JP2000063483A - エポキシ樹脂の製造方法および該方法によって得られるエポキシ樹脂 - Google Patents

エポキシ樹脂の製造方法および該方法によって得られるエポキシ樹脂

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Abstract

(57)【要約】 【課題】エポキシ当量を実質的に変化させることなく、
加水分解性ハロゲン含量が低減されたエポキシ樹脂の製
造方法および該方法によって得られるエポキシ樹脂を提
供することである。 【解決手段】 ノボラックとエピハロヒドリンとを反応
させて得た粗エポキシ樹脂にアルカリを添加して再処理
するに際して、前記粗エポキシ樹脂をケトン溶剤に溶解
させ、ついで水分率が0.5〜1.4重量%に維持され
た減圧下、アルカリを添加して50〜75℃で再処理す
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、加水分解性ハロゲ
ン含量が低減されたエポキシ樹脂の製造方法に関する。
【従来の技術】エポキシ樹脂は、その硬化物が電気特
性、耐熱性、接着性、耐湿性等の特性に優れていること
から、半導体封止材料をはじめとして、電気絶縁材料、
プリント配線板、ソルダーレジスト、接着剤、塗料等の
幅広い分野で使用されている。エポキシ樹脂は、通常、
水酸化アルカリ金属等のアルカリの存在下で多価フェノ
ールにエピハロヒドリンを付加させ、ついで生成した
1,2−ハロヒドリンエーテル基を閉環させる、いわゆ
るエポキシ化反応によって製造される。前記多価フェノ
ールとしては、電気および電子産業における封止材料等
の用途に使用するエポキシ樹脂の場合、o−クレゾール
ノボラック等のノボラック樹脂が多く使用されている。
一般に、電気および電子産業分野で使用されるエポキシ
樹脂には加水分解性ハロゲン含量が低いことが要求され
る。これは、加水分解性ハロゲンが電気絶縁性の低下、
リード線の腐食等、いわゆる電子素子の信頼性に悪影響
を与えるためである。従来、エポキシ樹脂中の加水分解
性ハロゲン含量を減少させる方法としては、エポキシ化
反応後、得られた粗エポキシ樹脂の脱ハロゲン化による
再閉環反応を行うことが提案されている。例えば特開昭
62−256821号公報には、フェノール性水酸基の
オルソ位が置換されたビスフェノール類とエピハロヒド
リンとから製造された粗エポキシ樹脂を苛性アルカリに
て系内の水分量を所定量以下の条件下で後処理すること
により、エポキシ樹脂中のハロゲン含量を低減させる方
法が開示されている。また、特開昭63−268723
号公報には、多価フェノールとエピハロヒドリンとから
製造される粗エポキシ樹脂に水酸化アルカリ金属水溶液
と疎水性溶剤とを添加し、疎水性溶剤と水とを共沸させ
て水を系外に抜き出しながら再閉環反応を行わせること
により、加水分解性ハロゲン含量を低減する方法が開示
されている。
【発明が解決しようとする課題】前記した特開昭62−
256821号公報は、原料としてフェノール性水酸基
のオルソ位が置換されたビスフェノール類を用いている
ため、苛酷な条件下での再閉環反応でも、オルソ位の置
換基による立体障害により副反応が起こりにくくしたも
のである。従って、特開昭62−256821号公報
は、上記ビスフェノール類に代えてノボラック樹脂を用
いた場合に、副反応が起こるのを防止する手段を開示す
るものではない。一方、前記した特開昭63−2687
23号公報には、o−クレゾールノボラックとエピクロ
ルヒドリンとを使用して、加水分解性塩素量が低減され
たエポキシ樹脂を製造する例が挙げられているが、該公
報に記載の再閉環反応では、加水分解性塩素量が低減し
ても、エポキシ樹脂のエポキシ当量が増大するという欠
点がある。これは、副反応としてエポキシ樹脂の高分子
量化が起こっているためである。このようなエポキシ当
量の増大は、エポキシ樹脂硬化物の品質を低下させるた
め好ましくない。本発明の目的は、エポキシ当量の増大
をひき起こすことなく、加水分解性ハロゲン含量が低減
されたエポキシ樹脂の製造方法および該方法によって得
られるエポキシ樹脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく研究を重ねる過程で、減圧下での再閉環反
