JP2000117863A - 貼着シートとその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】基材シート上に表面が凹凸の粘着剤層をする貼
着シートを少ない工程数にて、簡単低廉に製造する方法
を提供することにある。 【解決手段】本発明による貼着シートは、表面シート９
とその上の織布、不織布又は網目シートからなる基材シ
ート１とその上の粘着剤層４とからなり、この粘着剤層
は、上記織布、不織布又は網目シートに由来して、表面
に凹凸を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、貼着シートとその
製造方法に関し、特に、家屋の壁、床、天井等（以下、
壁材という。）に貼着するための貼着シート、特に、装
飾用貼着シートとその製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】上記装飾用貼着シートは、壁紙とも呼ば
れており、一般に、装飾模様を有する基材シートの裏面
に粘着剤層を設けてなり、この粘着剤によって基材シー
トを壁材に貼着して、装飾機能を発揮させるものであ
る。しかしながら、従来の装飾用貼着シートによれば、
これを壁材に貼着する際に、一部、空気が粘着剤層と壁
材との間に閉じ込められて、貼着シートの表面に所謂膨
れや皺が生じて、外観を損ねることがあった。

【０００３】また、従来の貼着シートによれば、粘着剤
層が平坦であるので、一旦、貼着シートを壁材に貼りつ
けた後は、貼着シートが強固に壁材に接着され、容易に
壁材から剥がすことができないので、例えば、貼着シー
トを一時、壁材に仮止めして、位置決めする等ができな
かった。

【０００４】そこで、このような問題を解決するため
に、実開平６−２００４３号公報には、剥離層（セパレ
ータ）の剥離面に独立した多数の凹部をエンボス処理に
よって形成し、このエンボス処理面にシリコーン樹脂を
塗布して、剥離面とし、次いで、この剥離面に粘着剤を
塗布し、上記凹部に粘着剤を充填した後、この粘着剤を
乾燥させ、上記凹部に対応して、独立した多数の凸部を
有する粘着剤層を形成し、次いで、上記凸部を形成した
面と反対側の粘着剤層に基材シートを接着し、かくし
て、粘着剤層の表面に独立した多数の凸部を有する貼着
シートを得ることが記載されている。

【０００５】このような貼着シートによれば、これを壁
材に軽く貼りつけると、粘着剤層の有する独立した多数
の凸部が壁材に接触して、貼着シートの粘着剤層と壁材
との間に空隙が生じる。そこで、粘着剤層と壁材との間
の空気を上記空隙から外部に逃がしながら、貼着シート
を壁材に一様に押しつければ、貼着シートを壁材に貼着
することができ、かくして、貼着シートの表面には膨れ
や皺が生じない。

【０００６】しかしながら、上述した方法によれば、工
程数が多く、得られる貼着シートが自ずから高いものと
ならざるを得ない。

【０００７】そこで、特開平８−１４２２４７号公報に
よれば、予め、基材シート上に粘着剤層と剥離層とを積
層してなる各層が平坦な積層体を製造し、これを一対の
ロールからなるエンボス加工機に導き、両面から、又は
剥離層のみから、エンボス処理して、粘着剤層に凸部を
形成して、貼着シートを得ることが記載されている。

【０００８】しかし、この方法によれば、エンボスロー
ルを準備しなければならないから、製造費用を高めるの
みならず、上記積層体を基材シートと剥離層の両面から
エンボス処理する場合には、一対のエンボスロールが噛
合って、積層体にエンボス処理を施すものであるから、
基材シートの表面も粘着剤層と類似した凹凸模様を有す
ることとなり、また、基材シートの模様も自ずから制約
を受けやすい。他方、剥離層側からのみ、エンボス処理
すれば、エンボス模様の基材シートへの影響を比較的少
なくすることができるが、しかし、粘着剤層へのエンボ
ス処理が不十分となり、粘着剤層に十分な高さの凸部を
形成することが困難である。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、粘着剤層の
表面に凹凸を有する貼着シートの製造における上述した
問題を解決するためになされたものであって、そのよう
な粘着剤層の表面に凹凸を有する貼着シートの簡単低廉
な製造方法と、そのような方法によって得られる貼着シ
ートを提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明による貼着シート
の第１は、織布、不織布又は網目シートからなる基材シ
ートとその上の粘着剤層とからなることを特徴とするも
のであり、このような貼着シートは、本発明に従って、
織布、不織布又は網目シートからなる基材シート上に粘
着剤を塗布して、上記織布、不織布又は網目シートに由
来する凹凸を表面に有する粘着剤層を形成することによ
って得ることができる。

