JP2000017520A - 金属部材の磨耗防止方法 - Google Patents

金属部材の磨耗防止方法

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JP2000017520A
JP2000017520A JP10183621A JP18362198A JP2000017520A JP 2000017520 A JP2000017520 A JP 2000017520A JP 10183621 A JP10183621 A JP 10183621A JP 18362198 A JP18362198 A JP 18362198A JP 2000017520 A JP2000017520 A JP 2000017520A
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acid
abrasion
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Tsutomu Igase
勉 伊賀瀬
Ken Miyake
研 三宅
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DIC Corp
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 顔料や無機フィラーを含有するポリエチレン
テレフタレート系ポリエステル繊維又はフィルムは、そ
の成形に際して、それらが摩擦接触する装置の金属部材
を磨耗させ、その結果磨耗で荒れた表面に接触するため
糸切れ、フィルム面の傷等を生じる。 【解決手段】 磨耗を促進する分散不良による顔料や無
機フィラーの硬い凝集粒子の発生防止のために、成形主
原料のポリエステル系樹脂(B)に対する添加剤とし
て、多塩基酸と多価アルコールよりなる酸価1.0以
下、水酸基価5.0以下、300℃における揮発減量
3.0重量%以下、融点100〜250℃の固形ポリエ
ステル(A)を配合する。成形品の品質向上、磨耗部材
の修理、交換の削減による製造能率の向上が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維、フィルム等
の成形に当たってその素材となる、主としてポリエチレ
ンテレフタレート系樹脂よりなる樹脂素材を成形する際
に、特定の固形ポリエステル(A)を添加使用すること
により、成形品の製造工程中に成形品が接触する金属
類、例えば、延伸ロール、熱板、ガイドなどの磨耗によ
る表面の損傷が原因で生じる糸切れ、フィルムの傷、破
れ等の問題を解消すると共に、それらの金属部材の磨耗
部分の補修または部品類の交換頻度を低減することを目
的とする。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル系樹脂の製糸工程では、金
属類の延伸ロール、熱板、ガイドなどの磨耗が発生す
る。磨耗の進んだ部分に接触した糸がしばしば切れるこ
とがあり、糸品質は低下、製糸性も低下する。そのため
に金属類の磨耗した部分の補修または部品類の交換を余
儀なくされる。また、顔料または無機系フィラー添加に
よる紡糸では、顔料または無機系フィラーによる影響で
糸状樹脂の表面結晶化が不均一になりがちであり、無添
加の場合よりも糸の接触による金属類の磨耗は更に進む
傾向にある。
【0003】ポリエステル系樹脂の紡糸過程における金
属類の磨耗は、その紡糸に使用するポリエステル樹脂の
濾過性能、または顔料や無機系フィラー添加によること
が原因として推測され、金属類の磨耗低減策として紡糸
工程での濾過フィルターの強化が実施されている。紡糸
工程での濾過フィルター強化はフィルター交換の頻度を
アップの傾向となり操業性の低下につながり工業的には
メリットは少なくなる。
【0004】そして、ポリエステル系樹脂の紡糸又はフ
ィルム化過程における金属類の磨耗は、樹脂の成形の段
階での糸状またはフィルム状のポリエステル樹脂の表面
の結晶化不均一による表面凹凸具合が重要な要因として
推測されているが磨耗性との関係は明確にされていな
い。そして本来は成形品の艶消しや白度を得る目的で使
用されていた酸化チタンを含有したポリエステル系樹脂
が成形工程での金属類の磨耗量が少ない実績結果より、
酸化チタンが磨耗を和らげる効果がある考えられ、微量
添加の方法で磨耗量の低減対策として使用されている。
