JP2007262491A - 切削性に優れた機械構造用鋼管およびその製造方法 - Google Patents

切削性に優れた機械構造用鋼管およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007262491A
JP2007262491A JP2006089012A JP2006089012A JP2007262491A JP 2007262491 A JP2007262491 A JP 2007262491A JP 2006089012 A JP2006089012 A JP 2006089012A JP 2006089012 A JP2006089012 A JP 2006089012A JP 2007262491 A JP2007262491 A JP 2007262491A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel pipe
machinability
machine structure
cooling
area ratio
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006089012A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007262491A5 (ja
JP4495106B2 (ja
Inventor
Yasuhiro Shinohara
康浩 篠原
Bunshi Kato
文士 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2006089012A priority Critical patent/JP4495106B2/ja
Publication of JP2007262491A publication Critical patent/JP2007262491A/ja
Publication of JP2007262491A5 publication Critical patent/JP2007262491A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4495106B2 publication Critical patent/JP4495106B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Abstract

【課題】高価な合金を添加することなく、金属組織を制御して、機械加工、特に鋼管内面の切削加工を向上させた機械構造用鋼管およびその製造方法を提供する。
【解決手段】下記(1)式で定義されるα[%]が580以上、640以下であり、金属組織が、面積率20〜70%の焼き戻しベイナイト、面積率が25%以下(0%を含む)のフェライト、残部が焼き戻しマルテンサイトからなることを特徴とする切削性に優れた機械構造用鋼管。
α=830−270C−90Mn−70Cr−83Mo…(1)
ここで、C、M、Cr、Moは各元素の含有量である。
【選択図】なし

