JP2005336467A - 熱可塑性樹脂フィルムの表面処理方法および熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 熱可塑性樹脂フィルムの表面を酸化処理した後、不飽和カルボン酸またはその無水物が結合したオレフィン共重合体(a)をカチオン性界面活性剤等の分散剤(b)に分散させた水性分散液[(a)/(b)=100/1〜100/30;平均粒子径が5μm以下]と窒素含有アクリルポリマーを含む表面処理剤を塗布し、延伸する。
【選択図】 なし
Description
[1] 熱可塑性樹脂フィルムの表面を酸化処理する第1工程、
[2] 酸化処理した熱可塑性樹脂フィルムの表面に、下記成分(A)および成分(B)を含有する表面処理剤を塗布する第2工程、および
[3] 表面処理剤を塗布した熱可塑性樹脂フィルムを延伸する第3工程、
を含むことを特徴とする本発明の熱可塑性樹脂フィルムの表面処理方法により達成された。
不飽和カルボン酸またはその無水物が結合したオレフィン共重合体(a)を、非イオン性界面活性剤、非イオン性水溶性高分子、カチオン性界面活性剤およびカチオン性水溶性高分子からなる群より選択される少なくとも一種を分散剤(b)として用いて、水中に分散させた水性分散液であって、(a)/(b)の固形分あたりの重量の比率が100/1〜100/30であり、平均粒子径が5μm以下である樹脂水性分散液
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの表面処理方法の第1工程は、熱可塑性樹脂フィルムの表面を酸化処理する工程である。
第1工程に使用する熱可塑性樹脂フィルムは、熱可塑性を示す樹脂であればその種類は特に制限されない。例えば、高密度ポリエチレンや中密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、あるいはプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリエチレンナフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは2種以上混合して用いることもできる。
第1工程で行う酸化処理としては、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、およびオゾン処理からなる群より選択される少なくとも一種の処理方法を採用することが好ましい。より好ましくはコロナ処理、フレーム処理である。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの表面処理方法の第2工程は、酸化処理した熱可塑性樹脂フィルムの表面に、成分(A)および成分(B)を含有する表面処理剤を塗布する工程である。第2工程で用いる表面処理剤には、少なくとも成分(A)および成分(B)を必須成分として含有し、さらに成分(C)および成分(D)などを含有してもよい。以下、各成分について詳細に説明する。
成分(A)は、不飽和カルボン酸またはその無水物が結合したオレフィン共重合体(a)を、非イオン性界面活性剤、非イオン性水溶性高分子、カチオン性界面活性剤およびカチオン性水溶性高分子からなる群より選択される少なくとも一種を分散剤(b)として用いて、水中に分散させた水性分散液であって、(a)/(b)の固形分あたりの重量の比率が100/1〜100/30であり、平均粒子径が5μm以下である樹脂水性分散液である。
分散剤として通常広く使用されているポリスルホン酸系ナトリウム塩等のアニオン性界面活性剤は、充分なインク密着性が得られずオフセット印刷性を低下させる傾向があるために好ましくない。また上記不飽和カルボン酸またはその無水物が結合したオレフィン共重合体においてカルボン酸をアンモニウム塩やアルキルアミン塩とすることで水中への分散性を持たせた水性分散液も、オフセット印刷適性が不十分であり好ましくない。これらは分散剤の極性が高すぎるためと推定される。
また、非イオン性水溶性高分子としては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、およびそれらの変性物、ヒドロキシエチルセルローズ等を例示することができる。
カチオン性界面活性剤としては、ステアリルアミン塩酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド等を例示することができる。
さらに、カチオン性水溶性高分子としては、四級アンモニウム塩構造やホスホニウム塩構造を有するポリマー、窒素含有(メタ)アクリルポリマー、四級アンモニウム塩構造の窒素を有する(メタ)アクリル系ポリマーを例示することができる。
成分(B)は、下記一般式(A)で表されるモノマーを共重合した構造を有する窒素含有アクリル系ポリマーである。成分(B)を使用することで、表面処理剤を塗工後の熱可塑性樹脂フィルムに帯電防止性を付与することができる。
