JPH11303449A - 共同住宅の構造 - Google Patents

共同住宅の構造

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JPH11303449A
JPH11303449A JP13106698A JP13106698A JPH11303449A JP H11303449 A JPH11303449 A JP H11303449A JP 13106698 A JP13106698 A JP 13106698A JP 13106698 A JP13106698 A JP 13106698A JP H11303449 A JPH11303449 A JP H11303449A
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frame
earthquake
apartment house
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resistant
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JP13106698A
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English (en)
Inventor
Kunio Watanabe
邦夫 渡辺
Koji Yabuuchi
浩二 薮内
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Mitsui Construction Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Construction Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】施工の手間をかけずかつ経済性を損なうこと無
く、基礎の転倒耐力、骨組の水平耐力、水平剛性等の構
造的特性に富んだ構造とすること。 【解決手段】共同住宅1の本体構造体4に筒状構造体1
7を、複数のフロア空間12に亙って、複数のスラブ1
1を上下に貫通する形で配設して構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マンション等の共
同住宅で、特に、奥行が短く、複数の住戸が縦列される
板状の共同住宅の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図13は、従来の一般的な板状の共同住
宅を示した模式平断面図、図14は、従来提案されてい
る板状の共同住宅であり、図13に示す共同住宅とは別
の形の共同住宅を示した模式平断面図、図15は、図1
4に示す共同住宅に対し、梁間方向に地震力が作用した
場合の支点鉛直反力を示した図、図16は、図14に示
す共同住宅に対し、桁行き方向に地震力が作用した場合
の変形図である。
【0003】複数階を有する共同住宅建築などに適用さ
れる骨組構造は、従来、梁間方向は各住戸の戸境壁とし
て耐震壁を連層配置した連層耐震壁とし、桁行き方向は
住戸を挾んで対面的に配置された第1及び第2のラーメ
ン構造体によるラーメン骨組とするのが一般的である。
図13及び図14はそうした耐震壁構造による共同住宅
の基準階の一例を示す。
【0004】図13は、従来の一般的な板状の共同住宅
の基準階を示しており、これは片廊下方式の板状の共同
住宅である。この建物では、桁行き方向である図中の矢
印C、D方向に縦列する複数の住戸160の、室内空間
とバルコニ160aとの境界位置に配置された、桁行き
方向の第1のラーメン構造体90A及び、縦列する複数
の住戸160と矢印C、D方向に伸延する共用廊下15
0との境界位置に配置された第2のラーメン構造体90
Bとが、互いに対向する形で設けられており、また、梁
間方向である図中の矢印A、B方向には、隣接する住戸
160、160間の戸境壁をなす形で複数の連層耐震壁
700が設置されている。
【0005】図14は、図13に示す共同住宅とは別の
形の共同住宅の基準階を示しており、これも片廊下方式
の板状の共同住宅である。この建物は、縦列する複数の
住戸160と矢印C、D方向に伸延する共用廊下150
との間に、吹抜230及びエントランス通路250を有
するスペースを設けた平面形式である。梁間方向(矢印
A、B方向)は連層耐震壁700にラーメン骨組750
が付設された骨組であり、桁行き方向(矢印C、D方
向)は、第1及び第2のラーメン構造体90A、90B
が対向配置され、更に該第2のラーメン構造体90Bの
外側に第3のラーメン構造体90Cが並列配置されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図13に示す共同住宅
では、梁間方向の連層耐震壁700は地震時に片持梁状
に変形して水平力に抵抗する。従って、建物が高層化す
ると、地震時に建物を転倒させようとする曲げモーメン
トによって、基礎に生じる鉛直力(引抜力又は圧縮力)
が大きくなる。従って、基礎及び杭が大規模なものにな
り、建物の耐震性のみならず経済性からも重要な問題と
なる。このために、建物の塔状比(建物の高さを、基礎
の転倒に有効な柱間長さで割った数値)を所定の値以下
とすることが多い。塔状比は3.5〜4.0が限界とし
て一般的とされているが、ここでは許容する塔状比は
3.5以下と想定する。例えば図13の例で、転倒有効
柱間長さL01(連層耐震壁700の梁間方向の長さに
等しい)を12.0mとすると、許容される建物の最高
部の高さは、3.5×12.0=42.0(m)とな
る。ここで、階高を1階が4.0m、2階以上を3.0
mとすると、これは14階から15階建ての階数が構造
設計上の妥当な値となる。従って更に高層化し、例えば
20階建てでは、最高部の高さは61.0mであり、図
13の例で適用すると塔状比が5.08となって、建物
の耐震性、経済性から好ましくない。
【0007】一方、図14に示す共同住宅では、梁間方
向全体のスパン長さL02は、連層耐震壁700のスパ
ン長さL02Aと、ラーメン骨組750のスパン長さL
02Bを加算したものである。例えば、スパン長さL0
2Aを12.0m、スパン長さL02Bを6.0mとす
ると、転倒有効柱間長さであるスパン長さL02は1
8.0mとなる。つまり図13の例と比較し、ラーメン
