JP2000037807A - 多層フィルム - Google Patents

多層フィルム

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JP2000037807A
JP2000037807A JP21082798A JP21082798A JP2000037807A JP 2000037807 A JP2000037807 A JP 2000037807A JP 21082798 A JP21082798 A JP 21082798A JP 21082798 A JP21082798 A JP 21082798A JP 2000037807 A JP2000037807 A JP 2000037807A
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layer
film
multilayer film
polymer layer
polymer
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JP21082798A
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English (en)
Inventor
Kohei Endo
浩平 遠藤
Hiroshi Tokuda
寛志 徳田
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 静電密着による表面欠点や厚み斑の良好な多
層フィルム及び該多層フィルムから剥離した第1のポリ
マー層からなるフィルム(単層フィルム)を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂からなる第1ポリマー層の
少なくとも1層と該ポリマー層と非相溶な熱可塑性樹脂
からなる第2ポリマー層の少なくとも1層とが隣接して
おり、これら2層間の層間接着力が0.1〜20g/c
mの範囲にあり、最外層の少なくとも1層が第1ポリマ
ー層からなり、第2ポリマー層と第1ポリマー層とが交
互に存在する多層フィルムであって、第1のポリマー層
の融点(Tm)より15℃高い温度における第1のポリ
マー層の溶融インピーダンスが0.5×109Ω・cm以
下であり、且つ下記(1)式で求められる多層フィルム
の溶融インピーダンスが0.8×1010Ω・cm以下で
あることを特徴とする多層フィルム。 但し、Nは表層から数えたトータル層数、Znは表層か
らn層目の溶融インピーダンス(Ω・cm)、dnは表
層からn層目の厚み(μm)を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は互いに非相溶なポリ
マー層を隣接積層した多層フィルム及びこれから剥離分
離した熱可塑性樹脂フィルム(単層フィルム)に関し、
さらに詳しくは、フィルムの高速製膜性に優れた多層フ
ィルム及びこれから剥離分離した熱可塑性樹脂フィルム
に関する。
【0002】
【従来の技術】薄物フィルムは、それらの加工工程にお
いて切断が起こり易いため、製品フィルムと非相溶な素
材のキャリヤーフィルムを積層補強して加工を行い、加
工完了後、加工された積層フィルムをキャリヤーフィル
ムから剥離し巻き取ることで、切断を軽減させる(特開
昭64−14092号公報、特開平04−7198号公
報等)ことが提案されている。
【0003】また、一般用フィルムや磁気記録用フィル
ム等を生産性よく製膜するために、互いに相溶しないポ
リマーを共押出して未延伸フィルムとなし、さらに少な
くとも一軸延伸した後剥離して製品フィルムを一挙に2
枚以上製膜する方法(特開昭51−30862号公報、
特開昭56−113427号公報、特開昭58−522
6号公報等)が提案されている。しかし、本発明者の知
見では、この方法で多層フィルムの補強層である第2の
ポリマーにポリオレフィンを使用した場合、溶融樹脂を
シート化するときの静電密着性が充分でなく、表面欠点
や厚み斑が悪化し製品特性に影響を及ぼす。
【0004】そこで、本発明者は特開平8−31860
1号公報でポリオレフィン層にスルホン酸4級ホスホニ
ウム塩を添加し溶融インピーダンスを低くして静電密着
性を良化させる方法を提案した。しかし、その後の研究
で、第2ポリマー層にスルホン酸4級ホスホニウム塩の
様な静電密着剤を高濃度添加すと、第2ポリマー層と第
1ポリマー層の界面にそれがブリードし剥離した後の第
1ポリマー層の表面を汚染し、製品に悪影響を及ぼす可
能性があり、感熱転写プリンターリボン用、高感度孔版
用、コンデンサー用、更には食品包装用フィルムとして
は十分でない、ことが明らかになった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の欠点を改善するために、静電密着による表面欠点や厚
み斑の良好な多層フィルム及び該多層フィルムから剥離
した第1ポリマー層からなるフィルム(単層フィルム)
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意研究した結果、第1ポリマー層の溶融
インピーダンスを低くし、多層フィルム全体の溶融イン
ピーダンスを特定の範囲にし、さらに第2ポリマー層に
例えばスルホン酸4級ホスホニウム塩の様な静電密着剤
を0.1wt%以下添加し、成膜時に表面にマイクロク
ラックを有する冷却ドラムを使用することが有効である
ことを発見し、本発明に到達した。
【0007】すなわち、本発明は熱可塑性樹脂からなる
第1ポリマー層の少なくとも1層と該ポリマー層と非相
溶な熱可塑性樹脂からなる第2ポリマー層の少なくとも
1層とが隣接しており、これら2層間の層間接着力が
0.1〜20g/cmの範囲にあり、最外層の少なくと
も1層が第1ポリマー層からなり、第2ポリマー層と第
1ポリマー層とが交互に存在する多層フィルムであっ
て、第1ポリマー層のポリマー融点(Tm)より15℃
高い温度における溶融インピーダンスが0.5×109
Ω・cm以下であり、第2ポリマー層がスルホン酸4級
ホスホニウム塩を0.01〜0.1wt%含有し、且つ
下記(1)式で計算される多層フィルムの溶融インピー
ダンスが0.2×109Ω・cm以上0.8×1010Ω・
cm以下であることを特徴とする多層フィルムである。
【0008】
【数2】
【0009】但し、Nは表層から数えたトータル層数、
Znは表層からn層目の溶融インピーダンス(Ω・c
m)、dnは表層からn層目の厚み(μm)を示す。
【0010】そして、前記多層フィルムは、好ましい態
様として、成膜時に表面にマイクロクラックを有する冷
却ドラムを用いてシート化すること、第1ポリマー層を
構成する樹脂がポリエステルであること、第2ポリマー
層を構成する樹脂がポリオレフィンであることを包含す
る。
【0011】さらに、本発明は前記多層フィルムを剥離
して得られた第1ポリマー層からなる熱可塑性樹脂フィ
ルム、特にポリエステルフィルムである。
【0012】本発明における熱可塑性樹脂としては、
第2ポリマー層はメルトフローレート(MFR)が0.
