JP2000107795A - 汚泥湿式酸化分離液処理方法及びその装置 - Google Patents

汚泥湿式酸化分離液処理方法及びその装置

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JP2000107795A
JP2000107795A JP28104298A JP28104298A JP2000107795A JP 2000107795 A JP2000107795 A JP 2000107795A JP 28104298 A JP28104298 A JP 28104298A JP 28104298 A JP28104298 A JP 28104298A JP 2000107795 A JP2000107795 A JP 2000107795A
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nitrate
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sludge
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JP28104298A
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Akira Matsunaga
旭 松永
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 汚泥を湿式酸化分離法により処理した際に分
離された湿式酸化処理分離液を生物学的処理と化学的処
理を施して硝酸イオン及びリンを除去することにより、
汚泥の湿式酸化処理の実用化を可能とした処理方法を提
供する。 【解決手段】 硝酸塩還元処理タンク26内において硝酸
塩還元菌を添加して液中の硝酸イオンを亜硝酸イオンに
還元した湿式酸化処理分離液と、硫化物イオン溶解タン
ク33内において硫化物イオンを添加して液中の硝酸イオ
ンをアンモニウムイオンに還元した湿式酸化処理分離液
を混合して亜硝酸アンモニウム溶液とし、これを嫌気性
アンモニア酸化処理タンク42内で滞留させることにより
分子状窒素として液中から除去し、残部の液成分は汚水
処理系で処理するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、汚泥の湿式酸化分
離液のような高濃度の硝酸イオンを含む廃水を対象とし
て、生物処理と化学処理を組み合わせることより分離液
中の硝酸イオンを除去するようにした汚泥の湿式酸化分
離液を処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】下水汚泥のような有機性汚泥の処理方法
として、湿式酸化処理法が知られている。この方法は汚
泥を液相の状態で、可燃性物質を高温高圧のもとに補助
燃料を用いることなく、空気中の酸素を酸化剤として酸
化するものである。酸化された汚泥は固形残留物、溶解
性の有機物を含む分離液及び気体となる。固形残留物は
薬品添加なしで容易に脱水でき、強熱減量は15%以下
となり、分離液は、通常、汚水処理施設に返送して処理
する。また、ガスは脱臭して放出するが、窒素酸化物、
硫黄酸化物等は汚泥を焼却する場合と比較して低いのが
特徴である。
【0003】建設省都市局下水道部監修の下水道施設設
計指針と解説(1984年版)の525頁には湿式酸化
設備のフローが記載されているが、我国において下水汚
泥は脱水あるいは脱水後に焼却する手段が一般的であ
り、湿式酸化法は普及していないのが実状である。
【0004】湿式酸化処理後の分離液は、有機性の窒素
は大部分硝酸性に変換されるので、高濃度の硝酸イオン
を含んでいる。しかも、エアレーションタンクに硫酸バ
ンドを注入するなどの方法でリンの不溶化処理を行なっ
た場合を除いて、通常、湿式酸化分離液にはリン酸イオ
ンも含まれている。高濃度の硝酸イオンを除去する良い
方法は無く、汚水処理系に返流された場合、放流水の全
窒素濃度を高める原因となっている。
【0005】近年、触媒湿式酸化法が開発され、この方
式によると、汚泥中の窒素分は分子状窒素となるので、
分離液を汚水処理系に返流した場合の窒素負荷が軽減さ
れる。また、分離液の処理が容易となる長所があり、分
離液に含まれる有機酸をメタン化してエネルギーを回収
