JP2003277531A - プリプレグ及びこれを用いた積層板 - Google Patents

プリプレグ及びこれを用いた積層板

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JP2003277531A
JP2003277531A JP2002087379A JP2002087379A JP2003277531A JP 2003277531 A JP2003277531 A JP 2003277531A JP 2002087379 A JP2002087379 A JP 2002087379A JP 2002087379 A JP2002087379 A JP 2002087379A JP 2003277531 A JP2003277531 A JP 2003277531A
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JP2002087379A
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Shigeru Ekusa
繁 江草
Hiroyuki Kobayashi
広行 小林
Yoshiteru Urata
佳輝 浦田
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波領域での信号伝送特性の優れたプリプ
レグおよび回路基板を提供すること。 【解決手段】 本発明は、硬化性樹脂組成物が含浸され
たガラス繊維基材の層(以下、a層という)と、この層
の両外側に存在する硬化性樹脂組成物層(以下、b層と
いう)とからなり、a層の樹脂組成物がシアネート樹
脂、アラルキル変性エポキシ樹脂、アラルキル樹脂およ
び難燃剤を必須成分とし、b層の樹脂組成物がa層の樹
脂組成物と無機充填材を必須成分とするものであること
を特徴とするプリプレグである。また、本発明はこのプ
リプレグを1枚または2枚以上とその片面または両面に
金属箔を重ね合わせ加熱加圧してなることを特徴とする
金属箔張積層板である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリプレグ及びこ
のプリプレグを用いて成形した金属箔張積層板に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、回路基板用積層板や多層回路基板
は従来よりも高い高周波が使用されるようになってきて
おり、その材料の物性に対する要求も一段と厳しくなっ
ている。特に回路の信号遅延に対する回路基板材料の検
討は従来から行われてきており、回路基板の低誘電率
化、基板成形後の板厚精度の高度化によるインピーダン
スコントロールが可能な樹脂の開発が行われている。基
板の板厚精度は信号遅延と1倍の相関があり、一方、基
板材料の低誘電率化については、誘電率はその平方根と
信号遅延が相関するため、基板板厚精度の高度化の方が
有効な手段である。
【0003】基板の板厚精度向上のためには、成形中に
発生する樹脂の金型外への流出(以下、フローアウトと
いう)を減少させることが重要である。例えば成形時の
樹脂の最低溶融粘度を高くすることにより、フローアウ
トのコントロールが行われてきた。具体的にはプリプレ
グに含浸する樹脂に無機充填材や高分子量樹脂等を添加
することにより樹脂の粘度を上げる方法であるが、この
ような樹脂の粘度を高くする方法では、樹脂のガラス繊
維基材への含浸性が低下することから、含浸時に繊維内
ボイドの増加をまねき、基板成形時に成形不良が生じる
おそれがある。
【0004】また、成形後の積層板の板厚精度には、プ
リプレグ厚みのバラツキ等、プリプレグ固有の問題があ
り、さらには、成形時におけるプレス内での樹脂の流
れ、成形圧力や温度のバラツキの影響がある。例えば、
成形時、樹脂の流れ方はプリプレグの中央や端部におい
て一様に流れるわけではなく、一般にプレスの鏡面板の
中心部分よりも周辺部分の方が樹脂の流れが大きく、そ