【００１１】本発明による貼着シートの第２は、表面シ
ートとその上の織布、不織布又は網目シートからなる基
材シートとその上の粘着剤層とからなることを特徴とす
るものであり、このような貼着シートは、本発明に従っ
て、表面シート上の織布、不織布又は網目シートからな
る基材シート上に粘着剤を塗布して、上記織布、不織布
又は網目シートに由来する凹凸を表面に有する粘着剤層
を形成することによって得ることができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】先ず本発明による第１の貼着シー
トについて説明する。

【００１３】本発明による第１の貼着シートにおいて、
基材シートは、織布、不織布又は網目シートからなり、
貼着シートの表面を形成し、壁材に貼着して、装飾機能
を発現するものである。織布又は不織布の素材は、特に
限定されるものではなく、天然繊維でも、合成繊維でも
よく、また、無機繊維でもよく、有機繊維でもよい。更
に、これらの混紡でもよい。また、網目シートとは、網
目を有する天然繊維若しくは合成繊維からなるシート
か、又は合成樹脂からなるシートをいい、その素材は、
特に限定されるものではない。

【００１４】本発明による第１の貼着シートは、このよ
うな織布、不織布又は網目シートを基材シートとし、こ
の上に粘着剤層が形成されてなるものである。粘着剤
は、従来より貼着シートに用いられているものであれ
ば、特に限定されることなく、任意のものが用いられる
が、通常、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。粘
着剤層の乾燥厚みは、基材シートの厚みや重量にもよ
り、また、基材シートを構成する糸径や網目シートを構
成する網材径にもよるが、通常、５〜３００μｍ、好ま
しくは、１０〜２００μｍの範囲が適当である。

【００１５】本発明によれば、織布、不織布又は網目シ
ートからなる基材シート上に粘着剤を塗布して、粘着剤
層の表面に上記織布、不織布又は網目シートに由来する
凹凸を有せしめる。基材シートとして、織布又は不織布
を用いたときは、粘着剤層は、その織布又は不織布を構
成する繊維に由来する凹凸を表面に有する。他方、基材
シートとして、網目シートを用いたときは、粘着剤層
は、その網目に由来する凹凸を表面に有する。

【００１６】織布を基材シートとする場合を例にとって
説明すれば、図１に示すように、織布からなる基材シー
ト１は、縦糸２と横糸３とが交互に上下に交差して構成
されており、従って、このような織布に粘着剤を塗布す
ると、形成される粘着剤層４は、上記縦糸と横糸とに由
来して、凸部５と凹部６を有する。そこで、この粘着剤
層の上に剥離層（セパレータ）７を積層すれば、本発明
による貼着シート８を得る。

【００１７】剥離層は、粘着剤層に対して、剥離性を有
すれば、限定されるものではないが、通常、シリコーン
樹脂にて離型処理した合成樹脂フィルム（例えば、ポリ
エステルフィルム）や、クラフト紙にオレフィン樹脂を
コーティングし、更に、その上にシリコーン樹脂にて離
型処理したもの等が好ましく用いられる。次に、本発明
による第２の貼着シートについて説明する。

【００１８】本発明による第２の貼着シート８は、図２
に示すように、表面シート９の上に前述した織布、不織
布又は網目シートからなる基材シート１が接着され、そ
の上に粘着剤層４と剥離層７とが形成されているもので
ある。この貼着シートにおいても、第１の貼着シートと
同様に、粘着剤層４は、縦糸２と横糸３とに由来して、
凸部５と凹部６を有する。

【００１９】第２の貼着シートにおいて、表面シート
は、基材シートと共に貼着シートの装飾機能を担うと共
に、基材シートを保護する機能をも担っており、通常、
合成樹脂シートや紙が用いられる。合成樹脂シートとし
ては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエステル、ポリエ
チレン、ポリプロピレン等からなるシートが用いられ
る。厚みも、特に限定されるものではないが、通常、５
０μｍから３ｍｍの範囲である。

【００２０】本発明において、基材シートが有する粘着
剤層の表面の凸部の密度、即ち、単位面積当たりの個数
は、基材シートの重量にもよるので、一概に決めること
はできないが、しかし、本発明によれば、得られた貼着
シートを壁材に軽く当てることによって、凸部の部分の
粘着剤によって壁材に仮止めすることができ、また、粘
着剤層と壁材との間の空気を凸部の間の空隙から外部に
逃がしながら貼着することができ、しかも、最終的に壁
材に一様に押しつけることによって、貼着シートを強固
に壁材に接着することができるに足りる数の凸部を基材
シートは有すればよく、これらは実験によって容易に定
めることができる。