Description

本発明は、機械構造部材、特に歯車、シリンダー等の機械部品およびシャフト等の中空構造部材に好適な機械構造用鋼管およびその製造方法に関する。
従来、自動車や産業機械に使用される機械部品は、棒鋼を素材とし、鍛造、切削加工後、調質熱処理して製造されていた。近年、自動車等の軽量化を目的として機械部品の中空化が進められつつあり、素材の棒鋼から鋼管への変更が検討されている。
機械部品の多くは切削加工がなされるため、切削加工に優れた機械構造用鋼管が提案されている(例えば、特許文献1〜5)。特許文献1は伸管加工により高硬度化させ、切削性を改善したものであるが、この方法では、工程増による製造コストアップは避けられない。特許文献2および3はCaの添加、特許文献4はBi,Pb,Teの添加により切削性の改善を目指したものであるが、いずれも切削性の改善効果が得られる程度に不純物元素を添加する必要があり、靭性や疲労特性の劣化が避けられない。またBi,Pb,Te等、環境負荷物質の添加はリサイクルの観点からも好ましくない。
特許文献5は、伸管と応力除去焼鈍により金属組織をベイナイトとすることで切削性に優れたシリンダーロッド用鋼管を製造するものである。しかし、金属組織をベイナイトとすると、強度向上には限界がある。また、伸管を必要とすることから製造コストの上昇は避けられない。また、上記の提案は何れも、組織制御の観点から系統的に切削性を評価したものではない。
特開平3−81008号公報 特開平3−177539号公報 特開平3−177540号公報 特開平5−5157号公報 特開平4−191323号公報
本発明は、高価な合金を添加することなく、金属組織を制御して、機械加工、特に鋼管内面の切削加工を向上させた機械構造用鋼管と、その製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋼の金属組織と切削性との関係について鋭意検討し、特に、ブローチ加工に最適な金属組織が焼き戻しマルテンサイトと焼き戻しベイナイトとの混合組織であり、一部フェライトを含んでも良いことを明らかにした。また、鋼管の残留応力を小さくし、安価に製造するため、高温の鋼管を加速冷却するプロセスの適用を指向し、その最適な冷却条件を種々検討し、安定的に切削性を確保できる金属組織を得るための、最適なC、Mn、Cr、Moの添加量と焼き入れ時の冷却速度および焼き戻し温度の組み合わせを見いだした。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは以下の通りである。
(1) 質量%で、C:0.15〜0.45%、Si:0.1〜0.4%、Mn:0.5〜1.0%、Cr:0.8〜1.5%、Mo:0.05〜0.5%、S:0.005〜0.03%を含有し、下記(1)式で定義されるα[%]が580以上、640以下であり、残部が鉄および不可避的不純物からなり、金属組織が、面積率20〜70%の焼き戻しベイナイト、面積率25%以下(0%を含む)のフェライト、残部焼き戻しマルテンサイトからなることを特徴とする切削性に優れた機械構造用鋼管。
α=830−270C−90Mn−70Cr−83Mo…(1)
ここで、C、M、Cr、Moは各元素の含有量である。
(2) 焼き戻しベイナイトの面積率が20〜50%であり、フェライトの面積率が1〜20%であることを特徴とする上記(1)に記載の切削性に優れた機械構造用鋼管。
(3) 鋼管外表面から1mmまでの領域における残留応力の絶対値が150MPa以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の切削性に優れた機械構造用鋼管。
(4) 上記(1)〜(3)の何れか1項に記載の切削性に優れた機械構造用鋼管の製造方法であって、請求項1に記載の化学成分を有し、下記(1)式で定義されるα[%]が580以上、640以下である鋼管を、800℃以上の温度から200℃以下の温度まで、円周方向に回転させながら、下記(2)式を満足する冷却速度V[℃/s]で鋼管外表面から強制冷却した後、550〜700℃に再加熱することを特徴とする切削性に優れた機械構造用鋼管の製造方法。
α=830−270C−90Mn−70Cr−83Mo…(1)
1.0<V<0.4159α−231.95…(2)
ここで、C、M、Cr、Moは各元素の含有量である。
