JP2000117861A - 貼着シートとその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】粘着剤層に多数の凸部を有する装飾用貼着シー
トを少ない工程数にて、簡単低廉に製造する方法を提供
することにある。 【解決手段】本発明によれば、基材シート１とその上の
粘着剤層２とからなる貼着シートにおいて、上記粘着剤
層が粒子状又は繊維状の充填材３を含み、この充填材に
由来して、粘着剤層が隆起した凸部４を多数有する貼着
シートが提供される。更に、本発明によれば、粒子状又
は繊維状の充填材を含む粘着剤を基材シート上に塗布
し、乾燥させて、粘着剤層に上記充填材に由来する隆起
を凸部として多数有せしめることからなる貼着シートの
製造方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、貼着シートに関
し、特に、家屋の壁、床、天井等（以下、壁材とい
う。）に貼着するための装飾用貼着シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】上記装飾用貼着シートは、壁紙とも呼ば
れており、一般に、装飾模様を有する基材シートの裏面
に粘着剤層を設けてなり、この粘着剤によって基材シー
トを壁材に貼着して、装飾機能を発揮させるものであ
る。しかしながら、従来の装飾用貼着シートによれば、
これを壁材に貼着する際に、一部、空気が粘着剤層と壁
材との間に閉じ込められて、貼着シートの表面に所謂膨
れや皺が生じて、外観を損ねることがあった。

【０００３】また、従来の貼着シートによれば、粘着剤
層が平坦であるので、一旦、貼着シートを壁材に貼りつ
けた後は、貼着シートが強固に壁材に接着され、容易に
壁材から剥がすことができないので、例えば、貼着シー
トを一時、壁材に仮止めして、位置決めする等ができな
かった。

【０００４】そこで、このような問題を解決するため
に、実開平６−２００４３号公報には、剥離層（セパレ
ータ）の剥離面に独立した多数の凹部をエンボス処理に
よって形成し、このエンボス処理面にシリコーン樹脂を
塗布して、剥離面とし、次いで、この剥離面に粘着剤を
塗布し、上記凹部に粘着剤を充填した後、この粘着剤を
乾燥させ、上記凹部に対応して、独立した多数の凸部を
有する粘着剤層を形成し、次いで、上記凸部を形成した
面と反対側の粘着剤層に基材シートを接着し、かくし
て、粘着剤層の表面に独立した多数の凸部を有する貼着
シートを得ることが記載されている。

【０００５】このような貼着シートによれば、これを壁
材に軽く貼りつけると、粘着剤層の有する独立した多数
の凸部が壁材に接触して、貼着シートの粘着剤層と壁材
との間に空隙が生じる。そこで、粘着剤層と壁材との間
の空気を上記空隙から外部に逃がしながら、貼着シート
を壁材に一様に押しつければ、貼着シートを壁材に貼着
することができ、かくして、貼着シートの表面には膨れ
や皺が生じない。

【０００６】しかしながら、上述した方法によれば、工
程数が多く、得られる貼着シートが自ずから高いものと
ならざるを得ない。

【０００７】そこで、特開平８−１４２２４７号公報に
よれば、予め、基材シート上に粘着剤層と剥離層とを積
層してなる各層が平坦な積層体を製造し、これを一対の
ロールからなるエンボス加工機に導き、両面から、又は
剥離層のみから、エンボス処理して、粘着剤層に凸部を
形成して、貼着シートを得ることが記載されている。

【０００８】しかし、この方法によれば、エンボスロー
ルを準備しなければならないから、製造費用を高めるの
みならず、上記積層体を基材シートと剥離層の両面から
エンボス処理する場合には、一対のエンボスロールが噛
合って、積層体にエンボス処理を施すものであるから、
基材シートの表面も粘着剤層と類似した凹凸模様を有す
ることとなり、また、基材シートの模様も自ずから制約
を受けやすい。他方、剥離層側からのみ、エンボス処理
すれば、エンボス模様の基材シートへの影響を比較的少
なくすることができるが、しかし、粘着剤層へのエンボ
ス処理が不十分となり、粘着剤層に十分な高さの凸部を
形成することが困難である。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、粘着剤層に
凹凸を有する貼着シートにおける上述した問題を解決す
るためになされたものであって、粘着剤層に凹凸を有す
る貼着シート、特に、そのような装飾用貼着シートの簡
単低廉な製造方法と、そのような貼着シートを提供する
ことを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、基材シ
ートとその上の粘着剤層とからなる貼着シートにおい
て、上記粘着剤層が粒子状又は繊維状の充填材を含み、
この充填材に由来して、粘着剤層が隆起した凸部を多数
有する貼着シートが提供される。

