JP2007198424A - 動力伝達軸、その製造方法及び製造装置 - Google Patents

動力伝達軸、その製造方法及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】少なくとも2つの径方向円孔が互いに近傍に設けられた動力伝達軸において、ショット粒子を効率良く噴射して表面処理のコスト低減を図る。
【解決手段】動力伝達軸の互いに近傍に設けられた2つの径方向円孔20b,20cのうち、一方の径方向円孔20b内にショットピーニング装置Aの送りパイプ10を挿通させる。該送りパイプ10の先端側は、動力伝達軸20の下方に配置されるガイド部材17のガイド穴17a内に挿入する。そして、その状態で、上記送りパイプ10の側面に斜め下方に向かって開口するように形成された噴射口10aからショット粒子をエアとともに噴出させる。このとき、他方の径方向円孔20cに対して重点的にショット粒子が噴出されるように送りパイプ10をその軸心周りに所定の範囲αで回動させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、径方向に円孔の形成された動力伝達軸に関する。
従来より、例えば自動変速機などに用いられる動力伝達軸として、その軸心には軸心円孔が、径方向には該軸心円孔に連通し且つ軸外周面に開口する径方向円孔が、それぞれ形成されていて、これらの円孔内に変速機の各構成部品の潤滑のための潤滑油を流通させるようにしたものが知られている。このような動力伝達軸では、一般的に、エンジンからのねじれトルク負荷に対して高い疲労強度及び静的強度を確保する必要があることから、該動力伝達軸に対して高周波焼き入れや浸炭焼き入れ焼きもどし等の表面硬化熱処理が施されている。
ところで、近年、自動変速機の多段化により、変速機内の回転部材数が増加しており、これに伴い、動力伝達軸内の潤滑油の流路としての円孔数も増加している。このように円孔数が増えると、動力伝達軸の各円孔付近のねじれ強度が低下するため、該円孔周辺の応力集中部位に対しては、上述の熱処理だけでなくショットピーニングも行うようにしている。このショットピーニングとは、部材の表面に金属などからなる微小な粒子を衝突させることで該部材の内部に圧縮残留応力を発生させて、これにより、疲労強度の向上を図るものである。
上記ショットピーニングの方法としては、円孔がショット粒子の噴射口の形成されたショット治具よりも大径であれば、該円孔内にショット治具を挿入してショットピーニングを行う方法もあるが、円孔がショット治具よりも小径であって該円孔内にショット治具を挿入できない場合には、該円孔の外方からショット粒子を噴射することになる。このように、円孔の外方からショット粒子を噴射する方法としては、例えば、特許文献1、2に開示されるように、動力伝達軸の径方向円孔を軸外周面に向かって拡がるテーパ状に形成し、該円孔の内周面に対して効率良くショットピーニングを行えるようにしたものや、円孔の中心を狙って所定の粒径のショット粒子を噴射することで該円孔の内周面に対してショットピーニングを行うようにしたものなどが知られている。
特開平10−166233号公報 特開2000−2229号公報
しかしながら、多量のショット粒子を部材表面に衝突させるショットピーニングでは、上記特許文献1、2のように円孔の外方からショット粒子を噴射すると、強度の向上が必要な円孔周辺部分だけでなく特に強度向上の必要ない軸部分などに対してもショット粒子を噴射することになる。したがって、円孔周辺の強度を向上するために多量のショット粒子が必要となり、部材の表面処理のコストを増大させることになる。
特に、2つの径方向円孔が互いに近傍に設けられている場合、図6に示すように、両者の間隔xが狭いと、円孔周辺に発生する応力が大きくなるため、該円孔周辺に対してショットピーニングを行う必要があるが、上述のように、径方向円孔がショット治具よりも小径であれば、円孔内にショット治具を挿入できないため、上記特許文献1、2のように外方からショットピーニングを行うことになり、無駄なショット粒子を多量に噴射することになる。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、少なくとも2つの径方向円孔が互いに近傍に設けられた動力伝達軸において、ショット粒子を効率良く噴射して表面処理のコスト低減を図ることにある。
