JP4889999B2 - 不安定末端基分解処理剤及びそれを用いた安定化ポリアセタール樹脂の製造方法 - Google Patents

不安定末端基分解処理剤及びそれを用いた安定化ポリアセタール樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ベタイン、ベタイン誘導体、アミンオキシド及び/又はヒドラジニウム塩からなる不安定末端基分解処理剤、該分解処理剤の存在下に熱処理して、不安定末端基を低減させる安定化ポリアセタール樹脂の製造方法、得られた安定化ポリアセタール樹脂、その組成物及び成形体に関する。
ポリアセタール樹脂は機械的性質、耐薬品性、摺動性等のバランスに優れ、且つ、その加工が容易であることにより代表的なエンジニアリングプラスチックとして、電気・電子部品、自動車部品、その他の各種機械部品等を中心として広く利用されている。
ポリアセタール樹脂にはホモポリマーとコポリマーがあり、前者はホルムアルデヒド又はその環状多量体を原料として、後者はホルムアルデヒド又はその環状多量体を主モノマーとして環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマーとして、触媒の存在下で重合して製造される。しかし、得られるポリアセタール樹脂には、一部の分子末端がヘミアセタール基やホルミル基であるため、熱的に不安定であり、成形時に熱分解してホルムアルデヒドを発生し、環境上問題になる他、発生したホルムアルデヒドが、成形中に酸化されて蟻酸となりポリアセタール樹脂を分解させたり、成形品が発泡したり、ガス抜けによるシルバーラインが発生したりする問題が生じる。
このような熱的に不安定な末端基を有するポリアセタール樹脂を安定化する方法としては、末端をアセチル化、エーテル化、又はウレタン化する方法や、不安定末端部を分解する方法等が知られており、コポリマーでは、不安定末端基を分解して安定化する方法が用いられている。
不安定末端基を分解する方法として各種の方法が知られている。
特公昭40−10435号公報には粗ポリアセタール樹脂を不溶性の媒体中で直接加熱処理する方法が開示されている(特許文献1参照)。
しかし、この方法では不安定な末端基の分解速度を上げるためにポリアセタール樹脂の融点に近い温度で操作する必要があるとともに、長時間の処理が必要であった。
特開昭60−63216号公報には、粗ポリアセタール樹脂を、安定剤及び/又はアルカリ性物質を添加して、溶融処理した後に、不溶性の媒体中で80℃以上で加熱処理する方法が開示されている(特許文献2参照)。
しかし、この方法では、不安定末端基の残存量が多いという問題がある。
従来、不安定末端基の分解を促進させるために、アンモニア;トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリエタノールアミン等の脂肪族アミン;水酸化テトラブチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、無機弱酸塩または有機酸塩等の存在下に不安定末端部の分解を行うことは公知である。
英国特許1034282号公報には、粗ポリアセタール共重合体を、水酸化テトラブチルアンモニウムなどの水酸化テトラアルキルアンモニウムの共存下、溶媒中で加熱溶解処理して、重合体の不安定末端部を除去した安定化ポリアセタール共重合体を得る方法が開示されている。(特許文献3参照)
この方法では水酸化四級アンモニウムの粗ポリアセタール共重合体に対する、不安定末端分解処理剤としての有効性を示している。しかしながら、水酸化四級アンモニウムは強塩基であり、ハンドリング性、安定化後の重合体の色相に課題がある。さらには、本特許には水酸化四級アンモニウム以外の四級アンモニウム塩は開示されていない。
特開昭57−55916号公報には、ルイス酸を重合触媒としてポリオキシメチレンホモポリマーと環状ホルマールを共重合して粗ポリアセタール共重合体を得る方法が開示されている。その中で、アミンや四級アンモニウム塩などの塩基性物質を加えて反応を終了した後、重合体を水などと共に加熱して、安定化ポリアセタール共重合体を得る方法が記載されている。(特許文献4参照)
しかし、この方法では、四級アンモニウム塩の不安定末端分解処理剤としての有効性を示しているが、四級アンモニウム塩の具体的な物質は例示されていない。
特開昭59−159812号公報には、ルイス酸を重合触媒としてトリオキサンと環状エーテルを重合して粗ポリアセタール共重合体を得るトリオキサンの連続重合法が開示されている。その中で、ルイス酸をアミンや四級アンモニウム塩などの塩基性物質で中和・失活した後、重合体を水などと共に加熱して、重合体の不安定末端部を除去した安定化ポリアセタール共重合体を得る方法が記載されている。(特許文献5参照)
この方法では、四級アンモニウム塩の不安定末端分解処理剤としての有効性を示しているが、四級アンモニウム塩の詳細な物質構造は示されていない。
日本国特許第3087912号には、熱的に不安定な末端部を有するオキシメチレン共重合体を、一般式[R1R2R3R4N+]n X-n で表される特定の第四級アンモニウム塩の存在下に熱処理するオキシメチレン共重合体の安定化方法が開示されている(特許文献6参照)。
上記特許に記載された四級アンモニウム塩における対アニオン種としては、脂肪族カルボン酸などの特定の酸性化合物が例示されている。特に、好ましい対アニオン種にはギ酸及び酢酸などの低級脂肪酸が実施例に挙げられている。上記四級アンモニウム塩は、有効な不安定末端分解促進剤の一群であり不安定末端基の分解効率は良い。しかし、対アニオンの典型的な構成成分である低級脂肪酸は酸根として、重合体中に相当量残存するため、酸としての安全性に加え、安定化処理後の重合体の臭気や、特に、ギ酸根では重合体自体の熱安定性に悪影響を与える。さらに、当該特許の四級アンモニウム塩は、ポリカーボネート樹脂などの他樹脂と共存する場合に、他樹脂の劣化を著しく促進する。
特開平10−324790号公報には、優れた耐ヒートエージング特性と機械的強度を兼備したポリアセタール樹脂組成物を提供するために、(A) ポリアセタール樹脂100重量部に、(HO)n-R-(SO3M)mで示される(B)スルホン酸化合物 0.001〜2重量部を配合してなるポリアセタール樹脂組成物が開示されている。但し、nは1から3より選ばれる整数。mは1から3より選ばれる整数。Rは炭素数1〜30のアルキレン基またはエーテル結合を1つ以上含む炭素数2〜30のアルキレン基。Mはリチウム、ナトリウム、カリウム、バリウム、カルシウム、テトラアルキルホスホニウム、テトラアルキルアンモニウムより選ばれる元素または基である(特許文献7参照)。
しかし、この技術では不安定末端基の残存量及び特定のスルホン酸の四級アンモニウム塩以外に付いては何も記載されていない。
このように、種々の従来の技術では、不安定末端基の残存量の低下が不十分であったり、あるいはバランスのとれた分解処理剤が見あたらなかったり、分解処理剤によっては安全性や分解処理方法や設備に好ましくない制限があった。
特公昭40−10435号公報(特許請求の範囲) 特開昭60−63216号公報(特許請求の範囲1〜9) 英国特許1034282号公報(特許請求項の範囲、実施例8) 特開昭57−55916号公報(6ページ、下段左15行〜下段右3行) 特開昭59−159812号公報(5ページ、下段左、5〜12行) 日本国特許第3087912号(特許請求の範囲1〜22、第11欄32〜50行、実施例1〜148) 特開平10−324790号公報(特許請求の範囲1、段落0006)
本発明の目的は、不安定末端基の残存量を十分に低下させること、あるいは、処理方法や設備や使用量に制限が生じにくく、得られたポリアセタール樹脂もしくはその成形品に他樹脂の劣化を生じたりしない不安定末端基分解処理剤を見出すことである。
本発明者は、ヘミアセタール基やホルミル基のような不安定末端基を有するポリアセタール樹脂を、ベタイン、ベタイン誘導体、アミンオキシド及び/又はヒドラジニウム塩からなる不安定末端基分解処理剤の存在下に熱処理することにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、不安定末端基を有するポリアセタール樹脂を、ベタイン、ベタイン誘導体、アミンオキシドおよびヒドラジニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の不安定末端分解処理剤の存在下に、熱処理して不安定末端基を低減させる安定化ポリアセタール樹脂の製造方法を提供する。
本発明によれば、特定の不安定末端基分解処理剤によって、ポリアセタール樹脂の不安定末端基の残存量を十分に低下させることができる。また、本発明の不安定末端基分解処理剤は、安全性が高く、分解処理方法や設備や使用量に好ましくない制限が生じにくい。さらには、得られたポリアセタール樹脂もしくはその成形品にポリカーボネート樹脂などの他樹脂との共存下における劣化着色等が生じなくなった。
ポリアセタール樹脂
