JP2007093093A - 焼成用治具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鉄以上の機械的強度と耐熱性を有するSUS430の薄板に、多数の小孔4・・・が形成された治具本体2と、この治具本体2の表面に形成されたセラミック被覆層3とを備えた構成とする。治具本体2がSUS430の薄板によって構成されているので、使用回数が多くなっても、織物に比して、変形が生じ難く、かつ、亀裂や破壊等も生じ難い。また、治具本体2の表面にセラミック被覆層3が形成されているので、被焼成物と反応しない。
【選択図】図1
Description
このような焼成用治具の一例として特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載されている焼成用治具は、セラミック長繊維の織物と、該織物の外周縁部を固定したセラミックの枠体とからなるものであり、織物の外周縁部と枠体とは、耐熱性無機接着剤で固定されている。
このような焼成用治具は、織物であり通気性が良好であるため、この焼成用治具に載置された電子部品(被焼成物)は焼成時に所定の雰囲気ガスで覆われ、均一に焼成される。
また、焼成用治具はセラミック長繊維の織物であるため、金属繊維等の織物に比して靭性が低く、比較的大きな衝撃が作用すると亀裂や破壊が生じ易いという問題もある。
鉄以上の機械的強度と耐熱性を有する金属製の薄板に、多数の小孔が形成された治具本体と、
この治具本体の少なくとも前記被焼成物が載置される載置面に形成されたセラミック被覆層とを備えたことを特徴とする。
また、薄板の厚さは、0.6mm程度に設定するのが好ましいが、これに限るものではない。厚さが厚いほど機械的強度は向上するが、その反面、重量増大となり、作業性が低下したり、熱容量が大きくなって、焼成効率が低下することを考慮すると、薄板の厚さは0.3mm〜1.0mm程度が望ましい。
さらに、セラミック被覆層は、例えばアルミナを溶射によって被覆形成するが、これ以外の方法で被覆形成してもよく、また、アルミナ以外のセラミック、例えばジルコニア等で被覆形成してもよい。
また、セラミック被覆層は、治具本体の少なくとも載置面に形成するが、治具本体の表面全体に形成するのが好ましい。
また、治具本体の少なくとも被焼成物が載置される載置面にセラミック被覆層が形成されているので、治具本体に被焼成物が直接接触することがなく、よって、被焼成物と反応しないという特性を満たす。
さらに、治具本体に多数の小孔が形成されており、通気性が良好であるため、この治具本体に載置された被焼成物は焼成時に所定の雰囲気ガスで覆われ、かつバインダが放出し易いので、均一に焼成することができる。
前記立上り部にもアルミナが溶射されてなるセラミック被覆層が形成されていることを特徴とする。
また、立上り部は、載置板の周囲に連続して設けられてもよく、所定間隔で設けられてもよい。また、立上り部の高さは、載置板に載置される被焼成物より高く設定するのが望ましい。
さらに、立上り部の横断面形状は矩形状が好ましい、つまり立上り部を壁状に形成するのが好ましいが、これに限ることはない。例えば、立上り部の横断面形状を半円形状、三角形状やその他の異形の断面形状としてもよい。
また、立上り部にセラミック被覆層を形成する場合、少なくとも載置板の内側を向く部位に形成するのが望ましい。
また、焼成用治具を上下に積み重ねた際に、上下に隣り合う載置板間に立上り部の高さの分だけの隙間を形成できるので、載置板に載置された被焼成物と、上方の載置板との間に通気層を形成できる。よって、被焼成物が所定の雰囲気ガスで覆われ、かつバインダが放出し易いので、均一に焼成することができる。
(第1の実施の形態)
図1〜図5は本発明に係る焼成用治具の第1の実施の形態を示すもので、図1は焼成用治具の斜視図、図2は焼成用治具の角部の斜視図、図3は焼成用治具の側面図、図4は焼成用治具の載置板の断面図、図5は治具本体の展開図である。
これらの図において、符号1は焼成用治具を示す。この焼成用治具1は、治具本体2と、この治具本体2の表面全体に形成されたセラミック被覆層3(図4参照)とを備えている。
小孔4は平面視円形状に形成されており、その直径は0.5mm程度ある。また、小孔4・・・は、碁盤の目状に配置されており、縦横に隣り合う小孔4,4は、0.5mm程度の距離を隔てている。なお、多数の小孔4・・・は、前記薄板にエッチング加工を施すことによって形成されるが、これに限ることなく、薄板に小孔4・・・を機械的加工によって形成してもよい。なお、図4において、小孔4はストレート孔であるが、小孔4をエッチング加工によって形成する場合、実際はストレートではなく、孔の上下端部で直径が若干異なり、また、孔の上下中間部で小径部が形成される場合が多い。
すなわち、立上り部6は長方形薄板の外周縁部を所定の幅で折り曲げて立て起こすことで形成されている。図5に示すように、治具本体2は展開された状態では長方形薄板状に形成されており、その外周縁部には、溝8が矩形環状に形成されている。平面視において溝8の4つの角部には、それぞれ切込み9が長辺に向けて該長辺と直角に形成されている。また、溝8の4つの角部には、それぞれ溝10が前記切込み9と直角にかつ前記溝8の延長線上に形成されている。
