JP2022157125A - 積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量化、白色化、コスト削減効果を維持しつつ、紙粉低減が可能であり印刷性にも優れた積層フィルムを提供する。【解決手段】インク受容層、第一の樹脂層、及び基材層をこの順に有する積層フィルムであって、前記基材層は、熱可塑性樹脂Aとフィラーとを含み、前記第一の樹脂層は、前記熱可塑性樹脂Aよりも低融点の熱可塑性樹脂Bとフィラーとを含む、空孔率が15%以下の層であり、前記インク受容層は、エマルジョン由来の樹脂成分を含有し、前記樹脂成分の最低造膜温度が100℃以下である、積層フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は紙粉低減効果及び印刷性に優れた積層フィルム及びその製造方法に関する。
従来、耐水性、耐候性、及び耐久性が必要な用途に供する各種印刷用紙、各種ポスター用紙、各種ラベル用紙、インクジェット記録紙、感熱記録紙、熱転写受容紙、感圧転写記録紙、電子写真記録紙等の記録用紙として、さらに、前記記録用紙を使用した粘着紙として、ポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂にフィラーを配合して延伸したフィルム法合成紙や、上記熱可塑性樹脂を主原料とする延伸フィルムなどを支持体とし、少なくとも支持体の片方の面に前記記録方法に適性を有する塗工層を付与したものが提案されている。
延伸フィルムがフィラーを含むことにより、樹脂使用量削減によるコスト削減効果、合成紙の白色化が可能である他、延伸時にフィラーを核としてその周辺に空孔が生じるため、フィルムの軽量化が可能となる。しかしながら、延伸フィルムの空孔からフィラーが脱落し易くなるため、紙粉として記録装置のブランケット胴を汚染するという問題があった。
フィラーの脱落を抑制できる延伸フィルムとして、例えば、特許文献1には、ポリプロピレン系樹脂材料により形成される基材層と、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体及び特定性状の炭酸カルシウム粒子を含むポリプロピレン系樹脂組成物により形成されるスキン層とを有する多層延伸ポリプロピレンフィルムが記載されている。
他方、印刷品質が良好な塗工層として、特許文献2~4には、樹脂粒子エマルジョンを用いた塗工層が記載されている。
特開2001-071432号公報 国際公開第2017/110599号 国際公開第2014/087670号 特開2017-159651号公報
しかしながら、昨今さらなる紙粉低減化や印刷性向上が求められており、検討の余地が残されていた。
本発明は、高度に紙粉低減化が可能であり、印刷性にも優れた積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、基材層上に、基材層に含まれる熱可塑性樹脂よりも低融点の熱可塑性樹脂とフィラーとを含み、空孔率が15%以下である樹脂層を形成し、さらにその上に特定のインク受容層を積層することにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)インク受容層、第一の樹脂層、及び基材層をこの順に有する積層フィルムであって、
前記基材層は、熱可塑性樹脂Aとフィラーとを含み、
前記第一の樹脂層は、前記熱可塑性樹脂Aよりも低融点の熱可塑性樹脂Bとフィラーとを含む、空孔率が15%以下の層であり、
前記インク受容層は、エマルジョン由来の樹脂成分を含有し、前記樹脂成分の最低造膜温度が100℃以下である、
積層フィルム。
(2)前記第一の樹脂層における前記フィラーの含有量が10質量%以上である前記(1)に記載の積層フィルム。
(3)前記熱可塑性樹脂Aが、プロピレン単独重合体である前記(1)または(2)に記載の積層フィルム。
(4)前記熱可塑性樹脂Bが、プロピレンと、プロピレンと共重合可能なモノマーとのランダム共重合体である前記(1)~(3)のいずれか1に記載の積層フィルム。
(5)前記樹脂成分の体積平均粒径が0.01~3.0μmである前記(1)~(4)のいずれか1に記載の積層フィルム。
(6)前記基材層の前記第一の樹脂層とは反対側の面に、さらに第二の樹脂層を有し、
前記第二の樹脂層の空孔率が15%以下である前記(1)~(5)のいずれか1に記載の積層フィルム。
(7)前記基材層及び前記第一の樹脂層が、少なくとも1軸方向に延伸された延伸フィルムである前記(1)~(6)のいずれか1に記載の積層フィルム。
(8)インク受容層、第一の樹脂層、及び基材層をこの順に積層する、前記(1)~(7)のいずれか1に記載の積層フィルムの製造方法であって、
前記基材層に前記第一の樹脂層を積層した後に、少なくとも1軸方向に同時延伸する工程を含む、製造方法。
本発明によれば、紙粉低減が可能であり印刷性にも優れた積層フィルムを提供することができる。
積層フィルムの一例を示す断面図である。 積層フィルムの他の一例を示す断面図である。
以下、本発明の積層フィルムについて詳細に説明する。以下は本発明の一例(代表例)であり、本発明はこれに限定されない。
以下の説明において、「(メタ)アクリル」の記載は、アクリルとメタクリルの両方を示す。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、インク受容層、第一の樹脂層、及び基材層をこの順に有する積層フィルムであって、
前記基材層は、熱可塑性樹脂Aとフィラーとを含み、
前記第一の樹脂層は、前記熱可塑性樹脂Aよりも低融点の熱可塑性樹脂Bとフィラーとを含む、空孔率が15%以下の層であり、
前記インク受容層は、エマルジョン由来の成分を含有し、前記樹脂成分の最低造膜温度が100℃以下である。
本発明の積層フィルムが、紙粉低減効果が高く印刷性に優れるメカニズムについて、本発明者らは以下のように推察している。
本発明の積層フィルムは、基材層の上に空孔率が15%以下の第一の樹脂層を有する。通常、フィラーを含む樹脂フィルムは延伸の際にフィラーに起因する空孔が生じるが、本発明の積層フィルムにおける第一の樹脂層は、フィラーを含む延伸フィルムであるにもかかわらず空孔率が低いという特徴を有し、その結果として基材層及び第一の樹脂層に含まれるフィラーの脱離を抑制することができ、紙粉を低減できるものと考えられる。
上記のような第一の樹脂層が形成できるのは、以下の理由による。後述するように、本発明の積層フィルムは、その製造において、基材層と第一の樹脂層とを積層し同時延伸することにより好ましく得られる。ここで、本発明の積層フィルムの第一の樹脂層に用いられる樹脂(熱可塑性樹脂B)は、基材層に用いられる樹脂(熱可塑性樹脂A)よりも融点が低い。そのため、基材層と第一の樹脂層とを積層し同時延伸する際には、より融点の高い熱可塑性樹脂Aが延伸可能な延伸温度とする必要があり、熱可塑性樹脂Bを含む第一の樹脂層は溶融状態にて延伸される。これにより、基材層ではフィラーに起因する空孔が生じるものの、第一の樹脂層では空孔が生じにくくなり、第一の樹脂層の空孔率を15%以下とすることが可能となる。
また、第一の樹脂層上に特定のインク受容層を設けることにより、印刷性のみならず、さらなる紙粉低減効果が得られることがわかった。理由については定かではないが、本発明においてインク受容層に用いうる樹脂は粘性が高く、それ自体が積層フィルムから剥がれて紙粉となりにくい上、造膜性が良いからではないかと推察している。
以下、各層について説明する。
(基材層)
基材層は、機械的強度に優れた樹脂フィルムであり、積層フィルムの支持体として設けられる。基材層は、熱可塑性樹脂Aとフィラーとを含む樹脂組成物をフィルム成形することによって形成され得る。
基材層は、少なくとも1軸方向に延伸された延伸フィルムである。
<熱可塑性樹脂A>
