JP2000006298A - 機能性無機塗膜形成方法 - Google Patents

機能性無機塗膜形成方法

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JP2000006298A
JP2000006298A JP10176332A JP17633298A JP2000006298A JP 2000006298 A JP2000006298 A JP 2000006298A JP 10176332 A JP10176332 A JP 10176332A JP 17633298 A JP17633298 A JP 17633298A JP 2000006298 A JP2000006298 A JP 2000006298A
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Japan
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optical semiconductor
semiconductor fine
coating film
forming
silicone
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JP10176332A
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English (en)
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Takeyuki Yamaki
健之 山木
Koichi Takahama
孝一 高濱
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス基材の表面に、光触媒機能を充分発揮
することができるとともに、耐摩耗性に優れ、表面が傷
付きにくく、密着性にも優れた機能性無機塗膜を形成す
ることができ、しかも、このような塗膜の形成のために
複雑な装置を使用する必要がなくコストが安価で大面積
処理が可能な方法を提供すること。 【解決手段】 光半導体微粒子が分散媒中に均一分散し
た液をガラス基材表面に均一に塗布し分散媒を乾燥除去
してガラス基材表面に光半導体微粒子層を形成した後、
4官能ケイ素ユニットを少なくとも有するシリコーンレ
ジンを含むシリコーンコーティング材を塗布し硬化させ
て、光半導体微粒子の一部が最外表面に露出するように
光半導体微粒子層の空隙にシリコーン層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス基材の表面
に、抗菌性、防カビ性、防曇性、帯電防止性、防汚性、
耐候性、耐久性、耐摩耗性、表面硬度等の各種機能に優
れた機能性無機塗膜を形成することのできる方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】光半導体に励起波長(たとえば、400
nm)の光(紫外線)が当たると活性酸素が発生するこ
と(光触媒性)が知られている。活性酸素は有機物を酸
化して分解することができるため、光半導体を基材の表
面にコーティングした材料には、その表面に付着したカ
ーボン系汚れ成分(たとえば、自動車の排気ガス中に含
まれるカーボン留分や、タバコのヤニ等)を分解する自
己洗浄効果;アミン化合物、アルデヒド化合物に代表さ
れる悪臭成分を分解する消臭効果;大腸菌、黄色ブドウ
球菌に代表される菌成分の発生を防ぐ抗菌効果;防カビ
効果等が期待される。また、光半導体を基材の表面にコ
ーティングした材料に紫外線が当たると、光半導体がそ
の光触媒作用で、空気中の水分または該材料表面に付着
した水分を水酸化ラジカル化し、この水酸化ラジカル
が、水をはじく有機物等(該材料表面に付着したものと
該材料表面中に含まれるもの)を分解除去することによ
り、該材料の表面に対する水の接触角が低下して該材料
表面が水に濡れ(馴染み)やすくなるという親水性(水
濡れ性)向上効果もある(特開昭61−83106号公
報、WO96/29375公報等参照)。この親水性向
上効果から、屋内の部材においては、ガラスや鏡が水滴
で曇りにくい防曇効果が期待され、屋外の部材において
は、付着した汚れが雨水によって洗浄される防汚効果が
期待される。また、光半導体を基材の表面にコーティン
グした材料には、光半導体の光触媒作用による帯電防止
機能もあり、この機能によっても防汚効果が期待され
る。
【0003】光半導体を基材の表面にコーティングする
方法は、塗装等の液相法(湿式法)と、蒸着等の乾式法
に大別される。上記液相法としては、たとえば、シリコ
ーンレジンを主成分とする無機塗料中に光半導体を含有
してなる塗料を基材表面に塗布することにより、シリコ
ーンレジン硬化体中に光半導体を含む塗膜を形成する方
法が知られており、各種基材に適用されている。また、
上記乾式法では、光半導体層が基材表面に形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従
来の光半導体コーティング方法には下記の問題点があっ
た。上記乾式法により基材表面に光半導体をコーティン
グする場合、使用する装置が複雑でコストが高く、しか
も、大面積処理ができないという問題点がある。
【0005】上記液相法については、このような問題点
はない反面、形成される光半導体含有塗膜において、光
半導体が塗膜中に埋没し、光半導体の表面が塗膜に覆わ
れて光半導体が塗膜表面に充分露出せず、紫外線が光半
導体に当たりにくいため、光半導体の光触媒作用による
上記各種機能が充分発揮されない傾向がある。光半導体
の含有量を増やせば、このような問題は避けられると考
えられるが、光半導体の含有量の増大は、クラックが発
生しやすくなる等、塗膜強度等の塗膜性能を低下させる
傾向がある。
【0006】また、基材としてガラス基材を用い、上記
液相法によりガラス基材表面に光半導体をコーティング
