JP2000025174A - 多層積層体 - Google Patents

多層積層体

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JP2000025174A
JP2000025174A JP19561498A JP19561498A JP2000025174A JP 2000025174 A JP2000025174 A JP 2000025174A JP 19561498 A JP19561498 A JP 19561498A JP 19561498 A JP19561498 A JP 19561498A JP 2000025174 A JP2000025174 A JP 2000025174A
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JP19561498A
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Kazuyoshi Obana
一克 尾花
Hisao Emoto
向雄 江本
Hidenori Mitsui
秀則 三井
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Ube Corp
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Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、中間層と両外面層との少なくとも
3層からなる積層体において、中間層を形成する樹脂組
成物から含有成分の添加剤や低分子量重合物が経時的に
滲み出すことを防止した柔軟性に富む多層積層体を提供
するものである。 【解決手段】 本発明は、プロピレンおよび/またはブ
テン−1成分含有率が50重量%以上の非晶質ポリオレ
フィン20〜100重量%と結晶性ポリプロピレン80
〜0重量%とを含有してなる樹脂組成物からなる中間層
(A)と、エチレンおよび/またはブテン−1成分含有
率が3重量%以下のプロピレンとエチレンおよび/また
はブテン−1とのランダム共重合体およびプロピレン単
独重合体からなる群より選ばれるポリプロピレンとスチ
レン系熱可塑性エラストマーとを含有してなる樹脂組成
物からなり、各層の厚さが全体厚さの8%以上、かつ1
5μm以上である両外面層(B)との少なくとも3層の
構成を有する多層積層体に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中間層からの滲み
出しを防止した多層積層体に関する。さらに詳しくは、
中間層と両外面層との少なくとも3層からなる積層体で
あって、中間層を形成する樹脂組成物から含有成分の添
加剤や低分子量重合物が経時的に滲み出すことを防止し
た、表面汚染性の少ない柔軟性に富んだ多層積層体に関
する。
【0002】
【従来の技術】プロピレンおよび/またはブテン−1成
分含有率が50重量%以上の非晶質ポリオレフィン20
〜100重量%と結晶性ポリプロピレン80〜0重量%
とを含有してなる樹脂組成物を内層とする多層積層体は
公知であり、軟質ポリ塩化ビニルフィルム代替として知
られている(特開平5−77371号公報、特開平6−
927号公報、特開平6−218892号公報および特
開平6−226933号公報など参照)。そして、この
種のフィルムにおいてポリプロピレンを両外層に使用し
た場合は、ポリプロピレン自体、剛性があるため、柔軟
な積層体を得るために両外層の厚さを薄くしたり、両外
層に柔軟性のあるエチレンを比較的多く含むエチレン・
プロピレンランダム共重合体が使用されている。しかし
ながら、上記エチレンを比較的多く含むエチレン・プロ
ピレンランダム共重合体を両外層に使用した積層体で
は、中間層に添加されている添加剤、あるいは、低分子
量重合物が経時的に表面に滲み出してきて使用中に透明
性が低下する問題があった。特に高温時にはこの傾向が
強い。したがって、工業製品、例えば自動車、家具、金
属板、プラスチック製品等に、その表面保護を目的とし
て貼り付けた場合、表面に滲み出た物質が製品を汚染す
る場合があり、高温に曝される環境下での使用は不可能
であった。また、前記積層体を袋にして衣料などを包装
すると、衣料を汚染するという問題があった。
【0003】そこで、こうした点を改良するものとし
て、両外層に用いるポリプロピレン層を厚くする対策が
取られてきた。しかし、この対策は柔軟性を犠牲にせざ
るを得ないものであった。特に両外層にエチレン含有量
の少ないエチレン・プロピレンランダム共重合体、また
はプロピレン単独重合体を使用すると、積層体の柔軟性
が損なわれるばかりか、積層体製造直後において既に透
明性が良くなく、たとえ、製造直後の透明性が許される
限度内であっても経時的な滲み出しにより積層体の透明
性が徐々に低下する欠点があった。
【0004】一方、特開平7−68722号公報には、
プロピレンおよび/またはブテン−1成分含有率が50
重量%以上の非晶質ポリオレフィン20〜100重量%
と結晶性ポリプロピレン80〜0重量%とを含有してな
る樹脂組成物からなる中間層と、ポリオレフィンとスチ
レン系熱可塑性エラストマーとを含有してなる樹脂組成
物からなる両外面層との少なくとも3層から構成される
医療容器用積層体、および、プロピレンおよび/または
ブテン−1成分含有率が50重量%以上の非晶質ポリオ
レフィン20〜100重量%と結晶性ポリプロピレン8
0〜0重量%とを含有してなる樹脂組成物からなる中間
層と、プロピレン系樹脂とスチレン系熱可塑性エラスト
マーとを含有してなる樹脂組成物からなる両外面層との
少なくとも3層から構成される血小板保存バッグ用積層
体が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
積層体の両外面層を形成する樹脂組成物において、プロ
ピレン系樹脂が用いられる場合、該プロピレン系樹脂と
してプロピレン単独重合体やエチレン成分含有率が30
