JP3191557B2 - インクジェットヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッドおよびその製造方法

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JP3191557B2 JP6689894A JP6689894A JP3191557B2 JP 3191557 B2 JP3191557 B2 JP 3191557B2 JP 6689894 A JP6689894 A JP 6689894A JP 6689894 A JP6689894 A JP 6689894A JP 3191557 B2 JP3191557 B2 JP 3191557B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、印字信号に応じてイン
ク滴を吐出して、記録紙等の記録媒体上にインク像を形
成するインクジェット記録装置に用いる高密度インクジ
ェットヘッドとその製造方法に関し、より詳細にはイン
ク滴を吐出するための圧力室の一壁面を形成し、圧電変
換器の伸縮を圧力室に伝達する振動板の構成およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開昭58−119870号公報や特開
昭58−119872号公報によれば、一端が基台に固
定された圧電変換器の他端に、圧力室を形成する振動板
が島状の突起(前記公報では脚部と称す)を介して当接
するように構成され、圧電変換器の伸縮により、圧力室
のインクをノズル開口から液滴として飛翔させるよう構
成されている。
【0003】しかしこれら公報のいずれにも、振動板の
具体的な構造なり製造方法は提案されておらず、また脚
部は軸受けとかん合する複雑な構造であるため、小型
化、高密度化が困難であるばかりか、脚部と軸受けを高
精度に多数組み立てることはきわめてむずかしい。
【0004】振動板の構成を示した例として、特開平3
−15555号公報には、変位発生素子はバイモルフ、
またはユニモルフ型のたわみ変形を使った圧電変換器で
あるが、図18に示すように厚さ1.8μmのシリコン
からなる薄部61a(同号公報では振動板と称す)と厚
さ100μmの酸化シリコンからなる突部61bを振動
板61に形成し、突部61bと圧電変換器60とを当接
する例が開示されている。
【0005】また第2の例として同号公報では他に、厚
さが1〜10μm前後であって、ニッケル、ステンレ
ス、鉄、銅、銀等の金属からなる薄部61a上に、電鋳
法によって突部61bを形成し、突部61bと圧電変換
器60とを当接する方法が開示されている。
【0006】さらに、第3の例として同号公報では他
に、厚さが50μmの有機材料フィルムからなる薄部6
1a上に、材料とその方法の明示されない突部61bを
固着し、突部61bと圧電変換器60とを当接する例が
開示されている。
【0007】他方第4の例として特開平3−19074
4号公報では、図19に示すように、電極71a上に1
00μm程度のダミー層を形成した圧電変換器70が示
されており、厚さが略50μmからなる突部をもたない
ガラス、またはステンレスからなる薄部73a(同号公
報では覆板部材と称す)にエポキシ系接着剤により固着
する例が開示されている。
【0008】さらに第5の例として特開平5−1696
51号公報では金属薄板からなる薄部と樹脂材料からな
る突部をもつ振動板、およびその突部に垂直に当接する
圧電変換器が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来例をもってしても以下のような問題が生じ、圧電変
換器を高速度で伸縮させ、また圧力室を高密度に配置さ
せたインクジェットヘッドを実現することがむずかし
い。
【0010】薄部61aに50μmの厚さの高分子樹脂
を用いた前記従来のインクジェットヘッドの圧電変換器
はたわみ変形型であるため、変位量は比較的取り出せる
が、たわみ振動に関する固有振動数は低く、緩慢に振動
板を押圧する。一方本発明の圧力発生素子は軸方向に伸
縮し、その伸縮に関する固有振動数は非常に高いため、
高速度変位であり、速いインク滴吐出速度を可能とす
る。変位量は数μmである。
【0011】従って、低ヤング率の高分子樹脂を用い
て、変位量に比較して20倍程度も厚い振動板では、高
速度変位は樹脂の変形で吸収されてしまい、インク滴を
吐出するに十分な圧力と容積変化を圧力室64に発生さ
せることができない。
【0012】突部として樹脂材料を用いたときも同様の
問題が生じ、突部の厚さによっては十分な吐出速度、吐
出量が得られない、また突部厚さのわずかなばらつきで
伝達効率が変化し、吐出特性にばらつきが生じてしま
う。
【0013】薄部として提案されているシリコンや金属
フィルムは数億回〜数十億回にも及ぶ繰り返しの屈曲変
形に耐えられず、疲労破壊してしまう。特に高密度ヘッ
ドにあっては変形動作する薄部の寸法が数十μmしかな
く、一方高密度ヘッドでは圧電変換器の変位量を増す必
要があるため、薄部にかかる応力は著しく大きいものと
なる。すなわち、これら材料は高速で、しかも延べ数億
回以上の変形を繰り返すインクジェットヘッド用の振動
板には適さない。また薄部はピンホールなどの欠陥を勘
案すると、その厚みは2μmまでが限界である。しかし