【0005】しかし、その成形過程で使用されるポリエ
ステル系樹脂の酸化チタン含有量が0.01〜0.3重
量%程度の微量の範囲であれば目的とする金属類の磨耗
量の低減は得られるものの高濃度領域、例えば、隠蔽力
を得る目的で1〜10重量%を添加した場合、成形品に
よる磨耗度は低減されず逆に増大する傾向にあり、金属
類の表面磨耗が進み磨耗した金属部品の修復または交換
の頻度がアップするとともに、得られた成形品の品質は
低下し好ましくない結果となる。
【0006】さらに、近年は酸化チタンの他に、カーボ
ンブラックをはじめ酸化鉄系、焼成系の顔料などを使用
した原液着色方法でのポリエステル系樹脂の着色糸や無
機系フィラーを添加して機能性を付与した繊維の生産が
実施されるようになり、金属類の磨耗問題がクローズア
ップされはじめており、ポリエステル系樹脂の成形工程
での金属類の磨耗低減方法の要求は強いものがある。
【0007】顔料または無機系フィラーを含有したマス
ターチップによる紡糸方法に於いて、それらがポリエス
テル系樹脂中に微細に分散するほど透明性に優れ好まれ
る傾向にあるが、樹脂中では微細な分散と均一性は得難
い。またマスターチップとポリエステル系樹脂を混合し
て繊維化するが、顔料または無機系フィラーの一部が凝
集粒子として繊維中に分散する。それらが異物として作
用することにより、磨耗問題を発生させる。また、溶融
ノズルより吐出した材料を空冷する段階で繊維状の樹脂
の結晶化を均一に行うことが重要であるが、ポリエステ
ル系樹脂の表面の結晶化に斑が発生することがあり、磨
耗性を悪くする要因となっている。そのために紡糸油剤
の付着量を調整するなどの対策を行い後工程の延伸での
金属類の磨耗量低減対策が実施されているが、磨耗問題
の解消は困難であり、得られた繊維中に糸切れが原因で
発生する毛羽が混入する事になり、その対応に苦労して
いる現状がある。
【0008】そこで、原液着色方法での磨耗の軽減策に
カーボンブラックでの対策として、カーボンブラックの
粒度分布を考慮し、特定粒度のものを選定使用するポリ
エステル用着色剤(特開平7−258918号)、カー
ボンブラックをチャンネル法で製造したものに限定した
ポリアミド用着色剤(特開平6−341016号)、カ
ーボンブラックの分散を改良する方法としてポリエステ
ル樹脂用着色剤(特開平5−194825号)が提案さ
れている。
【0009】顔料または無機系フィラーの粒子径が微細
になるとその凝集力は強く、顔料または無機系フィラー
を微細且つ均一に樹脂中に分散させることは困難であ
り、磨耗量を低減出来る顔料または無機系フィラーの微
細な分散を達成するには、分散助剤を併用する方法、顔
料または無機系フィラーの含有量を低くする方法、紡糸
工程での濾過フィルターを強化する方法などの対策が実
施されている。
【0010】しかし、分散剤を使用すると繊維の物性低
下が見られ強力を必要とするシートベルトや漁網用途で
は要求の糸品質の確保は困難であり、その繊維はカーペ
ットや衣料用などに限定され、また顔料等の低濃度のマ
スターチップを使用する場合は、そのマスターチップの
混入量が増大することになり、紡糸された繊維の価格は
高くなる傾向にある。また、紡糸時の濾過フィルター強
化は、その工程のフィルターライフを短命にすることに
つながり、フィルター交換頻度が増し、製糸能率が低下
する。更に、カーボンブラック使用の場合の粒度分布の
選定、チャンネル法で製造したカーボンブラックに限定
する方法では、使用出来るカーボンブラックの選定範囲
が狭くなり、工業的メリットは少なくなる。また、カー
ボンブラックを微細分散させたポリエステル樹脂用着色
剤の提案は、色相改善を目的とするにとどまり、磨耗防
止を提案するものではない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の方法は、成形
した糸又はフィルムの品質の低下なしにそれらの製造工
程で使用される金属類(延伸ロール、熱板、ガイドな
ど)の磨耗が原因で発生する製品品質と製造能率が低下
する問題を解消した方法を提供せんとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、上記の
課題を解決すべ鋭意検討を重ねた結果、糸又はフィルム
の製造工程において、成形主原料のポリエステル系樹脂
に特定の固形ポリエステルを添加使用することによっ
