JP2000063463A - ポリオキシメチレン共重合体の安定化方法 - Google Patents

ポリオキシメチレン共重合体の安定化方法

Info

Publication number
JP2000063463A
JP2000063463A JP10239430A JP23943098A JP2000063463A JP 2000063463 A JP2000063463 A JP 2000063463A JP 10239430 A JP10239430 A JP 10239430A JP 23943098 A JP23943098 A JP 23943098A JP 2000063463 A JP2000063463 A JP 2000063463A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
polyoxymethylene copolymer
group
quaternary ammonium
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10239430A
Other languages
English (en)
Inventor
Noritaka Tanimura
徳孝 谷村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP10239430A priority Critical patent/JP2000063463A/ja
Publication of JP2000063463A publication Critical patent/JP2000063463A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 不安定な末端部が非常に少なく、色調に優
れ、優れた機械物性と機械物性バランスを持ちながら結
晶化速度の改良された、モールドデポジットの非常に少
ない且つ滞留着色性の改良されたポリオキシメチレン共
重合体を、短時間で且つ簡便に製造することを可能にす
る。 【解決手段】 熱的に不安定な末端部を有するポリオキ
シメチレン共重合体を、式(1)の第4級アンモニウム
化合物とホウ酸化合物の存在下にポリオキシメチレン共
重合体の融点以上260℃以下の温度で熱処理しポリオ
キシメチレン共重合体の安定化を行う。 [R1 2 3 4 + n -n (1) 【効果】 上記の課題を解決すると共に成型性(モール
ドデポジット性)に優れ、ハイサイクル成型が可能。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオキシメチレ
ン共重合体の安定化方法に関する。更に詳しくは、熱的
に不安定な末端部を有するポリオキシメチレン共重合体
を熱処理して安定化する際に、その熱処理を特定の第4
級アンモニウム化合物とホウ酸化合物の存在下で行うポ
リオキシメチレン共重合体の安定化方法に関する。本発
明の安定化方法によって得られるポリオキシメチレン共
重合体は、不安定末端部が殆ど残っておらず熱安定性に
優れている、色調が優れている、機械的強度に優れ且つ
機械的強度のバランスにも優れている、加えて、成型機
内溶融滞留時の着色が少なく、また、結晶化時間が短く
ハイサイクル成形が可能で成型生産性が高い、成形時の
金型付着物(モールドデポジット)が非常に少なく成型
品の表面外観、寸法精度に優れるという多くの利点を有
している。本発明の安定化方法によれば、これらの利点
を同時に満足するポリオキシメチレン共重合体を、短時
間で且つ簡便に製造することが可能となる。
【0002】
【従来の技術】ポリオキシメチレン共重合体は、バラン
スのとれた機械的性質、耐疲労性、耐摩擦・摩耗性、耐
薬品性、及び成型性にすぐれ、自動車、電気・電子機
器、その他精密機械、建材配管等に利用されている。特
に近年は、大型、肉厚の成形部品にも使用される場合が
増えてきており、また、歯車等従来からの使用分野でも
面精度が一層厳しくなってきている。このような部品の
成形に際しては、成形サイクルの短縮による生産性の向
上及び、寸法精度の向上という観点からポリオキシメチ
レン共重合体の結晶化を速めることが好ましい。この点
を改良するために、窒化ホウ素、タルク等の無機粒子を
結晶化促進剤として添加する方法が提案されている。し
かし、これらの方法によっても、工業的に実施する場
合、コストの上昇、機械的強度バランスの悪化が避けら
れず、未だ満足できるものではない。
【0003】また、ポリオキシメチレン共重合体は、ホ
ルムアルデヒド又はその環状三量体であるトリオキサン
等の環状アセタールと、環状エーテル及び環状ホルマー
ルのいずれか又は両方とを共重合することにより製造さ
れる。しかし、このような共重合によって得られるポリ
オキシメチレン共重合体は分子の一部の分子末端に−
(OCH2)n −OH基を持ち、この末端基は熱的に不
安定であるため成形加工時の加熱等により容易に分解
し、多量のホルムアルデヒドを発生し、このままでは実
用に供することはできない。すなわち、多量のホルムア
ルデヒドが発生すると、成型時に樹脂が発泡したり、成
形機内で樹脂が着色したりする。また、ホルムアルデヒ
ド臭が発生しやすくなり、労働環境を悪化させる。ま
た、長時間にわたり成形を行うと金型面内に微粉状物・
タール状物(モールドデポジット)が付着し成型品外観
の悪化を招くと共に寸法精度が低下する等の不都合が生
ずる。更に、発生したホルムアルデヒドは、成形機中の
酸素により酸化されて蟻酸となり、ポリオキシメチレン
共重合体の主鎖分解を促進することになる。
【0004】従って、不安定末端部を持ったポリオキシ
メチレン共重合体の実用に際しては、その不安定末端部
を分解除去した後に使用することになる。不安定末端部
の分解除去方法としては、例えば、ベント付き単軸スク
リュー式押出機やベント付き2軸スクリュー式押出機等
を用いて、アンモニアや、トリエチルアミン、トリブチ
ルアミン等の脂肪族アミン、水酸化カルシウムに代表さ
れるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物・
無機弱酸塩・有機弱酸塩等の不安定末端部を分解するこ
とのできる塩基性物質の存在下に、ポリオキシメチレン
共重合体を溶融し、不安定末端部を分解除去することが
工業的に広く実施されている。しかしながら、かかる処
理を行ったポリオキシメチレン共重合体には、尚熱的に
不安定な末端部が残り、これが成形加工時にモールドデ
ポジットの発生等の好ましからざる現象を引き起こす原
因となっているため、より一層不安定末端部の少ない、
熱的に安定なポリオキシメチレン共重合体を望む声が強
い。
【0005】また、前記方法では、不安定末端部の分解
を促進するためには、前記塩基性物質の添加量を増やす
必要が有った。しかし、脂肪族アミン等を増やしすぎる
とポリマーが着色するという問題が発生する。更に、不