本発明に用いるポリアセタール樹脂は、その基本的な分子構造が特に限定されるものではなく、ホルムアルデヒド、又はその環状三量体であるトリオキサン等の環状アセタールを重合して得られるオキシメチレンユニットを主たる構成単位としてエチレンオキシド、プロピレンオキシド、スチレンオキシド、オキセタン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,3,5−トリオキセパン、1,3−ジオキサン等のコモノマー成分を含むコポリマー、また、1〜4個のグリシジル基を有する化合物(エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、グリセリンモノ〜トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンモノ〜トリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールモノ〜テトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールモノ〜ヘキサグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)テトラメチレングリコールジグリシジルエーテルなど)等を含む多成分系モノマーを共重合して得られる多元共重合体や、分岐・架橋構造を有する多元共重合体(特にターポリマー)、ブロック成分を導入したもの等、従来公知の全てのポリアセタール樹脂が包含されるが、好ましくはコポリマー又はターポリマーである。
コモノマーの含有率はトリオキサンに対し、好ましくは0.01〜20モル%、さらに好ましくは0.1〜18モル%である。
上記原料からポリアセタール樹脂を製造する場合の重合触媒としては、ルイス酸、プロトン酸、及びその金属塩、エステル又は無水物等のカチオン活性重合触媒等が挙げられる。ルイス酸としては、例えば、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハロゲン化物が挙げられ、具体的には三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモン及びその錯化合物又は塩が挙げられる。また、プロトン酸、及びその金属塩、エステルまたは無水物の具体例としては、パークロル酸、(無水)トリフルオロメタンスルホン酸などの(無水)パーフルオロアルカンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸メチルなどのパーフルオロアルカンスルホン酸エステル、トリフルオロメタンスルホン酸のスカンジウム塩、イットリウム塩、ランタン塩などのパーフルオロアルカンスルホン酸の希土類金属塩、ビス(アセチルアセトン)銅、トリス(アセチルアセトン)コバルトなどのβ−ジケトンの金属塩、トリメチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェート、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、シリコモリブデン酸、シリコタングステン酸などのヘテロポリ酸、イソポリモリブデン酸、イソポリタングステン酸、イソポリバナジウム酸などのイソポリ酸等が挙げられる。中でも、三フッ化ホウ素;三フッ化ホウ素水和物;酸素原子または硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物;トリフルオロメタンスルホン酸;及びヘテロポリ酸が好ましく、具体的には、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテル、トリフルオロメタンスルホン酸、リンモリブデン酸、リンタングステン酸を好適例として挙げることができる。
これらの重合触媒の使用量はトリオキサンと環状エーテルの合計量に対し好ましくは1×10-6〜1×10-1モル%、さらに好ましくは5×10-6〜1×10-2モル%である。
重合方法としては、特に制限はなく、バッチ式、連続式のいずれであってもよく、また、塊状重合が好ましい。
また、その分子量、或いは溶融粘度は、溶融成形可能なものであれば、何ら限定されるものではない。
ポリアセタール樹脂の不安定末端基とは、ヘミアセタール末端基(=ヘミホルマール基(-O-CH2OH))、ホルミル末端基(=ホルミルオキシ基(-OCHO))である。
なお、安定末端基とはメトキシ基(−OCH3)等のアルコキシ基、ヒドロキシエチル基(-CH2CH2OH)、ヒドロキシブチル基(-CH2CH2CH2CH2OH)等の炭素数2以上のヒドロキシアルキル基である。
メトキシ基は、例えば重合段階で添加される分子量調整剤であるホルマール、代表的にはメチラール(=メチレンジメチルエーテル)により形成される。
炭素数2以上の末端ヒドロキシアルキル基は、コモノマーとして用いる環状エーテル又は環状ホルマールに由来し、以下のような過程で形成される。即ち、環状エーテル又は環状ホルマールに由来するオキシアルキレン基がオキシメチレン単位の繰返し中に挿入されたポリアセタール樹脂を重合した際に、まず、原料中の微量な水等により重合が停止して、ヘミアセタール末端基が生成する。ヘミアセタール末端基を有するポリアセタール樹脂を、トリエチルアミン水溶液のようなアルカリ性物質水溶液の存在下で加熱処理すると、不安定末端基が分解する。この分解が、末端から主鎖中へ向かって進行し、炭素数2以上のオキシアルキレン単位の部位に到達すると、その部位のオキシアルキレン単位はヒドロキシアルキル基の安定末端に変わる。
不安定末端基としてヘミアセタール末端基が多く残存すると、安定剤のコンパウンド時や成形時の加熱によりヘミアセタール末端基より次々にホルムアルデヒドが脱離して、ホルムアルデヒドを発生する。
また、ホルミル末端基が多く残存すると、加工条件が厳しい安定剤のコンパウンド時や成形時の加熱により分解してヘミアセタール末端基となり、上記のようにホルムアルデヒドを発生する。
本発明により得られる安定化ポリアセタール樹脂は、ヘミアセタール末端基の含有量が、1.0mmol/kg以下、好ましくは0.9mmol/kg以下、さらに好ましくは0.8mmol/kg以下、特に好ましくは0.7mmol/kg以下であり、ホルミル末端基量が1.2mmol/kg以下、好ましくは1.0mmol/kg以下、さらに好ましくは0.8mmol/kg以下であり、両者の合計が2.0mmol/kg以下、好ましくは1.8mmol/kg以下、さらに好ましくは1.6mmol/kg以下である。
不安定末端基分解処理剤
本発明において、不安定末端基を低減させるために用いる不安定末端分解処理剤(以下、誤解を生じない範囲で分解処理剤と略称する場合がある。)は、ベタイン、ベタイン誘導体、アミンオキシドおよびヒドラジニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、具体的には下記一般式(1)で示されるベタイン、アミンオキシド、ヒドラジニウム塩および下記一般式(2)で示されるベタイン誘導体から選ばれるものである。
(R1R2R3N+-R4-)nYn- (1)
(上記(1)式中、R1、R2、R3は、各独立に、下記置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。該炭化水素基は直鎖または分岐アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルキルアリール基であるか、あるいは、R1およびR2が、もしくはR1、R2、R3が、N+原子とともに多重結合、複素環もしくは芳香族複素環を形成するアルキリデン基、(ジ)アリールアルキリデン基、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、又はアルキルアリーレン基であり、アルキリデン基、(ジ)アリールアルキリデン基はオキシ基、チオ基、イミノ基、ニトリロ基を有していてもよい。R4は、直接結合、イミノアルキレン基又は下記置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、アルキルアリーレン基又は(ポリ)アルキレンオキシ基である。
置換基:水酸基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、ビニル基、アリル基、ヒドロキシアルキルオキシ基、アルコキシアルキルオキシ基、及び/又はハロゲン原子。
Yn-は分子内の対アニオンであり、下記(i)〜(v)からなる群から選ばれた少なくとも一種である。nは1以上の整数を表わす。n個の[R1R2R3R4N+]は互いに異なってもよい。
(i)カルボキシルアニオン(カルボキシラト基)、または、オキシカルボキシルアニオン(オキシカルボキシラト基)、
(ii)スルホン酸類もしくはスルフィン酸類のアニオン(スルホナト基もしくはスルフィナト基)、
(iii)リン酸類、ホスホン酸類もしくはホスフィン酸類のアニオン、または、リン酸類もしくはホスホン酸類の部分エステルもしくは部分塩のアニオン
(iv)アミニルアニオン
