WO2023223873A1

WO2023223873A1 - コネクタ及び電子機器

Info

Publication number: WO2023223873A1
Application number: PCT/JP2023/017339
Authority: WO
Inventors: 文人池上; 伸幸中島
Original assignee: 京セラ株式会社
Priority date: 2022-05-17
Filing date: 2023-05-08
Publication date: 2023-11-23
Also published as: TW202406230A

Abstract

本開示に係るコネクタ１０は、接続対象物７０が挿入される挿入部２３を有するインシュレータ２０と、インシュレータ２０に取り付けられ、回路基板ＣＢに実装される実装部を有する複数のコンタクト３０と、インシュレータ２０に取り付けられている第１金属部材５０と、インシュレータ２０及び第１金属部材５０の少なくとも一方に取り付けられている第２金属部材６０と、を備え、第１金属部材５０は、接続対象物７０が挿入部２３に挿入されていない非挿入状態で、第１金属部材５０の外面から実装部を視認可能にする開口部５２を有し、第２金属部材６０は、挿入部２３への接続対象物７０の挿入に伴って移動し、接続対象物７０が挿入部２３に挿入された挿入状態で開口部５２と重なる遮蔽部６１を有する。

Description

コネクタ及び電子機器

関連出願の相互参照

　本出願は、２０２２年５月１７日に日本国に特許出願された特願２０２２－０８１１７７号の優先権を主張するものであり、この出願の開示全体をここに参照のために取り込む。

　本開示は、コネクタ及び電子機器に関する。

　従来、通信機器などにおいて使用されるコネクタであって、フレキシブルプリント回路基板（ＦＰＣ）及びフレキシブルフラットケーブル（ＦＦＣ）などを含む接続対象物と接続されるコネクタに関する技術が知られている。

　例えば、特許文献１には、電磁波ノイズを遮蔽可能でありながらコンタクトと配線基板との接続状態の確認を容易に行うことができるコネクタが開示されている。当該コネクタでは、配線基板、すなわち回路基板にコネクタが実装されているかを検査用カメラで確認するための開口部が導電性のシェルに形成されている。当該コネクタは、電磁波ノイズをより効果的に遮蔽するために、シェルに対して開閉可能に構成されるカバー部材を有する。カバー部材の開閉によって開口部の露出及び遮蔽の切り替えがそれぞれ可能になる。

特開２０２１－０３９８３０号公報

　本開示の一実施形態に係るコネクタは、
　接続対象物が挿入される挿入部を有するインシュレータと、
　前記インシュレータに取り付けられ、回路基板に実装される実装部を有する複数のコンタクトと、
　前記インシュレータに取り付けられている第１金属部材と、
　前記インシュレータ及び前記第１金属部材の少なくとも一方に取り付けられている第２金属部材と、
　を備える。
　前記第１金属部材は、前記接続対象物が前記挿入部に挿入されていない非挿入状態で、前記第１金属部材の外面から前記実装部を視認可能にする開口部を有する。
　前記第２金属部材は、前記挿入部への前記接続対象物の挿入に伴って移動し、前記接続対象物が前記挿入部に挿入された挿入状態で前記開口部と重なる遮蔽部を有する。

　本開示の一実施形態に係る電子機器は、
　上記のコネクタを備える。

非挿入状態にある一実施形態に係るコネクタ及び接続対象物を上面視で示した外観斜視図である。挿入状態にある一実施形態に係るコネクタ及び接続対象物を上面視で示した外観斜視図である。図１のコネクタ及び接続対象物を下面視で示した外観斜視図である。図１のコネクタ単体の分解斜視図である。第１金属部材単体の下面図である。図１のコネクタ及び接続対象物の上面図である。図２のコネクタ及び接続対象物の上面図である。図６の一点鎖線囲み部VIIIを拡大した拡大上面図である。図７の一点鎖線囲み部IXを拡大した拡大上面図である。図７のX－X矢線に沿う断面図である。図７のXI－XI矢線に沿う断面図である。図７のXII－XII矢線に沿う断面図である。図６のXIII－XIII矢線に沿う断面図である。図７のXIV－XIV矢線に沿う断面図である。

　近年、通信機器を用いた通信における高速広帯域化に伴い、電磁波ノイズに対するより高いノイズ遮蔽効果が要求されている。

　例えば、特許文献１に記載のコネクタでは、導電性のシェルに対して回動可能な導電性のカバー部材が操作される。これにより、当該コネクタは、カバー部材の開状態で開口部から回路基板とコンタクトとの接続状態を検査可能にしつつ、閉状態でカバー部材が開口部を覆ってノイズ遮蔽効果を向上させることも可能にする。

　本開示の一実施形態に係るコネクタ及び電子機器によれば、作業性及びノイズ遮蔽効果が向上する。

　以下、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について詳細に説明する。以下の説明中の前後、左右、及び上下の方向は、図中の矢印の方向を基準とする。各矢印の方向は、異なる図面同士で互いに整合している。図面によっては、簡便な図示を目的として、後述する回路基板ＣＢの図示を省略する。

　図１乃至図５を参照しながら、一実施形態に係るコネクタ１０の構成及び接続対象物７０の構成について主に説明する。

　図１は、非挿入状態にある一実施形態に係るコネクタ１０及び接続対象物７０を上面視で示した外観斜視図である。図２は、挿入状態にある一実施形態に係るコネクタ１０及び接続対象物７０を上面視で示した外観斜視図である。図３は、図１のコネクタ１０及び接続対象物７０を下面視で示した外観斜視図である。

　コネクタ１０は、インシュレータ２０と、第１コンタクト３０ａ及び第２コンタクト３０ｂを含むコンタクト３０と、第３金属部材４０と、第１金属部材５０と、第２金属部材６０と、を有する。第１コンタクト３０ａ、第２コンタクト３０ｂ、第３金属部材４０、第１金属部材５０、及び第２金属部材６０は、インシュレータ２０に取り付けられている。

　本明細書において、「非挿入状態」は、例えばコネクタ１０に対して接続対象物７０が挿入されていない状態であって、コネクタ１０の第１コンタクト３０ａ及び第２コンタクト３０ｂが弾性変形していない状態を含む。「挿入状態」は、例えばコネクタ１０に対して接続対象物７０が挿入された状態であって、第１コンタクト３０ａ及び第２コンタクト３０ｂが接続対象物７０と接触して弾性変形している状態を含む。以下では、挿入部２３に対し接続対象物７０が一度も挿入されたことがない非挿入状態を第１状態と定義し、挿入状態を第２状態と定義し、第２状態から接続対象物７０を抜去したときの非挿入状態を第３状態と定義する。

