JPH11348190A - 多層フィルム - Google Patents

多層フィルム

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JPH11348190A
JPH11348190A JP15445298A JP15445298A JPH11348190A JP H11348190 A JPH11348190 A JP H11348190A JP 15445298 A JP15445298 A JP 15445298A JP 15445298 A JP15445298 A JP 15445298A JP H11348190 A JPH11348190 A JP H11348190A
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JP
Japan
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film
polymer layer
layer
multilayer film
thickness
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JP15445298A
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English (en)
Inventor
Kohei Endo
浩平 遠藤
Hiroshi Tokuda
寛志 徳田
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製膜時、特に立ち上げ時のフィルム幅方向の
厚みパターンが良好で、厚みパターンの調整時間が短
く、ダイスの保全性も良好な、生産性及び厚み斑等のフ
ィルム品質の良好な多層フィルムを提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂からなる第1ポリマー層の
少なくとも1層と該ポリマー層と非相溶な熱可塑性樹脂
からなる第2ポリマー層の少なくとも1層とが隣接して
おり、これら2層間の層間接着力が0.1〜20g/c
mの範囲にあり、最外層の少なくとも1層が第1ポリマ
ー層からなり、第2ポリマー層と第1ポリマー層とが交
互に存在する多層フィルムであって、第2ポリマー層の
熱可塑性樹脂がストレート開度のダイから押出したとき
のダイ幅方向の層厚み斑が20%以下となる樹脂である
ことを特徴とする多層フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は互いに非相溶なポリ
マー層を隣接積層した多層フィルム及びこれから剥離分
離した熱可塑性樹脂フィルム(単層フィルム)に関し、
さらに詳しくは、フィルム製膜の立ち上げ時に幅方向の
厚み斑が良好で、生産ロスの少ない易剥離性多層フィル
ム及びこれから剥離した、幅方向の厚み斑の少ない熱可
塑性樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】感熱孔版印刷用やコンデンサー用等の薄
物フィルムは、その加工工程において切断が起こり易い
ため、該薄物フィルムを非相溶な素材のキャリヤーフィ
ルムで積層補強して加工を行い、その後加工された薄物
フィルムをキャリヤーフィルムから剥離し巻き取ること
で、切断を軽減させる(特開昭64−14092号、特
開平04−7198号等)ことが提案されている。
【0003】また、一般用フィルムや磁気記録用フィル
ム等を生産性よく製造するために、互いに相溶しないポ
リマーと共押出して未延伸積層フィルムとなし、さらに
少なくとも一軸延伸した後剥離して製品フィルムを一挙
に2枚以上製造する方法(特開昭51−30862号、
特開昭56−113427号、特開昭58−5226号
等)が提案されている。
【0004】しかし、本発明者の知見では、この方法で
は補強層(第2ポリマー層)のポリマーとして剪断速度
が変化すると溶融粘度が変化する非ニュートン性流体の
ポリマーを使用する場合が多い。この非ニュートン流体
はストレート開度の多層ダイから押し出すと、第2ポリ
マー層の幅方向の初期厚みパターンが均一にならず、幅
方向で剪断速度の比較的速いフィードエンド(樹脂供給
側)では溶融粘度が低くなることから押出流量が大きく
なり、その結果厚みが厚くなる。それとともに、剪断速
度の遅いブランクエンド側(非供給側)においては相対
的に溶融粘度が大きく押出し流量が小さくなることか
ら、厚みが薄くなる。
【0005】これを避けるのに、通常、ポリマーの流動
特性に合せてダイ開度にテーパをつけるが、多層フィル
ムで各層に溶融粘度特性の異なる樹脂を使用する場合、
(1)各層のダイス開度パターンを変えねばならず、そ
の構成が複雑となり、また(2)ダイのエンドプレート
でリップを固定した際にせっかく設定した開度パターン
がずれたり、樹脂洩れの原因となり、生産性や保全作業
性、フィルム品質を損なう、更に(3)組込みに非常に
手間がかかるようになり保全作業性を損ねる等の問題が
ある。また、ダイ開度の設定が適切にできないと、初期
立ち上がりの厚み斑が大きくなり、リップ調整が長時間