熱可塑性樹脂Aはポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂の具体的な例としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、又はポリメチル-1-ペンテン等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、主なモノマーにプロピレンが用いられるのであれば特に限定されない。例えば、プロピレンを単独重合させたアイソタクティック重合体又はシンジオタクティック重合体等が挙げられる。また、主成分となるプロピレンと、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、又は1-オクテン等のα-オレフィンとの共重合体である、プロピレン-α-オレフィン共重合体等を使用することもできる。共重合体は、モノマー成分が2元系でも3元系以上の多元系でもよく、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。また、プロピレン単独重合体とプロピレン共重合体とを併用してもよい。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば密度が0.940~0.965g/cmの高密度ポリエチレン、密度が0.920~0.935g/cmの中密度ポリエチレン、密度が0.900g/cm以上0.920g/cm未満の直鎖線状低密度ポリエチレン、エチレンを主体とし、プロピレン、ブテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、4-メチルペンテン-1等のα-オレフィンを共重合させた共重合体、マレイン酸変性エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン-メタクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体の金属塩(金属は亜鉛、アルミニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、エチレン-環状オレフィン共重合体、又はマレイン酸変性ポリエチレン等が挙げられる。
また、ポリオレフィン系樹脂としては、その樹脂フィルムの接着性又は成形性向上の観点から、そのグラフト変性物を必要に応じて使用することもできる。
グラフト変性には公知の手法を用いることができる。具体的には、グラフトモノマーとして不飽和カルボン酸又はその誘導体を用いたグラフト変性物を挙げることができる。上記不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、又はシトラコン酸等を挙げることができる。上記不飽和カルボン酸の誘導体としては、上記不飽和カルボン酸の酸無水物、エステル化物、アミド化物、イミド化物、又は金属塩等を挙げることができる。
具体的なグラフトモノマーとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸-N-モノエチルアミド、マレイン酸-N,N-ジエチルアミド、マレイン酸-N-モノブチルアミド、マレイン酸-N,N-ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸-N-モノエチルアミド、フマル酸-N,N-ジエチルアミド、フマル酸-N-モノブチルアミド、フマル酸-N,N-ジブチルアミド、マレイミド、N-ブチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、(メタ)アクリル酸ナトリウム、又は(メタ)アクリル酸カリウム等を挙げることができる。
グラフトモノマーは、ポリオレフィン系樹脂に対して、通常0.005~10質量%、好ましくは0.01~5質量%用いることができる。
基材層に用いる熱可塑性樹脂Aとしては、上記のポリオレフィン系樹脂の中から1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。成形性、機械的強度又はコスト等の観点からは、基材層は、ポリプロピレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂の樹脂フィルムであることが好ましく、ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。なかでも、プロピレン単独重合体が基材層の主原料として取扱いやすく、好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の樹脂フィルムには、フィルム成形性の観点から、プロピレン単独重合体と融点が同等程度以下の樹脂を併用することが可能である。そのような樹脂としてはポリエチレン系樹脂、具体的には高密度又は低密度のポリエチレンが挙げられる。ポリエチレン系樹脂の配合量は、例えばプロピレン単独重合体に対して0.1~25質量%とすることができる。
基材層は、熱可塑性樹脂Aとしてポリオレフィン系樹脂のみを用いた樹脂フィルムであってもよいし、本発明の効果を阻害しない範囲でポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂が配合されていてもよい。併用できる熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン-6、ナイロン-6,6等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレートあるいはその共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート又はポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート;アタクティックポリスチレン又はシンジオタクティックポリスチレン等のスチレン系樹脂等が挙げられる。
基材層に用いられる熱可塑性樹脂Aの融点は、特に制限されないが、例えば150~300℃であることが好ましい。
熱可塑性樹脂Aの重量平均分子量(Mw)としては特に制限されないが、例えば5万~50万であることが成形性の観点から好ましい。
基材層における熱可塑性樹脂Aの含有量(2種以上を併用する場合は、その合計量)は、20質量%以上であることが好ましく、50質量%以上がより好ましい。上記範囲とすることによって、基材としての好適な剛性、成形性等を付与することができる。
<フィラー>
基材層は、フィラーを含有する。使用できるフィラーとしては、例えば無機フィラー又は有機フィラー等が挙げられる。フィラーにより、フィルムの白色度又は不透明度の調整が容易となるほか、樹脂と比べて安価であるためコスト削減にもつながる。また、延伸によってフィルム内部に空孔が形成されやすく、基材層、ひいては積層フィルムの軽量化が可能となる。基材層が多孔質であると、積層フィルムの断熱性も向上しやすい。
<<無機フィラー>>
無機フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、白土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、アルミナ、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、又はガラスファイバー等の無機粒子を使用することができる。無機フィラーのレーザー回折による粒度分布計で測定した平均粒径は、通常は0.01~15μmであり、好ましくは0.1~5μmである。
<<有機フィラー>>
有機フィラーとしては、基材層の主成分であるポリオレフィン系樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。そのような有機フィラーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン-6、ナイロン-6,6、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、又はポリメタクリレート等のポリマーであって、ポリオレフィン系樹脂の融点よりも高い融点(例えば170~300℃)又は高いガラス転移温度(例えば170~280℃)を有し、かつ非相溶の有機粒子を使用できる。
フィラーとしては、上記無機フィラー及び有機フィラーをそれぞれ単独で用いることもできるし、併用することもできる。
基材層におけるフィラーの含有量(無機フィラーと有機フィラーを併用する場合は、その合計量)は、多孔化の観点から5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、強度維持の観点から60質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
<その他の成分>
