JP2000044780A - 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる射出ブロー成形体 - Google Patents
熱可塑性ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる射出ブロー成形体Info
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Abstract
せることなく成形体に耐熱性を付与でき、特に射出ブロ
ー成形体の成形に有用な熱可塑性ポリエステル樹脂組成
物、及びそれからなる射出ブロー成形体を提供する。 【解決手段】 エチレンテレフタレート単位が構成繰り
返し単位の80モル%以上を占めるポリエチレンテレフ
タレート系樹脂と、該樹脂とは異種の結晶性熱可塑性樹
脂、及び、非晶性熱可塑性樹脂とからなる樹脂組成物で
あって、結晶性熱可塑性樹脂の含有量が0.1〜45p
pbであり、非晶性熱可塑性樹脂の含有量が前記範囲の
結晶性熱可塑性樹脂の含有量の1〜250000倍であ
る熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、及び該組成物から
なる射出ブロー成形体。
Description
テル樹脂組成物及びそれからなる射出ブロー成形体に関
し、更に詳しくは、結晶化速度を速め、よって、透明性
を低下させることなく成形体に耐熱性を付与でき、特に
射出ブロー成形体の成形に有用な熱可塑性ポリエステル
樹脂組成物、及びそれからなる射出ブロー成形体に関す
る。
ボトル容器として、ポリエチレンテレフタレート樹脂
が、優れた機械的性質及び化学的特性に加え、その優れ
た透明性、ガスバリア性、水蒸気バリア性、安全衛生性
等の面から注目され、著しい伸びを示している。
のボトル容器は、通常、射出成形したプリフォームをブ
ロー金型内で延伸ブロー成形して成形されるが、果汁飲
料等のように熱充填を必要とする内容物の容器の場合に
は、ボトルの耐熱性を上げるために、プリフォーム又は
ボトルの口栓部を熱処理して結晶化させることが行われ
ており、又、小容量の容器の場合には、ボトル胴部の密
度を上げるために、ブロー金型の温度を120〜180
℃程度の高温に設定して胴部の結晶化を促進することが
行われている。しかしながら、ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂は、結晶化速度が遅いため、ボトル成形時のこ
れら処理に時間を要すると共に、透明性の低下を伴うと
いう問題があり、従来よりその改良が強く望まれてい
る。
テレフタレート樹脂を流動条件下にポリエチレン等の結
晶性熱可塑性樹脂製の部材と接触させるか(特開平9−
71639号公報参照。)、或いは、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂にポリエチレン等の結晶性熱可塑性樹脂
を微量配合して(特開平9−152308号、特開平9
−194697号各公報参照。)、結晶性熱可塑性樹脂
を微量含有せしめることにより、ポリエチレンテレフタ
レート樹脂の結晶化温度を低温化ならしめる方法を提案
した。しかし、この方法は、ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂の結晶化速度にある程度の改良を与えるものの、
透明性とのバランスにおいて、市場の要求を十分に満足
させ得ているとは言い難かった。
技術に鑑みてなされたもので、結晶化速度を速め、よっ
て、透明性を低下させることなく成形体に耐熱性を付与
でき、特に射出ブロー成形体の成形に有用な熱可塑性ポ
リエステル樹脂組成物、及びそれからなる射出ブロー成
形体を提供することを目的とする。
達成すべく鋭意検討した結果、前述の如くして結晶性熱
可塑性樹脂を微量含有せしめると共に、非晶性熱可塑性
樹脂をも微量含有せしめることにより、意外にも前記目
的が達成できることを見い出し本発明を完成したもので
あって、即ち、本発明は、エチレンテレフタレート単位
が構成繰り返し単位の80モル%以上を占めるポリエチ
レンテレフタレート系樹脂と、該樹脂とは異種の結晶性
熱可塑性樹脂、及び、非晶性熱可塑性樹脂とからなる樹
脂組成物であって、結晶性熱可塑性樹脂の含有量が0.
