JP2000017883A - 共同住宅 - Google Patents

共同住宅

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JP2000017883A
JP2000017883A JP10199735A JP19973598A JP2000017883A JP 2000017883 A JP2000017883 A JP 2000017883A JP 10199735 A JP10199735 A JP 10199735A JP 19973598 A JP19973598 A JP 19973598A JP 2000017883 A JP2000017883 A JP 2000017883A
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JP
Japan
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frame
floor
dwelling unit
apartment house
beams
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JP10199735A
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English (en)
Inventor
Kunio Watanabe
邦夫 渡辺
Koji Yabuuchi
浩二 薮内
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Mitsui Construction Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Construction Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】施工の手間をかけずかつ経済性を損なうこと無
く、基礎の転倒耐力、骨組の水平耐力、水平剛性等の構
造的特性に富んだ構造とし、特に桁行き方向では、階
高、梁の断面成等の均一化を実現して部材の標準化を促
進し、しかも居住性と高級感を高めること。 【解決手段】筒状構造体17を設け、各フロア空間12
では、この筒状構造体17の梁間方向両側に第1領域A
R1及び第2領域AR2をそれぞれ形成し、第1領域A
R1に、共用廊下15に接続した形でエントランス通路
30を設けると共に、筒状構造体17を挾んだ住戸1
6、16との間を仕切る形で壁部材21、21をそれぞ
れ設け、第2領域AR2に、筒状構造体17を挾んでい
る住戸16、16の一部をそれぞれ配置すると共に、こ
れら住戸16、16間を仕切る形の仕切壁20を設けて
構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マンション等の共
同住宅、特に、奥行が短く、複数の住戸が縦列される板
状の共同住宅に関するものである。
【0002】
【従来の技術】板状タイプの共同住宅などに適用される
骨組構造は、従来、梁間方向は各住戸の戸境壁として耐
震壁を連層配置した連層耐震壁とし、桁行き方向は住戸
を挾んで対面的に配置された1対のラーメン構造体によ
るラーメン骨組とするのが一般的である。このようなタ
イプの共同住宅では、梁間方向の地震力に対して連層耐
震壁が片持梁状に変形して抵抗するようになっており、
この曲げモーメントによって基礎には鉛直力(引抜力又
は圧縮力)が生じるようになっている。通常は、耐震性
等の観点から、建物の塔状比(建物の高さを、基礎の転
倒に有効な柱間長さで割った数値であり、3.5〜4.
0が限界として一般的とされている。但しこの数値は一
例であって限定的なものではない。)は、例えば3.5
以下などのように、所定の値以下に設定されており、こ
れによって基礎に生じる鉛直力が不用意に大きくならな
いように工夫されている。また最近では、上述した板状
タイプの共同住宅を高層化する試みがなされており、こ
のような高層の共同住宅においては、適正な塔状比を確
保するため、梁間方向における建物の幅(転倒有効柱間
長さ)を長くとる工夫が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した板状
タイプの共同住宅では、適正な塔状比を確保したとして
も、構造上、梁間方向の地震力によって基礎に生じる鉛
直力(引抜力又は圧縮力)は建物両側の1対のラーメン
構造体の基礎に集中することになる。耐震性等の観点か
ら、ラーメン構造体に荷重を集中させず他に分散できる
ような構造が望まれている。また、上述した板状タイプ
の共同住宅では桁行き方向の地震力に対して変形する
際、水平変形の上下方向での分布形が典型的な純ラーメ
ン骨組のせん断変形となることが知られている。例えば
桁行き方向において、下層階部位では僅かに凸状に湾曲
し、中層階部位でほぼ直線状になり、上層階部位では大
きく凹状に湾曲するといった具合に変形する。この変形
の傾向は建物が高層化すればするほど強くなる。従って
高層の共同住宅とすると、桁行き方向の梁に発生してい
る応力及び、各階の層間変位が上下階で不均一となるた
め、安全な建物とするためには、梁に発生する応力の違
い及び層間変位の違いに応じて、階高、梁の断面成を各
階毎に設定する、従って、階高、梁の断面成を各階毎に
異ならせるといった工夫が必要である。しかし、これで
は部材の標準化が困難になり、型枠工事、梁部材のプレ
キャスト化等の種々の領域で不利となる。
【0004】また、一般的に建築計画上、1住戸当たり
の専有面積を一定にすることが設計条件とされることが
多く、従って適正な塔状比を確保するため上述したよう
に梁間方向の転倒有効柱間長さを大きくすると桁行き方
向の1住戸当たりのスパン長さが小さくなって、間口が
