JP3938217B2 - 溶融熱転写記録用画像受容シート - Google Patents

溶融熱転写記録用画像受容シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機微細粉末含有ポリオレフィン系樹脂フィルムを延伸することにより得られる内部に微細空孔を有する樹脂フィルムに、パルプ紙を積層することにより、溶融熱転写方式のインク受容性を向上させ、鮮明な転写画像を得ることができると共に、樹脂フィルム側には輪転式凸版シール印刷および平圧式凸版シール印刷共、良好に印刷をすることができる溶融熱転写記録用画像受容シートに関するものである。
このものは航空タッグ、粘着ラベル、記録紙として有用である。
【0002】
【従来の技術】
熱転写記録法としては、昇華転写方式と溶融転写方式とに分けられている。
その中の一つである溶融熱転写方式は、図2に示すように、熱溶融性インク1a及びそれを支持する基体1bからなる熱転写インクリボン1と、熱転写画像受容シート2とを、熱源であるサーマルヘッド3a等を備えた印字ヘッド3とドラム4との間に挟着させて、図3に示すように、該サーマルヘッド3aを電気信号にて制御することによって熱転写インクリボン1中の熱溶融性インク1aを加熱して溶解されたインク1cを直接熱転写画像受容記録シート2に転写するものである。
【0003】
この様な溶融転写方式の場合、支持体層(I)そのものを熱転写画像受容記録シート2として用いたものでも良いが、該支持体層(I)の表面に熱溶融性インク1aと密着性の良好なポリエステル樹脂、エポキシ樹脂の層やプライマー層が設けられていることが多い。
【0004】
これら熱転写画像受容記録シート2の支持体層(I)は、一般に、パルプ紙や、焼成クレイ又は炭酸カルシウム等の無機微細粉末を含有するプロピレン系樹脂の延伸フィルムよりなる不透明の合成紙や、透明なポリエチレンテレフタレート延伸フィルム、或いは、透明なポリオレフィン系樹脂フィルム等の表面に、シリカや炭酸カルシウム等の無機微細粉末とバインダーとを含有するピグメント塗工剤を塗布することによって白色度及び染色性を高めた塗工合成紙等が用いられている。
【0005】
しかし、感熱転写後の熱転写画像受容記録シート2の支持体層(I)としては、強度、寸法安定性等の面から、無機微細粉末含有ポリオレフィン系樹脂フィルムを延伸することにより得られ、内部にマイクロボイド(微細空孔)を多数有する合成紙であることが好ましいとされている(特開昭60−245593号、特開昭61−112693号、特開昭63−193836号、特開昭63−222891号、特開平1−115687号、特開平3−216386号、特開平5−305780号の各公報参照)。
これらの合成紙はフィルム内部にマイクロボイドを形成させることにより、不透明性、柔軟性、断熱効果による熱エネルギー効率、印字ヘッドとのクッション性が得られている。
【0006】
上記溶融熱転写方式に用いられる熱転写記録用画像受容シート2において、支持体層(I)が上記の無機微細粉末含有ポリオレフィン系樹脂製延伸フィルムであって、なおかつ、画像受容層(II)として窒素含有高分子化合物の水溶性プライマーを用いたものは、高温、多湿の雰囲気下において、このプライマー層が吸湿性を有していて水分を多く含有していることから熱溶融性インクの転写が妨害されて、該熱溶融性インク1bが記録用画像受容シート2に転写され難く、その結果、バーコード等の印字に線切れが生じたり、画像が不鮮明になる等の問題があった。
【0007】
この問題に関しては、支持体層(I)に含有される無機微細粉末を平均粒径0.02〜0.5μm、比表面積が60,000〜300,000cm2 /gのコロイダイル炭酸カルシウム微粉末を30〜65重量%含有するポリオレフィン系樹脂フィルムの延伸物よりなる微多孔性の支持体層(I)を形成したものに、窒素含有高分子化合物の水溶性プライマーを塗工した溶融熱転写記録用画像受容シート2を用いることで、高温多湿の雰囲気下においても鮮明な熱転写画像が得られることが開示されている(特平6−217571号参照)。
【0008】
しかし、溶融熱転写方式に用いられる熱転写記録用画像受容シート2において、支持体層(I)がポリオレフィン系樹脂製合成紙であって、画像受容層(II)として窒素含有高分子化合物の水溶性プライマーを用いたものは、高温多湿の雰囲気下、特に夏期において、この熱溶融性インク1bの転写面(印刷面)となるプライマー層(IIa)の吸湿度が高くなり、該インク転写面となるプライマー層(IIa)の表面に水分が保持された状態となってしまう。
【0009】
そのために、溶融熱転写印字時の熱源によって加熱されたプライマー層(IIa)より蒸発した水分が、熱溶融性インクの転写を妨害して、バーコード等の印字に線切れを生じさせたり、読み取り困難な程に文字をかすれさせるといったインク転写不良の問題を生じさせたり、或いは、印字面を指で擦ると印字が流れて惚けたり、かすれたりするといった、インク定着不良の問題が発生することが指摘されている。
【0010】
又、溶融熱転写記録用画像受容シートは、航空タッグ、粘着ラベル等に使用される場合には、印字される前に画像受容層側に会社名や商品図柄、罫線等をシール印刷することが大半である。
シール印刷機には、図4に示すように印刷時に版5とシート2が線で接触する輪転式シール印刷機と、図5に示すように版5とシート2が面で接触する平圧式シール印刷機が使用されている。図中、6は圧胴もしくは圧盤である。
【0011】
平圧式シール印刷機は1860年前後に考案され、歴史的にも古くから使用され、市場普及率が大で、主に小ロット、多品種向けの印刷に使用されているが、シール印刷速度が遅い欠点と、印刷時の版とシートとの接触が面であるので、版の凸の応力が圧盤に均一に分散されるために印刷ムラが生じやすい。