重量%以下、好ましくは1〜25重量%のプロピレン・
エチレンランダムまたはブロック共重合体が使用されて
おり、また、柔軟性付与を目的として配合されるスチレ
ン系熱可塑性エラストマーの含有量も30〜90重量%
であり、添加成分の中間層から表面への経時的な滲み出
しによる被保護製品の汚染や透明性の低下などになお課
題があった。上記従来技術における問題点に鑑み、本発
明は、少なくとも3層からなる積層体の中間層から両外
面層への添加成分の滲み出しを防止し、該滲み出しによ
る透明性の変化が少ない、したがって、被保護製品への
汚染が無く、柔軟な多層積層体の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の問
題点を克服するために、プロピレンおよび/またはブテ
ン−1成分含有率が50重量%以上の非晶質ポリオレフ
ィン20〜100重量%と結晶性ポリプロピレン80〜
0重量%とを含有してなる樹脂組成物を中間層とする少
なくとも3層からなる多層積層体における両外面層の材
料構成要件について鋭意検討を重ねた結果、両外面層に
プロピレン単独重合体または共重合成分の含有率が3重
量%以下のプロピレンとエチレンおよび/またはブテン
−1とのランダム共重合体、特にプロピレン単独重合体
と、スチレン系熱可塑性エラストマーとを含有してなる
樹脂組成物を使用するとともに、この両外面層の厚さを
各々全体の厚さの8%以上、かつ15μm以上にするこ
とにより、上記目的が達成され得ることを見出し、本発
明を完成させた。
【0007】すなわち、本発明の第1の態様では、中間
層(A)と両外面層(B)との少なくとも3層の構成を
有し、中間層(A)がプロピレンおよび/またはブテン
−1成分の含有率が50重量%以上の非晶質ポリオレフ
ィン20〜100重量%と結晶性ポリプロピレン80〜
0重量%とを含有してなる(ただし、非晶質ポリオレフ
ィンと結晶性ポリプロピレンとの合計は100重量%で
ある)樹脂組成物からなる層であり、両外面層(B)
が、共重合成分のエチレンおよび/またはブテン−1の
含有率が3重量%以下であるプロピレンとエチレンおよ
び/またはブテン−1とのランダム共重合体およびプロ
ピレン単独重合体からなる群より選ばれるポリプロピレ
ンとスチレン系熱可塑性エラストマーとを含有してなる
樹脂組成物からなるとともに、厚さがそれぞれ全体厚さ
の8%以上、かつ15μm以上有する層であることを特
徴とする多層積層体が提供される。
【0008】本発明の第2の態様では、両外面層(B)
がポリプロピレン98〜70重量%とスチレン系熱可塑
性エラストマー2〜30重量%とを含有してなる(ただ
し、ポリプロピレンとスチレン系熱可塑性エラストマー
との合計は100重量%である)樹脂組成物からなるこ
とを特徴とする上記第1の発明の態様に係る多層積層体
が提供される。
【0009】そして、本発明の第3の態様では、両外面
層(B)がポリプロピレン95〜85重量%とスチレン
系熱可塑性エラストマー5〜15重量%とを含有してな
る(ただし、ポリプロピレンとスチレン系熱可塑性エラ
ストマーとの合計は100重量%である)樹脂組成物か
らなることを特徴とする上記第1の発明の態様に係る多
層積層体が提供される。そして、本発明の第4の態様で
は、両外面層(B)を構成するポリプロピレンがプロピ
レン単独重合体である上記第1〜第3の発明の態様のい
ずれか1つに係る多層積層体が提供される。また、本発
明の第5の態様では、中間層(A)がスチレン系熱可塑
性エラストマーを5〜15重量%含有してなる(ただ
し、非晶質ポリオレフィンと結晶性ポリプロピレンと熱
可塑性エラストマーの合計は100重量%である)樹脂
組成物からなる層である上記第1〜第4の発明の態様の
いずれか1つに係る多層積層体が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の中間層(A)(以下、「(A)層」とい
う。)に用いられる非晶質のポリオレフィン(以下、
「非晶質ポリオレフィン」という。)は、プロピレンお
よび/またはブテン−1成分含有率が50重量%以上で
ある非晶質のオレフィンポリマーであればよい。例え
ば、非晶性のポリプロピレンやポリブテン−1あるいは
プロピレンやブテン−1と他のα−オレフィンとの共重
合体を用いることができる。非晶質ポリオレフィンのプ
ロピレンおよび/またはブテン−1成分含有率が50重
量%未満の場合は、結晶性ポリプロピレンとの相溶性が
低下するので好ましくない。
【0011】本発明の非晶質ポリオレフィンは、さらに
以下の条件を同時に満たすものである。上記非晶質ポリ
オレフィンとは、沸騰n−ヘプタン不溶分、すなわち、
沸騰n−ヘプタンによるソックスレー抽出不溶分が70
重量%以下、好ましくは60重量%以下のものである。
沸騰n−ヘプタン不溶分が70重量%より多いと、非晶
質部分の比率が少なくなり、得られるフィルムに目的と
する十分な柔軟性を付与することができない。また、上
記非晶質ポリオレフィンは、好ましくは数平均分子量が
1,000〜200,000、さらに好ましくは1,5
00〜100,000である。数平均分子量が200,
000を越えると、フィルム成形が難しく、1,000
未満では得られたフィルムの機械的強度が低下する。本
発明においては、上記非晶質ポリオレフィンの1種を単
独で、または、2種以上を組み合わせて用いることがで
きる。
【0012】上記非晶質ポリオレフィンとしては、結晶
性ポリプロピレン製造時に副生するアタクチックポリプ
ロピレンを用いてもよいし、原料から目的生産して用い
てもよい。この際、プロピレンと他のα−オレフィンと
の共重合体またはブテン−1と他のα−オレフィン(た
だし、プロピレンを除く)との共重合体は、所定のプロ
ピレンまたはブテン−1成分を含有するように原料から
生産して用いることができる。また、原料から目的生産
する場合、例えば、塩化マグネシウムに担持したチタン
担持型触媒とトリエチルアルミニウムを用いて水素の存