成分(B)を使用せずに成分(A)のオレフィン共重合体分散液のみを塗工した場合、帯電防止性能は得られない。例えば、オフセット印刷の様に印刷用紙をシート(枚葉)形態で供給する場合は、印刷用紙の帯電のしやすさは給排紙トラブル等の原因となり問題であるため、帯電防止性が求められる。また、凸版印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等のように印刷用紙をロール形態で印刷する物であっても、印刷後に断裁や打ち抜きした物が、帯電により揃えが悪くなる傾向や、ブロッキングする傾向があるので、印刷する物であれば通常、帯電防止性が求められる。このため、本発明では成分(A)とともに成分(B)を使用する。
一般式(A)で表される窒素含有モノマー 20〜40重量%
下記の一般式(B)で表されるモノマー 60〜80重量%
他の疎水性ビニルモノマー 0〜20重量%
下記の一般式(B)で表されるモノマー 30〜70重量%
下記の一般式(C)で表されるモノマー 30〜70重量%
他の疎水性ビニルモノマー 0〜40重量%
一般式(B)のR6のアルキル基の炭素数は好ましくは1〜18であり、より好ましくは1〜8であり、さらに好ましくは1〜5である。アルキル基は直鎖であっても分枝状であってもよい。R6のアラルキル基の炭素数は好ましくは7〜18であり、より好ましくは7〜14であり、さらに好ましくは7〜10である。R6のシクロアルキル基の炭素数は好ましくは5〜14であり、より好ましくは5〜10であり、さらに好ましくは5〜6である。
一般式(C)のR13のアルキル基の炭素数は好ましくは1〜8であり、より好ましくは1〜5であり、さらに好ましくは1〜3である。アルキル基は直鎖であっても分枝状であってもよい。Xとして好ましいのは塩素原子である。
一般式(D)のR16のアルキル基の炭素数は好ましくは1〜8であり、より好ましくは1〜5であり、さらに好ましくは1〜3である。アルキル基は直鎖であっても分枝状であってもよい。Xとして好ましいのは塩素原子である。
こうして得られた成分(B)の含窒素アクリル系ポリマーは、熱可塑性樹脂フィルム上に単独で塗布、乾燥して皮膜化しても、熱可塑性樹脂フィルムとの充分な密着性は得られないのが通常である。そして親水性が良いために耐水性は殆ど得られない。しかしながら本発明では成分(A)が支持体であるフィルムに対して充分な密着性を示すものであり、同時に成分(B)とのポリマー同士の絡み合い効果のためか、成分(B)を熱可塑性樹脂フィルム上に固定化する効果も示す。その結果、本発明によれば、密着性のみならず安定した帯電防止性と耐水性を具備する熱可塑性樹脂フィルムが得られる。
成分(C)は、ポリイミン系重合体またはポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物である。成分(C)を表面処理剤に添加することにより、親水性成分である帯電防止剤等の添加により低下傾向となる印刷インクとの耐水密着性をより向上することができる。
一般式(E)のR17およびR18のアルキル基の炭素数は好ましくは1〜8であり、より好ましくは1〜4であり、さらに好ましくは1〜2である。R19のアルキル基の炭素数は好ましくは1〜18であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜4である。これらのアルキル基は直鎖であっても分枝状であってもよい。R17、R18およびR19のアリール基の炭素数は好ましくは4〜10であり、より好ましくは5〜10であり、さらに好ましくは6〜8である。R17、R18およびR19の脂環式構造を有するアルキル基の炭素数は好ましくは5〜14であり、より好ましくは5〜10であり、さらに好ましくは6〜8である。mの好ましい範囲は2〜3である。また、nの好ましい範囲は100〜10000であり、より好ましい範囲は500〜5000である。
成分(D)は、エポキシ系樹脂、イソシアネート系樹脂、ホルマリン系樹脂、およびオキサゾリン系樹脂からなる水溶性樹脂の群より選択される1種または2種以上の架橋剤である。本発明で用いる表面処理剤に、成分(D)を加えると印刷インクとの耐水密着性をさらに改良することができる。成分(D)としては、特にビスフェノールA−エピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、脂環式エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂が好ましく、最も好ましくは、ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物、あるいは単官能乃至多官能のグリシジルエーテル、グリシジルエステル類が挙げられる。