狭く奥行きが深いといったような細長い平面形の住戸と
なる恐れがある。このように間口が狭く奥行きが深い住
戸をできるだけ解消し、居住性のよい住戸を設ける工夫
が望まれている。また高級感のある住戸を提供すること
が望まれている。
【0005】そこで本発明は上記事情に鑑み、高層で板
状の共同住宅であり、従って梁間方向が細長い立面的形
状でありながら、施工の手間をかけずかつ経済性を損な
うこと無く、基礎の転倒耐力、骨組の水平耐力、水平剛
性等の構造的特性に富んだ構造とし、特に桁行き方向で
は、階高、梁の断面成等の均一化を実現して部材の標準
化を促進でき、しかも居住性が良好で高級感のある住戸
を備えた共同住宅を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のうち第1の発明
は、複数のスラブ(11)が層状に設けられ、水平方向
に伸延形成された本体構造体(4、4A、4B)を有
し、前記本体構造体(4、4A、4B)に、上下に隣接
した前記スラブ(11)間においてフロア空間(12)
をそれぞれ形成し、前記各フロア空間(12)に共用廊
下(15)を、前記本体構造体(4、4A、4B)の伸
延方向に沿って設け、前記各フロア空間(12)に複数
の住戸(16)を、該フロア空間(12)の前記共用廊
下(15)に隣接した形で前記伸延方向に沿って配設し
た共同住宅(1、1A、1B)において、前記本体構造
体(4、4A、4B)の内部に枠形柱状耐震構造体(1
7)を、前記複数のフロア空間(12)に亙って、前記
複数のスラブ(11)を上下に貫通する形で有し、前記
枠形柱状耐震構造体(17)は、前記各フロア空間(1
2)内で、前記伸延方向両側から前記住戸(16、1
6)により挾まれ、かつ前記伸延方向と交差する所定の
梁間方向において前記共用廊下(15)から離れた形で
配置して構成される。
【0007】また本発明のうち第2の発明は、第1の発
明による共同住宅において、前記各フロア空間(12)
内において、前記枠形柱状耐震構造体(17)と前記共
用廊下(15)との間に、該共用廊下(15)に接続し
た形で共用進入路(30)を設けると共に、前記枠形柱
状耐震構造体(17)を前記伸延方向両側から挾んでい
る前記住戸(16)と該共用進入路(30)との間を仕
切る形で第1の住戸仕切壁(21)を設け、前記各フロ
ア空間(12)内において、前記枠形柱状耐震構造体
(17)の前記梁間方向側方で前記共用進入路(30)
と背向した側に、該枠形柱状耐震構造体(17)を挾ん
でいる前記住戸(16)の一部を配置した。
【0008】また本発明のうち第3の発明は、第2の発
明による共同住宅において、前記第1の住戸仕切壁(2
1)に住戸出入口(21a)を形成した。
【0009】また本発明のうち第4の発明は、第1の発
明による共同住宅において、前記本体構造体(4、4
A、4B)は、複数の柱(6A、6B)及び梁(7A、
7B)からなるラーメン構面構造体(9A、9B、9
P、9Q、9R、9S)を、前記伸延方向に伸延した形
で有し、前記枠形柱状耐震構造体(17)は、前記梁間
方向の第1の壁部(17b)と、前記伸延方向の第2の
壁部(17d)により枠形柱状に形成されており、前記
枠形柱状耐震構造体(17)は、前記第1の壁部(17
b)が、前記ラーメン構面構造体(9B、9Q、9R)
の有する前記柱(6A、6B)の1つと前記梁間方向に
整列する形で配置されている。
【0010】なお、括弧内の番号等は、図面における対
応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述
は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき説明する。図1は、本発明の共同住宅の一例で
ありその基準階を示した平断面図、図2は、図1に示す
基準階のうち一部を拡大して示した詳細図、図3は、図
1に示す共同住宅の側断面図、図4は、本発明の共同住
宅の別の一例でありその基準階の一部を示した平断面
図、図5及び図6は、本発明の共同住宅の別の一例であ
りその基準階を示した平断面図である。
【0012】共同住宅1は、図3に示すように地盤50
に、複数の杭2、地中梁3、基礎5からなる基礎構造物
51を有しており、これら基礎構造物51上には該共同
住宅1の基本構造のうち後述する筒状構造体17を除い
たものである本体構造体4が立設されている。本体構造
体4は、基礎構造物51上に立設された形の複数の柱6
A及び複数の柱6B(柱6A、6Bの横断面形状は、矩
形、長方形、円形等がよく用いられるが、柱として機能
を発揮することができればどのような形状でもよい。)
を有しており、複数の柱6A(バルコニの外側)は、図
1及び図2に示すように、本体構造体4の水平な伸延方
向、従ってこの場合には共同住宅1の桁行き方向となる
図の矢印C、D方向に一列に並んで配置されており、ま
た複数の柱6B(共用廊下の外側)も図の矢印C、D方
向に一列に並んで配置されている。更に、各柱6Aと各
柱6Bは、桁行き方向と直角な共同住宅1の梁間方向で
ある図の矢印A、B方向に一対一で向かい合って配置さ
れており、各柱6Aは対応する柱6Bに対して一定の柱
間長さL1の間隔で矢印A側に位置している。この柱間
長さL1が該共同住宅1における梁間方向の転倒有効柱
間長さとなっている。複数の柱6Aには、桁行き方向で
ある矢印C、D方向に伸延した水平な梁7Aが複数層状
に支持されており、これら複数の柱6A及び複数の梁7
Aによって、桁行き方向である矢印C、D方向に伸延し
た第1ラーメン構面構造体9Aが構成されている。ま
た、複数の柱6Bには、桁行き方向である矢印C、D方
向に伸延した水平な梁7Bが複数層状に支持されてお
り、これら複数の柱6B及び複数の梁7Bによって、桁
行き方向である矢印C、D方向に伸延した第2ラーメン
構面構造体9Bが構成されている。このように本実施例
