JP2004122774A - 溶融熱転写記録用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】 有機溶剤にさらされた状態で擦過されても情報管理に支障をきたさず、種々の印刷性にも優れている溶融熱転写記録用紙を提供すること。
【解決手段】 少なくとも一方向に延伸された樹脂延伸フィルムからなる溶融熱転写記録用紙であって、該樹脂延伸フィルムは、無機微細粉末や有機フィラーを30〜75重量%、ビカット軟化点が140℃以下の熱可塑性樹脂とビカット軟化点が140℃を超えるポリオレフィン系樹脂を合計で70〜25重量%含み(ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、該熱可塑性樹脂75重量部より多く900重量部以下含有)、溶融熱転写記録装置を用いて温度110℃、印字速度3インチ/秒で該樹脂延伸フィルムの表面に溶融型ワックスインクリボンを用いてバーコード印字し、印字したバーコード表面をエタノールを含浸した白綿布を用いて50回摩擦した後のバーコードの状態が、ANSI GRADEでAまたはBレベルであることを特徴とする、溶融熱転写記録用紙。
【選択図】   なし

Description

 本発明は溶融熱転写記録用紙に関するものである。より詳細には、種々の印刷方式においてインクの転移性、密着性に優れ、特に溶融熱転写記録装置を用いたときの熱溶融性インクの転写性、密着性、耐水性、耐溶剤性に優れた溶融熱転写記録用紙に関するものである。
 画像記録方法としては、昇華熱転写方式、溶融熱転写方式、電子写真方式、静電記録方式等があり、画像や情報記録に幅広く利用されている。これらは転写や画像の定着および密着に熱エネルギーを用いるもので、例えばインクリボンを介して記録媒体に押し付けて色材をインクリボンより記録媒体に転写したり、トナーを記録媒体に転写した後に高温のロールや光により加熱して密着させたりするものである。
 これらの中でバーコード等の情報記録に一般的に使用される溶融熱転写方式は、熱溶融性インクおよびそれを支持する基体からなる熱転写インクリボンと、記録用紙とを、熱源であるサーマルヘッド等を備えた印字ヘッドとドラムとの間に挟着させて、サーマルヘッドを電気信号にて制御することによって熱転写インクリボン中の熱溶融性インクを加熱して溶解されたインクを直接記録用紙に転写するものである。
 この様な溶融熱転写方式に用いる記録用紙は、熱溶融性インクに対する密着性の良好なポリエステル樹脂やエポキシ樹脂からなる層やプライマー層を表面に有することが多い。
 これら記録用紙は、一般に、焼成クレイまたは炭酸カルシウム等の無機微細粉末を含有するプロピレン系樹脂の延伸フィルムよりなる合成紙(たとえば特許文献1〜15参照)や、ポリエチレンテレフタレート延伸フィルム、或いはポリオレフィン系樹脂フィルム等である。更にこれらのフィルムの表面に画像受容層としてシリカや炭酸カルシウム等の無機微細粉末とバインダーとを含有するピグメント塗工剤を塗工することによって白色度、染色性および印刷適性を高めたものが用いられている(たとえば特許文献16〜23)。
 また、記録用紙として、無機微細粉末含有ポリオレフィン系樹脂の延伸フィルムであって、画像受容層として各種印刷適性および帯電防止性能を付与させるために窒素含有高分子化合物の水溶性プライマーを塗布したものも提案されている(例えば特許文献24)。しかし、この記録用紙を用いた場合は、高温高湿環境下において、吸湿性を有する水性プライマー層が水分を吸湿するために熱溶融性インクの転写が妨害され、その結果バーコード等の印字に線切れが生じたり、画像が不鮮明になったりする等の問題があった。
 この問題を改良するために、より微細な無機微細粉末を含有するポリオレフィン系樹脂フィルムの延伸物よりなる微多孔性のフィルムを成形したものに、窒素含有高分子化合物の水溶性プライマーを塗布した記録用紙を用いることで、高温、高湿環境下においても鮮明な画像が得られることが報告されている(例えば特許文献25〜27)。しかしながら、これらの記録材料に印字した印字物には、高温高湿環境下に長時間置いた後にインク密着不良の問題が発生することが判明している。
 この問題を更に改良するために、特定の画像受容層を設けることにより、高温高湿環境下に長時間置かれた印字物であっても、インクの密着性が向上することが報告されている(例えば特許文献28)。
 しかし、特許文献28に記載の記録用紙に溶融熱転写記録装置を用いてバーコード印字などを行ったうえで、有機溶剤などの入ったドラム缶や容器の情報管理に使用すると、内容物の有機溶剤が漏れるなどにより、熱溶融性インクあるいは画像受容層が有機溶剤によって溶解し印字情報が剥がれ落ち、情報管理に支障をきたすなどの問題があった。このため、市場からの改善要望が高かった。
特開昭62−290790号公報 特開昭63−152029号公報 特開昭62−193836号公報 特開昭63−222891号公報 特開平01−49640号公報 特開平01−95097号公報 特開平05−305780号公報 特開平06−79979号公報 特開平07−25174号公報 特開平07−76186号公報 特開平07−179078号公報 特開平07−232397号公報 特開平08−20169号公報 特開平11−334228号公報 特開2000−15941号公報 特開平09−86057号公報 特開平09−267571号公報 特開平10−264543号公報 特開2000−190433号公報 特開2000−218950号公報 特開2000−247048号公報 特開2001−18542号公報 特開2001−225422号公報 特開昭62−148292号公報 特開平8−80684号公報 特開平9−76647号公報 特開平9−295466号公報 特開2001−219661号公報
 そこで本発明は、特に有機溶剤にさらされた状態で擦過されても情報管理に支障をきたさず、種々の印刷性にも優れた溶融熱転写記録用紙を提供することを解決すべき課題とした。
 本発明者らはこのような従来技術の問題に鑑み検討を続けた結果、少なくとも一方向に延伸された樹脂延伸フィルムからなる溶融熱転写記録用紙であって、該樹脂延伸フィルムは、無機微細粉末および/または有機フィラーを30〜75重量%、JIS−K−7206−1999で測定したビカット軟化点が140℃以下である熱可塑性樹脂とJIS−K−7206−1999で測定したビカット軟化点が140℃を超えるポリオレフィン系樹脂を合計で70〜25重量%含み;該樹脂延伸フィルムは、該ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、該熱可塑性樹脂を75重量部より多く900重量部以下の量で含み;溶融熱転写記録装置を用いて温度110℃、印字速度3インチ/秒で該樹脂延伸フィルムの表面に溶融型ワックスインクリボンを用いてバーコード印字し、印字したバーコード表面をJIS−L−0849―1996に準拠してエタノールを含浸した白綿布を用いて50回摩擦した後のバーコードの状態が、ANSI GRADEでA〜Cレベルであることを特徴とする本発明の溶融熱転写記録用紙が、前記課題を克服することを見いだした。
 無機微細粉末および/または有機フィラーをポリオレフィン系樹脂に含有させ、少なくとも一方向に延伸することで表面には微細な凹凸を生じ、また内部にも微細な空隙(ミクロボイド)が生じる。さらにビカット軟化点が140℃以下の熱可塑性樹脂を含有することで、溶融熱転写印字する際にサーマルヘッドの熱と圧力により溶融した熱転写インクがこれら凹凸や空隙に入り込み、続いて表面の熱可塑性樹脂が可塑化変形しこれら凹凸や空隙の表層を被覆することで熱転写インクが内部に封じ込められ、その結果有機溶剤にさらされた状態で擦過した後もインキの溶けだしが少なくなる。