の結果周辺部分が中心部分よりも薄くなることは良く知
られている。成形時のこのようなバラツキによってもフ
ローアウトの違いを生じ、プリプレグの厚みのバラツキ
とともに、板厚精度を低下させる要因となっており、前
述のような無機充填材や高分子量樹脂の添加による高粘
度化だけでは効果が不十分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のことから、基板
の板厚精度の高度化と優れた成形性を併せ持つプリプレ
グが望まれている。本発明者は、以上のようなプリプレ
グの状況に鑑み、成形後の積層板の板厚精度および成形
性の両立という問題を解決すべく、プリプレグの構造に
ついて鋭意検討を進めた結果、本発明を完成するに至っ
た。本発明は、良好な成形性を維持しつつ、成形後の基
板の板厚精度を向上することを主たる目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上のような目的は、以
下の(1)〜(5)記載の本発明により達成される。 (1)硬化性樹脂組成物が含浸されたガラス繊維基材の
層(以下、a層という)と、この層の両外側に存在する
硬化性樹脂組成物層(以下、b層という)とからなり、
a層の樹脂組成物がシアネート樹脂、アラルキル変性エ
ポキシ樹脂、アラルキル樹脂および難燃剤を必須成分と
し、b層の樹脂組成物がa層の樹脂組成物と無機充填材
を必須成分とするものであることを特徴とするプリプレ
グ。 (2)無機充填材が平均粒径0.3〜3μmのシリカで
ある前記(1)記載のプリプレグ (3)a層の樹脂の反応率が85%以上であり、b層の
樹脂の反応率が60%以下である前記(1)または
(2)に記載のプリプレグ (4)前記(1)ないし(3)のいずれかに記載のプリ
プレグを1枚または2枚以上とその片面または両面に金
属箔を重ね合わせ加熱加圧してなることを特徴とする金
属箔張積層板。 (5)前記金属箔のマット面がロープロファイル形状の
もの、またはプロファイルのないものである前記(4)
記載の金属箔張積層板
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明のプリプレグおよび
金属箔張り積層板について説明する。本発明のプリプレ
グは、硬化性樹脂組成物が含浸されたガラス繊維基材の
層(a層)と、この層の両外側に存在する硬化性樹脂組
成物層(b層)とからなる。かかる3層構造とすること
により、板厚精度の優れた積層板あるいは多層回路基板
を得ることができる。また、本発明のプリプレグは、a
層の樹脂組成物がシアネート樹脂、アラルキル変性エポ
キシ樹脂、アラルキル樹脂および難燃剤を必須成分と
し、b層の樹脂組成物がa層の樹脂組成物と無機充填材
を必須成分とすることを特徴とする。
【0008】本発明の樹脂組成物では、シアネート樹脂
を用いる。これにより、該樹脂組成物から最終的に製造
した回路基板の誘電特性を向上することができる。ま
た、シアネート樹脂とアラルキル変性エポキシ樹脂およ
びアラルキル樹脂との組み合わせにより、樹脂と金属箔
との密着性を向上することができる。また、従来シアネ
ート樹脂単独で回路基板を製造した場合、回路基板の靭
性が低下するという問題を有していた。本発明では、前
記組み合わせの樹脂組成物を回路基板に用いた場合は、
回路基板の靭性を向上することができる。この理由は、
前記組み合わせによりシアネート樹脂硬化物の架橋点間
距離が長くなったためと考えられる。更に、アラルキル
変性エポキシ樹脂のエポキシ基およびアラルキル樹脂の
水酸基とシアネート樹脂のシアネート基とは反応するも
のである。従って、シアネート樹脂骨格中にアラルキル
基を組み込むことができる。その結果、前記組み合わせ
により、シアネート樹脂の優れた耐熱性、誘電特性の低
下が抑えられ、全体的に耐熱性、誘電特性が確保される
と考えられる。シアネート樹脂の配合割合は、特に限定
されないが、樹脂組成物全体100重量部中、10〜5
0重量部が好ましく、特に20〜40重量部が好まし
い。シアネート樹脂が前記下限値未満では誘電特性の向
