JP2003136834A - 油性インクジェット記録用紙 - Google Patents

油性インクジェット記録用紙

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JP2003136834A
JP2003136834A JP2001340226A JP2001340226A JP2003136834A JP 2003136834 A JP2003136834 A JP 2003136834A JP 2001340226 A JP2001340226 A JP 2001340226A JP 2001340226 A JP2001340226 A JP 2001340226A JP 2003136834 A JP2003136834 A JP 2003136834A
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layer
stretched
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thermoplastic resin
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English (en)
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Koichi Ishida
恒一 石田
Katsukuni Nitta
勝国 新田
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Yupo Corp
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Yupo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印字性、防水性、耐久性、遮光性に優れた熱
可塑性樹脂フィルムよりなり、かつ油性インクを用いた
プリントが可能なインクジェット記録用紙を提供する。 【解決手段】 クラーク剛度(S値)8以上、肉厚20
〜300μmの耐水性を有する熱可塑性樹脂延伸フィル
ム(I)を基材層とし、その基材層の表面にピグメント
を主成分とする記録層(III)を形成し、前記基材層
の裏面に肉厚3μm以上の耐油性樹脂層(II)を積層
してなる油性インクジェット記録用紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印字性、防水性、
耐久性、遮光性に優れた熱可塑性樹脂フィルムよりなる
油性インクジェット記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】最近におけるプリンタの進歩は目覚まし
く、価格面のみならず、印字品質、印字速度等の性能面
でも飛躍的に向上しつつある。そのため、従来は、印刷
機械によって作成していたポスター、カタログ、パンフ
レット等の印刷物も、現在は、コンピュータとプリンタ
を使用し、従来の印字品質を維持しつつ、より簡便、迅
速に作成できるようになった。特に、プリンタによる印
字は、多種類、少部数の印刷物を迅速に作成するのに好
適である。
【0003】各種プリンタの中で、レーザービームプリ
ンタは高速印字が可能である点で優れるが、カラー化に
対しては、現像装置を複数必要とするために装置が大型
化する、顔料であるトナーを使用するために色調が若干
劣るという問題がある。よって、ポスター、カタログ、
パンフレット等のカラー印刷物を作成するには、吐出ノ
ズルを複数必要とするだけで、染料であるインクを使用
するインクジェットプリンタが有利であり、実際に使用
されている。
【0004】このインクジェットプリンタの普及に伴
い、耐水性が求められるラベルや配送伝票、更に屋外掲
示用ポスターにまで、その用途は拡大しつつある。しか
しながら従来のインクジェットプリンタで使用されるイ
ンクは、水及び親水性溶媒に染料を溶解したものであ
り、耐水性が悪く画像が流れ出し、屋外用に使用する際
には問題があった。このため近年インク溶媒中に芳香族
系石油溶剤、脂肪族系石油溶剤、芳香族系炭化水素類、
脂肪族系炭化水素類、アルコール類、エーテル類、ケト
ン類、エステル類等の油性溶剤を用いた油性インクによ
り、耐水性だけでなく耐光性についても改善が可能なこ
とが知られてきた。
【0005】一方、インクジェットプリンタに適応する
ように、各種インクジェット記録用紙が開発されてき
た。例えば、印字性を向上するために、パルプ紙からな
る基材層の表面に合成シリカ粉末を主成分とする顔料、
水系接着剤、インクセット剤等を含有する記録層を形成
したもの、さらに、耐水性、耐久性を向上するために、
基材層として二軸延伸樹脂フィルム、無機微細粉末を含
有する延伸樹脂フィルムであるポリオレフィン系合成紙
を使用するもの等が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しながら、上記ポリオ
レフィン系合成紙を用いたインクジット記録用紙の場
合、油性インクを用いて印字し、印字後巻き取りで保管
すると油性インクの溶剤がポリオレフィン系合成紙に浸
透し、インクジェット記録用紙が膨潤しボコツキが発生
したり、カールする問題があった。したがって、本発明
の目的は、インク溶媒中に芳香族系石油溶剤、脂肪族系