安定末端部を少なくするためには長時間又は複数回の処
理を行う必要が有り、このため、不安定末端部の分解除
去後のポリオキシメチレン共重合体が着色劣化するばか
りでなく、装置が大型化、複雑化するという問題も有っ
た。従って、簡便に不安定末端部の非常に少ないポリオ
キシメチレン共重合体を経済的に得ることができる安定
化方法が切望されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、これ
まで得られなかった、多くの利点を同時に満足する、具
体的には、不安定な末端部が非常に少なく、色調にも優
れた、しかも、優れた機械物性と機械物性バランスを持
ちながら結晶化速度の改良された、モールドデポジット
の非常に少ない且つ滞留着色性の改良されたポリオキシ
メチレン共重合体を、短時間で且つ簡便に製造すること
を可能にするポリオキシメチレン共重合体の安定化方法
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み、優れた機械物性と機械物性バランスを持ちなが
ら結晶化速度が改良された、不安定末端部が非常に少な
く且つ色調並びに滞留着色性の改良されたモールドデポ
ジットの少ないポリオキシメチレン共重合体を得るべく
鋭意研究を行った。その結果、熱処理を極少量の特定の
第4級アンモニウム化合物と少量のホウ酸化合物の存在
下で行うことにより、ポリオキシメチレン共重合体の熱
的に不安定な末端部の飛躍的な除去が実現でき、しかも
上記した不安定末端部の分解に伴う種々の問題を解消で
きると共に、優れた機械物性と機械物性バランスを持ち
ながら結晶化速度の改良された、モールドデポジットの
非常に少ない且つ滞留着色性の改良されたポリオキシメ
チレン共重合体を得られることを見出し本発明を完成す
るに至ったものである。
【0008】即ち本発明は、熱的に不安定な末端部を有
するポリオキシメチレン共重合体を、下記一般式(1)
で表わされる少なくとも一種の第4級アンモニウム化合
物とホウ酸化合物の存在下にポリオキシメチレン共重合
体の融点以上260℃以下の温度で熱処理することを特
徴とする熱的に不安定な末端部を有するポリオキシメチ
レン共重合体の安定化方法である。 [R1 2 3 4 + n -n (1) (式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々独立して、炭
素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル
基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数1〜30の非
置換アルキル基または置換アルキル基が少なくとも1個
の炭素数6〜20のアリール基で置換されたアラルキル
基;又は炭素数6〜20のアリール基が少なくとも1個
の炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキ
ル基で置換されたアルキルアリール基を表わし、非置換
アルキル基または置換アルキル基は直鎖状、分岐状、ま
たは環状である。上記置換アルキル基の置換基はハロゲ
ン、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ
基、又はアミド基である。また、上記非置換アルキル
基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基は
水素原子がハロゲンで置換されていてもよい。nは1〜
3の整数を表わす。Xは水酸基、又は炭素数1〜20の
カルボン酸、水素酸、オキソ酸、無機チオ酸もしくは炭
素数1〜20の有機チオ酸の酸残基を表わす。)
【0009】以下に、本発明を詳細に説明する。まず、
本発明の安定化方法に用いられるポリオキシメチレン共
重合体について説明する。本発明に用いられるポリオキ
シメチレン共重合体としては、特に制限はなく、公知の
方法で重合して得られるポリオキシメチレン共重合体の
いずれであっても良い。例えば、ホルムアルデヒド、又
はその環状三量体であるトリオキサン等の環状アセター
ルと、これと共重合しうる公知のコモノマー、例えば、
環状エーテルや環状ホルマールとを重合触媒を用いて共
重合して得られる、主鎖中に二つ以上の連結炭素原子を
有する共重合体が挙げられる。また、モノ−あるいはジ
−グリシジル化合物等を含む多成分系モノマーを共重合
して得られる多元共重合体や、分子に分岐または架橋構
造を有する共重合体も本発明の方法に用いられるポリオ
キシメチレン共重合体に含まれる。また、オキシメチレ
ン単独重合体にコモノマーを導入して得た共重合体にも
本発明の安定化方法は適用可能である。重合方法として
は、特に制限はないが、例えば、塊状重合を挙げること
ができ、この塊状重合はバッチ式、連続式のいずれであ
ってもよい。この塊状重合は、溶融状態にあるモノマー
を用い、重合の進行とともに固体塊状のポリマーを得る
方法が一般的である。好ましいコモノマーの例の1つと
して、下記式(3)
【0010】
【化1】 〔但し、式中、R5 からR8 は、それぞれ独立して、水
素原子、非置換又は1〜3個のハロゲン原子で置換され
たC1 〜C5 アルキル基を示し、各R9 は、それぞれ独
立して、非置換のメチレン基、1〜2個のC1 〜C5
ルキル基もしくは1〜2個のハロゲン原子で置換されて
いるメチレン基又はオキシメチレン基(この場合、pは
0から3の整数を表わす)、または、次の式(4)もし
くは次の式(5)で表わされる2価の基を表わす(この
場合式(2)のpは1を表わし、式(4)及び(5)の
qは1から4の整数を表わす)。 ―(CH2)q―O―CH2― (4) ―(OCH2CH2)q―O―CH2― (5)〕 で表わされるものを挙げることができる。
【0011】かかるコモノマーとしては、例えばエチレ
ンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,3−ジオキ
ソラン、1,3,5−トリオキセパン、ジエチレングリ
コールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマー
ル、1,3−ジオキサン等が上げられる。中でも好まし
いコモノマーは1,3−ジオキソラン、1,3,5−ト
リオキセパン、1,4−ブタンジオールホルマール等の
環状ホルマールであり、特に好ましくは1,3−ジオキ
ソランである。これらコモノマーの使用量はトリオキサ
ンに対し0.02〜15モル%が好ましく、0.1モル
%〜10モル%が更に好ましい。又、本発明の重合法に
おいて、ポリオキシメチレン共重合体の分子量調節のた
めに、必要ならば適当な分子量調整剤、例えばメチラー
ル等を使用しても良い。
【0012】上記の重合方法における重合触媒として
は、ルイス酸、プロトン酸及びそのエステル又は無水物
等のカチオン活性触媒が好ましい。ルイス酸としては、