そして、図2および図3に示すように、長方形薄板の外周縁部を溝8から直角に折り曲げて立て起こすことによって、載置板5の周囲に壁状の立上り部6を形成し、さらに、短辺両側の耳部9aを溝10から長辺側に折り曲げて長辺側の立上り部6に重ね合わせ、スポット溶接によって接合することによって、載置板5の周囲に壁状の立上り部6が連続して形成された治具本体2が形成される。なお、載置板5と立上り部6とには、多数の小孔4・・・が形成されているが、該小孔4・・・は立上り部6を折り曲げる前に予め、長方形薄板全体に形成しておく。なお、前記耳部9aとこの耳部9aが重ね合わされる部位にも小孔4・・・が形成されている。
すなわち、治具本体2をプラズマ溶射装置にセットし、治具本体2の表面全体にノズルからアルミナを溶射することによって、セラミック被覆層3を形成する。溶射するアルミナの粒径は10μm〜80μm程度であり、形成されたセラミック被覆層3の厚さは50μm〜80μm程度である。また、セラミック被覆層3は載置板5の上面と下面、立上り部6の外側面と内側面の他に、前記小孔4の内周面にも形成される。
なお、セラミック被覆層3は、治具本体2の表面全体にアルミナを溶射して形成したが、該セラミック被覆層3は、少なくとも治具本体2に載置される電子部品(被焼成物)が接触する部位に形成すればよい。具体的には、治具本体2の載置板5の上面、小孔4の入口近傍の内周面、立上り部6の内側面にアルミナを溶射して形成すればよい。
また、治具本体2の表面にセラミック被覆層3が形成されているので、治具本体2に電子部品(被焼成物)が直接接触することがなく、よって、電子部品(被焼成物)と反応しないという特性を満たす。
さらに、治具本体2に多数の小孔4・・・が形成されており、通気性が良好であるため、この治具本体2に載置された電子部品(被焼成物)は焼成時に所定の雰囲気ガスで覆われ、かつバインダが放出し易いので、均一に焼成することができる。
また、電子部品(被焼成物)が載置される載置板5の周囲には、立上り部6が設けられているので、この立上り部6によって電子部品(被焼成物)のこぼれ落ちを防止できる。
さらに、焼成用治具1を上下に積み重ねた際に、上下に隣り合う載置板5,5間に立上り部6の高さの分だけの隙間を形成できるので、載置板5に載置された電子部品(被焼成物)と、上方の載置板5との間に通気層を形成できる。よって、電子部品(被焼成物)が所定の雰囲気ガスで覆われ、かつバインダが放出し易いので、均一に焼成することができる。
図6〜図9は本発明に係る焼成用治具の第2の実施の形態を示すもので、図6は焼成用治具の斜視図、図7は焼成用治具の角部の拡大斜視図、図8は焼成用治具の側面図、図9は治具本体の展開図である。
これらの図に示す焼成用治具11が、前記第1の実施の形態の焼成用治具1と異なる点は、載置板5と立上り部6とのなす角度が120度である点であり、その他の構成は焼成用治具1と共通しているので、共通構成には同一符号を付して、その説明を省略または簡略化する。
そして、図6〜図8に示すように、長方形薄板の外周縁部を溝8から60度折り曲げて立て起こすことによって、載置板5の周囲に載置板5に対して120度傾斜する壁状の立上り部6を形成し、さらに、長辺両側の耳部9bを溝14から短辺側に折り曲げて短辺側の立上り部6に重ね合わせ、スポット溶接によって接合することによって、載置板5の周囲に壁状の立上り部6が連続して形成された治具本体2が形成される。この場合、立上り部6と載置板5とのなす角度は120度となっており、90度以上である。したがって、本実施の形態の焼成用治具11は、立上り部6が外側に傾斜しており、この点が前記第1の実施の形態の焼成用治具1とは異なる。
この場合、立上り部6と載置板5とのなす角度が120度であるので、立上り部5の、載置板5の内側を向く面にセラミック被覆層3を容易に形成できる。すなわち、立上り部6の載置板5の内側を向く面(内側面)が、斜め上方側にも向くので、この内側面に容易にアルミナを溶射できる。
2 治具本体
3 セラミック被覆層
4 小孔
5 載置板
6 立上り部
Claims (4)
- 被焼成物を焼成する際に該被焼成物が載置される焼成用治具において、
鉄以上の機械的強度と耐熱性を有する金属製の薄板に、多数の小孔が形成された治具本体と、
この治具本体の少なくとも前記被焼成物が載置される載置面に形成されたセラミック被覆層とを備えたことを特徴とする焼成用治具。 - 前記セラミック被覆層は、アルミナを前記治具本体に溶射することによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の焼成用治具。
- 前記治具本体は、前記被焼成物が載置される平板状の載置板と、この載置板の周囲に設けられた立上り部とを備え、
前記立上り部にもアルミナが溶射されてなるセラミック被覆層が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の焼成用治具。 - 前記立上り部は壁状に形成されており、この立上り部と前記載置板とのなす角度が90度以上であることを特徴とする請求項3に記載の焼成用治具。
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