JP2000015941A - 溶融熱転写記録シート - Google Patents
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Abstract
気下での熱転写バーコード記録適性およびインク密着性
が優れている溶融熱転写記録シートを提供すること。 【解決手段】 熱可塑性樹脂40〜85重量%、および
無機または有機微細粉末60〜15重量%を含有する1
軸延伸フィルム基材層(A)の少なくとも片面上に、熱
可塑性樹脂30〜90重量%、および平均粒子径が前記
1軸延伸フィルム基材層(A)の無機または有機微細粉
末の平均粒子径以下である表面を親水化処理した無機微
細粉末70〜10重量%を含有する1軸延伸フィルム表
面層(B)を有する溶融熱転写記録シート。
Description
使用する記録シートおよびその製造方法に関する。より
具体的には、本発明は、高温高湿度雰囲気下でのバーコ
ード印字記録性に優れ、且つ階調性のある鮮明なフルー
カラー印字記録を行うことができる溶融熱転写記録シー
トおよびその製造方法に関するものである。
転写方式に大別される。昇華熱転写方式は、色剤層およ
びそれを支持する媒体からなる熱転写インクリボンを加
熱して、色剤層中に含まれる昇華性または気化性染料を
昇華または気化させて画像受容記録シートに染着させる
ことによって、染料画像を形成させるものである。一
方、溶融熱転写方式は図1に示すように熱溶融性インク
(5)およびそれを支持する基体(4)からなる熱転写
インクリボン(1)と、熱転写画像受容記録シート
(2)とを、ドラム(8)と熱源(3)の間に狭着させ
て、サーマルヘッド等の電気信号にて制御可能な熱源
(3)によって熱溶融性インク(5)を加熱することに
よって融解したインクを直接熱転写画像受容記録シート
(2)に転写して画像を形成させるものである。
持体(7)そのものを熱転写画像受容記録シートとして
用いたり、支持体表面にインク(5)と密着性が良好な
ポリエステルやエポキシ樹脂の層またはプライマー層を
設けたりすることが多い。溶融熱転写画像受容記録シー
トとしては、パルプ紙;無機微細粉末を含有するプロピ
レン系樹脂延伸フィルムからなる不透明な合成紙;ある
いは透明なポリエチレンテレフタレート延伸フィルムま
たは透明なポリオレフィン系樹脂フィルムの表面に無機
微細粉末とバインダーを含有するピグメント塗工剤を塗
布し、それにより白色度および染着性を高めた合成紙が
用いられている。
ターユース(複写、鉛筆筆記性、保存性等)を考慮した
場合、支持体として内部に多数の空孔を有する合成紙を
使用するのが、強度、寸法安定性、印字ヘッドとの密着
性の面から好ましいとされている(特開昭60−245
593号公報、特開昭61−112693号公報、特開
平3−216386号公報および特開平5−30578
0号公報)。これらの合成紙は、不透明性およびソフト
感を出して印字ヘッドとの密着性、給排紙性を良好なも
のにするため、素材のポリオレフィン系樹脂の融点より
低い温度でテンター延伸し内部に空孔を形成させてい
る。また、特開平8ー80684号公報および特開平9
−76647号公報では、高温高湿度雰囲気下での印字
適性を改良するために、微粒の無機粉末(コロイダル炭
酸カルシウム)を含有する微多孔性の支持体表面にプラ
イマー処理した合成紙が提案されている。
ー化が進んでおり、より高い階調性を得るために1つの
ドットの大きさを変えずに階調を得る方法から、各ドッ
トの大きさを変える可変方式に変わってきている。記録
シートにおいては、低い印字エネルギーから高い印字エ
ネルギーにわたるフルカラー記録において、溶融熱転写
インクのドット形状が忠実に再現される性能(ドット再
現性)が優れ、充分なインクが転写され、記録濃度が高
いことが要求されている。この要求に応えるために、合
成紙の支持体表面にエチレン・酢酸ビニル共重合体を塗
工する手法が提案されている(特開平7−68956号
公報)。しかしながらこれらの記録シートは、インク加
熱転写時に塗工剤樹脂成分が軟化してインクリボンと記
録シート表面の間の密着性が高くなりすぎるため、ブロ
