JP2000044780A - 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる射出ブロー成形体 - Google Patents

熱可塑性ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる射出ブロー成形体

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JP2000044780A
JP2000044780A JP22000798A JP22000798A JP2000044780A JP 2000044780 A JP2000044780 A JP 2000044780A JP 22000798 A JP22000798 A JP 22000798A JP 22000798 A JP22000798 A JP 22000798A JP 2000044780 A JP2000044780 A JP 2000044780A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶化速度を速め、よって、透明性を低下さ
せることなく成形体に耐熱性を付与でき、特に射出ブロ
ー成形体の成形に有用な熱可塑性ポリエステル樹脂組成
物、及びそれからなる射出ブロー成形体を提供する。 【解決手段】 エチレンテレフタレート単位が構成繰り
返し単位の80モル%以上を占めるポリエチレンテレフ
タレート系樹脂と、該樹脂とは異種の結晶性熱可塑性樹
脂、及び、非晶性熱可塑性樹脂とからなる樹脂組成物で
あって、結晶性熱可塑性樹脂の含有量が0.1〜45p
pbであり、非晶性熱可塑性樹脂の含有量が前記範囲の
結晶性熱可塑性樹脂の含有量の1〜250000倍であ
る熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、及び該組成物から
なる射出ブロー成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性ポリエス
テル樹脂組成物及びそれからなる射出ブロー成形体に関
し、更に詳しくは、結晶化速度を速め、よって、透明性
を低下させることなく成形体に耐熱性を付与でき、特に
射出ブロー成形体の成形に有用な熱可塑性ポリエステル
樹脂組成物、及びそれからなる射出ブロー成形体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、飲料、液体洗剤、化粧品等の
ボトル容器として、ポリエチレンテレフタレート樹脂
が、優れた機械的性質及び化学的特性に加え、その優れ
た透明性、ガスバリア性、水蒸気バリア性、安全衛生性
等の面から注目され、著しい伸びを示している。
【0003】これらのポリエチレンテレフタレート樹脂
のボトル容器は、通常、射出成形したプリフォームをブ
ロー金型内で延伸ブロー成形して成形されるが、果汁飲
料等のように熱充填を必要とする内容物の容器の場合に
は、ボトルの耐熱性を上げるために、プリフォーム又は
ボトルの口栓部を熱処理して結晶化させることが行われ
ており、又、小容量の容器の場合には、ボトル胴部の密
度を上げるために、ブロー金型の温度を120〜180
℃程度の高温に設定して胴部の結晶化を促進することが
行われている。しかしながら、ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂は、結晶化速度が遅いため、ボトル成形時のこ
れら処理に時間を要すると共に、透明性の低下を伴うと
いう問題があり、従来よりその改良が強く望まれてい
る。
【0004】一方、本願出願人は、先に、ポリエチレン
テレフタレート樹脂を流動条件下にポリエチレン等の結
晶性熱可塑性樹脂製の部材と接触させるか(特開平9−
71639号公報参照。)、或いは、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂にポリエチレン等の結晶性熱可塑性樹脂
を微量配合して(特開平9−152308号、特開平9
−194697号各公報参照。)、結晶性熱可塑性樹脂
を微量含有せしめることにより、ポリエチレンテレフタ
レート樹脂の結晶化温度を低温化ならしめる方法を提案
した。しかし、この方法は、ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂の結晶化速度にある程度の改良を与えるものの、
透明性とのバランスにおいて、市場の要求を十分に満足
させ得ているとは言い難かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の従来
技術に鑑みてなされたもので、結晶化速度を速め、よっ
て、透明性を低下させることなく成形体に耐熱性を付与
でき、特に射出ブロー成形体の成形に有用な熱可塑性ポ
リエステル樹脂組成物、及びそれからなる射出ブロー成
形体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成すべく鋭意検討した結果、前述の如くして結晶性熱
可塑性樹脂を微量含有せしめると共に、非晶性熱可塑性
樹脂をも微量含有せしめることにより、意外にも前記目
的が達成できることを見い出し本発明を完成したもので
あって、即ち、本発明は、エチレンテレフタレート単位
が構成繰り返し単位の80モル%以上を占めるポリエチ
レンテレフタレート系樹脂と、該樹脂とは異種の結晶性
熱可塑性樹脂、及び、非晶性熱可塑性樹脂とからなる樹
脂組成物であって、結晶性熱可塑性樹脂の含有量が0.
