JP2000094572A - 無機薄膜/高分子材料積層品の製法 - Google Patents

無機薄膜/高分子材料積層品の製法

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JP2000094572A
JP2000094572A JP10285891A JP28589198A JP2000094572A JP 2000094572 A JP2000094572 A JP 2000094572A JP 10285891 A JP10285891 A JP 10285891A JP 28589198 A JP28589198 A JP 28589198A JP 2000094572 A JP2000094572 A JP 2000094572A
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Hidetoshi Saito
秀俊 斉藤
Hideo Kinoshita
秀雄 木下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 密着性に優れ、低コストで製造でき、且つ無
機材料が持つ機能を最大限発揮できる無機薄膜/高分子
材料積層品の製造方法を提供することにある。 【解決手段】 揮発若しくは昇華性を有し、且つ、化学
反応により酸化物を形成する一種あるいは複数の金属化
合物を高分子材料基材上に放出し、基材上に少なくとも
一層の有機性官能基を含む無機薄膜を形成させることを
特徴とする無機薄膜/高分子材料積層品の製造方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機の高分子材料
の表面を改質し、高機能化することを目的とした無機薄
膜/高分子材料積層品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機の高分子材料に無機質系の薄膜を形
成することによって、高分子材料のもつ欠点をカバーす
ることが知られている。例えば、 (1)高分子材料は、ガラス等に比較して表面硬度が低
い為、傷つき易いが、高分子材料表面上に酸化珪素を主
成分とする等の無機質系の薄膜を直接形成させることに
よって、高い表面硬度を付与することができる。 (2)包装材料分野では、食品保存等の目的でガスバリ
ア性等の機能が要求される。しかしながら、高分子材料
は、例えばポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアル
コール共重合体、ポリアクリロニトリル等の特殊な材料
を除くと、一般にガスバリア性に欠ける。しかしなが
ら、高分子材料に酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機
質系の薄膜を形成させることによって、上記以外の高分
子材料にもガスバリア性の機能を付与することができ
る。 (3)最近OA機器、携帯電話等の発生する電磁波障害
が問題になっている。この為、これらのハウジングに使
用される高分子材料も電磁波シールドすることが要求さ
れつつあるが、高分子材料に無機質系の導電性薄膜等を
形成させることによって電磁波シールドが可能となる。 (4)酸化チタンに代表される光触媒機能を有する無機
質系の薄膜を高分子材料表面に形成させることにより、
高分子材料に防汚・防曇・防菌・防臭等の光触媒機能を
付与することができる。
【0003】しかしながら、この様な高分子材料に無機
質系の薄膜、即ち無機薄膜を形成させた無機薄膜/高分
子材料積層体は、性能上大きな問題がある。その問題点
は、無機薄膜と高分子材料との密着性である。そもそも
無機材料と高分子材料とは全く異質な材料である。従っ
て、相互に相溶性化しない。両者が接着剤なく強固に密
着する為には両者が分子レベルで絡み合うことが好まし
いが、無機材料と高分子材料とは分子レベルで絡み合う
ことが無い。従って、単に高分子材料の上に無機質材料
を積層したのみでは密着性に欠ける問題点がある。又、
もう一つの問題点は、無機薄膜と高分子材料との線膨張
係数の差である。この両者の線膨張係数の差は、無機薄
膜/高分子材料積層体の無機薄膜のクラックの発生等に
つながる。これらの問題点を解決する一般的な手段とし
ては、無機材料に有機官能基を付与するかあるいは無機
材料をバインダーに分散させる等の方法が採用されてい
る。例えば、無機材料に有機官能基を付与する方法とし