1〜45ppbであり、非晶性熱可塑性樹脂の含有量が
前記範囲の結晶性熱可塑性樹脂の含有量の1〜2500
00倍である熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、及び該
組成物からなる射出ブロー成形体、を要旨とする。
ステル樹脂は、テレフタル酸又はそのアルキル(炭素数
1〜4程度)エステルを主成分とするジカルボン酸単位
とエチレングリコールを主成分とするグリコール単位と
の重縮合体であるポリエチレンテレフタレート系樹脂で
あって、このエチレンテレフタレート単位が構成繰り返
し単位の80モル%以上を占めるものであり、90モル
%以上を占めるものが好ましい。エチレンテレフタレー
ト単位が80モル%未満では、成形体としての機械的性
質や耐熱性が劣ることとなる。
ル以外のジカルボン酸単位として、例えば、フタル酸、
イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、
4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’
−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェ
ニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタ
ル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン
酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、
セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸の一種又は二種以上
が、又、エチレングリコール以外のグリコール単位とし
て、例えば、プロピレングリコール、トリメチレングリ
コール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレング
リコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレング
リコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコ
ール等の脂肪族グリコール、1,1−シクロヘキサンジ
メタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の
脂環式グリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニ
ル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェ
ニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スル
ホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)ス
ルホン酸等の芳香族グリコールの一種又は二種以上が、
更に、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒド
ロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やア
ルコキシカルボン酸、並びに、ステアリン酸、安息香
酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール等の単
官能成分、トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメタ
ノールエタン、ペンタエリスリトール等の三官能以上の
多官能成分、等の一種又は二種以上が、共重合成分とし
て用いられていてもよく、中で、ジカルボン酸単位とし
てはイソフタル酸等が、又、グリコール単位としてはジ
エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール等が好適である。これらは、各々、好ましくは15
モル%以内、更に好ましくは5モル%以内の範囲で用い
られる。
ステルを主成分とするジカルボン酸単位とエチレングリ
コールを主成分とするグリコール単位等を含む原料は、
常法により、エステル化触媒、又は、マンガン化合物等
の金属化合物等のエステル交換触媒の存在下、240〜
280℃程度の温度、1〜3kg/cm2 G程度の圧力
でエステル化反応又はエステル交換反応を行ってビス
(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート及び/又はそ
のオリゴマーとされた後、アンチモン化合物、ゲルマニ
ウム化合物等の金属化合物等の重縮合触媒及び燐酸等の
燐化合物等の安定剤の存在下、250〜300℃程度の
温度、500〜0.1mmHg程度の圧力で溶融重縮合
を行ってポリマーとされ、溶融重縮合槽の底部に設けた
抜き出し口からストランド状に抜き出される等した後、
カッターで切断されてチップ状とされ、更に、溶融重縮
合により得られたチップ状ポリマーは、通常、120〜
200℃程度の温度で1分間以上加熱する等して予備結
晶化がなされた後、窒素等の不活性ガス流通下、190
〜230℃程度の温度、1kg/cm2 G〜10mmH
g程度の圧力で1〜50時間、固相重縮合を行ってチッ
プ状の熱可塑性ポリエステル樹脂とされる。
樹脂は、その固有粘度が、フェノール/テトラクロロエ
タン(重量比1/1)の混合溶媒中で30℃で測定した
値として、通常、0.5〜1.2dl/gの範囲であ
る。
ル樹脂に含有される、該樹脂とは異種の結晶性熱可塑性