在下または水素の不存在下に、原料モノマーを重合して
得ることができる。本発明では、原料供給の安定性およ
び品質の安定性の観点から、目的生産された所定の非晶
質ポリオレフィンを使用するのが好ましい。また、該当
する好適な市販品があれば、適宜市販品を選択して用い
ることができる。
【0013】本発明の(A)層の非晶質ポリオレフィン
として、具体的には、上記プロピレン成分含有量など所
定の特性を有するポリプロピレン、プロピレン・エチレ
ン共重合体、プロピレン・ブテン−1共重合体、プロピ
レン・ブテン−1・エチレン三元共重合体、プロピレン
・ヘキセン−1・オクテン−1三元共重合体、プロピレ
ン・ヘキセン−1・4−メチルペンテン−1三元共重合
体などのプロピレン成分が主成分である非晶質ポリオレ
フィンが挙げられる。また、上記ブテン−1成分含有量
など所定の特性を有するポリブテン−1、ブテン−1・
エチレン共重合体、ブテン−1・プロピレン共重合体、
ブテン−1・プロピレン・エチレン三元共重合体、ブテ
ン−1・ヘキセン−1・オクテン−1三元共重合体、ブ
テン−1・ヘキセン−1・4−メチルペンテン−1三元
共重合体などのブテン−1成分が主成分である非晶質ポ
リオレフィンも挙げられる。
【0014】上記非晶質ポリオレフィンがプロピレン・
エチレン共重合体の場合には、エチレン成分含有量が3
0重量%以下、好ましくは1〜20重量%のものである
ことが望ましい。エチレン成分含有量が30重量%より
大きくなると、得られるフィルムが柔らかくなりすぎ
る。
【0015】本発明の(A)層に用いられる非晶質ポリ
オレフィンがプロピレン・ブテン−1共重合体の場合に
は、プロピレンが主成分の共重合体と、ブテン−1が主
成分の共重合体とがあるが、いずれも引張伸びや凝集力
が大きく、(A)層の非晶質ポリオレフィンとして好適
に用いられる。具体的には、例えば、宇部興産(株)製
のウベタック(UBETAC)などの市販品を用いるこ
とができる。
【0016】一方、本発明の(A)層に用いられるもう
一つの成分である結晶性ポリプロピレンは、押出成形、
射出成形、ブロー成形などとして通常市販されているポ
リプロピレンを包含し、沸騰n−ヘプタン不溶性のアイ
ソタクチックポリプロピレンをいう。この場合、プロピ
レン単独重合体でもよく、また、立体規則性を有するア
イソタクチックポリプロピレンと他のα−オレフィンと
の共重合体であってもよい。上記結晶性ポリプロピレン
としては、市販品を用いてもよいし、また製造して用い
てもよい。結晶性ポリプロピレンの製造方法は、特に制
限されるものではなく、従来の結晶性ポリプロピレンの
製造方法の中から適宜選択して適用することができる。
【0017】また、上記結晶性ポリプロピレン、すなわ
ち、アイソタクチックポリプロピレンとの共重合に用い
られるα−オレフィンとしては、炭素数2〜8のα−オ
レフィン、例えば、エチレン、ブテン−1、ペンテン−
1、ヘキセン−1、ヘプテン−1およびオクテン−1な
どが好ましい。これらの中でも、特にエチレンまたはブ
テン−1が好適である。
【0018】本発明において、上記結晶性ポリプロピレ
ンとして、好ましくは、プロピレン単独重合体、エチレ
ン成分を30重量%以下、好ましくは25重量%以下含
有するプロピレン・エチレンのランダム共重合体または
ブロック共重合体、ブテン−1成分を20重量%以下含
有するプロピレン・ブテン−1のランダム共重合体また
はブロック共重合体が挙げられる。これらのうち、本発
明の積層体のフィルムやシートなどの用途からみて、上
記結晶性ポリプロピレンとしては、エチレンまたはブテ
ン−1とプロピレンとの共重合体が特に好ましい。上記
(A)層に用いられる結晶性ポリプロピレンは、1種を
単独で、または2種以上を組み合わせて用いることがで
きる。
【0019】さらにまた、本発明における(A)層の非
晶質ポリオレフィンおよび/または結晶性ポリプロピレ
ンは、変性したものを使用することができる。すなわ
ち、上記非晶質ポリオレフィンまたは結晶性ポリプロピ
レンを、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、エタア
クリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不
飽和カルボン酸および/またはそれらのエステル、酸無
水物、金属塩などのその誘導体、不飽和物のアミド、ア
ミノ化合物、グリシジルメタアクリレート、ヒドロキシ
メタアクリレートなどの変性剤を使用して変性して用い
ることができる。これらの変性物のうち、無水マレイン
酸や無水イタコン酸により変性されたものが好適に用い
られ、より好適には無水マレイン酸により変性されたも
のが用いられる。変性方法は、特に制限されるものでな
く、例えば、変性物に対して、0.05〜5重量%、好
ましくは0.1〜3重量%の上記変性剤および0.1〜
2重量%のラジカル開始剤(ベンゾイルペルオキシド、
ジクミルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシ
ド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブ
チルペルオキシベンゾエートなどの有機過酸化物やアゾ
ビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物など)を用
い、溶融状態あるいは溶液状態の上記非晶質ポリオレフ
ィンまたは結晶性ポリプロピレンとこれら変性剤および
ラジカル開始剤とを加熱攪拌する方法など、公知の方法
を用いることができる。
【0020】本発明の(A)層を構成する樹脂組成物
は、上記非晶質ポリオレフィン単独、または上記非晶質
ポリオレフィンと上記結晶性ポリプロピレンとからなる
ものであり、上記非晶質ポリオレフィンを20〜100
重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは
30〜70重量%となるように配合して得ることができ