上効果が十分でない場合があり、前記上限値を超えると
反応が速く進行するので成形が困難となる場合がある。
【0009】本発明の樹脂組成物では、アラルキル変性
エポキシ樹脂を用いる。これにより、吸水性を低下させ
ることができる。ここで、アラルキル変性エポキシ樹脂
とは、繰り返し単位中に少なくとも一つ以上のアラルキ
ル基を有するエポキシ樹脂をいう。また、従来シアネー
ト樹脂単独では硬化速度が速すぎて、樹脂の硬化反応を
制御できないといった問題点を有していた。本発明で
は、アラルキル変性エポキシ樹脂とシアネート樹脂との
組み合わせにより、樹脂組成物の硬化速度を調整するこ
とができる。これは、前記組み合わせにより、反応点の
濃度が低下し、反応速度が低下したためと考えられる。
樹脂組成物の硬化速度が調節できると、成形時に樹脂の
流れ量を調節することが可能となり回路基板の厚さを容
易に調節することが出来る。アラルキル変性エポキシ樹
脂の配合割合は、特に限定されないが、樹脂組成物全体
100重量部中、20〜50重量部が好ましく、特に3
0〜40重量部が好ましい。アラルキル変性エポキシ樹
脂が前記下限値未満では低吸水化の向上効果が低下する
場合があり、前記上限値を超えると260℃の半田耐熱
性向上効果が低下する場合がある。
【0010】本発明の樹脂組成物では、アラルキル樹脂
を用いる。これにより、吸水性を低下させることができ
る。また、従来シアネート樹脂単独では、剛直な構造を
有しているため金属箔との密着性が低いといった問題を
有していたが、本発明では、前記の組み合わせおよび後
述するb層において樹脂組成物に無機充填材を配合する
ことにより、金属箔との密着性を改善することができ
る。これは、水酸基当量の大きいアラルキル樹脂とシア
ネート樹脂とが反応し、架橋点間距離が長くなることで
硬化収縮を小さくすることができるためと考えられる。
アラルキル樹脂の配合割合は、特に限定されないが、樹
脂組成物全体100重量部中、20〜50重量部が好ま
しく、特に30〜40重量部が好ましい。アラルキル樹
脂が前記下限値未満では低吸水化の向上効果が低下する
場合があり、前記上限値を超えると260℃の半田耐熱
性向上効果が低下する場合がある。
【0011】本発明の樹脂組成物では難燃剤を用いる。
難燃剤としては、例えばメラミン、イソシアヌレート等
の窒素化合物、デカブロモジフェニルオキサイド、塩素
化ポリエチレン等のハロゲン化合物、リン酸エステル、
含ハロゲンリン酸エステル、赤リン等のリン化合物が挙
げられる。なお、このリン化合物は実質的にハロゲンを
含まないものであることが好ましい。これにより、ノン
ハロゲンで難燃性を向上させることができる。ハロゲン
を含む場合、高度な難燃性を有するが、熱分解等で有毒
ガスが発生する可能性があったが、ノンハロゲン化する
ことにより、有毒ガス等の発生を防止できる。リン化合
物の配合割合は、特に限定されないが、リン含有量とし
て樹脂組成物全体の0.3〜2.5重量%が好ましく、
特に0.5〜1.2重量%が好ましい。これにより、難
燃性試験(UL−94)においてV−0を達成すること
ができる。
【0012】本発明において、b層の樹脂組成物では上
述の樹脂組成物と無機充填材を必須成分とする。これに
より金属箔との密着性を向上させることができる。無機
充填材として、例えば、水酸化アルミニウム、水和シリ
カ、アルミナ、酸化アンチモン、チタン酸バリウム、硫
酸カルシウム、マイカ、シリカ、シリコーンカーバイ
ト、タルク、酸化チタン、石英、酸化ジルコニウム、窒
化ボロン、炭素、グラファイト等が挙げられる。これら
の中でシリカを用いることが好ましい。これにより、該
樹脂組成物から最終的に製造した回路基板の安定した誘
電特性を得ることができるためである。無機充填材の配
合割合は、特に限定されないが、b層の樹脂組成物全体
の20〜70重量%が好ましく、特に30〜50重量%
が好ましい。これにより、無機充填材が前記下限値未満
では金属箔との密着性が低下する場合があり、前記上限
値を超えると樹脂流動が過剰に抑制され、成形性が低下
