の上に乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように浸漬コーティング法で塗工した。
【0089】
ついで、合成例3で合成した有機ケイ素変成トリアリールアミン化合物30部と合成例1のシリコーン系熱硬化樹脂10部をトルエン100部をトルエン100部に加え溶解したものを前記の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工した。120℃で3時間乾燥、熱硬化して電荷輸送層の膜厚12μmの透明で均一な電荷輸送層を作成した。
【0090】
この電子写真感光体を−500Vに帯電し、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定したところ、E1/2(−250Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.18J/cm2、残留電位が−20Vと非常に良好であった。
【0091】
本電子写真感光体をキヤノン製レーザービームプリンタLBP−8IVの改造機((1/e2)を副走査方向で63.5μm、主走査方向で20μmの照射スポット径となるように改造)を用い初期帯電−500Vに設定して画像評価を行ったところ、4000枚の耐久試験後においても画像の劣化がなく、600dpi相当の入力信号においてのハイライト部の1画素再現性も十分であった。
【0092】
(比較例1)
実施例1と同様にして、電荷発生層まで形成した。次いで、下記のトリアリールアミン化合物6部と、
【外8】
【0093】
ポリカーボネート樹脂(商品名Z−200、三菱瓦斯化学(株)製)6部をクロロベンゼン70部に溶解した電荷輸送層用の液を実施例2の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工することによって、乾燥後の膜厚が12μmの電荷輸送層を形成した。この電子写真感光体を−500Vに帯電し、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定したところ、E1/2(−250Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.32J/cm2、残留電位が−96Vと大きかった。
【0094】
本電子写真感光体をキヤノン製レーザービームプリンタLBP−8IVの改造機((1/e2)を副走査方向で63.5μm、主走査方向で20μmの照射スポット径となるように改造)を用い初期帯電−500Vに設定して画像評価を行ったところ、5000枚の耐久試験後は干渉縞及び黒ポチが認められ、600dpi相当の入力信号においてのハイライト部の1画素再現性も不十分でむらがあった。
【0095】
(実施例2)
実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、フェノール樹脂(商品名 プライオーフェン、大日本インキ化学工業(株)製)167部をメチルセロソルブ100部に溶解したものへ導電性硫酸バリウム超微粒子(1次粒径50nm)200部を分散したものを浸漬コーティング法により、乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗工した。この導電性支持体に実施例2と同様にして膜厚1μmの下引層及び膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0096】
ついで、合成例4で合成した有機ケイ素変成トリアリールアミン化合物30部と合成例2のシリコーン系熱硬化樹脂10部をトルエン100部に加え溶解したものを前記の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工した。120℃で3時間乾燥、熱硬化して電荷輸送層の膜厚12μmの透明で均一な電荷輸送層を作成した。
【0097】
この電子写真感光体を−500Vに帯電し、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定したところ、E1/2(−250Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.17J/cm2、残留電位−18Vと非常に良好であった。
【0098】
本電子写真感光体を実施例2と同様のキヤノン製レーザービームプリンタを用い初期帯電−500Vに設定して画像評価を行ったところ、5000枚の耐久試験後においても画像の劣化がなく、600dpi相当の入力信号においてのハイライト部の1画素再現性も十分であった。
【0099】
(実施例3)
外径80mmのアルミニウムシリンダー上に、10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉末50部、フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ30部、メタノール30部及びシリコーンオイル(ポリメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、重量平均分子量3000)0.002部を1φmmガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して調整した導電層用塗料を浸漬塗布し、140℃で30分間乾燥して膜厚20μmの導電層を形成した。
【0100】
次に、アルコール可溶性共重合ナイロン(商品名 アミランCM−8000、東レ(株)製)5部をメタノール95部に溶解した溶液を浸漬コーティング法により塗工した。80℃で10分間乾燥して、膜厚が1μmの下引層を形成した。
【0101】
次に、電荷発生層として下記のビスアゾ顔料5部をシクロヘキサノン95部にポリビニルベンザール(ベンザール化度75%以上)2部を溶解した液に加え、サンドミルで20時間分散した。この分散液を先に形成した下引層の上に乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように浸漬コーティング法で塗工した。
【外9】
【0102】
ついで、合成例3で合成した有機ケイ素変成トリアリールアミン化合物30部と合成例1のシリコーン系熱硬化樹脂10部をトルエン100部に加え溶解したものを前記の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工した。150℃で3時間乾燥、熱硬化して電荷輸送層の膜厚12μmの透明で均一な電荷輸送層を作成した。
【0103】
この電子写真感光体を−500Vに帯電し、波長680nmの光で電子写真特性を測定したところ、E1/2(−250Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.6J/cm2、残留電位が−12Vと非常に良好であった。
【0104】
本電子写真感光体をキヤノン製デジタルフルカラー複写機CLC−500を副走査方向で63.5μm、主走査方向で20μmの照射スポット径となるように改造した評価機にて初期帯電−500Vに設定して画像評価を行ったところ、初期及び10万枚耐久試験後も黒ポチ等の電荷注入及び干渉縞もなく、均一性の優れた画像出力が得られ、階調再現性も400dpiで256階調ときわめて良好であった。
【0105】
(比較例2)
実施例3と同様にして、電荷発生層まで形成した。
【0106】
次いで、下記のトリアリールアミン化合物6部と、