て、例えば、高分子材料の表面硬度アップの方法として
酸化硅素を主成分とするハードコート技術が知られてい
るが、酸化硅素の密着性向上及びクラツク発生防止の為
に、例えばテトラエトキシシランとアルキルトリエトキ
シシラン等の混合物を加水分解し、これを高分子材料に
塗布し、この後硬化させ、酸化硅素に有機性官能基を持
たせるた方法が実施されている。又、高分子材料に光触
媒機能付与の方法として、酸化チタンを主成分とする無
機薄膜を形成する技術が知られているが、この場合は、
例えば光触媒機能の少ないフッ素系のポリマー等をバイ
ンダーとして高分子材料表面に塗布し、乾燥する方法等
が実施されている。しかしながら、これらの方法は、コ
ーティング液の調整・コーティング・硬化あるいは乾燥
等工程が複雑でコストアップとなる。あるいは後者の場
合は、バインダーの使用により酸化チタンの持つ光触媒
機能が十分に発揮されない等の問題点がある。その為、
基材である高分子材料との密着性に優れ、低コストで製
造でき、且つ無機薄膜の機能も十分に発揮できる積層方
法が要望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
の如き状況に鑑み、無機材料と高分子材料との密着性に
優れ、従って実用性能に優れ、低コストで製造でき、且
つ無機材料が持つ機能を最大限発揮できる無機薄膜/高
分子材料積層品の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者等は、上記の目的
を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、揮発若しくは昇華
性を有し、且つ、化学反応により酸化物を形成する一種
あるいは複数の金属化合物を高分子材料基材上に放出
し、基材上に少なくとも一層の有機性官能基を含む無機
薄膜、即ち金属酸化物を主体とする薄膜を形成させるこ
とによって達成できることを見出し本発明を完成するに
至った。この方法は、従来法と比較して無機薄膜を形成
させる工程は一工程で済み、且つ乾燥・硬化等の工程が
不要で低コストで無機薄膜/高分子材料積層品を製造で
きる。又、化学反応が、大気中の化合物、例えば水、酸
素との化学反応であり、金属化合物を放出する雰囲気が
大気圧雰囲気、即ち常圧で有れば、大型設備も必要とせ
ず、極めて経済性が高い。
【0006】即ち、本発明は、揮発若しくは昇華性を有
し、且つ、化学反応、好ましくは大気中の化合物との反
応により酸化物を形成する一種あるいは複数の金属化合
物を、好ましくは窒素ガス等の気体状媒体と同伴させ
て、好ましくは大気圧雰囲気下で高分子材料基材上に放
出し、基材上に少なくとも一層の有機性官能基を含む無
機薄膜を形成させることを特徴とする無機薄膜/高分子
材料積層品の製造方法に関するものである。
【0007】以下本発明を詳しく説明する。まず、本発
明で使用する原材料について説明する。本発明の無機薄
膜/高分子材料積層品の基材である高分子材料は、一般
に言われる有機の高分子材料であれば特に限定されな
い。又、合成高分子であっても天然高分子であっても良
い。合成高分子としては、例えば、ポリエチレン、ポリ
プロピレン等のポリオレフィン系材料、ポリスチレン、
ABS、AES、スチレン/共役二重結合単量体共重合
体あるいはこれらの水添共重合体等のポリスチレン系材
料、ポリメチルメタクリレート系材料、ポリカーボネー
ト系材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ブチレートあるいはポリエチレンナフタレート等のポリ
エステル系材料、ポリフェニレンエーテル系材料、ポリ
アセタール系材料、ポリ塩化ビニル系材料、ポリ塩化ビ
ニリデン系材料、ポリアミド系材料、ポリイミド系材
料、ポリアクリロニトリル系材料、ポリ酢酸ビニル系材
料、ポリメチルペンテン系材料等をあげることができ
る。更に例えばポリブタジエン等の共役ジエン系エラス
トマー、又、最近開発が進んでいるポリ乳酸等の脂肪族
ポリエステル等の生分解性ポリマー等をあげることがで
きる。これらの合成高分子は、個々の主要単量体の単独
重合体であっても良いし、又、共重合体であっても良
い。又、天然高分子としては、例えば、セルロース系材
料等をあげることができる。
【0008】その形状は、シート、フイルム、成形品等
何れの形状も使用することができる。本発明の原材料で
ある金属化合物は、化学反応により酸化物を形成するも
