JP2000111269A - 焼成用治具 - Google Patents

焼成用治具

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JP2000111269A
JP2000111269A JP10278470A JP27847098A JP2000111269A JP 2000111269 A JP2000111269 A JP 2000111269A JP 10278470 A JP10278470 A JP 10278470A JP 27847098 A JP27847098 A JP 27847098A JP 2000111269 A JP2000111269 A JP 2000111269A
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tray
setter
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fired
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JP10278470A
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Yutaka Okada
裕 岡田
Toshiyuki Suzuki
利幸 鈴木
Tamotsu Wakita
保 脇田
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Coorstek KK
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Toshiba Ceramics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多品種の被焼成物に適用すること、および多
段に積み重ねて焼成した際の製品間の性能を均一化する
ことが可能で、かつリサイクル性に優れ、更に長寿命の
焼成用治具を提供する。 【解決手段】 庇部を有する突起部が板材の上面周縁の
3箇所以上に一体的に形成された耐熱衝撃性が良好な耐
火物からなるトレー本体と、この本体に開口されたガス
通過穴とを有するトレー;前記トレーの突起部における
庇部の下に着脱自在に嵌合され、被焼成物と反応し難い
材料で表面がコーティングされた耐熱金属からなるガス
流通性を有するセッター;を具備したことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品のような
機能性セラミックスを焼成する際に用いる治具に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電子部品等の機能性セラミックスの焼成
には、アルミナ質、アルミナ−シリカ質、マグネシア−
アルミナ−シリカ質および炭化ケイ素質から選ばれる少
なくとも1つの耐熱衝撃性が良好な耐火物から作られた
トレーと、このトレーの成分であるアルミナ、シリカ、
炭化ケイ素や不純物および被焼成物との反応防止または
前記被焼成物の成分が前記トレーに拡散するのを防止す
るために被焼成物との反応性の低いジルコニア質もしく
はジルコン酸塩からなるセッターとを組み合わせた治具
が使用されている。
【0003】近年、焼成前後の被焼成物の積み下ろし工
程等を自動化を進めるためにトレーとセッターを一体化
した治具が要求されている。また、前記トレーとセッタ
ーとの一体化のほかに、次のような性能が治具に要求さ
れている。
【0004】(a)生産性の向上のためにヒートサイク
ルの短縮を可能にする急激なヒートカーブに対応する優
れた耐熱衝撃性を有すること。
【0005】(b)軽量で、低熱容量であること。
【0006】(c)リサイクルが可能であること。
【0007】(d)多品種の被焼成物に使用可能である
こと。
【0008】ところで、前記トレーとセッターとの一体
化治具としては、従来より次のような構造のものが知ら
れている。
【0009】(1)ジルコニア質またはジルコン酸塩か