する場合、ガラス製品の重要な要素である表面の平滑性
および光沢性と、塗膜の透明性を確保するために、光半
導体としては微粒子状のものが用いられる。しかし、シ
リコーンレジンを主成分とする無機塗料中に微粒子状の
光半導体を均一に分散させることは困難であり、そのた
め、液相法によりガラス基材表面に形成された光半導体
含有塗膜は、光半導体の分布が不均一になるので、耐摩
耗性に劣り、表面を磨いたりした際に傷が付きやすい。
ガラス製品は、表面の一部でも傷が付くと、商品として
の価値が半減してしまう。
【0007】さらに、表面が平滑なガラス基材に光半導
体をコーティングする場合、液相法により形成される光
半導体含有塗膜および乾式法により形成される光半導体
層のいずれについても、表面に凹凸を有する基材にコー
ティングした場合と比べて密着性が悪くなる傾向があ
る。そこで、本発明の課題は、ガラス基材の表面に、光
触媒作用による上記各種機能を充分発揮することができ
るとともに、耐摩耗性に優れ、表面が傷付きにくく、密
着性にも優れた機能性無機塗膜を形成することができ、
しかも、このような塗膜の形成のために複雑な装置を使
用する必要がなく、コストが安価で、大面積処理が可能
な方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる機能性無
機塗膜形成方法は、光半導体微粒子が分散媒中に均一に
分散してなる光半導体微粒子分散液をガラス基材の表面
に均一に塗布した後、前記分散媒を乾燥除去することに
より、前記ガラス基材表面に光半導体微粒子層を形成す
る光半導体微粒子層形成工程と、前記光半導体微粒子層
形成工程の後、下式(1):
【0009】
【化2】
【0010】で表される4官能ケイ素ユニットを少なく
とも有するシリコーンレジンを含むシリコーンコーティ
ング材を塗布し、硬化させて、前記光半導体微粒子の一
部が最外表面に露出するように前記光半導体微粒子層の
空隙にシリコーン層を形成するシリコーン層形成工程
と、を含む。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の機能性無機塗膜形成方法
では、上述したように、光半導体微粒子層形成工程と、
シリコーン層形成工程とが順次行われる。以下、本発明
を、これらの工程の順に従って詳しく説明する。 〔光半導体微粒子層形成工程〕この工程でガラス基材に
塗布される光半導体微粒子分散液は、分散媒中に光半導
体微粒子を均一に分散させたものである。
【0012】使用される分散媒としては、光半導体微粒
子を均一に分散させることのできるものであれば特に限
定はされず、水系、非水系のいずれの溶剤も用いること
ができる。水系溶剤としては、特に限定はされないが、
たとえば、水単独の他、親水性有機溶剤(たとえば、メ
タノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノ
ール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類;エ
チレングリコール、エチレングリコールモノブチルエー
テル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等の
エチレングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジ
エチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレン
グリコール誘導体;ジアセトンアルコール等)の少なく
とも1種と水との混合溶剤を用いることができる。上記
これらの水系溶剤の中でも、水−メタノール混合溶剤
が、光半導体微粒子の分散安定性と、塗布後の分散媒の
乾燥性の点で好ましい。
【0013】非水系溶剤としては、特に限定はされない
が、たとえば、上記親水性有機溶剤と、トルエン、キシ
レン等の疎水性有機溶剤とからなる群の中から選ばれた
少なくとも1種を用いることができる。これらの非水系
溶剤の中でも、メタノールが、光半導体微粒子の分散安
定性と、塗布後の分散媒の乾燥性の点で好ましい。本発
明で用いられる光半導体としては、特に限定はされない
が、たとえば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化
鉄、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロ
ム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニウ
ム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化銅、酸化バナジウ
ム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マンガン、酸化コ
バルト、酸化ロジウム、酸化ニッケル、酸化レニウム等
の金属酸化物の他、チタン酸ストロンチウム等が挙げら
れる。これらの中でも、上記金属酸化物が、実用的に容
易に利用可能な点で好ましく、金属酸化物の中でも特に
酸化チタンが、その光触媒性能、安全性、入手の容易さ
およびコストの面で好ましい。なお、酸化チタンを光半
導体として用いる場合は、結晶型がアナタース型(アナ
ターゼ型)であるものを用いる方が、光触媒性能および
硬化促進性能が最も強く、しかも長期間発現するととも
に、光触媒性能がより短時間で発現する点で好ましい。
【0014】光半導体としては、ガラス製品表面の平滑
性および光沢性と、塗膜の透明性を確保するために、微
粒子状のものが用いられる。その平均一次粒子径は、5
0μm以下であることが好ましく、5μm以下であるこ
とがより好ましく、0.5μm以下であることがさらに
好ましい。光半導体は、1種のみ用いてもよいし、2種
以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】なお、光半導体の原料となるものも、最終