輪転式シール印刷機は、印刷速度がより速く、かつ、版とシートの接触が線接触のため印刷が鮮明であるが、日本においては歴史が浅いために市場普及率が小さく、大ロット、少品種向けの印刷に用いられている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、輪転式シール印刷機は勿論のこと平圧式シール印刷機を用いても鮮明な印刷ができ、かつ、高温多湿下においても前述のインク定着不良の問題が生じることのない溶融転写方式に用いられる熱転写記録用画像受容シートの提供を目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、プロピレン系樹脂を65〜95重量%、及び、比表面積が10,000〜40,000cm2 /g、平均粒径が0.5〜2.3μmの無機微細粉末を5〜35重量%の割合で含有するプロピレン系樹脂フィルムを延伸して得られるフィルム内部に微細な空孔を多数有する延伸フィルムよりなる基材層(A)の一方の側の面に、プロピレン系樹脂を35〜65重量%、比表面積が25,000〜300,000cm2 /g、平均粒径が0.02〜0.9μmの無機微細粉末を20〜50重量%および比表面積が8,000〜22,000cm2 /g、平均粒径が0.3〜2.5μmの無機微細粉末を5〜30重量%の割合で含有するプロピレン系樹脂フィルムの延伸フィルムよりなる表面層(B)を積層し、上記基材層(A)のもう一方の側の面に、プロピレン系樹脂を35〜90重量%、及び、比表面積が10,000〜40,000cm2 /g、平均粒径が0.5〜2.3μmの無機微細粉末を10〜65重量%の割合で含有するプロピレン系樹脂フィルムの延伸フィルムよりなる裏面層(C)を積層してなる支持体層(I)の表面層(B)側又は両面(B)、(C)に、下記の組成の含窒素高分子化合物プライマーの水溶液を塗布・乾燥させてプライマー層(IIa、IIb)を形成し、該支持体層(I)の溶融インク転写面(表面層(B)側)とは反対側の面(支持体層(I)の裏面層(C)側の面)に粘着剤層(III)を介して、肉厚が40〜250μm、JIS P−8125試験法に基づくテーバー剛度(こわさ)1〜60g・f・cmのパルプ紙層(IV)を積層したことを特徴とする溶融熱転写記録用画像受容シートを提供するものである。
【0014】
〔含窒素高分子化合物プライマーの組成〕
(a) 第三級又は第四級窒素含有アクリル系ポリマー: 100重量部
(b) ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)及びポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、又は、これらのアルキル変性体、アルケニル変性体、ベンジル変性体、若しくは、脂肪族環状炭化水素変性体からなる群より選ばれたポリイミン系化合物: 20〜00重量部
(c) ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物: 20〜00重量部
【0015】
【作用】
溶融熱転写記録用画像受容シート2の支持体層(I)の裏面側にパルプ紙を積層することにより、インクリボンと支持体層(I)との間の密着性と支持体層(I)自体の剛性を向上させることにより、インクリボンと支持体層(I)との間に空隙が生じることが無くなり、比表面積の比較的小さい無機微細粉末を含有した支持体層(I)であっても熱溶融性インクの受理性/転写性がより一層改善されて、高温多湿の条件下のインク定着不良の問題が発生し易い状況下においても鮮明な画像の転写を行なうことができる。
【0016】
画像受容層側の支持体層(I)の表面層(B)に使用する無機微細粉末として、粒径が粗いものと、細かいものを併用し、粗い無機微細粉末で表面層(B)の平面粗さを増加(ベック指数の低下)させ、中心面平均粗さを増加させていずれのシール印刷機でも鮮明なシール印刷物が得られるようにし、粒径の細かい無機微細粉末の配合により表面に微細な空孔を多数形成し、溶融インキの付着性を改善するとともに、溶融インキの密着を阻害する過剰な水分を空孔に拡散させることにより溶融熱転写印字性を向上させ、両者の混合比を選択することにより印刷、印字の双方とも良好となった。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の溶融熱転写記録用画像受容シートを詳細に説明する。
〔I〕支持体層(I)
(1) 層構成
本発明の溶融熱転写記録用画像受容シート2に用いられる支持体層(I)は、プロピレン系樹脂を65〜95重量%、及び、比表面積が10,000〜40,000cm2 /g、平均粒径が0.5〜2.3μmの無機微細粉末を5〜35重量%の割合で含有するプロピレン系樹脂フィルムを延伸して得られるフィルム内部に微細な空孔を多数有する延伸フィルムよりなる基材層(A)の一方の側の面に、プロピレン系樹脂を35〜65重量%、比表面積が25,000〜300,000cm2 /g、平均粒径が0.02〜0.9μmの無機微細粉末を20〜50重量%および比表面積が8,000〜22,000cm2 /g、平均粒径が0.3〜2.5μmの無機微細粉末を5〜30重量%の割合で含有するプロピレン系樹脂フィルムの延伸フィルムよりなる表面層(B)を積層し、上記基材層(A)のもう一方の側の面に、プロピレン系樹脂を35〜90重量%、及び、比表面積が10,000〜40,000cm2 /g、平均粒径が0.5〜2.3μmの無機微細粉末を10〜65重量%の割合で含有するプロピレン系樹脂フィルムの延伸フィルムよりなる裏面層(C)を積層してなる微多孔性の延伸樹脂フィルムである。
【0018】
(a)基材層(A)
構 成
上記フィルム内部に微細な空孔を多数有する延伸フィルムよりなる基材層(A)は、プロピレン系樹脂65〜95重量%、好ましくは75〜95重量%、特に好ましくは80〜95重量%、及び、比表面積が10,000〜40,000cm2 /g、好ましくは15,000〜30,000cm2 /g、特に好ましくは15,000〜28,000cm2 /gの無機微細粉末を5〜35重量%、好ましくは5〜25重量%、特に好ましくは5〜20重量%含有するプロピレン系樹脂組成物(A)をフィルム状に成形し、それを二軸延伸することにより得られたプロピレン系樹脂延伸フィルムである。
【0019】
性 状
