JP2000017448A - 無電解金めっき液及び無電解金めっき方法 - Google Patents

無電解金めっき液及び無電解金めっき方法

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JP2000017448A
JP2000017448A JP10186303A JP18630398A JP2000017448A JP 2000017448 A JP2000017448 A JP 2000017448A JP 10186303 A JP10186303 A JP 10186303A JP 18630398 A JP18630398 A JP 18630398A JP 2000017448 A JP2000017448 A JP 2000017448A
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gold
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electroless gold
electroless
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Yasuo Ota
康夫 太田
Yasushi Takizawa
靖史 滝沢
Haruki Enomoto
治樹 榎本
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NIPPON RIIRONAARU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機レジストを破壊することなく、下地金属
に対する密着性の向上した金めっき層を形成することの
できる、無電解金めっき液及びそれを使用する無電解金
めっき方法を提供する。 【解決手段】 pH10以下において、ニッケル、コバ
ルト、パラジウム及びこれらの金属を含有する合金から
なる群から選択される金属を表面に有する被めっき物上
に、下記成分を含有する無電解金めっき液中で無電解金
めっき処理する。 (イ)金イオンを提供する化合物、(ロ)pH10以下にお
いて、金イオンを安定化するが、前記ニッケル、コバル
ト又はパラジウムを溶解しない錯化剤、及び(ハ)前記
ニッケル、コバルト又はパラジウムによって酸化される
還元剤。 以下の工程から有機無機複合樹脂を合成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント配線基板
や、ITO基板等の電子工業部品に金めっき皮膜を形成
する場合に使用される無電解金めっき液及びその無電解
金めっき液を使用する無電解金めっき方法に関し、更に
詳述すると、被めっき物に金めっきを行なう際、下地金
属との密着性に優れた金めっき皮膜を形成できる無電解
金めっき液及び無電解金めっき方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、金めっきは、金の電気電導性
や、はんだ付け性、熱圧着による接続等の物理的性質及
び耐酸化性、耐薬品性の点からプリント配線板や、セラ
ミックICパッケージ、ITO基板、ICカード等の電
子工業部品の表面に適応されている。これら電子工業部
品の多くは、電気的に孤立した部位に金めっきを行なう
必要があるため、電気金めっきの使用は適当ではなく、
無電解金めっきを用いねばならない。また、これら電子
工業部品には有機レジストを使用してパターンを形成し
たものが多くある。この有機レジストは、遊離シアンを
含む溶液や、アルカリ性の溶液に攻撃され、破壊されや
すいことが知られており、これらに使用するめっき液
は、遊離シアンを含まず、またpH10を越えるアルカ
リ性でないことが必要とされている。
【0003】従来の技術としては、ニッケル等の下地金
属の溶解に伴って金が析出する置換金めっき液と、金に
触媒活性を有する還元剤の作用により金が析出する自己
触媒型金めっき液とが広く知られており、この2種類が
現在広く使用されている代表的な無電解金めっき液であ
る。しかしながら、置換金めっき液は、金が下地金属を
置換するものであるから、金の析出に伴って、下地金属
が溶解(エッチング又は侵食)される。この結果、形成
する金めっき皮膜は、金めっき液によりエッチング又は
侵食され、表面の均一構造が破壊された下地金属上に析
出することになり、金と下地金属との間に充分な密着を
得ることが出来ない問題点がある。一方、自己触媒型金
めっき液の場合においても、めっき液に被めっき物を浸
漬させた直後、下地金属と金との置換反応によって金が
析出し、その後、析出した金を触媒とする還元剤の作用
が開始して金が析出するという2段階反応であるため、
金めっき液による下地金属のエッチング又は侵食を完全
に防止することは出来ない。
【0004】この様な密着性不充分のめっき皮膜は、耐