1〜45ppbであり、非晶性熱可塑性樹脂の含有量が
前記範囲の結晶性熱可塑性樹脂の含有量の1〜2500
00倍である熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、及び該
組成物からなる射出ブロー成形体、を要旨とする。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において、熱可塑性ポリエ
ステル樹脂は、テレフタル酸又はそのアルキル(炭素数
1〜4程度)エステルを主成分とするジカルボン酸単位
とエチレングリコールを主成分とするグリコール単位と
の重縮合体であるポリエチレンテレフタレート系樹脂で
あって、このエチレンテレフタレート単位が構成繰り返
し単位の80モル%以上を占めるものであり、90モル
%以上を占めるものが好ましい。エチレンテレフタレー
ト単位が80モル%未満では、成形体としての機械的性
質や耐熱性が劣ることとなる。
【0008】尚、テレフタル酸及びそのアルキルエステ
ル以外のジカルボン酸単位として、例えば、フタル酸、
イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、
4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’
−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェ
ニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタ
ル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン
酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、
セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸の一種又は二種以上
が、又、エチレングリコール以外のグリコール単位とし
て、例えば、プロピレングリコール、トリメチレングリ
コール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレング
リコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレング
リコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコ
ール等の脂肪族グリコール、1,1−シクロヘキサンジ
メタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の
脂環式グリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニ
ル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェ
ニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スル
ホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)ス
ルホン酸等の芳香族グリコールの一種又は二種以上が、
更に、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒド
ロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やア
ルコキシカルボン酸、並びに、ステアリン酸、安息香
酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール等の単
官能成分、トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメタ
ノールエタン、ペンタエリスリトール等の三官能以上の
多官能成分、等の一種又は二種以上が、共重合成分とし
て用いられていてもよく、中で、ジカルボン酸単位とし
てはイソフタル酸等が、又、グリコール単位としてはジ
エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール等が好適である。これらは、各々、好ましくは15
モル%以内、更に好ましくは5モル%以内の範囲で用い
られる。
【0009】これらのテレフタル酸又はそのアルキルエ
ステルを主成分とするジカルボン酸単位とエチレングリ
コールを主成分とするグリコール単位等を含む原料は、
常法により、エステル化触媒、又は、マンガン化合物等
の金属化合物等のエステル交換触媒の存在下、240〜
280℃程度の温度、1〜3kg/cm2 G程度の圧力
でエステル化反応又はエステル交換反応を行ってビス
(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート及び/又はそ
のオリゴマーとされた後、アンチモン化合物、ゲルマニ
ウム化合物等の金属化合物等の重縮合触媒及び燐酸等の
燐化合物等の安定剤の存在下、250〜300℃程度の
温度、500〜0.1mmHg程度の圧力で溶融重縮合
を行ってポリマーとされ、溶融重縮合槽の底部に設けた
抜き出し口からストランド状に抜き出される等した後、
カッターで切断されてチップ状とされ、更に、溶融重縮
合により得られたチップ状ポリマーは、通常、120〜
200℃程度の温度で1分間以上加熱する等して予備結
晶化がなされた後、窒素等の不活性ガス流通下、190
〜230℃程度の温度、1kg/cm2 G〜10mmH
g程度の圧力で1〜50時間、固相重縮合を行ってチッ
プ状の熱可塑性ポリエステル樹脂とされる。
【0010】本発明における前記熱可塑性ポリエステル
樹脂は、その固有粘度が、フェノール/テトラクロロエ
タン(重量比1/1)の混合溶媒中で30℃で測定した
値として、通常、0.5〜1.2dl/gの範囲であ
る。
【0011】本発明において、前記熱可塑性ポリエステ
