JP2000066660A - 鍵盤装置 - Google Patents

鍵盤装置

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JP2000066660A
JP2000066660A JP10249067A JP24906798A JP2000066660A JP 2000066660 A JP2000066660 A JP 2000066660A JP 10249067 A JP10249067 A JP 10249067A JP 24906798 A JP24906798 A JP 24906798A JP 2000066660 A JP2000066660 A JP 2000066660A
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和宏 若生
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法三 上村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄肉部の破壊強度を高め、かつ指先への反力
を理想的な状態に近づけて演奏し易くする。 【解決手段】 鍵2の後部に設けられた薄肉部20をそ
の前端Bから後端Aに向けて一定の幅で厚みが次第に薄
くなるように形成した。従って、薄肉部20における曲
げモーメントの分布が薄肉部20の前端Bから後端Aに
向かって次第に小さくなる。このため、薄肉部20の前
端Bから後端Aに向かって疲労破壊しない曲げ応力(σ
c)が一定になるように薄肉部20の厚みを連続的に小
さくすることにより、薄肉部20の各部において一定の
曲げ応力(σc)が確保でき、薄肉部20の破壊強度を
高めることができる。また、薄肉部20の撓みと薄肉部
20の荷重との関係から、厚みが小さいほど荷重が小さ
くてすみ、曲げ応力(σc)と荷重とのバランスをとる
ことで、薄肉部の破壊強度を高めると同時に、指先への
反力を理想的な状態に近づけて演奏し易くできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子ピアノなど
の鍵盤楽器における鍵盤装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子ピアノなどの電子鍵盤楽器に
おいては、通常の押鍵後、更に鍵を押し込む力に応じ、
音高や音色、音量などを変化させ、発音中の音に各種の
効果を付加し、音の表現力を高めるアフタータッチ機能
を有するものがある。このような電子鍵盤楽器では、低
コスト化を図るために、鍵の後部に薄肉部を設け、この
薄肉部の後端部を鍵の配列方向に沿う連結部に連結し、
この連結部によりそれぞれ薄肉部を介して複数の鍵を一
体に形成したものが開発されている。図12および図1
3はその一例を示した図である。この電子鍵盤楽器は、
楽器ケース内に一体的に組み込まれる合成樹脂製の鍵盤
シャーシ1と、この鍵盤シャーシ1上に上下方向に回動
可能に取り付けられた合成樹脂製の複数の鍵(白鍵と黒
鍵、ただしこの従来例では白鍵について説明する。)2
と、これら複数の鍵2にそれぞれ対応して配置され、押
鍵時に各鍵2のスイッチ押圧部3により押圧される各2
組のゴムスイッチ4と、押鍵時に各鍵2の押鍵力を検出
するアフタータッチ用の感圧センサ5とを備えている。
【0003】複数の鍵2は、その後部(図12では右側
部)に薄肉部6がそれぞれ形成され、これら各薄肉部6
の後端部が鍵2の配列方向に沿う共通の連結部7に並列
に配置された状態で連結形成され、これにより、これら
が一体に成形されている。これら複数の鍵2は、連結部
