JP2007138160A - ポリエステル組成物の製造方法 - Google Patents

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Kosuke Uotani
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Abstract

【課題】透明性に優れかつその変動が少なく、成形時のアルデヒド類の生成およびその変動が抑制された中空成形体、などの成形体や基材上への被覆物などの素材として好適に用いられるポリエステル組成物や耐圧性あるいは耐熱寸法安定性に優れた中空成形体、特に該特性に優れた中空成形品を高速成形により効率よく生産することができるポリエステル組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】 固相重合装置によって別々に固相重合された、異なる極限粘度を持つ実質的に同一組成の、少なくとも2種のポリエステルを混合するポリエステル組成物の製造方法であって、前記のポリエステルの極限粘度の差が0.03〜0.30デシリットル/グラムであり、前記の各ポリエステルチップの平均重量(W)が3〜50mgの範囲であり、かつ前記のポリエステルのチップの平均重量の比が、1.00〜1.20であることを特徴とするポリエステル組成物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、飲料用ボトルをはじめとする中空成形体、シート状物、延伸フィルムなどの成形体や、紙、フィルムなどの基材の上にコートされた被覆物(以下、これらの用途を「成形体」と称することがある)などの素材として好適に用いられるポリエステル組成物の製造方法、特に流動特性が改良されるために透明性に優れ、かつ透明性の変動が少なく、成形時のアセトアルデヒドなどのアルデヒド類の生成およびその変動が抑制され、また耐圧性あるいは耐圧性及び耐熱寸法安定性に優れた中空成形体や透明性、滑り性及び成形後の寸法安定性に優れたシート状物及び延伸フィルムなどを与えるポリエステル組成物の製造方法に関するものである。
ポリエチレンテレフタレ−ト(以下、PETと略称することがある)などのポリエステルは、機械的性質及び化学的性質が共に優れているため、工業的価値が高く、繊維、フィルム、シ−ト、ボトルなどとして広く使用されている。
調味料、油、飲料、化粧品、洗剤などの容器の素材としては、充填内容物の種類およびその使用目的に応じて種々の樹脂が採用されている。
これらのうちでポリエステルは機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリヤ−性に優れているので、特にジュ−ス、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料充填用容器等の成形体の素材として最適である。
このようなポリエステルは、例えば、射出成形機械などの成形機に供給して中空成形体用プリフォームを成形し、このプリフォ−ムを所定形状の金型に挿入し延伸ブロー成形して清涼飲料用中空成形容器としたり、またプリフォーム口栓部を熱処理(口栓部結晶化)後に延伸ブロー成形および胴部を熱処理(ヒ−トセット)して耐熱性または耐熱圧性中空成形容器に成形されるのが一般的である。
しかしながら、PETは、溶融重縮合時の副生物としてアセトアルデヒド(以下、AAと略称することがある)を含有する。また、PETは、中空成形体等の成形体を熱成形する際に熱分解によりアセトアルデヒドを生成し、得られた成形体の材質中のアセトアルデヒド含有量が多くなり、中空成形体等に充填された飲料等の風味や臭いに影響を及ぼす。
近年、ポリエチレンテレフタレ−トを中心とするポリエステル製容器は、ミネラルウオータやウーロン茶等の低フレーバー飲料用の容器として使用されるようになってきた。このような飲料の場合は、一般にこれらの飲料を熱充填したり、または充填後加熱して殺菌されるが、飲料容器のアセトアルデヒド含有量の低減がますます重要になって来ている。また、飲料用金属缶については、工程簡略化、衛生性、公害防止等の目的から、その内面にエチレンテレフタレ−トを主たる繰り返し単位とするポリエステルフィルムを被覆した金属板を利用して製缶する方法が採られるようになってきた。この場合にも、内容物を充填後高温で加熱殺菌されるが、この際、十分にアセトアルデヒド含有量の少ないフィルムを使用することが内容物の風味や臭いの改善に必須要件であることが分かってきた。
このような理由から、従来よりポリエステル中のアセトアルデヒド含有量を低減させるために種々の方策が採られてきた。これらの方策として、例えば、溶融重縮合したポリエステルを固相重合することによってAA含有量を低下させる方法(例えば、特許文献1参照)、融点がより低い共重合ポリエステルを使用して成形時のAA生成を低下させる方法(例えば、特許文献2参照)、ポリエステルプレポリマーを水分率が2000ppm以上となるように調湿した後、結晶化および固相重合する方法(例えば、特許文献3参照)、ポリエステル粒子を50〜200℃の熱水で処理した後、減圧下または不活性気体流通下、加熱処理する方法(例えば、特許文献4参照)、固相重合の前後に水または有機溶媒で抽出、洗浄処理する方法(例えば、特許文献5参照))、熱成形時における成形温度を可及的に低くする方法および熱成形時におけるせん断応力を可及的に小さくする方法などが提案されている。しかしながら、これらの方法で得られるポリエステルを用いた成形体であっても、オリゴマーおよびアセトアルデヒドを問題ない水準に低減できているとは言えず問題は未解決である。
また、極限粘度が0.03以上異なる2種のPETからの容器用成形材料(例えば、特許文献6参照)、同様材料の溶融混合物からの予備成形体を特定の温度条件の熱固定金型で処理する耐熱性ポリエステル容器の製造方法(例えば、特許文献7参照)および得られた耐熱性ポリエステル容器(例えば、特許文献8参照)、ポリエステルとこれを加水分解して固有粘度を0.01〜0.25dl/g低くしたポリエステルとの粒子混合体(例えば、特許文献9)、0.60〜0.70dl/gの極限粘度と特定の昇温時結晶化温度及び特定の降温時結晶化温度を持つポリエステルと0.77〜0.90dl/gの極限粘度と特定の昇温時結晶化温度及び特定の降温時結晶化温度を持つポリエステルの混合物からのプリフォームを延伸ブローする耐熱性ポリエステル容器の製造方法(例えば、特許文献10参照)が提案されているが、これらの方法によっても安定した透明性を持ち、かつアセトアルデヒド含有量が低減された成形体を得るには未だ問題点がある。また、固相重合PETと共重合ポリエチレンテレフタレートとの配合物(例えば、特許文献11参照)が提案されており、これを用いることにより中空成形体のAA含有量を低減できるとのことであるが、共重合成分が存在するため、得られた成形体の耐熱性や耐圧性に問題があり満足のいくものではなく解決が待たれている。
また、ポリエステル樹脂100重量部に対して、メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂0.05重量部以上、1重量部未満を添加したポリエステル組成物を用いる方法(例えば、特許文献12参照)や、熱可塑性ポリエステルに、末端アミノ基濃度をある範囲に規制した特定のポリアミドを含有させたポリエステル組成物からなるポリエステル製容器(例えば、特許文献13参照)などが提案されているが、これらの技術によって得られるポリエステル成形体であっても、アセトアルデヒド低減度不足や結晶化速度変動の問題及びコストアップの問題があり、解決が待たれている。
さらにまた、近年ボトルの薄肉化が図られ、それに伴いボトルの強度アップのために高分子量化が試されているが、高分子量化することで、成形時の溶融粘度が上昇してアセトアルデヒド発生量が増加する問題が発生していた。
特開昭53−73288号公報 特開昭57−16024号公報 特開平2−298512号公報 特開平8−120062号公報 特開昭55−13715号公報 特開昭57−31948号公報 特公昭62−43851号公報 特公昭62−58973号公報 特開平6−116485号公報 特開平10−287799号公報 特開昭58−45254号公報 特公平6−6662号公報 特公平4−71425号公報
本発明は、上記従来の方法の有する問題点を解決し、透明性に優れかつ透明性の変動が少なく、成形時のアセトアルデヒドなどのアルデヒド類の生成およびその変動が抑制された中空成形体、シート状物、延伸フィルムなどの成形体や基材上への被覆物などの素材として好適に用いられるポリエステル組成物や耐圧性あるいは耐熱寸法安定性に優れた中空成形体、特に耐圧性や耐熱耐圧性に優れた中空成形品を高速成形により効率よく生産することができるポリエステル組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明のポリエステル組成物の製造方法は、固相重合装置によって別々に固相重合された、異なる極限粘度を持つ実質的に同一組成の少なくとも2種のポリエステルを混合するポリエステル組成物の製造方法であって、前記のポリエステルの極限粘度の差が0.03〜0.30デシリットル/グラムであり、前記の各ポリエステルのチップの平均重量(W)が3〜50mgの範囲であり、かつ前記のポリエステルのチップの平均重量の比が、1.00〜1.20であることを特徴とするポリエステル組成物の製造方法である。
ここで、実質的に同一組成とは、互いの組成物中の酸成分、グリコール成分ともに、95モル%以上が同一であることをいい、さらには97モル%以上、特には98モル%以上が同一であることが好ましい。
本発明のポリエステル組成物の製造方法により得られたポリエステル組成物は、押出機内での溶融時の流動性が改善されるためにより低温度での成形が可能であり、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類の含有量の低減と透明性の改良が可能となる。また同時に加熱延伸時の配向性も改善されるために、弾性率や抗張力などの機械的特性に優れ、さらに熱固定性にも優れた延伸成形体を与えることができ、特に耐熱性あるいは耐熱圧性に優れた延伸中空容器として有益に用いられる。
前記のポリエステルの極限粘度の差は、好ましくは0.05〜0.27デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.07〜0.23デシリットル/グラム、特に好ましくは0.10〜0.20デシリットル/グラムである。前記の極限粘度差が0.03デシリットル/グラム未満の場合は、得られた成形体のアセトアルデヒドなどのアルデヒド含有量を低減できず香味保持性が改良できない。また前記の極限粘度差が0.30デシリットル/グラムを超える場合は、得られた成形体に厚み斑や白化した流れ模様等が生じて透明性が悪くなり問題となる。
ここで、本発明において2種類以上のポリエステルを用いる場合は、前記極限粘度の差とは、極限粘度に関して最大のポリエステルと最小のポリエステルとの極限粘度の差のことである。
また、本発明に係るポリエステルのチップの平均重量(W)および平均重量の比は、それぞれ、好ましくは5〜45mgおよび1.00〜1.15、より好ましくは7〜40mgおよび1.00〜1.10、さらに好ましくは10〜35mgおよび1.00〜1.05、最も好ましくは15〜30mgおよび1.00〜1.03である。チップの平均重量が50mgを超える場合は、成形機内でこれを溶融するのに長時間かかりアセトアルデヒドなどのアルデヒド含有量が極端に増加して問題であり、また固相重合する場合その速度が非常に遅くなり問題である。特にチップ重量が26mg以下の場合は、流動性改良効果が顕著となるからか成形体のアセトアルデヒドなどのアルデヒド類の含有量の低減や透明性の改良がより達成される。また平均重量が3mg未満のチップの場合はチップ取扱い時に微粉末が発生しやすく成形体の透明性が悪くなり問題である。また、平均重量(W)の比が1.20を超えると、成形時のアルデヒド類の生成が多くなり、またチップを製造するためには特殊なノズルを用いるなど設備費が高くなり好ましくない。また、成形時に溶融しにくくなり低温成形が難しくなり問題となる。特に耐熱用中空延伸成形体用に用いる場合には、前記の比が1.00〜1.05の範囲を外れると、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類の低減及び透明性の改良効果が悪くなり、さらにまた、前記のポリエステルの配合量斑が起こり易くなり、ポリエステル未延伸成形体や延伸成形体の透明性や厚み斑の原因となるので好ましくない。ここで、本発明において2種類以上のポリエステルを用いる場合は、前記平均重量の比は、チップの平均重量に関して最大のポリエステルと最小のポリエステルのチップの平均重量から求める。
この場合において、前記の固相重合装置が連続式固相重合装置であることが好ましい。