 これらの現象は、溶融熱転写記録装置を用いて温度110℃、印字速度3インチ/秒の条件で本発明の上記樹脂延伸フィルムの表面を加熱後に、該樹脂延伸フィルムの表面が被覆された面積比率が35%以上になっていることからも確かめることができる。
 ポリオレフィン系樹脂はビカット軟化点が140℃を超えるプロピレン系樹脂であることが好ましい。
 また、これらフィルム表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.4〜2.5μmであることが好ましい。
 さらにこれらフィルムには、フィラーの分散剤を含有することが好ましく、分散剤を0重量%を超えて20重量%以下含有することが好ましい。
 また、フィルム表面には各種印刷適性を向上させるために、下記一般式(a)で表されるポリイミン共重合体またはポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物よりなる塗布層を設けることが好ましい。
Figure 2004122774
(式中、R1とR2はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10の範囲の直鎖、分岐状もしくは脂環式構造を有するアルキル基、またはアリール基であり、R3は水素原子、または炭素数1〜20の範囲のアルキル基、アリル基、脂環式構造を有するアルキル基、アリール基もしくはこれらの水酸化物であり、mは2〜6の範囲の整数であり、nは20〜3000の範囲の整数であり、m×n個のR1、R2およびR3は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。)
 さらに上記塗布層が水溶性のエポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、ホルマリン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物の架橋剤、およびポリマー型帯電防止剤を含有することが好ましい。
 これら溶融熱転写記録用紙には各種印刷を行うことが可能であり、また他の樹脂フィルムや樹脂フィルム以外の材料と積層したり、粘着剤を介して剥離紙と積層したりして、ラベル用原紙として使用することもできる。
 更に本発明は、上記溶融熱転写記録用紙、積層体またはラベル用原紙を用いた記録物も含む。
 本発明の溶融熱転写記録用紙は、熱溶融インクの転写性、密着性、耐水性が優れるだけでなく、更に耐溶剤擦過性にも優れている。特に有機溶剤にさらされた状態で擦過されても情報管理に支障をきたさず、種々の印刷性にも優れている。このような特徴を有することから、本発明の溶融熱転写記録用紙は広範な用途に供しうるものである。
発明の実施の形態
 以下に本発明の溶融熱転写記録用紙について更に詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[1]溶融熱転写記録用紙
(1)層構成
 本発明の溶融熱転写記録用紙は単層であっても多層であっても良く、ベース層と表面層の2層構造であっても、ベース層の表裏面に表面層が存在する3層構造であっても、ベース層と表面層間に他の樹脂フィルム層が存在する多層構造であっても良い。また、延伸軸数は、3層構造では1軸/1軸/1軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、2軸/2軸/2軸等が挙げられ、それ以上の層構造の場合、延伸軸数は任意に組み合わせることが可能である。
 また本発明の溶融熱転写記録用紙は、他の熱可塑性樹脂フィルム、パルプ抄造紙、平織織布(ポンジー)または不織布(スパンボンド)と積層して積層品にしてもよく、必要により粘着剤層、離型紙を設けてもよい。その場合は樹脂延伸フィルムが最外層になるようにすればよい。
(2)ビカット軟化点が140℃以下である熱可塑性樹脂
 本発明に用いるJIS−K−7206−1999で測定したビカット軟化点が140℃以下である熱可塑性樹脂は、ビカット軟化点が好ましくは50〜130℃、更に好ましくは60〜125℃である。本発明の溶融熱転写記録用紙を構成する樹脂延伸フィルムは、該熱可塑性樹脂をポリオレフィン系樹脂100重量部に対して75重量部を超えて900重量部以下含有し、好ましくは100重量部〜700重量部含有し、更に好ましくは100重量部を超えて400重量部以下含有する。
 ビカット軟化点が140℃を超えると、溶融熱転写印字した際にサーマルヘッドの熱によるフィルム表面の可塑化変形が十分ではないので、延伸フィルムの表面の被覆面積比率が小さくなってしまう。このため、溶剤で擦過した後に容易に熱転写インクが溶け出してしまい、本発明の目的を達し得ない。
 また、これら熱可塑性樹脂の含有量が、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して75重量部未満では、同様に可塑化変形する樹脂分が少なく、フィルムの表面被覆面積比率が小さく、従って溶剤で擦過した後に熱転写インクが溶け出しやすい。また、熱可塑性樹脂の含有量がポリオレフィン系樹脂100重量部に対して900重量部を超えると、延伸時に、ロールやテンターなどの製造機器に貼り付いたり、シートの破断が起きるため延伸フィルムの成形が困難になる。
 ビカット軟化点が140℃以下である熱可塑性樹脂としては、エチレンやブテンをコモノマーとして含有するランダムプロピレン共重合体、密度が0.940〜0.970g/cm3の高密度ポリエチレン、密度が0.900〜0.935g/cm3の低密度ポリエチレン、密度が0.880〜0.940g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体の金属塩(Zn、Al、Li、K、Naなど)等のアクリル酸系樹脂、アイオノマー、ポリブテン−1、ポリブタジエン、メタクリル樹脂などを使用することができる。これらのなかでも耐薬品性およびコスト等の面から高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ランダムポリプロピレン共重合体、アクリル酸系樹脂が好ましく、特に高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンが好ましい。
(3)ポリオレフィン系樹脂
 本発明に用いるポリオレフィン系樹脂としては、JIS−K−7206−1999で測定したビカット軟化点が140℃を超えるプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。 ビカット軟化点が140℃を超えるプロピレン系樹脂を用いることによって、延伸後のフィルム表面に凸凹や空隙が形成されやすくなり、表面粗さが適度に大きくなって、サーマルヘッドの加熱により溶融した熱転写インクが入り込む部分が多くなるという利点がある。
 プロピレン系樹脂としては、プロピレンを単独重合させたアイソタクティック重合体およびシンジオタクティック重合体が好ましい。また、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとプロピレンとを共重合体させた、様々な立体規則性を有するポリプロピレンを主成分とする共重合体を使用することもできる。共重合体は2元系でも3元系以上の多元系でもよい。上記のポリオレフィン系樹脂の中から1種を選択して単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。
(4)無機微細粉末