本発明で用いる表面処理剤は、成分(A)、成分(B)、および必要に応じて成分(C)、成分(D)、その他の成分を混合することにより調製することができる。混合方法は特に制限されない。本発明で用いる表面処理剤は成分(A)100重量部に対し、成分(B)〜成分(D)を下記の割合で混合することが好ましい。
成分(B) 好ましくは1〜25重量部、より好ましくは2〜15重量部
成分(C) 好ましくは0〜25重量部、より好ましくは2〜15重量部
成分(D) 好ましくは0〜25重量部、より好ましくは2〜15重量部
第3工程は、表面処理剤を塗布した熱可塑性樹脂フィルムを延伸する工程である。第3工程は、第2工程において塗布した表面処理剤を乾燥させた後に行ってもよいし、乾燥と同時に行ってもよい。好ましいのは乾燥と同時に行う場合である。そうすることにより、基材と表面処理剤が強固に固着されると予測され、結果として印字物の耐水性が上昇するものと考えられる。
延伸方向は、熱可塑性樹脂フィルムの使用目的や使用態様などを考慮して適宜決定することができる。例えば、縦延伸した熱可塑性樹脂より成る基材層(i)の少なくとも片面に熱可塑性樹脂より成る表面層(ii)を積層した多層樹脂フィルムを用いて本発明の第1工程および第2工程を実施した場合は、第3工程において熱可塑性樹脂フィルムを横延伸することができる。このような態様を採用することにより、フィルム強度と柔軟性を両立させたフィルムを製造することができるという利点がある。また、無延伸の熱可塑性樹脂フィルムを第3工程で縦1軸延伸してもよい。
本発明における表面処理剤のフィルムの伸度とは、熱可塑性樹脂フィルム上に設けられた表面処理剤が、フィルムの延伸に伴い、同時に延伸されたときの伸度であり、通常は熱可塑性樹脂フィルムの延伸倍率を%換算したものに等しい。本発明における表面処理剤のフィルムの伸度は通常100%以上であり、100%を超えて大きいことが好ましい。熱可塑性樹脂としてポリプロピレンないしはその共重合体を使用し一方向に延伸する場合は通常約120〜1200%、好ましくは200〜1000%であり、二軸延伸する場合には面積倍率で通常150〜6000%、好ましくは1000〜5000%である。その他の熱可塑性樹脂を使用し一方向に延伸する場合は通常120〜1000%、好ましくは200〜500%であり、二軸延伸する場合には面積倍率で通常150〜2000%、好ましくは400〜1200%である。
延伸後の熱可塑性樹脂フィルムの肉厚は、通常20〜500μm、好ましくは35〜300μmである。
また延伸後の熱可塑性樹脂フィルムの表面固有抵抗値は、1x1012Ω/□以下であることが帯電防止性能の点から好ましい。1x1012Ω/□を超える場合は、オフセット印刷時に基材が帯電するため給排紙性が大きく低下する。
後述する実施例および比較例で用いた表面処理剤の成分の製造法を以下に記載する。
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート62.9重量部、ブチルメタクリレート71重量部、ラウリルメタクリレート25.4重量部およびイソプロピルアルコール200重量部を攪拌機、環流冷却器、温度計、滴下ロートを装置した4つ口フラスコ内に仕込み、窒素ガス置換後、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.9重量部を重合開始剤として添加し、80℃にて4時間重合反応を行った。次いで、酢酸24重量部で中和した後、イソプロピルアルコールを留去しながら、水を添加し、最終的に固形分35%の粘調なカチオン性の分散剤の水溶液(b)を得た。
環流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管、および攪拌装置を取り付けた四つ口フラスコに、ジメチルアミノエチルメタクリレート35重量部、エチルメタアクリレート20重量部、シクロヘキシルメタアクリレート20重量部、ステアリルメタアクリレート25重量部、エチルアルコール150重量部と、アゾビスイソブチロニトリル1重量部を添加し、窒素気流下に80℃の温度で6時間重合反応を行った。次いで、系内に水を滴下しながらエチルアルコールを留去し、最終固形分30%の含窒素型アクリル系ポリマーを得た。
環流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管、および攪拌装置を取り付けた四つ口フラスコに、ジメチルアミノエチルメタクリレート35重量部、エチルメタアクリレート20重量部、シクロヘキシルメタアクリレート20重量部、ステアリルメタアクリレート25重量部、エチルアルコール150重量部と、アゾビスイソブチロニトリル1重量部を添加し、窒素気流下に80℃の温度で6時間重合反応を行った。さらに、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムクロリドの60重量%エチルアルコール溶液70重量部を加え、さらに80℃の温度で15時間反応させた後、水を滴下しながらエチルアルコールを留去し、最終固形分30%の第4級アンモニウム塩型アクリルポリマーを得た。この共重合体は、次の式(F)で示される基を分子鎖内に含むアクリル酸アルキルエステル系重合体である。