7が鍵盤シャーシ1の後部上に鍵2の配列方向に沿って
設けられた取付部8上に取り付けられ、押鍵時に薄肉部
6をヒンジとして各鍵2が上下方向に回動するように鍵
盤シャーシ1上に配置されている。複数の鍵2にそれぞ
れ対応する2組のゴムスイッチ4は、鍵盤シャーシ1の
中間部の下面に設けられた回路基板9上に配置され、鍵
盤シャーシ1の開口部1aを通して上方に突出してい
る。すなわち、2組のゴムスイッチ4は、それぞれ弾性
変形可能な膨出ゴム内に固定接点と可動接点が設けら
れ、各膨出ゴムの上端部が鍵2の内面に形成された2つ
のスイッチ押圧部3に当接し、各膨出ゴムの弾性復帰力
によりスイッチ押圧部3を押し上げるように構成されて
いる。
【0004】アフタータッチ用の感圧センサ5は、押鍵
されて各ゴムスイッチ4がスイッチ押圧部3により押圧
された後、更に鍵2が押し込まれる力(以下、押鍵力と
いう)を検出するものであり、回路基板9の前側(図1
2では左側)における鍵盤シャーシ1の上面に各鍵2の
配列方向に沿って設けられている。なお、鍵盤シャーシ
1の中間部における下面には、フェルトなどの上限スト
ッパ10が感圧センサ5の下方に対応して設けられてい
る。この上限ストッパ10は、各膨出ゴムの弾性復帰力
および薄肉部6の弾性復帰力により鍵2が押し上げられ
ることにより、鍵2に形成されたL字状のストッパ片1
1が当接し、これにより鍵2を所定の上限位置(初期位
置)に位置規制している。また、感圧センサ5の近傍に
おける鍵盤シャーシ1上には、鍵2の横振れを防ぐ鍵ガ
イド12が設けられている。さらに、鍵盤シャーシ1の
前部(図12では左側部)には、フェルトなどの保護用
の下限ストッパ13が設けられている。
【0005】このような電子鍵盤楽器では、押鍵しない
状態のときには2組のゴムスイッチ4の各膨出ゴムの弾
性復帰力および薄肉部6の弾性復帰力により鍵2が押し
上げられ、鍵2のL字状のストッパ片11が鍵盤シャー
シ1の上限ストッパ10に当接し、これにより鍵2が初
期位置(上限位置)に位置規制されている。この状態
で、2組のゴムスイッチ4の弾性力および薄肉部6の弾
性力に抗して鍵2を押鍵すると、鍵2の後部の薄肉部6
をヒンジとして鍵2が下方に回動し、この鍵2の各スイ
ッチ押圧部3がゴムスイッチ4の各膨出ゴムを弾性変形
させて可動接点を固定接点に接触させ、これによりゴム
スイッチ4がスイッチ信号を出力し、押鍵された鍵2に
応じた音を発音する。この後、更に鍵2が押し込まれる
と、図13に示すように、感圧センサ5が押圧され、そ
の押圧力(鍵2の押し込み力)に応じて感圧センサ5が
電気信号を出力する。この感圧センサ5からの電気信号
に基づいて、音高や音色、音量などを変化させ、発音中
の音に各種の効果を付加し、音の表現力を高めている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな電子鍵盤楽器では、通常の押鍵力を越える過大な押
鍵荷重で繰り返し押鍵されると、ヒンジである薄肉部6
に発生する応力により薄肉部6が疲労破壊してしまうと
いう問題がある。すなわち、通常の押鍵では、鍵2が感
圧センサ5に当接するまでヒンジである薄肉部6が図1
4に示すように撓む。この撓んだ状態での薄肉部6にお
ける最大曲げモーメントは薄肉部6の後端Aに生じ、最
大曲げ応力σAも薄肉部6の後端Aに生じる。しかし、
アフタータッチ機能を効かせるために、更に押鍵し続け
ると、ゴムスイッチ4や感圧センサ5、および連結部7
に反力が生じ、これら反力と押鍵力、そしてこれらのモ
ーメントにより、図15に示すように薄肉部6が持ち上
げられ、薄肉部6の後端Aの曲げ応力σAのほかに、薄
肉部6の前端Bにも曲げ応力σBが発生する。このた