例えば、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチ
モンのハロゲン化物が挙げられ、具体的には三フッ化ホ
ウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩
化リン、五フッ化アンチモン及びその錯化合物又は塩が
挙げられる。また、プロトン酸、そのエステルまたは無
水物の具体例としては、パークロル酸、トリフルオロメ
タンスルホン酸、パークロル酸−3級ブチルエステル、
アセチルパークロラート、トリメチルオキソニウムヘキ
サフルオロホスフェート等が挙げられる。中でも、三フ
ッ化ホウ素;三フッ化ホウ素水和物;及び酸素原子又は
硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯
化合物が好ましく、具体的には、三フッ化ホウ素ジエチ
ルエーテル、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテルを
好適例として挙げられる。これら重合触媒の使用量はト
リオキサンと環状エーテル及び/又は環状ホルマールの
合計量1モルに対し1×10-6モル〜1×10-3モルが
好ましく、5×10-6モル〜1×10-4モルが更に好ま
しい。
【0013】本発明のポリオキシメチレン共重合体の安
定化方法は、前記の重合反応によって得られたポリオキ
シメチレン共重合体中に残留している三フッ化ホウ素又
その錯化合物等の重合触媒を失活させた後に行ってもよ
いし、また、重合触媒を失活させずに行ってもよい。更
に、公知の不安定末端部の分解除去処理をを受けたが未
だ不安定な末端部の残留しているポリオキシメチレン共
重合体にも当然適用可能である。重合触媒の失活は、重
合反応によって得られたポリオキシメチレン共重合体
を、アンモニア、トリエチルアミン、トリ−n−ブチル
アミン等のアミン類、又はアルカリ金属もしくはアルカ
リ土類金属の水酸化物、無機酸塩、有機酸塩等の触媒中
和失活剤の少なくとも一種を含む水溶液又は有機溶剤溶
液中に投入し、スラリー状態で一般的には数分〜数時間
攪拌することにより行われる。触媒中和失活後のスラリ
ーはろ過、洗浄により、未反応モノマーや触媒中和失活
剤、触媒中和失活塩が除去された後、乾燥される。
【0014】また、アンモニア、トリエチルアミン等の
蒸気とポリオキシメチレン共重合体とを接触させて重合
触媒を失活させる方法や、ヒンダードアミン類、トリフ
ェニルホスフィン及び水酸化カルシウム等のうちの少な
くとも一種とポリオキシメチレン共重合体とを混合機で
接触させて触媒を失活させる方法も用いることができ
る。また、重合触媒の失活を行わずに、ポリオキシメチ
レン共重合体の融点以下の温度で、不活性ガス雰囲気下
において加熱することによって、重合触媒が揮発低減さ
れたポリオキシメチレン共重合体を用いて本発明の安定
化方法を行っても良い。以上の重合触媒の失活操作及び
重合触媒の揮発低減操作は、必要に応じて、重合反応に
よって得られたポリオキシメチレン共重合体を粉砕した
後行ってもよい。
【0015】このようにして得られたポリオキシメチレ
ン共重合体、又は公知の不安定末端部の分解除去処理を
施したが、未だ不安定な末端部の残留しているポリオキ
シメチレン共重合体に本発明の安定化方法を適用するこ
とにより、不安定な末端部が非常に少なく、色調にも優
れた、しかも、優れた機械物性と機械物性バランスを持
ちながら結晶化速度の改良された、モールドデポジット
の非常に少ない且つ滞留着色性の改良されたポリオキシ
メチレン共重合体を、短時間で且つ簡便に得ることがで
きる。
【0016】まず、本発明の安定化方法に用いられる第
4級アンモニウム化合物について説明する。本発明に用
いる第4級アンモニウム化合物は、前記一般式(1)で
表わされるものであれば特に制限はないが、一般式
(1)におけるR1 、R2 、R3 、及びR4 が、各々独
立して、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数2〜4の
ヒドロキシアルキル基であることが好ましく、この内、
更に、R1 、R2 、R3 、及びR4 の少なくとも1つ
が、ヒドロキシエチル基であるものが特に好ましい。
【0017】具体的には、テトラメチルアンモニウム、
テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウ
ム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、セチルトリメチ
ルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウ
ム、1,6−ヘキサメチレンビス(トリメチルアンモニ
ウム)、デカメチレン−ビス−(トリメチルアンモニウ
ム)、トリメチル−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピ
ルアンモニウム、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)
アンモニウム、トリエチル(2−ヒドロキシエチル)ア
ンモニウム、トリプロピル(2−ヒドロキシエチル)ア
ンモニウム、トリ−n−ブチル(2−ヒドロキシエチ
ル)アンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、
トリエチルベンジルアンモニウム、トリプロピルベンジ
ルアンモニウム、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウ
ム、トリメチルフェニルアンモニウム、トリエチルフェ
ニルアンモニウム、トリメチル−2−オキシエチルアン
モニウム、モノメチルトリヒドロキシエチルアンモニウ
ム、モノエチルトリヒドロキシエチルアンモニウム、オ
クダデシルトリ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウ
ム、テトラキス(ヒドロキシエチル)アンモニウム等
の、水酸化物;塩酸、臭酸、フッ酸などの水素酸塩;硫
酸、硝酸、燐酸、炭酸、ホウ酸、塩素酸、よう素酸、珪
酸、過塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、クロロ硫酸、ア
ミド硫酸、二硫酸、トリポリ燐酸などのオキソ酸塩;チ
オ硫酸などのチオ酸塩;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブ
タン酸、イソ酪酸、ペンタン酸、カプロン酸、カプリル
酸、カプリン酸、安息香酸、シュウ酸などのカルボン酸
塩等が挙げられる。
【0018】中でも、水酸化物(OH- )、硫酸(HS
4 - 、SO4 2-)、炭酸(HCO3 - 、CO3 2-)、
ホウ酸(B(OH)4 - )、カルボン酸の塩が好まし
い。カルボン酸の内、蟻酸、酢酸、プロピオン酸が特に
好ましい。これら第4級アンモニウム化合物は、単独で
