JP2000119357A - ポリオキシメチレン共重合体の製造方法及びポリオキシメチレン共重合体組成物 - Google Patents

ポリオキシメチレン共重合体の製造方法及びポリオキシメチレン共重合体組成物

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JP2000119357A
JP2000119357A JP11225986A JP22598699A JP2000119357A JP 2000119357 A JP2000119357 A JP 2000119357A JP 11225986 A JP11225986 A JP 11225986A JP 22598699 A JP22598699 A JP 22598699A JP 2000119357 A JP2000119357 A JP 2000119357A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不安定末端部分の少ない熱安定性の改良され
たポリオキシメチレン共重合体の経済的な製造方法を提
供する。 【解決手段】 トリオキサンを主モノマーとし、これと
環状エーテル或いは環状ホルマールをコモノマーとし
て、カチオン活性触媒を用いて共重合してポリオキシメ
チレン共重合体を製造する方法において、共重合後、特
定の一般式で表わされる少なくとも1種の第4級アンモ
ニウム化合物を該共重合体と接触させ、重合触媒の失活
化を行う。 【効果】 本発明の方法によって得られるポリオキシメ
チレン共重合体は、従来の方法と比べて、不安定末端部
分の少ない共重合体が得られ、且つ、重合触媒の失活化
が完全であるため、重合触媒起因のポリマー分解が引き
起こされないので、失活処理後の後処理工程が簡略化で
き、非常に経済的であると同時に最終製品の熱安定性も
非常に高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱安定性の改良され
たポリオキシメチレン共重合体の製造方法に関する。更
に詳しくは、トリオキサンと環状エーテル及び/又は環
状ホルマールとのカチオン活性触媒によるポリオキシメ
チレン共重合体の製造において、共重合後、第4級アン
モニウム化合物を用いた重合触媒の失活化処理を採用す
ることにより、不安定末端部の少ない熱安定性の改良さ
れたポリオキシメチレン共重合体の経済的な製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオキシメチレン共重合体は、バラン
スのとれた機械的物性と優れた疲労特性を有し、また、
耐熱性、耐薬品性、電気特性、摺動性等の性質に優れ、
且つ成形加工性にも優れていることから、エンジニアリ
ングプラスチックとして、機械部品、自動車部品、電気
・電子機器部品等の広範囲の用途に用いられている。実
用に供されるポリオキシメチレン共重合体は、一般に次
のようなプロセスで製造されることが知られている。ま
ず、トリオキサンの如き環状アセタールを主モノマーと
し、隣接炭素原子を有する環状アセタール或いは環状エ
ーテルをコモノマーとして、更に目的に応じ重合度を調
節するための連鎖移動剤を添加して、カチオン活性触媒
を用いて共重合することにより粗ポリオキシメチレン共
重合体が得られる。一般にかかる粗ポリオキシメチレン
共重合体は、かなりの量の不安定末端部分〔−(OCH
2 )n−OH基〕を有する。
【0003】この不安定末端部分は成形加工等の加熱に
より容易に分解し、多量のホルムアルデヒドを発生す
る。また、重合触媒が活性な状態で残存し、熱が加わる
と共重合体の主鎖分解を引き起こしたり、不安定末端部
分の増加を引き起こす。従って、重合生成物である粗ポ
リオキシメチレン共重合体は、次に有機又は無機の塩基
性化合物、例えばアルキルアミン類、アルコキシアミン
類、ヒンダードアミン類あるいはアルカリ金属、アルカ
リ土類金属の水酸化物等、又は、三価の有機燐化合物で
触媒の中和又は失活化処理を行った後、不安定末端部分
の分解除去工程に供し、塩基性化合物、例えば上記の如
き化合物等、及び所望により併用される水、アルコール
等の存在下で加熱することにより、不安定末端部分の分
解除去が行われる。
【0004】このようにして不安定末端部分が分解除去
されたポリオキシメチレン共重合体には、次に耐熱安定
性、長期安定性等を付与するために各種の安定剤を配合
し、更に所望により、目的に応じた特性を付与するため
の各種添加剤、補強剤等を配合し溶融混錬することによ
り、実用に供し得る安定化ポリオキシメチレン共重合体
が得られる。以上のように、共重合で得られた粗ポリオ
キシメチレン共重合体を実用に供するためには、重合触
媒の失活化処理及び不安定末端部分の分解除去処理を必
要とし、その処理に多量のエネルギーを要し経済的に不
利であった。不安定末端部分の分解除去前の粗ポリオキ
シメチレン共重合体が、不安定部分の少ないものであれ
ば、最終製品の安定性もより優れたものとなり、また、
不安定末端部分の分解除去工程を簡略化できる等の利点
が存在する。
【0005】その為には、重合及び/又は重合触媒の失
活化において不安定末端部分の少ない且つ重合触媒が完
全に不活性化されたポリオキシメチレン共重合体を得る
ことが必要である。この内、触媒失活化に関しては、種
々の失活剤による改善が提案されているが、従来から知
られている塩基性物質による重合触媒の中和失活では、
完全に重合触媒の活性を失わせることは不可能で、失活
後の高温乾燥時、溶融ペレット化時、或いは製品成形時
にポリオキシメチレン共重合体の主鎖分解が起こり、分
子量の低下及び不安定末端部分が生成する。
【0006】また、重合触媒失活化効率及びそれに続く
不安定末端部分の分解除去効率化等の観点から、重合後
の粗ポリオキシメチレン共重合体を粉砕して失活する方
法(特開昭57−80414号公報、特開昭58−34
819号公報)が知られている。また、粗ポリオキシメ
チレン共重合体を特定の粉砕機で粉砕すると共に失活化