る。上記樹脂組成物が上記非晶質ポリオレフィンと上記
結晶性ポリプロピレンとからなる場合、非晶質ポリオレ
フィンが20重量%未満では、得られたフィルムに十分
な柔軟性を付与することができない。また、非晶質ポリ
オレフィンが80重量%を越えるようになると、上記樹
脂組成物の溶融粘度が非常に小さくなり、両外面層
(B)(以下、「(B)層」という。)の樹脂組成物と
の溶融粘度の差が大きくなり、安定したフィルム成形が
困難になる傾向がある。
【0021】本発明において、(A)層の非晶質ポリオ
レフィンと結晶性ポリプロピレンとが上述の割合で配合
された樹脂組成物の調製方法は、特に制限されるもので
はなく、従来のポリプロピレン組成物の製法で慣用され
ている方法、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、
ロールなどの混練機や、1軸または2軸押出機などを用
いて加熱溶融混練して行うことができる。
【0022】また本発明においては、上記(A)層を構
成する樹脂組成物に所望に応じて各種添加剤や充填剤、
例えば耐熱安定剤、光安定剤、滑剤、ブロッキング防止
剤、粘着付与剤、帯電防止剤、防曇剤、酸化防止剤、核
剤、難燃剤、顔料または染料、酸化カルシウム、酸化マ
グネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸
カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、ガラス
繊維、炭素繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・
アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化
ケイ素繊維、ステンレス鋼繊維、チタン酸カリウム繊
維、アルミニウム、マグネシウム、チタン、銅および真
鍮などの無機質および金属繊維、銅、鉄、ニッケル、亜
鉛、錫、鉛、ステンレス鋼、アルミニウム、金および銀
などの金属粉末、ヒュームドシリカ、マイカ、タルク、
クレーなどを本発明の目的を損なわない範囲内で添加す
ることができる。特に、防曇剤としては、ポリグリセリ
ン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエ
チレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン
脂肪酸アミドおよび脂肪酸アルカノールアミドなどの非
イオン界面活性剤を単独または複合して用いることがで
きる。さらにまた、その他の熱可塑性樹脂、熱可塑性エ
ラストマー、ゴム類などを必要に応じて配合することが
でき、また、これらを架橋配合させることもできる。
【0023】次に、本発明の(B)層について述べる。
(B)層に用いられるポリプロピレンは、前述の(A)
層に用いられる結晶性ポリプロピレンとして例示したも
ののうち、共重合成分のエチレンおよび/またはブテン
−1の含有率が3重量%以下のプロピレンとエチレンと
のランダム共重合体、プロピレンとブテン−1とのラン
ダム共重合体、プロピレンとブテン−1とエチレンとの
ランダム三元共重合体およびプロピレン単独重合体から
なる群から選ばれるポリプロピレンである。特に、本発
明の目的とする中間層、すなわち(A)層からの滲み出
しを防止する効果は、プロピレン単独重合体の方が優れ
ており、プロピレン単独重合体が好適に用いられるが、
共重合成分のエチレンおよび/またはブテン−1の含有
率が3重量%以下のプロピレン・エチレンランダム共重
合体やプロピレン・ブテン−1ランダム共重合体やプロ
ピレン・ブテン−1・エチレンランダム三元共重合体で
も効果がある。なお、(B)層のポリプロピレンとし
て、前記(A)層に用いられる結晶性ポリプロピレンと
して例示したもののうち、エチレン成分の含有率が3重
量%以下のプロピレン・エチレンランダム共重合体以外
のプロピレン・エチレン共重合体や、ブテン−1成分の
含有率が3重量%以下のプロピレン・ブテン−1ランダ
ム共重合体以外のプロピレン・ブテン−1共重合体や、
エチレン成分とブテン−1成分の合計含有率が3重量%
以下のプロピレン・ブテン−1・エチレン三元共重合体
を使用した場合、得られた積層体において、(A)層か
ら表面への添加剤または低分子量重合物の経時的な滲み
出しを十分に防止できず、したがって透明性の経時的変
化が大きくなるので好ましくない。
【0024】本発明の(B)層に用いられるスチレン系
熱可塑性エラストマーとしては、特に制限はないが、中
でもスチレン・ジエン系熱可塑性エラストマーを例示す
ることができる。就中、そのブロック共重合体エラスト
マーやランダム共重合体エラストマーが好ましいものと
して例示され得る。ここでスチレン系成分としては、ス
チレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビ
ニルキシレン、ビニルナフタレンおよびこれらの混合物
などを例示でき、ジエン系成分としては、ブタジエン、
イソプレン、ペンタジエンおよびこれらの混合物などを
例示できる。
【0025】これらスチレン系熱可塑性エラストマーの
代表例としては、ポリブタジエンブロックセグメントと
スチレン系化合物(スチレンを含む。以下において同
じ)・ブタジエン共重合体ブロックセグメントとからな
る水添ジエン系重合体、ポリイソプレンブロックセグメ
ントとスチレン系化合物・イソプレン共重合体ブロック
セグメントとからなる水添ジエン系重合体、スチレン系
化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物
を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合
体、スチレン系化合物と共役ジエン化合物とのランダム
共重合体の水素添加物、およびスチレン系化合物を主体
とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする
重合体ブロックとからなるブロック共重合体の水素添加
物などが挙げられる。
【0026】スチレン系熱可塑性エラストマー中の上記
スチレン系成分の含有量としては、5〜40重量%が良
好である。スチレン系成分の含有量が40重量%より多
いと、得られたフィルムの柔軟性が劣る恐れがある。逆
に、スチレン系成分の含有量が5重量%より少ないと、
得られた積層体表面のブロッキング性が悪化し、また耐
熱性も劣る傾向にある。ただし、これらの傾向は、重合
体エラストマーの分子量とも密接に関係していて一概に
特定することはできず、例えば、スチレン系成分の含有
量が多くても重合体エラストマーの分子量が低ければ耐
熱性が劣り、スチレン系成分の含有量が少なくても重合
体エラストマーの分子量が高ければ耐熱性に優れること
も事実である。したがって、上記に挙げた数値(スチレ
ン系成分の含有量が5〜40重量%)は、あくまでも目
安であり、本発明はこれらの数値に限定されるものでは
ない。
【0027】上記(B)層を構成する樹脂組成物のスチ
レン系熱可塑性エラストマーは、1種または2種以上を
組み合わせて用いることができる。
【0028】本発明の(B)層を構成する樹脂組成物に
おいて、上記ポリプロピレンと上記スチレン系熱可塑性
エラストマーとの混合比率については、特に制限はない
が、前者が好ましくは98〜70重量%、より好ましく
は95〜85重量%、したがって、後者が好ましくは2
〜30重量%、より好ましくは5〜15重量%であるこ
とが望ましい。(B)層におけるスチレン系熱可塑性エ
ラストマーの作用は、柔軟性を付与させる点にあり、
(B)層を構成する樹脂組成物においてスチレン系熱可
塑性エラストマーの配合量が2重量%より少ないと、得
られるフィルムに柔軟性が付与できないことがある。ま
た、30重量%を越えると、得られるフィルムの透明性
が阻害されるとともに、耐熱性が低下することがある。
【0029】上記(B)層を構成する樹脂組成物には、
得られるフィルムの透明性が阻害されない範囲で耐熱安
定剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、ブロ
ッキング防止剤の他、(A)層を構成する樹脂組成物に
添加し得るものとして前記に例示した公知の各種添加剤
や充填剤を添加することができる。さらに、前記(A)
層の場合と同様に、上記(B)層を構成する樹脂組成物
には、得られるフィルムの透明性が阻害されない範囲で
その他の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム類
などを必要に応じて配合することができ、またこれらを
架橋配合させることもできる。
【0030】また、本発明では、(B)層の各厚さを多
層積層体全体の厚さの8%以上、かつ、少なくとも15
μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは少
なくとも30μm以上にすることが好ましい。(B)層
の各厚さが多層積層体全体の厚さの8%未満の場合、お
よび/または、15μmより薄い場合、(A)層からの
添加剤あるいは低分子量重合物の滲み出しの防止効果が
良くない。なお、この好ましくない現象を確実に防止す
るには、(B)層の各厚さは、上述の好ましい範囲内、
さらにはより好ましい範囲内とすべきことは言うまでも
ない。一方、本発明において、(B)層の厚さが厚くな
れば、得られるフィルムの柔軟性が失われることは言う
までもないが、透明性も損なわれる。したがって、表裏
層、すなわち(B)層の厚さについては、多層積層体全
体の厚さ、使用条件、使用目的に応じて、柔軟性、透明
性、滲み出し防止性などを満足する範囲で決定されるべ
きであり、(B)層の厚さの上限もこれにより自ずと限
定されてくる。しかしながら、本発明においては、
(B)層の各厚さは多層積層体全体の厚さの約33%以
下が好ましい。また、多層積層体全体の厚さも成形可能
な範囲として約50〜1800μm程度が好ましい。
【0031】本発明の積層フィルム、すなわち、多層積
層体(以下、「積層体」という。)は、上記した(A)
層および(B)層を、通常、交互に積層して構成される
ものであり、積層する(A)層および(B)層の積層数
は特に制限されないが、少なくとも3層から構成され、
最外層、すなわち、両外面を形成する層が上記(B)層
で構成されるようにすればよい。例えば、(B)/
(A)/(B)や(B)/(A)/(B)/(A)/
(B)のような積層組み合わせで積層体を構成すること
ができる。 また、本発明の積層体は、(A)層および
(B)層の中間に他の熱可塑性樹脂層、例えば、ガスバ
リヤー性を付与するためのナイロン、エチレン・酢酸ビ
ニル共重合体けん化物、ポリエステルおよびポリ塩化ビ
ニリデンなどからなる層を積層挿入してもよい。また、
(A)層および(B)層の中間に接着性付与のために、
アイオノマー樹脂(例えば、デュポン社製のサーリンな
ど)やエチレン・α−オレフィン共重合体(例えば、三
井化学社製のタフマーなど)などからなる接着性樹脂層
を挿入してもよい。
【0032】本発明において、(A)層は、積層体全体
に柔軟性を付与することに寄与するとともに、(A)層
を構成する樹脂組成物に結晶性ポリプロピレンを含有す
ることで積層体の耐熱性および腰の強さも出すことがで
きる。ただし、使用する非晶質ポリオレフィンは、表面
粘着性が強く、特に低分子量であると表面粘着性が著し
いので注意が必要である。一方、(B)層は、積層体の
柔軟性および低温ヒートシール性に寄与するとともに、
表面粘着性がほとんどないため、上記したように(B)
層が積層体両面の外層を構成するようにし、(A)層は
内側層、すなわち、中間層を構成することで、表面粘着
性がなく柔軟な積層体とすることができる。
【0033】本発明の積層体の製法は、特に限定される
ものではない。例えば、共押出積層法、ラミネーション
法、ドライラミネーション法などを用いることができ
る。これらのうち、溶融接着する共押出積層法が好まし