応における反応系内の水分率と温度とに着目し、これら
を適切な範囲に調整して再閉環反応を行わせるときは、
エポキシ当量を実質的に増大させることなく、加水分解
性ハロゲン含量を低減させることができるという新たな
事実を見出し、本発明を完成するに到った。すなわち、
本発明のエポキシ樹脂の製造方法は、ノボラックとエピ
ハロヒドリンとを反応させて得た粗エポキシ樹脂にアル
カリを添加して再処理するに際して、前記粗エポキシ樹
脂をケトン溶剤に溶解させ、ついで水分率が0.5〜
1.4重量%に維持された減圧下、アルカリを添加して
50〜75℃で再処理することを特徴とする。ここで、
再処理とは、主として前記した再閉環反応を意味する
が、これに限定されるものではなく、広く加水分解性ハ
ロゲン含量を低減させるための処理をいう。また、前記
水分率は、粗エポキシ樹脂をケトン溶剤に溶解させて得
た樹脂液を再処理する間の樹脂液中の水分濃度を意味す
る。従って、再処理前に水洗等で多量の水と樹脂液とが
接触した場合は、本発明の水分率を超える水を含むた
め、再処理開始と共に過剰の水分が共沸で系外へ排出さ
れる。また、再処理前に樹脂液と水の接触がない場合
は、樹脂液の0.5重量%相当以上の水を加えて再処理
を開始する必要がある。前記再処理では、反応の進行に
伴って水分率が増大するので、生成した水を系外に排出
するために、減圧下、反応系内の水をケトン溶剤と共沸
させて系外に抜き出し、ついで凝縮させて水層と油層の
2層に分離し、油層は反応系内に還流させるのが好まし
い。本発明の製造方法によって製造されるエポキシ樹脂
は、加水分解性ハロゲン含量が100ppm以下、好ま
しくは50ppm以下であり、かつエポキシ当量が下記
(1) 式で表されるものである。
【数2】 (OH+56)×1.09≦WPE≦(OH+56)×1.16 ・・・(1) 式中、OHはエポキシ樹脂の原料ノボラックの水酸基当
量(g/eq)、WPEはエポキシ樹脂のエポキシ当量
(g/eq)を示す。例えばノボラックが水酸基当量1
20g/eqのo−クレゾールノボラックの場合、得ら
れるo−クレゾールノボラックノボラックのエポキシ当
量は前記(1)式から約204〜191g/eqとなる。
すなわち、本発明のエポキシ樹脂は、加水分解性ハロゲ
ン含量は低減されているものの、エポキシ当量は、再閉
環反応の前後において、ハロヒドリンエーテル基の閉環
でエポキシ当量が変化する程度を超えて実質的に変化し
ないことを意味している。
【発明の実施の形態】本発明における粗エポキシ樹脂
は、前記したようにノボラックとエピハロヒドリンとに
アルカリを添加しエポキシ化反応させて製造される。前
記ノボラックとしては、例えばフェノールノボラック、
ブロモフェノールノボラック、アルキルフェノールノボ
ラック(o−クレゾールノボラック等)が挙げられ、特
にo−クレゾールノボラックを使用するのが好ましい。
ノボラックは、通常、酸性触媒の存在下でフェノール類
とホルマリンとを反応させて製造される。また、エピハ
ロヒドリンとしては、特に限定されないが、例えばエピ
クロルヒドリン、エピブロモヒドリン等が挙げられ、こ
れらのうち入手の容易性からエピクロルヒドリンを使用
するのが好ましい。アルカリとしては、例えば水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアル
カリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物が挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。上記水酸化物
は、濃度が20〜55重量%程度の水溶液の形態で使用
してもよく、さらに2種以上を混合して使用してもよ
い。エポキシ化反応を行うためには、まず原料ノボラッ
クをエピハロヒドリンまたは該エピハロヒドリンと有機
溶媒との混合液に混合溶解する。このとき、エピハロヒ
ドリンはフェノール性水酸基1モルに対して2〜15倍
モル量の範囲で使用される。前記有機溶媒としては、例
えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン類、トルエン、キシレン等の炭化水素類、メタノ
ール、エタノール等のアルコール類、メチルセロソル
ブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、ジオキサン、
ジエトキシエタン等のエーテル類、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。かかる有機
溶媒は必要に応じて使用すればよく、有機溶媒を添加す
る場合は、エピハロヒドリン100重量部に対して10
0重量部以下であるのがよい。上記のようにして混合溶
解された溶液を用いて、常法に従いエポキシ化反応が行
われる。すなわち、フェノール性水酸基1モルに対して
0.9〜1.1モルのアルカリを常圧ないし減圧下30
〜100℃の温度で徐々に前記溶液に添加して反応を行
わせる。その際、系中の水分を制御する目的で、共沸脱
水させるのが好ましい。反応終了後、反応液から過剰の
エピハロヒドリンと有機溶媒を蒸留等によって除去し、
粗エポキシ樹脂を得る。ついで、粗エポキシ樹脂をケト
ン溶剤に溶解させる。ケトン溶剤としては、例えばアセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等
が挙げられ、特にメチルイソブチルケトンを使用するの
が好ましい。溶解後、必要なら粗エポキシ樹脂中に含有
されているゲル分をろ過等によって除去する。粗エポキ
シ樹脂中には比較的多量の塩(例えばアルカリとして水
酸化ナトリウムを使用した場合には塩化ナトリウム)が
含有されているので、これを除去するために、必要なら
適量の水を加えて水層と油層とに分液し、塩を含有した
水層を除去する。次に、粗エポキシ樹脂を溶解したケト
ン溶剤の溶液(以下、樹脂液という)である油層を減圧
下50〜75℃で加熱して溶液中の水分率を0.5〜
1.4重量%に調整する。調整後、同一条件(減圧下5
0〜75℃)下にて樹脂液にアルカリを添加して、粗エ
ポキシ樹脂中に残存するハロヒドリンエーテル基を閉環
させる再閉環反応を行わせる。温度が前記範囲を超えた
場合には、エポキシ樹脂の高分子量化が起こり、エポキ
シ当量が増大する。一方、温度が前記範囲を下回る場合
は、反応速度が遅くなり、生産性が低下するという欠点
がある。水分率が前記範囲を超えた場合には、再閉環反
応が充分に進行せず、従って加水分解性ハロゲン含量を
低減させるのが困難になる。一方、水分率が前記範囲を
下回る場合には、エポキシ当量が増大すると共に、ゲル
化により再閉環後の後述するろ過が困難になる。再閉環
反応の間、反応系内の水をケトン溶剤と共沸させて系外
に抜き出し、ついで凝縮させて水層と油層の2層に分離
し、油層は反応系内に還流させる。このようにして系内
の水を抜き出すことにより、系内の水分率を前記範囲内
に維持する。前記アルカリとしては、前記エポキシ化反
応に使用したアルカリと同様のアルカリ金属またはアル
カリ土類金属の水酸化物が例示されるが、これらに限定
されるものではない。また、アルカリは濃度が20〜5
5重量%程度の水溶液の形態で使用してもよく、さらに
2種以上を混合して使用してもよい。また、アルカリの
添加量は、粗エポキシ樹脂中に残留するハロヒドリンエ
ーテル基の量よりも過剰量であるのが好ましく、通常ハ
ロヒドリンエーテル基の量の2〜4倍当量であるのがよ
い。再閉環反応は、前記した条件にて約1〜4時間で終
了する。ついで、反応液に炭酸ガスを吹き込む等して中
和し、ろ過等によって塩を除去した後、乾燥してエポキ
シ樹脂を得る。このエポキシ樹脂は、加水分解性ハロゲ
ン含量が低減されているので、電子、電気産業分野にお
ける封止材料等に使用するのに好適であると共に、エポ
キシ樹脂の高分子量化が抑制されているので、エポキシ
当量が前記した(1) 式で表される範囲内に維持され、そ
のため加工時の溶融流動性に優れ、接着性、耐熱性、耐
湿性等の諸物性にも優れている。
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明の
製造方法を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例
のみに限定されるものでない。なお、以下の説明におい
て、エポキシ当量および加水分解性塩素含有量はそれぞ
れ以下の方法にて測定した。 (1) エポキシ当量 試料に0.1N−塩酸のジオキサン溶液を加え、15分
