JP2000027390A - 換気棟 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】屋根の棟頂部に取付ける換気棟は屋根裏あるい
は小屋裏などの湿気や熱気を外部に逃がし、また屋根裏
などの結露を防止するものであり建築物の腐食を防いで
長持ちさせ、快適な居住空間を維持するものである。し
かし従来の換気棟は空気の流通をはかるために箱型の大
形のものが多く、一般住宅の棟に施工すると建築物全体
の外観意匠に問題があった。また換気孔から蜂などの侵
入も防がなければならなかった。 【解決手段】上記課題を解決するために本願に係る換気
棟は正面部分にスリット状の換気孔を多数設け、またそ
の奥に水返し板などを設けたものであり、スリット状の
換気孔と水返し板により強風雨の侵入を防ぐものとな
る。またスリットの幅を狭くすることにより、蜂などの
虫が小屋裏に侵入することも防げるものとなっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は屋根裏や小屋裏などの空
気を外部に逃がす換気棟に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】本発明の対象である換気棟は、小屋裏や
屋根裏などの空気を外気と入れ替えて夏の熱気や湿気を
取り除くために施工するものである。従来より建物の換
気は、切妻屋根などでは妻側端面のかべに通気孔などを
形成して行うものがあったが、近年の洋風住宅に多く見
られる寄棟形式の屋根では妻部分が無く、このような屋
根形状では棟頂部に換気構造が必要となる。換気棟から
排出される空気の補充は通常軒先などに吸気口があるが
特に定まったものではない。

【０００３】この換気棟を通じて小屋裏や屋根裏の換気
を行うものであるが、換気を行うためには小屋裏と外部
を結ぶ換気口を設ける必要があり、この換気口は空気を
流通させるために、その大きさは例えば天井の面積の１
／１６００以上が必要となる。

【０００４】換気棟は小屋裏の内部の空気を緩やかに容
易に排出できる機能を有するがその反面、台風などの風
雨の強いときには換気孔から内部に雨が吹き込む恐れも
あった。

【０００５】これを防ぐためには、内部から外に排出さ
れるゆるやかな空気の流れは遮断する事なく、外部から
吹き付ける強風などの強い空気のながれに対しては遮断
する構造としなければならない。

【０００６】この他にも屋根の頂部の目につき易い場所
に施工するため、意匠的にも優れたものが要望され、高
さが比較的低く施工したときにも建物全体の意匠を損な
わないように考慮したものとして特開平７−２７９３２
５号が知られている。

【０００７】また換気孔から小屋裏などの内部に、蜂な
どの害虫や小鳥などの侵入も防がなければならず、蜂な
どは５ｍｍ程度の隙間があると侵入するものである。山
間部の蜂や小鳥の多い地域では、そのために天井裏に巣
を作られてしまうこともあった。

【０００８】また台風などでは場所によって毎秒４０ｍ
程度の風も吹くので、換気棟自体が風圧を避けるために
高さを低くしなければならず、これらの強風と共に吹き
込んでくる雨水も換気棟の奥の内部にまでは入らない構
造が求められる。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】このような従来よりの
換気棟の課題として、換気能力を高めることは換気孔を
大きくすることであるが、これは反面外部から風雨によ
る吹き込みの恐れも大きく、雨水の侵入も多くなり、こ
れらを確実に防ぐ構造が必要である。雨水が換気棟から
小屋裏などに侵入すると天井などが濡れてしまうことは
もちろん、長期間にわたると換気棟本体や建物の腐食の
原因にもなった。また換気孔を大きくすると鳥や虫の侵
入もあり、これら鳥の排拙物などが腐食の原因となった
り、蜂などが巣を作ると危険でもあった。

【００１０】施工後の外観から考慮すると、棟の高さが
あまり高いと換気棟が目だちすぎて建物全体の意匠を損
なうことにもなり、高さは低くして換気能力の高いもの
が要望されていた。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記したような条件を満
たすため本発明に係る換気棟は、強風時による雨水の侵
入を避けるため途中に空気の流路を複雑にしたりして、
風と一緒に吹き込んでくる雨水を内部にまで侵入させな
いようにしたものである。

【００１２】このため風雨が直接当たる外側にはスリッ
ト状の換気孔を多数形成し、また半抜板を形成して外部
から吹き付ける風雨や虫の侵入を防ぐような構造とした
ものである。

【００１３】さらに内部の一番奥には上方に傾斜した傾
斜板２２を折曲し、その上端をさらに折曲して水返し板
２１が設けられているため雨水の侵入は完全に防止でき
る構造となっている。

【００１４】

【作用】このように本発明に係る換気棟は小屋裏内部か
ら緩やかに上昇して来る空気は排出し易く、また外部か
ら強風と共に吹き込む雨水などは完全に遮断できるもの
である。その第一段階として外側から半抜き板を介して
形成したスリット孔を多数窄設することによって雨滴や
害虫の侵入を防ぎ、第二段階として内部の奥には水返し
板２１を設け、これにより細かい雨滴の侵入も防止でき
るものである。

【００１５】またこのような雨滴の侵入防止構造を持っ
ているにもかかわらず、施工したときの全体の高さは極
めて低いものとなっており、屋根頂部の目立つ位置に施
工しても建物全体の意匠を損なうこともない。

【００１６】

【実施例】以下、本発明を添付図面に示した一実施例に
より詳説する。図１は本発明に係る換気棟Ａを屋根Ｂの
頂部に施工しキャップＪを取り付けたときの斜視図を示
し、図２は同じく換気棟Ａの分解斜視図である。

【００１７】換気棟Ａは上部に覆せる棟カバー１、本体
２より構成され、棟カバー１は棟頂部１３にて施工する
屋根の勾配に合わせて折曲され、両側端部は下方の折曲
して垂下片１１およびその先端を裏面に折り返した折り
返し片１２が形成されている。