骨組750を設けることでスパン長さL02Bの分だけ
転倒有効柱間長さを大きくとっている。従って図14の
この共同住宅では、高層の20階建て(即ち最高部の高
さを61.0m)としても塔状比は3.38となり、上
述した許容する塔状比以下となり不都合が生じない。し
かし、一般的に建築計画上、1住戸当たりの専有面積を
一定にすることが設計条件とされることが多く、従って
梁間方向の転倒有効柱間長さが大きくなれば、桁行き方
向の1住戸当たりのスパン長さが小さくなって、間口が
狭く奥行きが深いといったような細長い平面形の住戸と
なる恐れがある。そこで、図14の例では、共用廊下1
50と住戸160との間に各住戸160毎の吹抜230
とエントランス通路250を有するスペースを設けた平
面形式とし、その分、住戸160の奥行きを浅くする工
夫がなされ、細長い住戸とならず居住性を損なわずに済
んでいる。このように図14の共同住宅では、図13の
共同住宅に比べて、住戸の居住性を損なわず高層化を可
能としているが、その反面、法定床面積の増加以上に施
工床面積が増大するので建築に手間がかかり工事費を増
大させる。また、桁行き方向は3構面のラーメン構面が
並列して配置されているので、柱、大梁、基礎の部材数
が増大し、構造体コストがかさむ。
【0008】更に図14に示す共同住宅について、図1
5(図中の数値は建物の各長さ及び各柱に作用する応力
に関するものである)に示すように、建物全体から桁行
き方向3スパン分の範囲を抽出し、梁間方向に地震力Q
Yが作用した場合の弾性応力解析を行う。応力解析で
は、柱、梁、連層耐震壁を線材に置換した立体骨組にモ
デル化している。桁行き方向は各階の両端部の梁の支持
条件をX方向ローラー支点として、境界条件を考慮して
いる。地震力はベースシアー係数を0.2とし、建築基
準法施行令(第88条)の規定によって算定した。ベー
スシアーは約1670tである。図15の梁間方向では
A通側の柱の位置で、最大引張力は−1204tを示し
ている。この最大引張力に対して、圧縮力はB通で64
0t、C通の565tの合力で釣り合っている。図14
に示す共同住宅では上述したように塔状比を小さくする
工夫がなされてはいるが、前記応力解析の結果から、A
通側に引張力が集中し、この最大引張力に対して基礎が
引き抜かれないように、杭、基礎を十分に補強する必要
があることがわかる。従って、基礎及び杭をあまり大規
模なものとしなくても済むように、梁間方向両側の柱に
生じる引張力や圧縮力を均等に分散できるような構造が
望まれている。
【0009】また図14に示す共同住宅について、図1
6に示すように、桁行き方向に地震力QXが作用し、建
物の頂部の水平変形が11.51cm(図中に記載)と
なった場合、20階建ての該建物の層間変位の平均は、
11.51/20=0.57(cm)となる。桁行き方
向の水平変形の上下方向での分布形は、典型的な純ラー
メン骨組のせん断変形であり、地震力QXの作用側(図
16の紙面左側)に対して、下層階部位LPでは僅かに
凸状に湾曲し、中層階部位MPでほぼ直線状になり、上
層階部位HPでは大きく凹状に湾曲する。この変形の傾
向は建物が高層化すればするほど強くなる。従って板状
の共同住宅とすると、桁行き方向の梁に発生している応
力及び、各階の層間変位が上下階で不均一となるため、
安全な建物とするためには、梁に発生する応力の違い及
び層間変位の違いに応じて、階高、梁の断面成を各階毎
に設定する、従って、階高、梁の断面成を各階毎に異な
らせるといった工夫が必要である。しかし、これでは部
材の標準化が困難になり、型枠工事、梁部材のプレキャ
スト化等の種々の領域で不利となる。
【0010】そこで本発明は上記事情に鑑み、高層で板
状の共同住宅であり、従って梁間方向が細長い立面的形
状でありながら、施工の手間をかけずかつ経済性を損な
うこと無く、基礎の転倒耐力、骨組の水平耐力、水平剛
性等の構造的特性に富んだ構造とし、特に桁行き方向で
は、階高、梁の断面成等の均一化を実現して部材の標準
化を促進できる共同住宅の構造を提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のうち第1の発明
は、複数のスラブ(11)が層状に設けられ、水平方向
に伸延形成された本体構造体(4、4A、4B、4C)
を有し、前記本体構造体(4、4A、4B、4C)に、
上下に隣接した前記スラブ(11、11)間において、
フロア空間(12)をそれぞれ形成し、前記各フロア空
間(12)に複数の住戸(16)を、前記本体構造体
(4、4A、4B、4C)の伸延方向に沿って配設した
共同住宅(1、1A、1B、1C)において、前記本体
構造体(4、4A、4B、4C)に、枠形柱状耐震構造
体(17)を、前記複数のフロア空間(12)に亙っ
て、前記複数のスラブ(11)を上下に貫通する形で配
設して構成される。
【0012】また本発明のうち第2の発明は、第1の発
明の共同住宅の構造において、前記枠形柱状耐震構造体
(17)は、前記本体構造体(4、4A、4B、4C)
に複数配設されており、前記複数の枠形柱状耐震構造体
(17)は、前記伸延方向に並べて配置されている。
【0013】また本発明のうち第3の発明は、第1の発
明の共同住宅の構造において、前記本体構造体(4、4
A、4B)は、前記伸延方向に伸延形成された、複数の
柱(6A、6B)と梁(7A、7B)からなる、第1及
び第2のラーメン構面構造体(9A、9B、9P、9
Q、9R、9S)を、これら第1及び第2のラーメン構
面構造体(9A、9B、9P、9Q、9R、9S)が前
記伸延方向と直角な梁間方向に互いに対向した形で有
し、前記第1及び第2のラーメン構面構造体(9A、9
B、9P、9Q、9R、9S)間に、前記梁間方向に伸
延した形の1つ以上の連層耐震壁構造体(60、70)
を、該各連層耐震壁構造体(60、70)が前記各フロ
ア空間(12)を仕切る形で設置し、前記枠形柱状耐震
構造体(17)は、前記第1及び第2のラーメン構面構
造体(9A、9B、9P、9Q、9R、9S)の間に、
前記伸延方向に前記連層耐震壁構造体(60、70)と
並列に配置した。
【0014】また本発明のうち第4の発明は、第3の発
明の共同住宅の構造において、前記第1及び第2のラー
メン構面構造体(9A、9B、9P、9Q、9R、9
S)の柱(6A、6B)のうち、前記枠形柱状耐震構造
体(17)と前記梁間方向に対向した柱(6A、6B)
と、該枠形柱状耐震構造体(17)との間に、これら柱
