JP2000068291A - 電界効果型トランジスタ及びその製造方法 - Google Patents

電界効果型トランジスタ及びその製造方法

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JP2000068291A JP10234765A JP23476598A JP2000068291A JP 2000068291 A JP2000068291 A JP 2000068291A JP 10234765 A JP10234765 A JP 10234765A JP 23476598 A JP23476598 A JP 23476598A JP 2000068291 A JP2000068291 A JP 2000068291A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 相補型回路を構成するpチャネル型電界効果
型トランジスタを製造する場合、チャネル層としてのゲ
ルマニウムを主成分とする半導体層の正孔移動度を増加
させる。 【解決手段】 開示される電界効果型トランジスタは、
ゲルマニウム基板1上にバッファ層としてのゲルマニウ
ム層2を介して、チャネル層としてのシリコン・ゲルマ
ニウム(組成比Si:0.2、Ge:0.8)層3及び
同シリコン・ゲルマニウム層3上にキャップ層としての
シリコン・ゲルマニウム(組成比Si:0.4、Ge:
0.6)層4が形成され、同シリコン・ゲルマニウム層
4にp型不純物が導入されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電界効果型トラ
ンジスタ(Field Effect Transistor)及びその製造方
法に係り、詳しくは、高速性に優れたpチャネル型電界
効果型トランジスタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電界効果型トランジスタはソース・ドレ
イン間のチャネル層を流れるドレイン電流を、ソース・
ゲート間に加えるゲート電圧によって制御する電圧駆動
型のトランジスタであり、電流駆動型のバイポーラ型ト
ランジスタに比較して、高い入力インピーダンスが得ら
れるという利点を有している。同トランジスタは、従来
から、単体として用いられる他に、pチャネル型電界効
果型トランジスタとnチャネル型電界効果型トランジス
タとを組み合わせて相補型回路を構成して、LSIの論
理ゲートなどとして広く採用されることが多くなってき
ている。
【0003】同トランジスタの代表的なものとしては、
半導体基板上に酸化膜などの絶縁膜を介してゲート金属
を形成したMIS(Metal Insulator Semiconductor)
型が広く用いられており、特に半導体基板材料としてシ
リコンを用いたものは、標準化されたシリコンプロセス
を利用することにより、低コストで大量生産できるとい
う大きな利点を有している。
【0004】ここで、上述のような相補型回路の高速化
を図ることが望まれているが、これには、pチャネル型
電界効果型トランジスタ及びnチャネル型電界効果型ト
ランジスタの両者を高速動作させることが条件となる
が、各々のトランジスタの動作速度は、正孔又は電子か
らなるキャリアの移動度により決定される。半導体材料
として広く用いられているシリコンの場合、正孔移動度
は略480cm/Vsec、電子移動度は略1,350c
/Vsecである。しかしながら、同シリコンを用い
た電界効果型トランジスタは両移動度のうち、小さな値
の正孔移動度に基づいたpチャネル型電界効果型トラン
ジスタにより動作速度が制約されてしまうので、大きな
値の電子移動度によるnチャネル型電界効果型トランジ
スタの高速性を生かすことができない。
【0005】また、特にMIS型電界効果型トランジス
タでは、pチャネル型の場合、キャリアである正孔はシ
リコン基板と酸化膜との界面近傍を走行するので、その
界面に存在する界面準位の散乱を大きく受けるため、正
孔移動度は上述の値よりさらに小さくなる。
【0006】一方、シリコンより正孔及び電子移動度の
大きい半導体材料としてゲルマニウム(正孔移動度:略
1,900cm/Vsec、電子移動度:略3,600c
/Vsec)が知られている。同ゲルマニウムの正孔
移動度はシリコンのそれと比べて略4倍であり、同ゲル
マニウムにより電界効果型トランジスタを製造した場
合、原理的に動作速度をシリコンの場合の略4倍に向上
させることが可能となる。したがって、その利点を生か
してpチャネル型電界効果型トランジスタを製造するこ
とにより、さらに相補型回路の動作速度を向上させるこ
とが期待されている。
【0007】以上のような観点から、ゲルマニウムを主
成分とする半導体層をチャネル層として用いてpチャネ
ル型電界効果型トランジスタが、例えば特開平8−18
6249号公報に開示されている。同公報には、シリコ
ン・ゲルマニウム基板上に、ゲルマニウム組成比が増加
するグレーテッドシリコン・ゲルマニウム層、シリコン