(v)オキシドアニオン
X--R1R2R3N+-R4-Y-・1/mMm+ (2)
(上記(2)式中、R1、R2、R3、R4及びY-は、式(1)の場合と同じである。mは1〜4の整数である。X-はOH-、無機酸残基および有機酸残基から選ばれたアニオン性残基である。Mm+は、プロトン、四級であってもよいアンモニウムおよびm価の金属イオンから選ばれたカチオン性残基である。)
より具体的には、不安定末端分解処理剤として、四級アンモニウムのカルボキシレート分子内塩、四級アンモニウムのカーボネート分子内塩、四級アンモニウムのオキシド分子内塩、四級アンモニウムのスルホネート分子内塩、四級アンモニウムのホスホネート分子内塩、四級アンモニウムのオキシド分子内塩、四級アンモニウムのアミニル分子内塩、ピリジニウムのカルボキシレート分子内塩、イミダゾリウムのカルボキシレート分子内塩、アルキルアミンオキシド、ニトロン及びアルキルヒドラジウム及びそれらの誘導体[例えば、水和物、(四級)アンモニウム塩、プロトン酸塩、アルカリ(土類)金属塩等]等が挙げられ、これらは二種以上混合して用いることができる。
例えば、グリシンベタイン、グリシンベタインのアンモニウム塩、グリシンベタインのテトラメチルアンモニウム塩、グリシンベタインのコリン塩、グリシンベタインの(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウム塩、グリシンベタインのナトリウム塩、グリシンベタインのマグネシウム塩、グリシンベタインのカルシウム塩、γ−ブチロベタイン、水酸化(2−カルボキシオキシエチル)トリメチルアンモニウムの分子内塩、β−アラニンベタイン、D及び/又はL−アラニンベタイン、D及び/又はL−フェニルアラニンベタイン、D及び/又はL−グルタミン酸ベタイン、D及び/又はL−バリンベタイン、D及び/又はL−リシンベタイン、D及び/又はL−オルチニンベタイン、D及び/又はL−ホモセリンベタイン、クロトノベタイン、D及び/又はL−カルニチン、D及び/又はL−カルニチンのアンモニウム塩、D及び/又はL−カルニチンのコリン塩、D及び/又はL−カルニチンの(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウム塩、D及び/又はL−カルニチンのナトリウム塩、D及び/又はL−カルニチンのマグネシウム塩、D及び/又はL−カルニチンのカルシウム塩、D及び/又はL−カルニチン・マグネシウム・クエン酸塩、D及び/又はL−カルニチン・カルシウム・クエン酸塩、水酸化(カルボキシメチル)(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムの分子内塩、水酸化(2−カルボキシエチル)(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムの分子内塩、水酸化(2−カルボキシエチル)(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムの分子内塩、水酸化(2−カルボキシエチル)(2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアンモニウムの分子内塩、水酸化(2−カルボキシエチル)ビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムの分子内塩、水酸化(3−カルボキシプロピル)(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムの分子内塩、水酸化(3−カルボキシプロピル)ビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムの分子内塩、水酸化(2−カルボキシエチル)トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムの分子内塩、水酸化(3−カルボキシプロピル)トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムの分子内塩、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、水酸化(2−カルボキシオキシエチル)トリメチルアンモニウム及びその分子内塩[別名:水酸化(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムの環状カーボネート]、水酸化(1−メチル−2−カルボキシオキシエチル)トリメチルアンモニウム及びその分子内塩、水酸化(2−カルボキシオキシプロピル)トリメチルアンモニウム及びその分子内塩、水酸化(3−カルボキシオキシプロピル)トリメチルアンモニウム及びその分子内塩、水酸化(2−カルボキシオキシエチル)トリエチルアンモニウム及びその分子内塩[別名:水酸化(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムの環状カーボネート]、水酸化(1−メチル−2−カルボキシオキシエチル)トリエチルアンモニウム及びその分子内塩、水酸化(2−カルボキシオキシプロピル)トリエチルアンモニウム及びその分子内塩、水酸化(3−カルボキシオキシプロピル)トリエチルアンモニウム及びその分子内塩、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ酸アミドプロピルベタイン、水酸化N−メチル−N−(カルボキシメチル)ピロリジニウムの分子内塩、水酸化N−メチル−N−(2−カルボキシエチル)ピロリジニウムの分子内塩、水酸化N−メチル−N−(3−カルボキシプロピル)ピロリジニウムの分子内塩、水酸化N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−カルボキシエチル)ピロリジニウムの分子内塩、水酸化N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(3−カルボキシプロピル)ピロリジニウムの分子内塩、水酸化N−メチル−N−(カルボキシメチル)ピペリジニウムの分子内塩、水酸化N−メチル−N−(2−カルボキシエチル)ピペリジニウムの分子内塩、水酸化N−メチル−N−(3−カルボキシプロピル)ピペリジニウムの分子内塩、水酸化N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−カルボキシエチル)ピペリジニウムの分子内塩、水酸化N,N’−ジメチル−N−(カルボキシメチル)ピペラジニウムの分子内塩、水酸化N,N’−ジメチル−N−(2−カルボキシエチル)ピペラジニウムの分子内塩、水酸化N,N’−ジメチル−N−(3−カルボキシプロピル)ピペラジニウムの分子内塩、水酸化N,N’−ジメチル−N,N’−ビス(カルボキシメチル)ピペラジニウムの分子内塩、水酸化N,N’−ジメチル−N,N’−ビス(2−カルボキシエチル)ピペラジニウムの分子内塩、水酸化N,N’−ジメチル−N,N’−ビス(3−カルボキシプロピル)ピペラジニウムの分子内塩、水酸化N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−(カルボキシメチル)ピペラジニウムの分子内塩、水酸化N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−カルボキシエチル)ピペラジニウムの分子内塩、水酸化N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−(3−カルボキシプロピル)ピペラジニウムの分子内塩、水酸化N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(カルボキシメチル)ピペラジニウムの分子内塩、水酸化N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(2−カルボキシエチル)ピペラジニウムの分子内塩、水酸化N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(3−カルボキシプロピル)ピペラジニウムの分子内塩、水酸化1−カルボキシメチル−1−アザビシクロ[2,2,2]オクタンの分子内塩、水酸化1−(2−カルボキシエチル)−1−アザビシクロ[2,2,2]オクタンの分子内塩、水酸化1−(3−カルボキシプロピル)−1−アザビシクロ[2,2,2]オクタンの分子内塩、水酸化1−カルボキシメチル−1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン−3−オールの分子内塩、水酸化1−(2−カルボキシエチル)−1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン−3−オールの分子内塩、水酸化1−(3−カルボキシプロピル)−1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン−3−オールの分子内塩、水酸化1−カルボキシメチル−