　以下で使用する「接続対象物７０の挿抜方向」は、一例として前後方向を意味する。「接続対象物７０の挿入方向」は、一例として後方向を意味する。「接続対象物７０の抜去方向」は、一例として前方向を意味する。「複数のコンタクト３０の配列方向」は、一例として左右方向を意味する。「抜去側」は、一例として前側を意味する。「挿入側」は、一例として後側を意味する。「回路基板ＣＢの側」は、一例として下側を意味する。「回路基板ＣＢと反対側」は、一例として上側を意味する。

　一実施形態に係るコネクタ１０は、回路基板ＣＢに実装されている。回路基板ＣＢは、リジッド基板であってよいし、フレキシブルプリント回路基板（ＦＰＣ）を含む、リジッド基板以外の任意の他の回路基板であってもよい。コネクタ１０は、コネクタ１０に挿入された接続対象物７０と回路基板ＣＢとを、第１コンタクト３０ａ及び第２コンタクト３０ｂを介して電気的に接続する。コネクタ１０は、接続対象物７０を挿抜可能であり、挿入状態で接続対象物７０と接続される。

　以下では、接続対象物７０は、コネクタ１０が実装されている回路基板ＣＢに対して平行方向にコネクタ１０に挿入されるとして説明する。接続対象物７０は、一例として前後方向に沿ってコネクタ１０に挿入される。これに限定されず、接続対象物７０は、コネクタ１０が実装されている回路基板ＣＢに対して直交方向にコネクタ１０に挿入されてもよい。接続対象物７０は、上下方向に沿ってコネクタ１０に挿入されてもよい。

　接続対象物７０は、一例としてフレキシブルフラットケーブル（ＦＦＣ）である。しかしながら、これに限定されず、接続対象物７０は、コネクタ１０を介して回路基板ＣＢと電気的に接続されるものであれば、任意のケーブルであってよい。例えば、接続対象物７０は、ＦＰＣであってもよい。接続対象物７０は、上記のようなケーブルに限定されず、任意の対象物を含んでもよい。例えば、接続対象物７０は、リジッド基板又はそれ以外の任意の回路基板を含んでもよい。

　図１及び図３に示すとおり、接続対象物７０は、複数の薄膜材を互いに接着して構成した積層構造を有する。接続対象物７０は、接続対象物７０の延伸方向、すなわち接続対象物７０を挿抜する挿抜方向の先端部を構成しかつその他の部分に比べて硬い補強部７１を有する。補強部７１は、接続対象物７０の挿入側に位置しかつ挿入状態においてコネクタ１０に収容される。接続対象物７０は、補強部７１において接続対象物７０の挿入側の端面を構成する先端面７１ａを有する。接続対象物７０は、挿抜方向に沿って直線的に延びかつ補強部７１の先端まで延びる複数の接触線７２を有する。接触線７２は、接続対象物７０の先端で下方に向けて露出する。接触線７２は、挿入状態で第１コンタクト３０ａと接触する第１接触線７２ａと、挿入状態で第３金属部材４０と接触する第２接触線７２ｂと、を含む。

　接続対象物７０は、接続対象物７０の抜去側で接触線７２の一部を下側の最外層にて覆う第１グランド部７３を有する。第１グランド部７３は、前方から後方に向けて平板状に延在し、その先端において斜め上方に折れている。接続対象物７０は、接触線７２の略全体を上側の最外層にて覆う第２グランド部７４を有する。第２グランド部７４は、前方から後方に向けて平板状に延在し、補強部７１の前縁部において斜め上方に折れながら第２グランド部７４の先端部において補強部７１の上方に積層されている。

　接続対象物７０は、補強部７１を含む接続対象物７０の先端部の左右両側縁部において、中央部を左右方向の内側に向けて切り欠いた被ロック部７５を有する。被ロック部７５は、補強部７１を含む接続対象物７０の先端部において左右方向の両側に形成されている。接続対象物７０は、当該先端部における挿入側の左右両側部に形成されている保持部７６を有する。保持部７６は、被ロック部７５と挿入側で隣接する。接続対象物７０は、保持部７６の挿入側の角部においてＲ形状として形成されている誘い込み部７７を有する。

　図４は、図１のコネクタ１０単体の分解斜視図である。

　コネクタ１０は、一例として以下の方法で組み立てられる。インシュレータ２０の後方から第１コンタクト３０ａ及び第２コンタクト３０ｂをインシュレータ２０の内部に圧入する。インシュレータ２０の前方から第３金属部材４０をインシュレータ２０の内部に圧入する。インシュレータ２０の上方から第２金属部材６０をインシュレータ２０に取り付ける。このとき、第２金属部材６０は、接続対象物７０の挿入方向にスライド可能な状態でインシュレータ２０に取り付けられる。第２金属部材６０がインシュレータ２０に取り付けられている状態で、インシュレータ２０及び第２金属部材６０の上方から第１金属部材５０を配置し、後方から前方に向けてスライドさせることでインシュレータ２０に圧入する。

　インシュレータ２０の構成について主に説明する。

　インシュレータ２０は、絶縁性かつ耐熱性の合成樹脂材料を射出成形した左右対称の箱形の部材である。これに限定されず、インシュレータ２０は、左右非対称に形成されていてもよい。インシュレータ２０は、上下左右方向の４つの外壁を有し、全体として直方体状に形成されている外周壁２１を有する。外周壁２１は、天井壁２１ａと、底壁２１ｂと、一対の側壁２１ｃと、を有する。インシュレータ２０は、例えば後述する図１２において示すとおり、インシュレータ２０の天井壁２１ａと底壁２１ｂとを後端部で上下方向に接続する後壁２２を有する。

　図４に示すとおり、インシュレータ２０は、天井壁２１ａ、底壁２１ｂ、一対の側壁２１ｃ、及び後壁２２によって囲まれる挿入部２３を有する。インシュレータ２０は、前端部において開口として形成されている挿入部２３の挿入口２３ａを有する。インシュレータ２０は、側壁２１ｃの前端部において前後方向の外側から内側に向かうほど左右方向の内側に傾斜し挿入部２３と連続する第１傾斜面２３ｂを有する。インシュレータ２０は、挿入部２３の前端部に形成され、前後方向の外側から内側に向かうほど上下方向の内側に傾斜する第２傾斜面２３ｃを有する。挿入部２３は、例えば後述する図１０において示すとおり、挿入状態で挿入方向における接続対象物７０の先端面７１ａの位置決めの基準となる内面２３ｄを有する。