・ゲルマニウム合金(ゲルマニウムの組成比が90%以
上)からなるゲルマニウムを主成分とする半導体層及び
ゲルマニウム組成比が減少するグレーテッドシリコン・
ゲルマニウム層を順次に設けて、同ゲルマニウムを主成
分とする半導体層をチャネル層とするpチャネル型電界
効果型トランジスタを製造することが記載されている。
ここで、上述のゲルマニウム組成比が増加するグレーテ
ッドシリコン・ゲルマニウム層は、ゲルマニウムを主成
分とする半導体層とゲルマニウム組成が減少するグレー
テッドシリコン・ゲルマニウム層との間の、格子不整合
を緩和するバッファ層として作用させるために設けてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記公報記
載の従来の電界効果型トランジスタでは、チャネル層と
してのゲルマニウムを主成分とする半導体層がゲルマニ
ウム組成比が増加するグレーテッドシリコン・ゲルマニ
ウム層を介してシリコン・ゲルマニウム基板上に設けら
れているので、同チャネル層がシリコン・ゲルマニウム
基板の影響を受けて正孔移動度が小さくなる、という問
題がある。すなわち、上述のゲルマニウム組成比が増加
するグレーテッドシリコン・ゲルマニウム層及びチャネ
ル層としてのシリコン・ゲルマニウム層の両層は、シリ
コン・ゲルマニウム基板上に設けられているので、格子
定数は同シリコン・ゲルマニウム基板よりもともに小さ
くなる。それゆえ、両層は同シリコン・ゲルマニウム基
板により圧縮歪みを受けるようになるので、結果的にチ
ャネル層としてのゲルマニウムを主成分とする半導体層
も圧縮歪みを受けることになって、その正孔移動度が小
さくなる。
【0009】また、チャネル層としてのゲルマニウムを
主成分とする半導体層がシリコン・ゲルマニウム合金か
らなる場合には、図19のエネルギーバンドで示すよう
に、同チャネル層は圧縮歪みを受けるので正孔移動度は
小さくなる。同図で、符号51は半導体基板のエネルギ
ーバンド、52はチャネル層のエネルギーバンド、53
はチャネル層に蓄積される正孔、54はキャップ層のエ
ネルギーバンド、55はゲート電極のエネルギーバンド
を示している。さらに、チャネル層がシリコン・ゲルマ
ニウム合金からなる場合は、同チャネル層が合金散乱な
どの影響を受け易いので、さらに正孔移動度が小さくな
るおそれがある。
【0010】この発明は、上述の事情に鑑みてなされた
もので、相補型回路を構成するpチャネル型電界効果型
トランジスタを製造する場合、チャネル層としてのゲル
マニウムを主成分とする半導体層の正孔移動度を増加さ
せることができるようにした電界効果型トランジスタ及
びその製造方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、半導体基板上に成膜された
半導体層にヘテロ接合が形成される電界効果型トランジ
スタであって、上記半導体層は、上記半導体基板上にバ
ッファ層を介して成膜された第1のシリコン・ゲルマニ
ウム層からなるチャネル層と、該チャネル層上に成膜さ
れて該チャネル層よりもシリコンの組成比が高い第2の
シリコン・ゲルマニウム層からなるキャップ層とからな
り、該キャップ層にp型不純物が導入されていることを
特徴としている。
【0012】請求項2記載の発明は、半導体基板上に成
膜された半導体層にヘテロ接合が形成される電界効果型
トランジスタであって、上記半導体層は、上記半導体基
板上にバッファ層を介して成膜されたシリコン・スズ層
からなる格子緩和層と、該格子緩和層上に成膜されて純
ゲルマニウム層からなるチャネル層と、該チャネル層上
に成膜されて該チャネル層よりも格子定数が小さく、か
つバンドキャップの大きいシリコン・ゲルマニウム層か
らなるキャップ層とからなり、該キャップ層にp型不純
物が導入されていることを特徴としている。
【0013】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載の電界効果型トランジスタに係り、上記キャップ層に
直接にゲート電極が形成される一方、該ゲート電極の両
側の上記チャネル層にソース電極及びドレイン電極が形
成されていることを特徴としている。
【0014】請求項4記載の発明は、請求項1又は2記
載の電界効果型トランジスタに係り、上記キャップ層に
絶縁型ゲート電極が形成される一方、該絶縁型ゲート電
極の両側の前記チャネル層にソース電極及びドレイン電
極が形成されていることを特徴としている。
【0015】請求項5記載の発明は、請求項1、3又は
4記載の電界効果型トランジスタに係り、上記第1のシ
リコン・ゲルマニウム層が0.1〜0.3のシリコン組
成比を有してなる一方、上記第2のシリコン・ゲルマニ
ウム層が0.3〜0.5のシリコン組成比を有してなる
ことを特徴としている。
【0016】請求項6記載の発明は、請求項2、3又は
4記載の電界効果型トランジスタに係り、上記シリコン
・スズ層が0.6〜0.8のシリコン組成比を有してな
る一方、上記シリコン・ゲルマニウム層が0.3〜0.
