JP2000103062A - 微細形状部品及びその製造方法 - Google Patents

微細形状部品及びその製造方法

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JP2000103062A JP31556999A JP31556999A JP2000103062A JP 2000103062 A JP2000103062 A JP 2000103062A JP 31556999 A JP31556999 A JP 31556999A JP 31556999 A JP31556999 A JP 31556999A JP 2000103062 A JP2000103062 A JP 2000103062A
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェットヘッドの作製に有用な、微細
な突起部もしくは開口部からなる微細形状部を備えた微
細形状部品を提供すること。 【解決手段】 微細形状部を底板部材と、底壁部材と、
隔壁部材とをもって構成するとともに、隔壁部材を、底
板部材を構成する基板の底壁部材が形成された側の上に
隔壁部材形成性の感光性材料を塗被し、感光性材料の被
膜を基板の裏側からの光に選択的に露光し、よって、感
光性材料の被膜の露光域を現像液に不溶化せしめ、そし
て感光性材料の被膜の未露光域を現像により除去するこ
とによって形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェットヘッ
ドに関し、さらに詳しく述べると、特に高密度印字に適
したインクジェットヘッド及びその製造方法ならびにイ
ンクジェットヘッドのインク室を典型例とする微細形状
部を備えた微細形状部品及びその製造方法に関する。本
発明のインクジェットヘッドは、近年広く用いられてい
るインクジェットプリンタのヘッド部において有利に使
用することができる。
【0002】
【従来の技術】近年、ワードプロセッサ、パーソナルコ
ンピュータ、ファクシミリ装置などのオフィスオートメ
ーション(OA)機器や医療用計測機器などの各種の計
測機器、その他の装置において、それらの装置からの出
力情報を高密度で印字するためにインクジェットプリン
タが広く用いられている。インクジェットプリンタは、
周知の通り、そのヘッド部からインクの液滴を噴射させ
て記録紙等の記録媒体に直接的に付着させ、モノクロあ
るいはカラーの印字を行うためのものである。インクジ
ェットプリンタは、記録媒体が立体物などであっても印
字が可能である、普通紙を記録媒体に使用することがで
きるのでランニングコストが安い、ヘッドの装着が簡単
であり、転写・定着等の工程を必要としない、カラー化
が容易で、鮮明なカラー印字が可能である、などの多く
の長所を有している。インクジェットヘッドは、それか
らのインク滴の噴射の駆動方式によっていろいろなタイ
プに区分することができ、例えば、ピエゾ方式のインク
ジェットヘッドは、加圧手段として圧電素子(ピエゾ素
子)を使用するものであり、圧電素子による電歪効果を
利用して、ヘッド部のインクの充填されたインク室内に
圧力波を生じさせ、これによってヘッド部のノズルから
インクを吐出するものである。また、バブルジェット方
式のインクジェットヘッドは、加圧手段として発熱体を
使用するものであり、発熱体を加熱して気泡を発生さ
せ、それによってヘッド部のノズルからインクを吐出す
るものである。さらに、静電吸引力によりインク滴を噴
射させる静電吸引方式のインクジェットヘッドも公知で
ある。なお、本発明のインクジェットヘッドは、これら
の方式及びその他の方式のインクジェットヘッドに対し
て有利に適用することができる。
【0003】従来のインクジェットヘッドは、通常、イ
ンク流路とインクを吐出するための加圧室の役目を果た
す、等間隔で配置されている複数のインク室(微細な突
起部もしくは開口部からなる微細形状部)と、インク室
の先端に取り付けられたものであって、それぞれのイン
ク室に対応したインク吐出のためのノズルを装備したノ
ズル板と、印字の要求に応じて前記インク室内のインク
を加圧可能な加圧手段を含んで構成されている。加圧手
段は、インク室を加圧するための駆動力を発生させる駆
動体を有し、また、かかる駆動体は、前記したように、
圧電素子の場合もあれば、発熱体の場合もある。
【0004】インクジェットヘッドの構造についてさら
に詳しく説明する。例えば、ピエゾ方式のインクジェッ
トヘッド10は、それを展開して示す図1から理解され
るように、いくつかの部材から構成されている。インク
室部材11は、インク流路とインクを吐出するための加
圧室の役目を果たす複数のインク室(微細形状部)12
を有している。インク室部材11の先端には、それぞれ
のインク室12に対応して配置されたノズル14を有す
るノズル板13が取り付けられる。ノズル14の孔から
は、先に説明したように、インク室12内で加圧された
インクを液滴の形で噴射可能である。図示のインク室部
材11において、そのインク室12の開放面には加圧手
段が取り付けられる。図示の例では、加圧手段は、イン
ク室12の体積変化を行うための振動板の役目を果たす
ダイアフラム15と、ダイアフラム15を歪ませるため
の駆動体であるところの圧電素子17と、圧電素子17
を固定するための基台18とから構成されている。
【0005】インク室部材11は、インク流路とインク
を吐出するための加圧室を兼ねる深溝状の複数本のイン
ク室12を有していて、それぞれのインク室12は、ノ
ズル板13に穿孔されたノズル14と対応しており、1
つのインク室にそれに対応する1つのノズルが配置され
るように設計されている。また、それぞれのインク室1
2は、相隣れるインク室を隔離する隔壁により、互いに
平行にかつ同じ間隔で配置されている。ここで、インク
ジェットヘッドの解像度を高めるためには、インク室部
材11に形成されるこれらのインク室12の間隔を狭く
することが必要である。なお、インク室部材11とノズ
ル板13とは、通常、接着剤を使用して接合可能であ
る。
【0006】ダイアフラム15は、圧電方式のインクジ
ェットヘッド10に特有の部品である。圧電素子17が
電歪効果によって伸縮すると、ダイアフラム15が撓
み、インク室12内の体積変化がそれによって発生す
る。インク室12内の体積が小さくなると、その室内に
充填されたインクが加圧され、ノズル14からその一部
分がインク滴として順次吐出されるのである。このダイ
アフラム15は、通常、3〜5μm 程度の厚さの薄板
と、その一面に形成された高さ20μm 程度の凸状突起
からなるアイランド16とから構成されている。アイラ
ンド16は、圧電素子17が電歪効果により伸縮したと
きにその歪みをインク室12に確実に伝えるためのもの
である。そのため、このアイランド16は、それぞれに
対応するインク室12及び圧電素子17と重なるように
配置される。インク室部材11とダイアフラム15の間
も接着剤で接合することができる。
【0007】圧電素子17は、インク室部材11のそれ
ぞれのインク室12に対応し、また、他のインク室12
に対する影響を防止するため、互いに分離された状態に
なっている。これらの分離された圧電素子17は、基台
18上で固定されている。圧電素子17は、一般的に
は、最初は分離していない圧電素子を基台に接着剤で接
合し、次いで圧電素子のみを切削加工により選択的に分
離することによって製造されている。このようにして圧
電素子と基台とが一体化したものを形成した後で、圧電
素子と、それに対応したダイアフラムに形成されたアイ
ランドとを接着剤で接合することができる。
【0008】上記した及びその他のインクジェットヘッ
ドにおいて、インク流路とインクを吐出するための加圧
室を兼ねる、微細な突起部もしくは開口部からなる微細
形状部であるインク室の性能は、それらの性能が直接的
に印字特性に影響を及ぼすので、非常に重要である。ま
ず、インク室を構成するインク室部材について見てみる
と、従来の圧電式インクジェットヘッドのインク室部材
は、例えば「エポックス(エポキシ樹脂の商品名)」な
どの有機材料を射出成形法により成形しているものが一
般的であった。しかし、有機材料から構成されたインク
室部材は、剛性に乏しく、従って加圧時にインクに十分
な圧力をかけることができない、などの欠点があった。
【0009】有機材料に代えてZrO2などの酸化物の粉末
を使用し、これらの粉末を粉末射出成形法と呼ばれる加
工法に従ってインク室部材に成形することも行われてい
る。この方法ではしかし、成形型の使用が必須であり、
また、その型に原料の粉末を充填する時に非常に大きな
圧力がかかるので、微細なインク室の形成に十分な程度
に微細な構造を有する成形型を使用することは困難であ
る。
【0010】微細なインク室の形成に適当な加工法とし
て、エッチング法も挙げられる。例えば、この加工法を
使用することにより、数百μm 程度の厚い金属板の表面
に溝状のパターンを微細に形成することが可能である。
しかし、この方法においても、高密度化という点に関し
て言えば、板厚と同程度の幅で溝を形成することが限度
であり、十分に有効とは言うことができない。また、エ
ッチング法の場合、形成される溝が金属板を貫通してし
まうので、もしもその金属板をインク室部材として使用
するのであるならば、金属板の1つの面にそれらの貫通
溝を塞ぐための追加の部材を張り合わせなければなら
ず、製造工程が複雑になってしまう。
【0011】インク室部材を形成するための別の方法と
して、特公昭62−59672号公報及び特公平2−4
2670号公報に開示されているような、一般にフォト
レジストあるいはレジストと呼ばれる感光性樹脂を使用
したフォトリソグラフィ法も公知である。この方法で
は、インク室を形成しようとしている基板の表面にレジ
ストを全面的に被覆し、次いで、得られたレジスト膜
を、得ようとしているインク室のパターンに合わせて適
当な光に選択的に露光した後、露光により不溶化せしめ