上記目的を達成するために、本発明の解決手段では、互いに近傍に設けられた径方向に延びる少なくとも2つの円孔のうち一方の円孔側から他方の円孔の内周面に向けて、該一方の円孔における軸心周りに所定角度の範囲に亘ってショット粒子を噴射するようにした。
具体的には、請求項1の発明では、軸心には軸心円孔が形成されているとともに、径方向には、該軸心円孔に連通し且つ軸外周面に開口する少なくとも2つの径方向円孔が互いに近傍に位置するように形成された動力伝達軸を対象とする。
そして、上記2つの径方向円孔のうち一方の径方向円孔側から他方の径方向円孔の内周面に向けて、該一方の径方向円孔の軸心周りに所定角度の範囲に亘ってショットピーニングが実施されているものとする。ここで、上記所定角度の範囲とは、他方の径方向円孔周辺に対してショット粒子が噴射されるような角度範囲を意味する。
以上の構成より、一方の径方向円孔側から他方の径方向円孔の内周面に向けて、該一方の円孔の軸心周りに所定角度の範囲に亘ってショットピーニングが行われる、すなわち、一方の径方向円孔側から他方の径方向円孔周辺にのみショット粒子が噴射されるため、無駄に円孔周辺以外の部分に多量のショット粒子が噴射されるのを防止でき、使用するショット粒子数を低減することができる。したがって、表面処理にかかるコストを低減することができる。
上述の構成において、上記ショットピーニングは熱処理後に実施されるのが好ましい(請求項2の発明)。このように、熱処理によって硬化された部材の表面に対してショットピーニングすることで、その内部に圧縮残留応力を発生させて疲労強度を効率良く向上することができる。
また、上述のような熱処理が行われるものにおいて、その熱処理前であって上記径方向円孔の加工後に、上記他方の径方向円孔の内周面に向けて、上記熱処理後に実施されるショットピーニングのショット粒径よりも小さい粒径のショットを用いてショットピーニングが実施されているのが好ましい(請求項3の発明)。
これにより、径方向円孔の内周面に機械加工により形成される微細な傷をショットピーニングによってクリーニングすることができるため、これらの円孔の内周面の傷を起点とした疲労破壊等を防止することができ、動力伝達軸の強度を向上することができる。
さらに、上記動力伝達軸は、自動変速機に用いられるものであり、上記径方向円孔は潤滑油用の油路であるのが好ましい(請求項4の発明)。このように、エンジンからのねじれトルク負荷に耐えられるように比較的高い強度が要求される自動変速機の動力伝達軸に、上述のような構成を適用すれば、より効果的である。
請求項5の発明は、軸心には軸心円孔が形成されているとともに、径方向には、該軸心円孔に連通し且つ軸外周面に開口する少なくとも2つの径方向円孔が互いに近傍に位置するように形成された動力伝達軸の製造方法を対象とする。
そして、上記2つの径方向円孔のうち一方の径方向円孔側から他方の径方向円孔の内周面に向けて、該一方の径方向円孔の軸心周りに所定角度の範囲に亘ってショットピーニングを実施するものとする。
このような方法を用いて動力伝達軸を製造することにより、上述の請求項1の発明の作用を有する動力伝達軸を得ることができる。
上述の方法において、上記熱処理前であって上記径方向円孔の加工後に、上記他方の径方向円孔の内周面に向け、上記ショットピーニングのショット粒径よりも小さい粒径のショットを用いてショットピーニングを実施するのが好ましい(請求項6の発明)。これにより、上述の請求項3の発明の作用を有する動力伝達軸を得ることができる。
請求項7の発明は、軸心には軸心円孔が形成されているとともに、径方向には、該軸心円孔に連通し且つ軸外周面に開口する少なくとも2つの径方向円孔が互いに近傍に位置するように形成された動力伝達軸の製造装置を対象とする。