該基材層(A)はフィルム内部に3〜20μm程度のラクビーボール状の微細な空孔を多数有する延伸フィルムよりなり、この微細な空孔によって不透明性や白色度を増し、延伸によって引張強度等の強度を増加させている。
【0020】
(b)表面層(B)
構 成
プロピレン系樹脂フィルムの延伸フィルムよりなる表面層(B)は、プロピレン系樹脂を35〜65重量%、好ましくは40〜55重量%、平均粒径が0.02〜0.9μm、比表面積が25,000〜300,000cm2 /g、好ましくは溶融インクの転写性、高速印刷性の面から40,000〜300,000cm2 /g、支持体の不透明性の面から30,000〜45,000cm2 /gの無機微細粉末を20〜50重量%、好ましくは25〜50重量%、及び平圧式シール印刷性の改善の面から比表面積が8,000〜22,000cm2 /g、好ましくは10,000〜18,000cm2 /g、平均粒径が0.3〜2.5μmの無機微細粉末を5〜30重量%、好ましくは8〜25重量%の割合で含有するプロピレン系樹脂組成物(B)をフィルム状に成形し、それを一軸又は二軸延伸することにより得られたプロピレン系樹脂延伸フィルムである。
【0021】
性 状
表面層(B)は、無機微細粉末を比較的多量に含有しており、粒径の粗い無機微細粉末の存在と、延伸によりフィルム表面を疎面化することによりインクの付着性を向上させて、溶融インクの転写性を良好にし、かつ、印刷面に適した性能としている。
また、微細な空孔によって不透明性や白色度を増し、延伸によって引張強度、曲げ強度等の強度を増加させている。
【0022】
この表面層(B)の表面平滑度(ベック平滑度:JIS P−8119)は、300〜1,000秒であり、JIS B−0602による中心面平均粗さ(SRa)は、0.46〜0.62μm、平均傾斜勾配(SΔa)は0.031〜0.044である。
【0023】
(c)裏面層(C)
構 成
プロピレン系樹脂フィルムの延伸フィルムよりなる裏面層(C)は、プロピレン系樹脂を35〜90重量%、好ましくは55〜85重量%、及び、比表面積が10,000〜40,000cm2 /g、好ましくは粘着剤との接着力の面から12,000〜35,000cm2 /gの無機微細粉末を10〜65重量%、好ましくは15〜45重量%の割合で含有するプロピレン系樹脂組成物(C)をフィルム状に成形し、それを一軸又は二軸延伸することにより得られたプロピレン系樹脂延伸フィルムである。
【0024】
性 状
裏面層(C)は、フィルム内部に微細な空孔を多数有する延伸フィルムよりなり、この微細な空孔によって不透明性や白色度を増し、延伸によって引張強度等の強度を増加させている。
【0025】
(2) 積層(支持体層(I)の形成)
延伸フィルムの形成
上記無機微細粉末を種々の濃度で含有するプロピレン系樹脂組成物(A)、(B)及び(C)を、それぞれ別々の押出機を用いて溶融・混練し、インフレーション成形、T−ダイ成形等にて成膜化したプロピレン系樹脂フィルムを、プロピレン系樹脂の融点よりも低い温度で、それぞれを少なくとも一軸方向に延伸して不透明な樹脂フィルムを成形する。
【0026】
積 層
積層は延伸前に行なっても良く、延伸後に行なっても良い。また、一層(A)を延伸した後、これに他の層(B)、(C)を積層させて、前記延伸方向と直角の方向に再度延伸することにより、例えば、基材層(A)が二軸延伸物とし、表面層(B)及び(C)を一軸延伸物とした積層樹脂フィルムよりなる合成紙として形成しても良い。
上記延伸は、縦方向又は横方向の一軸延伸に、或いは、縦及び横方向の二軸延伸にテンター、マンドレル、ロール群等を用いて行なわれる。
【0027】
(3) 素材
(a)プロピレン系樹脂
上記基材層(A)、表面層(B)及び裏面層(C)を構成するプロピレン系樹脂組成物(A)、(B)及び(C)の主原材料となるプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、或いは、プロピレンを主成分とし、これに少量のエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンを共重合させたプロピレン・α−オレフィン共重合体が使用される。
【0028】
このプロピレン・α−オレフィン共重合体としては、ランダム共重合体でもブロック共重合体であっても良く、好ましくは、メルトフローレート(JIS K−7210;230℃、2.16kg荷重)が0.5〜50g/10分、好ましくは0.8〜15g/10分、特に好ましくは1〜12g/10分、結晶化度(X線法)が20%以上、特に好ましくは40〜75%、融点が140〜190℃、好ましくは164〜180℃のものが良い。
【0029】
(b)無機微細粉末
上記基材層(A)、表面層(B)及び裏面層(C)を構成するプロピレン系樹脂組成物(A)、(B)及び(C)の原材料となる無機微細粉末としては、炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、コロイダル炭酸カルシウム、焼成クレイ、珪藻土、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、シリカ、又は、これらの混合物を用いることができる。
【0030】
これらの中でも支持体の表面層(B)用の無機微細粉末としては、平均粒径が0.3〜2.5μm、比表面積が8,000〜22,000cm2 /gの重質炭酸カルシウムと、平均粒径が0.02〜0.9μm、好ましくは0.02〜0.5μm、比表面積が25,000〜300,000cm2 /g、好ましくは28,000〜40,000cm2 /gの重質炭酸カルシウムもしくはコロイダル炭酸カルシウムを併用することが好ましい。
【0031】
上記重質炭酸カルシウムとしては、石灰石をハンマーミル等で微細に粉砕し、分級・篩分けした炭酸カルシウムである。
また、コロイダル炭酸カルシウムとしては、生石灰を水和した石灰乳に、炭酸ガスを吹き込むことにより生成した炭酸カルシウム結晶、又は、ソーダ灰に塩化カルシウムを反応させて生成した炭酸カルシウム結晶を補集し、乾燥させたもの等を挙げることができる。