厚さ2μm以上の金属材やシリコン材では、本発明者ら
が目論む高密度ヘッドにおいては曲げ剛性が高すぎて流
路基板自体がたわんでしまうという問題もある。
【0014】また特開平3−190744号公報には圧
電変換器が当接するための突部を持たない振動板が示さ
れている。しかしこれでは圧電変換器の当接位置が定ま
らない。またもし薄部73aが樹脂フィルムであるなら
ば、透過したインク蒸気が直接圧電変換器をアタックす
るため、新たに透過防止手段を取り入れる必要がある。
【0015】尚、前述の各公報からわかるように、優れ
た吐出特性と信頼性を有するインクジェットヘッドのた
めの適した製造方法がまだ詳しく開示されていない。
【0016】本発明では上記した課題を解決して、高密
度化に適するとともに、高いインク滴吐出速度と高信頼
性を有し、さらには容易に量産できるインクジェットヘ
ッドの構成と製造方法を開示するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】そこで本発明では、複数
の圧力室と該圧力室の各々に連通するノズル開口と圧力
室の少なくとも一部を形成し、薄部と一端が基台に固定
された圧電変換器の他端が当接する突部をもつ振動板を
備え、該圧電変換器の伸縮によりノズル開口からインク
滴を吐出するインクジェットヘッドであって、該振動板
は樹脂フィルムからなる前記薄部と該フィルムに密着形
成された金属薄膜と該金属薄膜上に密着して金属の析出
により形成した前記突部から構成する。またこうした構
成を実現するための優れた製造方法により課題を解決す
る。
【0018】
【実施例】以下に本発明の実施例に沿って詳細に説明す
る。図1は本発明によるインクジェットヘッドの一実施
例の分解斜視図である。フレーム10内を貫通する取り
付け穴11は、圧電変換器1のX軸、Y軸方向の位置決
めをするべく、後述するプレート部材5を支持してい
る。圧電変換器1の長手方向の先端面は、振動板20に
形成された突部20bに接合されている。ノズル開口1
3aをもつ板状のノズル基板13と振動板20と流路基
板12とを順に積層することで、流路は形成されてい
る。
【0019】図2は、本実施例を適用したインクジェッ
トヘッドの部分断面図である。圧力室22は、ノズル開
口13aを形成したノズル基板13、流路基板12、振
動板20によって形成されている。振動板20は無機薄
膜21、樹脂製の薄部20a、金属薄膜20cと金属か
らなる剛体突部20bの積層体からなる。無機薄膜21
は後述するように、主として樹脂製の薄部20aへのイ
ンクの浸透による物性変化を防止する働きを持つ。23
は前記突部20bと同時形成した肉厚部である。
【0020】また図示しないインク溜めと、インク供給
管14と、インク連絡口16と、圧力室22とは連通関
係にあって、インク溜めよりノズル開口13aまで水溶
性インク6で満たされている。圧電変換器1はプレート
部材5を介してフレーム10に接着剤99で固定されて
いる。
【0021】フレーム10と肉厚部23は数μm〜数十
μm厚さの接着剤24にて接合され、また圧電変換器1
と突部20bは数μm〜7μm厚さの接着剤24にて接
合されている。
【0022】圧電変換器1を駆動するための配線は、第
1配線30a、第2配線30bと、プレート部材上の第
1の導電膜5aと、変換器上の第1の導電膜4a、第2
の導電膜4bとからなる。薄部20aは電気絶縁材料で
あり、圧電変換器1の電極4aとインク6間の絶縁を容
易にとることができる。
【0023】かかる構成において、インク滴の吐出原理
は図3に示すごとくである。図3(a)は待機状態を示
す。図3(b)に示すように吐出に先だって圧電変換器1
に電圧が印加されると振動板20を引っ張るように圧電
変換器1は収縮する。この電界を解除し、圧電変換器1
に貯った電荷を急速に放電するにともない、図3(c)に
示すように圧電変換器1は高速度で復元し、圧力室22
内のインク6の圧力を高めてノズル開口13aよりイン
ク滴6aを吐出させ、圧電変換器1は再び待機状態に戻
る。
【0024】図4は、本発明によるインクジェットヘッ
ドの吐出圧力発生手段の実施例を示した斜視図である。
【0025】インク6を液滴として吐出させるための圧
力発生手段は、圧電変換器1であって、圧電体2と導電
材3a、3b(内部電極3a、3b)とが交互に積み重
ねられた多層構造である。圧電変換器1には導電材4
a、4b(外部電極4a、4b)が形成されており、外
部電極4aは内部電極3aと、外部電極4bは内部電極
3bと、電気的に接続されている。圧電変換器1の後方
はプレート部材5に接合され、前方の先端は、前述のよ
うに、振動板20の突部20bと接合している。
【0026】このような軸方向に伸縮する縦型且つ積層
型振動子を用いることにより、たわみ変形では得られな
い高い変位速度と所要の変位を、しかも低い電圧で得る
ことができ、結果として高い吐出速度と高密度なインク
ジェットヘッドを可能としている。
【0027】図5は本発明の一実施例を適用したインク
ジェットヘッドの要部を下方より見た斜視図である。
【0028】本発明者らの開発例によれば、圧力室22
の長さ(図2中l1)は1.5mm、圧力室22の深さ
(図2中h1)は0.2mm、圧力室22の幅は0.1
mm、薄部20aの厚さは4μm、突部20bの長さ
(図2中l2)は1.3mm、突部20bの高さ(図2
