JP2000005888A - レーザ突合せ溶接方法 - Google Patents

レーザ突合せ溶接方法

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JP2000005888A
JP2000005888A JP10177845A JP17784598A JP2000005888A JP 2000005888 A JP2000005888 A JP 2000005888A JP 10177845 A JP10177845 A JP 10177845A JP 17784598 A JP17784598 A JP 17784598A JP 2000005888 A JP2000005888 A JP 2000005888A
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laser
butt welding
laser beam
filler
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Fumikatsu Esaka
文克 江阪
Toshiyuki Takasago
俊之 高砂
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】2つの被溶接材を突き合わせた後、それら2つ
の被溶接材間に形成されるギャップにフィラワイヤを供
給するとともにそのフィラワイヤ表面にレーザ光を照射
してフィラワイヤを溶融する方法において、フィラワイ
ヤの位置ずれにもかかわらずレーザ光をフィラワイヤ表
面に十分なエネルギ量で照射可能とすることにより、フ
ィラワイヤの位置ずれに起因したフィラワイヤの溶融不
良を回避する。 【解決手段】2つのレーザ光L1 ,L2 をフィラワイヤ
26の表面にそのフィラワイヤの理想中心線CLの方向
と交差する方向に互いに隔たった2点70,72におい
てそれぞれ照射する。それら2点の間隔Dは例えば、フ
ィラワイヤの直径dのほぼ半分以下とすることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィラワイヤを用
いたレーザ突合せ溶接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特公昭63−32554号公報には、フ
ィラワイヤを用いたレーザ突合せ溶接方法の一従来例が
記載されている。この従来例によれば、レーザ光により
フィラワイヤが溶融され、そのフィラワイヤから溶け出
した金属により、突き合わせて溶接すべき2つの被溶接
材間のギャップが充填される。そのため、この従来例に
よれば、フィラワイヤを用いない場合とは異なり、ギャ
ップが多少大きい場合でも支障なくレーザ突合せ溶接を
行い得、よって、ギャップのばらつきに対する許容範囲
が拡大される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用お
よび発明の効果】レーザ突合せ溶接時には、フィラワイ
ヤの実際位置が理想位置からずれないことが望ましい
が、ずれてしまう場合がある。フィラワイヤの位置ずれ
は種々の原因により発生し得、例えば、フィラワイヤの
ギャップへの供給がフィラワイヤがギャップに追従する
ように行われる場合には、被溶接材の製造ばらつき等に
よりギャップの実際位置が理想位置からずれてしまう
と、それに応じてフィラワイヤの実際位置も理想位置か
らずれてしまうのである。一方、前記従来例において
は、1つのレーザ光の照射点が、フィラワイヤの表面上
においてそのフィラワイヤの理想中心線に沿った1本の
軌跡を描かせられる。そのため、この従来例では、フィ
ラワイヤの実際中心線が理想中心線からずれてしまう
と、レーザ光のフィラワイヤ表面への入射角が大きくな
ってフィラワイヤがレーザ光から受ける受光エネルギが
減少してしまい、その結果、フィラワイヤの溶融不良が
発生し易いという問題があった。このような事情を背景
として、本発明は、フィラワイヤの位置ずれにもかかわ
らずレーザ光をフィラワイヤ表面に安定したエネルギで
照射可能なレーザ突合せ溶接方法を提供することを課題
としてなされたものである。その課題は下記の本発明の
各態様により解決される。なお、以下の説明において、
本発明の各態様をそれぞれに項番号を付して請求項と同
じ形式で記載する。各項に記載の特徴を組み合わせて採
用することの可能性を明示するためであり、ここに記載
された組合せ以外の組合せを採用することを排除した