間攪拌しながら反応させた。これを0.1N−水酸化ナ
トリウムのメタノール溶液で電位差滴定を行い、ブラン
クの滴定量との差から塩酸と反応したエポキシ基の当量
を求め、これで試料量を除した値をエポキシ当量(g/
eq)とした。 (2) 加水分解性塩素含有量 試料をジオキサンに溶解し、1N−水酸化カリウムのエ
タノール溶液を添加し、室温で10分間反応させ、遊離
した塩素量を酢酸酸性下0.01N−硝酸銀溶液で電位
差滴定で測定し、これを試料重量で除した値を加水分解
性塩素含有量(ppm)とした。 実施例1 軟化点95℃で水酸基当量が120g/eqであるo−
クレゾールノボラック120重量部、エピクロルヒドリ
ン648重量部および1,4−ジオキサン207重量部
を反応槽に仕込み、均一に攪拌溶解させた。得られた混
合溶液を60mmHgの減圧下39℃に保ち、49%水
酸化カリウム水溶液22.9重量部を1時間かけて滴下
し、同一条件下で3.5時間反応を行わせた。この間、
留出した凝縮液は分液ポットに受けて水相は除去し、油
相は系内へ還流させた。さらに、系内を150mmH
g、60℃に調節し、49%水酸化ナトリウム水溶液6
1.2重量部を4時間かけて滴下した。この間も、前記
と同様に留出する水分は除去し油層は系内に還流させ
た。反応終了後、反応液からエピクロルヒドリンおよび
1,4−ジオキサンを減圧下加熱して留去し、粗エポキ
シ樹脂を得た。その一部をサンプリングし、大過剰のメ
チルイソブチルケトンに溶解し、ついで大過剰の温水で
5回洗浄と分液を繰り返し、メチルイソブチルケトンを
蒸留にて留去した。その結果、得られた樹脂のエポキシ
当量は194g/eqであった。一方、粗エポキシ樹脂
235重量部をメチルイソブチルケトン410重量部に
溶解し、さらに温水230重量部を加え、ろ過した後、
分液し塩水層を抜き取った。残った油層(樹脂液)を2
55mmHg、70℃に調整し、水分率を測定したとこ
ろ0.8重量%であった。この条件で49%水酸化ナト
リウム水溶液1.6重量部を樹脂液に添加し、2時間に
わたり再閉環反応を行った。その間、留出分を凝縮させ
静置分液し、水層は除去し、油層は系内へ還流させた。
ついで、系内を大気圧に戻し、炭酸ガスを吹き込んで中
和した後、ろ過して塩類を除去し、さらにメチルイソブ
チルケトンを蒸留にて留去してo−クレゾールノボラッ
クエポキシ樹脂を得た。炭酸ガスによる中和後のろ過は
非常に容易であった。これはエポキシ樹脂の高分子量化
が抑制されていることを示している。得られたエポキシ
樹脂はエポキシ当量が195g/eq、加水分解性塩素
量が20ppmであった。 実施例2〜7および比較例1、2 再閉環反応を表1に示す条件で行った他は実施例1と同
様にしてo−クレゾールノボラックエポキシ樹脂を得
た。炭酸ガスで中和後のろ過性、得られたエポキシ樹脂
のエポキシ当量および加水分解性塩素量を表1に併せて
示す。
【表1】 表1から、比較例1および2では、樹脂液中の水分率が
高いため、エポキシ当量の増大は抑制されているもの
の、加水分解性塩素量が100ppmを大きく超えてい
ることから、再閉環反応が不完全であることがわかる。
これに対して、実施例1〜7では、エポキシ当量は実質
的に変化することなく、加水分解性塩素量が著しく低減
されていた。 実施例8〜10および比較例3 ノボラックとして軟化点125℃で水酸基当量が120
g/eqであるo−クレゾールノボラック120重量部
を用い、かつ表2に示す条件で再閉環反応を行った他は
実施例1と同様にしてo−クレゾールノボラックエポキ
シ樹脂を得た。該樹脂の粗エポキシ樹脂におけるエポキ
シ当量を実施例1と同様にして測定したところ、204
g/eqであった。炭酸ガスで中和後のろ過性、得られ
たエポキシ樹脂のエポキシ当量および加水分解性塩素量
を表2に併せて示す。
【表2】 表2から、比較例3では、樹脂液中の水分率が低いため
に、加水分解性塩素量は著しく低減されているものの、
中和後の塩類のろ過が非常に困難であり、得られたエポ
キシ樹脂のエポキシ当量も実施例8〜10と比較して高
くなっていることがわかる。このように、低水分率で再
閉環反応を行うと、分子間反応による高分子量化が起
き、エポキシ当量の増大およびろ過性の悪化により、目
標品質のエポキシ樹脂が得られないばかりか、生産効率