(6A、6B)と枠形柱状耐震構造体(17)を接続す
る形で接続梁(26、26)を設けた。
【0015】また本発明のうち第5の発明は、第1の発
明の共同住宅の構造において、前記枠形柱状耐震構造体
(17)に、該枠形柱状耐震構造体(17)内を上下に
伸延した形の吹抜スペース(23)を形成した。
【0016】また本発明のうち第6の発明は、第1の発
明の共同住宅の構造において、前記枠形柱状耐震構造体
(17)の水平断面は、閉塞した環状となっている。
【0017】また本発明のうち第7の発明は、第1の発
明の共同住宅の構造において、前記枠形柱状耐震構造体
(17)の水平断面は、開口部をもつ環状となってい
る。
【0018】また本発明のうち第8の発明は、第1の発
明の共同住宅の構造において、前記枠形柱状耐震構造体
(17)は耐震壁部材によって枠形柱状に形成されてい
る。
【0019】なお、括弧内の番号等は、図面における対
応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述
は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき説明する。図1は、本発明の構造を採用した共
同住宅の一例でありその基準階を示した平断面図、図2
は、図1に示す基準階のうち一部を拡大して示した詳細
図、図3は、図1に示す共同住宅の側断面図、図4は、
図1に示す共同住宅に対して、梁間方向に地震力が作用
した場合の支点鉛直反力を示した図、図5は、図1に示
す共同住宅に対して桁行き方向に地震力が作用した場合
の変形を示した図、図6乃至図9は、本発明の構造を採
用した共同住宅の別の一例でありその基準階の一部を示
した平断面図、図10乃至図12は、本発明の構造を採
用した共同住宅の別の一例でありその基準階を示した平
断面図である。
【0021】共同住宅1は、図3に示すように、地盤5
0に、複数の杭2、地中梁3、基礎5からなる基礎構造
物51を有しており、これら基礎構造物51上には該共
同住宅1の基本構造のうち後述する筒状構造体17を除
いたものである本体構造体4が立設されている。本体構
造体4は、基礎構造物51上に立設された形の複数の柱
6A及び複数の柱6B(柱6A、6Bの横断面形状は、
矩形、長方形、円形等がよく用いられるが、柱として機
能を発揮することができればどのような形状でもよ
い。)を有しており、複数の柱6A(バルコニの外側)
は、図1及び図2に示すように、本体構造体4の水平な
伸延方向、従ってこの場合には共同住宅1の桁行き方向
となる図の矢印C、D方向に一列に並んで配置されてお
り、また複数の柱6B(共用廊下の外側)も図の矢印
C、D方向に一列に並んで配置されている。更に、各柱
6Aと各柱6Bは、桁行き方向と直角な共同住宅1の梁
間方向である図の矢印A、B方向に一対一で向かい合っ
て配置されており、各柱6Aは対応する柱6Bに対して
一定の柱間長さL1の間隔で矢印A側に位置している。
この柱間長さL1が該共同住宅1における梁間方向の転
倒有効柱間長さとなっている。複数の柱6Aには、桁行
き方向である矢印C、D方向に伸延した水平な梁7Aが
複数層状に支持されており、これら複数の柱6A及び複
数の梁7Aによって、桁行き方向である矢印C、D方向
に伸延した第1ラーメン構面構造体9Aが構成されてい
る。また、複数の柱6Bには、桁行き方向である矢印
C、D方向に伸延した水平な梁7Bが複数層状に支持さ
れており、これら複数の柱6B及び複数の梁7Bによっ
て、桁行き方向である矢印C、D方向に伸延した第2ラ
ーメン構面構造体9Bが構成されている。このように本
実施例では、本体構造体4はラーメン構面構造体9A、
9Bを有しているが、別の例としてラーメン構面構造体
9A、9Bの代わりに壁構造や壁式ラーメンなどその他
の構造体を採用することも可能である。また本実施例で
は共同住宅1は基礎構造物51のみが地盤50中に設け
られているが、別の例として、例えば図3の二点鎖線に
示すように、基礎構造物51より上の途中階までを地盤
50中に設けるようにしてもよい(即ち地下1階や地下
2階等を設けてもよい。)。
【0022】上述した第1及び第2ラーメン構面構造体
9A、9B間には、図3に示すように、これらラーメン
構面構造体9A、9Bにより支持される形でスラブ11
が複数層状に設けられており、上下に隣接するスラブ1
1、11間にはフロア空間12がそれぞれ形成されてい
る。なお、本実施例の共同住宅1は地上20階(地上高
さ約61m)の高層共同住宅となっており、該共同住宅
1は、図1に示すように建物の奥行き(梁間方向の長
さ)が桁行き方向の長さよりも短く、従って、梁間方向
が細長い立面形状であり、平面形状が一直線状に伸延し
た板状の共同住宅となっている。この共同住宅1の塔状
比、即ち建物の高さを基礎の転倒に有効な転倒有効柱間
長さ(上述した柱間長さL1)で割った数値は所定の数
値(約3.5)以下となっている。また上述したラーメ
ン構面構造体9A、9B間には、図1及び図2に示すよ
うに、基本的に鉛直な壁状で、梁間方向である矢印A、
B方向に伸延した連層耐震壁構造体60が複数設置され
ている。各連層耐震壁構造体60は、梁間方向に伸延し
た鉛直な連層耐震壁13を有しており、この連層耐震壁
13は1階から20階の複数のフロア空間12に亙っ
て、従って各階のフロア空間12を仕切る形(必ずしも
空間を左右に完全に分断して仕切る必要はない)で形成
されている。複数の連層耐震壁13は桁行き方向(図の
矢印C、D方向)に、基本的に所定のスパン長(桁行き
方向に並ぶ柱6A、6A(6B、6B)間のスパン長さ
に等しい)を空けて並んで配置されている。
【0023】なお、各連層耐震壁13はラーメン構面構
造体9A、9Bに接しておらず、従って各連層耐震壁1
3と第1ラーメン構面構造体9Aとの間には、図1及び
図2に示すように、所定の大きさの間隔L11が矢印
A、B方向に形成され、各連層耐震壁13と第2ラーメ
ン構面構造体9Bとの間には所定の大きさの間隔L13
が矢印A、B方向に形成されている。なお連層耐力壁1
3の梁間方向(矢印A、B方向)の幅L12はいずれも
等しくなっている。各階のフロア空間12には、第2ラ
ーメン構面構造体9Bに隣接する形で桁行き方向である
矢印C、D方向に伸延した共用廊下15が設置されてお
り(共用廊下15は連層耐震壁13と第2ラーメン構面
構造体9Bの間に配置)、また各階のフロア空間12に
は、共用廊下15の矢印A側に隣接した形で複数の住戸