する方法も研究されている。しかし、触媒湿式酸化は連
続運転が可能なパイロットプラントによる実用化研究が
行なわれている段階であり、汚泥処理方式として一般に
行われている方法ではない。
【0006】汚泥の湿式酸化処理分離液を対象として高
濃度の硝酸イオンを除去する方法として、次のような方
法が特願平9−325537号において記されている。
【0007】この方法は湿式酸化分離液を二つに分け
て、その一方は硝酸塩還元菌を用いた処理を行ない、硝
酸イオンを亜硝酸イオンに還元する。他方は硫化カルシ
ウム、硫化ナトリウムあるいは硫化鉄などの硫化物を添
加して、硝酸イオンをアンモニウムイオンに還元する。
硝酸イオンと硫化物イオンの反応は次式のように表わさ
れる。
【0008】 2S2-+NO3 -+4H2O→S23 2-+NH4 ++4OH- その後、両方の液を合わせて、亜硝酸アンモニウム溶液
とした液をタンニン酸鉄のような触媒と接触させるさせ
ることにより窒素ガスに分解する。亜硝酸アンモニウム
の分解は次式のように表わせる。
【0009】NH4NO2→N2+2H2O この処理法を実際に行なうための処理システム装置の構
成を図2に示す。
【0010】図2において、湿式酸化分離液1は分流手
段2により、二等分され、その一方は湿式分離液一時貯
留タンク3に流入して、同タンク3に併設された温度調
整手段4とpH調整手段5により温度とpHが調整され
た後、硝酸塩還元菌種菌供給手段8と攪拌機7により硝
酸塩還元菌と混合攪拌される。硝酸塩還元菌は硝酸塩還
元菌種菌供給手段8によりタンクからの流出を防止する
ためにペレット状に固定化されて硝酸塩還元処理タンク
6に供給される。硝酸塩還元処理タンク6上部にある流
出口9にはペレットが流出しない程度の隙間があるスク
リーン10が設置されている。スクリーン10を通過した液
は混合タンク11に流入する。
【0011】湿式酸化分離液1の残り半分は硫化物イオ
ン溶解タンク12に供給され、同タンク内において、硫化
物イオン供給手段13により硫化カルシウム、あるいは硫
化ナトリウムが添加される。これらは粉末、溶液、スラ
リー状で添加される。硫化鉄を使用してもよく、その場
合は硫化鉄をかごの中に入れて液中に浸漬するように用
いる。硫化物イオン溶解タンク12には硝酸イオン濃度測
定手段14が設置され、硫化物イオン添加量演算制御手段
15により、硝酸イオンが残っている場合は硫化物イオン
の供給を継続して行なう。一方、硝酸イオンが消失した
場合には硫化物イオンの供給を停止する制御が行なわれ
ている。硫化物イオン溶解タンク12から流出した液は混
合タンク11に流入する。混合タンク11においては硝酸塩
還元処理タンク6から流出した液と硫化物イオン溶解タ
ンク12から流出した液が混合攪拌される。その後、混合
タンク11を出た液は亜硝酸アンモニウムの溶液となって
おり、触媒接触タンク16に流入してタンニン酸鉄のよう
な触媒17と接触することにより、亜硝酸アンモニウム
は、窒素に分解して大気中に放出される。この触媒は固
定化されて連続通水が可能な状態であり、触媒と接触し
た液は汚水処理系18に返流される。
【0012】しかしながら、この方法は亜硝酸アンモニ
ウム分解工程における触媒が比較的高価であることや実
施時間が経過するとともに触媒の効果が低下するなどの
問題があり実用レベルに達していない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】亜硝酸アンモニウムが
窒素に分解する反応は古くから知られており、水処理に
応用も考えられていたが、まだ一般的には用いられてい
ない。その理由として、汚水中のアンモニウムイオンと
亜硝酸イオンを等当量濃度で溶存させることが必要であ
ることや、アンモニウムイオンあるいは硝酸イオンから
亜硝酸イオンを生成する最適な方法がないことが挙げら
れる。特願平9−325537号に記述されている汚泥
の湿式酸化処理分離液を対象とした高濃度の硝酸イオン
を除去する方法によれば、アンモニウムイオンと亜硝酸
イオンを等当量濃度にすることが可能となり、さらに加
熱やタンニン酸鉄のような触媒と接触させることにより
亜硝酸アンモニウムを窒素に分解すること可能となっ
た。
【0014】しかしながら、タンニン酸鉄を触媒として
用いる方法には使用する触媒が高価であることや経時的