　インシュレータ２０は、例えば後述する図１０において示すとおり、後壁２２を貫通して挿入部２３の内部に延設されている複数の第１コンタクト取付溝２４を有する。複数の第１コンタクト取付溝２４は、互いに所定の間隔で離間して左右方向に配列されている。複数の第１コンタクト取付溝２４は、第１コンタクト３０ａの左右方向の配列に合わせて形成されている。

　インシュレータ２０は、例えば後述する図１１において示すとおり、後壁２２を貫通して挿入部２３の内部に延設されている複数の第２コンタクト取付溝２５を有する。複数の第２コンタクト取付溝２５は、互いに所定の間隔で離間して左右方向に配列されている。複数の第２コンタクト取付溝２５は、第２コンタクト３０ｂの左右方向の配列に合わせて形成されている。

　図４に示すとおり、インシュレータ２０は、底壁２１ｂに形成されている金具取付部２６を有する。金具取付部２６は、底壁２１ｂの左右方向の両端部に凹設されている金具取付溝２６ａを有する。金具取付部２６は、底壁２１ｂの前縁部に形成されている複数の第１切欠部２６ｂを有する。複数の第１切欠部２６ｂは、底壁２１ｂの前縁部を、複数のコンタクト３０の配列方向に沿って略一定の間隔で切り欠いている。

　インシュレータ２０は、天井壁２１ａ及び側壁２１ｃにわたり形成されている取付部２７を有する。取付部２７は、天井壁２１ａにおいて前後方向に一直線状に延在する複数の溝２７ａを有する。複数の溝２７ａは、天井壁２１ａにおいて、複数のコンタクト３０の配列方向に沿って互いに所定の間隔で離間するように凹設されている。取付部２７は、天井壁２１ａの前端部において天井壁２１ａを前後方向に貫通し溝２７ａと連続する第１貫通孔２７ｂを有する。

　取付部２７は、天井壁２１ａの前縁部に形成されている複数の第２切欠部２７ｃを有する。複数の第２切欠部２７ｃは、複数のコンタクト３０の配列方向に沿って互いに所定の間隔で離間した状態で、天井壁２１ａの前縁部を切り欠いている。第２切欠部２７ｃは、溝２７ａ及び第１貫通孔２７ｂの一の組と隣接する他の組とによって左右方向に挟まれている。取付部２７は、側壁２１ｃの前端部において側壁２１ｃを前後方向に貫通する第２貫通孔２７ｄを有する。

　インシュレータ２０は、天井壁２１ａの左右方向の両端部において前後方向に沿って凹設されている取付溝２８を有する。取付溝２８は、後壁２２から天井壁２１ａの前後方向の略中央部に至るまで延在する。取付溝２８は、後壁２２の一部を上方から切り欠き、かつ天井壁２１ａの一部を上面から挿入部２３の内部に至るまで貫通するように形成されている。インシュレータ２０は、取付溝２８における左右方向の内側の側面に突設されている規制部２８ａを有する。規制部２８ａは、円形状の突部として取付溝２８の側面に形成されている。

　第１コンタクト３０ａの構成について主に説明する。

　第１コンタクト３０ａは、例えば、リン青銅、ベリリウム銅、若しくはチタン銅を含むばね弾性を備えた銅合金又はコルソン系銅合金の薄板を順送金型（スタンピング）を用いて図４に示す形状に成形加工したものである。第１コンタクト３０ａは、例えば抜き加工の工程のみで形成されている。第１コンタクト３０ａの加工方法はこれに限定されず、例えば抜き加工を行った後に板厚方向に屈曲させる工程を含んでもよい。第１コンタクト３０ａの表面には、ニッケルめっきで下地を形成した後に、金又は錫などによる表層めっきが施されている。複数の第１コンタクト３０ａは、複数の第１コンタクト取付溝２４にそれぞれ合わせて、互いに所定の間隔で離間して左右方向に配列されている。

　第１コンタクト３０ａは、前後上下方向に幅広に形成されている係止部３１ａを有する。第１コンタクト３０ａは、係止部３１ａの後端部から下方に向けて延出する実装部３２ａを有する。第１コンタクト３０ａは、係止部３１ａの前端部から前方に向けて延出する、上下方向に弾性変形可能な弾性接触片３３ａを有する。弾性接触片３３ａは、係止部３１ａの前端部から下方に向けて延出し、屈曲して、斜め上方に傾斜しながら前方に直線的に延在する。

　第２コンタクト３０ｂの構成について主に説明する。

　第２コンタクト３０ｂは、例えば、リン青銅、ベリリウム銅、若しくはチタン銅を含むばね弾性を備えた銅合金又はコルソン系銅合金の薄板を順送金型（スタンピング）を用いて図４に示す形状に成形加工したものである。第２コンタクト３０ｂは、例えば抜き加工の工程のみで形成されている。第２コンタクト３０ｂの加工方法はこれに限定されず、例えば抜き加工を行った後に板厚方向に屈曲させる工程を含んでもよい。第２コンタクト３０ｂの表面には、ニッケルめっきで下地を形成した後に、金又は錫などによる表層めっきが施されている。複数の第２コンタクト３０ｂは、複数の第２コンタクト取付溝２５にそれぞれ合わせて、互いに所定の間隔で離間して左右方向に配列されている。

　第２コンタクト３０ｂは、前後上下方向に幅広に形成されている係止部３１ｂを有する。第２コンタクト３０ｂは、係止部３１ｂの後端部から下方に向けて延出する実装部３２ｂを有する。第２コンタクト３０ｂは、係止部３１ｂの前端部から前方に向けて延出する、上下方向に弾性変形可能な弾性接触片３３ｂを有する。弾性接触片３３ｂは、係止部３１ｂの前端部から下方に向けて延出し、屈曲して、斜め上方に若干傾斜しながら前方に直線的に延在する。弾性接触片３３ｂの斜め上方への傾斜は、弾性接触片３３ａの斜め上方への傾斜よりも小さい。弾性接触片３３ｂは、弾性接触片３３ａよりも水平に近い状態で斜め上方に若干傾斜する。