16が桁行き方向である矢印C、D方向に沿って一列縦
列に並んだ形で配設されている。同一フロア空間12内
では、互いに隣接する住戸16、16の間は、図2に示
すように、上述した各連層耐震壁13及びこの連層耐震
壁13の矢印A、B方向両側に設置した壁部材61、6
1(非耐力壁であり連層耐震壁構造体60の一部ではな
い。図1では簡単のため省略しており、図2では二点鎖
線により図示している。)からなる戸境壁62によって
基本的に仕切られている(一部例外あり)。また各住戸
16は第1ラーメン構面構造体9Aに接する形で配置さ
れており、各住戸16のバルコニ16aが第1ラーメン
構面構造体9Aに隣接して形成されている。
【0024】なお上述した各連層耐震壁13と、これと
梁間方向に対向する第1ラーメン構面構造体9Aの柱6
Aとの間(即ち図の間隔L11に対応する箇所)及び、
各連層耐震壁13と、これと梁間方向に対向する第2ラ
ーメン構面構造体9Bの柱6Bとの間(即ち図の間隔L
13に対応する箇所)には、連層耐震壁13と柱6A
(又は柱6B)を接続する形で、上述した連層耐震壁構
造体60の一部をなす境界梁10a(図1では簡単のた
め線で表示し、図2では破線で表示している)が設けら
れており、該境界梁10aは柱6A(又は柱6B)及び
連層耐震壁13に対して剛接合されている。即ち、各境
界梁10aは柱6A(又は柱6B)とラーメン架構を構
成し、連層耐震壁構造体60に対して地震時の壁体の変
形を拘束する梁として機能するようになっている。
【0025】ところで、上述した基礎構造物51上に
は、図1乃至図3に示すように、鉛直な四角柱の形をし
た枠形柱状耐震構造体である筒状構造体17が、ラーメ
ン構面構造体9A、9Bの間で、かつ上述した複数の連
層耐震壁構造体60と桁行き方向である矢印C、D方向
に並んだ形で複数立設されている。複数の筒状構造体1
7は桁行き方向である矢印C、D方向に並列に配置され
ているが、これは図1に示すように一直線上にきちんと
並んでいる必要はなく、例えば矢印C、D方向に並んで
さえいれば多少千鳥状に並んでいても差し支えない。筒
状構造体17の壁部17aは耐震壁で構成されている
(即ち、各筒状構造体17は耐震壁部材により枠形柱状
に形成されている。)。具体的には、筒状構造体17は
耐震壁部材を折り曲げる形で形成され、かつ水平断面形
状を四角形の中空断面形としており、従って鉛直方向に
は筒状体となっている。各筒状構造体17は1階のフロ
ア空間12から20階までの複数のフロア空間12に亙
って複数のスラブ11を上下に貫通した形で配置されて
おり、各筒状構造体17は大きな箱型断面の柱として、
その壁部17aのうち桁行き方向に伸延した2つの部位
17d、17dと梁間方向に伸延した2つの部位17
b、17bをもち、これら部位17d、17bによって
2方向(桁行き方向、梁間方向)の地震力に有効に抵抗
するようになっている。なお、本実施例では枠形柱状耐
震構造体である筒状構造体17は1階から20階の全階
に亙って形成されているが、この枠形柱状耐震構造体は
必ずしも全階に亙って形成される必要は無く、例えば1
階から20階より下層の階に亙って部分的に形成されて
もよい。筒状構造体17の壁部17aのうち梁間方向で
ある矢印A、B方向に伸延した2つの部位17b、17
bは、いずれも図2に示すように第1ラーメン構面構造
体9Aの1つの柱6Aと、第2ラーメン構面構造体9B
のうち前記柱6Aに対して矢印A、B方向に対向した1
つの柱6Bに対して梁間方向である矢印A、B方向に対
応配置されており、従ってこれら対応する柱6A、6B
と同一架構面内となっている。本実施例では図2に示す
ように、筒状構造体17の梁間方向の幅は上述した連層
耐力壁13の幅L12と等しく(なお、必ずしも筒状構
造体17と連層耐力壁13の幅を同一にする必要はな
い)、梁間方向の転倒有効柱間長さである前記柱間長さ
L1の略3分の1となっており、複数の筒状構造体17
及び複数の連層耐力壁13の配置位置は矢印C、D方向
(桁行き方向)に揃っている。言い替えれば、各筒状構
造体17の位置においては、上述した連層耐震壁構造体
60の代わりに該筒状構造体17の部位17bが配置さ
れた格好になっている。筒状構造体17の水平断面の桁
行き方向、梁間方向の幅は、筒状構造体17が1つの構
造部材としての必要な断面性能という構造計画上から、
また、住戸空間の間口、筒状構造体17の内部の吹抜空
間23の必要寸法という建築計画上から任意に決定する
ことができる。また、壁部17aの壁厚は住戸16に対
する遮音性能、構造部材としての耐力、水平剛性からも
決定される。壁部17aの構造種別は鉄筋コンクリート
造が一般的となるであろうが、壁部17aの内部に鉄骨
ブレースを内蔵した鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC
造)とすることも可能であるし、鉄骨ブレースで鉄骨造
の耐震壁とすることもできる。この筒状構造体17は立
面的に細長いので通常の連層耐震壁と柱との中間である
壁式ラーメン骨組の特徴を有している。
【0026】また、各筒状構造体17は各フロア空間1
2において、図2に示すように、その矢印C、D方向の
両側から住戸16、16に挾まれた形で配置されてい
る。このように各フロア空間12において筒状構造体1
7を挾む住戸16、16の間は、この筒状構造体17に
よって仕切られると共に、筒状構造体17の矢印A側及
び矢印B側の部位では、該筒状構造体17と矢印A、B
方向、即ち梁間方向に隣接接続する形で仕切壁20、2
0(非耐力壁であり、簡単のため図1では省略、図2で
は二点鎖線で図示)が設置されており、住戸16、16
はこの仕切壁20、20によっても仕切られている。な
お本実施例では図1に示すように、筒状構造体17は3
個設けられているが、その個数は構造計画、建築計画の
両方の観点から任意に決定され、更にその配置位置も図
1等に示した位置に限定されるものでない。各筒状構造
体17は、その水平断面が基本的に閉塞した環状になっ
ており、該筒状構造体17の内部には、図1乃至図3に
示すように中空の吹抜空間23が上下に伸延した形で形
成されている。これら吹抜空間23は様々な用途に利用
できる。例えば、吹抜空間23に公知の立体駐車機を設
置して立体駐車場としたり、吹抜空間23にエレベータ
や階段を設置したり、或いは吹抜空間23をトランクル
ームとして使用してもよい。
