JP2000002229A - 高強度シャフト部品およびその製造方法 - Google Patents

高強度シャフト部品およびその製造方法

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林 豊 紅
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 応力集中を受けやすい穴部を有するシャフト
部品において、穴部のほか、穴部以外の部分においても
疲労強度がかなり向上しており、全体的に高強度化が達
成された高強度シャフト部品を提供する。 【解決手段】 自動変速機等の軸付装置に使用され且つ
中心軸方向に対し垂直方向の穴3をもつ中実もしくは中
空の鋼製シャフト部品2(2A)を製造するに際し、高
周波焼入れ等の表面硬化処理を施すことにより、前記穴
3の側面において50%マルテンサイト硬さまでの硬化
層深さを中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉
厚のいずれも50%以上まで確保した後、前記穴部3の
部分に対してショットピーニングを行い、前記穴部3の
部分を除いたスプラインなどの他の応力集中部位におい
ては50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さを中実
品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも
2〜45%の範囲とすることによって高強度シャフト部
品を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機等の軸
付装置に用いられるインプットシャフトあるいはアウト
プットシャフトのような、油圧回路や潤滑回路およびそ
れ類する油吐出孔の用途としてシャフト中心軸方向に対
し垂直方向の穴を有する高強度な動力伝達用等のシャフ
ト部品およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のシャフト部品、例えば、図1に示
す自動変速機1のインプットシャフト2Aあるいはアウ
トプットシャフト2Bは、シャフト中心軸方向に対し垂
直方向の穴や、スプライン,段付き,溝などの応力集中
部位を有するため、エンジンからのねじれトルク負荷に
対して高い疲労強度および静的強度を確保する必要があ
ることから、高周波焼入れや浸炭焼入れ焼もどし等の表
面硬化熱処理を施す手法が多く用いられてきた。
【0003】また、より一層の疲労強度向上を図るため
に、これら応力集中部位に対してショットピーニングを
行う場合もあり、特に、疲労破壊の最弱部となることの
多い穴部においては、ショットを有効に内部まで投射す
るために、シャフト外径側に向かって開いたテーパー形
状とする提案もなされた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の提案においては、穴部の硬さ分布と、ショッ
トピーニングによる残留応力分布の関係を考慮した最適
値とはなっていなかった。
【0005】すなわち、高周波焼入れ(焼もどし)処理
は、比較的安価な設備を用いて短時間で深い硬化層が得
られるため、シャフト部品の表面硬化処理に頻繁に用い
られるが、これを穴部に適用する場合、硬化層深さを中
実シャフトの場合の半径あるいは中空シャフトの場合の
肉厚のいずれも50%未満とする通常の焼入れ深さで
は、図2の(A)に示すシャフト部品2の中心軸方向に
対し45°方向に直交する方向の最大主応力方向σにお
いて、図2の(B)に示す硬化層が浅い場合および図2
の(C)に示す硬化層が深い場合における模式的に示す
作用応力との関係から、図3の(A)(硬化層が浅い場
合)に示すように、穴3の内部の硬化層Hと非硬化層N
との境界部分(すなわち、破損起点B)から疲労亀裂を
生じる可能性がないとはいえず、また、当該部位は硬さ
が低いため、ショットピーニングを行っても高い強度は
得られない。
【0006】また、硬化層を中実シャフトの場合の半径
あるいは中空シャフトの場合の肉厚のいずれも50%以
上に深くすると、図3の(B)(硬化層が深い場合)に
示すように、疲労起点(すなわち、破損起点B)が表層
の硬化層Hの内部に移動するが、図4の穴内面の残留応
力分布に示すように、硬化層が深い場合は硬化層が浅い
場合に比較して圧縮残留応力の低下によりき裂進展抑制
効果が減少することから、疲労強度の向上は困難であっ
た。
【0007】さらにまた、製造面での制約として、深い
硬化層を得るためには必然的に入熱量が大となり、熱処
理後の変形が顕著化すると共に、応力集中部位において
オーバーヒートないしは焼割れが発生し易くなる場合も
あった。
【0008】また、浸炭焼入れ焼もどしは、高周波焼入
れと比較して、穴内面に沿った均一な硬化層が得られる
反面、表層および内部が共に高硬さとなるため、靭性が
不足し、高周波焼入れに比べて疲労強度および静的強度
が劣っている。
【0009】一方、従来のショットピーニングにおいて
は、前記のような破損起点との関係から、最適な投射方
法、投射粒子等の選択がなされておらず、必ずしも破損