に触媒の効果が低下するなどの問題が残っている。
【0015】このように加熱方式やタンニン酸鉄のよう
な触媒を用いて亜硝酸アンモニウムを窒素に分解する方
法にも解決すべき問題が残されており、実用レベルに達
していない。
【0016】そこで、亜硝酸アンモニウム分解工程にお
けるコスト、効率、性能維持の問題を解決すれば、汚泥
の湿式酸化処理の実用化が可能となるばかりでなく、湿
式酸化処理設備を設けている汚水処理システムが経済
的、性能的な面で改善されることとなる。
【0017】また、この方法において、リンの除去につ
いては特に考慮されていないが、硝酸イオンを還元るた
めに添加した硫化物塩の種類によっては、リンを不溶化
させて除去が可能となる。
【0018】しかし、硫化鉄や硫化カルシウムを用いた
場合、リン酸イオンはリン酸鉄やヒドロキシアパタイト
として不溶化するので、亜硝酸アンモニウムの分解に用
いられている触媒表面に沈着して触媒の効率が低下する
問題が生じている。このため、不溶化したリン酸の回収
利用を行なうために、不溶化したリンを除去する装置を
適当な場所に設置して回収することが必要とされる。
【0019】そこで、本発明は上記の事情に鑑みてなさ
れたものであり、汚泥を湿式酸化処理法により処理した
際に分離された湿式酸化分離液に含まれる硝酸イオン及
びリンを経済的かつ効率的に除去することにより、汚泥
の湿式酸化処理の実用化を可能とした汚泥湿式酸化分離
液処理方法及びその装置を提供することを課題とするも
のである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
達成するために、第1発明は、汚泥の湿式酸化処理分離
液を二等分して、一方の分離液に硝酸塩還元菌を添加し
て液中に含まれる硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元し、
他方の分離液に硫化物イオンを添加して液中に含まれる
硝酸イオンをアンモニウムイオンに還元し、硝酸還元菌
処理により亜硝酸イオンを多く含んだ液と、硫化物イオ
ン処理によりアンモニウムイオンを多く含まれる液を混
合して亜硝酸アンモニウム溶液とし、この亜硝酸アンモ
ニウム溶液を嫌気性アンモニア酸化処理により分子状窒
素に変換して液中から除去し、残部の液成分は汚水処理
系で処理することを特徴としている。
【0021】第2発明は、汚泥の湿式酸化処理分離液に
硫化カルシウムを添加することによりヒドロキシアパタ
イトとして結晶を析出させてリンを除去することを特徴
としている。
【0022】第3発明は、汚泥の湿式酸化処理分離液に
硫化鉄を添加することによりリン酸鉄として不溶化させ
てリンを除去することを特徴としている。
【0023】第4発明は、汚泥の湿式酸化処理分離液を
2等分に分流させる分流手段と、分流された一方の分離
液が供給される硝酸塩還元処理手段と、この硝酸塩還元
処理部に硝酸塩還元菌を供給する硝酸塩還元菌種菌供給
手段と、分流された他方の分離液が供給される硫化物イ
オン溶解手段と、この硫化物イオン溶解手段に硫化物イ
オンを供給する硫化物イオン供給手段と、前記硝酸塩還
元処理手段からの亜硝酸イオンを多く含んだ液と前記硫
化物イオン溶解手段からのアンモニウムイオンを多く含
んだ液が供給される混合手段とを備えた汚泥湿式酸化分
離液処理装置において、混合手段から供給された液に含
まれる不溶物を固液分離させる固液分離手段と、固液分
離手段からの亜硝酸アンモニウム溶液が供給される嫌気
性アンモニア酸化手段とを具備したことを特徴としてい
る。
【0024】第5発明は、混合手段と嫌気性アンモニア
酸化処理手段には供給される液のpHを測定しながら、
酸とアルカリにより設定されたpH値に調整するpH調
整手段と、液温を測定しながら、設定された液温に調整
する温度調整手段を設けたことを特徴としている。
【0025】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面に
基づいて説明する。
【0026】図1において、21は分流手段で、供給路20
を介して供給された湿式酸化分離液は、この分流手段21
により、二等分に分流され、一方の分離液は供給路22を
介して湿式酸化分離液一時貯留タンク23へ、他方の分離
液は供給路32を介して硫化物イオン溶解タンク33へと流
入する。
