JP2000089400A - ハロゲン化銀写真乳剤の製造方法及び装置 - Google Patents

ハロゲン化銀写真乳剤の製造方法及び装置

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JP2000089400A
JP2000089400A JP10270598A JP27059898A JP2000089400A JP 2000089400 A JP2000089400 A JP 2000089400A JP 10270598 A JP10270598 A JP 10270598A JP 27059898 A JP27059898 A JP 27059898A JP 2000089400 A JP2000089400 A JP 2000089400A
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silver halide
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Hisahiro Okada
尚大 岡田
Hiroshi Takada
宏 高田
Kaneo Mamiya
周雄 間宮
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】投影面積径の分布が単分散で、平板化率の高い
ハロゲン化銀写真乳剤を安定に生産するハロゲン化銀写
真乳剤の製造方法及び装置を提供する。 【解決手段】分散媒の10〜100重量%がメチオニン
含量3mg/g以下のゼラチンを用い静的混合型外部混
合機でハロゲン化銀の核を発生させることを特徴とする
ハロゲン化銀写真乳剤の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハロゲン化銀写真乳
剤の製造方法及び装置に関し、詳しくは単分散性、感度
/カブリ及び粒状性に優れた平板状ハロゲン化銀写真乳
剤の製造方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】アスペクト比(直径/厚さ)の大きい平
板粒子を含有するAgX乳剤を支持体上に塗布し、これ
を写真感光材料に用いた場合、次のような多くの利点が
ある。膜厚を薄くできるためにシャープネスの向上、表
面/体積比が大きいために分光増感色素を多量に吸着さ
せることができ、光吸収率が向上する、表面/体積比が
大きいために現像処理が速くなる、像の平準化による粒
状性の改良等。従って、従来、平板粒子が多くの写真感
光材料(以下、感光材料ないし感材ということもあ
る。)に多用されてきた。しかし、該平板粒子を従来法
で製造した場合、次のような欠点があった。
【0003】非平板粒子が混入し、粒子サイズ分布が広
い。即ち、粒子の形状的にも、サイズ分布的にも多分散
であった。粒径の大きなハロゲン化銀粒子と小さなハロ
ゲン化銀粒子では化学増感の最適な条件が異なるため、
両者が混在した。即ち多分散な(粒径分布の広い)ハロ
ゲン化銀乳剤には最適に化学増感を施すことが難しく、
結果としてカブリの増加を招いたり十分な化学増感を行
うことができない場合が多い。一方、単分散なハロゲン
化銀乳剤の場合には、最適な化学増感を施すことが容易
であり、高感度で低カブリなハロゲン化銀乳剤を調製す
ることが可能となる。また、硬階調(高ガンマ)な特性
曲線が期待できる。
【0004】一般に、臭化銀又は沃臭化銀を基本とす
る、平行2枚双晶を有する粒子の調製では平板粒子の側
面の成長活性が極めて高いために核生成初期に生成した
極一部の2枚双晶核は同時に生成した他の正常晶核の再
溶解で放出される溶質を受けて平行2枚双晶のみが選択
的に生き残るオストワルド熟成過程を利用する。この後
この平板種粒子に比較的高pBrで硝酸銀溶液とハロゲ
ン化物溶液をダブルジェット法で成長させると種粒子の
サイズ分布を維持又は縮小させることができる。しか
し、オストワルド熟成過程に頼りすぎると、種晶段階で
平行2枚双晶比率が上がるのと同時に過度の熟成による
分布の劣化を伴ってしまう。従って高度に分布の狭い形
の揃った平板粒子を調製するには、まず平板種晶段階で
サイズ分布を狭くすることが望まれる。それには初期に
生成する平行2枚双晶核の生成確率を挙げ、オストワル
ド熟成後の平板種晶の平均サイズをできるだけ低く抑え
る必要がある。
【0005】感光材料として用いられるハロゲン化銀写
真乳剤の調製方法としては、分散媒にハロゲン化物を含
む反応器に硝酸銀などの可溶性銀塩溶液を導入して、直
接両者を反応させて成長させる、いわゆるシングルジェ
ット法、及び可溶性の銀塩とハロゲン化物をそれぞれ別
のノズルから分散媒を含む反応器に同時に導入して該反
応器中で反応させて成長させる、いわゆるダブルジェッ
ト法が主流である。しかしながら、シングルジェット法
を用いてハロゲン化銀粒子を調製する場合、粒子の分布
や粒子内、粒子間のハロゲン分布や粒子内歪みの制御は
本質的に困難である。これに対してダブルジェット法の
場合は、シングルジェット法に比べると比較的容易に制
御できるが、反応前後での過飽和度の変化や混合滞留に
よる不均一をなくすのには限界があり、十分とは言えな
い。
【0006】一方、特開平2−44335号では、反応
前室を設け、高速攪拌下に、溶質源粒子となる超ハロゲ
ン化銀微粒子を作成し、この溶質源粒子を反応器に導入
する方法が開示されている。しかし、この方法では、攪
拌を施すのに必要な最小限のスペースと反応前室から反
応器の有効攪拌域へ溶質源粒子を導くための配管を必要
とするため、溶質源粒子はその滞留時間中に自分自身の
成長等が起こってしまう。
【0007】また、特開平4−139441号におい
て、上記の問題を解決するために、銀塩溶液とハライド
溶液を各々別経路で渦状混合ノズルに導き直接混合反応
させる装置による製造方法が開示されている。しかしこ
の場合、乱流域を使用していないこともあって両反応液
の混合は未だに不均一であり、双晶比率としても不充分
である。また、粒径/粒径分布や写真性能についてはま
ったく触れられていない。
【0008】また、特開平4−182636号で開示さ
れている2重構造の同軸ノズルや、特開平4−1394
39号で開示されている多重同軸ノズルは、成長用の溶
質源としてのハロゲン化銀微粒子形成を目的としたもの