そして、上記2つの径方向円孔のうち一方の径方向円孔に挿通され、側面にショットを吹き出すための吹き出し口が形成された棒状のショット治具と、上記ショット治具を上記一方の径方向円孔に沿って軸方向へ移動させる移動手段と、上記ショット治具の挿入側に対し上記動力伝達軸を挟んで反対側に配置されていて、該ショット治具の先端側部分が挿入されるガイド穴の形成されたガイド部材と、を備えているものとする。
以上の構成により、ショットの吹き出し口の形成されたショット治具は、移動手段によって軸方向に移動する際にはガイド部材によってガイドされるため、ショットの吹き出しによる反力によってショット治具にぶれが生じるのを防止することができ、径方向円孔の内周面に対して均一にショットピーニングを行うことが可能になる。
以上説明したように、本発明の動力伝達軸によると、軸心円孔に挿通し且つ軸外周面に開口するように所定範囲内に互いに近傍して形成された少なくとも2つの径方向円孔のうち、一方の径方向円孔側から他方の径方向円孔の内周面に向けて、該一方の円孔の軸心周りに所定角度の範囲に亘ってショットピーニングを行うようにしたため、円孔周辺以外の部分に対してショット粒子が無駄に噴射されるのを防止でき、表面処理のコストを低減することができる。特に、上記ショットピーニングを表面熱処理後に行うようにすれば、内部に圧縮残留応力を効果的に生成できる一方、表面熱処理前で径方向円孔の加工後にショットピーニングを行うようにすれば、加工によって径方向円孔の内周面に形成された微小な傷をクリーニングすることができ、動力伝達軸の強度をより向上することができる。
また、ショットの吹き出し口が設けられたショット治具は、その先端側がガイド部材のガイド穴に挿入されて該ガイド部材がガイドとして機能するため、ショット治具がショット時の反動によってぶれを生じるのを防止することができ、円孔の内周面に対して均一にショットピーニングを行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
−ショットピーニング装置−
図1は、本発明の実施形態に係るショットピーニング装置Aの全体構成を示しており、この装置Aを用いて、自動変速機における動力伝達軸20(例えば入力軸)内の潤滑油の油路を構成する径方向円孔20b,20cに対しショットピーニングを行っている様子を示している。
上記ショットピーニング装置Aは、後述する送りパイプ10を上下動若しくは回転させる駆動部aと、該送りパイプ10の上下動の際のガイドとして機能するガイド部bと、からなり、上記図1に示すように、上記駆動部aはベースプレート101上に、上記ガイド部bは動力伝達軸20の下方にそれぞれ配設されている。
上記駆動部aのベース1は、上記ベースプレート101上に載置されていて、該ベース1上には摺動面を有するガイドピラー2及び歯部の設けられたガイドラック3が立設されている。該ガイドピラー2及びガイドラック3に支持された上板4と上記ベース1との間には、当該ガイドピラー2及びガイドラック3の長手方向に平行に延びるねじ軸5が回転可能に配設されている。
上記上板4上には、上記ねじ軸5を回転させるための上下動用モータ6が取り付けられている。上記ガイドピラー2には、該ガイドピラー2の摺動面に対して長手方向に摺動可能にガイドブロック7が配設されていて、当該ガイドブロック7に形成されたねじ穴に上記ねじ軸5が螺合している。上記ガイドラック3には、該ガイドラック3の歯部に噛み合う複数のガイドピニオン8,8,…を回転可能に支持する保持ブロック9が、該ガイドラック3の長手方向に移動可能に設けられており、当該保持ブロック9は、上記ガイドブロック7に一体的に連結されている。
以上の構成により、上記上下動用モータ6が回転すると、その回転駆動力によって上記ねじ軸5が回転し、該ねじ軸5に螺合するガイドブロック7がガイドピラー2に摺接しながら相対的に軸方向に移動する。これにより、該ガイドブロック7に一体的に設けられた保持ブロック9もガイドラック3に対して軸方向へ移動することになる。すなわち、本実施形態において、上記ガイドピラー2、ガイドラック3、ねじ軸5、上下動用モータ6、ガイドブロック7及び保持ブロック9により上下方向への移動手段が構成されている。