的に光半導体の性質を示す物であれば使用可能である。
光半導体は、紫外線を照射されると、活性酸素を発生す
ること(光触媒性)は公知である。活性酸素は、有機物
を酸化、分解させることができるため、その特性を利用
して、塗装品に付着したカーボン系汚れ成分(たとえ
ば、自動車の排気ガス中に含まれるカーボン留分や、タ
バコのヤニ等)を分解する自己洗浄効果;アミン化合
物、アルデヒド化合物に代表される悪臭成分を分解する
消臭効果;大腸菌、黄色ブドウ球菌に代表される菌成分
の発生を防ぐ抗菌効果;防カビ効果等を得ることができ
る。また、光半導体を含む塗膜に紫外線が当たると、光
半導体がその光触媒作用で水を水酸化ラジカル化し、こ
の水酸化ラジカルが、塗膜表面に付着した、水をはじく
有機物等の汚れを分解除去することにより、水に対する
塗膜の親水性(濡れ性)が向上して、防曇性や、雨水洗
浄による防汚性等が得られるという効果もある。
【0016】さらには、光半導体の光触媒作用による帯
電防止機能もあり、この機能によっても防汚効果が得ら
れる。たとえば、光半導体を含む塗膜に光を照射する
と、この塗膜に含まれる光半導体の作用により塗膜の表
面抵抗値が下がることで帯電防止効果が発現されて、塗
膜表面が汚れにくくなる。光半導体含有塗膜に光が照射
されたとき、どのようなメカニズムで塗膜の表面抵抗値
が下がるのかはまだ明確には確認されていないが、光照
射により生成した電子とホ−ルが作用することで塗膜の
表面抵抗値が下がるものと考えられる。
【0017】光半導体の表面に金属が担持されている
と、光半導体の光触媒効果がより高くなる。そのメカニ
ズムは、まだ明確には確認されていないが、光半導体の
表面に金属が担持されることにより光半導体の電荷分離
が促進されて、電荷分離により生成した電子とホ−ルの
消失確立が小さくなることが関係していると考えられ
る。
【0018】光半導体の表面に担持してよい金属として
は、たとえば、銀、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、白金、
金、パラジウム、カドミウム、コバルト、ロジウム、ル
テニウム等が、光半導体の電荷分離をより促進させる点
で好ましい。担持される金属は、1種のみでも2種以上
でもよい。金属の担持量は、特に限定はされないが、た
とえば、光半導体に対し、0.1〜10重量%であるこ
とが好ましく、0.2〜5重量%であることがより好ま
しい。担持量が0.1重量%未満だと、担持効果が充分
に得られない傾向があり、10重量%を超えて担持して
も、効果はあまり増加せず、逆に変色や性能劣化等の問
題が起きる傾向がある。
【0019】金属の担持方法としては、特に限定するわ
けではないが、浸積法、含浸法、光還元法等が挙げられ
る。光半導体微粒子分散液中、光半導体微粒子の配合量
は、特に限定はされないが、たとえば、固形分基準で、
光半導体微粒子分散液全量100重量部に対する光半導
体微粒子の重量部として述べると、好ましくは0.1〜
10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
光半導体微粒子の配合量が上記範囲より少ないと、充分
な光触媒機能が得られにくくなる等の傾向があり、上記
範囲より多いと、形成される光半導体微粒子層が、乾燥
後、クラックを生じて粉々になりやすい傾向がある。な
お、光半導体微粒子の表面に金属が担持されている場
合、光半導体微粒子の上記配合量は、担持金属を含めた
量である。
【0020】光半導体微粒子を分散媒中に均一に分散さ
せる方法としては、特に限定されるものではなく、たと
えば、ホモジナイザー、ディスパー、ペイントシェーカ
ー、ビーズミル等を用いた通常の各種分散方法を用いる
ことができる。光半導体微粒子分散液をガラス基材の表
面に均一に塗布する方法としては、特に限定されるもの
ではなく、たとえば、刷毛塗り、スプレー、浸漬(ディ
ッピング)、ロール、フロー、カーテン、ナイフコー
ト、スピンコート等の通常の各種塗布方法を選択するこ
とができる。
【0021】ガラス基材の表面に塗布された光半導体微
粒子分散液から分散媒を乾燥除去する方法としては、特
に限定はされず、たとえば、室温放置、真空乾燥、熱風
乾燥等の通常の各種乾燥方法を選択することができる。
乾燥温度も特に限定はされず、分散媒の種類に応じて適
宜設定すればよい。光半導体微粒子層形成工程で形成さ
れる光半導体微粒子層の厚みは、特に制限はなく、たと
えば、クラックを生じなく、かつ、充分に光触媒性能を
発現するためには、0.01〜5μm程度であればよい
が、長期間にわたって、クラック発生もなく、耐久性に
優れるためには、0.01〜2μmが好ましく、0.0
5〜1μmがより好ましい。 〔シリコーン層形成工程〕この工程において、シリコー
ン層の形成に用いられるシリコーンコーティング材は、
前記式(1)で表される4官能ケイ素ユニットを少なく
とも有するシリコーンレジンを含む。4官能ケイ素ユニ
ットの含有により、得られる塗膜の表面硬度が高くな
る。
【0022】このようなシリコーンレジンとしては、光
半導体と接触しても経時劣化しない点と、得られる塗膜
の耐候性、硬度の点で、下記(A)成分を含むシリコー
ンレジン(1)が好ましい。シリコーンレジン(1)
は、下記(A)成分を含む。 (A)成分: (A1 )一般式Si(OR1 4 で表されるケイ素化合
物1モルに対し、(A 2 )一般式R2 Si(OR1 3
で表されるケイ素化合物0〜10モルと、(A 3 )一般
式R2 2 Si(OR1 2 で表されるケイ素化合物0〜
0.6モルと(モル数はすべてモノマー基準)を含む加
水分解性混合物(ここでR1 、R2 は1価の炭化水素基
を示す)の加水分解重縮合物であって、この加水分解重
縮合物の重量平均分子量がポリスチレン換算で500以
上になるように調整されているオルガノシロキサン(以
下、これを「オルガノシロキサン(A)」と称すること
がある)。
【0023】以下では、まず、シリコーンレジン(1)
の各成分について説明する。シリコーンレジン(1)に