ッキングや印字抜けを生じるという欠点を有していた。
のうち、窒素含有高分子化合物の水溶液のプライマーを
処理した合成紙は高湿度下においては大気中の水分が記
録シート表面に付着(吸着)するためにプライマー自体
が溶融インクの転写性を阻害し、バーコード等の印字の
際に線切れが生じたり、全くインクが転写しないという
問題があった。一方、フルカラーの溶融熱転写において
は、インク成分が異なる様々な色を転写したり重色した
りする必要があるため、記録シートの表面にはバーコー
ド印字の場合とは違った特性が要求されている。特に高
精細な画像を得るためには、低エネルギーから高エネル
ギーにわたる広範囲な印字エネルギーに対して忠実なド
ット再現性が必要とされるが、従来の記録シートは必ず
しも十分なドット再現性を有していなかった。
の問題点を解決し、バーコード印字およびフルカラー印
字のいずれにおいても優れた特性を示す溶融熱転写記録
シートを提供することを課題とした。すなわち本発明
は、バーコート印字においては、高温高湿度雰囲気下で
印字しても印字切れがなく、転写濃度が高く、インク密
着性の良好な溶融熱転写記録シートを提供することを解
決すべき課題とした。また本発明は、フルカラー印字し
た場合に、高精細な画像を形成することができる溶融熱
転写記録シートを提供することを解決すべき課題とし
た。さらに本発明は、これらの特性を備えた溶融熱転写
記録シートの簡便な製造方法を提供することも解決すべ
き課題とした。
解決するために鋭意研究を行った結果、表面を親水化処
理した無機微細粉末を含有する1軸延伸フィルム表面層
と1軸延伸フィルム基材層とを有するシートが本発明の
目的にかなう特性を有することを見出し、本発明を完成
するに至った。すなわち本発明は、熱可塑性樹脂40〜
85重量%、および無機または有機微細粉末60〜15
重量%を含有する1軸延伸フィルム基材層(A)の少な
くとも片面上に、熱可塑性樹脂30〜90重量%、およ
び平均粒子径が前記1軸延伸フィルム基材層(A)の無
機または有機微細粉末の平均粒子径以下である表面を親
水化処理した無機微細粉末70〜10重量%を含有する
1軸延伸フィルム表面層(B)を有する溶融熱転写記録
シートを提供するものである。
無機または有機微細粉末の平均粒子径が0.6〜3μm
の範囲内にあり、表面層(B)の無機微細粉末の平均粒
子径が0.4〜1.5μmの範囲内にある溶融熱転写記
録シートが好ましい。また、表面層(B)の記録面の平
滑度が2000〜10000秒の範囲内にあり、且つ表
面層(B)の空孔サイズが0.5〜15μmの範囲内に
ある溶融熱転写記録シートが好ましい。また、本発明の
実施態様として、表面層(B)の無機微細粉末が表面を
親水化処理した重質炭酸カルシウムである溶融熱転写記
録シートや、基材層(A)および前記表面層(B)の熱
可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である溶融熱転写記
録シートが好ましい。ポリオレフィン系樹脂として、プ
ロピレン単独重合体、プロピレン共重合体、エチレン単
独重合体およびエチレン共重合体からなる群から選択さ
れる1以上の重合体を使用するのが特に好ましい。さら
に、本発明の実施態様として、表面層(B)の表面自由
エネルギーが33〜65dyn/cmの範囲内である溶
融熱転写記録シートも好ましい。
%、および無機または有機微細粉末60〜15重量%を
含有する基材層(A)の少なくとも片面上に、熱可塑性
樹脂30〜90重量%、および平均粒子径が前記基材層
(A)の無機または有機微細粉末の平均粒子径以下であ
る表面を親水化処理した無機微細粉末70〜10重量%
を含有する表面層(B)を積層した後に;得られた積層
体を1軸延伸することを特徴とする上記溶融熱転写記録
シートの製造方法も提供する。
について詳細に説明する。本発明の溶融熱転写記録シー
トは、基材層(A)の少なくとも片面に表面層(B)を
有する。基材層(A)は熱可塑性樹脂および無機または
有機微細粉末を含有する。表面層(B)は、熱可塑性樹
脂および無機機微細粉末を含有する。
る熱可塑性樹脂の種類は特に制限されない。例えば、ポ