【0032】
上記コロイダル炭酸カルシウムは、粒径が0.5μm以下、好ましくは0.02〜0.2μm、比表面積(BET法)が60,000〜300,000cm2 /gが好ましく、特に好ましくは100,000〜250,000cm2 /gのものである。これらのコロイダル炭酸カルシウムは、例えば、白石工業(株)製ブリリアント15(商品名)、丸尾カルシウム(株)製MSK−POやカルファイン100(商品名)等として販売されている。
【0033】
物性測定
無機微細粉末の物性測定機械としては、比表面積測定用に、島津製作所(株)製恒圧通気式比表面積測定装置「SS−100」(商品名)が用いられる。
また、平均粒径測定用に、レーザー回折式粒子径測定装置「マイクロトラック」が用いられる。平均粒径は重量累計の50%に当たる粒径で表される。
【0034】
(c)任意成分
上記プロピレン系樹脂組成物(A)、(B)及び(C)の原材料としては、上記プロピレン系樹脂及び無機微細粉末以外の任意の成分を本発明の目的を著しく損なわない範囲で配合することができる。
これら任意の成分の具体例としては、例えば、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、分散剤等を挙げることができる。また、必要により、樹脂分の30重量%以下を高密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン等に置き換えても良い。
無機微細粉末には、必要により、耐候性や白色度を増すために、粒径が0.3〜1.5μmの二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛等の光沢白色顔料を0.5〜8重量%含有させることができる。
【0035】
(4) 支持体層(I)の性状
この支持体層(I)は内部に微細な空孔(ボイド)を有しており、その微細な空孔(ボイド)の量は、次式で算出される空孔率で20〜60%、好ましくは25〜50%の範囲のものである。
【0036】
【式1】
Figure 0003938217
【0037】
上記空孔率が20%未満の場合には支持体層(I)の不透明度が十分でなくなる。また、空孔率が60%を越える場合には支持体層(I)の腰が弱くなり、ラベル加工や印刷作業性の能率が低下し、また、支持体層(I)の強度低下に伴い、離型紙剥離時の基材破壊が生じる。
【0038】
また、この支持体層(I)は、不透明度(JIS P−8138)が85%以上、好ましくは90〜100%、白色度(JIS L−1015)が80〜100%、転写される側のベック平滑度(JIS P−8119)が200〜30,000秒、好ましくは300〜1,000秒、中心線平均粗さ(JIS L−1015)が0.7μm以下、好ましくは0.3〜0.65μm、厚みが40〜300μm、好ましくは60〜200μmのものである。
【0039】
支持体層(I)の不透明度が80%未満であると、ドラム缶、ガスボンベ、鉄鋼板等に貼られた管理ラベルのバーコードを読み取る際に、下地が透けて見えるために印字された黒色のバーコード部分と白地の部分のコントラストが低下して、バーコードの読み取りにエラーが生じるおそれがある。
【0040】
〔II〕プライマー層(IIa)、(IIb)
(1) 層構成
上記支持体層(I)の表面層(B)には、熱溶融インクの受容を向上させる熱転写画像受容層(II)を成形するために含窒素高分子化合物プライマー層(IIa)が形成されている。
また、上記支持体層(I)の裏面層(C)には、粘着剤層(III)を介してパルプ紙層(IV)を貼り合わせるための含窒素高分子化合物プライマー層(IIb)が形成されている。
【0041】
(2) 構成成分
含窒素高分子化合物プライマー層(IIa,IIb)を形成する水溶性の含窒素高分子化合物プライマーとしては、次の(a)、(b)及び(c)成分を以下の割合で配合したものである。
(a)成分: 第三級又は第四級窒素含有アクリル系ポリマー: 100重量部
(b)成分: ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)又はポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、或いは、これらのアルキル変性体、アルケニル変性体、ベンジル変性体、若しくは、脂肪族環状炭化水素変性体からなる群より選ばれたポリイミン系化合物: 20〜00重量部
(c)成分: ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物:
20〜00重量部
【0042】
(3) 構成素材
(a)第三級又は第四級窒素含有アクリル系ポリマー〔(a)成分〕
上記(a)成分の第三級又は第四級窒素含有アクリル系ポリマーとしては、以下に示す▲1▼〜▲3▼成分の共重合体を挙げることができる。
▲1▼成分:下記の化学式(I)〜(VII)に示される化合物より選ばれた少なくとも一種の単量体 :4〜94重量%
【0043】
化学式(I):
【化1】
Figure 0003938217
【0044】
化学式(II):
【化2】
Figure 0003938217
【0045】
化学式(III):
【化3】
Figure 0003938217
【0046】
化学式(IV):
【化4】
Figure 0003938217
【0047】
化学式(V):
【化5】
Figure 0003938217
【0048】
化学式(VI):
【化6】
Figure 0003938217
【0049】
化学式(VII):
【化7】
Figure 0003938217
【0050】
〔上記各化学式(I)〜(VII)中におけるR1 は水素又はメチル基を、R2 及びR3 はそれぞれ低級アルキル基(好ましくは炭素数が1〜4、特に好ましくは炭素数が1〜2)を、R4 は炭素数が1〜22の飽和又は不飽和アルキル基若しくはシクロアルキル基を、X- は四級化されたN+ の対アニオン(例えば、ハライド、特にクロライド)を、Mはアルカリ金属イオン(例えば、ナトリウム、カリウム)を、Aは炭素数2〜6のアルキレン基を表わす。〕