【0027】湿式酸化分離液一時貯留タンク23には、温
度調整手段24とpH調整手段25が設置されている。温度
調整手段24とpH調整手段25は湿式酸化分離液一時貯留
タンク23に取込んだ液の液温とpHを測定して、硝酸塩
還元菌処理に適した条件である液温45℃、pH中性付
近に調整する機能を有する。液温とpHが調整された分
離液は硝酸塩還元処理タンク26に供給される。
【0028】硝酸塩還元処理タンク26には、攪拌機27と
硝酸塩還元菌種菌供給手段28が設置され、同タンク26上
部の流出口29にはスクリーン30が据付られている。硝酸
塩還元処理タンク26に供給された分離液は攪拌機27によ
り攪拌されて硝酸塩還元菌種菌供給手段28から供給され
た硝酸塩還元菌と均一に混ざり合う。この時、分離液中
の硝酸イオンは亜硝酸イオンに還元される。また、この
還元に伴い液中に溶解している有機物は硝酸塩還元菌に
より酸化される。硝酸塩還元菌種菌供給手段28は、硝酸
塩還元タンク26から流出しないように、硝酸塩還元菌種
菌をペレット状に固定化して同タンク26に供給する。流
出口29に据付けられたスクリーン30はペレットが流出し
ない程度の隙間構造を成している。スリーン30を通過し
た分離液は連結通路31を介して混合タンク38に供給され
る。
【0029】供給路32を介して湿式酸化分離液が供給さ
れる硫化物イオン溶解タンク33には、硝酸イオン濃度測
定手段34、硫化物イオン添加量演算制御手段35及び硫化
物イオン供給手段36が設置されている。硫化物イオン供
給手段36は、硫化物イオン溶解タンク33に取込まれた湿
式酸化分離液に対して、硫化物イオンを定量的に供給
し、分離液中の硝酸イオンをアンモニウムイオンに還元
させる機能を有する。硫化物イオンは硫化カルシウムや
硫化鉄などが用いられ、粉末、溶液、またはスラリー状
として添加される。硫化鉄を用いる場合は、かごの中に
入れて分離液中に浸漬させる。硫化物イオン添加量演算
制御手段35は、硝酸イオン濃度測定手段34によって測定
された硝酸イオン濃度に応じた硫化物イオンの供給の制
御を行なうことにより、硝酸イオンの還元反応を効率良
くかつ経済的に進める機能を有する。液中の硝酸イオン
が還元された分離液は連結通路37を介して混合タンク38
に供給される。
【0030】混合タンク38には、温度調整手段39とpH
調整手段40が設置されている。
【0031】硝酸塩還元処理タンク26から供給された液
と硫化物イオン溶解タンク33から供給された液がこのタ
ンク38内で混合される。このとき、亜硝酸イオンとアン
モニウムイオンは化学的にほぼ等当量に溶解されてい
る。混合液中の不溶化したリン酸塩の固液分離の促進を
図るために、温度調整手段39とpH調整手段40は、混合
液の液温とpHを測定して、液温30℃、pH8付近に
調整する機能を有する。混合タンク38から流出した液は
固液分離手段41により、硫化物イオン溶解タンク33に
おいて不溶化したリンが固液分離される。
【0032】固液分離手段41は硫化物として硫化カル
シウムや硫化鉄を用いた場合にはリンの除去に有効であ
るが、硫化ナトリウムを用いた場合、リン酸ナトリウム
は溶解性となるので、固液分離手段41は省略される。分
離された不溶化したリンは系外除去され、固液分離液は
嫌気性アンモニア酸化処理タンク42に供給される。
【0033】嫌気性アンモニア酸化処理タンク42には、
温度調整手段43とpH調整手段44が設置されている。温
度調整手段43及びpH調整手段44は、同タンク42内に供
給された固液分離液の液温とpHを測定して、嫌気性ア
ンモニア酸化処理に最適な条件である液温30℃、pH
8付近に調整する機能を有する。嫌気性アンモニア酸化
処理タンク42内に据付けられている固定床45には、脱窒
素タンクから引き抜かれた種汚泥により馴致された嫌気
性汚泥が固定されており、6〜23時間の滞留時間の条
件で、液中の亜硝酸アンモニウムを分子性窒素に分解し
て大気中に放出させる。嫌気性アンモニア処理された液
は汚水処理系46に返流される。
【0034】以上、説明したように、硝酸塩還元菌を用
いた生物学的還元処理した湿式酸化分離液と硫化物イオ
ンを用いた化学的還元処理した湿式酸化分離液の混合液
を嫌気性アンモニア酸化処理することにより、液中に含
まれる硝酸とリンの除去を効率的に行うことができる。
【0035】従って、汚泥の湿式酸化処理分離液のよう