上記保持ブロック9には、送りパイプ10(ショット治具)がねじ軸5に対して略平行になるように軸受11,11を介して取り付けられており、この軸受11,11によって、該送りパイプ10は保持ブロック9に対して回転可能になっている。また、この送りパイプ10は、上記ベースプレート101を貫通しており、該ベースプレート101よりも上側部分の外周面上には、リング状に形成された歯車12が嵌合されている。
また、上記保持ブロック9には、送りパイプ10の装置後方側(図1において奥側)を跨いで側方に延びるブラケット13が取り付けられていて、このブラケット13の先端側には回動用モータ14が配設されている。この回動用モータ14は、駆動軸が下方に延びるように上記ブラケット13に取り付けられていて、該駆動軸の先端側に設けられた歯車14aと上記送りパイプ10の外周面上に嵌合された歯車12とが、チェーン15で連結されている。つまり、上記回動用モータ14を回転駆動させることにより、歯車14a、チェーン15及び歯車12を介して送りパイプ10を軸心周りに回転させることができるようになっている。
上記送りパイプ10の基端側(上端側)には、ショット粒子(ショット)を供給する粒子供給手段としての供給装置(図示省略)が、継手16を介して連結されている。この継手16は、供給装置から供給されるショット粒子とドライエアとを混合して、送りパイプ10内の軸方向に延びる流路10bへ供給するためのものであり、図3に示すように、供給装置に連結される供給口16aと、加圧エアを送るコンプレッサ(図示省略)に連結されるエア供給口16bと、を有している。なお、これらの供給口16a及びエア供給口16bは、図3とは逆の位置であってもよい。
一方、上記送りパイプ10の側壁の所定位置には、図1〜3に示すように、ショット粒子をエアとともに噴射するための噴射口10a(吹き出し口)が形成されている。この噴射口10aは、上記送りパイプ10の軸線に対し斜め下方に向かって開口していて、該送りパイプ10の内部に軸方向に延びるように形成された流路10bの出口になっている。なお、上記所定位置とは、後述するように送りパイプ10の先端部分をガイド部bのガイド穴17aに挿入した状態で、動力伝達軸20の径方向円孔20b,20cの内周面に向けてショット粒子を噴射できるような噴射口10aの高さ位置をいう。
また、ショットピーニングされる動力伝達軸20の下方(動力伝達軸20を挟んでベースプレート101の下方)には、ガイド部bとしてのガイド部材17が位置付けられるようになっている。このガイド部材17には、上記送りパイプ10の径とほぼ同じ径を有するガイド穴17aが形成されていて、該送りパイプ10が動力伝達軸20に形成された径方向円孔20aを挿通した状態で、その先端側が上記ガイド穴17a内に位置付けられるようになっている。これにより、上記送りパイプ10を上下動させながら噴射口10aからショット粒子を噴射させても、該送りパイプ10は、ガイド穴17aの内周面によって先端側を支持されるため、ショットの反動によって送りパイプ10が大きく揺れてショットが不均一になるのを確実に防止することができる。
なお、上記ガイド部材17は、送りパイプ10がショット開始位置に到達したときに、その先端が上記ガイド穴17a内に位置付けられるような位置にセットされる。
−ショットピーニング−
上述のようなショットピーニング装置Aを用いて動力伝達軸20に対してショットピーニングを行う場合の手順について図4に基づいて以下で説明する。
なお、本実施形態において、上記動力伝達軸20は自動変速機の入力軸として用いられるもので、図2及び図4に拡大して示すように、その軸心には軸心円孔20aが、径方向には該軸心円孔に連通し且つ動力伝達軸の外周面に開口する2つの径方向円孔20b,20cが、それぞれ形成されていて、これらの円孔20a,20b,20cは、自動変速機内の回転部材の潤滑のための潤滑油を流通させる油路を形成している。また、上記2つの径方向円孔20b,20cは、互いに近傍に設けられており、該径方向円孔20b,20cのうち、他方の円孔20cの径はショットピーニング装置Aの送りパイプ10が挿通できないような大きさに形成されていて、一方の円孔20bの径は、他方の円孔20cの径よりも大きく、送りパイプ10が挿通可能な径に形成されている。