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンの分子内塩、水酸化1−(2−カルボキシエチル)−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンの分子内塩、水酸化1−(3−カルボキシプロピル)−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンの分子内塩、水酸化1,4−ビス(カルボキシメチル)−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンの分子内塩、水酸化1,4−ビス(2−カルボキシエチル)−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンの分子内塩、水酸化1,4−ビス(3−カルボキシプロピル)−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンの分子内塩、水酸化N−メチル−N−(カルボキシメチル)モルホリニウムの分子内塩、水酸化N−メチル−N−(2−カルボキシエチル)モルホリニウムの分子内塩、水酸化N−メチル−N−(3−カルボキシプロピル)モルホリニウムの分子内塩、水酸化N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−カルボキシエチル)モルホリニウムの分子内塩、水酸化N−(2−ヒドロキシプロピル)−N−(2−カルボキシエチル)モルホリニウムの分子内塩、スタキドリン、ツリシン、ベトニシン、ヒパホリン、エルゴチオネイン、1,3−ビス(カルボキシメチル)イミダゾリウムベタイン、1,3−ビス(2−カルボキシエチル)イミダゾリウムベタイン、1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)イミダゾリウムベタイン、1,3−ビス(2−カルボキシエチル)−2−メチルイミダゾリウムベタイン、1,3−ビス(2−カルボキシエチル)−2−エチルイミダゾリウムベタイン、1,3−ビス(2−カルボキシエチル)−2−フェニルイミダゾリウムベタイン、2−C1〜C20アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、2−C1〜C20アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、タウロベタイン、レシチン、ホマリン、トリゴネン、ピリジンベタイン、4−(トリメチルアンモニオ)フェニキシド、4−[(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニオ)]フェニキシド、4−[ビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニオ)]フェニキシド、4−[トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニオ)]フェニキシド、4−ドデシル−2−(トリメチルアンモニオ)フェニキシド等のベタイン類及びその誘導体;トリメチルアミンオキシド、トリエチルアミンオキシド、2−ヒドロキシエチルジメチルアミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアミンオキシド、トリエタノールアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド、アリルジメチルアミンオキシド、ピリジン−N−オキシド、ピコリン−N−オキシド、N−エチル−α−メチルニトロン、N−オクタデシル−α−ペンタデシルニトロン等のアミンオキシド類(ニトロン類を含む);水酸化トリメチルヒドラジウム、水酸化(2−ヒドロキシエチル)ジメチルヒドラジウム、水酸化(2−ヒドロキシプロピル)ジメチルヒドラジウム及びそれらのプロトン酸塩(炭酸塩、重炭酸塩、塩酸塩等の無機酸;ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ポリアクリル酸塩等の有機カルボン酸塩;フェノール化合物塩;酸性アミド化合物塩(イソシアヌル酸塩、パルビツル酸塩、フタルイミド塩、アラントイン塩、ヒダントイン塩、グリコールウリル塩等);β−ジケトン化合物塩(アセチルアセトン塩、アセト酢酸メチル塩、アセト酢酸エチル塩等)等のヒドラジドニウム塩類が挙げられる。
また、特開昭50−89407号公報、特開昭53−113786号公報、特開昭57−209278号公報、特開昭58−79099号公報、特開昭58−92640号公報、特開昭59−11345号公報、特開平3−99060号公報、特開平4−227679号公報、特開平5−25106号公報、特開平5−331119号公報、特開平6−1762号公報、特開平6−9517号公報、特開平6−128202号公報、特開平6−228070号公報、特開平6−239952号公報、特開平10−95731号公報、特開平10−338815号公報、特開2000−7635号公報、特開2000−7636号公報、特開2002−332395号公報、米国特許2635100号公報、米国特許2935493号公報、米国特許3280130号公報、米国特許3671502号公報、米国特許3809646号公報、米国特許3856684号公報、米国特許3898244号公報、米国特許4012437号公報、米国特許4215064号公報、米国特許4335219号公報、米国特許4415487号公報、米国特許4983750号公報、米国特許5081300号公報、米国特許5162408号公報、米国特許6410671号公報、英国特許477981号公報、英国特許899826号公報、などに記載されている本発明に分類されるベタイン、ベタイン誘導体、アミンオキシドおよびヒドラジニウム塩なども好ましい物質群として挙げられる。
さらに、不安定末端処理剤としては、カルボキシベタイン、カルボキシオキシベタイン、アルキルアミンオキシド又はそれらの誘導体(複塩又は錯塩)、アルキル基に水酸基が置換していてもよい水酸化アルキルヒドラジニウム又はそのプロトン酸塩が好ましい。
特に、グリシンベタイン、γ−ブチロベタイン、カルニチン、カルニチン・マグネシウム・(ヒドロキシ)クエン酸塩、水酸化1−(2−カルボキシエチル)−1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン−3−オールの分子内塩、水酸化1−(3−カルボキシプロピル)−1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン−3−オールの分子内塩、水酸化1−(2−カルボキシエチル)−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンの分子内塩、水酸化1−(3−カルボキシプロピル)−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンの分子内塩、水酸化(2−カルボキシオキシエチル)トリメチルアンモニウムの分子内塩、水酸化(2−カルボキシオキシエチル)トリエチルアンモニウムの分子内塩、トリメチルアミンオキシド、トリエチルアミンオキシド、水酸化トリメチルヒドラジニウム及びそのプロトン酸塩(有機カルボン酸塩、酸性アミド化合物塩又はβ−ジケトン化合物塩等)、水酸化(2-ヒドロキシエチル)ジメチルヒドラジニウム及びそのプロトン酸塩(有機カルボン酸塩、酸性アミド化合物塩又はβ−ジケトン化合物塩等)がより好ましい。
不安定末端基の処理方法
本発明のポリアセタール樹脂の安定化方法は、前記で重合されたポリアセタール樹脂を上記分解処理剤の少なくとも1種の存在下に熱処理して、不安定末端基を低減させる方法である。
ポリアセタール樹脂1kgに対する分解処理剤の添加量は、含まれる不安定末端基の種類と量、分解処理剤の種類、処理状態、処理条件(温度、時間、接触速度など)によるが、ポリアセタール樹脂の溶融状態で処理する場合には、ベタイン、ベタイン誘導体、アミンオキシド及び/又はヒドラジウム塩を与える窒素原子に換算して、0.005〜3.5mmol、好ましくは0.01〜3mmol、特に好ましくは0.1〜2.5mmolである。
なお、必要に応じて、従来公知の分解処理剤と併用することができる。
加熱処理は、重合後のポリアセタール樹脂に残留している重合触媒を失活後、または、失活前に行ってもよいし、本発明以外の安定化処理を行って不安定末端基が多く残留しているポリアセタール樹脂に適用することも可能である。
重合触媒の失活を行う場合は、重合後のポリアセタール樹脂を、アンモニア、アルキルアミン等のアミン類、又はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の各水酸化物、無機酸塩、有機酸塩等の触媒失活剤の少なくとも一種を含む水溶液または有機溶媒中に投入し、スラリー状態で一般的には1分ないし6時間、静置ないし撹拌して行われる。触媒失活後のスラリーは濾過、洗浄により、未反応モノマーや触媒失活剤等を除去した後、そのまま、または乾燥して使用する。