5〜50g/10分であるポリオレフィン、特にMFR
が10〜40g/10分のエチレン共重合ポリプロピレ
ン、ポリメチルペンテンが好ましい。このエチレン共重
合ポリプロピレンは、エチレン含有量が2〜50mol
%であると、ホモポリプロピレンやポリエチレンに比し
て延伸性に優れ好ましい。また、共重合構造はエチレン
−プロピレン共重合体であれば特に限定はしないが、ラ
ンダム共重合体、ブロック共重合体が好ましい。更に表
面性が良好であるランダム共重合ポリプロピレンが特に
好ましい。また、フィルターの濾過による経時圧力上昇
を少なくし長寿命化するためにも原料中の異物はできる
だけ少ない方が好ましい。
【0013】前記多層フィルムの第2ポリマー層には静
電密着剤としてスルホン酸4級ホスホニウム塩を0.0
1〜0.1wt%含有させる。この量が0.1wt%よ
り多くなると、多層フィルムの層間へのスルホン酸4級
ホスホニウム塩のブリードが顕著になり、剥離フィルム
の表面欠点を生じることになり、好ましくない。この量
が0.1wt%以下では第2ポリマー層の溶融インピー
ダンスは0.8×1010Ω・cm以上と高い。そこで、
十分な密着効果を発現させるには、キャスティング速度
50m/分以上の場合、第1ポリマー層の溶融インピー
ダンスを0.5×109Ω・cm以下とする必要があ
り、かつ前記式(1)で求められる多層フィルムの溶融
インピーダンスを0.2×109Ω・cm以上0.8×
1010Ω・cm以下にする必要がある。本発明ではこの
ように第2ポリマー層の溶融インピーダンスは高く、多
層フィルムとしての溶融固有抵抗は比較的高くても、静
電密着性は良好となる。通常、ポリエステル単層の場合
は溶融インピーダンスが109Ω・cm以上ではキャス
ティングスピードは40m/分以下のポテンシャルとな
るが、本発明ではポリオリフィンと組合せかつ前記のよ
うにポリオリフィンにスルホン酸4級ホスホニウム塩を
多層フィルムの溶融インピーダンスが0.2×109Ω
・cm以上0.8×1010Ω・cm以下となるように添
加するので、40m/分以上のキャスティングが可能と
なる。また、マイクロクラック入りの冷却ドラムを使用
することでキャスティング速度70m/分以上の製膜が
可能となる。このマイクロクラック入りの冷却ドラムと
しては、例えば厚さ150μmのクロムメッキを電解エ
ッチングし、次ぎに軽い表面研磨を行なって形成した中
心線平均粗さが0.33μmマイクロクラック構造のク
ロムメッキ層を有する冷却ドラムが好ましく使用でき
る。
【0014】かかるスルホン酸4級ホスホニウム塩とし
ては、下記式(I)或いは下記式(II)で表わされる化
合物が好ましく挙げられる。
【0015】
【化1】
【0016】式(I)でAはn+2価の炭素数2〜18
の脂肪族基又は芳香族基であり、X1およびX2は、同一
もしくは異なり、水素元素またはエステル形成性官能基
であり、nは1または2であり、そしてR1 、R2
3 およびR4 は同一もしくは異なり、炭素数1〜1
8のアルキル基、ベンジル基または炭素数6〜12のア
リール基である。但し、X1およびX2が同時に水素であ
ることはない。
【0017】
【化2】
【0018】式(II)でA2は炭素数4〜18のm価の
脂肪族基又は芳香族基であり、R5、R6、R7およびR8
は、互いに独立に、炭素数1〜18の一価の炭化水素基
であり、そしてmは1または2である。
【0019】式(I)で示されるスルホン酸四級ホスホ
ニウム塩としては、例えば、3,5−ジカルボキシベン
ゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−
ジカルボキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホス
ホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸
ベンジルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボ
キシベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウ
ム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラ
フェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼ
ンスルホン酸エチルトリフェニルホスホニウム塩、3,
5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ブチルトリフェニ
ルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスル
ホン酸ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−
ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホス
ホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホ
ン酸エチルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカル
ボメトキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホス
ホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホ
ン酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカ
ルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホ
ニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン
酸エチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカル
ボメトキシベンゼンスルホン酸ブチルトリフェニルホス
ホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホ
ン酸ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、3−カルボ
キシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、
3−カルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホス
ホニウム塩、3−カルボメトキシベンゼンスルホン酸テ
トラブチルホスホニウム塩、3−カルボメトキシベンゼ
ンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5−
ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスル
ホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジ(β−
ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テ
トラフェニルホスホニウム塩、3−(β−ヒドロキシエ
トキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホ
スホニウム塩、3−(β−ヒドロキシエトキシカルボニ
ル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム
塩、4−ヒドロキシエトキシベンゼンスルホン酸テトラ
ブチルホスホニウム塩、ビスフェノールA−3,3´−
ジ(スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩)、2,6
−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン酸テトラブチ
ルホスホニウム塩、α−テトラブチルホスホニウムスル
ホコハク酸等を挙げることができる。
【0020】また、前記式(II)で表わされるスルホン
酸四級ホスホニウム塩のうち、m=1の化合物として
は、例えばブチルスルホネート、オクチルスルホネー
ト、ラウリルスルホネート、ミスチルスルホネート、ヘ
キサデシルスルホネート、2−エチルヘキシルスルホネ
ート、等の脂肪族スルホネート類及びこれらの混合物、
p−トシレート、ブチルフェニルスルホネート、ドデシ
ルフェニルスルホネート、オクタデシルフェニルスルホ
ネート、ジブチルフェニルスルホネート等の置換フェニ
ルスルホネート類、ナフチルスルホネート、ジイソプロ
ピルナフチルスルホネート、ジブチルナフチルスルホネ
ート等の置換或いは非置換ナフチルスルホネート類等を
挙げることができる。m=2の化合物としては、例えば
1,1−エタンジスルホン酸、1,2−エタンジスルホ
ン酸、フェノール−2,4−ジスルホン酸、フェノール
−2,5−ジスルホン酸、1,2−ジオキシベンゼン−
3,5−ジスルホン酸、ヒドロキシ−2,5−ジスルホ
ン酸、1,4−ベンゼンジスルホン酸、2,5−ジメチ
ル−1,3−ベンゼンジスルホン酸、4−メチル−1,
3−ベンゼンジスルホン酸、5−メチル−1,3−ベン
ゼンジスルホン酸、5−メチルオキシカルボニル−1,
3−ベンゼンジスルホン酸、1,8−ジヒドロキシアン
トラキノン−2,7−ジスルホン酸、1,5−ジヒドロ
キシアントラキノン−2,6−ジスルホン酸、1,5−
ジメトキシアントラキノン−2,6−ジスルホン酸等を
挙げることができる。
【0021】また前記ホスホニウムカチオンの具体例と
しては、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホス
ホニウム、テトラブチルホスホニウム、トリエチルメチ
ルホスホニウム、トリブチルメチルホスホニウム、トリ
ブチルエチルホスホニウム、トリオクチルメチルホスホ
ニウム、トリメチルブチルホスホニウム、トリメチルオ
クチルホスホニウム、トリメチルラウリルホスホニウ
ム、トリメチルステアリルホスホニウム、トリエチルオ
クチルスホニウム、トリブチルオクチルホスホニウム等
の脂肪族ホスホニウム、トリフェニルメチルホスホニウ
ム、トリフェニルエチルホスホニウム、トリエチルベン
ジルホニウム、トリブチルベンジルホスホニウム等の芳
香族ホスホニウム等を挙げることができる。更に、テト
ラメチロールホスホニウム、トリ(2−シアノエチル)
メチルホスホニウム、トリ(2−シアノエチル)エチル
ホスホニウム、トリ(2−シアノエチル)ベンジルホス
ホニウム、トリ(3−ヒドロキシプロピル)メチルホス
ホニウム、トリ(3−ヒドロキシプロピル)ベンジルホ
スホニウム、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)ホス
ホニウム、トリブチル(2−ヒドロキシエチル)ホスホ
ニウム等の置換基を有するホスホニウムも使用できる。
【0022】かかるスルホン酸4級ホスホニウム塩のう
ち、前記式(I)で示されるスルホン酸四級ホスホニウ
ム塩を用いると多層フイルムと冷却ドラムの密着性がよ
り良好となるため好ましく、特に下記式(III)に示し
た3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラ−n
−ブチルホスホニウム塩が好ましい。尚、スルホン酸4
級ホスホニウム塩は一種のみを単独で用いても二種以上
併用してもよい。
【0023】
【化3】
【0024】本発明における第1ポリマー層としては、
ポリエステル、ポリフェニルスルファイド(PPS)、
ポリスルフォン、ポリオレフィン等の樹脂を使用するこ
とが好ましく、更には、ポリエチレンテレフタレート、
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン
ジメチレンテレフタレート及びその異性体、ならびにこ
れらの共重合体が好ましい。
【0025】本発明における多層延伸フィルムは、第1
ポリマー層の少なくとも1層と第2ポリマー層の少なく
とも1層とが隣接し、かつ最外層の少なくとも1層が第
1ポリマー層からなる構成であれば、その層数は特に限
定されない。ただし、3層以上の多層フィルムであると
きには、第1と第2ポリマー層とは交互に存在するよう
にする。この層構成の具体例を、第1ポリマー層がポリ
エステル(E層)からなり、第2ポリマー層がポリオレ
フィン(O層)からなる場合で説明すると、E層/O層
からなる2層フィルム、E層/O層/E層からなる3層
フィルム、E層/O層/E層/O層/E層からなる5層