する方法(特開平10−101755号公報)や特定の
粒径分布に粉砕すると共に失活化する方法(特開平10
−101756号公報)も提案されているが、いずれも
方法をもってしても、重合触媒の失活化には改良の余地
が残されており、不安定末端部分の少なく且つ重合触媒
が完全に不活性化されたポリオキシメチレン共重合体を
得ることが可能な、より経済的な重合触媒の失活化方法
が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、トリオキサ
ンと環状エーテル及び/又は環状ホルマールとのカチオ
ン活性触媒によるポリオキシメチレン共重合体の製造に
おいて、共重合後、第4級アンモニウム化合物を用いた
重合触媒の失活化処理を採用することにより、不安定末
端部の少ない熱安定性の改良されたポリオキシメチレン
共重合体の経済的な製造方法および該共重合体組成物を
提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる現状に
鑑み、不安定末端部分が極めて少なく、次の不安定末端
部分の分解除去工程での負荷を著しく低減し、又、充分
に重合触媒を失活させて熱的にも極めて安定な粗ポリオ
キシメチレン共重合体を得ることを目的として鋭意研究
した結果、重合触媒の失活剤として、下記一般式(1)
で表わされる第4級アンモニウム化合物を用いることに
より、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完
成するに到った。
【0009】 [R1 2 3 4 + ]nX-n (1) (式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々独立して、炭
素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル
基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数1〜30の非
置換アルキル基または置換アルキル基が少なくとも1個
の炭素数6〜20のアリール基で置換されたアラルキル
基;又は炭素数6〜20のアリール基が少なくとも1個
の炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキ
ル基で置換されたアルキルアリール基を表わし、非置換
アルキル基または置換アルキル基は直鎖状、分岐状、ま
たは環状である。上記置換アルキル基の置換基はハロゲ
ン、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ
基、又はアミド基である。また、上記非置換アルキル
基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基は
水素原子がハロゲンで置換されていてもよい。nは1〜
3の整数を表わす。Xは水酸基、又は炭素数1〜20の
カルボン酸、水素酸、オキソ酸、無機チオ酸もしくは炭
素数1〜20の有機チオ酸の酸残基を表わす。)
【0010】即ち本発明は、トリオキサンを主モノマー
とし、これと環状エーテル及び/又は環状ホルマールの
少なくとも1種をコモノマーとして、少なくとも1種の
カチオン活性触媒を用いて共重合してポリオキシメチレ
ン共重合体を製造する方法において、共重合後、上記一
般式(1)で表わされる少なくとも1種の第4級アンモ
ニウム化合物を該共重合体と接触させ、重合触媒の失活
化を行うことを特徴とするポリオキシメチレン共重合体
の製造方法に関するものである。本発明の特徴は重合触
媒の失活剤として、一般式(1)で表わされる第4級ア
ンモニウム化合物を用いることにあり、これにより重合
触媒の失活が極めて効果的に行なわれ、失活時の副反応
を抑制して、不安定末端部分の極めて少ない粗ポリオキ
シメチレン共重合体を得ることにある。更に、上記失活
剤により失活された触媒は、もはや極めて安定で、後工
程、即ち、高温乾燥、不安定部分の溶融分解除去、成形
等における主鎖分解促進作用が顕著に抑制されているこ
とが認められた。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。本発明のポリオキシメチレン共重合体は先ず、トリ
オキサンを主モノマーとし、これと環状エーテル及び/
又は環状ホルマールの少なくとも1種をコモノマーとし
て、少なくとも1種のカチオン活性触媒の存在下で共重
合する。ここでコモノマーとして用いられる環状エーテ
ル或いは環状ホルマールは、下記一般式(2)で表わさ
れる少なくとも1組の連結炭素原子と酸素原子を有する
環状化合物である。
【0012】
【化1】 〔但し、式中、R5 からR8 は、それぞれ独立して、水
素原子、非置換又は1〜3個のハロゲン原子で置換され
た炭素数1〜5アルキル基を示し、各R9 は、それぞれ
独立して、非置換のメチレン基、1〜2個の炭素数1〜
Cアルキル基もしくは1〜2個のハロゲン原子で置換さ
れているメチレン基又はオキシメチレン基(この場合、
pは0から3の整数を表わす)、または、下記式(3)
もしくは下記式(4)で表わされる2価の基を表わす
(この場合式(2)のpは1を表わし、式(3)及び
(4)のqは1から4の整数を表わす)。 ―(CH2 q ―O―CH2 ― (3) ―(OCH2 CH2)q ―O―CH2 ― (4)
【0013】かかるコモノマーとしては、例えば、エチ
レンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,3−ジオ
キソラン、1,3,5−トリオキセパン、ジエチレング
リコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマー
ル、1,3−ジオキサン等が挙げられる。中でも好まし
いコモノマーはエチレンオキサイド、1,3−ジオキソ
ラン、1,4−ブタンジオールホルマールである。特に
好ましいコモノマーは1,3−ジオキソランであり、中