する場合がある。シリカの平均粒径は0.3〜3μmが
好ましい。0.3μm未満では充填時のハンドリングの
悪さや再凝集により不均一に樹脂組成物に分散すること
により誘電特性をばらつかせる要因となることがある。
3μmより大きいと半田耐熱性・金属箔との密着性の低
下や回路基板銅箔表面粗さに影響を及ぼし、高周波域で
の使用において回路表皮効果により信号伝送特性を低下
させる場合がある。シリカの配合量は特に限定はされな
いが、配合量が多いほど、樹脂流動性が抑制されるため
板厚が保持でき、インピーダンスコントロールがより可
能となる。シリカは樹脂組成物中での再凝集を防ぐた
め、表面をメチル基、エチル基等で疎水化したり、エポ
キシシランやアミノシラン、ウレイドシラン等でカップ
リング処理したものを使用することができる。
【0013】本発明の樹脂組成物は、a層の樹脂がシア
ネート樹脂、アラルキル変性エポキシ樹脂、アラルキル
樹脂および難燃剤を必須成分とし、b層がa層の樹脂組
成物と無機充填材を必須成分とするが、本発明の目的に
反しない範囲で、その他の樹脂、硬化促進剤、カップリ
ング剤、その他の成分を添加しても構わない。
【0014】本発明のa層における樹脂の反応率が85
%以上、かつb層における樹脂の反応率が60%以下で
あり、このような反応率を有する樹脂層を形成すること
で、インピーダンスコントロールで課題となる板厚精度
の向上、樹脂粉末の発生防止を図ることができる。本発
明において、a層における樹脂の反応率が85%未満で
あると、加熱成形時における樹脂流れが多くなり板厚精
度が損なわれ、一方、b層における樹脂の反応率が60
%を越えると、他の層との接着が不十分となる恐れがあ
り、金属張積層板や多層プリント回路板などの多層板に
使用する場合、回路への樹脂埋め込みが不十分になるな
ど成形性が損なわれるようになる。本発明の樹脂層はa
層の樹脂硬化が進んでいるため、a層のみでは流動性が
小さく接着性も小さいものの、その外側にb層を設け且
つこのb層の樹脂の反応率が60%以下としたため、多
層板における内層回路間への埋め込みや他の層との接着
という目的をも十分補完することができる。
【0015】これらa層およびb層の好ましい反応率と
しては、a層における樹脂の反応率が90〜95%であ
り、またb層におけるエポキシ樹脂の反応率が20%以
下であり、特に好ましくは、a層における樹脂の反応率
が90〜95%で、かつb層におけるエポキシ樹脂の反
応率が20%以下である。反応率が上記の好ましい範囲
であると、板厚精度の向上、樹脂粉末の発生防止に加
え、樹脂のフローアウトを防止でき成形性が向上する。
また、b層における樹脂反応率が20%以下であると多
層板における内層回路への埋め込み性が極めて良くな
り、埋め込みに必要な樹脂量、即ち流動する樹脂量を少
なくすることができ、これにより板厚精度がいっそう向
上する。a層樹脂の反応率が本発明のような高いもので
はないプリプレグ、あるいは単層のプリプレグにおいて
20%以下の反応率では樹脂流れが増加し、フローアウ
トが起きて板厚精度が損なわれる。
【0016】本発明において、反応率は示差走査熱量測
定(DSC)により求めることができる。すなわち、未
反応の樹脂と、各層の樹脂双方についてDSCの反応に
よる発熱ピークの面積を比較することにより、次式によ
り求めることができる。なお、測定は昇温速度10℃/
分、窒素雰囲気下で行えばよい。反応率(%)=(1−
樹脂の反応ピーク面積/未反応樹脂の反応ピーク面積)
×100反応率の制御は、加熱温度、加熱時間及び光や
電子線等の照射など、種々の方法により制御できるが、
加熱温度や加熱時間で制御することが、簡便で精度よく
行える点で好ましい。
【0017】本発明のプリプレグは、これを1枚または
2枚以上を重ねて成形して積層板とすることができる。
すなわち、該プリプレグは金属箔や内層回路板と重ね合
わせて加熱加圧成形することにより、回路基板あるいは
多層回路基板を得ることができるが、内層回路基板に使