5のシリコン組成比を有してなることを特徴としてい
る。
【0017】請求項7記載の発明は、請求項1乃至6の
いずれか1に記載の電界効果型トランジスタに係り、上
記半導体基板及びバッファ層は、ともにゲルマニウムか
らなることを特徴としている。
【0018】請求項8記載の発明は、電界効果型トラン
ジスタを製造するための方法に係り、半導体基板上にバ
ッファ層を介してチャネル層としての第1のシリコン・
ゲルマニウム層及び該第1のシリコン・ゲルマニウム層
よりもシリコンの組成比が高いキャップ層としての第2
のシリコン・ゲルマニウム層を順次に成膜するシリコン
・ゲルマニウム層成膜工程と、上記第2のシリコン・ゲ
ルマニウム層に対してp型不純物を導入するp型不純物
導入工程と、上記第2のシリコン・ゲルマニウム層及び
上記第1のシリコン・ゲルマニウム層にソースオーミッ
ク接続用のp型高濃度領域及びドレインオーミック接続
用のp型高濃度領域を形成するp型高濃度領域形成工程
とを含むことを特徴としている。
【0019】請求項9記載の発明は、電界効果型トラン
ジスタを製造するための方法に係り、半導体基板上にバ
ッファ層を介して格子緩和層としてのシリコン・スズ
層、チャネル層としての純ゲルマニウム層及び該純ゲル
マニウム層よりも格子定数が小さく、かつバンドキャッ
プの大きいキャップ層としてのシリコン・ゲルマニウム
層を順次に成膜する半導体層成膜工程と、上記シリコン
・ゲルマニウム層に対してp型不純物を導入するp型不
純物導入工程と、上記シリコン・ゲルマニウム層及び上
記純ゲルマニウム層にソースオーミック接続用のp型高
濃度領域及びドレインオーミック接続用のp型高濃度領
域を形成するp型高濃度領域形成工程とを含むことを特
徴としている。
【0020】請求項10記載の発明は、請求項8又は9
記載の電界効果型トランジスタを製造するための方法に
係り、上記p型高濃度領域形成工程の後に、該両p型高
濃度領域の略中央部の上記キャップ層にショットキーバ
リアからなるゲート電極を形成するゲート電極形成工程
を含むことを特徴としている。
【0021】請求項11記載の発明は、請求項8又は9
記載の電界効果型トランジスタを製造するための方法に
係り、上記p型高濃度領域形成工程の後に、該両p型高
濃度領域の略中央部の前記キャップ層に絶縁型ゲート電
極を形成するゲート電極形成工程を含むことを特徴とし
ている。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施の形態について説明する。説明は実施例を用いて
具体的に行う。 ◇第1の実施例 図1は、この発明の第1実施例である電界効果型トラン
ジスタの構成を示す断面図、図2は同電界効果型トラン
ジスタのエネルギーバンドを示す図、また、図3
(a)、(b)及び図4(a)、(b)は、同電界効果
型トランジスタの製造方法を工程順に示す工程図であ
る。この例の電界効果型トランジスタは、図1に示すよ
うに、例えば結晶方位が(100)のゲルマニウム基板
1上に、バッファ層としての膜厚が略500nmのゲル
マニウム層2が形成され、同ゲルマニウム層2を介して
膜厚が略10nmのチャネル層としてのシリコン・ゲル
マニウム(組成比Si:0.2、Ge:0.8)層3及
び同シリコン・ゲルマニウム層3上に膜厚が略20nm
のキャップ層としてのシリコン・ゲルマニウム(組成比
Si:0.4、Ge:0.6)層4が形成されている。
これにより、バッファ層としてのゲルマニウム層2とチ
ャネル層としてのシリコン・ゲルマニウム層3との間、
同シリコン・ゲルマニウム層3とキャップ層としてのシ
リコン・ゲルマニウム層4との間には各々ヘテロ接合が
形成されている。
【0023】ここで、キャップ層としてのシリコン・ゲ
ルマニウム層4は、後述するように、チャネル層として
のシリコン・ゲルマニウム層3に正孔5を蓄積するため
に形成されており、これはシリコン・ゲルマニウム層4
の少なくとも一部に硼素などのp型不純物を導入するこ
とによりp型化されている。
【0024】キャップ層としてのシリコン・ゲルマニウ
ム層4の略中央部には、ゲート電極6が形成されてい
る。同ゲート電極6は、例えばチタン膜7、白金膜8及
び金膜9が各々100nmの膜厚に堆積されて形成され
ている。これによって、ショッキーバリアからなるゲー
ト電極が構成される。ゲート電極6の両側のシリコン・
ゲルマニウム層3、4の位置には、各々ソース及びドレ
イン電極をオーミック接続するための高濃度領域となる
領域11、12が形成されている。そして、各p
領域11、12には、アルミニウムなどからなるソース
電極13及びドレイン電極14が形成されている。15
は酸化膜などからなる表面保護用の絶縁膜である。これ
により、ショッキーバリアゲート型電界効果型トランジ
スタが構成されている。
【0025】ここで、図5に示すように、チャネル層及
びキャップ層を構成するシリコン・ゲルマニウム層は、
シリコンの組成比(横軸)が大きくなるほど、格子定数
は小さくなる。また、図6に示すように、シリコンの組
成比(横軸)が大きくなるほど、エネルギーバンドキャ
ップ(以下、バンドキャップとも称する)は大きくな
る。なお、同図で、Aは圧縮された状態における特性、
Bは格子緩和された状態における特性を示している。
【0026】したがって、チャネル層となるシリコン・
ゲルマニウム層3は、この直下のゲルマニウム層2より
も格子定数が小さいため、同ゲルマニウム層2によって
引っ張り歪みを受ける。また、同ゲルマニウム層2より
もシリコン・ゲルマニウム層3のバンドキャップが大き
いため、ゲルマニウム層2とシリコン・ゲルマニウム層
3との間のヘテロ接合においては、エネルギーバンドで
