JP2000072443A - リチウムマンガン系複合酸化物の製造方法およびその用途 - Google Patents

リチウムマンガン系複合酸化物の製造方法およびその用途

Info

Publication number
JP2000072443A
JP2000072443A JP10240686A JP24068698A JP2000072443A JP 2000072443 A JP2000072443 A JP 2000072443A JP 10240686 A JP10240686 A JP 10240686A JP 24068698 A JP24068698 A JP 24068698A JP 2000072443 A JP2000072443 A JP 2000072443A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lithium
manganese
composite oxide
compound
carbonate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Abandoned
Application number
JP10240686A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuo Yamada
哲夫 山田
Yoshizumi Tanaka
吉積 田中
Takeshi Suemasu
猛 末益
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
Priority to JP10240686A priority Critical patent/JP2000072443A/ja
Publication of JP2000072443A publication Critical patent/JP2000072443A/ja
Abandoned legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高い作動電圧で、かつ充放電サイクル安定性
に優れたリチウム二次電池を構成する電池正極用のリチ
ウム−マンガン系複合酸化物の製造方法の提供。 【解決手段】 リチウム化合物とマンガン化合物、また
はリチウム化合物、マンガン化合物および置換元素M
(Mは B,Mg,Al,Ca,Ti,V,Cr,F
e,Co,Ni,Cu,Zn,Ba,GaおよびTaか
ら選ばれる)の化合物を含有する溶媒中に二酸化炭素を
を吹き込み、炭酸リチウムを含有する炭酸塩を沈殿させ
た後、ロ過または蒸発乾固して得た固形物を焼成し結晶
性マンガン酸リチウムを合成する。炭素数2〜4のアル
コールと水との混合溶媒を用いることで、微細な炭酸塩
が析出する。ロ過または蒸発乾固して得られた固形物中
の Li2CO3/(LiOH+Li2CO3)モル比を0.
25〜0.75とすることで、充放電サイクル特性に優
れたものが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サイクル安定性に
優れたリチウム二次電池用正極活物質として使用される
新規なリチウム−マンガン系複合酸化物の製造方法およ
びその用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】マンガンとリチウムとの複合酸化物であ
るLiMnO2 、Li4 Mn5 12、LiMn2 4
どの化合物は、近年、LiCoO2に代わるリチウム二
次電池用の正極活物質として注目されている。リチウム
二次電池は、高出力、高エネルギー密度な電池として期
待され、更なる高性能化と低価格化を目指した研究開発
ならびに実用化試験が活発に行われている。
【0003】リチウム二次電池用の正極活物質には、作
動電圧が高く、高放電容量で、サイクル安定性の高いこ
とが求められている。既に実用化されているLiCoO
2 には高価なコバルトを使用するので原材料費が高いと
いう難点がある。この為、Liと各種金属、例えばN
i、Mn等の複合酸化物が検討されている。特にマンガ
ンは資源的に豊富で、低価格化が可能である。層状構造
のLiMnO2やスピネル構造のLi4 Mn5 12は高
容量の3V級リチウム二次電池の正極活物質として注目
されている。スピネル構造のLiMn2 4 は、4V付
近および3V付近に平坦部分のある二段放電を示すこと
が知られ、4V付近の作動領域で可逆的に充放電サイク
ルを繰り返すことができれば、高いエネルギーを取り出
せる正極活物質として有望であると考えられている。
【0004】しかしながら、LiMn2 4 には、充放
電を繰り返すと放電容量が著しく低下して、サイクル特
性に劣るという難点があった。従来のLiMn2 4
4.5V〜3.5Vの作動領域で繰り返し使用すると、
数10サイクルで、放電容量が初期の50%以下にまで
低下してしまっていた。この為、製造方法を工夫して、
より均質なLiMn2 4 を合成することにより、その
充放電サイクル特性を改善しようとする試みが、精力的
に行われている。従来、結晶性のリチウム‐マンガン系
複合酸化物はリチウム塩とマンガン塩、例えば硝酸リチ
ウムと二酸化マンガンや炭酸リチウムと二酸化マンガン
とを、所定のモル比で乾式混合した後、得られる混合粉
末を大気雰囲気中で焼成することにより製造されてき
た。しかしながら、固体―固体同士の乾式混合では、一
次粒子レベルでのミクロな均一混合は困難であり、不十
分な混合の結果として、粒子間で組成変動の無い均一な
リチウム‐マンガン系複合酸化物を製造することができ
なかった。このような従来のリチウム‐マンガン系複合
酸化物では、充分な充放電サイクル特性を示す正極活物
質を得ることは期待できない。
【0005】これに対して、特開平8−208231号
公報には、リチウム塩とマンガン塩を溶解させた混合水
溶液に炭酸ナトリウム水溶液を添加することにより沈殿
させたLi2CO3と Mn2CO3との共沈物を焼成する
ことによる結晶性スピネル型LiMn24の製造方法が
開示されている。しかしながら、炭酸ナトリウム水溶液
を添加して炭酸塩を沈殿させる方法では、副生する硝酸
ナトリウムなどのナトリウム化合物を除去する為に、生
成沈殿を大量の水で何回も洗浄−ロ過する操作を必要と
する。ところが、Li2CO3は0℃の水に1.54g/
100gの溶解度を有し、洗浄操作中にLi2CO3が溶
出して、共沈物のLi/Mn比が変化するという問題が
あった。Li/Mn比は、得られる結晶性スピネル型L
iMn24の充放電サイクル特性に影響する重要な因子
であり、これを精密に制御することは、高性能スピネル
型LiMn24の製造における基本的事項である。ま
た、ナトリウム化合物を除去する為の洗浄−ロ過操作に
は、多量の洗浄水と長時間の処理を必要とし、スピネル
型LiMn24製造のコストアップをもたらすという面
からも好ましくない。さらに、特開平10−15232
6号公報には、水又はアルコールの溶剤中或いは更にギ
酸のような有機酸の存在下にて、水酸化リチウム又は炭
酸リチウムと二酸化マンガンとを混合して、ゲル状混合
物とし、乾燥・焼成するリチウム−マンガン複合酸化物
の製造方法について提案されている。しかしながら、こ
の方法では、溶解−ゲル化過程において粗大なゲルが生
成するばかりでなく、ゲル化−乾燥過程で成分元素の分
離、偏析が起こり、単に、リチウム化合物と二酸化マン
ガンとをゲル状混合物として乾燥、焼成するだけでは、
高特性のスピネル型LiMn2 4を得ることはできな
い。乾燥時における成分元素の分離、偏析を防止する為
に、噴霧乾燥、マイクロ波乾燥などの特殊な乾燥方法を
採用してもなお、ミクロンオーダーの粒子レベルでリチ
ウム化合物とマンガン化合物が均一に混合された原料粉
末を得るには、試行錯誤的な条件検討を必要とする。ま
た、有機酸の使用は、乾燥物および加熱により生成する
スピネルLiMn2 4を嵩高くし、充填性が悪くなる
ので好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の欠点を解消し、リチウム化合物とマンガン化合物が粒
子レベルでミクロに均一混合された粉末を調整して焼成
することにより、異相や結晶欠陥の生成が無く、室温お
よび高温における充放電サイクル特性に優れた結晶性の
リチウム‐マンガン系複合酸化物を安定して製造する技
術を確立することにある。また、本発明の目的は、この
サイクル安定性の優れたリチウム電池用複合酸化物を正
極に用いることにより、高出力、高エネルギー密度なリ
チウム二次電池を提供することにある。
【0007】リチウム化合物とマンガン化合物を含有す
る原料粉末の調整方法としては、固体状のリチウム化合
物と固体状のマンガン化合物を混合する方法、液体状の
リチウム化合物と液体状のマンガン化合物を混合する方
法、気体状のリチウム化合物と気体状のマンガン化合物
を混合する方法などが考えられる。しかしながら、気体
状のリチウム化合物と気体状のマンガン化合物を反応さ
せる気相反応法は、反応装置が高価で、生産性は低く、
量産には適していない。液体状のリチウム化合物と液体
状のマンガン化合物を混合する噴霧熱分解法は液滴内部
の溶媒蒸発時に顆粒状物が嵩高い中空状物となり、充填
性の良い、高嵩密度の二次凝集体を作製することが難し
い。また、固体状のリチウム化合物と固体状のマンガン
化合物を混合する方法には、前記のように、組成的に不
均一な混合物しか得られないという問題がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは液体状の原
料化合物からの沈殿生成によるリチウム‐マンガン系複
合酸化物の製造に注目して、鋭意研究を行った。その結
果、溶解性のリチウム化合物と炭酸ガスとの反応により
難溶性の炭酸リチウムを沈殿させることで、リチウム化
合物とマンガン化合物、あるいはリチウム化合物、マン
ガン化合物および置換元素M(但し、Mは B,Mg,
Al,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,C
u,Zn,Ba,GaおよびTaから選ばれた少なくと
も1種類の元素である)の化合物が粒子レベルでミクロ
に均一混合された粉末を調整することが可能であり、こ
れを焼成することにより、異相や結晶欠陥の生成が無
く、充放電サイクル特性に優れた結晶性のリチウム‐マ
ンガン系複合酸化物を安定して製造できることを見出