られなかった領域を現像液で溶解除去することにより、
硬化したレジストのパターンからなる所望とするインク
室を備えた基板を得ることができる。なお、レジストを
使用したフォトリソグラフィ法は、LSI、VLSI等
の半導体装置の製造において広く用いられている技法で
ある。
【0012】図2は、一般的に行われているフォトリソ
グラフィ法を使用したインク室の形成を順を追って示し
た断面図である。まず、図2の(A)に示すように、基
板31の表面にレジストを塗布してレジスト膜32を形
成した後に、レジスト膜32をフォトマスク33を介し
てパターン露光する。なお、ここで使用したレジストは
紫外線に感度を有するネガレジストであるので、フォト
マスク33は、インク室の隔壁に相当する部分において
紫外線が透過可能なガラスからなり、それ以外の部分に
は、紫外線の透過を阻止するため、クロム膜が被着され
ている。また、矢印で示される露光のための光線は、光
源(図示せず)からの紫外線である。
【0013】パターン露光の結果、レジスト膜32のう
ちの露光領域が現像液に対して不溶化せしめられる。そ
の後、この露光後のレジスト膜32をそれに適当な現像
液で現像すると、未露光領域(可溶性領域)が溶解除去
せしめられる。図2の(B)に示すように、所望とする
インク室の形状に相当する硬化レジストパターン32が
得られる。ここで、残留したレジストパターン32は、
相隣れるインク室を区画する隔壁部材として作用し、ま
た、基板31は、底板部材として作用する。なお、図示
の例では、レジストとしてネガ型のものを使用したけれ
ども、その代わりに、露光領域を可溶化せしめて溶解除
去するポジ型のレジストを使用した例も報告されてい
る。
【0014】上記したようなピエゾ方式のインクジェッ
トヘッドと同様にして、いま1つの方式であるバブルジ
ェット方式のインクジェットヘッドのインク室も製造す
ることができる。すなわち、これらの2つの方式のヘッ
ド部において、インク室及びノズルは基本的に共通であ
り、但し、バブルジェット方式では圧電素子及びダイア
フラムを使用せず、その代わりに、剛性の高い基板の上
に各インク室に対応して配設された発熱体及び関連部材
を有している。
【0015】以上において、従来のインクジェットヘッ
ドについて説明してきた。しかし、これらのインクジェ
ットヘッドは、特に近年において要求されている高密度
印字に対応することができない。近年、プリンタの分野
では、1インチ当たりのドット数(dpi)が180も
しくはそれ以上である高密度の印字が要求されつつあ
る。当然のことながら、インクジェットヘッドにおいて
も、そのヘッド部のインク室間距離及びしたがってノズ
ル間距離も、少なくとも180dpi相当の狭い長さで
あることが要求されている。ここで、「180dpi相
当の間隔」とは、具体的な長さで表現した場合、141
μm の間隔でインク室及びノズルが形成されていること
を意味する(図1の相隣れるインク室12の間の間隔d
及び相隣れるノズル14の間の間隔dを参照された
い)。すなわち、インク室部材においては、141μm
の限られた長さのなかにインク室とインク室間を仕切る
隔壁部材とが形成されていることが必要である。例え
ば、インク室の幅と隔壁部材の厚さの比が1対1である
場合、インク室の幅が70.5μm 、隔壁部材の厚さが
70.5μm ということになる。このように、印字の高
密度化が進むに従い、インク室の幅は狭くなる。しか
し、インク室の幅を狭くすることによって高密度化を達
成することができるといっても、記録媒体に印字される
インクのドットが小さすぎたのでは、良好な印字品質は
得られない。印字品質の低下を回避するためには、吐出
されるインクのドットを大きく保つこと、換言すると、
十分な量のインクをそれぞれのノズルから噴射させるこ
とが必要である。そのためには、インク室の容積が大き
いほうがよく、したがって、隔壁部材の高さが大きいイ
ンク室を提供することが要求されている。
【0016】再びインク室部材の形成に戻ると、従来の
方法で最も一般的な射出成形法は、微細な構造になると
型そのものを破壊してしまう危険性があるため、また、
高精度で成形を行うことができないため、120dpi
程度の印字密度に相当する微細構造の形成が限界であ
る。また、エッチング法は、平面形状を有するものを微
細に加工することは容易であるので、180dpi程度
のパターニングは十分に可能である。しかしながら、一
般にエッチング法では、それによりパターニングできる
幅は、エッチングされるべき部材の厚さに影響される。
例えば、180dpi相当の、インク室の幅が70.5
μm 、隔壁部材の厚さが70.5μm といったインク室
部材を形成しようとする場合、エッチングされるべき部
材の厚さが70μm 以下でなくては、パターニングを行
うことができない。このことは、高密度になればなるほ
ど、インク室の高さを大きくできないということを意味
している。
【0017】同様な欠陥は、レジストを使用して、フォ
トリソグラフィ法によりインク室部材を形成する場合に
おいても当てはまる。すなわち、レジストの膜厚が50
μmもしくはそれ以上である場合、従来のフォトリソグ
ラフィ法ではもはやレジスト膜のパターニングを行うこ
とができない。その理由は、レジストとして一般的に使
用されている感光性樹脂は、50μm 以下の膜厚での使
用を前提として設計されており、また、実際、50μm
を上回る膜厚でレジストプロセスにおいて使用した場
合、露光不足、現像不足などの問題が生じ、微細なパタ
ーニングを行うに至らないからである。
【0018】また、レジスト膜を通常のフォトリソグラ
フィ法を用いてパターニングする場合、パターニングで
きる幅に対するレジスト膜の膜厚の比(アスペクト比;
なお、インク室部材においては、以下においても説明す
るように、アスペクト比は、インク室の幅とインク室の
高さの比として規定される)は、1:2程度までが限度
とされている。レジストパターンのアスペクト比が1:
2を上回ると、インク室の隔壁部材となるべきレジスト
パターンが変形したり、基板に近いもとの部分が狭くな
って、いわゆる「逆テーパー」の形状となったり、ある
いは直立状態を保てなくなって隣のパターンと合体する
などの問題の多い欠陥が発生する。
【0019】上記したようなレジストパターンの欠陥
は、具体的には、図5の走査電子顕微鏡写真(500
倍)が参考になるであろう。写真のレジストパターン
は、本発明者らが、紫外線に対して感度を有する日本合
成ゴム社製のネガ型厚膜用レジスト、THB30(商品
名)を使用して、アルミニウム基板上にレジストパター
ンの幅を30μm 、レジストパターン間の幅(スペー
ス)を30μm 、レジストパターンの高さを50μm と
してパターニングを行った時の結果である。適用した主
な条件は、次の通りである: レジストの塗布(1000rpm×10秒) プリベーク(100℃、5分) 露光条件(100mW/cm2 、35秒) ポストベーク(100℃、15分間) 図5の顕微鏡写真から明らかなように、レジストパター
ンのアスペクト比が約1.7の時には、パターンの抜け
がよく、整然と並んだレジストパターンが欠陥を伴わず
に得られた。
【0020】ところが、上記と同様なレジストパターン
の形成をそのアスペクト比を徐々に高めながら繰り返し
たところ、レジストパターンの高さが60μm になった
近傍から、欠陥が発生し始めた。図3は、アルミニウム
基板31上に形成したレジストパターン32が逆テーパ
ー形状となった例を図示したものである。図示のよう
に、レジストパターン32は、その壁面が基板31に対
して垂直に形成されておらず、その基部32aのところ
で狭くなっている。このような逆テーパーパターンは、
露光時、レジスト膜32のうちそれが基板31と接する
基部32aのところまで十分な量の光が到達せず、した
がって、レジスト膜32の膜厚方向の露光量が不均一に
なった結果として発生したものである。すなわち、ここ
で使用した厚膜用レジストは、現像時に未露光部が溶解
除去されるネガ型レジストであるので、露光されにくか
ったレジスト膜32の基部32aの近傍がより多量に現
像されてしまうのである。このような現象は、レジスト
膜の膜厚を増加させればさせるほど、顕著に現れる。イ
ンク室部材の隔壁部材として使用すべきレジストパター
ンがこのように逆テーパー形状になってしまうと、基板
31とレジストパターン32との密着に関与する面積が
小さくなり、最悪の場合、レジストパターン32が基板
31から剥離してしまう。また、剥離しないにしても、
レジストパターン32のアスペクト比を高めるにつれ
て、パターンの壁が薄くなるので、特にその部分から、
例えば図4に断面で示すように、レジストパターン32
の倒れが発生することがある。レジストパターンがこの
ように変形すると、もはやそれをインク室の隔壁部材と
して使用することができなくなる。
【0021】図6は、アルミニウム基板上に形成したレ
ジストパターンが逆テーパー形状となるとともに、パタ
ーンの頂部においてパターンどうしが部分的に結合して
しまった例の走査電子顕微鏡写真(350倍)である。
この顕微鏡写真のレジストパターンは、基本的には、先
に図5を参照して説明したものと同様な手法に従って形
成し、但し、ここでは、比較のため、レジストパターン
の幅を50μm 、パターン間のスペースを50μm 、そ
してパターンの高さを100μm とし、また、厚膜化の
ため、レジスト溶液を2回塗りした。
【0022】上記のような結果から、ここで使用したレ
ジスト及びその他の商業的に入手可能なレジストでは、
それらを使用して常法に従いレジストパターンを形成す
るためには、発生する各種の欠陥を回避するため、その
アスペクト比を1:2程度までに抑えることが必要であ
る。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したよ
うな従来のインクジェットヘッドの多くの問題点を解決
するものである。したがって、本発明の1つの目的は、