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、ポリエチレンイミン(日本触媒(株)社製、商品名エポミンP−1000、重合度1600)の25重量%水溶液100重量部、グリシドール10重量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル10重量部を入れて窒素気流下で攪拌し、80℃の温度で16時間変性反応を行ってグリシドール変性ポリエチレンイミン水溶液を得た。このものを乾燥した後、赤外分光分析、1H−核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)、および13C−核磁気共鳴分光分析(13C−NMR)を行うことにより、グリシドールのエポキシ基がポリエチレンイミンの窒素に付加した構造を有する生成物であること、およびポリエチレンイミンの窒素の23%がグリシドールと反応した生成物であることを確認した。
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、ポリエチレンイミン(日本触媒(株)社製、商品名エポミンP−1000、重合度1600)の25重量%水溶液100重量部、n−ブチルクロライド10重量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル10重量部を入れて窒素気流下で攪拌し、80℃の温度で20時間変性反応を行って20重量%のブチル変性ポリエチレンイミン水溶液を得た。
ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物(日本PMC(株)社製、商品名WS−570、固形分12.5重量%)
表面処理剤をテフロン製パッド(テフロン:登録商標)に乾燥後のフィルム厚みが1.5mmになるように注ぎ入れ、室温下で7日間乾燥させた。フィルムをダンベル3号形に打ち抜いた後、JIS K−6251の手順に準拠した測定方法にて、オートグラフ(島津製作所製、商品名AGS−5kND)にて引張速度500m/minでフィルム伸度を300%を上限として測定した。フィルム伸度は以下の式にて計算される。
フィルム伸度(%)=(L1−L0)÷ L0 ×100
L1:切断時の標線間距離(mm)
L0:切断前の標線間距離(mm)
(1) 樹脂シートの作製
メルトフローレート(MFR)0.8g/10分のポリプロピレン85重量%に、平均粒径1.5μmの重質炭酸カルシウム15重量%を配合した組成物(c')を、240℃に設定した押し出し機にて混練した後、シート状に押し出し、冷却装置にて冷却して無延伸シートを得た。なお、上記のシート状に押し出した組成物および以下の押出や積層に使用する組成物には、使用するポリプロピレンと炭酸カルシウムの合計量100重量部に対して3−メチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール0.05重量部、フェノール系安定剤であるイルガノックス1010(チバガイキー社製、商品名)0.05重量部、リン系安定剤であるウエストン618(ボーグワーナー(株)製、商品名)0.05重量部を配合した。このシートを140℃の温度に加熱して、縦方向に5倍延伸した。
上記5層積層物(P1)の一面にコロナ放電処理機(春日電気(株)製、商品名HFS400F)を用いてコロナ放電処理を行った。コロナ放電処理に際して、トリータロールにはシリコーン被覆ロールを用い、アルミ電極とロールとのギャップを2mmとし、ライン速度は約30m/分、印加エネルギー密度は100W・分/m2とした。
ついで、上記のコロナ放電処理を行った表面に、表1に記載される組成を有する表面処理剤を、延伸後の乾燥塗工量が約0.15g/m2になるようにバーコーターにより塗布した。
塗布した表面処理剤が完全に乾燥する前に、テンターオーブンにて155℃に加熱した後、横方向に8.5倍の延伸を行って、厚さ110μmの5層積層フィルム(各層の厚さ6μm/23μm/52μm/23μm/6μm)を得た。このフィルムの空孔率は25%であった。また本発明では表面処理剤の乾燥は延伸と同時に完了するものとする。
表面処理剤の成分(B)を(B−2)に変更し、表1に示すように配合比を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作によりフィルムを作製した。
表面処理剤に成分(C)である(C−1)を添加し、表1に示すように配合比を変更したこと以外は、実施例2と同様の操作によりフィルムを作製した。
表面処理剤の成分(C)を(C−2)に変更したこと以外は、実施例3と同様の操作にてフィルムを作製した。