久試験において剥離を生じたり、はんだ付けを行なった
際に充分なはんだ付け強度が確保できず、はんだ付け強
度試験において下地金属が露出するようなはんだ付け不
良を生じ易い。しかし、近年マイクロプロセッサ用パッ
ケージとして普及しつつある、プリント配線板技術を用
いて製造されるボールグリッドアレイ型半導体パッケー
ジでは、電気的に独立したパターン上にはんだ付け性向
上を目的とした金めっきを行なう必要があり、従来の技
術による無電解金めっきでは、はんだ付け強度不足によ
る不良品発生が問題になっている。そのため、従来よ
り、はんだ付け性を向上させる目的の金めっきは、電気
めっき法により行なわれているのが現状である。一方、
自己触媒型金めっき浴は安定性に乏しく、めっき液中に
金の沈澱が生じた場合には、自己触媒型であるために、
めっきの反応が急激に起こり、めっき液中の金イオン又
は還元剤が全て消費されるまで、還元剤の酸化、金の析
出という酸化還元反応が停止せずに暴走してしまう。こ
の様な現象は自己触媒型無電解めっき液の自己分解と呼
ばれるが、従来報告されている自己触媒型金めっき液で
は自己分解を完全に防止することが出来ないため、めっ
き液の寿命が短く、実用的なめっき液は開発されていな
い。
【0005】ところで、下地金属をエッチング又は侵食
することなく、また従来の自己触媒型金めっき液のよう
な自己分解を起こさずに、安定して長時間使用すること
が出来る新しい方式の無電解金めっき液としては、Iaco
vangelo らによって発表された表面触媒型無電解金めっ
き液(Journal of Electrochemichal Society 1991年
4月号)が提案されているが、このめっき液は、遊離シ
アンと水酸化カリウムとを多量に含有するアルカリ性の
溶液であり、有機レジストを破壊してしまうため電子工
業部品のめっきに使用することが出来ない。特に、この
めっき液は、含有する遊離シアンによってめっき液中の
金イオンを溶解、保持しているので、このめっき液に酸
を加えてpHを10以下に調整した場合には、遊離シア
ンがめっき液中に存在出来なくなり、その結果、金イオ
ンをめっき液中に保持出来なくなる。従って、このめっ
き液は、有機レジストにとって安全な10以下のpHで
は使用することが出来ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、有
機レジストを破壊することなく、下地金属に対する密着
性の向上した金めっき層を形成することのできる、無電
解金めっき液を提供することを目的とする。また、本発
明は、有機レジストを破壊することなく、また、下地金
属をエッチング又は浸食することなく、下地金属の上に
密着性に優れた無電解金めっき層を形成することのでき
る無電解金めっき方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
達成するために鋭意検討した結果、pH10以下におい
て、特定の成分を組合せて使用することにより、上記目
的が達成できることを見出し、本発明に到達したもので
ある。即ち、本発明は、以下のように構成される。 1.pH10以下において、ニッケル、コバルト、パラ
ジウム及びこれらの金属を含有する合金からなる群から
選択される金属を表面に有する被めっき物上に無電解金
めっきするための無電解金めっき液であって、下記成分
(イ)〜(ハ)を含有することを特徴とする無電解金め
っき液。 (イ)金イオンを提供する化合物、(ロ)pH10以下にお
いて、金イオンを安定化するが、前記ニッケル、コバル
ト又はパラジウムを溶解しない錯化剤、及び(ハ)前記
ニッケル、コバルト又はパラジウムによって酸化される
還元剤。 2.上記1に記載のめっき液中に、ニッケル、コバル
ト、パラジウム及びこれらの金属を含有する合金からな
る群から選択される金属を表面に有する被めっき物を浸
漬して、前記金属表面の上に、無電解金めっきを行なう
ことを特徴とする無電解金めっき方法。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明で使用される金イオンを提供する化合物
は、従来より、金めっきに使用されている材料であれ
ば、特に制限なく、各種の材料を使用することができ
る。このような材料としては、例えば、水溶性金化合物
が使用される。こような水溶性金化合物としては、例え
ば、シアン化第1金カリウムや、シアン化第2金カリウ
ム、塩化金酸ナトリウム、亜硫酸金アンモニウム、亜硫
酸金カリウム、亜硫酸金ナトリウム等を挙げることが出
来る。水溶性金化合物は、一種類のみを使用しても二種
類以上を混合してもよい。本発明の無電解金めっき液
は、これら水溶性金化合物を金イオンとして、例えば、
0.5〜10g/L、好ましくは1〜5g/L含有するこ
とが適当である。含有量が、例えば、金イオンとして0.