これらの単量体の中でも化学式(VI)の化合物を用いることが好ましい。
▲2▼成分:(メタ)アクリル酸エステル :6〜80重量%
【0051】
化学式(VIII):
【化8】
Figure 0003938217
〔式中、R1 は水素又はメチル基を、R5 は炭素数1〜24のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基を表わす。〕
【0052】
具体的には、ブチルアクリレート、カプリルアクリレート、ステアリルメタアクリレート等を挙げることができる。
▲3▼成分:他の疎水性ビニル単量体 :0〜20重量%
疎水性ビニル単量体の具体例としては、スチレン、塩化ビニル等を挙げることができる。
【0053】
上記(a)成分の第三級窒素又は第四級窒素含有アクリル系ポリマーの中でも特に好ましい帯電防止性を示す水溶性ポリマーとしては、▲1▼成分の単量体が前記化学式(VI)で表わされる単量体の中でX- がCl- のものであり、このものは三菱化学(株)より「サフトマー ST−1000」、「サフトマー ST−1100」、「サフトマー ST−1300」、「サフトマー ST−3200」の各商品名で販売されている。
【0054】
(b)ポリイミン系化合物〔(b)成分〕
上記(b)成分のポリイミン系化合物としては、重合度が200〜3,000のポリエチレンイミン、ポリ(エチレン−尿素)、ポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、次の化学式で示されるポリエチレンイミン変性体等を挙げることができる。
【0055】
化学式(IX):
【化9】
Figure 0003938217
【0056】
〔式中、Zは、化学式(X):
【化10】
Figure 0003938217
又はポリアミン・ポリアミド残基を表わし、R6 〜R9 はそれぞれ独立に、水素、炭素数が1〜24のアルキル基、シクロアルキル基又はベンジル基であるが、少なくとも一つは水素以外の基を表わし、mは0〜300、n,p及びqはそれぞれ1〜300の数値を表わす。〕
【0057】
このポリエチレンイミン変性体は、ポリエチレンイミン又はポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物を、炭素数が1〜24のハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化シクロアルキル又はハロゲン化ベンジル等のハロゲン化物を変性剤として用いたものである。
【0058】
(c)ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物〔(c)成分〕
上記(c)成分のポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物としては、炭素数3〜10の飽和二塩基性カルボン酸とポリアルキレンポリアミンとからポリアミドをエピクロルヒドリンと反応させて得られる水溶性で陽イオン性の熱硬化性樹脂である。この様な熱硬化性樹脂の詳細については、特公昭35−3547号公報に詳細に述べられている。
【0059】
上記炭素数3〜10の飽和二塩基性カルボン酸の具体例としては、炭素数4〜8のジカルボン酸、特にアジピン酸等を挙げることができる。
また、上記ポリアルキレンポリアミンの具体例としては、ポリエチレンポリアミン、特にエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンが挙げれ、就中ジエチレントリアミンが挙げられる。
【0060】
(4) 配合割合
プライマーは、帯電防止性を有する(a)成分と、接着性をより強固にするための(b)成分、及び、架橋的作用を有する(c)成分の三成分を併用する。
その混合比率(固形分比)は、(a)成分100重量部に対し、(b)成分20〜300重量部、好ましくは25〜200重量部、(c)成分20〜300重量部、好ましくは30〜100重量部の割合で配合されたものである。
必要により、水溶性の無機塩、例えば炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、明礬、ポリ燐酸ナトリウム等を前記(a)成分100重量部に対して、5〜20重量部の割合で配合しても良い。
【0061】
これらのプライマーには、更に、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の水溶性有機溶媒、界面活性剤、エチレングリコール、ポリビニルアルコール等の水溶性重合剤、その他の補助資材を含有させることができる。
このプライマーは、通常、固形分量が一般に0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の濃度の水溶液として用いられる。
【0062】
(5) 塗布
(a)塗布量
プライマーの樹脂フィルムへの塗布量は、固形分量で0.005〜10g/m2 、好ましくは0.02〜5g/m2 である。
(b)塗布装置
プライマーの塗布装置としては、ロール、ブレード、エアーナイフ、サイズプレス等を利用した塗布装置を使用することができる。
【0063】
粘着剤層(III)
上記支持体層(I)の裏面層(C)に積層された含窒素高分子化合物プライマー層(IIb)の面には、パルプ紙層(IV)を貼り合わせるための粘着剤層(III)が形成される。
粘着剤層(III)としては、公知の粘着剤を使用することができる。具体的には、カゼイン、ポリビニルアルコール、各種加工澱粉、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースや、カルボキシ変性スチレン・ブタジエンラテックス、アクリロニトリル・ブタジエンラテックス、メチルメタクリル・ブタジエンラテックス等のゴム系粘着剤、アクリルエマルジョン等のアクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニール系粘着剤等を挙げることができる。