のを使用する。具体的に、この金属化合物は、例えば、
図1に示す設備を使用し加熱槽で揮発若しくは昇華し、
スリットより放出した時、雰囲気に存在する酸素、水分
あるいは意図して存在させた化学物質と反応して部分的
であっても良いが、主として金属酸化物を形成するもの
を使用する。通常は、触媒なしが好ましいが、触媒存在
下、金属酸化物を形成するものであっても良い。
【0009】金属化合物としては、好ましくは、加熱
下、気体状媒体(キャリアガス)でもって大気に放出し
た時、瞬時に大気中の酸素あるいは水分、又は、特別な
場合、故意に存在させた反応性物質等と反応し、部分的
であっても良いが、主として金属酸化物を形成するもの
を使用する。通常は、触媒なしが好ましいが、触媒存在
下、金属酸化物を形成するものであっても良い。この、
金属化合物の例としては、アルキル基、アルケニル基、
フェニルあるいはアルキル基、フェニル基、アルコキシ
ド基、アセチルアセトネート基、EDTA基及びアルキ
ルカーボネート基の中から選ばれる官能基をもち、且
つ、周期表でIIA、IIB、IIIA、IIIB、I
VA、IVB、VA、VIA及びVIIAから選ばれる
金属化合物を使用する。具体的には、Si、Ge、S
n、Pb、Al、Ga、In、Tl、Zn、Cr、M
n、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、S
c、Y,Mg、Ca及びSr等の金属化合物を使用す
る。これら金属化合物は、製造条件の適切化により高分
子材料基材上に有機官能基を有する無機薄膜を形成させ
ることができる。
【0010】金属化合物を揮発あるいは昇華させてスリ
ット等から放出する方法としては、必ずしもこれに限定
される訳ではないが、気体状媒体と同伴して放出させる
ことが好ましい。理由は、気体状媒体で同伴して放出さ
せる方法は、金属化合物の放出量を一定量にコントロー
ルできることによる。気体状媒体は、使用する金属化合
物と反応するものでなければ、特に限定はされないが、
その例として、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガ
ス、炭酸ガス、有機フッ素系ガス、あるいはヘキサン、
ヘプタン等の有機物等が挙げられる。しかしながら、安
全性、経済性の上から不活性ガスが好ましい。この中で
も窒素ガスが経済性の面より最も好ましい。
【0011】本発明の無機薄膜/高分子材料積層品を製
造する方法で最も好ましい方法は、金属化合物をスリッ
ト等より放出し、大気中の水分あるいは酸素等の化合物
との化学反応で酸化物を形成させる方法であるが、この
方法で実施する場合は、例えば、加熱槽中で金属化合物
を酸素及び水分が存在しないかあるいは極めて少ない状
態で揮発あるいは昇華する温度あるいはそれ以上に加熱
し、更に酸素及び水分が存在しないかあるいは極めて少
ない気体状媒体を導入して放出する。金属化合物中ある
いは気体状媒体中の酸素及び水分が存在しないかあるい
は極めて少なくするのは、放出する前に、装置内で金属
酸化物へ反応し、詰まり等によるトラブルを防止する為
である。しかしながら、使用する金属化合物の種類によ
っては、スリット等の吹き出し口から放出したのみで
は、金属化合物の酸化物への反応速度が極めて遅い場合
もある。この際は、気体状媒体中あるいは揮発層内に、
装置内で詰まりを生じない程度に酸素、水分あるいは反
応速度アップの為の触媒(例えば、揮発性の酸、アルカ
リ等)等を共存させることもある。放出する金属化合物
は、一種であっても良いし、混合物であっても良い。混
合して揮発させることもできるが、揮発させたものを混
合した後、基材に吹き付けることもできる。放出する金
属化合物の温度は、一般に金属化合物が揮発する温度以
上であれば特に限定されないが、一般には、100〜8
00℃で実施する。
【0012】基材である高分子材料の表面温度は、常温
〜300℃が好ましい。なお、基材である高分子材料の
表面温度とは、気体状媒体でもって放出する金属化合物
を吹き付ける高分子材料表面の設定温度を言う。例え
ば、一例を示すと、フイルムあるいはシートに連続的に
無機薄膜を形成させる場合、スリツト等の吹き出し口に
達する直前の高分子材料の表面温度を言う。基材である
高分子材料は、射出成形等によって得られる成形品、押
出成形等によって得られるフイルム、押出成形、キャス
ト成形等によって得られるシート等を挙げることができ
るが、既に加工された成形品、フイルムあるいはシート