　第３金属部材４０の構成について主に説明する。

　第３金属部材４０は、任意の金属材料の薄板を順送金型（スタンピング）を用いて図４に示す形状に成形加工したものである。第３金属部材４０は、抜き加工を行った後に板厚方向に屈曲させることで形成されている。第３金属部材４０の加工方法はこれに限定されず、例えば抜き加工の工程のみを含んでもよい。第３金属部材４０の表面には、ニッケルめっきで下地を形成した後に、金又は錫などによる表層めっきが施されている。ニッケルめっき及び表層めっきを含むめっきは必要な個所に部分的に施されていてもよい。

　第３金属部材４０は、前後左右方向に板状に形成されている基部４１を有する。基部４１は、前後左右方向に広がる平板として形成されている第１部分４１ａと、第１部分４１ａの後縁部から斜め上方に折れ曲がって再度水平に延在する第２部分４１ｂと、を含む。

　第３金属部材４０は、基部４１、例えば第２部分４１ｂの後縁部から後方に向けて延出する第１接触部４２を有する。第１接触部４２は、第２部分４１ｂの後縁部から後方に向けて水平に延出し、斜め上方に折れ曲がって、第１接触部４２の後部において再度水平に延在する。第１接触部４２の後端部は、水平に延在している部分から斜め上方に向けて跳ね上がるように傾斜する。第１接触部４２は、第２部分４１ｂに接続されている部分から斜め上方に折れ曲がっている部分の中央部に至るまで左右方向に幅広に形成されており、当該中央部から第１接触部４２の後部に向けて先細りとなるように形成されている。第１接触部４２は、左右方向に幅広に形成されている部分の左右方向の中央部において板厚方向に切り欠かれている。第１接触部４２は、上下方向に弾性変形可能である。

　第３金属部材４０は、第１接触部４２よりも前方に位置し、基部４１、例えば第１部分４１ａの後部から後方に向けて延出する第２接触部４３を有する。第２接触部４３は、第１部分４１ａの後部から斜め上方に直線状に延出し、第２接触部４３の後端部において上方に向けて屈曲する。第２接触部４３は、第１部分４１ａに接続されている部分から後端部に至るまで左右方向の幅が連続的に減少するようにテーパ状に形成されている。第２接触部４３の全体は、第２部分４１ｂ及び第１接触部４２において板厚方向に切り欠かれている部分に収まる。第２接触部４３の後端部は、第１接触部４２において板厚方向に切り欠かれている部分に配置されている。第２接触部４３は、上下方向に弾性変形可能である。

　第１接触部４２及び第２接触部４３は、第３金属部材４０において左側に２組、右側に２組で合計４組形成されている。第１接触部４２及び第２接触部４３の各組は、左右方向に沿って互いに離間した状態で配列されている。第１接触部４２と第２接触部４３とは、前後方向に沿って同一直線上に配置されている。

　第３金属部材４０は、基部４１の第１部分４１ａの前端部から斜め下方に屈曲して延出し、再度屈曲して前方に向けて水平に延在する複数の実装部４４を有する。複数の実装部４４は、複数のコンタクト３０の配列方向に沿って略一定の間隔で互いに離間するように、基部４１の第１部分４１ａの前端部に形成されている。第３金属部材４０は、基部４１の第１部分４１ａの左右方向の両端部に形成されている係止部４５を有する。

　図５は、第１金属部材５０単体の下面図である。図４及び図５を参照しながら、第１金属部材５０の構成について主に説明する。

　第１金属部材５０は、任意の金属材料の薄板を順送金型（スタンピング）を用いて図４及び図５に示す形状に成形加工したものである。第１金属部材５０は、抜き加工を行った後に板厚方向に屈曲させることで形成されている。第１金属部材５０の加工方法はこれに限定されず、例えば抜き加工の工程のみを含んでもよい。

　第１金属部材５０は、上方、左右方向、及び後方における外周を構成する外周部５１を有する。外周部５１は、天井部５１ａと、一対の側部５１ｂと、後部５１ｃと、を有する。第１金属部材５０は、天井部５１ａを貫通する開口部５２を有する。開口部５２は、天井部５１ａの後部において左右方向に幅広に、かつ前後方向に幅狭になるように形成されている。開口部５２は、天井部５１ａの後部において左右方向の略全体にわたり延在する。

　第１金属部材５０は、天井部５１ａの前縁部に形成されている複数の接触部５３ａを有する。接触部５３ａは、天井部５１ａの前縁部からＵ字状に屈曲し、後方に向けて斜め下方に延出してからその後端部において上方に向けて若干跳ね上がるように形成されている。接触部５３ａは、上下方向に弾性変形可能である。複数の接触部５３ａは、複数のコンタクト３０の配列方向に沿って互いに所定の間隔で離間した状態で、天井部５１ａの前縁部に形成されている。

　第１金属部材５０は、天井部５１ａの前縁部に形成されている複数の保持部５３ｂを有する。保持部５３ｂは、天井部５１ａの前縁部からクランク状に折れ曲がって前方に延出する。複数の保持部５３ｂは、複数のコンタクト３０の配列方向に沿って互いに所定の間隔で離間した状態で、天井部５１ａの前縁部に形成されている。保持部５３ｂは、一の接触部５３ａと隣接する他の接触部５３ａとによって左右方向に挟まれている。天井部５１ａの前縁部では、接触部５３ａ及び保持部５３ｂが左右方向に沿って交互に配置されている。

　第１金属部材５０は、天井部５１ａにおいて前後方向の略中央部、かつ左右方向の両端部に位置する部分から前方に向けて斜め下方に延出するロック部５４を有する。ロック部５４は、上下方向に弾性変形可能である。ロック部５４は、天井部５１ａから前方に向けて斜め下方に直線状に延出し、その前端部において円弧状に屈曲して斜め上方に傾斜する。ロック部５４は、その前端部において斜め上方に傾斜する部分により構成される第１接触部５４ａを有する。ロック部５４は、その前端部において円弧状に屈曲する部分のうち、第１接触部５４ａと前後方向の反対側に位置する部分により構成される第２接触部５４ｂを有する。

　第１金属部材５０は、天井部５１ａにおいて前後方向の略中央部、かつ左右両側に位置する一対の凸部５５を有する。凸部５５は、天井部５１ａにおける回路基板ＣＢの側の内面で接続対象物７０の挿入方向に沿って直線状に形成されている。凸部５５は、天井部５１ａの内面から下方に向けて突出する。天井部５１ａの外面において凸部５５の形成位置に対応する部分は、凹みとして構成される。