これらの粘着剤の中でも、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤を用いることが好ましい。
【0064】
該粘着剤層(III)は、固形分量で15〜150g/m2 、好ましくは25〜120g/m2 で塗布されて、肉厚が12〜140μm、好ましくは20〜110μmにて形成される。
また、該粘着剤層(III)は、予めパルプ紙層(IV)上に形成しておき、積層することもできる。
(b)塗布装置
該粘着剤の塗布装置としては、上記プライマーの塗布装置と同様のものをも使用することができる。
【0065】
〔IV〕パルプ紙層(IV)
(1) パルプ紙
パルプ紙層(IV)は、肉厚が40〜250μm、テーバー剛度(こわさ)1〜60g・f・cmのもの、好ましくは肉厚が50〜180μm、坪量が40〜220g/m2 、テーバー剛度(こわさ)が1.5〜30g・f・cmのパルプ紙が使用される。
上記パルプ紙のテーバー剛度(こわさ)の測定には、JIS P−8125試験法によりテーバー式スティフネスターを用いて測定することができる。
【0066】
具体的なパルプ紙としては、上質紙、アート紙、クラフト紙、グラシン紙、パーチメント紙、コート紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、板紙等を挙げることができる。
なお、このパルプ紙の片面又は両面は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、クレー含有バインダー、PVA、澱粉、CMC等の各種目止め剤、及び、ポリシリコーン等で表面処理されていても良い。
【0067】
(2) 貼合方法
支持体層(I)とパルプ紙層(IV)の貼合方法としては、公知の粘着剤を用いたラミネート法と同様な方法で行なうことができる。
貼合方法の具体例としては、粘着剤の形態及び塗工方法により、例えば、湿式ラミネート、乾式ラミネート、押出ラミネート、熱溶融ラミネート、サーマルラミネート等を挙げることができる。
更に、貼合わせにおいて用いられる粘着剤の種類、粘着剤の量及び貼合方法については、支持体層(I)とパルプ紙層(IV)の材質に応じて適宜選択して使用される。
【0068】
〔V〕溶融熱転写記録用画像受容シート
(1) 層構成
上記の様にして形成された溶融熱転写記録用画像受容シートは、図1に示すように、溶融インクの転写面(印刷面)として、下記の組成の含窒素高分子化合物プライマーの水溶液を塗布・乾燥させて形成したプライマー層(IIa)が形成されており、そのプライマー層(IIa)の下面に、プロピレン系樹脂を35〜65重量%、比表面積が25,000〜300,000cm2 /g、平均粒径が0.02〜0.9μmの無機微細粉末を20〜50重量%、及び比表面積が8,000〜22,000cm2 /g、平均粒径が0.3〜2μmの無機微細粉末を5〜30重量%の割合で含有するプロピレン系樹脂フィルムの延伸フィルムよりなる表面層(B)が形成されている。
【0069】
そして、その表面層(B)のプライマー層(IIa)を積層する反対側の面には、プロピレン系樹脂を65〜95重量%、及び、比表面積が10,000〜40,000cm2 /g、平均粒径が0.5〜2.3μmの無機微細粉末を5〜35重量%の割合で含有するプロピレン系樹脂フィルムを延伸して得られるフィルム内部に微細な空孔を多数有する延伸フィルムよりなる基材層(A)が形成されている。
【0070】
該基材層(A)の表面層(B)を積層する面とは反対側の面には、プロピレン系樹脂を35〜85重量%、及び、比表面積が10,000〜40,000cm2 /g、平均粒径が0.5〜2.3μmの無機微細粉末を15〜65重量%の割合で含有するプロピレン系樹脂フィルムの延伸フィルムよりなる裏面層(C)が積層されている。
そして、これら表面層(B)、基材層(A)及び裏面層(C)によって支持体層(I)を形成している。
【0071】
更に、裏面層(C)には、下記の組成の含窒素高分子化合物プライマーの水溶液を塗布・乾燥させて形成したプライマー層(IIb)が形成されている。そして、そのプライマー層(IIb)の下面には、粘着剤層(III)を介して、肉厚が40〜250μm、坪量が40〜220g/m2 JIS P−8125試験法によりテーバー式スティフネスターを用いて測定したテーバー剛度(こわさ)1〜60g・f・cmのパルプ紙層(IV)が積層されている。
【0072】
〔含窒素高分子化合物プライマーの組成〕
(a) 第三級又は第四級窒素含有アクリル系ポリマー: 100重量部
(b) ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)及びポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、又は、これらのアルキル変性体、アルケニル変性体、ベンジル変性体、若しくは、脂肪族環状炭化水素変性体からなる群より選ばれたポリイミン系化合物: 20〜00重量部
(c) ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物: 20〜00重量部
【0073】
(2) 効果
この様にして得られる本発明の溶融熱転写記録用画像受容シート2は、支持体層(I)のポリオレフィン系樹脂製合成紙に配合された無機微細粉末の比表面積が大きいことや、支持体延伸時に微細粉末を核とした微細なボイドが支持体層(I)の表面に多数形成されていることから、プライマー層(IIa)の水分が熱源により加熱されて蒸発しても、上記無機微細粉末及び微細なボイドに逃げ場ができるために、高温多湿の条件下にあっても溶融インクの転写が妨害され難いとの利点がある。
【0074】
また、表面層の無機微細粉末として粒子径の粗いものと細かいものを併用しているので、無機微細粉末の粒径が細かい方で、画像受容シート(II)の表面の平滑性を補ないインクリボンとの密着を良好とし、転写性も良く、高速印字が可能となる。更に、細い無機微細粉末として重質炭酸カルシウムを用いる場合には、優れたコストメリットと、色沈みのない良好なインク転写濃度を得ることができる。逆に粗い方で表面の粗さを補ない、印刷性を向上させている。