等に無機薄膜を形成させる場合は、密着性を満足すれば
可能な限り低い温度が形状維持の観点より好ましい。特
に、経済性、生産性の面から常温が好ましい。しかしな
がら、本発明の方法は、例えば、押出機等でフイルムあ
るいはシートを押出し、ロール等で冷却し、フィルムあ
るいはシートの形状とした直後、連続してそこに気体状
媒体でもって放出された金属化合物を吹き付ける方法も
採用することができる。この場合、ロールで冷却される
が、特にシートでは、高分子材料の温度はは高温とな
る。一般的な樹脂では、その形状維持の点より、300
℃以下が好ましい。フィルムあるいはシートに無機薄膜
を形成させる場合、赤外線、熱風あるいはその他の加熱
媒体でその表面を加熱し、無機薄膜を形成しない面を冷
却しつつ無機薄膜を形成させることもできる。この場合
の表面温度は、その表面の2〜3μmの部分、好ましく
は1μm以下の部分を言う。
【0013】金属化合物の吹き出し口と高分子材料表面
の距離は、通常1〜50cmで実施する。金属化合物の
吹き出し口の形状によっても異なるが、1cm以下の場
合は、形成される無機薄膜が不均一となるあるいは金属
化合物が金属酸化物に充分反応せず付与しようとする機
能が充分発揮されない等の傾向がある。50cm以上の
場合は、基材に到達した時、金属化合物が分解して生成
する金属酸化物粒子の温度が低くなり密着性に劣る等の
問題を起こす傾向がある。
【0014】金属化合物を放出する雰囲気は、減圧下で
あっても良いし、常圧下あるいは加圧下であっても良
い。しかしながら、高度な減圧下、例えば超真空下で実
施すると、金属酸化物の生成速度が遅く、生産性に欠け
好ましくない。加圧下で実施する金属酸化物の生長速度
には問題ないが、加圧する為の設備が必要となり好まし
い方向ではない。これに限定される分けではないが、通
常0.1〜10atmで実施することが好ましい。しか
しながら、一般的には、大気圧雰囲気下、即ち、常圧で
実施することが最も好ましい。この方法は、工業的生産
をする場合に大型の設備が必要でなく、且つ、金属酸化
物の生長速度も実用化可能の範囲にある。この様にして
製造される積層品の無機薄膜層の厚みは、通常、20μ
m以下、好ましくは10μm以下、更に好ましくは2μ
m以下である。単層であっても、多層であってもこの範
囲にあることが好ましい。一般に厚くなると無機薄膜層
にクラック等の欠陥を生じ易い傾向が有り好ましくな
い。一般には20μm以下が好ましい。又、下限は、無
機材料としての機能が発揮される範囲であれば特に限定
されない。通常、0.01μm以上であることが好まし
い。
【0015】本発明は、高分子材料表面に少なくとも一
層の有機性官能基を含む無機薄膜層を形成させることを
必須とするが、その上に有機性官能基を含まない無機薄
膜層を形成することも可能である。有機性官能基を含ま
ない無機薄膜層は、金属化合物の基材への吹き付け温度
を高くすることによって可能となる。なお、本発明の無
機薄膜を形成する基材が、特にフィルムあるいはシート
である場合、フイルムあるいはシートを連続して送り出
した後あるいは押出した後に、金属化合物の吹き出し口
を設け、有機性官能基を含む無機薄膜を形成させること
ができる。
【0016】本発明の無機薄膜/高分子材料積層品は、
例えば、酸化珪素あるいは酸化アルミニウムの無機薄膜
層は、バリア性機能付与あるいは表面硬度機能付与、酸
化インジュームと酸化錫の混合物であるITOの無機薄
膜層は、導電性あるいは電磁波シールド性機能付与、酸
化チタンの無機薄膜層は、光触媒機能付与、酸化チタン
と酸化鉄の混合物の無機薄膜層は、フォトクロ機能付与
等が可能となる。本発明は、直接成形品に種々の無機薄
膜を形成させることによって、無機薄膜で機能化された
成形品となる。又、フィルム、シート等に直接無機薄膜
を形成させることによって、無機薄膜で機能化されたフ
ィルム、シート等となる。又、無機薄膜で機能化された
フィルムを使用して他のフィルムをラミネートすること
によってラミネートフィルムあるいは無機薄膜で機能化
されたフィルムをシートにラミネートし、ラミネートシ
ート等となる。更に、無機薄膜で機能化されたフィルム
を使用してインモールド射出成形により機能化された成
形品とすることもできる。
【0017】本発明で製造される積層品の用途の具体的
な例を挙げると、例えば、金属化合物中の金属としてS
i及び/又はAlを用い、高分子材料としてポリエステ