リオレフィン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,
6、ナイロン−6,T等のポリアミド系樹脂;ポリエチ
レンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレ
フタレートやその共重合体、脂肪族ポリエステル等の熱
可塑性ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、アタク
ティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチ
レン等を使用することができる。
用いることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂として
は、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘ
キセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1
−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜
8のα−オレフィンの単独重合体、およびこれらのαー
オレフィン2〜5種の共重合体が挙げられる。共重合体
は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。
具体的には密度が0.89〜0.97g/cm3、メル
トフローレート(190℃、2.16kg荷重)が1〜
10g/10分の分枝ポリエチレン、直鎖状ポリエチレ
ン;メルトフローレート(230℃、2.16kg荷
重)が0.2〜10g/10分のプロピレン単独重合
体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−
ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共
重合体、プロピレン・4−メチル−1−ペンテン共重合
体、プロピレン・3−メチル−1−ペンテン共重合体、
ポリ(1−ブテン)、ポリ(4ーメチル−1−ペンテ
ン)、プロピレン・エチレン・3−メチル−1−ペンテ
ン共重合体、プロピレン・1−ヘキセン共重合体、プロ
ピレン・1−ヘプテン共重合体などが挙げられる。
ロピレン・エチレンランダム共重合体、高密度ポリエチ
レンが、安価で成形加工性が良好であるため好ましい。
特にプロピレン系樹脂は記録シートとした場合の剛度が
良好でコストが安いために好ましい。プロピレン系樹脂
としては、プロピレンを単独重合させたアイソタクチッ
ク重合体ないしはシンジオタクチック重合体を例示する
ことができる。基材層(A)および表面層(B)には同
一の熱可塑性樹脂を使用してもよいし、異なる熱可塑性
樹脂を使用してもよい。それぞれの層に求められる特性
に応じて、熱可塑性樹脂は適宜選択することができる。
細粉末の種類は特に限定されない。無機微細粉末として
は、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成ク
レー、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、
酸化マグネシウム、珪藻土、酸化珪素等を例示すること
ができる。中でも重質炭酸カルシウム、クレー、珪藻土
を使用すれば、安価で延伸時の空孔形成性がよいために
好ましい。
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミ
ド、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポ
リスチレン、メラミン樹脂、ポリエチレンサルファイ
ト、ポリイミド、ポリエチルエーテルケトン、ポリフェ
ニレンサルファイト等を例示することができる。中で
も、使用する熱可塑性樹脂よりも融点が高くて非相溶性
の微細粉末を使用するのが空孔形成の点で好ましい。基
材層(A)には、上記の微細粉末の中から1種を選択し
てこれを単独で使用してもよいし、2種以上を選択して