では、本体構造体4はラーメン構面構造体9A、9Bを
有しているが、別の例としてラーメン構面構造体9A、
9Bの代わりに壁構造や壁式ラーメンなどその他の構造
体を採用することも可能である。また本実施例では共同
住宅1は基礎構造物51のみが地盤50中に設けられて
いるが、別の例として、例えば図3の二点鎖線に示すよ
うに、基礎構造物51より上の途中階までを地盤50中
に設けるようにしてもよい(即ち地下1階や地下2階等
を設けてもよい。)。
【0013】上述した第1及び第2ラーメン構面構造体
9A、9B間には、図3に示すように、これらラーメン
構面構造体9A、9Bにより支持される形でスラブ11
が複数層状に設けられており、上下に隣接するスラブ1
1、11間にはフロア空間12がそれぞれ形成されてい
る。なお、本実施例の共同住宅1は地上20階(地上高
さ約61m)の高層共同住宅となっており、該共同住宅
1は、図1に示すように建物の奥行き(梁間方向の長
さ)が桁行き方向の長さよりも短く、従って、梁間方向
が細長い立面形状であり、平面形状が一直線状に伸延し
た板状の共同住宅となっている。この共同住宅1の塔状
比、即ち建物の高さを基礎の転倒に有効な転倒有効柱間
長さ(上述した柱間長さL1)で割った数値は所定の数
値(約3.5)以下となっている。また上述したラーメ
ン構面構造体9A、9B間には、図1及び図2に示すよ
うに、基本的に鉛直な壁状で、梁間方向である矢印A、
B方向に伸延した連層耐震壁構造体60が複数設置され
ている。各連層耐震壁構造体60は、梁間方向に伸延し
た鉛直な連層耐震壁13を有しており、この連層耐震壁
13は1階から20階の複数のフロア空間12に亙っ
て、従って各階のフロア空間12を仕切る形(必ずしも
空間を左右に完全に分断して仕切る必要はない)で形成
されている。複数の連層耐震壁13は桁行き方向(図の
矢印C、D方向)に、基本的に所定のスパン長(桁行き
方向に並ぶ柱6A、6A(6B、6B)間のスパン長さ
に等しい)を空けて並んで配置されている。
【0014】なお、各連層耐震壁13はラーメン構面構
造体9A、9Bに接しておらず、従って各連層耐震壁1
3と第1ラーメン構面構造体9Aとの間には、図1及び
図2に示すように、所定の大きさの間隔L11が矢印
A、B方向に形成され、各連層耐震壁13と第2ラーメ
ン構面構造体9Bとの間には所定の大きさの間隔L13
が矢印A、B方向に形成されている。なお連層耐力壁1
3の梁間方向(矢印A、B方向)の幅L12はいずれも
等しくなっている(但し、必ずしも等しくする必要はな
い。)。各階のフロア空間12には、第2ラーメン構面
構造体9Bに隣接する形で桁行き方向である矢印C、D
方向に伸延した共用廊下15が設置されており(共用廊
下15は連層耐震壁13と第2ラーメン構面構造体9B
の間に配置)、また各階のフロア空間12には、共用廊
下15の矢印A側に隣接した形で複数の住戸16が桁行
き方向である矢印C、D方向に沿って一列縦列に並んだ
形で配設されている。同一フロア空間12内では、互い
に隣接する住戸16、16の間は、図2に示すように、
上述した各連層耐震壁13及びこの連層耐震壁13の矢
印A、B方向両側に設置した壁部材61、61(非耐力
壁であり連層耐震壁構造体60の一部ではない。図1で
は簡単のため省略しており、図2では二点鎖線により図
示している。)からなる戸境壁62によって基本的に仕
切られている(一部例外あり)。また各住戸16は第1
ラーメン構面構造体9Aに接する形で配置されており、
各住戸16のバルコニ16aが第1ラーメン構面構造体
9Aに隣接して形成されている。なお本明細書では「住
戸」とは室内領域以外にも該室内領域と隣接した領域で
居住者が専用的に使用する領域をも含むものと定義す
る。具体的にはバルコニや専用ポーチ等が住戸に含まれ
る。
【0015】なお上述した各連層耐震壁13と、これと
梁間方向に対向する第1ラーメン構面構造体9Aの柱6
Aとの間(即ち図の間隔L11に対応する箇所)及び、
各連層耐震壁13と、これと梁間方向に対向する第2ラ
ーメン構面構造体9Bの柱6Bとの間(即ち図の間隔L
13に対応する箇所)には、連層耐震壁13と柱6A
(又は柱6B)を接続する形で、上述した連層耐震壁構
造体60の一部をなす境界梁10a(図1では簡単のた
め線で表示し、図2では破線で表示している)が設けら
れており、該境界梁10aは柱6A(又は柱6B)及び
連層耐震壁13に対して剛接合されている。即ち、各境
界梁10aは柱6A(又は柱6B)とラーメン架構を構
成し、連層耐震壁構造体60に対して地震時の壁体の変
形を拘束する梁として機能するようになっている。
【0016】ところで、上述した基礎構造物51上に
は、図1乃至図3に示すように、鉛直な四角柱の形をし
た枠形柱状耐震構造体である筒状構造体17が、ラーメ
ン構面構造体9A、9Bの間で、かつ上述した複数の連
層耐震壁構造体60と桁行き方向である矢印C、D方向
に並んだ形で複数立設されている。複数の筒状構造体1
7は桁行き方向である矢印C、D方向に並列に配置され
ているが、これは図1に示すように一直線上にきちんと
並んでいる必要はなく、例えば矢印C、D方向に並んで
さえいれば多少千鳥状に並んでいても差し支えない。筒
状構造体17の壁部17aは耐震壁で構成されている
(即ち、各筒状構造体17は耐震壁部材により枠形柱状
に形成されている。)。具体的には、筒状構造体17は
耐震壁部材を折り曲げる形で形成され、かつ水平断面形
状を四角形の中空断面形としており、従って鉛直方向に
は筒状体となっている。各筒状構造体17は1階のフロ
ア空間12から20階までの複数のフロア空間12に亙
って複数のスラブ11を上下に貫通した形で配置されて
いる。なお、枠形柱状耐震構造体である筒状構造体17
の高さは、図3に示す本実施例でのように地上1階から