で本発明と異なる。
【0009】また、特開平8−171156号におい
て、高速乱流の反応ゾーンに可溶性銀塩溶液及び可溶性
ハロゲン化物溶液を同時に導入することにより、規模変
更性及び移行性を改良したハロゲン化銀乳剤の製造方法
について開示されている。しかし、これも混合ヘッドを
用いた攪拌方式であり、溶質源粒子はその滞留時間中に
自分自身の成長等が起こってしまう。
【0010】該粒子特性を粒子形成時の分散媒を変える
ことにより改良することも試みられてきている。例えば
Kelly〔Journal of Photogra
phic Science,6巻,16〜22(195
8年)〕は種々の条件で酸化された酸化処理ゼラチンと
を含む水溶液中にAgNO水溶液を添加し、Ag
Brl平板粒子を形成している。H等で酸化され
た酸化処理ゼラチンの使用はSheppardや、他の
多くの著者にって記述されている。その詳細は英国特許
第245456号、フランス特許768015号、Ge
lationin Photography−Mono
graphs on the Theory of P
hotography from the Resea
rchLaboratory of the East
man Kodak Co.No.3.D.Van N
ostrand Co.,New Yorkに記載され
ている。また、核酸化により、メチオニン基がメチオニ
ンスルフォキシドに変化することが確認されており、J
ournal of Photographic Sc
ience,16巻,68〜69(1968年)に記載
されている。
【0011】また、厚さ0.2μm以下の平板粒子を
(メチオニン含率<30μmmol/g)の酸化処理ゼ
ラチン分散媒溶液中で製造する技術が知られている。例
えば特開昭62−157024号。該ゼラチンを用いて
平板粒子を製造すると、76℃以下の全ての温度におい
て非酸化ゼラチンに比べてより薄い平板粒子が形成され
る。しかし、粒子の厚さが薄くなるほど、生成粒子のサ
イズ分布が広くなることに変りはない。欧州特許第51
4742A号では該酸化ゼラチンとポリアルキレン化合
物の存在下で、主平面が{111}面のAgBr平板粒
子を形成し、該欠点を改良する方法が開示されている。
しかし、主平面形状が正六角形からいびつに歪んだ平板
粒子であり、かつ、感度、粒状性、カブリ濃度で満足す
べきものではなかった。その改良法として特開平7−2
8183号、特願平5−263128号、特開平8−8
2883号が開示されているが、感材をサーモ保存経時
した時の(感度/粒状度)の更なる改良やカブリ濃度の
更なる低下も求められている。また、これらの分散媒に
関する技術は全て従来のダブルジェット法を用いた粒子
形成を行っており、本来求められる均一な核の形成とい
う目的が達成されていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、投影
面積径の分布が単分散で、平板化率の高いハロゲン化銀
写真乳剤を安定に生産するハロゲン化銀写真乳剤の製造
方法及び装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、 1.分散媒の10〜100重量%がメチオニン含量3m
g/g以下のゼラチンを用い静的混合型外部混合機でハ
ロゲン化銀の核を発生させることを特徴とするハロゲン
化銀写真乳剤の製造方法、
【0014】2.分散媒の10〜100重量%がメロシ
ン含量10mg/g以下のゼラチンを用い静的混合型外
部混合機でハロゲン化銀の核を発生させることを特徴と
するハロゲン化銀写真乳剤の製造方法、
【0015】3.分散媒の平均分子量が20,000〜
99,000のゼラチンを用い静的混合型外部混合機で
ハロゲン化銀の核を発生させることを特徴とするハロゲ
ン化銀写真乳剤の製造方法、
【0016】4.分散媒の平均分子量が20,000〜
99,000のゼラチンを用い静的混合同一点集結型外
部混合機でハロゲン化銀の核を発生させることを特徴と
するハロゲン化銀写真乳剤の製造方法、
【0017】5.分散媒の10〜100重量%がメチオ
ニン含量3mg/g以下でかつチロシン含量10mg/
g以下でかつ平均分子量20,000〜99,000の
ゼラチンを用い静的混合型外部混合機でハロゲン化銀の
核を発生させることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤
の製造方法、
【0018】6.上記1〜5のいずれかに記載のハロゲ
ン化銀写真乳剤の製造方法を実施する構成を有すること
を特徴とするハロゲン化銀写真乳剤の製造装置、の各々
により達成された。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。通常の混合釜を用いた攪拌装置の場合、発生した核
が循環して戻ってくるため、核発生時間中に均一な状態
で核を生成することができないのに対し、本発明ではそ
れを可能にしている。本発明を実施するための装置の概
念図を図1から図4で説明する。
【0020】例えば、図1の場合、Y字型のパイプのう
ち、可溶性銀塩溶液を入口1より、ハロゲン化物溶液を
入口2より、別々の管より導く。核反応液が衝突・混合
して核が形成された後、直ちに反応生成物出口3より放
出される。
【0021】この出口3より放出された核は熟成・成長
用容器4に移動し、分散液は、攪拌翼5により攪拌さ
れ、熟成及び成長する。成長は、熟成・成長用容器4に
通常のダブルジェット法により、可溶性銀塩溶液及びハ
ロゲン化物溶液を導入することにより行われ、本発明の
ハロゲン化銀粒子が生成される。本発明における外部混
合装置とは上に述べたように、通常の混合釜の外部に設
置された可溶性銀塩溶液及びハロゲン化物溶液を混合す
る装置のことを言う。また、本発明における静的混合装
置とは混合装置の内部に動的な攪拌機構を持たない物を
言う。
【0022】本発明における同一点集結型装置とは全て
の供給管及び生成した核を排出する管の軸が全て同一の
点で集結する装置を言う。例えば、図1のようなT字型
や図2のようなY字型でもよいが、図3及び図4のよう
な可溶性銀塩溶液及びハロゲン化物溶液を導入するノズ
ルの数が複数本又は複数本ずつ存在する方が好ましい。
図3において(a)図は縦断面図であり、(b)図は