石油溶剤、芳香族系炭化水素類、脂肪族系炭化水素類、
アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類など
が含まれる油性インクにて印字を行っても印字部分にボ
コツキを発生せず、かつインク吸収性及び耐水性に優れ
た油性インク用インクジェット記録シートを提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、油性イン
クジェット記録用紙について鋭意検討した結果、本発明
に到達した。すなわち本発明は、クラーク剛度(S値)
8以上、肉厚20〜300μmの耐水性を有する熱可塑
性樹脂延伸フィルム(I)を基材層とし、その基材層の
表面にピグメントを主成分とする記録層(III)を形
成し、前記基材層の裏面に耐油性樹脂層(II)を積層
してなることを特徴とする油性インクジェット記録用
紙、である。
【0008】本発明の実施態様としては、耐油性樹脂層
(II)が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ
イミド樹脂より選ばれた樹脂層であることが好ましい。
基材層を形成する熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)が、
無機微細粉末及び/又は有機フィラーを0〜40重量%
含有する少なくとも一軸方向に延伸した延伸フィルムを
コア層(A)とし、このコア層の両面に、無機微細粉末
及び/又は有機フィラーを3〜65重量%含有する少な
くとも一軸方向に延伸した延伸フィルムを表裏層(B及
び/又はC)として設けた積層延伸フィルムであること
が好ましい。
【0009】また、熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)
が、次式(1)で示される空孔率が10〜60%である
ことが好ましい。 空孔率(%)=〔(ρ0−ρ)/ρ0〕×100 ・・・(1) (ρ0 :延伸フィルムの真密度、ρ:延伸フィルムの密
度) また、熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)と耐油性樹脂層
(II)の間に遮光層(IV)を設け、かつ全光線透過
率(JIS−K−7105)を5%以下とすることが好
ましい。なお、本明細書において「〜」はその前後に記
載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む
範囲を示す。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の油性インクジェッ
ト記録用紙について詳細に説明する。 [I] 油性インクジェット記録用紙の構造 本発明の油性インクジェット記録用紙の構造は、記録層
(III)/熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)/耐油性
樹脂層(II)からなる積層体であり、必要により熱可
塑性樹脂延伸フィルム(I)と耐油性樹脂層(II)の
間に遮光層(IV)設けることができる。必要により行
なわれる印刷は、記録層(III)の表面に行われる。
図1は、本発明の油性インクジェット記録用紙1の概略
断面図を示す。図中、2は熱可塑性樹脂延伸フィルム
(I)を、3は耐油性樹脂層(II)を、4は記録層
(III)、5は遮光層(IV)を表す。
【0011】[II] 積層物の層構成 (1)熱可塑性樹脂延伸フィルム(I) (a) 物 性 本発明の油性インクジェット記録用紙の基材層を構成す
る熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)は、油性インクジェ
ット記録用紙に腰強度と不透明にして印刷の識別を容易
とならしめるのと、光線透過率を低くするのに寄与する
ものであり、不透明度(JIS−P−8138)が80
%以上、好ましくは85〜100%のものであり、MD
方向(縦延伸方向)、TD方向(縦延伸方向に対し垂直
の方向)の両方向のクラーク剛度(JIS−P−814
3:S値)が8以上、特に10〜300の範囲内にある
ものが好ましい。
【0012】(b) 種 類 かかる上記の熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)として
は、例えば次のようなものが挙げられる。無機微細粉末
及び/又は有機フィラーを3〜65重量%の割合で含有
する一軸又は二軸延伸に延伸したフィルムであり、これ
らの延伸フィルムは単層であっても、多層であっても良
い。多層フィルムの場合は、共押出成形法により製造し
ても良いし、例えば、無機微細粉末及び/又は有機フィ
ラーを0〜40重量%含有する少なくとも一軸方向に延
伸したフィルムをコア層(A)とし、このコア層の両面
に、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを3〜65重
量%含有する少なくとも一軸方向に延伸したフィルムを
表裏層(B及び/又はC)として設けた積層延伸フィル
ムであっても良い。
【0013】これら上記の熱可塑性樹脂延伸フィルム
(I)は、フィルム内部に微細なボイドを有するもので
あって、その不透明度(JIS−P−8138)が80
%以上、好ましくは85〜100%で、次式(1)で算