中h2)は40μm、突部20bの幅(図5中w2)は
30μmとし、圧力室22の配列密度を1インチ当たり
180個(180dpi)まで高めた。突部20bは厚
みを増すことによって十分な剛性を確保した。
【0029】薄部20aとしてポリイミドを用い、無機
薄膜21として厚さ0.15μmのクロムを、また金属
薄膜20cとして厚さ0.2μmの銅を、また突部20
bとしてニッケルを用いた。さらに、圧電変換器1の寸
法を、幅80μm、配列ピッチ180dpi、積層圧電
変換器の厚さを0.5mm、内部電極間距離(内部圧電
体の厚さ)を20μm、活性長さ(実際に変位動作する
部分の長さ)を5mmとした。この寸法で圧電変換器の
伸縮に関する固有振動数は120KHz、外部電極4a
と4b間に30Vの電圧を印加し、8μsで放電する
と、圧電変換器1の先端で1.5μmの変位を得ること
ができ、径40μmのノズル開口からは0.1μg、1
0m/秒のインク滴の吐出を得た。
【0030】インクジェットヘッドの高密度化を進める
と圧力室のサイズは自ずと制限され、よって同時に突部
20bの面積を拡大することはできない。また数億回以
上の変形を繰り返す振動板20の耐久性維持のためには
薄部20aの領域をある一定以上確保する必要があり、
突部20bの面積を容易に拡大することはできないが、
本発明では薄部20aはできるだけ柔軟であって、突部
20bはできるだけ剛直であり、従って突部20bは圧
電変換器1先端に比較してできるだけ圧力室22を広く
押圧するよう設計でき、上記の通りの高密度と、且つ大
きい吐出インク滴体積および吐出速度を得ている。さら
に、薄い樹脂材料を用いることによって、20億動作以
上の耐久性を確保することができた。
【0031】尚、突部20bを剛直に、すなわち高剛性
の材料を用い、且つ変位方向に厚く突部を形成すること
はインク滴体積を確保する上で効果的な方策である。す
なわち本発明のごとく突部20bとして金属材料を用
い、且つ後述するように、厚く形成できるよう金属を析
出させた本発明による製法が製造方法として有効である
ことが確かめられた。
【0032】また本発明者らが幾種もの実験を重ねた結
果判明したことであるが、薄部20aと剛体の島状突部
20bの間に接着剤を介在させると、その接着剤の厚み
により、変位の伝達効率が変化し、吐出特性のばらつき
を抑えることが困難であることがわかった。圧電変換器
の変位を圧力室に伝えることはそれほど微妙な動作であ
り、したがって薄部20aと突部20bとは直接固着さ
せることが肝要であるが、本発明ではその問題をも解決
した。
【0033】金属薄膜20Cは樹脂フィルム20aと突
部20bの間の密着強度を上げる。すなわち、突部20
bは厚く作られて高い剛性を目的とし、一方金属薄膜2
0Cは樹脂フィルムと突部間の密着性のアップを目的と
している。したがって、密着強度の確保には密着強度に
優れた薄膜形成手段を用い、突部20bの形成には形成
速度の速い手段をとることで、生産性を上げることがで
きた。
【0034】図6は本発明によるインクジェットヘッド
の振動板20の実施例を示す平面図、図7は流路基板1
2の実施例を示す平面図である。
【0035】流路基板12は、2列に並んだ複数の圧力
室22と圧力室22に連通する共通のインク室25を備
えており、感光性樹脂材料やシリコンにより、精密に形
成することができる。振動板20は、2列に並んだ複数
の突部20bとそれらの突部20bを囲む薄部20a
と、周囲の肉厚部23、細長でやや面積が広い薄部26
からなる。流路基板12と振動板20は位置決め用基準
穴29、27を用いて重ね合わされ、接着され、振動板
の突部20bが圧力室22の中央に、また薄部26が共
通のインク室25にあって、各圧力室のインク供給側に
位置するようになる。丸穴28はインク溜めに連通する
共通インク室25へのインク導入口である。
【0036】薄部26は、圧力室から伝わる圧力を吸収
して各圧力室間のクロストークを防ぐとともに、インク
供給時にはバッファとしてインク供給能力を向上させ
る。本発明によれば薄部26は樹脂製の薄フィルムであ
るため、小面積で十分な上記機能をもたせることがで
き、ヘッドを小型化できる。またパージ時にノズルを通
じて吸引したとき発生する大きな負圧力が作用するにも
かかわらず優れた耐久性をもつ。また薄部26と薄部2
0aは一体の樹脂フィルムで形成されて、圧力室および
共通のインク室を覆うので、インク漏れの問題がない。
【0037】上記本発明の構成を実現した製造方法につ
いて以下に説明する。
【0038】図8(a)〜(f)と図9(a)〜(e)に、本発
明の第1の製造方法の実施例を示す。
【0039】先ず、厚さが20μm〜500μmのベー
スプレート80(図8(a))の一面に、薄い単軸あるい
はニ軸等の延伸フィルム80aを粘着剤を介してラミネ
ートした積層プレートを形成する(図8(b))。ベース
プレート80の材料としては高分子材料や金属材料が使
えるが、ラミネート性と後述する剥離性からはPET
(ポリエチレンテレフタレート)、ポリフェニレンサル
ファイド(PPS)、などの樹脂フィルムがその柔軟
性、平滑性故に好ましく、また厚さは30μm〜150
μmが好適である。延伸フィルム80aは前述の振動板
の薄部20aと薄部26を構成するもので、インク滴吐
出と強度に関する設計上からその厚さが決められる。本
発明が開示するような高密度インクジェットヘッドにあ