て、その工程で使用する金属類の磨耗量が少なくし得る
ことを見出し、その結果成されたものである。
【0013】即ち、本発明は、冒頭の特許請求の範囲の
欄に記載された通りのもので、その構成を示すと以下の
通りである。
【0014】請求項1の発明は、 ポリエステル繊維又
はフィルムの製造過程で、ノズルよりの押し出しから延
伸、巻き取りまでの工程中に糸又はフィルムと接触する
金属部材の磨耗を防止する方法において、成形主原料の
ポリエステル系樹脂(B)の添加剤として、融点が10
0〜250℃、多塩基酸を少なくとも一種含有し、併せ
て一塩基芳香族酸を一種以上含んでも良い成分と、1価
アルコールを併せて含んでも良い多価アルコール成分と
から得られるポリエステル化合物であり、その酸価が
1.0以下、水酸基価が5.0以下、揮発減量(300
℃)が3.0重量%以下である固形ポリエステル(A)
を用いることを特徴とする金属部材の磨耗防止方法。
【0015】請求項2の発明は、 固形ポリエステル
(A)の酸成分とアルコール成分とが (a)炭素数2〜25の二価アルコール (b)炭素数8〜18の芳香族二塩基酸 (c)炭素数4〜18の一価アルコール とからなることを特徴とする請求項1記載の磨耗防止方
法。
【0016】請求項3の発明は、 固形ポリエステル
(A)とポリエステル系樹脂(B)との重量比(A)/
(B)が 0.01/99.99〜30/70である請
求項1又は2記載の磨耗防止方法。
【0017】請求項4の発明は、固形ポリエステル
(A)とポリエステル系樹脂(B)との重量比(A)/
(B)が 0.03/99.97〜10/90である請
求項1又は2記載の磨耗防止方法。
【0018】請求項5の発明は、繊維の製造において行
う請求項1〜4のいずれか1つに記載の磨耗防止方法。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の典型的なも
の及び最良の状態は後記する実施例に具体的に示される
が、本発明を実施する上で選択可能な各種構成要件につ
いて以下に詳細に説明する。
【0020】本発明に用いられる固形ポリエステル
(A)としては、好適には、多塩基芳香族酸を少なくと
も1種含有し、併せて一塩基芳香族酸を1種以上含んで
も良い酸成分と、1価アルコールを併せて含んでも良い
多価アルコール成分とから得られるポリエステル化合物
であり、酸価が1.0以下、水酸基価が5.0以下、揮
発減量(300℃)3.0重量%以下で、融点が100
〜250℃であることを特徴とする常温で固形のポリエ
ステルである。好ましくは、酸成分とアルコール成分と
が(a)炭素数2〜25の二価アルコール、(b)炭素
数8〜18の芳香族二塩基酸、(c)炭素数4〜18の
一価アルコールとからなることを特徴とし、融点が10
0〜250℃の固形ポリエステルである。
【0021】本発明に用いられる固形ポリエステル
(A)は、融点が100℃より低いと、加熱乾燥した吸
湿性のポリエステル系樹脂との混合時に溶融付着が発生
し混合が不均一となる問題を発生するおそれがある。即
ち、添加の対象となる成形主原料のポリエステル系樹脂
(B)は、成形の前処理段階で乾燥処理が必要であり、
また再吸湿を避けるために100℃以上の温度を保つこ
とが必要である。100℃以上の温度条件下で固形ポリ
エステルと混合すると、添加剤としての固形ポリエステ
ルの融点が100℃よりも低温である場合には材料の融
着現象を発生させ、混合が不均一となる不都合を生じ
る。また、固形ポリエステル(A)の融点が250℃よ
り高いと、ポリエステル系樹脂(B)と固形ポリエステ
ル(A)の溶融段階での混合均一性の低下が見られ、溶
融紡糸では糸での均一性が得難く成形品である糸表面の
結晶化を均一に得ることが困難になる。そして延伸工程
での金属類の磨耗の防止効果は低下する。
【0022】固形ポリエステル(A)において、その酸
価が1.0を越えたり、水酸基価が5.0を越す程に残
存酸基や水酸基がポリエステル分子内にあると、ポリエ
ステル系樹脂(B)との溶融混合中にエステル交換反応
や熱分解反応を発生し易く、ポリエステル系樹脂(B)
本来の特性を損なうことがある。
【0023】そして固形ポリエステル(A)と添加の対
象となるポリエステル系樹脂(B)との使用割合(重量
比)(A)/(B)は、通常は0.01/99.99〜
30/70であるのが適当で、更に好ましくは、0.0
1/99.99〜10/90とりわけ0.01/99.