でも、重合で得られたポリオキシメチレン共重合体の酸
化分解抑制のため、2メチル−1,3−ジオキソランの
含有量が500重量ppm以下好ましくは300重量p
pm以下で、且つパーオキサイドの含有量が過酸化水素
換算で15重量ppm以下、好ましくは5重量ppm以
下、更に少なくとも1種の立体障害性フェノールが10
〜500重量ppm、好ましくは50〜300重量pp
m添加された1,3−ジオキソランを用いることが好ま
しい。
【0014】1,3−ジオキソランに添加する立体障害
性フェノールの内では、テトラキス[メチレン(3,5
−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]
メタンが特に好ましい。これらコモノマーの使用量はト
リオキサンに対し0.02〜15モル%が好ましく、
0.1モル%〜10モル%が更に好ましい。又、本発明
の重合法において、ポリオキシメチレン共重合体の分子
量調節のために、必要ならば適当な分子量調整剤、例え
ばメチラール等を使用しても良い。
【0015】また、ポリオキシメチレン共重合体には、
トリオキサンやコモノマー中に含まれる活性水素(OH
の水素)を有する水、メチルアルコール、蟻酸等の不純
物によって、重合時に不安定末端部分が生成する。そこ
で、重合時の不安定末端部分の生成を低減するために、
トリオキサンやコモノマー中の水、メチルアルコール、
蟻酸等の活性水素を有する不純物の濃度を蒸留及び吸着
等によって極力減らす必要が有る。実用的には、活性水
素を有する不純物濃度を水の濃度に換算し、その合計濃
度をトリオキサンとコモノマーの合計量に対して20p
pm以下にすることが好ましい。水濃度への換算は、具
体的には、メチルアルコールの場合はメチルアルコール
濃度の0.28倍、蟻酸の場合は蟻酸濃度の0.20倍
することにより得られる。
【0016】本発明における重合触媒としては、ルイス
酸、プロトン酸及びそのエステル又は無水物等のカチオ
ン活性触媒が使用される。ルイス酸としては、例えば、
ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハ
ロゲン化物が挙げられる。また、プロトン酸、そのエス
テル又は無水物の具体例としては、パークロル酸、トリ
フルオロメタンスルホン酸、パークロル酸−3級ブチル
エステル、アセチルパークロラート、トリメチルオキソ
ニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。中
でも、三フッ化ホウ素;三フッ化ホウ素水和物;及び酸
素原子または硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ
素との配位錯化合物が好ましく、具体的には、三フッ化
ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素−ジ−n
−ブチルエーテラートを好適例として挙げることができ
る。これら三フッ化ホウ素系の重合触媒は、トリオキサ
ンと環状エーテル及び/又は環状ホルマールとの混合物
1モルに対し、5×10-6モル以上、5×10-5モル以
下で用いることが好ましく、1×10-6モル以上、2×
10-5モル以下で用いることが更に好ましい。
【0017】本発明の重合法は、従来公知のトリオキサ
ンの重合法と同様の設備と方法で行うことができる。即
ち、バッチ式、連続式、いずれも可能であり、又、溶液
重合、塊状重合等何れにてもよいが、液体モノマーを用
い、重合の進行とともに固体塊状のポリマーを得る連続
式塊状重合方法が工業的には一般的であり好ましい。こ
の場合、必要に応じて不活性媒体を共存させることもで
きる。本発明に用いられる重合装置としては、バッチ式
では一般に用いられる攪拌機付きの反応槽が使用でき、
また連続式としては、コニーダー、2軸スクリュー式連
続押出混合機、2軸パドル型連続混合機等のセルフクリ
ーニング型混合機が使用可能である。また、2種以上の
タイプの重合装置を組み合わせて使用することも可能で
あるし、重合装置を直列に連結して使用することも可能
である。また、重合反応によって生成する固体重合物が
微細な形態で得られるような粉砕機能を備えたものが好
ましい。
【0018】共重合反応は、常圧下で、好ましくは60
〜200℃、より好ましくは60〜120℃の温度範囲
で行われる。また、重合時間は、特に制限はないが、一
般に10秒〜100分以下が選ばれる。重合を完了し、
重合機から排出される粗ポリオキシメチレン共重合体
は、次いで直ちに失活剤と混合接触させて重合触媒の失
活化を行うことが必要である。本発明の特徴は失活剤と
して前記一般式(1)で表わされる第4級アンモニウム
化合物を用いて、粗ポリオキシメチレン共重合体と接触
させ重合触媒の失活を行う点に有る。
【0019】かかる失活剤の使用量は重合触媒量に対し
て0.5〜500倍モル、好ましくは1〜200倍モル
である。本発明に用いる第4級アンモニウム化合物は、
一般式(1)で表わされるものであれば特に制限はない
が、一般式(1)におけるR 1 、R2 、R3 及びR
4 が、各々独立して、炭素数1〜5のアルキル基又は炭
素数2〜4のヒドロキシアルキル基であることが好まし
く、この内、更に、R1 、R2 、R3 及びR4 の少なく
とも1つが、ヒドロキシエチル基であるものが特に好ま
しい。
【0020】具体的には、テトラメチルアンモニウム、
テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウ
ム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、セチルトリメチ
ルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウ
ム、1,6−ヘキサメチレンビス(トリメチルアンモニ
ウム)、デカメチレン−ビス−(トリメチルアンモニウ
ム)、トリメチル−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピ
ルアンモニウム、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)
アンモニウム、トリエチル(2−ヒドロキシエチル)ア
ンモニウム、トリプロピル(2−ヒドロキシエチル)ア
ンモニウム、トリ−n−ブチル(2−ヒドロキシエチ
ル)アンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、
トリエチルベンジルアンモニウム、トリプロピルベンジ
ルアンモニウム、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウ
ム、
【0021】トリメチルフェニルアンモニウム、トリエ
チルフェニルアンモニウム、トリメチル−2−オキシエ
チルアンモニウム、モノメチルトリヒドロキシエチルア
ンモニウム、モノエチルトリヒドロキシエチルアンモニ
ウム、オクダデシルトリ(2−ヒドロキシエチル)アン
モニウム、テトラキス(ヒドロキシエチル)アンモニウ
ム等の、水酸化物;塩酸、臭酸、フッ酸などの水素酸
塩;硫酸、硝酸、燐酸、炭酸、ホウ酸、塩素酸、よう素
酸、珪酸、過塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、クロロ硫
酸、アミド硫酸、二硫酸、トリポリ燐酸などのオキソ酸
塩;チオ硫酸などのチオ酸塩;蟻酸、酢酸、プロピオン
酸、ブタン酸、イソ酪酸、ペンタン酸、カプロン酸、カ
プリル酸、カプリン酸、安息香酸、シュウ酸などのカル
ボン酸塩等が挙げられる。中でも、水酸化物(O
- )、硫酸(HSO4 - 、SO4 2-)、炭酸(HCO
3 - 、CO3 2-)、ホウ酸(B(OH)4 - )、カルボ
ン酸の塩が好ましい。カルボン酸の内、蟻酸、酢酸、プ
ロピオン酸が特に好ましい。
【0022】これら第4級アンモニウム化合物は、単独
でもあるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。ま
た、従来から公知の失活剤である、アルキルアミン類、
アルコキシアミン類、ヒンダードアミン類あるいはアル
カリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、有
機酸塩、又は、三価の有機燐化合物やホウ酸化合物等と
併用することも可能である。
【0023】本発明の失活剤と重合反応生成物との接触
方法に関しては、特に制限はなく、前記第4級アンモニ
ウム化合物を粗ポリオキシメチレン共重合体によく混合
することによって得られるが、接触を充分に行い効率よ
く重合触媒の失活を行うためには第4級アンモニウム化
合物を水及び/又は有機溶媒中に溶解した溶液とし、こ
れと重合反応生成物を混合して、スラリー状で混合攪拌
処理する方法が好ましい。この場合、重合機排出物が微
細な粉粒体であれば好都合であるが、比較的粒径が大き
い場合には、重合機排出後、速やかに粉砕することが好
ましい。使用する粉砕機は特に限定されないが、例え
ば、ロータリーミル、ハンマーミル、ジョークラッシャ
ー、フェザーミル、ロータリーカッターミル、ターボミ
ル、ボールミルあるいは分級式衝撃粉砕機等が用いられ
る。粒径分布は、粉砕機の回転数、クリアランス、粉砕
機に設けたスクリーンメッシュ及び/又は所望により別
途設けた篩等により制御することができる。粉砕された
ポリオキシメチレン共重合体は、下記(a)〜(d)で
規定する粒径分布を満足するものであることが好まし
い。
【0024】(a)平均粒径0.2〜0.7mm (b)20meshを超えるものが0〜30重量% (c)200meshを超え20mesh未満のものが
30〜100重量% (d)200mesh未満のものが0〜40重量% (ただし、合計量は100%) ここで、粒径分布はTyler標準篩を用い、Ro−T
apシェーカーで10分間振とうし篩い分けすることに
より測定した。また、平均粒径は篩下累積度数(百分率
で表わす)分布曲線において、累積度数が50%になる
粒径を平均粒径とした。この粒径分布は、粉砕し重合触
媒の失活化を行うにことによって得られるポリオキシメ
チレン共重合体の品質、特にその不安定末端量と重合触
媒によるポリオキシメチレン共重合体の主鎖分解の程
度、及び失活後の後処理、具体的には不安定末端部分の
分解除去操作や安定剤との溶融混錬処理における操作性
の両者を満足させるという観点から見出したものであ
る。
【0025】この内、(a)の平均粒径の上限(0.7
mm)及び(b)の20meshを超えるものの割合の
上限は、主としてポリオキシメチレン共重合体の品質の
鍵を握る重要な要件であり、(a)の平均粒径の下限
(0.2mm)及び(d)の200mesh未満のもの
の割合の上限は、主として不安定末端部分の分解除去操
作や安定剤との溶融混錬処理における操作性の鍵を握る
重要な要件である。ここで示した粒径分布より粒径が大
きい方に偏った場合、例えば平均粒径がその上限を超え
るか20meshを超えるものの割合がその上限を超え
た場合、得られる粉砕ポリオキシメチレン共重合体のの
品質、特に不安定末端部分の量は大きいものとなり、ま
た重合触媒の失活化効率が低下し、不活性化されていな
い重合触媒による主鎖分解が発生する。
【0026】一方、この粒径分布より粒径が小さい方に
偏った場合、例えば平均粒径がその下限未満あるいは2
00mesh未満のものの割合がその上限を超えた場
合、ポリオキシメチレン共重合体の品質面では満足でき
るものの、押出機による不安定末端部分の溶融分解除去
処理、あるいは、安定剤との溶融混錬処理等の操作性が
著しく劣るものとなる。より具体的には粉砕されたポリ
オキシメチレン共重合体の押出機への食い込み性及びス
トランドの排出が不安定になり、また押出機のモーター
電流値の変動及び押出機スクリュー先端直後に設置した
樹脂圧力計の指示値変動が激しくなる等の問題が発生し
て安定した押出が不可能になり、安定化されたポリオキ