り、ここに記載された特徴以外の特徴を組み合わせるこ
とを排除するものではない。
【0004】(1) 2つの被溶接材を突き合わせた後、そ
れら2つの被溶接材間に形成されるギャップにフィラワ
イヤを供給するとともにそのフィラワイヤ表面にレーザ
光を照射してフィラワイヤを溶融しつつ、レーザ光のフ
ィラワイヤの表面への照射点と2つの被溶接材とをギャ
ップの長さ方向に相対移動させるレーザ突合せ溶接方法
において、前記レーザ光を少なくとも1つ、それの少な
くとも1つの前記照射点が、前記フィラワイヤ表面上に
おいてそのフィラワイヤの理想中心線方向と交差する方
向に互いに隔たった2点を通過する少なくとも1本の軌
跡を描くように照射することを特徴とするレーザ突合せ
溶接方法〔請求項1〕。この方法においては、少なくと
も1つのレーザ光の照射点が、フィラワイヤの位置がず
れる可能性のある方向、すなわち、フィラワイヤ表面上
においてそのフィラワイヤの理想中心線方向と交差する
方向に互いに隔たった2点を通過する少なくとも1本の
軌跡を描かせられる。よって、この方法によれば、フィ
ラワイヤの実際中心線が理想中心線から一方向にずれれ
ば、フィラワイヤが、少なくとも1本の軌跡のうち前記
2点の一方を通過する第1部分からは離間するが、2点
の他方を通過する第2部分には接近することになる。フ
ィラワイヤが第1部分から離間するためにフィラワイヤ
がその第1部分においてレーザ光から受けるエネルギが
減少しても、その減少したエネルギが、フィラワイヤが
第2部分に接近することによって補われることになるの
である。したがって、この方法によれば、フィラワイヤ
の位置ずれにもかかわらずレーザ光をフィラワイヤ表面
に安定したエネルギで照射可能となり、よって、フィラ
ワイヤの位置ずれに起因したフィラワイヤの溶融不良を
良好に回避し得る。ところで、レーザ光を集光してフィ
ラワイヤ表面に照射する場合において、その照射状態を
フォーカス状態ではないデフォーカス状態とすれば、レ
ーザ光がフィラワイヤ表面に照射される領域すなわち熱
源がフィラワイヤの位置がずれる可能性のある方向に拡
大される。したがって、レーザ光の照射状態をデフォー
カス状態とした上で前記従来例を実施すれば、レーザ光
の照射点が描く軌跡を本項に記載の方法に従って変更し
なくても、フィラワイヤの溶融不良という問題が回避さ
れそうである。しかし、この場合には、レーザ光からフ
ィラワイヤが単位面積当たりに受けるエネルギである受
光エネルギ密度が減少し、このことが新たな原因となっ
て、フィラワイヤの溶融不良という問題が生じる可能性
がある。これに対して、本項に記載の方法においては、
レーザ光の照射状態をデフォーカス状態とすることが不
可欠ではないため、フィラワイヤの受光エネルギ密度の
減少に起因したフィラワイヤの溶融不良という問題は生
じない。なお、本項に記載の方法は、レーザ光の照射状
態をデフォーカス状態とする形態で実施することは可能
であり、この場合、レーザ光のデフォーカス状態を上記
従来例におけるほどには強くせずに済むため、フィラワ
イヤの受光エネルギ密度の減少に起因したフィラワイヤ
の溶融不良という問題は生じない。また、本項に記載の
方法において「突き合わせる」形態には、端面同士を突
き合わせる形態と、一方の被溶接材の端面と他方の被溶
接材の平面とを突き合わせる形態とがある。 (2) 前記2点が、前記理想中心線と理想位置にある前記
ギャップとの双方を通過する一平面を隔てて位置させら
れている(1) 項に記載のレーザ突合せ溶接方法。 (3) 前記少なくとも1つのレーザ光が、2つのレーザ光
を含み、前記少なくとも1本の軌跡が、前記2点をそれ
ぞれ通過して前記理想中心線方向に沿って延びる2本の
軌跡であって前記2つのレーザ光の2個の前記照射点に
よりそれぞれ描かれるものを含む(1) または(2) 項に記
載のレーザ突合せ溶接方法〔請求項2〕。この方法によ
れば、後述の(8) 項に記載の方法とは異なり、フィラワ
イヤの位置ずれに起因したフィラワイヤの溶接不良を回
避するためにレーザ光の照射点をフィラワイヤの理想中
心線方向と交差する方向に往復運動させることが不可欠
ではなくなる。そのため、レーザ突合せ溶接を行う装置
において可動部の構造が複雑にならずに済み、その結
果、その装置の耐久性および信頼性を低下させることな
くフィラワイヤの溶接不良を回避し得る。一方、レーザ
光がフィラワイヤ表面に照射されると、その照射点にお
いてフィラワイヤ表面から高圧の金属蒸気が発生する。
レーザ光の照射点は金属蒸気の発生点でもあるのであ