用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いても
よい。第4級アンモニウム化合物の添加量は、ポリオキ
シメチレン共重合体に対して、下記式(2)で表わされ
る第4級アンモニウム化合物由来の窒素の量に換算し
て、好ましくは0.05〜50重量ppmである。 P×14/Q (2) 〔式中、Pは第4級アンモニウム化合物のポリオキシメ
チレン共重合体に対する濃度(重量ppm)を表わし、
14は窒素の原子量であり、Qは第4級アンモニウム化
合物の分子量を表わす。〕 第4級アンモニウム化合物の添加量が0.05重量pp
m未満であると不安定末端部の分解除去速度が低下し、
モールドデポジットが悪化する。また、50重量ppm
を超えると不安定末端部の分解除去後のポリオキシメチ
レン共重合体の色調が悪化する。
【0019】本発明に用いるホウ酸化合物としては、オ
ルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等のホウ酸類、三酸
化二ホウ素等の酸化ホウ素類、ホウ酸類の金属塩、脂肪
族・芳香族アルコールとのエステル類などが挙げられ
る。中でも、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、三
酸化二ホウ素、アルカリ金属ホウ酸塩、アルカリ土類金
属ホウ酸塩は効果が高く、好ましく用いられる。これら
のホウ酸化合物は市販品を用いることができ、粒径等に
特に制限はない。これらホウ酸化合物は、単独で用いて
もよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ホウ酸化合物の添加量はポリオキシメチレン共重合体に
対して0.001〜1重量%が好ましく、より好ましく
は0.005〜0.5重量%であり、最も好ましくは
0.01〜0.2重量%である。過少の場合は、優れた
機械物性と機械物性バランスを持ちながら結晶化速度が
改善され且つ滞留着色性も改良されるという本発明の目
的とする効果が充分得られず、また過大であると酸性度
が増しすぎて分子量低下を引き起こす場合が有る。
【0020】本発明においては、第4級アンモニウム化
合物及びホウ酸化合物に加えて、公知の不安定末端部の
分解促進剤であるアンモニアやトエリエチルアミン等の
アミン類等を用いても何ら差し支えない。本発明の重要
な点は、不安定末端部を有するポリオキシメチレン共重
合体を、第4級アンモニウム化合物とホウ酸化合物が共
に存在している状態下で、不安定末端部の分解除去を行
うことである。第4級アンモニウム化合物とホウ酸化合
物のうち、どちらか一方が欠けても本発明の目的として
いる効果を全て同時に満足させることは不可能である。
第4級アンモニウム化合物のみを用いた場合は、不安定
末端部の分解除去、ペレット色調、並びにモールドデポ
ジット性は満足できるものの、機械物性並びに結晶化時
間は満足できるものではない。また、滞留着色性も改善
されない。一方、ホウ酸化合物のみを用いた場合は、ペ
レット色調、機械物性及び機械物性バランス、結晶化時
間、滞留着色性は満足できるものの、不安定末端部の分
解除去並びにモールドデポジット性は満足できるもので
はない。第4級アンモニウム化合物とホウ酸化合物を共
に用いるという本発明の安定化方法によって初めて本発
明の目的とする効果をすべて同時に満足させるポリオキ
シメチレン共重合体が得られるのである。特に、滞留着
色性については、第4級アンモニウム化合物とホウ酸化
合物を同時に用いて安定化を実施するという本発明によ
って初めて達成されたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の安定化方法を具体
例を挙げて説明する。本発明においては、ポリオキシメ
チレン共重合体を溶融させて不安定末端部の分解除去を
行い安定化することが必要である。溶融は、使用する装
置に特に制限はないが例えばベント付き単軸スクリュー
式押出機、ベント付き2軸スクリュー式押出機等によっ
て行われる。また、温度はポリオキシメチレン共重合体
の融点以上260℃以下であり、好ましくは180℃以
上230℃以下である。260℃を超えると、ポリマー
着色の問題、及びポリマー主鎖分解の問題が生ずる場合
が有る。第4級アンモニウム化合物及びホウ酸化合物
は、ポリオキシメチレン共重合体を溶融する前に予め添
加してもよいし、また、溶融させたポリオキシメチレン
共重合体に添加してもよい。溶融前のポリオキシメチレ
ン共重合体に第4級アンモニウム化合物及びホウ酸化合
物を添加する方法としては、例えば、第4級アンモニウ
ム化合物並びにホウ酸化合物を溶解し得る水及び有機溶
剤からなる群より選ばれる少なくとも1つの溶剤、具体
的には水、低級脂肪族アルコール等(例えばメタノー
ル、エタノール)に第4級アンモニウム化合物並びにホ
ウ酸化合物を溶解させた溶液を、ポリオキシメチレン共
重合体に対して0.1〜5重量%添加した後に混合する
ことを挙げることができる。
【0022】この場合、第4級アンモニウム化合物とホ
ウ酸化合物は、それぞれ別の溶液にして各々ポリオキシ
メチレン共重合体に添加することも可能であるし、また
第4級アンモニウム化合物とホウ酸化合物を同じ溶剤に
溶解して溶液とし、この溶液をポリオキシメチレン共重
合体に添加することも可能である。混合は、水平円筒
型、V型、リボン型、パドル型、高速流動型等の一般的
な固体混合機を用いて行ってもよいし、また、第4級ア
ンモニウム化合物及びホウ酸化合物を含有した溶液を、
ポリオキシメチレン共重合体を押出機へ供給するシュー
ト部分に直接添加するか、又は押出機の供給口からポリ
オキシメチレン共重合体が溶融されるまでの間に押出機
本体に直接添加してもよい。以上の第4級アンモニウム
化合物及びホウ酸化合物の添加は、第4級アンモニウム
化合物及びホウ酸化合物を溶液にせずに直接そのまま添
加することももちろん可能である。
【0023】また、溶融前のポリオキシメチレン共重合
体に第4級アンモニウム化合物及びホウ酸化合物を予め
添加する他の方法としては、例えば、第4級アンモニウ
ム化合物及びホウ酸化合物と、水及び前記有機溶剤(例
えばメタノール等の低級脂肪族アルコール)からなる群
から選ばれる少なくとも一種の溶媒との溶液中に、ポリ
オキシメチレン共重合体を投入してスラリーとし、この
スラリーをろ過、乾燥することにより第4級アンモニウ
ム化合物及びホウ酸化合物を、溶融前のポリオキシメチ
レン共重合体に残留させるといった方法を挙げることが
できる。この場合、溶液に用いられる溶媒は、ポリオキ
シメチレン共重合体を溶解しないものが好ましい。この
ような溶媒を用いることによって、ろ過、乾燥等の後処
理を容易に行うことが可能となる。第4級アンモニウム
化合物及びホウ酸化合物の添加量は、前記溶液中の第4
級アンモニウム化合物及びホウ酸化合物の濃度及びろ過
後のポリオキシメチレン共重合体の含液率を制御するこ