基材層は、必要に応じて、熱安定剤(酸化防止剤)、光安定剤、分散剤、滑剤、又は核剤等をさらに含有することができる。
熱安定剤としては、例えば立体障害フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、又はアミン系酸化防止剤等を、基材層全量に対して通常0.001~1質量%の範囲内で使用することができる。
光安定剤としては、例えば立体障害アミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤、又はベンゾフェノン系光安定剤を、基材層全量に対して通常0.001~1質量%の範囲内で使用することができる。
分散剤又は滑剤としては、例えばシランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸又はそれらの塩等が挙げられる。これらは、例えばフィラーを分散させる目的で、基材層全量に対して通常0.01~4質量%の範囲内で使用することができる。
<基材層の構造>
基材層は、単層構造であってもよく、2層又は3層以上の多層構造のものであってもよい。多層化により、機械特性、筆記性、耐擦過性又は2次加工適性等の様々な機能を基材層に付与することが可能となる。
<延伸フィルム>
基材層は、少なくとも1軸方向に延伸された延伸フィルムを含み、詳しくは、後述の第一の樹脂層と共に少なくとも1軸方向に同時延伸された延伸フィルムを含む。機械的強度の観点からは、2軸延伸フィルムを含むことが好ましい。
延伸フィルムを含む基材層は、機械的強度が高く、厚みの均一性に優れているため、後加工性に優れた積層フィルムを得ることができる。また、延伸によりフィラーに起因する空孔が生じるため、フィルムの軽量化が可能となる。
基材層が多層構造である場合、各層の延伸軸数は、1軸/1軸、1軸/2軸、2軸/1軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、又は2軸/2軸/2軸であってもよい。
<空孔率>
軽量化又は白色度の向上等の観点からは、基材層の空孔率は、0%を超えることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。一方、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。空孔率が50%以下であれば、隣接して形成される空孔同士が繋がりにくく、強度を維持しやすい。また、基材層の延伸後に他層を積層する場合において、他層積層前に基材層中のフィラーが基材層から脱離することを抑制しやすい。
上記空孔率は、電子顕微鏡で観察したフィルムの断面の一定領域において、空孔が占める面積の比率より求めることができる。
(第一の樹脂層)
本発明の積層フィルムは、基材層上に第一の樹脂層を有する。第一の樹脂層は、基材層中に含まれる熱可塑性樹脂Aよりも低融点の熱可塑性樹脂Bとフィラーとを含む樹脂組成物をフィルム成形することによって形成され得る。
第一の樹脂層は、少なくとも1軸方向に延伸された延伸フィルムである。
<熱可塑性樹脂B>
熱可塑性樹脂Bは上述の熱可塑性樹脂Aよりも低融点の樹脂である。そのため、積層フィルムの製造において、基材層と第一の樹脂層とを積層し、熱可塑性樹脂Aが延伸可能な延伸温度にて同時延伸する際に熱可塑性樹脂Bが溶融し、第一の樹脂層中に空孔が生じにくくなる。結果、基材層及び第一の樹脂層に含まれるフィラーの脱落を抑制することができ、紙粉発生を低減できる。
熱可塑性樹脂Bの融点は熱可塑性樹脂Aよりも低ければ制限はないが、空孔発生抑制の観点から、熱可塑性樹脂Aの融点と熱可塑性樹脂Bの融点の差は、10℃以上であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂Bの融点は、例えば、50~200℃であることが好ましい。
なお、上述の基材層に含まれる熱可塑性樹脂Aが2種以上である場合には、熱可塑性樹脂Bは、少なくとも主成分である熱可塑性樹脂Aよりも低融点である。ここで、「主成分である熱可塑性樹脂A」とは、熱可塑性樹脂Aの総量に対して50質量%以上含まれる成分を表す。
熱可塑性樹脂Bは熱可塑性樹脂Aよりも低融点のポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂Bとしてのポリオレフィン系樹脂の具体的な例としては、熱可塑性樹脂Aの具体例として挙げたポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びポリメチル-1-ペンテン等のうち、基材層に含まれる熱可塑性樹脂Aよりも低融点となる樹脂が挙げられる。
第一の樹脂層に用いる熱可塑性樹脂Bとしては、上記のポリオレフィン系樹脂の中から1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。成形性、機械的強度又はコスト等の観点からは、第一の樹脂層は、ポリプロピレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂の樹脂フィルムであることが好ましく、ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。
なかでも、プロピレンと、プロピレンと共重合可能なモノマーとのランダム共重合体が好ましく、具体的には、プロピレンと、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、又は1-オクテン等のα-オレフィンとの共重合体である、プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体が好ましく、特にプロピレン-エチレンランダム共重合体が好ましい。
熱可塑性樹脂Bの重量平均分子量(Mw)としては特に制限されないが、例えば5万~50万であることが成形性の観点から好ましい。
第一の樹脂層における熱可塑性樹脂Bの含有量(2種以上を併用する場合は、その合計量)は、空孔発生抑制の観点から、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
第一の樹脂層は、熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂Bのみを用いた樹脂フィルムであってもよいし、本発明の効果を阻害しない範囲で熱可塑性樹脂B以外の熱可塑性樹脂が配合されていてもよい。併用できる熱可塑性樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂Aの具体例として挙げたポリオレフィン系樹脂のうち、基材層に含まれる熱可塑性樹脂Aと同等の融点を有する樹脂や、熱可塑性樹脂Aの具体例として挙げたポリオレフィン系樹脂と併用可能な熱可塑性樹脂等が挙げられる。
<フィラー>
第一の樹脂層は、フィラーを含有する。第一の樹脂層において使用できるフィラーの具体例としては、上述の基材層に含まれるフィラーの具体例として挙げられた無機フィラー及び有機フィラーが挙げられる。
フィラーとしては、上記無機フィラー及び有機フィラーをそれぞれ単独で用いることもできるし、併用することもできる。
第一の樹脂層におけるフィラーの含有量(無機フィラーと有機フィラーを併用する場合は、その合計量)は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。また、80質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
上記下限以上とすることによって、フィラーの添加による白色化、コスト削減効果等が得られやすい。また、上記上限以下とすることによって、本発明による紙粉低減効果が発揮されやすく、樹脂フィルムの製膜性や強度が良好となる。
<その他の成分>
第一の樹脂層は、必要に応じて、上述の基材層が含みうるその他の成分を含有することができ、具体例及び好ましい使用量についても同様である。
<延伸フィルム>
第一の樹脂層は、少なくとも1軸方向に延伸された延伸フィルムであり、詳しくは、上述の基材層と共に少なくとも1軸方向に同時延伸された延伸フィルムである。第一の樹脂層は、フィラーを含有する延伸フィルムであるにも関わらず、空孔率が低いという特徴を有し、これによりフィラー添加による白色化やコスト削減効果を発揮するとともに、紙粉発生を抑制できる。また、延伸により厚みの均一性に優れているため、後加工性に優れた積層フィルムを得ることができる。