含まれる前記(A)成分すなわちオルガノシロキサン
(A)の原料としては、前記ケイ素化合物(A1 )〜
(A3 )を含む加水分解性混合物が用いられる。ケイ素
化合物(A1 )〜(A3 )は、 一般式R2 p Si(OR1 4-p …(2) で総体的に表すことができる(ここでR1 、R2 は1価
の炭化水素基を示し、pは0〜2の整数)。
【0024】R2 としては、特に限定はされないが、た
とえば、置換または非置換で炭素数1〜8の1価の炭化
水素基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;2−フ
ェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニ
ルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基
等のアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニル
基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基(「3−ク
ロロプロピル基」とも言う)、3,3,3−トリフルオ
ロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基;γ−アクリ
ロキシプロピル基(「3−アクリロキシプロピル基」と
も言う)、γ−メタクリロキシプロピル基(「3−メタ
クリロキシプロピル基」とも言う)、γ−グリシドキシ
プロピル基(「3−グリシドキシプロピル基」とも言
う)、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−
メルカプトプロピル基(「3−メルカプトプロピル基」
とも言う)等の置換炭化水素基等を例示することができ
る。これらの中でも、合成の容易さ或いは入手の容易さ
から炭素数1〜4のアルキル基およびフェニル基が好ま
しい。
【0025】また、R1 としては、特に限定はされない
が、たとえば、炭素数1〜4のアルキル基を主原料とす
るものが用いられる。特に、p=0のテトラアルコキシ
シランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキ
シシランなどが例示でき、p=1のオルガノトリアルコ
キシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメト
キシシランなどが例示できる。また、p=2のジオルガ
ノジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシ
ラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキ
シシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニ
ルジメトキシシランなどが例示できる。
【0026】これらR1 、R2 は、ケイ素化合物
(A1 )〜(A3 )の間で同一のものであってもよい
し、違うものであってもよい。オルガノシロキサン
(A)は、たとえば、前記加水分解性混合物を適当な溶
剤で希釈し、そこに硬化剤としての水および必要に応じ
て触媒(たとえば、塩酸、酢酸、ハロゲン化シラン、ク
ロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻
酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレ
イン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸など
の有機酸および無機酸等の1種または2種以上)等を必
要量添加して(必要に応じ加温(たとえば、40〜10
0℃)してもよい)、加水分解および重縮合反応を行わ
せてプレポリマー化させることにより調製することがで
きる。その際、得られるプレポリマー(加水分解重縮合
物)の重量平均分子量(Mw)がポリスチレン換算で5
00以上、好ましくは800以上になるように調整す
る。プレポリマーの分子量分布(重量平均分子量(M
w))が500より小さいときは、シリコーンレジン
(1)の縮重合の際の硬化収縮が大きくて、硬化後に塗
膜にクラックが発生しやすくなったりする。
【0027】オルガノシロキサン(A)を調製する際の
原料(A1 )〜(A3 )の使用量は、モノマー基準で、
(A1 )1モルに対して、(A2 )0〜10モル(好ま
しくは0〜1.0モル、より好ましくは0〜0.5モ
ル)、(A3 )0〜0.6モル(好ましくは0〜0.4
モル、より好ましくは0〜0.1モル)の割合である。
(A2 )、(A3)の使用量が上記範囲より多いと、硬化
被膜の所望の硬度が得られない(硬度が低くなる)とい
う問題がある。
【0028】オルガノシロキサン(A)の原料である前
記加水分解性混合物の加水分解重縮合反応の際に用いら
れる硬化剤としては、水が用いられるが、この量として
は、加水分解性混合物中に含まれるOR1 基1モル当量
当たり、水0.01〜3.0モルが好ましく、0.3〜
1.5モルがさらに好ましい。また、オルガノシロキサ
ン(A)のpHは6以下の範囲内に調整されていること
が好ましい。pHがこの範囲内であれば、前記の分子量
の範囲内で、安定してオルガノシロキサン(A)を使用
することができる。pHがこの範囲外であると、オルガ
ノシロキサン(A)の安定性が悪いため、シリコーンコ
ーティング材調製時からの使用できる期間が限られてし
まう。ここで、pH調整方法は、特に限定されるもので
はないが、たとえば、オルガノシロキサン(A)の原料
混合時、たとえば、アンモニア等の塩基性試薬を用いて
前記範囲内のpHに調整すればよく、pHが6を超えた
場合も、たとえば、塩酸等の酸性試薬を用いて調整すれ
ばよい。また、pHによっては、分子量が小さいまま逆
に反応が進まず、前記分子量範囲に到達させるのに時間