とによって特定の添加量となるよう制御できる。
【0024】以上の方法により、所定量の第4級アンモ
ニウム化合物及びホウ酸化合物が添加されたポリオキシ
メチレン共重合体は、そのままで、又は、必要に応じて
乾燥された後、押出機等で溶融され、熱処理に供され
る。溶融時には、従来から公知の不安定末端部の分解促
進剤であるアミン類等、水及びメタノール等の内の少な
くとも一種を添加して安定化してもよいし、また、他に
何も添加せずに熱処理に供してもよい。アミン類等、
水、メタノール等の従来から用いられている分解促進剤
の添加量は、ポリオキシメチレン共重合体100重量部
に対して0.1〜5重量部とすることが好ましい。ま
た、必要に応じて、第4級アンモニウム化合物及びホウ
酸化合物を更に添加してもよい。これらの、アミン類、
水、メタノール、第4級アンモニウム化合物及びホウ酸
化合物等は、各々単独で用いてもよいし、又、2種以上
を組み合わせて用いてもよい。
【0025】一方、ポリオキシメチレン共重合体を溶融
させた後に、第4級アンモニウム化合物及びホウ酸化合
物を溶融状態のポリオキシメチレン共重合体に添加する
方法としては、第4級アンモニウム化合物並びにホウ酸
化合物を溶解し得る水及び有機溶剤からなる群より選ば
れる少なくとも1つの溶剤、具体的には水、低級脂肪族
アルコール等(例えばメタノール、エタノール)に第4
級アンモニウム化合物並びにホウ酸化合物を溶解させた
溶液を添加すること、または、第4級アンモニウム化合
物及びホウ酸化合物と、第4級アンモニウム化合物並び
にホウ酸化合物を溶解し得る水及び有機溶剤からなる群
より選ばれる少なくとも1つの溶剤とを、各々別々に添
加することを挙げることができる。水やメタノール等の
有機溶剤の添加量はポリオキシメチレン共重合体100
重量部に対して0.1〜5重量部添加することが好まし
い。また、第4級アンモニウム化合物及びホウ酸化合物
に加えて、従来から公知のアミン類等を添加してもよ
い。
【0026】本発明の安定化方法において、第4級アン
モニウム化合物及びホウ酸化合物の添加時期について
は、溶融安定化処理を行う前あるいは、溶融安定化処理
中であれば特に問題ない。また、第4級アンモニウム化
合物とホウ酸化合物は同時に添加してもよいし、また、
別々に添加してもよい。例えば、第4級アンモニウム化
合物をポリオキシメチレン共重合体の溶融前に予め添加
しておき、ホウ酸化合物はポリオキシメチレン共重合体
の溶融後に添加することも可能であるし、逆も可能であ
る。また、溶融後にまず第4級アンモニウム化合物を添
加し、その後にホウ酸化合物を添加するといった方法も
可能であるし、逆も可能である。本発明のポリオキシメ
チレン共重合体の安定化方法では、不安定末端部分の分
解除去速度が非常に速いため、1回のみの短時間の処理
で不安定末端部の殆ど残っていない安定なモールドデポ
ジット性に優れたポリオキシメチレン共重合体を得るこ
とができる。同時に得られた共重合体は、色調、及び滞
留着色性に優れ、また、機械物性及び機械物性バランス
にも優れると同時に結晶化時間が短くハイサイクル性に
も優れている。
【0027】以上のように第4級アンモニウム化合物及
びホウ酸化合物を添加して、ポリオキシメチレン共重合
体を溶融させた状態で、ポリオキシメチレン共重合体中
の不安定末端部を分解した後、分解で発生したホルムア
ルデヒドやポリオキシメチレン共重合体中に残存してい
る未反応モノマー等をベントより減圧下除去してペレタ
イズし安定なポリオキシメチレン共重合を得る。このポ
リオキシメチレン共重合体に必要に応じて、熱、光、酸
化等に起因する分解に対する安定剤及びホルムアルデヒ
ド補足剤、蟻酸中和剤、離型剤等の他の添加剤や補強剤
を配合し、押出機等で溶融混錬することにより、最終の
安定なポリオキシメチレン共重合体の製品とする。な
お、本発明の安定化方法において、ベント付きの1軸又
は2軸押出機を用いた場合には、本発明の溶融安定化処
理に続いて、同じ装置内の後半部、好ましくはベント部
以降に安定剤や補強剤を添加して、1回の工程で製品を
製造することもできるし、また、例えばポリオキシメチ
レン共重合体の溶融前に予め安定剤や補強剤を添加して
おいて、本発明の安定化方法と同時に安定剤や補強剤の
溶融混錬処理を実施することも可能である。
【0028】本発明では必ずしも必須とされる成分では
ないが、酸化防止剤を第4級アンモニウム化合物及びホ
ウ酸化合物と併用添加することは、不安定末端部の分解
除去処理時におけるポリオキシメチレン共重合体の酸化
分解を抑制する上で好ましい方法である。この酸化防止
剤としては、立体障害性フェノール化合物、立体障害性
アミン化合物、リン系化合物、硫黄化合物などが使用で
き特に制限はないが、立体障害性フェノール化合物がよ
り効果的である。このような化合物の例を挙げると、立
体障害性フェノール化合物としては、トリエチレングリ
コール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリ
スリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,
2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチル
−フェノール)等が、立体障害性アミン化合物として
は、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,4,6−
トラメチルピペリジン等が、リン系化合物としては、テ
トラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4
−ビスフェニレンホスホナイト、ジステアリルペンタエ
リスリトールジホスファイト等が、硫黄化合物として
は、ジラウリルチオジプロピオネート等である。酸化防
止剤を併用する場合の添加量は、ポリオキシメチレン共
重合体100重量部に対し0.01〜3重量部が好まし
く、特に好ましくは0.03〜1重量部である。0.0
1重量部より過少の場合には、ポリオキシメチレン共重
合体の酸化分解を抑制する効果が小さく、また3重量部
より過大に添加しても増量の影響が見られず経済的にも
不利になる。
【0029】
【実施例】以下実施例及び比較例によって、本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限
定されるものではない。尚、実施例及び比較例中の用
語、及び測定法は以下のとおりである。 <不安定末端部の量(ppm)>窒素気流下において、
200℃、50分間にポリオキシメチレン共重合体から
発生するホルムアルデヒドを水に吸収した後滴定し測定
した。この条件下においては、発生するホルムアルデヒ
ドの殆どはオキシメチレン共重合体の不安定な末端部
〔―(OCH2 n ―OH基〕からの分解による。 <ペレット色調>日本電色工業性のカラーマシンND−
K5型を用いてペレットの黄度(bL値)を測定した。