【００１８】長手方向の長さは本実施例では１ｍ程度と
したが、この長さは技術上の制約は特になく例えば２ｍ
ないし３ｍでも可能で、換気する小屋裏の面積などを勘
案してその長さを決めればよく、また１ｍより短いもの
を多数接続させて施工することも可能である。この棟カ
バー１の垂下片１１には固定用のリベット孔１４が適宜
な間隔で窄設され、図示例のものでは片側に４箇所設け
た。リベット孔１４は本体２のリベット孔２９と相互に
ネジＧにて固定するものであり、従ってそれぞれの孔位
置は相互に対応した位置に設けられている。

【００１９】本体２（図３）は底板２４とその水下側の
前方に、半抜板２８ａによりスリット状の換気孔２８を
設けた立設部２５及び突出板２６が階段状に折曲され、
したがって換気孔２８は略Ｌ字形をなしている。この半
抜き状に材料を押し込んで形成した半抜板２８ａによ
り、換気孔２８は半抜き孔２８ａの側方に開口され、正
面からの強風に対して抵抗する構造となっている。また
突出板２６の先端は上方に折曲してリベット孔２９を窄
設した立設片２７が折曲され、このリベット孔２９は図
示例では片側に４箇所設けられている。

【００２０】施工の際には底面２４を貫通して釘やビス
などにより屋根面の野地板Ｆあるいはタル木Ｉなどに固
定させるものである。

【００２１】本体２の奥である棟頂部側の端部には傾斜
板２２が略直角に上方に折曲され、更にその先端を前方
に折曲して水返し板２１が形成され、この水返し板２１
の上端と棟カバー１との間には通気部Ｋが形成されて小
屋裏内部の空気が外部に排出される通路となっている。
（図５）

【００２２】また棟板１の棟頂部１３の内面には発泡ゴ
ムのような断熱材Ｄが下面側より貼着して固定され、こ
の断熱材Ｄによって湿気による結露を防止するものであ
る。この結露は小屋裏の暖かく湿った空気が上方に上が
ってきて冷たい棟板部分に触れて発生するものである
が、この空気と棟部材の直接当たる部分の温度差を断熱
材Ｄによって少なくして結露を防ぐものである。

【００２３】また本体２の底板２４の下面側には帯状の
弾性材Ｃが全長にわたって貼着されており、この弾性材
Ｃは屋根面から強風によって吹き上がって来る雨水が下
面にの侵入するのを防ぐものである。

【００２４】本体２の釘孔２３（図２）は施工の際に釘
などで野地板Ｆに固定する際に利用するものである。

【００２５】上記の如く構成される各部を屋根の頂部に
施工するが、この頂部には予め空気が流通するような小
屋裏や屋根裏と連続した換気口が形成されているが、こ
れは屋根面頂部の野地板などを切り欠いて形成してお
く。

【００２６】この頂部に本発明に係る換気棟を施工する
が、本体２を棟の頂部を跨ぐようにして配置し、屋根の
野地板ＦやタルキＩに固定釘Ｈにて固定するものであ
る。（図５） この固定釘Ｈは屋根材Ｂを貫通して固定されているが、
弾性材Ｃによって雨水の吹き込みによる水漏れの恐れは
ない。また棟カバー１は側部からネジＧなどにより固定
すればよい。

【００２７】図５は屋根面の棟部分に換気棟Ａを施工し
たときの断面を示すが、小屋裏の内部から上昇して来る
空気の流れｔと、反対側の換気口から通過して来る空気
の流れＳは通気部Ｋを通過して外部に排出されるもので
ある。

【００２８】

【発明の効果】上記したように本発明に係る換気棟は、
外側より順に多数のスリット状の換気孔による構造であ
るため強風雨などに対して従来にない種々の効果を有す
るものである。

【００２９】１．内部の空気を速やかに屋外に排出でき
るように十分な通気口を有しており、また十分に細かい
スリット状の換気孔を多数設けてあるため蜂などの害虫
の侵入を防ぐことができる。 ２．またスリット部分の正面は半抜き板が設けられてい
るため、正面から雨滴などが吹き込んで内部を濡らすよ
うなことも少ない。 ３．本発明による構造は、棟カバーを含めて全体の高さ
を低くできるため屋根の棟に設置したときにも外観を損
なうことがない。 ４．本発明の換気棟はその構造も簡易なためコスト的に
も有利であり、大量生産により安価に提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】は本発明に係る実施例である換気棟を屋根に施
工したときの斜視図、

【図２】は同上の換気棟の分解斜視図、

【図３】は同上の換気棟の本体の斜視図、

【図４】は同上の換気棟の斜視図、

【図５】は同上の換気棟を屋根に施工したときの側面断
面図。 Ａ・・・換気棟 Ｂ・・・屋根材 Ｃ・・・弾性材 Ｄ・・・断熱材 Ｅ・・・シート Ｆ・・・野地板 Ｇ・・・ネジ Ｈ・・・固定釘 Ｉ・・・タルキ Ｊ・・・キャップ Ｋ・・・通気部 １・・・棟カバー １１・・垂下片 １２・・折返し片 １３・・棟頂部 １４・・リベット孔 ２・・・本体 ２１・・水返し板 ２２・・傾斜板 ２３・・釘孔 ２４・・底板 ２５・・立設部 ２６・・突出板 ２７・・立設片 ２８・・換気孔 ２８ａ・半抜板 ２９・・リベット孔

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】屋根頂部の棟部に施工し、小屋裏の空気を
   外部に換気をする棟構造において、上部を被閉する棟カ
   バーの下部と屋根面との間の両側部にスリット状の換気
   孔を多数形成してなる換気棟。