表面処理剤に成分(D)である以下の(D−1)を添加し、表1に示すように配合比を変更したこと以外は、実施例4と同様の操作によりフィルムを作製した。
酸化処理を行うために用いたコロナ処理に代わり、フリンバーナー社(FLYNN BURNER社)製フリンF3000ダイレクトフレームプラズマ処理機を用いて、燃焼ガスにプロパンを使用し、ライン速度40m/分、印加エネルギー37, 700J/m2にてフレーム処理を行った点以外は、実施例5と同様の操作によりフィルムを作製した。
表面処理剤の成分(A)を調製する際、分散剤(b)を上記製造例に記載したものから市販の非イオン性の界面活性剤(水溶性高分子)(クラレ(株)社製、商品名ポバールPVA117)の水溶液に変更したこと以外は、上記製造例と同様の操作により乳白色の樹脂水性分散液を得た。この樹脂水性分散液を100メッシュのステンレス製金網でろ過後、固形分が45%になるように水を追加した。
この樹脂水性分散液の平均粒子径をレーザー式粒度分布測定装置で測定したところ3μmであった。また、得られた水性分散液中の水を蒸発・固化させた後、得られた固形物の融点を示差操作熱量計で測定したところ93℃であった。
表面処理剤の成分(A)を上記のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作にてフィルムを作製した。
表面処理剤の成分(A)を調製する際、分散剤の水溶液(b)を71.5重量部/時間(分散剤としての固形分としては25重量部/時間)の割合で連続的に供給したこと以外は、製造例と同様の操作により乳白色の樹脂水性分散液を得た。この樹脂水性分散液を250メッシュのステンレス製金網でろ過後、固形分が45%になるように水を追加した。
この樹脂水性分散液の平均粒子径をレーザー式粒度分布測定装置で測定したところ0.7μmであった。また、得られた水性分散液中の水を蒸発・固化させた後、得られた固形物の融点を示差操作熱量計で測定したところ94℃であった。
表面処理剤の成分(A)を上記のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作にてフィルムを作製した。
延伸前にコロナ放電処理を行わず、表1に記載される組成の表面処理剤を塗工したこと以外は、実施例1と同様の操作によりフィルムを作製した。しかし、表面処理剤の塗布時にはじきが発生し均質な表面処理を施したフィルムが得られなかったため、後の評価は中止した。
表面処理剤の塗工を行わないこと以外は、実施例1と同様の操作によりフィルムを作製した。
表面処理剤の成分(A)を調製する際、分散剤(b)にポリスルホン酸ナトリウム系乳化剤を用い、オートクレーブ(200℃、5気圧)中で重合体(a)を分散させ、乳白色の樹脂水性分散液を得た。この樹脂水性分散液を250メッシュのステンレス製金網でろ過後、固形分が45%になるように水を追加した。
この樹脂水性分散液の平均粒子径をレーザー式粒度分布測定装置で測定したところ1μmであった。また、得られた水性分散液中の水を蒸発・固化させた後、得られた固形物の融点を示差操作熱量計で測定したところ93℃であった。
表面処理剤の成分(A)を上記のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作にてフィルムを作製した。
表面処理剤の成分(A)を調製する際、分散剤の水溶液(b)を1.4重量部/時間(分散剤としての固形分としては0.5重量部/時間)の割合で連続的に供給したこと以外は、上記製造例と同様の操作を行った。しかし、オレフィン共重合体を水中に均質に分散させることができず、同条件では分散液を調製することができなかった。
表面処理剤の成分(A)を調製する際、分散剤の水溶液(b)を100重量部/時間(分散剤としての固形分としては35重量部/時間)の割合で連続的に供給したこと以外は、上記製造例と同様の操作により乳白色の樹脂水性分散液を得た。この樹脂水性分散液を250メッシュのステンレス製金網でろ過後、固形分が45%になるように水を追加した。
この樹脂水性分散液の平均粒子径をレーザー式粒度分布測定装置で測定したところ0.7μmであった。また、得られた水性分散液中の水を蒸発・固化させた後、得られた固形物の融点を示差操作熱量計で測定したところ94℃であった。
表面処理剤の成分(A)を上記のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作にてフィルムを作製した。
表面処理剤の成分(A)を調製する際の、二軸押出機へのエチレン−メタクリル酸共重合体(a)、分散剤の水溶液(b)、および水の供給量を全て同じ割合で低減し、同時に二軸押出機の回転数を減少させて押出機の吐出量を低下させた以外は、上記製造例と同様にして乳白色の樹脂水性分散液を得た。この樹脂水性分散液を100メッシュのステンレス製金網でろ過後、固形分が45%になるように水を追加した。