 本発明に用いる無機微細粉末としては、平均粒径が通常0.05〜10μm、好ましくは0.1〜7μm、より好ましくは0.3μm〜5μm、特に好ましくは0.4μm〜2.5μm、最も好ましくは0.5μm〜1.5μmのものが使用できる。平均粒径が0.05μm未満ではビカット軟化点が140℃以下である熱可塑性樹脂およびポリオレフィン系樹脂との溶融混練時に均一に無機微細粉末が分散しなかったり、無機微細粉末が二次凝集したり、吸着水分の影響により水分発泡を起こす場合がある。また平均粒径が10μmを超えるとフィルムの強度が低下し易い傾向があり、さらに印刷インキや熱溶融性インクの転移濃度が低くなる傾向もある。無機微細粉末としては、具体的には、炭酸カルシウム、アルミノシリケート、アルミナ、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウムなどを使用することができる。これらの中でも、コストの面から炭酸カルシウムを使用することが好ましい。炭酸カルシウムの中でも、平均粒径が小さく、かつ粒度分布が小さく、さらに粗大粒子が除去されたもの(例えば、丸尾カルシウム(株)製の「カルテックス7」を例示できる)は印刷インキの転移濃度が向上する点で好ましい。
 本発明に使用する無機微細粉末の粒径は、粒子計測装置、レーザー回折式粒子計測装置「マイクロトラック」((株)日機装製、商品名)により測定した累積で50%にあたる粒子径(累積50%粒径)により測定した。
(5)有機フィラー
 本発明に用いる有機フィラーとしては、分散後の平均粒径が通常0.05〜10μm、好ましくは0.1〜7μm、より好ましくは0.3〜5μmのものが使用できる。
 具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン−6、ナイロン−6,6、環状オレフィンの単独重合体および環状オレフィンとエチレンの共重合体等の融点が160℃〜300℃、ないしはガラス転移温度が160℃〜280℃を有するものを挙げることができる。
 これら無機微細粉末および有機フィラーはそれぞれ単独でもまた組み合わせて使用することもできる。樹脂延伸フィルムにおけるこれらの含有量は30〜75重量%、より好ましくは40〜65重量%である。30重量%未満ではフィルム表面に凹凸や空隙が形成されにくく、表面粗さが小さく、サーマルヘッドの加熱により溶融した熱転写インクが入り込む部分が少なく、表面が被覆されても封じ込められるインク量が少なくて、本発明の目的を達し得ない。また75重量%を超えると、溶融熱転写記録用紙表面の強度が低下し、もろく傷つきやすい表面となり、本発明の目的を達し得ない。
(6)分散剤
 本発明で用いることができる分散剤としては、例えば酸変性ポリオレフィン、シラノール変性ポリオレフィンなどが挙げられる。この中でも酸変性ポリオレフィンが好ましい。酸変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸をランダム共重合もしくはグラフト共重合した無水酸基含有ポリオレフィン、あるいはメタクリル酸、アクリル酸などの不飽和カルボン酸をランダム共重合もしくはグラフト共重合したカルボン酸基含有ポリオレフィン、グリシジルメタクリレートをランダム共重合もしくはグラフト共重合したエポキシ基含有ポリオレフィンなどが挙げられる。具体例としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、アクリル酸変性ポリプロピレン、エチレン・メタクリル酸ランダム共重合体、エチレン・グリシジルメタクリレートランダム共重合体、エチレン・グリシジルメタクリレートグラフト共重合体、グリシジルメタクリレート変性ポリプロピレンなどが挙げられ、なかでも好ましくは無水マレイン酸変性ポリプロピレンおよび無水マレイン酸変性ポリエチレンである。
 分散剤を配合することにより、無機微細粉末または有機フィラーの分散性が向上するためか特に溶融熱転写インクの耐溶剤擦過性が向上する。
 無水マレイン酸変性ポリプロピレンおよび無水マレイン酸変性ポリエチレンの具体例としては、三菱化学(株)のモディックAP[P513V]、AP[M513](商品名)、三洋化成(株)のYumex1001、1010(商品名)やYumex2000(商品名)、三井・デュポンポリケミカル(株)のHPR[VR101](商品名)が挙げられる。
 酸変性ポリオレフィンの酸変性率としては、0.01〜20%が好ましく、さらには0.05〜15%がより好ましく、0.1〜10%がさらに好ましい。
 酸変性率が0.01%未満では、無機微細粉末の熱可塑性樹脂中への分散効果が不十分になる傾向があり、20%を超えると酸変性ポリオレフィンの耐熱性が低くなりすぎるため、熱成形時に着色しやすくなる傾向がある。
 分散剤の含有量としては、好ましくは0重量%を超えて20重量%以下であり、より好ましくは0重量%を超えて10重量%以下であり、更に好ましくは0.1〜5重量%、特に好ましくは0.15〜2重量%未満、最も好ましくは0.2〜1.7重量%である。
 分散剤の含有量が20重量%を超えては、成形時メヤニ(樹脂組成物の熱劣化物など)の発生が多くなり、また延伸性が大きく低下して成形時における延伸切れが多くなる傾向がある。
(7)滑剤
 滑剤は、本発明の樹脂延伸フィルムの成形性を高める目的で使用する。押出機内で溶融樹脂の分子間摩擦力あるいは押出機の内壁と溶融樹脂間の摩擦力を減少させて流動性を高める効果を有する。使用量は通常0.01〜4重量%の範囲内である。具体的には、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、およびそれらの金属塩、高級アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール等のアルコール類、脂肪酸と脂肪族アルコール、芳香族アルコール、ポリグリコール等とのエステル類、天然ワックス、脂肪酸アミド等を使用することができる。
(8)その他の助剤
 本発明の溶融熱転写記録用紙を構成する樹脂延伸フィルムには、必要に応じて安定剤、光安定剤などを添加することができる。
 安定剤を添加する場合は、通常0.001〜1重量%の範囲内で添加する。具体的には、立体障害フェノール系、リン系、アミン系の安定剤などを使用することができる。
 光安定剤を添加する場合は、通常0.001〜1重量%の範囲内で添加する。光安定剤としては、具体的には、立体障害アミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系の光安定剤などを使用することができる。
(9)成形方法
 本発明の溶融熱転写記録用紙の成形方法は特に限定されないため、公知の方法の中から適宜選択して成形することができる。例えば、スクリュー型押出機に接続された単層または積層のTダイやIダイを使用して溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、カレンダー成形、圧延成形、インフレーション成形、熱可塑性樹脂と有機溶媒やオイルとの混合物をキャスト成形またはカレンダー成形した後に溶媒やオイルを除去する方法などを用いて成形することができる。
 延伸方法は、通常用いられている種々の方法のいずれかによって行う。
 具体例としては、ロール群の周速差を利用した縦延伸、テンターオーブンを使用した横延伸、圧延、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸などを用いることができる。
 延伸の際の温度は、用いるビカット軟化点が140℃以下である熱可塑性樹脂のビカット軟化点以上でポリオレフィン系樹脂の融点以下(好ましくは融点の2〜20℃低い温度)の温度範囲内で行うことができる。また延伸速度は20〜350m/分にするのが好ましい。