5g/L未満であると、めっき反応が遅いか又はほとん
ど起こらず、また、10g/Lを越えても、それに見合
う効果の増大はほとんど得られないことが多く、経済的
ではない。
【0009】本発明で使用される錯化剤は、pH10以下に
おいて、金イオンを安定化するが、ニッケル、コバルト
又はパラジウムを溶解しない錯化剤である。本発明の無
電解金めっき液では、このような錯化剤を使用すること
により、pH10以下の条件でも、金イオンを安定に保
持することが可能となる。従って、本発明の無電解金め
っき液を使用することで、電子工業部品に用いられる有
機レジストを破壊することなく、金めっきを行なうこと
が出来る。本発明で使用される錯化剤としては、好まし
くは、分子内にホスホン酸基又はその塩を複数有する構
造の有機ホスホン酸又はその塩が挙げられる。塩として
は、例えば、ナトリウムや、カリウム、アンモニウム等
の塩が挙げられる。本発明で使用される錯化剤として
は、好ましくは、以下の構造を有する化合物が挙げられ
る。
【0010】
【化1】 式中、X1 は、水素原子、C1 5 のアルキル基、アリ
ール基、アリールアルキル基、アミノ基、若しくは水酸
基、カルボキシル基(−COOM)又はホスホン酸基
(−PO3 MM’)で置換されたC1 5 のアルキル基
である。また、M及びM' は、同一でも異なってもよ
く、水素原子、ナトリウム、カリウム及びアンモニウム
(NH4)からなる群から選択される。また、m及びn
は、それぞれ0又は1〜5の整数である。
【0011】
【化2】 式中、X2 は、−CH2 −、−CH(OH)−、−C
(CH3 )(OH)−、−CH(COOM)−、又は−
C(CH3 )(COOM)−であり、M及びM'は、上
記定義の通りである。
【0012】
【化3】 式中、X3 〜X7 は、それぞれ、独立に、水素原子、C
1 5 のアルキル基、アリール基、アリールアルキル
基、アミノ基、若しくは水酸基、カルボキシル基(−C
OOM)又はホスホン酸基(−PO3 MM’)で置換さ
れたC1 5 のアルキル基である。但し、X3 〜X7
少なくとも2個は、ホスホン酸基(−PO 3 MM’)で
ある。また、M及びM' は、同一でも異なってもよく、
水素原子、ナトリウム、カリウム及びアンモニウムから
なる群から選択される。また、mは、それぞれ0又は1
〜5の整数である。ここで、C1 5 のアルキル基とし
ては、直鎖又は分岐鎖を有するものでよく、例えば、メ
チル基や、エチル基、プロピルき、イソプロピル基、ブ
チル基、イソブチル基、sec-ブチル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基や、ナフチル
基等が挙げられる。また、アリールアルキル基として
は、上記アルキル基とアリール基との組合せが挙げられ
る。
【0013】上記錯化剤としては、具体的には、例え
ば、アミノトリメチレンホスホン酸や、1−ヒドロキシ
エチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミン
テトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペン
タメチレンホスホン酸等、又はそれらのナトリウム塩、
カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。本発明で
使用される錯化剤は、一種類のみを使用しても、二種類
以上の混合物として使用してもよい。本発明で使用され
る錯化剤は、例えば、0.005〜0.5モル/L、好まし
くは0.02〜0.2モル/Lの範囲で使用することが適当
である。特に、錯化剤は、本発明の無電解金めっきに含
有される金イオンと等モル以上含有するが好適である。
錯化剤濃度が、0.005モル/L未満又はめっき液中の
金イオンのモル数未満であると、錯化剤が金イオンを安
定して液中に保持出来ず、めっき液中に金の沈澱が生じ
易い。また、錯化剤濃度が0.5モル/Lを越えると、そ
れに見合う効果の向上はほとんど得られないので、経済
的面から好ましくない。
【0014】本発明で使用される還元剤は、ニッケル、
コバルト又はパラジウムによって触媒されて、それ自身
が酸化され、一方で、金イオンを還元するものである。
無電解金めっき液中に微量の金の沈澱物が発生又は持ち
込まれたとしても、還元剤は作用しないので、自己触媒
型無電解金めっき液のように自己分解を起こすことはな
く、無電解金めっき液は引き続き使用可能である。一
方、ニッケル、コバルト又はパラジウムのように、本発
明の無電解金めっき液に含有される還元剤に対し触媒活
性のある金属がめっき液中に、例えば、被めっき物の下
地金属として、持ち込まれた場合、それらの表面を全て
金めっきが覆い尽すまで、還元剤の酸化、金の析出とい
う酸化還元反応が進行し、覆い尽くされた時に、このよ