ル樹脂に含有される、該樹脂とは異種の結晶性熱可塑性
樹脂としては、代表的には、ポリオレフィン系樹脂、ポ
リアミド系樹脂等が挙げられ、これらは単独で、又は二
種以上を混合して用いることができる。
【0012】そのポリオレフィン系樹脂としては、例え
ば、エチレン、プロピレン、ブテン−1等の炭素数2〜
8程度のα−オレフィンの単独重合体、それらのα−オ
レフィンと、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−
メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン
−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭
素数2〜20程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニ
ル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル
酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等のビニ
ル化合物との共重合体等が挙げられ、具体的には、例え
ば、低・中・高密度ポリエチレン等(分岐状又は直鎖
状)のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重
合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−4−
メチルペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1
共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合
体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アク
リル酸エチル共重合体等のエチレン系樹脂、プロピレン
単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレ
ン−エチレン−ブテン−1共重合体等のプロピレン系樹
脂、及び、ブテン−1単独重合体、ブテン−1−エチレ
ン共重合体、ブテン−1−プロピレン共重合体等のブテ
ン−1系樹脂等が挙げられる。
【0013】又、そのポリアミド系樹脂としては、例え
ば、ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロ
ラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタム等の
ラクタムの重合体、6−アミノカプロン酸、11−アミ
ノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカ
ルボン酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチ
レンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレン
ジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4−又
は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の
脂肪族ジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメ
チル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシ
ルメタン)等の脂環式ジアミン、m−又はp−キシリレ
ンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン単位と、グ
ルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸等の脂
肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳
香族ジカルボン酸等のジカルボン酸単位との重縮合体、
及びこれらの共重合体等が挙げられ、具体的には、例え
ば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン
8、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロ
ン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン61
1、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナ
イロンMXD6、ナイロン6/66、ナイロン6/61
0、ナイロン6/12、ナイロン6/6T、ナイロン6
I/6T等が挙げられる。
【0014】又、本発明において、前記熱可塑性ポリエ
ステル樹脂に含有される非晶性熱可塑性樹脂としては、
例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹
脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニ
レンエーテル系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリエー
テルスルフォン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポ
リアミドイミド系樹脂等が挙げられ、中で、ポリカーボ
ネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、及び、ポリスチ
レン系樹脂が好ましく、これらは単独で、又は二種以上
を混合して用いることができる。
【0015】そのポリカーボネート系樹脂としては、ジ
ヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させる