【0075】
更に、支持体層(I)の裏面にパルプ紙層(IV)を積層することにより、インクリボン1と溶融熱転写記録用画像受容シート2との間の密着性及び支持体の剛性が向上し、インクリボン1と溶融熱転写記録用画像受容シート2との間に空隙が生じることも無くなり、比表面積の比較的小さい無機微細粉末を含有した支持体層(I)であっても溶融インクの受理性/転写性は改善されるので、高温多湿の条件下にあっても鮮明な画像の転写が可能となる。
【0076】
【実施例】
以下に示す実施例及び比較例によって、本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)
支持体層の製造
(1) メルトフローレート(MFR)0.8g/10分のポリプロピレン(融点約164〜167℃)81重量%に、高密度ポリエチレン3重量%及び平均粒径1.5μm、比表面積が15,000cm2 /gの炭酸カルシウム16重量%を混合した組成物(A)を、270℃の温度に設定した押出機にて混練させた後、シート状に押し出し、更に、冷却装置により冷却して無延伸シートを得た。そして、このシートを150℃の温度にまで再度加熱した後、縦方向に5倍の延伸を行なって5倍縦延伸樹脂フィルムを得た。
【0077】
(2) MFRが0.3g/10分のポリプロピレン(融点約164〜167℃)50重量%と、平均粒径0.15μm、比表面積が115,000cm2 /gのコロイダル炭酸カルシウム30重量%と、比表面積が15,000cm2 /g、平均粒径が1.5μmの重質炭酸カルシウム20重量%とを混合した組成物(B)を、210℃の温度に設定した別の押出機にて混練させた後、これをダイによりシート状に押し出し、これを上記(1)の工程で得られた5倍縦延伸フィルムの片面に積層し、二層構造の積層フィルムを得た。
【0078】
(3) 上記組成物(A)と同一の組成物(C)を、210℃の温度に設定した更に別の押出機にて混練させた後、これをダイによりシート状に押し出し、これを上記(1)の工程で得られた5倍縦延伸フィルムのもう一方の片面に積層し、三層構造の積層フィルムを得た。
【0079】
次いで、この三層構造の積層フィルムを60℃の温度にまで冷却した後、再度155℃の温度にまで加熱してテンターを用いて横方向に7.5倍延伸し、165℃の温度でアニーリング処理して60℃の温度にまで冷却し、両面をコロナ放電処理した後、耳部をスリットして三層構造(一軸延伸/二軸延伸/一軸延伸)の肉厚80μm(B/A/C=20μm/40μm/20μm)の白色度96%、不透明度92%、空孔率33%、B層の平滑度500秒、B層の中心線表面粗さ0.488μm、平均傾斜勾配0.0346の積層延伸樹脂フィルムを得て、これを支持体層(I)とした。
【0080】
プライマー層の形成
(a)成分の窒素含有アクリルポリマーとして、次の化学式(XI)で表される構造を分子鎖に含む化合物が選択された。
化学式(XI)
【化11】
Figure 0003938217
この中には(a−1)三菱化学(株)製水溶性アクリル系帯電防止剤「ST−3200」、「ST−1100」(いずれも商品名)が含まれる。
【0081】
(b)成分のポリイミン化合物として、(b−1)BASF製ポリエチレンイミン「ポリミンSN」及び(b−2)ブチル化ポリエチレンイミン:ポリエチレンイミンにブチルクロライドを反応させて得られた三菱化学(株)製「サフトマーAC−72」(いずれも商品名)が含まれる。
(c)成分のポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物として、大日本インキ(株)製「WS−570(商品名)」を使用した。
(d)上記の他に、無機塩として炭酸ナトリウムを添加した。
上記(a)〜(d)を固形分濃度が下記の表1に示す配合量で配合し、水で希釈した組成物を、各実施例の支持体に塗布し、乾燥させて支持体の表面にプライマー層(II)を設けた。
【0082】
【表1】
Figure 0003938217
【0083】
パルプ紙の積層
粘着剤塗工、貼合わせに用いる機器としてドライラミネーターを用い、厚み150μm、剛度12g・f・cmのシリコーン油塗布クラフト紙に溶剤系の粘着剤(東洋インキ(株)製「オリバインBPS−1109」(商品名))を固形分25g/m2 となる様にナイフコーターを用いて塗工し、これをオーブン中95℃で乾燥させ、乾式ラミネート法により支持体と貼合わせて溶融熱転写記録用画像受容シートとした。
【0084】
評価
上記溶融熱転写記録用画像受容シートを以下のように評価した。
(1)溶融熱転写印字性
熱転写画像受容シートの片面に、東京電器(株)製印字装置「バーコードプリンター B−30−S5」と(株)リコーの熱溶融型インキリボン「ワックス型B110A」又は「樹脂型B110C」(商品名)を用い、35℃、相対湿度85%の恒温室でバーコードの印字を行なった。
【0085】
〔印字評価〕
印字の外観を目視で次のように評価分けした。
5:良好・・・鮮明な画像が得られる。
4:可 ・・・文字にかすれ等が見られるが、実用レベルは維持している。
3:不可・・・バーコード印字等に線切れが生じる。
2:不可・・・印字文字の読取りが困難。
1:不可・・・ほぼインキが転写しない。
【0086】
〔給排紙性、走行性〕
○:良好
×:通過せず
〔シール印刷のインキ転移性〕
T&K TOKAのUVインキ「BC−161墨」(商品名)を用い、下記表2に示す恩田工業(株)製凸版平圧式ラベル印刷機“OPM−W250−49”(商品名)および三起鉄工(株)製平圧式凸版輪転式ラベル印刷機“SKP−250A”(商品名)にて転色(1.5g/m2 のインク量)させた後、UV照射機で乾燥させ、スミベタの濃度を目視で観察した。
【0087】
【表2】
Figure 0003938217
〔表面強度〕
ボンドテスター試験機を用い、印字面の表面強度を調べた。
結果を表3に示す。
【0088】