起点の部分に高い圧縮残留応力を与える条件とはなって
いなかった。
【0010】これらの問題を解決するため、発明者らは
既に中心軸に対して垂直方向の穴をもつシャフト部品に
おいて、高周波焼入れにより、図3に示す穴3の側面に
おいて、50%マルテンサイト硬さまでの硬化層を中実
品の場合は軸半径また中空品の場合は肉厚のいずれも5
0%以上の深さまで確保することにより、疲労破損起点
を表層部とし、当該部分に対してショットピーニングを
行うことで、硬さの高い起点部に高い圧縮残留応力を生
じさせ、疲労強度の向上を図る発明を提案している。
【0011】
【発明の目的】本発明は、穴部以外の応力集中部位に対
しても同様な検討を行った結果、それらの部位において
は50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さを中実品
の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも2
〜45%の範囲とした上で、必要に応じてショットピー
ニングを行うことにより、穴部と同様に飛躍的な疲労強
度向上が得られることが明らかとなったことから、シャ
フト全部位の高強度化を達成すると共に、ショットピー
ニング条件に関しても、その効果を最大限に発揮する条
件範囲を提案することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる高強度シ
ャフト部品は、請求項1に記載しているように、自動変
速機等の軸付装置に使用され且つ中心軸方向に対し垂直
方向の穴をもつ中実もしくは中空の鋼製シャフト部品に
おいて、高周波焼入れ等の表面硬化処理が施されてい
て、前記穴の側面において50%マルテンサイト硬さま
での硬化層深さが中実品の場合は軸半径のまた中空品の
場合は肉厚のいずれも50%以上まで確保されていると
共に、前記穴部を除いたスプラインなどの他の動力伝達
等に関わる応力集中部位においては50%マルテンサイ
ト硬さまでの硬化層深さが中実品の場合は軸半径のまた
中空品の場合は肉厚のいずれも2〜45%の範囲となっ
ていて、少なくとも穴部に対してショットピーニングが
施されているものとしたことを特徴としている。
【0013】そして、本発明に係わる高強度シャフト部
品の実施態様においては、請求項2に記載しているよう
に、鋼組成が、重量%で、C:0.25〜0.55%、
Si:0.3%以下、Mn:0.2〜1.5%、Cr:
0.05〜1.3%、Al:0.01〜0.06%を含
み、残部がFeおよび不可避的不純物からなるものとし
たことを特徴としている。
【0014】そしてまた、本発明に係わる高強度シャフ
ト部品の実施態様においては、請求項3に記載している
ように、鋼組成においてさらに、重量%で、B:0.0
005〜0.0035%、N:0.015%以下、T
i:0.01〜0.05%を含むものとしたことを特徴
としている。
【0015】同じく、本発明に係わる高強度シャフト部
品の実施態様においては、請求項4に記載しているよう
に、鋼組成においてさらに、重量%で、Mo:0.5%
以下,Ni:1.0%以下のうちの少なくとも1種を含
むものとしたことを特徴としている。
【0016】同じく、本発明に係わる高強度シャフト部
品の実施態様においては、請求項5に記載しているよう
に、鋼組成においてさらに、重量%で、S:0.01〜
0.10%,Pb:0.01〜0.20%,Bi:0.
01〜0.30%,Te:0.005〜0.10%,C
a:0.0003〜0.010%のうちの少なくとも1
種を含むものとしたことを特徴としている。
【0017】本発明に係わる高強度シャフト部品の製造
方法は、請求項6に記載しているように、自動変速機等
の軸付装置に使用され且つ中心軸方向に対し垂直方向の
穴をもつ中実もしくは中空の鋼製シャフト部品を製造す
るに際し、高周波焼入れ等の表面硬化処理を施すことに
より、前記穴の側面において50%マルテンサイト硬さ
までの硬化層深さを中実品の場合は軸半径のまた中空品
の場合は肉厚のいずれも50%以上まで確保した後、前
記穴部に対してショットピーニングを行い、前記穴部を
除いたスプラインなどの他の動力伝達等に関わる応力集
中部位においては50%マルテンサイト硬さまでの硬化
層深さを中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉
厚のいずれも2〜45%の範囲とするようにしたことを
特徴としている。
【0018】そして、本発明に係わる高強度シャフト部
品の製造方法の実施態様においては、請求項7に記載し
ているように、空気式ショットピーニング機により、穴
部に対しては、口径が2〜10mmの投射ノズルとシャ
フト部品との距離を穴径の10〜50倍とし、投射圧を
0.2MPa以上とし、粒径が0.03〜0.5mmで
且つ穴径の1/3以下であり且つまた硬さが600〜8
50HVを有する投射材を用いて当該穴部の中心を狙っ
てショットピーニングを行うようにしたことを特徴とし
ている。
【0019】同じく、本発明に係わる高強度シャフト部
品の製造方法の実施態様においては、請求項8に記載し
ているように、空気式ショットピーニング機により、穴
部以外の応力集中部位に対しては、投射圧を0.2MP