らなるトレーそのもので作られた治具。
【0010】(2)特許第1712115号、特許第1
913732号、特許第1735200号に開示されて
いるようにアルミナ−シリカ質等の耐熱衝撃性の良好な
トレーの表面にジルコニア質層をコーティング等により
形成した治具。
【0011】(3)アルミナ−シリカ質等の耐熱衝撃性
の良好なトレーにジルコニア質のセッターを接着した治
具。
【0012】(4)アルミナ−シリカ質等の耐熱衝撃性
の良好なトレーにジルコニア質のセッターを固定した治
具。
【0013】しかしながら、前記(1)〜(4)の治具
は次のような問題があった。
【0014】治具(1) この治具は、被焼成物との反応性の点では問題がない
が、耐熱衝撃性が劣るため、急激なヒートカーブで被焼
成物を焼成すると亀裂、破損を生じ易い。また、材両面
から高コストになり、しかも重く熱容量も大きくなる。
【0015】治具(2) 焼成を繰り返すと、ジルコニア質層が剥離して使用でき
なくなる。また、使用不可能になった時にリサイクルを
考えると、トレーにジルコニア質層が一体化しているた
めトレーとジルコニア質層とを分別回収することが困難
になる。
【0016】治具(3) 焼成を繰り返すと、トレーとセッターとの熱膨脹差によ
りトレーが割れたり、反りを発生して使用できなくな
る。また、使用不可能になった時にリサイクルを考える
と、トレーとセッターとが一体化しているため、それら
を分別回収することが困難になる。
【0017】治具(4) リサイクルの点では優れているが、形状面から製造が難
しい。製造上、ジルコニア質のセッターを肉厚にする必
要があるため、冷却時にトレーの内部と外部とで温度差
が生じて大きな熱応力が発生し、トレーが割れ易くな
る。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、多品種の被
焼成物に適用すること、および多段に積み重ねて焼成し
た際の製品間の性能を均一化することが可能で、かつリ
サイクル性に優れ、更に長寿命の焼成用治具を提供しよ
うとするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる焼成用治
具は、庇部を有する突起部が板材の上面周縁の3箇所以
上に一体的に形成された耐熱衝撃性が良好な耐火物から
なるトレー本体と、この本体に開口されたガス通過穴と
を有するトレー;前記トレーの突起部における庇部の下
に着脱自在に嵌合され、被焼成物と反応し難い材料で表
面がコーティングされた耐熱金属からなるガス流通性を
有するセッター;を具備したことを特徴とすものであ
る。
【0020】本発明に係わる焼成用治具において、前記
セッターは、焼成温度よりも融点の高い耐熱金属からな
る基材の表面に被焼成物と反応し難い材料の保護層を被
覆した0.2〜2.0mmの厚さを有し、かつ前記基材
は網状または多数のガス流通孔を有することが好まし
い。
【0021】本発明に係わる焼成用治具において、前記
トレーはアルミナ質、アルミナ−シリカ質、マグネシア
−アルミナ−シリカ質および炭化ケイ素質から選ばれる
少なくとも1つの耐熱衝撃性が良好な耐火物から作ら
れ、前記セッターはジルコニア質またはジルコン酸塩で
表面がコーティングされたニッケル、ニッケル合金、モ
リブデン、モリブデン合金、タングステン、タングステ
ン合金、クロムおよびクロム合金から選ばれる耐熱金属
から作られることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の態様】以下、本発明に係わる焼成用治具
を図1、図2を参照して詳細に説明する。
【0023】図1は、本発明に係わる焼成用治具を示す
斜視図、図2は図1の治具の分解斜視図である。トレー
1は、例えば矩形状のトレー本体2と、この本体2の対
向する2つの縁部上面のコーナ部および中央にそれぞれ
一体的に形成された3つ以上例えば6つの細長状の突起
部3と、前記本体2に開口された複数、例えば4つのガ
ス通過穴4とから構成されている。前記各突起部3は、