【0027】上述した第1及び第2ラーメン構面構造体
9A、9Bの柱6A、6Bのうち、各筒状構造体17と
梁間方向に対向した柱6A、6Bと、該筒状構造体17
の間、具体的には、図1乃至図3に示すように、該筒状
構造体17の各部位17bと矢印A、B方向に対応対向
した柱6A、6Bの間には、これら柱6A、6Bと筒状
構造体17、従ってこれら柱6A、6Bと部位17bを
接続する形で、水平な境界梁26、26が設けられてい
る(図1では簡単のため境界梁26を線で示してい
る。)。この境界梁26は1つの筒状構造体17に対し
て、平面的には4つ(図2)、上下方向にはラーメン構
面構造体9A、9Bの梁7A、7Bの高さ位置に対応し
て複数個設けられている。境界梁26は筒状構造体17
及び柱6A(又は柱6B)と剛接合されており、該柱6
A(又は柱6B)と一体化してラーメン架構を構成する
と共に、筒状構造体17に対しては地震時の壁部17a
の変形を拘束する梁として機能するようになっている。
境界梁26の構造種別はRC造、鉄骨鉄筋コンクリート
造(SRC造)鉄骨コンクリート造(SC造)、鉄骨造
のいずれでも良い。地震時には境界梁26に大きな曲げ
モーメントとせん断力が発生するので、特にせん断耐力
に有効な断面仕様とする。RC造では、あばら筋の鉄筋
経を太くし間隔を密にすることが多いが、高強度の鉄
筋、X字型のせん断補強筋を使用すれば更に効果的であ
る。SRC造、SC造、鉄骨造では鉄骨部材としてH形
鋼、鋼材種別としては一般用鋼材(例えば、SN400
B、SN490B等)が好適である。筒状構造体17を
RC造又はSRC造で、また境界梁26を鉄骨造で構成
すると、境界梁26の変形性能を利用して構造物の靭性
を高めることができる。鉄骨造は靭性に富むので、地震
時に境界梁26の材端部が降伏しても変形性能を保持し
エネルギーを吸収する。また別の例として、図示しない
が、境界梁26は各階毎にではなく所定の階だけに設け
ることもできる。例えば境界梁26を、最上階と最下階
の2ヵ所にだけ設け、途中階には設けないようにした
り、境界梁26を数階に1ヵ所ずつ設けてもよい。な
お、前記した実施例では1つの筒状構造体17に連結し
ている境界梁26は、当該階で平面的に4つ設けている
が、必ずしもこれに限定されない。例えば1つの筒状構
造体17に連結している境界梁26は、当該階で平面的
に1つ以上であればよい。
【0028】以上のように構成された共同住宅1につい
て、地震時の挙動を定量的に表現するために、該建物全
体から図4に示すラーメン構面構造体9A、9Bの柱6
A、6Bの3スパン分の範囲を抽出して、梁間方向に地
震力が作用した場合の弾性応力解析を行うことにする。
なお、応力解析では柱6A、6B、梁7A、7B、連層
耐震壁構造体60、筒状構造体17を線材に置換した立
体骨組にモデル化している。ここでラーメン構面構造体
9A(9B)の柱6A、6A(6B、6B)間の1スパ
ンの長さは6m(図4中に記す)、第1及び第2ラーメ
ン構面構造体9A、9B間の対向する柱6A、6B間に
おける柱間長さL1は18m(図4中に記す)、その他
の長さは図4中に記した数値となっている。桁行き方向
は各階の両端部の梁の支持条件をX方向ローラー支点と
して、境界条件を考慮している。地震力はベースシアー
係数を0.2とし、建築基準法施行令(第88条)の規
定によって算定した。ベースシアーQYは約1670t
とした。図4に示すように筒状構造体17の両端に引張
力は−810t(図中B通)、圧縮力は808t(図中
C通)が発生している。外端部の柱6A、6Bでは引張
力は−805t(図中A通)、圧縮力は805t(図中
D通)が発生している。本明細書の「発明が解決しよう
とする課題」で説明した図15に示す例と比較するとA
通の引張力は、810/1204=0.67(倍)とな
って低減している。このように梁間方向では両側の柱6
A、6Bと筒状構造体17が地震力を分散して負担して
いるので、引張力、圧縮力が集中せずほぼ均等に分散し
ている。従って、両側の柱6A、6Bに生じている引張
力、圧縮力が相対的に減少し、これによって柱6A、6
Bの断面設計が楽になるのみならず、基礎構造物51に
働く鉛直力が減少するので基礎構造物51が簡単なもの
で済む。このように梁間方向では、地震時の基礎の転倒
に有利であり、しかも建物自体が靭性、耐力のある優秀
な耐震性能を有するので、塔状比の大きな細長い立面形
状を呈する高層の共同住宅に有利である。
【0029】次に、本実施例の共同住宅1に対して桁行
き方向に地震力が作用した際の、該建物の変形について
図5を参照して説明する。即ち、図5の桁行き方向の変
形図から、20階建て建物(高さ61.0m)の頂部の
水平変形は10.21cmであり、層間変位の平均は
0.51cm(10.21/20=0.51)である。
桁行き方向の水平変形の上下方向の分布形は地震力QX
の作用側(図5の左側)に対して、下層階部位LPでは
僅かに凸状に湾曲し、中層階部位MP、上層階部位HP
ではほぼ直線状に分布している。桁行き方向では筒状構
造体17の影響が見られ、下層階部位LPの凸状湾曲形
状は筒状構造体17を配置したことの効果で、連層耐震
壁構造体60が片持ち梁状に曲げ変形し、地震力の作用
側に対して建物全体が半弓状にしなる傾向が卓越したも
のである。中層階部位MP、上層階部位HPの直線状変
形分布はラーメン骨組の影響がやや強くなっている。こ
のように地震時には筒状構造体17が水平力を負担して
いるので、ラーメン構面構造体9A、9Bの負担水平力
が軽減され、桁行き方向の梁7A、7Bに発生している
応力、各階の層間変位が上下方向で均一になる。従っ
て、高層共同住宅であっても、階高、梁の断面成を全階
に亙って同一とすることができ、部材の標準化を促進す
るので、型枠工事、梁部材のプレキャスト化等種々の領
域で利点を発揮する。また桁行き方向の骨組の水平剛
性、水平耐力が向上されており、桁行き方向と梁間方向
の両方向の骨組の水平剛性が同じになる傾向を示し、バ
ランスの良い骨組となる。
【0030】また共同住宅1の塔状比は上述したように
所定の数値(約3.5)以下になっており、そのため建
物の梁間方向の長さ(柱間長さL1)が比較的長くなっ
ている。その結果、各住戸16の室内部分の梁間方向の
奥行きが比較的長くなっている。しか、各フロア空間1
2において住戸16、16に挾まれた形で筒状構造体1
7が設けられており、該筒状構造体17に隣接している