99〜5/95の範囲である。
【0024】また特定の固形ポリエステル(A)は、添
加対象となる個々のポリエステル系樹脂(B)用に特化
させるため、更に付加成分を追加することも好適であ
る。その意味から選択された特定のポリエステル系樹脂
(B)成分を含有させることが有効である。
【0025】上記特定の固形ポリエステル(A)を構成
するために使用されるアルコール成分としては、好まし
くは炭素数2〜25の二価アルコール、より好ましく
は、炭素数2〜23の二価アルコールで、例えば、エチ
レングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,
3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、
1,3−ブタンジオール、2−メチル1,3−プロパン
ジオール、1,4−ブダンジオール、ネオペンチルグリ
コール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル1,5
−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,
2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エ
チル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オ
クタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−
デカンジオール、1,12−オクタデカンジオールなど
の脂肪族グリコール及びジエチレングリコール、ジプロ
ピレングリコールなどのポリアルキレングリコール及び
水添ビスフェノールA、ビスフェノールA又は、ビスフ
ェノールSのエチレンオキサイド付加物、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオ
ール1,2−シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシ
エトキシベンゼンなどの環状または芳香環含有二価アル
コールが挙げられる。これらのアルコールは、1種また
は2種以上の混合物として使用できる。
【0026】また、酸成分としては、炭素数8〜18の
芳香族二塩基酸またはカルボン酸基が3個以上の多塩基
酸が好ましい。炭素数8〜18の芳香族二塩基酸として
は、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、α,β−ビス(4−
カルボキシフェノキシ)エタン、4,4’−ビフェニル
ジカルボン酸等が挙げられる。また、カルボン酸基が3
個以上の多塩基酸としては、例えば、トリメリット酸、
トリメシン酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカル
ボン酸等の3価、またはそれ以上の多塩基酸が挙げられ
る。なお、芳香族二塩基酸や芳香族多塩基酸に脂肪族系
多塩基酸を併用することができる。脂肪族系多塩基酸と
しては、例えば、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン
酸、ドデカンジカルボン酸、等が挙げられる。また、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の
脂環式多塩基酸も使用できる。これらの多塩基酸は1種
または2種以上の混合物として使用できる。
【0027】また、酸成分としては前記の多塩基酸に加
えて一塩基芳香族酸を併用することもできる。併用し得
るその様な酸成分としては、安息香酸、トルイル酸(o-,
m-,p-)、p-ターシャリーブチル安息香酸、イソプルピル
安息香酸、サリチル酸、ヒドロキシメチル安息香酸、モ
ノクロロメチル安息香酸等が挙げられる。また、一価ア
ルコール成分としては、好ましくは、炭素数4〜18の
1価アルコールであり、例えば、ブタノール、ヘキサノ
ール、イソヘキサノール、ヘプタノール、オクタノー
ル、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナ
ノール、イソノナノール、2−メチルオクタノール、デ
カノール、イソデカノール、ウンデカノール、ドデカノ
ール、トリデカノール、テトラデカノール、オクタデカ
ノール等の脂肪族アルコール、シクロヘキサノール等の
脂環式アルコール、ベンジルアルコール、2−フェニル
エタノール、1−フェニルエタノール、2−フェノキシ
エタノール、3−フェニル−1−プロパノール、2−ヒ
ドロキシエチルベンジルエーテルなどの芳香族アルコー
ルが挙げられる。これらは1種または2種以上の混合物
として使用できる。
【0028】また、かかる前記特定の固形ポリエステル
(A)は、公知の種々のエステル化方法で製造すること
ができる。例えば、前記特定の固形ポリエステル構成成
分を一括もしくは、2種ないし3種を反応させて後、次
いで残りの成分を反応させて目標とするエステルを得る
ことができる。エステル反応は、例えば、パラトルエン
スルホン酸、リン酸等の酸触媒、テトライソプロピルチ
タネート、テトラブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オ
キサイド、塩化亜鉛などの金属触媒により促進されるの
で通常これらの触媒の存在下で反応させるのが良い。ま
た、通常その反応は100〜250℃、好ましくは、1
30〜250℃に加熱して得られる。
【0029】ポリエステル系樹脂(B)は、例えば、フ
タル酸ジメチルまたはテレフタル酸とエチレングリコー