a以上とし、粒径が0.03〜0.25mmで且つ隅R
寸法以下である投射材を用いてショットピーニングを行
うようにしたことを特徴としている。
【0020】同じく、本発明に係わる高強度シャフト部
品の製造方法の実施態様においては、請求項9に記載し
ているように、穴内面の面粗度をRv≦7μmとした
後、ショットピーニングを行うようにしたことを特徴と
している。
【0021】同じく、本発明に係わる高強度シャフト部
品の製造方法の実施態様においては、請求項10に記載
しているように、重量%で、C:0.25〜0.55
%、Si:0.3%以下、Mn:0.2〜1.5%、C
r:0.05〜1.3%、Al:0.01〜0.06%
を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成
の鋼を粗材とし、鍛造や切削等の加工によりシャフト素
材の形状に成形を行った後、高周波焼入れ等の表面硬化
処理を施すことにより、所定の硬化層深さを得るように
したことを特徴としている。
【0022】同じく、本発明に係わる高強度シャフト部
品の製造方法の実施態様においては、請求項11に記載
しているように、鋼組成においてさらに、重量%で、
B:0.0005〜0.0035%、N:0.015%
以下、Ti:0.01〜0.05%を含むようにしたこ
とを特徴としている。
【0023】同じく、本発明に係わる高強度シャフト部
品の製造方法の実施態様においては、請求項12に記載
しているように、鋼組成においてさらに、重量%で、M
o:0.5%以下,Ni:1.0%以下のうちの少なく
とも1種を含むようにしたことを特徴としている。
【0024】同じく、本発明に係わる高強度シャフト部
品の製造方法の実施態様においては、請求項13に記載
しているように、鋼組成においてさらに、重量%で、
S:0.01〜0.10%,Pb:0.01〜0.20
%,Bi:0.01〜0.30%,Te:0.005〜
0.10%,Ca:0.0003〜0.010%のうち
の少なくとも1種を含むようにしたことを特徴としてい
る。
【0025】
【発明の作用】本発明に係わる高強度シャフト部品およ
びその製造方法は、上述した構成を有するものである
が、以下にその限定理由を作用などと共に説明する。
【0026】(A)「穴部の硬化層比:穴部の50%マ
ルテンサイト硬さまでの硬化層が中実品の場合は軸半径
のまた中空品の場合は肉厚のいずれも50%以上」 一例として、図5に示す形状をもつシャフト部品2にお
いてインプットシャフト2Aにφ4mmの穴3を有する
場合について説明すると、図6に示すように高周波焼入
れにおいて50%マルテンサイト硬さを基準とした有効
硬化層深さを中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合
は肉厚のいずれも50%以上とすると、前述のように図
3をもとに説明したごとく、破損起点は穴3の内面から
表層部に移行する。また、図7に示す要領で実施するこ
とができるショットピーニングとの組合わせでは、図8
に示すように、表層起点の場合に疲労強度は大幅に向上
する。さらにまた、図9に示すように、静的強度は有効
硬化層深さが増加する程向上することがわかる。このこ
とにより、穴部の硬化層深さは中実品の場合は軸半径の
また中空品の場合は肉厚のいずれも50%以上とする。
なお、図7に示すショットピーニング要領において、シ
ャフト部品2はスプライン2Sを3個所に形成してお
り、ターンテーブル6上において回転しながら上部シャ
フト固定具7と下部シャフト固定具8との間で固定され
た状態で投射ノズル9から投射される投射材(ショッ
ト)によりショットピーニングされる。
【0027】(B)「他の部位での硬化層比:穴部を除
いたスプラインなどの他の応力集中部位においては、5
0%マルテンサイト硬さまでの硬化層を中実品の場合は
軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも2〜45%
の範囲とし、必要に応じてショットピーニングを行う」 穴部以外の応力集中部位、例えば、スプライン部では、
図10に示すように、有効硬化層は浅い方がショットピ
ーニングの有無に拘らず疲労強度が高くなる。その効果
はφ22mmのスプラインでは図10に示すように中実
品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも
45%以下で飽和する傾向となる。このような関係はフ
ィレット部や溝部でも同様である。また、2%未満の硬
化層では、安定した硬さ分布を得ることは困難であるた
め、2〜45%の範囲とする。
【0028】(C)「他の部位でのショットピーニング
条件:穴部以外の応力集中部位に対して、投射圧を0.
2MPa以上とし、粒径が0.03〜0.25mmで且
つ隅R寸法以下である投射材を用いてショットピーニン
グを行う」 スプライン歯底やフィレット、溝部などの応力集中部に
ショットピーニングを行う場合は、投射材の粒径は当該
部位の隅R寸法以下でなければ、粒子がR底部に衝突で
きないため、十分な効果が発揮できない傾向となる。ま
た、面粗度悪化による疲労強度の低下を防ぐため、0.