る。また、その金属蒸気の圧力はフィラワイヤにそれの
位置をずらす向きに作用し得るため、金属蒸気の発生点
は圧力作用点として機能することになる。したがって、
上述のように、レーザ光の照射点の往復運動がなくなれ
ば、それに伴う金属蒸気の発生点の往復運動もなくな
り、よって、本項に記載の方法によれば、圧力作用点と
しての金属蒸気の発生点の往復運動に起因したフィラワ
イヤの位置ずれの可能性を生じさせることなくフィラワ
イヤの溶接不良を回避し得る。 (4) 前記2つのレーザ光が、レーザ光源から発せられた
1つのレーザ光を2つに分割することにより得られる
(3) 項に記載のレーザ突合せ溶接方法。2つのレーザ光
は2個のレーザ光源を用いて得ることが可能であるが、
本項に記載の方法によれば、1個のレーザ光源を用いて
得ることが可能となる。そのため、この方法によれば、
2個のレーザ光源を用いる場合に比較して、レーザ突合
せ溶接のための設備のコストを節減し得る。 (5) 前記2本の軌跡の間隔が、前記フィラワイヤの直径
より小さくされている(3) または(4) 項に記載のレーザ
突合せ溶接方法。 (6) 前記2本の軌跡の間隔が、前記フィラワイヤの直径
のほぼ半分以下とされている(3) または(4) 項に記載の
レーザ突合せ溶接方法。2本の軌跡の間隔は、フィラワ
イヤの直径より僅かに小さい大きさに選ぶことが可能で
あり、このようにすれば、フィラワイヤを溶融するのに
必要な受光エネルギが確保される条件下でフィラワイヤ
がずれ得る範囲が拡大される。しかし、この場合には、
フィラワイヤの実際位置が理想位置と等しいときに、2
つのレーザ光がそのフィラワイヤの外周円筒面のうちそ
れらレーザ光にほぼ平行な部分にのみ照射されることに
なり、フィラワイヤが確実に溶融されない可能性が生じ
る。レーザ光がフィラワイヤの外周円筒面に臨界角を超
える角度で入射すると、レーザ光がフィラワイヤ表面に
おいて全反射してしまい、フィラワイヤがレーザ光のエ
ネルギを吸収することができなくなるからである。これ
に対して、本発明者らは、2本の軌跡の間隔の適正範囲
を求めるべく実験を行い、その結果、2本の軌跡の間隔
がフィラワイヤの直径のほぼ半分を超えないことが望ま
しいことに気がついた。そのような知見に基づいて本項
に記載の方法がなされたのである。 (7) 前記2本の軌跡の間隔が、前記フィラワイヤの直径
のほぼ4分の1以上とされている(3) ないし(6) 項のい
ずれかに記載のレーザ突合せ溶接方法。 (8) 前記少なくとも1つのレーザ光が、1つのレーザ光
を含み、前記少なくとも1本の軌跡が、前記理想中心線
方向と直角でない角度で交差する方向に互いに隔たった
前記2点をそれぞれ通過して理想中心線方向に沿って延
びる波状の1本の軌跡であって前記1つのレーザ光の1
個の前記照射点により描かれるものを含む(1) または
(2) 項に記載のレーザ突合せ溶接方法。この方法によれ
ば、上記(3) 項に記載の方法とは異なり、レーザ光の数
を2つ以上とすることが不可欠ではなくなる。 (9) 前記波状の1本の軌跡の振幅が、前記フィラワイヤ
の直径より小さくされている(8) 項に記載のレーザ突合
せ溶接方法。 (10)前記波状の1本の軌跡の振幅が、前記フィラワイヤ
の直径のほぼ半分以下とされている(8) 項に記載のレー
ザ突合せ溶接方法。 (11)前記波状の1本の軌跡の振幅が、前記フィラワイヤ
の直径のほぼ4分の1以上とされている(8) 項に記載の
レーザ突合せ溶接方法。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明のさらに具体的な実
施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0006】本発明の第1実施形態であるレーザ突合せ
溶接方法は、被溶接材としての薄板の端面同士を突き合
わせてレーザ光により溶接するものである。この方法は
例えば、自動車の外板の一つであるサイドメンバアウタ
に適用できる。サイドメンバアウタは、穴を有する比較
的複雑な形状を有していて、材料の歩留り向上等のため
に、複数の部品が相互に突き合わせられて溶接されるこ
とにより製造される。
【0007】図1には、第1実施形態を実施するのに好
適なレーザ溶接装置が示されている。レーザ溶接装置
は、突き合わせられた2つの被溶接材10,12をレー
ザ光により溶接する。そのため、レーザ溶接装置は、そ
れら被溶接材10,12とレーザ光とを相対移動させる
移動装置14を備えている。具体的には、移動装置14