シメチレン共重合体を経済的に製造することが不可能に
なる。重合機から排出されたポリオキシメチレン共重合
体は、直ちに第4級アンモニウムを含む水溶液等と接触
させつつ、或いは、接触させた後に粉砕機によって湿式
粉砕することも可能であるし、また、重合機から排出さ
れたポリオキシメチレン共重合体を直ちに粉砕機で乾式
粉砕した後第4級アンモニウムを含む水溶液等と接触さ
せることも可能である。
【0027】本発明の重合触媒の失活化における温度及
び処理時間は特に制限はないが、例えば、第4級アンモ
ニウム化合物を水及び/又は有機溶媒中に溶解した溶液
とし、これと重合反応生成物を混合して、スラリー状で
混合攪拌処理することにより重合触媒の失活化を行う方
法では、失活化促進のためスラリーを加熱して、45℃
以上ポリオキシメチレン共重合体の融点以下の温度で、
好ましくは50℃以上80℃未満でポリオキシメチレン
共重合体を溶融させずに実施することが好ましい。この
場合失活化を完全に行うという観点では、処理時間は長
い方が好ましいが、第4級アンモニウム化合物を失活剤
に用いた場合は失活速度が早いため、実用的には5分以
上60分以下で処理される。また、重合反応生成物と第
4級アンモニウム化合物を接触させた後、押出機等によ
ってポリオキシメチレン共重合体の融点以上230℃以
下の温度で、ポリオキシメチレン共重合を溶融させて重
合触媒の失活化を行うことも可能である。この場合、実
用的な処理時間は1分以上10分以下である。
【0028】ポリオキシメチレン共重合体の粉砕並びに
重合触媒の失活化は、ポリオキシメチレン共重合体の酸
化分解抑制のため不活性ガス雰囲気下で行うことが好ま
しい。本発明の失活剤により不安定末端部分が少なくし
かも熱安定性の高いポリオキシメチレン共重合体が得ら
れるのは、前記一般式(1)で表わされる第4級アンモ
ニウム化合物が重合触媒を極めて速やかに失活化し、し
かもその生成物の安定性がきわめて高いためと考えられ
る。
【0029】本発明において重合触媒の失活を行った共
重合体は、必要に応じて、ろ過、乾燥を経た後、不安定
末端部分の分解除去処理に付される。不安定末端部分の
分解除去は、例えば、ベント付き単軸スクリュー式押出
機やベント付き2軸スクリュー式押出機等を用いて、塩
基性物質の存在下で溶融加水分解し、不安定末端部分を
安定末端に変えるとともに、不安定末端部分の分解前の
ポリオキシメチレン共重合体に含まれる未反応モノマー
や不安定末端部分の溶融加水分解で発生したホルムアル
デヒド等をベントより減圧下除去することにより行うこ
とができる。
【0030】不安定末端部分の分解除去に用いられる塩
基性物質としてはアンモニア、トリエチルアミン、トリ
ブチルアミン等の脂肪族のアミン化合物が挙げられる。
他の塩基性物質としては、アルカリ金属又はアルカリ土
類金属の水酸化物、無機弱酸塩、有機酸塩等が挙げられ
る。特に、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチル
アミン等の脂肪族のアミン化合物が好ましい。これらの
塩基性物質の添加量はポリオキシメチレン共重合体に対
して、アミン化合物では0.01〜5重量%、アルカリ
金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機弱酸塩、有
機酸塩では2〜5000ppm添加される。また、水及
び/又はメタノール等の有機溶剤をこれら塩基性物質と
共に添加することもできる。
【0031】不安定末端部分の分解除去されたポリオキ
シメチレン共重合体に、熱、光、酸化等に起因する分解
に対する安定剤及びホルムアルデヒド補足剤、蟻酸中和
剤、離型剤等の他の添加剤や補強剤、導電材、熱可塑性
樹脂、熱可塑性エラストマー、顔料等を配合し、押出機
等で溶融混錬することにより、最終の安定化ポリオキシ
メチレン共重合体の製品とする。本発明の方法によれ
ば、重合触媒失活後のポリオキシメチレン共重合体の不
安定末端部分が非常に少なく、また、重合触媒は完全に
失活されている。したがって、不安定末端部分の分解除
去処理の負荷は大幅に軽減されているため簡単な仕上げ
処理で充分安定なポリオキシメチレン共重合体が得られ
る。
【0032】また、不安定末端部分が非常に少なく、ま
た、重合触媒が完全に失活されているため、不安定末端
部分の分解除去による末端安定化処理工程を実質的に経
ること無く、各種安定剤、添加剤、補強剤と共に溶融混
錬押出することによって、少量残存している不安定末端
部分の分解除去を兼ねさせ、最終の安定化ポリオキシメ
チレン共重合体を製造することも可能である。この方法
は、従来必須とされていた末端安定化処理工程を経てい
ないにもかかわらず、実用上十分安定な最終のポリオキ
シメチレン共重合体を得ることが可能で、且つ非常に経
済的に有利な方法である。
【0033】また、本発明の重合触媒の失活方法により
得られる第4級アンモニウム化合物を含有したポリオキ
シメチレン共重合体組成物は、上記したように、不安定
末端部分が非常に少なく、重合触媒が完全に失活されて
いる。したがって、本ポリオキシメチレン共重合体組成
物は非常に安定で、例えば長期貯蔵時、あるいは、運搬
時に分解によるホルムアルデヒドの発生やポリマー主鎖
切断による分子量低下が発生しない。よって、本ポリオ
キシメチレン共重合体組成物はコンパウンド用の原料と
して好適に用いることができる。更に、本ポリオキシメ
チレン共重合体組成物に酸化防止剤、ホルムアルデヒド
補足剤、蟻酸中和剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型
剤、補強剤、導電材、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラスト
マー、顔料等の配合剤の少なくとも一種以上を添加した
ポリオキシメチレン共重合体組成物もコンパウンド用の
原料として好適に用いることができる。
【0034】