フィルム等を好ましく挙げることができる。この中、
E層/O層/E層からなる3層フィルムが特に好まし
い。
【0026】本発明における多層フィルムは、第1ポリ
マー層と第2ポリマー層の層間接着力が0.1〜20g
/cmであり、特に0.1〜10g/cmであることが
好ましい。この層間接着力が0.1g/cmより小さい
と、多層延伸フィルムをロール状に巻いて保管する際や
搬送する際に層間剥離や層間ずれが起こり、皺、破れな
どのトラブルが生じ、また延伸フィルムを製造する場合
延伸処理に供する前に多層フィルムが剥離するトラブル
が発生することがある。一方、この層間接着力が20g
/cmを超えると、層間接着力が強すぎて多層フィルム
を分離する際にフィルムが破れたりピンホールが生じた
りするため好ましくない。
【0027】本発明における多層延伸フィルムは、一軸
延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれでもよいが、
特に二軸延伸フィルムが多層フィルム殊に第1ポリマー
層の二軸方向の機械特性に優れるため好ましい。多層延
伸フィルムの厚みは、第1ポリマー層と第2ポリマー層
の延伸応力によって設定する必要があるが、その範囲と
しては、例えば二軸延伸フィルムの場合には、多層延伸
フィルムの総厚みが3〜100μm、特に5〜50μm
であり、第2ポリマー層の1層当たりの厚みが0.2〜
80μm、特に0.5〜30μmであり、第1ポリマー層
の1層当たりの厚みが0.5〜50μm、特に1〜30
μmであることが分離時の切断、生産性、設備コスト面
から好ましい。また、一軸延伸フィルムの場合には、多
層延伸フィルムの総厚みが15〜300μm、特に15
〜150μmであり、第2ポリマー層の1層当たりの厚
みが0.6〜250μm、特に1.5〜90μmであり、
第1ポリマー層の1層当たりの厚みが1.5〜150μ
m、特に3〜90μmであることが生産性、設備コスト面
から好ましい。
【0028】製膜の際には第1ポリマー層及び第2ポリ
マー層の、特に第2ポリマー層の異物を除去するために
溶融系でポリマーフィルターを使用しフィッシュアイを
なくすようにすることが好ましい。実質的に除去する異
物の大きさは50μm以上であることが好ましい。
【0029】前記フィルターの材質は金属でもセラミッ
クでも構わないが、再生使用できることからステンレス
が好ましい。また、フィルターの製法もメッシュタイ
プ、不職布タイプ、焼結タイプ等いずれでも構わない。
【0030】また、第1ポリマー層と第2ポリマー層で
あるポリオレフィン層との接着力を調整するために、潤
滑剤を例えば少なくとも0.001wt%、更には0.
005〜0.5wt%配合することができ、また配合す
ることが好ましい。
【0031】この潤滑剤は、常温で液体であっても固体
であってもよいが、融点或いは軟化点が200℃以下の
ものであることが好ましい。この潤滑剤の具体例とし
て、下記のものを挙げることができ、これらの2種類以
上を用いてもよい。
【0032】A.脂肪族炭化水素:流動パラフィン、マ
イクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パ
ラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワッ
クス等 B.高級脂肪酸またはその金属塩:ステアリン酸、ステ
アリン酸カルシウム、ヒドロキシステアリン酸、硬化
油、モンタン酸ナトリウム等 C.脂肪族アミド:ステアリン酸アミド、オレイン酸ア
ミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ベヘンア
ミド、メチレンビスステアラミド等 D.脂肪酸エステル:n−ブチルステアレート、メチル
ヒドロキシステアレート、ミリシルセロチネート、高ア
ルコール脂肪酸エステル、エステル系ワックス等 E.脂肪酸ケトン:ケトンワックス等 F.脂肪アルコール:ラウリルアルコール、ステアリル
アルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール
等 G.脂肪酸と多価アルコールの部分エステル:グリセリ
ン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸トリグリセ
リド、ソルビタン酸エステル等 H.非イオン系界面活性剤:ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレン
脂肪酸エステル等 I.シリコン油:直鎖状メチルシリコン油、メチルフェ
ニルシリコン油、変成シリコン油等 J.フッ素系界面活性剤:フルオロアルキルカルボン
酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、モノパーフルオ
ロアルキルエチルリン酸エステル、パーフルオロアルキ
ルスルホン酸塩等 また、第2ポリマー層、特にポリオレフィン層には、多
層延伸フィルムから剥離分離した第2ポリマー層、特に
ポリオレフィン層(フィルム)の巻き取り性を向上させ
るために、平均粒径が0.001〜5.0μm程度の有
機や無機の微粒子を、例えば0.01〜2.0wt%の
割合で配合含有させることが好ましい。
【0033】かかる微粒子としては、例えば乾式シリ
カ、湿式シリカ、乾式シリカ、ゼオライト、炭酸カルシ
ウム、リン酸カルシウム、カオリン、カオリナイト、ク
レイ、タルク、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、水
酸化アルミニウム、酸化カルシウム、グラファイト、カ
ーボンブラック、酸化亜鉛、炭化珪素、酸化銀等の無機
微粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂
粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等の
有機粒子を挙げることができる。
【0034】尚、第2ポリマー層には、必要に応じて、
酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、傾向増白剤、
可塑剤、紫外線吸収剤、他の樹脂等を添加することがで
きる。
【0035】本発明において第2ポリマー層と非相溶な
第1ポリマー層としてはポリエステルが好ましい。その