 延伸倍率は用いるポリオレフィン系樹脂およびビカット軟化点が140℃以下である熱可塑性樹脂の特性等を考慮して適宜決定する。一方向に延伸する場合は2〜12倍、好ましくは3〜10倍、より好ましくは4〜8倍であり、二軸延伸の場合は面積倍率で4〜80倍、好ましくは10〜65倍、より好ましくは20〜50倍である。
(10)肉厚
 本発明の溶融熱転写記録用紙の肉厚は、0.5μm〜1000μm、好ましくは1μm〜500μmである。
 これらを成形と同時に共押出しや押出しラミネートにより積層したり、また成形後に他の樹脂フィルムや樹脂フィルム以外の材料と積層したりして得た積層体の肉厚は、好ましくは20μm〜3000μm、より好ましくは30μm〜2000μmである。
[2]塗布剤
(1)構成素材
 (i)成分
 本発明の溶融熱転写記録用紙に(i)成分であるポリイミン系重合体またはポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物からなる塗布剤層を設けると印刷インクの密着性、特に紫外線硬化型インクの密着性を改良することができる。このような化合物としては、ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)およびポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、又はこれらのアルキル変性体、シクロアルキル変性体、アリール変性体、アリル変性体、アラルキル変性体、アルキラル変性体、ベンジル変性体、シクロペンチル変性体、もしくは脂肪族環状炭化水素変性体、ないしはこれらの水酸化物であり、これらを単独または数種類複合させたものを挙げることができる。
 これらの中でも、上記一般式(a)で表されるポリイミン系重合体を使用することが、オフセットインクとの密着性、転移性の向上の観点から好ましい。ここで、ポリエチレンイミンの重合度は任意のものが使用されるが、好ましくは20〜3,000のものである。
 (ii)成分
 上記(i)成分に、(ii)成分である架橋剤としてエポキシ系、イソシアネート系、ホルマリン系、オキサゾリン系の水溶性の樹脂を加えると印刷インクとの耐水密着性を更に改良することができる。架橋剤としては、特にビスフェノールA−エピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、脂環式エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂が好ましく、最も好ましくは、ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物、あるいは単官能乃至多官能のグリシジルエーテル、グリシジルエステル類が挙げられる。
 (iii)成分
 上記(i)、(ii)成分に、(iii)成分であるポリマー型帯電防止剤を加えることにより、埃の付着や印字および印刷時の帯電によるトラブルを軽減することができる。ポリマー型帯電防止剤としては、カチオン型、アニオン型、両性型、ノニオン型などが使用可能である。カチオン型としては、アンモニウム塩構造やホスホニウム塩構造を有するものが挙げられる。アニオン型としては、スルホン酸、リン酸、カルボン酸等のアルカリ金属塩、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸などのアルカリ金属塩(例としてはリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)構造を分子構造中に有するものが挙げられる。
 両性型としては、上記のカチオン型とアニオン型の両方の構造を同一分子中に含有するもので、例としてはベタイン型が挙げられる。ノニオン型としては、アルキレンオキシド構造を有するエチレンオキシド重合体や、エチレンオキシド重合成分を分子鎖中に有する重合体が挙げられる。その他、ホウ素を分子構造中に有するポリマー型帯電防止剤も例として挙げることができる。これらの中で好ましくは窒素含有ポリマー型帯電防止剤であり、より好ましくは第三級窒素または第四級窒素含有アクリル系ポリマーである。 尚、本発明の塗布剤には、必要に応じて消泡剤、その他の助剤等を印刷および熱転写特性を損なわない範囲で添加しても良い。
(2)量比
 本発明に使用する塗布剤は(i)成分100重量部に対し、(ii)、(iii)成分は下記の割合である。
 (ii)成分 通常0〜400重量部、好ましくは50〜300重量部
 (iii)成分 通常0〜800重量部、好ましくは25〜500重量部
(3)塗布剤の形態
 上記塗布剤の各成分は、水或いはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン等の溶媒に溶解させてから用いるものであるが、中でも水溶液の形態で用いるのが一般的である。溶液濃度は通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜20重量%である。
(4)塗布
 (a)塗布量
 塗布剤の溶融熱転写記録用紙への塗布量は、固形分量で通常0.01〜3g/m2、好ましくは0.01〜1g/m2、より好ましくは0.02〜0.3g/m2である。0.01g/m2未満では充分な帯電防止性能が得られず印刷時のフィードトラブルが懸念されるだけでなく、印刷インキの密着性も得られなくなる傾向がある。また3g/m2超では乾燥性が劣るばかりでなく、3g/m2で既に十分な性能が得られるためコストアップになる傾向がある。
 (b)塗布装置
 塗布装置としては、ロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、サイズプレスコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、スプレーコーター等を利用した塗布装置を使用することができる。
 本発明の溶融熱転写記録用紙には、その表面に塗布層を形成する前に、表面酸化処理としてフィルムに一般的に使用されるコロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、オゾン処理などを単独または組み合わせて使用する。これらのうちで好ましくはコロナ処理、フレーム処理であり、処理量はコロナ処理の場合、600〜12,000J/m2(10〜200W・分/m2)、好ましくは1,200〜9,000J/m2(20〜180W・分/m2)、フレーム処理の場合、8,000〜200,000J/m2、好ましくは20,000〜100,000J/m2が用いられる。
[3]溶融熱転写印字
(1)溶融型ワックスインクリボン
 溶融型ワックスインクリボンは、ベースフィルムとしてサーマルヘッドが接する側の面に耐熱樹脂コート(1〜3μm)を施したポリエステルフィルム(3〜10μm)を使い、反対面に常温では固体、加熱すると急激に粘度が低下する熱溶融インクを3〜8μmの厚さに均一にグラビアまたはロールコーティング法でコートしたものである。
 ワックスインクリボンのインクの成分は、一般的に10〜20重量%の顔料、60〜80重量%のワックス系バインダーおよび10〜20重量%の柔軟剤、分散剤などの各種添加剤から構成されている。
 ワックス系バインダーはブロードな融点と融点以上の温度で急激に粘度が低下する特性を示し、加熱領域に多少の温度ムラがあっても一様なインク転移が可能なものである。具体的にはパラフィンワックス、エステルワックスやカルナバワックス等が挙げられる。
(2)印字条件