<空孔率>
本発明の積層フィルムにおいて、第一の樹脂層の空孔率は15%以下である。空孔率を15%以下とすることによって、第一の樹脂層中に含まれるフィラー、及び基材層中に含まれるフィラーの脱離を抑制し、紙粉を低減することができる。紙粉低減効果の観点から、空孔率は10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。
なお、空孔率の下限値は特に限定されず、0%であっても0%超であってもよい。ただし、上述のように第一の樹脂層は延伸フィルムであるため、延伸の影響を鑑みると、概ね0%超である。
上記空孔率は、基材層における空孔率と同様に求めることができる。
(インク受容層)
インク受容層は、第一の樹脂層上に設けられ、本発明の積層フィルムの最表面に位置する。インク受容層上には印刷によってインクが転写される。
インク受容層は、エマルジョン(以下、単にエマルジョンということがある。)由来の成分を含む。インク受容層は、エマルジョンを含む塗工液を、第一の樹脂層の表面に塗工し、乾燥することにより、形成され得る。
ここで、エマルジョン由来の成分とは、インク受容層用の塗工液中のエマルジョンの分散媒が揮発した後の残留成分である。例えば、残留成分は、エマルジョン中の樹脂成分、及び必要に応じて添加されるその他の成分である。これらの成分はインク受容層を形成する過程で変性した変性体を含んでいてもよい。残留成分中の樹脂成分は、インク受容層において粒子状に存在するが、印刷時の過熱によって溶融し、変形することがある。
<エマルジョン>
エマルジョンは、分散媒中に微粒子状の樹脂成分(樹脂粒子)が乳化又は分散した液体である。本発明において、樹脂成分(樹脂粒子)とは、分散媒中に分散してエマルジョンを構成する微粒子状の樹脂をいう。取り扱いの容易性の観点からは、水性分散媒中に樹脂粒子が乳化又は分散したO/W系エマルジョンが好ましい。
インク受容層がエマルジョンに由来する成分を含むことにより、オフセット印刷方式、溶融熱転写印刷方式、又は電子写真印刷方式等の各種印刷方式において良好な印刷性を得ることができる。
これは、エマルジョンがインク受容層に疎水性を付与し、過度な親水化を抑えるためと推測される。このような作用により、インク受容層の周囲の水分がインク受容層上に転写されたインクと接触することによるインクの滲みが抑えられ、印刷性が改善される。
また、インク受容層がエマルジョンに由来する樹脂成分を含むことにより、さらに紙粉低減が可能であることがわかった。インク受容層形成に用いられる塗工液としては、本発明で用いられるエマルジョン系塗工液の他、溶剤に樹脂を溶解した溶剤系塗工液が挙げられるが、エマルジョン系塗工液に適した樹脂は、溶剤系塗工液に用いられる樹脂に比べて粘性が高い。そのため、製膜後に樹脂それ自体が積層フィルムから剥がれにくく、紙粉の原因となりにくいと推察される。
<<樹脂成分(樹脂粒子)の体積平均粒径>>
エマルジョンに含まれる樹脂成分(樹脂粒子)の体積平均粒径は、0.01~3.0μmであることが好ましい。樹脂成分(樹脂粒子)の体積平均粒径は、レーザー回折型粒度分布測定装置(島津製作所製:SALD-2200)を用いて測定される。
体積平均粒径が3.0μm以下であれば、インク受容層を設ける際の加熱乾燥条件によって、密に製膜することができ、紙粉低減効果がより向上する。また、体積平均粒径が0.01μm以上であれば、適度な粘度のエマルジョンの調製が容易であり、取扱い性が向上しやすい。
上記樹脂成分(樹脂粒子)の体積平均粒径は、好ましくは0.05μm以上である。一方、好ましくは2.0μm以下であり、より好ましくは1.6μm以下である。
<<樹脂成分の最低造膜温度>>
樹脂成分の最低造膜温度(MFT:Minimum film forming temperature)は100℃以下である。MFTを100℃以下とすることによって、インク受容層の製膜性、特に常温での製膜性が良好となり、紙粉低減効果がより向上する。MFTは80℃以下であることが好ましく、より好ましくは40℃以下であり、さらに好ましくは10℃以下である。下限は特に指定されないが、通常-20℃以上である。
<<樹脂の種類>>
エマルジョン中の樹脂成分として使用できる樹脂の種類としては、例えばウレタン系樹脂、オレフィン系共重合体又はスチレン系樹脂等が挙げられる。なかでも、ウレタン系樹脂又はオレフィン系共重合体が好ましく、最低造膜温度の観点からウレタン系樹脂がさらに好ましい。
<<<ウレタン系樹脂>>>
ウレタン系樹脂としては、カチオン性のウレタン系樹脂を好ましく使用できる。カチオン性のウレタン系樹脂は、ポリウレタン樹脂骨格にカチオン性基を導入した共重合体である。この共重合体は、1分子中にエポキシ基を2個有する化合物と2級アミンとを反応させて得られる3級アミノ基含有ポリオールを、ポリイソシアネートと反応させてポリウレタン樹脂を生成した後、これを4級化剤で4級化することにより生成することができる。あるいは、N,N-ジアルキルアルカノールアミン類;N-メチル-N,N-ジエタノールアミン、N-ブチル-N,N-ジエタノールアミン等のN-アルキル-N,N-ジアルカノールアミン類;及びトリアルカノールアミン類からなる群から選択される1種以上を、ポリオールの一部に添加した後、ポリイソシアネートと反応させてポリウレタン樹脂を生成し、これを4級化剤で4級化することによっても、生成することができる。
カチオン性ポリウレタン樹脂エマルジョンとしては、例えば、第一工業製薬(株)製のスーパーフレックス600、610、620、650(商品名)や、DIC(株)製のハイドランCP-7030、7050、7060(商品名)、日華化学(株)製のネオステッカーなどが市販されており、利用することができる。
<<<オレフィン系共重合体>>>
オレフィン系共重合体としては、乳化性が良好な、カルボキシ基あるいはその塩を共重合成分として含有するか、又は繰り返し単位中にエステル結合を含むオレフィン系共重合体を用いることが好ましい。カルボキシ基あるいはその塩を共重合成分として含有するオレフィン系共重合体の代表例としては、オレフィン系単量体と不飽和カルボン酸又はその無水物との共重合体及びその塩等が例示できる。これらのオレフィン系共重合体は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボキシ基あるいはその塩を共重合成分として含有するオレフィン系共重合体のなかでは、上記不飽和カルボン酸又はその無水物が共重合したオレフィン系共重合体を用いることが好ましい。
このような共重合体の具体例としては、例えばエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)等のエチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ(土類)金属塩、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル-(無水)マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸グラフトポリエチレン、(無水)マレイン酸グラフトポリエチレン、(無水)マレイン酸グラフトエチレン-酢酸ビニル共重合体、(無水)マレイン酸グラフト(メタ)アクリル酸エステル-エチレン共重合体、(無水)マレイン酸グラフトポリプロピレン、(無水)マレイン酸グラフトエチレン-プロピレン共重合体、(無水)マレイン酸グラフトエチレンープロピレン-ブテン共重合体、(無水)マレイン酸グラフトエチレン-ブテン共重合体、又は(無水)マレイン酸グラフトプロピレン-ブテン共重合体等が挙げられる。
オレフィン系共重合体のなかでも、印刷性の観点から、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル-(無水)マレイン酸共重合体等のエチレン-(メタ)アクリル酸系共重合体、(無水)マレイン酸グラフトエチレン-酢酸ビニル共重合体、(無水)マレイン酸グラフト(メタ)アクリル酸エステル-エチレン共重合体、(無水)マレイン酸グラフトエチレン-プロピレン-ブテン共重合体、(無水)マレイン酸グラフトエチレン-ブテン共重合体、又は(無水)マレイン酸グラフトプロピレン-ブテン共重合体がより好ましく、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体がさらに好ましく、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)が特に好ましい。