め、通常の押鍵条件下(曲げ応力σA)での繰り返し疲
労試験では、製品の想定回数を越えても疲労破壊は生じ
ないが、アフタータッチ機能の押鍵条件下(曲げ応力σ
B)での繰り返し疲労試験では、想定回数以下で破壊し
ていまう(図5参照)。
【0007】このような疲労破壊を回避するために、薄
肉部6の肉厚を厚くして応力の低下を防ぐことが考えら
れるが、図16に示すように、薄肉部6の肉厚tを均一
に厚くすると、薄肉部6を撓ませる荷重が大きくなり、
演奏しにくくなるという問題が生じる。すなわち、薄肉
部6はヒンジ(支点)としての機能を果たすと同時に押
鍵時に指先への反力を付加する機能をも併せもってい
る。押鍵時の指先への反力(モーメント)は、図17に
示すように、2組のゴムスイッチ4の反力G1P、G2
Pと薄肉部6の反力(HP)のモーメント値の和に等し
い。演奏者が演奏し易い鍵タッチは、指先への反力と押
鍵ストロークの関係で表すと、図18(a)に示すよう
に、押鍵直後に指先への反力が大となり、その後押鍵し
ても指先への反力はほとんど変化せず、押鍵終了まで一
定となるのが理想(同図の太線カーブC1)である。し
かし、応力の低下を防ぐために薄肉部6の肉厚tを図1
6に示すように均一に厚くすると、図18(b)に示す
ように、薄肉部6の反力(HP)が押鍵するにつれて増
大し、指先への反力が右上がりのカーブ(同図の太線カ
ーブC2)となり、演奏しにくくなってしまう。
【0008】この発明の課題は、薄肉部の破壊強度を高
めると同時に、指先への反力を理想的な状態に近づけて
演奏し易くすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、鍵の後部に
薄肉部を設け、押鍵時に前記薄肉部をヒンジとして前記
鍵が上下方向に回動する鍵盤装置において、前記薄肉部
を前記鍵の前側から後側に向けて断面積が次第に小さく
なるように形成したことを特徴する。この発明によれ
ば、薄肉部を鍵の前側から後側に向けて断面積が次第に
小さくなるように形成したので、薄肉部における曲げモ
ーメントの分布が薄肉部の前端から後端に向かって次第
に小さくなる。このため、例えば、薄肉部の前端で疲労
破壊しない曲げ応力(σc)を確保し、かつ曲げモーメ
ントの分布を考慮して、薄肉部の前端から後端に向かっ
て曲げ応力(σc)が一定になるように薄肉部の断面積
を連続的に小さくすることにより、薄肉部の各部におい
て一定の曲げ応力(σc)が確保でき、これにより薄肉
部の破壊強度を高めることができる。また、薄肉部の撓
みと薄肉部の荷重(以下、ヒンジ荷重という)との関係
から、断面積が小さいほどヒンジ荷重が小さくてすむの
で、従来のように薄肉部の肉厚を均一に厚くした場合に
比べてヒンジ荷重が下がり、疲労破壊しない曲げ応力
(σc)とヒンジ荷重とのバランスをとることで、薄肉
部の破壊強度を高めると同時に、指先への反力を理想的
な状態に近づけて演奏し易くすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図5を参照して、こ
の発明の鍵盤装置の一実施形態について説明する。な
お、図12〜図18に示された従来例と同一部分には同
一符号を付し、その説明は省略する。図1は鍵盤装置に
おける鍵の後部を示した拡大断面図、図2はその平面図
である。この鍵盤装置の鍵2は、その後部に薄肉部20
が形成され、この薄肉部20の後端部が鍵2の配列方向
に沿う共通の連結部7に連結形成されている。なお、こ
の鍵2は、従来例と同様、白鍵と黒鍵からなり、複数並
列に配置された状態で、これらがそれぞれ薄肉部20を
介して連結部7により一体に形成されている。
【0011】この鍵2の薄肉部20は、図1および図2
に示すように、鍵2の前端Bから後端Aに向けて、幅b