このように、2つの径方向円孔20b,20cが近接して設けられている場合、図6に示すように、2つの径方向円孔20b,20cの間隔xが狭くなればなるほど、小さい径を有する他方の径方向円孔20c周辺の方が切り欠き係数の影響を受けやすく、より大きな応力が生じることになる。そのため、このような小さい径の円孔20cに対してもショットピーニングを行う必要があるが、上述のとおり、該円孔20cには送りパイプ10を挿通させることができないため、以下のような手順で一方の円孔20b側からショットピーニングを行うことになる。
まず、図4(a)に示すように、ショットピーニング装置Aに対して動力伝達軸20を所定の位置に位置付けて、該ショットピーニング装置Aの送りパイプ10を動力伝達軸20の一方の径方向円孔20bに挿通させる。ここで、該送りパイプ10の上下動は、上板4上に取り付けられた上下動用モータ6を回転駆動してねじ軸5を回転させて、ガイドブロック7及び保持ブロック9を上下動させることによって行われる。
そして、上記送りパイプ10の先端が、ガイド部材17のガイド穴17a内に位置付けられたとき(図4(b))に、回動用モータ14を回転駆動させて、該モータ14の出力軸に嵌合された歯車14a、送りパイプ10の外周面上に嵌合された歯車12及び両歯車14a,12間に架けられたチェーン15を介して該送りパイプ10を軸心周りに回動させる。この際、図示しない供給装置から、ショット粒子を継手16に供給し、ドライエアとともに該ショット粒子を送りパイプ10の流路10b内へ送り込むことにより、該流路10bの出口である噴射口10aからショット粒子を斜め下方に噴射する。
ここで、上記送りパイプ10は、図4及び図5に示すように、その噴射口10aから動力伝達軸20の他方の径方向円孔20cに対してショット粒子が重点的に噴出されるように、該径方向円孔20cに対応する範囲α(例えば120度)内のみ回動するよう構成されている。すなわち、図示しない制御装置により、上記回動用モータ14に対して、送りパイプ10の噴射口10aが他方の径方向円孔20cに対応する範囲α内に常に位置付けられるように回転方向の反転を繰り返すような制御が行われる。なお、上記制御装置は、上記回動用モータ14だけでなく、上下動用モータ6やショット粒子の供給装置、エアコンプレッサ等の制御も行うように構成されていて、径方向円孔20b,20c周辺に対して図4に示すような方法でショットピーニングを行えるようになっている。
これにより、上記送りパイプ10の噴射口10aから勢いよく噴出されたショット粒子は、動力伝達軸20の他方の径方向円孔20c周辺に対して斜め上方から衝突し、該円孔20cの内周側に所定の圧縮残留応力を発生させて、該円孔周辺の疲労強度を向上させることができる。しかも、上記送りパイプ10は下方に移動しつつ所定の範囲で回動するため、動力伝達軸20の他方の円孔20c内のより広い範囲に対してショットピーニングを行うことが可能になる。
そして、図4(c)に示すように、上記送りパイプ10が徐々に下方へ移動していくと、該送りパイプ10の噴射口10aは、動力伝達軸20の一方の径方向円孔20b内に位置付けられて、該円孔20bの内周面に対してショット粒子を噴射することになる。このときも、上記送りパイプ10は、その噴射口10aが他方の径方向円孔20cを臨むような所定範囲内で回動するように構成されているため、一方の径方向円孔20bの内周面のうち比較的大きな応力が生じる他方の径方向円孔20c側部分のみに対して重点的にショット粒子を噴射することができ、効果的に円孔周辺の疲労強度を向上することができる。
次に、上記動力伝達軸20の製造工程について、上述のようなショットピーニングを行うタイミングと併せて説明する。
上記動力伝達軸20は、機械加工(切削等)によって所定の形状に形成された後、ドリルによって、軸心には軸心円孔20aが、径方向には径方向円孔20b,20cが、それぞれ形成されて、それらの円孔20a,20b,20cの内周面はリーマ加工によって仕上げられる。しかしながら、このようにリーマによって円孔の内周面を仕上げ加工した場合、工具との間に異物等を噛み込むことによってその内周面上に微小なクラックが形成されるため、動力伝達軸20にねじれトルクが反復して作用すると、その微小なクラックを起点として疲労破壊を生じる可能性がある。