ルを出発原料としたエステル交換反応を経て、重宿合し
たものが代表例として挙げられる(以下PETと称する
ことがある)が、エチレンテレフタレートユニットを主
体とするポリマーであれば良い。
【0030】また、本発明の方法では、これらの成分の
以外にも所望に応じて例えば、熱可塑性樹脂の着色に用
いられる各種の顔料が使用可能であるが、カーボンブラ
ックをはじめとして酸化鉄系、酸化チタン系、酸化クロ
ム系、黄鉛系など無機顔料とフタロシアニン系、アゾ
系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ペリノン
系、アントラキノン系等の有機顔料、更に、カオリン、
沈殿性バリュウム、炭酸カルシュウム、酸化珪素、酸化
アルミニュウム、リン酸ゲルマニュウム、アルミナシリ
ケート、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止
剤などを含有し得ることは勿論である。
【0031】本発明にかかる固形ポリエステルの使用
は、熱可塑性ポリエステル樹脂に対するドライカラー及
びマスターチップの使用方法で良い。例えば、乾燥した
PET100重量部に対して本発明にかかる固形ポリエ
ステル0.01〜5重量部を混合した後、常法に従って
溶融紡糸機を用いて紡糸を行う方法で繊維が得られる。
この繊維は、婦人服や紳士服、学生服などの衣料用をは
じめ漁網、シートベルト、カ−ペットやスパンボンドな
どの産業資材用途、その他に使用出来る。
【0032】
【作用】本発明の方法での糸又はフィルムの製造工程に
おいて、糸の場合について言えば、その工程に使用され
る金属部材の磨耗量が少なくなり、糸切れの問題が解消
されるのは、特定の固形ポリエステルにより製糸工程の
紡糸ノズル部より材料が吐出され空冷される段階で、糸
表面の樹脂の結晶化が均一化にできることから紡糸した
糸表面の磨耗特性を和らげる働きをもたらし、とりわけ
ポリエチレンテレフタレート系樹脂の溶融紡糸での金属
類の磨耗を減少させたものと思われる。
【0033】
【実施例】以下に実施例、比較例、測定例を挙げて本発
明を更に具体的に説明する。尚、各例の部は重量基準で
ある。
【0034】実施例−1 アルコール成分としてブタンジオール、オクタノール、
酸成分としてテレフタル酸、触媒として塩化亜鉛を用い
てエステル反応を行い、融点195℃、酸価0.5、水
酸基価2.2、揮発減量(300℃)が2.1%の固形
ポリエステルを得た(以下固形ポリエステルと称す
る)。
【0035】実施例−2 極限粘度IV=0.65(フェノール/四塩化エタン、
重量比50/50の混合溶媒、30℃での測定)のPE
T 100部を150℃の乾燥機にて15時間乾燥した
後、実施例−1で得た固形ポリエステル0.01部をタ
ンブラーにて5分間混合した後、溶融紡糸機を用いて常
法に従って紡糸を行い、1.5倍延伸を経て480d/
96f(単糸5デニール)の糸を得た(以下糸試料−1
と称する)。その後、糸試料−1をガイド棒を付した延
伸機にて3倍延伸を行いガイド棒の磨耗量を測定し評価
した。
【0036】実施例−3 極限粘度IV=0.65のPET 90部を150℃の
乾燥機にて15時間乾燥後、実施例−1で得た固形ポリ
エステル 10部をタンブラーにて混合した後、二軸押
し出し機にて溶融押し出しを行い円筒状の直径2.5〜
3.0mm、長さ2.5〜3.0mmのチップ状(以下
円筒チップと称する)の固形ポリエステルを含有したチ
ップを得た(以下マスターチップ−Aと称する)。その
マスターチップ−A 0.5部と極限粘度IV=0.6
5のPET 99.5部をタンブラーにて5分間混合
後、150℃の乾燥機で15時間乾燥した後、溶融紡糸
機を用いて常法に従って紡糸を行い、1.5倍延伸を経
て480d/96fの糸を得た(以下糸試料−2と称す
る)。その後、糸試料−2をガイド棒を付した延伸機に
て3倍延伸を行いガイド棒の磨耗量を測定し評価した。
【0037】比較例−1 極限粘度IV=0.65のPET 100部を150℃
の乾燥機にて15時間乾燥後、溶融紡糸機を用いて常法
に従って紡糸を行い、1.5倍延伸を経て480d/9
6fの糸を得た(以下糸試料−3と称する)。その後、
糸試料−3をガイド棒を付した延伸機にて3倍の延伸を
行いガイド棒の磨耗量を測定し評価した。
【0038】実施例−4 極限粘度IV=0.70のPET 90部を150℃の
乾燥機にて15時間乾燥後、実施例−1で得た固形ポリ
エステル 10部をタンブラーで5分間混合した後、二
軸押し出し機で溶融押し出しを行い円筒チップ状の固形
ポリエステルを含有したチップを得た(以下マスターチ
ップ−Bと称する)。そのマスターチップ−B 0.1
部と極限粘度IV=0.70のPET 99.9部をタ
ンブラーにて5分間混合後、150℃の乾燥機にて15
時間乾燥した後、溶融紡糸機を用いて常法に従って紡糸
を行い、1.5倍延伸を経て480d/96fの糸を得
た(以下糸試料−4と称する)。その後、糸試料−4を
ガイド棒を付した延伸機にて4倍延伸を行いガイド棒の
磨耗量を測定し評価した。
【0039】実施例−5 極限粘度IV=0.70のPET 99.5部と実施
例−4で得たマスターチップ−B 0.5部をタンブラ
ーにて5分間混合後、溶融紡糸機を用いて常法に従って
紡糸を行い1.5倍の延伸を経て480d/96fの糸
を得た(以下糸試料−5と称する)。その後、糸試料−
5をガイドを付した延伸機にて4倍延伸を行いガイド棒
の磨耗量を測定し評価した。
【0040】比較例−2 極限粘度IV=0.70のPET 100部を150℃
の乾燥機にて15時間乾燥後、溶融紡糸機を用いて1.