が一定で、厚みが次第に薄くなるように形成され、これ
により断面積が薄肉部20の前端Bから後端Aに向けて
次第に小さくなるように構成されている。この場合、薄
肉部20は、底面がほぼ水平に形成され、上面の前端B
側が高く後端A側が低くなるように、上面が傾斜し、こ
れにより前端Bの厚みhBが厚く、後端Aの厚みhAが薄
く形成されている。また、薄肉部20の前端Bにおける
上下の角部には、応力が集中しないように半径R1、R
2の肉付けが施されており、同様に、薄肉部20の後端
Aにおける上側の角部にも、半径R3の肉付けが施され
ている。これにより、薄肉部20の屈曲領域Sは、傾斜
した上面に対する半径R1、R2の肉付けの接点と半径
R3の肉付けの接点との間に設定されている。
【0012】ところで、この鍵盤装置のアフタータッチ
用の感圧センサ21は、図3および図4に示すように、
基材22上に電極板23を配置し、この電極板23上に
スペーサ24を介してセンサシート25を配置し、この
センサシート25上にフェルト26を配置した構成で、
全体が帯状に形成されている。この場合、電極板23
は、一対の櫛歯状電極23a、23bを互いに接触しな
いように噛み合わせた構成になっている。これに対向す
るセンサシート25の下面には、感圧層25aが設けら
れいる。スペーサ24は、電極板23とセンサシート2
5とのギャップを規制するとともに、その上下面に粘着
処理が施され、電極板23とセンサシート25とを接着
している。フェルト26は鍵2の下限ストッパの機能を
も兼ねている。
【0013】この感圧センサ21は、従来例と同様、鍵
盤シャーシ1上に鍵2の配列方向に沿って配置され、通
常の押鍵後、更に鍵2が押し込まれてフェルト26を介
してセンサシート25が押圧されると、センサシート2
5が撓み、その下面の感圧層25aが電極板23の一対
の電極23a、23bに跨って接触し、このときの接触
面積と接触圧力の大きさに応じて一対の電極23a、2
3b間の抵抗値が変化するように構成されている。な
お、この抵抗値の変化は電圧変換され、これがA/D回
路を経てCPUに取り込まれる。これにより、CPUが
楽音を変調する。
【0014】このような鍵盤装置では、従来例と同様、
鍵2が押鍵されると、鍵2の後部の薄肉部20をヒンジ
として鍵2が下方に回動し、この鍵2の各スイッチ押圧
部3によりゴムスイッチ4が弾性変形してスイッチ信号
を出力し、これにより押鍵された鍵2に応じた音を発音
する。この後、更に鍵2が押し込まれると、感圧センサ
21が押圧され、その押圧力に応じてセンサシート25
の感圧層25aが電極板23の一対の電極23a、23
bに接触し、このときの接触面積と接触圧力の大きさに
応じて一対の電極23a、23b間の抵抗値が変化し、
この抵抗値の変化を電圧変換して発音中の音に各種の効
果を付加し、音の表現力を高めることができる。この場
合、感圧センサ21は、センサシート25上に設けられ
たフェルト26が鍵2の下限ストッパの機能をも兼ねて
いるので、図12に示された従来例のような保護用の下
限ストッパ13が不要となり、部品点数の削減を図るこ
とができる。
【0015】また、この鍵盤装置では、通常の押鍵力を
越える過大な押鍵荷重で繰り返し押鍵しても、鍵2の薄
肉部20が、その前端Bから後端Aに向けて一定の幅
で、厚みが次第に薄くなるように形成されているので、
従来例のように薄肉部20に発生する応力により薄肉部
20が疲労破壊することはない。すなわち、通常の押鍵
では、鍵2が感圧センサ21に当接するまでヒンジであ
る薄肉部20が屈曲領域S中で撓み、この撓んだ状態で
の薄肉部20における最大曲げモーメントは薄肉部20
の後端Aに生じ、最大曲げ応力σAも薄肉部6の後端A