<<エマルジョン中の樹脂成分の含有量>>
エマルジョンにおける樹脂成分の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、同含有量は、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。含有量が上記下限値以上又は上記上限値以下であれば、樹脂成分(樹脂粒子)の体積平均粒径が0.01~3.0μmのエマルジョンの調製が容易になる。
<<インク受容層中のエマルジョン由来の成分の含有量>>
インク受容層におけるエマルジョンに由来する成分の固形分の含有量は、インク受容層の固形分全量に対して10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。同含有量は、99質量%以下であることが好ましく、98質量%以下がより好ましく、95質量%以下がさらに好ましい。上記下限値以上であれば、積層フィルムの紙粉低減効果及び印刷性が高まりやすく、上記上限値以下であれば、エマルジョンの調製が容易になる。
<<分散剤>>
エマルジョンには、必要に応じて分散剤が添加されていてもよい。これにより、樹脂成分を分散媒中に均一に分散させることができ、均一な塗膜が得られやすい。
分散剤としては、非イオン性界面活性剤、非イオン性水溶性高分子、カチオン性界面活性剤及びカチオン性水溶性高分子から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリ-ルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が例示できる。
非イオン性水溶性高分子としては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール及びそれらの変性物、又はヒドロキシエチルセルローズ等が例示できる。
カチオン性界面活性剤としては、ステアリルアミン塩酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、又はトリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド等が例示できる。
カチオン性水溶性高分子としては、四級アンモニウム塩構造あるいはホスホニウム塩構造を有するポリマー、窒素含有(メタ)アクリルポリマー、又は四級アンモニウム塩構造の窒素を有する(メタ)アクリル系ポリマー等が例示できる。
これらのなかで、第一の樹脂層との密着性の観点から、窒素含有(メタ)アクリルポリマー、又は四級アンモニウム塩構造の窒素を有する(メタ)アクリル系ポリマー等のカチオン性水溶性高分子を用いることが特に好ましい。
エマルジョンにおける分散剤の添加量は、固形分換算で、樹脂成分100質量部に対して1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。同添加量は、40質量部以下であることが好ましく、35質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましい。
分散剤の添加量が上記範囲内であれば、体積平均粒径が0.01~3.0μmになるように均一に樹脂成分(樹脂粒子)を分散させやすい。
<<水性分散媒>>
エマルジョンの水性分散媒としては、用いる樹脂成分を溶解しないか、溶解し難い水性分散媒を用いることができる。そのような水性分散媒の具体例としては、水の他、エタノール、イソプロパノール、又はアセトン等の溶媒と水との混合液等を挙げることができる。
<エチレンイミン系樹脂>
インク受容層は、エマルジョンに由来する樹脂成分以外の、その他の樹脂を含んでいてもよい。その他の樹脂としては、各種インクとの親和性が高いエチレンイミン系樹脂が好ましい。
塗工液中のエチレンイミン系樹脂の含有量は、固形分換算で、上記エマルジョンの固形分100質量部に対して1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましい。一方、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましい。同含有量が上記下限値以上であれば、印刷品質が向上しやすく、上記上限値以下であればエマルジョン由来の樹脂成分を使用することによる紙粉低減効果を阻害しにくい。
<その他の成分>
インク受容層は、必要に応じて帯電防止剤等のその他の添加剤を、印刷性を損なわない範囲で含有してもよい。
<<帯電防止剤>>
帯電防止剤は、フィルム表面の帯電による埃の付着、又は印刷時の静電気によるトラブル等を減らすことができる。
帯電防止剤としては、特に限定されるものではなく、カチオン型、アニオン型、両性型、又はノニオン型の帯電防止剤等を用いることができる。また、低分子量型の帯電防止剤であってもよく、高分子量(ポリマー)型の帯電防止剤であってもよい。
帯電防止剤として、好ましくは窒素含有ポリマー型帯電防止剤が用いられ、より好ましくは第三級窒素又は第四級窒素含有アクリル系樹脂が用いられる。
これらの帯電防止剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
塗工液における帯電防止剤の添加量は、エマルジョンの固形分100質量部に対して2質量部以上であることが好ましく、また30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。帯電防止剤の添加量が上記範囲内であれば、印刷時に十分なインク転移性が得られやすい。
<<固定化剤>>
エマルジョンには、必要に応じてさらに固定化剤が添加されていてもよい。固定化剤を含むことにより、製膜後に樹脂成分が積層フィルムから剥がれにくくなる。そのため、インク受容層中の樹脂成分に由来する紙粉を低減することができる。
固定化剤としては、シランカップリング剤等が挙げられる。
エマルジョンにおける固定剤の添加量は、固形分換算で、樹脂成分100質量部に対して0.01~10質量部であることが好ましい。
(第二の樹脂層)
本発明の積層フィルムは、基材層の第一の樹脂層とは反対側の面に、さらに空孔率が15%以下である第二の樹脂層を有していることが好ましい。空孔率の低い第二の樹脂層を設けることにより、基材層の第一の樹脂層とは反対側の面から、基材層に含まれるフィラーが脱離することを抑制し、紙粉をさらに低減することができる。
第二の樹脂層は、延伸フィルムであることが好ましい。
第二の樹脂層は空孔率が15%以下であればその構成は特に限定されないが、第一の好ましい態様として、基材層と同様の樹脂を含む樹脂フィルムを用いることが挙げられる。すなわち、第二の樹脂層は、熱可塑性樹脂Aを含む樹脂フィルムであり、必要に応じてフィラーを含有できる。第二の樹脂層に使用できる熱可塑性樹脂及びフィラーは、基材層の項目において挙げられた材料と同じであり、好ましい材料も基材層と同じである。
第一の好ましい態様における第二の樹脂層中のフィラーの含有量は、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。下限は特にないが、フィラー添加によるコスト削減効果を得たい場合は適量配合される。フィラーの含有量が上記上限値以下であれば、延伸した際の空孔率を15%以下としやすい。
第二の好ましい態様としては、上述の第一の樹脂層と同様の樹脂フィルムが挙げられる。すなわち、第二の樹脂層は、熱可塑性樹脂B及びフィラーを含む樹脂フィルムである。この場合の第二の樹脂層に使用できる熱可塑性樹脂及びフィラーは、第一の樹脂層の項目において挙げられた材料と同じであり、好ましい材料も第一の樹脂層と同じである。
<延伸フィルム>
第二の樹脂層は、延伸されていてもいなくてもよいが、機械的強度の観点からは、少なくとも1軸方向に延伸された延伸フィルムであることが好ましい。ただし、第二の樹脂層が上記第二の好ましい態様、すなわち、第一の樹脂層と同様の樹脂フィルムである場合には、少なくとも1軸方向に延伸された延伸フィルムである。詳しくは、基材層と共に、又は、基材層及び第一の樹脂層と共に、少なくとも1軸方向に同時延伸された延伸フィルムである。
<空孔率>