この場合において、水接触処理工程を前記のポリエステルの混合工程の前、または、後に追加することが好ましい。
この場合において、DSCで測定した、混合前のポリエステルの降温時の結晶化温度の差が18℃以内であることが好ましい。
この場合において、DSCで測定した、混合前のポリエステルの昇温時の結晶化温度の差が10℃以内であることが好ましい。
この場合において、各ポリエステルのファインの含有量が0.1〜5000ppmであることが好ましい。
この場合において、前記ポリエステルが、エチレンテレフタレートを主繰返し単位とするポリエステルであることが好ましい。
この場合において、混合前のポリエステルが、下記のポリエステルAとポリエステルBの混合物であることが好ましい。
ポリエステルA:極限粘度IVが0.60〜0.85デシリットル/グラム、アセトアルデヒド含有量が10ppm以下、環状3量体含有量が0.70重量%以下であるポリエステル。
ポリエステルB:極限粘度IVが0.70〜1.10デシリットル/グラム、アセトアルデヒド含有量が10ppm以下、環状3量体含有量が0.70重量%以下であるポリエステル。
この場合において、混合前のポリエステルおよび混合後のポリエステル組成物の昇温時の結晶化温度が140〜180℃であることが好ましい。
本発明のポリエステル組成物の製造方法により得られたポリエステル組成物は、アセトアルデヒドなどのアルデヒド含有量が少なく、香味保持性、透明性に優れ、また環状エステルオリゴマー含有量が少なく、連続成形時に金型汚れの発生が少ない成形体、例えば、中空成形体、シート状物、延伸フィルム、あるいは基材上への被覆物などを与えることができる。
本発明は、流動特性が改良されるために透明性に優れかつ透明性の変動が少なく、成形時のアルデヒド発生量およびその変動が少なく、かつ成形体とした際には耐圧性などの機械的特性に優れた成形体を与えるポリエステル組成物の製造方法を提供する。また、本発明により得られたポリエステル組成物は流動特性が改良されるので成形時の歪みが少なく、耐熱寸法安定性の優れた成形体、特に中空成形品を高速成形により効率よく生産することができ、なおかつ、非常に耐圧性や耐熱寸法安定性が良好な成形体を与え、また金型を汚すことの少ない長時間連続成形性に優れたポリエステル組成物の製造方法を提供する。
以下、本発明のポリエステル組成物の製造方法の実施の形態を具体的に説明する。
本発明のポリエステル組成物を構成するポリエステルは、それぞれ、主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とから得られる熱可塑性ポリエステルであり、好ましくは、芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の70モル%以上含むポリエステルであり、さらに好ましくは、芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の85モル%以上含むポリエステルであり、特に好ましくは、芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の95モル%以上含むポリエステルである。
本発明に係るポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニール−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体等が挙げられる。
また本発明に係るポリエステルを構成するグリコール成分としては、エチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール等が挙げられる。
前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としてのジカルボン酸としては、イソフタル酸、ジフェニール−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としてのグリコールとしては、ジエチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ダイマーグリコール等の脂肪族グリコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,5−ノルボルナンジメチロール等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
さらに、前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としての多官能化合物としては、酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができ、グリコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトールを挙げることができる。以上の共重合成分の使用量は、ポリエステルが実質的に線状を維持する程度でなければならない。また、単官能化合物、例えば安息香酸、ナフトエ酸等を共重合させてもよい。
本発明に係るポリエステルの好ましい一例は、主たる構成単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステルであり、さらに好ましくはエチレンテレフタレート単位を70モル%以上含み、共重合成分としてイソフタル酸、1,4―シクロヘキサンジメタノールなどを含む共重合ポリエステルであり、特に好ましいくはエチレンテレフタレート単位を95モル%以上含むポリエステルである。
これらポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称)、ポリ(エチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート)共重合体、ポリ(エチレンテレフタレート−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)共重合体、ポリ(エチレンテレフタレート−ジオキシエチレンテレフタレート)共重合体、ポリ(エチレンテレフタレート−1,3−プロピレンテレフタレート)共重合体、ポリ(エチレンテレフタレート−エチレンシクロヘキシレンジカルボキシレート)共重合体などが挙げられる。
また本発明に係るポリエステルの好ましいその他の例としては、主たる構成単位が1,3−プロピレンテレフタレートから構成されるポリエステルであり、さらに好ましくは1,3−プロピレンテレフタレート単位を70モル%以上含むポリエステルであり、特に好ましいのは1,3−プロピレンテレフタレート単位を95モル%以上含むポリエステルである。
これらポリエステルの例としては、ポリプロピレンテレフタレート(PTT)、ポリ(1,3−プロピレンテレフタレート−1,3−プロピレンイソフタレート)共重合体、ポリ(1,3−プロピレンテレフタレート−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)共重合体などが挙げられる。
さらにまた本発明に係るポリエステルの好ましいその他の例としては、主たる構成単位がブチレンテレフタレートから構成されるポリエステルであり、さらに好ましくはブチレンテレフタレート単位を70モル%以上含む共重合ポリエステルであり、特に好ましいくはブチレンテレフタレート単位を95モル%以上含むポリエステルである。
これらポリエステルの例としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ(ブチレンテレフタレート−ブチレンイソフタレート)共重合体、ポリ(ブレンテレフタレート−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)共重合体、ポリ(ブチレンテレフタレート−1,3−プロピレンテレフタレート)共重合体、ポリ(ブチレンテレフタレート−ブチレンシクロヘキシレンジカルボキシレート)共重合体などが挙げられる。
また本発明に係るポリエステルの好ましいその他の一例は、主たる構成単位がエチレン−2、6−ナフタレートから構成される熱可塑性ポリエステルであり、さらに好ましくはエチレン−2、6−ナフタレート単位を70モル%以上含む熱可塑性ポリエステルであり、特に好ましいのは、エチレン−2、6−ナフタレート単位を90モル%以上含む熱可塑性ポリエステルである。
これら熱可塑性ポリエステルの例としては、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート−エチレンテレフタレート)共重合体、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート−エチレンイソフタレート)共重合体、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート−ジオキシエチレン−2,6−ナフタレート)共重合体などが挙げられる。
また本発明に係るポリエステルの好ましいその他の一例は、主たる構成単位が1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートから構成されるポリエステルであり、さらに好ましくは1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート単位を70モル%以上含む共重合ポリエステルであり、特に好ましいくは1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート単位を90モル%以上含むポリエステルである。
これら熱可塑性ポリエステルの例としては、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート−エチレンテレフタレート)共重合体などが挙げられる。
本発明に係る溶融重縮合ポリエステルは、基本的には従来公知の溶融重縮合法によって製造することが出来る。溶融重縮合ポリエステルプレポリマーを得るための溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。これらは回分式反応装置から構成されていてもよいし、また連続式反応装置から構成されていてもよいが連続式溶融重縮合装置の方が好ましい。
固相重合装置に供給される溶融重縮合ポリエステルプレポリマーは、前記の固相重合装置に連結されて運転される溶融重縮合装置または前記の固相重合装置とは独立して運転される溶融重縮合装置のいずれによって溶融重縮合されたポリエステルであってよい。
溶融重縮合終了から固相重合開始までの前記プレポリマーの保管は、約40℃以下の大気雰囲気中で少なくとも10日以内、好ましくは5日以内、さらに好ましくは3日以内、最も好ましくは1日以内の保管が好ましい。保管条件が前記の条件を外れると、固相重合後のポリエステルの色相や得られたポリエステル成形体の色相および透明性が悪くなる。
また、本発明のポリエステル組成物の製造方法で用いられる固相重合装置は、回分式反応装置から構成されていてもよいし、また連続式反応装置から構成されていてもよい。また、固相重合は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。特に、より透明性が良好でアセトアルデヒドなどのアルデヒド含有量が少ない成形体に最適のポリエステル組成物を製造するためには、連続式固相重合装置を用いることが好ましい。
以下に、ポリエチレンテレフタレート(PET)を例にして、本発明のポリエステル組成物の製造方法の好ましい一例について説明するが、これに限定されるものではない。即ち、テレフタル酸とエチレングリコール及び必要により他の共重合成分を直接反応させて水を留去しながらエステル化した後、重縮合触媒の存在下に減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコール及び必要により他の共重合成分を反応させてメチルアルコールを留去しながらエステル交換させた後、重縮合触媒の存在下に減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。次いで、このようにして得られた溶融重縮合されたポリエステルは、引き続き固相重合される。
まず、エステル化反応により低重合体を製造する場合には、テレフタル酸またはそのエステル誘導体1モルに対して1.02〜2.0モル、好ましくは1.03〜1.4モルのエチレングリコールが含まれたスラリーを調整し、これをエステル化反応工程に連続的に供給する。