組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて
使用する場合には、有機微細粉末と無機微細粉末を混合
して使用してもよい。
に限定されず、基材層(A)と同じ種類の材料を用いる
ことができる。ただし、これら無機微細粉末の表面は、
親水化処理されていることが必要である。無機微細粉末
の親水化処理は、例えば脂肪酸金属塩等の界面活性剤を
ミキサーなどで混合分散したり、無機化合物を水性媒体
中で湿式粉砕する際にアニオン系ポリマー分散剤やカチ
オン系ポリマー分散剤などで処理して乾燥することによ
って行うことができる。中でもカチオン系ポリマー分散
剤で処理した重質炭酸カルシウムを使用するのが好まし
い。表面を親水化処理した無機微細粉末の好ましい例と
して、特開平7−300568号公報および特開平10
−176079号公報に記載されるものを挙げることが
できる。
熱可塑性樹脂に配合混練すると分散不良により2次凝集
物が発生しやすいが、表面を親水化処理した無機微細粉
末を使用すればこのような2次凝集物の発生を有効に防
ぐことができる。このため、本発明によれば突起物が少
ないより平滑な延伸フィルムを製造して高精細な記録画
像を形成させることができる。また、インクとの密着性
および転写濃度を向上させることもできる。なお、表面
層(B)に用いる親水化処理した無機微細粉末は基材層
(A)に使用してもよい。その場合は、親水化処理して
いない無機微細粉末を混合して使用してもよい。
い平均粒子径の範囲は0.6〜3μmである。平均粒子
径を0.6μm以上にすれば延伸によってさらに十分な
空孔(ボイド)を形成することができる。また平均粒子
径を3μm以下にすれば空孔を適度な大きさに制御しフ
ィルムにしわが発生するのをより効果的に防止すること
ができる。表面層(B)に使用する無機微細粉末の好ま
しい平均粒子径の範囲は0.4〜1.5μmである。平
均粒子径を上記範囲内にすることによって、表面に微細
な亀裂を形成させてインクの接着性を向上させ、印刷時
の白抜けをより有効に防ぐことができる。また、表面層
(B)では、多層樹脂延伸フィルムの表面突起物の原因
になる粒径44μm以上の粗大粒子の含有量を10pp
m以下にしておくことが好ましい。
ために、上記熱可塑性樹脂と上記微細粉末を混合して各
層を形成する。本発明の溶融熱転写記録シートは、当業
者に公知の種々の方法を組み合わせることによって製造
することができる。いかなる方法により製造された溶融
熱転写記録シートであっても、請求項1に記載される条
件を満たすものである限り本発明の範囲内に包含され
る。
85重量%、無機または有機微細粉末を60〜15重量
%配合する。微細粉末の量が60重量%を超えると厚さ
が均一な溶融熱転写記録シートを形成することが困難に
なる。また、15重量%未満では延伸により形成される
空孔の量が少ないため、熱転写印字の際に感熱ヘッドの
圧力が不均一となり高精細な画像を得ることが困難にな
る。
90重量%、表面を親水化処理した無機微細粉末を70
〜10重量%配合する。無機微細粉末の量が70重量%
を超えると、均一に延伸することが困難になり、製造さ
れる溶融熱転写記録シートの表面に裂け目が生じやすく
なって実用性が低くなる。また、微細粉末の量が10重
量%未満では、表面層(B)に発生する微細な亀裂およ
び空孔の数が不足して転写インクのインク密着性が悪く
なってしまう。微細粉末を熱可塑性樹脂中に配合混練す
る際に、必要に応じて分散剤、酸化防止剤、相溶化剤、
難燃剤、紫外線安定剤、着色顔料等を添加することがで
きる。
より積層しても、別々に押出して積層してもよい。好ま
しい製造方法は、基材層(A)および表面層(B)を積
層した後にまとめて1軸延伸する工程を含むものであ
る。別個に延伸して積層する場合に比べると簡便であり
コストも安くなる。また、基材層(A)および表面層
(B)に形成される空孔の制御もより容易になる。
とができる。延伸の温度は、非結晶樹脂の場合は使用す
る熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上、結晶性樹脂の
場合には非結晶部分のガラス転移点温度以上から結晶部