出される空孔率が10〜60%、好ましくは15〜45
%、肉厚が30〜300μm、好ましくは50〜200
μm、更に好ましくは50〜150μmである。 空孔率(%)=〔(ρ0 −ρ)/ρ0 〕×100 ・・・(1) 式(1)のρ0 は延伸フィルムの真密度を表わし、ρは
延伸フィルムの密度(JIS−P−8118)を表す
が、延伸前の材料が多量の空気を含有するものでない限
り、真密度は延伸前の密度にほぼ等しい。
【0014】熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)の素材と
しては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチ
レン等のエチレン系樹脂、あるいはプロピレン系樹脂、
ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン
共重合体等のオレフィン系樹脂が挙げられる。これらは
2種以上混合して用いることもできる。これらの中で
も、コスト面、耐水性、耐薬品性の面からプロピレン系
樹脂、高密度ポリエチレンを用いることが好ましい。
【0015】かかるプロピレン系樹脂としては、プロピ
レン単独重合体でありアイソタクティックないしはシン
ジオタクティックおよび種々の立体規則性を示すポリプ
ロピレン、プロピレンを主成分とし、これと、エチレ
ン、ブテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1,4−メ
チルペンテン−1等のα−オレフィンとの共重合体が使
用される。この共重合体は、2元系でも3元系でも4元
系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合
体であってもよい。また、コア層にプロピレン系樹脂を
用いる場合は、延伸性を良好とするためポリエチレン、
ポリスチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のプロ
ピレン系樹脂よりも融点が低い熱可塑性樹脂を3〜25
重量%配合するのがよい。
【0016】熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)には、上
記の熱可塑性樹脂の他に無機微細粉末及び/又は有機フ
ィラーなどを適宜配合することができる。無機微細粉末
や有機フィラーの種類は、特に制限されない。無機微細
粉末としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウ
ム、焼成クレー、タルク、硫酸バリウム、珪藻土、酸化
マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素を例示
することができる。中でも重質炭酸カルシウム、焼成ク
レー、タルクを使用すれば、安価で成形性がよいために
好ましい。
【0017】有機フィラーとしては、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボ
ネート、ナイロン−6、ナイロン−6,6、環状オレフ
ィン重合体等のポリオレフィン系樹脂の融点よりは高い
融点(例えば、120〜300℃)ないしはガラス転移
温度(例えば、120℃〜280℃)を有するものが使
用される。これら無機微細粉末または有機フィラーは単
独または併用して用いることができる。熱可塑性延伸フ
ィルムの延伸倍率は、縦、横方向とも4〜10倍が好ま
しく、延伸温度は樹脂がプロピレン単独重合体(融点1
64〜167℃)のときは130〜162℃、高密度ポ
リエチレン(融点123〜134℃)のときは110〜
120℃、ポリエチレンテレフタレート(融点246〜
252℃)のときは104〜120℃である。また、延
伸速度は10〜350m/分である。
【0018】(2)耐油性樹脂層(II) 耐油性樹脂層(II)の形成に用いる耐油性樹脂として
は、樹脂の主鎖骨格中極性基を有するものが好ましく、
ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等
が挙げられる。中でもポリエステル樹脂好ましい。耐油
性樹脂層(II)の肉厚は、3μm以上、好ましくは5
〜100μm、更に好ましくは10〜50μmである。
【0019】熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)と耐油性
樹脂層(II)を積層する方法については特に限定はな
く、耐油性樹脂と熱可塑性樹脂をTダイより熱溶融で共
押出しして作製する方法、熱可塑性樹脂延伸フィルムの
上に耐油性樹脂をTダイより熱溶融にて押出し後、加圧
ラミネートして作製する方法(押出しラミネート法)、
耐油性樹脂の溶液(主に水溶液を)を熱可塑性樹脂延伸
フィルム(I)の表面に塗布する方法(コーティング
法)、耐油性樹脂フィルムと熱可塑性樹脂延伸フィルム
を別々に作製後積層し、ヒートシールまたは接着剤等を
必要により用いてラミネートする方法(ドライラミネー
ト法)等が挙げられる。いずれの作製方法の場合も、熱
可塑性樹脂層と耐油性樹脂層の間には熱可塑性樹脂と耐
油性樹脂との接着性が良好となるよう接着層を設けても
良い。接着層に用いられる接着剤は、熱可塑性樹脂層と
耐油性樹脂層との接着性を向上させるものであれば特に
限定はなく、公知の接着剤が使用できる。