がかかる場合は、オルガノシロキサン(A)を加熱して
反応を促進してもよいし、酸性試薬でpHを下げて反応
を進めた後、塩基性試薬で所定のpHに戻してもよい。
【0029】シリコーンコーティング材がシリコーンレ
ジン(1)を含む場合、該シリコーンコーティング材
は、加熱硬化させる場合は硬化触媒を含む必要はない
が、(A)成分の縮合反応を促進することによって塗布
被膜の硬化を促進させたり常温でも硬化させたりする目
的で必要に応じて、さらに硬化触媒を含むことができ
る。硬化触媒としては、特に限定はされないが、たとえ
ば、アルキルチタン酸塩類;オクチル酸錫、ジブチル錫
ジラウレート、ジオクチル錫ジマレエート等のカルボン
酸金属塩類;ジブチルアミン−2−ヘキソエート、ジメ
チルアミンアセテート、エタノールアミンアセテート等
のアミン塩類;酢酸テトラメチルアンモニウム等のカル
ボン酸第4級アンモニウム塩;テトラエチルペンタミン
等のアミン類、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−
アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミン系シ
ランカップリング剤;p−トルエンスルホン酸、フタル
酸、塩酸等の酸類;アルミニウムアルコキシド、アルミ
ニウムキレート等のアルミニウム化合物;酢酸リチウ
ム、酢酸カリウム、蟻酸リチウム、蟻酸ナトリウム、リ
ン酸カリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩;テ
トライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネー
ト、チタニウムテトラアセチルアセトネート等のチタニ
ウム化合物;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロ
ロシラン、トリメチルモノクロロシラン等のハロゲン化
シラン類等が挙げられる。しかし、これらの他に、
(A)成分の縮合反応の促進に有効なものであれば特に
制限はない。
【0030】シリコーンレジン(1)を含むシリコーン
コーティング材が硬化触媒をも含む場合、その量は、固
形分基準で、オルガノシロキサン(A)の全縮合化合物
換算量に対し、好ましくは10重量%以下、より好まし
くは5%以下である。10重量%を超えると、シリコー
ンコーティング材の貯蔵安定性を損なう可能性がある。
【0031】シリコーンコーティング材中に含まれるシ
リコーンレジンがシリコーンレジン(1)である場合、
シリコーンコーティング材は、硬化触媒を用い、100
℃以下の低温に加熱するか、あるいは、常温放置するこ
とにより、(A)成分の有する加水分解性基同士が縮合
反応して硬化被膜を形成する。したがって、このような
シリコーンコーティング材は、常温で硬化するときにも
湿度の影響をほとんど受けない。また、100℃以上の
加熱処理を行えば、硬化触媒を用いなくても縮合反応を
促進して硬化被膜を形成することができる。
【0032】シリコーンレジンとしてシリコーンレジン
(1)を含むシリコーンコーティング材は、加熱硬化だ
けでなく、硬化触媒を含ませれば常温硬化も可能である
ため、広い乾燥硬化条件範囲あるいは温度範囲での使用
が可能である。従って、熱を均等にかけにくい形状を持
つガラス基材、大きな寸法を持つガラス基材または接着
剤等の有機材料が付いていて耐熱性に劣るガラス基材等
に対しても塗装ができるのみでなく、屋外等で塗装作業
を行ったりする場合等のように熱をかけにくい場合でも
塗装できることから、その産業的価値が高い。
【0033】なお、レベリング剤等の添加剤が、本発明
の効果に悪影響を与えない範囲内でシリコーンコーティ
ング材に含まれていてもよい。シリコーンコーティング
材は、取り扱いの容易さから必要に応じて各種有機溶媒
で希釈して使用できるし、また、同有機溶媒で希釈した
ものであってもよい。有機溶媒の種類は、シリコーンレ
ジンの各成分の有する1価炭化水素基の種類、または、
シリコーンレジンの各成分の分子量の大きさ等に応じて
適宜選定することができる。このような有機溶媒として
は、特に限定はされないが、たとえば、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブ
タノール等の低級脂肪族アルコール類;エチレングリコ
ール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エ
チレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリ
コール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレングリ
コールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘
導体;および、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタ
ン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム、ジ
アセトンアルコール等を挙げることができ、これらから
なる群より選ばれた1種もしくは2種以上を使用するこ
とができる。有機溶媒での希釈割合は特に制限はなく、
必要に応じて希釈割合を適宜決定すれば良い。
【0034】シリコーンコーティング材を製造する方法
は、特に限定はされず、各成分を通常の方法および装置
等を用いて混合すればよい。シリコーンコーティング材
に導入する際の各成分の形態についても、それ自身液状
のものや、溶媒に溶解してなる溶液、分散媒中に分散し
てなる分散液等の液状、粉体等の固体状等を問わず、特
に限定はされない。各成分を溶液または分散液の形で導
入する場合、その溶媒または分散媒としては、たとえ
ば、水、上述の有機溶媒、または、水と上述の有機溶媒
との混合物を使用できる。また、各成分は、別個に添加
してもよいし、あるいは、2成分以上を予め混合してお