場合、ポリエステル層を構成するポリエステルは、ジカ
ルボン酸成分とグリコール成分からなる線状ポリエステ
ルである。
【0036】このジカルボン酸成分としては、例えばテ
レフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカ
ルボン酸、ジフェニールジカルボン酸、ジフェニールエ
ーテルジカルボン酸等を挙げることができる。これらの
中、テレフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸が
好ましい。また、グリコール成分としては、例えばエチ
レングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等を挙
げることができる。これらの中、エチレングリコール、
1,4−ブタンジオールが好ましく、特にエチレングリ
コールが好ましい。
【0037】かかるポリエステルとしては、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレート或いはポリブチレンテレフタレート
が多層フィルムから剥離したポリエステル層(単層フィ
ルム)の機械的特性や熱的特性等が優れたものとなるた
め好ましい。
【0038】このポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートあるい
はポリブチレンテレフタレートは、ジカルボン酸成分或
いはグリコール成分等を例えば10モル%以下の割合で
共重合したポリエステルであってもよく、3官能以上の
多価化合物をポリエステルが実質的に線状となる範囲
(例えば5モル%以下)で少量共重合したポリエステル
であってもよい。
【0039】前記の共重合成分は、ポリエチレンテレフ
タレートの場合には、酸成分としてイソフタル酸、2,
6−ナフタレンジカルボン酸、4,4‘−ジフェニルジ
カルボン酸等を好ましく挙げることができ、グリコール
成分としてプロピレングリコール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール等を好ましく挙げることができる。
【0040】ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレートの共重合成分としては、酸成分としてテレ
フタル酸、イソフタル酸、4,4‘−ジフェニルジカル
ボン酸等を好ましく挙げることができ、グリコール成分
として1,4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオ
ール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレン
グリコール、ネオペンチルグリコール等を好ましく挙げ
ることができる。
【0041】ポリブチレンテレフタレートの共重合成分
としては、酸成分としてイソフタル酸、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸、4、4‘−ジフェニルジカルボン酸
等を好ましく挙げることができ、グリコール成分として
エチレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、プロ
ピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,4
−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール等を好ましく挙げることが
できる。
【0042】ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートおよびポリ
ブチレンテレフタレートの共重合成分としては上記の成
分の他に、例えばヘキサヒドロテレフタル酸、アジピン
酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等のジカルボン
酸成分、1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール、ジプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノール
Aのアルキレンオキシド付加物等のグリコール成分を挙
げることができる。上記のポリエステルには、単独重合
体或いは共重合体を用いることができ、またこれらのポ
リエステルをブレンドしたものも用いることができる。
【0043】ポリエステル層を構成するポリエステルは
融点(Tm)より15℃高い温度での溶融状態における
インピーダンスが、50Hzの交流電圧の測定条件にお
いて0.5×109Ω・cm以下である必要があるが、
108Ω・cm以下であることが好ましい場合もある。溶
融インピーダンスがこの範囲にあると、キャスティング
の際に多層フィルムへの静電荷の印加が強くなり、冷却
ドラムと多層フィルムとの密着がより良好なものとな
る。かかるインピーダンス(体積固有抵抗値)を有する
ポリエステルは、例えばアルカリ金属塩を有する化合物
が配合されているか、またはスルホン酸四級ホスホニウ
ム塩が共重合されているかで得ることができ、多層フィ
ルムと冷却ドラムとの良好な密着性を得ることができ
る。
【0044】本発明における第1ポリマー層のポリエス
テル層としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが特に
好ましく、更にポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレートは延伸温度が高く、延伸応力も高いた
め、選択できる第2ポリマー層の種類や延伸条件も広げ
ることができるため好ましい。
【0045】また、第1ポリマー層には剥離分離したフ
ィルムの巻き取り性を向上させ、且つ各用途の必要とさ
れる表面性をもたせるために、平均粒径が0.001〜
5.0μm程度の有機や無機の微粒子を、例えば0.0
1〜2.0wt%の割合で配合含有させることが好まし
い。
【0046】かかる微粒子としては、例えば乾式シリ
カ、湿式シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム、リン酸
カルシウム、カオリン、カオリナイト、クレイ、タル
ク、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、水酸化アルミ