　第１金属部材５０は、側部５１ｂの前縁部から前方に向けて突出する係止部５６ａを有する。第１金属部材５０は、側部５１ｂの下縁部から左右方向の外側に屈曲して延出する一対の第１実装部５６ｂを有する。

　第１金属部材５０は、後部５１ｃの左右方向の両端部からＬ字状に屈曲する折曲部５７ａを有する。折曲部５７ａにおいて前後方向に延在する部分は、前後方向に延在する側部５１ｂと互いに平行になるように配置されている。折曲部５７ａにおいて前後方向に延在する部分は、側部５１ｂの後端部に対し左右方向の外側で近接するように配置されている。折曲部５７ａにおいて前後方向に延在する部分は、上下方向の略全体にわたり側部５１ｂの後端部と左右方向に重なる。第１金属部材５０の後側の角部は、折曲部５７ａにおいて前後方向に延在する部分と側部５１ｂの後端部とによる左右方向に沿った二重構造として形成されている。第１金属部材５０は、後部５１ｃの下縁部から下方に向けて直線状に延出する複数の第２実装部５７ｂを有する。

　再度図４を参照しながら、第２金属部材６０の構成について主に説明する。

　第２金属部材６０は、任意の金属材料の薄板を順送金型（スタンピング）を用いて図４に示す形状に成形加工したものである。第２金属部材６０は、抜き加工を行った後に板厚方向に屈曲させることで形成されている。第２金属部材６０の加工方法はこれに限定されず、例えば抜き加工の工程のみを含んでもよい。

　第２金属部材６０は、前後左右方向にわたって矩形状に延在する遮蔽部６１を有する。第２金属部材６０は、遮蔽部６１の左右方向の両端部において下方に折り返すように形成されている被規制部６２を有する。被規制部６２は、遮蔽部６１の左右方向の両側縁部において前側の半部全体にわたり形成されている。被規制部６２は、後方から前方に向けて斜め下方に直線状に傾斜する傾斜部６２ａを有する。第２金属部材６０は、被規制部６２の下端部において左右方向の外側にＬ字状に屈曲する接触部６３を有する。接触部６３は、抜去側を向く接触面６３ａを有する。第２金属部材６０は、遮蔽部６１の後縁部全体から下方に向けて延出する折返部６４を有する。

　図１及び図２に示すとおり、第１コンタクト３０ａ、第２コンタクト３０ｂ、第３金属部材４０、第１金属部材５０、及び第２金属部材６０がインシュレータ２０に取り付けられている状態で、コネクタ１０は、回路基板ＣＢに実装される。より具体的には、コネクタ１０は、挿抜方向に対して略平行に配置される回路基板ＣＢの上面に形成されている回路形成面に実装される。

　第１コンタクト３０ａの実装部３２ａは、回路基板ＣＢ上のパターンに塗布したはんだペーストに載置される。第２コンタクト３０ｂの実装部３２ｂは、回路基板ＣＢ上のパターンに塗布したはんだペーストに載置される。第３金属部材４０の実装部４４は、回路基板ＣＢ上のパターンに塗布したはんだペーストに載置される。第１金属部材５０の第１実装部５６ｂ及び第２実装部５７ｂは、回路基板ＣＢ上のパターンに塗布したはんだペーストに載置される。

　リフロー炉などにおいて各はんだペーストを加熱溶融することで、実装部３２ａ、実装部３２ｂ、実装部４４、並びに第１実装部５６ｂ及び第２実装部５７ｂは、上記パターンにはんだ付けされる。結果、コネクタ１０の回路基板ＣＢへの実装が完了する。回路基板ＣＢの回路形成面には、例えば、ＣＰＵ（Central Processing Unit）、コントローラ、及びメモリなどを含む、コネクタ１０とは別の電子部品も実装される。

　以下では、図６乃至図１４を参照しながら、コネクタ１０の機能について主に説明する。

　図６は、図１のコネクタ１０及び接続対象物７０の上面図である。図７は、図２のコネクタ１０及び接続対象物７０の上面図である。

　第１金属部材５０は、コネクタ１０が有する他の構成のすべてを上方、左右方向、及び後方の外側から覆うようにインシュレータ２０に取り付けられている。保持部５３ｂは、インシュレータ２０の取付部２７における溝２７ａに沿って後方から前方に向けてスライドしながら取付部２７の第１貫通孔２７ｂにより保持される。係止部５６ａは、インシュレータ２０の取付部２７における第２貫通孔２７ｄに対し後方から前方に向けて挿入されることで第２貫通孔２７ｄに係止する。

　第１金属部材５０がインシュレータ２０に取り付けられると、接触部５３ａは、インシュレータ２０の第２切欠部２７ｃに位置する。天井部５１ａは、インシュレータ２０を回路基板ＣＢと反対側から覆う。天井部５１ａは、第２金属部材６０の遮蔽部６１をインシュレータ２０の天井壁２１ａと共に上下方向に挟みながら、遮蔽部６１及び天井壁２１ａを上側から覆う。このとき、凸部５５は、遮蔽部６１と接触する。天井部５１ａと遮蔽部６１とは、凸部５５の突出量に応じた間隔で上下方向に離間する。天井部５１ａと遮蔽部６１とは、凸部５５を介して互いに接触するが、凸部５５以外の部分ではその間に空間を形成する。

　一対の側部５１ｂは、インシュレータ２０の一対の側壁２１ｃを左右両側から覆う。後部５１ｃは、インシュレータ２０の後壁２２を後側から覆う。後部５１ｃと後壁２２とは、前後方向に大きく離間する。後部５１ｃと後壁２２との間には、空間が形成されている。

　図６に示す非挿入状態、例えば第１状態では、天井部５１ａに形成されている開口部５２は、当該空間を介して、複数のコンタクト３０のすべての実装部３２ａ及び実装部３２ｂに対する上方からの視認を可能にする。開口部５２は、実装部３２ａ及び実装部３２ｂを含む実装部のすべてに対し天井部５１ａにおいて直上に位置するように天井部５１ａに形成されている。開口部５２は、接続対象物７０がインシュレータ２０の挿入部２３に挿入されていない第１状態で、第１金属部材５０の外面、例えば上面に対して実装部３２ａ及び実装部３２ｂを直上から視認可能にする。開口部５２は、天井部５１ａにおいて、複数のコンタクト３０の配列方向に沿って複数のコンタクト３０が配置されている領域全体にわたり貫設されている。