うな酸化還元反応が停止するので、本発明の無電解金め
っき液は自己分解を起こすことはない。従って、本発明
の無電解金めっき液は、自己分解を起こさないので、従
来の自己触媒型無電解金めっき液よりもめっき液の寿命
が長い。
【0015】本発明で使用される還元剤は、上記作用を
有するものであれば、各種の還元剤を使用することがで
きる。このような還元剤としては、例えば、ヒドラジン
及びその無機酸塩や、カルボン酸塩、ヒドロキシルアミ
ンのヒドラジン誘導体;次亜リン酸、亜リン酸、及びそ
れらのナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩;水素
化ホウ素及びそのナトリウム、カリウム又はアンモニウ
ム塩;1〜4個の窒素原子と、1〜8個の炭素原子と、
複数の水素原子とにより構成される鎖状又は環状アミン
化合物のボラン付加物;並びに、チオ硫酸及びそのナト
リウム、カリウム又はアンモニウム塩等が挙げられる。
本発明で使用される還元剤としては、具体的には、例え
ば、ヒドラジン水和物や、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラ
ジン、リン酸ヒドラジン、マレイン酸ヒドラジン等のヒ
ドラジン類、ヒドロキシルアミン等のヒドラジン誘導
体、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カ
リウム、亜リン酸、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリ
ウム、ジメチルアミンボラン付加物、トリメチルアミン
ボラン付加物、ピリジンボラン付加物、水素化ホウ素
(テトラヒドロホウ酸)、水素化ホウ素ナトリウム、水
素化ホウ素カリウム、チオ硫酸、チオ硫酸ナトリウム、
チオ硫酸カリウム等が挙げられる。
【0016】本発明で使用される還元剤は、一種類のみ
を使用しても、二種類以上の混合物として使用してもよ
い。本発明の無電解金めっき液は、還元剤を、例えば、
0.005〜2.0モル/L、好ましくは0.02〜0.5モル
/Lで含有することが適当である。還元剤濃度が、0.0
05モル/L未満であると、めっき反応が遅いか又はほ
とんど起こらず、一方、この濃度が2.0モル/Lを越え
る場合には、それに見合う効果の顕著な増大はほとんど
得られなず、経済的観点から好ましくない。本発明の無
電解金めっき液は、pH10以下、好ましくはpH4〜
8で使用される。pHが10を越えると、有機レジストを
破壊し易くなる。本発明の無電解金めっき液は、必要に
応じて、pH安定剤を含有させることが出来る。pH安
定剤としては、例えば、リン酸塩や、ホウ酸塩、カルボ
ン酸類の塩等が挙げられる。
【0017】また、本発明の無電解金めっき液のpH調
整には、例えば、水酸化ナトリウムや、水酸化カリウ
ム、水酸化アンモニウム、硫酸、亜硫酸、塩酸、リン
酸、スルファミン酸、有機スルホン酸類、カルボン酸類
等を使用することが出来る。本発明の無電解金めっき液
によって得られる金めっき皮膜は、実用上充分に緻密で
光沢のある良好な外観を有する皮膜であるが、金めっき
皮膜の粒子を更に緻密化し、及び/又は金めっき皮膜の
光沢を更に向上させる目的で、本発明の無電解金めっき
液に光沢剤を含有させてもよい。このような光沢剤とし
ては、例えば、タリウムや、ヒ素、鉛等が挙げられる。
本発明で使用される被めっき物は、ニッケル、コバル
ト、パラジウム又はこれらの金属を含有する合金からな
る皮膜を有するものが使用される。ニッケル、コバル
ト、パラジウム及びこれらの金属含有する合金は、本発
明の無電解金めっきの下地金属となり、これらの金属又
は合金は上記還元剤に対して触媒活性を有する。
【0018】上記下地金属は、被めっき物表面の一部に
存在するならば、被めっき物自身に含有されないか、又
は被めっき物の全面を覆っていなくてもかまわない。上
記下地金属は、圧延等の機械的加工や、電気めっき法、
無電解めっき法、気相めっき法等の各種の方法で形成す
ることができ、その厚さは特に制限されないが、例え
ば、0.1μmあれば充分である。本発明の無電解金めっ
きは、めっき温度(液温)として、例えば、50〜95
℃、好ましくは60〜90℃、めっき時間として、例え
ば、1〜60分、好ましくは10〜30分で行なうこと
が適当である。めっき温度が、50℃未満であると、め
っき皮膜の析出速度が遅いため、生産性が悪くなり、不
経済となり易い。一方、この温度が、95℃を越える
と、めっき液中の成分が分解する恐れがあり、好ましく
ない。
【0019】本発明の無電解金めっきは、撹拌を行なう
ことは差し支えなく、更に被めっき物への起泡付着を防
止するため、被めっき物に振動又は衝撃を付与する機構
をもうけることが好ましい。更に、あけ替え濾過や、循
環濾過等を行なうことも出来、特に濾過器でめっき液を