第二の樹脂層の空孔率は紙粉低減効果の観点から、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。
上記空孔率は、基材層における空孔率と同様に求めることができる。
(その他の樹脂層)
本発明の積層フィルムは、上述したインク受容層、第一の樹脂層、基材層及び第二の樹脂層以外の他の層を有してもよい。例えば、製造効率の観点から各層を個別に形成した後に積層する場合、第一の樹脂層又は第二の樹脂層の支持体としての役割も有し、更に、基材層との貼合を良好に行う効果をもつその他の樹脂層が設けられてもよい。その他の樹脂層は、共押出等によって第一の樹脂層又は第二の樹脂層とともに形成される。
積層後のその他の樹脂層は、基材層と良好に密着し、積層フィルムの機械的強度を高める支持体として機能し得る。すなわち、その他の樹脂層/基材層/その他の樹脂層は3層構造の基材層といえる。
その他の樹脂層としては、基材層と同様の樹脂フィルムを用いることが好ましい。すなわち、樹脂層は、熱可塑性樹脂Aを含む樹脂フィルムであり、必要に応じてフィラーを含有できる。樹脂層に使用できる熱可塑性樹脂及びフィラーは、基材層の項目において挙げられた材料と同じであり、好ましい材料も基材層と同じである。
[積層フィルムの特性]
(各層の厚み)
基材層の厚みは、5μm以上であることが好ましく、10μm以上がより好ましく、20μm以上がさらに好ましい。また、基材層の厚みは、500μm以下であることが好ましく、200μm以下がより好ましく、100μm以下がより好ましい。基材層の厚みが上記範囲内であれば、基材としての適度な剛性やコシが得られやすい。
第一の樹脂層の厚みは、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。第一の樹脂層の厚みが上記下限値以上であれば、紙粉低減効果が得られやすく、目的の性能の積層フィルムを得やすい傾向がある。第一の樹脂層の厚みは、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。第一の樹脂層の厚みが上記上限値以下であれば、同層の剛性を小さくすることができるので、積層フィルムの柔軟性が高まりやすく、包装材料として使用しやすい。また、コスト削減の効果も得られる。
インク受容層の厚みは、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましい。一方、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましい。厚みがこの範囲内であれば、一般的な印刷用紙に似た風合いの積層フィルムを得ることができる。また、0.01μm以上とすることで、紙粉低減効果が得られやすい。
第二の樹脂層の厚みは、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。第二の樹脂層の厚みが上記下限値以上であれば紙粉低減効果が得られやすい。第二の樹脂層の厚みは、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。第二の樹脂層の厚みが上記上限値以下であれば、同層の剛性を小さくすることができるので、積層フィルムの柔軟性が高まりやすく、包装材料として使用しやすい。また、コスト削減の効果も得られる。
[積層フィルムの製造方法]
本発明の積層フィルムは、インク受容層、第一の樹脂層、及び基材層をこの順に積層することにより製造することができ、基材層に第一の樹脂層を積層した後に少なくとも1軸方向に同時延伸する工程を含むことにより好適に製造される。
例えば、本発明の積層フィルムは、第一の樹脂層及び基材層のフィルムを形成して積層し同時延伸した後、第一の樹脂層上にインク受容層形成用の塗工液を塗工してインク受容層を形成することにより、製造することができる。
(フィルム成形と積層)
フィルムの成形方法としては、例えばスクリュー型押出機に接続された単層又は多層のTダイ、Iダイ等により溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、カレンダー成形、圧延成形、インフレーション成形等を用いることができる。熱可塑性樹脂と有機溶媒又はオイルとの混合物を、キャスト成形又はカレンダー成形した後、溶媒又はオイルを除去することにより、フィルムが成形されてもよい。
フィルムの積層方法としては、共押出法、押出ラミネーション法、塗工法等が挙げられ、これらを組み合わせることもできる。共押出法は、別々の押出機において溶融混練された各層の樹脂組成物をフィードブロック又はマルチマニホールド内で積層して押し出し、フィルム成形と積層を並行に行う。押出ラミネーション法は、予め形成されたフィルム上に樹脂組成物を押出成形してフィルムを積層する。塗工法は、樹脂の溶液、エマルジョン又はディスパージョンをフィルム上に塗工して乾燥することにより、フィルムを形成及び積層する。
製造効率の観点からは、第一の樹脂層、基材層、及び第二の樹脂層を有する場合においては第二の樹脂層を個別に形成した後に各層を積層することが好ましい。
図1に、本発明の積層フィルムの一例を示す。
図1に例示する積層フィルム10Aでは、インク受容層3、第一の樹脂層2、及び基材層1がこの順に積層されている。インク受容層3上には印刷によって印刷層5が形成され得る。
図2は、第二の樹脂層4をさらに設けた場合の積層フィルム10Bを示す。
図1に例示する積層フィルム10Aの場合、例えば、予め押出成形された基材層上に第一の樹脂層形成用樹脂組成物を押出ラミネートすることにより、フィルムを積層できる。また、例えば第一の樹脂層及び基材層の各樹脂組成物を共押出してもよい。
図2に例示する積層フィルム10Bの場合、例えば、予め押出成形された基材層上に第一の樹脂層形成用樹脂組成物を押出ラミネートし、次いで基材層のもう一方の面に第二の樹脂層形成用樹脂組成物を押出ラミネートすることにより、各層のフィルムを積層できる。また、例えば、第一の樹脂層、基材層、及び第二の樹脂層をこの順に積層して共押出してもよい。
(延伸)
<基材層の延伸>
基材層は、第一の樹脂層の積層前に延伸してもよいし、無延伸であってもよいが、第一の樹脂層の積層後に少なくとも1軸方向に同時延伸する。
機械的強度の観点からは、基材層は2軸延伸することが好ましい。第一の樹脂層の積層後に同時に2軸延伸してもよいが、第一の樹脂層の積層前に1軸方向に延伸し、第一の樹脂層の積層後に、積層前の延伸方向と垂直方向にさらに延伸して2軸延伸とすることがより好ましい。
<第一の樹脂層の延伸>
第一の樹脂層は、積層前は無延伸であり、基材層に積層された後に少なくとも1軸方向に同時延伸される。第一の樹脂層は1軸延伸であっても2軸延伸であってもよいが、1軸延伸することが好ましい。
<第二の樹脂層の延伸>
第二の樹脂層が上述の第一の好ましい態様、すなわち基材層と同様の樹脂を含む樹脂フィルムである場合、第二の樹脂層は延伸してもよいし、無延伸であってもよいが、機械的強度の観点からは、基材層に積層される前、又は積層後、又はその両方において、少なくとも1軸方向に延伸することが好ましい。
第二の樹脂層が上述の第二の好ましい態様、すなわち第一の樹脂層と同様の樹脂フィルムである場合には、基材層に積層された後に、基材層と共に、又は、基材層及び第一の樹脂層と共に、少なくとも1軸方向に同時延伸される。
フィルムを延伸する場合の延伸方法としては、例えばロール群の周速差を利用した縦延伸法、テンターオーブンを利用した横延伸法、これらを組み合わせた逐次二軸延伸法、圧延法、テンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時二軸延伸法、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸法等が挙げられる。また、スクリュー型押出機に接続された円形ダイを使用して溶融樹脂をチューブ状に押し出し成形した後、これに空気を吹き込む同時二軸延伸(インフレーション成形)法等も使用できる。
延伸を実施するときの延伸温度は、フィルムに使用する熱可塑性樹脂が、非結晶性樹脂の場合は当該熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上の範囲であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂が結晶性樹脂の場合の延伸温度は、当該熱可塑性樹脂の非結晶部分のガラス転移点以上であって、かつ当該熱可塑性樹脂の結晶部分の融点以下の範囲内であることが好ましく、具体的には熱可塑性樹脂の融点よりも5~60℃低い温度が好ましい。