価電子帯上端及び伝導帯下端にヘテロ接合特有の不連続
が生じる。さらに、キャップ層となるシリコン・ゲルマ
ニウム層4がこの直下のチャネル層となるシリコン・ゲ
ルマニウム層3よりも格子定数が小さいため、同シリコ
ン・ゲルマニウム層3はさらに引っ張り歪みを受けるよ
うになる。また、同シリコン・ゲルマニウム層層3より
もキャップ層となるシリコン・ゲルマニウム層4のバン
ドキャップが大きいため、両シリコン・ゲルマニウム層
3、4間のヘテロ接合においては、上述した場合と同様
に、エネルギーバンドで価電子帯上端及び伝導帯下端に
ヘテロ接合特有の不連続が生じる。
【0027】そして、上述したようにキャップ層となる
シリコン・ゲルマニウム層4はp型化されているので、
図2に示すように、ヘテロ接合のシリコン・ゲルマニウ
ム層3のエネルギーバンド23の価電子帯上端にはキャ
リアとしての正孔5が蓄積される。なお、22はゲルマ
ニウム層2のエネルギーバンド、24はシリコン・ゲル
マニウム層4のエネルギーバンド、25はゲート電極6
のエネルギーバンドを示している。同ゲート電極5のレ
ベルは、電界効果型トランジスタの動作時のゲート電圧
の変化に応じて上下する。
【0028】一般に、格子緩和したシリコン層、ゲルマ
ニウム層又はシリコン・ゲルマニウム層では、重い正孔
と軽い正孔は縮退しているが、圧縮歪みを加えた状態で
は、軽い正孔が重い正孔に比べてエネルギー的に下に下
がる。一方、各層に引っ張り歪みを加えた状態では、軽
い正孔が重い正孔に比べてエネルギー的に上に上がる。
したがって、この例のように、引っ張り歪みを加えた
シリコン・ゲルマニウム層4をチャネル層とすることに
より、上述のように縮退している場合及び圧縮歪みを加
えた場合に比べて、正孔移動度は増加するようになる。
【0029】このように、この例の電界効果型トランジ
スタの構成によれば、ゲート電極6に加えるゲート電圧
を変化させることにより、上述のように蓄積されている
正孔5を変調することが可能となり、引っ張り歪みを受
けたシリコン・ゲルマニウム層3をチャネル層として用
いることによって、同シリコン・ゲルマニウム層3には
軽い正孔がキャリアとして蓄積されるので、正孔移動度
を増加させることができるようになる。それゆえ、高速
性に優れたpチャネル型電界効果型トランジスタが得ら
れる。
【0030】次に、図3(a)、(b)及び図4
(a)、(b)を参照して、同電界効果型トランジスタ
の製造方法について工程順に説明する。まず、図3
(a)に示すように、例えば結晶方位が(100)のゲ
ルマニウム基板1を用いて、エピタキシャル法により、
膜厚が略500nmのバッファ層としてのゲルマニウム
層2、膜厚が略10nmのチャネル層としてのシリコン
・ゲルマニウム(組成比Si:0.2、Ge:0.8)
層3及び同シリコン・ゲルマニウム層3上に膜厚が略2
0nmのキャップ層としてのシリコン・ゲルマニウム
(組成比Si:0.4、Ge:0.6)層4を順次に成
長させる。
【0031】同シリコン・ゲルマニウム層4の成長時
に、同時にp型不純物源として硼素をドーピングして、
同シリコン・ゲルマニウム層4をp型化する。この場
合、硼素のドーピングはシリコン・ゲルマニウム層4に
対してのみ行って、チャネル層としてのシリコン・ゲル
マニウム層3には行わないようにする。これによって、
図3(b)に示すように、シリコン・ゲルマニウム層3
にはキャリアとしての正孔5が蓄積される。なお、硼素
をシリコン・ゲルマニウム層4の成長と同時にドーピン
グする代わりに、予め同シリコン・ゲルマニウム層4を
成長させた後に、同シリコン・ゲルマニウム層4に硼素
をイオン打ち込みして導入するようにしても良い。次
に、図4(a)に示すように、シリコン・ゲルマニウム
層4上にフォトレジスト膜17を塗布した後所望の形状
にパターニングして、同フォトレジスト膜17をマスク
として、p型不純物源として二弗化硼素(BF2)を用
いて、キャップ層としてのシリコン・ゲルマニウム層4
及びチャネル層としてのシリコン・ゲルマニウム層3よ
りも深くイオン打ち込みして、ソースオーミック接続用
のp領域11及びドレインオーミック接続用のp
域12を形成する。
【0032】次に、図4(b)に示すように、フォトレ
ジスト膜17を除去した後、キャップ層としてのシリコ
ン・ゲルマニウム層4の略中央部に、ショットキーバリ
アからなるゲート電極6を形成する。これには、以下の
ようなリフトオフ法を利用して行う。まず、CVD(Che
mical Vapor Deposition)法などにより、酸化膜などの
絶縁膜15を全面に成膜した後、同絶縁膜15のゲート
電極6を形成すべき位置を除いてレジスト膜で覆う。続
いて、蒸着法、CVD法などにより例えばチタン膜7、
白金膜8及び金膜9を各々100nmの膜厚に順次に堆
積した後、レジスト膜を除去することにより同時に同レ
ジスト膜上の各膜7、8、9も除去されて所望のパター
ンのゲート電極6が形成される。なお、リフトオフ法に
代えて、予め絶縁膜15の全面に各膜7、8、9を堆積
した後、フォトリソグラフィ法によって各膜8、9、1
0の不要部を除去することにより、所望のパターンのゲ
ート電極6を形成するようにしても良い。
【0033】次に、各p領域11、12の表面の絶縁
膜15に、上述のリフトオフ法により、ソース電極13
及びドレイン電極14を形成することにより、この例の
電界効果型トランジスタが製造される。
【0034】このように、この例の電界効果型トランジ
スタの製造方法によれば、ゲルマニウム基板1上にバッ
ファ層としてのゲルマニウム層2を介して、チャネル層
としてのシリコン・ゲルマニウム(組成比Si:0.