し、本発明を完成させた。また、本発明者らはこのよう
にして製造されたリチウムマンガン系複合酸化物を正極
活物質に用いたリチウム二次電池が高出力、高エネルギ
ー密度かつ高サイクル安定性を有する二次電池であるこ
とを見出して、本発明を完成させた。
【0009】すなわち、本発明は、リチウム化合物とマ
ンガン化合物とを含有する溶媒中に二酸化炭素を含有す
る気体を吹き込むことにより、少なくとも炭酸リチウム
を含有する炭酸塩を沈殿させた後、ロ過または蒸発乾固
して得られたリチウムとマンガンとを含有する固形物を
焼成することにより結晶性マンガン酸リチウムを合成す
ることを特徴とするリチウム−マンガン系複合酸化物の
製造方法に関する。また、本発明は、リチウム化合物、
マンガン化合物および置換元素M(但し、Mは B,M
g,Al,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,
Cu,Zn,Ba,GaおよびTaから選ばれた少なく
とも1種類の元素である)の化合物を含有する溶媒中に
二酸化炭素を含有する気体を吹き込むことにより、少な
くとも炭酸リチウムを含有する炭酸塩を沈殿させた後、
ロ過または蒸発乾固して得られたリチウム、マンガンお
よび置換元素Mを含有する固形物を焼成することにより
結晶性マンガン酸リチウムを合成することを特徴とする
リチウム−マンガン系複合酸化物の製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を具体的に説明す
る。マンガン化合物としては、溶解性の硝酸マンガン、
塩化マンガン、硫酸マンガン、酢酸マンガンや、不溶性
の炭酸マンガン、水酸化マンガン、オキシ水酸化マンガ
ンおよびマンガン酸化物を使用することができるが、こ
の中でも、水酸化マンガン、オキシ水酸化マンガンおよ
びマンガン酸化物を好適に使用できる。マンガン源が水
酸化マンガンの場合には、まず、前記の溶解性マンガン
塩を含有する溶液中に水酸化リチウム水溶液を滴下する
ことにより、水酸化マンガンを沈殿させる。必要に応じ
て、中和反応で副生するリチウム塩を洗浄除去して、再
度、所定量のリチウム化合物を添加した後、水酸化マン
ガンを分散させた懸濁液に二酸化炭素を含有する気体を
吹き込むことにより、炭酸リチウムを沈殿させる。二酸
化炭素ガス導入後、ロ過または蒸発乾固して得られたリ
チウムとマンガンとを含有する固形物を焼成することに
より、結晶性リチウム−マンガン系複合酸化物を製造す
ることができる。導入する二酸化炭素ガスの流量を調節
することにより、リチウム化合物に対する炭酸リチウム
の割合を制御することができる。オキシ水酸化マンガン
またはマンガン酸化物の場合には、リチウム化合物を溶
解させた溶液中にこれらのマンガン化合物を分散させた
懸濁液に二酸化炭素を含有する気体を吹き込むことによ
り、炭酸リチウムを沈殿させた後、ロ過または蒸発乾固
して得られたリチウムとマンガンとを含有する固形物を
焼成することにより結晶性リチウム−マンガン系複合酸
化物を製造することができる。導入する二酸化炭素ガス
の流量を調節することにより、リチウム化合物に対する
炭酸リチウムの割合を制御することができる。また、原
料であるオキシ水酸化マンガンまたはマンガン酸化物の
粒度を調整しておくことにより、所望の粒度分布を有す
るリチウム‐マンガン系複合酸化物を製造することがで
きる。固体原料同士の混合の場合のように、混合中にオ
キシ水酸化マンガンやマンガン酸化物が微粉砕されて、
粒度分布が変わり、充填性が悪化することを心配する必
要は無い。
【0011】本発明のリチウム−マンガン系複合酸化物
は、単独で正極活物質として使用されるのではなく、カ
ーボン材料などの導電剤およびポリテトラフルオロエチ
レン(PTFE)などの結着剤と混合して、集電体上に
密着させて使用される。この為、リチウム二次電池とし
ての実用上の観点からは、単位重量当たりの充放電容量
が高いこともさることながら、単位容積当たりの充放電
容量の高いことが必須要件である。したがって、プレス
成形密度の高い正極活物質が要望されている。1ton
/cm2の圧力で加圧成形した際のプレス成形密度の好
ましい範囲は、LiMn2 4 の理論密度4.281k
g/dm3に対する相対値で58%以上、好ましくは6
0%以上である。
【0012】さらに、リチウム化合物を溶解させた溶液
中にオキシ水酸化マンガンまたはマンガン酸化物を分散
させた懸濁液に、置換元素M(但し、Mは B,Mg,
Al,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,C
u,Zn,Ba,GaおよびTaから選ばれた少なくと
も1種類の元素である)を溶解させた溶液を導入して、
置換元素Mを含有する沈殿を析出させた後、二酸化炭素
を含有する気体を吹き込むことにより、炭酸リチウムを
沈殿させることもできる。生成した沈殿をロ過または蒸
発乾固して得られたリチウム、マンガンおよび置換元素
Mを含有する固形物を焼成することにより、結晶性リチ
ウム‐マンガン系複合酸化物を製造することができる。
【0013】本発明に使用するオキシ水酸化マンガンま
たはマンガン酸化物としては、γ−MnOOH、電解合
成二酸化マンガン(MnO2)、化学合成二酸化マンガ
ン(γ−MnO2)、三酸化二マンガン(Mn23)、
四酸化三マンガン(Mn34)などを用いることができ
るが、特に、BET比表面積が8.0m2 /g以下で、
Mnの平均酸化数が2.75〜3.4価である低酸化状
態のものを好適に使用できる。例えば、 BET比表面
積が8.0m2 /g以下で、主としてγ−MnOOHや
三酸化二マンガン(Mn2 3)より成るマンガン化合
物を使用することにより、高特性の結晶性リチウム‐マ
ンガン系複合酸化物を製造することができる。BET比
表面積が8.0m2 /gを超えると、生成するリチウム
−マンガン系複合酸化物の結晶子径および一次粒子径が
小さくなり、BET比表面積が大きくなるので好ましく
ない。また、過度に粗大な粒子を含有するマンガン化合
物は、リチウム塩との反応が悪くなるので好ましくな
い。また、リチウム(Li)化合物としては、硝酸リチ
ウム(LiNO3 )、酢酸リチウム(CH3 COOL
i)、硫酸リチウム(Li2SO4 )、塩化リチウム
(LiCl)、水酸化リチウム(LiOH)およびその
1水和物などのLi塩が例示されるが、好ましくは、水
酸化リチウムおよびその1水和物を用いる。これは、水
酸化リチウムと二酸化炭素ガスとの反応性が良好な為で
あり、沈殿生成反応に使用するリチウム化合物には水酸
化リチウムが含まれていることが特に好ましい。なお、
硝酸リチウム、硫酸リチウム、塩化リチウムなどのリチ
ウム塩と水酸化リチウムとの混合物を使用することも可
能である。
【0014】本発明のリチウム−マンガン系複合酸化物
の製造において特に重要なことは、原料であるマンガン
化合物の粒度分布と湿式合成過程で生成する置換元素M
の化合物や炭酸リチウムなどの沈殿の粒子形態を制御す
ることにある。例えば、溶液中に分散させたオキシ水酸
化マンガンまたはマンガン酸化物の粒子表面を、置換元
素Mの化合物や炭酸リチウムなどの微細粒子の沈殿で被
覆することにより、非常に均質な前駆体混合物を調整
し、これをロ過または蒸発乾固した後、焼成すること
で、所望の優れた充放電サイクル特性を示す結晶性リチ
ウム‐マンガン系複合酸化物を製造することができる。
その為には、溶媒として炭素数2から4までのアルコー
ルと水との混合溶媒を用いることが望ましい。炭素数2
から4までのアルコールの例としては、エタノール、プ
ロパノール、ブタノール、メトキシエタノールなどを挙
げることができる。アルコールと水との混合割合(体積
比)は1:2から8:1までが好ましい。アルコールの
体積分率が1/3よりも小さいと、生成する沈殿の粒径
を微細にする効果が弱まり、沈殿が粗大化するので好ま
しくない。アルコールの体積分率が8/9よりも大きく
なると、リチウム化合物や置換元素Mの化合物の溶解度
が著しく低下して、多量の溶媒を必要とするようになる
為、生産性が悪化して、好ましくない。
【0015】本発明では、リチウム化合物とマンガン化
合物、または、リチウム化合物、マンガン化合物および
置換元素M(但し、Mは B,Mg,Al,Ca,T
i,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ba,
GaおよびTaから選ばれた少なくとも1種類の元素で
ある)の化合物を含有するアルコール−水系混合溶媒を
40℃から75℃の範囲の温度に加温して、その中に二
酸化炭素を含有する気体を吹き込むことにより、生成す
る置換元素Mの化合物や炭酸リチウムなどの沈殿の粒子
をより微細なものにすることができ、溶液中に分散させ
たオキシ水酸化マンガンまたはマンガン酸化物の粒子表
面を、より完全に置換元素Mの化合物や炭酸リチウムな
どの微細粒子の沈殿で被覆することができるようにな
る。アルコール−水系混合溶媒の温度が40℃よりも低
いと、生成する沈殿の粒径を微細にする効果が弱まり、
沈殿が粗大化するので好ましくない。逆に、混合溶媒の
温度が75℃よりも高いと、アルコールの蒸発速度が速
くなって、製造操作上、支障をきたすので好ましくな
い。
【0016】本発明の製造方法によれば、従来の振動ミ
ル、ボールミルなどを使用した乾式混合粉末に比べて粒
子レベルでミクロに均一混合された前駆体粉末を得るこ
とができる。その結果、焼成時の反応性に優れ、低温度
でのリチウム−マンガン系複合酸化物の合成が可能とな
るばかりでなく、生成するリチウム−マンガン系複合酸
化物粉末の均質性が著しく向上して、充放電サイクル特
性の優れたリチウム二次電池用正極活物質を製造するこ
とができる。
【0017】本発明の製造方法によれば、Li2 Mn
3、LiMn 2、Li4 Mn5 12、Li Mn
24、Li2 Mn4 9 など、種々のリチウム−マンガ
ン系複合酸化物を合成することができる。その中でも特
に、一般式Li1+x Mn2-y 4(但し、式中xは0<
x<0.2、yは0<y<0.2である)で表され、L
iとMnの原子比がLi/Mn=0.52〜0.60、
Mnの平均酸化数が3.45〜3.70で、立方晶スピ
ネル型構造のマンガン酸リチウムは、高容量、高安定性
の4V級リチウム二次電池用正極活物質として、好適に
使用することができる。さらに、前記のスピネル型マン
ガン酸リチウムにおけるマンガン原子の一部を置換元素