樹脂としては、代表的には、ポリオレフィン系樹脂、ポ
リアミド系樹脂等が挙げられ、これらは単独で、又は二
種以上を混合して用いることができる。
ば、エチレン、プロピレン、ブテン−1等の炭素数2〜
8程度のα−オレフィンの単独重合体、それらのα−オ
レフィンと、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−
メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン
−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭
素数2〜20程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニ
ル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル
酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等のビニ
ル化合物との共重合体等が挙げられ、具体的には、例え
ば、低・中・高密度ポリエチレン等(分岐状又は直鎖
状)のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重
合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−4−
メチルペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1
共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合
体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アク
リル酸エチル共重合体等のエチレン系樹脂、プロピレン
単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレ
ン−エチレン−ブテン−1共重合体等のプロピレン系樹
脂、及び、ブテン−1単独重合体、ブテン−1−エチレ
ン共重合体、ブテン−1−プロピレン共重合体等のブテ
ン−1系樹脂等が挙げられる。
ば、ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロ
ラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタム等の
ラクタムの重合体、6−アミノカプロン酸、11−アミ
ノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカ
ルボン酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチ
レンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレン
ジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4−又
は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の
脂肪族ジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメ
チル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシ
ルメタン)等の脂環式ジアミン、m−又はp−キシリレ
ンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン単位と、グ
ルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸等の脂
肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳
香族ジカルボン酸等のジカルボン酸単位との重縮合体、
及びこれらの共重合体等が挙げられ、具体的には、例え
ば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン
8、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロ
ン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン61
1、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナ
イロンMXD6、ナイロン6/66、ナイロン6/61
0、ナイロン6/12、ナイロン6/6T、ナイロン6
I/6T等が挙げられる。
ステル樹脂に含有される非晶性熱可塑性樹脂としては、
例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹
脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニ
レンエーテル系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリエー
テルスルフォン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポ
リアミドイミド系樹脂等が挙げられ、中で、ポリカーボ
ネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、及び、ポリスチ
レン系樹脂が好ましく、これらは単独で、又は二種以上
を混合して用いることができる。
ヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させる