【外10】
【0107】
ポリカーボネート樹脂(商品名Z−200、三菱瓦斯化学(株)製)6部をクロロベンゼン70部に溶解した電荷輸送層用の液を実施例2の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工することによって、乾燥後の膜厚が12μmの電荷輸送層を形成した。この電子写真感光体を−500Vに帯電し、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定したところ、E1/2(−250Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が1.5J/cm2、残留電位が−48Vと大きかった。
【0108】
本電子写真感光体を実施例3と同様に画像評価したところ、2万枚の耐久試験後に黒ポチ等が大量に発生したために良好な画像は得られなかった。
【0109】
(実施例4)
実施例2と同様にして、電荷発生層まで形成した。
【0110】
ついで、合成例3で合成した有機ケイ素変成トリアリールアミン化合物30部と合成例1のシリコーン系熱硬化樹脂10部をトルエン100部に加え溶解したものを前記の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工した。150℃で3時間乾燥、熱硬化して電荷輸送層の膜厚12μmの透明で均一な電荷輸送層を作成した。
【0111】
この電子写真感光体を−500Vに帯電し、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定したところ、E1/2(−250Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.55J/cm2、残留電位−10Vと非常に良好であった。
【0112】
本電子写真感光体をキヤノン製デジタルフルカラー複写機CLC−500を副走査方向で63.5μm、主走査方向で20μmの照射スポット径となるように改造した評価機にて初期帯電−500Vに設定して画像評価を行ったところ、初期及び10万枚耐久試験後も黒ポチ等の電荷注入及び干渉縞もなく、均一性の優れた画像出力が得られ、階調再現性も400dpiで256階調ときわめて良好であった。
【0113】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、光散乱やブリードがなく、均一な状態の光導電層であって低表面エネルギーと機械的、電気的耐久性を両立した高感度かつ低残留電位の電子写真感光体、及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】光の強度分布、スポット径及び光のスポット面積と感光層の厚さの積の関係を示す図である。
【図2】本発明の画像形成装置の第1の例の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の画像形成装置の第2の例の概略構成を示す図である。
Claims (12)
- R2が炭素数1〜15の一価炭化水素基またはハロゲン置換一価炭化水素基であり、R3が−(CH2)n−(nは1〜18の整数)で示され、lが1〜5の整数である請求項1記載の電子写真感光体。
- Qが−OR1(R1はアルキル基またはアルコキシアルキル基を示す。)で示される請求項1または2記載の電子写真感光体。
- R1の炭素数が1〜6である請求項3記載の電子写真感光体。
- 硬化性有機ケイ素高分子が下記式(3)
R7 rSiO(4−r−s)/2(OR8)s (3)
(R7は直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アルケニル基またはアリール基を示し、R8は水素原子またはアルキル基を示し、r及びsはモル比を示す。)
で示される請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。 - rが平均0.5〜1.5であり、sが平均0.01〜1.5である請求項6記載の電子写真感光体。
で示される請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。 - 感光層が一般式(1)で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を重合することによって得られる樹脂を含有する電荷輸送層と電荷発生層の少なくとも2層からなる請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 請求項5記載の電子写真感光体において、該電荷発生層がオキシチタニルフタロシアニンを含有する請求項6記載の電子写真感光体。
- 前記オキシチタニルフタロシアニンがCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)において、9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°に特徴的なピークを有する結晶形である請求項7記載の電子写真感光体。
- 電子写真感光体、及び帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくともひとつの手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、該電子写真感光体が支持体上に感光層を有する電子写真感光体であって、該電子写真感光体の感光層が硬化性有機ケイ素系高分子及び一般式(1)で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を硬化することによって得られる樹脂を含有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が支持体上に感光層を有する電子写真感光体であって、該電子写真感光体の感光層が硬化性有機ケイ素系高分子及び一般式(1)で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を硬化することによって得られる樹脂を含有することを特徴とする画像形成装置。
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JP2002206028A JP2004045993A (ja) | 2002-07-15 | 2002-07-15 | 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010037312A (ja) * | 2008-08-08 | 2010-02-18 | Konica Minolta Holdings Inc | 有機エレクトロルミネッセンス素子用化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子、重合膜の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、白色有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 |
-
2002
- 2002-07-15 JP JP2002206028A patent/JP2004045993A/ja not_active Withdrawn
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