20階までの全階に亙る高さに限定されず、例えば地上
1階から15階など途中階までの高さであってもよい。
筒状構造体17は、その水平断面は大きな中空断面を成
し、基礎構造体51の上に立設されているので、それ自
体で独立した1個の箱型断面柱として機能する。従っ
て、筒状構造体17は、床、梁等の長期鉛直荷重を支え
ると共に、桁行き方向、梁間方向の2方向の地震力を有
効に負担することができる。各筒状構造体17は大きな
箱型断面の柱と、その壁部17aのうち桁行き方向に伸
延した2つの部位17d、17dと梁間方向に伸延した
2つの部位17b、17bをもち、これら部位17d、
17bによって2方向(桁行き方向、梁間方向)の地震
力に有効に抵抗するようになっている。筒状構造体17
の壁部17aのうち梁間方向である矢印A、B方向に伸
延した2つの部位17b、17bは、いずれも図2に示
すように第1ラーメン構面構造体9Aの1つの柱6A
と、第2ラーメン構面構造体9Bのうち前記柱6Aに対
して矢印A、B方向に対向した1つの柱6Bに対して梁
間方向である矢印A、B方向に対応整列して配置されて
おり、従ってこれら対応する柱6A、6Bと同一架構面
内となっている。本実施例では図2に示すように、筒状
構造体17の梁間方向の幅は上述した連層耐力壁13の
幅L12と等しく(なお、必ずしも筒状構造体17と連
層耐力壁13の幅を同一にする必要はない)、梁間方向
の転倒有効柱間長さである前記柱間長さL1の略3分の
1となっており(但し3分の1に限定されず、幅L12
は柱間長さL1より小さければよい。)、複数の筒状構
造体17及び複数の連層耐力壁13の配置位置は矢印
C、D方向(桁行き方向)に揃っている。言い替えれ
ば、各筒状構造体17の位置においては、上述した連層
耐震壁構造体60の代わりに該筒状構造体17の部位1
7bが配置された格好になっている。筒状構造体17の
水平断面の桁行き方向、梁間方向の幅は、筒状構造体1
7が1つの構造部材としての必要な断面性能という構造
計画上から、また、住戸空間の間口、筒状構造体17の
内部の吹抜空間23の必要寸法という建築計画上から任
意に決定することができる。また図2に示すように、壁
部17aの壁厚は住戸16に対する遮音性能、構造部材
としての耐力、水平剛性等を考慮して決定されている。
壁部17aの構造種別は鉄筋コンクリート造が一般的と
なるであろうが、壁部17aの内部に鉄骨ブレースを内
蔵した鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)とすること
も可能であるし、鉄骨ブレースで鉄骨造の耐震壁とする
こともできる。この筒状構造体17は立面的に細長いの
で通常の連層耐震壁と柱との中間である壁式ラーメン骨
組の特徴を有している。
【0017】また、各筒状構造体17は各フロア空間1
2において、図2に示すように、その矢印C、D方向の
両側から住戸16、16に挾まれた形で配置されてお
り、各筒状構造体17の梁間方向両側には第1領域AR
1及び第2領域AR2が形成されている(図2中で第1
領域AR1及び第2領域AR2の箇所は網ハッチングで
示している。)。第1領域AR1は筒状構造体17の矢
印B側に隣接し、該筒状構造体17と共用廊下15に挾
まれて配置されており、第2領域AR2は筒状構造体1
7の矢印A側に隣接し、該筒状構造体17とバルコニ1
6aに挾まれて配置されている。各フロア空間12にお
いて筒状構造体17を挾む住戸16、16の一部は、図
2に示すように第2領域AR2に配置されており、従っ
てこれら住戸16、16はL字型に形成されている。第
2領域AR2には、筒状構造体17と矢印A、B方向、
即ち梁間方向に隣接接続する形で仕切壁20(本実施例
では非耐力壁であるが耐震壁部材からなっていてもよ
い)が設置されており、上述した住戸16、16はこの
仕切壁20によって仕切られている。なお仕切壁20の
位置は第2領域AR2の中央に限定されず、住戸プラン
に従って自由に決められる。例えば図2の二点鎖線で示
すような位置に仕切壁20を配置しても良い。なお、図
2では第2領域AR2に住戸16のうち室内空間を配置
しているが、バルコニ等の外部空間を配置しても良い。
例えば、第2領域AR2を外部空間とし、屋外庭園とし
て利用してもよい。また、筒状構造体17を挾んでいる
2つの住戸16、16の間に仕切壁20を設けず、これ
ら2つの住戸16、16を1つの住戸としても良い(こ
のような住戸は2世代住宅などとして利用することも可
能である。)。各第1領域AR1には共用廊下15と接
続した形でエントランス通路30がそれぞれ設けられて
おり、従って前記筒状構造体17を挾んでいる住戸1
6、16は、該筒状構造体17の矢印B側に隣接したエ
ントランス通路30をも挾んで配置されている。このエ
ントランス通路30と、該エントランス通路30を挾む
各住戸16との間には梁間方向に伸延した壁部材21
(本実施例では非耐力壁であるが耐震壁部材からなって
いてもよい)がそれぞれ設けられており、該壁部材21
によってエントランス通路30と住戸16内が仕切られ
ている。各壁部材21は、その矢印A側に対応した筒状
構造体17の部位17bと、梁間方向である矢印A、B
方向に整列対応して配置され、かつ接続されている。な
お、壁部材21の位置は、筒状構造体17の部位17b
と梁間方向に整列対応した位置に限定されず自由に決め
ることができる。例えば図2の二点鎖線で示すような位
置に壁部材21を配置してもよい。各壁部材21には、
該壁部材21が仕切る住戸16についての玄関口21a
が設けられており、この玄関口21aにはドアが開閉自
在に設けられている。つまりエントランス通路30を挾
んだ住戸16、16については、その玄関口21a、2
1aが該エントランス通路30を挾んで桁行き方向(矢
印C、D方向)に対向している。但し、別の例として、
玄関口を共用廊下15に隣接した位置に設け、第1領域