2、Ge:0.8)層3及び同シリコン・ゲルマニウム
層3上にキャップ層としてのシリコン・ゲルマニウム
(組成比Si:0.4、Ge:0.6)層4が形成され
ているので、チャネル層としてのシリコン・ゲルマニウ
ム層3に引っ張り歪みが加わるようになる。したがっ
て、相補型回路を構成するpチャネル型電界効果型トラ
ンジスタを製造する場合、チャネル層としてのゲルマニ
ウムを主成分とする半導体層の正孔移動度を増加させる
ことができるようになる。
【0035】◇第2の実施例 図7は、この発明の第2実施例である電界効果型トラン
ジスタの構成を示す断面図、図8は同電界効果型トラン
ジスタのエネルギーバンドを示す図である。同電界効果
型トランジスタが、第1実施例のそれと大きく異なると
ころは、ゲート電極として絶縁型ゲート電極を形成する
ようにした点である。すなわち、図7に示すように、ソ
ース電極13とドレイン電極14との間の略中央部の、
キャップ層としてのシリコン・ゲルマニウム層4上に
は、CVD法又はスパッタ法などにより堆積された酸化
膜からなるゲート絶縁膜18を介してアルミニウムなど
からなるゲート電極6が形成されている。この例の場
合、エネルギーバンドは図8に示すようになる。28は
ゲート絶縁膜18のエネルギーバンドである。
【0036】この例の電界効果型トランジスタを製造す
るには、図3(b)の工程の直後に、CVD法又はスパ
ッタ法などにより酸化膜を堆積した後、図4(b)の工
程において同酸化膜上にゲート電極6を形成するように
すれば良い。これ以外は、上述した第1実施例と略同じ
であるので、図7において、図1の構成部分と対応する
部分には同一の番号を付してその説明を省略する。
【0037】このように、この例の構成によっても、上
述した第1実施例において述べたと略同様の効果を得る
ことができる。加えて、この例の構成によれば、絶縁型
ゲート構造を有しているので、ゲート耐圧を向上させる
ことができる。また、キャリアである正孔はゲート絶縁
膜との界面近傍を走行しないので、その界面に存在する
界面準位の散乱を受けにくくなる。
【0038】◇第3の実施例 図9は、この発明の第3実施例である電界効果型トラン
ジスタの構成を示す断面図、図10は同電界効果型トラ
ンジスタのエネルギーバンドを示す図である。同電界効
果型トランジスタが、第2実施例のそれと大きく異なる
ところは、絶縁型ゲート電極を予め成膜した多結晶シリ
コン膜を熱酸化して形成した絶縁膜上に形成するように
した点である。すなわち、図9に示すように、キャップ
層としてのシリコン・ゲルマニウム層4上には、エピタ
キシャル法などにより予め膜厚が略10nmの単結晶シ
リコン膜19が成膜されて、同シリコン膜19が熱酸化
により形成された酸化膜からなるゲート絶縁膜20を介
してゲート電極6が形成されている。この例の場合、エ
ネルギーバンドは図10に示すようになる。29及び3
0は各々単結晶シリコン膜19及びゲート絶縁膜20の
エネルギーバンドである。この例の電界効果型トランジ
スタを製造するには、図3(b)の工程の直後に、エピ
タキシャル法などにより単結晶シリコン膜19を成膜し
て同シリコン膜19を熱酸化して酸化膜を形成した後、
図4(b)の工程において同酸化膜上にゲート電極6を
形成するようにすれば良い。なお、単結晶シリコン膜1
9に代えて多結晶シリコン膜を用いることもできる。
【0039】このように、この例の構成によっても、上
述した第2実施例において述べたと略同様の効果を得る
ことができる。加えて、この例の構成によれば、第2実
施例よりもゲート絶縁膜との界面に存在する界面準位密
度が低くなるので、その界面に存在する界面準位の散乱
を受けにくくなるため、高ドレイン電流密度動作時の特
性劣化を防止できる。
【0040】◇第4の実施例 図11は、この発明の第4実施例である電界効果型トラ
ンジスタの構成を示す断面図、また、図12は、同電界
効果型トランジスタのエネルギーバンドを示す図であ
る。この例の電界効果型トランジスタの構成が、上述の
第1実施例のそれと大きく異なるところは、チャネル層
として純ゲルマニウム層を用いるようにした点である。
すなわち、この例の電界効果型トランジスタは、図11
に示すように、例えば結晶方位が(100)のゲルマニ
ウム基板1上に、バッファ層としての膜厚が略500n
mのゲルマニウム層2が形成され、同ゲルマニウム層2
を介して膜厚が略1μmの格子緩和層としてのシリコン
・スズ(組成比Si:0.7、Sn:0.3)層16、
同シリコン・スズ層16上に膜厚が略10nmのチャネ
ル層としての純ゲルマニウム層10及び同純ゲルマニウ
ム層10上に膜厚が略20nmのキャップ層としてのシ
リコン・ゲルマニウム(組成Si:0.4、Ge:0.