(5) 熱間での延伸工程で造管した鋼管を、そのまま円周方向に回転させながら鋼管外表面から加速冷却した後、再加熱することを特徴とする上記(4)に記載の切削性に優れた機械構造用鋼管の製造方法。
(6) 鋼管が、円筒状ブルームを熱間で穿孔、圧延し、更に熱間での延伸工程により造管したものであることを特徴とする上記(5)に記載の切削性に優れた機械構造用鋼管の製造方法。
本発明により、特に内表面の切削性に優れた機械構造用鋼管を安価に提供できるようになり、産業上の貢献が極めて顕著である。
本発明者らは、外径146mm、肉厚12mmの鋼管に種々の熱処理を施し、金属組織を変化させて、鋼の切削性におよぼす金属組織の影響について調査した。切削性については、鋼管内面を歯車形状にブローチ加工し、切削面精度を調査して評価した。鋼管の一部を切断して試料を採取し、鋼管内面の切削面の凹凸を触針式表面粗さ測定器によって測定した。金属組織は走査型電子顕微鏡で観察し、各組織の面積率は画像解析により求めた。
切削面精度は切削面の凹凸が10μm以下であれば良好とし、100個の加工品のうち、良好な個数の割合を合格率[%]として評価した。切削面の凹凸が10μm以下の良好な切削面精度を示す加工品の割合が95〜99%であるものを「○」、100%であるものを「◎」、94%以下であるものを「×」として表1に示した。
Figure 2007262491
表1に示すように切削面精度の合格率が95%以上である金属組織は、面積率20〜70%の焼き戻しベイナイトと焼き戻しマルテンサイトの混合組織のもの、更にフェライトを含むものであることがわかる。さらに面積率で20〜50%の焼き戻しベイナイトと1〜20%のフェライト、焼き戻しマルテンサイトの混合組織では合格率が100%になる。
以上のことから鋼管の金属組織として、焼き戻しベイナイトの面積率を20〜70%、フェライトの面積率は0〜25%とし、残部を焼き戻しマルテンサイトに限定した。さらに切削性を向上させるには焼き戻しベイナイトの面積率を20〜50%、フェライトの面積率を1〜20%、残部を焼き戻しマルテンサイトにすることが好ましい。
本発明において、焼き戻しマルテンサイトと焼き戻しベイナイトとは、走査型電子顕微鏡による組織観察で、ラス内のセメンタイトの析出形態により区別できる。すなわち、セメンタイトの長軸方向が複数あるのが焼き戻しマルテンサイトであり、焼き戻しベイナイトはセメンタイトの長軸方向がひとつである。また、フェライトはベイナイトのようなラス状ではなく、塊状であり、パーライトは粒界に板状のセメンタイトが析出している。
また、本発明では特に硬さを規定していないが、少なくとも鋼管内表面から3mmまでのビッカース硬さは220以上280以下であることが好ましい。ビッカース硬さは、280を超えると工具寿命が低下することがある。一方、ビッカース硬さが220以下ではむしれが発生して、切削面精度を損なうことがある。
次に本発明において鋼管の化学成分を限定した理由を述べる。なお、以下に示す「%」は、特段の説明がない限り、「質量%」を意味する。
C:Cは強度向上に極めて有効な元素であり、本発明の鋼管の主な適用先である歯車やシリンダー等の構造物として十分な強度を得るためには、最低0.15%必要である。しかし、0.45%を超えると焼き入れ時の冷却で割れる問題が生じる。したがって、Cは0.15〜0.45%に限定する。
Si:Siは脱酸元素であり、固溶強化にも寄与する。本発明では、十分な強度を得るため、Si量の下限を0.1%とした。しかし、Siを過剰に添加すると加工性を損なうため上限を0.4%に制限した。
Mn:Mnは強度を向上させるためには必須の元素であり、その下限は0.5%である。しかし、1.0%よりも多いと十分なマルテンサイトおよびベイナイトが生成せず、加工品の切削面精度が大幅に劣化するので1.0%を上限とした。
Cr:Crは強度を向上させ、また窒化処理による表面硬度の上昇に有効な元素であり、0.8%以上添加することが必要である。しかし、1.5%を超えるとマルテンサイトの生成が過剰になり加工品の切削面精度を劣化させるので、上限を1.5%とした。
Mo:Moは焼き入れ性を向上させ、高強度化に寄与する元素であり、その効果を得るには最低0.05%以上の添加が必要である。しかし、0.5%を超えるとマルテンサイトおよびベイナイトの生成が不十分になり、加工面精度を大幅に劣化させるので上限を0.5%とした。