AR1の一部又は全部を筒状構造体17を挾んだ住戸1
6の一部として利用することも可能である。本実施例で
は図1に示すように、筒状構造体17は3個設けられて
いるが、その個数は構造計画、建築計画の両方の観点か
ら任意に決定され、更にその配置位置も図1等に示した
位置に限定されるものでない。各筒状構造体17は、そ
の水平断面が基本的に環状になっており、共用廊下15
側の部位17dに開口部19を有している(なおこの開
口部19がないタイプも可能である。)。筒状構造体1
7の内部には、図1乃至図3に示すように中空の吹抜空
間23が上下に伸延した形で形成されている。各筒状構
造体17の吹抜空間23には図示しない階段ユニット
(上下階の往来用であり、開口部19は階段室への出入
口となる)、或いは図示しないエレベータユニット(上
下階の往来用であり、開口部19はエレベータへの出入
口となる)、或いは公知の立体駐車機(立体駐車場とし
て使用し、開口部19がないタイプとなる)等が設置さ
れている。更に別の例として筒状構造体17の内部をト
ランクルーム等として利用することも可能であるし、筒
状構造体17の内部を下半分は立体駐車場とし、上半分
をトランクルームとするような利用も可能である。更に
図3のように筒状構造体17を建物の最上階までの大き
さとはせず、途中階(例えば20階建てならば15階な
どの途中階)までの大きさとしてもよく、この場合には
前記筒状構造体17より上の階(例えば16階から20
階)では該筒状構造体17の上に対応する位置に住戸
(又は住戸の一部)を配置するようにしてもよい。
【0018】上述した第1及び第2ラーメン構面構造体
9A、9Bの柱6A、6Bのうち、各筒状構造体17と
梁間方向に対向した柱6A、6Bと、該筒状構造体17
の間、具体的には、図1乃至図3に示すように、該筒状
構造体17の各部位17bと矢印A、B方向に対応対向
した柱6A、6Bの間には、これら柱6A、6Bと筒状
構造体17、従ってこれら柱6A、6Bと部位17bを
接続する形で、境界梁26、26が設けられている(図
1では簡単のため境界梁26を線で示している。)。こ
の境界梁26は1つの筒状構造体17に対して、平面的
には4つ(図2)、上下方向にはラーメン構面構造体9
A、9Bの梁7A、7Bの高さ位置に対応して複数個設
けられている。なお住戸16内とエントランス通路30
とを仕切る上述した各壁部材21は、上下に隣接する境
界梁26、26間に挾まれた形で配置されている(但
し、壁部材21の位置はこれに限定されない。)。境界
梁26は筒状構造体17及び柱6A(又は柱6B)と剛
接合されており、該柱6A(又は柱6B)と一体化して
ラーメン架構を構成すると共に、筒状構造体17に対し
ては地震時の壁部17aの変形を拘束する梁として機能
するようになっている。境界梁26の構造種別はRC
造、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)鉄骨コンクリ
ート造(SC造)、鉄骨造のいずれでも良い。地震時に
は境界梁26に大きな曲げモーメントとせん断力が発生
するので、特にせん断耐力に有効な断面仕様とする。R
C造では、あばら筋の鉄筋経を太くし間隔を密にするこ
とが多いが、高強度の鉄筋、X字型のせん断補強筋を使
用すれば更に効果的である。SRC造、SC造、鉄骨造
では鉄骨部材としてH形鋼、鋼材種別としては一般用鋼
材(例えば、SN400B、SN490B等)が好適で
ある。筒状構造体17をRC造又はSRC造で、また境
界梁26を鉄骨造で構成すると、境界梁26の変形性能
を利用して構造物の靭性を高めることができる。鉄骨造
は靭性に富むので、地震時に境界梁26の材端部が降伏
しても変形性能を保持しエネルギーを吸収する。また別
の例として、図示しないが、境界梁26は各階毎にでは
なく所定の階だけに設けることもできる。例えば境界梁
26を、最上階と最下階の2ヵ所にだけ設け、途中階に
は設けないようにしたり、境界梁26を数階に1ヵ所ず
つ設けてもよい。なお、前記した実施例では1つの筒状
構造体17に連結している境界梁26は、当該階で平面
的に4つ設けているが、必ずしもこれに限定されない。
例えば1つの筒状構造体17に連結している境界梁26
は、当該階で平面的に1つ以上であればよい。
【0019】共同住宅1は以上のよう構成されているの
で、該共同住宅1に梁間方向の地震力が作用すると、第
1及び第2ラーメン構面構造体9A、9Bの柱6A、6
Bと共に筒状構造体17が地震力を分散して負担するの
で、引張力、圧縮力が柱6A、6B側のみに集中せずほ
ぼ均等に分散する。従って、両側の柱6A、6Bに生じ
ている引張力、圧縮力が相対的に減少し、これによって
柱6A、6Bの断面設計が楽になるのみならず、基礎構
造物51に働く鉛直力が減少するので基礎構造物51が
簡単なもので済む。このように梁間方向では、地震時の
基礎の転倒に有利であり、しかも建物自体が靭性、耐力
のある優秀な耐震性能を有するので、塔状比の大きな細
長い立面形状を呈する高層の共同住宅に有利である。
【0020】また、共同住宅1に対して桁行き方向に地
震力が作用した際の該共同住宅1の変形について、桁行
き方向における水平変形の上下方向の分布形(図示せ
ず)は、下層階部位では僅かに凸状に湾曲し、中層階部
位、上層階部位ではほぼ直線状に分布する。これは桁行
き方向では、第1及び第2ラーメン構面構造体9A、9
Bに加えて筒状構造体17が設けられたことが影響して
おり、下層階部位の凸状湾曲形状は筒状構造体17を配
置したことの効果で、筒状構造体17が片持ち梁状に曲
げ変形し、地震力の作用側に対して建物全体が半弓状に
しなる傾向が卓越したものである。中層階部位、上層階
部位の直線状変形分布はラーメン骨組の影響がやや強く
なっている。このように地震時には筒状構造体17が水