前記本体2の中央部側に向かう例えば断面が三角形状の
庇部5を有し、かつ前記庇部5の上面は多段積みするた
めに平坦になっている。なお、前記庇部5の高さは後述
するセッターの厚さより僅かに高くなっている。
【0024】セッター6は、ガス流通性を有する。この
セッター6は、外縁に前記トレー1の各突起部3位置に
対応して切欠部7を有し、前記トレー1の各突起部3に
おける庇部5の下に着脱自在に嵌合されて、前記トレー
1の本体2に載置されている。
【0025】前記セッター6の取り付け操作は、例えば
前記トレー1の左側の縁部に位置する3つの突起部3の
庇部5下にセッター6の左側の縁部に位置する切欠部7
が合致するように挿入した後、前記セッター6を前記切
欠部7の配列方向に沿って湾曲させて前記トレー1の右
側の縁部に位置する3つの突起部3の庇部5下にその右
側の縁部に位置する切欠部7が合致するように挿入する
ことにより前記セッター6を前記トレー1の本体2に装
着する。セッターの取り外し操作は、前記取り付け操作
と逆の手順により行われる。
【0026】前記トレー1は、例えばアルミナ質、アル
ミナ−シリカ質、マグネシア−アルミナ−シリカ質およ
び炭化ケイ素質から選ばれる少なくとも1つの耐熱衝撃
性が良好な耐火物から作られる。このようなトレー1
は、例えば肉厚の矩形状耐火物を加工して前記庇部を有
する突起部を形成した後、ガス通過穴を穿設したり、鋳
込み成形したりすることによって製造される。
【0027】前記ガス流通性を有するセッター6は、例
えば網状をなす。このセッター6は、焼成温度(100
0〜1400℃)よりも融点の高い耐熱金属からなる網
の表面に被焼成物と反応し難い材料の保護層を被覆した
構造で、0.2〜2.0mmの厚さを有することが好ま
しい。
【0028】前記網体材料である耐熱金属としては、例
えばニッケル、モリブデン、タングステン、クロムおよ
びこれらの合金またはサーメットを挙げることができ
る。
【0029】前記被焼成物と反応し難い材料としては、
例えばジルコニア質またはCaZrO3のようなジルコ
ン酸塩を挙げることができる。この保護層は、30〜5
00μm厚さを有することが好ましい。
【0030】前記保護層を被覆するための方法として
は、溶射法等が考えられ、特に水プラズマ溶射法により
形成した保護層は耐剥離性に優れているために好まし
い。前記網体表面への保護層の被覆は、セッターをトレ
ーにセットする前に行なっても、セッターをトレーにセ
ットした後に行なってもよい。前記保護層の再被覆を行
なう場合には、予め元の保護層を研磨やブラスト等によ
り除去することが好ましい。
【0031】前記セッターの厚さを規定したのは、その
厚さを0.2mm未満にすると、強度が低下する恐れが
あり、一方、2.0mmを超えると湾曲し難くなってト
レーへの装着が困難になるばかりか、熱容量およびコス
トが増大する恐れがある。
【0032】以上説明した本発明に係わる焼成用治具
は、図1および図2に示すようにトレー1の本体2にガ
ス通過穴4が開口されていると共に、セッター6は網状
のようなガス流通性を有する形状をなし、さらに前記ト
レー1と前記セッター6とが前記トレー1の縁部に一体
的に形成した庇部5を有する3つ以上の突起部3により
着脱自在な構造になっているため、次のような作用、効
果を奏する。
【0033】(1)複数、例えば5つの焼成用治具のセ
ッター6上に複数の被焼成物(図示せず)をそれぞれ載
置し、これら焼成用治具を図3に示すようにトレー1の
突起部3上面に別のトレー1の本体2底面が接するよう
に多段積み重ね、所定の雰囲気ガス中で焼成を行なう
と、前記トレー本体2に水平方向に配列された突起部3
間の空間を通して水平方向に雰囲気ガスおよび熱の流れ
を形成できるのみならず、前記トレー本体2にガス通過
穴4が開口され、かつ前記セッター6が網体からなるた
めに上下方向に雰囲気ガスおよび熱の流れを形成でき
る。その結果、前記各セッター6に載置された複数の被
焼成物に対して十分な雰囲気ガスおよび熱の流れを形成
できるため、より均一な雰囲気、温度での焼成が可能に
なる。