【実施例】以下実施例及び比較例によって、本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限
定されるものではない。尚、実施例及び比較例中の用
語、及び測定法は以下のとおりである。 <2メチル−1,3−ジオキソラン、メチルアルコール
の含有量>ガスクロパック55(ジーエルサイエンス
(株)製)を充填したガラスカラムを装着したガスクロ
マトグラフィーで水素炎イオン検出器により測定した。 <水の濃度>カールフィッシャー水分計で測定した。 <蟻酸の濃度>水酸化カリウムによる中和滴定で測定し
た。
【0035】<1,3−ジオキソラン中のパーオキサイ
ド含有量(過酸化水素換算)>フラスコ内にイソプロピ
ルアルコール40ml、ヨウ化ナトリウム飽和溶液(N
aIをイソプロピルアルコールで溶解)10ml、酢酸
2ml及び1,3−ジオキソラン25gを加え、100
℃で約5分間還流する。その後直ちに0.01Nチオ硫
酸ナトリウムで、フラスコ内の混合物の色が黄色から無
色になるまで滴定する(この時の滴定量をAmlとす
る)。また、空滴定として、1,3−ジオキソランを用
いず上記と同じ操作を行う(この時の滴定量をBmlと
する)。
【0036】1,3−ジオキソラン中のパーオキサイド
量は、過酸化水素として、以下の式で求められる。
【式1】
【0037】<粒径分布>Tyler標準篩を用い、R
o−Tapシェーカーで10分間振とうし篩い分けする
ことにより測定した。また、平均粒径は篩下累積度数
(百分率で表わす)分布曲線において、累積度数が50
%になる粒径を平均粒径とした。 <MI(メルトインデックス:g/10min)>AS
TM−D−1238により東洋精機製のMELT IN
DEXERを用いて190℃、2169gの条件下でメ
ルトインデックス(g/10min)を測定した。
【0038】<不安定末端部の量(ppm)>窒素気流
下において、190℃、30分間の条件下でオキシメチ
レン共重合体から発生するホルムアルデヒドを水に吸収
した後適定し測定した。この条件下においては、発生す
るホルムアルデヒドの殆どはオキシメチレン共重合体の
不安定末端部〔−(OCH2 )n−OH基〕からの分解
による。 <安定化ポリオキシメチレン共重合体の熱安定性(pp
m/min)>窒素気流下において、230℃、90分
間にオキシメチレン共重合体から発生するホルムアルデ
ヒドを水に吸収した後適定し測定する。測定した総ホル
ムアルデヒド量を90分間で割って、1分間当たりの平
均ホルムアルデヒド発生速度(ppm/min)を計算
しこれを安定化ポリオキシメチレン共重合体の熱安定性
とした。
【0039】
【実施例1〜20】熱媒を通すことができるジャケット
付きの2軸パドル型連続混合機を80℃に調整し、3k
g/Hrのトリオキサンと、コモノマーとして1,3−
ジオキソラン111g/Hr(トリオキサン1モルに対
して0.045モル)と、分子量調整剤としてメチラー
ル1.8g/Hr(トリオキサン1モルに対して0.7
×10-3モル)とを連続的に添加した。1,3−ジオキ
ソランは、2メチル−1,3−ジオキソランの含有量が
105重量ppm(ガスクロマトグラフィーで測定)、
過酸化水素換算のパーオキサイド含有量が2.3重量p
pm、立体障害性フェノールとしてテトラキス[メチレ
ン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシ
ンナメート)]メタン(チバガイギー製イルガノックス
1010:商品名)が200重量ppm添加されている
ものを用いた。
【0040】また、トリオキサンと1,3−ジオキソラ
ンの混合物中の水、蟻酸、メチルアルコールの合計濃度
は水換算濃度で12ppmであった。重合触媒として、
三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテラートが、トリオ
キサン1モルに対して1.5×10-5モルになるよう
に、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテラート1重量
%のシクロヘキサン溶液9.9g/Hrを連続的に添加
し重合を行った。混合機より排出されたポリオキシメチ
レン共重合体は、直ちに窒素雰囲気下で、表1に示す如
く第4級アンモニウム化合物を含む水溶液と接触させな
がら、(株)奈良機械製作所製自由粉砕機M−2型で湿
式粉砕し、粉砕機から排出された粉体状ポリオキシメチ
レン共重合体と第4級アンモニウム化合物を含むスラリ
ーを貯留タンクに導入し失活化を行った。貯留タンクの
温度は50℃、貯留タンク中の平均滞留時間は30分で
ある。失活化の後、遠心分離機でろ過し、窒素下、12
0℃で乾燥し最終ポリオキシメチレン共重合体を得た。
最終ポリオキシメチレン共重合体の粒径分布は以下のと
おりであった。 (a)平均粒径0.38mm (b)20meshを超えるものが4.2重量% (c)200meshを超え20mesh未満のものが
85.4重量% (d)200mesh未満のものが10.4重量% 得られた最終ポリオキシメチレン共重合体の評価結果を
表1に示す。
【0041】
【実施例21〜24】混合機より排出されたポリオキシ
メチレン共重合体を、直ちに、窒素雰囲気下で、(株)
奈良機械製作所製自由粉砕機M−2型で乾式粉砕し、粉
砕機から排出された粉体状ポリオキシメチレン共重合体
を、表2に示す第4級アンモニウム化合物を含む水溶液
の貯留タンクに導入し失活化を行ったこと以外は実施例
1〜13と全く同じ操作を行って最終ポリオキシメチレ
ン共重合体を得た。最終ポリオキシメチレン共重合体の
粒径分布は以下のとおりであった。 (a)平均粒径0.37mm (b)20meshを超えるものが3.8重量% (c)200meshを超え20mesh未満84.7
重量% (d)200mesh未満のものが11.5重量% 得られた最終ポリオキシメチレン共重合体の評価結果を
表2に示す。
【0042】
【実施例25〜28】コモノマーとしてエチレンオキサ
イドを66g/Hr(トリオキサン1モルに対して0.