い。具体的には、例えば、積層数に見合う台数の押出機
を用いて溶融押出しし、Tダイ法またはインフレーショ
ン法などの公知の方法で溶融状態で積層した後、冷却ロ
ール、水冷または空冷で冷却する方法を用いて、本発明
の積層体とすることができる。
【0034】本発明の積層体は、フィルムやシートなど
のウェブ状に製膜された物でもよいし、ブロー容器、深
絞りの容器などのごとく、容器状に成形された物でもよ
く、その形状は任意である。
【0035】また、本発明の積層体は、印刷性、ラミネ
ート、粘着剤塗布性を向上させるために表面処理を行う
ことができる。表面処理の方法としては、コロナ放電処
理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などが挙げられ、
本発明においてはいずれの方法をも用いることができ
る。連続処理が可能であり、フィルム、シートなどの製
造過程の巻き取り工程前に容易に実施可能であることか
ら、プラズマ処理、火炎処理およびコロナ放電処理が好
ましく、これらの中でも簡便さの点からコロナ放電処理
が最も好ましい。また、本発明の積層体は、ブロッキン
グ性が特に弊害となるような用途などにおいては、両面
あるいは片面にエンボス加工などの表面加工を施すこと
もできる。さらに、本発明の積層体を一軸または二軸延
伸加工、圧空成形、真空成形等に付することもできる。
【0036】本発明の積層体は、上記のようにして積
層、冷却、固化された後、必要に応じ上記のような表面
処理を行い、その後、巻き取られて次工程、例えば、印
刷、ラミネート、粘着剤塗布、ヒートシールなどの二次
加工工程を経て目的とする用途に使用することができ
る。
【0037】本発明の積層体は、前述した通り、それ自
体でも、また中間層として(A)層および(B)層の間
に第三成分の層(例えばガスバリヤー性付与のためのナ
イロン、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリ
エステル等からなる層など、他の熱可塑性樹脂層や、接
着性付与のためのアイオノマー樹脂(例えば、デュポン
社製のサーリンなど)、エチレンとプロピレンやブテン
−1などのα−オレフィンとの共重合体(例えば、三井
化学社製のエチレン・ブテン−1共重合体であるタフマ
ーなど)などからなる接着性樹脂層など)を加えても各
種用途に適用可能で有用であるが、さらに、少なくとも
一方の(B)層上に、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩
化ビニリデン、エチレン・酢酸ビニル共重合体けん化
物、延伸ポリプロピレンなど、適宜の樹脂層を積層した
り、これら樹脂からなるフィルムとラミネートするなど
して、その機械的強度、ガスバリヤー性および印刷性能
などの機能を向上させることもできる。
【0038】また、本発明の積層体を金属板、プラスチ
ック板、ガラス板等の板状部材などに用いて表面保護用
フィルムの基材とするときは、該積層体の一方の(B)
層に粘着性物質を付与し上記板状部材などと粘着可能な
構成とすることにより、使用に供される。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例によりさ
らに詳細に説明する。ただし、本発明は下記実施例およ
び比較例により制限されるものではない。なお、本発明
の以下の実施例および比較例において得られた積層体の
各種試験は、それぞれ、下記の方法により行った。 (1)引張特性 23℃、相対湿度65%の部屋に48時間保存して状態
調節を行った試験片について、ASTM D−882に
準じて引張試験を行い、引張弾性率(MPa)を評価し
た。
【0040】(2)ヘイズ(Haze、%) ASTM D−1003に準じて、23℃、相対湿度6
5%で48時間保持後と70℃、相対湿度80%でさら
に100時間エージング後について行った。
【0041】実施例1〜4 〔(A)層樹脂組成物の調製〕密度0.86g/c
3 、プロピレン含有量65重量%、ブテン−1含有量
35重量%および190℃での溶融粘度10,000セ
ンチポイズの非晶質ポリオレフィン(宇部興産(株)
製、商品名:UBETAC UT2780)と、密度
0.90g/cm3 およびメルトフローレイト(MF
R)(230℃)0.7g/10分の結晶性ポリプロピ
レン((株)グランドポリマー製、商品名:F221)
とを50/50の重量比で混合し、温度200℃で10
分間溶融混練して(A)層を構成する樹脂組成物を調製
した。
【0042】〔(B)層樹脂組成物の調製〕次に、融点
160℃、密度0.9g/cm3 のホモポリプロピレン
((株)グランドポリマー製、商品名:S105)と、
水素添加スチレン・エチレン・ブタジエン共重合体(旭
化成工業(株)製スチレン系熱可塑性エラストマー、商
品名:タフテックH1042)とを90/10の重量比
率で混合し、2軸押出機で溶融押出しして(B)層を構
成する樹脂組成物を調製した。
【0043】〔積層体の成形〕上記のようにして調製し
た樹脂組成物を各々(A)層および(B)層として用
い、外層/中間層/外層として(B)/(A)/(B)
がそれぞれ表1に示した厚さとなるようにして、3層各
々独立した3台の押出機およびこれに連結した3層Tダ
イ成形機を用いて、溶融3層共押出しした後、それぞれ
表1に示す冷却ロール温度で冷却・固化することによっ
て、積層体を成形した。成形後、23℃、相対湿度65
%の部屋に48時間保存した後、引張弾性率およびヘイ
ズの評価を行い、さらに、70℃、相対湿度80%で1
00時間エージングした後のヘイズを測定し、(B)層
から表面への滲み出しによる透明度の変化を比較した。
そこで、実施例1〜4において得られた結果を、それぞ
れ、表1に示す。実施例4の場合、(B)層の厚さが1
5μmであるため、70℃、相対湿度80%で100時
間エージングした後の積層体のヘイズが6.0%であ
り、実施例1〜3の場合のそれら(3.0〜5.4%)
に比べて若干悪かった。