に生じるが、アフタータッチ機能を効かせるために、更
に押鍵し続けると、ゴムスイッチ4や感圧センサ21、
および連結部7に反力が生じ、これら反力と押鍵力、そ
してこれらのモーメントにより、薄肉部20が持ち上げ
られ(図15参照)、薄肉部20の前端Bにも曲げ応力
σが発生する。この薄肉部20の前端Bの曲げ応力σは
後端Aの曲げ応力σAに比べて大きく、疲労破壊しやす
いが、薄肉部20の前端Bの肉厚が厚く形成されている
ことにより、繰り返しの疲労破壊を起こしにくい。
【0016】これは、薄肉部20の前端Bの肉厚を厚く
することにより、応力の基本式における断面係数(Z)
が大きくなるからである。この曲げ応力(σ)の一般的
な基本式は、モーメントをMとすると、 σ=M/Z で表させる。断面係数Zは、薄肉部20の幅をb、厚み
をhとすると、 Z=b・h2/6 であり、モーメントMは、外力をPとし、ある点(支
点)から外力Pの作用点までの距離をLとすると、 M=P・L であり、これらから σ=M/Z=(6・P・L)/(b・h2) となる。この式では、Pは定数であり、L、b、hは変
数である。これら変数の中でL、bは1次的にしか影響
せず、hは2乗で影響している。よって、薄肉部20の
厚みhを厚くすることで、曲げ応力σを効率よく減少さ
せることができる。
【0017】一方、薄肉部20における撓み(δ)と荷
重(w)との関係は、梁の種類による撓み係数をβ、縦
弾性係数(ヤング率)をE、断面二次モーメントをIと
すると、 δ=(β・w・L3)/(E・I) となり、断面二次モーメントIは I=b・h3/12 であるから、 w={(δ・E・b)/(12・β・L3)}・h3 となる。このため、荷重wは、撓みδを一定にした場
合、厚みhの3乗に比例して増加することになる。
【0018】従って、従来例で説明したように、曲げ応
力を下げるために単に厚みを均一に厚くすると、図6の
直線T2、つまり図17(b)に示された薄肉部6の反
力HPの直線のように、薄肉部6を撓ませる荷重(ヒン
ジ荷重)が大きくなるが、この実施形態のように、薄肉
部20を前端Bから後端Aに向けて一定の幅で、厚みが
次第に薄くなるように形成することにより、薄肉部20
の前端Bで曲げモーメントが最大となり、薄肉部20の
後端Aに向かって曲げモーメントが次第に小さくなり、
薄肉部20の厚みhが小さい程、図6に示す直線T3の
ようにヒンジ荷重が小さくてすみ、図6に示す直線T
1、つまり図17(a)に示された薄肉部6の反力HP
の直線に近づけることができる。
【0019】このように、この鍵盤装置では、薄肉部2
0における曲げモーメントの分布が薄肉部20の前端B
から後端Aに向かって次第に小さくなり、図5に示すよ
うに、薄肉部20の前端Bで疲労破壊しない曲げ応力
(σc)を確保し、かつ曲げモーメントの分布を考慮し
て、薄肉部20の前端Bから後端Aに向かって曲げ応力
(σc=M/Z)が一定になるように薄肉部20の厚み
hを連続的に小さくすることにより、薄肉部20の各部
において一定の曲げ応力(σc)が確保でき、これによ
り薄肉部20の破壊強度を高めることができる。しか
も、薄肉部20の撓みとヒンジ荷重との関係から、薄肉
部20の厚みhが小さいほどヒンジ荷重が小さくてすむ
ので、従来のように薄肉部6の肉厚を均一に厚くした場
合に比べてヒンジ荷重が下がり、疲労破壊しない曲げ応
力(σc)とヒンジ荷重とのバランスをとることで、薄
肉部20の破壊強度を高めると同時に、指先への反力を
理想的な状態に近づけて演奏し易くすることができる。
【0020】なお、上記実施形態では、薄肉部20をそ
の前端Bから後端Aに向けて一定の幅で厚みが次第に薄
くなるように形成したが、これに限らず、例えば、図7