いてから残りの成分と混合したり、全成分を同時に混合
したりしてもよく、その添加や混合の時期等についても
特に限定はされない。
【0035】シリコーンコーティング材を塗布する方法
は、特に限定されるものではなく、たとえば、刷毛塗
り、スプレー、浸漬(ディッピング)、ロール、フロ
ー、カーテン、ナイフコート、スピンコート等の通常の
各種塗布方法を選択することができる。シリコーンコー
ティング材の塗膜の硬化方法については、公知の方法を
用いればよく、特に限定はされない。また、硬化の際の
温度も特に限定はされず、所望される硬化被膜性能や、
光半導体および基材の耐熱性等に応じて常温〜加熱温度
の広い範囲をとることができる。
【0036】シリコーン層形成工程は、光半導体微粒子
層の表面を覆う厚みになるまでシリコーン層を形成した
後、このシリコーン層の表面を削ることにより、光半導
体微粒子の一部を最外表面に露出させる工程を含んでい
てもよい。このような工程において、光半導体微粒子層
の表面を覆う厚みになるまで形成されたシリコーン層の
表面を削る方法としては、光半導体微粒子の一部を最外
表面に露出させることのできる方法であれば特に限定は
されないが、たとえば、研磨粉等を用いた研磨法;イオ
ン、電子、アルカリ溶液等によるエッチング法等が挙げ
られる。
【0037】なお、シリコーン層形成工程では、シリコ
ーン層の形成を、光半導体微粒子層がシリコーン層で完
全には覆われず、光半導体微粒子の一部が最外表面に露
出したままに最初からとどめておけば、シリコーン層の
表面を削る上述の工程を省くことができる。シリコーン
層の最終的な厚みは、光半導体微粒子層がシリコーン層
で完全には覆われず、光半導体微粒子の一部が最外表面
に露出する程度の膜厚に設定すれば特に制限はなく、た
とえば、0.01〜5μm程度であればよいが、シリコ
ーン層が基材表面に長期的に安定に密着、保持され、ク
ラックや剥離が発生しないためには、0.1〜1μmが
好ましい。
【0038】最終塗装品の最外表面への光半導体微粒子
の露出の割合は、特に限定はされないが、たとえば、光
半導体が前述の金属酸化物またはチタン酸ストロンチウ
ムである場合を例に挙げて述べれば、最終塗装品の最表
面の元素分析により求められる元素比率において、金属
元素の比率が、好ましくは0.01〜25%、さらに好
ましくは0.1〜20%、よりさらに好ましくは1.0
〜15%である。金属元素の比率が0.01%未満だ
と、光半導体微粒子の光触媒機能を充分発揮させること
ができない恐れがあり、25%を超えると、塗膜として
の硬度が低下し、耐摩耗性に劣る恐れがある。
【0039】本発明の方法により表面に機能性無機塗膜
が形成される基材としては、ガラス基材が用いられる。
ガラス基材としては、特に限定はされないが、たとえ
ば、ナトリウムガラス、パイレックスガラス、石英ガラ
ス、無アルカリガラス等が挙げられる。また、ガラス基
材は、これらのガラスのプレート、その成形体、また
は、それらの少なくとも1つを一部に備えた構成体等で
あってもよい。
【0040】
【実施例】以下、実施例及び比較例によって本発明を詳
細に説明する。実施例及び比較例中、特に断らない限
り、「部」はすべて「重量部」を、「%」はすべて「重
量%」を表す。また、分子量はGPC(ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー)により、測定機種として東
ソー(株)のHLC8020を用いて、標準ポリスチレ
ンで検量線を作成し、その換算値として測定したもので
ある。なお、本発明は下記実施例に限定されない。 <実施例1> (光半導体微粒子分散液の調製):酸化チタンゾル(石
原産業(株)製の酸化チタン水ゾル:商品名「STS−
01」、固形分30%、平均一次粒子径0.007μ
m)20部にメタノール100部を加え、ディスパーを
用いてよく混合することにより、光半導体微粒子分散液
として濃度5%の酸化チタン微粒子水−メタノール分散
液を得た。
【0041】(光半導体微粒子層の形成):上記で得ら
れた分散液をナトリウムガラス板(100mm×100
mm×2mmのサイズのガラス基材)の表面に、スピン
コーター塗装機を用いて塗装した後、40℃で1時間乾
燥させることにより、光半導体微粒子層として膜厚0.
2μmの酸化チタン微粒子層を形成した。
【0042】(シリコーンコーティング材の調製):原
料(A1 )としてテトラエトキシシラン208部にメタ
ノール319.04部を加え、さらに、水67.5部お
よび0.1N塩酸4.5部を混合し、攪拌した。得られ
た液を60℃恒温槽中で5時間加熱することにより、反
応生成物であるオルガノシロキサン(A)の重量平均分
子量(Mw)を1000に調整してオルガノシロキサン
のアルコール溶液を得た。
【0043】オルガノシロキサンのアルコール溶液の調
製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 1.0 ・重量平均分子量 1000 ・全縮合化合物換算固形分 10% 得られたアルコール溶液をメタノールで希釈することに
より、シリコーンコーティング材として5%オルガノシ
ロキサンコーティング材を得た。
【0044】(シリコーン層の形成):上記で表面に酸
化チタン微粒子層を形成したガラス板上に、さらに上記
オルガノシロキサンコーティング材をスピンコーター塗
装機で塗装した後、200℃で1時間硬化させることに
より、シリコーン層を形成した。なお、シリコーン層の
硬化後の膜厚は0.2μmであった。
【0045】得られた塗装品の塗膜表面の元素分析を行
った結果、元素比率でチタンが6.0%検出された。こ
れにより、酸化チタン微粒子が塗膜表面に露出している
ことが確認された。 <実施例2> (光半導体微粒子分散液の調製および光半導体微粒子層
の形成):いずれも実施例1と同様の方法により行っ
た。
【0046】(シリコーンコーティング材の調製):原
料(A1 )としてテトラエトキシシラン100部(0.