ル系材料等を基材とした積層品は、ガスバリア性フィル
ムに利用できる。又、高分子材料としてポリメチルメタ
クリレート系材料、あるいはポリカーボネート系材料等
を基材とした積層品は、表面硬度の高いエクステリア、
装飾品、カーグレージング等のシートあるいは自動車の
ヘッドランプカバー等の成型品に利用できる。金属化合
物中の金属としてSnとInとの混合物を用い、高分子
材料としてポリスチレン系材料、ポリフェニレンエーテ
ル系材料、ポリカーボネート/ABS系材料等を基材と
した積層品は、電磁波シールド性のあるテレビ、携帯電
話あるいはパソコン等の電気・電子機器のハウジング等
に利用できる。 更に、このSnとInとの混合物を用
い、高分子材料としてポリカーボネート等を基材とした
積層品は、液晶デイスプレーのガラス基板代替え等に利
用できる。又、高分子材料としてポリメチルメタクリレ
ート系材料を基材とした積層品は、テレビあるいは最近
開発が進んでいるプロジェクションテレビ、プラズマデ
ィスプレー等の電磁波シールド性透明前面板等に利用で
きる。更に、金属化合物中の金属としてTiを用い、高
分子材料としてポリメチルメタクリレート系材料、ポリ
カーボネートシート系材料等を基材とした積層品は、高
速道路透明遮音板、エクステリア、カーポート、アーケ
ード、温室、照明カバー用シート等に利用できる。又、
高分子材料としてポリオレフィン系材料、ポリ塩化ビニ
ル系材料、ポリエステル系材料等を基材とした積層品
は、壁紙、農業用フィルム等に利用できる。この、金属
化合物中の金属としてTiを用いた場合には、光の照射
により付着した油も分解してしまう効果がある。この様
な特徴を利用すると、台所用建材あるいは台所用品を、
油汚れがなく、常に清浄な形で維持でき特に有用であ
る。金属化合物中の金属として、Tiに微量のFe等を
混在させた場合、高分子材料としてポリメチルメタクリ
レート系材料、ポリカーボネートシート系材料等を基材
とした積層品は、フオトクロ性のエクステリア、アーケ
ード、天窓等に利用できる。
【0018】
【実施例】次に実施例をあげて本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (実施例)図1の気体状媒体導入ライン、加熱槽、スリ
ット状吹き出し口よりなる設備を使用し、加熱槽にテト
ラエトキシシランとトリエトキシモノエチルシランの混
合物(重量比で90/10)を仕込んだ。加熱槽を15
0℃に加熱、更に加熱配管及びスリツトをヒーターによ
り500℃に加熱し、吹き出し温度を500℃に設定し
た。吹き出しスリットの下、10cmの位置に、厚み3
mmのポリメチルメタクリレートシート(以下メタクリ
ルシートと記載)を80℃に加熱、セットした。加熱槽
に、乾燥窒素ガスを導入し、テトラエトキシシランとト
リエトキシモノエチルシランの混合物を大気圧雰囲気に
放出し、メタクリルシート上に吹き付けた。テトラエト
キシシランとトリエトキシモノエチルシランの混合物
は、大気中の水と反応し、酸化珪素を主体とする微粒子
となり、これが、メタクリルシート上にデポジットし、
酸化珪素を主体としたとした無機薄膜が生成した。無機
薄膜の厚みは、乾燥窒素ガス導入量及びメタクリルシー
トを移動させる速度によってコントロールし、約0.1
μmとした。この酸化珪素を主体とする無機薄膜を表面
赤外分光光度計により解析した結果、2900〜300
0cm-1にCH2 及びCH3 に起因する大きな吸収が見
られた。この吸収は、珪素に結合したエチル基の吸収と
考えられる。このエチル基を含む酸化珪素を無機薄膜と
するメタクリルシートの鉛筆硬度は、7Hであった。一
方、無機薄膜のないメタクリルシートの鉛筆硬度は、2
Hで有り、明らかに酸化珪素を主体とする無機薄膜を形
成することによって高い表面硬度を示した。更に碁盤目
試験での密着性評価は、全く問題がなく、高い密着性を
示した。
【0019】(比較例)図1の気体状媒体導入ライン、
加熱槽、スリット状吹き出し口よりなる設備を使用し、
加熱槽にテトラエトキシシランを仕込んだ。加熱槽を1
50℃に加熱、更に加熱配管及びスリツトをヒーターに
より500℃に加熱し、吹き出し温度を500℃に設定
した。吹き出しスリットの下、10cmの位置に、厚み
3mmのメタクリルシートを80℃に加熱、セットし
た。加熱槽に、乾燥窒素ガスを導入し、テトラエトキシ
シランを大気圧雰囲気に放出し、メタクリルシート上に
吹き付けた。テトラエトキシシランは、大気中の水と反