に示す第1変形例のように、薄肉部30をその中間部C
から後端Aに向けて一定の幅で厚みが次第に薄くなるよ
うに形成し、この薄肉部30の屈曲領域S1を中間部C
から後端Aにおける上面と半径R3の肉付けとの接点ま
での範囲に設定しても良い。この場合には、厚みが薄く
なり始める中間部Cに曲げ応力が集中し、この中間部C
が疲労破壊しやすくなる。そこで、薄肉部30の前端B
の曲げ応力とヒンジ荷重、および応力集中も併せて考慮
し、薄肉部30の前端Bから中間部Cまでの上面を前端
Bと中間部Cとに接する曲率半径Rの大きな円弧状に形
成すれば良い。なお、この場合にも、薄肉部30の前端
Bにおける上下の角部に応力が集中しないように半径R
1、R2の肉付けが施され、薄肉部30の後端Aにおけ
る上側の角部にも、半径R3の肉付けが施されている。
このように薄肉部30を形成しても、上記実施形態と同
様の作用効果を有する。
【0021】また、上記実施形態では、薄肉部20をそ
の前端Bから後端Aに向けて一定の幅で厚みが次第に薄
くなるように形成したが、これに限らず、例えば、図8
〜図11にそれぞれ示すように薄肉部を形成しても良
い。すなわち、図8(a)および図8(b)に示された
第2変形例のように、薄肉部31をその前端Bから後端
Aに向けて一定の厚みhで幅bが次第に狭くなるように
形成しても良く、また図9(a)および図9(b)に示
された第3変形例のように、薄肉部32をその前端Bか
ら後端Aに向けて厚みhと幅bの両者が次第に小さくな
るように形成しても良い。このようにしても、上記実施
形態と同様の作用効果を有する。
【0022】さらに、図10(a)〜図10(c)に示
された第4変形例のように、薄肉部33をその前端Bか
ら後端Aに向けて厚みhと幅bの両者が次第に小さくな
るように形成するとともに、薄肉部33の断面を前端B
から後端Aに向かって台形状から長方形状になるように
形成しても良い。このようにしても、上記実施形態と同
様の作用効果を有する。また、図11(a)〜図11
(c)に示された第5変形例のように、薄肉部34の断
面を均一な幅の凹状に形成し、この凹状の底部の厚みh
を均一に形成した上、その両側辺の凸部34aの厚みを
薄肉部34の前端Bから後端Aに向けて次第に薄くなる
ように形成しても良い。このようにしても、上記実施形
態とほぼ同様の作用効果があることは言うまでもない。
このように、鍵2の薄肉部は、その前端Bから後端Aに
向かって断面積が次第に小さくなるような形状であれ
ば、上記実施形態およびその各変形例のような形状であ
る必要はなく、円形状、楕円形状など、どのような形状
であっても良い。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、鍵の後部に薄肉部を設け、押鍵時に薄肉部をヒンジ
として鍵が上下方向に回動する鍵盤装置において、薄肉
部を鍵の前側から後側に向けて断面積が次第に小さくな
るように形成したので、薄肉部における曲げモーメント
の分布が薄肉部の前端から後端に向かって次第に小さく
なる。このため、例えば、薄肉部の前端で疲労破壊しな
い曲げ応力(σc)を確保し、かつ曲げモーメントの分
布を考慮して、薄肉部の前端から後端に向かって曲げ応
力(σc)が一定になるように薄肉部の断面積を連続的
に小さくすることにより、薄肉部の各部において一定の
曲げ応力(σc)が確保でき、これにより薄肉部の破壊
強度を高めることができる。また、薄肉部の撓みとヒン
ジ荷重との関係から、断面積が小さいほどヒンジ荷重が
小さくてすむので、従来のように薄肉部の肉厚を均一に
厚くした場合に比べてヒンジ荷重が下がり、疲労破壊し
ない曲げ応力(σc)とヒンジ荷重とのバランスをとる