【００１１】更に、本発明によれば、粒子状又は繊維状
の充填材を含む粘着剤を基材シート上に塗布し、乾燥さ
せて、粘着剤層に上記充填材に由来する隆起を凸部とし
て多数有せしめることとからなる貼着シートの製造方法
が提供される。

【００１２】

【発明の実施の形態】先ず、本発明による貼着シートの
製造方法について説明する。

【００１３】基材シートは、貼着シートの表面を形成
し、装飾機能を有する。本発明において、基材シート
は、特に限定されるものではないが、通常、合成樹脂シ
ートや紙が用いられる。合成樹脂シートとしては、例え
ば、塩化ビニル樹脂、ポリエステル、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等からなるシートが用いられる。厚みも、
特に限定されるものではないが、通常、５０μｍから３
ｍｍの範囲である。

【００１４】粘着剤は、従来より貼着シートに用いられ
ているものであれば、特に限定されることなく、任意の
ものが用いられるが、通常、アクリル系粘着剤が好まし
く用いられる。粘着剤層の乾燥厚み（凹部の平均厚み）
は、基材シートの厚みや重量にもより、また、用いる充
填材にもよるが、通常、５〜３００μｍの範囲であり、
好ましくは、５〜２００μｍの範囲であり、特に好まし
くは、５〜２０μｍの範囲である。従って、粘着剤層の
乾燥厚み（凹部の平均厚み）が５〜２０μｍの範囲にあ
るとき、粒子状の充填材の粒径又は繊維状の充填材の直
径は、この粒径又は直径に対応して、7.５〜６０μｍの
範囲にあることが好ましい。

【００１５】本発明によれば、粘着剤に粒子状又は繊維
状の充填材を配合し、これを基材シート上に塗布し、乾
燥させて、この充填材に由来する隆起を凸部として多数
有せしめ、かくして、粘着剤層が多数の凸部を有する貼
着シートを得る。

【００１６】ここに、上記充填材は、用いる粘着剤に不
活性であれば、どのような素材からなるものであっても
よく、従って、例えば、ガラスを含むセラミックや樹脂
（例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂やポリウレタン
樹脂等）からなるビーズ、シリカ、アルミナ等、種々の
無機物からなる粒子、シラスバルーン等を挙げることが
できる。また、繊維状充填材としては、例えば、天然又
は合成繊維の短繊維を挙げることができる。また、無機
繊維でも、有機繊維でもよい。好ましい具体例として、
例えば、ガラス短繊維やポリアミド短繊維等を挙げるこ
とができる。

【００１７】充填材の寸法は、基材シート上に形成する
粘着剤層の厚みによって決定される。即ち、粒子状の充
填材であれば、粘着剤層の乾燥厚みの1.５〜３倍、好ま
しくは、1.７〜2.５倍の粒径をもつものが好ましく、ま
た、短繊維状の充填材であれば、その直径が粘着剤層の
乾燥厚み（凹部の平均厚み）の1.５〜３倍、好ましく
は、1.７〜2.５倍であるものが好ましい。

【００１８】本発明において、粘着剤層が有する凸部の
密度、即ち、単位面積当たりの個数は、用いる充填材の
大きさ、寸法によるので、一概に決めることはできない
が、得られた貼着シートを壁材に軽く当てることによっ
て、凸部の部分の粘着剤によって壁材に仮止めすること
ができ、また、粘着剤層と壁材との間の空気を凸部の間
の空隙から外部に逃がしながら貼着することができ、し
かも、最終的に壁材に一様に押しつけることによって、
貼着シートを強固に壁材に接着することができるに足り
る数の凸部を有すればよく、このことが本発明において
いう「多数の凸部」の意味である。本発明によれば、通
常、凸部間の間隔が１〜５ｍｍとなるような密度にて、
粘着剤層に凸部を有せしめればよい。

【００１９】従って、充填材の粘着剤への配合量も、上
記と同様に、充填材の大きさ、寸法にもよるので、一概
に決めることはできず、上述したような貼着シートを得
ることができるように、実験的に定められる。

【００２０】このように、充填材を配合した粘着剤を基
材シート上に塗布し、乾燥させることによって、充填材
に由来する隆起を凸部として多数有する粘着剤層を基材
シート上に形成することができ、この粘着剤層の上に剥
離層（セパレータ）を貼着すれば、本発明による貼着シ
ートを得ることができる。

【００２１】剥離層は、粘着剤層に対して、剥離性を有
すれば、限定されるものではないが、通常、シリコーン
樹脂にて離型処理した合成樹脂フィルム（例えば、ポリ
エステルフィルム）や、クラフト紙にオレフィン樹脂を
コーティングし、更に、その上にシリコーン樹脂にて離
型処理したもの等が好ましく用いられる。