掛かったり、厚み斑が制御不能になるという問題があ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の欠点を改善し、製膜時、特に立ち上げ時のフィルム幅
方向の厚みパターンが良好で、厚みパターンの調整時間
が短く、ダイスの保全性も良好な、生産性及び厚み斑等
のフィルム品質の良好な多層フィルムを提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意研究した結果、第2ポリマー層のポリ
マーが溶融流動特性として特定の微係数(非ニュートン
指数)を有すると、厚み斑が良好で製膜をスムースに立
ち上げることができ、さらにダイス開度のテーパを少な
くすることができ、生産性や保全性が有利となることを
見出し、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明は、第1に、熱可塑性樹
脂からなる第1ポリマー層の少なくとも1層と該ポリマ
ー層と非相溶な熱可塑性樹脂からなる第2ポリマー層の
少なくとも1層とが隣接しており、これら2層間の層間
接着力が0.1〜20g/cmの範囲にあり、最外層の
少なくとも1層が第1ポリマー層からなり、第2ポリマ
ー層と第1ポリマー層とが交互に存在する多層フィルム
であって、第2ポリマー層の熱可塑性樹脂がストレート
開度のダイから押出したときのダイ幅方向の層厚み斑が
20%以下となる樹脂であることを特徴とする多層フィ
ルムであり、好ましくは前記第2ポリマー層を構成する
樹脂の、280℃、剪断速度100sec-1における下
記式(1)で示される微係数nが−0.35〜−0.1
0である多層フィルムである。
【0009】
【数2】 n=d(logη)/d(logD) ・ ・ ・ (1) (但し、ηは溶融粘度、Dは流体内部の速度勾配を示
す。またdは微分記号である。)
【0010】本発明における多層フィルムは、互いに非
相溶である熱可塑性樹脂の層が隣接する多層フィルムで
あって、各層の層間接着力が0.1〜20g/cm以下
であり、剥離可能な多層フィルムである。
【0011】本発明における熱可塑性樹脂としては、第
2のポリマー層を構成するものとして例えば、ポリオレ
フィン、ポリフェニルスルファイド、ポリスルフォン、
ポリアミド等を挙げることができる。また、第1ポリマ
ー層を構成するものとしては、例えばポリエステル、ポ
リフェニルスルファイド(PPS)、ポリスルフォンポ
リオレフィン等を使用することが好ましい。更には、第
1ポリマー層としてはポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレン2−6ジカルボキシレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、及
びその異性体、共重合体が好ましく、第2ポリマー層と
してはポリオレフィン、更にはポリプロピレン、ポリメ
チルペンテンを使用することが好ましい。また、第1ポ
リマー層と第2ポリマー層の樹脂は、溶解度パラメータ
の差が1以上の樹脂を組み合わせるのが好ましい。
【0012】本発明における多層フィルムは、第1ポリ
マー層の少なくとも1層と第2ポリマー層の少なくとも
1層とが隣接し、かつ最外層の少なくとも1層が第1ポ
リマー層からなる構成であれば、その層数は特に限定さ
れない。ただし、3層以上の多層フィルムであるときに
は、第1ポリマー層と第2ポリマー層とは交互に存在す
るようにする。この層構成の具体例を、第1ポリマー層
がポリエステル(E層)からなり、第2ポリマー層がポ
リオレフィン(O層)からなる場合で説明すると、E層
/O層からなる2層フィルム、E層/O層/E層からな
る3層フィルム、E層/O層/E層/O層/E層からな
る5層フィルム等を好ましく挙げることができる。この
中、 E層/O層/E層からなる3層フィルムが特に好
ましい。
【0013】本発明における多層フィルムは、第1ポリ
マー層と第2ポリマー層の層間接着力が0.1〜20g
/cm以下であり、特に0.1〜10g/cm以下であ
ることが好ましい。この層間接着力が0.1g/cmよ
り小さいと、多層フィルムをロール状に巻いて保管する
際や搬送する際に層間剥離や層間ずれが起こり、皺、破
れなどのトラブルが生じ、また延伸処理に供する前に多
層フィルムが剥離するトラブルが発生することがある。
一方、この層間接着力が20g/cmを超えると、層間
接着力が強すぎて多層フィルムを分離する際にフィルム
が破れたり、ピンホールが生じたりするため好ましくな
い。
【0014】本発明の多層フィルムにおいては、さら
に、第2ポリマー層を形成する熱可塑性樹脂の溶融時の
流動特性がストレート開度のダイから押出したときのダ
イ幅方向の層厚み斑が20%以下となる樹脂である必要
がある。
【0015】第2ポリマー層を形成する熱可塑性樹脂が
非ニュートン性の強い流体である場合、ダイから押出し
後冷却して未延伸フィルムとする工程において、この第
2のポリマー層の厚み斑はその非ニュートン性のために
ポリマー供給(フィードエンド)側と他端(ブランクエ
ンド)側とのせん断速度の違いからダイ幅方向に粘度分
布ができ、フィードエンド側の厚みは厚く、ブランクエ