 本発明の溶融熱転写記録用紙に対する印字方法は特に制限されず、一般に溶融熱転写記録装置を使用して行うことができる。具体的な印字条件については、後述する試験例1を参考にすることができる。
 本発明の溶融熱転写記録用紙は、後述する試験例2に記載の溶剤擦過後のANSI GRADEがA〜Cであり、好ましくはB以上である。
[4]表面物性
(1)空印字後の表面被覆面積比率
 本明細書における表面被覆面積比率は、以下の手順により測定した値である。すなわち、溶融熱転写記録装置を用い熱転写記録用紙の表面を直接サーマルヘッドで全面空印字した後のフィルムの任意の一部を切り取り、観察試料台に貼り付け、その観察面に金蒸着して日立製作所(株)製の走査型顕微鏡「S−2400」(商品名)を使用して倍率2000倍にて表面を写真撮影し、サーマルヘッドの熱により表面が被覆された部分をトレーシングフィルムにトレースして塗りつぶした図を画像解析装置「型式ルーゼックスIID」(ニレコ(株)製 商品名)で画像処理を行い、樹脂延伸フィルムの表面被覆面積比率を測定する。
 本発明の溶融熱転写記録用紙を溶融熱転写記録装置にて空印字後の表面被覆面積比率は好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%〜100%である。
 ビカット軟化点が140℃以下である熱可塑性樹脂は、溶融熱転写印字した際にサーマルヘッドの熱によりフィルム表面の可塑化変形がおこり、熱溶融インクと融着する為に有機溶剤にさらされた状態で擦過した後もインクの溶けだしが少なくなる。
 ただし、表面被覆面積比率が35%以上を満たす場合でも、無機微細粉末および/または有機フィラーが30重量%未満では、熱転写前のフィルム表面の凹凸や空隙が十分でないために、熱溶融インクがこれらの凹凸や空隙に入り込みが不十分であり、有機溶剤の擦過性は良くない。
(2)中心線平均粗さ(Ra)
 本明細書における中心線平均粗さ(Ra)は、JIS−B−0601−2001に準拠し、小坂研究所製の三次元粗さ測定機SE−3AK(商品名)と解析装置Model SPA−11(商品名)により測定される。
 本発明の溶融熱転写記録用紙の中心線平均粗さ(Ra)は0.4〜2.5μmであることが好ましく、0.45〜2.0μmであることがより好ましく、0.5〜0.8μmであることが特に好ましい。
 中心線平均粗さが0.4μm未満では、フィルム表面に微細な凹凸が形成されず、サーマルヘッドの加熱により溶融した熱転写インクが入り込む部分が少なく、封じ込められるインク量が少なく本発明の目的を達し得ないことがある。また鋭利なもので擦った際のスクラッチ性が劣ることもある。また中心線平均粗さが2.5μmを超えると、印刷インキや溶融熱転写インクの転移性が劣り、印字が欠けたり目的とする印刷濃度が得られないことがある。
[5]積層
 本発明の積層方法は特に限定されず、公知の種々の方法が使用できる。具体例としては、フィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイス方式と、複数のダイスを使用する押出しラミネーション方式等がある。また多層ダイスと押出しラミネーションを組み合わせて使用してもよい。その他に接着剤を用いたドライラミネートやウェットラミネート、ホットメルト接着剤の塗布等、公知のいかなる積層法も用いることができる。
[6]粘着剤
 粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤が代表的であり、ゴム系粘着剤の具体例には、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴムとこれらの混合物、或いは、これらゴム系粘着剤にアビエチン酸ロジンエステル、テルペン・フェノール共重合体、テルペン・インデン共重合体などの粘着付与剤を配合したものが挙げられる。アクリル系粘着剤の具体例としては、2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸n−ブチル共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体などのガラス転移点が−20℃以下のものが挙げられる。
 これら粘着剤の形態としては、溶剤型、エマルジョン型、ホットメルト型等が使用され、一般的には溶剤型、エマルジョン型のものを塗工することにより積層される。
 かかる塗工は、ロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、リバースコーター、ダイコーター、リップコーター、スプレーコーター、コンマコーター等により行われ、必要によりスムージングを行ったり、乾燥工程を経て、粘着剤層が形成される。
 粘着剤層の形成は、後述する離型紙へ粘着剤を塗工し、必要により乾燥を行い、粘着剤層を形成したものに、溶融熱転写記録用紙を積層する方法が一般的であるが、場合によっては溶融熱転写記録用紙に直接粘着剤を塗工して形成することもできる。
該粘着剤の塗工量は特に限定されないが、通常は固形分量で3〜60g/m2、好ましくは10〜40g/m2の範囲である。また、この粘着剤層の層間剥離強度は200〜3000g/20mmであることが好ましい。
 溶融熱転写記録用紙と粘着剤との接着力が小さい場合は、上記粘着剤を塗工する前に溶融熱転写記録用紙の裏面にアンカーコート剤を塗布することが好ましい。
 該アンカーコート剤としては、ポリウレタン、ポリイソシアネート・ポリエーテルポリオール、ポリイソシアネート・ポリエステルポリオール・ポリエチレンイミン、アルキルチタネートなどが使用でき、これらは一般に、メタノール、酢酸エチル、トルエン、ヘキサンなどの有機溶剤、または水に溶解して使用される。
 アンカーコート剤の塗布量は、塗布・乾燥後の固形分量で0.01〜5g/m2、好ましくは0.02〜2g/m2の範囲である。
[7]離型紙
 更に必要により粘着剤層の外側に離型紙を設けることも可能である。
 溶融熱転写記録用紙に粘着剤層を介し設けられる離型紙は、粘着剤層との剥離性を良好にするため、粘着剤層に接触する面にシリコン処理が施されるのが一般的である。
 離型紙は、通常一般的なものが使用でき、上質紙やクラフト紙をそのまま、あるいはカレンダー処理したり樹脂を塗工したりフィルムラミネートしたもの、グラシン紙、コート紙、プラスチックフィルムなどにシリコン処理を施したものが使用できる。
 本発明の溶融熱転写記録用紙または積層体に上記の粘着剤を介し剥離紙を設けることによりラベル用原紙として使用できる。
[8]印刷
 本発明の溶融熱転写記録用紙は、昇華熱転写方式、溶融熱転写方式、電子写真方式、静電記録方式等種々の熱転写方式の記録に使用可能である。それらの中で本発明の効果、すなわち転写された印字や画像部の耐溶剤擦過性が良好となる効果を顕著に得るという観点から、溶融熱転写方式での使用が好ましい。
 使用するインクリボンの種類としてはワックス型、樹脂型および両者の混合型等が挙げられるが、特にワックス型インクリボンを使用することが好ましい。
 更に種々の印刷も可能であり、凸版印刷は勿論、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷が挙げられる。
 本発明の溶融熱転写記録用紙または積層体またはラベル用原紙に上記のような各種方式で印字/印刷を行うことにより記録物を得ることができる。