bL値が小さいほどペレット色調に優れる。 <引張り強度、伸度>ASTM−D638に準じて測定
した。 <結晶化時間>パーキンエルマー社製のDSC−2Cを
用いて測定した。測定条件を以下に示す。
【0030】(測定条件) (1)サンプルを試料台にのせ、温度50℃に設定し
た。 (2)昇温速度320℃/minで200℃まで上げ
た。 (3)この温度で2分間ホールドさせた。 (4)その後、降温速度80℃/minで150℃まで
温度を下げ、その温度でホールドさせた。 (5)(4)の所定温度に下がった時点から結晶による
発熱ピークの頂点までの時間を測定し、この時間を結晶
化時間とした。結晶化時間が短いほどハイサイクル性に
優れる。 <滞留着色性>下記条件で成形された平板のb値を色彩
色差計(ミノルタ製ハンディーカラーCR−200)で
測定した。b値が小さいほど滞留着色性に優れる。
【0031】(成形条件) 成形機:住友重機械工業(株)製 ネスタール射出成形
機 75トン 金型サイズ:流動方向*直角方向*厚み=74*52*
3mm平板 シリンダー温度:200℃ 金型温度:70℃ 成形機
滞留時間:3時間 <モールドデポジット性>ポリオキシメチレン共重合体
ペレットを80℃で5時間乾燥させた後、下記条件で連
続成形し、その後、金型面の状態を肉眼で観察し、表1
記載の基準に従って評価した。 成形条件 成形機:東洋機械金属(株)製 Ti−30G射出成形
機 30トン 金型サイズ:成型品形状 2mm厚平板 シリンダー温度:200℃ 金型温度:30℃ 成形サイクル:射出時間15秒、冷却時間20秒 モールドデポジット性評価基準 評価基準をモールドデポジットの程度に応じてA〜Eの
5段階に分け、次の評価基準によって評価した。 A:10000ショット成形しても金型表面の汚れが確
認できなかった。 B:5000ショット成形すると金型表面にうっすらと
付着しているのが認められた。 C:1000ショット成形すると金型表面にうっすらと
付着しているのが認められた。 D:500ショット成形すると金型表面にうっすらと付
着しているのが認められた。 E:100ショット成形すると金型表面にうっすらと付
着しているのが認められた。 <%、ppm>特に断らない限り、全て重量基準であ
る。 <第4級アンモニウム化合物の種類、ホウ酸化合物の種
類>
【0032】
【表1】
【0033】
【実施例1〜15】熱媒を通すことができるジャケット
付きの2軸パドル型連続重合機を80℃に調整し、12
kg/Hrのトリオキサンと、コモノマーとして1,3
−ジオキソラン444g/Hr(トリオキサン1モルに
対して0.045モル)と、分子量調節剤としてメチラ
ール7.1g/Hr(トリオキサン1モルに対して0.
7×10-3モル)とを連続的に添加した。さらに、重合
触媒として、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテラー
トがトリオキサン1モルに対して1.5×10−5モル
になるように、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテラ
ート1重量%のシクロヘキサン溶液39.6g/Hrを
連続的に添加し重合を行った。重合機から排出されたポ
リオキシメチレン共重合体をトリエチルアミン0.1%
水溶液中に投入し重合触媒の失活を行った。
【0034】失活されたポリオキシメチレン共重合体を
遠心分離機でろ過した後、ろ過後のポリオキシメチレン
共重合体100重量部に対して、第4級アンモニウム化
合物を含有した水溶液1重量部並びにホウ酸化合物を含
有した水溶液1重量部を添加して、均一に混合した後1
20℃で乾燥した。乾燥後のポリオキシメチレン共重合
体の不安定末端部の量は5,000ppmであった。こ
の乾燥後のポリオキシメチレン共重合体100重量部に
対して、酸化防止剤として、2,2’−メチレンビス−
(4−メチル−t−ブチルフェノール)を0.3重量部
添加し、ベント付き2軸スクリュー式押出機に供給し
た。押出機中の溶融しているオキシメチレン共重合体に
必要に応じて水及び/又はトリエチルアミンを添加し、
押出機設定温度200℃、押出機における滞留時間5分
で不安定末端部の分解を行った。不安定末端部の分解さ
れたオキシメチレン共重合体はベント真空度20Tor
rの条件下に脱揮され、押出機ダイス部よりストランド
として押出されペレタイズされた。このペレットにさら
に、ステアリン酸カルシウムを0.15重量部、ナイロ
ン66を0.05重量部混合し、ベント付き単軸押出機
で溶融混錬することにより、最終のポリオキシメチレン
共重合体ペレットを得た。用いた第4級アンモニウム化
合物並びにホウ酸化合物の種類及びポリオキシメチレン
共重合体に対する使用量(第4級アンモニウム化合物は
窒素濃度に換算して示している)、不安定末端部の分解
時に添加した、水、トリエチルアミンの添加量、得られ
た最終のポリオキシメチレン共重合体ペレットの不安定
末端部の量、ペレット色調、引張り強度、引張り伸度、
結晶化時間、滞留着色性、モールドデポジット性を表2
にまとめて示す。
【0035】
【表2】
【0036】
【実施例16〜27】重合触媒の失活までは実施例1〜
15と全く同じ操作を行った。失活されたポリオキシメ
チレン共重合体を遠心分離機でろ過した後、120℃で
乾燥した。乾燥後のポリオキシメチレン共重合体の不安
定末端部の量は5,100ppmであった。乾燥後のポ
リオキシメチレン共重合体100重量部に対して酸化防
止剤として、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−
t−ブチルフェノール)を0.3重量部添加し、ベント
付き2軸スクリュー式押出機に供給した。第4級アンモ
ニウム化合物並びにホウ酸化合物は水溶液として押出機
の溶融しているポリオキシメチレン共重合体100重量
部に対して水溶液3重量部の割合で添加し、押出機の設
定温度200℃、押出機における滞留時間5分で不安定
末端部の分解を行った。不安定末端部の分解されたオキ
シメチレン共重合体はベント真空度20Torrの条件
下に脱揮され、押出機ダイス部よりストランドとして押
出されペレタイズされた。このペレットにさらに、ステ
アリン酸カルシウムを0.15重量部、ナイロン66を
0.05重量部混合し、ベント付き単軸押出機で溶融混
錬することにより、最終のポリオキシメチレン共重合体
ペレットを得た。用いた第4級アンモニウム化合物並び
にホウ酸化合物の種類及びポリオキシメチレン共重合体
に対する使用量(第4級アンモニウム化合物は窒素濃度
に換算して示している)、得られた最終のポリオキシメ
チレン共重合体ペレットの不安定末端部の量、ペレット
色調、引張り強度、引張り伸度、結晶化時間、滞留着色
性、モールドデポジット性を表3にまとめて示す。
【0037】
【表3】
【0038】
【実施例28〜30】コモノマーとしてエチレンオキサ
イド264g/Hr(トリオキサン1モルに対して0.