応し、酸化珪素を主体とする微粒子となり、これが、メ
タクリルシート上にデポジットし、酸化珪素を主体とし
たとした無機薄膜が生成した。無機薄膜の厚みは、乾燥
窒素ガス導入量及びメタクリルシートを移動させる速度
によってコントロールし、約0.1μmとした。この酸
化珪素を主体とする無機薄膜を表面赤外分光光度計によ
り解析した結果、2900〜3000cm-1にCH2
びCH3 に起因する吸収は見られなかった。なお、この
碁盤目試験での密着性評価では、全面剥離した。
【0020】
【発明の効果】揮発若しくは昇華性を有し、且つ、化学
反応により酸化物を形成する一種あるいは複数の金属化
合物を高分子材料基材上に放出し、基材上に少なくとも
一層の有機性官能基を含む金属酸化物薄膜を形成させる
ことを特徴とする本発明の無機薄膜/高分子材料積層品
の製造方法は、無機材料と高分子材料との密着性に優
れ、且つ無機材料が持つ機能を最大限発揮でき、従って
実用性能に優れた無機薄膜/高分子材料積層品を低コス
トで提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板上に無機薄膜を形成する工程を説明する図
である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 揮発若しくは昇華性を有し、且つ、化学
    反応により酸化物を形成する一種あるいは複数の金属化
    合物を高分子材料基材上に放出し、基材上に少なくとも
    一層の有機性官能基を含む無機薄膜を形成させることを
    特徴とする無機薄膜/高分子材料積層品の製造方法。
  2. 【請求項2】 金属化合物を気体状媒体に同伴させて放
    出する請求項1に記載の無機薄膜/高分子材料積層品の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 化学反応が、大気中の化合物との化学反
    応によるものである請求項1又は請求項2に記載の無機
    薄膜/高分子材料積層品の製造方法。
  4. 【請求項4】 金属化合物を放出する雰囲気が、大気圧
    雰囲気である請求項1〜3のいずれか1項に記載の無機
    薄膜/高分子材料積層品の製造方法。
  5. 【請求項5】 金属化合物は、周期表でIIA、II
    B、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA、VI
    A及びVIIAから選ばれる金属を含む化合物よりなる
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の無機薄膜/高分子
    材料積層品の製造方法。
  6. 【請求項6】 金属化合物は、Si、Al、Sn、I
    n、Zn及びTiから選ばれる金属を含む化合物よりな
    る請求項5記載の無機薄膜/高分子材料積層品の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 金属化合物は、アルキル基、アルケニル
    基、フェニルあるいはアルキルフェニル基、アルコキシ
    ド基、アセチルアセトネート基、EDTA基及びアルキ
    ルカーボネート基の中から選ばれる有機性官能基を持つ
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の無機薄膜/高分子
    材料積層品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006348415A (ja) * 2005-06-15 2006-12-28 Taiyo Kogyo Corp 光触媒シートの製造方法
JP2012179917A (ja) * 2012-05-11 2012-09-20 Taiyo Kogyo Corp 光触媒シートの製造方法
JP2013224509A (ja) * 2013-06-12 2013-10-31 Taiyo Kogyo Corp 光触媒シートの製造方法
JP2014037089A (ja) * 2012-08-16 2014-02-27 Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial System Corp 積層フィルム製造装置

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