(a)図のA−A′線断面図であり、同図において、2
1は溶液導入路、22は溶液供給管を示す。図6におい
て、6は可溶性銀塩溶液とハロゲン化物溶液との混合
部、11は溶液導入路、12は溶液供給管を示し、21
及び22は図4と同義である。また、複数のハロゲン溶
液を用いたり、ハロゲン化銀溶剤や成長抑制剤、分光増
感色素等を同時混合する目的で3種以上の溶液を混合し
ても良い。
【0023】可溶性銀塩としては、硝酸銀、過塩素酸銀
等が用いられるが、特に硝酸銀が好ましい。可溶性のハ
ロゲン化物としては塩化物、臭化物、沃化物等のアルカ
リ金属塩やアンモニウム塩等が好ましく用いられる。ま
た、溶媒としては、水が好ましい。
【0024】本発明に用いられる可溶性のハロゲン化物
や銀塩溶液等の一部又は全てにゼラチンや水溶性ポリマ
ー等の保恒剤や、界面活性剤を加えることができる。ハ
ロゲン化物溶液にゼラチンや水溶性ポリマー等の保恒剤
や、界面活性剤を加えることが好ましく、可溶性銀塩溶
液及びハロゲン化物溶液の両方にゼラチンや水溶性ポリ
マー等の保恒剤や、界面活性剤を加えることが特に好ま
しい。
【0025】また、酸性法、中性法、アンモニア法のい
ずれを用いて粒子形成を行ってもよい。
【0026】本発明において、反応装置内の混合は、逆
流を防いだり、より均一に混合させる意味で、実質的に
乱流であることが好ましい。乱流とは、Reynold
s数(以下Re数、Re)により定義される。ここで、
Re数とは、流れの中にある物体の代表的な長さをD、
速度をU、密度をρ、粘性率をηとすると、以下の無次
元数によって定義される。 Re=DUρ/η 一般に、Re<2300の時を層流、2300<Re<
3000を遷移域、Re>3000の時を乱流という。
本発明において、実質的に乱流とは、Re>3000を
さし、好ましくはRe>5000、より好ましくはRe
>10000である。
【0027】ハロゲン化銀乳剤製造の最初期にハロゲン
化銀の核を発生させる際、硝酸銀溶液とハロゲン化アル
カリ溶液を混合させるが、このときの硝酸銀溶液とハロ
ゲン化アルカリ溶液の流量のわずかなずれで過飽和度が
大きく変動し発生する核の個数・双晶枚数分布等が変動
する原因となってしまう。このことより最終的な乳剤粒
子径・分布・アスペクト比等が変動することとなってし
まう。そのため、この反応初期の非定常な核を除去する
ことが好ましい。このことより、より安定な核発生が可
能となり、ロット間で安定なハロゲン化銀乳剤の製造が
可能となる。
【0028】混合機を用いて核を発生させた場合、発生
した核の銀電位を連続的に測定し、その変動が2.0m
V以下に収まった時点以降の核を使用することが好まし
い。さらに好ましくは、発生した核の銀電位の変動が
1.0mV以下に収まった時点以降の核を使用する。最
も好ましくは、発生した核の銀電位の変動が0.5mV
以下に収まった時点以降の核を使用する。
【0029】硝酸銀水溶液とハロゲン化アルカリ溶液を
混合しハロゲン化銀の核を発生させた時点における銀量
は、粒子の単分散性に大きな影響を与える。そのため、
硝酸銀溶液とハロゲン化アルカリ溶液を混合しハロゲン
化銀の核を発生させた時点における銀量が0.01mo
l Ag/リットル以下であることが好ましく、硝酸銀
溶液とハロゲン化アルカリ溶液を混合しハロゲン化の核
を発生させた時点における銀量が0.008mol A
g/リットル以下であることが特に好ましく、硝酸銀溶
液とハロゲン化アルカリ溶液を混合しハロゲン化の核を
発生させた時点における銀量が0.005mol Ag
/リットル以下であることが最も好ましい。
【0030】本発明において、硝酸銀溶液とハロゲン化
アルカリ溶液を混合しハロゲン化銀の核を発生させる場
合に用いるポンプは、脈動流がないことが好ましい。ポ
ンプの脈動が大きい場合、硝酸銀溶液とハロゲン化アル
カリ溶液の両液が混合する部分の過飽和度は周期的に大
きく変動し、それにより発生した核は不均一なものとな
ってしまう。これは、非平行多重双晶粒子等の発生の原
因となり、製造される粒子の単分散性を著しく損なうも
のとなる。このため、使用するポンプの脈動流が平均流
量の2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下
であることが更に好ましく、0.5%以下であることが
特に好ましい。
【0031】また、核生成時のpHとしては、1〜7が
好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が更に好まし
い。また、pBrとしては、2.5以下が好ましく、
2.3以下が更に好ましい。
【0032】本発明によって得られるハロゲン化銀の核
のハライド組成は、沃化銀、沃臭化銀、臭化銀、塩臭化
銀、塩沃化銀、塩沃臭化銀のいずれでも良いが、臭化銀
が好ましい。
【0033】こうして得られたハロゲン化銀の核は以下
の熟成工程、成長工程を経て必要な大きさまで成長を行
うことができる。
【0034】[熟成工程]ハロゲン化銀核形成工程では
微小な平板粒子が形成されるが、同時に多数のそれ以外
のハロゲン化銀微粒子(特に8面体及び一重双晶粒子)
が形成される。次に述べる成長工程に入る前に平板粒子
核以外の粒子を消滅せしめ、平板状粒子となるべき形状
でかつ単分散性のよい種晶を得ることが好ましい。これ
を可能にする方法として上記工程に続いてオストワルド
熟成を行う方法が知られている。また、熟成時に熟成を
促進するためにAgX溶剤を共存させることができる。
ハロゲン化銀溶剤としては、チオシアン酸塩、アンモニ
ア、アンモニウム塩、チオエーテル、チオ尿素類などを
挙げることができる。AgX溶剤の濃度は、10−4
ol/リットル以上が好ましく、10−3mol/リッ
トル以上がより好ましく、更に好ましくは10−2mo
l/リットル以上である。
【0035】[成長工程]熟成後のハロゲン化銀乳剤に
新たに可溶性銀塩溶液及び可溶性ハロゲン化物溶液を供
給することにより、平板状ハロゲン化銀粒子を得ること
ができる。本発明における平板状ハロゲン化銀粒子と
は、粒子内に1つ又は互いに平行な2つ以上の双晶面を
有するものである。但し、本発明の主たる特徴である粒
子間のサイズ分布のばらつきを小さくするために、平行
な2つの双晶面を有する粒子であることが好ましい。
【0036】本発明においてアスペクト比とは、粒子の