の融点以下に設定することができる。延伸温度は、表面
層(B)の熱可塑性樹脂の融点より5℃以上低く、基材
層(A)の熱可塑性樹脂の融点より15℃以上低い温度
にするのが好ましい。このように温度を設定すれば、ロ
ール間延伸を行う場合にロール表面にシートが貼り付
き、溶融熱転写記録シート表面に貼り付き模様が出るの
を特に有効に防ぐことができる。また、表面層(B)に
形成される亀裂数不足によるインク密着性の低下も有効
に防ぐことができる。
周速差を利用したロール間延伸、テンターオーブンを利
用したクリップ延伸などを挙げることができる。中でも
1軸方向のロール延伸によれば、延伸倍率を任意に調節
することができ、形成される空孔の大きさや個数をコン
トロールすることができるために好ましい。特に全層を
1軸延伸することによってフットボール状の空孔や亀裂
が形成されるため、2軸延伸よりも微細な空孔を数多く
形成させることができる。また、フィルムの流れ方向に
樹脂の延伸配向がなされるため、無延伸フィルムに比べ
て高抗張力でかつ印刷時や加工時の張力による寸法変化
が小さい溶融熱転写記録シートを得ることができる。
熱転写記録シートの使用目的と用いる熱可塑性樹脂の特
性等を考慮して適宜決定する。例えば、熱可塑性樹脂と
してプロピレン単独重合体ないしはその共重合体を使用
するときには、1.2〜10倍、好ましくは2〜7.5
倍に1軸延伸する。延伸倍率が1.2倍未満では溶融熱
転写記録シートとして有効な微細な空孔が得られない。
また延伸倍率が10倍を越えると、延伸切れが多く発生
する。また、得られる表面層(B)の空孔が大きすぎ
て、低階調部の転写性が低下する。延伸後は必要に応じ
て、加熱ロールまたは熱風オーブン等を利用した公知の
手法による高温熱処理が施される。延伸速度は20〜3
50m/分であるのが好ましい。
空孔を有する多孔性構造を有しており、下記式(1)で
計算される空孔率が5〜60%の範囲内であるのが好ま
しい。空孔率が5%未満であるとインクの密着性が劣
り、また熱転写印字の際に感熱ヘッドの圧力が不均一と
なり高精細な画像を得ることが困難になる傾向がある。
また、空孔率が60%を超えると、フィルムの材料強度
が低下して、セロテープ等によって容易に表面破壊が起
る傾向がある。
真密度を表わし、ρ1は溶融熱転写記録シートの密度を
表わす。延伸前の材料が多量の空気を含有するものでな
い限り、真密度は延伸前の密度にほぼ等しい。本発明の
溶融熱転写記録シートの密度は、0.60〜1.20g
/cm3の範囲内であるのが好ましい。
(B)は、空孔サイズが0.5〜15μmの範囲内にあ
り、記録面の平滑度が2000〜10000秒の範囲内
にあるのが好ましい。本明細書において「空孔サイズ」
とは、亀裂または空孔の最長部分の長さの平均値をい
う。また、本明細書において「平滑度」とは、JIS
P8119で測定した平滑度を意味する。表面層(B)
の空孔サイズが15μmより大きいか、平滑度が200
0秒未満であると、低階調部(ハイライト部)の転写性
が悪くなり、高精細な画像が得られなくなる傾向があ
る。逆に、空孔サイズが0.5μm未満であるか、平滑
度が10000秒を越えると記録紙がブロッキングを起
こしたり、プリンターでの走行性が悪くなって多色印字
の場合に色ズレが起こり、高精細な画像が得られなくな
る傾向がある。
33〜65dyn/cmの範囲内であることが好まし
い。本明細書において「表面自由エネルギー」とは、2
3℃、相対湿度50%の条件下で接触角計(協和界面化
学(株)製、型式CA−D型)を用いてイオン交換水お
よび沃化メチレンに対する接触角を測定することによっ
て求めた値をいう。表面層(B)の表面自由エネルギー
が上記範囲内であれば、より高精細な画像を得ることが
できる。溶融熱転写プリンターに用いるインクリボンの
バインダーにはワックス型、樹脂型、ワックスと樹脂の
混合型等があるが、転写印字の時に溶融するこれらのバ
インダーと記録紙表面の表面自由エネルギーが近似して
いることが良好な転写を行うために必要である。すなわ
ち、記録シートの表面自由エネルギーが33dyn/c
m未満ではインクが転写され過ぎ、印字部以外の部分に
もインクが転写して汚れが発生する傾向がある。逆に、