エステル化反応は、少なくとも2個のエステル化反応器を直列に連結した多段式装置を用いてエチレングリコールが還流する条件下で、反応によって生成した水またはアルコールを精留塔で系外に除去しながら実施する。第1段目のエステル化反応の温度は240〜270℃、好ましくは245〜265℃、圧力は0.2〜3kg/cm2G、好ましくは0.5〜2kg/cm2Gである。最終段目のエステル化反応の温度は通常250〜280℃好ましくは255〜275℃であり、圧力は通常0〜1.5kg/cm2G、好ましくは0〜1.3kg/cm2Gである。3段階以上で実施する場合には、中間段階のエステル化反応の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。これらのエステル化反応の反応率の上昇は、それぞれの段階で滑らかに分配されることが好ましい。最終的にはエステル化反応率は90%以上、好ましくは93%以上に達することが望ましい。これらのエステル化反応により分子量500〜5000程度の低次縮合物が得られる。
上記エステル化反応は原料としてテレフタル酸を用いる場合は、テレフタル酸の酸としての触媒作用により無触媒でも反応させることができるが重縮合触媒の共存下に実施してもよい。
また、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウムなどの水酸化第4級アンモニウムおよび炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウムなどの塩基性化合物を少量添加して実施すると、ポリエチレンテレフタレートの主鎖中のジオキシエチレンテレフタレート成分単位の割合を比較的低水準(全ジオール成分に対して5モル%以下)に保持できるので好ましい。
次に、エステル交換反応によって低重合体を製造する場合は、テレフタル酸ジメチル1モルに対して1.1〜2.0モル、好ましくは1.2〜1.5モルのエチレングリコールが含まれた溶液を調整し、これをエステル交換反応工程に連続的に供給する。
エステル交換反応は、1〜2個のエステル交換反応器を直列に連結した装置を用いてエチレングリコールが還留する条件下で、反応によって生成したメタノールを精留塔で系外に除去しながら実施する。第1段目のエステル交換反応の温度は180〜250℃、好ましくは200〜240℃である。最終段目のエステル交換反応の温度は通常230〜270℃、好ましくは240〜265℃であり、エステル交換触媒として、Zn,Cd,Mg,Mn,Co,Ca,Baなどの脂肪酸塩、炭酸塩やPb,Zn,Sb,Ge酸化物等を用いる。これらのエステル交換反応により分子量約200〜500程度の低次縮合物が得られる。
前記の出発原料であるジメチルテレフタレート、テレフタル酸またはエチレングリコールとしては、パラキシレンから誘導されるバージンのジメチルテレフタレート、テレフタル酸あるいはエチレンから誘導されるエチレングリコールは勿論のこと、使用済みPETボトルからメタノール分解やエチレングリコール分解などのケミカルリサイクル法により回収したジメチルテレフタレート、テレフタル酸、ビスヒドロキシエチルテレフタレートあるいはエチレングリコールなどの回収原料も、出発原料の少なくとも一部として利用することが出来る。前記回収原料の品質は、使用目的に応じた純度、品質に精製されていなければならないことは言うまでもない。
次いで得られた低次縮合物は多段階の液相縮重合工程に供給される。重縮合反応条件は、第1段階目の重縮合の反応温度は250〜290℃、好ましくは260〜280℃であり、圧力は500〜20Torr、好ましくは200〜30Torrで、最終段階の重縮合反応の温度は265〜300℃、好ましくは275〜295℃であり、圧力は10〜0.1Torr、好ましくは5〜0.5Torrである。3段階以上で実施する場合には、中間段階の重縮合反応の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。これらの重縮合反応工程の各々において到達される極限粘度の上昇の度合は滑らかに分配されることが好ましい。なお、重縮合反応には一段式重縮合装置を用いてもよい。
重縮合反応は、重縮合触媒を用いて行う。重縮合触媒としては、Ge、Sb、Ti、またはAlの化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物が用いられることが好ましい。これらの化合物は、粉体、水溶液、エチレングリコール溶液、エチレングリコールのスラリー等として反応系に添加される。
Ge化合物としては、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム粉末またはエチレングリコールのスラリー、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液またはこれにエチレングリコールを添加加熱処理した溶液等が使用されるが、特に本発明で用いるポリエステルを得るには二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコールを添加加熱した溶液を使用するのが好ましい。また、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド、亜リン酸ゲルマニウム等の化合物も用いることが出来る。これらの重縮合触媒はエステル化工程中に添加することができる。Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエステル中のGe残存量として好ましくは10〜150ppm、より好ましくは13〜100ppm、さらに好ましくは13〜50ppm、最も好ましくは15〜45ppmである。
Ti化合物としては、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のテトラアルキルチタネートおよびそれらの部分加水分解物、酢酸チタン、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン、チタンハロゲン化物の加水分解物、シュウ化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸アンモニウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、チタンアセチルアセトナート、ヒドロキシ多価カルボン酸または含窒素多価カルボン酸とのチタン錯体物、チタンおよびケイ素あるいはジルコニウムからなる複合酸化物、チタンアルコキサイドとリン化合物の反応物、チタンアルコキサイドと芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応物にリン化合物を反応させて得た反応生成物等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマー中のTi残存量として0.1〜50ppm、好ましくは0.5〜10ppmの範囲になるように添加する。
Sb化合物としては、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレ−ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられる。Sb化合物は、生成ポリマ−中のSb残存量として50〜300ppm、好ましくは50〜250ppm、好ましくは50〜200ppm,さらに好ましくは50〜180ppmの範囲になるように添加する。
Al化合物としては、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムn-プロポキサイド、アルミニウムiso-プロポキサイド、アルミニウムn-ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso-プロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうち酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートがとくに好ましい。Al化合物は、生成ポリマー中のAl残存量として5〜200ppm、好ましくは10〜50ppmの範囲になるように添加する。
また、本発明に係るポリエステルの製造においては、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を必要に応じて併用してもよい。アルカリ金属、アルカリ土類金属としては、Li,Na,K,Rb,Cs,Be,Mg,Ca,Sr,Baから選択される少なくとも1種であることが好ましく、アルカリ金属ないしその化合物の使用がより好ましい。アルカリ金属ないしその化合物を使用する場合、特にLi,Na,Kの使用が好ましい。アルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物としては、例えば、これら金属のギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸などの飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸、クエン酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸塩、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、炭酸水素、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸などの無機酸塩、1−プロパンスルホン酸、1−ペンタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキサイド、アセチルアセトネートなどとのキレート化合物、水素化物、酸化物、水酸化物などが挙げられる。
前記のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、粉体、水溶液、エチレングリコ−ル溶液等として反応系に添加される。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、生成ポリマ−中のこれらの元素の残存量として1〜50ppmの範囲になるように添加する。
さらにまた、本発明に係るポリエステルは、ケイ素、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ガリウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、インジウム、錫、ハフニウム、タリウム、タングステンからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む金属化合物を含有してもよい。これらの金属化合物としては、これら元素の酢酸塩等の飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸塩などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸塩などのヒドロキシカルボン酸塩、炭酸塩などの無機酸塩、1−プロパンスルホン酸塩などの有機スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、酸化物、水酸化物、塩化物、アルコキサイド、アセチルアセトナ−ト等とのキレ−ト化合物があげられ、粉体、水溶液、エチレングリコ−ル溶液、エチレングリコ−ルのスラリ−等として反応系に添加される。これらの金属化合物は、生成ポリマ−1トン当りのこれらの金属化合物の元素の残存量として0.05〜3.0モルの範囲になるように添加する。これらの金属化合物は、前記のポリエステル生成反応工程の任意の段階で添加することができる。
また、安定剤として、燐酸、ポリ燐酸やトリメチルフォスフェート等の燐酸エステル類、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のリン化合物を使用するのが好ましい。具体例としてはリン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸モノブチルエステル、リン酸ジブチルエステル、亜リン酸、亜リン酸トリメチルエステル、亜リン酸トリエチルエステル、亜リン酸トリブチルエステル、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、フェニールホスホン酸ジメチルエステル、フェニールホスホン酸ジエチルエステル、フェニールホスホン酸ジフェニールエステル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸イソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸オクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸等である。これらの安定剤はテレフタル酸とエチレングリコールのスラリー調合槽からエステル化反応工程中に添加することができる。P化合物は、生成ポリマー中のP残存量として好ましくは5〜100ppmの範囲になるように添加する。