ンド側の厚みは薄くなる傾向を示す。この厚み斑はTダ
イであってもIダイであっても生じるが、特にIダイに
おいて顕著に起こる。この厚み斑を軽減する手段として
は、多層ダイの開度にテーパーを持たせる方法やリップ
ランド長にテーパーを持たせる方法を用い得るが、この
テーパーは少ない方が好ましい。このテーパーを少なく
するためには、製品となる層のポリマーに対し非相溶な
ポリマーの、下記式(1)式で定義される、280℃の
溶融状態における剪断速度100sec-1における微係
数nが−0.35〜−0.10であることが好ましい。
【0016】
【数3】 n=d(logη)/d(logD) ・ ・ ・ (1) (但し、ηは溶融粘度、Dは流体内部の速度勾配を示
す。またdは微分記号である。)
【0017】この微係数nが−0.35よりマイナス側
に大きくなると、例えばダイ幅700mmのストレート
テーパー開度ダイで立ち上げの未延伸フィルムのフィー
ドエンド側の厚みとブランクエンド側の厚みの差は50
0mm当たり平均厚みの50%となり、良好な厚みパタ
ーンは得られない。更にダイ幅が広くなるに従ってこの
厚みパターンは悪くなり、好ましくない。微係数nは0
に近い方が好ましい。
【0018】前記微係数nを−0.35〜−0.10に
するには、ポリマーのMFR(メルト・フロー・レー
ト)を大きくするのが有効であるが、該MFRとしては
10〜40g/cmが好ましい。MFRが大きすぎる
と、熱可塑性樹脂の結晶性が増し、延伸応力が高くな
り、製膜工程における延伸性が悪くなったり、第1ポリ
マー層との粘度差で厚み斑が悪化し品質に悪影響を及ぼ
すので、微係数nの上限を−0.10とするのが好まし
い。
【0019】本発明における多層フィルムは、一軸延伸
フィルム、二軸延伸フィルムのいずれかであることが好
ましいが、特に二軸延伸フィルムが製品フィルムの二軸
方向の機械特性に優れるため好ましい。多層延伸フィル
ムの厚みは、第1ポリマー層と第2ポリマー層の延伸応
力によって設定されるが、その範囲としては、例えば二
軸延伸フィルムの場合には、多層延伸フィルムの総厚み
が3〜100μm、特に5〜50μmであり、第2ポリ
マー層の1層当たりの厚みが0.2〜80μm、特に
0.5〜30μmであり、第1ポリマー層の1層当たり
の厚みが0.5〜50μm、特に1〜30μmであること
が分離時の切断、生産性、設備コスト面から好ましい。
また、一軸延伸フィルムの場合には、多層延伸フィルム
の総厚みが15〜300μm、特に15〜150μmであ
り、第2ポリマー層の1層当たりの厚みが0.6〜25
0μm、特に1.5〜90μmであり、第1ポリマー層の
1層当たりの厚みが1.5〜150μm、特に3〜90
μmであることが生産性、設備コスト面から好ましい。
【0020】本発明における多層延伸フィルムは、前記
したように、隣接する層が互いに非相溶性の熱可塑性樹
脂からなるが、その中でも第2ポリマー層がポリオレフ
ィンからなることが好ましい。このポリオレフィンは、
オレフィンの単一重合体、共重合体のどちらでも構わな
いが、共重合体の方が延伸応力が低い傾向にあり、組み
合わせることのできる第1ポリマー層の樹脂の種類や延
伸条件を広げることができるという利点を有し、好まし
い。かかるポリオレフィンとしては、例えば低密度ポリ
エチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
ブテン、ポリメチルペンテン或いはこれらの共重合体を
挙げることができるが、好ましくはポリプロピレンやポ
リ4メチルペンテン−1が挙げられる。このポリプロピ
レンは、延伸性の点からは共重合ポリプロピレンが好ま
しい。
【0021】本発明における第2ポリマー層を形成する
熱可塑性樹脂は、多層フィルムをキャスティングすると
き該フィルムのキャスティングドラムへの静電密着性を
十分なものとするために、スルホン酸四級ホスホニウム
塩を0.001〜1wt%含有することが好ましい。ま
た、ポリオレフィンは第1ポリマー層を形成する熱可塑
性樹脂の融点(Tm)より15℃高い温度での溶融状態
における体積固有抵抗値が、50Hzの交流電圧の測定
条件において、1.0×1010Ω・cm以下であること
が好ましい。体積固有抵抗値がこの範囲にあると、キャ
スティングの際に多層フィルムへの静電荷の印加が強く
なり、冷却ドラムと多層フィルムとの密着が良好なもの
となる。
【0022】また、第1ポリマー層と第2ポリマー層
(ポリオレフィン層)との接着力を調整するために、潤
滑剤を例えば0.001wt%、更には0.005〜
0.5wt%配合することができる。
【0023】この潤滑剤は、常温で液体であっても固体
であってもよいが、融点或いは軟化点が200℃以下の
ものであることが好ましい。この潤滑剤の具体例とし
て、下記のものを挙げることができ、これらの2種類以
上を用いてもよい。
【0024】A.脂肪族炭化水素:流動パラフィン、マ
イクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パ
ラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワッ
クス等。