住戸16、16では、該筒状構造体17が占める面積の
分だけ専有面積が小さくされているので、該住戸16の
間口(この場合は、桁行き方向に隣接する戸境壁62と
仕切壁20間の幅)を狭くしなくても専有面積が大きく
なり過ぎずに済み(細長い住戸にならずに済み)、居住
性を良好にできる。また、筒状構造体17の部分は施工
床面積に含まれないので、建物の梁間方向の長さを長く
しても施工床面積を極力増大させずに済み、よって建築
に手間がかからず工事費を抑えることができる。また、
このように住戸16の専有面積を大きくなり過ぎないよ
うに配置された筒状構造体17内の吹抜空間23は、住
戸16として使用されない代わりに立体駐車場やエレベ
ータ室等として有効利用されているので好都合である。
更に、桁行き方向は2構面のラーメン構面(第1及び第
2ラーメン構面構造体9A、9B)だけであって、本明
細書の「従来の技術」で説明した図14の例のように3
構面のラーメン構面を必要とする構造に比べて、柱、
梁、基礎の部材が少なくて済み、構造体コストを抑える
ことができる。
【0031】なお上述した1番目の実施例では筒状構造
体17の水平断面形状は基本的に閉塞された環状となっ
ているが、筒状構造体17の水平断面形状が閉塞された
環状以外でも良い。例えば図6に示すように、筒状構造
体17はその側方(図6の矢印B側)に開口部17cを
もち、従って筒状構造体17の水平断面形状が開口部を
もつ環状(図6ではコの字型)になっていてもよい。こ
の実施例では図6に示すように、筒状構造体17の吹抜
空間23に階段ユニット30が設置されている(その他
にもエレベータ等のその他の昇降手段を設置しても良
い。)。
【0032】更に別の実施例として図7に示すように、
筒状構造体17の大きさを共用廊下15側(図の矢印B
側)に大きくし、筒状構造体17が該共用廊下15に隣
接するようにしてもよい(なお図7では水平断面が開口
部や突起部をもつ環状となった筒状構造体17を示した
が、水平断面が開口部や突起部をもたない環状となった
ものでもよいことは勿論である。)。このように筒状構
造体17の大きさや形状は各種各様のものが可能であ
る。更に1番目の実施例では戸境壁62は連層耐震壁1
3とその両側の壁部材61、61によって構成されてい
たが、図7に示すように、1番目の実施例での戸境壁6
2全体を連層耐震壁45で構成してもよい。この場合、
連層耐震壁構造体60は、連層耐震壁45及び、該連層
耐震壁45と柱6A(又は柱6B)を接続する複数の境
界梁10aにより構成される。なお、このような連層耐
震壁45は筒状構造体17の大きさや形状に関係無く採
用できる。
【0033】更に別の実施例として図8に示すように、
第1ラーメン構面構造体9Aをバルコニ16aの内側
(図の矢印B側)に、第2ラーメン構面構造体9Bを共
用廊下15の内側(図の矢印A側)にそれぞれ隣接配置
し、ラーメン構面構造体9A、9Bのうち互いに対向す
る柱6A、6B間に、これら柱6A、6Bに直接接続す
る形で連層耐震壁70を設けてもよい(この場合、連層
耐震壁70が各フロア空間12での戸境壁となる。)。
このように柱6A、6Bに直接接続する連層耐震壁70
も本発明の構成要素となる連層耐震壁構造体の一例であ
る。この場合の筒状構造体17は、図8に示すようなタ
イプ(1番目の実施例と同じタイプ)以外にも、例えば
上述した図6及び図7或いは図9の各図で示すタイプの
ものも採用可能である。
【0034】更に別の実施例として図9に示すように、
筒状構造体17を、4つの枠柱40及びこれら枠柱40
を接続する形で設けられた水平な梁42(なお、この梁
42が無いものも可能である)による骨組と、この骨組
に設置された4面の壁体41によって構成してもよい。
この場合は枠柱40を4隅に設けることにより、上述し
た1番目の実施例等に比べて壁体41の壁厚を薄くでき
る。
【0035】また上述した実施例では図1に示すよう
に、共同住宅1はその平面形状が一直線状に伸延した板
状の共同住宅となっているが、板状の共同住宅はその平
面形状がL字型やコの字型等に屈曲した線状となってい
てもよい。例えば、図10に示す共同住宅1Aのように
平面形状がL字型に屈曲していてもよい。即ちこの場合
は、本体構造体4Aは、図10の紙面上側部分では矢印
A、B方向(紙面上下方向)である水平方向に伸延形成
され、図10の紙面下側部分では矢印A、B方向に直角
な矢印C、D方向(紙面左右方向)である水平方向に伸
延形成されている。本体構造体4Aの有する第1及び第
2ラーメン構面構造体9A、9Bも共にL字型に屈曲し
たものとなっている。
【0036】また、共同住宅の基準階の平面形式は片廊
下方式に限らず、中廊下方式でもよい。例えば、図11
に示す共同住宅1Bのように、本体構造体4Bは一直線
状に桁行き方向である矢印C、D方向に伸延形成されて
いるが、各フロア空間12には複数の住戸16が桁行き
方向である矢印C、D方向に沿って図11紙面で上下2
列で配設されている。従って、各フロア空間12の共用
廊下15は、複数の住戸16による列と列の間に挾まれ
て配置されている。つまりこの例では、本体構造体4B
は、各フロア空間12における、複数の住戸16からな
る各列の両側に配置される形で、第1及び第2ラーメン
構面構造体9P、9Qと、第1及び第2ラーメン構面構
造体9R、9Sを有している。第1及び第2ラーメン構
面構造体9P、9Qの間及び、第1及び第2ラーメン構
面構造体9R、9Sの間には、複数の筒状構造体17及
び複数の連層耐震壁構造体60が複数の住戸16と共に
桁行き方向である矢印C、D方向に並んで配置されてい
る。
【0037】また共同住宅の基準階の平面形式は雁行方
式でもよい。例えば、図12に示す共同住宅1Cのよう
に、本体構造体4Cは、複数の柱6を有すると共に、水
平な図の矢印A、B方向に平行となった複数の梁7及び
該矢印A、B方向とは直角な矢印C、D方向に平行とな
った別の複数の梁7を有する柱梁構造となっている。本
体構造体4Cの平面形状は図のように階段状(雁行状)
となっており、その伸延方向は矢印A、B方向や矢印
C、D方向に対して斜め方向となった矢印E、F方向と
なっている。各フロア空間12には複数の住戸16が、
本体構造体4Cの平面形状に対応した形で配設されてい
る。即ち図12に示すように複数の住戸16は矢印C、
D方向に並んでいると共に、矢印C、D方向に隣接する
住戸16、16は矢印A、B方向にずれており、全体的
にはこれら住戸16は矢印E、F方向に並んだ形になっ