重縮合触媒としてAl化合物を用いる場合は、リン化合物と併用することが好ましく、アルミニウム化合物およびリン化合物が予め溶媒中で混合された溶液またはスラリーとして用いることが好ましい。Al化合物の場合、より好ましいリン化合物は、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。これらのリン化合物を用いることで触媒活性の向上効果が見られるとともに、ポリエステルの熱安定性等の物性が改善する効果が見られる。これらの中でも、ホスホン酸系化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
前記のようにして得られた溶融重縮合ポリエステルは、例えば、溶融重縮合終了後にダイス細孔より溶融ポリエステルを水中に押出して水中でカットする方式、あるいは溶融重縮合終了後にダイス細孔より空気中にストランド状に押出した後、冷却水で冷却しながらチップ化する方式によってチップ化される。
また、前記の溶融重縮合ポリエステルのチップ化時の冷却水としては、下記の(1)〜(4)の少なくとも一つを満足する冷却水を用いることが好ましく、さらには(1)〜(4)のすべてを満足する水を用いることが最も好ましい。
Na ≦ 1.0(ppm) (1)
Mg ≦ 1.0(ppm) (2)
Si ≦ 2.0(ppm) (3)
Ca ≦ 1.0(ppm) (4)
冷却水中のナトリウム含有量(Na)は、好ましくはNa≦0.5ppmであり、さらに好ましくはNa≦0.1ppmである。冷却水中のマグネシウム含有量(Mg)は、好ましくはMg≦0.5ppmであり、さらに好ましくはMg≦0.1ppmである。また、冷却水中の珪素の含有量(Si)は、好ましくはSi≦0.5ppmであり、さらに好ましくはSi≦0.3ppmである。さらに、冷却水中のカルシウム含有量(Ca)は、好ましくはCa≦0.5ppmであり、さらに好ましくはCa≦0.1ppmである。
前記冷却水のナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を低減させるために、チップ冷却工程に工業用水が送られるまでの工程で少なくとも1ヶ所以上にナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去する装置を設置する。また、粒子状になった二酸化珪素やアルミノ珪酸塩等の粘土鉱物を除去するためにはフィルターを設置する。ナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去する装置としては、イオン交換装置、限外濾過装置や逆浸透膜装置などが挙げられる。
次いで、前期の溶融重縮合ポリエスエルチップは、不活性気体雰囲気下において、2段階以上の連続式結晶化装置で予備結晶化されることが好ましい。例えばPETの場合は、1段目の予備結晶化では100〜180℃の温度で1分〜5時間で、次いで2段目の予備結晶化では160〜210℃の温度で1分〜3時間の条件で、さらに2段目以上の予備結晶化では180〜210℃の温度で1分〜3時間の条件で、順次、段階的に結晶化することが好ましい。結晶化後のチップの結晶化度は30〜65%、好ましくは35〜63%、さらに好ましくは40〜60%の範囲であることが好ましい。なお、結晶化度はチップの密度より求めることができる。
次いで、不活性ガス雰囲気下または減圧下に前記プレポリマーに最適な温度に於いて、固相重合による極限粘度の増加が0.10デシリットル/グラム以上になるようにして固相重合を行う。例えば、PETの場合には、固相重合の温度としては、上限は215℃以下が好ましく、さらには210℃以下、特には208℃以下が好ましく、下限は190℃以上、好ましくは195℃以上である。
固相重合終了後は約30分以内、好ましくは20分以内、さらに好ましくは10分以内にチップ温度を約70℃以下、好ましくは60℃以下、さらに好ましくは50℃以下にすることが好ましい。
また、各ポリエステルのチップが柱状チップである場合、チップの短径(H1)と長径(H2)の比(H1/H2)が0.3〜0.9、好ましくは0.40〜0.85、さらに好ましくは0.50〜0.80、最も好ましくは0.55〜0.77であることが好ましい。比(H1/H2)が0.3未満では成形時のアルデヒド類の生成が多くなり、またチップを製造するためには特殊なノズルを用いるなど設備費が高くなり好ましくない。また、0.9を超えると、成形時に溶融しにくくなり低温成形が難しくなり問題となる。特に耐熱用中空延伸成形体用に用いる場合には前記の比(H1/H2)が0.55〜0.77の範囲を外れるとアルデヒド類の低減及び透明性の改良効果が悪くなる。
この場合において、各ポリエステルのチップが球状チップである場合、チップの最少粒子径(P1)と最大粒子径(P2)との比(P1/P2)が1.0〜0.7、好ましくは0.98〜0.70、さらに好ましくは0.95〜0.70であることが好ましい。比(P1/P2)が0.7未満の場合は成形時に成形機での溶融性が悪くなり低温成形が難しくなって問題となる。
またポリエステルのチップの形状としては、この他に角状、板状等などの形態があり、これらでもよい。
また、本発明に係る、混合前のポリエステルの降温時の結晶化温度の差は、18℃以内、好ましくは15℃以内、さらに好ましくは13℃以内、特に好ましくは10℃以内であることが好ましい。前記の降温時の結晶化温度の差が18℃を超える場合は、得られた成形体の透明性は非常に悪くなる。また、降温時の結晶化温度の差の下限値は2℃以上であり、これ未満では効果の差が明確でなくなる。
また、本発明に係る、混合前のポリエステルの昇温時の結晶化温度の差は、10℃以内、好ましくは8℃以内、さらに好ましくは6℃以内、特に好ましくは5℃以内である。前記の昇温時の結晶化温度の差が10℃を超える場合は、得られた成形体の結晶化速度変動が大きくなる。その結果、例えば、成形体の透明性の変動が大きくなり、また、結晶化による収縮量の変動も大きくなるなど問題である。結果として、例えば、加熱結晶化した中空成形体口栓部の結晶化度の変動が大きいために口栓部の寸法変動大となり、キャッピング性不良となり内容物の漏れとなる。また、昇温時の結晶化温度の差の下限値は1℃以上であり、これ未満では効果の差が明確でなくなる。
ここで、DSC測定は、後記の方法によってポリエステルを290℃で射出成形した成形板(2mm厚み)について下記の方法によって実施する。なお、本発明において2種類以上のポリエステルを用いる場合は、前記降温時の結晶化温度の差とは、降温時結晶化温度に関して最大のポリエステルと最小のポリエステルとの降温時結晶化温度の差を表し、また、前記昇温時の結晶化温度の差とは、昇温時結晶化温度に関して最大のポリエステルと最小のポリエステルとの昇温時結晶化温度の差を表す。
これらのポリエステルの降温時の結晶化温度や昇温時の結晶化温度は、溶融重縮合ポリマーのチップ化時の冷却水の水質、各ポリエステルやポリエステル組成物のファイン含有量およびその性状あるいはポリオレフィン樹脂などの樹脂の配合量などを適宜組み合わせて制御することが可能である。
また、本発明に係るポリエステルの環状エステルオリゴマーの含有量は、前記ポリエステルの溶融重縮合ポリエステルプレポリマーが含有する環状エステルオリゴマーの含有量の70%以下、好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下、特に好ましくは35%以下であることが好ましい。ここで、ポリエステルは、一般に種々の重合度の環状エステルオリゴマーを含有しているが、本発明でいう環状エステルオリゴマーとは、ポリエステルが含有している環状エステルオリゴマーのうちで最も含有量が高い環状エステルオリゴマーを意味し、例えば、エチレンテレフタレートを主繰返し単位とするポリエステルの場合には環状3量体のことである。
前記ポリエステルがエチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステルの代表であるPETの場合は、溶融重縮合ポリエステルプレポリマーの環状3量体の含有量は約1.0重量%であるから、本発明に係るポリエステルの環状3量体の含有量は、0.70重量%以下、好ましくは0.60重量%以下、さらに好ましくは0.50重量%以下、特に好ましくは0.35重量%以下であることが好ましい。環状3量体含有量の下限値は、経済的な生産の面から0.28重量%以上、好ましくは0.29重量%以上、さらに好ましくは0.30重量%以上である。本発明のポリエステル組成物の製造方法で得られたポリエステル組成物から耐熱性の中空成形体等を成形する場合は、加熱金型内で熱処理を行うが、環状3量体の含有量が0.70重量%以上含有する場合には、加熱金型表面へのオリゴマ−付着が急激に増加し、得られた中空成形体等の透明性が非常に悪化する。
また、水接触処理工程を前記のポリエステルの混合工程の前、または、後に追加することが好ましい。水接触処理により重縮合触媒を失活処理することができ、溶融成形時の環状エステルオリゴマーの生成およびこれが原因で引き起こされる押出機出口の口金の汚れ、射出成形機金型のベント孔の詰まりあるいは中空成形体の加熱金型の汚れなどの問題が解消される。触媒の失活度は、ポリエステル成形体を290℃の温度で60分間溶融したときの環状エステルオリゴマー増加量の測定により判定可能である。
ここで、290℃の温度で60分間溶融した時の環状エステルオリゴマーの増加量は、下記の「測定法」の項で説明する成形方法によって得られた段付成形板の3mm厚みのプレートからの試料について求めた値である。
本発明に係るポリエステルは、これらをそれぞれ単独で290℃の温度で60分間溶融したときの環状エステルオリゴマー増加量は、0.40重量%以下、好ましくは0.3重量%以下、さらに好ましくは0.20重量%以下、最も好ましくは0.1重量%以下であることが好ましい。290℃の温度で60分間溶融した時の環状エステルオリゴマーの増加量が0.40重量%を超えると、成形の樹脂溶融時に環状エステルオリゴマー量が増加し、連続成形時には加熱金型表面へのオリゴマ−付着が急激に増加し、得られた中空成形体等の成形体の透明性が非常に悪化するという問題や前記金型の清浄化に多大の労力、時間がかかるなどの問題が生じる。また、環状エステルオリゴマー増加量の下限値は0.01重量%程度であり、下限値をこれ未満に減少させても前記問題点に対する経済的効果は非常に少ない。
ポリエステルの重縮合触媒を失活処理する方法としては、溶融重縮合後や固相重合後にポリエステルチップを水や水蒸気又は水蒸気含有気体と接触処理する方法が挙げられる。
前記の目的を達成するためにポリエステルチップを水や水蒸気又は水蒸気含有気体と接触処理する方法を次に述べる。
熱水処理方法としては、水中に浸ける方法やシャワーでチップ上に水をかける方法等が挙げられる。処理時間としては5分〜2日間、好ましくは10分〜1日間、さらに好ましくは30分〜10時間で、水の温度としては20〜180℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜120℃である。
以下に水処理を工業的に行う方法を例示するが、これに限定するものではない。また処理方法は連続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えないが、工業的に行うためには連続方式の方が好ましい。
ポリエステルのチップをバッチ方式で水処理する場合は、サイロタイプの処理槽が挙げられる。即ちバッチ方式でポリエステルのチップをサイロへ受け入れ水処理を行う。あるいは回転筒型の処理槽にポリエステルのチップを受け入れ、回転させながら水処理を行い水との接触をさらに効率的にすることもできる。
ポリエステルのチップを連続方式で水処理する場合は、塔型の処理槽に継続的又は間欠的にポリエステルのチップを上部より受け入れ、水処理させることができる。この概念図を図3に示す。
ポリエステルのチップと水蒸気又は水蒸気含有ガスとを接触させて処理する場合は、50〜150℃、好ましくは50〜110℃の温度の水蒸気又は水蒸気含有ガスあるいは水蒸気含有空気を好ましくは粒状ポリエステル1kg当り、水蒸気として0.5g以上の量で供給させるか、又は存在させて粒状ポリエステルと水蒸気とを接触させる。
この、ポリエステルのチップと水蒸気との接触は、通常10分間〜2日間、好ましくは20分間〜10時間行われる。
以下に粒状ポリエステルと水蒸気又は水蒸気含有ガスとの接触処理を工業的に行う方法を例示するが、これに限定されるものではない。また処理方法は連続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えない。
ポリエステルのチップをバッチ方式で水蒸気と接触処理をする場合は、サイロタイプの処理装置が挙げられる。即ちポリエステルのチップをサイロへ受け入れ、バッチ方式で、水蒸気又は水蒸気含有ガスを供給し接触処理を行う。あるいは回転筒型の接触処理装置に粒状ポリエステルを受け入れ、回転させながら接触処理を行い接触をさらに効率的にすることもできる。