【００２１】しかし、本発明によれば、通常、粘着剤層
の表面の凸部は、その高さ（粘着剤層の表面の凹部の底
部から凸部の頂部までの距離）が５〜２０μｍの範囲に
あることが好ましく、また、粘着剤層は、凸部間の間隔
が１〜５ｍｍとなような密度で凸部を有することが好ま
しい。

【００２２】

【発明の効果】本発明による貼着シートによれば、第１
のものも、第２のものも、織布、不織布又は網目シート
からなる基材シート上に形成した粘着剤層がその織布、
不織布又は網目シートに由来する凹凸を表面に多数有し
ているので、これを壁材に貼りつける際、貼着シートと
壁材との間の空気を粘着剤層の凹部から外部に逃がすこ
とができるので、貼着シートの表面に膨れや皺が生じな
い。

【００２３】特に、本発明の第２の貼着シートによれ
ば、粘着剤層の有する凹凸部は、基材シートに由来する
ものの、表面シートは、基材シートによって殆ど影響を
受けないので、表面シートは、基材シートに関係なく、
その外観や意匠を設計することができる。

【００２４】更に、本発明の貼着シートによれば、これ
を壁材に軽く当てて、粘着剤層の凸部のみを壁材に接触
させて仮止めし、必要に応じて、自在に壁材から剥離し
て、容易に位置決めを行なうことができる。この後、貼
着シート全体を壁材に強く押しつければ、粘着剤層の全
面で壁材に強固に接着させることができる。

【００２５】また、本発明によれば、織布、不織布又は
網目シートからなる基材シートに粘着剤を塗布し、織
布、不織布又は網目シートに由来する凹凸を有せしめる
ので、このように、粘着剤層が凹凸を有する貼着シート
を簡単低廉に製造することができる。

【００２６】

【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。

【００２７】実施例１ 長径約５００μｍ、短径約１００μｍの楕円形の断面を
有する縦糸及び横糸からなる織布を基材シートとし、こ
れを厚み７０μｍの塩化ビニル樹脂フィルムからなる表
面シートに接着した。

【００２８】上記基材シート上に乾燥厚み約１０μｍに
なるようにアクリル粘着剤を塗布し乾燥させて、表面の
凹部の底部から凸部の頂部までの高さが約１０μｍ、凸
部のピッチが約２ｍｍである粘着剤層を形成した。この
粘着剤層の上に予め離型処理をした厚み３８μｍのポリ
エステルフィルムを剥離層として貼着して、本発明によ
る貼着シートを得た。

【００２９】この貼着シートから剥離層を剥離し、その
粘着剤層を壁材に軽く当てて位置決めした後、粘着剤層
と壁材との間の空気を凹部から外部に逃がしながら、そ
の全面を壁材に押しつけることによって、膨れや皺の発
生なしに、貼着シートを壁材に強固貼着することができ
た。

【図面の簡単な説明】

【図１】は、本発明による第１の貼着シートの一例を示
す要部断面図である。

【図２】は、本発明による第２の貼着シートの一例を示
す要部断面図である。

【符号の説明】

１…基材シート、２…縦糸、３…横糸、４…粘着剤層、
５…凸部、６…凹部、７…剥離層（セパレータ）、８…
貼着シート、９…表面シート。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中野 礼吉 神戸市兵庫区明和通３丁目２番15号 バン ドー化学株式会社内 Ｆターム(参考） 4F100 AR00B BA02 DC16A DD07 DG12A DG15A EJ96 GB08 JL13B 4J004 AA10 AB01 AC03 CA01 CA02 CA07 CB01 CC02 CE02 DA04 DB02 FA01 GA01

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】織布、不織布又は網目シートからなる基材
   シートとその上の粘着剤層とからなることを特徴とする
   貼着シート。
2. 【請求項２】表面シートとその上の織布、不織布又は網
   目シートからなる基材シートとその上の粘着剤層とから
   なることを特徴とする貼着シート。
3. 【請求項３】織布、不織布又は網目シートからなる基材
   シート上に粘着剤を塗布して、上記織布、不織布又は網
   目シートに由来する凹凸を表面に有する粘着剤層を形成
   することを特徴とする貼着シートの製造方法。
4. 【請求項４】表面シート上の織布、不織布又は網目シー
   トからなる基材シート上に粘着剤を塗布して、織布、不
   織布又は網目シートに由来する凹凸を表面に有する粘着
   剤層を形成することを特徴とする貼着シートの製造方
   法。