は、被溶接材10,12を突き合わせた状態で保持する
テーブル16を有している。テーブル16には、それの
面に沿った一平面上において互いに直交するX軸とY軸
とが設定されており、テーブル16はモータ18により
X軸方向、モータ20によりY軸方向にそれぞれ移動さ
せられる。それらモータ18,20は制御装置22によ
り、レーザ光が被溶接材10,12に対して、それら被
溶接材10,12を互いに溶接すべき溶接方向に相対的
に移動させられるように制御される。
【0008】レーザ溶接装置はさらに、突き合わせられ
た被溶接材10,12間のギャップ24(図3参照)に
フィラワイヤ26を供給するワイヤ供給装置28も備え
ている。ワイヤ供給装置28は、フィラワイヤ26をギ
ャップ24に、フィラワイヤ26の先端部がギャップ2
4に接触するように供給する。具体的には、ワイヤ供給
装置28は、供給機30と、その供給機30に一端部が
接続された屈曲性のある導管32と、その導管32の他
端部に接続されたノズル34とを含むように構成されて
いる。供給機30は、フィラワイヤ26を収容するとと
もにフィラワイヤ26を必要な速度で導管32内に送り
出す。導管32は、フィラワイヤ26をその先端部がノ
ズル34から露出する向きに導く。ノズル34は、溶接
方向においてレーザ光より下流側の位置に、レーザ光と
の相対位置が一定となるように保持される。
【0009】レーザ溶接装置はさらに、溶接ヘッド44
も備えている。溶接ヘッド44は、レーザ光を発生させ
るとともに、発生させられたレーザ光を集光および反射
して、フィラワイヤ26の先端部の表面に局部的に照射
する。溶接ヘッド44は、レーザ光を下向きにフィラワ
イヤ26の表面に照射する。
【0010】溶接ヘッド44は、フレーム46とレーザ
光源48と集光器としての集光ミラー50と光分割器と
しての光分割ミラー52とを含む構成とされている。レ
ーザ光源48は、平行光である炭酸ガスレーザ光等、1
つのレーザ光(1本のレーザビーム)を発生させる。集
光ミラー50は、レーザ光源48から入射したレーザ光
をそれの光軸に対して約45°の角度で傾斜した放物面
である反射面により反射して集光する。光分割ミラー5
2は、集光ミラー50から入射したレーザ光を2つの分
割レーザ光に分割されるように反射してフィラワイヤ2
6の表面に照射する。
【0011】図2には、光分割ミラー52が正面図と側
面図とで示されている。光分割ミラー52は、円形であ
る全体反射面54を有しており、その全体反射面54
は、上記集光ミラー50に入射するレーザ光の光軸とそ
の集光ミラー50から出射するレーザ光の光軸との双方
を含む一平面(以下、「基準平面PREF 」という)であ
って全体反射面54の一直径を通過するものによって2
つの部分反射面56,58に分割されている。それら部
分反射面56,58は共に、一平面で構成されており、
また、それら部分反射面56,58は、それらの境界線
60において凸となるように互いに接続されている。そ
れら部分反射面56,58は共に、基準平面PREF と直
角な平面に対して角度θで傾斜させられている。なお、
本実施形態においては、レーザ光が下向きにフィラワイ
ヤ26の表面に照射されるようにするため、基準平面P
REF が垂直面とされている。
【0012】このような構成を有することにより、図1
に示すように、集光ミラー50から出射したレーザ光L
0 は光分割ミラー52により、基準平面PREF を隔てた
2つの分割レーザ光L1 ,L2 に分割される。
【0013】図3には、それら分割レーザ光L1 ,L2
がフィラワイヤ26の表面に照射される様子が、それら
分割レーザ光L1 ,L2 およびフィラワイヤ26をその
フィラワイヤ26の中心線CLの方向において見た図で
示されている。ただし、この図においては、フィラワイ
ヤ26の中心線CLの位置が理想位置であり、かつ、ギ
ャップ24の位置も理想位置である状況が想定されて示
されている。このように、2つの分割レーザ光L1 ,L
2 は、フィラワイヤ26の表面に、基準平面P REF すな
わちフィラワイヤ26の理想中心線CLを隔てて互いに
対向する2個の照射点70,72においてそれぞれ照射
されるのである。本実施形態においては、それら2個の
照射点70,72が、溶接方向と直角に交差する一平面
上に位置させられているが、溶接方向と直角でない角度
で交差する一平面上に位置させられたものとすることが
できる。2つの分割レーザ光L1 ,L2 は、フィラワイ
ヤ26の表面にフォーカス状態で照射される。2個の照