ニウム、酸化カルシウム、グラファイト、カーボンブラ
ック、酸化亜鉛、炭化珪素、酸化銀等の無機微粒子、架
橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラ
ミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等の有機粒子を
挙げることができる。
【0047】尚、第1ポリマー層には、必要に応じて潤
滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、傾向増
白剤、可塑剤、紫外線吸収剤、他の樹脂等を添加するこ
とができる。
【0048】本発明における多層延伸フィルムの製造で
は、まず第1ポリマー層を形成する熱可塑性樹脂特にポ
リエステルと、それに隣接する第2ポリマー層を形成す
る熱可塑性樹脂特にランダム共重合ポリプロピレンとの
多層溶融フィルムを回転冷却ドラム上に共押出し、次い
でこのフィルムを回転冷却ドラムに密着させ冷却するこ
とで未延伸多層フィルムとする。その際、第1ポリマー
層、第2ポリマー層を形成する熱可塑性樹脂には、好ま
しくはスルフォン酸4級ホスホニウム塩を0.001〜
1wt%含有させ、該多層溶融フィルムが回転冷却ドラ
ム上に到達する近傍において該フィルムの溶融面に非接
触的に静電荷を印加する。例えばポリプロピレンとポリ
エステルとを別々の押出し機に供給し、各々のポリマー
の融点以上350℃までの温度、好ましくは同じ温度で
溶融し、各溶融ポリマーを導管内あるいは成形用口金
(ダイ)内部で合流させて多層状態とし、これを口金か
ら吐出させ、さらに吐出フィルムに静電荷を印加させて
冷却ドラムに密着させながら冷却固化させることにより
未延伸多層フィルムを製造することができる。この未延
伸多層フィルムは第1ポリマー層と第2ポリマー層とが
隣接する2層以上の多層フィルムであればいかなる層数
であっても良い。尚、熱可塑性樹脂原料は押出機に供給
する前に乾燥することが好ましい。もっとも、第2ポリ
マー層を構成するポリプロピレンは必ずしも乾燥する必
要はないが、100℃以上Tm(融点)未満の温度で乾
燥したものも用いることもできる。前記の未延伸多層フ
ィルムは、更に一軸方向あるいは二軸方向に延伸して一
軸延伸多層フィルムあるいは二軸延伸多層フィルムとす
る。かかる一軸延伸多層フィルムあるいは二軸延伸多層
フィルムを得るには上記の未延伸多層フィルムを延伸可
能な温度(例えば、熱可塑性樹脂のTg(ガラス転移温
度)以上Tg+80℃以下の温度)に加熱し少なくとも
一軸方向に延伸する。また、延伸倍率は一軸延伸多層フ
ィルムでは一軸方向に2〜12倍とすることが好まし
く、二軸延伸多層フィルムでは一軸方向に2.5倍以
上、好ましくは3倍以上で、かつ面積倍率で8〜40倍
とすることが好ましい。二軸延伸多層フィルムは例えば
未延伸多層フィルムを縦方向に延伸し、次いで横方向に
延伸する、いわゆる縦−横逐次延伸法、縦方向と横方向
を同時に延伸する同時二軸延伸法により製造することが
できる。この二軸延伸多層フィルムは、更に縦方向、あ
るいは横方向の一軸方向に、あるいは縦方向及び横方向
の二軸方向に再延伸して二軸再延伸多層フィルムとする
こともできる。上記の一軸延伸多層フィルムあるいは二
軸延伸多層フィルムは、さらに第1ポリマー層の熱可塑
性樹脂の融点(Tm)より低い温度、好ましくはTm〜
(Tm−220)℃の温度で熱処理してから室温まで冷
却する。さらに好ましくは第2ポリマー層の熱可塑性樹
脂の融点(Tm)より低い温度、好ましくはTm〜(T
m−120)℃の温度で熱処理してから室温まで冷却す
る。これにより、第2ポリマー層の延伸処理による分子
配向が完全に緩和することなく、一軸延伸(熱処理)多
層フィルムあるいは二軸延伸(熱処理)多層フィルムと
することができる。かくして得られた一軸延伸多層フィ
ルムあるいは二軸延伸多層フィルムはその表面に、例え
ば、特公昭56−183815号公報や特公昭57−3
0854号公報等で知られるような表面活性化処理(例
えばプラズマ処理、アミン処理、コロナ処理等)を施し
ても良い。
【0049】本発明の多層フィルムは、多層延伸フィル
ムのまま使用しても良いし、第1ポリマー層あるいは第
2ポリマー層を剥離分離して得られる単層延伸フィルム
を種々の用途に用いることができる。例えば、厚みが3
μm以下のポリエステル単層延伸フィルム、特に1μm
以下の極薄単層延伸フィルムは延伸工程での破断や巻き
不良等が生じ易いため、単層延伸フィルムでは生産歩留
まりが低下する欠点があったが、本発明の多層延伸フィ
ルムとして製膜し、その後単層延伸フィルムに分離すれ
ば、極薄フィルムを容易に得ることができる。また、極
薄フィルムはハンドリング面でも取り扱いが容易ではな
いが、本発明の多層延伸フィルムではハンドリングが必
要な加工工程では多層延伸フィルムとして取り扱い、加
工を施した後分離することでハンドリング性を上げるこ
とができる。
【0050】多層フィルムから剥離したポリエステル単
層延伸フィルムとしては、コンデンサーフィルム(例え
ば肉厚3μm以下のフィルム)、プリンターリボン用フ
ィルム(例えば肉厚5μm程度のフィルム)、感熱孔版
印刷用、食品包装用、磁気記録用、特にQIC用ベース
フィルム等表面欠点が極力少ない方が好ましい用途に有
用である。本発明の多層延伸フィルムを積層コンデンサ
ー用途に用いる場合は多層フィルムの表面に金属膜を蒸
着した後スリットし、金属膜を蒸着した表面層を分離す
ることにより有効的に得ることができる。また、ポリオ
レフィン単層フィルムはコンデンサー用フィルム(例え
ば肉厚3μm以下のフィルム)、ノングレアーフィルム
(例えば肉厚50μm以下のフィルム)等に有用であ
る。更に、感熱孔版印刷用フィルムとして使用する場合
は、多層延伸フィルムの両面に和紙等の多孔質支持体を
貼り付けた後に剥離分離することで、ハンドリング性を
改良でき、工程破断をなくすことができる。この時、感
熱孔版印刷用フィルムの熱収縮は適当に大きいことが必
要であるが、熱固定温度が低い場合これを満たし有効で
ある。
【0051】多層フィルムの構成をE層/O層/E層の
如きサンドイッチ構造とし、使用する直前に中間層のO
層から両外層のE層を剥離分離することにより、表面の
酸化膜が極めて少なく、また、異物の表面付着等の少な