この樹脂水性分散液の平均粒子径をレーザー式粒度分布測定装置で測定したところ7μmであった。この樹脂水性分散液は静置安定性が悪く、ろ過時に目詰まりを起こしやすく、1日〜数日で層分離してしまう非常に扱いづらいものであった。得られた水性分散液中の水を蒸発・固化させた後、得られた固形物の融点を示差操作熱量計で測定したところ94℃であった。
表面処理剤の成分(A)を上記のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作にてフィルムを作製した。
成分(A)のみからなる表面処理剤を使用したこと以外は、実施例1と同様の操作によりフィルムを作製した。
実施例1の5層積層物(P1)を酸化処理および表面処理剤の塗布を行わずに実施例1と同様な方法で延伸処理した。得られた5層積層フィルムに対して実施例1と同様な方法で酸化処理および表面処理剤の塗布を行った後、60℃で乾燥することにより厚さ110μmの5層積層フィルム(各層の厚さ6μm/23μm/52μm/23μm/6μm)を作製した。
実施例1〜6および比較例1〜4の各フィルムについて、溶融熱転写適性、オフセット印刷適性、帯電防止性を以下の手順にしたがって評価した。
印画にはバーコードプリンター((株)テック社製、商品名B−30−S5)と溶融型樹脂性インクリボン((株)リコー社製、商品名B110C)を用いた。
フィルムの片面に、35℃、相対湿度85%の条件下でバーコードの印刷を行い、インク転写性を下記の5段階で評価した。
5:良好(鮮明な画像が得られる)
4:可 (バーコード印刷等に若干のかすれが見られるが、実用レベルを維持している。)
3:不可(バーコード印刷等に線切れが生じる)
2:不可(印刷文字の読み取りが困難)
1:不可(ほぼインクが転写されない)
画像受容フィルムの片面に、23℃、相対湿度50%の条件下でバーコードの印刷を行った。その印字物を35℃、相対湿度85%の条件下で2時間以上状態調節した後、その面にセロファンテープ(登録商標)を貼り付け、十分密着させた後にゆっくりセロファンテープを剥離してインク密着性を下記の5段階で評価した。
5:良好(全くインクが剥離しない)
4:可 (僅かな部分のインクが剥離したが、実用レベルを維持している)
3:不可(剥離部分が25%未満であった)
2:不可(剥離部分が25%〜75%であった)
1:不可(剥離部分が75%超であった)
評価には印刷機((株)明製作所社製、商品名RI−III型印刷適性試験機)と印刷インク((株)T&K TOKA社製、商品名ベストキュアー161(墨))を用いた。
(1) インク転移性
フィルムを23℃、相対湿度50%の雰囲気下で3日間保管した後、フィルムの塗布面にインクを1.5g/m2 の厚さとなるように印刷し、印刷面の光反射濃度を光反射濃度計((株)コルモーゲン社製、商品名マクベス濃度計)にて測定した。
フィルムを23℃、相対湿度50%の雰囲気下で3日間保管した後、フィルムの塗布面にインクを1.5g/m2の厚さとなるように印刷し、1灯のメタルハライド灯(アイグラフィック(株)製、80W/cm)の下10cmのところを10m/分の速度で1回通過させて照射した。その後、密着強度測定機(熊谷理機工業(株)社製、商品名インターナルボンドテスター)にて密着強度を測定した。この密着強度の測定原理は、印刷面にセロファンテープを貼り、その貼付面にアルミアングルを貼り付け、反対面も同じく所定のホルダーにセットし、90度の角度よりハンマーを振り下ろしてアルミアングルに衝撃を加えその際の剥離エネルギーを測定するものである。ここでは、密着強度が1.2kg・cm以上であるものを合格と判定した。
フィルムを23℃、相対湿度50%の雰囲気下で3日間保管した後、フィルムの塗布面にインクを1.5g/m2の厚さとなるように印刷し、1灯のメタルハライド灯(アイグラフィック(株)製、80W/cm)の下10cmのところを10m/分の速度で1回通過させて照射した。その後、印刷物を23℃の水中に3時間浸漬した後、水中にて印刷面同士を折り曲げつつ印刷面同士を30秒間に30回擦り合わせることで印刷面の水中での擦過性を評価した。評価基準は以下の通りである。
5:良好(全くインクが剥離しない)
4:可 (僅かな部分のインクが剥離したが、実用レベルを維持している)
3:不可(剥離部分が25%未満であった)
2:不可(剥離部分が25%〜75%であった)
1:不可(剥離部分が75%超であった)
フィルムを23℃、相対湿度50%の雰囲気下で2時間以上状態調節した後、フィルムの塗布面の表面抵抗率(JIS K−6911)を絶縁計(東亜電波工業(株)社製、商品名DSM−8103)にて測定し表面固有抵抗値とした。表面固有抵抗値が1x1012Ω/□以下のものを帯電防止性能が良好と判定した。
Claims (16)
- [1] 熱可塑性樹脂フィルムの表面を酸化処理する第1工程、
[2] 酸化処理した熱可塑性樹脂フィルムの表面に、下記成分(A)および成分(B)を含有する表面処理剤を塗布する第2工程、および