S:Sは切削性向上に有効な元素であり、その効果を得るためには0.005%以上の添加が必要である。しかし、過度に添加すると焼き戻し後に割れるという問題が発生するため上限を0.03%とした。
更に、本発明では、切削性に最適な金属組織を得るために、C、Mn、Cr、Moを下記の式(1)に定義されるα[%]が、580≦α≦640を満足するよう限定した。
α=830−270C−90Mn−70Cr−83Mo…(1)
αは焼入れ性の指標であり、640超では焼き入れ性が低く、フェライトが過剰に生成し、切削性を向上するために必要な焼き戻しマルテンサイトおよび焼き戻しベイナイトを確保できない。一方、αが580未満では焼き入れ性が高く、切削性を向上するために必要な焼き戻しベイナイト分率を確保できない。したがって、αを580以上640以下に限定した。
焼き入れ・焼き戻し工程で製造される鋼管には、焼き入れ時の冷却中の偏熱によって生じた残留応力が存在している。残留応力の発生は焼入れ時の冷却均一性と焼き戻し温度に大きく影響される。残留応力が高いと、機械加工中に残留応力が解放されるので部品形状の精度を損なう。加工中の残留応力の解放に伴う部品形状の変化を抑えるには、鋼管外表面から1mm深さまでの領域における残留応力の絶対値が150MPa以下であることが好ましい。ここで、残留応力の絶対値が150MPa以下であることは、残留応力が−150MPa〜+150MPaの範囲内であることを意味し、本発明では、残留応力の数値が正であるものを圧縮残留応力、負であるものを引張残留応力と定義している。
次に、製造方法について説明する。本発明では上記化学成分を有する鋼管を熱間加工後又は加熱し、800℃以上から冷却する際の条件が重要であり、特に加速冷却の冷却速度の制御は、機械加工面の切削面精度を向上させるための根幹技術である。なお、冷却速度は、鋼管の内表面位置のものである。
加速冷却の冷却速度が1.0℃/sより小さい場合フェライトの生成が顕著となり、切削性を確保するために必要な焼き戻しマルテンサイトおよび焼き戻しベイナイトが得られない。したがって、下限を1.0℃/sに限定した。一方、上限は、上述の加工精度向上に最適な金属組織を確保するため密接な関係のある上記(1)式で定義されるα[%]によって決定される。
本発明者らは、切削面精度、化学成分、加速冷却速度の関係を鋭意調査した結果、切削面精度を確保できる加速冷却の冷却速度V[℃/s]の上限が、(0.4159α−231.95)であることを見いだした。以上のことから、加速冷却の冷却速度V[℃/s]は、1.0以上、(0.4159α−231.95)以下に限定した。
加速冷却の方法は、鋼管を円周方向に回転させながら外表面のみから冷却することに規定した。これは、円周方向、長手方向に渡って均一に冷却するためであり、鋼管を回転させなければ鋼管下面が過剰に冷え、また鋼管の内面側からの冷却でも下面に水が貯まり十分な冷却速度得られない問題があるためである。冷却方法は、水を鋼管の外表面に直接当てる方法、鋼管外周の接線方向に当てる方法、ミスト冷却など任意に選定できる。
加速冷却開始前の鋼管の温度を800℃以上に限定した理由は、加速冷却開始時の金属組織をオーステナイト単相とするためである。鋼管の温度が高すぎるとオーステナイト粒が粗大化しフェライトが生成しにくくなるので、900℃以下が望ましい。
加速冷却の停止温度は、200℃以下に限定した。これは、加速冷却の停止温度が200℃を超えると、焼き入れ時に炭化物が微細に析出し、結果、焼き戻し後の機械加工の工具寿命を低下させるためである。
鋼管内表面の冷却開始温度及び冷却停止温度は、加速冷却前後、すなわち冷却装置の入側及び出側で、鋼管内表面の温度を接触温度計で測定すれば良く、その温度差と冷却装置の通過速度から冷却速度を算出することができる。鋼管外面の温度を放射温度計によって測定し、鋼管内面の温度を熱伝導計算によって求めても良い。また、種々の外径及び肉厚を有する鋼管の内面及び外面に熱電対を取り付け、種々の加熱温度、冷媒の噴出条件、冷却時間に対応する冷却曲線を作成し、本発明の範囲内となる条件を決定することもできる。
焼き戻しの温度は550℃以上、700℃以下に限定した。550℃未満では不十分で均一な焼き戻しで残留応力解放が得られないため、下限を550℃とした。一方、700℃を超えると再結晶が進み、焼き戻し組織が失われるため、上限を700℃とした。