M(但し、Mは B,Mg,Al,Ca,Ti,V,C
r,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ba,Gaおよび
Taから選ばれた少なくとも1種類の元素である)で置
き換えた、一般式Li1+x Mn2-yz 4(但し、式中
xは0<x<0.2、yは0<y<0.25、zは0<
z<0.25である)で表され、Mnおよび置換元素M
に対するLiの原子比がLi/(Mn+M)=0.52
〜0.60で、立方晶スピネル型構造のマンガン酸リチ
ウムは、前記のスピネル型マンガン酸リチウム以上に高
容量、高安定性の4V級リチウム二次電池用正極活物質
として、より好適に使用することができる。
【0018】本発明の一般式Li1+x Mn2-y 4(但
し、式中xは0<x<0.2、yは0<y<0.2であ
る)で表されるリチウム−マンガン系複合酸化物におけ
るLi/Mn原子比nは0.52〜0.60、好ましく
は0.525〜0.59であり、Mnの平均酸化数m
は、3.45〜3.70、好ましくは3.50〜3.6
5である。また、一般式Li1+x Mn2-yz 4(但
し、式中xは0<x<0.2、yは0<y<0.25、
zは0<z<0.25である)で表されるリチウム−マ
ンガン系複合酸化物におけるLi/(Mn+M)原子比
mは0.52〜0.60である。nおよびnmが0.5
2よりも小さいと電解液中へのMnイオンの溶出量が増
加し、リチウム二次電池の正極材料として使用した場合
にサイクル安定性が悪化する。nおよびnmが0.60
よりも大きいと電圧作動領域が低下し、4V付近の充放
電容量が著しく低下して好ましくない。mが3.45よ
りも小さいと構造中のMn3+の量が多く、電解液中への
Mnイオンの溶出量が増加して、サイクル安定性が悪化
する。mが3.70よりも大きいと構造中の16dサイ
トの過剰Liイオンと空孔が増加し、Mn3+の占有率が
減少する。この為、リチウム二次電池の正極材料として
使用した場合に、初期放電容量が低下してしまうので好
ましくない。また、置換元素Mの存在は電解液中へのM
nイオンの溶出を抑制し、特にCr置換の場合に、Mn
イオンの溶出量が著しく減少する。
【0019】Mn溶出量は、化学組成のみならず、リチ
ウム−マンガン系複合酸化物の粉体物性にも大きな影響
を受ける。本発明のリチウムマンガン系複合酸化物の結
晶子径は50nm〜200nmであり、好ましくは60
nm〜160nmである。結晶子径が50nm未満にな
ると、結晶の化学的安定性の悪化により電解液との反応
が進み易くなり、Mnイオンの溶出量が増加して、サイ
クル安定性が悪化する。逆に、結晶子径が200nmを
越えると、一次粒子も粗大化し、正極表面でのリチウム
と電子の移動速度が低下し、充放電特性が悪化する。高
性能な正極活物質を製造する上で、結晶子径の制御は、
特に重要な事項である。
【0020】本発明のリチウム−マンガン系複合酸化物
における格子定数は、回折角(2θ)15〜100゜の
範囲を0.02゜刻みでステップスキャンした粉末X線
回折パターンのリートベルト解析〔 Journal
of MaterialsScience第19巻の3
115〜3120ページ(F.Izumi、M.Mit
omo and Y.Bando著、1984年出版)
参照〕により求めた値である。リートベルト解析によれ
ば、従来の粉末X線回折法よりも高精度に、構成結晶相
の格子定数を求めることができる。
【0021】本発明のリチウム−マンガン系複合酸化物
の結晶子径は、回折角(2θ)64゜の(440)面の
X線回折ピークの半値幅(FWHM)を高精度に算出
し、下記〔数式1〕のシェラーの式より求めたものであ
る。尚、回折ピークの半値幅の算出においては、回折装
置の光学系による線幅を補正する必要がある。この補正
には、NIST(米国 National Institute of Standar
ds and Technology)より配布されている標準シリコン
粉末を使用した。
【0022】[数式1] Dhkl=(K・λ)/(β・cosθ) Dhkl:結晶子径(nm) λ:測定X線波長(nm) β:回折角のひろがり(ラジアン) θ:回折角のブラッグ角 K:定数〔βが半値幅(FWHM)の場合は0.94〕
【0023】結晶子径に付加して一次粒子を制御するこ
とも大切である。一次粒子径は、簡便的にBET比表面
積で見積もることができる。本発明のリチウム−マンガ
ン系複合酸化物は、そのBET比表面積が1.0m2
g以上4.5m2 /g以下であり、好ましくは1.3m
2 /g以上3.7m2 /g以下である。BET比表面積
が1.0m2 /g未満になると正極表面でのリチウムと
電子の移動速度が低下し、充放電特性が悪化する。ま
た、高エネルギー密度放電を行った場合には、構造破壊
の原因になるなど、電池としての性能を低下させること
がある。BET比表面積が4.5m2 /gを超えると嵩
高くなり、塗布膜として正極に使用する際に、体積当た
りの充放電容量が低下する。さらに、表面積が大きいほ
ど電解液との反応が進み易くなり、Mnイオンの溶出量
が増加して、充放電のサイクル安定性が悪化する。
【0024】また、本発明においては、ロ過または蒸発
乾固して得られたリチウムとマンガンまたはリチウム、
マンガンおよび置換元素Mを含有する固形物中に存在す
る水酸化リチウムと炭酸リチウムとの割合あるいは硝酸
リチウムと炭酸リチウムとの割合を、Li2CO3/(L
iOH+Li2CO3)モル比あるいはLi2CO3/(Li
NO3+Li2CO3)モル比で0.25〜0.75に制御
したLi2 CO3 とLiOHとの混合物あるいはLi2
CO3 とLiNO3との混合物より成るリチウム塩を好
適に使用する。Li2 CO3 の含有量を75モル%以下
にすることにより、LiOH−Li2 CO3 系混合物あ
るいはLiNO3−Li2 CO3 系混合物の溶融温度を
適正範囲(440℃〜660℃あるいは260℃〜66
0℃)に下げることができ、リチウム化合物とマンガン
化合物、またはリチウム化合物、マンガン化合物および
置換元素Mの化合物との反応によるリチウム−マンガン
系複合酸化物の生成反応を迅速かつ完全に進行させるこ
とができ、異相や結晶欠陥の無い均質な結晶性リチウム
−マンガン系複合酸化物を合成することができる。Li
2CO3含有量が25モル%未満となり、LiOH含有量
あるいはLiNO3含有量が多くなると、溶媒を蒸発乾
固して除去する際に、溶解していたLiOHあるいはL
iNO3が偏析して、組成的な不均一を生ずるので好ま
しくない。前駆体混合物の不均一は、焼成して得られる
リチウム−マンガン系複合酸化物の均質性を損ない、正
極活物質としての性能を低下させるので好ましくない。
また、本発明のリチウム源としては、前記の混合物以外
に、硝酸リチウム−水酸化リチウム−炭酸リチウムの三
成分系の混合物を使用することも可能である。この場合
にも、これらのリチウム化合物中の炭酸リチウムの含有
量を25〜75モル%に制御することが望ましい。
【0025】本発明のリチウム−マンガン系複合酸化物
の製造においては、前記の湿式沈殿法により調整したリ
チウムとマンガンまたはリチウム、マンガンおよび置換
元素Mを含有する固形物中を600℃以上800℃以下
の温度で加熱処理して、立方晶スピネル型構造のリチウ
ムマンガン系複合酸化物に変換する。焼成に際しては、
所定の昇温速度で前記の温度に昇温して、加熱保持を行
うことも可能であるが、300℃以上550℃以下の温
度で1時間以上加熱保持した後、更に昇温して、600
℃以上800℃以下の温度で加熱処理するという二段階
昇温プログラムを採用することが望ましい。
【0026】第一段目の熱処理温度が、300℃よりも
低いと、リチウム化合物とマンガン化合物との反応が進
行せず、第一段目の保持の効果が無い。逆に、第一段目
の熱処理温度が550℃よりも高いと、リチウム化合物
とマンガン化合物との急激な反応が進行して、リチウム
−マンガン系複合酸化物の生成反応を十分に制御するこ
とができず、二段階昇温プログラムの効果がなくなる。
【0027】第二段目の熱処理温度が600℃よりも低
いと、過剰のリチウムまたは置換元素Mが所定のマンガ
ンサイトを置換することができず、所望の結晶構造のリ
チウム−マンガン系複合酸化物が得られない。また、生
成物の結晶子径が小さく、BET比表面積も高くて、正
極活物質として使用した場合に、初期放電容量の低下、
サイクル安定性の悪化をもたらしてしまうなど、好まし
くない。逆に、熱処理温度が800℃よりも高いとマン
ガン原子が還元され易く、結合酸素を放出して、酸化数
が下がってしまう。例えば、結合酸素放出に伴うLiM
24の不均一化反応により、Li2 MnO3やLi1-z
Mn24(z>0)などの好ましくない結晶相が生成
する。さらに高温になると、Mn3 4 相などが生成し
てしまい、所望の構造、特性を有するスピネル型のリチ
ウム電池用複合酸化物が得られない。生成物を正極活物
質として使用した場合には、初期放電容量が低下し、サ
イクル安定性も悪化して、電池性能が低下する。
【0028】第一段目および第二段目での加熱処理の保
持時間は各々1〜50時間が好ましい。保持時間が1時
間未満では、加熱処理により均一なものを得ることが難
しく、50時間よりも長く保持しても効果が無く、経済
的でない。加熱の際の昇降温速度は1時間当たり10〜
500℃程度である。加熱処理は大気中、酸素中、酸素
分圧を変えた窒素雰囲気中などで行う。特に第二段目の
焼成における雰囲気中の酸素分圧制御は重要であり、大
気中よりも酸素分圧を上げるなどの工夫が必要である。
【0029】本発明によれば、前述のように、目的とす
る構造、特性を有するリチウム電池用マンガン系複合酸
化物を合成でき、これを使用して性能の良いリチウム二
次電池を製造することができる。
【0030】本発明のリチウム二次電池に使用する負極
には、リチウムまたはリチウムイオンの吸蔵放出が可能
な物質を用いる。例えばリチウム金属、Li/Al合
金、Li/Sn合金、Li/Pb合金、電気化学的にリ
チウムイオンを吸蔵放出する炭素系材料等が例示され
る。
【0031】また、本発明のリチウム二次電池で使用す
る電解質としては、特に制限されないが、例えば、カー
ボネート類、スルホラン類、ラクトン類、エーテル類等
の有機溶媒にリチウム塩を溶解したものや、リチウムイ
オン導電性の固体電解質を用いることができる。
【0032】本発明のリチウム電池用複合酸化物を正極