 以下に製造例、実施例、比較例および試験例を記載して、本発明の特徴をさらに具体的に説明する。製造例では樹脂延伸フィルムと(i)〜(iii)成分の製造について記載し、実施例では本発明の条件を満たす溶融熱転写記録用紙の製造について記載し、比較例では本発明の条件を満たさない溶融熱転写記録用紙について記載し、試験例では各溶融熱転写記録用紙の試験と評価について記載する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(製造例1) 樹脂延伸フィルムの製造
 (1)プロピレン単独重合体「ノバテックPP EA−8」(日本ポリケム(株)製、商品名、融点164℃)85重量%に、平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)15重量%を混合した組成物(C)を、270℃に設定した押出機にて混練した後、シート状に押し出し、更に冷却装置により冷却して、無延伸シートを得た。次いで、このシートを150℃の温度にまで再度加熱させた後、縦方向に5倍の延伸を行って縦延伸樹脂フィルムを得た。
 (2)ビカット軟化点122℃の高密度ポリエチレン「ノバテックHD、HJ360」(日本ポリケム(株)製、商品名)23重量%、ビカット軟化点145℃のプロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−3」(日本ポリケム(株)製、商品名、融点165℃)16.2重量%、平均粒径1.1μmの重質炭酸カルシウム「カルテックス7」(丸尾カルシウム(株)製、商品名)60重量%、滑剤としてステアリン酸アルミニウム0.2重量%、オレイン酸0.6重量%を混合した組成物(A)を調製した。これとは別に、プロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−3」(日本ポリケム(株)製、商品名、融点165℃)55重量%に、平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)45重量%を混合した組成物(B)を調製した。これらの組成物(A)および(B)を、270℃に設定した別個の押出機でそれぞれ溶融混練し、ダイ内部で積層した後、一台のダイより共押出し、これを上記(1)の工程で得られた5倍縦延伸フィルムの表側に(A)層が表層となるように積層した。
 (3)更にプロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−3」(日本ポリケム(株)製、商品名、融点165℃)55重量%に、平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)45重量%を混合した組成物(D)を、270℃の温度に設定した別の押出機にて溶融混練させた後シート状に押し出し、これを上記(1)の工程で得られた5倍縦延伸フィルムの裏側の面に積層し、四層構造の積層シートを得た。次いで、この四層構造の積層シートを60℃の温度にまで冷却した後、再び155℃の温度にまで加熱してテンターを用いて横方向に8.5倍延伸し、165℃の温度でアニーリング処理して60℃の温度まで冷却した後、耳部をスリットして四層構造(一軸延伸/一軸延伸/二軸延伸/一軸延伸)の肉厚80μm(A/B/C/D=5μm/10μm/50μm/15μm)の樹脂延伸フィルムを得た。
 (4)該フィルムの両面に、コロナ放電処理装置「HF400F」(春日電気(株)社製、商品名)を用いてコロナ放電処理を行った。コロナ放電処理に際して、長さ0.8mのアルミニウム製電極を用い、トリーターロールにはシリコーン被膜ロールを用い、電極とロールとのギャップを5mmとし、ライン処理速度を15m/分、印加エネルギー密度を4,200J/m2にした。
(製造例2) 樹脂延伸フィルムの製造
 (1)ビカット軟化点122℃の高密度ポリエチレン「ノバテックHD、HJ360」(日本ポリケム(株)製、商品名)23重量%、ビカット軟化点145℃のプロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−3」(日本ポリケム(株)製、商品名、融点165℃)16.2重量%、平均粒径1.1μmの重質炭酸カルシウム「カルテックス7」(丸尾カルシウム(株)製、商品名)60重量%、滑剤としてステアリン酸アルミニウム0.2重量%、オレイン酸0.6重量%を混合した組成物(A)と、プロピレン単独重合体「ノバテックPP EA−8」(日本ポリケム(株)製、商品名、融点165℃)85重量%に、平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)15重量%を混合した組成物(B)と、プロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−3」(日本ポリケム(株)製、商品名、融点165℃)55重量%に、平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)45重量%を混合した組成物(C)を調製した。これらの組成物(A)、(B)および(C)を270℃に設定した別個の押出機でそれぞれ溶融混練し、ダイ内部で積層した後シート状に共押出し、更に冷却装置により冷却して三層構造の無延伸積層シートを得た。次いで、150℃の温度まで再加熱した後、縦方向に7倍延伸し、155℃でアニーリング処理して肉厚80μm(A/B/C=5μm/70μm/5μm)の樹脂延伸フィルムを得た。
 (2)該フィルムの表面に、コロナ放電処理装置「HF400F」(春日電気(株)社製、商品名)を用いてコロナ放電処理を行った。コロナ放電処理に際して、長さ0.8mのアルミニウム製電極を用い、トリーターロールにはシリコーン被膜ロールを用い、電極とロールとのギャップを5mmとし、ライン処理速度を15m/分、印加エネルギー密度を4,200J/m2にした。
(製造例3) 樹脂延伸フィルムの製造
 (1)ビカット軟化点122℃の高密度ポリエチレン「ノバテックHD、HJ360」(日本ポリケム(株)製、商品名)35重量%、ビカット軟化点145℃のプロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−3」(日本ポリケム(株)製、商品名、融点165℃)24.2重量%、平均粒径1.1μmの重質炭酸カルシウム「カルテックス7」(丸尾カルシウム(株)製、商品名)40重量%、滑剤としてステアリン酸アルミニウム0.2重量%、オレイン酸0.6重量%を混合した組成物(A)と、プロピレン単独重合体「ノバテックPP EA−8」(日本ポリケム(株)製、商品名、融点165℃)85重量%に、平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)15重量%を混合した組成物(B)と、日本ポリケム(株)製、プロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−3」(商品名、融点165℃)55重量%に、平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)45重量%を混合した組成物(C)を調製した。これらの組成物(A)、(B)および(C)を270℃に設定した別個の押出機でそれぞれ溶融混練し、ダイ内部で積層した後シート状に共押出し、更に冷却装置により冷却して三層構造の無延伸積層シートを得た。
 (2)次いで、この三層構造の積層シートを冷却装置により60℃まで冷却した後、150℃の温度にまで再加熱させた後、縦方向に5倍の延伸を行い、更に155℃の温度にまで加熱してテンターを用いて横方向に6倍延伸し、165℃の温度でアニーリング処理をして60℃の温度にまで冷却し、耳部をスリットして肉厚80μm(A/B/C=5μm/70μm/5μm)の積層樹脂延伸フィルムを得た。