本発明の鋼管は、継ぎ目無し鋼管が好ましく、その造管工程は、熱間での穿孔−圧延−延伸が一般的である。また、冷間または熱間で穿孔し、熱間押し出しプレスにより製造された継ぎ目無し鋼管、ホットコイル等の鋼板を冷間または熱間でロールにて管状に成形した後、両端面を溶接することにより製造された溶接鋼管でも良い。
鋼管は、一旦鋼管製造工程を終了した後、加熱炉または誘導加熱によって昇温しても良く、熱間で鋼片を穿孔、圧延し、延伸工程によって造管した直後の最終段階で800℃以上であれば、インラインでそのまま冷却することも可能である。鋼板を冷間成形し、電縫溶接により造管して加熱しても良く、鋼板を冷間成形し、電縫溶接後、加熱して冷却するか、熱間での延伸工程によって造管した直後、インラインでそのまま冷却しても良い。
本発明では鋼管形状を特に限定していないが、肉厚は5mm以上20mm以下が好ましい。その理由は20mm以上の肉厚では、外表面側と内表面側との冷却速度の差が大きくなるためである。また鋼管の肉厚が5mm以下では、内外面の削り代を差し引くと肉厚が薄すぎて、機械部品用に適さないことがあるためである。
鋼管の長さは、外径の5倍以上が好ましい。この理由は、鋼管を外表面から水冷するときに均一に冷却するためである。鋼管の長さが外径の5倍より小さいと、外表面から噴射する水が内面に入ったりすることで鋼管長手方向、周方向で冷却が大きくばらつく。
(実施例1)
表2に示す化学成分を有し、外径156mm、肉厚12mmの鋼管を製造し、切削性を評価した。造管方法は、鋼板を冷間成形し、電縫溶接する電縫溶接プロセス(ERW)および鋼片を熱間で穿孔し、圧延し、延伸するシームレスプロセス(SML)である。これらの鋼管を室温から加熱炉にて加熱した後、鋼管の外表面からリング水冷却にて所定の冷却速度で冷却した。その後、加熱炉にて所定の温度に鋼管を再加熱し、空冷で室温まで冷却した。鋼管の造管方法、加速冷却前の加熱温度、加速冷却の冷却速度および停止温度、再加熱は表3に示した条件で行った。表3のVmaxは、0.4159α−231.95の計算値であり、冷却速度の上限を意味する。
製造した鋼管の肉厚中心部の金属組織は、電縫鋼管の溶接部を除く円周方向の任意の位置で、長手方向の端部100mmを除く任意の位置から小片を採取し、研磨、エッチングを行い、走査型電子顕微鏡および光学顕微鏡を用いて観察した。金属組織の観察は走査型電子顕微鏡にて最大の倍率を5000倍として行い、焼き戻しマルテンサイト(M)、焼き戻しベイナイト(B)、フェライト(F)、パーライト(P)に分類した。焼き戻しベイナイトおよびフェライトの面積率は、画像解析によって求めた。
残留応力は鋼管の外表面から0.5mm削った位置についてX線を用いて測定した。応力の方向は周方向である。表3の残留応力欄の数値が正であるものは圧縮の残留応力、負であるものは引張の残留応力を意味する。
切削性については、鋼管を50mm長さに切り、内外面を1mmずつ切削した後、歯車形状となるよう内面をブローチ加工し、ブローチ加工面精度を調査して評価した。面精度については、切削面の凹凸が10μm以下であれば良好とし、100個の加工で良好な個数の割合を切削性の合格率[%]を評価した。また、ブローチ加工前後の外径を測定して、その差が50μm以内であれば良好とし、100個の加工で良好な個数の割合を変形量の合格率[%]を評価した。
切削性および変形量のいずれも合格率が95〜99%であれば判定を○、いずれも合格率が100%のものの判定を◎とし、いずれかの合格率が94%以下のものの判定を×とした。
本発明例であるNo.1〜8は適正な化学成分および熱処理条件で製造された鋼管であり、適正な金属組織を有し、切断性に優れていた。
No.9は、C量が高くαが580以下と焼入れ性が高く、強制冷却の冷却速度が規定より速かったため、焼き戻しマルテンサイト単相となり切削性に難があり、残留応力が高く変形が大きかった例である。No.10は、C量が低すぎてαが640以上と焼入れ性が低いため、フェライトとパーライトの組織となり切削性に難があった例である。No.11は、Mn量が高くαが580以下と焼入れ性が高いため、焼き戻しベイナイトの面積率が低くなり切削性に難があった例である。