03〜0.25mmの小径の投射材を用いることが望ま
しい。そしてまた、投射圧は0.2MPa未満ではショ
ットの投射速度が確保できない傾向となるため、0.2
MPa以上とすることが望ましい。
【0029】(D)「穴内面の面粗度:ショットピーニ
ング処理前の穴内面の面粗度をRv≦7μm」 穴内面の面粗度が大きい場合、粗さの谷部に応力集中が
発生し、疲労強度が低下する傾向となる。特に、小径の
粒子を使用した衝突エネルギーの小さいショットを用い
て行う場合は、表面の塑性流動層が僅かであることか
ら、ショットにより表面の凹凸の除去が期待できず、そ
の影響が顕著となるおそれがある。そして、図11に示
すように、面粗度Rvにて7μmを超えると疲労寿命の
低下が生じる傾向となることから、Rv≦7μmとする
ことが望ましい。
【0030】(E)「穴部でのショットピーニング条
件:ノズル口径2〜10mm」 投射ノズルの口径は一般的に大きな方が広い投射範囲を
カバーできるが、10mmを超えると投射量が増加する
ため、投射圧の確保が困難となる傾向となり、2mm未
満では投射範囲が狭くなりすぎ、効率が悪化すると共
に、ノズルの損耗が激しくなる傾向となることから、ノ
ズル口径は2〜10mmとすることが望ましい。
【0031】(F)「穴部でのショットピーニング条
件:シャフト部品と投射ノズルとの距離を穴径の10〜
50倍」 図12に示すφ4mmの穴3の場合において、シャフト
部材と投射ノズルとの間の距離と穴表層部での残留応力
との関係より、10倍に相当する40mm未満では投射
範囲が狭くなるため、穴表層部の圧縮残留応力が低下す
ることに加えて、ノズル位置および方向の狂いによる投
射ムラの影響が顕著となる傾向となる。また、50倍に
相当する200mmを超えると、投射範囲が広すぎるた
め、高い圧縮残留応力を得るための投射時間が長くな
り、処理コストが増加する傾向となるため、穴径の10
〜50倍とすることが望ましい。
【0032】(G)「穴部でのショットピーニング条
件:粒径が0.03〜0.5mmで且つ穴径の1/3以
下である投射材」 図13に示すように、ショットの粒径を小径とすると、
表層部での圧縮残留応力は増加すると共に、塑性変形に
よる当該部位の面粗度悪化も少ない。そして、その効果
は図13より0.5mm以下の投射材にて顕著であるた
め、粒径は0.5mm以下とするのが好ましい。また、
小径の穴に対して、大径の投射材を使用した場合、穴内
面へのショットの到達が困難となる。すなわち、図14
に示すように、孔径がφ2.8mmの穴では問題ないに
も拘らず、孔径がφ2mmの孔に対して0.8mmの投
射材の場合は極端に効果が低下することから、ショット
粒径は穴径の1/3以下とすることが望ましい。
【0033】(H)「穴部でのショットピーニング条
件:600〜850HVの投射材」 高い圧縮残留応力を得るには投射材の硬さは被加工材
(シャフト素材)以上とすることが必要であり、硬化層
に投射するには、600HV未満では効果が少なく、一
方、極度に硬さが高いと破砕による投射材の消耗が激し
くなることから、上限を850HVとすることが望まし
い。
【0034】(I)「シャフト素材の組成:C:0.2
5〜0.55%」 Cは焼入れ硬さを決定する重要な元素であり、0.25
%未満では焼もどし後の硬さが低くなり、ショットピー
ニングにより十分な残留応力が得られない傾向となる。
また、0.55%を超えて添加すると、穴部を深めに焼
入れる場合に焼割れが発生し易くなると共にシャフト素
材の被削性も悪化する傾向となるため、0.25〜0.
55%とするのが良い。
【0035】(J)「シャフト素材の組成:Si:0.
3%以下」 Siは溶製時における鋼の脱酸剤として有効な元素であ
るが、過剰に添加すると被削性や冷鍛性が悪化する傾向
となるため、0.3%以下とするのが良い。
【0036】(K)「シャフト素材の組成:Mn:0.
2〜1.5%」 Mnは安価な焼入れ性向上元素であり、高周波焼入れに
て十分な硬さを得るためには0.2%以上の添加が必要
であるが、1.5%を超えて添加すると加工性を大きく
阻害するため、0.2〜1.5%とするのが良い。
【0037】(L)「シャフト素材の組成:Cr:0.
05〜1.3%」 Crも焼入れ性向上元素であり、シャフトが大径となる
場合は内部硬さの確保に有効な元素であり、そのような
効果を得るためには0.05%以上添加する必要があ
る。しかし、過剰に添加すると加工性を阻害する傾向と
なると共に高価な元素であり、経済性を考慮して上限を
1.3%とするのが良い。
【0038】(M)「シャフト素材の組成:Mo:0.
5%以下」 Moは少量の添加にて焼入れ性改善に有効な元素である
が、0.5%を超えて添加すると、鍛造性や被削性を阻
害する傾向にあると共に、経済性を損なうため、0.5
%以下とするのが良い。
【0039】(N)「シャフト素材の組成:Ni:1.
0%以下」 Niも焼入れ性向上元素であると共に、靭性向上に有効
な元素であるが、多量に添加すると機械加工性が大きく
低下する傾向となるため、1.0%以下とするのが良
い。
【0040】(O)「シャフト素材の組成:B:0.0
005〜0.0035%」 Bは特に高周波焼入れにおける焼入れ深さの向上に有効
な元素であり、本発明の高強度シャフトの如く硬化層を
深めとする場合では、少ない入熱量にて深い焼入れが可
能となることから、熱処理歪や割れの防止の観点からは
重要な元素である。加えて、Bは硬化層の粒界強度を向
上させるため、衝撃強度やシャフトの熱処理後曲り矯正
時の割れ防止にも効果がある。ただし、0.0005%
未満では効果は十分でなく、また、0.0035%を超
えて添加すると、効果は飽和すると共に赤熱ぜい性の原
因となる傾向となるため、0.0005〜0.0035
%の範囲とするのが良い。
【0041】(P)「シャフト素材の組成:Al:0.