ホスゲン法、及び、ジヒドロキシジアリール化合物とジ
フェニルカーボネート等の炭酸エステルとを反応させる
エステル交換法のいずれによって得られたものでもよ
く、又、一種のジヒドロキシジアリール化合物からなる
ホモポリマーであっても、二種以上のジヒドロキシジア
リール化合物からなるコポリマーであってもよい。
しては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−メチルフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフ
ェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェ
ニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェ
ニルメタン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン
類、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロ
ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)
シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロ
アルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフ
ェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル
類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,
4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルケ
トン等のジヒドロキシジアリールケトン類、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒド
ロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等の
ジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロ
キシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等の
ジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキ
シ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒド
ロキシジアリールスルホン類等が挙げられ、中で、2,
2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ま
しく、又、そのホモポリマーが更に好ましい。かかるポ
リカーボネート系樹脂は、粘度平均分子量で12000
〜50000のものが好ましい。
族ジカルボン酸化合物又はその誘導体と、ビスフェノー
ル化合物又はその誘導体との重縮合体であって、その芳
香族ジカルボン酸化合物としては、例えば、フタル酸、
イソフタル酸、テレフタル酸の他、前記熱可塑性ポリエ
ステル樹脂において挙げたと同様のものが挙げられる
が、中で、イソフタル酸とテレフタル酸との併用のもの
が好ましく、又、ビスフェノール化合物としては、前記
熱可塑性ポリエステル樹脂及びポリカーボネート系樹脂
において挙げたと同様のものの他、例えば、1,1−ビ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)−2,2,2−トリク
ロロエタン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジク
ロロジフェニルエーテル等が挙げられ、中で、2,2−
ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンが好まし
い。かかるポリアリレート系樹脂の固有粘度は、通常、
0.4〜1.1dl/gの範囲である。
ば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレ
ン等のα−置換アルキルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン等
の核置換スチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモス
チレン、ジブロモスチレン等の核置換ハロゲン化スチレ
ン等の単独重合体、又は共重合体が挙げられ、中で、ス
チレンの単独重合体が好ましい。
における前記結晶性熱可塑性樹脂の含有量は、0.1〜
45ppbであることが必須であり、1〜25ppbで
あるのが好ましい。結晶性熱可塑性樹脂の含有量が前記
範囲未満では、組成物として結晶化速度を速める効果を
発現できず、結果として、透明性を低下させることなく
成形体に耐熱性を付与することができなくなる。
成物における、前記非晶性熱可塑性樹脂の含有量は、前
記範囲の結晶性熱可塑性樹脂の含有量の1〜25000
0倍であることが必須であり、10〜150000倍で
あるのが好ましく、100〜100000倍であるのが
更に好ましい。非晶性熱可塑性樹脂の含有量が前記範囲
未満では、組成物として結晶化速度を速める効果を発現
できず、結果として、透明性を低下させることなく成形
体に耐熱性を付与することができなくなる。一方、前記
範囲超過でも、組成物として結晶化速度を速める効果を
発現できず、結果として、透明性を低下させることなく