【0034】また、被焼成物から発生するバインダ成分
の分解ガスのようなガスも上面および周面のような開放
面のみならず、前記セッター6に接している面からもセ
ッター6およびトレー本体2のガス通過穴4を通して外
部に放出することが可能になる。つまり、被焼成物から
のバインダ成分の分解ガスを略開放した状態で全面から
放出することが可能になる。
【0035】したがって、本発明に係わる焼成用治具に
よれば均一な焼成、均一な脱バインダ化により焼成後の
製品特性を著しく向上することができる。
【0036】(2)セッター6の材質(特に基材の材
質)を変えることによって、トレー1は多品種の被焼成
物の焼成に使用することが可能になる。
【0037】(3)焼成の繰り返しによりトレー1およ
びセッター6のいずれかが亀裂や破損等を生じた場合、
その破損等を生じた部材のみを交換することで正常な部
材をそのまま継続使用することができる。
【0038】(4)使用不可となったトレー1およびセ
ッター6は、互いに分離可能であるため、別々に処理し
て再生することができる。
【0039】(5)セッター6の基材(網体)として弾
性変形、塑性変形し得る耐熱金属を使用することによっ
て、トレー1に対する着脱を容易に行なうことが可能に
なる。
【0040】また、耐熱金属からなる基材は、セラミッ
クスに比べて割れ難いため、ヒートサイクルを受ける繰
り返しの使用回数を増大することが可能になる。
【0041】さらに、セッター6表面の保護層が剥離し
た場合にも再被覆処理により再利用できるため、廃棄物
量を低減することができる。
【0042】(6)セッター6は、耐熱金属からなる基
材表面に被焼成体と反応し難い材料の保護層を被覆した
構造を有するため、積層セラミックコンデンサのような
被焼成物をその材料と反応を生じることなく良好に焼成
できる。特に、前記保護層をジルコン酸塩で形成すれ
ば、被焼成物との耐反応性をより一層改善することが可
能になる。
【0043】(7)前記セッター6の厚さを0.2〜
2.0mmにすることによって、その塑性変形性が良好
になるため、前記トレー1への取り付けを操作をより容
易に行なうことができる。
【0044】また、前記セッター6を前述した厚さにす
ることによって、焼成用治具の軽量化と低熱容量化を図
ることができる。
【0045】次に、本発明に係わる別の焼成用治具を図
3および図4を参照して説明する。
【0046】図3は、本発明に係わる別の焼成用治具を
示す斜視図、図4は図3の治具の分解斜視図である。ト
レー11は、例えば矩形状のトレー本体12と、この本
体12の縁部上面のコーナ部およびこの縁部と対向する
縁部の中央にそれぞれ一体的に形成された3つの細長状
の突起部13と、前記本体の中央部に開口された例えば
1つのガス通過穴14とから構成されている。前記各突
起部13は、前記本体12の中央部側に向かう例えば断
面が三角形状の庇部15を有し、かつ前記庇部15の上
面は多段積みするために平坦になっている。なお、前記
庇部15の高さは後述するセッターの厚さより僅かに高
くなっている。
【0047】セッター16は、周縁部に矩形枠状突部1
7を有し、かつ外縁に前記トレー11の各突起部13位
置に対応して切欠部18を有する形状をなし、前記トレ
ー11の各突起部14における庇部15の下に着脱自在
に嵌合されて、前記トレー11の底板12に載置されて
いる。セッター16は、前記矩形枠状突部17より内側
部分にガス流通性を付与するための多数のガス流通孔1
9が開口されている。
【0048】前記セッター16の取り付け操作は、例え
ば前記トレー11の左側の縁部に位置する2つの突起部
13の庇部15下にセッター16の左側の縁部に位置す
る切欠部18が合致するように挿入した後、前記セッタ
ー16を前記切欠部18の配列方向に沿って湾曲させて
前記トレー11の右側の縁部に位置する1つの突起部1
3の庇部15下にその右側の縁部に位置する切欠部18
が合致するように挿入することにより前記セッター16
を前記トレー11の本体12に装着する。セッターの取
り外し操作は、前記取り付け操作と逆の手順により行わ