表面自由エネルギーが65dyn/cmを越えると、記
録紙表面と溶融したインクとの密着が弱くて、重色(色
重ね)の際に一色目のインクが記録紙から剥離したり、
弾きが発生したりして転写濃度が低下する傾向がある。
溶融熱転写プリンターで記録するときの記録シートの走
行性、得られた画像の階調性の点から30〜400μm
の範囲内であるのが好ましく、50〜300μmの範囲
内であるのがより好ましい。基材層(A)と表面層
(B)の厚さの比は9:1〜5:5の範囲内にするの
が、プリンターでの記録シートの走行性の点で好まし
い。
(A)と表面層(B)の2層構造でも使用することがで
きるが、さらに基材層(A)の裏面に別の熱可塑性フィ
ルムや天然パルプを積層して使用してもよい。また、製
造した溶融熱転写記録シートの表面層(B)には、あら
かじめオフセット印刷などの各種印刷を施した後に空白
部分に溶融熱転写プリンターで画像、文字情報、バーコ
ード等を記録して使用することもできる。また、裏面側
には粘着加工を施して各種のタックラベルとしても使用
することもできる。
て、本発明をさらに具体的に説明する。以下に示す材
料、使用量、割合、操作等は、本発明の趣旨から免脱し
ない限り適宜変更することができる。従って本発明の範
囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。使用
する材料を以下の表1にまとめて示す。なお、表中のM
FRはメルトフローレートを意味する。また、微細粉末
の平均粒子径は、マイクロトラックMK−II粒度分布計
(日機装株式会社)を用いて測定した。
がって、本発明の溶融熱転写記録シート(実施例1〜
6)および比較用の溶融熱転写記録シート(比較例1〜
4)を製造した。使用した材料の種類と量、延伸条件、
延伸性を表2にまとめて示した。ポリオレフィン系樹脂
と無機微細粉末を混合することによって、配合物[A]
および[B]を調製した。これらの配合物を250℃に
設定された3台の押出機でそれぞれ溶融混練し、ダイ内
で配合物[A]の表面側に配合物[B]を積層して押出
成形し、冷却装置にて70℃まで冷却して、2層の無延
伸シートを得た。このシートを所定温度に加熱した後、
縦方向に所定倍率でロール間延伸した。このとき、比較
例3については延伸を行わなかった。また、比較例4に
ついては、ロール間で縦延伸を行った後にさらにテンタ
ーオーブンで横延伸を行った(2軸延伸)。次いで、得
られたシートの両面に放電処理機(春日電機(株)製)
を用いて50W/m2・分のコロナ処理を行って2層構
造の溶融熱転写記録シートを得た(B/A=15μm/
70μm)。
について、以下の試験と評価を行った。 1)カラー溶融熱転写記録適性 溶融熱転写記録シートに20℃、相対湿度60%の雰囲
気下で熱転写カラープリンター(アルプス電気(株)
製、商品名:MD−1000)により、3色(シアン、
マゼンタ、イエロー)のカラーチャート画像を記録し
た。その記録画像を光学顕微鏡で観察し下記の基準で評
価した。 ○:3色とも全ての階調域においてインクドットが再現
され、転写濃度も高い。 △:3色の低階調域においてインクドットの再現に欠
け、転写濃度もやや低い。実用性に問題がある。 ×:3色の低〜中階調域にかけてインクドットの再現が
なく、転写濃度も低い。実用上使用できない。
室で24時間状態調整した後、同恒温室内で溶融型イン
クリボン((株)リコー製、商品名:樹脂型B110
C)を用いてバーコートプリンター(東京電気(株)
製、商品名:B−30−S5)でバーコードを記録し
た。記録したバーコードと文字を肉眼で観察し、下記の
基準で評価した。 ○:バーコードも文字も鮮明である。 △:バーコードの細線に線切れがある。読みとり不良が
発生し、実用性に問題がある。 ×:バーコードと文字にともに線切れ、かすれがある。
実用上使用できない。
℃、相対湿度90%の恒温室に24時間放置した後にバ
ーコード記録面に粘着テープ(ニチバン(株)製、商品
名:セロテープ)を貼り付けて十分に押しつけた後、粘
着テープを粘着面に対して90度の方向に一定の速度で
引き剥がした。記録インクの取られ方を肉眼で観察し、