成形体に耐熱性を付与することができなくなると共に、
成形体が白濁するという問題も発生する。
組成物の製造は、前記熱可塑性ポリエステル樹脂に前記
結晶性熱可塑性樹脂及び非晶性熱可塑性樹脂を、その含
有量がそれぞれ前記範囲となるように、直接に添加し溶
融混練する方法、又は、マスターバッチとして添加し溶
融混練する方法等の慣用の方法による外、前記結晶性熱
可塑性樹脂及び/又は非晶性熱可塑性樹脂を、前記熱可
塑性ポリエステル樹脂の製造段階、例えば、溶融重縮合
時(原料、スラリー、触媒等)、溶融重縮合直後、予備
結晶化直後、固相重縮合時、固相重縮合直後等のいずれ
かの段階、又は、製造段階を終えてから成形段階に到る
までの間等、で粉粒体として直接に添加するか、又は、
粉粒体として分散させた水等の液体とポリエステル樹脂
チップ状体を接触させるか、粉粒体として混入させたエ
ア等の気体とポリエステル樹脂チップ状体を接触させる
か、或いは、ポリエステル樹脂チップ状体の流動条件下
に結晶性熱可塑性樹脂及び/又は非晶性熱可塑性樹脂製
の部材に接触させる等の方法で混入させた後、溶融混練
する方法等によることもできる。後者方法の中では、ポ
リエステル樹脂の溶融重縮合後のチップ状体の、予備結
晶化機への気力輸送時、又は固相重縮合槽への気力輸送
時、又は、固相重縮合後のチップ状体の、貯蔵槽への気
力輸送時、又は成形機への気力輸送時等に、気力輸送用
エアに結晶性熱可塑性樹脂及び/又は非晶性熱可塑性樹
脂を混入しておく方法が好ましい。
動条件下に結晶性熱可塑性樹脂及び/又は非晶性熱可塑
性樹脂製の部材に接触させる方法としては、結晶性熱可
塑性樹脂又は非晶性熱可塑性樹脂製の部材が存在する空
間内で、ポリエステル樹脂チップを該部材に衝突接触さ
せることが好ましく、具体的には、例えば、ポリエステ
ル樹脂の溶融重縮合直後、予備結晶化直後、固相重縮合
直後等の製造工程時、又、ポリエステル樹脂チップの製
品としての輸送段階等での輸送容器充填・排出時、又、
ポリエステル樹脂チップの成形段階での成形機投入時、
等における気力輸送配管、重力輸送配管、サイロ、振動
篩のパンチング板、マグネットキャッチャーのマグネッ
ト部等の一部を結晶性熱可塑性樹脂又は非晶性熱可塑性
樹脂製とするか、又は、結晶性熱可塑性樹脂又は非晶性
熱可塑性樹脂をライニングするとか、或いは前記移送経
路内に棒状又は網状体等の結晶性熱可塑性樹脂又は非晶
性熱可塑性樹脂製部材を設置する等して、ポリエステル
樹脂チップを移送する方法が挙げられる。ポリエステル
樹脂チップの前記部材との接触時間は、通常、0.01
〜1秒程度の極短時間であるが、ポリエステル樹脂に結
晶性熱可塑性樹脂及び/又は非晶性熱可塑性樹脂を微量
混入させることができる。
ステル樹脂組成物には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯
電防止剤、染料や顔料等の着色剤、ガラス繊維、フレ
カ、マイカ、カーボンファイバー、チタン酸カリファイ
バー等の強化材、粒子径0.01〜10μm程度のシリ
コーン樹脂等の有機微粒子、炭酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、シリカ、カオリ
ン、クレー等の無機微粒子等のブロッキング防止剤、無
機系及び有機系の核剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤等が
含有されていてもよい。
脂と、結晶性熱可塑性樹脂、非晶性熱可塑性樹脂、及
び、必要に応じて加えられる配合剤とを常法により溶融
混練することにより製造される本発明の熱可塑性ポリエ
ステル樹脂組成物は、例えば、押出成形によってフィル
ムやシート等に成形され、又、射出成形によってプリフ
ォームに成形された後、延伸ブロー成形によってボトル
等に成形される。尚、その際の押出成形条件としては、
通常採用されている範囲であって、例えば、シリンダー
温度240〜300℃、スクリュー回転数40〜300
rpm、冷却ドラム温度5〜60℃等の範囲で成形する
ことができる。又、射出成形条件としては、シリンダー
温度260〜300℃、金型温度5〜40℃、スクリュ
ー回転数40〜300rpm、射出圧力40〜140k
g/cm2 等の範囲で成形することができる。又、延伸
ブロー成形条件としては、延伸温度70〜120℃、延
伸倍率は縦方向に1.5〜3.5倍、円周方向に2〜5
倍等の範囲で成形し、更に、温度100〜200℃で数
秒〜数分間の熱固定がなされる。
成物からなる成形体は、詳細後述する180℃での等温
結晶化速度における1/2結晶化時間(τ)が、30〜
90秒の範囲を有するものとなる。
は、前記の成形方法による成形体の中で、射出成形方法
によって得られたプリフォームを、再加熱後に二軸延伸
するコールドパリソン法等のブロー成形法よってボトル
等に成形された、射出ブロー成形体として好適であり、
例えば、炭酸飲料、果汁飲料、アルコール飲料、茶やミ
ネラルウォーター等の飲料、醤油、ソース、みりん、ド
レッシング等の液体調味料、食用油、液体洗剤、化粧品
等の容器として好適に用いられる。
するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例
に限定されるものではない。 実施例1 テレフタル酸13.0重量部とエチレングリコール5.
82重量部とからなるスラリーを重縮合槽に供給して、
常圧下250℃でエステル化反応を行い、エステル化反
応率95%のビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ
ート及びその低重合体を調製した後、正燐酸0.012