【0025】B.高級脂肪酸またはその金属塩:ステア
リン酸、ステアリン酸カルシウム、ヒドロキシステアリ
ン酸、硬化油、モンタン酸ナトリウム等。
【0026】C.脂肪族アミド:ステアリン酸アミド、
オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミ
ド、ベヘンアミド、メチレンビスステアラミド等。
【0027】D.脂肪酸エステル:n−ブチルステアレ
ート、メチルヒドロキシステアレート、ミリシルセロチ
ネート、高アルコール脂肪酸エステル、エステル系ワッ
クス等。
【0028】E.脂肪酸ケトン:ケトンワックス等。
【0029】F.脂肪アルコール:ラウリルアルコー
ル、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、セ
チルアルコール等。
【0030】G.脂肪酸と多価アルコールの部分エステ
ル:グリセリン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン
酸トリグリセリド、ソルビタン酸エステル等。
【0031】H.非イオン系界面活性剤:ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニル
エーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオ
キシエチレン脂肪酸エステル等。
【0032】I.シリコン油:直鎖状メチルシリコン
油、メチルフェニルシリコン油、変成シリコン油等。
【0033】J.フッ素系界面活性剤:フルオロアルキ
ルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、モノ
パーフルオロアルキルエチルリン酸エステル、パーフル
オロアルキルスルホン酸塩等。
【0034】また、ポリオレフィンには、多層延伸フィ
ルムから剥離分離したポリオレフィンフィルムの巻き取
り性を向上させるために、平均粒径が0.001〜5.
0μm程度の有機や無機の微粒子を、例えば0.01〜
2.0wt%の割合で配合含有させることが好ましい。
かかる微粒子としては、例えば乾式シリカ、湿式シリ
カ、乾式シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム、リン酸
カルシウム、カオリン、カオリナイト、クレイ、タル
ク、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、水酸化アルミ
ニウム、酸化カルシウム、グラファイト、カーボンブラ
ック、酸化亜鉛、炭化珪素、酸化銀等の無機微粒子、架
橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラ
ミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等の有機粒子を
挙げることができる。
【0035】尚、ポリオレフィン層には、必要に応じ
て、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、傾向増白
剤、可塑剤、紫外線吸収剤、他の樹脂等を添加すること
ができる。
【0036】本発明において第1ポリマー層を形成する
熱可塑性樹脂としてはポリエステルが好ましい。そし
て、このポリエステルはジカルボン酸成分とグリコール
成分からなる線状ポリエステルであることが好ましい。
【0037】このジカルボン酸成分としては、例えばテ
レフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカ
ルボン酸、ジフェニールジカルボン酸、ジフェニールエ
ーテルジカルボン酸等を挙げることができる。これらの
中、テレフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸が
好ましい。また、グリコール成分としては、例えばエチ
レングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等を挙
げることができる。これらの中、エチレングリコール、
1,4−ブタンジオールが好ましく、特にエチレングリ
コールが好ましい。
【0038】かかるポリエステルとしては、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレート或いはポリブチレンテレフタレート
が多層フィルムから剥離したポリエステル層(単層フィ
ルム)の機械的特性や熱的特性等が優れたものとなるた
め好ましい。
【0039】このポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートおよび
ポリブチレンテレフタレートは、それぞれジカルボン酸
成分或いはグリコール成分等を例えば10モル%以下の
割合で共重合したポリエステルであってもよく、3官能
以上の多価化合物をポリエステルが実質的に線状となる
範囲(例えば5モル%以下)で少量共重合したポリエス
テルであってもよい。
【0040】前記の共重合成分は、ポリエチレンテレフ
タレートの場合には、酸成分としてイソフタル酸、2,