ホスゲン法、及び、ジヒドロキシジアリール化合物とジ
フェニルカーボネート等の炭酸エステルとを反応させる
エステル交換法のいずれによって得られたものでもよ
く、又、一種のジヒドロキシジアリール化合物からなる
ホモポリマーであっても、二種以上のジヒドロキシジア
リール化合物からなるコポリマーであってもよい。
【0016】ここで、ジヒドロキシジアリール化合物と
しては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−メチルフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフ
ェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェ
ニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェ
ニルメタン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン
類、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロ
ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)
シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロ
アルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフ
ェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル
類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,
4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルケ
トン等のジヒドロキシジアリールケトン類、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒド
ロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等の
ジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロ
キシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等の
ジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキ
シ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒド
ロキシジアリールスルホン類等が挙げられ、中で、2,
2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ま
しく、又、そのホモポリマーが更に好ましい。かかるポ
リカーボネート系樹脂は、粘度平均分子量で12000
〜50000のものが好ましい。
【0017】又、ポリアリレート系樹脂としては、芳香
族ジカルボン酸化合物又はその誘導体と、ビスフェノー
ル化合物又はその誘導体との重縮合体であって、その芳
香族ジカルボン酸化合物としては、例えば、フタル酸、
イソフタル酸、テレフタル酸の他、前記熱可塑性ポリエ
ステル樹脂において挙げたと同様のものが挙げられる
が、中で、イソフタル酸とテレフタル酸との併用のもの
が好ましく、又、ビスフェノール化合物としては、前記
熱可塑性ポリエステル樹脂及びポリカーボネート系樹脂
において挙げたと同様のものの他、例えば、1,1−ビ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)−2,2,2−トリク
ロロエタン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジク
ロロジフェニルエーテル等が挙げられ、中で、2,2−
ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンが好まし
い。かかるポリアリレート系樹脂の固有粘度は、通常、
0.4〜1.1dl/gの範囲である。
【0018】又、ポリスチレン系樹脂としては、例え
ば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレ
ン等のα−置換アルキルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン等
の核置換スチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモス
チレン、ジブロモスチレン等の核置換ハロゲン化スチレ
ン等の単独重合体、又は共重合体が挙げられ、中で、ス
チレンの単独重合体が好ましい。
【0019】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
における前記結晶性熱可塑性樹脂の含有量は、0.1〜
45ppbであることが必須であり、1〜25ppbで
あるのが好ましい。結晶性熱可塑性樹脂の含有量が前記
範囲未満では、組成物として結晶化速度を速める効果を
発現できず、結果として、透明性を低下させることなく
成形体に耐熱性を付与することができなくなる。
【0020】又、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組
成物における、前記非晶性熱可塑性樹脂の含有量は、前
記範囲の結晶性熱可塑性樹脂の含有量の1〜25000
0倍であることが必須であり、10〜150000倍で
あるのが好ましく、100〜100000倍であるのが
更に好ましい。非晶性熱可塑性樹脂の含有量が前記範囲
未満では、組成物として結晶化速度を速める効果を発現
できず、結果として、透明性を低下させることなく成形