　ロック部５４は、天井部５１ａから回路基板ＣＢの側に向けて延出する。より具体的には、ロック部５４は、前方に向けて斜め下方に延出する。ロック部５４は、インシュレータ２０の取付溝２８に収容される。ロック部５４は、取付溝２８において上下方向に弾性変形可能となるように配置されている。

　第２金属部材６０は、第１金属部材５０よりも回路基板ＣＢの側に位置する。図６に示す第１状態では、第２金属部材６０は、遮蔽部６１が上面側で凸部５５と接触し、かつ下面側で天井壁２１ａと接触した状態で、後方にスライド可能にインシュレータ２０に取り付けられている。このとき、遮蔽部６１は、開口部５２の前縁部の近傍のみを塞いでいるが、開口部５２におけるその他の部分とは重ならず、複数のコンタクト３０の実装部を、開口部５２を介して上方に露出させる。折返部６４は、天井壁２１ａの後面と後側から近接又は接触した状態で対向する。

　接続対象物７０が挿入部２３に挿入された図７に示す挿入状態、すなわち第２状態でも、遮蔽部６１は、上面側で凸部５５と接触し、かつ下面側で天井壁２１ａと接触する。しかしながら、第２金属部材６０は、図６に示す第１状態での位置から後方にスライドして、より挿入側に位置する。このとき、遮蔽部６１は、挿入部２３への接続対象物７０の挿入に伴って移動し、第２状態で開口部５２の全体と重なる。遮蔽部６１は、上方から視認したときに開口部５２において複数のコンタクト３０が完全に隠れるように、開口部５２を隙間なく塞ぐ。遮蔽部６１は、開口部５２の全体と重なる。折返部６４は、天井壁２１ａの後面と後側に大きく離間した状態で対向する。

　図８は、図６の一点鎖線囲み部VIIIを拡大した拡大上面図である。図９は、図７の一点鎖線囲み部IXを拡大した拡大上面図である。第１状態から第２状態へ移行するときの第２金属部材６０の動作が容易に理解できるように、図８及び図９のいずれにおいても、第１金属部材５０の図示を省略している。

　第２金属部材６０がインシュレータ２０に取り付けられると、被規制部６２は、取付溝２８の内部に収容される。被規制部６２は、取付溝２８における左右方向の内側の側面に沿って配置されている。このとき、接触部６３は、取付溝２８の内部に位置する。接触面６３ａは、挿入部２３の挿入口２３ａ側を向くように取付溝２８の内部に配置されている。

　図８に示す第１状態から図９に示す第２状態へと移行するとき、接触部６３は、接続対象物７０の挿入部２３への挿入により接続対象物７０と接触し、接続対象物７０の挿入方向に向けた押圧力を接続対象物７０から受ける。より具体的には、接触面６３ａが接続対象物７０の保持部７６と接触し、接続対象物７０の挿入方向に向けた押圧力を保持部７６から受ける。第２金属部材６０は、このような押圧力によって後方へとスライドし、第１状態での位置から第２状態での位置へと移動する。結果的に、遮蔽部６１は、接続対象物７０と接触部６３との接触により、第２状態で、回路基板ＣＢの側から開口部５２の全体を塞ぐ。

　図１０は、図７のX－X矢線に沿う断面図である。図１１は、図７のXI－XI矢線に沿う断面図である。図１２は、図７のXII－XII矢線に沿う断面図である。

　第３金属部材４０がインシュレータ２０に取り付けられると、係止部４５は、金具取付部２６の金具取付溝２６ａに係止する。第３金属部材４０は、底壁２１ｂの上面と接触するように配置され、挿入部２３の下部の略全体に配置されている。第１部分４１ａ及び第２部分４１ｂを含む基部４１は、底壁２１ｂの上面に載置される。第１接触部４２及び第２接触部４３は、底壁２１ｂの上面から後方に向けて斜め上方に延出する。第１接触部４２及び第２接触部４３は、挿入部２３の内部で上下方向に弾性変形可能に配置されている。

　図１０に主に示すとおり、接続対象物７０が挿入部２３に挿入されている挿入状態で、基部４１の第２部分４１ｂは、第１部分４１ａから後方に向けて斜め上方に延出し、第１グランド部７３と接触する。第２部分４１ｂと接続対象物７０との接触位置は、第１接触部４２及び第２接触部４３と接続対象物７０との接触位置よりも接続対象物７０の先端の反対側に位置する。第２部分４１ｂと接続対象物７０との接触位置は、上下方向において、第１接触部４２及び第２接触部４３と接続対象物７０との接触位置と、接続対象物７０に対し同一側に位置する。

　図１１に主に示すとおり、第１接触部４２は、基部４１から接続対象物７０の先端に向けて延出し、第１接触部４２の上面側で第２接触線７２ｂと接触する。第１接触部４２は、第１接触部４２の下面側で第２コンタクト３０ｂの弾性接触片３３ｂと接触する。第２接触部４３は、第１接触部４２よりも接続対象物７０の先端の反対側に位置し、第１グランド部７３と接触する。第１接触部４２及び第２接触部４３は、挿入部２３の内部において、下方に向けて弾性変形した状態で接続対象物７０と接触する。

　第１接触部４２と第２接触部４３とは、上下方向において、接続対象物７０に対し互いに同一側に位置する。第１接触部４２は、第２接触線７２ｂにおいて第２接触線７２ｂと第１グランド部７３との間の境界部Ｒに隣接する部分と接触する。第２接触部４３は、第１グランド部７３において境界部Ｒに隣接する部分と接触する。

　図４からも理解されるとおり、一の第１接触部４２は、複数の第２コンタクト３０ｂの弾性接触片３３ｂと接触する。例えば、一の第１接触部４２は、左右方向に沿って互いに隣接する２つの第２コンタクト３０ｂの弾性接触片３３ｂと接触する。同様に、一の第１接触部４２は、複数の第２接触線７２ｂと接触する。例えば、一の第１接触部４２は、左右方向に沿って互いに隣接する２つの第２接触線７２ｂと接触する。

　図１０に主に示すとおり、第１コンタクト３０ａは、係止部３１ａがインシュレータ２０の第１コンタクト取付溝２４に係止することで後壁２２から挿入部２３の内部にわたり取り付けられている。係止部３１ａが第１コンタクト取付溝２４に取り付けられると、弾性接触片３３ａの先端部が、弾性接触片３３ａの弾性変形に伴って挿入部２３の内部で上下方向に変位可能に配置される。