No.12は、Si量が高く、またMn量が低くてαが640以上と焼入れ性が低く、強制冷却停止温度が高かったため、フェライトの面積率が高くかつ焼き戻しベイナイトの面積率が低くなり、切削性に難があった例である。No.13は、Cr量が低すぎ、また強制冷却開始温度が低いため、フェライトとパーライトの組織になり切削性に難があった例である。
No.14は、Cr量およびMo量が高すぎたためαが580以下と焼入れ性が高く、冷却速度が規定より速く、焼き戻しマルテンサイト単相となり切削性に難があり、さらに再加熱温度が低かったため残留応力が高く変形が大きかった例である。
No.15は、冷却速度が遅すぎたため、フェライトとパーライトの組織になり切削性に難があった例である。No.16は、冷却速度が速すぎたため、焼き戻しマルテンサイト単相となり切削性に難があり、また残留応力が高く変形が大きかった例である。No.17は、加熱温度が低くかつ強制冷却停止温度が高かったため、フェライト面積率が高くなり切削性に難があった例である。No.18は、再加熱温度が高かったため、フェライト分率が高くなりかつ焼き戻しベイナイトの面積率が低く切削性に難があった例である。No.19は、冷却速度が速すぎ焼き戻しマルテンサイト単相となり切削性に難があって、また再加熱温度が低すぎたため残留応力が高く変形が大きかった例である。
Figure 2007262491
Figure 2007262491
(実施例2)
表2に示す化学成分の鋼を溶製し、転炉−連続鋳造プロセスにより直径170mmのブルームを鋳造した。これらブルームを1240℃に加熱し、マンネスマン−プラグミル方式により穿孔−圧延したシームレス鋼管、または表2に示す化学成分の熱延鋼板を冷間で中空形状に成形した後電縫溶接した電縫鋼管を素材とし、950℃に再加熱し、縮径圧延した後、リング冷却により外表面側から水冷した。
縮径圧延後の鋼管サイズは、外径156mm、肉厚12mmとした。その後、加熱炉にて所定の温度に鋼管を加熱し、空冷で室温まで冷却した。製造した鋼管の金属組織観察および分類、焼き戻しベイナイトおよびフェライトの面積率並びに残留応力の測定および切削性の評価は実施例1と同様にして行った。結果を表4に示す。表4のVmaxは、0.4159α−231.95の計算値であり、冷却速度の上限を意味する。
本発明例であるNo.19〜26は適正な化学成分および熱処理条件で製造された鋼管であり、適正な金属組織を有し、切断性に優れていた。
No.27は、C量が高くαが580以下と焼入れ性が高く、冷却速度が規定より速かったため、焼き戻しマルテンサイト単相となり切削性に難があり、残留応力が高く変形が大きかった例である。No.28は、C量が低すぎてαが640以上と焼入れ性が低いため、フェライトとパーライトの組織となり切削性に難があった例である。
No.29は、Mn量が高くαが580以下と焼入れ性が高いため、焼き戻しベイナイトの面積率が低くなり切削性に難があった例である。No.30は、Si量が高く、またMn量が低くてαが640以上と焼入れ性が低く、強制冷却停止温度が高かったため、フェライトの面積率が高くかつ焼き戻しベイナイトの面積率が低く切削性に難があった例である。
No.31は、Cr量が低すぎ、また強制冷却開始温度が低いため、フェライトとパーライトの組織になり切削性に難があった例である。No.32は、Cr量およびMo量が高すぎたためαが580以下と焼入れ性が高く、冷却速度が規定より速く、焼き戻しマルテンサイト単相となり切削性に難があり、さらに再加熱温度が低かったため残留応力が高く変形が大きかった例である。
No.33は、冷却速度が遅すぎたため、フェライトとパーライトの組織になり切削性に難があった例である。No.34は、冷却速度が速すぎたため、焼き戻しマルテンサイト単相となり切削性に難があり、また残留応力が高く変形が大きかった例である。
No.35は、強制冷却開始温度が低く、かつ強制冷却停止温度が高かったため、フェライト面積率が高くなり切削性に難があった例である。No.36は、再加熱温度が高かったため、フェライト分率が高くなりかつ焼き戻しベイナイトの面積率が低く切削性に難があった例である。No.37は、冷却速度が速すぎて、焼き戻しマルテンサイト単相となり切削性に難があり、また再加熱温度が低すぎたため残留応力が高く変形が大きかった例である。
Figure 2007262491