循環濾過することが好ましく、これによりめっき液の温
度を均一化し、かつめっき液中のゴミや、沈澱物等を除
去することが出来る。更に、めっき液中に空気を導入す
ることも出来、これによりめっき液中に金コロイド粒
子、或いは金粒子の発生に伴う沈澱が発生するのをより
有効に防止することが出来、めっき液の撹拌操作として
空気撹拌を採用することにより、空気導入を行なって
も、また撹拌操作とは別に空気吹き込みを行なってもよ
い。なお、本発明の無電解めっき方法を、自己触媒型無
電解金めっきの前処理として使用することも出来る。本
発明の無電解めっき方法によって下地金属表面を完全に
金で被覆した後、これに自己触媒型無電解金めっきを行
なうと、下地金属のエッチング又は侵食なしに自己触媒
反応を開始させることが可能となり、密着性の良好な金
めっき皮膜を得ることが出来る。また、本発明の無電解
めっき方法を、自己触媒型無電解金めっきの前処理とし
て使用することにより、自己触媒型無電解金めっき液へ
の下地金属溶解による汚染を防止することが出来、自己
触媒型無電解金めっき液の寿命を長くすることが出来
る。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の無電解金
めっき液を用いることにより、有機レジストを破壊せ
ず、かつ下地金属をエッチング又は侵食することなく、
下地金属に対する密着性に優れた金めっきを行なうこと
が出来る。また、本発明の無電解金めっき液は、従来の
自己触媒型金めっき液のような自己分解を起こさず、安
定して長時間使用することが出来る。
【0021】
【実施例】以下、実施例及び比較例により、本発明につ
いて、更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これ
らの実施例及び比較例によって何ら制限されるものでは
ない。実施例1 (本発明の表面触媒型無電解めっき液) シアン化第1金カリウム 2g/L(金イオンとして) エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸 0.15モル/L 抱水ヒドラジン 0.036モル/L pH 7.0実施例2 (本発明の表面触媒型無電解めっき液) シアン化第1金カリウム 2g/L(金イオンとして) アミノトリメチレンホスホン酸 0.15モル/L 抱水ヒドラジン 0.036モル/L pH 7.0実施例3 (本発明の表面触媒型無電解めっき液) シアン化第1金カリウム 2g/L (金イオンとして) 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 0.15モル/L 抱水ヒドラジン 0.036モル/L pH 7.0実施例4 (本発明の表面触媒型無電解めっき液) シアン化第1金カリウム 2g/L(金イオンとして) エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸 0.15モル/L チオ硫酸ナトリウム 0.01モル/L pH 7.0
【0022】比較例1 (公知の置換金めっき液) シアン化第1金カリウム 2g/L(金イオンとして) エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム 0.32モル/L クエン酸 0.38モル/L リン酸 1.54モル/L 水酸化カリウム 1.89モル/L pH 5.8比較例2 (公知の自己触媒型無電解めっき液) シアン化第1金カリウム 1g/L(金イオンとして) シアン化カリウム 0.17モル/L エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム 0.013モル/L 水酸化カリウム 0.2モル/L エタノールアミン 0.8モル/L テトラヒドロホウ酸 0.2モル/L pH 10.0比較例3 (公知の表面触媒型無電解めっき液) シアン化第1金カリウム 3.4g/L (金イオンとして) 抱水ヒドラジン 0.5モル/L シアン化カリウム 0.035モル/L 水酸化カリウム 0.87モル/L pH 12.5
【0023】金めっきによる下地金属へのエッチング又
は侵食の評価方法は、次の通り行なった。4×4cmの
銅板に公知の方法により厚さ約5μmの無電解ニッケル
めっきを施し、これに実施例及び比較例の無電解金めっ
き液により厚さ約0.05μmの金めっきを行なった後、
ニッケルめっき皮膜をエッチング又は侵食しないことが
確認されている公知のシアン系金めっき皮膜剥離剤に2
5℃で2分間浸漬して金めっき皮膜を溶解剥離した後、
ニッケルめっき表面を走査型電子顕微鏡を用いて150
0倍の倍率で観察し、ニッケルめっき皮膜表面にエッチ
ング穴が発生しているか確認した。また、析出した金め
っき皮膜の膜厚を、蛍光エックス線微小膜厚計を用いて
測定した。
【0024】金めっき皮膜密着性の評価方法は次の通り