射点70,72がそれぞれ、2つの分割レーザ光L1
2 の焦点とされているのである。
【0014】本実施形態においては、フィラワイヤ26
の直径dが0.8mmとされ、一方、2個の照射点7
0,72の間隔Dが約0.2〜0.4mmの範囲内の値
とされ、具体的には0.3mmとされている。
【0015】図4には、フィラワイヤを用いたレーザ突
合せ溶接方法の一従来例が示されている。この従来例に
おいては、レーザ光がフィラワイヤ26の表面に1本の
基準線に沿って照射される。その基準線は、理想位置に
あるフィラワイヤ26の表面と基準平面PREF との2本
の交線のうち被溶接材10,12から離れたものとして
設定されている。同図には、理想位置にあるフィラワイ
ヤ26は実線、2つの実際位置にあるフィラワイヤ26
は破線でそれぞれ示されている。この従来例に従って被
溶接材10,12を互いに溶接する実験を行った結果、
図5に示すように、フィラワイヤ26の実際位置の理想
位置からのずれ量の絶対値が0.2mmを超えると、フ
ィラワイヤ26の溶融不良が発生することが確認され
た。その理由は、フィラワイヤ26のずれ量が大きくな
ると、図6に示すように、レーザ光がフィラワイヤ26
の表面に入射する角度が臨界角を超えてしまい、レーザ
光がフィラワイヤ26に吸収されることなく全部反射し
てしまうからである。
【0016】これに対して、本実施形態においては、図
7に示すように、2つの分割レーザ光L1 ,L2 がフィ
ラワイヤ26の表面に、フィラワイヤ26の位置がずれ
る可能性がある方向に互いに隔たった2個の照射点7
0,72において照射される。したがって、それら2個
の照射点70,72は図8に示すように、フィラワイヤ
26の表面に2本の軌跡80,82を描くことになる。
それら軌跡80,82は、フィラワイヤ26の理想中心
線CLを隔てて互いに平行に延びる2本の線として形成
される。そして、本実施形態に従って被溶接材10,1
2を互いに溶接する実験を行った結果、図5に示すよう
に、フィラワイヤ26の実際位置の理想位置からのずれ
量の絶対値が0.45mmを超えない限り、フィラワイ
ヤ26の溶融不良が発生しないことが確認された。
【0017】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、フィラワイヤ26の位置ずれにもかかわ
らずレーザ光をフィラワイヤ26の表面に十分なエネル
ギで照射可能となり、よって、フィラワイヤ26の位置
ずれに起因したフィラワイヤ26の溶融不良を良好に回
避し得る。
【0018】本実施形態においては、一回のレーザ突合
せ溶接時におけるフィラワイヤ26の供給開始タイミン
グとレーザ光の照射開始タイミングとの関係につき、供
給開始タイミングが照射開始タイミングより少しの時間
遅らせられている。その結果、レーザ光の照射によって
フィラワイヤ26の表面近傍に楕円球状を成すプラズマ
が発生した後に、そのプラズマの中にフィラワイヤ26
の先端部が進入させられることとなり、レーザ突合せ溶
接の開始直後からフィラワイヤ26を十分に溶融可能と
なり、このことによっても、フィラワイヤ26の溶融不
良を良好に回避し得る。
【0019】次に、本発明の第2実施形態であるレーザ
突合せ溶接方法を説明する。第1実施形態においては、
2つのレーザ光がフィラワイヤ表面にそのフィラワイヤ
の位置がずれる可能性のある方向に互いに隔たった2点
において照射されるようになっているが、本実施形態に
おいては、1つのレーザ光がフィラワイヤ表面に照射さ
れるとともに、その照射点がフィラワイヤ表面上におい
てそのフィラワイヤの位置がずれる可能性のある方向に
往復運動させられる。本実施形態においては、2つのレ
ーザ光を用いることに代えて1つのレーザ光が往復運動
させられるのである。
【0020】図9には、本実施形態であるレーザ突合せ
溶接方法を実施するためのレーザ溶接装置が示されてい
る。このレーザ溶接装置は、基本的には第1実施形態に
おけるレーザ溶接装置と同様であるため、異なる要素に
ついてのみ詳細に説明し、共通する要素については同一
の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0021】レーザ溶接装置は、第1実施形態における
と同様に、図示しない移動装置およびワイヤ供給装置
と、溶接ヘッド100とを備えている。溶接ヘッド10
0は、フレーム46とレーザ光源48と集光ミラー50
とを備えている。集光ミラー50は放物面である反射面