なお、基材層と第一の樹脂層とを積層後に同時延伸する際の延伸温度は、基材層に含まれる熱可塑性樹脂Aにおける上記の好ましい温度範囲であり、且つ、第一の樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂Bよりも高い温度とする。
延伸速度は、特に限定されるものではないが、安定した延伸成形の観点から、20~350m/分の範囲内であることが好ましい。
また、延伸倍率についても、使用する熱可塑性樹脂の特性等を考慮して適宜決定することができる。例えば、プロピレンの単独重合体又はその共重合体を含む樹脂フィルムを一方向に延伸する場合、その延伸倍率は、下限が通常は1.2倍以上であり、好ましくは2倍以上である一方、上限が通常は12倍以下であり、好ましくは10倍以下である。二軸延伸する場合の延伸倍率は、面積延伸倍率で、下限が通常は1.5倍以上であり、好ましくは10倍以上である一方、上限が通常は60倍以下であり、好ましくは50倍以下である。
(表面処理)
第一の樹脂層は、インク受容層との密着性を高める観点から、表面処理が施されて表面が活性化していることが好ましい。
表面処理としては、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、又はオゾン処理等が挙げられ、これら処理は組み合わせることができる。なかでも、コロナ放電処理又はフレーム処理が好ましく、コロナ処理がより好ましい。
(インク受容層の形成)
インク受容層は、インク受容層形成用の塗工液を調製し、第一の樹脂層上に塗工することにより、形成することができる。
<塗工液の調製>
インク受容層形成用の塗工液は、上述したエマルジョン由来の樹脂成分に必要に応じて添加剤などを配合することにより、調製できる。
カチオン性のウレタン系樹脂の樹脂成分を使用する場合、ポリウレタン樹脂骨格にカチオン性の親水性基を導入した共重合体を水に分散させることにより、エマルジョンを調製できる。具体的には、目的の重合体を構成するモノマーを水に乳化分散させて重合させる方法、塊状重合等により目的の重合体を得たのち、二軸押出機を使用して原料樹脂の溶融混練と乳化を逐次行う方法等が挙げられる。
オレフィン系共重合体の樹脂成分を使用する場合のエマルジョンの調製方法は、特に限定されないが、例えば下記(1)又は(2)の方法を用いることができる。
(1)芳香族炭化水素系溶剤にオレフィン系共重合体を投入して加熱溶解し、樹脂溶液を調製する。この樹脂溶液に、分散剤を添加して混合撹拌し、引き続き水を添加しながら相転換させる。その後、芳香族炭化水素系溶剤を留去し、得られた水性分散液をエマルジョンとして使用する。
(2)オレフィン系共重合体を、二軸押出機を用いて溶融した後、分散剤の水溶液を添加し、混練することで水性分散液を得てエマルジョンとして使用する(特公昭62-29447号公報参照)。
これらの方法によりエマルジョンを調製する場合、分散剤としてカチオン系水溶性高分子等の高分子乳化剤を用いることが好ましく、さらに上記(2)の二軸押出機による分散法を用いることが好ましい。これにより、エマルジョン中のオレフィン系共重合体の樹脂成分(樹脂粒子)の体積平均粒径を、0.01~3.00μmに容易に調整することができる。上記(2)の方法において、エマルジョン中のオレフィン系共重合体の樹脂成分(樹脂粒子)の体積平均粒径は、例えば、二軸押出機の運転条件のうち、オレフィン系共重合体に対する水の量、シリンダー温度とそのプロフィル、押出機中での樹脂の滞留時間、押出機のバレル回転数等を制御することによって調整することができる。
塗工液の固形分濃度は、塗工液全量に対して0.1質量%以上であることが好ましく、1.5質量%以上であることがより好ましく、また、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
塗工液の塗工は、例えば、ロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、サイズプレスコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、スプレーコーター等の塗工装置を用いて行うことができる。
塗工液の塗工量は、乾燥後の固形分量として0.05g/m以上であることが好ましく、0.10g/m以上であることがより好ましく、0.15g/m以上であることが特に好ましく、また、1.40g/m以下であることが好ましく、0.50g/m以下であることがより好ましく、0.30g/m以下であることがより好ましく、0.24g/m以下であることが特に好ましい。
塗工量が上記下限値以上であることにより、さらなる紙粉低減効果が得られやすい。一方、上記上限値以下とすることにより、得られるインク受容層のべたつきを抑制しやすくなり、コスト削減にもつながる。
インク受容層の形成は、ロール・トゥ・ロール法によって連続的に行うことが好ましい。これにより、積層フィルムの生産性を向上させることができる。また、ロール・トゥ・ロール法では、インク受容層の厚さを比較的容易に調整することができるので、印刷適性を維持しながらインク受容層の厚さを薄くするなど、希望する風合いの積層フィルムを容易に製造することができる。
また、インク受容層の形成は、インク受容層以外の各層を形成するためのラインと同じラインで行ってもよいし、別のラインで行ってもよい。
(印刷)
本発明の積層フィルムのインク受容層の表面に印刷することにより、印刷層が形成され得る。
使用できる印刷方式としては、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷、インクジェット記録方式、感熱記録方式、熱転写記録方式、又は電子写真記録方式等種々の公知の手法を用いることが可能である。これらのなかでも、耐候性と耐水性が優れた印刷物を得やすいオフセット印刷、グラビア印刷、又はフレキソ印刷方式が好ましい。さらに印刷インクとしては、油性インク、水性インク又は紫外線硬化型インク等を用いることが可能である。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」、「%」等の記載は、断りのない限り、質量基準の記載を意味する。
[原料]
実施例及び比較例にて使用した原料は以下のとおりである。
(熱可塑性樹脂)
・プロピレン単独重合体(商品名:ノバテックPP FY-4、日本ポリプロ社製、MFR:5.0g/10min(230℃、2.16kg荷重)、融点:164℃、密度:0.9g/cm
・プロピレン-エチレンランダム共重合体(商品名:ウィンテックWFW4、日本ポリプロ社製、融点:135℃)
・ポリエチレン(商品名:ノバテックHD HJ360、日本ポリエチレン社製、融点:132℃)
(フィラー)
重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン1800(備北粉化学工業社製)、平均粒径:1.2μm)
下記表1は、上記材料の一覧を示す。
Figure 2022157125000002
(ウレタン系樹脂のエマルジョン(E))
カチオン性ポリウレタン水分散体(商品名:ハイドランCP-7050、DIC(株)製:MFT<5℃)を、エマルジョン(E)として使用した。このエマルジョン(E)の固形分は25質量%、エマルジョン(E)中の樹脂成分(樹脂粒子)の体積平均粒径は0.07μmであった。
<体積平均粒径>
上記体積平均粒径は、レーザー回折型粒度分布測定装置(島津製作所製:SALD-2200)を用いて測定した。
(エチレンイミン系樹脂溶液(F))
撹拌機、環流冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、ポリエチレンイミン(日本触媒(株)製、商品名:エポミン P-1000)25質量%水溶液100質量部、1-クロロブタン(和光純薬工業(株)製、試薬)10質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業(株)製、試薬)10質量部を導入した。次いで、窒素気流下で撹拌し、80℃の温度で20時間変性反応を行った。この溶液に水を添加して固形分濃度を20質量%に調整し、エチレンイミン系樹脂の溶液(F)を得た。