活物質に用いて、2032型のコイン型電池(直径20
mmφ、厚さ3.2mm)を構成した。本発明のリチウ
ム電池用複合酸化物を正極活物質に用いることにより、
従来のリチウム電池用複合酸化物使用のリチウム二次電
池では達成できなかった3.5〜4.3Vという高い作
動電圧で、かつサイクル安定性に優れたリチウム二次電
池の構成が可能となった。また、60℃において、3.
5Vと4.3Vとの間の電圧で充放電を50回繰り返し
た後の溶出マンガン量は0.5wt%以下であり、溶出
量の少ないリチウム電池用複合酸化物であり、高温で使
用できるリチウム二次電池の正極活物質を提供すること
ができる。
【0033】以下に実施例および比較例を述べるが、本
発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】使用した原料物質 市販の電解合成二酸化マンガン(東ソー製)を分級処理
して、25μm以上の粗大な凝集粒子を除去したもの、
10μm以下の微細な粒子を除去したもの、および10
μm以上の粗大な凝集粒子を除去したものを用意した。
これらの二酸化マンガン粉末を、電気炉にて、空気中6
00℃〜700℃で24時間焼成することにより、比表
面積の異なる三酸化二マンガンを得た。また、硫酸マン
ガン(II)四水和物を溶解した水溶液に過酸化水素水
とアンモニア水を加えることにより生成した懸濁液を煮
沸した後、ロ過、乾燥して、オキシ水酸化マンガンを得
た。以下の実施例および比較例においては、マンガン化
合物として、表1に記載の三酸化二マンガン(Mn
23)、オキシ水酸化マンガン(MnOOH)、化学合
成二酸化マンガン(γ−MnO2)および電解合成二酸
化マンガン(MnO2)を使用した。リチウム化合物と
しては、水酸化リチウム一水和物(LiOH・H
2O)、硝酸リチウム(LiNO3)および炭酸リチウム
(Li2CO3)を使用した。
【0034】沈殿生成反応における溶媒の効果 リチウム−マンガン系複合酸化物の合成に先立ち、ま
ず、沈殿生成反応に使用する溶媒の効果を調べた。1リ
ットルのセパラブルフラスコに蒸留水500cm3と2
モル/リットルの水酸化リチウム水溶液86.5cm3
を取った。この溶液を50℃に加温して、G−1のガラ
スフィルターから、所定流量の炭酸ガスを吹き込んで、
すべてのLiOHをLi2CO3として沈殿させた。得ら
れたスラリー中の溶媒を蒸発させ、固形物を乾固させ
て、生成物の粒子形態を走査型電子顕微鏡により観察し
た。観察の結果を、図1に示す。短径0.3〜0.8μ
m、長径0.8〜4.0μm程度の棒状粒子や板状粒子
が生成していた。次に、1リットルのセパラブルフラス
コにエタノール/水=4/1混合溶媒500cm3と2
モル/リットルの水酸化リチウム水溶液86.5cm3
を取った。この溶液を50℃に加温して、G−1のガラ
スフィルターから、所定流量の炭酸ガスを吹き込んで、
すべてのLiOHをLi2CO3として沈殿させた。得ら
れたスラリー中の溶媒を蒸発させ、固形物を乾固させ
て、生成物の粒子形態を走査型電子顕微鏡により観察し
た。観察の結果を、図2に示す。粒径0.2μm前後の
微細な等軸状粒子が生成していた。
【0035】実施例1湿式沈殿法による原料調整 1リットルのセパラブルフラスコにエタノール/水=2
/1混合溶媒500cm3と比表面積3.5m2/gの三
酸化二マンガン40gを取り、2モル/リットルの水酸
化リチウム水溶液を所定量加えて、スラリー化した。こ
の溶液を50℃に加温して、G−1のガラスフィルター
から、Li2CO3/(LiOH+Li2CO3)モル比が
0.50となるように所定流量の炭酸ガスを吹き込ん
で、Li2CO3を沈殿させた。得られたスラリー中の溶
媒を蒸発させて、固形物を乾固させた後、乳鉢にて軽く
擂潰した。
【0036】前駆体粉末の加熱処理 得られた混合粉末を乾燥空気中、室温から480℃まで
4.6時間で昇温し、480℃で6時間保持した後、引
き続き、表2に記載の温度まで、昇温速度100℃/時
で昇温した。同温度で24時間保持した後、放冷して、
一般式、Li1+x Mn2-y 4(但し、式中xは0<x
<0.2、yは0<y<0.2である)で表されるリチ
ウム−マンガン系複合酸化物を得た。
【0037】実施例2〜9湿式沈殿法による原料調整 1リットルのセパラブルフラスコに、表2に記載したエ
タノール/水混合溶媒500cm3とマンガン化合物4
0gを取り、2モル/リットルの水酸化リチウム水溶液
を所定量加えて、スラリー化した。この溶液を50℃に
加温して、G−1のガラスフィルターから、表2に記載
したLi2CO3/(LiOH+Li2CO 3)モル比となる
ように所定流量の炭酸ガスを吹き込んで、Li2CO3
沈殿させた。得られたスラリー中の溶媒を蒸発させて、
固形物を乾固させた後、乳鉢にて軽く擂潰した。
【0038】前駆体粉末の加熱処理 得られた混合粉末を乾燥空気中、室温から表2に記載の
第一段階の温度まで昇温速度100℃/時で昇温し、同
温度で6時間保持した後、引き続き、表2に記載の第二
段階温度まで、昇温速度100℃/時で昇温した。同温
度で24時間保持した後、放冷して、一般式、Li1+x
Mn2-y 4(但し、式中xは0<x<0.2、yは0
<y<0.2である)で表されるリチウム−マンガン系
複合酸化物を得た。尚、実施例7および実施例8では、
マンガン源として、Mn23−DとMn23−Eとの7
0:30混合物を使用した。
【0039】図3および図4には、 レーザー回折散乱
法により測定したMn23−DおよびMn23−Eの粒
度分布を示す。また、図5には、実施例7で得られたス
ピネル型マンガン酸リチウムの粒度分布を示す。原料で
あるMn23−DとMn23−Eの粒度分布を反映し
て、2μmと25μmに2山のピークを持つBimod
alな粒度分布を示している。
【0040】実施例10湿式沈殿法による原料調整 1リットルのセパラブルフラスコに、表2に記載したエ
タノール/水混合溶媒500cm3を取り、所定量の硝
酸マンガンを溶解させた。この溶液に2モル/リットル
の水酸化リチウム水溶液を加えて、水酸化マンガンを沈
殿させた。生成した沈殿を水洗した後、再度、表2に記
載したエタノール/水混合溶媒500cm3に分散し
て、スラリー化した。この溶液を50℃に加温して、
G−1のガラスフィルターから、Li2CO3/(LiO
H+Li2CO3)モル比が0.70となるように所定流
量の炭酸ガスを吹き込んで、Li2CO3を沈殿させた。
得られたスラリー中の溶媒を蒸発させて、固形物を乾固
させた後、乳鉢にて軽く擂潰した。
【0041】前駆体粉末の加熱処理 得られた混合粉末を実施例2と同様にして焼成した後、
放冷して、一般式、Li1+x Mn2-y 4(但し、式中
xは0<x<0.2、yは0<y<0.2である)で表
されるリチウム−マンガン系複合酸化物を得た。
【0042】実施例11〜13湿式沈殿法による原料調整 1リットルのセパラブルフラスコに、表2に記載したエ
タノール/水混合溶媒500cm3とマンガン化合物4
0gを取り、2モル/リットルの水酸化リチウム水溶液
を所定量加えて、スラリー化した。この溶液を50℃に
加温して、G−1のガラスフィルターから、所定流量の
炭酸ガスを吹き込んで、 溶液中のLiOHをすべてL
2CO3として沈殿させた。次に、表2に記載したLi
2CO3/(LiNO3+Li2CO3)モル比となるよう
に、あらためて硝酸リチウム水溶液を添加して、よく攪
拌した後、得られたスラリー中の溶媒を蒸発させて、固
形物を乾固させた後、乳鉢にて軽く擂潰した。
【0043】前駆体粉末の加熱処理 得られた混合粉末を実施例2と同様にして焼成した後、
放冷して、一般式、Li1+x Mn2-y 4(但し、式中
xは0<x<0.2、yは0<y<0.2である)で表
されるリチウム−マンガン系複合酸化物を得た。
【0044】実施例14および実施例15 溶媒として表2に記載のプロパノールやブタノールを使
用し、同表に記載のマンガン化合物を使用した以外は、
実施例3を繰り返して、スピネル型マンガン酸リチウム
を得た。
【0045】実施例16〜23 表2に記載した、溶媒、マンガン源化合物を使用し、同
表に記載のLi2CO3/(LiOH+Li2CO3)モル比
となるようにLi2CO3を沈殿させた以外は、実施例3
を繰り返した。
【0046】実施例24湿式沈殿法による原料調整 1リットルのセパラブルフラスコにエタノール/水=4
/1混合溶媒500cm3と比表面積3.5m2/gの三
酸化二マンガン40gを取り、表2に記載のTi/(M
n+Ti)モル比となるように、所定量のチタンイソプ
ロポキシド(Ti(OisoPr)4)を加えて、加水分解
させた後、2モル/リットルの水酸化リチウム水溶液を
所定量加えて、スラリー化した。この溶液を50℃に加
温して、G−1のガラスフィルターから、Li2CO3
(LiOH+Li2CO3)モル比が0.50となるように
所定流量の炭酸ガスを吹き込んで、Li2CO3を沈殿さ
せた。得られたスラリー中の溶媒を蒸発させて、固形物
を乾固させた後、乳鉢にて軽く擂潰した。
【0047】前駆体粉末の加熱処理 得られた混合粉末を乾燥空気中、室温から480℃まで
4.6時間で昇温し、480℃で6時間保持した後、引
き続き、700℃まで、昇温速度100℃/時で昇温し
た。同温度で24時間保持した後、放冷して、一般式、
Li1+x Mn2-yz 4(但し、式中xは0<x<0.
2、yは0<y<0.25、zは0<z<0.25であ
る)で表されるリチウム−マンガン系複合酸化物を得
た。
【0048】実施例25〜27湿式沈殿法による原料調整 エタノール/水混合溶媒中に分散させた三酸化二マンガ
ンに、表2に記載の各種の置換元素の硝酸塩の水溶液を
添加して、スラリー化した。このスラリーに、2モル/
リットルの水酸化リチウム水溶液を所定量加えて、よく
攪拌した。スラリー化した溶液を50℃に加温して、G
−1のガラスフィルターから、所定流量の炭酸ガスを吹
き込んで、 溶液中のLiOHをLi2CO3として沈殿
させ、表2に記載したLi2CO3−LiNO3−LiO
Hモル比となるように、あらためて硝酸リチウム水溶液
を添加すると共に、溶液のPHを調整して、置換元素が
水酸化物として沈殿するようにした(必要に応じて、ア
ンモニア水などを使用して、PHを管理した)。得られ
たスラリー中の溶媒を蒸発させて、固形物を乾固させた
後、乳鉢にて軽く擂潰した。
【0049】前駆体粉末の加熱処理 得られた混合粉末を実施例24に同様にして焼成した