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.15〜0.45%、
    Si:0.1〜0.4%、
    Mn:0.5〜1.0%、
    Cr:0.8〜1.5%、
    Mo:0.05〜0.5%、
    S:0.005〜0.03%
    を含有し、下記(1)式で定義されるα[%]が580以上、640以下であり、残部が鉄および不可避的不純物からなり、金属組織が、面積率20〜70%の焼き戻しベイナイト、面積率25%以下(0%を含む)のフェライト、残部焼き戻しマルテンサイトからなることを特徴とする切削性に優れた機械構造用鋼管。
    α=830−270C−90Mn−70Cr−83Mo…(1)
    ここで、C、M、Cr、Moは各元素の含有量である。
  2. 焼き戻しベイナイトの面積率が20〜50%であり、フェライトの面積率が1〜20%であることを特徴とする請求項1に記載の切削性に優れた機械構造用鋼管。
  3. 鋼管外表面から1mmまでの領域における残留応力の絶対値が150MPa以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の切削性に優れた機械構造用鋼管。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の切削性に優れた機械構造用鋼管の製造方法であって、請求項1に記載の化学成分を有し、下記(1)式で定義されるα[%]が580以上、640以下である鋼管を、800℃以上の温度から200℃以下の温度まで、円周方向に回転させながら、下記(2)式を満足する冷却速度V[℃/s]で鋼管外表面から強制冷却した後、550〜700℃に再加熱することを特徴とする切削性に優れた機械構造用鋼管の製造方法。
    α=830−270C−90Mn−70Cr−83Mo…(1)
    1.0<V<0.4159α−231.95…(2)
    ここで、C、M、Cr、Moは各元素の含有量である。
  5. 熱間での延伸工程で造管した鋼管を、そのまま円周方向に回転させながら鋼管外表面から加速冷却した後、再加熱することを特徴とする請求項4に記載の切削性に優れた機械構造用鋼管の製造方法。
  6. 鋼管が、円筒状ブルームを熱間で穿孔、圧延し、更に熱間での延伸工程により造管したものであることを特徴とする請求項5に記載の切削性に優れた機械構造用鋼管の製造方法。
JP2006089012A 2006-03-28 2006-03-28 切削性に優れた機械構造用鋼管およびその製造方法 Active JP4495106B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006089012A JP4495106B2 (ja) 2006-03-28 2006-03-28 切削性に優れた機械構造用鋼管およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006089012A JP4495106B2 (ja) 2006-03-28 2006-03-28 切削性に優れた機械構造用鋼管およびその製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2007262491A true JP2007262491A (ja) 2007-10-11
JP2007262491A5 JP2007262491A5 (ja) 2007-12-13
JP4495106B2 JP4495106B2 (ja) 2010-06-30