6−ナフタレンジカルボン酸、4,4‘−ジフェニルジ
カルボン酸等を挙げることができ、グリコール成分とし
てプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール等を挙げることができる。
【0041】ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレートの共重合成分としては、酸成分としてテレ
フタル酸、イソフタル酸、4,4‘−ジフェニルジカル
ボン酸等を挙げることができ、グリコール成分として
1,4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、
プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリ
コール、ネオペンチルグリコール等を挙げることができ
る。
【0042】ポリブチレンテレフタレートの共重合成分
としては、酸成分としてイソフタル酸、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸、4、4‘−ジフェニルジカルボン酸
等を挙げることができ、グリコール成分としてエチレン
グリコール、1、6−ヘキサンジオール、プロピレング
リコール、1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペ
ンチルグリコール等を挙げることができる。
【0043】ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートおよびポリ
ブチレンテレフタレートの共重合成分としては、それぞ
れ上記の成分の他に、例えばヘキサヒドロテレフタル
酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等
のジカルボン酸成分、1,3−プロパンジオール、ポリ
エチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、
ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ビ
スフェノールAのアルキレンオキシド付加物等のグリコ
ール成分を挙げることができる。上記のポリエステルに
は、単独重合体或いは共重合体を用いることができ、ま
たこれらのポリエステルをブレンドしたものも用いるこ
とができる。
【0044】第1ポリマー層を形成するポリエステルは
融点(Tm)より15℃高い温度での溶融状態における
体積抵抗値が、50Hzの交流電圧の測定条件において
0.5×109Ω・cm以下であることが好ましい。体積
固有抵抗値がこの範囲にあるとキャスティングの際に多
層フィルムへの静電荷の印加が強くなり、冷却ドラムと
多層フィルムとの密着が良好なものとなる。かかる体積
固有抵抗値を有するポリエステルは、例えばアルカリ金
属塩を有する化合物が配合されているか、またはスルホ
ン酸四級ホスホニウム塩が共重合されているかで得るこ
とができ、多層フィルムと冷却ドラムとの良好な密着性
を得ることができる。
【0045】本発明における第1ポリマー層(ポリエス
テル層)としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが特
に好ましく、更にポリエチレン−2,6−ナフタレンジ
カルボキシレートは延伸温度が高く、延伸応力も高いた
め、選択できる第2ポリマー層の種類や延伸条件も広げ
ることができるため好ましい。
【0046】また、第1ポリマー層には剥離分離したフ
ィルムの巻き取り性を向上させ、且つ各用途の必要とさ
れる表面性をもたせるために、平均粒径が0.001〜
5.0μm程度の有機や無機の微粒子を、例えば0.0
1〜2.0wt%の割合で配合含有させることが好まし
い。かかる微粒子としては、例えば乾式シリカ、湿式シ
リカ、ゼオライト、炭酸カルシウム、リン酸カルシウ
ム、カオリン、カオリナイト、クレイ、タルク、酸化チ
タン、アルミナ、ジルコニア、水酸化アルミニウム、酸
化カルシウム、グラファイト、カーボンブラック、酸化
亜鉛、炭化珪素、酸化銀等の無機微粒子、架橋アクリル
樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒
子、架橋シリコーン樹脂粒子等の有機粒子を挙げること
ができる。
【0047】尚、第1ポリマー層には、必要に応じて潤
滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、傾向増
白剤、可塑剤、紫外線吸収剤、他の樹脂等を添加するこ
とができる。
【0048】本発明における多層延伸フィルムの製造で
は、まず第1ポリマー層を形成する熱可塑性樹脂特にポ
リエステルと、それに隣接する第2ポリマー層を形成す
る熱可塑性樹脂特にポリオレフィンとの多層溶融フィル
ムを回転冷却ドラム上に共押出し、次いでこのフィルム
を回転冷却ドラムに密着させ冷却することで未延伸多層
フィルムとする。その際、第1ポリマー層、第2ポリマ
ー層を形成する熱可塑性樹脂には、好ましくはスルフォ
ン酸4級ホスホニウム塩を0.001〜1wt%含有さ
せ、該多層溶融フィルムが回転冷却ドラム上に到達する