045モル)、重合触媒として、三フッ化ホウ素ジ−n
−ブチルエーテラートが、トリオキサン1モルに対して
4.5×10-5モルになるように、三フッ化ホウ素ジ−
n−ブチルエーテラート1重量%のシクロヘキサン溶液
29.7g/Hrを連続的に添加し重合を行ったこと以
外は実施例1〜13と全く同じ操作を行って最終ポリオ
キシメチレン共重合体を得た。トリオキサンとエチレン
オキサイドの混合物中の水、蟻酸、メチルアルコールの
合計濃度は水換算濃度で10ppmであった。また、最
終ポリオキシメチレン共重合体の粒径分布は以下のとお
りであった。 (a)平均粒径0.35mm (b)20meshを超えるものが3.5重量% (c)200meshを超え20mesh未満のものが
84重量% (d)200mesh未満のものが12.5重量% 得られた最終ポリオキシメチレン共重合体の評価結果を
表3に示す。
【0043】
【実施例29】実施例1により得た粉粒状のポリオキシ
メチレン共重合体について、一般的に行われる不安定末
端の分解除去工程を経ることなく、安定剤としてトリエ
チレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
(チバガイギー社製イルガノックス245:商品名)を
0.3重量%、ステアリン酸カルシウムを0.15重量
%、ナイロン66を0.05重量%混合し、ベント付き
30mm単軸押出機で溶融混錬することによりペレット
状の安定化ポリオキシメチレン共重合体を得た。溶融温
度は200℃、押出機平均滞留時間は3分間、ベント真
空度は30Torrである。得られたペレット状の安定
化ポリオキシメチレン共重合体の評価結果を表4に示
す。尚、30mm単軸押出機での溶融混錬時の、粉粒状
ポリオキシメチレン共重合体の食い込み性及びストラン
ドの排出は安定しており、また、モーター電流値の変
動、押出機スクリュー先端直後に設置した樹脂圧力計の
指示値変動は殆ど無く安定した押出が可能であった。
【0044】
【比較例1〜3】第4級アンモニウム化合物に変えて、
表5に示した失活剤を用いたこと以外は実施例1〜13
と全く同じ操作を行って最終ポリオキシメチレン共重合
体を得た。得られた最終ポリオキシメチレン共重合体の
評価結果を表5に示す。失活剤として第4級アンモニウ
ム化合物を用いないと、失活化が不十分でポリオキシシ
メチレン共重合体の分解が進んで、MIが増加し且つ不
安定末端部の量が増加していることがわかる。
【0045】
【比較例4】比較例1により得た粉粒状のポリオキシメ
チレン共重合体を、30mmベント付き2軸押出機に供
給し不安定末端の分解除去を行った。押出機の回転数は
100rpm、温度は200℃とした。不安定末端の分
解除去に使用する塩基性物質として、トリエチルアミン
水溶液を用い、その添加量は、ポリオキシメチレン共重
合体100重量部に対して3重量部(トリエチルアミン
0.5重量部、水2.5重量部)とし、押出機の溶融し
たポリオキシメチレン共重合体に連続的に添加した。不
安定末端が分解されたポリオキシメチレン共重合体は、
ベント真空度30Torrの条件下で脱揮され、押出機
ダイス部よりストランドとして押出されペレタイズされ
た。
【0046】このペレットに安定剤としてトリエチレン
グリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバガ
イギー社製イルガノックス245:商品名)を0.3重
量%、ステアリン酸カルシウムを0.15重量%、ナイ
ロン66を0.05重量%混合し、ベント付き30mm
単軸押出機で溶融混錬することによりペレット状の安定
化ポリオキシメチレン共重合体を得た。溶融温度は20
0℃、ベント真空度は30Torrである。得られたペ
レット状の安定化ポリオキシメチレン共重合体の評価結
果を表6に示す。実施例22と比較すると、不安定末端
部の分解除去を実施しているにもかかわらず、安定化後
のポリオキシメチレン共重合体の熱安定性が悪い。ま
た、安定化前と比較してMIが若干増加していることか
ら、ポリオキシメチレン共重合体が分解していることが
わかる。本発明の製造方法によれば、不安定部の分解除
去を実施しなくても非常に熱安定性に優れたポリオキシ
メチレン共重合体を得ることができる。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【発明の効果】本発明の方法によって得られるポリオキ
シメチレン共重合体は、従来の方法と比べて、不安定末
端部分の少ない共重合体が得られ、且つ、重合触媒の失
活化が完全であるため、重合触媒起因のポリマー分解が
引き起こされないので、失活処理後の後処理工程が簡略
化でき、非常に経済的であると同時に最終製品の熱安定
性も非常に高い。また、本発明のによって得られる第4
級アンモニウム化合物を含有したポリオキシメチレン共
重合体組成物はコンパウンド用の原料として好適であ
る。

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トリオキサンを主モノマーとし、これと
    環状エーテル及び/又は環状ホルマールの少なくとも1
    種をコモノマーとして、少なくとも1種のカチオン活性
    触媒を用いて共重合してポリオキシメチレン共重合体を
    製造する方法において、共重合後、下記一般式(1)で
    表わされる少なくとも1種の第4級アンモニウム化合物
    を該共重合体と接触させ、重合触媒の失活化を行うこと
    を特徴とするポリオキシメチレン共重合体の製造方法。 [R1 2 3 4 + ]nX-n (1) (式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々独立して、炭
    素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル
    基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数1〜30の非
    置換アルキル基または置換アルキル基が少なくとも1個
    の炭素数6〜20のアリール基で置換されたアラルキル
    基;又は炭素数6〜20のアリール基が少なくとも1個
    の炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキ
    ル基で置換されたアルキルアリール基を表わし、非置換
    アルキル基または置換アルキル基は直鎖状、分岐状、ま
    たは環状である。上記置換アルキル基の置換基はハロゲ
    ン、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ
    基、又はアミド基である。また、上記非置換アルキル
    基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基は
    水素原子がハロゲンで置換されていてもよい。nは1〜
    3の整数を表わす。Xは水酸基、又は炭素数1〜20の
    カルボン酸、水素酸、オキソ酸、無機チオ酸もしくは炭
    素数1〜20の有機チオ酸の酸残基を表わす。)
  2. 【請求項2】 一般式(1)におけるXが、水酸基、ま
    たは炭酸、ホウ酸、硫酸、カルボン酸の酸残基であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のポリオキシメチレン共重
    合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 カルボン酸が、蟻酸、酢酸及びプロピオ