(塗工液(1))
上記ウレタン系樹脂のエマルジョン(E)と、エチレンイミン系樹脂溶液(F)とを、固形分濃度比が80質量部:20質量部となるように混合し、塗工液(1)として用いた。
(塗工液(2))
上記エチレンイミン系樹脂溶液(F)を塗工液(2)として用いた。
下記表2は、各塗工液の材料の一覧を示す。
Figure 2022157125000003
[積層フィルムの製造]
(実施例1)
74質量部のプロピレン単独重合体(ノバテックPP FY-4)、10質量部のポリエチレン(ノバテックHD HJ360)、及び16質量部の重質炭酸カルシウム(ソフトン1800)とからなる樹脂組成物を、230℃に設定した押出機にて溶融混練した。その後、250℃に設定した押出ダイに供給してシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを135℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸し、基材層を形成した。
次いで、54質量部のプロピレン系ランダム共重合体(ウィンテックWFW4)、6質量部のプロピレン単独重合体(ノバテックPP FY-4)、40質量部の重質炭酸カルシウム(ソフトン1800)とからなる樹脂組成物を、230℃に設定した押出機にて溶融混練した。その後、250℃に設定した押出ダイに供給して、基材層上にシート状に押し出した。
これにより、第一の樹脂層が基材層上に積層された。
得られた積層シートを冷却装置により60℃まで冷却した後、テンターオーブンを用いて積層シートを約150℃に加熱して横方向に8.5倍延伸した。160℃まで加熱して熱処理を行った後、60℃まで冷却し、耳部をスリットした。
次に、連続塗工設備を用い、積層シートの第一の樹脂層にコロナ放電処理を施した。コロナ放電処理は、コロナ放電処理装置(春日電気社製、HF400F)を用いて、長さ0.8mのアルミニウム製放電電極と、絶縁ロールとのギャップを5mm、ライン処理速度を15m/分、印加エネルギー密度を4200J/mとした。次いで、第一の樹脂層上に塗工液(1)を塗工し、60℃の熱風送風乾燥設備において乾燥し、インク受容層を形成した。乾燥後のインク受容層の固形分は、0.23g/mであった。
次いで、ロール巻取装置により巻き取り、インク受容層/第一の樹脂層/基材層の順に積層された3層の積層フィルム(厚み:90μm、各層厚み:-/30μm/60μm)、各層の延伸軸数:-/1軸/2軸)を得た。なお、「-」は未測定を意味する。
(実施例2及び比較例1、2)
第一の樹脂層の形成に用いる熱可塑性樹脂の配合比率を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の積層フィルムを得た。
(比較例3)
インク受容層を積層しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の積層フィルムを得た。
(参考例1)
インク受容層を形成する塗工液(1)を塗工液(2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、参考例1の積層フィルムを得た。
[評価]
各実施例及び比較例の積層フィルムについて、紙粉低減効果、及び印刷性を次のようにして評価した。
(紙粉低減効果)
各積層樹脂フィルムをA3サイズに断裁し、オフセット印刷機(機器名:RYOBI3300CR、リョービ製)およびUVオフセット印刷用インキ(製品名:BC161、T&K TOKA製)を用いて上述の裁断した積層フィルム2000枚に印刷を施した。この印刷後、ブランケットに付着している紙粉を目視で確認し、下記評価基準に従い評価した。下記評価基準の3以上が合格レベルである。
4(良) :紙粉の付着がない
3(可) :紙粉が一部に付着している
2(不可):紙粉が複数個所に付着している
1(不可):紙粉が全面に付着している
(印刷性)
紫外線硬化型インクジェット印刷機(商品名「OceArizona250GT」、Oce社製)と紫外線硬化型インクジェット印刷用インク(墨)を用いて、印刷品質評価を行った。
各積層樹脂フィルムをA3サイズに断裁し印刷用紙を作製した。23℃・50%相対湿度の雰囲気下で上述の印刷用紙を3日間保存した後、上記の印刷機を用いてインク受容層の面に100%ベタにて文字(罫線太さ:5pt)を印刷した。印刷後の文字の目視観察を行い、インクの滲みから印刷品質を以下の基準で評価した。下記評価基準の2以上が合格レベルである。
3:良 (インキ滲みが認められない)
2:可 (インキ滲みがわずかに認められる)
1:不可(インキ滲みが認められる)
表3に評価結果を示す。なお、表3中のP2比率は、第一の樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂全量に対するプロピレン-ランダム共重合体(P2)の質量比率を表す。
Figure 2022157125000004
第一の樹脂層における空孔率が15%以下である実施例1、2の積層フィルムは、紙粉の付着がない、又は一部に付着しているのみであった。また、インキの滲みがなく印刷性にも優れていた。
実施例では、フィラーを含むことによる軽量化、白色化、コスト削減効果を維持しつつ、紙粉の低減が可能で印刷性にも優れた積層フィルムが得られた。
一方、第一の樹脂層における空孔率が15%を超える比較例1、2の積層フィルムは、印刷性には優れるものの、実施例の積層フィルムに比べて紙粉が多く発生していた。これは、第一の樹脂層の空孔率が高く、第一の樹脂層に含まれるフィラーが脱離しやすいためであると考えられる。インク受容層を形成していない比較例3では、紙粉低減効果は合格水準ではあるものの、印刷性が不良となった。
また、実施例1と参考例1の比較から、インク受容層の形成にエマルジョン系塗布剤を用いることで、より紙粉低減効果が向上することがわかった。
10A,10B・・・積層フィルム
1・・・基材層
2・・・第一の樹脂層
3・・・インク受容層
4・・・第二の樹脂層
5・・・印刷層

Claims (8)

  1. インク受容層、第一の樹脂層、及び基材層をこの順に有する積層フィルムであって、
    前記基材層は、熱可塑性樹脂Aとフィラーとを含み、
    前記第一の樹脂層は、前記熱可塑性樹脂Aよりも低融点の熱可塑性樹脂Bとフィラーとを含む、空孔率が15%以下の層であり、
    前記インク受容層は、エマルジョン由来の樹脂成分を含有し、前記樹脂成分の最低造膜温度が100℃以下である、
    積層フィルム。
  2. 前記第一の樹脂層における前記フィラーの含有量が10質量%以上である請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記熱可塑性樹脂Aが、プロピレン単独重合体である請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記熱可塑性樹脂Bが、プロピレンと、プロピレンと共重合可能なモノマーとのランダム共重合体である請求項1~3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  5. 前記樹脂成分の体積平均粒径が0.01~3.0μmである請求項1~4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  6. 前記基材層の前記第一の樹脂層とは反対側の面に、さらに第二の樹脂層を有し、
    前記第二の樹脂層の空孔率が15%以下である請求項1~5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  7. 前記基材層及び前記第一の樹脂層が、少なくとも1軸方向に延伸された延伸フィルムである請求項1~6のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  8. インク受容層、第一の樹脂層、及び基材層をこの順に積層する、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層フィルムの製造方法であって、
    前記基材層に前記第一の樹脂層を積層した後に、少なくとも1軸方向に同時延伸する工程を含む、製造方法。
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