平力を負担しているので、ラーメン構面構造体9A、9
Bの負担水平力が特に中層階〜下層階で軽減され、桁行
き方向の梁7A、7Bに発生している応力、各階の層間
変位が上下方向で均一になる。従って、高層共同住宅で
あっても、階高、梁の断面成を全階に亙って同一とする
ことができ、部材の標準化を促進するので、型枠工事、
梁部材のプレキャスト化等種々の領域で利点を発揮す
る。また桁行き方向の骨組の水平剛性、水平耐力が向上
されており、桁行き方向と梁間方向の両方向の骨組の水
平剛性が同じになる傾向を示し、バランスの良い骨組と
なる。
【0021】また共同住宅1によると、筒状構造体17
を挾む形で隣接した各住戸16では、第2領域AR2に
該住戸16の一部を配置していることから(住戸の平面
形式がL字型となっていることから)、バルコニ16a
側における住戸幅(間口)が相対的に大きくなってい
る。これにより採光や通風に有利で居住性に富む住戸と
なっている。更に、筒状構造体17やエントランス通路
30の部分は住戸16の一部とならないことから、前記
住戸16の専有面積は大きくなりすぎないように抑えら
れ、専有面積の割りに間口の大きい住戸16となり好都
合である。特に共同住宅1は高層であり、塔状比は上述
したように所定の数値(約3.5)以下になっており、
そのため建物の梁間方向の長さ(柱間長さL1)が比較
的長くなっているが、住戸16の専有面積の増大を抑
え、間口を極力大きくとれるので、細長い住戸とならず
に済み好都合である。更に、第1領域AR1を利用して
エントランス通路30が設けられているので、共用廊下
15に変化があり高級感が高い。なお別の実施例として
このエントランス通路30を、住戸16の専用ポーチ等
として利用してもよいし、共用廊下15をすれ違う際の
退避場所(例えば車椅子等のすれ違い)として利用して
もよい。更に住戸の室内空間の一部として利用してもよ
い。
【0022】また本実施例では、エントランス通路30
に隣接する形で住戸16、16の玄関口21a、21a
が設けられており、従ってこれら玄関口21a、21a
は桁行き方向である矢印C、D方向に面している。即
ち、共用廊下15に隣接し梁間方向に面した形の通常の
玄関口29(図1等に図示)をもつ住戸に比べ高級感の
ある住戸が実現している。特に玄関口21aは共用廊下
15に隣接していないので、玄関口21aのドアを開放
した際にも共用廊下15から、或いは共用廊下15を隔
てて建物外部から室内が覗かれることなくプライバシー
が守られ好都合である。
【0023】また本実施例では、筒状構造体17からの
境界梁26がある位置に壁部材21を設置する場合は、
境界梁26は住戸16の室内には極力現れずに済むため
居住性及び美観において有利である。また筒状構造体1
7を挾む住戸16、16に対する住戸境壁42(図2で
示す)を構成する壁部材21及び筒状構造体17の壁部
17bは梁間方向に並んでいるので、該住戸境壁42に
は凹凸がなく平らな壁面となり好都合である。
【0024】また、筒状構造体17の部分は吹抜空間と
した場合は施工床面積に含まれないので、本実施例のよ
うに共同住宅1が高層であり、塔状比を適正な値にする
ため建物の梁間方向の長さが長くなっている場合でも、
施工床面積を極力増大させずに済み、よって建築に手間
がかからず工事費を抑えることができる。また、住戸1
6の専有面積を大きくなり過ぎないように配置された筒
状構造体17内の吹抜空間23は、住戸16としては使
用されないが、その代わりに階段ユニット(不図示)や
立体駐車機(不図示)が設けられ昇降用の階段や立体駐
車場として有効利用されるので好都合である。
【0025】なお上述した筒状構造体17は、梁間方向
の部位17b、17bをもつことにより、梁間方向の水
平耐力、軸耐力、基礎の転倒耐力が増大されており、桁
行き方向の部位17d、17dをもつことにより、部位
17dを桁行き方向につなぐ大梁を必ずしも配置するこ
となく、第1及び第2ラーメン構面構造体9A、9Bに
対する負担を軽減でき構造的な利点がある。また、ラー
メン構面構造体9A、9Bに対する負担を軽減できるの
で、従来のように住戸を横切る形で桁行き方向に伸延す
る梁を設ける必要がなく、従って室内に梁が極力現れず
に済むため居住性及び美観において有利である。なお上
述した実施例では、筒状構造体17の水平断面は開口部
をもつ環状となっていたが、筒状構造体17の水平断面
はこれ以外にも閉鎖した環状となっていてもよい。また
例えば筒状構造体17の水平断面はコの字型としてもよ
く(図示せず)、この場合には筒状構造体17の部位1
7dは1つだけとなる。
【0026】別の実施例として図4に示すように、第1
ラーメン構面構造体9Aをバルコニ16aの内側(図の
矢印B側)に、第2ラーメン構面構造体9Bを共用廊下
15の内側(図の矢印A側)にそれぞれ隣接配置し、ラ
ーメン構面構造体9A、9Bのうち互いに対向する柱6
A、6B間に、これら柱6A、6Bに直接接続する形で
連層耐震壁70を設けてもよい(この場合、連層耐震壁
70が各フロア空間12での戸境壁となる。)。また上
述した実施例では図1に示すように、共同住宅1はその
平面形状が一直線状に伸延した板状の共同住宅となって
いるが、板状の共同住宅はその平面形状がL字型やコの
字型等に屈曲した線状となっていてもよい。例えば、図
5に示す共同住宅1Aのように平面形状がL字型に屈曲
していてもよい。即ちこの場合は、本体構造体4Aは、
図5の紙面上側部分では矢印A、B方向(紙面上下方
向)である水平方向に伸延形成され、図5の紙面下側部
分では矢印A、B方向に直角な矢印C、D方向(紙面左
右方向)である水平方向に伸延形成されている。本体構
造体4Aの有する第1及び第2ラーメン構面構造体9
A、9Bも共にL字型に屈曲したものとなっている。
【0027】また、共同住宅の基準階の平面形式は片廊
下方式に限らず、中廊下方式でもよい。例えば、図6に