れる。
【0049】前記トレー11は、例えばアルミナ質、ア
ルミナ−シリカ質、マグネシア−アルミナ−シリカ質お
よび炭化ケイ素質から選ばれる少なくとも1つの耐熱衝
撃性が良好な耐火物から作られる。このようなトレー1
1は、例えば肉厚の矩形状耐火物を加工して前記庇部を
有する突起部を形成した後、ガス通過穴を穿設したり、
鋳込み成形したりすることによって製造される。
【0050】前記セッター16は、焼成温度(1000
〜1400℃)よりも融点の高い耐熱金属からなる矩形
枠状突部より内側の基材部分表面に被焼成物と反応し難
い材料の保護層を被覆した構造で、0.2〜2.0mm
の厚さを有することが好ましい。
【0051】前記基材材料である耐熱金属としては、例
えばニッケル、モリブデン、タングステン、クロムおよ
びこれらの合金またはサーメットを挙げることができ
る。
【0052】前記被焼成物と反応し難い材料としては、
例えばジルコニア質またはCaZrO3のようなジルコ
ン酸塩を挙げることができる。この保護層は、30〜5
00μm厚さを有することが好ましい。
【0053】前記保護層を被覆するための方法として
は、前述した図1および図2に示す焼成用治具で説明し
たのと同様な手段が採用される。
【0054】前記セッターの厚さを規定したのは、前述
した図1および図2に示す焼成用治具で説明したのと同
様な理由によるものである。より好ましい前記セッター
の厚さは、0.2〜0.6mmである。
【0055】以上説明した本発明に係わる焼成用治具
は、図3および図4に示すようにトレー11の本体12
にガス通過穴14が開口されていると共に、セッター1
6は多数の微細なガス流通孔19を有する形状をなすた
め、焼成用治具のセッター16上に複数の被焼成物(図
示せず)をそれぞれ載置し、これら焼成用治具をトレー
11の突起部13上面に別のトレー11の本体12底面
が接するように多段積み重ね、所定の雰囲気ガス中で焼
成を行なう場合、前述した(1)と同様な作用、効果を
奏する。
【0056】また、トレー11とセッター16とが前記
トレー11の縁部に一体的に形成した庇部15を有する
3つ以上の突起部13により着脱自在な構造になってい
るため、前述した(2)〜(7)と同様な作用、効果を
奏する。
【0057】特に、図3および図4に示す焼成用治具は
セッター16が周縁部に補強作用をなす矩形枠状突部1
7を有し、全体を肉薄にした構造になっているため、よ
り一層の軽量化と低熱容量化を図ることができる。
【0058】なお、本発明に係わる焼成用治具において
熱衝撃を緩和するためにトレー本体にスリットを設けて
もよい。
【0059】また、本発明に係わる焼成用治具において
トレーを積み重ねて被焼成物を焼成する際、トレー同士
の接触部の摩擦によりその摩耗屑が発生して製品に悪影
響を及ぼす場合には前記トレー同士の接触部にジルコニ
ア等の難反応性成分を被覆することを許容する。
【0060】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を説明する。
【0061】(実施例1)まず、前述した図2に示すア
ルミナ量が90wt%のアルミナ−シリカ質からなり、
長さ150mm,幅150mm、厚さ10mmの矩形状
のトレー本体2と、この本体2の対向する2つの縁部上
面のコーナ部および中央にそれぞれ一体的に形成された
6つの細長状の突起部3と、前記本体2に開口された直
径60mmの4つのガス流通孔4とから構成されたトレ
ー1を用意した。なお、前記各突起部3は幅16mm、
高さ6mmで前記本体2の中央部側に向かう例えば断面
が三角形状の庇部5(延出長さ3mm)を有し、かつ前
記庇部5の上面は多段積みするために平坦になってい
る。
【0062】また、図2に示すように前記トレー1の各
突起部3位置に対応して幅16mm,奥行き5mmの6
つの切欠部7を有する矩形状のニッケル網体(線材太
さ;0.3mm、目開き;0.7mm)の表面にCaO
を4wt%含む部分安定化ジルコニアの保護層を水プラ
ズマ溶射法により被覆した長さ150mm,幅150m