01〜0.06%」 Alは溶製時の脱酸元素として必要であるが、結晶粒微
細化にも効果があるため、0.01%以上の添加が有効
であるが、0.06%を超えると、靭性が低下する傾向
となるため、上限を0.06%とするのが良い。
【0042】(Q)「シャフト素材の組成:N:0.0
15%以下」 N含有量が過剰になると、変形抵抗が増大する傾向とな
るため、これを防ぐ意味から上限を0.015%とする
のが良い。
【0043】(R)「シャフト素材の組成:Ti:0.
01〜0.05%」 TiはNを固定し、BのBN化を防ぐために重要であ
り、その効果を得るためには、0.01%以上が必要と
なる。しかし、0.05%を超えて添加すると介在物と
なり、疲労強度が低下する傾向となるため、上限を0.
05%とするのが良い。
【0044】(S)「シャフト素材の組成:S:0.0
1〜0.10%,Pb:0.01〜0.20%,Bi:
0.01〜0.30%,Te:0.005〜0.10
%,Ca:0.0003〜0.010%のうちの少なく
とも1種」 これらS,Pb,Bi,Te,Caはシャフト素材の被
削性を向上させるのに有用な元素であるため、必要に応
じてこのような快削元素を適宜添加しても良い。
【0045】
【発明の効果】本発明による高強度シャフト部品によれ
ば、請求項1に記載しているように、自動変速機等の軸
付装置に使用され且つ中心軸方向に対し垂直方向の穴を
もつ中実もしくは中空の鋼製シャフト部品において、高
周波焼入れ等の表面硬化処理が施されていて、前記穴の
側面において50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深
さが中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚の
いずれも50%以上まで確保されていると共に、前記穴
部を除いたスプラインなどの他の応力集中部位において
は50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さが中実品
の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも2
〜45%の範囲となっていて、少なくとも穴部に対して
ショットピーニングが施されているものとしたから、応
力集中を受けやすい穴を有する部分および穴部以外の応
力集中を受ける部分の両方共において疲労強度が飛躍的
に向上したものとなり、シャフト全部位での高強度化を
達成した高強度シャフト部品を提供することが可能であ
るという著大なる効果がもたらされる。
【0046】そして、請求項2に記載しているように、
鋼組成が、重量%で、C:0.25〜0.55%、S
i:0.3%以下、Mn:0.2〜1.5%、Cr:
0.05〜1.3%、Al:0.01〜0.06%を含
み、残部がFeおよび不可避的不純物からなるものとす
ることによって、穴を有する部分および穴部以外の部分
のいずれにおいても疲労強度が飛躍的に向上した高強度
シャフト部品を提供することが可能であるという著大な
る効果がもたらされる。
【0047】また、請求項3に記載しているように、鋼
組成においてさらに、重量%で、B:0.0005〜
0.0035%、N:0.015%以下、Ti:0.0
1〜0.05%を含むものとすることによって、製造時
の変形抵抗を小さくし、そしてまた、焼入れ深さが向上
した耐衝撃特性にも優れた高強度シャフト部品を提供す
ることが可能であるという著大なる効果がもたらされ
る。
【0048】さらにまた、請求項4に記載しているよう
に、鋼組成においてさらに、重量%で、Mo:0.5%
以下,Ni:1.0%以下のうちの少なくとも1種を含
むものとすることによって、焼入れ性が改善され、靭性
がより一層向上している高強度シャフト部品を提供する
ことが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0049】さらにまた、請求項5に記載しているよう
に、鋼組成においてさらに、重量%で、S:0.01〜
0.10%,Pb:0.01〜0.20%,Bi:0.