【００２２】図１に本発明による貼着シートを示す。ま
た、図２に本発明による貼着シートの断面を模式的に示
す。本発明による貼着シートは、基材シート１の上に粘
着剤層２を有し、この粘着剤層が粒子状又は繊維状の充
填材３を含み、この充填材に由来して、粘着剤層が隆起
した多数の凸部４を有し、その上に剥離層５が積層され
ている。

【００２３】本発明によれば、充填材として、粒子状の
ものを用いるときは、凸部は、それぞれが独立してお
り、短繊維を用いるときも、同様に、殆どがそれぞれ独
立しているが、一部、短繊維が交差して、共同して線状
の凸部を形成していてもよい。

【００２４】

【発明の効果】本発明による貼着シートによれば、粘着
剤層が粒子状又は繊維状充填材に由来する隆起を凸部と
して多数有するので、これを壁材に貼りつける際、貼着
シートと壁材との間の空気を粘着剤層の凸部の間の空隙
から外部に逃がすことができるので、貼着シートの表面
に膨れや皺が生じない。

【００２５】また、粘着剤層の有する凸部は、充填材の
形状と大きさによるので、粘着剤層の凹凸に関係なく、
基材シートの表面、特に、その外観や意匠を設計するこ
とができる。

【００２６】更に、本発明の貼着シートによれば、これ
を壁材に軽く当てて、粘着剤層の凸部のみを壁材に接触
させて仮止めし、必要に応じて、自在に壁材から剥離し
て、容易に位置決めを行なうことができる。この後、貼
着シート全体を壁材に強く押しつければ、粘着剤層の全
面で壁材に強固に接着させることができる。

【００２７】

【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。

【００２８】実施例１ 直径約２０μｍのポリメタクリル酸メチル樹脂からなる
ビーズを配合したアクリル粘着剤をバーコーター（通
常、コーター部のギャップは５０μｍ以上である。）を
用いて厚み１００μｍの塩化ビニル樹脂フィルム上に乾
燥厚み約１０μｍになるように塗布し、乾燥させて、凹
部厚み約１０μｍ、その凹部からの高さ約１０μｍの凸
部を有する粘着剤層を形成した。この粘着剤層の上に予
め離型処理をした厚み３８μｍのポリエステルフィルム
を剥離層として貼着して、本発明による貼着シートを得
た。

【００２９】この貼着シートから剥離層を剥離し、その
粘着剤層を壁材に軽く当てて位置決めした後、粘着剤層
と壁材との間の空気を凹部から外部に逃がしながら、そ
の全面を壁材に押しつけることによって、膨れや皺の発
生なしに、貼着シートを壁材に強固貼着することができ
た。

【図面の簡単な説明】

【図１】は、本発明による貼着シートの斜視図である。

【図２】は、本発明による貼着シートを模式的に示す部
分断面図である。

【符号の説明】

１…基材シート、２…粘着剤層、３…充填材、４…凸
部、５…剥離層（セパレータ）。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中野 礼吉 神戸市兵庫区明和通３丁目２番15号 バン ドー化学株式会社内 Ｆターム(参考） 4F100 AK15 AK25 AR00B AT00A BA02 CA23B CB05 DD07B DE01B DG03B EJ96 GB08 HB00A JL13B YY00B 4J004 AA04 AA10 AA14 AA16 AA18 AB01 CA04 CA05 CA06 CC02 DA04 DB02 FA01 GA01

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】基材シートとその上の粘着剤層とからなる
   貼着シートにおいて、上記粘着剤層が粒子状又は繊維状
   の充填材を含み、この充填材に由来して、粘着剤層が隆
   起した凸部を多数有することを特徴とする貼着シート。
2. 【請求項２】粘着剤層の乾燥厚みが５〜３００μｍの範
   囲にあり、充填材が粒子状であるとき、その粒径が粘着
   剤層の乾燥厚みの1.５〜３倍の範囲にあり、充填材が短
   繊維であるとき、その直径が粘着剤層の乾燥厚みの1.５
   〜３倍の範囲にある請求項１に記載の貼着シート。
3. 【請求項３】粒子状又は繊維状の充填材を含む粘着剤を
   基材シート上に塗布し、乾燥させて、粘着剤層に上記充
   填材に由来する隆起を凸部として多数有せしめることを
   特徴とする貼着シートの製造方法。
4. 【請求項４】粘着剤層の乾燥厚みが５〜３００μｍの範
   囲にあり、充填材が粒子状であるとき、その粒径が粘着
   剤層の乾燥厚みの1.５〜３倍の範囲にあり、充填材が短
   繊維であるとき、その直径が粘着剤層の乾燥厚みの1.５
   〜３倍の範囲にある請求項３に記載の貼着シートの製造
   方法。