m、厚さ1.5mmのセッター6を用意した。
【0063】次いで、前記トレー1の左側の縁部に位置
する3つの突起部3の庇部5下にセッター6の左側の縁
部に位置する切欠部7が合致するように挿入した後、前
記セッター6を前記切欠部7の配列方向に沿って湾曲さ
せて前記トレー1の右側の縁部に位置する3つの突起部
3の庇部5下にその右側の縁部に位置する切欠部7が合
致するように挿入することにより前記セッター6を前記
トレー1の本体2に装着して図1に示す焼成用治具を組
み立てた。
【0064】得られた5つの焼成用治具のセッター上に
チタン酸バリウムからなる長さ3mm,幅3mm,厚さ
1mmの被焼成物をそれぞれ載置し、これら焼成用治具
を前述した図3に示すように積み重ねた後、電気炉内で
窒素雰囲気中にて約300℃/hrの昇温速度で130
0℃まで加熱し、約300℃/hrの降温速度で400
℃まで急冷し、その後室温まで徐冷して前記被焼成物の
焼成を行なった。
【0065】得られた各チタン酸バリウム焼成物は、焼
成物間での特性にバラツキがなく、均一な特性を有する
ことが確認された。
【0066】また、前記被焼成物の焼成を繰り返し、1
0サイクル毎に焼成用治具を電気炉から取り出し、割れ
等の損傷の有無を確認した。その結果、40サイクル目
で前記治具のセッター表面に大きなシミが生じて被焼成
物が付着するようになった。このため、セッターをトレ
ーから脱離し、その表面をブラスト処理により保護層を
除去した後、再度、前記安定化ジルコニアからなる保護
層を被覆し、このセッターをトレーに装着して治具を組
み立てた。
【0067】セッター交換後の治具を用いて同様な被焼
成物の焼成を繰り返した。その結果、通算で80サイク
ル目、120サイクル目でセッター表面に同様なシミが
生じ、同様にセッターの脱離、保護層の再被覆、トレー
への再装着を行なって被焼成物の焼成を継続した。
【0068】通算180サイクル目でトレーに大きなク
ラックが生じたために、焼成操作を中止した。この時、
トレーから取り出したセッターは別のトレーに装着する
ことにより使用可能であった。
【0069】(実施例2)まず、前述した図4に示す炭
化ケイ素量が90wt%の炭化ケイ素質からなり、長さ
150mm,幅150mm、厚さ2mmの矩形状のトレ
ー本体12と、この本体12の縁部上面のコーナ部およ
びこの縁部と対向する縁部の中央にそれぞれ一体的に形
成された3つの細長状の突起部13と、前記本体12に
開口された直径100mmのガス流通孔14とから構成
されたトレー11を用意した。なお、前記各突起部13
は幅15mm、高さ5mmで前記底板12の中央部側に
向かう断面が三角形状の庇部15(延出長さ3mm)を
有し、かつ前記庇部15の上面は多段積みするために平
坦になっている。
【0070】また、図4に示すように周縁部に高さ1m
m,幅6mmの矩形枠状突部17と、外縁に前記トレー
11の各突起部13位置に対応して形成された幅17m
m,奥行き3.5mmの3つの切欠部18と、前記矩形
枠状突部17の内側に穿設された直径2mmの多数の微
細なガス流通孔19とを有する矩形状のモリブデン基材
の表面にジルコン酸カルシウムの保護層を水プラズマ溶
射法により被覆した長さ150mm,幅150mm、厚
さ2mmのセッター16を用意した。
【0071】次いで、前記トレー11の左側の縁部に位
置する2つの突起部14の庇部15下にセッター16の
左側の縁部に位置する切欠部18が合致するように挿入
した後、前記セッター16を前記切欠部18の配列方向
に沿って湾曲させて前記トレー11の右側の縁部に位置
する1つの突起部14の庇部15下にその右側の縁部に
位置する切欠部18が合致するように挿入することによ
り前記セッター16を前記トレー11の底部12に装着
して図3に示す焼成用治具を組み立てた。
【0072】得られた5つの焼成用治具のセッター上に
チタン酸バリウムからなる長さ3mm,幅3mm,厚さ
1mmの被焼成物をそれぞれ載置し、これら焼成用治具
を積み重ねた後、電気炉内で窒素雰囲気中にて約300