直径と厚さの比(アスペクト比=直径/厚さ)をいう。
粒子の直径とは、平板状粒子の表面を形成する平面の中
で最も広い面積を有する面(主平面とも称する)に対し
て垂直にその粒子を投影した場合の面積に等しい円の直
径(投影面積直径とも称する)で表される。粒子の厚さ
とは、主平面に垂直な方向での粒子の厚さであり、一般
に2つの主平面間の距離に一致する。
【0037】本発明において、粒子の直径と厚さは以下
の方法で求められる。支持体上に内部標準となる粒径既
知のラテックスボールと主平面が平行に配向するように
ハロゲン化銀粒子を塗布した試料を作成し、ある角度か
らカーボン蒸着法によりシャドーイングを施した後、通
常のレプリカ法によってレプリカ試料を作成する。同試
料の電子顕微鏡写真を撮影し、画像処理装置等を用いて
個々の粒子の投影面積直径と厚さを求める。この場合、
粒子の厚さは、内部標準と粒子の影(シャドー)の長さ
から算出することができる。また投影面積直径(以下、
円相当径)とは、粒子の表面を形成する平面の中でも最
も広い面積を有する面(主平面とも称する)に対して垂
直にその粒子を投影した場合の面積に等しい面積を有す
る円の直径(投影面積直径とも称する)のことをさす。
更に、平均アスペクト比とは、乳剤中に含まれるハロゲ
ン化銀粒子のアスペクト比を任意に500個以上観察す
ることにより算出することができる。本発明のハロゲン
化銀乳剤においては、平均アスペクト比が5以上である
ことが好ましく、7以上であることが更に好ましい。
【0038】本発明のハロゲン化銀微粒子において、実
質的に単分散とは、円相当径の変動係数が20%以下で
あることを示している。ここで円相当径の変動係数と
は、下式によって定義される値である。(円相当径の標
準偏差/円相当径の平均値)×100=変動係数[%]
なお、円相当径の変動係数としては、15%以下が好ま
しく、より好ましくは10%以下、更に好ましくは5%
以下である。
【0039】本発明におけるハロゲン化銀粒子の組成と
しては、沃臭化銀、塩沃臭化銀であることが好ましく、
沃臭化銀がより好ましい。また、本発明に係るハロゲン
化銀乳剤の平均沃化銀含有率は10モル%以下である
が、8モル%以下がより好ましく、5モル%以下が更に
好ましい。ハロゲン化銀粒子の組成は、EPMA法、X
線回折法等の組成分析法を用いて調べることができる。
【0040】また、本発明のハロゲン化銀乳剤において
は、ハロゲン化銀粒子間の沃化銀含有率が均一であるこ
とが好ましい。即ち、該ハロゲン化銀乳剤における沃化
銀含有率の変動係数が30%以下であることが好まし
く、更には20%以下である場合がより好ましい。但
し、ここでいう変動係数とは沃化銀含有率の標準偏差を
沃化銀含有率の平均値で割ったものに100を乗じた値
であり、ハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子
を任意に500個以上選び計算された値をいう。
【0041】本発明のハロゲン化銀乳剤は、その内部に
転位線を有することが好ましい。転位線が存在する位置
について特別な限定はないが、平板状ハロゲン化銀粒子
の外周部近傍や稜線近傍、又は頂点近傍に存在すること
が好ましい。粒子全体における転位導入の位置関係でい
えば、粒子全体の銀量の50%以降に導入されることが
好ましく、60%以上85%未満の間で導入されること
が更に好ましい。転位線の数については、5本以上の転
位線を含む粒子が30%以上(個数)であることが好ま
しいが、50%以上であることがより好ましく、80%
以上であることが更に好ましい。また、それぞれの場合
において転位線の数は10本以上存在することが特に望
ましい。
【0042】ハロゲン化銀粒子が有する転位線は、例え
ばJ.F.Hamilton,Photo.Sci.E
ng.11(1967)57や、T.Shiozaw
a,J.Soc.Phot.Sci.Japan,35
(1972)213Sに記載の、低温での透過型電子顕
微鏡を用いた直接的な方法により観察できる。即ち、乳
剤から粒子に転移が発生するほどの圧力をかけないよう
に注意して取り出したハロゲン化銀粒子を、電子顕微鏡
用のメッシュに乗せ、電子線による損傷(プリントアウ
トなど)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法によ
り観察を行う。このとき粒子の厚みが厚いほど電子線が
透過しにくくなるので、高圧型の電子顕微鏡を用いた方
がより鮮明に観察することができる。このような方法に
よって得られた粒子写真から、個々の粒子における転位
線の位置及び数を求めることができる。
【0043】ハロゲン化銀粒子間及び粒子内部における
沃化銀含有率をより精密に制御するために、ハロゲン化
銀粒子の沃化銀含有相形成の少なくとも一部が、該ハロ
ゲン化銀粒子よりも溶解度の小さいハロゲン化銀粒子の
存在下に行われることが望ましく、溶解度の小さいハロ
ゲン化銀粒子としては沃化銀を用いることが特に望まし
い。また、同様の理由から、ハロゲン化銀粒子の沃化銀
含有相形成の少なくとも一部を、1種類以上のハロゲン
化銀微粒子のみを供給することによって形成する方法も
好ましい。
【0044】ハロゲン化銀粒子への転位線の導入法に関
しては特に限定はなく、例えば、沃化カリウムのような
沃素イオン水溶液と水溶性銀塩溶液をダブルジェットで
添加する方法、もしくは沃化銀微粒子を添加する方法、
沃素イオン溶液のみを添加する方法、特開平6−117
81号に記載されているような沃化物イオン放出剤を用
いる方法等の、公知の方法を使用して所望の位置で転位
線の起源となる転移を形成することができる。これらの
方法の中では、沃素イオン水溶液と水溶性銀塩溶液をダ
ブルジェットで添加する方法や沃化銀微粒子を添加する
方法、沃化物イオン放出剤を用いる方法が好ましい。本
発明に係るハロゲン化銀粒子は、酸性法、中性法、アン
モニア法のいずれで得られたものでも良い。
【0045】本発明に係るハロゲン化銀粒子は、粒子を
形成する過程及び/又は成長させる過程で、カドミウム
塩、亜鉛塩、鉛塩、タリウム塩、イリジウム塩(錯塩を
含む)、インジウム塩、ロジウム塩(錯塩を含む)、鉄
塩(錯塩を含む)から選ばれる少なくとも1種を用いて
金属イオンを添加し、粒子内部及び/又は粒子表面にこ