ことで、薄肉部の破壊強度を高めると同時に、指先への
反力を理想的な状態に近づけて演奏し易くすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の鍵盤装置の一実施形態における鍵の
後部を示した拡大断面図。
【図2】図1の平面図。
【図3】図1の鍵を備えた鍵盤装置に組み込まれたアフ
タータッチ用の感圧センサの一部破断した拡大斜視図。
【図4】図3の拡大断面図。
【図5】図1の薄肉部の曲げ疲労曲線を示した図。
【図6】図1の薄肉部と従来の薄肉部とを比較するため
の鍵ストロークに対するヒンジ荷重を示した図。
【図7】この発明の鍵盤装置の鍵の薄肉部の第1変形例
を示した拡大断面図。
【図8】この発明の鍵盤装置の鍵の薄肉部の第2変形例
を示し、(a)はその拡大側面図、(b)はその平面
図。
【図9】この発明の鍵盤装置の鍵の薄肉部の第3変形例
を示し、(a)はその拡大側面図、(b)はその平面
図。
【図10】この発明の鍵盤装置の鍵の薄肉部の第4変形
例を示し、(a)はその拡大側面図、(b)はその平面
図、(c)は(b)におけるX1−X1およびX2−X
2の各断面図。
【図11】この発明の鍵盤装置の鍵の薄肉部の第5変形
例を示し、(a)はその拡大側面図、(b)はその平面
図、(c)は(b)におけるY1−Y1およびY2−Y
2の各断面図。
【図12】鍵盤装置の一例を示した断面図。
【図13】図12の鍵を押鍵した状態を示した概略図。
【図14】図12において従来の鍵の通常押鍵時におけ
る薄肉部の変形状態を示した拡大断面図。
【図15】図12において従来の鍵の通常押鍵後に、更
に鍵を押し込んだ状態における薄肉部の変形状態を示し
た拡大断面図。
【図16】図14の従来の鍵の薄肉部の肉厚を均一に厚
くした場合を示した図。
【図17】図12の鍵に作用する反力の位置を示した
図。
【図18】鍵ストロークに対する鍵反力の関係を示し、
(a)はその理想的な場合を示した図、(b)は鍵の薄
肉部の肉厚を均一に厚くした場合を示した図。
【符号の説明】
2 鍵 7 連結部 20、30〜35 薄肉部 21 感圧センサ A 薄肉部の後端 B 薄肉部の前端 h 薄肉部の厚み b 薄肉部の幅

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鍵の後部に薄肉部を設け、押鍵時に前記薄
    肉部をヒンジとして前記鍵が上下方向に回動する鍵盤装
    置において、 前記薄肉部を前記鍵の前側から後側に向けて断面積が次
    第に小さくなるように形成したことを特徴する鍵盤装
    置。
  2. 【請求項2】前記薄肉部は、その前端から後端に向けて
    厚みが次第に薄くなるように形成されていることを特徴
    とする請求項1記載の鍵盤装置。
  3. 【請求項3】前記薄肉部は、その前端から後端に向けて
    幅が次第に狭くなるように形成されていることを特徴と
    する請求項1または2記載の鍵盤装置。
  4. 【請求項4】前記薄肉部は、その中間部分から後端に向
    けて断面積が次第に小さくなるように形成されているこ
    とを特徴する請求項1記載の鍵盤装置。
  5. 【請求項5】前記薄肉部の後端部が連結される連結部を
    有し、この連結部に複数の前記鍵がそれぞれ前記薄肉部
    を介して一体に連結されていることを特徴する請求項1
    〜4のいずれか記載の鍵盤装置。
  6. 【請求項6】押鍵時に押鍵力を検出する感圧センサを備
    えていることを特徴する請求項1〜5のいずれか記載の
    鍵盤装置。
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