である。直径0.5mmの円形めっき対象部を有するプリ
ント配線板に公知の方法により厚さ約5μmの無電解ニ
ッケルめっきを施し、これに実施例及び比較例の無電解
金めっき液により厚さ約0.05μmの金めっきを行なっ
た後、直径0.5mmの錫60%、鉛40%はんだボール
をベーパーフェーズソルダリング法にてはんだ付けし、
はんだ付けされたはんだボールに横方向に力を加えて破
壊し、この時めっき皮膜に剥がれを生じたか顕微鏡で観
察し、剥がれを生じためっき対象部の個数を測定した。
めっき液の安定性評価のための試験条件は次の通りであ
る。実施例及び比較例の無電解金めっき液をそれぞれ1
L用意し、90℃に加熱したまま放置し、自己分解を起
こして金の沈殿物を生じるまでの時間を比較した。
【0025】
【表1】 表1 下地金属エッチング評価結果めっき液 めっき液形式 電子顕微鏡観察結果 金めっき膜厚 実施例1 表面触媒型 エッチング穴なし 0.05μm 実施例2 表面触媒型 エッチング穴なし 0.05μm 実施例3 表面触媒型 エッチング穴なし 0.04μm 実施例4 表面触媒型 エッチング穴なし 0.08μm 比較例1 置換型 エッチング穴多数発生 0.06μm 比較例2 自己触媒型 エッチング穴多数発生 0.08μm 比較例3 表面触媒型 エッチング穴なし 0.06μm
【0026】
【表2】 表2 金めっき皮膜密着性評価結果めっき液 めっき液形式 めっき剥がれ発生個数 実施例1 表面触媒型 0/50 比較例1 置換型 40/50
【0027】
【表3】 表3 金めっき液安定性評価結果めっき液 めっき液形式 沈澱物発生までの時間 実施例1 表面触媒型 100時間以上 実施例2 表面触媒型 100時間以上 実施例3 表面触媒型 100時間以上 実施例4 表面触媒型 100時間以上 比較例1 置換型 100時間以上 比較例2 自己触媒型 8時間 比較例3 表面触媒型 100時間以上
【0028】表1に示されたように、実施例のめっき液
では下地金属にエッチング穴を生じることなく、約0.0
5μmの実用上充分な厚さの金めっき皮膜を得られた。
比較例3の公知の表面触媒型めっき液を用いた場合も下
地金属にエッチング穴を生じることはなかったが、比較
例3のめっき液はpHが12.5と高く、また遊離シアン
を含有しているため、有機レジストを使用した電子工業
部品への使用は不可能であった。
【0029】表2に示されたように、実施例1から得ら
れた金めっき皮膜は試験した全数において剥がれを生じ
なかったのに対し、比較例1から得られためっき皮膜は
試験した50点中の40点においてめっき皮膜が剥が
れ、下地金属が露出する不良の発生が認められた。表3
に示されたように、実施例のめっき液は高温状態での長
時間放置に耐え、めっき液の寿命が長い。これに対し比
較例2の自己触媒型金めっき液は、8時間で金の沈澱を
生じ自己分解を起こした。以上に示したように、本発明
による無電解金めっき液は上記比較試験の全てにおいて
良好な結果を示した。一方、従来の技術による比較例の
めっき液で上記比較試験の全てを満足するものはなかっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榎本 治樹 埼玉県大宮市吉野町2−269−4 日本リ ーロナール株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K022 AA02 AA42 DA01 DB02 DB03 DB05 DB07 DB13 DB14 DB25 DB26 DB28

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 pH10以下において、ニッケル、コバ
    ルト、パラジウム及びこれらの金属を含有する合金から
    なる群から選択される金属を表面に有する被めっき物上
    に無電解金めっきするための無電解金めっき液であっ
    て、下記成分(イ)〜(ハ)を含有することを特徴とす
    る無電解金めっき液。 (イ)金イオンを提供する化合物、(ロ)pH10以下にお
    いて、金イオンを安定化するが、前記ニッケル、コバル
    ト又はパラジウムを溶解しない錯化剤、及び(ハ)前記
    ニッケル、コバルト又はパラジウムによって酸化される
    還元剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のめっき液中に、ニッケ
    ル、コバルト、パラジウム及びこれらの金属を含有する
    合金からなる群から選択される金属を表面に有する被め
    っき物を浸漬して、前記金属表面の上に、無電解金めっ
    きを行なうことを特徴とする無電解金めっき方法。
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