れらの金属元素を含有させることができ、また適当な還
元雰囲気におくことにより、粒子内部及び/又は粒子表
面に還元増感核を付与できる。本発明に係るハロゲン化
銀粒子は、ハロゲン化銀粒子の成長終了後に、不要な可
溶性塩類を除去したものであってもよいし、あるいは含
有させたままのものでもよい。
【0046】また、特開昭60−138538号記載の
方法のように、ハロゲン化銀成長の任意の点で脱塩を行
うことも可能である。該塩類を除去する場合には、リサ
ーチ・ディスクロージャー(Research Dis
closure,以下RDと略す)17643号II項
に記載の方法に基づいて行うことができる。更に詳しく
は、沈澱形成後、あるいは物理熟成後の乳剤から可溶性
塩を除去するためには、ゼラチンをゲル化させて行うヌ
ーデル水洗法を用いてもよく、また無機塩類、アニオン
性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えばポリスチレ
ンスルホン酸)、あるいはゼラチン誘導体(例えばアシ
ル化ゼラチン、カルバモイル化ゼラチン等)を利用した
沈澱法(フロキュレーション)を用いても良い。
【0047】本発明に係るハロゲン化銀粒子は、分散媒
の存在下、即ち分散媒を含む溶液中で製造される。ここ
で、分散媒を含む水溶液とは、ゼラチンその他の親水性
コロイドを構成し得る物質(バインダーとなり得る物質
等)により保護コロイドが水溶液中に形成されているも
のをいい、好ましくはコロイド状の保護ゼラチンを含有
する水溶液である。
【0048】ゼラチンの処理に関しては後述の文献、特
開平4−226449号、特開昭50−3329号、米
国特許第2,525,753号、同2,614,928
号、同2,614,929号、同2,763,639
号、同2,594,293号、同3,132,945
号、安孫子義弘編「にかわとゼラチン」第II章,日本
にかわ・ゼラチン工業組合(1987年)、Wardら
編「The Science and Technol
ogy of Gelatin」第7章,Academ
ic Press(1977)の記載を参考にすること
ができる。該ゼラチンのメチオニン含率、チロシン含率
は、ゼラチンをアルカリ加水分解法で完全にアミノ酸に
分解し、アミノ酸分析計で分析し求めることにより求め
ることができる。詳細は特開平6−102485号の記
載を参考にすることができる。
【0049】該ゼラチンのメチオニン含率、チロシン含
率は、ゼラチン水溶液に酸化剤を添加し、メチオニンの
−s−基をスルフォキシド、スルフィネート、スルフォ
ンの1つ以上に酸化することにより調節することができ
る。好ましくはスルフォキシドに酸化する。即ち、本発
明ではメチオニンの該酸化体はメチオニンと見なされな
い。核酸化のレベルは主としては添加する酸化剤の種類
とその添加量により調節することができる。該水溶液の
温度は、10〜70℃が好ましく、25〜50℃がより
好ましい。pH2〜9が好ましく、3〜7がより好まし
い。通常、温度、pHを一定に調節したゼラチン水溶液
中に酸化剤を添加し、均一混合化する。次に、容器にフ
タをし、恒温、静置し、好ましくは15分間〜3日間、
より好ましくは1〜24時間、経時する。酸化剤に関し
ては特願平6−102485号の記載を参考にすること
ができる。通常はHを好ましく用いることができ
る。核形成に用いるゼラチン1g中のメチオニン含量は
3mg以下が好ましく、1mg以下が更に好ましく、
0.1mg以下が最も好ましい。また、核形成に用いる
ゼラチン1g中のチロシン含量は10mg以下が好まし
く、5mg以下が更に好ましく、0.1mg以下が最も
好ましい。
【0050】本発明で用いられる低分子量ゼラチンは、
一般のゼラチンを、ゼラチン分解酵素により酵素分解す
る方法、加水分解する方法、超音波照射により架橋を切
断する方法等により得ることができる。一般に用いられ
ているゼラチンの他、変性ゼラチンから作成してもよ
い。ゼラチンの分子量分布及び平均分子量は一般的な方
法、例えば、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)法
等で求めることができる。核形成に用いるゼラチンの平
均分子量は、20,000〜99,000が好ましく、
40,000〜99,000がさらに好ましく、70,
000〜90,000が最も好ましい。
【0051】本発明を実施する際、分散媒として上記ゼ
ラチンを用いる以外、ゼラチンは石灰処理されたもので
も、酸を使用して処理されたものでもどちらでもよい。
ゼラチンの製法の詳細はアーサー・グアイス著、ザ・マ
クロモレキュラー・ケミストリー・オブ・ゼラチン(ア
カデミック・プレス、1964年発行)に記載がある。
【0052】保護コロイドとして用いることができるゼ
ラチン以外の親水性コロイドとしては、例えば、ゼラチ
ン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマ
ー、アルブミン、カゼイン等の蛋白質;ヒドロキシエチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロー
ス硫酸エステル類等の如きセルロース誘導体、アルギン
酸ソーダ、澱粉誘導体等の糖誘導体;ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N
−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル
酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポ
リビニルピラゾール等の単一或いは共重合体の如き多種
の合成親水性高分子物質がある。
【0053】本発明に係るハロゲン化銀粒子は、常法に
より化学増感することができる。すなわち、硫黄増感、
セレン増感、還元増感法、金その他の貴金属化合物を用
いる貴金属増感法等を単独で又は組み合わせて用いるこ
とができる。
【0054】本発明に係るハロゲン化銀粒子は、写真業
界において増感色素として知られている色素を用いて所
望の波長域に光学的に増感できる。増感色素は、単独で
用いてもよいが、2種類以上を組み合わせて用いてもよ
い。増感色素と共にそれ自身分光増感作用を持たない色
素、或いは可視光を実質的に吸収しない化合物であっ