　接続対象物７０が挿入部２３に挿入されている挿入状態で、第１コンタクト３０ａの弾性接触片３３ａは、下方から第１接触線７２ａと接触する。このとき、弾性接触片３３ａは、下方へと弾性変形する。弾性接触片３３ａの先端部は、挿入部２３の内部で下方へと弾性変位する。

　第１金属部材５０がインシュレータ２０に取り付けられると、接触部５３ａの下端が、接触部５３ａの弾性変形に伴って挿入部２３の内部で上下方向に変位可能に配置される。接続対象物７０が挿入部２３に挿入されている挿入状態で、接触部５３ａの下端は、接続対象物７０の第２グランド部７４と上方から接触する。このとき、接触部５３ａは、上方へと弾性変形する。接触部５３ａの下端は、挿入部２３の内部で上方へと弾性変位する。

　図１１に主に示すとおり、第２コンタクト３０ｂは、係止部３１ｂがインシュレータ２０の第２コンタクト取付溝２５に係止することで後壁２２から挿入部２３の内部にわたり取り付けられている。係止部３１ｂが第２コンタクト取付溝２５に取り付けられると、弾性接触片３３ｂの先端部が、弾性接触片３３ｂの弾性変形に伴って挿入部２３の内部で上下方向に変位可能に配置される。

　接続対象物７０が挿入部２３に挿入されている挿入状態で、第２コンタクト３０ｂの弾性接触片３３ｂは、第２接触線７２ｂと接触している第１接触部４２と下方から接触する。このとき、弾性接触片３３ｂは、下方へと弾性変形する。弾性接触片３３ｂの先端部は、挿入部２３の内部で下方へと弾性変位する。

　図１３は、図６のXIII－XIII矢線に沿う断面図である。図１３において、接続対象物７０の表示を省略している。図１４は、図７のXIV－XIV矢線に沿う断面図である。

　第１金属部材５０がインシュレータ２０に取り付けられると、ロック部５４の下端が、ロック部５４の弾性変形に伴って挿入部２３の内部で上下方向に変位可能に配置される。接続対象物７０が挿入部２３に挿入されていない非挿入状態で、ロック部５４の第１接触部５４ａは、挿入部２３の内部で挿入口２３ａ側を向くように配置されている。ロック部５４の第２接触部５４ｂは、挿入部２３の内部で挿入口２３ａと反対側を向くように配置されている。

　第２金属部材６０がインシュレータ２０に取り付けられると、取付溝２８の規制部２８ａは、非挿入状態で接続対象物７０の挿入側から第２金属部材６０と接触又は近接する。例えば、規制部２８ａ及び第２金属部材６０の被規制部６２が共に取付溝２８の内部に位置している状態で、規制部２８ａが被規制部６２の傾斜部６２ａと接続対象物７０の挿入側から接触する。これにより、規制部２８ａは、非挿入状態で第２金属部材６０の接続対象物７０の挿入方向への移動を規制する。

　接触部６３は、挿入部２３の内部に位置する。接触面６３ａは、挿入口２３ａ側を向くように挿入部２３の内部に配置されている。接触部６３を含む被規制部６２及び規制部２８ａは、ロック部５４よりも挿入側に位置する。接触面６３ａは、挿入部２３の内部において、ロック部５４の第２接触部５４ｂと直接対向する。

　接続対象物７０は、図１３に示すようなコネクタ１０の状態で、インシュレータ２０の挿入部２３に挿入される。接続対象物７０がコネクタ１０の挿入部２３に挿入されるとき、補強部７１を含む接続対象物７０の先端部がインシュレータ２０の第１傾斜面２３ｂ及び第２傾斜面２３ｃに沿って挿入部２３内に侵入する。このとき、仮に接続対象物７０の挿入位置が挿入部２３に対して左右方向に若干ずれていたとしても、接続対象物７０の誘い込み部７７がインシュレータ２０の第１傾斜面２３ｂ上を摺動して、接続対象物７０が挿入部２３の内部に誘い込まれる。同様に、仮に接続対象物７０の挿入位置が挿入部２３に対して上下方向に若干ずれていたとしても、接続対象物７０の先端部がインシュレータ２０の第２傾斜面２３ｃ上を摺動して、接続対象物７０が挿入部２３の内部に誘い込まれる。

　接続対象物７０が挿入部２３の内側へとさらに移動すると、接続対象物７０の保持部７６と第１金属部材５０のロック部５４とが接触する。このとき、ロック部５４の抜去側の第１接触部５４ａを介したロック部５４と接続対象物７０の保持部７６との接触によってロック部５４を上方へと弾性変形させる抗力が発生する。したがって、ロック部５４は、当該抗力によって上方へと弾性変形する。

　ロック部５４と保持部７６とが接触した状態で挿入部２３のさらに内側へと接続対象物７０が移動すると、ロック部５４の弾性変形に伴う復元力によってロック部５４が保持部７６を上方から下方に向けて押圧しながら保持部７６の上面に一度乗り上げる。接続対象物７０の後側への移動に伴って、保持部７６は、ロック部５４の下端に対して摺動する。

　接続対象物７０が後方へとさらに移動すると、保持部７６が第２金属部材６０の接触部６３と接触する。先端面７１ａのうち保持部７６の後面に対応する部分と接触部６３の接触面６３ａとの面接触によって、接触部６３は、接続対象物７０の挿入方向に向けた押圧力を接続対象物７０から受ける。

　当該押圧力が、傾斜部６２ａと規制部２８ａとの接触によって被規制部６２が規制部２８ａから受ける抗力よりも大きいと、被規制部６２が規制部２８ａに乗り上げて後方へと移動し始める。被規制部６２が規制部２８ａに乗り上げると、規制部２８ａによる第２金属部材６０の挿入方向への移動の規制が解消する。これにより、第２金属部材６０は、接続対象物７０の挿入に伴う保持部７６からの押圧力によって後方へとスライドする。第２金属部材６０は、図１３に示す第１状態での位置から図１４に示す第２状態での位置へと移動する。

　図１４に示すとおり、挿入状態では、保持部７６がロック部５４を通り過ぎて挿入部２３の内部に収容される。図１０にも示すとおり、接続対象物７０の先端面７１ａがインシュレータ２０の挿入部２３の内面２３ｄに突き当たる。このとき、ロック部５４と保持部７６とが上下方向で非接触状態となり、ロック部５４の復元力によってロック部５４が接続対象物７０の挿入前の位置へと自動的に復帰する。