高密度印字に有利に使用することができ、ピエゾ式、バ
ブルジェット方式等、いろいろな方式のものに共通的に
適用することができ、高精度のものを容易に製造するこ
とが可能でありかつ歩留りもよいインクジェットヘッド
を提供することにある。
【0024】また、本発明のもう1つの目的は、上記し
たようなインクジェットヘッドの製造方法を提供するこ
とにある。本発明のさらにもう1つの目的は、上述のよ
うなインクジェットヘッドのインク室として有用な、微
細な突起部もしくは開口部からなる微細形状部を備えた
微細形状部品及びその製造方法を提供することにある。
【0025】本発明のこれらの目的及びその他の目的
は、以下の詳細な説明から容易に理解することができる
であろう。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明は、その1つの面
において、複数個のインク吐出のためのノズル、前記ノ
ズルに連通したインクの流通及び加圧のためのインク室
及び前記インク室内のインクをその体積変化により前記
ノズルより吐出するための加圧手段を含むインクジェッ
トヘッドであって、前記インク室が、所定の形状及び寸
法を有する透明な基板からなる底板部材と、その底板部
材の上方にインク室の形状に合わせてパターン状に形成
された非光透過性材料からなる底壁部材と、前記底板部
材の上方であって前記底壁部材が占有しない領域に形成
された隔壁部材とをもって構成されており、また、前記
隔壁部材が、下記の工程:前記基板の前記底壁部材が形
成された側の上にその全域にわたって隔壁部材形成性の
感光性材料を所定の膜厚で塗被し、前記感光性材料の被
膜を、前記底壁部材のパターンを介して、前記基板の裏
側からの前記感光性材料が感度を有する光に選択的に露
光し、よって、前記感光性材料の被膜の露光域を現像液
に不溶化せしめ、そして前記感光性材料の被膜の未露光
域を現像により除去すること、に従って形成されたもの
であることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0027】本発明は、そのもう1つの面において、複
数個のインク吐出のためのノズル、前記ノズルに連通し
たインクの流通及び加圧のためのインク室及び前記イン
ク室内のインクをその体積変化により前記ノズルより吐
出するための加圧手段を含むインクジェットヘッドを製
造するに当たって、 前記インク室を、下記の工程:所定の形状及び寸法を有
する透明な基板を用意して底板部材を形成し、前記基板
の表面に底壁部材を非光透過性材料からパターン状に形
成し、前記基板の前記底壁部材が形成された側の上にそ
の全域にわたって隔壁部材形成性の感光性材料を所定の
膜厚で塗被し、前記感光性材料の被膜を、前記底壁部材
のパターンを介して、前記基板の裏側からの前記感光性
材料が感度を有する光に選択的に露光し、よって、前記
感光性材料の被膜の露光域を現像液に不溶化せしめ、そ
して前記感光性材料の被膜の未露光域を現像により除去
して前記隔壁部材を形成すること、にしたがって、底板
部材と、その底板部材の上方にインク室の形状に合わせ
てパターン状に形成された底壁部材と、前記底板部材の
上方であって前記底壁部材が占有しない領域に形成され
た隔壁部材とをもって形成することを特徴とするインク
ジェットヘッドの製造方法にある。
【0028】また、本発明は、そのもう1つの面におい
て、微細な突起部もしくは開口部からなる微細形状部を
備えた微細形状部品であって、前記微細形状部が、所定
の形状及び寸法を有する透明な基板からなる底板部材
と、その底板部材の上方に前記微細形状部の形状に合わ
せてパターン状に形成された非光透過性材料からなる底
壁部材と、前記底板部材の上方であって前記底壁部材が
占有しない領域に形成された隔壁部材とをもって構成さ
れており、 前記隔壁部材が、下記の工程:前記基板の前記底壁部材
が形成された側の上にその全域にわたって隔壁部材形成
性の感光性材料を所定の膜厚で塗被し、前記感光性材料
の被膜を、前記底壁部材のパターンを介して、前記基板
の裏側からの前記感光性材料が感度を有する光に選択的
に露光し、よって、前記感光性材料の被膜の露光域を現
像液に不溶化せしめ、そして前記感光性材料の被膜の未
露光域を現像により除去すること、に従って形成された
ものであり、そして前記微細形状部が、垂直方向の断面
に関して見た場合に、垂直方向に長い矩形断面を有して
おり、その際、前記微細形状部の高さが少なくとも50
μm でありかつその空間の幅と高さの比として規定され
るアスペクト比が少なくとも1:3であることを特徴と
する微細形状部品にある。
【0029】さらに、本発明は、そのもう1つの面にお
いて、微細な突起部もしくは開口部からなる微細形状部
を備えた微細形状部品を製造するに当って、 前記微細形状部を、下記の工程:所定の形状及び寸法を
有する透明な基板を用意して底板部材を形成し、前記基
板の表面に、その全域にわたって、非光透過性の底壁部
材形成性材料を塗被し、得られた底壁部材形成性材料の
被膜の上にさらに感光性材料を全面的に塗被し、形成さ
れた感光性材料の被膜を所望とする底壁部材のパターン
に合わせてフォトリソグラフィ法により選択的に除去
し、次いで、得られた感光性材料のパターンをマスクと
して、その下地の底壁部材形成性材料の被膜を選択的に
除去すること、に従って底壁部材をパターン状に形成
し、前記基板の前記底壁部材が形成された側の上にその
全域にわたって隔壁部材形成性の感光性材料を所定の膜
厚で塗被し、前記感光性材料の被膜を、前記底壁部材の
パターンを介して、前記基板の裏側からの前記感光性材
料が感度を有する光に選択的に露光し、よって、前記感
光性材料の被膜の露光域を現像液に不溶化せしめ、そし
て前記感光性材料の被膜の未露光域を現像により除去し
て前記隔壁部材を形成すること、にしたがって、底板部
材と、その底板部材の上方に前記微細形状部の形状に合
わせてパターン状に形成された底壁部材と、前記底板部
材の上方であって前記底壁部材が占有しない領域に形成
された隔壁部材とをもって形成することを特徴とする微
細形状部品の製造方法にある。
【0030】本発明によると、インク室の幅を狭くする
ことができるので、従来から切望されていたより高密度
の印字が可能になる。さらに加えて、本発明では、イン
ク室の幅と高さの比であるアスペクト比を大きくとるこ
とができるので、上記したようにインク室の幅が狭くて
も、インク室に充填されるインクの量は従来のインク室
と同等もしくはそれ以上であり、したがって、印字の都
度に印字品質を損なわない程度に十分な量のインクを付
属のノズルから吐出することができる。また、本発明の
インクジェットヘッドは、いろいろな方式のヘッドにお
いて同じように有利に適用することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】引き続いて、本発明をその最良の
実施の形態について説明する。なお、本発明の微細形状
部品とその製法については、それに備わった微細な突起
部もしくは開口部からなる微細形状部の典型例がインク
ジェットヘッドのインク室であるので、特にインク室を
参照して説明することにする。したがって、以下、「イ
ンク室」なる語は、「微細形状部」と読みかえることが
できる。
【0032】本発明によるインクジェットヘッドは、以
下に説明するように、ピエゾ方式、バブルジェット方式
及び、所望ならば、その他の公知の方式のものであるこ
とができる。これらのインクジェットヘッドは、その基
本構造として、複数個のインク吐出のためのノズル、そ
れらのノズルに連通したインクの流通及び加圧のための
インク室及びインク室内のインクをその体積変化により
前記ノズルより吐出するための加圧手段を有している。
ここで、加圧手段は、本発明のヘッドの方式に応じてい
ろいろな構成を有することができる。例えば、ピエゾ方
式のインクジェットヘッドは、その加圧手段として、圧
電素子及び関連の部材、例えばダイアフラムなどを有す
ることができる。ピエゾ方式のインクジェットヘッドの
典型的な構造は、図1を参照してすでに説明してある。
また、バブルジェット方式のインクジェットヘッドは、
その加圧手段として、発熱体及び関連の部材、例えば発
熱体に電気的に接続された電極などを有することができ
る。
【0033】本発明によるインクジェットヘッドでは、
それに含まれるインク室の構造及びその形状が重要であ
る。インク室は、図7にその一部を拡大して示したよう
に、所定の形状及び寸法を有する透明な基板からなる底
板部材1と、底板部材1の上方にインク室の形状に合わ
せてパターン状に形成された非光透過性材料からなる底
壁部材2と、底壁部材2の上方であって前記底壁部材が
占有しない領域に形成された隔壁部材5とをもって構成
される。隔壁部材5は、その幅がwでありかつその高さ
がhであり、また、インク室12の形成のために等間隔
で隔離して配置された隔壁部材5の間隔(スペース)は
sである。したがって、本願明細書において屡々使用す
る「アスペクト比」(インク室の幅とインク室の高さの
比として規定される)は、s:hである。
【0034】底板部材1を形成する透明な基板は、隔壁
部材5の形成時にパターニング用の光がその基板を透過
可能でありかつ、底壁部材2をエッチングにより形成す
る場合に、そのエッチングでもって基板自体が損傷を被
ったり剥離除去されない限り、特に限定されるものでは
ない。適当な透明基板材料として、例えば、ガラス、プ
ラスチック材料、例えばポリエステル樹脂(PETな
ど)、アクリル樹脂(PMMAなど)など、石英、その
他を挙げることができる。これらの材料は、単層で使用
してもよく、あるいは2層以上を積層して使用してもよ
い。
【0035】底板部材1の上にはそれに密着させてある
いは、ここでは図示しないけれども、必要に応じて、任
意の中間層を介在させて、非光透過性材料からなる底壁
部材2が形成される。ここで使用する非光透過性材料
は、隔壁部材5の形成時にパターニング用の光の透過を