6)層4が形成されている。これにより、バッファ層と
してのゲルマニウム層2と格子緩和層としてのシリコン
・スズ層16との間、同シリコン・スズ層16とチャネ
ル層としての純ゲルマニウム層10との間、同純ゲルマ
ニウム層10とキャップ層としてのシリコン・ゲルマニ
ウム層4との間には各々ヘテロ接合が形成されている。
【0041】キャップ層としてのシリコン・ゲルマニウ
ム層4の少なくとも一部には硼素などのp型不純物が導
入されてp型化されており、これによって、チャネル層
としての純ゲルマニウム層10に正孔5が蓄積されるよ
うになっている。
【0042】ここで、図13に示すように、格子緩和層
を構成するシリコン・スズ層16は、シリコンの組成比
xが大きくなるほど、格子定数は小さくなる。また、図
14に示すように、シリコンの組成比xが大きくなるほ
ど、バンドキャップは大きくなる。
【0043】したがって、チャネル層となる純ゲルマニ
ウム層10は、この直下のシリコン・スズ層16よりも
格子定数が小さいため、同シリコン・スズ層16によっ
て引っ張り歪みを受ける。また、同ゲルマニウム層10
よりもシリコン・ゲルマニウム層4のバンドキャップが
大きいため、純ゲルマニウム層10のエネルギーバンド
40は、図12に示すように、シリコン・スズ層16の
エネルギーバンド36とシリコン・ゲルマニウム層4の
エネルギーバンド24との間に挟まれた井戸層となる。
そして、上述したようにキャップ層となるシリコン・ゲ
ルマニウム層4はp型化されているので、図11に示す
ように、チャネル層としての純ゲルマニウム層10には
キャリアとしての正孔5が蓄積される。
【0044】このように、この例の電界効果型トランジ
スタの構成によれば、ゲート電極6に加えるゲート電圧
を変化させることにより、上述のように蓄積されている
正孔5を変調することが可能となり、引っ張り歪みを受
けた純ゲルマニウム層10をチャネル層として用いるこ
とによって、同ゲルマニウム層10には軽い正孔がキャ
リアとして蓄積されるので、正孔移動度を増加させるこ
とができる。それゆえ、高速性に優れたpチャネル型電
界効果型トランジスタが得られる。
【0045】この例の電界効果型トランジスタを製造す
るには、図3(a)の工程において、バッファ層として
のゲルマニウム層2上に、膜厚が略1μmの格子緩和層
としてのシリコン・スズ(組成比Si:0.7、Sn:
0.3)層16、膜厚が略10nmのチャネル層として
の純ゲルマニウム層10及び膜厚が略20nmのキャッ
プ層としてのシリコン・ゲルマニウム(組成比Si:
0.4、Ge:0.6)層4を順次に成長させる。そし
て、図3(b)〜図4(b)と略同様な工程を実施すれ
ば良い。
【0046】このように、この例の電界効果型トランジ
スタの製造方法によれば、ゲルマニウム基板1上にバッ
ファ層としてのゲルマニウム層2を介して、格子緩和層
としてのシリコン・スズ(組成比Si:0.7、Sn:
0.3)層16、同シリコン・スズ層16上にチャネル
層としての純ゲルマニウム層10及び同純ゲルマニウム
層10上にキャップ層としてのシリコン・ゲルマニウム
(組成比Si:0.4、Ge:0.6)層4が形成され
ているので、チャネル層としての純ゲルマニウム層10
に引っ張り歪みが加わるようになる。それゆえ、上述の
第1実施例において述べたと略同様の効果を得ることが
できる。加えて、この例によれば、純ゲルマニウム層を
チャネル層として用いるので、合金散乱がないため、さ
らに正孔移動度を大きくできる。
【0047】◇第5の実施例 図15は、この発明の第5実施例である電界効果型トラ
ンジスタの構成を示す断面図、また、図16は、同電界
効果型トランジスタのエネルギーバンドを示す図であ
る。この例の電界効果型トランジスタの構成が、上述の
第4実施例のそれと大きく異なるところは、ゲート電極
として絶縁型ゲート電極を形成するようにした点であ
る。すなわち、図15に示すように、ソース電極13と
ドレイン電極14との間の略中央部の、キャップ層とし
てのシリコン・ゲルマニウム層4上には、CVD法又は
スパッタ法などにより堆積された酸化膜からなるゲート
絶縁膜18を介してアルミニウムなどからなるゲート電
極6が形成されている。この例の場合、エネルギーバン
ドは図16に示すようになる。この例の電界効果型トラ
ンジスタを製造するには、図3(b)の工程の直後に、
CVD法又はスパッタ法などにより酸化膜を堆積した
後、図4(b)の工程において同酸化膜上にゲート電極
6を形成するようにすれば良い。
【0048】このように、この例の構成によっても、第
4実施例において述べたと略同様の効果を得ることがで
きる。加えて、この例によれば、絶縁型ゲート構造を有
しているので、ゲート耐圧を向上させることができる。
また、キャリアである正孔はゲート絶縁膜との界面近傍
を走行しないので、その界面に存在する界面準位の散乱
を受けにくい。
【0049】◇第6の実施例 図17は、この発明の第6実施例である電界効果型トラ
ンジスタの構成を示す断面図、また、図18は、同電界
効果型トランジスタのエネルギーバンドを示す図であ
る。この例の電界効果型トランジスタの構成が、第5実
施例のそれと大きく異なるところは、絶縁型ゲート電極
を予め成膜した多結晶シリコン膜を熱酸化して形成した
絶縁膜上に形成するようにした点である。すなわち、図
17に示すように、キャップ層としてのシリコン・ゲル
マニウム層4上には、エピタキシャル法などにより予め
膜厚が略10nmの単結晶シリコン膜19が成膜され
て、同シリコン膜19が熱酸化により形成された酸化膜
からなるゲート絶縁膜20を介してゲート電極6が形成
されている。この例の場合、エネルギーバンドは図18
に示すようになる。この例の電界効果型トランジスタを
製造するには、図3(b)の工程の直後に、エピタキシ
ャル法などにより単結晶シリコン膜19を成膜して同シ
リコン膜を熱酸化して酸化膜を形成した後、図4(b)
の工程において同酸化膜上にゲート電極6を形成するよ
うにすれば良い。なお、単結晶シリコン膜19に代えて
多結晶シリコン膜を用いることもできる。
【0050】このように、この例の構成によっても、第
5実施例において述べたのと略同様の効果を得ることが
できる。加えて、この例によれば、第5実施例よりもゲ
ート絶縁膜との界面に存在する界面準位密度が低くなる
ので、その界面に存在する界面準位の散乱を受けにくく
なるため、高ドレイン電流密度動作時の特性劣化を防止
できる。
【0051】以上、この発明の実施例を図面により詳述
してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるもの
ではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更などがあってもこの発明に含まれる。例えば、上述の
実施例では、チャネル層としてのシリコン・ゲルマニウ
ム層には、シリコンの組成比が0.2の合金を用いた
が、これに限らず、この出願に係る発明者の実験によれ
ば、シリコンの組成比が0.1〜0.3の範囲なら、上
述した実施例の場合と略同様の効果を得ることができ
る。しかしながら、チャネル層としてのシリコン・ゲル
マニウム層のシリコン組成比が、0.1〜0.3の範囲
外であっても、この発明範囲に含まれる。チャネル層を
構成するシリコンの組成比0.1〜0.3なる範囲は、
好適な範囲を述べたに過ぎない。
【0052】同様に、上述の実施例においては、キャッ
プ層としてのシリコン・ゲルマニウム層には、シリコン
の組成比が0.4の合金を用いたが、これに限らず、こ
の発明者の実験によれば、シリコンの組成比が0.3〜
0.5の範囲なら、上述した実施例の場合と略同様の効
果を得ることができる。しかしながら、キャップ層とし
てのシリコン・ゲルマニウム層のシリコン組成比が0.