ポリエステルのチップを連続で水蒸気と接触処理する場合は塔型の処理装置に連続で粒状ポリエステルを上部より受け入れ、並流あるいは向流で水蒸気を連続供給し水蒸気と接触処理させることができる。
上記の如く、水又は水蒸気で処理した場合は粒状ポリエステルを必要に応じて振動篩機、シモンカーターなどの水切り装置で水切りし、次の乾燥工程へ移送する。
水又は水蒸気と接触処理したポリエステルのチップの乾燥は通常用いられるポリエステルの乾燥処理を用いることができる。連続的に乾燥する方法としては、上部よりポリエステルのチップを供給し、下部より乾燥ガスを通気するホッパー型の通気乾燥機が通常使用される。乾燥ガス量を減らし、効率的に乾燥する方法としては回転ディスク型加熱方式の連続乾燥機が用いられ、少量の乾燥ガスを通気しながら、回転ディスクや外部ジャケットに加熱蒸気、加熱媒体などを供給しポリエステルのチップを間接的に加熱乾燥することができる。
バッチ方式で乾燥する乾燥機としてはダブルコーン型回転乾燥機が用いられ、真空下であるいは真空下少量の乾燥ガスを通気しながら乾燥することができる。あるいは大気圧下で乾燥ガスを通気しながら乾燥してもよい。
乾燥ガスとしては大気空気でも差し支えないが、ポリエステルの加水分解や熱酸化分解による分子量低下を防止する点からは乾燥窒素、除湿空気が好ましい。
上記のようにポリエステルに水又は水蒸気処理を施すことによって、290℃の温度に加熱溶融した後のオリゴマー増加量を抑制することができる。
また、重縮合触媒を失活させる別の手段として、リン化合物を前記ポリエステルに配合し、成形時などの溶融状態において混合、反応させて重縮合触媒を不活性化する方法が挙げられる。
ポリエステルにリン化合物を配合する方法としては、前記ポリエステルにリン化合物をドライブレンドする方法やリン化合物を溶融混練して配合したポリエステルマスターバッチチップとポリエステルチップを混合する方法によって所定量のリン化合物をポリエステルに配合後、押出機や成形機中で溶融し、重縮合触媒を不活性化する方法、チップをリン化合物溶液、特にリン酸水溶液に浸漬する方法、マスターバッチとして添加する方法などが挙げられる。また、これらリン化合物はポリエステルに共重合された状態であっても良い。
使用されるリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体等が挙げられる。具体例としては前記の化合物であり、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
また、本発明に係るポリエステルおよびこれらを混合後のポリエステル組成物のチップの表面光沢度は、83.0%以上、好ましくは84.0%以上、さらに好ましくは85.0%以上であることが好ましい。光沢度が83.0%未満の場合は、得られた成形体の結晶化速度が早くなり、またその速度変動も大きくなる。その結果、例えば、成形体の透明性が悪くなり、またその変動も大きくなり、また、結晶化による収縮量の変動も大きくなるなど問題である。
このような光沢度が83.0%以上のポリエステルまたはポリエステル組成物は、溶融重縮合装置から得られた後、固相重合装置やその他の製造に関する装置を経て混合され、成形に供されるまでの間に、ポリエステルチップにせん断力や衝撃力が出来るだけかからないようにすることが好ましい。具体的には、本発明に係るポリエステルは、例えば、重縮合触媒の種類およびその添加量を適切に管理し、チップ化後のチップ温度を50℃以下に管理し、そして溶融重縮合工程から固相重合工程あるいは固相重合工程から後記のブレンド工程などでのチップの輸送方式をチップに衝撃力などの外力が出来るだけかからない低密度輸送方式や高密度輸送方式を選択することで製造することができる。
低密度輸送方式としては配管中を空気流によって送る輸送方式であり、この方式によるとチップ表面に衝撃力がかかるので、この方式ではコンベヤー輸送方式やバケット輸送方式などの出来るだけ衝撃力がかからない方式が好ましい。高密度輸送方式は、いわゆるプラグフローにより輸送する方式であり、この方式ではチップ表面にはほとんど衝撃力がかからず、表面光沢度は高く維持でき、好ましい特性のポリエステルが得られる。
さらにまた、本発明により得られるポリエステル組成物中には、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の樹脂を0.1ppb〜50000ppm含むことが好ましい。本発明において用いられる前記樹脂のポリエステルへの配合割合は、0.1ppb〜10000ppm、好ましくは0.3ppb〜1000ppm、より好ましくは0.5ppb〜100ppm、さらに好ましくは1.0ppb〜1ppm、特に好ましくは1.0ppb〜45ppbである。配合量が0.1ppb未満の場合は、結晶化速度が非常におそくなり、中空成形体の口栓部の結晶化が不十分となるため、サイクルタイムを短くすると口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらないためキャッピング不良となり問題である。また50000ppmを超える場合は、結晶化速度が早くなり、中空成形体の口栓部の結晶化が過大となり、このため口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらないためキャッピング不良となり内容物の漏れが生じたり、また中空成形体用予備成形体が白化し、このため正常な延伸が不可能となる。また、シート状物の場合、50000ppmを超えると透明性が非常に悪くなり、また延伸性もわるくなって正常な延伸が不可能で、厚み斑の大きな、透明性の悪い延伸フィルムしか得られない。
本発明により得られるポリエステル組成物に配合されるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはα−オレフィン系樹脂が挙げられる。またこれらの樹脂は結晶性でも非晶性でもかまわない。
本発明により得られるポリエステル組成物に配合されるポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンと、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、不飽和エポキシ化合物等のビニル化合物との共重合体等が挙げられる。具体的には、例えば、超低・低・中・高密度ポリエチレン等(分岐状又は直鎖状)のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン系樹脂が挙げられる。
また本発明により得られるポリエステル組成物に配合されるポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンと、エチレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等のビニル化合物との共重合体、あるいはヘキサジエン、オクタジエン、デカジエン、ジシクロペンタジエン等のジエンとの共重合体等が挙げられる。具体的には、例えば、プロピレン単独重合体(アタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチックポリプロピレン)、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体等のプロピレン系樹脂が挙げられる。
また本発明により得られるポリエステル組成物に配合されるα−オレフィン系樹脂としては、4−メチルペンテン−1等の炭素数2〜8程度のα−オレフィンの単独重合体、それらのα−オレフィンと、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。具体的には、例えば、ブテン−1単独重合体、4−メチルペンテン−1単独重合体、ブテン−1−エチレン共重合体、ブテン−1−プロピレン共重合体等のブテン−1系樹脂や4−メチルペンテン−1とC〜C18のα−オレフィンとの共重合体、等が挙げられる。
また、本発明により得られるポリエステル組成物に配合されるポリアミド樹脂としては、例えば、ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタム等のラクタムの重合体、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)等の脂環式ジアミン、m−又はp−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン単位と、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸単位との重縮合体、及びこれらの共重合体等が挙げられ、具体的には、例えば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロンMXD6、ナイロン6/MXD6、ナイロンMXD6/MXDI、ナイロン6/66、ナイロン6/610、ナイロン6/12、ナイロン6/6T、ナイロン6I/6T等が挙げられる。またこれらの樹脂は結晶性でも非晶性でもかまわない。
また、本発明により得られるポリエステル組成物に配合されるポリアセタール樹脂としては、例えばポリアセタール単独重合体や共重合体が挙げられる。ポリアセタール単独重合体としては、ASTM−D792の測定法により測定した密度が1.40〜1.42g/cm、ASTMD−1238の測定法により、190℃、荷重2160gで測定したメルトフロー比(MFR)が0.5〜50g/10分の範囲のポリアセタールが好ましい。
また、ポリアセタール共重合体としては、ASTM−D792の測定法により測定した密度が1.38〜1.43g/cm、ASTMD−1238の測定法により、190℃、荷重2160gで測定したメルトフロー比(MFR)が0.4〜50g/10分の範囲のポリアセタール共重合体が好ましい。これらの共重合成分としては、エチレンオキサイドや環状エーテルが挙げられる。
本発明における前記のポリオレフィン樹脂等を配合したポリエステル組成物の製造は、例えば、前記ポリエステルAおよび/またはポリエステルBに前記ポリオレフィン樹脂等の樹脂を、その含有量が前記範囲となるように直接に添加し溶融混練する方法、または、マスターバッチとして添加し溶融混練する方法等の慣用の方法によるほか、前記樹脂を、前記ポリエステルAおよび/またはポリエステルBの製造段階、例えば、溶融重縮合時、溶融重縮合直後、予備結晶化直後、固相重合時、固相重合直後等のいずれかの段階、または、製造段階を終えてから成形段階に到るまでの工程などで、粉粒体として直接に添加するか、或いは、前記ポリエステルAのチップおよび/またはポリエステルBのチップを流動条件下に前記樹脂製部材に接触させる等の方法で混入させる方法、または前記の接触処理後、溶融混練する方法等によることもできる。
また、本発明に係るポリエステルは、前記ポリエステルと同一組成のファイン0.1〜5000ppmを含有することが好ましい。ファインの含有量は、好ましくは0.1〜3000ppm、より好ましくは0.1〜1000ppm、さらに好ましくは0.1〜500ppm、最も好ましくは0.1〜100ppmである。配合量が0.1ppm未満の場合は、結晶化速度が非常におそくなり、中空成形容器の口栓部の結晶化が不十分となり、このため口栓部の収縮量が規定値の範囲内に収まらず、キャッピング不可能となり問題である。また5000ppmを超える場合は、結晶化速度が必要以上に早くなると共に、その速度の変動も大きくなる。したがって、シート状物の場合は、透明性や表面状態が悪くなり、これを延伸した場合、厚み斑が悪くなる。また中空成形体の口栓部の結晶化度が過大、かつ変動大となり、このため口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらないため口栓部のキャッピング不良となり内容物の漏れが生じたり、また中空成形体用予備成形体が白化し、このため正常な延伸が不可能となる。特に、中空成形体用のポリエステル組成物の場合は、ファイン含有量は、0.1〜500ppmが好ましい。
また、本発明に係るポリエステルが、エチレンテレフタレートを主繰返し単位とするポリエステルであって、混合前のポリエステルが下記のポリエステルAとポリエステルBであることが好ましい。
ポリエステルAの極限粘度IVは、好ましくは0.62〜0.75デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.65〜0.73デシリットル/グラム、アセトアルデヒド含有量が10ppm以下、好ましくは8ppm以下、さらに好ましくは5ppm以下、また環状3量体含有量は好ましくは0.50重量%以下、好ましくは0.40重量%以下、さらに好ましくは0.35重量以下である。