近傍において該フィルムの溶融面に非接触的に静電荷を
印加する。例えばポリオレフィンとポリエステルとを別
々の押出し機に供給し、各々のポリマーの融点以上35
0℃までの温度、好ましくは同じ温度で溶融し、各溶融
ポリマーを導管内あるいは成型用口金(ダイ)内部で合
流させて多層状態とし、これを口金から吐出させ、さら
に吐出フィルムに静電荷を印加させて冷却ドラムに密着
させながら冷却固化させることにより未延伸多層フィル
ムを製造することができる。このとき使用するダイスは
マルチマニュホールド方式であり、そのリップランド部
の開度はストレートが好ましいが、押し出す樹脂の非ニ
ュートン指数によっては10%程度のテーパをつけても
構わない。この未延伸多層フィルムは第1ポリマー層と
第2ポリマー層とが隣接する2層以上の多層フィルムで
あればいかなる層数であっても良い。尚、熱可塑性樹脂
原料は押出機に供給する前に乾燥することが好ましい。
もっとも、ポリオレフィン原料は必ずしも乾燥する必要
はないが、100℃以上Tm(融点)未満の温度で乾燥
したものも用いることもできる。前記の未延伸多層フィ
ルムは、更に一軸方向あるいは二軸方向に延伸して一軸
延伸多層フィルムあるいは二軸延伸多層フィルムとす
る。かかる一軸延伸多層フィルムあるいは二軸延伸多層
フィルムを得るには上記の未延伸多層フィルムを延伸可
能な温度(例えば、熱可塑性樹脂のTg(ガラス転移温
度)以上Tg+80℃以下の温度)に加熱し少なくとも
一軸方向に延伸する。また、延伸倍率は一軸延伸多層フ
ィルムでは一軸方向に2〜12倍とすることが好まし
く、二軸延伸多層フィルムでは一軸方向に2.5倍以
上、好ましくは3倍以上で、かつ面積倍率で8〜40倍
とすることが好ましい。二軸延伸多層フィルムは例えば
未延伸多層フィルムを縦方向に延伸し、次いで横方向に
延伸する、いわゆる縦−横逐次延伸法、縦方向と横方向
を同時に延伸する同時二軸延伸法により製造することが
できる。この二軸延伸多層フィルムは、更に縦方向、あ
るいは横方向の一軸方向に、あるいは縦方向及び横方向
の二軸方向に再延伸して二軸再延伸多層フィルムとする
こともできる。上記の一軸延伸多層フィルムあるいは二
軸延伸多層フィルムは、さらに第1ポリマー層の熱可塑
性樹脂の融点(Tm)より低い温度、好ましくはTm〜
(Tm−220)℃の温度で熱処理してから室温まで冷
却する。さらに好ましくは第2ポリマー層の熱可塑性樹
脂の融点(Tm)より低い温度、好ましくはTm〜(T
m−120)℃の温度で熱処理してから室温まで冷却す
る。これにより、第2ポリマー層の延伸処理による分子
配向が完全に緩和することなく、一軸延伸(熱処理)多
層フィルムあるいは二軸延伸(熱処理)多層フィルムと
することができる。かくして得られた一軸延伸多層フィ
ルムあるいは二軸延伸多層フィルムはその表面に、例え
ば、特公昭56−183815号や特公昭57−308
54号等で知られるような表面活性化処理(例えばプラ
ズマ処理、アミン処理、コロナ処理等)を施しても良
い。
【0049】本発明の多層フィルムは、多層延伸フィル
ムのまま使用しても良いし、第1ポリマー層あるいは第
2ポリマー層を剥離分離して得られる単層延伸フィルム
を種々の用途に用いることができる。例えば、厚みが3
μm以下のポリエステル単層延伸フィルム、特に1μm
以下の極薄単層延伸フィルムは延伸工程での破断や巻き
不良等が生じ易いため、単層延伸フィルムでは生産歩留
まりが低下する欠点があったが、本発明の多層延伸フィ
ルムとして製膜し、その後単層延伸フィルムに分離すれ
ば、極薄フィルムを容易に得ることができる。また、極
薄フィルムはハンドリング面でも取り扱いが容易ではな
いが、本発明の多層延伸フィルムではハンドリングが必
要な加工工程では多層延伸フィルムとして取り扱い、加
工を施した後分離することでハンドリング性を上げるこ
とができる。
【0050】多層フィルムから剥離したポリエステル単
層延伸フィルムとしては、コンデンサーフィルム(例え
ば肉厚3μm以下のフィルム)、プリンターリボン用フ
ィルム(例えば肉厚5μm程度のフィルム)、磁気記録
用、特にQIC用ベースフィルム等に有用である。本発
明の多層延伸フィルムを積層コンデンサー用途に用いる
場合は多層フィルムの表面に金属膜を蒸着した後スリッ
トし、金属膜を蒸着した表面層を分離することにより有
効的に得ることができる。また、ポリオレフィン単層フ
ィルムはコンデンサー用フィルム(例えば肉厚3μm以
下のフィルム)、ノングレアーフィルム(例えば肉厚5
0μm以下のフィルム)等に有用である。更に、感熱孔
版印刷用フィルムとして使用する場合は、多層延伸フィ
ルムの両面に和紙等の多孔質支持体を貼り付けた後に剥
離分離することで、ハンドリング性を改良でき、工程破
断をなくすことができる。この時、感熱孔版印刷用フィ
ルムの熱収縮は適当に大きいことが必要であるが、熱固
定温度が低い場合これを満たし有効である。
【0051】多層フィルムの構成をE層/O層/E層の
如きサンドイッチ構造とし、使用する直前に中間層のO
層から両外層のE層を剥離分離することにより、表面の
酸化膜が極めて少なく、また、異物の表面付着等の少な