Family

ID=38635751

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006089012A Active JP4495106B2 (ja) 2006-03-28 2006-03-28 切削性に優れた機械構造用鋼管およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4495106B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008266678A (ja) * 2007-04-17 2008-11-06 Nippon Steel Corp 切削性に優れた機械構造用鋼管及びその製造方法
JP2013010976A (ja) * 2011-06-28 2013-01-17 Sintokogio Ltd 低炭素系鋳鋼ショット
JP2020105550A (ja) * 2018-12-26 2020-07-09 株式会社クボタ 鋼管継手用の鋼管製造方法
JP6874925B1 (ja) * 2020-10-22 2021-05-19 日本製鉄株式会社 機械構造部品用電縫鋼管及びその製造方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54107411A (en) * 1978-02-10 1979-08-23 Nippon Steel Corp Tempering of large diameter steel tube
JPS61133364A (ja) * 1984-12-01 1986-06-20 Aichi Steel Works Ltd 高靭性低合金鋼およびその製造方法
JPS61207515A (ja) * 1985-03-11 1986-09-13 Sumitomo Metal Ind Ltd 金属管の冷却方法
JPS62263924A (ja) * 1986-05-07 1987-11-16 Sumitomo Metal Ind Ltd 強靭鋼管の製造方法
JPH0681078A (ja) * 1992-07-09 1994-03-22 Sumitomo Metal Ind Ltd 低降伏比高強度鋼材およびその製造方法
JPH06184694A (ja) * 1993-02-12 1994-07-05 Aichi Steel Works Ltd 高靭性低合金鋼
JP2000002229A (ja) * 1998-06-17 2000-01-07 Daido Steel Co Ltd 高強度シャフト部品およびその製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54107411A (en) * 1978-02-10 1979-08-23 Nippon Steel Corp Tempering of large diameter steel tube
JPS61133364A (ja) * 1984-12-01 1986-06-20 Aichi Steel Works Ltd 高靭性低合金鋼およびその製造方法
JPS61207515A (ja) * 1985-03-11 1986-09-13 Sumitomo Metal Ind Ltd 金属管の冷却方法
JPS62263924A (ja) * 1986-05-07 1987-11-16 Sumitomo Metal Ind Ltd 強靭鋼管の製造方法
JPH0681078A (ja) * 1992-07-09 1994-03-22 Sumitomo Metal Ind Ltd 低降伏比高強度鋼材およびその製造方法
JPH06184694A (ja) * 1993-02-12 1994-07-05 Aichi Steel Works Ltd 高靭性低合金鋼
JP2000002229A (ja) * 1998-06-17 2000-01-07 Daido Steel Co Ltd 高強度シャフト部品およびその製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008266678A (ja) * 2007-04-17 2008-11-06 Nippon Steel Corp 切削性に優れた機械構造用鋼管及びその製造方法
JP2013010976A (ja) * 2011-06-28 2013-01-17 Sintokogio Ltd 低炭素系鋳鋼ショット
JP2020105550A (ja) * 2018-12-26 2020-07-09 株式会社クボタ 鋼管継手用の鋼管製造方法
JP7213681B2 (ja) 2018-12-26 2023-01-27 株式会社クボタ 鋼管継手用の鋼管製造方法
JP6874925B1 (ja) * 2020-10-22 2021-05-19 日本製鉄株式会社 機械構造部品用電縫鋼管及びその製造方法
WO2022085152A1 (ja) * 2020-10-22 2022-04-28 日本製鉄株式会社 機械構造部品用電縫鋼管及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4495106B2 (ja) 2010-06-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4751224B2 (ja) 靭性と溶接性に優れた機械構造用高強度シームレス鋼管およびその製造方法
JP4274177B2 (ja) 軸受要素部品用鋼管、その製造方法および切削方法
CN108368575B (zh) 冷锻调质品用轧制线棒
JP5005543B2 (ja) 焼入れ性、熱間加工性および疲労強度に優れた高強度厚肉電縫溶接鋼管およびその製造方法
JP4632931B2 (ja) 冷間加工性に優れる高周波焼入れ用鋼及びその製造方法
WO2016035316A1 (ja) 厚肉油井用鋼管及びその製造方法
JP6819198B2 (ja) 冷間鍛造調質品用圧延棒線
JP2016164288A (ja) 油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法
JP4992274B2 (ja) ファインブランキング加工性に優れた鋼板およびその製造方法
JP6679935B2 (ja) 冷間加工部品用鋼
KR20190028757A (ko) 고주파 담금질용 강
JP4992275B2 (ja) ファインブランキング加工性に優れた鋼板およびその製造方法
JP4495106B2 (ja) 切削性に優れた機械構造用鋼管およびその製造方法
US20140182414A1 (en) Steel for induction hardening and crankshaft manufactured by using the same
JP4500246B2 (ja) 機械構造部材用鋼管およびその製造方法
JP2007231416A (ja) ファインブランキング加工性に優れた鋼板およびその製造方法
JP2007056283A (ja) 焼入れ性及び耐脱炭性に優れた高強度厚肉電縫溶接鋼管およびその製造方法
JP6597077B2 (ja) 被削性に優れた機械構造部材用鋼管とその製造方法
JP6597078B2 (ja) 被削性に優れた機械構造部材用鋼管とその製造方法
JP5020690B2 (ja) 機械構造用高強度鋼管及びその製造方法
JP6702266B2 (ja) 熱間圧延用複合ロールの製造方法
MX2013007042A (es) Metodo de produccion para barra de acero redonda para tuberia sin costuras que comprende alta aleacion de cr-ni, y metodo de produccion para tuberia sin costuras utilizando la barra de acero redonda.
JP5020689B2 (ja) 切削性に優れた機械構造用鋼管
WO2018047444A1 (ja) 熱間圧延用ロール外層材および熱間圧延用複合ロール
JP5629598B2 (ja) 高強度中空ばね用シームレス鋼管用素管の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071030

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080303

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100318

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100330

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100408

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4495106

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130416

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130416

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140416

Year of fee payment: 4

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350