そのため、本実施形態では、通常、焼き入れ・焼きもどし等の熱処理後に行われる上述のようなショットピーニングを、熱処理前で機械加工後に行うようにする。こうすることで、熱処理前の比較的柔らかい状態のときに、動力伝達軸20の円孔20b,20cの内周面に形成された微小なクラックをきれいに除去することができ、疲労破壊の発生を防止することができる。
ここで、この熱処理前の機械加工後に行われるショットピーニングでは、通常のショットピーニングで用いられるショット粒子(鉄系やガラス系のショットピーニング粒子で直径0.2〜0.8mm)よりも微小(直径0.01〜0.1mm)で、アルミナ、ケイ砂、ガラス等からなる粒子を使用する。このように、微小な粒子を使用することで、円孔の内周面に形成された微小なクラックのみをきれいに除去することが可能になる。
そして、上述のようにショットピーニングによって動力伝達軸20の円孔20b,20cの内周面をクリーニングした後は、高周波焼き入れや浸炭焼き入れ焼きもどしなどの熱処理を行い、その後、円孔の内周面に対して再度、ショットピーニングを行う。この熱処理後に行われるショットピーニングでは、通常のショットピーニングで用いられるような比較的大きな径のショット粒子(直径0.01〜0.1mm)を使用し、円孔の内周付近に圧縮残留応力を発生させて、疲労強度の向上を図る。
なお、いずれのショットピーニングであっても、その手順は、上述の図4に示すような手順に従って行われるため、無駄な範囲に対してショット粒子を噴出することがなく、低コストで効率良くショットピーニングを行うことができる。
以上より、上記送りパイプ10の回動範囲を、他方の径方向円孔20cに対してショット粒子が噴射されるような所定の範囲に限定したことで、それ以外の部分に対して無駄にショット粒子が噴出されるのを防止することができるため、ショット粒子の消費量を抑えて効率良く円孔周辺の疲労強度を向上することができる。すなわち、低コストで効果的にショットピーニングを行うことが可能になる。
また、上記送りパイプ10の先端側をガイド部材17のガイド穴17aに挿入した状態で、噴射口10aからショット粒子の噴射を行うことにより、該送りパイプ10がショット時の反動によって大きく揺れるのを防止することができ、ショットピーニングを所定の部位に均一に行うことができる。
さらに、熱処理後だけでなく、熱処理前の機械加工後にもショットピーニングを行うことで、機械加工によって円孔20b,20cの内周面に形成された微小なクラックをきれいに除去することができ、該微小なクラックに起因する疲労破壊を確実に防止することができる。すなわち、熱処理前の機械加工後にショットピーニングを行うことで、動力伝達軸の強度を確実に向上することができる。
(その他の実施形態)
本発明の具体的な構成は、上記実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、ショットピーニング装置Aの送りパイプ10を、動力伝達軸20の他方の径方向円孔20cに対してショット粒子が効率良くショットされるような範囲内で回動させるようにしているが、この限りではなく、ワークとしての動力伝達軸20を送りパイプ10の軸心周りに回動させるようにしてもよい。また、動力伝達軸20の一方の径方向円孔20bの内周面全体に対してショットピーニングを施したい場合には、上述のように送りパイプ10を所定範囲で回動させるのではなく、回転させるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、動力伝達軸20の機械加工後で熱処理前に一度、ショットピーニングを施して、熱処理後に再度ショットピーニングを行うようにしているが、これに限らず、熱処理後にのみショットピーニングを行うようにしてもよい。なお、この場合には、円孔20b,20c内の微小なクラックを除去することはできないが、熱処理後のショットピーニングによって或る程度の疲労強度の向上を図れる。