ている。各筒状構造体17は住戸16、16に挾まれた
形で設けられており、従って筒状構造体17は複数の住
戸16と共に矢印E、F方向に並んで配置されている。
【0038】その他にも、図示しないが共同住宅の基準
階の平面形式は様々なものが可能である。更に基礎構造
物51は杭基礎としたが、本発明はこれに限定されず、
例えば直接基礎としてもよい。また共同住宅1は20階
建てとしたが階数に限定されるものではなく、地下にも
構造体(例えば、地下駐車場、機械室、倉庫等として利
用)を設けることもできる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明のうち第1の
発明は、複数のスラブ11等のスラブが層状に設けら
れ、水平方向に伸延形成された本体構造体4、4A、4
B、4C等の本体構造体を有し、前記本体構造体に、上
下に隣接した前記スラブ間においてフロア空間12等の
フロア空間をそれぞれ形成し、前記各フロア空間に複数
の住戸16等の住戸を前記本体構造体の伸延方向に沿っ
て配設した共同住宅において、前記本体構造体に筒状構
造体17等の枠形柱状耐震構造体を、前記複数のフロア
空間に亙って、前記複数のスラブを上下に貫通する形で
配設して構成されるので、本発明による構造をもつ共同
住宅は、基礎の転倒耐力、骨組の水平耐力、水平剛性等
の構造的特性に富んだものとなる。具体的には、共同住
宅体における水平な方向の地震力は、枠形柱状耐震構造
体にも分散し負担されるので、本体構造体に引張力、圧
縮力が集中しなくて済む。従って本体構造体における柱
や梁の断面設計等が楽になるのみならず、基礎構造物5
1に働く鉛直力が減少するので基礎構造物51が簡単な
もので済む。また枠形柱状耐震構造体の部分は施工床面
積に含まれないので、建物の梁間方向の長さを長くして
も施工床面積を極力増大させずに済み、よって建築に手
間がかからず工事費を抑えることができる。更に、本体
構造体をラーメン構面で構成する場合でも、本発明の要
件としてラーメン構面を3構面以上設ける必然性はない
ので、その分、柱、梁、基礎の部材が少なくて済み、構
造体コストを抑えることができる。
【0040】また本発明のうち第2の発明は、第1の発
明の共同住宅の構造において、前記枠形柱状耐震構造体
は、前記本体構造体に複数配設されており、前記複数の
枠形柱状耐震構造体は、前記伸延方向に並べて配置され
ているので、第1の発明による効果に加えて、枠形柱状
耐震構造体が複数配設されていることから、基礎の転倒
耐力、骨組の水平耐力、水平剛性等の構造的特性は更に
有利になる。特に、前記伸延方向についての、骨組の水
平耐力、水平剛性における構造的特性に関しては、複数
の枠形柱状耐震構造体の配置が前記伸延方向となってい
ることから、これら枠形柱状耐震構造体の個数分以上の
相乗効果を得ることができる。
【0041】また本発明のうち第3の発明は、第1の発
明の共同住宅の構造において、前記本体構造体は、前記
伸延方向に伸延形成された、複数の柱6A、6B等の柱
と梁7A、7B等の梁からなる第1及び第2ラーメン構
面構造体9A、9B、9P、9Q、9R、9S等の第1
及び第2のラーメン構面構造体を、これら第1及び第2
のラーメン構面構造体が前記伸延方向と直角な梁間方向
に互いに対向した形で有し、前記第1及び第2のラーメ
ン構面構造体間に、前記梁間方向に伸延した形の1つ以
上の連層耐震壁構造体60、連層耐震壁70等の連層耐
震壁構造体を、該各連層耐震壁構造体が前記各フロア空
間を仕切る形で設置し、前記枠形柱状耐震構造体は、前
記第1及び第2のラーメン構面構造体の間に、前記伸延
方向に前記連層耐震壁構造体と並列に配置したので、第
1の発明による効果に加えて、梁間方向の地震力に対し
ては、第1及び第2のラーメン構面構造体の柱と枠形柱
状耐震構造体が地震力を分散して負担するので、第1及
び第2のラーメン構面構造体の柱に引張力や圧縮力が集
中せず、これら柱の断面設計が楽になる。また、前記伸
延方向の地震力が作用した際には、枠形柱状耐震構造体
が地震力による水平力を効果的に負担するので、第1及
び第2のラーメン構面構造体の負担水平力が軽減され、
第1及び第2のラーメン構面構造体における梁等に発生
している応力が軽減しかつ均一化し、更に各階のフロア
空間の層間変位が上下方向で均一になる。従って、階
高、梁の断面成を全階に亙って均一化することができる
ので、部材の標準化が促進される。その結果、型枠工
事、梁部材のプレキャスト化等種々の領域で利点を発揮
する。また、通常の耐震壁と柱の中間的構造性質をもつ
枠形柱状耐震構造体が、前記伸延方向に連層耐震壁構造
体と並列に配置されているので、水平方向における剛性
バランスにおいて有利となり好都合である。
【0042】また本発明のうち第4の発明は、第3の発
明の共同住宅の構造において、前記第1及び第2のラー
メン構面構造体の柱のうち、前記枠形柱状耐震構造体と
前記梁間方向に対向した柱と、該枠形柱状耐震構造体と
の間に、これら柱と枠形柱状耐震構造体を接続する形で
境界梁26等の接続梁を設けたので、地震時にはラーメ
ン構面構造体の柱と枠形柱状耐震構造体との間の変形に
よるずれにより、これらを接続する接続梁に曲げモーメ
ント等が発生することになる。これにより、第3の発明
による効果に加えて、基礎構造物51にかかる鉛直力は
ラーメン構面構造体の柱側などの1ヶ所に集中すること
なく軽減されるので基礎構造物51が簡単なもので済
む。
【0043】また本発明のうち第5の発明は、第1の発
明の共同住宅の構造において、前記枠形柱状耐震構造体
に、該枠形柱状耐震構造体内を上下に伸延した形の吹抜
空間23等の吹抜スペースを形成したので、第1の発明
による効果に加えて、この吹抜スペースを複数階に亙っ
て形成された、階段室やエレベータ室或いは立体駐車場
などの共用スペースとして活用でき好都合である。
【0044】また本発明のうち第6の発明は、第1の発
明の共同住宅の構造において、前記枠形柱状耐震構造体
の水平断面は、閉塞した環状となっているので、第1の
発明による効果に加えて、枠形柱状耐震構造体の耐震性
能が向上するので共同住宅全体の耐震性能が向上する。
また、枠形柱状耐震構造体における開口部を極力無くせ
るので、その分、施工の手間やコストを削減できる。更
に、枠形柱状耐震構造体における開口部を極力無くせる
ので、枠形柱状耐震構造体内を介しての上下階間などで
の騒音伝達が防止され好都合である。