後、放冷して、一般式、Li1+x Mn2-yz 4(但
し、式中xは0<x<0.2、yは0<y<0.25、
zは0<z<0.25である)で表されるリチウム−マ
ンガン系複合酸化物を得た。
【0050】実施例28〜37 エタノール/水混合溶媒中に分散させた三酸化二マンガ
ンに、2モル/リットルの水酸化リチウム水溶液を所定
量加えて、スラリー化した。この溶液を50℃に加温し
て、表2に記載のM/(Mn+M)モル比となるよう
に,各種の置換元素Mを含有する塩の水溶液を所定量滴
下して、置換元素Mの水酸化物、オキシ水酸化物などを
沈殿させた。引き続き、同温度に保持しつつ、G−1の
ガラスフィルターから、Li2CO3/(LiOH+Li2
CO3)モル比が0.50となるように所定流量の炭酸ガ
スを吹き込んで、Li2CO3を沈殿させた。得られたス
ラリー中の溶媒を蒸発させて、固形物を乾固させた後、
乳鉢にて軽く擂潰した。置換元素Mの塩として、バナジ
ウムの場合には、蓚酸バナジルn水和物(VOC24
nH2O)を、ホウ素の場合にはホウ酸(H3BO3)を
使用した以外は、各種の置換元素Mの硝酸塩を使用し
た。
【0051】前駆体粉末の加熱処理 得られた混合粉末を乾燥空気中、室温から480℃まで
4.6時間で昇温し、480℃で6時間保持した後、引
き続き、表2に記載の温度まで、昇温速度100℃/時
で昇温した。同温度で24時間保持した後、放冷して、
一般式、Li1+x Mn2-yz 4(但し、式中xは0<
x<0.2、yは0<y<0.25、zは0<z<0.
25である)で表されるリチウム−マンガン系複合酸化
物を得た。実施例1〜37で使用したマンガン化合物の
性状を表1に、リチウム−マンガン系複合酸化物の合成
条件を表2に、生成したリチウム−マンガン系複合酸化
物の性状を表3に、同表に示したリチウム−マンガン系
複合酸化物の充放電サイクル特性の試験結果を表4に、
それぞれまとめて示す。
【0052】比較例1原料調整 比表面積3.5m2 /gの三酸化二マンガンと炭酸リチ
ウムとを所定のLi/Mnモル比となるように計量し、
振動ミルを用いて、乾式で1時間の粉砕、混合を行っ
た。
【0053】混合粉末の加熱処理 混合粉末を大気中、室温から480℃まで4.6時間で
昇温し、480℃で6時間保持することにより、三酸化
二マンガンに水酸化リチウムを含浸させた。引き続き、
表2に記載の温度まで、昇温速度100℃/時で昇温
し、同温度で24時間保持した後、放冷した。
【0054】比較例2および比較例3 表2に記載のマンガン化合物とリチウム化合物を使用し
て、比較例1と同様の操作を繰り返し、スピネル型マン
ガン酸リチウムを合成した。
【0055】尚、比較例3では、マンガン源として、M
23−DとMn23−Eとの70:30混合物を使用
した。図6には、 比較例3で得られたスピネル型マン
ガン酸リチウムの粒度分布を、レーザー回折散乱法によ
り測定した結果を示す。振動ミルを用いた乾式混合処理
により原料であるMn23−DとMn23−Eが粉砕さ
れ、粗粒側のピークがほとんどなくなっている。図5に
示したBimodalな粒度分布と比較すれば、粒度分
布の変化は明瞭であり、粒度分布の変化を反映して、プ
レス密度が55.6%へと急低下した。
【0056】比較例4 原料調整 三酸化二マンガン、炭酸リチウムおよび四酸化三コバル
ト(Co34)とを所定のLi/(Mn+Co)モル
比、所定のCo/(Mn+Co)モル比となるように計
量し、振動ミルを用いて、乾式で1時間の粉砕、混合を
行った。得られた混合粉末を比較例1と同様に焼成し
て、スピネル構造のリチウム−マンガン系複合酸化物を
得た。比較例1〜4で使用したマンガン化合物の性状を
表1に、リチウム−マンガン系複合酸化物の合成条件を
表2に、生成したリチウム−マンガン系複合酸化物の性
状を表3に、同表に示したリチウム−マンガン系複合酸
化物の充放電サイクル特性の試験結果を表4に、それぞ
れまとめて示す。
【0057】スピネル構造のリチウム電池用複合酸化物
の合成条件を表2に、生成物の化学組成、マンガン酸化
数および粉体特性の分析結果を表3に示す。リチウム電
池用複合酸化物のマンガン酸化数は、硫酸第一鉄を用い
る小沢の方法(詳しくは、A. Kozawa , Memories of Fa
culty of Engineering , Nagoya University , 11, 243
(1959) を参照)により測定し、決定した。原料として
用いたマンガン酸化物および生成したスピネル型リチウ
ム−マンガン複合酸化物の粒度分布を、レーザー回折散
乱法により測定した。また、BET比表面積、およびX
線回折測定による格子定数と結晶子径の測定結果を表3
に示す。粉末X線回折には、理学製X線回折装置(RA
D−RX型)を使用した。ターゲットが銅(CuKα
線)の管球とグラファイトモノクロメーターを使用し、
回折角2θ=15°〜100°の範囲を毎秒0.02°
ずつステップスキャンして、得られたリチウムマンガン
複合酸化物の粉末X線回折パターンを測定した。格子定
数はリートベルト解析により求めた。また、(440)
回折ピークの半値幅(FWHM)を求め、シェラーの式
により、結晶子径を算出した。
【0058】プレス成形密度の測定 プレス成形密度の測定には、直径13mmの打錠成形用
金型を用いた。生成したリチウム−マンガン複合酸化物
1gを金型に充填し、1ton/ cm2の成形圧力を印
加して、円板状のペレットを作製した。成形体を金型よ
り取り出し、外形寸法(直径と厚さ)と重量を測定し
た。成形体の重量を体積で割って嵩密度を求め、LiM
24の理論密度4.281kg/ dm3に対する相対
値で、成形密度を表示した。
【0059】電解液 電池特性の評価においては、電解液として、1mol/
dm3 のLiPF6 を含むエチレンカーボネート(E
C)−ジメチルカーボネート(DMC)(但し、ECと
DMCとの体積比は1:2)からなる電解液を使用し
た。なお、電解液中の水分含有量は20ppm以下であ
り、またHF濃度は50ppmである。
【0060】充放電特性の評価 合成したリチウム電池用複合酸化物を用いて、以下のよ
うな方法により、コイン型のリチウム電池を作製し、電
池特性を測定した。合成したリチウム電池用複合酸化物
20mgと導電性バインダ〔ポリテトラフルオロエチレ
ンとアセチレンブラックの混合物(商品名:TAB−
2)〕10mgを混練し、フィルム状とした後、ステン
レスメッシュに圧着して、正極を作製した。負極は金属
リチウム箔をステンレスメッシュに圧着して同様に作製
した。電解液として前記の電解液0.4mlを注入し、
2032型のコイン型セルを組み立てた。セルを25℃
または60℃の恒温槽に入れ、電池電圧4.3Vから
3.5Vの間で充放電を100サイクル繰り返した。ま
た、充放電電流密度は0.4mA/cm2とした。表4
には、25℃および60℃における電池特性(初期の放
電容量および100サイクル後の放電容量維持率)の測
定結果を示す。
【0061】さらにリチウム二次電池の正極材料として
使用した際のマンガンの溶出量を以下のような方法によ
り測定し、算出した。2032型のコイン型セルの組み
立てと同様にして、リチウム電池用複合酸化物20mg
と導電性バインダ〔ポリテトラフルオロエチレンとアセ
チレンブラックの混合物(商品名:TAB−2)〕10
mgを混練し、フィルム状とした後、ステンレスメッシ
ュに圧着して、正極を作製した。負極および基準極は、
金属リチウム箔をステンレスメッシュに圧着して同様に
作製した。電解液として前記の電解液10.0mlをガ
ラスセルに注入し、三電極式オープンセルを組み立て
た。セルを60℃の恒温槽に入れ、電池電圧4.3Vか
ら3.5Vの間で充放電を50サイクル繰り返した。ま
た、充放電電流密度は0.4mA/cm2とした。アル
ゴン置換されたグローブボックス中で三電極式セルを解
体し、プロピレン多孔膜で電解液中に浮遊した金属リチ
ウムをロ過して、電解液を回収した。負極および基準極
は20mlのエタノールに浸漬して、金属リチウムを溶
解した後、エタノールを蒸発させ、析出物を回収した。
金属リチウムを取り除いた負極および基準極のステンレ
ス集電体を5mlの過酸化水素−硫酸(9/1)混合水
溶液に浸漬して、表面の付着物を溶かした後、エタノー
ル浸漬で回収した析出物を溶解させた。得られた水溶液
中のマンガン含有量は、ICP分析により定量した。電
解液中および電極(負極と基準極)上に存在するマンガ
ン量の分析値より、マンガンの溶出量を算出し、電池試
験前のリチウム電池用複合酸化物の全マンガン量に対す
る重量百分率で表示した。表4には、60℃におけるマ
ンガン溶出量の分析結果を示す。
【0062】
【発明の効果】本発明のリチウム電池用複合酸化物を正
極活物質として用いることにより、3.5〜4.3Vと
いう高い作動電圧で、かつ室温から高温までサイクル安
定性に優れたリチウム二次電池の構成が可能となった。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】蒸留水に溶解させた水酸化リチウムと炭酸ガス
との反応により沈殿させた炭酸リチウムの粒子形態を示
す走査型電子顕微鏡写真図である。
【図2】エタノール/水系混合溶媒に溶解させた水酸化
リチウムと炭酸ガスとの反応により沈殿させた炭酸リチ
ウムの粒子形態を示す走査型電子顕微鏡写真図である。
【図3】実施例7、8及び比較例3で使用したマンガン
源(Mn23−D)の粒度分布を示す図である。
【図4】実施例7、8及び比較例3で使用したマンガン
源(Mn23−E)の粒度分布を示す図である。
【図5】実施例7で得られたスピネル型マンガン酸リチ
ウムの粒度分布を示す図である。
【図6】比較例3で得られたスピネル型マンガン酸リチ
ウムの粒度分布を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G048 AA04 AA05 AB02 AB05 AB08 AC06 AD06 AE05 5H003 AA02 AA04 BA00 BA01 BA02 BA03 BB05 BC01 BC06 BD00 BD03 5H014 AA01 BB00 BB01 BB03 BB06 EE10 HH01 HH04 5H029 AJ02 AJ03 AJ05 AJ14 AK03 AL12 AM03 AM05 BJ03 CJ00 CJ02 CJ08 CJ12 CJ28 DJ16 DJ17 EJ03 HJ01 HJ02 HJ18