【0020】(3)記録層(III) 基材層の表面に形成される記録層(III)は、ピグメ
ントを主成分とし、これに水系接着剤、インクセット剤
を含有するものであり、好ましくは、固型分量で無機質
のピグメントを50〜88重量%、水系接着剤を10〜
40重量%、インクセット剤を2〜20重量%の割合で
含有する。ピグメントとしては、合成シリカ、アルミナ
ヒドロゾル、タルク、炭酸カルシウム、クレイ等が挙げ
られるが、中でも多孔質の合成シリカ、アルミナヒドロ
ゾルが好ましい。
【0021】水系接着剤としては、ポリビニルアルコー
ル、シラノール基を含むエチレン・ビニルアルコール共
重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン・酢酸ビニル
共重合体、メチルエチルセルロース、ポリアクリル酸ソ
ーダ、澱粉等が挙げられる。中でもピグメントが多孔質
の合成シリカ、アルミナゾルである場合は、ポリビニル
アルコール、シラノール基を含むエチレン・ビニルアル
コール共重合体が好ましい。
【0022】インクセット剤としては、ポリエチレンイ
ミンの4級アンモニウム塩、4級アンモニウム基を共重
合成分として含むアクリル共重合体、ポリアミンポリア
ミドのエピクロルヒドリン付加物等が挙げられる。基材
層の表面に記録層(III)を形成するには、上記成分
を含有する塗工剤を延伸樹脂フィルムの表面に5〜50
g/m2 、好ましくは10〜30g/m2(固型分量)
で塗布し、乾燥させる。必要により、乾燥した記録層
(III)の表面にスーパーカレンダー処理を行って記
録層(III)を平滑にする。
【0023】(4)遮光層(IV) 熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)と耐油性樹脂層(I
I)の間に介在させる遮光層は、熱可塑性樹脂延伸フ
ィルム(I)の裏面にオフセット又はグラビア印刷によ
り厚さ1〜5μmの黒色ベタ印刷を行うことによって、
接着剤(アンカーコート剤)中に、酸化チタンホイス
カー、酸化チタン微細粒子等の白色充填剤やカーボンブ
ラックを多量(5〜75重量%)に含有させ、該接着剤
を2〜10g/m2 塗布することによって、着色した
布又はフィルムの両面に接着剤を2〜10g/m2 塗布
することによって、又は、熱可塑性樹脂延伸フィルム
(I)又は耐油性樹脂層(II)の裏面にアルミニウム
等を真空蒸着することによって、形成することができ
る。遮光層(IV)を介在させることにより、記録用紙
1の全光線透過率(JIS−K−7105)を5%以
下、好ましくは2%以下、特に好ましくは0%とするこ
とができ、一方の面に印刷した印字が反対面から透けて
見えることを防止することができる。
【0024】(5)印 刷 記録層(III)の表面に必要により図柄、文字などの
印刷を行うことができる。印刷方法としては、油性イン
クジェト方式の他に電子写真方式、昇華熱転写、溶融熱
転写、ダイレクトサーマル、及びリライタブルマーキン
グの使用は勿論のこと、凸版印刷、グラビア印刷、フレ
キソ印刷、溶剤型オフセット印刷、紫外線硬化型オフセ
ット印刷、シートの形態でもロールの形態での輪転方式
の印刷が使用できる。必要により耐擦過性、耐汚染性付
与のため印刷層にフッ素系等のニスコートあるいは透明
ポリエステルフィルム等をラミネートする場合がある。
【0025】以下本発明の構成を図面を参照して詳細に
説明する。図1は本発明に係る油性インクジェット記録
用紙1の概略断面図である。熱可塑性樹脂延伸フィルム
(I)の裏面に、遮光層(IV)を介して耐油性樹脂層
(II)を積層し表面に記録層(III)を設けてなる
本発明の油性インクジェット記録用紙である。
【0026】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明の方法を具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定
されるものではない。 ・熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)の製造 (製造例1)メルトフローレート(MFR:230℃、
2.16kg荷重)0.8g/10分のプロピレン単独
重合体(融点約164〜167℃)81重量%に、高密
度ポリエチレン3重量%、及び平均粒径1.5μmの炭
酸カルシウム16重量%を混合した組成物(A)を27
0℃の温度に設定した押出機にて混練させた後、シート
状に押し出し、更に冷却装置により冷却して、無延伸シ
ートを得た。得られた無延伸シートを150℃の温度に
まで再度加熱した後、縦方向5倍の延伸を行って5倍縦
延伸フィルムを得た。
【0027】メルトフローレート(MFR)4g/10
分のプロピレン単独重合体(融点約164〜167℃)
54重量%と、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム4
6重量%とを混合した組成物(B)を別の押出機にて2
10℃で混練させた後、これをダイによりシート状に押
し出し、これを上記工程で得られた5倍縦延伸フィルム
の両面に積層し、3層構造の積層フィルムを得た。次い
で、得られた3層構造の積層フィルムを60℃の温度に
まで冷却した後、再び約155℃の温度にまで加熱し、
テンターを用いて横方向に7.5倍延伸し、165℃の