阻止することができかつヘッドの使用時にインクの良好
な流れを保証し得る限りにおいて特に限定されるわけで
はないけれども、好ましくは、その形成の容易さ及び得
られるパターンの精度などを考慮して、金属材料、例え
ば、クロム、タンタル、ニッケル、チタン、銅、アルミ
ニウムなどであることができる。底壁部材2は、これら
の材料から単層として形成してもよく、あるいは2層以
上を積層して形成してもよい。また、場合によっては、
反射防止膜などと組み合わせて積層してもよい。底壁部
材2は、上記したような材料からなるべく薄く形成する
ことが好ましく、通常の膜厚は、約0.05〜1μm で
ある。
【0036】底壁部材2とともにインク室12を形成す
るために用いられる隔壁部材5は、本発明に特徴的なこ
ととして、下記の工程:透明な基板1の底壁部材2が形
成された側の上にその全域にわたって隔壁部材形成性の
感光性材料を所定の膜厚で塗被し、感光性材料の被膜
を、非光透過性の底壁部材2のパターンを介して、基板
1の裏側からの前記感光性材料が感度を有する光に選択
的に露光し、よって、その感光性材料の被膜の露光域を
現像液に不溶化せしめ、そして前記感光性材料の被膜の
未露光域を現像により除去すること、に従って形成する
ことができる。なお、この工程は、以下に説明する本発
明のインクジェットヘッドの製造のところでさらに詳し
く説明する。
【0037】ここで、隔壁部材形成性の感光性材料は、
レジストプロセスにおいて一般的に使用されている多数
のレジストのなかから適当なものを任意に選択して使用
することができる。ここで通常用いられるレジストは、
ネガレジストである。適当なレジストは、好ましくは、
少なくとも50μm の膜厚で成膜し、パターニングする
ことができるものであり、その一例として、例えば、日
本合成ゴム社製のTHB−30(商品名)あるいは東京
応化社製のOMR−83(商品名)を挙げることができ
る。隔壁部材5は、また、必要に応じて、それぞれのレ
ジストの特性を生かす目的で、2層構造あるいはそれ以
上の多層構造のレジスト膜から形成してもよい。
【0038】図7に示したインク室部材は、その構成と
して最もシンプルな形を採用している。しかし、本発明
のインク室部材では、発生するおそれのある不都合な回
析現象の回避のため、底板部材1の上に底壁部材2に隣
接させて隔壁部材5を配置する際に、底壁部材2と隔壁
部材5の中間に、底壁部材2のパターンよりも厚い膜厚
で中間層を介在せしめてもよい。中間層は、隔壁部材5
の形成に適当な材料から任意の手法に従って形成するこ
とができる。適当な中間層材料は、例えば、エポキシ樹
脂及びその他の樹脂材料、SiN 、SiO2、TiO2などであ
る。中間層は、その膜厚を広く変更することができると
いうものの、通常、5μm 以上であるのが好ましい。中
間層の膜厚が5μm を下回ると、もしも中間層の使用目
的が高アスペクト比の適用時における回折現象の回避に
ある場合に、その回折の問題を依然として回避すること
ができないであろう。中間層は、スプレーコート、ロー
ルコート、刷毛塗り、熱圧着、蒸着、スパッタリングな
どの技法を使用して形成することができる。
【0039】本発明によるインク室部材において、その
インク室のインク流路は、好ましくは、垂直方向の断面
に関して見た場合に、垂直方向に長い矩形断面を有して
おり、その際、前記インク室の高さが少なくとも50μ
m でありかつインク室の幅とインク室の高さの比として
規定されるアスペクト比(s:h)が少なくとも1:3
である。特に、インク流路の壁面、すなわち、隔壁部材
の壁面は、基板の表面から垂直に立ち上がっているので
はなくて、認め得る程度の傾斜を有している。これを隔
壁部材の形状から見ると、基板に近い下側から上側に向
かって先細りになっており、先に図3を参照して説明し
た従来のインク室の逆テーパ状の隔壁部材とは正反対で
ある。このような先細りの隔壁部材の形状は、本願明細
書において、特に「順テーパー」形状と呼ぶ。このよう
な順テーパーの隔壁部材が形成される理由は、以下に詳
細に説明するように、本発明において採用されるパター
ニング方法では、使用する厚膜用レジストの上部よりも
下部、すなわち、基板に近い部分のほうが、より多量に
露光を受けることができるからである。本発明の隔壁部
材は、このように順テーパー形状を有することで、底板
部材たる基板上に安定に固着され、位置することがで
き、また、使用の途中で基板から剥離したり、倒れたり
することが顕著に防止される。その結果、従来の技術で
は不可能と考えられてきた100μm もしくはそれ以上
の膜厚を有するレジスト膜をパターニングして所望の形
状及び寸法を有するインク室を形成することが可能にな
った。
【0040】1:3以上の高アスペクト比のインク室の
形成は、添付の図9の走査電子顕微鏡写真(350倍)
から明らかである。写真のレジストパターンは、本発明
者らが、紫外線に対して感度を有する日本合成ゴム社製
のネガ型厚膜用レジスト、THB30(商品名)を使用
して、以下に詳細に説明する本発明の方法に従いガラス
基板上にレジストパターンの幅を41μm 、レジストパ
ターン間の幅(スペース)を30μm 、レジストパター
ンの高さを100μm としてパターニングを行った時の
結果である。マスクとして使用した幅30μm のクロム
パターンは、それが非常に薄いために写真には現れてい
ない。適用した主な条件は、次の通りである: レジストの塗布(1000rpm×10秒、2回塗り) プリベーク(100℃、5分) 露光条件(10mW/cm2 、45秒;ガラス基板側から
のバック露光) ポストベーク(100℃、15分間) 図9の顕微鏡写真から明らかなように、レジストパター
ンのアスペクト比が約3.3の時でも、パターンの抜け
がよく、整然と並んだ細長いレジストパターンが欠陥を
伴わずに得られた。レジストパターンに十分な高さがあ
るので、インク室にも多量のインクを貯留することがで
き、よって、印字品質も良好である。
【0041】上記のような高アスペクト比のレジストパ
ターンの形成において使用するレジストの膜厚が増加す
ればするほど、レジスト膜の表面付近では、露光不足に
なるとともに、露光部と未露光部の境界が曖昧になりや
すい。しかしながら、本発明では、現像時において、露
光後のレジスト膜の表面ほど新しい現像液が供給される
ため、その露光部と未露光部の境界が多少はっきりとし
なくても、満足し得るのに十分な程度に現像を行うこと
ができる。よって、本発明の場合、たとえレジスト膜の
膜厚を大幅に増加したとしても、従来の技術で達成され
るものよりも微細なレジストパターンを形成することが
できる。
【0042】本発明によるインクジェットヘッドの製造
において、そのインク室は、次のような一連の工程:所
定の形状及び寸法を有する透明な基板を用意して底板部
材を形成し、前記基板の表面に底壁部材を非光透過性材
料からパターン状に形成し、前記基板の前記底壁部材が
形成された側の上にその全域にわたって隔壁部材形成性
の感光性材料を所定の膜厚で塗被し、前記感光性材料の
被膜を、前記底壁部材のパターンを介して、前記基板の
裏側からの前記感光性材料が感度を有する光に選択的に
露光し、よって、前記感光性材料の被膜の露光域を現像
液に不溶化せしめ、そして前記感光性材料の被膜の未露
光域を現像により除去して前記隔壁部材を形成するこ
と、にしたがって有利に製造することができる。以下、
それぞれの工程について説明する。 底板部材の形成:所定の形状及び寸法を有する透明な基
板を用意して底板部材を形成する。ここで使用すること
のできる適当な透明な基板は、先のインク室の構成の説
明のところで例示した。使用する基板の表面は、それに
対する底壁部材及び隔壁部材の密着力を高めるなどの目
的で、常法に従って表面処理を行ってもよい。 パターン化された底壁部材の形成:形成されるインク室
の底の部分を形成するため、非光透過性材料を使用し
て、基板の表面に底壁部材をパターン状に形成する。先
に具体的に説明したように、底壁部材形成のための非光
透過性材料としては、各種の金属材料を有利に使用する
ことができる。また、底壁部材の形成は、選ばれた底壁
部材形成性材料を基板上にパターン上に被着することに
よって直接的に形成してもよく、あるいは、選ばれた底
壁部材形成性材料を基板上に全面的に被着した後、不要
な部分のみを選択的に除去してもよい。
【0043】底壁部材の形成は、特に後者の方法に従っ
て行うことが好ましく、さらに好ましくは、下記の工
程:基板の表面に、その全域にわたって、底壁部材形成
性材料を塗被し、得られた底壁部材形成性材料の被膜の
上にさらに感光性材料を全面的に塗被し、形成された感
光性材料の被膜を所望とする底壁部材のパターンに合わ
せてフォトリソグラフィ法により選択的に除去し、次い
で、得られた感光性材料のパターンをマスクとして、そ
の下地の底壁部材形成性材料の被膜をフォトリソグラフ
ィ法により選択的に除去すること、に従って行うことが
できる。このような一連の工程を経て、所望とするとこ
ろのパターン状底壁部材を得ることができる。
【0044】ここで、基板の上に最初に形成される不透
明層としての底壁部材形成性材料の被膜は、上記したよ
うに、好ましくは金属材料からなる被膜であり、また、
その形成は、この技術分野において公知の任意の技法に
よって行うことができる。適当な技法は、以下に列挙す
るものに限定されるわけではないけれども、次のような
ものを包含する。
【0045】1.PVD法(物理的蒸着法) スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング
法など。 2.CVD法(化学蒸着法) 熱CVD法(常圧、減圧)、プラズマCVD法、MO−
CVD法など。 3.無電解メッキ法 4.コーティング法 スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート
法、ロールコート法、刷毛塗り法など。
【0046】底壁部材形成性材料の被膜を形成した後、