また、ポリエステルBの極限粘度IVが、好ましくは0.74〜1.00デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.75〜0.90デシリットル/グラム、アセトアルデヒド含有量は好ましくは8ppm以下、さらに好ましくは5ppm以下、また環状3量体含有量は好ましくは0.50重量%以下、好ましくは0.40重量%以下、さらに好ましくは0.35重量以下である。
また、混合前のポリエステルおよび混合後のポリエステル組成物の昇温時の結晶化温度は、好ましくは145〜175℃、さらに好ましくは150〜170℃である。昇温時の結晶化温度が140℃未満の場合は得られた中空成形体の透明性が悪くなり、また180℃を超える場合は中空成形体口栓部の結晶化速度改良効果が悪くなり問題である。
本発明に係る前記の特性のポリエステルは、重縮合触媒の種類及び添加量、溶融重縮合や固相重合条件などを適宜制御することによって製造することができる。またこのようにして得られたポリエステルチップに下記で説明するようにポリオレフィン樹脂、特にポリエチレン、ポリアミド樹脂、ポリオキシメチレン樹脂等を配合する方法によっても得ることが出来る。
また、本発明において、極限粘度の異なる2種の固相重合ポリエステルを用いる場合、その配合割合は重量比で97/3〜3/97、好ましくは95/5〜5/95、さらに好ましくは90/10〜10/90の範囲が好ましいが、混合比率の変動が10%以内になるように各々を定量的に供給して混合することが重要である。定量装置には、公知の重量法定量供給装置や容量法定量供給装置を用いることが出来る。また、混合装置としては、従来公知の装置により、ポリエステルを混合することができる。例えば、前記のようにして定量された各ポリエステルをタンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、攪拌機付き混合槽、スタティックミキサーのような静置型混合装置などを用いてブレンドする方法などが挙げられ、特に静置型混合装置が最適である。
また、本発明により得られるポリエステル組成物には、アルデヒド低減剤としてポリアミド、ポリエステルアミド、低分子量のアミノ基含有化合物、水酸基含有化合物、ヒンダートフェニール系化合物、ヒンダートアミン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ポリフェノール系化合物、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アルカリ金属塩を配合することができ、好ましくはポリアミド、ベンゾフェノン系化合物、ポリエステルアミド、リン系安定剤、低分子量のアミノ基含有化合物、水酸基含有化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダートフェニール系化合物、ヒンダートアミン系化合物を配合することができる。最も好ましくは、ポリアミド、ポリエステルアミド、低分子量のアミノ基含有化合物であって、得られたポリエステル成形体のヘイズが良好である。
アルデヒド低減剤として配合するポリアミドとしては、脂肪族ポリアミド、部分芳香族ポリアミドから選ばれる少なくとも一種のポリアミドが挙げられる。
脂肪族ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン6/66、ナイロン6/610等が例示される。
部分芳香族ポリアミドの好ましい例としては、メタキシリレンジアミン、もしくはメタキシリレンジアミンと全量の30%以下のパラキシリレンジアミンを含む混合キシリレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから誘導される構成単位を分子鎖中に少なくとも20モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上、特に好ましくは40モル%以上含有するメタキシリレン基含有ポリアミドである。
また、部分芳香族ポリアミドは、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3塩基以上の多価カルボン酸から誘導される構成単位を実質的に線状である範囲内で含有していてもよい。
これらポリアミドの例としては、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンスペラミド等のような単独重合体、及びメタキシリレンジアミン/アジピン酸/イソフタル酸共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピペラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体、メタキシリレンジアミン/アジピン酸/イソフタル酸/ε−カプロラクタム共重合体、メタキシリレンジアミン/アジピン酸/イソフタル酸/ω―アミノカプロン酸共重合体等が挙げられる。
また、部分芳香族ポリアミドの好ましいその他の例としては、脂肪族ジアミンとテレフタル酸またはイソフタル酸から選ばれた少なくとも一種の酸とから誘導される構成単位を分子鎖中に少なくとも20モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上、特に好ましくは40モル%以上含有するポリアミドである。
これらポリアミドの例としては、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸/イソフタル酸共重合体、ポリノナメチレンテレフタルアミド、ポリノナメチレンイソフタルアミド、ノナメチレンジアミン/テレフタル酸/イソフタル酸共重合体、ノナメチレンジアミン/テレフタル酸/アジピン酸共重合体等が挙げられる。
また、部分芳香族ポリアミドの好ましいその他の例としては、脂肪族ジアミンとテレフタル酸またはイソフタル酸から選ばれた少なくとも一種の酸以外に、ε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸等のアミノカルボン酸類、パラ−アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸等を共重合成分として使用して得た、脂肪族ジアミンとテレフタル酸またはイソフタル酸から選ばれた少なくとも一種の酸とから誘導される構成単位を分子鎖中に少なくとも20モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上、特に好ましくは40モル%以上含有するポリアミドである。
これらポリアミドの例としては、ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸/ε−カプロラクタム共重合体、ヘキサメチレンジアミン/イソフタル酸/ε−カプロラクタム共重合体、ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸/アジピン酸/ε−カプロラクタム共重合体等が挙げられる。
また、ポリエステルアミドとしては、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびポリエチレンイミンから製造されたポリエステルアミド、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびヘキサメチレンジアミンから製造されたポリエステルアミド、テレフタル酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびヘキサメチレンジアミンから製造されたポリエステルアミド、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびビス(p−アミノシクロヘキシル)メタンから製造されたポリエステルアミドおよびこれらの混合物などが挙げられる。共重合成分として使用できる酸成分としては、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン酸、ウンデカジオン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、オルソフタル酸、キシリレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類が挙げられる。
用いられるポリアミドやポリエステルアミドは、DSC(示差走査熱量計)で測定した二次転移点が、50〜120℃であることが好ましい。二次転移点が50℃未満の場合は、乾燥工程やポリエステル組成物との押出し時に融着したり、また定量的に押出せなかったりするので好ましくない。また120℃を超える場合には、ポリエステル未延伸成形体を延伸する際に均一に延伸されないで厚み斑などが生じて好ましくない。
本発明により得られるポリエステル組成物に配合されるポリアミドやポリエステルアミドのチップの形状は、シリンダー型、角型、球状または扁平な板状等の何れでもよい。その平均粒径は通常1.0〜5mm、好ましくは1.2〜4.5mm、さらに好ましくは1.5〜4.0mmの範囲である。例えば、シリンダー型の場合は、長さは1.0〜4mm、径は1.0〜4mm程度であるのが実用的である。球状粒子の場合は、最大粒子径が平均粒子径の1.1〜2.0倍、最小粒子径が平均粒子径の0.7倍以上であるのが実用的である。また、チップの平均重量は1〜50mg/個の範囲が実用的である。
また、低分子量アミノ基含有化合物としては、ステアリルアミンなどの脂肪族アミン化合物、1,8−ジアミノナフタレート、3,4−ジアミノ安息香酸、2−アミノベンズアミド、N,N‘−1,6−ヘキサンジルビス(2−アミノベンズアミド)、4,4´−ジアミノジフェニールメタンなどの芳香族アミン化合物、メラミン、ベンゾグアナミンなどのトリアジン化合物、アミノ酸等が挙げられる。
また、水酸基含有化合物としては、ポリビニールアルコール、エチレンビニールアルコールポリマー、糖アルコール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
これらのポリアミド化合物、低分子量アミノ基含有化合物、あるいは水酸基含有化合物などのアルデヒド低減剤は、単独で用いても良いし、適当な割合で混合して用いても良い。
前記アルデヒド低減剤は、例えば、本発明により得られるポリエステル組成物100重量部に対して0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部用いることができる。
前記アルデヒド低減剤は、ポリエステルの低重合度オリゴマーの製造からポリエステルポリマーの製造の任意の反応段階に於いて所定量のアルデヒド低減剤を添加することによって配合することができる。例えば、前記のアルデヒド低減剤を細粒、粉状、溶融体など適当な形としてエステル化反応器や重縮合反応器などの反応器に添加したり、前記の反応器から次工程の反応器への前記ポリエステルの反応物の輸送配管中に前記アルデヒド低減剤またはこれと前記ポリエステルとの混合物を溶融状態で導入したりして配合できる。さらには必要に応じて得られたチップを高真空下または不活性ガス雰囲気下で固相重合することも可能である。
また、従来公知の方法によりポリエステル組成物とアルデヒド低減剤を混合する方法、あるいは2種以上のポリエステルの混合物にアルデヒド低減剤を混合する方法などによって得ることもできる。例えば、ポリアミドチップとIVの異なる2種のポリエステルチップとをタンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等でドライブレンドしたもの、さらにドライブレンドした混合物を一軸押出機、二軸押出機、ニーダー等で1回以上溶融混合したもの、さらには必要に応じて溶融混合物からのチップを高真空下または不活性ガス雰囲気下で固相重合したものなどが挙げられる。
さらに、前記ポリアミドなどをヘキサフロロイソプロパノールなどの溶剤に溶解させた溶液をポリエステルのチップの表面に付着させる方法、前記ポリアミド製の部材が存在する空間内で、前記ポリエステルを前記部材に衝突接触させて前記ポリエステルチップ表面に前記ポリアミドを付着させる方法などが挙げられる。
本発明により得られるポリエステル組成物は、一般的に用いられる溶融成形法を用いて、フィルム、シート状物、容器、その他の成形体などを成形したり、また溶融押出法によって別の基材上にコートした被覆物を形成することができる。
また本発明により得られるポリエステル組成物は、前記のように溶融重縮合ポリマーの製造工程の任意の反応器や輸送配管に所定量のアルデヒド低減剤を添加し、目的とする特性を持つように溶融重縮合したあと、直接成形工程に導入して成形体とすることもできる。
本発明により得られるポリエステル組成物からなるシート状物は、それ自体公知の手段にて製造することができる。例えば、押出機とダイを備えた一般的なシート成形機を用いて製造することができる。