3〜0.5の範囲外であっても、この発明範囲に含まれ
る。要するに、チャネル層に対してキャップ層の方が、
シリコンの比率が大きくなる関係が維持されれば良い。
また、チャネル層としてのシリコン・ゲルマニウム層又
は純ゲルマニウム層の膜厚は、格子緩和しない最大膜厚
値以下に選ばれていれば良い。
【0053】また、上述の実施例では、格子緩和層とし
てのシリコン・スズ層には、シリコンの組成比が0.4
の合金を用いたが、これに限らず、この発明者の実験に
よれば、シリコンの組成比が0.6〜0.8の範囲な
ら、上述した実施例の場合と略同様の効果を得ることが
できる。しかしながら、格子緩和層としてのシリコン・
スズ層のシリコンの組成比が0.6〜0.8の範囲外で
あっても、この発明範囲に含まれる。また、キャップ層
に導入するp型不純物は硼素に限ることはない。また、
ショットキーバリア型ゲート電極又は絶縁型ゲート電極
を形成する金属は、各実施例で示した例に限らず、通常
の電界効果型トランジスタの電極材料として用いられて
いるものなら適用できる。また、基板又はバッファ層と
してはゲルマニウムに限らず、シリコン・ゲルマニウム
合金などの他の半導体材料を用いることが可能である。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の電界効
果型トランジスタ及びその製造方法によれば、半導体基
板上にバッファ層を介して、チャネル層としてのシリコ
ン・ゲルマニウム層及び同シリコン・ゲルマニウム層上
にキャップ層としてのシリコン・ゲルマニウム層が形成
されているので、チャネル層としてのシリコン・ゲルマ
ニウム層に引っ張り歪みが加わるようになる。また、半
導体基板上にバッファ層を介して、格子緩和層としての
シリコン・スズ層、同シリコン・スズ層上にチャネル層
としての純ゲルマニウム層及び同純ゲルマニウム層上に
キャップ層としてのシリコン・ゲルマニウム層が形成さ
れているので、上述の場合と略同様に、チャネル層とし
ての純ゲルマニウム層に引っ張り歪みが加わるようにな
る。したがって、相補型回路を構成するpチャネル型電
界効果型トランジスタを製造する場合、チャネル層とし
てのゲルマニウムを主成分とする半導体層の正孔移動度
を増加させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例である電界効果型トラ
ンジスタの構成を示す断面図である。
【図2】同電界効果型トランジスタのエネルギーバンド
を示す図である。
【図3】同電界効果型トランジスタの製造方法を工程順
に示す工程図である。
【図4】同電界効果型トランジスタの製造方法を工程順
に示す工程図である。
【図5】シリコン・ゲルマニウム合金における組成比と
格子定数との関係を示す図である。
【図6】シリコン・ゲルマニウム合金における組成比と
バンドキャップとの関係を示す図である。
【図7】この発明の第2の実施例である電界効果型トラ
ンジスタの構成を示す断面図である。
【図8】同電界効果型トランジスタのエネルギーバンド
を示す図である。
【図9】この発明の第3の実施例である電界効果型トラ
ンジスタの構成を示す断面図である。
【図10】同電界効果型トランジスタのエネルギーバン
ドを示す図である。
【図11】この発明の第4の実施例である電界効果型ト
ランジスタの構成を示す断面図である。
【図12】同電界効果型トランジスタのエネルギーバン
ドを示す図である。
【図13】シリコン・スズ合金における組成比と格子定
数との関係を示す図である。
【図14】シリコン・スズ合金における組成比とバンド
キャップとの関係を示す特性図である。
【図15】この発明の第5の実施例である電界効果型ト
ランジスタの構成を示す断面図である。
【図16】同電界効果型トランジスタのエネルギーバン
ドを示す図である。
【図17】この発明の第6の実施例である電界効果型ト
ランジスタの構成を示す断面図である。
【図18】同電界効果型トランジスタのエネルギーバン
ドを示す図である。
【図19】従来の電界効果型トランジスタのエネルギー
バンドを示す図である。
【符号の説明】
1 ゲルマニウム基板 2 ゲルマニウム層(バッファ層) 3 シリコン・ゲルマニウム層(チャネル層) 4 シリコン・ゲルマニウム層(キャップ層) 5 正孔(キャリヤ) 6 ゲート電極 7 チタン膜 8 白金膜 9 金膜 10 純ゲルマニウム層 11 p領域(ソースオーミック接続用高濃度領
域) 12 p領域(ドレインオーミック接続用高濃度
領域) 13 ソース電極 14 ドレイン電極 15 絶縁膜 16 シリコン・スズ層(格子緩和層) 17 フォトレジスト膜 18 ゲート絶縁膜(堆積膜) 19 単結晶シリコン膜 20 ゲート絶縁膜(熱酸化膜) 22 ゲルマニウム層2のエネルギーバンド 23 シリコン・ゲルマニウム層3のエネルギーバ
ンド 24 シリコン・ゲルマニウム層4のエネルギーバ
ンド 25 ゲート電極5のエネルギーバンド 28 ゲート絶縁膜18のエネルギーバンド 29 単結晶シリコン層19のエネルギーバンド 30 ゲート絶縁膜20のエネルギーバンド 36 シリコン・スズ層16のエネルギーバンド 40 純ゲルマニウム層10のエネルギーバンド

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上に成膜された半導体層にヘ