その上面に、底壁部材の選択的除去の際にマスクとして
使用する感光性材料、すなわち、レジストを塗被する。
ここで使用するレジストは、特に限定されるわけではな
いけれども、パターン精度を上げるために、10μm も
しくはそれ以下の膜厚で塗布した時にも所望のレジスト
パターンを形成することができるものが好ましい。パタ
ーニングに使用するため、ポジ型、ネガ型のいずれのレ
ジストであってもよい。適当なレジストとして、例え
ば、ヘキスト社製のAZ−4620、東京応化社製のO
FPR−8000及び0MR−83、そしてイー・アイ
・デュポン社製のリストン(いずれも商品名)などを挙
げることができる。選ばれたレジストを、常用の手法に
従って、例えば、スピンコート、ディップコート、スプ
レーコート、ロールコート、刷毛塗りなどにより所定の
膜厚で塗被し、そして乾燥する。
【0047】次いで、形成されたレジスト膜を所望とす
る底壁部材のパターンに合わせてフォトリソグラフィ法
により選択的に除去する。ここで使用するフォトリソグ
ラフィ法は、レジストプロセスにおいて通常行われてい
るように実施することができる。例えば、レジスト膜の
露光は、レジストの種類等に応じて、 1.紫外線露光法 コンタクト露光法、プロキシミティ(近接)露光法、プ
ロジェクション(投影)露光法など。
【0048】2.X線露光法 3.電子ビーム露光法 などを使用することができる。使用する露光法に応じて
フォトマスクを使用し、また、レジストのタイプに応じ
てマスクのパターンも変更する。露光に続く現像も、レ
ジストプロセスにおいて通常行われているように実施す
ることができる。
【0049】レジストパターンの形成後、そのパターン
をマスクとして、下地の底壁部材形成性材料の被膜を選
択的に除去する。この被膜の選択的除去にも、半導体装
置等の製造プロセスにおいて通常用いられている技法、
例えば、エッチング、例えば、 1.ウェットエッチング法 ディップ法、シャワー法など。
【0050】2.ドライエッチング法 RIE法(反応性イオンエッチング法)、ICP法、E
CR法、イオンビームエッチング法など。あるいはリフ
トオフ法(パターニングを先に行い、底壁部材形成性材
料を後に成膜する)などを使用することができる。所望
とする底壁部材がパターン状で得られる。 隔壁部材の形成:底壁部材を所望のパターンで形成した
後、インク室形成の最後の工程として、隣接するインク
室どうしを隔離するための隔壁部材を形成する。
【0051】最初に、基板のうち先の工程で底壁部材を
形成した側の上にその全域にわたって隔壁部材形成性の
感光性材料を所定の膜厚で塗被する。ここで使用する感
光性材料、すなわち、レジストは、特に限定されるわけ
ではないけれども、隔壁部材をより厚くしてインク室の
アスペクト比を上げるため、少なくとも50μm の膜厚
で厚膜化可能なものが好ましい。また、このレジスト
は、未露光域が現像液で溶解除去されることが必要であ
り、したがって、いわゆる「ネガ型レジスト」である。
さらに、このネガ型レジストは、厚膜化のため、2種類
もしくはそれ以上のレジスト膜を積層してもよい。適当
なネガ型レジストとして、例えば、日本合成ゴム社製の
THB−30、東京応化社製の0MR−83(いずれも
商品名)などを挙げることができる。選ばれたレジスト
を、常用の手法に従って、例えば、スピンコート、ディ
ップコート、スプレーコート、ロールコート、刷毛塗り
などにより所定の膜厚で塗被し、そして乾燥する。得ら
れる隔壁部材形成性のレジスト膜の膜厚は、好ましく
は、少なくとも50μm 、通常50〜200μm あるい
はそれ以上である。
【0052】次いで、形成されたレジスト膜をフォトリ
ソグラフィ法により選択的に除去して隔壁部材を形成す
る。ここで使用するフォトリソグラフィ法は、先の底壁
部材形成工程において使用したものと同様であってよ
く、例えば、露光法は、使用したレジストの感光性に応
じて、紫外線露光法、X線露光法などである。なお、こ
の露光工程では、露光を透明基板の裏側から行うことが
重要である。すなわち、形成されたレジスト膜を、特別
のフォトマスクを使用しないで、但し、光の対して不透
明なパターン状の底壁部材をマスクとして使用して、基
板の裏側から選択的に露光する。このような透明基板の
背面からの露光は、一般に「バック露光」と呼ばれてい
る。レジストが感度を有する光を露光源として使用した
露光の結果として、レジスト膜のうちの露光域、すなわ
ち、底壁部材のマスクによって光の透過が阻止されなか
った領域が現像液に不溶化せしめられる。
【0053】露光の完了後、レジスト膜のうちの未露光
の領域(可溶性領域)を現像液で溶解除去する。この現
像工程は、レジストプロセスにおいて通常行われている
ようにして実施することができる。例えば、使用する現
像液及び現像時間は、レジストの種類に応じてそれに好
適なものを使用することができる。一例を示すと、使用
したレジストがTHB−30(前出)である場合、露光
後のレジスト膜を現像する際には、日本合成ゴム社より
商業的に入手可能なTHB−30専用の現像液を使用す
ることができる。現像の結果として、所望とする隔壁部
材が得られる。得られる隔壁部材の断面形状は、先に説
明したように、順テーパー形状である。
【0054】本発明方法に従うと、上記したように細長
い順テーパー形状の隔壁部材を形成し、よって、インク
室のアスペクト比を1:3もしくはそれ以上とすること
ができる。ところで、本発明者らの知見によれば、アス
ペクト比を高めるために隔壁部材の高さを大きくしてい
くと、例えば、アスペクト比が1:5もしくはそれ以上
になると(換言すると、インク室の幅が30μm の時に
その高さが150μmもしくはそれ以上になると)、露
光時の光の回折現象に原因して隔壁部材の基部において
「切れ込み」(あるいは、部材の膨れ)が発生すること
がある。この隔壁部材の切れ込みは、隔壁部材自体の自
立性には悪い影響を及ぼさないというものの、インク室
の容積を減少させるので、防止することが望ましい。こ
の回折現象について、図15(説明の便宜のため、すで
に隔壁部材が形成されている状態が示されている)を参
照しながら説明する。
【0055】上記したような隔壁部材の形成工程におい
て、隔壁部材形成性のレジスト膜5をマスクとしての底
壁部材2を介して選択的にバック露光する場合、もしも
バック露光での露光量が多いと、底壁部材2のエッジの
部分で図中矢印で示される光の回折が発生する。露光の
一部が底壁部材2の裏側にも回り込み、その部分も硬化
せしめられる。したがって、露光後のレジスト膜5を現
像すると、図示したように、得られた隔壁部材5の基部
において部材の切れ込み5aが発生する。レジスト膜5
の膜厚が大きいと、通常、それに応じて多量の露光を行
うことが必須であり、したがって、レジストの厚膜化を
達成するとともに、上記したような不所望な光の回折を
防止することが望ましい。
【0056】本発明方法は、その好ましい1態様におい
て、底壁部材をパターン状に形成した後であって、その
上にさらに隔壁部材形成性のレジストを塗被する前、す
でに形成されている底壁部材のパターンを覆うようにし
て、すなわち、底壁部材のパターンよりも厚い膜厚で、
隔壁部材形成性のレジストの露光に用いられる光が透過
可能な材料からなる中間層を形成する工程をさらに含む
ことを特徴としている。
【0057】このように底壁部材のパターンの上に中間
層を配置したので、依然として光の回折が発生したとし
ても、その回折は無反応の中間層の内部に限られ、隔壁
形成性のレジスト膜にまで達成することがない。したが
って、基部における切れ込みのような欠陥のない隔壁部
材を得ることができる。上記の中間層の形成に用いられ
る材料は、隔壁部材形成性のレジストの露光に用いられ
る光が透過可能である限り、特に限定されるものではな
い。適当な中間層材料は、以下に列挙するものに限定さ
れないというものの、例えば、エポキシ樹脂及びその他
のプラスチック材料、SiN 、SiO2、TiO2 などを包含す
る。また、場合によっては、上記した隔壁部材形成性の
レジストを中間層材料として使用してもよい。これらの
中間層材料は、常用の技法を使用して、例えば、スプレ
ーコート、ロールコート、刷毛塗り、熱圧着、蒸着、ス
パッタリングなどによって、所望の膜厚で塗被すること
ができる。中間層の適当な膜厚は、通常、5μm 以上、
好ましくは、5〜50μm である。膜厚が5μm 未満で
は光の回折を中間層内で吸収することができず、反対に
50μm を上回ると、中間層の上の隔壁部材の自立性に
悪い影響のでる恐れなどがある。
【0058】上記のようにして製造されたインク室部材
は、そのままインクジェットヘッドの製造に用いてもよ
く、さもなければ、必要に応じて、製造されたインク室
部材を電鋳法のための型として使用して、引き続く電鋳
処理により金属材料からなるインク室部材を使用しても
よい。電鋳処理により形成された金属製のインク室部材
は、特に、高い剛性をもつ隔壁を形成でき、そのため隔
壁幅をより狭くできるというような点において有利であ
る。
【0059】電鋳処理は、常用の技法を使用して行うこ
とができる。例えば、電鋳型となるレジスト膜からなる
隔壁部材を有するインク室部材の表面に、その全面にわ
たって電鋳用電極膜を被覆する。適当な電極膜材料とし
ては、導電性の金属材料、例えば、金、銅、ニッケル、
銀、白金、タングステンなどを挙げることができる。ま
た、下地となるインク室部材に対する密着力を高めるた
め、クロムなどの金属を添加するのが好ましい。電極膜
の被覆には、蒸着法、スパッタ法、無電解メッキ法など
を使用することができる。電極膜の形成後、電鋳処理を
行う。ここで有利に使用することのできる電鋳材料は、
例えば、ニッケル、銅などの金属あるいはその合金であ
る。例えば、ニッケルを使用した電鋳処理は、次のよう