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウム化合物とマンガン化合物とを
    含有する溶媒中に二酸化炭素を含有する気体を吹き込む
    ことにより、少なくとも炭酸リチウムを含有する炭酸塩
    を沈殿させた後、ロ過または蒸発乾固して得られたリチ
    ウムとマンガンとを含有する固形物を焼成することによ
    り結晶性マンガン酸リチウムを合成することを特徴とす
    るリチウム−マンガン系複合酸化物の製造方法。
  2. 【請求項2】 リチウム化合物、マンガン化合物およ
    び置換元素M(但し、Mは B,Mg,Al,Ca,T
    i,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ba,
    GaおよびTaから選ばれた少なくとも1種類の元素で
    ある)の化合物を含有する溶媒中に二酸化炭素を含有す
    る気体を吹き込むことにより、少なくとも炭酸リチウム
    を含有する炭酸塩を沈殿させた後、ロ過または蒸発乾固
    して得られたリチウム、マンガンおよび置換元素Mを含
    有する固形物を焼成することにより結晶性マンガン酸リ
    チウムを合成することを特徴とするリチウム−マンガン
    系複合酸化物の製造方法。
  3. 【請求項3】 リチウム化合物を溶解させた溶液中に
    マンガン酸化物またはオキシ水酸化マンガンあるいは水
    酸化マンガン粒子を分散させた懸濁液に二酸化炭素を含
    有する気体を吹き込むことにより、少なくとも炭酸リチ
    ウムを含有する炭酸塩を沈殿させた後、ロ過または蒸発
    乾固して得られたリチウムとマンガンとを含有する固形
    物を焼成することにより結晶性マンガン酸リチウムを合
    成することを特徴とする請求項1に記載のリチウム−マ
    ンガン系複合酸化物の製造方法。
  4. 【請求項4】 リチウム化合物を溶解させた溶液中に
    マンガン酸化物またはオキシ水酸化マンガンあるいは水
    酸化マンガン粒子を分散させると共に、置換元素M(但
    し、MはB,Mg,Al,Ca,Ti,V,Cr,F
    e,Co,Ni,Cu,Zn,Ba,GaおよびTaか
    ら選ばれた少なくとも1種類の元素である)の化合物を
    溶解または分散させた懸濁液の中に二酸化炭素を含有す
    る気体を吹き込むことにより、少なくとも炭酸リチウム
    を含有する炭酸塩を沈殿させた後、ロ過または蒸発乾固
    して得られたリチウム、マンガンおよび置換元素Mを含
    有する固形物を焼成することにより結晶性マンガン酸リ
    チウムを合成することを特徴とする請求項2に記載のリ
    チウム−マンガン系複合酸化物の製造方法。
  5. 【請求項5】 リチウム化合物が水酸化リチウムまた
    は水酸化リチウムと硝酸リチウムとの混合物であること
    を特徴とする請求項1から4に記載のリチウム−マンガ
    ン系複合酸化物の製造方法。
  6. 【請求項6】 マンガン酸化物が三酸化二マンガンで
    あることを特徴とする請求項1から5に記載のリチウム
    −マンガン系複合酸化物の製造方法。
  7. 【請求項7】 溶媒として、炭素数が2から4までの
    アルコールと水との混合溶媒を用いることを特徴とする
    請求項1から6に記載のリチウム‐マンガン系複合酸化
    物の製造方法。
  8. 【請求項8】 ロ過または蒸発乾固して得られたリチ
    ウムとマンガンまたはリチウム、マンガンおよび置換元
    素Mを含有する固形物中に存在する水酸化リチウムと炭
    酸リチウムとの割合が、Li2CO3/(LiOH+Li2
    CO3)モル比で0.25〜0.75であることを特徴と
    する請求項1から7に記載のリチウム‐マンガン系複合
    酸化物の製造方法。
  9. 【請求項9】 ロ過または蒸発乾固して得られたリチ
    ウムとマンガンまたはリチウム、マンガンおよび置換元
    素Mを含有する固形物中に存在する硝酸リチウムと炭酸
    リチウムとの割合が、Li2CO3/(LiNO3+Li2
    CO3)モル比で0.25〜0.75であることを特徴と
    する請求項1から7に記載のリチウム‐マンガン系複合
    酸化物の製造方法。
  10. 【請求項10】 リチウム‐マンガン系複合酸化物
    が、一般式、Li1+x Mn2-y 4 (但し、式中xは0<x<0.2、yは0<y<0.2
    である。)で表され、LiとMnの原子比がLi/Mn
    =0.52〜0.60、Mnの平均酸化数が3.45〜
    3.70価で、スピネル型構造のマンガン酸リチウムで
    あることを特徴とする請求項1、3および5から9に記
    載のリチウム‐マンガン系複合酸化物の製造方法。
  11. 【請求項11】 リチウム‐マンガン系複合酸化物
    が、 一般式、Li1+x Mn2-yz 4 (但し、式中xは0<x<0.2、yは0<y<0.2
    5、zは0<z<0.25である。)で表され、Mnお
    よび置換元素Mに対するLiの原子比がLi/(Mn+
    M)=0.52〜0.60で、スピネル型構造のマンガ
    ン酸リチウムであることを特徴とする請求項2、4およ
    び5から9に記載のリチウム‐マンガン系複合酸化物の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 正極活物質として請求項1〜11に
    記載の方法により製造されたリチウムマンガン系複合酸
    化物を使用することを特徴とするリチウム二次電池。
  13. 【請求項13】 リチウム二次電池において、作動電
    位が3.5〜4.3Vであることを特徴とする請求項1
    2に記載のリチウム二次電池。
JP10240686A 1998-08-26 1998-08-26 リチウムマンガン系複合酸化物の製造方法およびその用途 Abandoned JP2000072443A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10240686A JP2000072443A (ja) 1998-08-26 1998-08-26 リチウムマンガン系複合酸化物の製造方法およびその用途