[3] 表面処理剤を塗布した熱可塑性樹脂フィルムを延伸する第3工程、を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの表面処理方法。
成分(A)
不飽和カルボン酸またはその無水物が結合したオレフィン共重合体(a)を、非イオン性界面活性剤、非イオン性水溶性高分子、カチオン性界面活性剤およびカチオン性水溶性高分子からなる群より選択される少なくとも一種を分散剤(b)として用いて、水中に分散させた水性分散液であって、(a)/(b)の固形分あたりの重量の比率が100/1〜100/30であり、平均粒子径が5μm以下である樹脂水性分散液
成分(B)
下記一般式(A)で表されるモノマーを共重合した構造を有する窒素含有アクリル系ポリマー
- 前記成分(B)として、一般式(A)のR3およびR4が結合する窒素原子が四級アンモニウム塩になっているモノマーを共重合した構造を有する窒素含有アクリル系ポリマーを用いることを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
- 前記表面処理剤が下記成分(C)を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理方法。
成分(C)
ポリイミン系重合体またはポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物 - 前記表面処理剤が下記成分(D)を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の表面処理方法。
成分(D)
水溶性のエポキシ系樹脂、水溶性のイソシアネート系樹脂、水溶性のホルマリン系樹脂、水溶性のオキサゾリン系樹脂、およびポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物からなる群より選択される1種または2種以上の架橋剤成分 - 前記第1工程で用いる熱可塑性樹脂フィルムが、縦延伸した熱可塑性樹脂より成る基材層(i)の少なくとも片面に熱可塑性樹脂より成る表面層(ii)を積層した多層樹脂フィルムであって、かつ、前記第3工程において熱可塑性樹脂フィルムを横延伸することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の表面処理方法。
- 前記第1工程で用いる熱可塑性樹脂フィルムが、熱可塑性樹脂より成る基材層(i)の少なくとも片面に熱可塑性樹脂より成る表面層(ii)を積層した多層樹脂フィルムであって、かつ、前記第3工程において熱可塑性樹脂フィルムを縦延伸することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の表面処理方法。
- 前記第1工程で用いる熱可塑性樹脂フィルムが、熱可塑性樹脂40〜100重量%および無機微細粉末60〜0重量%を含有する基材層(i)と、熱可塑性樹脂25〜100重量%および無機微細粉末75〜0重量%を含有する表面層(ii)とからなる多層樹脂フィルムであることを特徴とする請求項6または7に記載の表面処理方法。
- 第1工程で用いる熱可塑性樹脂フィルムがポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の表面処理方法。
- 第1工程で用いるポリオレフィン系樹脂がプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項10に記載の表面処理方法。
- 前記酸化処理が、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、およびオゾン処理からなる群より選択される少なくとも一種の処理であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の表面処理方法。
- 前記表面処理剤のフィルム伸度が100%以上であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の表面処理方法。
- 第3工程で得られる熱可塑性樹脂フィルムの表面固有抵抗値が1x1012Ω/□以下であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の表面処理方法。
- 第2工程で塗布した表面処理剤の乾燥温度が、前記成分(A)の固形物の融点より20℃以上高いことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の表面処理方法。
- 請求項1〜15のいずれか一項に記載の表面処理方法を用いて得られたことを特徴とする熱可塑性樹脂フィルム。
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