体に耐熱性を付与することができなくなる。一方、前記
範囲超過でも、組成物として結晶化速度を速める効果を
発現できず、結果として、透明性を低下させることなく
成形体に耐熱性を付与することができなくなると共に、
成形体が白濁するという問題も発生する。
【0021】本発明における熱可塑性ポリエステル樹脂
組成物の製造は、前記熱可塑性ポリエステル樹脂に前記
結晶性熱可塑性樹脂及び非晶性熱可塑性樹脂を、その含
有量がそれぞれ前記範囲となるように、直接に添加し溶
融混練する方法、又は、マスターバッチとして添加し溶
融混練する方法等の慣用の方法による外、前記結晶性熱
可塑性樹脂及び/又は非晶性熱可塑性樹脂を、前記熱可
塑性ポリエステル樹脂の製造段階、例えば、溶融重縮合
時(原料、スラリー、触媒等)、溶融重縮合直後、予備
結晶化直後、固相重縮合時、固相重縮合直後等のいずれ
かの段階、又は、製造段階を終えてから成形段階に到る
までの間等、で粉粒体として直接に添加するか、又は、
粉粒体として分散させた水等の液体とポリエステル樹脂
チップ状体を接触させるか、粉粒体として混入させたエ
ア等の気体とポリエステル樹脂チップ状体を接触させる
か、或いは、ポリエステル樹脂チップ状体の流動条件下
に結晶性熱可塑性樹脂及び/又は非晶性熱可塑性樹脂製
の部材に接触させる等の方法で混入させた後、溶融混練
する方法等によることもできる。後者方法の中では、ポ
リエステル樹脂の溶融重縮合後のチップ状体の、予備結
晶化機への気力輸送時、又は固相重縮合槽への気力輸送
時、又は、固相重縮合後のチップ状体の、貯蔵槽への気
力輸送時、又は成形機への気力輸送時等に、気力輸送用
エアに結晶性熱可塑性樹脂及び/又は非晶性熱可塑性樹
脂を混入しておく方法が好ましい。
【0022】ここで、ポリエステル樹脂チップ状体の流
動条件下に結晶性熱可塑性樹脂及び/又は非晶性熱可塑
性樹脂製の部材に接触させる方法としては、結晶性熱可
塑性樹脂又は非晶性熱可塑性樹脂製の部材が存在する空
間内で、ポリエステル樹脂チップを該部材に衝突接触さ
せることが好ましく、具体的には、例えば、ポリエステ
ル樹脂の溶融重縮合直後、予備結晶化直後、固相重縮合
直後等の製造工程時、又、ポリエステル樹脂チップの製
品としての輸送段階等での輸送容器充填・排出時、又、
ポリエステル樹脂チップの成形段階での成形機投入時、
等における気力輸送配管、重力輸送配管、サイロ、振動
篩のパンチング板、マグネットキャッチャーのマグネッ
ト部等の一部を結晶性熱可塑性樹脂又は非晶性熱可塑性
樹脂製とするか、又は、結晶性熱可塑性樹脂又は非晶性
熱可塑性樹脂をライニングするとか、或いは前記移送経
路内に棒状又は網状体等の結晶性熱可塑性樹脂又は非晶
性熱可塑性樹脂製部材を設置する等して、ポリエステル
樹脂チップを移送する方法が挙げられる。ポリエステル
樹脂チップの前記部材との接触時間は、通常、0.01
〜1秒程度の極短時間であるが、ポリエステル樹脂に結
晶性熱可塑性樹脂及び/又は非晶性熱可塑性樹脂を微量
混入させることができる。
【0023】尚、本発明において、前記熱可塑性ポリエ
ステル樹脂組成物には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯
電防止剤、染料や顔料等の着色剤、ガラス繊維、フレ
カ、マイカ、カーボンファイバー、チタン酸カリファイ
バー等の強化材、粒子径0.01〜10μm程度のシリ
コーン樹脂等の有機微粒子、炭酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、シリカ、カオリ
ン、クレー等の無機微粒子等のブロッキング防止剤、無
機系及び有機系の核剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤等が
含有されていてもよい。
【0024】前述の如くして、熱可塑性ポリエステル樹
脂と、結晶性熱可塑性樹脂、非晶性熱可塑性樹脂、及
び、必要に応じて加えられる配合剤とを常法により溶融
混練することにより製造される本発明の熱可塑性ポリエ
ステル樹脂組成物は、例えば、押出成形によってフィル
ムやシート等に成形され、又、射出成形によってプリフ
ォームに成形された後、延伸ブロー成形によってボトル
等に成形される。尚、その際の押出成形条件としては、
通常採用されている範囲であって、例えば、シリンダー
温度240〜300℃、スクリュー回転数40〜300
rpm、冷却ドラム温度5〜60℃等の範囲で成形する
ことができる。又、射出成形条件としては、シリンダー
温度260〜300℃、金型温度5〜40℃、スクリュ
ー回転数40〜300rpm、射出圧力40〜140k
g/cm2 等の範囲で成形することができる。又、延伸
ブロー成形条件としては、延伸温度70〜120℃、延
伸倍率は縦方向に1.5〜3.5倍、円周方向に2〜5
倍等の範囲で成形し、更に、温度100〜200℃で数
秒〜数分間の熱固定がなされる。
【0025】尚、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組
成物からなる成形体は、詳細後述する180℃での等温
結晶化速度における1/2結晶化時間(τ)が、30〜
90秒の範囲を有するものとなる。
【0026】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
は、前記の成形方法による成形体の中で、射出成形方法
によって得られたプリフォームを、再加熱後に二軸延伸
するコールドパリソン法等のブロー成形法よってボトル
等に成形された、射出ブロー成形体として好適であり、
例えば、炭酸飲料、果汁飲料、アルコール飲料、茶やミ
ネラルウォーター等の飲料、醤油、ソース、みりん、ド
レッシング等の液体調味料、食用油、液体洗剤、化粧品
等の容器として好適に用いられる。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例
に限定されるものではない。 実施例1 テレフタル酸13.0重量部とエチレングリコール5.