っては、延伸フィルム80aの厚さは2μm〜10μm
が良く、本発明者らは3μm〜5μmのPPSの延伸フ
ィルムを用いた。
【0040】延伸フィルム80aはインクに接触するだ
けでなく、ヘッド組立工程においても各種薬品類に接触
するため、これら液体に対し耐腐食性をもつような材料
が選ばれる。本発明者らが評価した結果、材料として、
PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリアミドイ
ミド(PAI)、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミ
ド(PI)が適し、また入手可能な延伸フィルムであっ
た。
【0041】延伸フィルムは自身の持つ特質から厚さ精
度に優れ、強度的に優れ、また何よりもピンホールがな
いといったインクジェットヘッドの振動板として欠かせ
ない特徴がある。
【0042】次に、延伸フィルム80a上に金属薄膜8
3を形成する(図8(c))。形成手段は蒸着、スパッタ
リング、CVD等周知の手段である。材料はニッケル、
金、クロム、チタン、銅等のいずれかまたはこれらの材
料の積層からなり、フィルム材質と表面処理状態に応じ
て適宜材質を選択する。金属薄膜の密着強度試験結果に
よれば銅またはクロムが好適であった。
【0043】次にフォトレジスト81を塗布した後、フ
ォトマスク82を介して、フォトレジスト81へ紫外線
を照射する(図8(d))。フォトレジスト81は露光、
現像の過程を経て、選択的に形成および除去される(図
8(e))。次いで、フォトレジストの除去部81bに金
属薄膜83を電極として金属80bを析出(金属メッ
キ)させ、振動板の突部20b及び肉厚部23が形成さ
れる(図8(f))。
【0044】フォトレジスト81aを除去し、次にベー
スプレート80を剥離し、洗浄すれば振動板20が完成
する(図9(a))。
【0045】図9(a)において金属薄膜83は薄部80
a上一面に形成されたままであるが、突部や肉厚部がな
い薄部のみからなる単層部分の金属薄膜にはインクの透
過によって亀裂や浮きが生じやすいことがわかってきて
いる。そこで図9(b)に示すように金属薄膜83をエッ
チングにて除去するほうが好ましい。
【0046】以上の製造実施例において、振動板20の
外形寸法は10mmx10mmより小さいものであり、
実際は多数の振動板20を一枚のベースプレート80上
に形成し、各一枚毎に分割の後ベースプレート80を剥
離するか、またはベースプレート80を剥離した後、各
一枚毎の振動板20に分割する。
【0047】一方、流路基板12は感光性樹脂材料やシ
リコン材料を用いれば精密に形成できる。感光性樹脂材
料にあっては、いわゆるフォト工程を経て流路を形成で
きる。またシリコン基板においては、異方性エッチング
によって精密に流路を形成できる。
【0048】形成された流路基板12と振動板20とを
正確に位置決めした状態で接合し(図9(c))、更にノ
ズル基板13を流路基板12の他方の面に接合する(図
9(d))。
【0049】尚、図6に示した基準穴27やインク導入
口穴28は、金属からなる肉厚部23をマスクとして、
肉厚部23側からのレーザ光照射によるアブレーション
加工によって形成する。
【0050】次にフレーム10に振動板20の肉厚部2
3を接合し(図9(e))、次にプレート部材5をフレー
ム10の貫通穴11に嵌合させつつ圧力発生部を挿入し
て、振動板20の突部20bと圧電変換器1の先端面を
当接させる(図2または図9e)。
【0051】図10(a)〜(c)に本発明の第2の製造方
法の実施例を示す。
【0052】先ず樹脂フィルム、例えば延伸フィルム9
0aを用意し(図10(a))、その片面に金属薄膜93
を形成する(図10(b))。次にベースプレート90に
ラミネートして積層体をつくる(図10(c))。次に該
金属薄膜93上にフォトレジストを形成する、その後の
工程は先に図8、図9に沿って説明した通りである。
【0053】図11(a)〜(c)に第3の製造実施例を示
す。すなわち本実施例では、先ず樹脂フィルム例えば延
伸フィルム100aの一方の面に金属薄膜103を、他
方の面に、図2で示した無機薄膜21として機能する無
機薄膜100cを形成する(図11(a))。次に無機薄
膜100c面を内側としてベースプレート100と積層
する(図11(b))。その後の工程は先に説明した通り
である。本実施例に沿って完成された振動板20は図1
1cに示すように、薄部100aの一面に無機薄膜10
0cを有し、無機薄膜100cはインク接触面に位置す
る。
【0054】無機薄膜100cは振動板20、特には薄
部100a(図6の20a、26)の劣化と材料定数の
変化の防止、およびインク組成物の透過による金属薄膜
103と薄部100aとの密着強度の低下を防止する。
無機薄膜100cの厚さはインク組成物の遮蔽性の機能
を損なわず、特にピンホールが少なく、且つ薄部として
の柔軟性を阻害しないよう、0.1〜0.5μmが好適
である。無機薄膜としてはセラミックス材料、ガラス材
料、クロム、チタン、金、ニッケル、白金等の金属材料
が使用可能で、耐強度信頼性上好ましくは金属材料であ
る。インクとの長時間接触試験によれば、チタン0.1
〜0.3μm、またはクロム0.1〜0.3μm、また
はクロム0.05μmとその上のニッケル0.1〜0.