の低下をひき起こす。これに対して、実施例8〜10で
は、エポキシ当量は実質的に変化することなく、加水分
解性塩素量が低減されていた。 実施例11 実施例5において再閉環反応時の49%水酸化ナトリウ
ム水溶液の添加量を1.6重量部から8.0重量部に変
更した他は実施例5と同様にしてo−クレゾールノボラ
ックエポキシ樹脂を得た。その際、炭酸ガスで中和後の
ろ過は異常なく行えた。また、得られたエポキシ樹脂の
エポキシ当量は194g/eqで加水分解性塩素量は8
ppmであった。 比較例4 実施例8において、再閉環反応を温度80℃、圧力30
0mmHg(樹脂液中の水分率は0.6重量%)に変更
した他は、実施例8と同様にしてo−クレゾールノボラ
ックエポキシ樹脂を得た。その際、炭酸ガスで中和後の
ろ過は非常に困難であった。これは、得られたエポキシ
樹脂のエポキシ当量が206g/eqまで上昇していた
ことから、分子間反応による高分子量化が起きたことが
原因であると考えられる。一方、得られたエポキシ樹脂
の加水分解性塩素量は11ppmで充分に低下してい
た。
【発明の効果】以上のように本発明の製造方法によれ
ば、水分率を所定範囲内に設定し、かつ比較的低い温度
で粗エポキシ樹脂の再処理を行うため、エポキシ樹脂の
高分子量化が抑制され、その結果エポキシ当量の実質的
変化を伴うことなく、加水分解性ハロゲン含量を低減さ
せることができるという効果がある。従って、本発明の
製造方法によって得られるエポキシ樹脂は、加水分解性
ハロゲン含量およびエポキシ当量がいずれも最適な範囲
にあるため、高品質なエポキシ樹脂を提供できるという
効果がある。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ノボラックとエピハロヒドリンとを反応さ
    せて得た粗エポキシ樹脂にアルカリを添加して再処理す
    るエポキシ樹脂の製造方法において、 前記粗エポキシ樹脂をケトン溶剤に溶解させ、ついで水
    分率が0.5〜1.4重量%に維持された減圧下、アル
    カリを添加して50〜75℃で再処理することを特徴と
    するエポキシ樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】前記再処理が、減圧下、反応系内の水をケ
    トン溶剤と共沸させて系外に抜き出し、ついで凝縮させ
    て水層と油層の2層に分離し、油層は反応系内に還流さ
    せて行われる請求項1記載のエポキシ樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】前記ケトン溶剤がメチルイソブチルケトン
    である請求項1または2記載のエポキシ樹脂の製造方
    法。
  4. 【請求項4】前記アルカリが、前記粗エポキシ樹脂中に
    残留するハロヒドリンエーテル基の量よりも過剰に添加
    される請求項1ないし3のいずれかに記載のエポキシ樹
    脂の製造方法。
  5. 【請求項5】加水分解性ハロゲン含量が100ppm以
    下であり、かつエポキシ当量が下記(1) 式で表される、
    請求項1ないし4のいずれかに記載の方法によって得ら
    れるエポキシ樹脂。 【数1】 (OH+56)×1.09≦WPE≦(OH+56)×1.16 ・・・(1) 式中、OHはエポキシ樹脂の原料ノボラックの水酸基当
    量(g/eq)、WPEはエポキシ樹脂のエポキシ当量
    (g/eq)を示す。
  6. 【請求項6】前記加水分解性ハロゲン含量が50ppm
    以下である請求項5記載のエポキシ樹脂。
  7. 【請求項7】o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂で
    ある請求項5ないし6のいずれかに記載のエポキシ樹
    脂。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008184570A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Dic Corp エポキシ樹脂の精製方法

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