045モル)、重合触媒として、三フッ化ホウ素ジ−n
−ブチルエーテラートが、トリオキサン1モルに対して
4.5×10-5モルになるように、三フッ化ホウ素ジ−
n−ブチルエーテラート1重量%のシクロヘキサン溶液
118.8g/Hrを連続的に添加し重合を行ったこと
以外は実施例1と全く同じ操作を行った。用いた第4級
アンモニウム化合物並びにホウ酸化合物の種類及びポリ
オキシメチレン共重合体に対する使用量(第4級アンモ
ニウム化合物は窒素濃度に換算して示している)、不安
定末端部の分解時に添加した、水、トリエチルアミンの
添加量、得られた最終のポリオキシメチレン共重合体ペ
レットの不安定末端部の量、ペレット色調、引張り強
度、引張り伸度、結晶化時間、滞留着色性、モールドデ
ポジット性を表4にまとめて示す。
【0039】
【表4】
【0040】
【比較例1〜4】第4級アンモニウム化合物またはホウ
酸化合物のいずれか一方しか用いなかったこと以外は実
施例1〜15と全く同じ操作を行った。用いた第4級ア
ンモニウム化合物またはホウ酸化合物の種類及びポリオ
キシメチレン共重合体に対する使用量(第4級アンモニ
ウム化合物は窒素濃度に換算して示している)、不安定
末端部の分解時に添加した、水、トリエチルアミンの添
加量、得られた最終のポリオキシメチレン共重合体ペレ
ットの不安定末端部の量、ペレット色調、引張り強度、
引張り伸度、結晶化時間、滞留着色性、モールドデポジ
ット性を表5にまとめて示す。表2と表5の比較から、
ポリオキシメチレン共重合体の熱安定性、色調、機械的
強度、ハイサイクル性、滞留着色性、成形性(モールド
デポジット性)をすべて同時に満足するためには、第4
級アンモニウム化合物とホウ酸化合物を同時に用いるこ
とが必須であることがわかる。
【0041】
【表5】
【0042】
【比較例5〜9】比較例5〜6は第4級アンモニウム化
合物に変えて、トリエチルアミンを用いたこと以外は実
施例16〜27と全く同じ操作を行った。比較例7は比
較例6においてホウ酸化合物の添加を行わなかった。比
較例8は比較例6においてホウ酸化合物に変えて窒化ホ
ウ素を用いた。比較例9は比較例5〜6においてトリエ
チルアミンに変えて水酸化カルシウムを用いた。用いた
トリエチルアミン、水酸化カルシウムの使用量(トリエ
チルアミンは窒素濃度に換算して示している)及びホウ
酸化合物の種類とそのポリオキシメチレン共重合体に対
する使用量、並びに窒化ホウ素の使用量、得られた最終
のポリオキシメチレン共重合体ペレットの不安定末端部
の量、ペレット色調、引張り強度、引張り伸度、結晶化
時間、滞留着色性、モールドデポジット性を表6にまと
めて示す。表3と表6の比較から、従来用いられていた
ものに変えて、第4級アンモニウム化合物とホウ酸化合
物を同時に用いることによって、従来得られなかった効
果、つまり、ポリオキシメチレン共重合体の熱安定性、
色調、機械的強度、ハイサイクル性、滞留着色性、成形
性(モールドデポジット性)をすべて同時に満足するこ
とが初めて可能になったことがわかる。
【0043】
【表6】
【0044】
【発明の効果】実施例及び比較例からも明らかなよう
に、本発明の安定化方法によれば、従来の方法と比較し
て、得られるポリオキシメチレン共重合体の不安定末端
部が非常に少なく成型性(モールドデポジット性)に優
れている。同時に、ポリマーの色調、滞留着色性に優
れ、更に機械物性及び機械物性バランスにも優れると共
に結晶化速度が速くハイサイクル成型が可能である。本
発明の安定化方法により、このような多くの利点を同時
に有するポリオキシメチレン共重合体を、簡便にごく短
時間で、且つ経済的に製造できる。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱的に不安定な末端部を有するポリオキ
    シメチレン共重合体を、下記一般式(1)で表わされる
    少なくとも一種の第4級アンモニウム化合物とホウ酸化
    合物の存在下にポリオキシメチレン共重合体の融点以上
    260℃以下の温度で熱処理することを特徴とする熱的
    に不安定な末端部を有するポリオキシメチレン共重合体
    の安定化方法。 [R1 2 3 4 + n -n (1) (式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々独立して、炭
    素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキル
    基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数1〜30の非
    置換アルキル基または置換アルキル基が少なくとも1個
    の炭素数6〜20のアリール基で置換されたアラルキル
    基;又は炭素数6〜20のアリール基が少なくとも1個
    の炭素数1〜30の非置換アルキル基または置換アルキ
    ル基で置換されたアルキルアリール基を表わし、非置換
    アルキル基または置換アルキル基は直鎖状、分岐状、ま
    たは環状である。上記置換アルキル基の置換基はハロゲ
    ン、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ
    基、又はアミド基である。また、上記非置換アルキル
    基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基は
    水素原子がハロゲンで置換されていてもよい。nは1〜
    3の整数を表わす。Xは水酸基、又は炭素数1〜20の
    カルボン酸、水素酸、オキソ酸、無機チオ酸もしくは炭
    素数1〜20の有機チオ酸の酸残基を表わす。)
  2. 【請求項2】 第4級アンモニウム化合物並びにホウ酸
    化合物が、オキシメチレン共重合体に対して、下記の濃
    度で用いられていることを特徴とする請求項1記載のポ
    リオキシメチレン共重合体の安定化方法。第4級アンモ
    ニウム化合物:式(2)で表わされる第4級アンモニウ
    ム化合物由来の窒素の量に換算して、0.05〜50重
    量ppm P×14/Q (2) 〔式中、Pは第4級アンモニウム化合物のオキシメチレ
    ン共重合体に対する濃度(重量ppm)を表わし、14
    は窒素の原子量であり、Qは第4級アンモニウム化合物
    の分子量を表わす。〕 ホウ酸化合物:0.001〜1重量%
  3. 【請求項3】 熱処理の温度が、180℃以上230℃
    以下であることを特徴とする請求項1または2記載のポ
    リオキシメチレン共重合体の安定化方法。
  4. 【請求項4】 第4級アンモニウム化合物並びにホウ酸
    化合物が、これら化合物を溶解し得る水及び有機溶剤か
    らなる群より選ばれる少なくとも1つの溶剤に溶解させ
    た溶液の状態で用いられることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載のポリオキシメチレン共重合体の安
    定化方法。
  5. 【請求項5】 オキシメチレンン共重合体が、トリオキ
    サンを主モノマーとし、環状エーテル及び環状ホルマー
    ルよりなる群から選ばれる少なくとも1種をコモノマー
    として、少なくとも1種のカチオン活性触媒を用いて共
    重合することにより得られたものであることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載のポリオキシメチレン
    共重合体の安定化方法。
  6. 【請求項6】 環状ホルマールが、1,3−ジオキソラ
    ンであることを特徴とする請求項5に記載のポリオキシ
    メチレン共重合体の安定化方法。
  7. 【請求項7】 一般式(1)におけるXが、水酸基、ま
    たは炭酸、硼酸、硫酸、カルボン酸の酸残基であること
    を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリオキ
    シメチレン共重合体の安定化方法。