また、上記アミン類等の蒸気とポリアセタール樹脂を接触させて重合触媒を失活させる方法や、ヒンダードアミン類、アミノトリアジン類、トリフェニルホスフィン、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等から選ばれた少なくとも1種とポリアセタール樹脂を混合、撹拌して触媒を失活させてもよい。
また、重合触媒の失活を行わない場合は、重合後のポリアセタール樹脂の融点以下の温度で、不活性ガス雰囲気下において加熱することによって、重合触媒が揮発低減されたポリアセタール樹脂を用いることもできる。重合触媒の失活や重合触媒の揮発低減処理は、重合後のポリアセタール樹脂を粉砕後、行ってもよい。
本発明では、従来の各種の製造方法やそれに応じた装置を選択することができる。
不安定末端基を分解処理する方法は、重合後触媒中和などの必要な処理を行った上で、分解処理剤による加熱分解処理が、ポリアセタール樹脂の溶融状態又はポリアセタール樹脂の溶媒スラリー状態で行われる。
ポリアセタール樹脂の溶融状態で処理する方法は、例えば1軸もしくは2軸スクリュー押出機等により樹脂を溶融し、ポリアセタール樹脂の融点〜260℃、好ましくはポリアセタール樹脂の融点〜250℃で、樹脂滞留時間5秒〜30分、好ましくは20秒〜20分で処理する。上記処理条件の下限界未満では樹脂の安定化が不十分となり、上限界を超えると、樹脂の分解や着色が生ずる恐れがある。なお、分解処理剤の添加は、ポリアセタール樹脂の溶融前又は溶融後のいずれの段階で行ってもよく、その両方の段階で行ってもよい。また、添加する分解処理剤の添加量を分割し、多段で供給してもよい。
なお、溶融前のポリアセタール樹脂に分解処理剤を添加する方法としては、分解処理剤の水溶液、又はメタノール、エタノールなどの有機溶媒溶液やアルコール水溶液などを、粗ポリアセタール樹脂に対して所定量、できるだけ均一に添加した後に混合する。混合には、水平円筒型、V型、リボン型、パドル型、高速流動型等の一般的な混合機を用いることができる。なお、混合物は乾燥処理を行わずそのまま溶融処理しても、加熱、減圧などにより溶媒を留去した後溶融処理してもよい。また、分解処理剤溶液を、押出機のフィード口及び/又は途中からインジェクションなどにより供給したりしてもよい。この際、分解処理剤溶液を、多段で分割供給してもよい。
また、上記溶液中に、樹脂を加えてスラリーとし、濾過、乾燥して樹脂に分解処理剤を付着させる方法で処理剤を添加することもできる。
また、ポリアセタール樹脂を溶融させた後に、分解処理剤を溶融状態のポリアセタール樹脂に添加する方法としては、上記分解処理剤と溶媒を別々にもしくは溶液にしてフィード及び/又はインジェクションすることができる。
溶融状態で分解処理する際に、必要に応じて、酸化防止剤(ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類など)、分解促進剤(水;メタノール;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、モノ〜トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミンなどのアミン類;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属化合物;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化コリン、水酸化(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムまたはそれらのプロトン酸塩(炭酸塩、重炭酸塩、塩酸塩等の無機酸塩;ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ポリアクリル酸塩等の有機カルボン酸塩;フェノール化合物塩;酸性アミド化合物塩;β-ジケトン化合物塩等)などの第四級アンモニウム化合物等)及び色相安定剤(オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸金属塩など)から選ばれた1種又は2種以上を、樹脂100重量部に対して各々0.001〜5重量部、好ましくは0.005〜2重量部添加してもよい。
不安定な末端部が分解除去されたポリアセタール樹脂は、分解して生じたホルムアルデヒド、未反応モノマー、オリゴマー、分解処理剤等を押出機のベント部より減圧下で除去され、冷却後、ストランドカット又はダイフェイスカットにより、ペレット化される。
ポリアセタール樹脂のスラリー状態で行う場合は、分解処理剤の水、アルコール溶液、又はアルコール水溶液中に、ポリアセタール樹脂を加え、分解処理剤の樹脂に対する量が前記ベタイン、ベタイン誘導体、アミンオキシド及び/又はヒドラジニウム塩を与える窒素原子に換算して、0.005〜35mmol、好ましくは0.01〜30mmol、特に好ましくは0.1〜25mmolとなるようにして、常圧又は加圧で加熱処理する。
スラリー濃度は、3〜70重量%、好ましくは5〜60重量%;加熱温度は、60℃以上、樹脂の融点未満、好ましくは80〜140℃;加熱時間は2分〜30時間、好ましくは20分〜20時間である。
処理後ポリアセタール樹脂は、濾過、洗浄により分解して生じたホルムアルデヒド、未反応モノマー、オリゴマー、分解処理剤等を除去され、溶融状態での処理と同様に乾燥後安定化ポリアセタール樹脂の製品となる。
また、本発明は、数平均分子量が5000以上であり、ヘミアセタール末端基量が1.0mmol/kg以下及び/又はホルミル末端基量が1.2mmol/kg以下である安定化ポリアセタール樹脂を提供するものである。
このように、不安定末端基の少ないポリアセタール樹脂は、従来にないものであり、ホルムアルデヒドの発生の大幅な低減や異臭の低減が求められる新規用途に使用可能である。
また、本発明は、上記分解処理剤を、不安定末端基を有するポリアセタール樹脂の不安定末端基分解用処理剤として提供するものである。この分解処理剤の形態は、特に制限はなく、粉状、粒状、液状のいずれであってもよい。
得られた安定化ポリアセタール樹脂は、必要に応じて、その100重量部に対し、下記の添加剤など:
(a)酸化防止剤、ホルムアルデヒド捕捉剤、ギ酸捕捉剤、耐候安定剤、耐光安定剤、加工安定剤及び結晶核剤からなる群から選ばれた少なくとも1種を0.001〜5重量部、
(b)充填剤、補強剤、潤滑剤、摺動剤、導電剤、帯電防止剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、コアシェルポリマーからなる群から選ばれた少なくとも1種を0〜100重量部、及び
(c)着色剤を0〜5重量部
を加えて押出機等で混合されてポリアセタール樹脂組成物にした後、成形用に用いることができる。
捕捉剤、酸化防止剤、安定剤などの添加剤は、一般的には末端安定化処理後のポリアセタール樹脂に添加し、溶融混練してポリアセタール樹脂組成物を調製するのが好ましいが、重合反応、触媒失活化、末端安定化処理等の効率を阻害しない範囲であれば、原料モノマーやコモノマーに添加して重合に供したり、重合段階で添加することも可能であり、重合後の末端安定化処理に供する重合体に添加したり、末端安定化処理工程の任意の段階で添加することも可能である。
詳述すると、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、上記酸化防止剤として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系二次酸化防止剤及びイオウ系二次酸化防止剤からなる群から選ばれた少なくとも一種を、安定化ポリアセタール樹脂100重量部に対して0.01〜1重量部含有するのが好ましい。
ホルムアルデヒド捕捉剤としては、アミノトリアジン化合物、尿素化合物、グアニジン化合物、ヒドラジド化合物、アゾール化合物、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂及びポリアミド樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種を、安定化ポリアセタール樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部含有するのが好ましい。
上記アミノトリアジン化合物としては、メラミン、ベンゾグアナミン、CTU−グアナミン、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-1’)-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-ウンデシルイミダゾリル-1’)-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-1’)-エチル-s-トリアジン、メラミン樹脂などが挙げられる。