用した方が従来のプリプレグと比較して板厚精度への効
果が大きいことから好ましい使用形態である。次に、金
属箔について説明する。通常プリント回路板に使用され
る金属箔は絶縁樹脂層との密着性を高めるため、樹脂層
と接する面(マット面)にプロファイルを施しており、
このプロファイルが大きいほど、密着性が高くなる。し
かし、高周波領域での使用においてはこのプロファイル
が回路表皮効果により信号伝送特性を低下させるため、
金属箔のマット面がロープロファイル形状のもの、また
はプロファイルのないものを使用することが好ましい。
ここで、ロープロファイルとは0.5〜4μmのプロフ
ァイルをいう。本発明では、上記金属箔とともに、金属
箔と接するb層の樹脂組成物に無機充填材を配合するこ
とにより、高周波域での信号特性および密着性を両立さ
せることができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】(実施例1) 1.樹脂ワニス(I)の調製 フェノールノボラックシアネート樹脂(ロンザ社製PT
−60、軟化点60℃)20重量部、ビフェニルアラル
キルエポキシ樹脂(エポキシ当量285、日本化薬社製
NC−3000SH)40重量部、ビフェニルアラルキ
ル樹脂(水酸基当量225、明和化成社製MEH785
1−3H)30重量部、トリフェニルホスフィンオキサ
イド10重量部にメチルセルソルブを加え、不揮発分濃
度が55重量%になるように樹脂ワニス(I)を調製し
た。
【0020】2.樹脂ワニス(II)の調製 調製した樹脂ワニス(I)の樹脂組成物の固形分に対し
て平均粒径1.0μmの球状溶融シリカ((株)アドマ
テックス製 SO−25R)50重量%を加え、攪拌混
合して樹脂ワニス(II)を調製した。
【0021】3.プリプレグの作製 樹脂ワニス(I)をガラス織布(厚さ0.1mm、日東
紡績(株)製)100重量部にワニス固形分で80重量
部含浸させて、150℃の乾燥炉で10分乾燥させ、樹
脂組成物の含有量が最終のプリプレグの40重量%とな
るa層を作成した。次いで、その両側に樹脂ワニス(I
I)を塗工し、150℃の乾燥炉で2分乾燥させ、樹脂
組成物の含有量がプリプレグの50重量%であるa層と
b層からなるプリプレグを作製した。
【0022】4.反応率の測定 a層の反応率の測定は、上記のようにガラス織布に樹脂
ワニス(I)を含浸し、150℃の乾燥炉で10分乾燥
したものをサンプルとした。b層の反応率の測定は上記
の方法で作成したa層とb層からなるプリプレグの表面
を削ることによりサンプルを得た。各層のサンプルにつ
いてDSC装置(TAインストルメント社製)により発
熱ピークを測定し、160℃付近の硬化反応による発熱
ピークの面積について、反応前の樹脂と各層の樹脂を比
較して、前記(2)式に従って反応率を算出した。その
結果、a層の反応率は90%、b層の反応率は55%で
あった。
【0023】5.積層板の作製 上記プリプレグを10枚重ね、上下に厚さ35μmのロ
ープロファイル銅箔(三井金属鉱業(株)製 3EC−
VLP−35)を重ねて、圧力40kgf/cm2 、温
度200℃で120分、220℃で60分加熱加圧成形
を行い、厚さ1.0mmの両面銅張積層板を得た。
【0024】(実施例2)調製した樹脂ワニス(I)を
用いて、ガラス織布(厚さ0.1mm、日東紡績(株)
製)100重量部にワニス固形分で60重量部含浸させ
て、150℃の乾燥炉で5分乾燥させ、樹脂組成物の含
有量が最終のプリプレグに対して30%のa層を作成し
た。その両側に対して調製した樹脂ワニス(II)を塗
工し、150℃の乾燥炉で2分乾燥させ、樹脂組成物の
含有量が50%のプリプレグを作製した。同様に反応率
を測定した結果、a層の反応率は87%、外層bの反応
率は59%であった。さらに、実施例1と同様にして積
層板を作製した。
【0025】(実施例3)実施例1で調製した樹脂ワニ
ス(I)を用いて、ガラス織布(厚さ0.1mm、日東
紡績(株)製)100重量部にワニス固形分で80重量
部含浸させて、150℃の乾燥炉で12分乾燥させ、樹