5倍の延伸を経て480d/96Fの糸を得た(以下糸
試料−6と称する)。その後、糸試料−6をガイド棒を
付した延伸機にて4倍の延伸を行いガイド棒の磨耗量を
測定し評価した。
【0041】実施例−6 酸化鉄系顔料10部と極限粘度IV=0.65のPET
90部をタンブラーで20分間混合後、150℃乾燥
機で15時間乾燥した後、二軸押し出し機にて溶融押し
出しを行い円筒チップを得た(以下マスターチップ−C
と称する)。マスターチップ−C 10部と極限粘度I
V=0.65のPET 89.7部と実施例−3で得た
マスターチップ−A 0.3部をタンブラーにて5分間
混合後、150℃の乾燥機にて15時間乾燥した後、溶
融紡糸機を用いて常法に従って紡糸を行い、1.5倍延
伸を経て480d/96fの糸を得た(以下糸試料−7
と称する)。その後、糸試料−7をガイド棒を付した延
伸機にて3倍延伸を行いガイド棒の磨耗量を測定し評価
した。
【0042】比較例−3 実施例−6で得たマスターチップ−C 10部と極限粘
度IV=0.65のPET 90部をタンブラーにて5
分間混合後、150℃の乾燥機で15時間乾燥した後、
溶融紡糸機を用いて常法に従って紡糸を行い、1.5倍
延伸延伸を経て480d/96fの糸を得た(以下糸試
料−8と称する)。その後、糸試料−8をガイド棒を付
した延伸機にて3倍延伸を行いガイド棒の磨耗量を測定
し評価した。
【0043】実施例−7 カーボンブラック30部と極限粘度IV=0.70のP
ET 70部をタンブラーにて20分間混合後、150
℃の乾燥機にて15時間乾燥した後、二軸押し出し機に
て溶融押し出しを行い円筒チップを得た(以下マスター
チップ−Dと称する)。マスターチップ−D 3部と極
限粘度IV=0.70のPET 96.7部と実施例−
4で得たマスターチップ−B 0.3部をタンブラーに
て5分間混合後、150℃の乾燥機で15時間乾燥した
後、溶融紡糸機を用いて常法に従って紡糸を行い、1.