下記の基準で評価した。 ◎:全く記録インクが剥がれない。 ○:記録シートの材料部分が破壊されているが、実用上
問題ない。 △:セロテープ剥離時に抵抗があるが記録インクの殆ど
が剥がれ、実用上問題がある。 ×:セロテープ剥離時に抵抗が無く、記録インク全量が
剥がれ、実用上使用できない。
撮影した。その表面と断面の写真から、表面層(B)の
表面の亀裂または空孔をそれぞれ無作為に10点選び、
亀裂および空孔の最大長さを求め、その平均値を求め
た。
シートの表面層(B)の接触角を接触角計(協和界面化
学(株)製、型式CA−D型)を用いて測定した。イオ
ン交換水および沃化メチレンに対する接触角をそれぞれ
求めて表面自由エネルギーを算出した。
す。
転写記録シートは、表面層(B)の表面自由エネルギ
ー、平滑度、空孔サイズが好ましい範囲内にあり、カラ
ー溶融熱転写適性、高温高湿度雰囲気下での熱転写バー
コード記録性および記録インクの密着性の全てが良好で
ある(実施例1〜6)。これに対して、表面層(B)の
無機微細粉末が親水化処理されていない溶融熱転写記録
シート(比較例1および2)、延伸処理していない溶融
熱転写記録シート(比較例3)および2軸延伸した溶融
熱転写記録シート(比較例4)は、いずれも特性が劣っ
ており実用性がない。
ー溶融熱転写記録適性、高温高湿度雰囲気下での熱転写
バーコード記録適性およびインク密着性が優れている。
このため、本発明の溶融熱転写記録シートは、記録方式
が異なる多種類のプリンターに使用することが可能であ
り、その応用範囲は広範にわたり産業上の利用性が極め
て高い。また、本発明の製造方法によれば、このような
溶融熱転写記録シートを簡便に製造することができる。
Claims (8)
- 【請求項1】熱可塑性樹脂40〜85重量%、および無
機または有機微細粉末60〜15重量%を含有する1軸
延伸フィルム基材層(A)の少なくとも片面上に、熱可
塑性樹脂30〜90重量%、および平均粒子径が前記1
軸延伸フィルム基材層(A)の無機または有機微細粉末
の平均粒子径以下である表面を親水化処理した無機微細
粉末70〜10重量%を含有する1軸延伸フィルム表面
層(B)を有する溶融熱転写記録シート。 - 【請求項2】前記基材層(A)の無機または有機微細粉
末の平均粒子径が0.6〜3μmの範囲内にあり、前記
表面層(B)の無機微細粉末の平均粒子径が0.4〜
1.5μmの範囲内にある請求項1に記載の溶融熱転写
記録シート。 - 【請求項3】前記表面層(B)の記録面の平滑度が20
00〜10000秒の範囲内にあり、且つ前記表面層
(B)の空孔サイズが0.5〜15μmの範囲内にある
請求項1または2に記載の溶融熱転写記録シート。 - 【請求項4】前記表面層(B)の無機微細粉末が表面を
親水化処理した重質炭酸カルシウムである請求項1〜3
のいずれかに記載の溶融熱転写記録シート。 - 【請求項5】前記基材層(A)および前記表面層(B)
の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である請求項1
〜4のいずれかに記載の溶融熱転写記録シート。 - 【請求項6】前記ポリオレフィン系樹脂がプロピレン単
独重合体、プロピレン共重合体、エチレン単独重合体お
よびエチレン共重合体からなる群から選択される1以上
の重合体である請求項5に記載の溶融熱転写記録シー
ト。 - 【請求項7】前記表面層(B)の表面自由エネルギーが
33〜65dyn/cmの範囲内である請求項1〜6の
いずれかに記載の溶融熱転写記録シート。 - 【請求項8】熱可塑性樹脂40〜85重量%、および無
機または有機微細粉末60〜15重量%を含有する基材
層(A)の少なくとも片面上に、熱可塑性樹脂30〜9
0重量%、および平均粒子径が前記基材層(A)の無機
または有機微細粉末の平均粒子径以下である表面を親水
化処理した無機微細粉末70〜10重量%を含有する表
面層(B)を積層した後に、得られた積層体を1軸延伸
することを特徴とする請求項1に記載の溶融熱転写記録
シートの製造方法。
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