重量部と二酸化ゲルマニウム0.012重量部とを加え
て、1mmHgの減圧下280℃で重縮合を行った。生
成したポリマーを、重縮合槽の底部に冷却水槽に直結さ
せて設けた抜き出し口からストランド状に抜き出して水
冷した後、チップ状にカットした。引き続いて、得られ
たポリマーチップを攪拌結晶化機(Bepex社式)に
移送し、ポリマーチップ表面を150℃で結晶化させた
後、窒素流通下140℃で3時間乾燥させ、続いて静置
固相重縮合塔に移し、窒素流通下210℃で20時間固
相重縮合してチップ状のポリエチレンテレフタレート樹
脂(固有粘度0.75dl/g)を製造した。
チップを、予め径1.5mmの大きさに機械粉砕したポ
リカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチッ
ク社製「ユーピロンH4000」)の粉粒体を0.6g
/m3 の割合で混入した気力輸送用エアを用いて微粉除
去装置に移送し、余分な粉粒体を除去した後、1段に5
本の棒状マグネット(直径21mm)がセットでき、そ
の1段分を低密度ポリエチレン(日本ポリケム社製、
「UE320」)製パイプに換えたマグネットキャッチ
ャー内を所定速度で通過させて処理することにより、低
密度ポリエチレンとポリカーボネート樹脂を混入したポ
リエチレンテレフタレート樹脂チップを得た。
0℃で10時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工
業社製「FE−80S」)にて、シリンダー温度280
℃、スクリュー回転数120rpm、1次圧時間1.0
秒、金型温度20℃、成形サイクル40秒で、溶融混練
した組成物から、外径約30mm、内径約20mm、長
さ165mm、重量約60gの円筒状のプリフォームを
射出成形した。
法で、結晶性樹脂としての低密度ポリエチレン、及び非
晶性樹脂としてのポリカーボネート樹脂の各含有量を測
定し、結果を表1に示した。低密度ポリエチレン及びポリカーボネート樹脂含有量 試料約15mgをトリフルオロ酢酸0.7mlに溶解さ
せ、NMRにて定量した。
下の方法で、結晶化速度を評価し、結果を表1に示し
た。結晶化速度 プリフォームの口栓部をサポートリング下より切断し、
口栓部のみを180℃オイルバス中に15秒間隔で最長
180秒間浸漬させて結晶化させた各試料について、水
中で急冷後、口栓部天面のねじ切り開始部を約1.5m
m立法角に切り出し、浸漬液として臭化ナトリウム/エ
チルアルコール/水系を用いてJISK7112に準拠
して密度勾配管法により密度を測定し、得られた密度と
浸漬時間との関係図から、下式で算出される1/2結晶
化密度(ρ)に到達する時間を1/2結晶化時間(τ)
として読み取った。 1/2結晶化密度(ρ)=(浸漬前密度+180秒間浸
漬後密度)/2
80〜250℃の加熱炉内で加熱した後、ブロー圧力5
〜30kg/cm2 、金型温度150℃に設定したブロ
ー成形機にて延伸ブロー成形し、外径約100mm、高
さ約300mm、胴部平均肉厚約0.35mm、内容積
約1.5リットルのボトルを成形するにおいて、以下に
示す方法で、透明性を評価し、結果を表1に示した。透明性 前記加熱時間を55秒として成形したボトル胴部より4
0mm×40mmの大きさに切り出した試料について、
ヘーズメーター(日本電色社製「NDH−300A」)
にてヘーズを測定し、その値が3%未満の場合は更めて
加熱時間を0.5秒長くして、又、その値が3%超過の
場合は更めて加熱時間を0.5秒短くして、同様にボト
ルを成形し、ヘーズを測定してこの操作を繰り返すこと
により、ヘーズ値が3.0%となる加熱時間(これを最
大許容加熱時間(t)とした。)を求めた。この時間が
長い程、結晶化による耐熱性の付与時の透明性の低下を
抑えることができることを意味する。
表1に示すように変更した外は、実施例1と同様にして
得られた樹脂チップについて、プリフォームを成形して
結晶化速度を評価し、更に、そのプリフォームを延伸ブ
ロー成形して透明性を評価し、結果を表1に示した。
表1に示すように変更すると共に、マグネットキャッチ
ャーの2段分を低密度ポリエチレン製パイプに換えた外
は、実施例1と同様にして得られた樹脂チップについ
て、プリフォームを成形して結晶化速度を評価し、更
に、そのプリフォームを延伸ブロー成形して透明性を評
価し、結果を表1に示した。
表1に示すように変更すると共に、マグネットキャッチ
ャーに低密度ポリエチレンを用いる代わりに、その粉粒
体を0.015g/m3 の割合で気力輸送用エアに混入
して用いた外は、実施例1と同様にして得られた樹脂チ
ップについて、プリフォームを成形して結晶化速度を評
価し、更に、そのプリフォームを延伸ブロー成形して透
明性を評価し、結果を表1に示した。
表1に示すように変更すると共に、マグネットキャッチ
ャーに低密度ポリエチレンを用いなかった外は、実施例
1と同様にして得られた樹脂チップについて、プリフォ
ームを成形して結晶化速度を評価し、更に、そのプリフ
ォームを延伸ブロー成形して透明性を評価し、結果を表
1に示した。
表1に示すように変更すると共に、マグネットキャッチ
ャーに低密度ポリエチレンを用いる代わりに、その粉粒
体を0.033g/m3 (比較例6)、及び0.050
g/m3 (比較例7)の割合で気力輸送用エアに混入し
て用いた外は、実施例1と同様にして得られた樹脂チッ
プについて、プリフォームを成形して結晶化速度を評価
し、更に、そのプリフォームを延伸ブロー成形して透明
性を評価し、結果を表1に示した。
スチレン樹脂(三菱化学社製「HH102」)を用いる
と共に、気力輸送用エアへの混入量を表1に示すように
変更した外は、実施例1と同様にして得られた樹脂チッ