    ン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であること
    を特徴とする請求項2記載のポリオキシメチレン共重合
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】 一般式(1)におけるR1 、R2 、R3
    及びR4 が、各々独立して、炭素数1〜5のアルキル基
    又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリオキシ
    メチレン共重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 一般式(1)におけるR1 、R2 、R3
    及びR4 が、その少なくとも1つが、ヒドロキシエチル
    基であることを特徴とする請求項4に記載のポリオキシ
    メチレン共重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 重合触媒の失活化が、第4級アンモニウ
    ム化合物を水及び/又は有機溶剤の溶液としてポリオキ
    シメチレン共重合体と接触させて行われることを特徴と
    する請求項1〜5のいずれかに記載のポリオキシメチレ
    ン共重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 重合触媒の失活化が、重合機から出たオ
    キシメチレン共重合体を下記(a)〜(d)で規定する
    粒径分布を満足する粉粒体に粉砕すると共にを行われる
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリ
    オキシメチレン共重合体の製造方法。 (a)平均粒径0.2〜0.7mm (b)20meshを超えるものが0〜30重量% (c)200meshを超え20mesh未満のものが
    30〜100重量% (d)200mesh未満のものが0〜40重量% (ただし、合計量は100%)
  8. 【請求項8】 カチオン活性触媒が、三フッ化ホウ素、
    三フッ化ホウ素水和物、及び酸素原子または硫黄原子を
    含む群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴と
    する請求項1〜7のいずれかに記載のポリオキシメチレ
    ン共重合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 カチオン活性触媒濃度が、トリオキサン
    と環状エーテル及び/又は環状ホルマールとの混合物1
    モルに対し、5×10-6モル以上、5×10 -5モル以下
    であることを特徴とする請求項8記載のポリオキシメチ
    レン共重合体の製造方法。
  10. 【請求項10】 カチオン活性触媒濃度が、トリオキサ
    ンと環状エーテル及び/又は環状ホルマールとの混合物
    1モルに対し、1×10-6モル以上、2×10-5モル以
    下であることを特徴とする請求項8〜9記載のポリオキ
    シメチレン共重合体の製造方法。
  11. 【請求項11】 トリオキサンと環状エーテル及び/又
    は環状ホルマールとの混合物が、該混合物中の水、蟻
    酸、メチルアルコールの合計濃度が水換算濃度で20p
    pm以下であることを特徴とする請求項1〜10記載の
    ポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
  12. 【請求項12】 環状エーテル及び/又は環状ホルマー
    ルが、1,3−ジオキソランであることを特徴とする請
    求項1〜11記載のポリオキシメチレン共重合体の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 1,3−ジオキソランが、該1,3−
    ジオキソラン中の2メチル−1,3−ジオキソランの含
    有量が500重量ppm以下で、且つパーオキサイドの
    含有量が過酸化水素換算で15重量ppm以下、更に少
    なくとも1種の立体性障害フェノールの含有量が10〜
    500重量ppmの1,3−ジオキソランであることを
    特徴とする請求項12記載のポリオキシメチレン共重合
    体の製造方法。
  14. 【請求項14】 重合触媒の失活化が、加熱処理下で行
    うことを特徴とする請求項1〜13記載のポリオキシメ
    チレン共重合体の製造方法。
  15. 【請求項15】 加熱処理が、処理温度45℃以上ポリ
    オキシメチレン共重合体の融点以下であることを特徴と
    する請求項14記載のポリオキシメチレン共重合体の製
    造方法。
  16. 【請求項16】 加熱処理が、処理温度50℃以上80
    ℃未満であることを特徴とする請求項15記載のポリオ
    キシメチレン共重合体の製造方法。
  17. 【請求項17】 重合触媒の失活化が、第4級アンモニ
    ウム化合物の水及び/又は有機溶剤の溶液にポリオキシ
    メチレン共重合体を投入しスラリー状態でを行われるこ
    とを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のポリ
    オキシメチレン共重合体の製造方法。
  18. 【請求項18】 加熱処理が、処理温度がポリオキシメ
    チレン共重合体の融点以上230℃以下、処理時間が1
    分以上10分以下であることを特徴とする請求項14記
    載のポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
  19. 【請求項19】 重合触媒の失活化が、第4級アンモニ
    ウム化合物を重合触媒の0.5〜500倍モル用いて行
    われることを特徴とする請求項1〜18記載のポリオキ
    シメチレン共重合体の製造方法。
  20. 【請求項20】 重合触媒の失活化が、第4級アンモニ
    ウム化合物を重合触媒の1〜200倍モル用いて行われ
    ることを特徴とする請求項19記載のポリオキシメチレ
    ン共重合体の製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項1〜20のいずれか1項記載の
    方法により触媒の失活化がなされたオキシメチレン共重
    合体を、不安定末端の分解除去による末端安定化処理工
    程を実質的に経ること無く、安定剤と共に溶融混錬処理
    することを特徴とする安定化オキシメチレン共重合体の
    製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項1〜20のいずれか1項記載の
    方法により重合触媒の失活がなされて得られた第4級ア
    ンモニウム化合物を含有するポリオキシメチレン共重合
    体組成物。
  23. 【請求項23】 更に、酸化防止剤、ホルムアルデヒド
    補足剤、蟻酸中和剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型
    剤、補強剤、導電材、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラスト
    マー、顔料等の配合剤の少なくとも一種以上を添加して
    なる請求項22記載のポリオキシメチレン共重合体組成
    物。
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