    テロ接合が形成される電界効果型トランジスタであっ
    て、 前記半導体層は、前記半導体基板上にバッファ層を介し
    て成膜された第1のシリコン・ゲルマニウム層からなる
    チャネル層と、該チャネル層上に成膜されて該チャネル
    層よりもシリコンの組成比が高い第2のシリコン・ゲル
    マニウム層からなるキャップ層とからなり、該キャップ
    層にp型不純物が導入されていることを特徴とする電界
    効果型トランジスタ。
  2. 【請求項2】 半導体基板上に成膜された半導体層にヘ
    テロ接合が形成される電界効果型トランジスタであっ
    て、 前記半導体層は、前記半導体基板上にバッファ層を介し
    て成膜されたシリコン・スズ層からなる格子緩和層と、
    該格子緩和層上に成膜されて純ゲルマニウム層からなる
    チャネル層と、該チャネル層上に成膜されて該チャネル
    層よりも格子定数が小さく、かつバンドキャップの大き
    いシリコン・ゲルマニウム層からなるキャップ層とから
    なり、該キャップ層にp型不純物が導入されていること
    を特徴とする電界効果型トランジスタ。
  3. 【請求項3】 前記キャップ層に直接にゲート電極が形
    成される一方、該ゲート電極の両側の前記チャネル層に
    ソース電極及びドレイン電極が形成されていることを特
    徴とする請求項1又は2記載の電界効果型トランジス
    タ。
  4. 【請求項4】 前記キャップ層に絶縁型ゲート電極が形
    成される一方、該絶縁型ゲート電極の両側の前記チャネ
    ル層にソース電極及びドレイン電極が形成されているこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の電界効果型トラン
    ジスタ。
  5. 【請求項5】 前記第1のシリコン・ゲルマニウム層が
    0.1〜0.3のシリコン組成比を有してなる一方、前
    記第2のシリコン・ゲルマニウム層が0.3〜0.5の
    シリコン組成比を有してなることを特徴とする請求項
    1、3又は4記載の電界効果型トランジスタ。
  6. 【請求項6】 前記シリコン・スズ層が、0.6〜0.
    8のシリコン組成比を有してなる一方、前記シリコン・
    ゲルマニウム層が、0.3〜0.5のシリコン組成比を
    有してなることを特徴とする請求項2、3又は4記載の
    電界効果型トランジスタ。
  7. 【請求項7】 前記半導体基板及びバッファ層は、とも
    にゲルマニウムからなることを特徴とする請求項1乃至
    6のいずれか1に記載の電界効果型トランジスタ。
  8. 【請求項8】 半導体基板上にバッファ層を介してチャ
    ネル層としての第1のシリコン・ゲルマニウム層及び該
    第1のシリコン・ゲルマニウム層よりもシリコンの組成
    比が高いキャップ層としての第2のシリコン・ゲルマニ
    ウム層を順次に成膜するシリコン・ゲルマニウム層成膜
    工程と、 前記第2のシリコン・ゲルマニウム層に対してp型不純
    物を導入するp型不純物導入工程と、 前記第2のシリコン・ゲルマニウム層及び前記第1のシ
    リコン・ゲルマニウム層にソースオーミック接続用のp
    型高濃度領域及びドレインオーミック接続用のp型高濃
    度領域を形成するp型高濃度領域形成工程とを含むこと
    を特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法。
  9. 【請求項9】 半導体基板上にバッファ層を介して格子
    緩和層としてのシリコン・スズ層、チャネル層としての
    純ゲルマニウム層及び該純ゲルマニウム層よりも格子定
    数が小さく、かつバンドキャップの大きいキャップ層と
    してのシリコン・ゲルマニウム層を順次に成膜する半導
    体層成膜工程と、 前記シリコン・ゲルマニウム層に対してp型不純物を導
    入するp型不純物導入工程と、 前記シリコン・ゲルマニウム層及び前記純ゲルマニウム
    層にソースオーミック接続用のp型高濃度領域及びドレ
    インオーミック接続用のp型高濃度領域を形成するp型
    高濃度領域形成工程とを含むことを特徴とする電界効果
    型トランジスタの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記p型高濃度領域形成工程の後に、
    該両p型高濃度領域の略中央部の前記キャップ層にショ
    ットキーバリアからなるゲート電極を形成するゲート電
    極形成工程を含むことを特徴とする請求項8又は9記載
    の電界効果型トランジスタの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記p型高濃度領域形成工程の後に、
    該両p型高濃度領域の略中央部の前記キャップ層に絶縁
    型ゲート電極を形成するゲート電極形成工程を含むこと
    を特徴とする請求項8又は9記載の電界効果型トランジ
    スタの製造方法。
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