℃/hrの昇温速度で1300℃まで加熱し、約300
℃/hrの降温速度で400℃まで急冷し、その後室温
まで徐冷して前記被焼成物の焼成を行なった。
【0073】得られた各チタン酸バリウム焼成物は、焼
成物間での特性にバラツキがなく、均一な特性を有する
ことが確認された。
【0074】また、前記被焼成物の焼成を繰り返し、1
0サイクル毎に焼成用治具を電気炉から取り出し、割れ
等の損傷の有無を確認した。その結果、70サイクル目
で前記治具のセッター表面の保護層が部分的に剥離した
ため、セッターをトレーから脱離し、その表面をブラス
ト処理により保護層を除去した後、再度、前記安定化ジ
ルコニアからなる保護層を被覆し、このセッターをトレ
ーに装着して治具を組み立てた。
【0075】セッター交換後の治具を用いて同様な被焼
成物の焼成を繰り返した。その結果、通算で150サイ
クル目でセッター表面に保護層が部分的に剥離したた
め、同様にセッターの脱離、保護層の再被覆、トレーへ
の再装着を行なって被焼成物の焼成を継続した。
【0076】通算200サイクル目の焼成操作を行なっ
た後においてもトレーにクラック等の損傷が生じること
なく、更に継続使用が可能であった。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば多
品種の被焼成物に適用する、および多段に積み重ねて焼
成した際の製品間の性能を均一化することが可能で、か
つリサイクル性に優れ、更に長寿命の焼成用治具を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる焼成用治具を示す斜視図。
【図2】図1の治具の分解斜視図。
【図3】図1の焼成用治具を多段に積み重ねて被焼成物
を焼成した状態を示す断面図。
【図4】本発明に係わる別の焼成用治具を示す斜視図。
【図5】図4の治具の分解斜視図。
【符号の説明】
1,11…トレー、 2,12…トレー本体、 3,13…突起部、 4,14…ガス通過穴 5,15…庇部、 6,16…セッター、 7,18…切欠部、 18…ガス流通孔。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 脇田 保 愛知県刈谷市小垣江町南藤1番地 東芝セ ラミックス株式会社刈谷製造所内 Fターム(参考) 4K055 AA08 HA02 HA12 HA14 HA15 HA25 HA27

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 庇部を有する突起部が板材の上面周縁の
    3箇所以上に一体的に形成された耐熱衝撃性が良好な耐
    火物からなるトレー本体と、この本体に開口されたガス
    通過穴とを有するトレー;前記トレーの突起部における
    庇部の下に着脱自在に嵌合され、被焼成物と反応し難い
    材料で表面がコーティングされた耐熱金属からなるガス
    流通性を有するセッター;を具備したことを特徴とする
    焼成用治具。
  2. 【請求項2】 前記セッターは、焼成温度よりも融点の
    高い耐熱金属からなる基材の表面に被焼成物と反応し難
    い材料の保護層を被覆した0.2〜2.0mmの厚さを
    有し、かつ前記基材は網状または多数のガス流通孔を有
    することを特徴とする請求項1記載の焼成用治具。
  3. 【請求項3】 前記トレーは、アルミナ質、アルミナ−
    シリカ質、マグネシア−アルミナ−シリカ質および炭化
    ケイ素質から選ばれる少なくとも1つの耐熱衝撃性が良
    好な耐火物から作られ、前記セッターはジルコニア質ま
    たはジルコン酸塩で表面がコーティングされたニッケ
    ル、ニッケル合金、モリブデン、モリブデン合金、タン
    グステン、タングステン合金、クロムおよびクロム合金
    から選ばれる耐熱金属から作られることを特徴とする請
    求項1または2記載の焼成用治具。
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