て、増感色素の増感作用を強める強色増感剤を乳剤中に
含有させてもよい。
【0055】本発明に係るハロゲン化銀粒子には、カブ
リ防止剤、安定剤等を加えることができる。バインダー
としては、ゼラチンを用いるのが有利である。乳剤層、
その他の親水性コロイド層は硬膜することができ、ま
た、可塑剤、水不溶性又は可溶性合成ポリマーの分散物
(ラテックス)を含有させることができる。
【0056】カラー感光材料の乳剤層にはカプラーが用
いられる。さらには色補正の効果を有している競合カプ
ラー及び現像主薬の酸化体とのカップリングによって現
像促進剤、現像剤、ハロゲン化銀溶剤、調色剤、硬膜
剤、カブリ剤、カブリ防止剤、化学増感剤、分光増感剤
及び減感剤のような写真的に有用なフラグメントを放出
する化合物を用いることができる。
【0057】感光材料には、フィルター層、ハレーショ
ン防止層、イラジュエーション防止層等の補助層を設け
ることができる。これらの層中及び/又は乳剤層中には
現像処理中に感光材料から流出するか、もしくは漂白さ
れる染料が含有されてもよい。感光材料には、マット
剤、滑剤、画像安定剤、ホルマリンスカベンジャー、紫
外線吸収剤、蛍光増白剤、界面活性剤、現像促進剤や現
像遅延剤を添加できる。
【0058】支持体としては、ポリエチレン等をラミネ
ートした紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、バ
ライタ紙、三酢酸セルロース等を用いることができる。
【0059】
【実施例】以下、実施例によって本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。 <乳剤1の調製> [核生成]下記のS−201及びX−201を、図2の
ような核生成装置(硝酸銀液、ハライド溶液導入口、ハ
ロゲン化銀吐出口、各々の内径1mm)を通じて、各々
600ml/minの一定流量で全量添加し核生成を行
った。 (S−201) 硝酸銀 5.043g 1/10濃硫酸 3.90ml HO 670.87ml (X−201) ゼラチン1(平均分子量105,000、ゼラチン1g中のメチオニン含量5 0mg、ゼラチン1g中のチロシン含量15mg) 3.24g 臭化カリウム 3.533g 1/10濃硫酸 3.90ml HO 668.35ml
【0060】[熟成工程]上記添加終了後にG−101
液を加えた後、30分間を要して60℃に昇温し、その
状態で20分間保持した。続いて、アンモニア水溶液を
加えてpHを9.3に調整し、さらに7分間保持した
後、1Nの硝酸水溶液を用いてpHを5.8に調整し
た。この間、溶液の銀電位(飽和銀−塩化銀電極を比較
電極として銀イオン選択電極で測定)を1Nの臭化カリ
ウム溶液を用いて6mVに制御した。 (G−101) アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 1.391g 下記[化合物A]の10重量%メタノール溶液 0.464ml HO 326.6ml
【0061】[化合物A」 HO(CHCHO)[CH(CH)CHO]
19.8(CHCHO)H (m+n=9.77)
【0062】[成長]熟成終了後、ダブルジェット法を
用いて1.25Nの硝酸銀溶液と1.25Nの臭化カリ
ウム溶液を流量を加速しながら添加した。この際、最終
粒径が立方体換算径0.65μmになるように硝酸銀溶
液と臭化カリウム溶液の添加量を調節した。上記成長終
了後に常法に従い脱塩・水洗処理を施し、ゼラチンを加
えてよく分散し、40℃にてpHを5.8、pAgを
8.1に調整した。かくして得られた乳剤を乳剤1とす
る。
【0063】<乳剤2の調製>核形成時に使用するゼラ
チンを、ゼラチン2(平均分子量104,000、ゼラ
チン1g中のメチオニン含量10mg、ゼラチン1g中
のチロシン含量12mg)にした以外は乳剤1と同様に
調製を行った。かくして得られた乳剤を乳剤2とする。
【0064】<乳剤3の調製>核形成時に使用するゼラ
チンを、ゼラチン3(平均分子量87,000、ゼラチ
ン1g中のメチオニン含量50mg、ゼラチン1g中の
チロシン含量15mg)にした以外は乳剤1と同様に調
製を行った。かくして得られた乳剤を乳剤3とする。
【0065】<乳剤4の調製>核形成時に使用するゼラ
チンを、ゼラチン4(平均分子量72,000、ゼラチ
ン1g中のメチオニン含量50mg、ゼラチン1g中の
チロシン含量15mg)にした以外は乳剤1と同様に調
製を行った。かくして得られた乳剤を乳剤4とする。
【0066】<乳剤5の調製>核形成時に使用するゼラ
チンを、ゼラチン5(平均分子量45,000、ゼラチ
ン1g中のメチオニン含量50mg、ゼラチン1g中の
チロシン含量15mg)にした以外は乳剤1と同様に調
製を行った。かくして得られた乳剤を乳剤5とする。
【0067】<乳剤6の調製>核形成時に使用するゼラ
チンを、ゼラチン6(平均分子量103,000、ゼラ
チン1g中のメチオニン含量2.9mg、ゼラチン1g
中のチロシン含量9.5mg)にした以外は乳剤1と同
様に調製を行った。かくして得られた乳剤を乳剤6とす
る。
【0068】<乳剤7の調製>核形成時に使用するゼラ
チンを、ゼラチン7(平均分子量80,000、ゼラチ
ン1g中のメチオニン含量0.9mg、ゼラチン1g中
のチロシン含量7.7mg)にした以外は乳剤1と同様
に調製を行った。かくして得られた乳剤を乳剤7とす
る。
【0069】<乳剤8の調製>核形成時に使用するゼラ
チンを、ゼラチン8(平均分子量45,000、ゼラチ
ン1g中のメチオニン含量0.1mg、ゼラチン1g中
のチロシン含量0.1mg)にした以外は乳剤1と同様
に調製を行った。かくして得られた乳剤を乳剤8とす
る。
【0070】[感度/カブリの測定方法][粒状の測定
方法] 乳剤1〜乳剤8に、金−硫黄増感を最適に施し、これら
の乳剤を用いてトリアセチルセルロースフィルム支持体
上に下記に示すような組成の各層を順次支持体側から形
成して、多層カラー写真感光材料を作成した。以下の全
ての記載において、ハロゲン化銀写真感光材料中の添加
量は特に記載のない限り1m当たりのグラム数を示
す。また、ハロゲン化銀及びコロイド銀は、銀に換算し
て示し、増感色素はハロゲン化銀1モル当たりのモル数
で示した。
【0071】多層カラー写真感光材料試料101(本発