プについて、プリフォームを成形して結晶化速度を評価
し、更に、そのプリフォームを延伸ブロー成形して透明
性を評価し、結果を表1に示した。
って、透明性を低下させることなく成形体に耐熱性を付
与でき、特に射出ブロー成形体の成形に有用な熱可塑性
ポリエステル樹脂組成物、及びそれからなる射出ブロー
成形体を提供することができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 エチレンテレフタレート単位が構成繰り
返し単位の80モル%以上を占めるポリエチレンテレフ
タレート系樹脂と、該樹脂とは異種の結晶性熱可塑性樹
脂、及び、非晶性熱可塑性樹脂とからなる樹脂組成物で
あって、結晶性熱可塑性樹脂の含有量が0.1〜45p
pbであり、非晶性熱可塑性樹脂の含有量が前記範囲の
結晶性熱可塑性樹脂の含有量の1〜250000倍であ
ることを特徴とする熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。 - 【請求項2】 結晶性熱可塑性樹脂の含有量が1〜25
ppbであり、非晶性熱可塑性樹脂の含有量が前記範囲
の結晶性熱可塑性樹脂の含有量の100〜100000
倍である請求項1に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組
成物。 - 【請求項3】 結晶性熱可塑性樹脂がポリオレフィン系
樹脂、及びポリアミド系樹脂からなる群から選ばれたい
ずれかの樹脂である請求項1又は2に記載の熱可塑性ポ
リエステル樹脂組成物。 - 【請求項4】 非晶性熱可塑性樹脂がポリカーボネート
系樹脂、ポリアリレート系樹脂、及びポリスチレン系樹
脂からなる群から選ばれたいずれかの樹脂である請求項
1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル樹脂
組成物。 - 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可
塑性ポリエステル樹脂組成物からなることを特徴とする
射出ブロー成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22000798A JP3711754B2 (ja) | 1998-08-04 | 1998-08-04 | 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる射出ブロー成形体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22000798A JP3711754B2 (ja) | 1998-08-04 | 1998-08-04 | 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる射出ブロー成形体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000044780A true JP2000044780A (ja) | 2000-02-15 |
JP3711754B2 JP3711754B2 (ja) | 2005-11-02 |
Family
ID=16744479
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22000798A Expired - Lifetime JP3711754B2 (ja) | 1998-08-04 | 1998-08-04 | 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる射出ブロー成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3711754B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002114892A (ja) * | 2000-10-06 | 2002-04-16 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | ポリエステル樹脂組成物 |
US10619275B2 (en) | 2014-06-26 | 2020-04-14 | 3M Innovative Properties Company | Thermally stable nonwoven web comprising meltblown blended-polymer fibers |
-
1998
- 1998-08-04 JP JP22000798A patent/JP3711754B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002114892A (ja) * | 2000-10-06 | 2002-04-16 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | ポリエステル樹脂組成物 |
US10619275B2 (en) | 2014-06-26 | 2020-04-14 | 3M Innovative Properties Company | Thermally stable nonwoven web comprising meltblown blended-polymer fibers |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3711754B2 (ja) | 2005-11-02 |
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