示す共同住宅1Bのように、本体構造体4Bは一直線状
に桁行き方向である矢印C、D方向に伸延形成されてい
るが、各フロア空間12には複数の住戸16が桁行き方
向である矢印C、D方向に沿って図6紙面で上下2列で
配設されている。従って、各フロア空間12の共用廊下
15は、複数の住戸16による列と列の間に挾まれて配
置されている。つまりこの例では、本体構造体4Bは、
各フロア空間12における、複数の住戸16からなる各
列の両側に配置される形で、第1及び第2ラーメン構面
構造体9P、9Qと、第1及び第2ラーメン構面構造体
9R、9Sを有している。第1及び第2ラーメン構面構
造体9P、9Qの間及び、第1及び第2ラーメン構面構
造体9R、9Sの間には、複数の筒状構造体17及び複
数の連層耐震壁構造体60が複数の住戸16と共に桁行
き方向である矢印C、D方向に並んで配置されている。
【0028】その他にも、図示しないが共同住宅の基準
階の平面形式は様々なものが可能である。更に基礎構造
物51は杭基礎としたが、本発明はこれに限定されず、
例えば直接基礎としてもよい。また共同住宅1は20階
建てとしたが階数に限定されるものではなく、地下にも
構造体(例えば、地下駐車場、機械室、倉庫等として利
用)を設けることもできる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明のうち第1の
発明は、複数のスラブ11等のスラブが層状に設けら
れ、水平方向に伸延形成された本体構造体4、4A、4
B等の本体構造体を有し、前記本体構造体に、上下に隣
接した前記スラブ間においてフロア空間12等のフロア
空間をそれぞれ形成し、前記各フロア空間に共用廊下1
5等の共用廊下を、前記本体構造体の伸延方向に沿って
設け、前記各フロア空間に複数の住戸16等の住戸を、
該フロア空間の前記共用廊下に隣接した形で前記伸延方
向に沿って配設した共同住宅において、前記本体構造体
の内部に筒状構造体17等の枠形柱状耐震構造体を、前
記複数のフロア空間に亙って、前記複数のスラブを上下
に貫通する形で有し、前記枠形柱状耐震構造体は、前記
各フロア空間内で、前記伸延方向両側から前記住戸によ
り挾まれ、かつ前記伸延方向と交差する所定の梁間方向
において前記共用廊下から離れた形で配置して構成され
るので、本発明による構造をもつ共同住宅は、基礎の転
倒耐力、骨組の水平耐力、水平剛性等の構造的特性に富
んだものとなる。具体的には、共同住宅体における梁間
方向や桁行き方向等の水平な方向の地震力は、枠形柱状
耐震構造体にも分散し負担されるので、本体構造体に引
張力、圧縮力が集中しなくて済む。従って本体構造体に
おける柱や梁の断面設計等が楽になるのみならず、基礎
構造物51に働く鉛直力が減少するので基礎構造物51
が簡単なもので済む。更に、本体構造体に地震力が集中
しないので、その分、本体構造体の変形が小さくなり、
例えば各階の層間変位等が上下方向で均一になる。従っ
て、高層共同住宅であっても、階高、梁の断面成を全階
に亙って同一とすることができ、部材の標準化を促進す
るので、型枠工事、梁部材のプレキャスト化等種々の領
域で利点を発揮する。また枠形柱状耐震構造体の部分は
施工床面積に含まれないので、建物の梁間方向の長さを
長くしても施工床面積を極力増大させずに済み、よって
建築に手間がかからず工事費を抑えることができる。更
に大きな利点として、本発明の共同住宅によると、枠形
柱状耐震構造体の周囲の領域を利用し、該枠形柱状耐震
構造体を挾み或いは囲む形でLの字型やコの字型に住戸
を配置できるので、多種多様な平面計画が実現され居住
性と高級感を高めることができる。
【0030】また本発明のうち第2の発明は、第1の発
明による共同住宅において、前記各フロア空間内におい
て、前記枠形柱状耐震構造体と前記共用廊下との間に、
該共用廊下に接続した形でエントランス通路30等の共
用進入路を設けると共に、前記枠形柱状耐震構造体を前
記伸延方向両側から挾んでいる前記住戸と該共用進入路
との間を仕切る形で壁部材21等の第1の住戸仕切壁を
設け、前記各フロア空間内において、前記枠形柱状耐震
構造体の前記梁間方向側方で前記共用進入路と背向した
側に、該枠形柱状耐震構造体を挾んでいる前記住戸の一
部を配置したので、第1の発明による効果に加えて、本
発明の共同住宅によると、枠形柱状耐震構造体を挾む各
住戸では、該枠形柱状耐震構造体の梁間方向側方で共用
進入路と背向した側に該住戸の一部を配置していること
から、共用廊下と背向する側(例えばバルコニ16a
側)における住戸幅(間口)が相対的に大きくなってい
る。これにより採光や通風に有利で居住性に富む住戸が
実現している。更に、枠形柱状耐震構造体の部分や共用
進入路は住戸の一部とならないことから、前記住戸の専
有面積は大きくなりすぎないように抑えることができ、
専有面積の割りに間口の大きい住戸が実現でき好都合で
ある。特に、高層の共同住宅とする際、従って塔状比を
所定の数値以下とし、各住戸の梁間方向の奥行きを長く
せざるを得ない場合には、本発明では、住戸の専有面積
の増大を抑え、間口を極力大きくとれるので、細長い住
戸とならずに済み好都合である。更なる利点として、本
発明では枠形柱状耐震構造体と共用廊下の間の領域を利
用して共用進入路が設けられているので、共用廊下に変
化があり高級感が高い。また、この共用進入路は、住戸
の玄関前におけるエントランス通路30や専用ポーチな
どとして利用できる他、共用廊下をすれ違う際の退避場
所(例えば車椅子等のすれ違い)としても利用できるな
ど実用性が高い。
【0031】また本発明のうち第3の発明は、第2の発
明による共同住宅において、前記第1の住戸仕切壁に玄
関口21a等の住戸出入口を形成したので、枠形柱状耐
震構造体を挾む住戸の住戸出入口は共用進入路に隣接
し、かつ本体構造体の伸延方向(桁行き方向)に面して