【0045】また本発明のうち第7の発明は、第1の発
明の共同住宅の構造において、前記枠形柱状耐震構造体
の水平断面は、開口部をもつ環状となっているので、枠
形柱状耐震構造体に開口部17c等の開口部を形成する
ことにより、該開口部を利用してフロア空間と枠形柱状
耐震構造体内のスペース相互間が連通されるので、第1
の発明による効果に加えて、枠形柱状耐震構造体内のス
ペースを、階段室やエレベータ室或いはトランクルーム
などのような様々な共用スペースとして利用可能になり
好都合である。
【0046】また本発明のうち第8の発明は、第1の発
明の共同住宅の構造において、前記枠形柱状耐震構造体
は耐震壁部材によって枠形柱状に形成されているので、
第1の発明による効果に加えて、枠形柱状耐震構造体の
耐震性能が向上するので共同住宅全体の耐震性能が向上
する。また、枠形柱状耐震構造体には柱や梁などの構造
的要素を備えずに済むので、枠形柱状耐震構造体を構築
する際の手間(複雑な型枠設置等)を省くことができ
る。更に枠形柱状耐震構造体の内周表面及び外周表面に
凸凹が表われず、計画上有利であるだけでなく美観にも
優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の構造を採用した共同住宅の一
例でありその基準階を示した平断面図である。
【図2】図2は、図1に示す基準階のうち一部を拡大し
て示した詳細図である。
【図3】図3は、図1に示す共同住宅の側断面図であ
る。
【図4】図4は、図1に示す共同住宅に対して、梁間方
向に地震力が作用した場合の支点鉛直反力を示した図で
ある。
【図5】図5は、図1に示す共同住宅に対して桁行き方
向に地震力が作用した場合の変形を示した図である。
【図6】図6は、本発明の構造を採用した共同住宅の別
の一例でありその基準階の一部を示した平断面図であ
る。
【図7】図7は、本発明の構造を採用した共同住宅の別
の一例でありその基準階の一部を示した平断面図であ
る。
【図8】図8は、本発明の構造を採用した共同住宅の別
の一例でありその基準階の一部を示した平断面図であ
る。
【図9】図9は、本発明の構造を採用した共同住宅の別
の一例でありその基準階の一部を示した平断面図であ
る。
【図10】図10は、本発明の構造を採用した共同住宅
の別の一例でありその基準階を示した平断面図である。
【図11】図11は、本発明の構造を採用した共同住宅
の別の一例でありその基準階を示した平断面図である。
【図12】図12は、本発明の構造を採用した共同住宅
の別の一例でありその基準階を示した平断面図である。
【図13】図13は、従来の一般的な板状の共同住宅を
示した模式平断面図である。
【図14】図14は、従来提案されている板状の共同住
宅であり、図13に示す共同住宅とは別の形の共同住宅
を示した模式平断面図である。
【図15】図15は、図14に示す共同住宅に対し、梁
間方向に地震力が作用した場合の支点鉛直反力を示した
図である。
【図16】図16は、図14に示す共同住宅に対し、桁
行き方向に地震力が作用した場合の変形図である。
【符号の説明】
1、1A、1B、1C……共同住宅 4、4A、4B、4C……本体構造体 6A……柱 6B……柱 7A……梁 7B……梁 9A、9P、9R……第1のラーメン構面構造体(第1
ラーメン構面構造体) 9B、9Q、9S……第2のラーメン構面構造体(第2
ラーメン構面構造体) 11……スラブ 12……フロア空間 16……住戸 17……枠形柱状耐震構造体(筒状構造体) 23……吹抜スペース(吹抜空間) 26……接続梁(境界梁) 60……連層耐震壁構造体 70……連層耐震壁構造体(連層耐震壁)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のスラブが層状に設けられ、水平方向
    に伸延形成された本体構造体を有し、 前記本体構造体に、上下に隣接した前記スラブ間におい
    てフロア空間をそれぞれ形成し、 前記各フロア空間に複数の住戸を、前記本体構造体の伸
    延方向に沿って配設した共同住宅において、 前記本体構造体に枠形柱状耐震構造体を、前記複数のフ
    ロア空間に亙って、前記複数のスラブを上下に貫通する
    形で配設して構成した共同住宅の構造。
  2. 【請求項2】前記枠形柱状耐震構造体は、前記本体構造
    体に複数配設されており、 前記複数の枠形柱状耐震構造体は、前記伸延方向に並べ
    て配置されていることを特徴とする請求項1記載の共同
    住宅の構造。
  3. 【請求項3】前記本体構造体は、前記伸延方向に伸延形
    成された、複数の柱と梁からなる第1及び第2のラーメ
    ン構面構造体を、これら第1及び第2のラーメン構面構
    造体が前記伸延方向と直角な梁間方向に互いに対向した
    形で有し、 前記第1及び第2のラーメン構面構造体間に、前記梁間
    方向に伸延した形の1つ以上の連層耐震壁構造体を、該
    各連層耐震壁構造体が前記各フロア空間を仕切る形で設
    置し、 前記枠形柱状耐震構造体は、前記第1及び第2のラーメ
    ン構面構造体の間に、前記伸延方向に前記連層耐震壁構
    造体と並列に配置したことを特徴とする請求項1記載の
    共同住宅の構造。
  4. 【請求項4】前記第1及び第2のラーメン構面構造体の
    柱のうち、前記枠形柱状耐震構造体と前記梁間方向に対
    向した柱と、該枠形柱状耐震構造体との間に、これら柱
    と枠形柱状耐震構造体を接続する形で接続梁を設けたこ
    とを特徴とする請求項3記載の共同住宅の構造。
  5. 【請求項5】前記枠形柱状耐震構造体に、該枠形柱状耐
    震構造体内を上下に伸延した形の吹抜スペースを形成し
    たことを特徴とする請求項1記載の共同住宅の構造。
  6. 【請求項6】前記枠形柱状耐震構造体の水平断面は、閉
    塞した環状となっていることを特徴とする請求項1記載
    の共同住宅の構造。
  7. 【請求項7】前記枠形柱状耐震構造体の水平断面は、開
    口部をもつ環状となっていることを特徴とする請求項1
    記載の共同住宅の構造。
  8. 【請求項8】前記枠形柱状耐震構造体は耐震壁部材によ
    って枠形柱状に形成されていることを特徴とする請求項
    1記載の共同住宅の構造。
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