 (3)該フィルムの表面に、コロナ放電処理装置「HF400F」(春日電気(株)社製、商品名)を用いてコロナ放電処理を行った。コロナ放電処理に際して、長さ0.8mのアルミニウム製電極を用い、トリーターロールにはシリコーン被膜ロールを用い、電極とロールとのギャップを5mmとし、ライン処理速度を15m/分、印加エネルギー密度を4,200J/m2にした。
(製造例4) 塗布剤(i)成分の製造
 攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、ポリエチレンイミン「エポミン P−1000(重合度1600)」(日本触媒(株)製、商品名)の25重量%水溶液100部、n−ブチルクロライド10部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル10部を入れて窒素気流下で攪拌し、80℃の温度で20時間変性反応を行って20重量%のブチル変性ポリエチレンイミン水溶液を得た。
(製造例5) 塗布剤(ii)成分の準備
 ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物「WS−570(固形分12.5重量%)」(日本PMC(株)製、商品名)を塗布剤(ii)成分として準備した。
(製造例6) 塗布剤(iii)成分の製造
 環流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管、および攪拌装置を取り付けた四つ口フラスコに、ジメチルアミノエチルメタクリレート35部、エチルメタアクリレート20部、シクロヘキシルメタアクリレート20部、ステアリルメタアクリレート25部、エチルアルコール150部と、アゾビスイソブチロニトリル1部を添加し、窒素気流下に80℃の温度で6時間重合反応を行った。
 ついで、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムクロリドの60重量%エチルアルコール溶液70部を加え、更に80℃の温度で15時間反応させた後、水を滴下しながらエチルアルコールを留去し、最終固形分30%の第4級アンモニウム塩型共重合体を得た。
 この共重合体は、次の一般式で示される基を分子鎖内に含むアクリル酸アルキルエステル系重合体である。
Figure 2004122774
(実施例1)
 製造例1で得た積層樹脂延伸フィルムを溶融熱転写記録用紙とした。
(実施例2〜5)
 実施例1でA層のプロピレン単独重合体、高密度ポリエチレンまたは無機微細粉末の配合量を表1のように変更する他は実施例1と同様にして溶融熱転写記録用紙を得た。
(実施例6)
 実施例1でA層の無機微細粉末を備北粉化工業(株)製平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(商品名)に変更する他は実施例1と同様にして溶融熱転写記録用紙を得た。
(実施例7)
 実施例1でA層の高密度ポリエチレンを、ビカット軟化点84℃の低密度ポリエチレン「ノバテックLD、LC604」(日本ポリケム(株)製、商品名)に変更する他は実施例1と同様にして溶融熱転写記録用紙を得た。
(実施例8)
 実施例1でA層の高密度ポリエチレンを、ビカット軟化点60℃のエチレン−メチルアクリレート「レクスパールRB5120」(日本ポリオレフィン(株)製、商品名)に変更する他は実施例1と同様にして溶融熱転写記録用紙を得た。
(実施例9)
 製造例2で得た積層樹脂延伸フィルムを溶融熱転写記録用紙とした。
(実施例10)
 製造例3で得た積層樹脂延伸フィルムを溶融熱転写記録用紙とした。
(実施例11)
 製造例1で得た積層樹脂延伸フィルムの両面に、製造例4で得た塗布剤(i)成分100重量部、製造例5で得た塗布剤(ii)成分150重量部、製造例6で得た塗布剤(iii)成分150重量部からなる塗布剤を、ロールコーターを用いて塗膜の肉厚が0.06g/m2となるように塗布・乾燥させ、フィルム状の溶融熱転写記録用紙を得た。
(実施例12)
 実施例1でA層において、プロピレン単独重合体、高密度ポリエチレンの配合を表1に記載の量に変更し、更に分散剤としてマレイン酸変性率5%のマレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成(株)製、商品名:「Yumex1001」)を0.5重量%添加する以外は実施例1と同様にして溶融熱転写記録用紙を得た。
(実施例13〜17)
 実施例12でA層のプロピレン単独重合体、高密度ポリエチレン、無機微細粉末、及び分散剤の配合量を表1のように変更する他は実施例12と同様にして溶融熱転写記録用紙を得た。
(比較例1)
 特開平8−80684号公報の実施例1に記載の延伸樹脂フィルムを用意した。なお、以下に記載される試験例の評価は、このフィルムの表面層(一軸延伸)について行った。
(比較例2)
 特開2001−219661号公報の実施例1に記載の延伸樹脂フィルムを用意した。なお、以下に記載される試験例の評価は、このフィルムの表面層(一軸延伸)について行った。
(比較例3〜7)
 実施例1のA層におけるプロピレン単独重合体、高密度ポリエチレン、無機微細粉末の配合量を表2に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして溶融熱転写記録用紙を得た。
(比較例8)
 実施例5でA層のポリプロピレン単独重合体を、ビカット軟化点131℃の「チッソポリプロ F8090」(チッソ(株)製、商品名、融点148℃)に変更する他は実施例5と同様にしてフィルムを得て評価した。結果を表2に示す。
 実施例および比較例で製造した各溶融熱転写記録用紙について、上記測定法にしたがって空印字後の表面被覆面積比率、中心線平均粗さ(Ra)を測定した結果を表1および表2に示す。さらに、以下の試験を行った。
(試験例1) 溶融熱転写適性の評価
 実施例および比較例で製造した各溶融熱転写記録用紙に印字して、溶融熱転写適性を評価した。印字にはバーコードプリンター「Zebra140 Xi II」(Zebra(株)製、商品名)と溶融型ワックスインクリボン「FTR」((株)フジコピアン製、商品名)を用いた。サーマルヘッドの温度は110℃(サーマルヘッドに熱電対を取り付けて実測した)になるように条件を設定した。
 記録用紙にかかる温度を110℃、印字速度を3インチ/秒にして、上記の溶融型ワックスインクリボンを記録用紙に転写した。溶融熱転写して印字したバーコード(CODE39)を、温度23℃、相対湿度50%の条件下でバーコード検証機「LASERCHEK II」(富士電機冷凍機(株)製、商品名)にて読みとり、読みとり率をANSI(American National Standards Institute) GRADEにて評価した。ANSI GRADEはA〜D、FおよびNo Decodeの6段階で現したもので、Aが最も良好な印字状態を示す。結果は表1および表2に示すとおりであった。
 A   :極めて良好(バーコードにかすれが全くみられず、市販のバーコードリ
      ーダーを用いて1回のバーコード読みとりで正確に読みとれるレベル)
 B   :良好(基本的に1回のバーコード読みとりで読みとりが可能であるが、
      再度バーコード読みとりが必要な場合もあるレベル)
 C   :可(バーコードに若干のかすれが見られ、複数回のバーコード読みとり
      が必要であるが実用できるレベル)
 D、F :不可(バーコードに線切れが生じ、Cレベルより多くのバーコード読み
      とり回数が必要であり実用的でないレベル)
 No Decord:不可(CODE39のバーコードと認識できないレベル)
(試験例2) 耐溶剤擦過性の評価