温度でアニーリング処理し、60℃の温度にまで冷却
し、耳部をスリットして3層構造(一軸延伸/二軸延伸
/一軸延伸)の肉厚110μm(B/A/B=25μm
/60μm/25μm)の積層フィルムであって、不透
明度87%、空孔率31%、密度0.77g/cm3
クラーク剛度(S値)MD方向38、TD方向74の熱
可塑性樹脂延伸フィルム(I)を得た。
【0028】(製造例2)メルトフローレート(MF
R:230℃、2.16kg荷重)が0.8g/10分
のプロピレン単独重合体(融点約164〜167℃)6
5重量%に、高密度ポリエチレン10重量%、及び平均
粒径1.5μmの炭酸カルシウム25重量%を混合した
組成物(A)、メルトフローレート(MFR:230
℃、2.16kg荷重)が4g/10分のプロピレン単
独重合体(融点約164〜167℃)99重量%、平均
粒子径0.2μmのルチル型二酸化チタン1重量%を混
合した組成物(B)、メルトフローレート(MFR:2
30℃、2.16kg荷重)が4g/10分のプロピレ
ン単独重合体(融点約164〜167℃)100重量%
(C)、それぞれ別々の3台の押出機を用いて250℃
で溶融混練した。その後、一台の共押ダイに供給してダ
イ内で積層後(B/A/C)、シート状に押し出し、冷
却ロールで約60℃まで冷却することによって積層フィ
ルムを得た。
【0029】この積層フィルムを145℃に再加熱した
後、多数のロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延
伸し、再び約150℃まで再加熱してテンターで横方向
に8.5倍延伸した。その後、160℃でアニーリング
処理した後、60℃まで冷却し、耳部をスリットして3
層構造(二軸延伸/二軸延伸/二軸延伸)の肉厚100
μm(B/A/C=3μm/94μm/3μm)の積層
フィルムであって、不透明度90%、空孔率40%、密
度0.66g/cm3 、クラーク剛度(S値)MD方向
25、TD方向38の熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)
を得た。
【0030】(製造例3)メルトフローレート(MF
R:230℃、2.16kg荷重)が0.8g/10分
のプロピレン単独重合体(融点約164〜167℃)6
0重量%に、低密度ポリエチレン20重量%(融点11
1℃)及び平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム20重
量%を混合した組成物(A)、メルトフローレート(M
FR:230℃、2.16kg荷重)が4g/10分の
プロピレン単独重合体(融点約164〜167℃)50
重量%、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム45重量
%、平均粒子径0.2μmのルチル型二酸化チタン5重
量%を混合した組成物(B)、それぞれ別々の3台の押
出機を用いて250℃で溶融混練した。その後、一台の
共押ダイに供給してダイ内で積層後、シート状に押し出
し、冷却ロールで約60℃まで冷却することによって積
層フィルム(B/A/B構造)を得た。
【0031】この積層フィルムを135℃に再加熱した
後、多数のロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延
伸し、150℃でアニーリング処理した後、60℃まで
冷却し、耳部をスリットして3層構造(一軸延伸/一軸
延伸/一軸延伸)の肉厚80μm(B/A/B=5μm
/70μm/5μm)の積層フィルムであって、不透明
度90%、空孔率40%、密度0.80g/cm3 、ク
ラーク剛度(S値)MD方向33、TD方向18の熱可
塑性樹脂延伸フィルム(I)を得た。
【0032】
【実施例1】1)製造例1で得られた肉厚110μmの
熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)の表面に、次の組成の
塗工剤を固型分含量が40g/m2 となるように塗布
し、乾燥した後、スーパーカレンダーで平滑処理を行っ
て、肉厚150μmの用紙を得た。 塗工剤組成: 合成シリカ粉末 100重量部 ポリビニルアルコール 10重量部 ポリアミドポリアミンのエピクロルヒドリン付加物 5重量部 エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョン(固型分40重量%) 100重量部 4級アンモニウム塩を含むアクリル共重合体エマルジョン (固型分25重量%) 40重量部 水 1600重量部
【0033】2)耐油性樹脂として肉厚12μmのアル
ミニウム蒸着したポリエステルフィルム(尾池工業社製
テトライト JM11;商品名)を用い、得られた用
紙のインクジェットコート面とは反対面にポリウレタン
系接着剤(東洋モートン社製EL−15;商品名)3g
/m2 塗布し、耐油性樹脂のアルミニウム蒸着面と接着
乾燥し、肉厚165μmの油性インクジェット記録用紙
を得た。得られた油性インクジェット記録用紙の全光線
透過率は0%であった。 3)インクジェットプリンタとしてセイコー・アイ・イ
ンフォテック社製「インクジェットプロッター IP4
010:商品名」を使用し、上記油性インクジェット記
録用紙のインクジェットコート面にイエロー、シアン、