な条件で実施することができる。 電鋳浴の組成: 水 5L(リットル) スルファミン酸ニッケル 1650g 塩化ニッケル 150g 硼酸 225g ラウリル硫酸ナトリウム 5g 浴の温度: 60℃±1℃ 電流密度: 50mA/cm2 攪拌速度: 1L/分 上記のような浴を使用した電鋳処理に引き続いて離型を
行うと、その表面に薄い電極膜を有するニッケル製のイ
ンク室部材が得られる。このインク室部材の形状及び寸
法は、型として使用したインク室部材のそれに対応して
いる。
【0060】本発明によるインクジェットヘッドは、す
でに説明したように、ピエゾ方式、バブルジェット方
式、その他の方式のインクジェットヘッドに有利に適用
することができる。例えば、ピエゾ方式のインクジェッ
トヘッドは、上記のようにして形成されたインク室部材
の天井部に圧電素子などを含む加圧手段を配置すること
によって製造することができる。例えば、インク室部材
が、下記の例1において作製する添付の図8に示すよう
な形態をとる時、すなわち、インク室12が、底板部材
1と、底壁部材2と、隔壁部材5とをもって構成される
時、それを、そのインク室が下面を向くようにして例え
ば図1に示したインクジェットヘッドに組み込むと、所
望とするピエゾ方式のインクジェットヘッドを得ること
ができる。
【0061】バブルジェット方式のインクジェットヘッ
ドは、発熱体及びそれに電気的に接続された電極を加圧
手段として使用して、先に説明したインク室部材の形成
途中でその加圧手段を底壁部材の上に形成することによ
って、製造することができる。底壁部材上への加圧手段
の組み込みは、バブルジェットヘッドの製造に通常用い
られている技法を応用して、いろいろな手法で実施する
ことができる。
【0062】例えば、図14に示すようなバブルジェッ
ト方式のインクジェットヘッドのインク室部材は、次の
ようにして製造することができる。先ず、透明基板から
なる底板部材1の表面に所定のストライプ状のパターン
で底壁部材2を形成した後、それらの全面に耐熱性の絶
縁層6を被覆する。絶縁層を形成する材料は、半導体装
置などの分野で常用の絶縁材料、例えばSiN 、SiO2など
であることができ、これらの材料をスパッタ法、蒸着法
などの一般的な手法で成膜することができる。絶縁層6
の膜厚は、特に限定されないというものの、一般的に約
0.05〜1μm である。
【0063】絶縁層5の形成後、発熱体7をストライプ
状に、しかし、好ましくは底壁部材2よりも狭い幅で被
着する。ここで使用する発熱体材料は、例えば、Ta2N、
TaN X 、ニクロム系材料などである。これらの発熱体材
料を例えばスパッタ法、蒸着法などにより全面に被着し
た後、エッチングなどにより選択的に除去する。図示の
ようなパターで発熱体7が形成される。なお、発熱体7
の膜厚は、特に限定されないというものの、一般的に約
0.05〜1μm である。
【0064】引き続いて、発熱体7に電流を流すための
電極8を形成する。図示の例では、発熱体7の両端をま
たぐようにして電極8が形成されている。ここで使用す
る電極材料は、それが適度の導電性を有している限りに
おいて特に限定されないというものの、例えば、SnO2
In2O3 などである。これらの電極材料を例えばスパッタ
法、蒸着法などにより全面に被着した後、エッチングな
どにより選択的に除去する。図示のようなパターンで電
極8が形成される。なお、電極8の膜厚は、特に限定さ
れないというものの、一般的に約0.05〜1μm であ
る。
【0065】発熱体7及び電極8を形成した後、先に説
明したような技法に従って隔壁部材5を形成する。この
ようにして、特にバブルジェット方式に適したインク室
部材が得られる。引き続いて、インク室12の上面にそ
の開口部を覆うために平板(図示せず)を載置する。こ
のようにして、所望とするバブルジェット方式のインク
ジェットヘッドを得ることができる。なお、インク室の
上に載置する平板の代わりにノズル板を載置すると、発
熱体に対して垂直にインクを吐出させることができる。
【0066】
【実施例】以下、本発明をその典型的な実施例について
添付の図面を参照しながら説明する。なお、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではないことを理解され
たい。例1 インク室部材の形成 図10の(A)に示すように、厚さ400μm の透明な
ガラス基板1を用意した。ここで用意したガラス基板
は、目的とするインク室部材において底板部材となるも
のであり、また、隔壁部材の形成の際に露光用の紫外線
を透過させるため、紫外線に関して透明である。
【0067】次いで、図10の(B)に示すように、膜
厚0.15μm 及び幅30μm のクロム薄膜2を基板1
の所定の部位にストライプ状に被着した。このクロム薄
膜2は、インク室の底壁部材となるもので、詳しくは、
図11の(A)〜(D)に順を追って示すようにして形
成した。図11の(A)に示した透明なガラス基板1の
上に、図11の(B)に示すように、クロム薄膜2を膜
厚0.15μm で全面的に被着した。このクロム薄膜2
の成膜には、トッキ社製のスパッタリング装置を使用
し、RFパワー450W、アルゴン(Ar)ガス圧0.
01トルで5分間にわたって成膜を行った。
【0068】次いで、形成されたクロム薄膜2の上に、
ヘキスト社製の薄膜用ポジ型レジスト、AZ4620
(商品名)を4000rpmで30秒間スピンコートし
た。AZレジストの均一な膜が膜厚6μm で得られた。
このレジスト膜を電気炉中で90℃で20分間加熱して
プレベーキングを行った後、所定のパターンを有するマ
スクを使用して露光を行い、さらにこれを現像してパタ
ーニングした。図11の(C)に示すように、クロム薄
膜2の上にレジストパターン3が形成された。
【0069】上記したレジスト膜のパターニングに関し
てさらに説明しておくと、レジスト膜の露光に使用した
装置はユニオン光学社製の紫外線露光装置で、露光量
は、100mJ/cm2 であった。使用したマスクは、L
SIデバイスの製造分野で一般に用いられている、ガラ
ス基板上にクロム膜でパターンが描画されているタイプ
のマスクである。このマスクには、これから作製しよう
としているインク室部材のインク室の平面パターンが描
画されており、そのパターンは、得られるインク室の間
隔を71μm とするため、ライン部(クロム膜部分;光
の透過が阻止される)が30μm 、そしてスペース部
(開口部分;光の透過が可能)が41μm であった。な
お、インク室の間隔が71μm であることは、1インチ
当たり360個のインク室を配置可能であることを意味
し、換言すると、360dpiの高密度で印字ができる
ことを意味する。また、露光後のレジスト膜の現像は、
使用したレジストであるAZ4620に専用の現像液を
使用し、その現像時間は約1分間であった。現像後、得
られたレジストパターンを純水ですすいで残留の現像液
を洗い流し、さらに電気炉中で120℃で20分間加熱
してポストベーキングを行った。硬化したレジストパタ
ーンが得られた。
【0070】図11の(C)に示すようなレジストパタ
ーン3を形成した後、その下地のクロム薄膜2をウェッ
トエッチング法によってパターニングした。本例では、
エッチングの対象がクロム薄膜であるので、純水:硝酸
セリウムアンモニウム:60%過塩素酸=800ml:1
6g:16mlのクロム用エッチング液を使用した。エッ
チングの結果、レジストパターン3のパターンがそのま
まクロム薄膜2に転写され、図11の(D)に示すよう
に、インク室部材の底壁部材の役割を果たすクロムパタ
ーン2が得られた。なお、レジストパターン3とクロム
パターン2の間の寸法誤差は、非常に小さくて、サブミ
クロンのオーダーであった。
【0071】クロムパターンの形成後、図10の(C)
に示すように、厚膜のレジスト膜5を透明基板1のクロ
ムパターン2の側に全面的に塗被した。この工程で使用
したレジストは、日本合成ゴム社製の紫外線感応性のネ
ガ型厚膜用レジスト、THB−30(商品名)である。
このレジストを基板の上に1000rpmで10秒間ス
ピンコートした。約50μm の膜厚を有するレジスト膜
が得られた。スピンコート後、基板を100℃のホット
プレート上で5分間加熱した。このポストベーキングに
より、レジスト膜中の溶媒が蒸発し、熱硬化が完了し
た。ところで、上記したような工程では、約50μm の
膜厚を有するレジスト膜しか得られず、本例で意図して
いる高アスペクト比のインク室を形成することができな
い。本例では、従って、上記したレジスト膜の形成工程
をいま一度繰り返した。レジストの2回塗りの結果、厚
膜(膜厚=約100μm )のレジスト膜が得られた。
【0072】引き続いて、得られた厚膜レジスト膜を隔
壁部材を得るためにパターニングした。先ず、図10の
(D)に示すように、透明基板1上に形成されたレジス
ト膜5に対して基板1の反対側から紫外線(矢印を参
照)を照射した。レジスト膜の露光に使用した装置はユ
ニオン光学社製の紫外線露光装置で、露光量は、300
mJ/cm2 であった。照射した紫外線は、基板1の内部
はそのまま透過し、しかし、クロムパターン2のところ
ではそれにより透過を阻止され、反射もしくは吸収され
た。基板1を透過した紫外線のうちクロムパターン2に
その透過を阻止されなかった紫外線は、そのままレジス
ト膜5に入射した。すなわち、クロムパターン2は、こ
の紫外線露光プロセスにおいてマスクとして作用した。
結果として、レジスト膜5は、所望のパターンで、すな
わち、所望とするインク室の平面形状パターンで、パタ
ーン露光された。レジスト膜5の露光域は、したがっ
て、引き続いて行う現像工程の現像液に不溶化せしめら
れた。
【0073】レジスト膜のパターン露光後、使用したレ
ジスト、THB−30に専用の現像液を使用して露光レ
ジスト膜を浸漬現像した。現像液の温度は35℃、現像
時間は3分間であった。現像の結果、先の露光工程で現
像液に不溶化せしめられなかったレジスト膜の未露光域
のみが溶解除去され、図10の(E)に示すようなレジ
ストパターン5が得られた。なお、図中、透明な基板1