 実施例1で得られた印字物を、JIS−L−0849−1996に準拠した方法にて評価した。具体的には染色堅ろう度試験用摩擦試験機「FR−II型」(スガ試験機(株)製、商品名)を用い、摩擦用白綿布を常に湿潤状態を保つようにエタノールを適宜供給しながら200g荷重にて50回擦過した。耐溶剤擦過性をバーコード検証機にてANSI GRADEを測定することにより行った。ANSI GRADEがA〜C以上のものを実用レベルと判断した。結果は表1および表2に示すとおりであった。
(試験例3) 印刷適性の評価
 評価には印刷機「RI- III型印刷適性試験機」((株)明製作所社製、商品名)と印刷インキ「ベストキュアー161(墨)」((株)T&K TOKA社製、商品名)を用いた。
各溶融熱転写記録用紙を、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で3日間保管した後、上記印刷機を用いて溶融熱転写記録用紙の塗布面に上記インクを1.5g/m2の厚さになるように印刷した。印刷面のマクベス濃度を光反射濃度「マクベス濃度計」((株)コルモーゲン社製(米国)、商品名)にて測定した。以下の判定基準でC以上を合格レベルと判定した。結果は表1および表2に示すとおりであった。
 A  :マクベス濃度1.8以上、転移濃度が極めて良好
 B  :マクベス濃度1.6以上1.8未満、転移濃度が良好
 C  :マクベス濃度1.4以上1.6未満、転移濃度がややうすいが実用レベル
 D  :マクベス濃度1.4未満、転移濃度が低く、絵柄によっては問題となる
(試験例4)メヤニ評価
 実施例1〜17及び比較例1〜8に使用した樹脂フィルムの成形において、成形開始1時間後のダイス先端におけるメヤニの発生状況を目視により判断した。
 A  :優  (ダイス先端にほとんどメヤニの発生が見られず成形上全く問題な
         いレベル)
 B  :良  (ダイス先端にメヤニの発生が見られるが成形上問題ないレベル)
 C  :可  (ダイス先端にメヤニの発生が見られ、樹脂フィルムにメヤニが脱
         落するが、定期的なダイス先端の清掃により成形が可能なレベル)
 D  :不可 (ダイス先端にメヤニの発生が非常に多く、樹脂フィルムにメヤニ
         が頻繁に脱落し、成形に耐えないレベル)
Figure 2004122774
Figure 2004122774

Claims (15)

  1. 少なくとも一方向に延伸された樹脂延伸フィルムからなる溶融熱転写記録用紙であって、 該樹脂延伸フィルムは、無機微細粉末および/または有機フィラーを30〜75重量%、JIS−K−7206−1999で測定したビカット軟化点が140℃以下である熱可塑性樹脂とJIS−K−7206−1999で測定したビカット軟化点が140℃を超えるポリオレフィン系樹脂を合計で70〜25重量%含み、該樹脂延伸フィルムは、該ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、該熱可塑性樹脂を75重量部より多く900重量部以下の量で含み、溶融熱転写記録装置を用いて温度110℃、印字速度3インチ/秒で該樹脂延伸フィルムの表面に溶融型ワックスインクリボンを用いてバーコード印字し、印字したバーコード表面をJIS−L−0849―1996に準拠してエタノールを含浸した白綿布を用いて50回摩擦した後のバーコードの状態が、ANSI GRADEでA〜Cレベルであることを特徴とする、溶融熱転写記録用紙。
  2. ポリオレフィン系樹脂がビカット軟化点が140℃を超えるプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の溶融熱転写記録用紙。
  3. JIS−B−0601−2001による樹脂延伸フィルムの表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.4〜2.5μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の溶融熱転写記録用紙。
  4. 溶融熱転写記録装置を用いて温度110℃、印字速度3インチ/秒の条件で上記樹脂延伸フィルムの表面を加熱したときの該樹脂延伸フィルムの表面被覆面積比率が35%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶融熱転写記録用紙。
  5. 分散剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶融熱転写記録用紙。
  6. 分散剤を0重量%を超えて20重量%以下含有することを特徴とする請求項5に記載の溶融熱転写記録用紙。
  7. 樹脂延伸フィルムが一方向に延伸されている場合の延伸倍率が2〜12倍、二軸延伸される場合の面積延伸倍率が4〜80倍であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の溶融熱転写記録用紙。
  8. 下記(i)成分を含有する塗布層を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の溶融熱転写記録用紙。
    (i)下記一般式(a)で表されるポリイミン系重合体またはポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物。
    Figure 2004122774
    (式中、R1とR2はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10の範囲の直鎖、分岐状もしくは脂環式構造を有するアルキル基、またはアリール基であり、R3は水素原子、または炭素数1〜20の範囲のアルキル基、アリル基、脂環式構造を有するアルキル基、アリール基もしくはこれらの水酸化物であり、mは2〜6の範囲の整数であり、nは20〜3000の範囲の整数であり、m×n個のR1、R2およびR3は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。)
  9. 塗布層が下記(ii)成分を含有することを特徴とする請求項8に記載の溶融熱転写記録用紙。
    (ii)水溶性のエポキシ系、イソシアネート系架橋剤、ホルマリン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物の架橋剤。
  10. 塗布層が下記(iii)成分を含有することを特徴とする請求項8または9に記載の溶融熱転写記録用紙。
    (iii)ポリマー型帯電防止剤。
  11. 樹脂延伸フィルムの表面の少なくとも片面に印刷を施したことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の溶融熱転写記録用紙。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の溶融熱転写記録用紙を最外層に設け、他の樹脂フィルムと積層された構造を有する積層体。
  13. 請求項1〜11のいずれかに記載の溶融熱転写記録用紙を樹脂フィルム以外の材料上に積層した構造を有する積層体。
  14. 請求項1〜11のいずれかに記載の溶融熱転写記録用紙または請求項12もしくは13に記載の積層体が粘着剤を介し剥離紙に積層されたことを特徴とするラベル用原紙。
  15. 請求項1〜11のいずれかに記載の溶融熱転写記録用紙または請求項12もしくは13に記載の積層体または請求項14に記載のラベル用原紙を用いた記録物。

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