01〜0.30%,Te:0.005〜0.10%,C
a:0.0003〜0.010%のうちの少なくとも1
種を含むものとすることによって、被削性が向上し、機
械加工性が改善された高強度シャフト部品を提供するこ
とが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0050】本発明による高強度シャフト部品の製造方
法によれば、請求項6に記載しているように、自動変速
機等の軸付装置に使用され且つ中心軸方向に対し垂直方
向の穴をもつ中実もしくは中空の鋼製シャフト部品を製
造するに際し、高周波焼入れ等の表面硬化処理を施すこ
とにより、前記穴の側面において50%マルテンサイト
硬さまでの硬化層深さを中実品の場合は軸半径のまた中
空品の場合は肉厚のいずれも50%以上まで確保した
後、前記穴部に対してショットピーニングを行い、前記
穴部を除いたスプラインなどの他の応力集中部位におい
ては50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さを中実
品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも
2〜45%の範囲とするようにしたから、応力集中を受
けやすい穴を有する部分および穴部以外の応力集中を受
ける部分の両方共において疲労強度が飛躍的に向上し、
シャフト全部位での高強度化を達成した高強度シャフト
部品を製造することが可能であるという著大なる効果が
もたらされる。
【0051】そして、請求項7に記載しているように、
空気式ショットピーニング機により、穴部に対しては、
口径が2〜10mmの投射ノズルとシャフト部品との距
離を穴径の10〜50倍とし、投射圧を0.2MPa以
上とし、粒径が0.03〜0.5mmで且つ穴径の1/
3以下であり且つまた硬さが600〜850HVを有す
る投射材を用いて当該穴部の中心を狙ってショットピー
ニングを行うようになすことによって、穴部のショット
ピーニングに際して十分な投射範囲および投射圧を確保
することができると共に投射ムラを防止することがで
き、短い投射時間で効果的なショットピーニングが可能
となって、高強度シャフト部品を生産性よく製造するこ
とが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0052】そしてまた、請求項8に記載しているよう
に、空気式ショットピーニング機により、穴部以外の応
力集中部位に対しては、投射圧を0.2MPa以上と
し、粒径が0.03〜0.25mmで且つ隅R寸法以下
である投射材を用いてショットピーニングを行うように
なすことによって、スプライン歯部やフィレット,溝部
などの応力集中部にショットピーニングを行うに際し
て、ショットピーニングを有効に実施することができ、
穴部以外の部分においても疲労強度が著しく向上した高
強度シャフト部品を製造することが可能であるという著
大なる効果がもたらされる。
【0053】さらにまた、請求項9に記載しているよう
に、穴内面の面粗度をRv≦7μmとした後、ショット
ピーニングを行うようになすことによって、穴内面の面
粗度が大きい場合に粗さの谷部に応力集中が発生して疲
労強度が低下するという不具合を解消することができ、
疲労寿命がさらに向上した高強度シャフト部品を製造す
ることが可能であるという著大なる効果がもたらされ
る。
【0054】さらにまた、請求項10に記載しているよ
うに、重量%で、C:0.25〜0.55%、Si:
0.3%以下、Mn:0.2〜1.5%、Cr:0.0
5〜1.3%、Al:0.01〜0.06%を含み、残
部がFeおよび不可避的不純物からなる組成の鋼を粗材
とし、鍛造や切削等の加工によりシャフト素材の形状に
成形を行った後、高周波焼入れ等の表面硬化処理を施す
ようになすことによって、穴を有する部分および穴部以
外の部分のいずれにおいても疲労強度が飛躍的に向上し
た高強度シャフト部品を製造することが可能であるとい
う著大なる効果がもたらされる。
【0055】また、請求項11に記載しているように、
鋼組成においてさらに、重量%で、B:0.0005〜
0.0035%、N:0.015%以下、Ti:0.0
1〜0.05%を含むものとすることによって、製造時
の変形抵抗を小さくし、そしてまた、焼入れ深さが向上
した耐衝撃特性にも優れた高強度シャフト部品を製造す
ることが可能であるという著大なる効果がもたらされ
る。
【0056】さらにまた、請求項12に記載しているよ
うに、鋼組成においてさらに、重量%で、Mo:0.5
%以下,Ni:1.0%以下のうちの少なくとも1種を
含むものとすることによって、焼入れ性が改善され、靭
性がより一層向上した高強度シャフト部品を製造するこ
とが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0057】さらにまた、請求項13に記載しているよ
うに、鋼組成においてさらに、重量%で、S:0.01
〜0.10%,Pb:0.01〜0.20%,Bi:
0.01〜0.30%,Te:0.005〜0.10
%,Ca:0.0003〜0.010%のうちの少なく
とも1種を含むものとすることによって、シャフト素材
の被削性をより一層向上させることができ、高強度シャ
フトを製造する際の機械加工性により優れたものにする
ことが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0058】
【実施例】以下、本発明による高強度シャフト部品およ
びその製造方法の実施例について比較例と共に詳細に説
明するが、本発明はこのような実施例のみに限定されな
いことはいうまでもない。
【0059】表1に示す化学成分組成を有する外径がφ
26mmの熱間鍛造粗材を用いて、それぞれ焼入れ焼も
どしにより芯部硬さを同じく表1に示す値とした後、図
1に示した自動変速機1の構成部品として用いられるイ
ンプットシャフト2Aに加工した。このとき、静ねじり
強度をさらに向上させる必要のある場合は、芯部硬さを
増加することが望ましい。逆に、静ねじり強度がそれ程
必要とされない場合は、粗材熱処理は焼ならしや熱間圧
延後の制御冷却などといった廉価な熱処理としてもよ
く、本発明によればこのような廉価な熱処理であっても
高い疲労強度を得ることができる。
【0060】機械加工後におけるシャフト素材は、図5
に示すように、ほぼ両端および中間の3ケ所にスプライ
ン2Sを形成していると共に、図15に示すように、外
径がφ22mm、内径がφ8mmの部位に直径がφ4m
mの穴3を4ケ所成形している。また、ほぼ両端のスプ