82重量部とからなるスラリーを重縮合槽に供給して、
常圧下250℃でエステル化反応を行い、エステル化反
応率95%のビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ
ート及びその低重合体を調製した後、正燐酸0.012
重量部と二酸化ゲルマニウム0.012重量部とを加え
て、1mmHgの減圧下280℃で重縮合を行った。生
成したポリマーを、重縮合槽の底部に冷却水槽に直結さ
せて設けた抜き出し口からストランド状に抜き出して水
冷した後、チップ状にカットした。引き続いて、得られ
たポリマーチップを攪拌結晶化機(Bepex社式)に
移送し、ポリマーチップ表面を150℃で結晶化させた
後、窒素流通下140℃で3時間乾燥させ、続いて静置
固相重縮合塔に移し、窒素流通下210℃で20時間固
相重縮合してチップ状のポリエチレンテレフタレート樹
脂(固有粘度0.75dl/g)を製造した。
【0028】得られたポリエチレンテレフタレート樹脂
チップを、予め径1.5mmの大きさに機械粉砕したポ
リカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチッ
ク社製「ユーピロンH4000」)の粉粒体を0.6g
/m3 の割合で混入した気力輸送用エアを用いて微粉除
去装置に移送し、余分な粉粒体を除去した後、1段に5
本の棒状マグネット(直径21mm)がセットでき、そ
の1段分を低密度ポリエチレン(日本ポリケム社製、
「UE320」)製パイプに換えたマグネットキャッチ
ャー内を所定速度で通過させて処理することにより、低
密度ポリエチレンとポリカーボネート樹脂を混入したポ
リエチレンテレフタレート樹脂チップを得た。
【0029】得られた樹脂チップを真空乾燥機にて13
0℃で10時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工
業社製「FE−80S」)にて、シリンダー温度280
℃、スクリュー回転数120rpm、1次圧時間1.0
秒、金型温度20℃、成形サイクル40秒で、溶融混練
した組成物から、外径約30mm、内径約20mm、長
さ165mm、重量約60gの円筒状のプリフォームを
射出成形した。
【0030】得られたプリフォームについて、以下の方
法で、結晶性樹脂としての低密度ポリエチレン、及び非
晶性樹脂としてのポリカーボネート樹脂の各含有量を測
定し、結果を表1に示した。低密度ポリエチレン及びポリカーボネート樹脂含有量 試料約15mgをトリフルオロ酢酸0.7mlに溶解さ
せ、NMRにて定量した。
【0031】更に、得られたプリフォームについて、以
下の方法で、結晶化速度を評価し、結果を表1に示し
た。結晶化速度 プリフォームの口栓部をサポートリング下より切断し、
口栓部のみを180℃オイルバス中に15秒間隔で最長
180秒間浸漬させて結晶化させた各試料について、水
中で急冷後、口栓部天面のねじ切り開始部を約1.5m
m立法角に切り出し、浸漬液として臭化ナトリウム/エ
チルアルコール/水系を用いてJISK7112に準拠
して密度勾配管法により密度を測定し、得られた密度と
浸漬時間との関係図から、下式で算出される1/2結晶
化密度(ρ)に到達する時間を1/2結晶化時間(τ)
として読み取った。 1/2結晶化密度(ρ)=(浸漬前密度+180秒間浸
漬後密度)/2
【0032】一方、得られたプリフォームについて、1
80〜250℃の加熱炉内で加熱した後、ブロー圧力5
〜30kg/cm2 、金型温度150℃に設定したブロ
ー成形機にて延伸ブロー成形し、外径約100mm、高
さ約300mm、胴部平均肉厚約0.35mm、内容積
約1.5リットルのボトルを成形するにおいて、以下に
示す方法で、透明性を評価し、結果を表1に示した。透明性 前記加熱時間を55秒として成形したボトル胴部より4
0mm×40mmの大きさに切り出した試料について、
ヘーズメーター(日本電色社製「NDH−300A」)
にてヘーズを測定し、その値が3%未満の場合は更めて
加熱時間を0.5秒長くして、又、その値が3%超過の
場合は更めて加熱時間を0.5秒短くして、同様にボト
ルを成形し、ヘーズを測定してこの操作を繰り返すこと
により、ヘーズ値が3.0%となる加熱時間(これを最
大許容加熱時間(t)とした。)を求めた。この時間が
長い程、結晶化による耐熱性の付与時の透明性の低下を
抑えることができることを意味する。
【0033】実施例2〜6、比較例1〜3 気力輸送用エアに混入するポリカーボネート樹脂の量を
表1に示すように変更した外は、実施例1と同様にして
得られた樹脂チップについて、プリフォームを成形して
結晶化速度を評価し、更に、そのプリフォームを延伸ブ
ロー成形して透明性を評価し、結果を表1に示した。
【0034】実施例7 気力輸送用エアに混入するポリカーボネート樹脂の量を
表1に示すように変更すると共に、マグネットキャッチ
ャーの2段分を低密度ポリエチレン製パイプに換えた外
は、実施例1と同様にして得られた樹脂チップについ
て、プリフォームを成形して結晶化速度を評価し、更
に、そのプリフォームを延伸ブロー成形して透明性を評
価し、結果を表1に示した。
【0035】実施例8〜9 気力輸送用エアに混入するポリカーボネート樹脂の量を