また、このシート状物は、圧空成形、真空成形によりカップ状やトレイ状に成形することもできる。また、本発明により得られるポリエステル組成物からのポリエステル成形体は、電子レンジおよび/またはオ−ブンレンジ等で食品を調理したり、あるいは冷凍食品を加熱するためのトレイ状容器の用途にも用いることができる。この場合は、シ−ト状物をトレイ形状に成形後、熱結晶化させて耐熱性を向上させる。
本発明により得られるポリエステル組成物には、必要に応じて公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、酸素捕獲剤、外部より添加する滑剤や反応中に内部析出させた滑剤、離型剤、核剤、安定剤、帯電防止剤、青み付け剤、染料、顔料などの各種の添加剤、酸素透過性を改良するためにメタキシリレンジアミンとアジピン酸からのポリアミド樹脂などを配合してもよい。
また、本発明により得られるポリエステル組成物をフィルム用途に使用する場合には、滑り性、巻き性、耐ブロッキング性などのハンドリング性を改善するために、ポリエステル中に炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等の無機粒子、蓚酸カルシウムやカルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等のテレフタル酸塩等の有機塩粒子やジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体等の架橋高分子粒子などの不活性粒子を含有させることが出来る。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが本発明はこの実施例に限定されるものではない。
なお、主な特性値の測定法を以下に説明する。
ポリエステルの組成や各特性(1)、(3)、(4)は、チップを冷凍粉砕して十分に混合した後、測定する。
(1)ポリエステルの極限粘度(IV)
1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノ−ル(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求めた。ポリエステル組成物のIVは構成するポリエステルのIVから計算した加重平均値とした。
(2)ポリエステルのチップの平均重量(W)と2種間のポリエステルチップの平均重量の比(W/W)、柱状チップの短径(H1)と長径(H2)及び球状チップの最小粒子径(P1)と最大粒子径(P2)
・チップの平均重量(W)は、イオン交換水でファインを除去後、乾燥したポリエステルのチップ100個の重量を測定し、平均値を平均重量(W)とした。また、2種間のポリエステルチップの平均重量の比(W/W)は、2種のうち、平均重量の大きいポリエステルチップの平均重量をWとし、平均重量の小さいポリエステルチップの平均重量をWとして、W/Wを計算した。2種のポリエステルチップが同平均重量の場合は、W/Wは1.00となる。
・柱状チップの短径(H1)、長径(H2)は、100個のチップについて切断面の短径と長径の長さをノギスで測定した平均値である。また、比(H1/H2)を計算した。
・球状チップの最小粒子径(P1)と最大粒子径(P2)は、キーエンス社製のデジタルマイクロスコープVH−6300を用いて25倍の拡大率で100個のチップについて測定し、最小粒子径(P1)及び最大粒子径(P2)を平均値として求めた。また、比(P1/P2)を計算した。
この場合、チップ100個の選定は、異常な大きさのチップを除外することにより行った。具体的なチップの除外方法は、以下のとおりである。
チップの平均重量(W)を求めるに当たっては、ランダムに100個のチップを選び、平均重量(W)を算出した後、重量が0.5Wを下回るチップ及び2Wを超えるチップを除外し、除外した数のチップを再度ランダムに選び、補充して、100個の平均値を再計算した。これを100個すべてのチップが0.5W〜2W内になるまで行った。
柱状チップの短径(H1)と長径(H2)を求めるに当たっては、ランダムに100個のチップを選び、平均の短径(H1)及び平均の長径(H2)を算出した後、短径が0.5H1を下回るか又は長径が0.5H2を下回るチップ、及び短径が2H1を超えるか又は長径が2H2を超えるチップを除外し、除外した数のチップを再度ランダムに選び、補充して、100個の平均値を再計算した。これを100個すべてのチップが0.5H1
〜2H1かつ0.5H2〜2H2内になるまで行った。
球状チップの最小粒子径(P1)と最大粒子径(P2)を求めるに当たっては、ランダムに100個のチップを選び、平均粒子径(P)を算出した後、粒子径が0.5Pを下回るチップ及び2Pを超えるチップを除外し、除外した数のチップを再度ランダムに選び、補充して、100個の平均値を再計算した。これを100個すべてのチップが0.5P〜2P内になるまで行った。
(3)ポリエステルのジエチレングリコ−ル含有量(以下[DEG含有量」という)
メタノ−ルにより分解し、ガスクロマトグラフィ−によりDEG量を定量し、全グリコ−ル成分に対する割合(モル%)で表した。
(4)ポリエステルの環状3量体の含有量(以下「CT含有量」という)
冷凍粉砕した試料300mgをヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォルム混合液(容量比=2/3)3mlに溶解し、さらにクロロフォルム30mlを加えて希釈する。これにメタノ−ル15mlを加えてポリマ−を沈殿させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムアミド10mlで定容とし、高速液体クロマトグラフ法により環状3量体を定量した。ポリエステル組成物の環状3量体含有量は構成するポリエステルの環状3量体含有量から計算した加重平均値とした。
(5)ポリエステルのアセトアルデヒド含有量(以下「AA含有量」という)
試料/蒸留水=1グラム/2ccを窒素置換したガラスアンプルに入れた上部を溶封し、160℃で2時間抽出処理を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感度ガスクロマトグラフィ−で測定し、濃度をppmで表示した。ポリエステル組成物のアセトアルデヒド含有量は構成するポリエステルのアセトアルデヒド含有量から計算した加重平均値とした。チップの場合はそのままで、また中空成形体は口栓部から約2mmの大きさに採取した試料、シートは中央部の試料、また、圧縮成形予備成形体は中央部の試料を用いる。また、中空成形体のアセトアルデヒド含有量の変動値は、10本について測定しその最大値と最小値の差を求めた。
(6)ポリエステルの溶融時の環状3量体増加量(△CT量)
(13)の方法で290℃で成形された3mm厚みのプレートから試料を採取し、140℃、0.1mmHg以下で16時間程度減圧乾燥後、その試料3gをガラス製試験管に入れ、窒素雰囲気下で290℃のオイルバスに60分浸漬させ溶融させる。溶融時の環状3量体増加量は、次式により求める。
なお、溶融前の環状3量体含有量は、前記プレートの環状3量体含有量を用いた。
溶融時の環状3量体増加量(重量%)=
溶融後の環状3量体含有量(重量%)− 溶融前の環状3量体含有量(重量%)
(7)ファインの含有量の測定
樹脂約0.1kgを正規のサイズのチップが通過しない目開きの金網をはった篩(直径20cm)の上に乗せてイオン交換水を流しながらファインを分離して集めた。この操作を繰返し合計20kgを処理した。
分離したファインを岩城硝子社製1G1ガラスフィルターで真空濾過装置を使用して濾過して集めた。これらをガラスフィルターごと乾燥器内で100℃で2時間乾燥後、冷却して秤量した。再度、イオン交換水で洗浄、乾燥の同一操作を繰り返し、恒量になったことを確認し、この重量からガラスフィルターの重量を引き、ファイン重量を求めた。ファイン含有量は、ファイン重量/篩いにかけた全樹脂重量、である。
下記の実施例の場合は、JIS−Z8801による呼び寸法5.6mmの金網をはった篩(A)を用いた。
(8)ファインの融解ピーク温度(以下「ファインの融点」という)の測定
セイコー電子工業(株)製の示差走査熱量計(DSC)、RDC−220を用いて測定。(7)において、ポリエステルから集めたファインを冷凍粉砕し、25℃で3日間減圧下に乾燥し、これから一回の測定に試料4mgを使用して昇温速度20℃/分でDSC測定を行い、融解ピーク温度の最も高温側の融解ピーク温度を求める。測定は最大10ケの試料について実施し、最も高温側の融解ピーク温度の平均値を求める。融解ピ−クが1つの場合にはその温度を求める。
(9)成形体の昇温時の結晶化温度(Tc1)および降温時の結晶化温度(Tc2)
セイコー電子工業株式会社製の示差熱分析計(DSC)、RDC−220で測定。下記(13)の成形板の2mm厚みのプレ−トの中央部からの試料10mgを使用。昇温速度20度C/分で昇温し、290℃で3分間保持したのち、290℃から240℃までを10℃/分で降温し、更に240℃から130℃までを7℃/分で降温した。昇温時に観察される結晶化ピ−クの頂点温度を昇温時結晶化温度(Tc1)、降温時に観察される結晶化ピ−クの頂点温度を降温時結晶化温度とする。
(10)ポリエステルチップの密度
硝酸カルシュウム/水溶液の密度勾配管で30℃で測定した。
(11)ポリエステルチップおよびポリエステル組成物の光沢度
ポリエステルチップをセルに充填し、東京電色(株)製の光沢計108Dを用いて光沢度鏡面反射法によりJIS―Z874160に準じて測定した。
(12)ヘイズ(霞度%)および成形板ヘイズ斑(%)
下記(13)の成形体(肉厚5mm)より試料を切り取り、日本電色(株)製ヘイズメーター、modelNDH2000で測定。また、10回連続して成形した成形板(肉厚5mm)のヘイズを測定し、成形板ヘイズ斑は下記により求めた。
成形板ヘイズ斑(%)=ヘイズの最大値(%)−ヘイズの最小値(%)
(13)段付成形板の成形
減圧乾燥機を用いて140℃、0.1mmHg以下で16時間程度減圧乾燥したポリエステルを名機製作所製射出成形機M−150C−DM型射出成形機により図1、図2に示すようにゲート部(G)を有する、2mm〜11mm(A部の厚み=2mm、B部の厚み=3mm、C部の厚み=4mm、D部の厚み=5mm、E部の厚み=10mm、F部の厚み=11mm)の厚さの段付成形板を射出成形した。
ヤマト科学製真空乾燥器DP61型を用いて予め減圧乾燥したポリエステルを用い、成形中に吸湿を防止するために、成形材料ホッパー内は乾燥不活性ガス(窒素ガス)パージを行った。M−150C−DM射出成形機による可塑化条件としては、フィードスクリュウ回転数=70%、スクリュウ回転数=120rpm、背圧0.5MPa、シリンダー温度はホッパー直下から順に45℃、250℃、以降ノズルを含め280℃あるいは290℃に設定した。射出条件は射出速度及び保圧速度は20%、また成形品重量が146±0.2gになるように射出圧力及び保圧を調整し、その際保圧は射出圧力に対して0.5MPa低く調整した。
射出時間、保圧時間はそれぞれ上限を10秒、7秒,冷却時間は50秒に設定し、成形品取出時間も含めた全体のサイクルタイムは概ね75秒程度である。
金型には常時、水温10℃の冷却水を導入し温調するが、成形安定時の金型表面温度は22℃前後である。
成形品特性評価用のテストプレートは、成形材料導入し樹脂置換を行った後、成形開始から11〜18ショット目の安定した成形品の中から任意に選ぶものとした。
なお、成形温度とは、前記のノズルを含めバレルの設定温度を言う。成形板のヘイズおよびヘイズ斑の測定には、280℃成形温度の成形板を用いた。
2mm厚みのプレート(図1のA部)は昇温時の結晶化温度(Tc1)、降温時の結晶化温度(Tc2)測定およびAA測定、3mm厚みのプレート(図1のB部)は溶融時の環状3量体増加量(△CT量)の測定、5mm厚みのプレート(図1のD部)はヘイズ(霞度%)測定、に使用する。
(14)中空成形体の成形
ポリエステルを脱湿空気を用いた乾燥機で乾燥し、各機製作所製M−150C―DM射出成形機により実施例に記載した樹脂温度になるようにシリンダ−およびホットランナーの温度を変化させ、成形サイクルを変化させて、射出圧力を1.8〜2.3kg/cmとして、予備成形体(外径29.4mm、長さ145.5mm、肉厚約3.7mm、重量60g)を成形した。成形安定時の金型の表面温度は22℃前後である。
これらの予備成形体の口栓部を自家製の赤外線ヒ−タ−によって180秒間熱処理した後、型ピンを挿入して口栓部の加熱結晶化処理を行った。次にこの予備成形体をCORPOPLAST社製のLB−01E成形機で二軸延伸ブローし、引き続き約150℃に設定した金型内で約5秒間熱固定し、容量が1500ccの容器を成形した。延伸温度は100℃にコントロールした。
溶融樹脂温度は、射出成形機のノズル先端から射出される溶融した樹脂に熱電対温度計を接触させて測定した。
(15)中空成形体の外観