い超クリーンなO層単層フィルムを得ることができる。
更にまた、多層延伸フィルムの構成をE層/O層/E層
/O層/E層の如き5層のサンドイッチ構造とし、中間
層のE層を剥離分離することにより、表面の酸化膜が極
めて少なく、また、異物の表面付着等の少ない超クリー
ンなポリエステル(E層)単層フィルムを得ることがで
きる。また、本発明の二軸延伸した多層フィルムからは
各層を各々剥離分離することにより、二軸延伸した単層
フィルムを同時に2つ以上の複数枚で得ることができ、
高効率且つ低コストで得ることができる。
【0052】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。尚、各特性値は下記の方法で測定した。
【0053】1.微係数n レオメトリック・サイエンティフィク社製レオメーター
ARESにて動的粘弾性より算出した280℃における
粘度とコックスメルツの経験則より振動の角周波数を剪
断速度とし、下記(1)式における微係数nを算出し
た。尚、歪み量は弾性領域の範囲で設定して測定した。
測定範囲は剪断速度100sec−1の領域での剪断速
度と粘度との式(1)のおける関係から微係数nを算出
した。
【0054】
【数4】 n=d(logη)/d(logD) ・ ・ ・ (1) (但し、ηは溶融粘度、Dは流体内部の速度勾配を示
す。またdは微分記号である。)
【0055】2.立ち上げ時厚みパターンの斑 厚物用アンリツ電気製連続フィルム厚さ測定器により、
未延伸多層フィルムを分離し、第2ポリマー層の厚みパ
ターンを横方向(幅方向)にそって測定し、ブランクエ
ンド側端、フィードエンド側端のそれぞれから50mm
の点の値(厚み)の差を求め、この差を平均厚みで除し
てパターン斑(%)を求めた。
【0056】3.接着力 フィルムを幅10mm、チャック間隔100mmとし、
第1ポリマー層を第2ポリマー層から剥離角度180度
で2m/分の速度で剥離したときにかかる張力(g)を
測定した。この張力の平均値とサンプル幅(10mm)
から得られた幅1cm当たり張力を接着力:T(g/c
m)とした。
【0057】4.MFR(メルト・フロー・レート) JIS K6758に基づき、測定温度230℃、試験
加重2.16Kgfで測定した。単位:g/10分。
【0058】5.融点 DSC(デュポン社製・V4.OB2000型器)を用
いて20℃/分の昇温速度でサンプル(10mg)を昇
温させた際の、融解に伴う吸熱ピークの頂上部に相当す
る温度を融点(℃)とした。
【0059】6.ガラス転移温度 DSC(デュポン社製・V4.OB2000型器)を用
い、20℃/分の昇温速度でサンプル(10mg)を昇
温させてガラス転移温度(℃)を測定した。
【0060】[実施例1]第1ポリマーとして3,5−
ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラ−n−ブチルホ
スホニウムをジカルボン酸成分に対し3mmol%、平
均粒径0.12μmのSiO2粒子をポリエステルに対
し0.3wt%、炭酸カルシウムを0.03wt%配合
した固有粘度0.60のポリエチレンテレフタレート
(Tm=263℃、Tg=68℃)のペレットを用い、
これを170℃で3時間乾燥した後、押出し機に供給
し、280℃で溶融押出した。
【0061】一方、第2ポリマーとして3,5−ジカル
ボキシベンゼンスルホン酸テトラ−n−ブチルホスホニ
ウムを0.05wt%含有したMFR20g/10分且
つ(1)式の微係数−0.33のエチレン−プロピレン
ランダム共重合体(共重合ポリプロピン)のペレットを
用い、これを100℃で1時間乾燥した後、別の押出し
機に供給し、280℃で溶融押出した。
【0062】それぞれの溶融ポリマーをダイス内部で合
流させ、ポリエチレンテレフタレート/共重合ポリプロ
ピレン/ポリエチレンテレフタレートの3層多層構造と
した後、口金から吐出させ、ついで60℃に保たれた冷
却ドラムに静電荷を印加して密着させることにより冷却
固化させて3層の未延伸多層フィルムを得た。
【0063】次いで、この未延伸多層フィルムを赤外線
ヒーターによる加熱で120℃に加熱した後に長手方向
に4.0倍延伸し、直ちに20℃まで冷却した。続い
て、横方向にテンター横方向延伸装置を用いて、120
℃で4倍延伸した後、210℃で熱固定を施し、室温ま
で冷却した後巻き取った。
【0064】得られた二軸延伸後の多層フィルムはポリ
エチレンテレフタレート層の厚みが5.0μm、共重合
ポリプロピレン層の厚みが6.0μmであった。 該未
延伸多層フィルムのポリプロピレン層の厚みパターンを
測定したところフィードエンド側が110μm、ブラン
クエンド側が95μmであり厚みパターンのバラツキは
13.6%であり、厚みパターン調整するに当たっては
問題ないレベルであった。
【0065】また、前記二軸延伸多層フィルムは、さら
にフィルム製造工程内で各層に剥離分離し、得られたポ
リエチレンテレフタレートフィルム(単層フィルム)を
巻き取った。このフィルムは感熱転写リボン用ベースと
して問題のない厚み斑であった。
【0066】[実施例2]第2ポリマー層を形成する樹
脂としてMFRが30g/10分で、(1)式の微係数