(比較例1)
実施例1において、粘着剤層、パルプ紙を貼り合わせしない以外は実施例1と同様にして溶融熱転写記録用画像受容シートを得た。
(実施例2)
実施例1において、組成物(B)に配合する平均粒径0.15μm、比表面積115,000cm2 /gのコロイダル炭酸カルシウムの代わりに、平均粒径0.70μm、比表面積32,000cm2 /gの重質炭酸カルシウムを用いる他は同様にして溶融熱転写記録用画像受容シートを得た。
【0089】
(実施例3)
実施例1において、プライマーを(I)の組成のものに代える他は同様にして溶融熱転写記録用画像受容シートを得た。
(実施例4)
実施例2において、プライマーを(I)の組成のものに代える他は同様にして溶融熱転写記録用画像受容シートを得た。
【0090】
(比較例2〜13)
プライマーの種類、表面層(B)中の無機微細粉末の種類、配合量、パルプ紙の厚み有無を表3に示すように代える他は実施例1と同様にして溶融熱転写記録用画像受容シートを得た。
評価の結果を表3に示す。
【0091】
【表3】
Figure 0003938217
【0092】
【発明の効果】
本発明の溶融熱転写記録用画像受容シートは、支持体層のポリオレフィン系樹脂製合成紙に配合された無機微細粉末の比表面積が大きいことや、微細粉末を核としてポリオレフィンが延伸されて生じた微細な表面亀裂が支持体層の表面に多数形成されていることから、プライマー層の水分が熱源により加熱されて蒸発しても、上記無機微細粉末及び微細な亀裂に逃げ場ができるために、高温多湿の条件下にあっても溶融インクの転写が妨害され難いとの利点がある。
また、無機微細粉末として粒径が細かいものと粗いものを併用することにより、印字の転写性と高速印字のバランスをよくすると共に輪転式凸版シール印刷は勿論のこと平圧式凸版シール印刷でも良好な印刷が得られる。
【0093】
更に、支持体層(I)の裏面にパルプ紙層(IV)を積層することにより、インクリボン1と溶融熱転写記録用画像受容シート2との間の密着性及び支持体の剛性が向上し、インクリボン1と溶融熱転写記録用画像受容シート2との間に空隙が生じることも無くなり、比表面積の比較的小さい無機微細粉末を含有した支持体層(I)であっても溶融インクの受理性/転写性は改善されるので、高温多湿の条件下にあっても鮮明な画像の転写が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶融熱転写記録用画像受容シートの断面図である。
【図2】昇華型熱転写方式の印字装置の概略断面図を表わす。
【図3】熱転写方式の印字装置の概略断面図を表わす。
【図4】輪転式凸版シール印刷機の断面図を表わす。
【図5】平圧式凸版シール印刷機の断面図を表わす。
【符号の説明】
1 熱転写インクリボン
1a 熱溶融性インク
1b 基体
1c 溶解されて転写されたインク
2 画像記録用受容記録シート
I 支持体層
A 基材層
B 表面層
C 裏面層
II 熱転写画像受容層
IIa、IIb プライマー層
III 粘着剤層
IV パルプ紙層
3 印字ヘッド
3a サーマルヘッド
4 ドラム
5 凸版
6 版胴または圧盤

Claims (3)

  1. プロピレン系樹脂を65〜95重量%、及び、比表面積が10,000〜40,000cm2 /g、平均粒径が0.5〜2.3μmの無機微細粉末を5〜35重量%の割合で含有するプロピレン系樹脂フィルムを延伸して得られるフィルム内部に微細な空孔を多数有する延伸フィルムよりなる基材層(A)の一方の側の面に、プロピレン系樹脂を35〜65重量%、比表面積が25,000〜300,000cm2 /g、平均粒径が0.02〜0.9μmの無機微細粉末を20〜50重量%および比表面積が8,000〜22,000cm2 /g、平均粒径が0.3〜2.5μmの無機微細粉末を5〜30重量%の割合で含有するプロピレン系樹脂フィルムの延伸フィルムよりなる表面層(B)を積層し、上記基材層(A)のもう一方の側の面に、プロピレン系樹脂を35〜90重量%、及び、比表面積が10,000〜40,000cm2 /g、平均粒径が0.5〜2.3μmの無機微細粉末を10〜65重量%の割合で含有するプロピレン系樹脂フィルムの延伸フィルムよりなる裏面層(C)を積層してなる支持体層(I)の表面層(B)側又は両面(B)、(C)に、下記の組成の含窒素高分子化合物プライマーの水溶液を塗布・乾燥させてプライマー層(IIa、IIb)を形成し、該支持体層(I)の溶融インク転写面(表面層(B)側)とは反対側の面(支持体層(I)の裏面層(C)側の面)に粘着剤層(III)を介して、肉厚が40〜250μm、JIS P−8125試験法によりテーバー式スティフネスターを用いて測定したテーバー剛度(こわさ)1〜60g・f・cmのパルプ紙層(IV)を積層したことを特徴とする溶融熱転写記録用画像受容シート。
    〔含窒素高分子化合物プライマーの組成〕
    (a) 第三級又は第四級窒素含有アクリル系ポリマー: 100重量部
    (b) ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)及びポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、又は、これらのアルキル変性体、アルケニル変性体、ベンジル変性体、若しくは、脂肪族環状炭化水素変性体からなる群より選ばれたポリイミン系化合物: 20〜00重量部
    (c) ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物: 20〜00重量部
  2. 支持体層(I)の表面層(B)、裏面層(C)に含有される無機微細粉末が、相方とも炭酸カルシウムである、請求項1に記載の溶融熱転写記録用画像受容シート。
  3. パルプ紙層(IV)が、表面にポリシリコーンを塗布したパルプ紙よりなる離型紙であることを特徴とする、請求項1に記載の溶融熱転写記録用画像受容シート。
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