  8. 【請求項8】 カルボン酸が、蟻酸、酢酸及びプロピオ
    ン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であること
    を特徴とする請求項7記載のポリオキシメチレン共重合
    体の安定化方法。
  9. 【請求項9】 一般式(1)におけるR1 、R2
    3 、及びR4 が、各々独立して、炭素数1〜5のアル
    キル基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基である
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリ
    オキシメチレン共重合体の安定化方法。
  10. 【請求項10】 一般式(1)におけるR1 、R2 、R
    3 、及びR4 の少なくとも1つが、ヒドロキシエチル基
    であることを特徴とする請求項9に記載のポリオキシメ
    チレン共重合体の安定化方法。
  11. 【請求項11】 ホウ酸化合物が、オルトホウ酸、メタ
    ホウ酸、四ホウ酸、三酸化二ホウ素、アルカリ金属ホウ
    酸塩、アルカリ土類金属ホウ酸塩から選ばれた少なくと
    も1種であることを特徴とする請求項1〜10のいずれ
    かに記載のポリオキシメチレン共重合体の安定化方法。
  12. 【請求項12】 第4級アンモニウム化合物及びホウ酸
    化合物に加えて、酸化防止剤をポリオキシメチレン共重
    合体100重量部に対して0.01〜3重量部添加する
    ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のポ
    リオキシメチレン共重合体の安定化方法。
  13. 【請求項13】 酸化防止剤が、ポリオキシメチレン共
    重合体100重量部に対して0.03〜1重量部添加さ
    れていることを特徴とする請求項12に記載のポリオキ
    シメチレン共重合体の安定化方法。
  14. 【請求項14】 酸化防止剤が立体障害性フェノール化
    合物であることを特徴とする請求項12または13に記
    載のポリオキシメチレン共重合体の安定化方法。
JP10239430A 1998-08-12 1998-08-12 ポリオキシメチレン共重合体の安定化方法 Pending JP2000063463A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10239430A JP2000063463A (ja) 1998-08-12 1998-08-12 ポリオキシメチレン共重合体の安定化方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10239430A JP2000063463A (ja) 1998-08-12 1998-08-12 ポリオキシメチレン共重合体の安定化方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000063463A true JP2000063463A (ja) 2000-02-29

Family

ID=17044667

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10239430A Pending JP2000063463A (ja) 1998-08-12 1998-08-12 ポリオキシメチレン共重合体の安定化方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000063463A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010265467A (ja) * 1999-09-13 2010-11-25 Asahi Kasei Chemicals Corp ポリアセタールコポリマーの製造方法
WO2015128550A1 (en) * 2014-02-28 2015-09-03 Teknologian Tutkimuskeskus Vtt Oy Deep eutectic solvents and their use

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010265467A (ja) * 1999-09-13 2010-11-25 Asahi Kasei Chemicals Corp ポリアセタールコポリマーの製造方法
WO2015128550A1 (en) * 2014-02-28 2015-09-03 Teknologian Tutkimuskeskus Vtt Oy Deep eutectic solvents and their use

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5269299B2 (ja) 安定化ポリアセタール樹脂の製造方法、安定化ポリアセタール樹脂、組成物及び成形体
JP5354050B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物
JP5079265B2 (ja) 安定化ポリアセタール樹脂の製造方法
US6365655B1 (en) Process for stabilizing oxymethylene copolymer
JP2006111874A (ja) ポリアセタール樹脂組成物
EP1881018A1 (en) Treating agent for decomposing unstable terminal group, stabilized polyacetal resin produced with the same, production process, composition, and molded object
WO2005040275A1 (ja) ポリアセタール樹脂組成物及びその成形品
JP2006257166A (ja) 不安定末端基分解処理剤、それを用いた安定化ポリアセタール樹脂、製造方法、組成物及び成形体
WO2017159602A1 (ja) オキシメチレン共重合体の製造方法
JP4889999B2 (ja) 不安定末端基分解処理剤及びそれを用いた安定化ポリアセタール樹脂の製造方法
JP3808101B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物
JP5031196B2 (ja) 不安定末端基分解処理剤を用いた、安定化ポリアセタール樹脂の製造方法
US20080097012A1 (en) Polyoxymethylene Resin Composition Having An Excellent Heat Stability
KR102210354B1 (ko) 폴리옥시메틸렌 수지 조성물의 제조방법
KR900000374B1 (ko) 트리옥산 공중합체의 제조방법
JP2001234025A (ja) ポリアセタール樹脂組成物
JP5031198B2 (ja) 不安定末端基分解処理剤を用いた、安定化ポリアセタール樹脂の製造方法
JP2000119357A (ja) ポリオキシメチレン共重合体の製造方法及びポリオキシメチレン共重合体組成物
WO2018021526A1 (ja) 第4級アンモニウム化合物及びこれを利用したポリアセタールからの揮発性有機化合物の発生抑制
JP2000063464A (ja) ポリオキシメチレン共重合体の安定化方法
WO1995027747A1 (fr) Procede d'obtention d'un copolymere d'aldehyde formique stabilise
JP2000063463A (ja) ポリオキシメチレン共重合体の安定化方法
JP2000159850A (ja) ポリアセタールコポリマー及びその組成物
JP4936432B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物の製造方法
JP5810649B2 (ja) 樹脂組成物および成形体