48モル)に、原料(A2 )としてメチルトリメトキシ
シラン20部(0.15モル)を加え、メタノール22
3.7部を添加し、さらに、水38.2部および0.1
N塩酸4.5部を混合し、攪拌した。得られた液を60
℃恒温槽中で5時間加熱することにより、反応生成物で
あるオルガノシロキサン(A)の重量平均分子量(M
w)を1100に調整してオルガノシロキサンのアルコ
ール溶液を得た。
【0047】オルガノシロキサンのアルコール溶液の調
製条件: ・〔水〕/〔OR1 〕モル比 1.0 ・重量平均分子量 1100 ・全縮合化合物換算固形分 10% 得られたアルコール溶液をメタノールで希釈することに
より、シリコーンコーティング材として5%オルガノシ
ロキサンコーティング材を得た。
【0048】(シリコーン層の形成):上記で表面に酸
化チタン微粒子層を形成したガラス板上に、さらに上記
オルガノシロキサンコーティング材をスピンコーター塗
装機で塗装した後、200℃で1時間硬化させることに
より、シリコーン層を形成した。なお、シリコーン層の
硬化後の膜厚は0.2μmであった。
【0049】得られた塗装品の塗膜表面の元素分析を行
った結果、元素比率でチタンが7.5%検出された。こ
れにより、酸化チタン微粒子が塗膜表面に露出している
ことが確認された。 <比較例1>実施例1で調製した光半導体微粒子分散液
50部と実施例1で調製したシリコーンコーティング材
50部とを混合して、光半導体微粒子を含有するシリコ
ーンコーティング材を得た。このコーティング材を実施
例1と同様のガラス基材の表面にスピンコーター塗装機
で塗装した後、200℃で1時間硬化させることによ
り、膜厚0.2μmの酸化チタン/シリコーン複合膜を
形成した。
【0050】得られた塗装品の塗膜表面の元素分析を行
った結果、元素比率でチタンが2.5%検出された。こ
れにより、酸化チタン微粒子が塗膜表面に露出している
ことが確認された。上記実施例および比較例で得られた
各塗装品の塗膜性能を下記方法で評価した。 <評価方法> (耐摩耗性):トラバース式摩耗試験機を用い、キャン
バス布を塗装品の塗装面に接触させ、1000回往復摺
動(荷重100g/cm2 、ストローク60mm)させ
ることにより、摩耗試験を行った。そして、摩耗試験に
よる塗膜外観変化と、摩耗試験前後の塗膜表面の有機物
分解性を調べた。なお、塗膜表面の有機物分解性は、以
下の方法で評価した。
【0051】(有機物分解性):オレイン酸1%のアセ
トン溶液に塗装品を浸漬後、速度1.5mm/秒で引き
上げ、60℃で5分間乾燥することにより、塗膜表面に
有機物(オレイン酸)を付着させた。このようにして有
機物を付着させた塗膜表面について、水に対する接触角
を測定した。この接触角の測定は、有機物を付着させた
前記塗膜表面にブラックライト(5mW/cm2 )の紫
外線を12時間照射する前と後で行った。紫外線の照射
により接触角が大きく減少する程、塗膜表面の有機物を
分解する性能が高いことを示す。
【0052】評価結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】表1にみるように、本発明の方法に従って
得られた実施例1、2の塗装品は、摩耗試験により塗膜
外観に変化はみられず、しかも、摩耗試験後も摩耗試験
前と変わらず、紫外線照射により接触角が大きく減少し
ており、高い有機物分解性を示した。これに対し、前述
した従来の液相法により得られた比較例1の塗装品は、
摩耗試験により塗膜表面に傷が発生し、しかも、摩耗試
験後は、摩耗試験前と比べて、紫外線照射による接触角
の減少の程度が小さく、有機物分解性が低下している。
したがって、比較例1の塗装品は、実施例1、2の塗装
品と比べて、耐摩耗性が低いことがわかる。
【0055】
【発明の効果】請求項1から4までのいずれかに記載の
機能性無機塗膜形成方法によりガラス基材表面に形成さ
れる機能性無機塗膜は、光半導体を含むため、抗菌性、
消臭性の他、表面親水性(水に対する濡れ性)向上によ
る防曇性や雨水洗浄防汚性、さらには帯電防止機能によ
る防汚効果等の、光半導体の光触媒作用に由来する種々
の特性を充分発揮する優れた機能性塗膜である。この塗
膜は、無機系であるため、光半導体等の各種添加剤の含
有により塗膜性能が損なわれることが少なく、紫外線で
劣化しにくく、耐候性、耐久性等にも優れる。
【0056】上記機能性無機塗膜形成方法では、光半導
体微粒子を含有する塗料をガラス基材表面にコーティン
グする前述の従来の液相法と比べて、前記光半導体微粒
子層形成工程に従って、光半導体微粒子を単に分散媒中
に分散させるため、光半導体微粒子を容易に液中に均一
分散させることができ、このように光半導体微粒子が均
一に分散した液をガラス基材表面に均一にコーティング
して光半導体微粒子層を形成し、その後、前記シリコー
ン層形成工程により光半導体微粒子層の分散媒除去後の
空隙にシリコーン層を形成するので、形成される塗膜中
に光半導体微粒子を均一に分布させることができる。そ