上記尿素化合物としては、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、グリコールウリル、パルビツル酸、尿酸、ベンゾイミダゾロン、ホルム窒素、ビウレア、ヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、アラントイン、アラントインのアルミニウム塩(アラントインジヒドロキシアルミニウム等)などが挙げられる。
上記グアニジン化合物としては、シアノグアニジン、グリコシアミジン、ウレアチニン等が挙げられる。
上記ヒドラジド化合物としては、ウラゾール、アミノウラゾール、ラウリン酸ヒドラジド、ステアリン酸ヒドラジド、12-ヒドロキシステアリン酸ヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド、8,12-エイコサジエン二酸ジヒドラジド、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジヒドラジド、1,3-ビス(2-ヒドラジノカルボニルエチル)-5-イソプロピルヒダントイン、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジドなどが挙げられる。
上記アゾール化合物としては、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール等が挙げられる。
上記ポリアミド樹脂としては、ナイロン3、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−66−610、ナイロン6−66−610−12などが挙げられる。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、ギ酸捕捉剤(耐熱安定剤)として、水酸基を有していてもよい脂肪酸金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸(共)重合体金属塩、アミノカルボン酸金属塩、(イソ)シアヌール酸金属塩、ケイ酸金属塩(タルク、ゼオライトなど)、ハイドロタルサイト、水酸化マグネシウム及び酸化マグネシウムからなる群から選ばれる1種以上を、安定化ポリアセタール樹脂100重量部に対して0.001〜1重量部含有するのが好ましい。
上記脂肪酸金属塩としては、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウムなどが挙げられる。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、加工安定剤として、炭素数12〜36の脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ポリアルキレングリコール、ポリシロキサン及び低分子量ポリエチレンからなる群から選ばれた少なくとも1種を、安定化ポリアセタール樹脂100重量部に対して0.01〜1重量部含有するのが好ましい。
上記脂肪酸エステルとしてはエチレングリコールモノ〜ジステアレート、グリセリンモノ〜トリステアレート、ペンタエリスリトールモノ〜テトラステアレートなどが挙げられる。また、脂肪酸アミドとしては、エチレンビスステアリルアミドなどが挙げられる。
本発明の安定化ポリアセタール樹脂又はポリアセタール樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、ガスインジェクション成形または発泡成形などにより成形体とすることができる。
本発明の成形体は、(1)80℃で24時間、密閉空間で保存した時、発生ホルムアルデヒド量が成形体の表面積1cm2当り2μg以下、好ましくは0.001〜1.0μg、及び/又は(2)60℃、飽和湿度の密閉空間で3時間保存した時、発生ホルムアルデヒド量が成形体の表面積lcm2当り0.8μg以下、好ましくは0.001〜0.6μg以下である。
本発明の成形体は、自動車部品、電気・電子部品、OA機器部品、建材・配管部品、生活・化粧品用部品又は医用部品に用いられる。
(実施例)
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造実施例で品質指標とした〔安定化ポリアセタール樹脂の評価特性〕の測定方法及び実施例で品質指標とした〔安定化ポリアセタール樹脂組成物の評価特性〕の測定方法は以下の通りである。
〔安定化ポリアセタール樹脂の評価特性の測定方法〕
1.ヘミアセタール末端基量及びホルミル末端基量
ポリオキシメチレン共重合体をヘキサフルオロイソプロピルアルコール中に溶解し、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドとピリジンを添加して反応させた後、風乾し、続いて40℃で減圧乾燥させることにより残留した溶媒および未反応物を除去した。得られた反応物を重水素化へキサフルオロイソプロピルアルコールを溶媒として濃度5重量%に溶解して、溶液をNMR用サンプル管に充填し、室温で、NMRスペクトルを測定した(特開2001-11143号公報参照)。
ヘミアセタール末端基量(mmol/kg)及びホルミル末端基量(mmol/kg)は、各々対応するNMR吸収ピークに基づき算出した。
NMR装置:Bruker(株)製、AVANCE400型FT−NMR
測定条件:パルスフリップアングル30゜、積算繰り返し時間10sec、積算回数128回
2.不安定末端量(末端の不安定部分の量)
ポリアセタール共重合体約1gを精秤し、水酸化カルシウム15mgと0.5体積%の水酸化アンモニウムを含む60体積%メタノール水溶液100mlとともに耐圧密閉容器に入れ、170℃で60分間加熱処理した後、冷却、開封して内溶液を取り出した。不安定な末端部分の分解によって生じ、溶液中に溶解したホルムアルデヒド量をJIS K0102、29.1項 アセチルアセトン吸光光度法で定量し、ポリアセタール共重合体に対する割合を重量%として算出した。
3.ポリカーボネート劣化特性(表ではPC劣化と略記)
ペレット状のポリアセタール共重合体1.5g、蒸留水1ml、ポリカーボネート樹脂板(5mm×5mm×1mm)1枚を容量20mlの容器に入れて密閉し、120℃の恒温槽内で24時間加熱した後、恒温槽から取り出して室温まで冷却し、ポリカーボネート樹脂板の表面の劣化状態を目視により観察して下記の規準で評価した。
○:表面が試験前の光沢を保持している。
△:表面が白濁して曇っている。
×:表面が変色溶解している。
〔安定化ポリアセタール樹脂組成物の評価特性の測定方法〕
1.湿式でのホルムアルデヒド発生量
容積1リットルのポリエチレン製瓶に蒸留水50mlを入れ、その蓋の内側に平板状試験片(100mm×40mm×2mm;総表面積85.6cm2)の2枚を吊下げて蓋を閉じることにより瓶を密閉する。これを温度60℃の恒温槽内に入れて3時間加温処理した後に恒温槽から取り出し、20℃で1時間静置する。
加温処理により試験片から放出され水に溶解したホルムアルデヒド量を定量し、単位表面積当たりのホルムアルデヒド発生量(単位:μg/cm2)を算出する。
2.乾式でのホルムアルデヒド発生量
試験片(2mm×2mm×50mm)の10個(総表面積約40cm2)を容積20mlの容器に入れて密閉する。これを温度80℃の恒温槽内で24時間加熱処理した後、恒温槽から取り出して20℃で1時間放置し、その後、蒸留水5mlをシリンジで容器内に注入して、加熱処理により試験片から放出されたホルムアルデヒドを水に吸収させる。水に溶解したホルムアルデヒド量を定量し、単位表面積当たりのホルムアルデヒド発生量(単位:μg/cm2)を算出する。
各実施例及び比較例で使用した、ホルムアルデヒド捕捉剤、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、加工安定剤、耐熱安定剤は以下のものである。
メルトインデックスは、ASTM-D1238に準じ、温度190℃、荷重2160gの条件下で測定した値であり、単位はg/10分である。
〔ホルムアルデヒド捕捉剤b〕
(b−1):メラミン
(b−2):ベンゾグアナミン
(b−3):CTU−グアナミン[味の素ファインテクノ(株)製]
(b−4):アラントイン
(b−5):ビウレア
(b−6):セバシン酸ジヒドラジド
(b−7):ナイロン66[平均粒子径=3μm]
〔酸化防止剤c〕
(c−1):ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
(c−2):トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
〔加工安定剤d〕
(d−1):エチレンビスステアリルアミド
(d−2):グリセリンモノステアレート
(d−3):エチレングリコールジステアレート
〔耐熱安定剤(有機カルボン酸金属塩、アルカリ土類金属塩)e〕
(e−1):12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム
(e−2):酸化マグネシウム
(e−3):クエン酸カルシウム
(e−4):ステアリン酸カルシウム