2μmからなる成膜が最も優れた密着強度を持つとの結
果を得ている。
【0055】尚、無機薄膜100c(図2の薄膜21)
は本発明の目的達成には必ずしも必須のものではなく、
インクの選択、インク組成、薄部材料および吐出特性設
計上の許容値の選択によって、実使用上問題ない場合に
は省くことが可能であり、かかる実施例は既に述べた通
りである。
【0056】突部形成方法に関し、例えばエッチングで
形成しようとすると高密度に突部を配置する事は不可能
であり、また厚みが厚くなると所要の形状が得られない
が、本発明による方法であれば高密度ヘッドにおいも均
一且つ充分な厚みの突部20bを形成できた。
【0057】図12は突部20bと圧電変換器1の当接
部の拡大断面図を示したもので、フォトレジスト(破線
で示す)の厚さに応じて突部20bの形が変わる様子を
示している。フォトレジストの厚さが小さいとき、図1
2(b)に示すように突部20bの上部が茸のように広が
ると共に圧電変換器1と接合する上面が孤形状となる。
【0058】上面が広がると隣接する突部20b間が接
近する。また圧電変換器1と突部20bとの接合に際
し、圧電変換器1が図の2点鎖線のように位置ずれを起
こすと、狭い矢印部分で接着剤がブリッジ状につながっ
てしまう。また突部上面が円孤形状となれば圧電変換器
との当接が安定しない。
【0059】一方図12(a)のように、突部の高さ付近
まで、またはそれより高くフォトレジスト(破線で示
す)を形成すると、突部20bの上面は広がらず且つ上
面がフラットとなり、前述した問題を解消でき、結果と
して突部配置間隔を縮小でき、高密度化ヘッドが可能と
なる。
【0060】図13(a)〜(e)に本発明の第4の製造方
法の実施例を示す。
【0061】先ず厚さが0.01〜0.3mmの金属あ
るいはセラミックスからなるベースプレート120を準
備する(図13(a))。材質として銅、ニッケル、ステ
ンレス、シリコン等、場合によっては樹脂プレートが使
用可能である。ベースプレート120の何れか一方の面
に高分子樹脂120aを成膜し、焼成する(図13
(b))。厚さはインク滴吐出及び振動板の強度設計によ
り決定するが、大体2〜10μmの範囲、本発明者らは
4μmとした。成膜方法としては、真空成膜方、浸せき
法、ロールコート法、スピンナーコート法、スプレー
法、注型法らが可能である。高分子樹脂の材料として
は、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(P
EI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリサ
ルホン(PSF)樹脂、ポリエーテルサルホン(PE
S)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエ
ーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリフェニレ
ンサルファイド(PPS)樹脂、ポリオレフィン(AP
O)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、
アラミド樹脂を挙げることができる。材料によって可能
な成膜方法は異なるが、容易に平滑で均一な厚さの薄膜
が形成できるロールコート法や注型法が好適である。
【0062】また製造工程で使用される各種薬品類やイ
ンクに耐えることことができるような高分子樹脂材料と
その成膜方法が採用される。
【0063】高分子樹脂層120aの上に、金属薄膜1
23を成膜する(図13(c))。形成手段は蒸着、スパ
ッタリング、CVD等の周知の手段である。膜材料はク
ロム、ニッケル、銅、金、チタン、あるいはこれらの中
から2種選択して積層する。金属薄膜123の上に、フ
ォトレジストを形成し、更にフォトマスクを介してフォ
トレジストへ紫外線を照射して、フォトレジストを選択
的に露光し、次に現像する。フォトレジストは露光、現
像の過程を経て、選択的に形成および除去される。次い
で、フォトレジストの除去部の金属薄膜123の上に金
属を析出(金属メッキ)させ、振動板の突部20b及び
肉厚部23を形成する。最後にフォトレジストを除去
し、次にベースプレート120をエッチングにより溶解
除去すれば所用の振動板20が完成する(図13
(d))。
【0064】必要に応じて振動板20のインク接触面に
金属あるいはセラミックスからなる無機薄膜21を成膜
する(図13(e))。無機薄膜21は振動板20、特に
は薄部20aの劣化と材料定数の変化の防止、およびイ
ンク組成物の透過による突部と薄部との密着強度の低下
を防止する。
【0065】図14(a)〜(e)、図15(a)〜(e)と図
16(a)、(b)に本発明による製造工程の第5の実施例
を示す。
【0066】先ず結晶方位(110)面を持つシリコン
ウェハー130を準備する(図14(a))。熱酸化炉を
用いてシリコン酸化膜(SiO2膜)138、139を
表面に形成する(図14(b))。シリコン酸化膜139
の上に樹脂層130aを形成する(図14(c))。形成
方法としては、真空成膜法、浸せき法、ロールコート
法、スピンナーコート法、スプレー法、注型法らが可能
である。高分子樹脂の材料としては、ポリイミド(P
I)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリア
ミドイミド(PAI)樹脂、ポリサルホン(PSF)樹
脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリエーテ
ルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン
(PEEK)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PP
S)樹脂、ポリオレフィン(APO)樹脂、ポリエチレ
ンナフタレート(PEN)樹脂、アラミド樹脂を挙げる
ことができる。材料によって可能な成膜方法は異なる
が、容易に平滑で均一な厚さの薄膜が形成できる方法が
好適である。
【0067】次に樹脂130aとして感光製樹脂を採用
するとき(例えば感光性ポリイミド樹脂)、周知のフォ
ト工程によって位置決め用、あるいはインク供給用の穴
137を形成する(図14(d))。
【0068】次に樹脂層の上に金属薄膜133を形成し
(図14(e))、さらにフォトレジスト131をコート
し、フォトレジスト131をパターニングする(図15
(a))。次いで金属膜133の上に金属130bを析出
させることは既に述べた製造方法と同様である(図15
(b))。
【0069】フォトレジスト131を除去した後、圧力
室22を形成しようとする部分のシリコン酸化膜138
を除去し(図15(c))、シリコン基板の他面からエッ
チングによって圧力室となる凹部22を形成する(図1
5(d))。異方性エッチングによれば、垂直な(11
1)面からなる圧力室22を精密に形成できる。金属薄
膜133をエッチングにより除去し(図15(e))、最
後に酸化膜138を除去する(図16(a))。次にノズ
ル基板13を圧力室を閉じるよう接着する(図16
(b))。本実施例によれば振動板20と圧力室はじめ流
路が一体的に形成される。したがって圧力室22と突部
130b(20b)の位置関係が正確であること、流路
基板と振動板の接合信頼性が高いこと、など数々の効果
がある。尚、実際は1枚のシリコンウェハ上に多数の上
記振動板部及び流路部を形成し、その後ダイシングによ
り分割することで、なお一層生産性を高めている。
【0070】図17(a)〜(f)は本発明による第6の製
造方法の実施例である。
【0071】先ず結晶方位(110)面を持つシリコン
ウェハー140を準備する(図17(a))。熱酸化炉を
用いてシリコン酸化膜(SiO2膜)148、149を
形成する(図17(b))。
【0072】次にシリコンウェハー140の一方の面に
無機薄膜146を薄く成膜する(図17(c))。形成手
段は蒸着、スパッタリング、CVD等である。膜材料は
クロム、ニッケル、銅、金、チタン、あるいはこれらの
中から2種積層したものである。本発明者らはクロムを
薄く成膜し、重ねてニッケルを成膜することでより強固
な密着力を得た。無機薄膜146上に樹脂層140aを
形成する。その後の工程は図14〜図16に沿っての説
明の通りであり、図17(f)にノズル基板13を接合し
た後の断面図を示した。
【0073】本実施例によれば振動板のインク接触側に
無機薄膜146を形成できる(図17(f))。
【0074】以上の実施例の図14、図15、図16、
および図17において、シリコン基板と樹脂層の間に、
またシリコン基板と無機薄膜の間に厚さ0.1μm〜
0.5μmのシリコン酸化膜139、149を配してい
る。シリコン酸化膜は必ずしも必要でなく省くことも可
能である。しかし圧力室を形成するとき、異方性エッチ
ングに使用するKOHを主組成とするアルカリ性のエッ
チング液から振動板を保護するために非常に有用である
ことがわかった。従って安定的製造の実現にとって、シ
リコン酸化膜を配置することは非常に重要なポイントで
ある。
【0075】上記実施例のいずれにおいても、共通のイ
ンク室25部分に位置する薄部26(図6)は既に説明
してきた薄部20aと一体であり、且つ薄部20aと同
工程でつくられるため、品質およびコストに関し優れ
る。
【0076】また図6における基準穴27と、共通のイ
ンク室へのインク供給用丸穴28は紫外線レーザによる
アブレーション加工によって形成することは既に説明し
た。
【0077】無機薄膜(図11の100c)を持つ場合
は、樹脂フィルムと無機薄膜は同時にレーザ加工で穴明
けされる。
【0078】樹脂材料として感光性樹脂材料を用いると
き、基準孔27、丸穴28はフォト工程によって形成で
きることも既に説明した。但し図17の実施例のよう
に、無機薄膜146を形成した場合、穴部に残る無機薄
膜はレーザー加工によって除去するのがよい。
【0079】尚、以上の各実施例に於いて突部20b及
び肉圧部23を形成する材料としてはニッケルが最も相
応しいが、他の材料、例えば金、クロム、銅等も可能で
ある。
【0080】また以上の各実施例において製造された振
動板20の薄部20aはたるむことなく、常に張架され
た状態にある必要がある。なぜならたるみは圧力室内に
発生した圧力と容積変化を吸収するため、たるみはイン
ク滴吐出速度と吐出量を減少させる。樹脂膜がインクに
接触して膨潤したときも薄部20aを張架させておくこ
とが必要である。
【0081】そこで、上記第1〜3の製造方法におい
て、延伸フィルムには張力を付与しつつベースプレート
に積層する方法を採る。
【0082】また第4〜6の製造方法においては、樹脂
材料と溶剤組成、樹脂材料の成膜条件、その後の焼成条
件、を最適化することで積極的な張力付与を達成できる
ことがわかっている。
【0083】樹脂フィルム単体または無機薄膜を付けた