のため、耐摩耗性にも優れ、表面が傷付きにくい機能性
無機塗膜を形成することができる。シリコーン層の形成
には、4官能ケイ素ユニットを少なくとも有するシリコ
ーンレジンを含むシリコーンコーティング材が用いられ
るため、形成される機能性無機塗膜の表面硬度が高くな
り、耐摩耗性がより向上して表面がさらに傷付きにくく
なる。
【0057】上記機能性無機塗膜形成方法のシリコーン
層形成工程では、光半導体微粒子の一部が最外表面に露
出するように光半導体微粒子層の空隙にシリコーン層を
形成するので、光半導体の光触媒作用による上記各種機
能を充分発揮させることができる。上記機能性無機塗膜
形成方法により形成される機能性無機塗膜は、光半導体
微粒子層の空隙がシリコーン層で埋められて形成されて
いるので、光半導体のコーティングを前述の従来法によ
り行った場合と比べて、シリコーン層とガラス基材との
親和性により、表面が平滑なガラス基材に対する密着性
が高い。
【0058】また、上記機能性無機塗膜形成方法は、前
述した従来の乾式法と比べて、複雑な装置を使用する必
要がなく、コストが安価で、しかも大面積の処理が可能
である。請求項2に記載の機能性無機塗膜形成方法で
は、シリコーン層形成工程において、光半導体微粒子層
の表面を覆う厚みになるまでシリコーン層を形成した
後、このシリコーン層の表面を削ることにより、光半導
体微粒子の一部を最外表面に露出させるようにするの
で、最外表面への光半導体微粒子の一部の露出を確実に
行うことができる。
【0059】請求項3に記載の機能性無機塗膜形成方法
では、光半導体微粒子分散液の分散媒として非水系溶剤
が用いられるため、分散媒を乾燥除去しやすい、光半導
体微粒子をより均一に分散させることができるので均一
な光半導体微粒子層を形成しやすい等の利点がある。請
求項4に記載の機能性無機塗膜形成方法では、光半導体
微粒子として酸化チタン微粒子が用いられるため、その
入手が容易であり、コストを下げることができ、しかも
安全である。また、他の光半導体微粒子と比べて、光触
媒性能が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B05D 7/24 302 B05D 7/24 302Y B32B 17/06 B32B 17/06 C03C 17/30 C03C 17/30 Z // A01N 61/00 A01N 61/00 D Fターム(参考) 4D075 BB02Z BB20Y BB21Y BB24Y BB26Y CA02 CA13 CA22 CA32 CA34 CA39 CA45 DA06 DB13 EA02 EA06 EA10 EA12 EB43 EC02 EC45 EC60 4F100 AA21B AG00A AK52B AK52C BA02 BA03 BA07 BA10A BA10C BA44 DC30 DD32C DE01B EH11 EH46C EJ34C EJ82B GB07 GB32 JC00 JK08 JK12 JL02 JL06 JL11 4G059 AA01 AB07 AB11 AC16 AC18 AC21 AC22 AC30 FA22 FA28 FB06 GA02 GA05 GA12 4G069 AA02 AA08 BA04A BA04B BA48A DA05 EA02X EA02Y FA01 4H011 AA02 BA01 BB18 BC16 BC19

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光半導体微粒子が分散媒中に均一に分散し
    てなる光半導体微粒子分散液をガラス基材の表面に均一
    に塗布した後、前記分散媒を乾燥除去することにより、
    前記ガラス基材表面に光半導体微粒子層を形成する光半
    導体微粒子層形成工程と、 前記光半導体微粒子層形成工程の後、下式(1): 【化1】 で表される4官能ケイ素ユニットを少なくとも有するシ
    リコーンレジンを含むシリコーンコーティング材を塗布
    し、硬化させて、前記光半導体微粒子の一部が最外表面
    に露出するように前記光半導体微粒子層の空隙にシリコ
    ーン層を形成するシリコーン層形成工程と、を含む機能
    性無機塗膜形成方法。
  2. 【請求項2】前記シリコーン層形成工程は、前記光半導
    体微粒子層の表面を覆う厚みになるまで前記シリコーン
    層を形成した後、このシリコーン層の表面を削ることに
    より、前記光半導体微粒子の一部を最外表面に露出させ
    る工程を含む、請求項1に記載の機能性無機塗膜形成方
    法。
  3. 【請求項3】前記光半導体微粒子分散液は、前記分散媒
    として非水系溶剤を含む、請求項1または2に記載の機
    能性無機塗膜形成方法。
  4. 【請求項4】前記光半導体微粒子は酸化チタン微粒子で
    ある、請求項1から3までのいずれかに記載の機能性無
    機塗膜形成方法。
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