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10240686A JP2000072443A (ja) 1998-08-26 1998-08-26 リチウムマンガン系複合酸化物の製造方法およびその用途

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000072443A true JP2000072443A (ja) 2000-03-07

Family

ID=17063209

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10240686A Abandoned JP2000072443A (ja) 1998-08-26 1998-08-26 リチウムマンガン系複合酸化物の製造方法およびその用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000072443A (ja)

Cited By (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001066468A1 (fr) * 2000-03-09 2001-09-13 Ishihara Sangyo Kaisha, Ltd. Procede de production d'un oxyde de composite lithium/manganese et pile au lithium utilisant ledit oxyde de composite lithium/manganese
JP2002033103A (ja) * 2000-07-17 2002-01-31 Yuasa Corp リチウム二次電池
JP2002226214A (ja) * 2001-01-26 2002-08-14 Tosoh Corp 新規リチウムマンガン複合酸化物及びその製造方法並びにその用途
JP2003521433A (ja) * 2000-02-01 2003-07-15 ザ ジレット カンパニー リチウム化された二酸化マンガン
JP2005324973A (ja) * 2004-05-12 2005-11-24 Mitsubishi Chemicals Corp リチウム遷移金属複合酸化物及びその製造方法と、リチウム二次電池用正極並びにリチウム二次電池
JP2006004724A (ja) * 2004-06-17 2006-01-05 Nikko Materials Co Ltd リチウムイオン二次電池正極材料用前駆体とその製造方法並びにそれを用いた正極材料の製造方法
JP2006066170A (ja) * 2004-08-26 2006-03-09 Daiken Kagaku Kogyo Kk スピネル型マンガン酸リチウム粉体、その製造方法、電極及びリチウム系二次電池
US7445871B2 (en) 2002-05-13 2008-11-04 Samsung Sdi Co., Ltd. Process of preparing a surface-treated positive active material for a lithium secondary battery
WO2009081703A1 (ja) * 2007-12-25 2009-07-02 Kao Corporation 複合金属酸化物焼成体及びその製造方法
JP2009155135A (ja) * 2007-12-25 2009-07-16 Kao Corp 複合金属酸化物焼成体の製造方法
JP2009158167A (ja) * 2007-12-25 2009-07-16 Kao Corp 複合金属酸化物焼成体
JP2012036085A (ja) * 2011-09-20 2012-02-23 Tosoh Corp 新規リチウムマンガン複合酸化物及びその製造方法並びにその用途
KR101178769B1 (ko) 2010-09-27 2012-09-07 주식회사 세화엔스텍 인산화물계 리튬전지 양극활물질로부터의 리튬 회수 방법
KR101178768B1 (ko) 2010-09-27 2012-09-10 주식회사 세화엔스텍 리튬전지 양극활물질로부터의 리튬 회수 방법
WO2013125798A1 (ko) * 2012-02-20 2013-08-29 경북대학교 산학협력단 리튬 이차전지용 양극 활물질의 제조 방법
JP2014135269A (ja) * 2012-12-12 2014-07-24 Samsung Sdi Co Ltd リチウム二次電池用正極活物質、並びにこれを含むリチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池
CN108172772A (zh) * 2016-12-07 2018-06-15 丰田自动车株式会社 锂离子二次电池
KR101904895B1 (ko) * 2012-12-12 2018-10-05 삼성에스디아이 주식회사 리튬 이차 전지용 양극 활물질, 및 이를 포함하는 리튬 이차 전지용 양극 및 리튬 이차 전지
CN110282665A (zh) * 2019-07-04 2019-09-27 成都尤尼瑞克科技有限公司 一种具有介观结构的锂电池正极材料前驱体及其制备方法
JP2020533799A (ja) * 2017-09-26 2020-11-19 エルジー・ケム・リミテッド リチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法
CN114988479A (zh) * 2022-05-20 2022-09-02 上海锦源晟新能源材料有限公司 一种含锰材料及其制备方法、锰酸锂及其制备方法和应用