明の乳剤1を使用)の構成は以下の通りである。
【0072】 試料101 第1層:ハレーション防止層 黒色コロイド銀 0.16 紫外線吸収剤(UV−1) 0.20 高沸点溶媒(OIL−1) 0.16 ゼラチン 1.60
【0073】 第2層:中間層 化合物(SC−1) 0.14 高沸点溶媒(OIL−2) 0.17 ゼラチン 0.80
【0074】 第3層:低感度赤感性層 沃臭化銀乳剤A 0.15 沃臭化銀乳剤B 0.35 増感色素(SD−1) 2.0×10−4 増感色素(SD−2) 1.4×10−4 増感色素(SD−3) 1.4×10−5 増感色素(SD−4) 0.7×10−4 シアンカプラー(C−1) 0.53 カラードシアンカプラー(CC−1) 0.04 DIR化合物(D−1) 0.025 高沸点溶媒(OIL−3) 0.48 ゼラチン 1.09
【0075】 第4層:中感度赤感性層 沃臭化銀乳剤B 0.30 沃臭化銀乳剤C 0.34 増感色素(SD−1) 1.7×10−4 増感色素(SD−2) 0.86×10−4 増感色素(SD−3) 1.15×10−5 増感色素(SD−4) 0.86×10−4 シアンカプラー(C−1) 0.33 カラードシアンカプラー(CC−1) 0.013 DIR化合物(D−1) 0.02 高沸点溶媒(OIL−1) 0.16 ゼラチン 0.79
【0076】 第5層:高感度赤感性層 沃臭化銀乳剤D 0.95 増感色素(SD−1) 1.0×10−4 増感色素(SD−2) 1.0×10−4 増感色素(SD−3) 1.2×10−5 シアンカプラー(C−2) 0.14 カラードシアンカプラー(CC−1) 0.016 高沸点溶媒(OIL−1) 0.16 ゼラチン 0.79
【0077】 第6層:中間層 化合物(SC−1) 0.09 高沸点溶媒(OIL−2) 0.11 ゼラチン 0.80
【0078】 第7層:低感度緑感性層 沃臭化銀乳剤A 0.12 沃臭化銀乳剤B 0.38 増感色素(SD−4) 4.6×10−5 増感色素(SD−5) 4.1×10−4 マゼンタカプラー(M−1) 0.14 マゼンタカプラー(M−2) 0.14 カラードマゼンタカプラー(CM−1) 0.06 高沸点溶媒(OIL−4) 0.34 ゼラチン 0.70
【0079】 第8層:中間層 ゼラチン 0.41
【0080】 第9層:中感度緑感性層 沃臭化銀乳剤B 0.30 沃臭化銀乳剤C 0.34 増感色素(SD−6) 1.2×10−4 増感色素(SD−7) 1.2×10−4 増感色素(SD−8) 1.2×10−4 マゼンタカプラー(M−1) 0.04 マゼンタカプラー(M−2) 0.04 カラードマゼンタカプラー(CM−1) 0.017 DIR化合物(D−2) 0.025 DIR化合物(D−3) 0.002 高沸点溶媒(OIL−4) 0.12 ゼラチン 0.50
【0081】 第10層:高感度緑感性層 沃臭化銀乳剤D 0.95 増感色素(SD−6) 7.1×10−5 増感色素(SD−7) 7.1×10−5 増感色素(SD−8) 7.1×10−5 マゼンタカプラー(M−1) 0.09 カラードマゼンタカプラー(CM−1) 0.011 高沸点溶媒(OIL−4) 0.11 ゼラチン 0.79
【0082】 第11層:イエローフィルター層 黄色コロイド銀 0.08 化合物(SC−1) 0.15 高沸点溶媒(OIL−2) 0.19 ゼラチン 1.10
【0083】 第12層:低感度青感性層 沃臭化銀乳剤A 0.12 沃臭化銀乳剤B 0.24 沃臭化銀乳剤C 0.12 増感色素(SD−9) 6.3×10−5 増感色素(SD−10) 1.0×10−4 イエローカプラー(Y−1) 0.50 イエローカプラー(Y−2) 0.50 DIR化合物(D−4) 0.04 DIR化合物(D−5) 0.02 高沸点溶媒(OIL−2) 0.42 ゼラチン 1.40
【0084】 第13層:高感度青感性層 沃臭化銀乳剤C 0.15 沃臭化銀乳剤E 0.80 増感色素(SD−9) 8.0×10−5 増感色素(SD−11) 3.1×10−5 イエローカプラー(Y−1) 0.12 高沸点溶媒(OIL−2) 0.05 ゼラチン 0.79
【0085】 第14層:第1保護層 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.08μm、沃化銀含有率1.0モル%) 0.40 紫外線吸収剤(UV−1) 0.065 高沸点溶媒(OIL−1) 0.07 高沸点溶媒(OIL−3) 0.07 ゼラチン 0.65
【0086】 第15層:第2保護層 アルカリ可溶性マット剤(平均粒径2μm) 0.15 ポリメチルメタクリレート(平均粒径3μm) 0.04 滑り剤(WAX−1) 0.04 ゼラチン 0.55
【0087】尚上記組成物の他に、塗布助剤Su−1、
分散助剤Su−2、粘度調整剤、硬膜剤H−1、H−
2、安定剤ST−1、かぶり防止剤AF−1、平均分子
量:10,000及び平均分子量:1,100,000
の2種のAF−2及び防腐剤DI−1を添加した。
【0088】乳剤2〜乳剤8についても、表1に示す通
り、試料101の乳剤1に変えてこれらの各乳剤を用い
ることにより、同様に多層カラー写真感光材料試料10
2〜108を作成した。
【0089】即ち、上記試料に用いた乳剤は、下記のと
おりである。尚平均粒径は、立方体に換算した粒径で示
した。また、各乳剤は、金・硫黄増感を最適に施した。
【0090】
【表1】
【0091】試料はマルチスライドホッパー型コーター
にて、一回目は第1層から第8層までを、2回目はその
上に第9層から第16層までをそれぞれ同時に塗設し
た。試料101の銀塗布量は6.25g/m、乾燥膜
厚は18μmであり、特定写真感度は420であった。
【0092】
【化1】
【0093】
【化2】
【0094】
【化3】
【0095】
【化4】
【0096】
【化5】
【0097】
【化6】
【0098】
【化7】
【0099】
【化8】
【0100】
【化9】
【0101】
【化10】
【0102】
【化11】
【0103】得られた各試料について、緑色光(G)を
用いてセンシトメトリー用ウェッジ露光(1/20
0″)を施し、下記の処理工程に従って現像処理を行