以上説明したように、本発明は、動力伝達軸において、軸心円孔に連通し且つ外周面に開口する2つの径方向円孔が互いに近接して設けられている場合に、一方の径方向円孔側から他方の径方向円孔に対し、該他方の円孔における軸心周りの所定の角度範囲内にのみショット粒子を噴出することで、ショット粒子数を低減できるから、例えば自動変速機の入力軸に特に有用である。
本発明の実施形態に係るショットピーニング装置の概略構成を示す図である。 ショットピーニング装置のショット部分を拡大して示す拡大図である。 ショットピーニング装置の送りパイプの断面図である。 動力伝達軸に対してショットピーニングを行う場合の各ステップ(a)〜(c)を模式的に示す模式図である。 送りパイプの回動範囲を上方から見た図である。 径方向円孔が近接して2つ設けられている場合の両円孔間の距離(間隔)と小径の円孔周辺で発生する応力との関係を示すグラフである。
符号の説明
A ショットピーニング装置(動力伝達軸の製造装置)
a 駆動部
b ガイド部
10 送りパイプ(ショット治具)
10a 噴射口(吹き出し口)
17 ガイド部材
17a ガイド穴
20 動力伝達軸
20a 軸心円孔
20b、20c 径方向円孔

Claims (7)

  1. 軸心には軸心円孔が形成されているとともに、径方向には、該軸心円孔に連通し且つ軸外周面に開口する少なくとも2つの径方向円孔が互いに近傍に位置するように形成された動力伝達軸であって、
    上記2つの径方向円孔のうち一方の径方向円孔側から他方の径方向円孔の内周面に向けて、該一方の径方向円孔の軸心周りに所定角度の範囲に亘ってショットピーニングが実施されていることを特徴とする動力伝達軸。
  2. 請求項1において、
    上記ショットピーニングは熱処理後に実施されることを特徴とする動力伝達軸。
  3. 請求項2において、
    上記熱処理の前であって上記径方向円孔の加工後に、上記他方の径方向円孔の内周面に向けて、上記熱処理後に実施されるショットピーニングのショット粒径よりも小さい粒径のショットを用いてショットピーニングが実施されていることを特徴とする動力伝達軸。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つにおいて、
    自動変速機に用いられるものであり、上記径方向円孔は潤滑油用の油路であることを特徴とする動力伝達軸。
  5. 軸心には軸心円孔が形成されているとともに、径方向には、該軸心円孔に連通し且つ軸外周面に開口する少なくとも2つの径方向円孔が互いに近傍に位置するように形成された動力伝達軸の製造方法であって、
    上記2つの径方向円孔のうち一方の径方向円孔側から他方の径方向円孔の内周面に向けて、該一方の径方向円孔の軸心周りに所定角度の範囲に亘ってショットピーニングを実施することを特徴とする動力伝達軸の製造方法。
  6. 請求項5において、
    上記動力伝達軸の熱処理前であって上記径方向円孔の加工後に、上記他方の径方向円孔の内周面に向け、上記ショットピーニングのショット粒径よりも小さい粒径のショットを用いてショットピーニングを実施することを特徴とする動力伝達軸の製造方法。
  7. 軸心には軸心円孔が形成されているとともに、径方向には、該軸心円孔に連通し且つ軸外周面に開口する少なくとも2つの径方向円孔が互いに近傍に位置するように形成された動力伝達軸の製造装置であって、
    上記2つの径方向円孔のうち一方の径方向円孔に挿通され、側面にショットを吹き出すための吹き出し口が形成された棒状のショット治具と、
    上記ショット治具を上記一方の径方向円孔に沿って軸方向へ移動させる移動手段と、
    上記ショット治具の挿入側に対し上記動力伝達軸を挟んで反対側に配置されていて、該ショット治具の先端側部分が挿入されるガイド穴の形成されたガイド部材と、を備えていることを特徴とする動力伝達軸の製造装置。
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