〔安定化処理用の粗ポリアセタール共重合体(A)の調製〕
ジャケットを備えたバレルと、このバレル内部の長手方向において、それぞれ撹拌及び推進用パドルを備えた2本の回転軸とを有する連続式混合反応機を用いて、以下のように重合反応を行った。
ジャケットに80℃の温水を通し、2本の回転軸を100rpmの速度で回転させ、酸化防止剤として0.05重量%のトリエチレングリコール-ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、コモノマーとして3.3重量%の1,3−ジオキソラン及び連鎖移動剤として700ppm(重量基準)のメチラールを含有するトリオキサンを連続的に反応機に供給するとともに、並行して三フッ化化ホウ素・ジブチルエーテラートをシクロヘキサンに溶解させた溶液(1重量%濃度)を、全モノマー(トリオキサン及び1,3−ジオキソランの総量)に対して、三フッ化化ホウ素として10ppm(重量基準)の濃度で連続添加して共重合を行った。次いで、反応機の吐出口より排出された粗ポリアセタール共重合体を、0.1重量%のトリエチルアミンを含有する水溶液に添加し、触媒を失活させた。この混合物を遠心分離処理、さらに乾燥して粗ポリアセタール共重合体(A)を得た。
粗ポリアセタール共重合体(A)は、ヘミアセタール末端基量が2.2mmol/kg、ホルミル末端基量が1.5mmol/kg、不安定末端量(末端不安定部分の量)が0.87重量%であった。
以下、(1)安定化ポリアセタール樹脂の実施製造例及び比較製造例と、(2)安定化ポリアセタール樹脂を用いた組成物及びその成形品の実施例及び比較例とに分けて説明する。
(1)安定化ポリアセタール樹脂の実施製造例及び比較製造例
[実施製造例1〜8]
上記粗ポリアセタール共重合体(A)100重量部に対して、0.03重量部のペンタエリスリトールテトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]と所定量のベタイン又はその誘導体を含む水溶液の2重量部(粗ポリアセタール共重合体1kg当たり、ベタイン又はベタイン誘導体を四級アンモニウム窒素に換算して1.4mmol)を添加して均一に混合した。
ついで、この混合物を1個の脱揮口付き2軸押出機(径30mm)に供給した。押出機は、2.7kPa(20mmHg)のベント真空度、200℃のシリンダー温度、300秒の平均滞留時間で、揮発物を(ベント)脱揮口より除去しながら溶融混練し、ペレット状の安定化ポリアセタール共重合体を得た。結果を表1に示す。
[実施製造例9]
上記粗ポリアセタール共重合体(A)100重量部に対して、0.03重量部のペンタエリスリトールテトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]と所定量のアミンオキシドを含む水溶液の2重量部(粗ポリアセタール共重合体1kg当たり、アミンオキシドはアミンオキシド窒素に換算して1.0mmol)を添加して均一に混合した。
ついで、この混合物を製造実施例1で用いた2軸押出機に供給した。押出機は、2.7kPa(20mmHg)のベント真空度、200℃のシリンダー温度、300秒の平均滞留時間で、揮発物を(ベント)脱揮口より除去しながら溶融混練し、ペレット状の安定化ポリアセタール共重合体を得た。結果を表1に示す。
[実施製造例10および11]
上記粗ポリアセタール共重合体(A)100重量部に対して、0.03重量部のペンタエリスリトールテトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]と所定量のヒドラジニウム塩(粗ポリアセタール共重合体1kg当たり、ヒドラジニウム窒素に換算して0.7mmo1)を添加して均一に混合した。
ついで、この混合物を製造実施例1で用いた2軸押出機に供給した。押出機は、2.7kPa(20mmHg)のベント真空度、200℃のシリンダー温度、300秒の平均滞留時間で、揮発物を(ベント)脱揮口より除去しながら溶融混練し、ペレット状の安定化ポリアセタール共重合体を得た。結果を表1に示す。
[実施製造例12]
上記粗ポリアセタール共重合体(A)100重量部に対して、0.03重量部のトリエチレングリコール・ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]と所定量のベタインとプロトン酸としてホウ酸を含む水溶液の2重量部(粗ポリアセタール共重合体1kg当たり、ベタインを四級アンモニウム窒素に換算して1.4mmolとホウ酸0.4mmol)を添加して均一に混合した。
ついで、この混合物を製造実施例1で用いた2軸押出機に供給した。押出機は、2.7kPa(20mmHg)のベント真空度、200℃のシリンダー温度、300秒の平均滞留時間で、揮発物を(ベント)脱揮口より除去しながら溶融混練し、ペレット状の安定化ポリアセタール共重合体を得た。結果を表1に示す。
[実施製造例13]
上記粗ポリアセタール共重合体(A)100重量部に対して、0.3重量部のトリエチレングリコール・ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]と、所定量のベタインと水酸化マグネシウムを含む水溶液の2重量部(粗ポリアセタール共重合体1kg当たり、ベタインを四級アンモニウム窒素に換算して1.4mmol、水酸化マグネシウム0.7mmol)を添加して均一に混合した。
ついで、この混合物を製造実施例1で用いた2軸押出機に供給した。押出機は、2.7kPa(20mmHg)のベント真空度、200℃のシリンダー温度、300秒の平均滞留時間で、揮発物を(ベント)脱揮口より除去しながら溶融混練し、ペレット状の安定化ポリアセタール共重合体を得た。結果を表1に示す。
[実施製造例14および15]
上記粗ポリアセタール共重合体(A)100重量部に対して、所定量のベタインと水酸化コリン・ギ酸塩を含む水溶液の2重量部(粗ポリアセタール共重合体1kg当たり、ベタインと水酸化コリン・ギ酸塩を四級アンモニウム窒素に換算して1.0mmol)を添加して均一に混合した。
ついで、この混合物を製造実施例1で用いた2軸押出機に供給した。押出機は、2.7kPa(20mmHg)のベント真空度、200℃のシリンダー温度、300秒の平均滞留時間で、揮発物を(ベント)脱揮口より除去しながら溶融混練し、ペレット状の安定化ポリアセタール共重合体を得た。結果を表1に示す。
[実施製造例16]
上記粗ポリアセタール共重合体(A)100重量部に対して、0.03重量部のペンタエリスリトールテトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]と、所定量のアミンオキシドと水酸化コリンを含む水溶液の2重量部(粗ポリアセタール共重合体1kg当たり、アミンオキシドと水酸化コリンをアミンオキシド窒素と四級アンモニウム窒素との合計に換算して1.0mmol)を添加して均一に混合した。
ついで、この混合物を製造実施例1で用いた2軸押出機に供給した。押出機は、2.7kPa(20mmHg)のベント真空度、200℃のシリンダー温度、300秒の平均滞留時間で、揮発物を(ペント)脱揮口より除去しながら溶融混練し、ペレット状の安定化ポリアセタール共重合体を得た。結果を表1に示す。
[実施製造例17]
上記粗ポリアセタール共重合体(A)100重量部に対して、所定量のベタインを含む水溶液の1重量部(粗ポリアセタール共重合体1kg当たり、ベタインの四級アンモニウム窒素に換算して1.4mmol)を添加して均一に混合した。
ついで、この粗ポリアセタール共重合体100重量部に対して、0.3重量部のトリエチレングリコール・ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、0.05重量部のナイロン−6,6(平均粒子径:3μm)、0.1重量部のステアリン酸カルシウム及び0.2重量部のエチレンビスステアリルアミドを表1に示す割合で混合した後、製造実施例1で用いた2軸押出機に供給した。押出機内にフィードしている粗ポリアセタール共重合体100重量部あたり、0.5重量部の水を注入し、2.7kPaのベント真空度、200℃のシリンダー温度、300秒の平均滞留時間で、揮発物を(ベント)脱揮口より除去しながら溶融混練し、ペレット状の安定化ポリアセタール共重合体を得た。結果を表1に示す。
[比較製造例1]
前記粗ポリアセタール共重合体(A)100重量部に対して、0.03重量部のペンタエリスリトールテトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]と2重量部のトリエチルアミン(TEAと略す)水溶液(0.72重量%濃度:トリエチルアミンは、粗ポリアセタール共重合体1kg当たり3級アミン窒素に換算して1.4mmol)を添加して均一に混合した。
ついで、この混合物を製造実施例1で用いた2軸押出機に供給した。押出機は、20mmHg(2.7kPa)のベント真空度、200℃のシリンダー温度、300秒の平均滞留時間で、揮発物を(ベント)脱揮口より除去しながら溶融混練し、ペレット状の安定化ポリアセタール共重合体を得た。結果を表1に示す。