い超クリーンなO層単層フィルムを得ることができる。
更にまた、多層延伸フィルムの構成をE層/O層/E層
/O層/E層の如き5層のサンドイッチ構造とし、中間
層のE層を剥離分離することにより、表面の酸化膜が極
めて少なく、また、異物の表面付着等の少ない超クリー
ンなポリエステル(E層)単層フィルムを得ることがで
きる。また、本発明の二軸延伸した多層フィルムからは
各層を各々剥離分離することにより、二軸延伸した単層
フィルムを同時に2つ以上の複数枚で得ることができ、
高効率且つ低コストで得ることができる。
【0052】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。尚、各特性値は下記の方法で測定した。
【0053】1.メルトフローレート(MFR) JIS K6758により、温度230℃、加重2.1
6kgf測定する。
【0054】2.溶融融樹脂の体積固有抵抗値(インピ
ーダンス) 各層フィルムを剥離しそれぞれの樹脂層において、第1
のポリマーの融点から15℃高い温度で加熱した溶融樹
脂に電極を挿入し50Hzの交流電圧を加え、電極間に
流れる電流値によってその溶融樹脂の体積抵抗値を測定
し、下記(1)式に代入し多層フィルムの溶融インピー
ダンスを測定する。
【0055】
【数3】
【0056】但し、Nは表層から数えたトータル層数、
Znは表層からn層目の溶融インピーダンス(Ω・c
m)、dnは表層からn層目の厚み(μm)を示す。
【0057】3. 接着力 フィルムを幅10mm、チャック間隔100mmとし、
第1ポリマー層を第2ポリマー層から剥離角度180度
で2m/分の速度で剥離したときにかかる張力(g)を
測定する。この張力の平均値とサンプル幅(10mm)
から得られた幅1cm当たり張力を接着力:T(g/c
m)とする。
【0058】4. 融点 DSC(デュポン社製・V4.OB2000型器)を用
いて20℃/分の昇温速度でサンプル(10mg)を昇
温させた際の、融解に伴う吸熱ピークの頂上部に相当す
る温度を融点とする。
【0059】5. ガラス転移温度 DSC(デュポン社製・V4.OB2000型器)を用
いて20℃/分の昇温速度でサンプル(10mg)を昇
温させてガラス転移温度を測定する。
【0060】[実施例1]第1ポリマーとして3,5−
ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラ−n−ブチルホ
スホニウムをジカルボン酸成分に対し3mmol%、平
均粒径0.9μmのカオリン粒子をポリエステルに対し
0.3wt%配合した固有粘度0.60のポリエチレン
テレフタレート(Tm=256℃、Tg=68℃)のペ
レットを用い、これを170℃で3時間乾燥した後、押
出し機に供給し280℃で溶融押出した。
【0061】一方、第2ポリマーとして3,5−ジカル
ボキシベンゼンスルホン酸テトラ−n−ブチルホスホニ
ウムを0.05wt%含有した共重合比4%。、MFR
20のエチレン−プロピレンランダム共重合ポリプロピ
レンのペレットを用い、これを100℃で1時間乾燥し
た後、別の押出し機に供給し280℃で溶融押出した。
【0062】それぞれの溶融ポリマーをダイス内部で合
流させ、ポリエチレンテレフタレート/共重合ポリプロ
ピレン/ポリエチレンテレフタレートの3層多層構造と
した後、口金から吐出させ、ついで30℃に保たれたマ
イクロクラック入り冷却ドラムに静電荷を印加して密着
させることにより冷却固化させて3層の未延伸多層フィ
ルムを得た。なお、マイクロクラック入りの冷却ドラム
として、厚さ150μmのクロムメッキを電解エッチン
グし、次ぎに軽い表面研磨を行なって形成した中心線平
均粗さが0.33μmマイクロクラック構造のクロムメ
ッキ層を有する冷却ドラムを使用した。
【0063】次いで、この未延伸多層フィルムを赤外線
ヒーターにより100℃に加熱した後に長手方向に4.
0倍延伸し、直ちに20℃まで冷却した。続いて、横方
向にテンター横方向延伸装置を用いて、100℃で4倍
延伸した後、220℃で熱固定を施し、室温まで冷却し
た後巻き取った。
【0064】得られた二軸延伸後の多層フィルムはポリ
エチレンテレフタレート層の厚みが5.0μm、共重合
ポリプロピレン層の厚みが6.0μmであり、該多層延
伸フィルムの270℃における溶融インピーダンスは表
層PETで0.5×109Ω・cm、中層ポリプロピレ
ンは0.8×1010Ω・cmであり、前記(1)式で求
めた値は0.3×1010Ω・cmであった。該多層フィ
ルムの表面欠点を測定したところ目視では皆無であり、
また、静電密着不良が起こる周期的厚み斑もみられず、
70m/分の高速製膜が可能であった。
【0065】[実施例2]第2ポリマーに3,5−ジカ
ルボキシベンゼンスルホン酸テトラ−n−ブチルホスホ
ニウムを0.01%添加した以外は実施例1と同様に行
って、二軸延伸多層フィルムを得た。その結果、得られ
た二軸延伸後の多層フィルムは270℃における溶融イ
ンピーダンスは中層ポリプロピレンは0.9×1010Ω
・cmであり、前記(1)式で求めた値は0.4×10
10Ω・cmであった。該多層フィルムの表面欠点を測定
したところ目視では皆無であり、また、静電密着不良が
起こる周期的厚み斑もみられず、50m/分の高速製膜
が可能であった。
【0066】[実施例3]第1ポリマーとして3,5−
ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラ−n−ブチルホ
スホニウムをジカルボン酸成分に対し3mmol%、平
均粒径0.9μmのカオリン粒子をポリエステルに対し
0.3wt%配合した固有粘度0.60のポリエチレン
ナフタレート(Tm=260℃、Tg=115℃)のペ
レットを用い、これを170℃で3時間乾燥した後、押
出し機に供給し300℃で溶融押出した。また、第2ポ
リマーに3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テト
ラ−n−ブチルホスホニウムを0.05%添加した以外
は実施例1と同様に行って、二軸延伸多層フィルムを得
た。その結果、得られた二軸延伸後の多層フィルムは2
75℃における溶融インピーダンスは中層ポリプロピレ
ンは0.8×1010Ω・cmであり、前記(1)式で求
めた値は0.3×1010Ω・cmであった。該多層フィ
