JP2000063621A - フェノール樹脂成形材料 - Google Patents

フェノール樹脂成形材料

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐トラッキング性、絶縁破壊強さ、耐燃性、
曲げ強さ、衝撃強さに優れたフェノール樹脂成形材料を
提供すること。 【解決手段】 成形材料中に、レゾール型フェノール樹
脂を25〜35重量%含有し、難燃成分として、200
℃以上で結晶水を放出する無機充填材を40重量%以上
含有し、且つその内の少なくとも1種類が、200℃以
上で20重量%以上の結晶水を放出する無機充填材であ
り、これを10重量%以上含有し、更に、ガラス繊維を
5〜15重量%、及びポリビニルブチラールを2〜5重
量%含有するフェノール樹脂成形材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁破壊強さ、耐
トラッキング性、耐燃性、強度に優れたフェノール樹脂
成形材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フェノール樹脂成形材料は、耐熱性、寸
法安定性、成形性等に優れ、自動車、電気、電子等の基
幹産業分野で長期にわたり使用されてきている。特に最
近では製品の信頼性に対する要求は厳しくなり、絶縁破
壊強さ、耐トラッキング性といった電気性能も要求され
つつある。
【0003】通常、電気特性が要求される部品には、不
飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラ
ミン樹脂、メラミン・フェノール樹脂といった、電気特
性に優れた樹脂を使用することが多いが、耐熱性、成形
性、コストなどの点で問題があり、フェノール樹脂成形
材料の優れた耐熱性、成形性を維持したまま、より高度
な耐トラッキング性、絶縁破壊強さ、耐燃性を付与する
ことが望まれている。また電子部品とりわけコイルボビ
ンといったものは電気特性の他に衝撃強さ、曲げ強さ等
の機械的強度も要求される。
【0004】レゾール樹脂を用いた成形材料の特徴は、
成形品からアンモニアガスを発生しない事に加え、含有
する無機充填材などのイオン性不純物を低く抑えること
により、電気特性とりわけ耐湿性、絶縁破壊強さがよい
ことを特徴としている。一般的には、充填材として積層
板の粉砕物、無機充填材などが多く用いられており、結
晶水を含有する無機充填材を配合することによりさらに
耐トラッキング性等を改良することも検討されている
(特開平7−68241号公報等)が、強度不足からも
ろいという問題もあり、必ずしも満足できるものではな
かった。
【0005】衝撃強さ、曲げ強さのみに注目すれば、従
来から用いられているガラス繊維を添加することで十分
な効果があるが、弾性率の増加により、硬く、脆いとい
う欠点が現れる。同様に成形品の撓み量を大きくするた
めに、NBR、SBRといったゴム成分を添加すること
により、撓み量とともに衝撃強さの向上を図ることが出
来るものの、曲げ強さが低下するという欠点が生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のレゾ
ール型フェノール樹脂を用いた成形材料のこのような問
題点を解決するために種々の検討の結果なされたもの
で、その目的とするところは、耐トラッキング性、絶縁
破壊強さ、耐燃性、曲げ強さ、衝撃強さ等の機械的強度
に優れたフェノール樹脂成形材料を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、成形材料中
に、レゾール型フェノール樹脂を25〜35重量%含有
し、難燃成分として、200℃以上で結晶水を放出する
無機充填材を40重量%以上含有し、且つその内の少な
くとも1種類が、200℃以上で20重量%以上の結晶
水を放出する無機充填材であり、これを10重量%以上
含有し、更に、ガラス繊維を5〜15重量%、及びポリ
ビニルブチラールを2〜5重量%含有することを特徴と
するフェノール樹脂成形材料に関するものである。
【0008】ここで使用するレゾール型フェノール樹脂
は通常のフェノール樹脂成形材料に使用されるもので、
ジメチレンエーテル型レゾール樹脂、メチロール型レゾ
ール樹脂等であり、必要に応じてノボラック型フェノー
ル樹脂を併用することも出来るが、硬化剤としてヘキサ
メチレンテトラミンを用いると、成形品からのアンモニ
アの発生による耐湿性や電気特性が低下するという問題
から、ヘキサメチレンテトラミンを用いることは出来な
い。フェノール樹脂量は成形材料全体に対して25〜3
5重量%である。25重量%未満では基材との濡れが十