ライン2Sは外径がφ22mm、モジュールが1.0で
ある。そして、直径がφ4mmの穴3はドリルによる下
穴加工の後、更にリーマー加工を行い、穴3の内面の粗
度をRv≦7μmとした。なお、表5の比較例24にお
いてはドリル加工のまま(すなわち、内面の面粗度が粗
いもの)とした。
【0061】このような機械加工を行った後、周波数2
0kHzのワーク移動式高周波焼入れ装置により、軸方
向の全面にわたって高周波焼入れ焼もどしを行った。そ
の際、焼入れ冷却剤にはソリュブルを使用し、焼もどし
は電気炉にて160℃・1Hrとした。また、硬化層比
は、逐次、ワーク移動速度およびコイルへの電圧を変化
させ、穴部およびスプライン部のそれぞれを表2,表
3,表4,表5に示す値とした。
【0062】さらに、曲り矯正を行った後、空気式ショ
ットピーニング機により、表2,表3,表4,表5に示
す粒径をもつ硬さ700HVの鋼球を投射材として使用
し、口径5mmの投射ノズルにより所定のワーク距離を
設定して、各穴部の中心およびスプライン部の3ケ所を
狙って投射を行った。
【0063】このとき、穴部を狙う際には、ワーク(シ
ャフト素材)は固定し、穴部の一ケ所毎に専用の投射ノ
ズルを使用した。また、スプライン部に対しては図7に
示したターンテーブル6を駆動してワーク(2)を回転
させながら均一に投射した。このときの各部位に対する
投射圧を同じく表2,表3,表4,表5に示す。そし
て、投射時間は全て30secとした。
【0064】以上の工程により製作した各シャフト部品
をねじり疲労試験および静ねじり試験に供した。このう
ち、疲労試験結果として30万回強度を測定し、静ねじ
り試験結果として破断トルクを測定した。これらの結果
を同じく表2,表3,表4,表5に示す。
【0065】表2,表3,表4,表5に示す結果より明
らかであるように、本発明によるシャフト部品は、ねじ
り疲労および静ねじりのいずれにおいても飛躍的な強度
向上が得られていることがわかる。
【0066】これに対し、比較例22では穴部の硬化層
が浅いため、破損起点が焼入れ境界部となって、疲労強
度が低いものとなり、比較例23では穴部以外の硬化層
が深く、破損起点がスプライン部に変化したため、本発
明例のものに比べて疲労強度は相対的に低下しているも
のとなっていた。また、比較例25〜30では穴部また
はスプライン部へのショットピーニング条件が適切でな
いため、十分な圧縮残留応力を得ることができず、疲労
強度が低いものとなっており、比較例24では穴内面の
粗さが大きいため、疲労寿命のばらつきが大となり、信
頼性に欠けると共に疲労強度が低下したものとなってい
た。
【0067】さらに、比較例10,11ではCあるいは
Mn含有量が少ないため、シャフト素材の焼入れ性不足
により本発明範囲の焼入れ深さを得ることができず、疲
労および静的のいずれの強度も低いものとなっていた。
また、比較例12ではシャフト素材の焼入れ性が過大の
ため、穴部に焼割れが発生し、本発明例のものに比べて
大幅に強度が低下したものとなっていた。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】軸をそなえた装置の一例として自動車用自動変
速機の構造を示す説明図である。
【図2】図2の(A)に示す軸の主応力方向において、
硬化層深さの異なる場合(すなわち、図2の(B)に示
す硬化層が浅い場合および図2の(C)に示す硬化層が
深い場合)の穴部作用応力と材料強度との関係を模式的
に示す説明図である。
【図3】図3の(A)に示す硬化層が浅い場合および図
3の(B)に示す硬化層が深い場合における穴部の硬化
層深さと疲労破損起点との関係を示す説明図である。
【図4】有効硬化層深さが異なる場合の穴内面に沿った
残留応力分布を示す説明図である。
【図5】シャフトの一例として自動変速機のインプット
シャフトを示す説明図である。
【図6】穴部の有効硬化層深さと疲労破損起点深さとの
関係を示す説明図である。
【図7】ショットピーニング要領を示す説明図である。
【図8】穴部での有効硬化層深さと10回時間強度と
の関係を示す説明図である。
【図9】有効硬化層深さと静ねじり破断トルクとの関係
を示す説明図である。
【図10】穴部以外(スプライン部)における有効硬化
層深さと10回時間強度との関係を示す説明図であ
る。
【図11】穴内面の粗さ(面粗度)と疲労寿命
(B10:ワイブル累積破損確率10%値)との関係を
示す説明図である。
【図12】ショットピーニング処理におけるシャフト素
材と投射ノズルとの間の距離と穴表層部での残留応力と
の関係を示す説明図である。
【図13】ショット粒径と穴表層部の残留応力および穴
内面の面粗度との関係を示す説明図である。
【図14】穴の孔径とショットの粒径が10回時間強
度に与える影響を示す説明図である。
【図15】シャフト素材の穴部の形状を示す断面説明図
である。
【符号の説明】
1 自動変速機 2 シャフト部品 3 シャフトの穴部
フロントページの続き (72)発明者 紅 林 豊 愛知県半田市宮本町5−217−1 (72)発明者 鈴 木 賢 静岡県富士市今泉字鴨田700番地の1 ジ ャトコ株式会社内 (72)発明者 吉 田 誠 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 林 孝 雄 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3J033 AA01 AB03 AC01 BA12 BA15 BA20

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動変速機等の軸付装置に使用され且つ
    中心軸方向に対し垂直方向の穴をもつ中実もしくは中空
    の鋼製シャフト部品において、高周波焼入れ等の表面硬
    化処理が施されていて、前記穴の側面において50%マ
    ルテンサイト硬さまでの硬化層深さが中実品の場合は軸
    半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも50%以上ま
    で確保されていると共に、前記穴部を除いたスプライン
    などの他の応力集中部位においては50%マルテンサイ
    ト硬さまでの硬化層深さが中実品の場合は軸半径のまた
    中空品の場合は肉厚のいずれも2〜45%の範囲となっ
    ていて、少なくとも穴部に対してショットピーニングが
    施されていることを特徴とする高強度シャフト部品。
  2. 【請求項2】 鋼組成が、重量%で、C:0.25〜
    0.55%、Si:0.3%以下、Mn:0.2〜1.