な高濃度の硝酸イオンを含んだ廃液をそのまま汚水処理
系に返流すると汚水処理系における窒素の負荷を高め
て、処理水の残留窒素濃度を上昇させる問題を生じさせ
る結果となるが、本発明に係る方法を用いることによ
り、汚水処理系への負荷を軽減させることができる。
【0036】硝酸塩還元処理手段においては、硝酸塩還
元菌を用いた生物学的還元処理に伴い分離液中の溶解性
有機物も酸化されることから、汚水処理系へのBODやCOD
の負荷も低減される効果がある。
【0037】硫化物イオン溶解手段において、添加され
る硫化物イオンにより硝酸イオンがアンモニウムイオン
に還元される反応は次式のように表される。
【0038】 2S2-+NO3 -+4H2O→S2O3 2-+NH4 ++4OH- 副生成物として得られたチオ硫酸イオンは、汚水処理に
おける生物脱窒反応における電子供与体としての機能を
有することが知られている。このことにより、汚水処理
系の生物脱窒工程において電子供与体として通常用いら
れているメタノールの代用となる。従って、チオ硫酸イ
オンを含んでいる処理水を汚水処理系に返流すると、汚
水処理系に係る活性汚泥の脱窒作用が促進され放流水質
が向上するばかりでなく運転管理の低コスト化を図るこ
とができる。
【0039】また、硫化物イオン溶解手段において添加
される硫化物については、硫化ナトリウムを使用した場
合、リンを除去することはできないが、硫化カルシウム
を用いた場合、リンはpH8付近ではヒドロキシアパタ
イトの結晶として析出するので、固液分離手段により分
離回収が可能になる。回収されたヒドロキシアパタイト
は肥料や医療用材料として再利用が可能である。また硫
化鉄を用いた場合には、リン酸イオンはリン酸鉄となり
不溶化して、固液分離手段が無い場合、リン酸鉄は最終
的には湿式酸化処理後の固形残留物の中に移行する。硫
化鉄を用いる方法は、リン酸を直接再利用することは困
難であるが、安価なリン酸イオンの除去方法として有効
である。
【0040】嫌気性アンモニア酸化処理手段における亜
硝酸アンモニウム分解の反応式は次のように表わされ
る。
【0041】NH4NO2→N2+2H2O 嫌気性アンモニア酸化法は、近年、Graafらによっ
て発明された方式であり、この方式に関するM.Str
ousらの論文がWater Research.Vol.31,No.8,1
955−1962(1997)に記載されている。
【0042】この報告によれば、嫌気性消化汚泥分離液
に亜硝酸を添加して、亜硝酸イオンとアンモニウムイオ
ンがおおよそ等当量溶解する状態にして、固定床を設定
したタンクに脱窒素タンクから引き抜いた種汚泥を投入
して、液温30℃、pH8の条件とすれば、6〜23時
間のタンク内滞留時間で、穏やかに亜硝酸アンモニウム
を窒素に分解することが可能となる。この反応は有機物
の供給を必要とせず、余剰汚泥発生率も低い。
【0043】亜硝酸アンモニウムの分解に嫌気性アンモ
ニア酸化処理を用いることにより、触媒として高価なタ
ンニン酸鉄を用いる触媒接触方式や加熱方式と比較し
て、温和な条件のもとで機能を低下させることなく、安
全かつ経済的な運転管理が可能になる。
【0044】また、従来法では、亜硝酸アンモニウムの
分解に触媒接触方式を用いると、硝酸の還元剤として硫
化鉄や硫化カルシウムを使用したとき生じたリン酸鉄や
ヒドロキシアパタイトが触媒表面に沈着して触媒の効率
の低下を招いたが、本発明に係る嫌気性アンモニア酸化
処理法を用いることにより、硫化物イオン溶解手段にお
いて添加される還元剤に左右されず、効率の低下を招く
ことなく、窒素の除去を行なうことが可能となる。
【0045】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係る汚泥の湿式酸化処理分離液の処理方法及びその装置
によれば、硝酸塩還元菌を用いた生物学的還元処理した
分離液と硫化物イオンを用いた化学的還元処理した分離
液の混合液を、嫌気性アンモニア酸化処理することによ
り、分離液中の硝酸イオンは分子性窒素ガスとして、リ
ンは不溶化して系外除去が可能となるので、汚水処理系
に返流した場合における窒素とリンの負荷は大幅に低減
される。
【0046】また、生物学的還元処理に伴い湿式酸化処
理分離液中の溶解性有機物も酸化により汚水処理系への