脂組成物の含有量が最終のプリプレグに対して40%の
a層を作成した。その両側に対して調製した樹脂ワニス
(II)を塗工し、150℃の乾燥炉で1分乾燥してb
層を作成し、樹脂組成物の含有量が50%のプリプレグ
を作製した。同様に反応率を測定した結果、a層の反応
率は92%、外層bの反応率は18%であった。さら
に、実施例1と同様にして積層板を作製した。
【0026】(実施例4)実施例1と同様にプリプレグ
を作製し、積層板を作成する際、厚さ35μmのプロフ
ァイルがない銅箔(三井金属鉱業(株)製 試作品)を
使用した。
【0027】(比較例1)実施例1と同様に調製した樹
脂ワニス(I)を使用して、樹脂組成物の含有量50%
のプリプレグを作製した。樹脂の反応率は55%であっ
た。積層板を作成する際、プロファイルが9μmの銅箔
(三井金属鉱業(株)製 3EC−STD−35)を使
用した。
【0028】(比較例2)実施例1と同様に調製した樹
脂ワニス(II)を使用して、樹脂含有量50%のプリ
プレグを作製した。樹脂の反応率は55%であった。積
層板を作成する際、前記ロープロファイル銅箔を使用し
た。
【0029】(比較例3)実施例1と同様に調製した樹
脂ワニス(I)を用いて、ガラス織布(厚さ0.1m
m、日東紡績(株)製)100重量部にワニス固形分で
80重量部含浸させて、150℃の乾燥炉で12分乾燥
させ、樹脂組成物の含有量が最終のプリプレグに対して
40%のa層を作成した。その両側に対して樹脂ワニス
(I)を塗工し、150℃の乾燥炉で2分乾燥してb層
を作成し、樹脂組成物の含有量が50%のプリプレグを
得た。a層の反応率は92%、b層の反応率は18%で
あった。以下、実施例1と同様にして積層板を作製し
た。
【0030】(比較例4)比較例3と同様にプリプレグ
を作製し、積層板を作成する際、前記プロファイルがな
い銅箔を使用した。
【0031】6.特性の評価 実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたプリプレグお
よび積層板について、以下に示す方法にて特性を評価を
行った。 <両面銅張積層板の評価> (1)銅箔密着性:JIS C 6481に準じ、銅箔の
引き剥がし強さを測定した。 (2)半田耐熱性:片面のみ銅箔をエッチングし、50
×50mmのサイズに切断して3個の試験片を作製後、
それぞれについて121℃、2.0気圧のプレッシャー
クッカー条件で2時間の吸湿処理を行った。続いて、2
60℃半田槽に120秒間浸せきした後、フクレ、ミー
ズリングの評価を1個の試験片毎に目視および光学顕微
鏡により確認を行った。
【0032】<4層回路基板の作製>内層回路基板とし
て実施例1で得られた両面銅張積層板を使用した。これ
に信号伝送特性確認用の試験回路(配線長1m)を作製
した。この上下に前記各例で得られたプリプレグを各1
枚重ね、更にその上下に厚さ18μmのプロファイルの
ない銅箔(三井金属鉱業(株)製 試作品)を重ね、圧
力40kgf/cm2、温度200℃で120分、22
0℃で60分加熱加圧成形を行い、4層回路基板を得
た。 <4層回路基板の評価> (1)層間厚み:サイズ500×500mmの基板につ
いて碁盤目状に測定点を36点設定し、マイクロセクシ
ョンにてサンプルを作製し、測長機能付き顕微鏡にて層
間厚を測定した。そのバラツキ(標準偏差σ)を求め
た。 (2)高周波領域での信号伝送損失:ネットワークアナ
ライザーを使用し、信号伝送特性確認用の試験回路にて
1GHz、5GHzでの伝送損失を測定した。 (3)成形性:サイズ500×500mmの基板につい
て回路部の空隙ボイドの有無、その他異常はみられない
か目視および光学顕微鏡により確認を行った。 (4)内層回路密着性:内層銅箔とプリプレグの界面に
おける密着性をJISC 6481に準じ、引き剥がし
強さを測定した。 (5)銅箔密着性:JIS C 6481に準じ、銅箔の
引き剥がし強さを測定した。 (6)半田耐熱性:前記両面銅張積層板の評価方法と同