    5%、Cr:0.05〜1.3%、Al:0.01〜
    0.06%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物か
    らなることを特徴とする請求項1に記載の高強度シャフ
    ト部品。
  3. 【請求項3】 鋼組成においてさらに、重量%で、B:
    0.0005〜0.0035%、N:0.015%以
    下、Ti:0.01〜0.05%を含むことを特徴とす
    る請求項2に記載の高強度シャフト部品。
  4. 【請求項4】 鋼組成においてさらに、重量%で、M
    o:0.5%以下,Ni:1.0%以下のうちの少なく
    とも1種を含むことを特徴とする請求項2または3に記
    載の高強度シャフト部品。
  5. 【請求項5】 鋼組成においてさらに、重量%で、S:
    0.01〜0.10%,Pb:0.01〜0.20%,
    Bi:0.01〜0.30%,Te:0.005〜0.
    10%,Ca:0.0003〜0.010%のうちの少
    なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2ないし4
    のいずれかに記載の高強度シャフト部品。
  6. 【請求項6】 自動変速機等の軸付装置に使用され且つ
    中心軸方向に対し垂直方向の穴をもつ中実もしくは中空
    の鋼製シャフト部品を製造するに際し、高周波焼入れ等
    の表面硬化処理を施すことにより、前記穴の側面におい
    て50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さを中実品
    の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも5
    0%以上まで確保した後、前記穴部に対してショットピ
    ーニングを行い、前記穴部を除いたスプラインなどの他
    の応力集中部位においては50%マルテンサイト硬さま
    での硬化層深さを中実品の場合は軸半径のまた中空品の
    場合は肉厚のいずれも2〜45%の範囲とすることを特
    徴とする高強度シャフト部品の製造方法。
  7. 【請求項7】 空気式ショットピーニング機により、穴
    部に対しては、口径が2〜10mmの投射ノズルとシャ
    フト部品との距離を穴径の10〜50倍とし、投射圧を
    0.2MPa以上とし、粒径が0.03〜0.5mmで
    且つ穴径の1/3以下であり且つまた硬さが600〜8
    50HVを有する投射材を用いて当該穴部の中心を狙っ
    てショットピーニングを行うことを特徴とする請求項6
    に記載の高強度シャフト部品の製造方法。
  8. 【請求項8】 空気式ショットピーニング機により、穴
    部以外の応力集中部位に対しては、投射圧を0.2MP
    a以上とし、粒径が0.03〜0.25mmで且つ隅R
    寸法以下である投射材を用いてショットピーニングを行
    うことを特徴とする請求項6または7に記載の高強度シ
    ャフト部品の製造方法。
  9. 【請求項9】 穴内面の面粗度をRv≦7μmとした
    後、ショットピーニングを行うことを特徴とする請求項
    6ないし8のいずれかに記載の高強度シャフト部品の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 重量%で、C:0.25〜0.55
    %、Si:0.3%以下、Mn:0.2〜1.5%、C
    r:0.05〜1.3%、Al:0.01〜0.06%
    を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成
    の鋼を粗材とし、鍛造や切削等の加工によりシャフト素
    材の形状に成形を行った後、高周波焼入れ等の表面硬化
    処理を施すことにより、所定の硬化層深さを得ることを
    特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の高強度
    シャフト部品の製造方法。
  11. 【請求項11】 鋼組成においてさらに、重量%で、
    B:0.0005〜0.0035%、N:0.015%
    以下、Ti:0.01〜0.05%を含むことを特徴と
    する請求項10に記載の高強度シャフト部品の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 鋼組成においてさらに、重量%で、M
    o:0.5%以下,Ni:1.0%以下のうちの少なく
    とも1種を含むことを特徴とする請求項10または11
    に記載の高強度シャフト部品の製造方法。
  13. 【請求項13】 鋼組成においてさらに、重量%で、
    S:0.01〜0.10%,Pb:0.01〜0.20
    %,Bi:0.01〜0.30%,Te:0.005〜
    0.10%,Ca:0.0003〜0.010%のうち
    の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項10な
    いし12のいずれかに記載の高強度シャフト部品の製造
    方法。
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