102を有している。溶接ヘッド100は、第1実施形
態における光分割ミラー52に代えて、オシレートミラ
ー104を備えている。オシレートミラー104は、基
準平面PREF (図示しないが、同図の紙面に平行な平
面)に直角な揺動軸106を備えており、その揺動軸1
06がオシレート装置としてのガルバノメータ108に
より揺動させられる。その結果、集光ミラー50から出
射したレーザ光Lはオシレートミラー102によってほ
ぼ直角に曲げられて下向きとされた後、フィラワイヤ2
6の表面に照射される。その照射点は、フィラワイヤ2
6の表面上を溶接方向と交差する方向(本実施形態にお
いては、基準平面PREF と平行な方向)に揺動させられ
つつ溶接方向に進行させられる。したがって、その照射
点は、図10に示すように、フィラワイヤ26の表面
に、フィラワイヤ26の理想中心線CLに沿って延びる
波状の1本の軌跡110を描くことになる。
【0022】本実施形態においても、第1実施形態にお
けると同様に、フィラワイヤ26の直径dが0.8mm
とされ、一方、軌跡110の揺動幅Wが約0.2〜0.
4mmの範囲内の値とされ、具体的には0.3mmとさ
れている。
【0023】以上、本発明のいくつかの実施形態を図面
に基づいて詳細に説明したが、それらの他にも、特許請
求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて
種々の変形,改良を施した形態で本発明を実施すること
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるレーザ突合せ溶接
方法を実施するのに好適なレーザ溶接装置を示す斜視図
である。
【図2】図1における光分割ミラーを示す正面図および
側面図である。
【図3】第1実施形態における2つの分割レーザ光と理
想位置にあるフィラワイヤとの位置関係を説明するため
の図である。
【図4】フィラワイヤを用いたレーザ突合せ溶接方法の
一従来例を説明するための図である。
【図5】その従来例と第1実施形態とをフィラワイヤの
位置ずれの許容範囲に関して互いに比較するためのグラ
フである。
【図6】その従来例の問題点を説明するための図であ
る。
【図7】第1実施形態における2つの分割レーザ光と理
想位置および2つの実際位置にあるフィラワイヤとの位
置関係を説明するための図である。
【図8】第1実施形態において2つの分割レーザ光がフ
ィラワイヤ表面に照射される2個の照射点が描く2本の
軌跡を示す平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態であるレーザ突合せ溶接
方法を実施するのに好適なレーザ溶接装置を示す正面図
である。
【図10】第2実施形態において1つのレーザ光がフィ
ラワイヤ表面に照射される1個の照射点が描く1本の軌
跡を示す平面図である。
【符号の説明】
10,12 被溶接材 24 ギャップ 26 フィラワイヤ 70,72 照射点 80,82,110 軌跡

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2つの被溶接材を突き合わせた後、それら
    2つの被溶接材間に形成されるギャップにフィラワイヤ
    を供給するとともにそのフィラワイヤ表面にレーザ光を
    照射してフィラワイヤを溶融しつつ、レーザ光のフィラ
    ワイヤ表面への照射点と2つの被溶接材とをギャップの
    長さ方向に相対移動させるレーザ突合せ溶接方法におい
    て、 前記レーザ光を少なくとも1つ、それの少なくとも1個
    の前記照射点が、前記フィラワイヤ表面上においてその
    フィラワイヤの理想中心線方向と交差する方向に互いに
    隔たった2点を通過する少なくとも1本の軌跡を描くよ
    うに照射することを特徴とするレーザ突合せ溶接方法。
  2. 【請求項2】前記少なくとも1つのレーザ光が、2つの
    レーザ光を含み、前記少なくとも1本の軌跡が、前記2
    点をそれぞれ通過して前記理想中心線方向に沿って延び
    る2本の軌跡であって前記2つのレーザ光の2個の前記
    照射点によりそれぞれ描かれるものを含む請求項1に記
    載のレーザ突合せ溶接方法。
  3. 【請求項3】前記2本の軌跡の間隔が、前記フィラワイ
    ヤの直径のほぼ半分以下とされている請求項2に記載の
    レーザ突合せ溶接方法。
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