マゼンタ、ライトマゼンタ、ライトシアン、ブラックの
6色カラー印字を施した。
【0034】4)評価 (1)印字後のボコツキ 片面に印字された記録用紙2枚を印字面と印字していな
い面を重ね合わせて、24時間室温で放置後記録用紙の
状態を目視で評価した。 ○:記録用紙にボコツキが見られない △:記録用紙にボコツキが少し見られ実用上問題ある ×:記録用紙にボコツキが激しく見られ使用に耐えない
【0035】(2)耐水性 片面に印字された記録用紙枚を、24時間室温で水中に
浸漬放置後記録用紙の画像の状態を目視で評価した。 ○:印字画像の流出がほとんどない △:印字画像が一部にじみ実用上問題ある ×:印字画像が流出し、にじみも激しく使用に耐えない
【0036】(3)インク乾燥性 片面に印字された記録用紙2枚を印字面と印字していな
い面を重ね合わせて、24時間室温で放置後記録用紙の
状態を目視で評価した。 ○:記録用紙の重ね合わせた裏面へのインクの転移がな
い △:記録用紙の重ね合わせた裏面へのインクの転移が少
し見られる ×:記録用紙の重ね合わせた裏面へのインクの転移が発
生し、ヘバリ付く 結果を表1に示す。
【0037】
【比較例1】耐油性樹脂層(II)を設けない以外は実
施例1と同様にして油性インクジェット記録用紙を作製
し、印字後のボコツキ、耐水性、インク乾燥性を評価し
た。結果を表1に示す。
【0038】
【実施例2】熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)として、
製造例2の積層フィルムを用いた以外は実施例1と同様
にして油性インクジェット記録用紙を作製し印字後のボ
コツキ、耐水性、インク乾燥性を評価した。結果を表1
に示す。
【実施例3】熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)として、
製造例3の積層フィルムを用いた以外は実施例1と同様
にして油性インクジェット記録用紙を作製し、印字後の
ボコツキ、耐水性、インク乾燥性を評価した。結果を表
1に示す。
【表1】
【0039】
【発明の効果】印字性、防水性、耐久性に優れた熱可塑
性樹脂フィルムよりなり、油性インクを用いたプリント
が可能なインクジェット記録用紙を提供することができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の油性インクジェット記録用紙の一部拡
大断面図である。
【符号の説明】 1 油性インクジェット記録用紙 2 熱可塑性樹脂フィルム(I) 3 耐油性樹脂層(II) 4 記録層(III) 5 遮光層(IV)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA04 EA13 FC06 2H086 BA12 BA15 BA19 BA24 BA33 BA34 BA41

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クラーク剛度(S値)8以上、肉厚20
    〜300μmの耐水性を有する熱可塑性樹脂延伸フィル
    ム(I)を基材層とし、その基材層の表面にピグメント
    を主成分とする記録層(III)を形成し、前記基材層
    の裏面に耐油性樹脂層(II)を積層してなることを特
    徴とする油性インクジェット記録用紙。
  2. 【請求項2】 耐油性樹脂層(II)が、ポリエステル
    樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂より選ばれた樹
    脂層であることを特徴とする請求項1に記載の油性イン
    クジェット記録用紙。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)が、無
    機微細粉末及び/又は有機フィラーを0〜40重量%含
    有する少なくとも一軸方向に延伸した延伸フィルムをコ
    ア層(A)とし、このコア層の両面に、無機微細粉末及
    び/又は有機フィラーを3〜65重量%含有する少なく
    とも一軸方向に延伸した延伸フィルムを表裏層(B及び
    /又はC)として設けた積層延伸フィルムであることを
    特徴とする請求項1又は2に記載の油性インクジェット
    記録用紙。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)が、次
    式(1)で示される空孔率が10〜60%であることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油性インク
    ジェット記録用紙。 空孔率(%)=〔(ρ0−ρ)/ρ0〕×100 ・・・(1) (ρ0 :延伸フィルムの真密度、ρ:延伸フィルムの密
    度)
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂延伸フィルム(I)と耐油
    性樹脂層(II)の間に遮光層(IV)を設け、かつ全
    光線透過率(JIS−K−7105)が5%以下である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油性
    インクジェット記録用紙。
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