【0044】実施例5 (B)層に用いる樹脂組成物におけるホモポリプロピレ
ン((株)グランドポリマー製、商品名:S105)と
水素添加スチレン・エチレン・ブタジエン共重合体(旭
化成工業(株)製スチレン系熱可塑性エラストマー、商
品名:タフテックH1042)との混合比(重量比)を
90/10に変えて、表2に示すように95/5にした
こと以外は、実施例1と全く同様にして積層体を成形し
た。続いて、該積層体を23℃、相対湿度65%の部屋
に48時間保存した後、引張弾性率の測定およびヘイズ
の評価を行った。また、上記積層体を70℃、相対湿度
80%でさらに100時間エージングした後のヘイズを
測定し、(B)層から表面への滲み出しによる透明度の
変化を比較した。得られた結果は表1に示す通りであっ
た。
【0045】
【表1】
【0046】実施例6 (B)層に用いる樹脂組成物におけるホモポリプロピレ
ン((株)グランドポリマー製、商品名:S105)と
水素添加スチレン・エチレン・ブタジエン共重合体(旭
化成工業(株)製スチレン系熱可塑性エラストマー、商
品名:タフテックH1042)との混合比(重量比)を
90/10に変えて80/20にしたこと、および、積
層体の厚さ(μm)を(B)/(A)/(B)=20/
140/20に変えて(B)/(A)/(B)=30/
140/30にしたこと以外は、実施例1と全く同様に
して積層体を成形した。続いて、該積層体を23℃、相
対湿度65%の部屋に48時間保存した後、引張弾性率
の測定およびヘイズの評価を行った。また、上記積層体
を70℃、相対湿度80%でさらに100時間エージン
グした後のヘイズを測定し、(B)層から表面への滲み
出しによる透明度の変化を比較した。得られた結果は表
2に示す通りであった。
【0047】実施例7 (B)層を構成する樹脂組成物に用いるポリプロピレン
として、実施例1のものに代えて、融点145℃、密度
0.9g/cm3 のエチレン成分を1重量%含むプロピ
レン・エチレンランダム共重合体((株)グランドポリ
マー製、商品名:E209)を用いたこと、および、積
層体の厚さ(μm)を(B)/(A)/(B)=20/
140/20に変えて(B)/(A)/(B)=30/
140/30にしたこと以外は、実施例1と全く同様に
して積層体を成形した。続いて、該積層体を23℃、相
対湿度65%の部屋に48時間保存した後、引張弾性率
とヘイズを測定した。また、上記積層体を70℃、相対
湿度80%でさらに100時間エージングした後のヘイ
ズを測定し、(B)層から表面への滲み出しによる透明
度の変化を比較した。得られた結果は表2に示す通りで
あった。
【0048】比較例1および2 (B)層に用いる樹脂組成物におけるホモポリプロピレ
ン((株)グランドポリマー製、商品名:S105)と
水素添加スチレン・エチレン・ブタジエン共重合体(旭
化成工業(株)製スチレン系熱可塑性エラストマー、商
品名:タフテックH1042)との混合比(重量比)を
95/5に変えて、それぞれ、表2に示すようにしたこ
と以外は、実施例5と全く同様にして積層体を成形し
た。続いて、該積層体を23℃、相対湿度65%の部屋
に48時間保存した後、引張弾性率の測定およびヘイズ
の評価を行った。また、上記積層体を70℃、相対湿度
80%でさらに100時間エージングした後のヘイズを
測定し、(B)層から表面への滲み出しによる透明度の
変化を比較した。そこで、比較例1および2において得
られた結果を、それぞれ、表2に示す。比較例1におけ
る積層体のヘイズは、23℃、相対湿度65%の部屋に
48時間保存後およびさらに70℃、相対湿度80%で
100時間エージングした後において、それぞれ、5.
9%および57.0%であり、また比較例2における積
層体のヘイズは、48時間保存後およびさらに100時
間エージングした後において、それぞれ、6.7%およ
び8.0%であり、いずれの場合も実施例5の場合のそ
れらの値(48時間保存後:2.3%、100時間エー
ジングした後:3.2%)よりかなり悪く、(B)層か
らの添加剤等の経時的な滲み出しがあったことが分か
る。また、比較例2では、23℃、相対湿度65%の部
屋に48時間保存後の引張弾性率が高く、柔軟性に劣る
ものであることも分かる。
【0049】比較例3 (B)層を構成する樹脂組成物に用いるポリプロピレン
として、実施例7のものに代えて、融点138℃、密度
0.9g/cm3 のエチレン成分を4重量%含むプロピ
レン・エチレンランダム共重合体((株)グランドポリ
マー製、商品名:S235)を用いたこと以外は、実施
例7と全く同様にして積層体を成形した。続いて、該積
層体を23℃、相対湿度65%の部屋に48時間保存し
た後、引張弾性率およびヘイズを測定した。また、上記
積層体を70℃、相対湿度80%でさらに100時間エ
ージングした後のヘイズを測定し、(B)層から表面へ
の滲み出しによる透明度の変化を比較した。得られた結
果は表2に示す通りであった。相対湿度65%の部屋に
48時間保存後さらに70℃、相対湿度80%で100
時間エージングした後の積層体のヘイズが10.8%で
あり、(B)層を構成する樹脂組成物に用いるポリプロ
ピレンとしてエチレン成分を1重量%含むプロピレン・
エチレンランダム共重合体を使用した実施例7の場合の
それ(3.0%)に比べてかなり悪かった。
【0050】比較例4 積層体の厚さ(μm)を(B)/(A)/(B)=20
/140/20に変えて(B)/(A)/(B)=10
/270/10にしたこと以外は、実施例1と全く同様
にして積層体を成形した。続いて、該積層体を23℃、
相対湿度65%の部屋に48時間保存した後、引張弾性
率の測定およびヘイズの評価を行った。また、上記積層
体を70℃、相対湿度80%でさらに100時間エージ
ングした後のヘイズを測定し、(B)層から表面への滲
み出しによる透明度の変化を比較した。得られた結果は
表2に示す通りであった。すなわち、相対湿度65%の
部屋に48時間保存後さらに70℃、相対湿度80%で
100時間エージングした後の積層体のヘイズが13.