が−0.23であるホモポリプロピレンを用いる以外は
実施例1と同様に行って、二軸延伸多層フィルムを得
た。その結果、未延伸フィルムのポリプロピレン層の厚
みパターンはフィードエンド側で103μm、ブランク
エンド側で98μmと厚みバラツキは4.9%であり、
パターン調整する上では問題ない厚み斑であった。ま
た、剥離したポリエチレンテレフタレートの単層フィル
ムの感熱転写プリンターリボン用ベースとしての厚み斑
は問題ないレベルであった。
【0067】[実施例3]第2ポリマー層を形成する樹
脂としてMFRが22g/10分で、(1)式の微係数
が−0.29であるホモポリプロピレンを用いる以外は
実施例1と同様に行って、二軸延伸多層フィルムを得
た。その結果、未延伸フィルムのポリプロピレン層の厚
みパターンはフィードエンド側で115μm、ブランク
エンド側で93μmと厚みバラツキは19%であり、パ
ターン調整する上では若干大きめであったが、問題ない
厚み斑であった。また、剥離したポリエチレンテレフタ
レートの単層フィルムの感熱転写プリンターリボン用ベ
ースとしても厚み斑は問題ないレベルであった。
【0068】[比較例1]第2ポリマー層を形成する樹
脂としてMFRが7g/10分で、(1)式の微係数が
−0.37であるランダム共重合ポリプロピレンを用い
る以外は実施例1と同様に行って、二軸延伸多層フィル
ムを得た。その結果、未延伸フィルムのポリプロピレン
層の厚みパターンはフィードエンド側で120μm、ブ
ランクエンド側で90μmと厚みバラツキは25%であ
り、パターン調整するために長時間要し、生産性を下げ
る結果となった。また、剥離したポリエチレンテレフタ
レートの単層フィルムの感熱転写プリンターリボン用ベ
ースも厚み調整が完了するまでの原反に厚み斑によるキ
ャタピラーが発生しベースの品質は不十分であった。
【0069】[比較例2]第2ポリマー層を形成する樹
脂としてMFRが7g/10分で、(1)式の微係数が
−0.45であるホモポリプロピレンを用いる以外は実
施例1と同様に行って、二軸延伸多層フィルムを得た。
その結果、未延伸フィルムのポリプロピレン層の厚みパ
ターンはフィードエンド側で120μm、ブランクエン
ド側で90μmと厚みバラツキは40%であり、パター
ン調整するために長時間要し、生産性を下げる結果とな
った。また、剥離したポリエチレンテレフタレートの単
層フィルムの感熱転写プリンターリボン用ベースも厚み
調整が完了するまでの原反に厚み斑によるキャタピラー
が発生しベースの品質は不十分であった。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、多層フィルムのキャリ
ヤー層に相当する第2ポリマー層を形成する素材に28
0℃の溶融粘度特性の(1)式における微係数nが特定
のものを用いることから、該フィルムの立ち上げ時の厚
み斑を良好とし、生産性及び品質を向上させることがで
きる。特に、コンデンサーや高感度孔版印刷用フィルム
として使用する場合、立ち上げ時の厚みパターンが改善
され、厚み調整時間の短縮により生産性が向上し且つ厚
み斑の良好なフィルムを得ることができる。また、第1
ポリマー層を剥離し、磁気記録用や感熱転写プリンター
リボン用、コンデンサー用フィルムとして使用した場
合、厚み斑が良好で問題なく使用できるレベルである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂からなる第1ポリマー層の
    少なくとも1層と該ポリマー層と非相溶な熱可塑性樹脂
    からなる第2ポリマー層の少なくとも1層とが隣接して
    おり、これら2層間の層間接着力が0.1〜20g/c
    mの範囲にあり、最外層の少なくとも1層が第1ポリマ
    ー層からなり、第2ポリマー層と第1ポリマー層とが交
    互に存在する多層フィルムであって、第2ポリマー層の
    熱可塑性樹脂がストレート開度のダイから押出したとき
    のダイ幅方向の層厚み斑が20%以下となる樹脂である
    ことを特徴とする多層フィルム。
  2. 【請求項2】 第2ポリマー層を構成する熱可塑性樹脂
    の、280℃、剪断速度100sec-1における下記式
    (1)で示される微係数nが−0.35〜−0.10で
    ある請求項1記載の多層フィルム。 【数1】 n=d(logη)/d(logD) ・ ・ ・ (1) (但し、ηは溶融粘度、Dは流体内部の速度勾配を示
    す。またdは微分記号である。)
  3. 【請求項3】 第2ポリマー層がポリオレフィン層であ
    る請求項1または2記載の多層フィルム。
  4. 【請求項4】 第1ポリマー層がポリエステル層である
    請求項1記載の多層フィルム。
  5. 【請求項5】 多層フィルムが一軸方向または二軸方向
    に延伸された多層延伸フィルムである請求項1〜4のい
    ずれか1項に記載の多層フィルム。
  6. 【請求項6】 請求項5の多層延伸フィルムを剥離して
    得られた第1ポリマー層からなる熱可塑性樹脂フィル
    ム。
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