じ方法で行った。 (7)フローアウト:4層回路基板を成形したときのフ
ローアウト(はみ出し部分)の長さを測定した。
【0033】
【表1】
【0034】評価結果を表1に示す。実施例1〜4に示
したプリプレグは層間厚みが安定し、高周波領域での信
号伝送特性も高く、密着性・半田耐熱性等の特性も良好
である。比較例1は層間厚みのバラツキが大きく、銅箔
プロファイルの影響を受け、高周波領域での信号伝送特
性が劣る。比較例2は成形性が悪く、半田耐熱性が劣っ
ている。比較例3,4は密着性が悪く、半田耐熱特性が
劣っている。
【0035】
【発明の効果】本発明により、高周波領域での信号伝送
特性の優れたプリプレグおよび回路基板を提供すること
ができる。また、本発明のプリプレグは、a層の樹脂組
成物がシアネート樹脂、アラルキル変性エポキシ樹脂、
アラルキル樹脂および難燃剤を必須成分とし、b層の樹
脂組成物がa層の樹脂組成物と無機充填材を必須成分と
することにより、低誘電で金属箔との密着性の高い樹脂
組成物が得られる。また、a層とb層の樹脂反応率を特
定することにより、良好な成形性を維持しつつ、成形後
の基板の板厚精度を向上することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 79/00 C08L 79/00 Z Fターム(参考) 4F072 AA07 AB09 AB28 AD11 AD27 AD33 AE01 AE11 AE23 AF06 AG03 AH25 AH31 AJ04 AJ22 AK14 AL13 4F100 AA01B AA01C AA20B AA20C AB01D AB01E AB17 AB33D AB33E AG00A AG00B AG00C AK01A AK01B AK01C AK51A AK51B AK51C AK53A AK53B AK53C AL05A AL05B AL05C AL06A AL06B AL06C BA03 BA05 BA06 BA10B BA10C BA10D BA10E CA08A CA08B CA08C CA23B CA23C DG06A DG06B DG06C DH01A DH01B DH01C EJ82A EJ82B EJ82C GB43 JB12A JB12B JB12C JL00 YY00A YY00B YY00C 4J002 CD07W CE00Y CM02X DA056 DJ017 EJ056 EU186 EU196 EW056 FD017 FD136 GQ01 4J036 AE05 DC32 FA05 FA12 FB06 JA08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬化性樹脂組成物が含浸されたガラス繊
    維基材の層(以下、a層という)と、この層の両外側に
    存在する硬化性樹脂組成物層(以下、b層という)とか
    らなり、a層の樹脂組成物がシアネート樹脂、アラルキ
    ル変性エポキシ樹脂、アラルキル樹脂および難燃剤を必
    須成分とし、b層の樹脂組成物がa層の樹脂組成物と無
    機充填材を必須成分とするものであることを特徴とする
    プリプレグ。
  2. 【請求項2】 無機充填材が平均粒径0.3〜3μmの
    シリカである請求項1記載のプリプレグ
  3. 【請求項3】 a層の樹脂の反応率が85%以上であ
    り、b層の樹脂の反応率が60%以下である請求項1ま
    たは2記載のプリプレグ
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載のプ
    リプレグを1枚または2枚以上とその片面または両面に
    金属箔を重ね合わせ加熱加圧してなることを特徴とする
    金属箔張積層板。
  5. 【請求項5】 前記金属箔のマット面がロープロファイ
    ル形状のもの、またはプロファイルのないものである請
    求項4記載の金属箔張積層板
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