いることから、第2の発明による効果に加えて、共用廊
下に隣接し梁間方向に面した形の通常の住戸出入口に比
べ高級感のある住戸が実現する。特に住戸出入口が共用
廊下に隣接していないので、玄関のドアを開放した際に
もプライバシーが守られ好都合である。
【0032】また本発明のうち第4の発明は、第1の発
明による共同住宅において、前記本体構造体は、複数の
柱6A、6B等の柱及び梁7A、7B等の梁からなる第
1ラーメン構面構造体9A、9P、9R、第2ラーメン
構面構造体9B、9Q、9S等のラーメン構面構造体
を、前記伸延方向に伸延した形で有し、前記枠形柱状耐
震構造体は、前記梁間方向の第1の壁部と、前記伸延方
向の第2の壁部により枠形柱状に形成されており、前記
枠形柱状耐震構造体は、前記第1の壁部が、前記ラーメ
ン構面構造体の有する前記柱の1つと前記梁間方向に整
列する形で配置されているので、第1の発明による効果
に加え、枠形柱状耐震構造体の第1の壁部とラーメン構
面構造体の柱との間に境界梁26等の梁を設けるような
場合でも、該梁は第1の住戸仕切壁に沿って配置される
ため、室内には極力現れずに済むため居住性及び美観に
おいて有利である。更に枠形柱状耐震構造体は、梁間方
向の第1の壁部をもつことにより、梁間方向の水平耐
力、軸耐力、基礎の転倒耐力が増大され、伸延方向(桁
行き方向)の第2の壁部をもつことにより、ラーメン構
面構造体に対する負担を軽減でき、構造的な利点もあ
る。また、ラーメン構面構造体に対する負担を軽減でき
るので、住戸を横切る形で伸延方向(桁行き方向)の梁
を設ける必要がなくなり、従って室内に梁が極力現れず
に済むため居住性及び美観において有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の共同住宅の一例でありその基
準階を示した平断面図である。
【図2】図2は、図1に示す基準階のうち一部を拡大し
て示した詳細図である。
【図3】図3は、図1に示す共同住宅の側断面図であ
る。
【図4】図4は、本発明の共同住宅の別の一例でありそ
の基準階の一部を示した平断面図である。
【図5】図5は、本発明の共同住宅の別の一例でありそ
の基準階を示した平断面図である。
【図6】図6は、本発明の共同住宅の別の一例でありそ
の基準階を示した平断面図である。
【符号の説明】
1、1A、1B……共同住宅 4、4A、4B……本体構造体 6A、6B……柱 7A、7B……梁 9A、9P、9R……ラーメン構面構造体(第1ラーメ
ン構面構造体) 9B、9Q、9S……ラーメン構面構造体(第2ラーメ
ン構面構造体) 11……スラブ 12……フロア空間 15……共用廊下 16……住戸 17……枠形柱状耐震構造体(筒状構造体) 17b……第1の壁部(部位) 17d……第2の壁部(部位) 21……第1の住戸仕切壁(壁部材) 21a……住戸出入口(玄関口) 30……共用進入路(エントランス通路)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のスラブが層状に設けられ、水平方向
    に伸延形成された本体構造体を有し、 前記本体構造体に、上下に隣接した前記スラブ間におい
    てフロア空間をそれぞれ形成し、 前記各フロア空間に共用廊下を、前記本体構造体の伸延
    方向に沿って設け、 前記各フロア空間に複数の住戸を、該フロア空間の前記
    共用廊下に隣接した形で前記伸延方向に沿って配設した
    共同住宅において、 前記本体構造体の内部に枠形柱状耐震構造体を、前記複
    数のフロア空間に亙って、前記複数のスラブを上下に貫
    通する形で有し、 前記枠形柱状耐震構造体は、前記各フロア空間内で、前
    記伸延方向両側から前記住戸により挾まれ、かつ前記伸
    延方向と交差する所定の梁間方向において前記共用廊下
    から離れた形で配置して構成した共同住宅。
  2. 【請求項2】前記各フロア空間内において、前記枠形柱
    状耐震構造体と前記共用廊下との間に、該共用廊下に接
    続した形で共用進入路を設けると共に、前記枠形柱状耐
    震構造体を前記伸延方向両側から挾んでいる前記住戸と
    該共用進入路との間を仕切る形で第1の住戸仕切壁を設
    け、 前記各フロア空間内において、前記枠形柱状耐震構造体
    の前記梁間方向側方で前記共用進入路と背向した側に、
    該枠形柱状耐震構造体を挾んでいる前記住戸の一部を配
    置したことを特徴とする請求項1記載の共同住宅。
  3. 【請求項3】前記第1の住戸仕切壁に住戸出入口を形成
    したことを特徴とする請求項2記載の共同住宅。
  4. 【請求項4】前記本体構造体は、複数の柱及び梁からな
    るラーメン構面構造体を、前記伸延方向に伸延した形で
    有し、 前記枠形柱状耐震構造体は、前記梁間方向の第1の壁部
    と、前記伸延方向の第2の壁部により枠形柱状に形成さ
    れており、 前記枠形柱状耐震構造体は、前記第1の壁部が、前記ラ
    ーメン構面構造体の有する前記柱の1つと前記梁間方向
    に整列する形で配置されていることを特徴とする請求項
    1記載の共同住宅。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008267074A (ja) * 2007-04-24 2008-11-06 Kajima Corp コア集約型耐震構造物

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JP2008267074A (ja) * 2007-04-24 2008-11-06 Kajima Corp コア集約型耐震構造物

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