ルムの表面欠点を測定したところ目視では皆無であり、
また、静電密着不良が起こる周期的厚み斑もみられず、
70m/分の高速製膜が可能であった。
【0067】[実施例4]冷却ドラムとして鏡面ドラム
を使用したこと以外は実施例1と同様に行って、二軸延
伸多層フィルムを得た。その結果、得られた二軸延伸後
の多層フィルムは270℃における溶融インピダンスは
中層ポリプロピレンは0.8×1010Ω・cmであ
り、前記(1)式で求めた値は0.3×1010Ω・cm
であった。該多層フィルムの表面欠点を測定したところ
目視では皆無であり、また、静電密着不良が起こる周期
的厚み斑もみられず、50m/分の高速製膜が可能であ
った。
【0068】[比較例1]第2ポリマーに静電密着剤を
添加せしない以外は実施例1と同様に行って、二軸延伸
多層フィルムを得た。その結果、得られた未延伸フィル
ムの270℃における溶融インピーダンスは中層ポリプ
ロピレンは2.0×1010Ω・cmであり、前記(1)
式で求めた値は0.8×1010Ω・cmであった。該多
層フィルムの表面欠点を測定したところ40m/分まで
のキャスティング速度までは良好であったが、それ以上
では表面欠点が多数みられ、高速製膜は困難であった。
【0069】[比較例2]第1ポリマーに酢酸カリウム
12mmol%添加した以外は実施例1と同様に行っ
て、二軸延伸多層フィルムを得た。その結果、得られた
二軸延伸フィルムのポリエステル層の溶融インピーダン
スは270℃において1.0×109Ω・cmであり、
前記(1)式で求めた値は0.8×1010Ω・cmであ
った。該多層フィルムの表面欠点を測定したところ40
m/分までのキャスティング速度までは良好であった
が、それ以上では表面欠点が多数みられ、高速製膜は困
難であった。
【0070】[比較例3]第2ポリマーに3,5−ジカ
ルボキシベンゼンスルホン酸テトラ−n−ブチルホスホ
ニウムを0.5%添加した以外は実施例1と同様に行っ
て、二軸延伸多層フィルムを得た。その結果、得られた
未延伸フィルムの270℃における溶融インピーダンス
は中層ポリプロピレンは0.5×1010Ω・cmであ
り、前記(1)式で求めた値は0.2×1010Ω・cm
であった。該多層フィルムの表面欠点を測定したところ
70m/分までのキャスティング速度までは良好であっ
たが、剥離後、表面に3,5−ジカルボキシベンゼンス
ルホン酸テトラ−n−ブチルホスホニウムのブリードア
ウトがみられ、食品用フィルムとしては不適合であっ
た。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、多層フィルムの第1の
ポリマー層の溶融固有抵抗値が0.5×108Ω・cm
以下であり、多層フィルムトータルの溶融固有抵抗値が
1.0×1010Ω・cm以下であり且つマイクロクラッ
ク入りの冷却ドラムを使用することにより、表面欠点や
厚み斑が良好な状態で高速製膜することが可能となっ
た。 このフィルムをコンデンサーや高感度孔版印刷用
フィルム、感熱転写プリンターリボン用フィルム、食品
用フィルム、磁気記録用フィルムとして使用する場合、
転写欠点が改善され、分離して多数枚製膜できるほか、
高速で製膜できるため生産性が向上し効率よく製品を生
産することができた。また、食品用フィルムとしては、
キャリヤフィルムからの不純物転写を極力押さえられ、
食品用としての規定に合うフィルムを得ることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29L 7:00 Fターム(参考) 4F100 AH04B AH10B AK01A AK01B AK03B AK41A AK42A AK42C AK64B BA02 BA03 BA06 BA10A BA10C DE01A EJ37 EJ43 GB41 JB16A JB16B JG10 JL11 YY00 4F210 AA09 AA24 AD05 AD08 AD20 AE10 AG03 AH33 AK04 QA02 QC06 QD13 QD21 QG01 QG15 QW07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂からなる第1ポリマー層の
    少なくとも1層と該ポリマー層と非相溶な熱可塑性樹脂
    からなる第2ポリマー層の少なくとも1層とが隣接して
    おり、これら2層間の層間接着力が0.1〜20g/c
    mの範囲にあり、最外層の少なくとも1層が第1ポリマ
    ー層からなり、第2ポリマー層と第1ポリマー層とが交
    互に存在する多層フィルムであって、第1ポリマー層の
    ポリマー融点(Tm)より15℃高い温度における溶融
    インピーダンスが0.5×109Ω・cm以下であり、第
    2のポリマー層がスルホン酸4級ホスホニウム塩を0.
    01〜0.1wt%含有し、且つ下記(1)式で求めら
    れる多層フィルムの溶融インピーダンスが0.2×10
    9Ω・cm 以上0.8×1010Ω・cm以下であることを
    特徴とする多層フィルム。 【数1】 但し、Nは表層から数えたトータル層数、Znは表層か
    らn層目の溶融インピーダンス(Ω・cm)、dnは表
    層からn層目の厚み(μm)を示す。
  2. 【請求項2】 多層フィルムの溶融成膜時に表面にマイ
    クロクラックを有する冷却ドラムで冷却してシート化し
    た請求項1の多層フィルム。
  3. 【請求項3】 第1ポリマー層を構成する樹脂がポリエ
    ステルである請求項1記載の多層フィルム。
  4. 【請求項4】 第2ポリマー層を構成する樹脂がポリオ
    レフィンである請求項1記載の多層フィルム。
  5. 【請求項5】 多層フィルムが多層延伸フィルムである
    請求項1または3記載の多層フィルム。
  6. 【請求項6】 請求項1または5記載の多層フィルムを
    剥離して得られた第1ポリマー層からなる熱可塑性樹脂
    フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018043155A1 (ja) * 2016-08-30 2018-03-08 東レフィルム加工株式会社 保護フィルムおよび積層フィルム

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