は本発明のインク室部材の底板部材に相当し、クロムパ
ターン2は底壁部材に相当し、そしてレジストパターン
5は隔壁部材に相当する。また、これらの3つの部材に
囲まれて形成された空間が、インク室12である。
【0074】図8は、上記のようにして作製したインク
室部材の要部を示した斜視図である。この図では、形状
を理解しやすくするため、それぞれの部材の寸法に関し
て拡大して示してある。図示のインク室部材11では、
400μm の厚さの底板部材1の上に、インク室の平面
形状にパターニングされた膜厚0.15μm のクロム製
底壁部材2と、膜厚100μm のレジスト製隔壁部材5
とが形成されている。インク室12の幅は、そのインク
室の底部(底板部材1との境界部)で30μmで、イン
ク室12間を仕切る隔壁部材5の幅は底部で41μm で
あった。これによって、インク室の幅と高さの比を1:
3以上とすることが可能になった。なお、本例で作製し
たインク室部材11は、複数個(図では、省略のため、
4個のみが示してある)のインク室12が後方で1室と
なっており、さらに、インク供給口12aに連通してい
る。
【0075】インク室部材11の隔壁部材5の断面形状
を見ると、インク室12を構成する隔壁部材5の幅は、
底板部材1から遠ざかるほど狭くなり(すなわち、イン
ク室12は、部材1から遠ざかるほど広くなり)、順テ
ーパーの形状である。この隔壁部材5の傾斜角は、測定
したところ、約6°であった。このような断面形状で隔
壁部材5をパターニングし、形成することが、本発明で
採用されているパターニング方法、すなわち、インク室
形成方法の最も特徴とするところの1つである。例2 インク室部材の形成 前記例1に記載の手法を繰り返した。但し、本発明で
は、隔壁部材の形成のため、同一の厚膜用レジストを同
一の塗布条件で3回塗りし、その膜厚を150μm とし
た。また、本例では、レジスト膜の膜厚を増加したの
で、パターン露光時の露光量も450mJ/cm2 に増加
した。インク室の幅と高さの比が1:5である高アスペ
クト比のインク室部材が得られた。
【0076】得られたインク室部材は、図7においてそ
の要部が断面で示されている。底壁部材2と隔壁部材5
によって形成されたインク室12は、幅が30μm 、高
さが150μm となっている。この結果からもわかるよ
うに、本例では、1:5という高アスペクト比のインク
室に形成できた。また、このインク室部材の隔壁部材5
も、前記例1の場合と同様に、底板部材1と接する部分
で41μm の幅をもち、約6°の傾斜角を有していた。
以上により、150μm の高さのインク室を360dp
i相当(インク室間隔71μm )で配置したインク室部
材を形成することができた。例3 電鋳インク室部材の形成 前記例1に記載の手法を繰り返した。但し、本発明で
は、得られたインク室部材を電鋳インク室部材の形成の
ための電鋳型として使用するため、インク室と、隣接す
るインク室を隔離するための隔壁部材(厚膜用レジスト
からなる)の配置を反転させた。すなわち、底壁部材た
るクロムパターンの形成時に使用したマスクのパターン
を反転させた。その結果、得られたインク室部材は、前
記例1で得られたインク室部材とは逆のパターンとな
り、例1でインク室となった部分が隔壁部材に、例1で
隔壁部材となった部分がインク室に、それぞれ変化し
た。得られたインク室部材(電鋳型)の断面を図12の
(A)に示す。なお、この図では、図面の複雑化を避け
るため、底板部材1と隔壁部材5のみを示し、底壁部材
が省略されている。
【0077】次いで、電鋳処理のため、図12の(B)
に示すように、形成されたインク室部材の表面に電鋳用
電極膜21を形成した。最初にクロム膜を膜厚0.05
μmで、次いで金(Au)膜を膜厚0.2μm で、それ
ぞれ蒸着法により成膜した。なお、ここで最初に形成し
たクロム膜は、下地に対するAu膜の密着力を高めるた
めのものである。
【0078】引き続いて、一般に広く行われている電鋳
法により、Au膜の上にさらにニッケルを、約0.3mm
の膜厚で成長させた。このニッケル成膜のため、下記の
組成の処理浴: 水 5L スルファミン酸ニッケル 1650g 塩化ニッケル 150g 硼酸 225g ラウリル硫酸ナトリウム 5g を使用した。処理浴の温度は60℃±1℃、電流密度は
50mA/cm2 、浴の攪拌速度は1L/分であった。こ
の電鋳法によって、図12の(C)に示すように、ニッ
ケルからなる電鋳部材22が形成された。
【0079】ニッケル電鋳を施した後、図12の(C)
に示したものの全体を超音波をかけた厚膜用レジスト専
用の剥離液に浸漬した。隔離部材5が電鋳部材22から
剥離し、さらに剥離液に溶解し、消滅してしまった。隔
離部材5が溶解することにより、それを支持していた底
板基材1も、電鋳部材22から剥離した。その結果、図
12の(D)に示すように、電鋳部材22とその表面に
塗被された電極膜21とからなる電鋳インク室部材が得
られた。得られた電鋳インク室部材は、図12の(A)
の電鋳型と比較すればわかるように、もとの型とは反転
のパターンとなっている。よって、この電鋳インク室部
材の凹部も、インク室として使用可能である。例4 バブルジェット方式のインクジェットヘッドの形成 前記例1に記載のものと同様な手法に従って、厚さ40
0μm の透明なガラス基板の上に幅30μm 及び膜厚
0.15μm のストライプ状のクロムパターンを形成し
た。
【0080】次いで、クロムパターンを有する基板の上
にシリコン酸化膜(SiO2)からなる絶縁膜を膜厚0.2
μm で形成した。このシリコン酸化膜の形成のため、最
初にシリコン薄膜を成長させ、そしてこれを熱酸化し
た。さらに、クロムパターンの上に、先に形成した絶縁
膜を介して、窒化タンタル(TaN )からなる発熱体を膜
厚0.1μm で成膜し、そしてクロムパターンの幅より
も狭い幅20μm でパターニングした。形成されたスト
ライプ状の発熱体の上に、その両端部を横断するように
して、導電性材料(SnO2)からなる幅20μm 及び膜厚
0.2μm の電極を形成した。ここで電極材料として使
用したSnO2は透明であるので、引き続いて実施する隔壁
部材形成のための選択露光時に、基板を透過して厚膜用
レジストに入射する光の進行を妨げるものではない。
【0081】上記したような一連の処理を経て、図13
の(A)に示すような積層構造体が得られた。すなわ
ち、透明な基板1の上に、ストライプ状のクロムパター
ン2、全面に被着されたSiO2絶縁膜6、クロムパターン
2よりもやや狭い幅のストライプ状のTaN 発熱体7、そ
して発熱体7の両端部を横断して形成されたSnO2電極8
が順次形成されている。ここで、形成された発熱体7と
電極8の組み合わせは、本例で作製しようとしているバ
ブルジェット方式のインクジェットヘッドの加圧手段を
構成するものである。
【0082】上記のようにして加圧手段を形成した後、
前記例1に記載のものと同様な手法に従って隔壁部材を
形成した。先ず、図13の(B)に示すように、厚膜レ
ジストを透明基板1の発熱体7・電極8の側に全面的に
塗被し、そして基板1上に形成されたレジスト膜5に対
して基板1の反対側から紫外線(矢印を参照)を照射し
た。
【0083】レジスト膜のパターン露光後、露光レジス
ト膜を浸漬現像した。現像の結果、レジスト膜の未露光
域のみが溶解除去され、図13の(C)に示すようなレ
ジストパターン5が得られた。図14は、上記のように
して作製したインク室部材の要部を示した斜視図であ
る。この図では、形状を理解しやすくするため、それぞ
れの部材の寸法に関して拡大して示してある。図中、透
明な基板1は本発明のインク室部材の底板部材に相当
し、クロムパターン2及びその上の絶縁膜6は底壁部材
に相当し、そしてレジストパターン5は隔壁部材に相当
する。また、これらの3つの部材に囲まれて形成された
空間が、インク室12である。このインク室12の上部
を平板(図示せず)で覆うと、インク室12が完全に閉
塞された状態となり、ヘッド部で使用することができ
る。また、この平板の代わりにノズル板を使用すると、
得られるインクジェットヘッドにおいて、発熱体に対し
て垂直な方向にインクを吐出させることも可能である。例5 インク室部材の形成 前記例1に記載の手法を繰り返した。しかし、本例で
は、厚膜レジストの塗布を4回塗りで行い、得られるレ
ジストパターンの膜厚を200μm とした。また、この
ような厚膜の場合に発生するレジストパターンの基部に
おける光の回折の問題を回避するため、クロムパターン
の形成の後であってその上にレジストパターンを形成す
る前、透明基板の全面について中間層を被覆した。
【0084】先ず、図16の(A)に示すように、厚さ
400μm の透明なガラス基板1の上に膜厚0.15μ
m 及び幅30μm のクロム薄膜2をストライプ状に被着
した。次いで、中間層の形成のため、クロムパターンを
有する透明基板の上に厚膜レジストを膜厚20μm でス
ピンコートした。ここで使用した厚膜レジストは、続く
隔壁部材の形成の時に使用する厚膜レジストと同様に、
日本合成ゴム社製の紫外線感応性のネガ型厚膜用レジス
ト、THB−30(商品名)であった。スピンコートの
条件は、回転数が2000rpm、塗布時間が10秒で
あった。図16の(B)に示すように、透明基板1の全
面に中間層4が形成された。引き続いて、形成された中
間層4を硬化させるため、図16の(B)に矢印で示す
ように、紫外線の全面露光を行った。この中間層の露光
に使用した装置はユニオン光学社製の紫外線露光装置
で、露光量は、中間層が後段の工程で不所望な反応を行
わないように、1200mJ/cm2 の高レベルであっ
た。
【0085】中間層の形成後、前記例1に記載の手法に
従って厚膜用レジスト、THB−30を基板上に塗被
し、パターニングした。最初に、図16の(C)に示す
ように、厚膜用レジストを透明基板1の中間層4の側に
全面的に塗被した。このレジスト塗被工程では、100
0rpmで10秒間のスピンコート(約50μm の膜