前記(14)の成形開始10本目から20本の中空成形体を目視で観察し、下記のように評価した。
◎ : 透明で外観問題なし
△ : 中空成形体に白化した流れ模様や白化物が少し有り
× : 中空成形体に白化した流れ模様や白化物あり
(16)中空成形体用予備成形体の口栓部形状および寸法
(14)で結晶化させた予備成形体口栓部の形状および寸法を目視観察し、下記のように評価した。
◎ : 極めて安定した寸法精度が得られた。
○ : 安定した寸法精度が得られた。
× : 結晶化不十分、形状不良、または、過度に結晶化、寸法不良。
(17)チップ冷却水中あるいは水処理水のナトリウム含有量、カルシウム含有量、マグネシウム含有量および珪素含有量
チップ冷却水などを採取し、岩城硝子社製1G1ガラスフィルターで濾過後、濾液を島津製作所製誘導結合プラズマ発光分析装置で測定した。
(ポリエステル1(Pes1))
連続式溶融重縮合装置およびこれに直結する連続式固相重合装置を用いて製造した。すなわち、予め反応物を含有している第1エステル化反応器に、高純度テレフタル酸とエチレングリコールを連続的に供給し、撹拌下、約250℃、0.5kg/cmGで平均滞留時間3時間反応を行った。また、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解し、これにエチレングリコールを添加加熱処理した触媒溶液及び燐酸のエチレングリコール溶液とを別々にこの第1エステル化反応器に連続的に供給した。この反応物を第2エステル化反応器に送付し、撹拌下、約260℃、0.05kg/cmGで所定の反応度まで反応を行った。このエステル化反応生成物を連続的に第1重合反応器に送り、撹拌下、約265℃、25torrで1時間、次いで第2重合反応器で撹拌下、約265℃、3torrで1時間、さらに第3重合反応器で撹拌下、約275℃、0.5〜1torrで重合させた。得られたPET樹脂の極限粘度(IV)は0.56デシリットル/グラム、DEG含有量は2.6モル%であった。
なお、チップ化時の冷却水としては、ナトリウム含有量が0.1ppm、カルシウム含有量が約0.1ppm、マグネシウム含有量が約0.07ppm、珪素含有量が約0.5ppmのイオン交換水を用いた。
この樹脂を、約45℃以下に冷却後ファイン除去を処理をし、高密度輸送方式により貯蔵用タンクに送り、引き続き窒素雰囲気下、約155℃で結晶化し、さらに窒素雰囲気下で約200℃に予熱後、高密度輸送方式により連続固相重合反応器に送り窒素雰囲気下約207℃で固相重合した。固相重合後篩分工程およりファイン除去工程で連続的に処理しファインを除去した。貯蔵用タンクに保管した。
得られたPETの極限粘度は0.70デシリットル/グラム、アセトアルデヒド(AA)含有量は3.2ppm、環状3量体の含量は0.33重量%、チップ形状は楕円柱状であり、チップ平均重量(W)は24mg、短径(H1)と長径(H2)の比(H1/H2)は0.62、表面光沢度は89.0%、チップ密度は1.399g/cm、ファイン含有量は約50ppmであった。得られたPETの特性を表1に示す。
(ポリエステル2(Pes2)、3(Pes3))
重縮合触媒添加量、固相重合時間を変更する以外は実施例1と同様にして反応させてポリエステル2、3を得た。
得られたPETの特性を表1に示す。
(ポリエステル4(Pes4)、5(Pes5))
チップ平均重量(W)を表1のように変更し、ファイン除去工程を省略する以外はポリエステル1、2と同様にしてポリエステル4、5を得た。但し、チップ化後にチップ温度の管理をせずにチップ温度約70〜50℃の温度において固相重合装置に投入した。また、ポリエステル4では、チップ化時の冷却水としてナトリウム含有量が約9.2ppm、カルシウム含有量が約10.0ppm、マグネシウム含有量が約5.4ppm、珪素含有量が11.3ppmの水を用いた。チップの輸送は全て低密度輸送方式によった。
(ポリエステル6(Pes6)、7(Pes7))
チップ平均重量(W)を表1のように変更し、また重縮合触媒添加量、固相重合時間を変更する以外はポリエステル1と同様にして溶融重縮合したプレポリマーをチップ化時の冷却水としてナトリウム含有量が約9.2ppm、カルシウム含有量が約10.0ppm、マグネシウム含有量が約5.4ppm、珪素含有量が11.3ppmの水を用いてチップ化し、ファイン除去せずに回転式減圧固相重合装置に投入し、回転しながら減圧下において70〜160℃で結晶化後、210℃で固相重合した。固相重合後、篩分工程でファイン等の除去処理をしなかった。得られたPETの特性を表−1に示す。
(ポリエステル1の水処理品)
前記のポリエステル1を処理水温度95℃にコントロールされた下記の水処理槽へ50kg/時間の速度で処理槽上部の供給口(1)から連続投入して水処理し、処理槽下部の排出口(3)からPETチップとして50kg/時間の速度で処理水と共に連続的に抜き出した。水処理装置のイオン交換水導入口(9)の手前で採取した導入水中の粒径1〜25μmの粒子含有量は約1500個/10ml、ナトリウム含有量が0.03ppm、マグネシウム含有量が0.07ppm、カルシウム含有量が0.05ppm、珪素含有量が0.10ppmであり、また濾過装置(5)および吸着塔(8)で処理後のリサイクル水の粒径1〜40μmの粒子数は約10000個/10mlであった。水処理後、実施例1と同様にしてファイン等の除去処理を行った。
なおポリエステルチップの水処理には、図3に示す装置を用い、処理槽上部の原料チップ供給口(1)、処理槽の処理水上限レベルに位置するオーバーフロー排出口(2)、処理槽下部のポリエステルチップと処理水の混合物の排出口(3)、このオーバーフロー排出口から排出された処理水と、処理槽から排出された処理水と、処理槽下部の排出口から排出された水切り装置(4)を経由した処理水が、濾材が紙製の連続式フィルタ−である微粉除去装置(5)を経由して再び水処理槽へ送られる配管(6)、これらの微粉除去済み処理水の導入口(7)、微粉除去済み処理水中のアセトアルデヒドを吸着処理させる吸着塔(8)、及び新しいイオン交換水の導入口(9)を備えた内容量約50mの塔型の処理槽を使用した。
得られたPETの特性は、溶融時の環状3量体増加量(△CT量)が0.12重量%であることを除き表1記載のポリエステル1の特性と同じである。
(ポリエステル2の水処理品)
ポリエステル2を前記と同様にして水処理した。
得られたPETの特性は、溶融時の環状3量体増加量(△CT量)が0.13重量%であることを除き表1記載のポリエステル2の特性と同じである。
(ポリエステル8)
第1エステル化反応器に、高純度テレフタル酸(全酸成分の98.5モル%相当分)、イソフタル酸(全酸成分の1.5モル%)とエチルグリコールとからのスラリーを連続的に供給する以外はポリエステル1と同様にして反応させてポリエステル8を得た。得られたPETの特性を表−1に示す。
(ポリエステル9)
第1エステル化反応器に、高純度テレフタル酸(全酸成分の98.5モル%相当分)、イソフタル酸(全酸成分の1.5モル%)とエチルグリコールとからのスラリーを連続的に供給する以外はポリエステル2と同様にして反応させてポリエステル9を得た。得られたPETの特性を表−1に示す。
Figure 2007138160
(実施例1)
上記のポリエステル1とポリエステル2のペレットを7:3の割合で重量式定量装置により秤量後、スタティックミキサーを通過させてブレンドして得たポリエステル組成物を(13)の方法により280℃で成形した成形板および(14)の方法により溶融樹脂温度が280℃で溶融滞留時間が100秒の条件下に射出成形して得た予備成形体および中空成形容器による評価を実施した。結果を表2に示す。成形板のヘイズ及びヘイズ斑は、各々9.7%および1.0%と問題ない値であり、予備成形体口栓部の結晶化後の形状および寸法は問題なく、延伸中空成形体のAA含有量は10.0ppmと少なくまた中空成形容器の外観も問題なかった。
(実施例2)
水処理したポリエステル1と水処理したポリエステル2を用いて、表2に示す組成により、実施例2のポリエステル組成物を得て、実施例1と同様にして評価を実施した。結果を表2に示す。評価した全ての特性は実施例1と同様に良好であった。
(実施例3)
表2に示すように実施例3のポリエステル組成物について実施例1と同様にして評価を実施した。結果を表2に示す。評価した全ての特性は実施例1と同様に良好であった。
(比較例1)
表2に示すように比較例1のポリエステル3について実施例1と同様にして評価を実施した。
実施例と比較すると明らかに、成形板のヘイズ値およびヘイズ斑は大きく、また予備成形体口栓部の結晶化後の形状および寸法は結晶化不十分で形状不良であり、延伸成形体のAA含有量および外観もあまりよくなかった。結果を表2に示す。
(比較例2)
表2に示すように比較例2のポリエステル組成物について評価を実施した。
実施例と比較すると明らかに、成形板のヘイズ値およびヘイズ斑が高く、中空成形体の外観も良くなかった。結果を表2に示す。
(比較例3)
表2に示すように比較例3のポリエステル組成物について評価を実施した。
実施例と比較すると明らかに、成形板のヘイズ値およびヘイズ斑が高く、中空成形体の外観も良くなかった。結果を表2に示す。
Figure 2007138160
本発明は、透明性に優れかつ透明性の変動が少なく、成形時のアセトアルデヒドなどのアルデヒド類の生成およびその変動が抑制された中空成形体、シート状物、延伸フィルムなどの成形体や基材上への被覆物などの素材として好適に用いられるポリエステル組成物や耐圧性あるいは耐熱寸法安定性に優れた中空成形体、特に耐圧性や耐熱耐圧性に優れた中空成形品を高速成形により効率よく生産することができるポリエステル組成物の製造方法を提供することができる。
段付き成形板の平面図 段付き成形板の側面図 実施例で用いた水処理装置の概略図である。
符号の説明
1 原料チップ供給口
2 オーバーフロー排出口
3 ポリエステルチップと処理水との排出口
4 水切り装置
5 ファイン除去装置
6 配管
7 リサイクル水または/およびイオン交換水の導入口
8 吸着塔
9 イオン交換水導入口

Claims (9)

  1. 固相重合装置によって別々に固相重合された、異なる極限粘度を持つ実質的に同一組成の少なくとも2種のポリエステルを混合するポリエステル組成物の製造方法であって、前記のポリエステルの極限粘度の差が0.03〜0.30デシリットル/グラムであり、前記の各ポリエステルのチップの平均重量(W)が3〜50mgの範囲であり、かつ前記のポリエステルのチップの平均重量の比が、1.00〜1.20であることを特徴とするポリエステル組成物の製造方法。
  2. 前記の固相重合装置が連続式固相重合装置であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成物の製造方法。
  3. 水接触処理工程を前記のポリエステルの混合工程の前、または、後に追加することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のポリエステル組成物の製造方法。
  4. DSCで測定した、混合前のポリエステルの降温時の結晶化温度の差が18℃以内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル組成物の製造方法。
  5. DSCで測定した、混合前のポリエステルの昇温時の結晶化温度の差が10℃以内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル組成物の製造方法。
  6. 前記各ポリエステルのファインの含有量が0.1〜5000ppmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル組成物の製造方法。
  7. 前記各ポリエステルが、エチレンテレフタレートを主繰返し単位とするポリエステルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル組成物の製造方法。
  8. 混合前のポリエステルが、下記のポリエステルAとポリエステルBであることを特徴とする請求項7に記載のポリエステル組成物の製造方法。
    ポリエステルA:極限粘度IVが0.60〜0.85デシリットル/グラム、アセトアルデヒド含有量が10ppm以下、環状3量体含有量が0.70重量%以下であるポリエステル。
    ポリエステルB:極限粘度IVが0.70〜1.10デシリットル/グラム、アセトアルデヒド含有量が10ppm以下、環状3量体含有量が0.70重量%以下であるポリエステル。
  9. 混合前のポリエステルおよび混合後のポリエステル組成物の昇温時の結晶化温度が140〜180℃であることを特徴とする請求項7または8のいずれかに記載のポリエステル組成物の製造方法。
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