樹脂フィルムがインクとの接触によって伸びる比率をa
%、図8(b)のベースプレート80、図13(b)のベー
スプレート120、あるいは図14(c)、図17(d)の
シリコン基板を除去したとき、樹脂フィルムが縮む比率
をb%とするとき、a<bであるとき薄部20aは撓ま
ない。
【0084】
【発明の効果】以上に説明したように本発明によるイン
クジェットヘッドおよびその製造方法は、複数の圧力室
と該圧力室の各々に連通するノズル開口と圧力室の少な
くとも一部を形成し、薄部と一端が基台に固定された圧
電変換器の他端が当接する突部をもつ振動板を備え、該
圧電変換器の伸縮によりノズル開口からインク滴を吐出
するもので、該振動板は樹脂フィルムからなる薄肉部と
該フィルムに密着形成された金属薄膜と該薄膜上に密着
して析出形成された金属の突部からなるとともに、これ
ら構成を実現した製造方法であり、 (1)振動板の薄部が樹脂フィルムであるため、必要な
変形と必要な繰り返し回数に耐えられ、さらにはその耐
久性を生かして可及的に突部幅をも拡大でき、高密度化
とより大きな吐出インク滴体積の両立を可能とした。
【0085】(2)圧電変換器と薄部との間は金属で構
成され、薄部と突部の間にも低ヤング率の材料は介在し
ないので、圧電変換器の高速度変位はそのまま圧力室に
伝達される。
【0086】(3)樹脂フィルム上に金属薄膜を介して
金属を析出させる方法により、突部を高剛性材料で且つ
厚く形成でき、さらに樹脂フィルムと突部の間に金属薄
膜を介在させることで大きな密着力を得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェットヘッドの構成を示す分
解斜視図である。
【図2】本発明のインクジェットヘッドの部分断面図で
ある。
【図3】本発明のインクジェットヘッドの動作を示す図
である。
【図4】本発明のインクジェットヘッドの圧力発生手段
を示した図である。
【図5】本発明のインクジェットヘッドの要部を下方よ
り見た部分斜視図である。
【図6】本発明の振動板の一実施例を示した平面図であ
る。
【図7】本発明の流路基板の一実施例を示した平面図で
ある。
【図8】本発明のインクジェットヘッドの製造方法の一
実施例を示す製造工程図である。
【図9】本発明のインクジェットヘッドの製造方法の実
施例を示す図8に続く製造工程図である。
【図10】本発明のインクジェットヘッドの製造方法の
一実施例を示す製造工程図である。
【図11】本発明のインクジェットヘッドの製造方法の
一実施例を示す製造工程図である。
【図12】振動板の突部の形状に関する説明図である。
【図13】本発明のインクジェットヘッドの製造方法の
一実施例を示す製造工程図である。
【図14】本発明のインクジェットヘッドの製造方法の
一実施例を示す製造工程図である。
【図15】本発明のインクジェットヘッドの製造方法の
一実施例を示す、図14に続く製造工程図である。
【図16】本発明のインクジェットヘッドの製造方法の
一実施例を示す、図15に続く製造工程図である。
【図17】本発明のインクジェットヘッドの製造方法の
一実施例を示す製造工程図である。
【図18】従来のインクジェットヘッドの実施例を示す
図。
【図19】従来のインクジェットヘッドの実施例を示す
図。
【符号の説明】
1 圧電変換器 5 プレート部材 6 インク 10 フレーム 12 流路基板 13 ノズル基板 13a ノズル開口 20 振動板 20a 振動板の薄部 20b 振動板の突部 20c 金属薄膜 21 無機薄膜 22 圧力室 23 振動板の肉厚部 25 共通のインク室 26 共通のインク室に設けた薄部 27、29 基準穴 28 振動板に設けたインク導入穴 80、120 ベースプレート 80a、120a、130a 樹脂フィルム 83、123、133 金属薄膜 130、140 シリコン基板 139、149 シリコン酸化膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−71877(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/045 B41J 2/055 B41J 2/16

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の圧力室と該圧力室の各々に連通す
    るノズル開口と前記圧力室の少なくとも一部を形成し、
    薄部と一端が基台に固定された圧電変換器の他端が当接
    する突部をもつ振動板を備え、該圧電変換器の伸縮によ
    り直接該振動板を変形させてノズル開口からインク滴を
    吐出するインクジェットヘッドにおいて、 前記振動板は樹脂フィルムからなる前記薄部と該フィル
    ムに密着形成された少なくとも一層以上の金属薄膜と該
    金属薄膜上に密着して金属の析出により形成された前記
    突部からなることを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 前記複数の圧力室に連通する共通のイン
    ク室の一壁面は、前記圧力室を形成する樹脂フィルムと
    一体の樹脂フィルムからなる薄部と該薄部を囲む、前記
    突部と同時に形成された肉厚部からなることを特徴とす
    請求項1記載のインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 前記樹脂フィルムは延伸フィルムである
    ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記
    載のインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 ベースプレートと薄部として機能する樹
    脂フィルムと該樹脂フィルム上の金属薄膜からなる積層
    体を形成する工程、該金属薄膜上にフォトレジストをコ
    ートし、露光、現像の後選択的に該レジストを除去する
    工程、該除去部に前記薄膜を電極として突部として機能
    する金属を析出させる工程、残余のフォトレジストと前
    記ベースプレートを除去する工程、以上の各工程を経て
    完成した振動板を圧力室を有する流路基板に接合する工
    程、該突部に圧電変換器を当接する工程からなることを
    特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記積層体は、一方の面に金属薄膜を形
    成した樹脂フィルムを、該金属薄膜を外側として前記ベ
    ースプレートと積層することにより製造されることを特
    徴とする請求項4記載のインクジェットヘッドの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記積層体は、一方の面に金属薄膜を、
    他方の面に無機薄膜を形成した樹脂フィルムを該無機薄
    膜を密着面として前記ベースプレートと積層することに
    より製造されることを特徴とする請求項4記載のインク
    ジェットヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記樹脂フィルムは延伸フィルムである
    ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載
    のインクジェットヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 表面が(110)面であるシリコン基板
    の一方の面に振動板の薄部として機能する樹脂フィルム
    層を形成する工程、該樹脂フィルム層上に金属薄膜を形
    成する工程、該金属薄膜上にフォトレジストをコート
    し、露光、現像の後選択的に該レジストを除去する工
    程、該除去部に前記金属薄膜を電極として、突部として
    機能する金属を析出させる工程、該シリコン基板の他面
    から該シリコン基板を異方性エッチングして圧力室とし
    て機能する凹部を形成する工程、該圧力室開口部にノズ
    ル開口を備えたノズルプレートを接合する工程、該突部
    に圧電変換素子を垂直に当接する工程、からなることを
    特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 表面が(110)面であるシリコン基板
    の一方の面に無機薄膜を形成する工程、該無機薄膜上
    振動板の薄部として機能する樹脂フィルム層を形成する
    工程、該樹脂フィルム層上に金属薄膜を形成する工程、
    該金属薄膜上にフォトレジストをコートし、露光、現像
    の後選択的に該レジストを除去する工程、該除去部に前
    記金属薄膜を電極として、突部として機能する金属を析
    出する工程、該シリコン基板の他面から該シリコン基板
    を異方性エッチングして圧力室として機能する凹部を形
    成する工程、該圧力室開口部にノズル開口を備えたノズ
    ルプレートを接合する工程、該突部に圧電変換素子を垂
    直に当接する工程、からなることを特徴とするインクジ
    ェットヘッドの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記シリコン基板と前記樹脂フィルム
    層の間にシリコン酸化膜(SiO 膜)を形成したこ
    とを特徴とする請求項8または9のいずれか1項に記載
    のインクジェットヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記フォトレジストの厚さは形成する
    突部厚さより厚いか、または同じであることを特徴とす
    請求項4、8、9のいずれか1項に記載のインクジェ
    ットヘッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 インクに接触することによる前記樹脂
    フィルムの伸び量は、前記ベースプレートを除去したと
    きの樹脂フィルムの縮み量より小さいことを特徴とする
    請求項4記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  13. 【請求項13】 インクに接触することによる前記樹脂
    フィルムの伸び量は、前記シリコン基板を除去したとき
    の樹脂フィルムの縮み量より小さいことを特徴とする
    求項8または9のいずれか1項に記載のインクジェット
    ヘッドの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記樹脂は感光性樹脂であることを特
    徴とする請求項4、8、9のいずれか1項に記載のイン
    クジェットヘッドの製造方法。
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