表1に示すように変更すると共に、マグネットキャッチ
ャーに低密度ポリエチレンを用いる代わりに、その粉粒
体を0.015g/m3 の割合で気力輸送用エアに混入
して用いた外は、実施例1と同様にして得られた樹脂チ
ップについて、プリフォームを成形して結晶化速度を評
価し、更に、そのプリフォームを延伸ブロー成形して透
明性を評価し、結果を表1に示した。
【0036】比較例4〜5 気力輸送用エアに混入するポリカーボネート樹脂の量を
表1に示すように変更すると共に、マグネットキャッチ
ャーに低密度ポリエチレンを用いなかった外は、実施例
1と同様にして得られた樹脂チップについて、プリフォ
ームを成形して結晶化速度を評価し、更に、そのプリフ
ォームを延伸ブロー成形して透明性を評価し、結果を表
1に示した。
【0037】比較例6〜7 気力輸送用エアに混入するポリカーボネート樹脂の量を
表1に示すように変更すると共に、マグネットキャッチ
ャーに低密度ポリエチレンを用いる代わりに、その粉粒
体を0.033g/m3 (比較例6)、及び0.050
g/m3 (比較例7)の割合で気力輸送用エアに混入し
て用いた外は、実施例1と同様にして得られた樹脂チッ
プについて、プリフォームを成形して結晶化速度を評価
し、更に、そのプリフォームを延伸ブロー成形して透明
性を評価し、結果を表1に示した。
【0038】実施例10 非晶性樹脂として、ポリカーボネート樹脂に代えてポリ
スチレン樹脂(三菱化学社製「HH102」)を用いる
と共に、気力輸送用エアへの混入量を表1に示すように
変更した外は、実施例1と同様にして得られた樹脂チッ
プについて、プリフォームを成形して結晶化速度を評価
し、更に、そのプリフォームを延伸ブロー成形して透明
性を評価し、結果を表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、結晶化速度を速め、よ
って、透明性を低下させることなく成形体に耐熱性を付
与でき、特に射出ブロー成形体の成形に有用な熱可塑性
ポリエステル樹脂組成物、及びそれからなる射出ブロー
成形体を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101:00 23:00 77:00) B29K 67:00 Fターム(参考) 3E033 BA14 BA18 BA21 BA22 BA26 BB01 BB04 BB05 FA03 GA02 4F208 AA03 AA13 AA24 AA27 AA28 AA29 AG07 AH55 AR20 LA02 LA05 LB01 LG01 LG28 4J002 AA012 AA013 BB032 BB052 BB062 BB072 BB082 BB122 BB142 BB152 BB172 BC023 BC033 BC083 BC093 BC113 BG023 CE003 CF061 CF163 CG003 CH073 CL012 CL032 CL052 CM043 CN033 FD010 GG01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンテレフタレート単位が構成繰り
    返し単位の80モル%以上を占めるポリエチレンテレフ
    タレート系樹脂と、該樹脂とは異種の結晶性熱可塑性樹
    脂、及び、非晶性熱可塑性樹脂とからなる樹脂組成物で
    あって、結晶性熱可塑性樹脂の含有量が0.1〜45p
    pbであり、非晶性熱可塑性樹脂の含有量が前記範囲の
    結晶性熱可塑性樹脂の含有量の1〜250000倍であ
    ることを特徴とする熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 結晶性熱可塑性樹脂の含有量が1〜25
    ppbであり、非晶性熱可塑性樹脂の含有量が前記範囲
    の結晶性熱可塑性樹脂の含有量の100〜100000
    倍である請求項1に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】 結晶性熱可塑性樹脂がポリオレフィン系
    樹脂、及びポリアミド系樹脂からなる群から選ばれたい
    ずれかの樹脂である請求項1又は2に記載の熱可塑性ポ
    リエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 非晶性熱可塑性樹脂がポリカーボネート
    系樹脂、ポリアリレート系樹脂、及びポリスチレン系樹
    脂からなる群から選ばれたいずれかの樹脂である請求項
    1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可
    塑性ポリエステル樹脂組成物からなることを特徴とする
    射出ブロー成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002114892A (ja) * 2000-10-06 2002-04-16 Mitsubishi Gas Chem Co Inc ポリエステル樹脂組成物
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