3%であり、本比較例では(B)層の各厚さが10μm
(積層体全体厚さの3.4%)であったことから、
(B)層の各厚さが20μm(積層体全体厚さの11.
1%)である実施例1の場合のそれ(5.4%)に比べ
てかなり悪かった。
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】上述の実施例および比較例からも明らか
なように、本発明によれば、中間層と両外面層との少な
くとも3層からなる積層体において、中間層を形成する
樹脂組成物から含有成分の添加剤や低分子量重合物が経
時的に滲み出すことを防止し、該滲み出しによる透明性
の変化の少ない柔軟性に富んだ多層積層体を提供するこ
とができる。したがって、この多層積層体を、例えば、
自動車、家具、金属板、プラスチック製品などの工業製
品にその表面保護を目的として貼り付ける場合や、袋に
して衣料などを包装する場合などにおいて、該多層積層
体からの添加成分の滲み出しがほとんど無く、これら被
保護製品を汚染することも無い。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA07A AA07J AK03A AK03J AK04 AK04A AK09A AK09J AK12A AK12B AK12C AK12J AK29 AK29J AK64B AK64C AK67B AK67C AK80 AL01A AL03B AL03C AL05A AL05B AL05C AL06 AL07B AL07C AL09A AL09B AL09C BA03 BA06 BA10B BA10C BA13 GB17 GB32 GB81 GB90 JA11A JA12A JB16A JB16B JB16C JD16 JK13 JL06 JN01 YY00A YY00B YY00C 4J002 BB12X BB13W BB14W BB14X BB15W BB15X BB17W BB20W BB20X BB21W BB21X BC013 BC053 BC083 BC093 BP013 FD010 FD200 GC00 GF00 GN00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中間層(A)と両外面層(B)との少な
    くとも3層の構成を有し、中間層(A)がプロピレンお
    よび/またはブテン−1成分の含有率が50重量%以上
    の非晶質ポリオレフィン20〜100重量%と結晶性ポ
    リプロピレン80〜0重量%とを含有してなる(ただ
    し、非晶質ポリオレフィンと結晶性ポリプロピレンとの
    合計は100重量%である)樹脂組成物からなる層であ
    り、両外面層(B)が、共重合成分のエチレンおよび/
    またはブテン−1の含有率が3重量%以下であるプロピ
    レンとエチレンおよび/またはブテン−1とのランダム
    共重合体およびプロピレン単独重合体からなる群より選
    ばれるポリプロピレンとスチレン系熱可塑性エラストマ
    ーとを含有してなる樹脂組成物からなるとともに、厚さ
    がそれぞれ全体厚さの8%以上、かつ15μm以上有す
    る層であることを特徴とする多層積層体。
  2. 【請求項2】 両外面層(B)がポリプロピレン98〜
    70重量%とスチレン系熱可塑性エラストマー2〜30
    重量%とを含有してなる(ただし、ポリプロピレンとス
    チレン系熱可塑性エラストマーとの合計は100重量%
    である)樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1
    に記載の多層積層体。
  3. 【請求項3】 両外面層(B)がポリプロピレン95〜
    85重量%とスチレン系熱可塑性エラストマー5〜15
    重量%とを含有してなる(ただし、ポリプロピレンとス
    チレン系熱可塑性エラストマーとの合計は100重量%
    である)樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1
    に記載の多層積層体。
  4. 【請求項4】両外面層(B)を構成するポリプロピレン
    がプロピレン単独重合体である請求項1〜3のいずれか
    1項に記載の多層積層体。
  5. 【請求項5】 中間層(A)がスチレン系熱可塑性エラ
    ストマーを5〜15重量%含有してなる(ただし、非晶
    質ポリオレフィンと結晶性ポリプロピレンと熱可塑性エ
    ラストマーの合計は100重量%である)樹脂組成物か
    らなる層である請求項1〜4のいずれか1項に記載の多
    層積層体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007119540A (ja) * 2005-10-26 2007-05-17 Sumitomo Chemical Co Ltd インフレーションフィルム
WO2020218468A1 (ja) * 2019-04-25 2020-10-29 リケンテクノス株式会社 ダイシングフィルム用基材フィルム、及びダイシングフィルム、並びに製造方法

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WO2020218468A1 (ja) * 2019-04-25 2020-10-29 リケンテクノス株式会社 ダイシングフィルム用基材フィルム、及びダイシングフィルム、並びに製造方法

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