Cited By (31)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003521433A (ja) * 2000-02-01 2003-07-15 ザ ジレット カンパニー リチウム化された二酸化マンガン
JP4801865B2 (ja) * 2000-02-01 2011-10-26 ザ ジレット カンパニー リチウム化された二酸化マンガン
WO2001066468A1 (fr) * 2000-03-09 2001-09-13 Ishihara Sangyo Kaisha, Ltd. Procede de production d'un oxyde de composite lithium/manganese et pile au lithium utilisant ledit oxyde de composite lithium/manganese
JP2002033103A (ja) * 2000-07-17 2002-01-31 Yuasa Corp リチウム二次電池
JP4632005B2 (ja) * 2000-07-17 2011-02-16 株式会社Gsユアサ リチウム二次電池
JP2002226214A (ja) * 2001-01-26 2002-08-14 Tosoh Corp 新規リチウムマンガン複合酸化物及びその製造方法並びにその用途
US7445871B2 (en) 2002-05-13 2008-11-04 Samsung Sdi Co., Ltd. Process of preparing a surface-treated positive active material for a lithium secondary battery
US8123820B2 (en) 2002-05-13 2012-02-28 Samsung Sdi Co., Ltd. Method of preparing positive active material for a lithium secondary battery
JP2005324973A (ja) * 2004-05-12 2005-11-24 Mitsubishi Chemicals Corp リチウム遷移金属複合酸化物及びその製造方法と、リチウム二次電池用正極並びにリチウム二次電池
JP4617717B2 (ja) * 2004-05-12 2011-01-26 三菱化学株式会社 リチウム遷移金属複合酸化物及びその製造方法と、リチウム二次電池用正極並びにリチウム二次電池
JP2006004724A (ja) * 2004-06-17 2006-01-05 Nikko Materials Co Ltd リチウムイオン二次電池正極材料用前駆体とその製造方法並びにそれを用いた正極材料の製造方法
JP2006066170A (ja) * 2004-08-26 2006-03-09 Daiken Kagaku Kogyo Kk スピネル型マンガン酸リチウム粉体、その製造方法、電極及びリチウム系二次電池
JP4630021B2 (ja) * 2004-08-26 2011-02-09 大研化学工業株式会社 スピネル型マンガン酸リチウム粉体、その製造方法、電極及びリチウム系二次電池
US8444875B2 (en) 2007-12-25 2013-05-21 Kao Corporation Burned composite metal oxide and process for producing the same
JP2009158167A (ja) * 2007-12-25 2009-07-16 Kao Corp 複合金属酸化物焼成体
JP2009155135A (ja) * 2007-12-25 2009-07-16 Kao Corp 複合金属酸化物焼成体の製造方法
WO2009081703A1 (ja) * 2007-12-25 2009-07-02 Kao Corporation 複合金属酸化物焼成体及びその製造方法
KR101178769B1 (ko) 2010-09-27 2012-09-07 주식회사 세화엔스텍 인산화물계 리튬전지 양극활물질로부터의 리튬 회수 방법
KR101178768B1 (ko) 2010-09-27 2012-09-10 주식회사 세화엔스텍 리튬전지 양극활물질로부터의 리튬 회수 방법
JP2012036085A (ja) * 2011-09-20 2012-02-23 Tosoh Corp 新規リチウムマンガン複合酸化物及びその製造方法並びにその用途
WO2013125798A1 (ko) * 2012-02-20 2013-08-29 경북대학교 산학협력단 리튬 이차전지용 양극 활물질의 제조 방법
KR101418060B1 (ko) 2012-02-20 2014-07-10 경북대학교 산학협력단 리튬 이차전지용 양극 활물질의 제조 방법
JP2014135269A (ja) * 2012-12-12 2014-07-24 Samsung Sdi Co Ltd リチウム二次電池用正極活物質、並びにこれを含むリチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池
KR101904895B1 (ko) * 2012-12-12 2018-10-05 삼성에스디아이 주식회사 리튬 이차 전지용 양극 활물질, 및 이를 포함하는 리튬 이차 전지용 양극 및 리튬 이차 전지
CN108172772A (zh) * 2016-12-07 2018-06-15 丰田自动车株式会社 锂离子二次电池
CN108172772B (zh) * 2016-12-07 2020-10-27 丰田自动车株式会社 锂离子二次电池
JP2020533799A (ja) * 2017-09-26 2020-11-19 エルジー・ケム・リミテッド リチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法
JP7062159B2 (ja) 2017-09-26 2022-05-06 エルジー エナジー ソリューション リミテッド リチウムマンガン酸化物系正極活物質の製造方法
US11522182B2 (en) 2017-09-26 2022-12-06 Lg Energy Solution, Ltd. Method for producing lithium manganese oxide-based cathode active material
CN110282665A (zh) * 2019-07-04 2019-09-27 成都尤尼瑞克科技有限公司 一种具有介观结构的锂电池正极材料前驱体及其制备方法
CN114988479A (zh) * 2022-05-20 2022-09-02 上海锦源晟新能源材料有限公司 一种含锰材料及其制备方法、锰酸锂及其制备方法和应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Oh et al. Effect of calcination temperature on morphology, crystallinity and electrochemical properties of nano-crystalline metal oxides (Co3O4, CuO, and NiO) prepared via ultrasonic spray pyrolysis
JP3130813B2 (ja) リチウムニッケル複合酸化物、その製造方法および二次電池用正極活物質
JP3033899B1 (ja) リチウム二次電池用正極活物質とその製造方法及びその用途
KR100406816B1 (ko) 리튬 이차 전지용 양극 활물질의 제조 방법
JP4131521B2 (ja) リチウムニッケルコバルト複合酸化物、その製法及び二次電池用正極活物質
JP2000072443A (ja) リチウムマンガン系複合酸化物の製造方法およびその用途
US7384706B2 (en) Lithium-nickel-cobalt-maganese containing composite oxide, material for positive electrode active material for lithium secondary battery, and methods for producing these
EP2492243B1 (en) Nickel-cobalt-manganese compound particle powder and method for producing same, lithium composite oxide particle powder and method for producing same, and nonaqueous electrolyte secondary battery
JP3031546B1 (ja) リチウム遷移金属系ハロゲン化酸化物とその製造方法及びその用途
JPH11302020A (ja) リチウムマンガン系複合酸化物およびその製造法ならびにその用途
Park et al. Effects of synthesis condition on LiNi1/2Mn3/2O4 cathode material for prepared by ultrasonic spray pyrolysis method
KR20180043403A (ko) 정극 활성 물질 전구체 입자 분말 및 정극 활성 물질 입자 분말, 및 비수전해질 이차 전지
JPH11317230A (ja) リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法
JP2004119218A (ja) リチウム二次電池用の正極活物質及びその製造方法
KR20140138780A (ko) 정극 활물질 입자 분말 및 그의 제조 방법, 및 비수전해질 이차 전지
JP4760805B2 (ja) リチウムニッケルコバルト複合酸化物その製法及び二次電池用正極活物質
JP3461800B2 (ja) リチウムマンガンニッケル複合酸化物およびその製造方法
JP2004006277A (ja) リチウム二次電池用正極材料およびそれを用いた二次電池ならびにリチウム二次電池用正極材料の製造方法
KR100668051B1 (ko) 공침법을 이용한 망간산화물, 이를 이용한 리튬이차전지스피넬형 양극 활물질 및 그 제조방법
JPH10310433A (ja) リチウム二次電池用ニッケル水酸化物、ニッケル酸化物および正極活物質の製造方法
JP5099328B2 (ja) リチウムニッケルコバルト複合酸化物その製法及び二次電池用正極活物質
JP2018073751A (ja) 非水電解質二次電池用正極活物質、非水電解質二次電池用電極及び非水電解質二次電池
WO2006126854A1 (en) Processes of preparing manganese oxides and processes of preparing spinel type cathode active material using the same
KR100668050B1 (ko) 망간복합산화물, 이를 이용한 리튬이차전지 스피넬형양극활물질 및 그 제조방법
JPH08217451A (ja) 針状マンガン複合酸化物及びその製造方法並びにその用途

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040213

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061101

A762 Written abandonment of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762

Effective date: 20070323