5倍延伸を経て480d/96fの糸を得た(以下糸試
料−9と称する)。その後、糸試料−9をガイド棒を付
した延伸機にて4倍の延伸を行いガイド棒の磨耗量を測
定し評価した。
【0044】比較例−4 実施例−7で得たマスターチップ−D 3部と極限粘度
IV=0.70のPET 97部をタンブラーにて5分
間混合後、150℃の乾燥機にて15時間乾燥した後、
溶融紡糸機を用いて常法に従って紡糸を行い、1.5倍
延伸を経て480d/96fの糸を得た(以下糸試料−
10と称する)。その後、糸試料−10をガイド棒を付
した延伸機にて4倍延伸を行いガイド棒の磨耗量を測定
し評価した。
【0045】実施例−8 酸化チタン50部と極限粘度IV=0.65のPET
50部をタンブラーにて20分間混合後、150℃の乾
燥機で15時間乾燥した後、二軸押し出し機で溶融押し
出しを行い円筒チップを得た(以下マスターチップ−E
と称する)。マスターチップ−E 4部と極限粘度IV
=0.65のPET 95.7部と実施例−3で得たマ
スターチツプ−A 0.3部をタンブラーで5分間混合
した後、150度の乾燥機にて15時間乾燥後、溶融紡
糸機を用いて常法に従って紡糸を行い、1.5倍延伸を
経ての480d/96fの糸を得た(以下糸試料−11
と称する)。その後、糸試料−11をガイド棒を付した
延伸機にて3倍の延伸を行いガイド棒の磨耗量を測定し
評価した。
【0046】比較例−5 実施例−8で得たマスターチップ−E 4部と極限粘度
IV=0.65のPET 96部をタンブラーにて5分
間混合後、150℃の乾燥機にて15時間乾燥した後、
溶融押し出し機を用いて常法に従って紡糸を行い1.5
倍延伸を経て480d/96fの糸を得た(以下糸試料
−12と称する)。その後、糸試料−12をガイド棒を
付した延伸機にて3倍延伸を行いガイド棒の磨耗量を測
定し評価した。
【0047】測定例 それら固形ポリエスルを添加した場合(実施例−2〜
8)と固形ポリエステルを無添加の場合(比較例−1〜
5)のそれぞれの糸を延伸した時のガイド棒の磨耗量を
測定し評価した結果を1〜8段階に表し、表−1に示
す。尚、表−1中の磨耗欄のそれぞれの数字の小さいも
のがガイド棒の磨耗量が少なくて良いことを示し、糸毛
羽欄の有または無は無が糸毛羽がなく糸質が良好である
ことを示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】本発明の方法は、ポリエステル系樹脂の
製糸工程又はフィルム化工程において、その工程で使用
される金属類(例えば、延伸ロール、熱板、ガイドな
ど)の磨耗量が少なくなることにより、磨耗が進んだ部
分に接触した糸が切れることによる糸品質の低下や、フ
ィルムの傷、破れの発生、又はそれらの製造能率が低下
する問題を解消することが出来る。また、それらの糸は
紳士服、婦人服などの衣料用をはじめシートベルト、漁
網、カーペット、スパンボンドなどの産業資材用途に使
用できる。従来の技術による方法と本発明の方法を比較
すると、製糸又はフィルム化工程で使用する金属部品の
磨耗量が殆ど無くなり、金属部品の磨耗した部分の補修
または金属部品の交換頻度は少なくて済み、交換部品の
個数削減ができる。また、製品品質と製造能率が低下す
ることを防止でき、材料ロスの減少により産業廃棄物の
削減に寄与できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル繊維又はフィルムの製造過
    程で、ノズルよりの押し出しから延伸、巻き取りまでの
    工程中に糸又はフィルムと接触する金属部材の磨耗を防
    止する方法において、成形主原料のポリエステル系樹脂
    (B)の添加剤として、融点が100〜250℃、多塩
    基酸を少なくとも一種含有し、併せて一塩基芳香族酸を
    一種以上含んでも良い成分と、1価アルコールを併せて
    含んでも良い多価アルコール成分とから得られるポリエ
    ステル化合物であり、その酸価が1.0以下、水酸基価
    が5.0以下、揮発減量(300℃)が3.0重量%以
    下である固形ポリエステル(A)を用いることを特徴と
    する金属部材の磨耗防止方法。
  2. 【請求項2】 固形ポリエステル(A)の酸成分とアル
    コール成分とが (a)炭素数2〜25の二価アルコール (b)炭素数8〜18の芳香族二塩基酸 (c)炭素数4〜18の一価アルコール とからなることを特徴とする請求項1記載の磨耗防止方
    法。
  3. 【請求項3】 固形ポリエステル(A)とポリエステル
    系樹脂(B)との重量比(A)/(B)が 0.01/
    99.99〜30/70である請求項1又は2記載の磨
    耗防止方法。
  4. 【請求項4】 固形ポリエステル(A)とポリエステル
    系樹脂(B)との重量比(A)/(B)が 0.03/
    99.97〜10/90である請求項1又は2記載の磨
    耗防止方法。
  5. 【請求項5】 繊維の製造において行う請求項1〜4の
    いずれか1つに記載の磨耗防止方法。
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