い、相対感度、粒状性の評価を行った。 処理工程 1.発色現像 3分15秒 38.0±0.1℃ 2.漂白 6分30秒 38.0±3.0℃ 3.水洗 3分15秒 24〜41℃ 4.定着 6分30秒 38.0±3.0℃ 5.水洗 3分15秒 24〜41℃ 6.安定 3分15秒 38.0±3.0℃ 7.乾燥 50℃以下 各処理工程において使用した処理液組成は下記の通りで
ある。
【0104】 〈発色現像液〉 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリ ン・硫酸塩 4.75g 無水亜硫酸ナトリウム 4.25g ヒドロキシルアミン・1/2硫酸塩 2.0g 無水炭酸カリウム 37.5g 臭化ナトリウム 1.3g ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩(1水塩) 2.5g 水酸化カリウム 1.0g 水を加えて1リットルとし、pH=10.1に調整す
る。
【0105】 〈漂白液〉 エチレンジアミン四酢酸鉄アンモニウム塩 100.0g エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム塩 10.0g 臭化アンモニウム 150.0g 氷酢酸 10.0g 水を加えて1リットルとし、アンモニア水を用いてpH
=6.0に調整する。
【0106】 〈定着液〉 チオ硫酸アンモニウム 175.0g 無水亜硫酸ナトリウム 8.5g メタ亜硫酸ナトリウム 2.3g 水を加えて1リットルとし、酢酸を用いてpH=6.0
に調整する。
【0107】 〈安定液〉 ホルマリン(37%水溶液) 1.5ml コニダックス(コニカ社製) 7.5ml 水を加えて1リットルとする。
【0108】相対感度は、露光後1分以内にカラー現像
処理を開始し、Dmin(最小濃度)+0.15の濃度
を与える露光量の逆数の相対値として求め、試料101
の感度を100とする値で示した(100に対して、値
が大きい程、高感度であることを示す)。
【0109】粒状性は、Dmin+0.5の濃度を開口
走査面積250μmのマイクロデンシトメーターで走
査した時に生じる濃度値の変動の標準偏差(RMS値)
の相対値で示した。RMS値は小さい程粒状性がよく、
効果があることを示す。試料101のRMS値を100
とする値で示した(100に対して値が小さい程改良し
ていることを示す)。
【0110】圧力特性は、23℃/55%(相対湿度)
の条件下で、引掻強度試験器(新東科学社製)を用い、
先端の曲率半径が0.025mmの針に5gの荷重をか
けて一定速度で走査した後、露光、現像処理を行い、D
min及びDmin+0.4の濃度において、それぞれ
荷重がかけられた部分の濃度変化ΔD1(Dmin)及
びΔD2(Dmin+0.4)を求め、試料101のΔ
D1及びΔD2をそれぞれ100とする値で示した(そ
れぞれ100に対して値が小さい程改良していることを
示す)。結果を表2に示す。
【0111】
【表2】
【0112】表2に示す結果から明らかなように、本発
明の乳剤3〜8は円相当径変動係数が小さく単分散性に
優れている。又、乳剤3〜8を含む本発明の試料103
〜108は、感度/カブリ及び粒状性が改良されてい
る。これらの中でも、本発明の最良の組み合わせを満た
す乳剤8を用いた試料108が特に優れている。
【0113】
【発明の効果】本発明によれば、非常に単分散で高感
度、粒状性に優れたハロゲン化銀写真乳剤の製造方法及
び装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】核生成装置の一例を示す概念図
【図2】核生成装置の他の一例を示す概念図
【図3】核生成装置の反応液供給管及び反応生成物排出
管の構成の例を示す図
【図4】核生成装置の反応液供給管及び反応生成物排出
管の構成の他の例を示す図
【符号の説明】
1 可溶性銀塩溶液入口 2 ハロゲン化物溶液入口 3 反応生成物出口 4 熟成・成長用容器 5 攪拌翼 6 可溶性銀塩溶液とハロゲン化物溶液との混合部 11 溶液導入路 12 溶液供給管 21 溶液導入路 22 溶液供給管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 間宮 周雄 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式 会社内 Fターム(参考) 2H023 BA01 BA07 DB06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分散媒の10〜100重量%がメチオニン
    含量3mg/g以下のゼラチンを用い静的混合型外部混
    合機でハロゲン化銀の核を発生させることを特徴とする
    ハロゲン化銀写真乳剤の製造方法。
  2. 【請求項2】分散媒の10〜100重量%がメロシン含
    量10mg/g以下のゼラチンを用い静的混合型外部混
    合機でハロゲン化銀の核を発生させることを特徴とする
    ハロゲン化銀写真乳剤の製造方法。
  3. 【請求項3】分散媒の平均分子量が20,000〜9
    9,000のゼラチンを用い静的混合型外部混合機でハ
    ロゲン化銀の核を発生させることを特徴とするハロゲン
    化銀写真乳剤の製造方法。
  4. 【請求項4】分散媒の平均分子量が20,000〜9
    9,000のゼラチンを用い静的混合同一点集結型外部
    混合機でハロゲン化銀の核を発生させることを特徴とす
    るハロゲン化銀写真乳剤の製造方法。
  5. 【請求項5】分散媒の10〜100重量%がメチオニン
    含量3mg/g以下でかつチロシン含量10mg/g以
    下でかつ平均分子量20,000〜99,000のゼラ
    チンを用い静的混合型外部混合機でハロゲン化銀の核を
    発生させることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤の製
    造方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載のハロゲン
    化銀写真乳剤の製造方法を実施する構成を有することを
    特徴とするハロゲン化銀写真乳剤の製造装置。
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