[比較製造例2]
前記粗ポリアセタール共重合体(A)100重量部に対して、0.03重量部のペンタエリスリトールテトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]と所定濃度に調整した後記有機カルボン酸の四級アンモニウム塩を含む水溶液の2重量部(粗ポリアセタール共重合体1kg当たり、四級アンモニウム塩を四級アンモニウム窒素に換算して1.4mmol)を添加して均一に混合した。
ついで、この混合物を製造実施例1で用いた2軸押出機に供給した。押出機は、20mmHg(2.7kPa)のベント真空度、200℃のシリンダー温度、300秒の平均滞留時間で、揮発物を(ベント)脱揮口より除去しながら溶融混練し、ペレット状の安定化ポリアセタール共重合体を得た。結果を表1に示す。
実施製造例および比較製造例による各安定化ポリアセタール樹脂のメルトインデックスは、いずれも9g/10分であった。
実施製造例で使用した分解処理剤(ベタイン、ベタイン誘導体、アミンオキシド、ヒドラジニウム塩)は以下の通りである。
(A−1):グリシンベタイン
(A−2):水酸化(2−カルボキシオキシエチル)トリエチルアンモニウムの分子内塩[(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムの環状カーボネート:米国特許2635100号公報の実施例VIに準じて調製]
(A−3):γ−ブチロベタイン
(A−4):ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン[花王アンヒトール20BS、花王(株)製]
(A−5):水酸化1−(3−カルボキシプロピル)−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンの分子内塩[特開平6−239952号公報の実施例4に準じて調製]
(A−6):水酸化1−(3−カルボキシプロピル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オールの分子内塩[特開平6−239952号公報の実施例5に準じて調製]
(A−7):ラウリルイミダゾリニウムベタイン[花王アンヒトール20Y‐B、花王(株)製]
(A−8):L−カルニチン・マグネシウム・クエン酸塩(1:1:1モル塩)[WO2002/17735号公報の実施例1に準じて調製]
(A−9):トリメチルアミンオキシド
(A−10):水酸化トリメチルヒドラジニウム
(A−11):水酸化(2−ヒドロエチル)ジメチルヒドラジニウムのギ酸塩
(A−12):L−カルニチンと水酸化コリン・ギ酸塩との等モル混合物
(A−13):グリシンベタインと水酸化コリン・ギ酸塩との等モル混合物
(A−14):トリメチルアミンオキシドと水酸化コリンとの等モル混合物
比較製造例2で使用した脂肪族カルボン酸の四級アンモニウム塩は以下の通りである。
(A−I):(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムのギ酸塩
Figure 0004889999
(2)安定化ポリアセタール樹脂組成物及びその成形体の実施例及び比較例
[比較例1]
前記比較製造例1で調製した安定化ポリアセタール共重合体(a‐T)に、前記ホルムアルデヒド捕捉剤、酸化防止剤、加工安定剤及び耐熱安定剤を表2に示す割合で混合した後、製造実施例1で用いた2軸押出機により溶融混合し、ペレット状のポリアセタール樹脂組成物を調製した。このペレットを用いて、射出成形機により所定の試験片を成形した。この所定の試験片からのホルムアルデヒド発生量を測定した。結果を表2に示す。
[実施例1〜6]
前記実施製造例で得られた安定化ポリアセタール共重合体を用いて、前記ホルムアルデヒド捕捉剤、酸化防止剤、加工安定剤及び耐熱安定剤を表2に示す割合で混合し、比較例1と同様にしてペレット状のポリアセタール樹脂組成物を調製し、その品質を評価した。結果を表2に示す。
Figure 0004889999

Claims (13)

  1. 不安定末端基を有するポリアセタール樹脂を、ベタインおよびベタイン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種の不安定末端分解処理剤の存在下に、熱処理して不安定末端基を低減させる安定化ポリアセタール樹脂の製造方法。
  2. 不安定末端分解処理剤が、四級アンモニウムのカルボキシレート分子内塩、四級アンモニウムのカーボネート分子内塩、四級アンモニウムのオキシド分子内塩、四級アンモニウムのスルホネート分子内塩、四級アンモニウムのホスホネート分子内塩、ピリジニウムのカルボキシレート分子内塩、イミダゾリウムのカルボキシレート分子内塩から選ばれたベタイン;及びベタイン誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項1記載の安定化ポリアセタール樹脂の製造方法。
  3. 不安定末端処理剤がグリシンベタイン、γ−ブチロベタイン、D及び/又はL−カルニチン、D及び/又はL−カルニチン・マグネシウム・(ヒドロキシ)クエン酸塩、水酸化(2−カルボキシオキシエチル)トリメチルアンモニウムの分子内塩、水酸化(2−カルボキシオキシエチル)トリエチルアンモニウムの分子内塩、水酸化1−(2−カルボキシエチル)−1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン−3−オールの分子内塩、水酸化1−(3−カルボキシプロピル)−1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン−3−オールの分子内塩、水酸化1−(2−カルボキシエチル)−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンの分子内塩、水酸化1−(3−カルボキシプロピル)−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンの分子内塩からなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項1記載の安定化ポリアセタール樹脂の製造方法。
  4. ポリアセタール樹脂が、カチオン重合触媒の存在下に、トリオキサンを主モノマーとし、環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマーとして共重合して得られたポリオキシメチレンコポリマーである請求項1〜3のいずれかに記載の安定化ポリアセタール樹脂の製造方法。
  5. さらに、プロトン酸及び/又はアルカリ(土類)金属化合物の共存下に熱処理する請求項1〜4のいずれかに記載の安定化ポリアセタール樹脂の製造方法。
  6. さらに、カルボン酸、酸性アミド化合物、酸性エノール化合物、フェノール化合物、水素酸及びオキソ酸からなる群から選ばれた少なくとも1種のプロトン酸、及び/又はアルカリ土類金属の水酸物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩及び水酸基を有していてもよい脂肪酸のアルカリ土類金属塩から選ばれた少なくとも1種のアルカリ(土類)金属化合物の共存下に熱処理する請求項1〜4のいずれかに記載の安定化ポリアセタール樹脂の製造方法。
  7. さらに、水、アルコール類、酸化防止剤、三級アミン及び四級アンモニウム塩からなる群から選ばれた少なくとも1種を添加し、その共存下に熱処理する請求項1〜6のいずれかに記載の安定化ポリアセタール樹脂の製造方法。
  8. 熱処理前に、不安定末端分解処理剤と水に、プロトン酸及び/又はアルカリ(土類)金属化合物を予備混合した混合物の共存下に熱処理する請求項5〜7のいずれかに記載の安定化ポリアセタール樹脂の製造方法。
  9. 安定化ポリアセタール樹脂のヘミアセタール末端基量が1.0mmol/kg以下及び/又はホルミル末端基量が1.2mmol/kg以下である請求項1〜8のいずれかに記載の安定化ポリアセタール樹脂の製造方法。
  10. 熱処理が、不安定末端基を有するポリアセタール樹脂の溶融状態で行われる請求項1〜9のいずれかに記載の安定化ポリアセタール樹脂の製造方法。
  11. 不安定末端基を有するポリアセタール樹脂lkgに対し、不安定宋端基処理剤の使用量が、ベタイン、ベタイン誘導体を与える窒素原子に換算して0.005〜3.5mmolである請求項1〜10のいずれかに記載の安定化ポリアセタール樹脂の製造方法。
  12. 熱処理温度が、ポリアセタール樹脂の融点以上で、熱処理時間が20秒〜20分である請求項1〜11のいずれかに記載の安定化ポリアセタール樹脂の製造方法。
  13. 請求項2または3に記載のベタインおよびベタイン誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種からなるポリアセタール樹脂用不安定末端分解処理剤。
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