分に行われず、強度低下、及び流れ不足による成形性の
低下がある。また35重量%を越えると耐トラッキング
性の低下、材料のコストアップが起こり実用性に欠け
る。
【0009】難燃成分として用いられる無機充填材とし
ては、200℃以上で結晶水を放出する無機充填材を用
い、成形材料中に40重量%以上、好ましくは45重量
%以上含有する必要がある。このような無機充填材とし
ては、硼酸亜鉛、硼酸カルシウム、タルク、未焼成クレ
ーなどがあげられる。さらにその内の少なくとも1種類
は、200℃以上で20重量%以上結晶水放出する無機
充填材を本成形材料に対し10重量%以上用いる必要が
ある。このような無機充填材としては、水酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウム等があげられる。難燃成分と
しての無機充填材総量が40重量%未満では、十分な耐
燃性、耐トラッキング性が得られず、200℃で20重
量%以上結晶水放出する無機充填材を成形材料中に10
重量%以上用いない場合、十分な耐燃性が得られない。
【0010】ガラス繊維は一般的に用いられるチョップ
ドストランドでよく、イオン性不純物などの少ないEガ
ラスが好ましいが、この限りではない。添加量は成形材
料中に5〜15重量%が好ましく、5重量%未満では十
分な強度付与の効果が得られず、15重量%を越えると
弾性率が上がりすぎ、ポリビニルブチラール(PVB)
を併用しても、もろさを十分に克服することができな
い。
【0011】ポリビニルブチラールは、その種類は特に
限定されるものではないが、好ましくは、重合度が25
0〜2500、ブチラール化度が60〜80モル%のも
のである。また、100メッシュ以下の粒状のものが好
ましい。添加量は2〜5重量%が好ましく、2重量%未
満では十分な強度アップの効果が小さく、5重量%を超
えると撓み量はますものの曲げ強さは低下するという問
題がある。その他の充填材としては、通常のレゾール型
フェノール樹脂成形材料に用いられる粉砕布、積層板粉
砕粉、焼成クレー、炭酸カルシウムなどが用いられる
が、電気特性面からイオン性不純物の少ないものが望ま
しい。
【0012】本発明におけるフェノール樹脂成形材料
は、通常上記組成物に一般的なフェノール樹脂成形材料
に使用される離型剤、硬化促進剤等を加え、これらの原
料を均一混合した後、ロール、コニーダー、二軸押出機
等の混練機で加熱混練し、粉砕して製造される。本発明
のフェノール樹脂組成形材料は、絶縁破壊強さ、耐トラ
ッキング性、衝撃強さ、曲げ強さ等の機械的強度の要求
される電機、電子部品、とりわけコイルボビン等の電子
部品に好適である。
【0013】
【実施例】表1の上欄に示す原料及び配合割合にて通常
の二本ロールで加熱混練して成形材料を得た。これらの
成形材料について成形品特性を測定し、表1の下欄に示
す結果を得た。なお、使用した無機充填材の結晶水解離
温度と結晶水放出量を表2に示す。
【0014】(測定方法) 1.結晶水放出量:200〜500℃での放出量(重量
%)示差熱分析法 2.結晶水解離温度:示差熱分析法による 3.耐トラッキング性:JIS C 2134に準じて測
定した。 4.その他の特性:JIS K 6911に準じて測定し
た。 成形品特性のテストピースはすべてトランスファー成形
(175℃にて3分間成形)した成形物を使用した。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【発明の効果】本発明のフェノール樹脂成形材料は、こ
れから得られた成形品が耐熱性、絶縁破壊強さ、耐トラ
ッキング性及び衝撃強さ、曲げ強さ等の機械的強度に優
れ、これらの特性が要求される電機、電子部品、とりわ
けコイルボビン等の電子部品に好適である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形材料中に、レゾール型フェノール樹
    脂を25〜35重量%含有し、難燃成分として、200
    ℃以上で結晶水を放出する無機充填材を40重量%以上
    含有し、且つその内の少なくとも1種類が、200℃以
    上で20重量%以上の結晶水を放出する無機充填材であ
    り、これを10重量%以上含有し、更に、ガラス繊維を
    5〜15重量%、及びポリビニルブチラールを2〜5重
    量%含有することを特徴とするフェノール樹脂形成材
    料。
  2. 【請求項2】 ヘキサメチレンテトラミンを含まないこ
    とを特徴とする請求項1記載のフェノール樹脂成形材
    料。
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