厚)とそれに引き続く100℃で5分間のプレベーキン
グを4回にわたって繰り返した。レジストの4回塗りの
結果、厚膜(膜厚=約200μm )のレジスト膜5が得
られた。
【0086】引き続いて、得られた厚膜レジスト膜を隔
壁部材を得るためにパターニングした。図16の(C)
に示すように、透明基板1上に形成されたレジスト膜5
に対して基板1の反対側から紫外線(矢印を参照)を照
射した。この紫外線照射は前記例1に記載の手法に従っ
て行い、但し、レジスト膜5の増加せしめられた膜厚に
対応するため、露光量を1200mJ/cm2 に変更し
た。
【0087】レジスト膜のパターン露光後、前記した例
1に記載の手法に従って露光レジスト膜を浸漬現像し
た。なお、本例の場合、現像液の温度は35℃のままで
あったが、現像時間は6分間に延長した。現像の結果、
レジスト膜の未露光域のみが溶解除去され、図16の
(D)に示すようなレジストパターン5が得られた。こ
のレジストパターンでは、その高さが200μm と非常
に高いにもかかわらず(図では、作図の都合で、低いパ
ターンとなっている)、従来のレジストパターンで基部
において認められた「切れ込み」欠陥を回避することが
できた。なお、図中、透明な基板1は本発明のインク室
部材の底板部材に相当し、クロムパターン2とそれを覆
った中間層4は底壁部材に相当し、そしてレジストパタ
ーン5は隔壁部材に相当する。また、これらの3つの部
材に囲まれて形成された空間が、インク室12である。
【0088】
【発明の効果】以上の説明から理解されるように、本発
明に従うと、微細形状部たるインク室の幅を狭くするこ
とができるので、従来から切望されていたより高密度の
記録が可能になる。さらに加えて、本発明では、インク
室の幅と高さの比であるアスペクト比を大きくとること
ができるので、上記したようにインク室の幅が狭くて
も、インク室に充填されるインクの量は従来のインク室
と同等もしくはそれ以上であり、したがって、印字の都
度に印字品質を損なわない程度に十分な量のインクを付
属のノズルから吐出することができる。また、本発明で
は、インク室を容易かつ正確に形成することができるば
かりか、変形等の不都合も回避することができ、歩留り
がよい。さらに、本発明のインクジェットヘッドは、圧
電方式に限定されるものではなく、いろいろな方式のヘ
ッドについて同じように有利に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来から使用されている圧電式インク
ジェットヘッドの構成を示した展開図である。
【図2】図2は、一般的に行われているフォトリソグラ
フィ法を使用したインク室の形成を順を追って示した断
面図である。
【図3】図3は、フォトリソグラフィ法を使用したイン
ク室の形成において発生する欠陥の一例を示した断面図
である。
【図4】図4は、フォトリソグラフィ法を使用したイン
ク室の形成において発生する欠陥のもう1つの例を示し
た断面図である。
【図5】図5は、フォトリソグラフィ法を使用して形成
したインク室の一例を示した、基板上の微細なパターン
の走査顕微鏡写真(500倍)である。
【図6】図6は、フォトリソグラフィ法を使用して形成
したインク室のもう1つの例を示した、基板上の微細な
パターンの走査顕微鏡写真(350倍)である。
【図7】図7は、本発明により形成されたインク室の好
ましい1例を示した断面図である。
【図8】図8は、本発明により形成されたインク室を装
備したインク室部材の好ましい1例を示した斜視図であ
る。
【図9】図9は、本発明により形成されたインク室の一
例を示した、基板上の微細なパターンの走査顕微鏡写真
(350倍)である。
【図10】図10は、本発明によるインク室の形成を順
を追って示した断面図である。
【図11】図11は、図10の(B)における底壁部材
の形成に有利に使用し得る方法を順を追って示した断面
図である。
【図12】図12は、本発明により形成されたインク室
部材を電鋳型として使用して、電鋳処理により金属製イ
ンク室部材を形成する工程を順を追って示した断面図で
ある。
【図13】図13は、図14に示したインク室部材の形
成を順を追って示した断面図である。
【図14】図14は、本発明により形成されたインク室
を装備したインク室部材のもう1つの好ましい例を示し
た斜視図である。
【図15】図15は、本発明によるインク室部材の形成
において認められるインク室の底部近傍における光の回
折について説明した断面図である。
【図16】図16は、図15を参照して説明した光の回
折を排除した、本発明によるインク室部材の形成方法を
順を追って示した断面図である。
【符号の説明】
1…底板部材 2…底壁部材 5…隔壁部材 11…インク室部材 12…インク室(微細形状部)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微細な突起部もしくは開口部からなる微
    細形状部を備えた微細形状部品であって、 前記微細形状部が、所定の形状及び寸法を有する透明な
    基板からなる底板部材と、その底板部材の上方に前記微
    細形状部の形状に合わせてパターン状に形成された非光
    透過性材料からなる底壁部材と、前記底板部材の上方で
    あって前記底壁部材が占有しない領域に形成された隔壁
    部材とをもって構成されており、 前記隔壁部材が、下記の工程:前記基板の前記底壁部材
    が形成された側の上にその全域にわたって隔壁部材形成
    性の感光性材料を所定の膜厚で塗被し、 前記感光性材料の被膜を、前記底壁部材のパターンを介
    して、前記基板の裏側からの前記感光性材料が感度を有
    する光に選択的に露光し、よって、前記感光性材料の被
    膜の露光域を現像液に不溶化せしめ、そして前記感光性
    材料の被膜の未露光域を現像により除去すること、に従
    って形成されたものであり、そして前記微細形状部が、
    垂直方向の断面に関して見た場合に、垂直方向に長い矩
    形断面を有しており、その際、前記微細形状部の高さが
    少なくとも50μm でありかつその空間の幅と高さの比
    として規定されるアスペクト比が少なくとも1:3であ
    ることを特徴とする微細形状部品。
  2. 【請求項2】 前記底壁部材とその上の隔壁部材の中間
    に、前記底壁部材のパターンよりも厚い膜厚で中間層が
    介在せしめられていることを特徴とする請求項1に記載
    の微細形状部品。
  3. 【請求項3】 前記微細形状部品が電鋳法により金属材
    料から形成されたものであり、その形成の際、先の工程
    で形成された隔壁部材が電鋳法のための型として使用し
    たものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    微細形状部品。
  4. 【請求項4】 微細な突起部もしくは開口部からなる微
    細形状部を備えた微細形状部品を製造するに当たって、 前記微細形状部を、下記の工程:所定の形状及び寸法を
    有する透明な基板を用意して底板部材を形成し、 前記基板の表面に、その全域にわたって、非光透過性の
    底壁部材形成性材料を塗被し、 得られた底壁部材形成性材料の被膜の上にさらに感光性
    材料を全面的に塗被し、 形成された感光性材料の被膜を所望とする底壁部材のパ
    ターンに合わせてフォトリソグラフィ法により選択的に
    除去し、 次いで、得られた感光性材料のパターンをマスクとし
    て、その下地の底壁部材形成性材料の被膜を選択的に除
    去すること、に従って底壁部材をパターン状に形成し、 前記基板の前記底壁部材が形成された側の上にその全域
    にわたって隔壁部材形成性の感光性材料を所定の膜厚で
    塗被し、 前記感光性材料の被膜を、前記底壁部材のパターンを介
    して、前記基板の裏側からの前記感光性材料が感度を有
    する光に選択的に露光し、よって、前記感光性材料の被
    膜の露光域を現像液に不溶化せしめ、そして前記感光性
    材料の被膜の未露光域を現像により除去して前記隔壁部
    材を形成すること、にしたがって、底板部材と、その底
    板部材の上方に前記微細形状部の形状に合わせてパター
    ン状に形成された底壁部材と、前記底板部材の上方であ
    って前記底壁部材が占有しない領域に形成された隔壁部
    材とをもって形成することを特徴とする微細形状部品の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記底壁部材をパターン状に形成した後
    であって、その上にさらに隔壁部材形成性の感光性材料
    を塗被する前、前記底壁部材のパターンよりも厚い膜厚
    で中間層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする
    請求項4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記微細形状部を、垂直方向の断面に関
    して見た場合に、垂直方向に長い矩形断面を有するよう
    に形成し、その際、前記微細形状部の高さを少なくとも
    50μm としかつその空間の幅と高さの比として規定さ
    れるアスペクト比を少なくとも1:3とすることを特徴
    とする請求項4又は5に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 先の工程で形成された隔壁部材を電鋳法
    のための型として使用し、引き続く電鋳工程により金属
    材料からなる微細形状部を形成する工程をさらに含むこ
    とを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の製
    造方法。
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