BODやCODの負荷も低減され、しかも化学的還元処理によ
り得られたチオ硫酸イオンも汚水処理系に係る活性汚泥
の脱窒作用を促進させて処理水質を向上させる効果があ
るため、汚泥の湿式酸化処理設備の実用を可能にした汚
泥汚水処理システムの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例を示す装置システム概要
図。
【図2】従来の装置システム概要図。
【符号の説明】
20・・・供給路 21・・・分流手段 22・・・供給路 23・・・湿式酸化分離液一時貯留タンク 24・・・温度調整手段 25・・・pH調整手段 26・・・硝酸塩還元処理タンク 27・・・攪拌機 28・・・硝酸塩還元菌種菌供給手段 29・・・流出口 30・・・スクリーン 31・・・連結通路 32・・・供給路 33・・・硫化物イオン溶解タンク 34・・・硝酸イオン濃度測定手段 35・・・硫化物イオン添加量演算制御手段 36・・・硫化物イオン供給手段 37・・・連結通路 38・・・混合タンク 39・・・温度調整手段 40・・・pH調整手段 41・・・固液分離手段 42・・・嫌気性アンモニア酸化処理タンク 43・・・温度調整手段 44・・・pH調整手段 45・・・固定床 46・・・汚水処理系

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 汚泥の湿式酸化処理分離液を二等分し
    て、一方の分離液に硝酸塩還元菌を添加して液中に含ま
    れる硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元し、他方の分離液
    に硫化物イオンを添加して液中に含まれる硝酸イオンを
    アンモニウムイオンに還元し、硝酸還元菌処理により亜
    硝酸イオンを多く含んだ液と、硫化物イオン処理により
    アンモニウムイオンを多く含まれる液を混合して亜硝酸
    アンモニウム溶液とし、この亜硝酸アンモニウム溶液を
    嫌気性アンモニア酸化処理により分子状窒素に変換して
    液中から除去し、残部の液成分は汚水処理系で処理する
    ことを特徴とする汚泥湿式酸化分離液処理方法。
  2. 【請求項2】 汚泥の湿式酸化処理分離液に硫化カルシ
    ウムを添加することによりヒドロキシアパタイトとして
    結晶を析出させてリンを除去することを特徴とする請求
    項1記載の汚泥湿式酸化分離液処理方法。
  3. 【請求項3】 汚泥の湿式酸化処理分離液に硫化鉄を添
    加することによりリン酸鉄として不溶化させてリンを除
    去することを特徴とする請求項1記載の汚泥湿式酸化分
    離液処理方法。
  4. 【請求項4】 汚泥の湿式酸化処理分離液を2等分に分
    流させる分流手段と、分流された一方の分離液が供給さ
    れる硝酸塩還元処理手段と、この硝酸塩還元処理手段に
    硝酸塩還元菌を供給する硝酸塩還元菌種菌供給手段と、
    分流された他方の分離液が供給される硫化物イオン溶解
    手段と、この硫化物イオン溶解手段に硫化物イオンを供
    給する硫化物イオン供給手段と、前記硝酸塩還元処理手
    段からの亜硝酸イオンを多く含んだ液と前記硫化物イオ
    ン溶解手段からのアンモニウムイオンを多く含んだ液が
    供給される混合手段とを備えた汚泥湿式酸化分離液処理
    装置において、混合手段から供給された液に含まれる不
    溶物を固液分離させる固液分離手段と、固液分離手段か
    らの亜硝酸アンモニウム溶液が供給される嫌気性アンモ
    ニア酸化手段とを具備したことを特徴とする汚泥湿式酸
    化分離液処理装置。
  5. 【請求項5】 混合手段と嫌気性アンモニア酸化処理手
    段には供給される液のpHを測定しながら、酸とアルカ
    リにより設定されたpH値に調整するpH調整手段と、
    液温を測定しながら、設定された液温に調整する温度調
    整手段を設けたことを特徴とする請求項4記載の汚泥湿
    式酸化分離液処理装置。
JP28104298A 1998-10-02 1998-10-02 汚泥湿式酸化分離液処理方法及びその装置 Pending JP2000107795A (ja)

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