　このような挿入状態で、ロック部５４は接続対象物７０の被ロック部７５と係合する。ロック部５４の第２接触部５４ｂは、保持部７６に対して抜去側から対向する。ロック部５４の第２接触部５４ｂは、保持部７６の前面と近接しながら当該前面に対して前方から対向する。これにより、第１金属部材５０は、挿入部２３に挿入された接続対象物７０を抜止保持する。このような状態で、抜去力とは異なる、抜去力よりも弱い意図しない力が接続対象物７０に対し抜去方向に加わったとしても、接続対象物７０の保持部７６がロック部５４の第２接触部５４ｂと接触して接続対象物７０の抜去方向への移動が規制される。したがって、接続対象物７０の意図しない抜去が軽減され、接続対象物７０が効果的に抜止保持される。

　このように、コネクタ１０は、組立装置又は組立作業者による任意の付加的な操作を必要とすることなく、接続対象物７０を挿入部２３に挿入するという１つの動作のみによって挿入状態で接続対象物７０を抜止保持する。同様に、コネクタ１０は、組立装置又は組立作業者による任意の付加的な操作を必要とすることなく、接続対象物７０を挿入部２３から抜去するという１つの動作のみによって接続対象物７０の抜去を可能にする。

　コネクタ１０から接続対象物７０を抜去する場合、組立装置又は組立作業者は、接続対象物７０を抜去側に移動させる。接続対象物７０が前方へと移動すると、保持部７６とロック部５４の第２接触部５４ｂとが接触する。このとき、ロック部５４の挿入側の第２接触部５４ｂを介したロック部５４と保持部７６との接触によってロック部５４を上方へと弾性変形させる抗力が発生する。したがって、ロック部５４は、当該抗力によって上方へと弾性変形する。

　ロック部５４と保持部７６とが接触した状態で挿入部２３の外側へと接続対象物７０が移動すると、ロック部５４の弾性変形に伴う復元力によってロック部５４が保持部７６を上方から下方に向けて押圧しながら保持部７６の上面に一度乗り上げる。接続対象物７０の前側への移動に伴って、保持部７６は、ロック部５４の下端に対して摺動する。

　接続対象物７０が前方へとさらに移動すると、保持部７６がロック部５４を通り過ぎる。このとき、ロック部５４と保持部７６とが上下方向で互いに非接触状態となり、ロック部５４の復元力によってロック部５４が接続対象物７０の挿入前の位置へと自動的に復帰する。以上により、接続対象物７０のコネクタ１０からの抜去が完了する。

　コネクタ１０は、図１４に示す第２状態での位置から図１３に示す第１状態での位置へと第２金属部材６０を復帰させる付勢部材のような構成部を有さない。したがって、接続対象物７０のコネクタ１０からの抜去が完了して第３状態へと移行しても、第２金属部材６０は図１４に示す第２状態での位置に維持される。加えて、接続対象物７０の挿入過程で、金属材料の被規制部６２が樹脂材料の規制部２８ａに乗り上げるときに、規制部２８ａの円形状の突部は削れる場合もある。

　一実施形態において、コネクタ１０は、挿入部２３に対し接続対象物７０が一度も挿入されたことがない第１状態で、開口部５２からの複数のコンタクト３０の視認を可能にする。加えて、コネクタ１０は、挿入部２３に対し接続対象物７０が一度挿入されて第２状態へと移行すると、第２金属部材６０が開口部５２と定常的に重なるように構成される。

　以下では、主にコネクタ１０に着目してその効果に関する説明を行うが、コネクタ１０を有する電子機器についても同様の説明が当てはまる。

　以上のような一実施形態に係るコネクタ１０によれば、作業性及びノイズ遮蔽効果が向上する。コネクタ１０は、非挿入状態で第１金属部材５０の開口部５２から複数のコンタクト３０の実装部を視認可能にすることで、すべての実装部３２ａ及び実装部３２ｂについての回路基板ＣＢへの実装状態の良否確認を容易にさせる。組立装置又は組立作業者は、回路基板ＣＢに対する実装部の実装状態を、複数のコンタクト３０の各々について、開口部５２を介し容易に確認することができる。

　コネクタ１０は、第２金属部材６０の遮蔽部６１が挿入部２３への接続対象物７０の挿入に伴って挿入状態で開口部５２と重なることで、特許文献１に記載の従来技術のようにカバー部材を開閉するという付加的な操作を必要としない。コネクタ１０は、組立装置又は組立作業者による任意の付加的な操作を必要とすることなく、接続対象物７０を挿入部２３に挿入するという１つの動作のみによって、挿入状態で遮蔽部６１による開口部５２の遮蔽を実現可能である。したがって、コネクタ１０に関する作業工数が低減し、その作業性が向上する。例えば、コネクタ１０の実装後に回路基板ＣＢとの接続状態を確認するときと、ノイズ遮蔽効果を得たりするときとの間で生じる作業工数が低減し、コネクタ１０の作業性が向上する。

　このような作業工数の低減に加えて、コネクタ１０は、小型化したときであっても第２金属部材６０の操作を容易にするという効果を奏する。コネクタ１０は、特許文献１に記載の従来技術のようなカバー部材の開閉動作を必要とせず、接続対象物７０を挿入部２３に挿入するという１つの動作のみによって、第２金属部材６０をスライドさせることができる。このように、第２金属部材６０の操作も容易であり、コネクタ１０での作業性が向上する。

　コネクタ１０は、第２金属部材６０の遮蔽部６１が第１金属部材５０の開口部５２と挿入状態で重なることで、ノイズ遮蔽効果を向上させることが可能である。例えば、複数のコンタクト３０に対する外部からの電磁波ノイズの流入、及び複数のコンタクト３０から外部への電磁波ノイズの流出が効果的に軽減される。結果として、コネクタ１０は、例えば高速伝送においても、高周波信号に対する良好な伝送特性を得ることが可能となる。

　第２金属部材６０の接触部６３は、接続対象物７０の挿入部２３への挿入により接続対象物７０と接触して接続対象物７０の挿入方向に向けた押圧力を受ける。これにより、コネクタ１０は、接続対象物７０の挿入に伴う第２金属部材６０と接続対象物７０との直接的な接触によって、挿入状態で遮蔽部６１により開口部５２とより確実に重なることができる。第２金属部材６０は、第２金属部材６０の挿入側への移動が非挿入状態で規制部２８ａにより規制されていても、接続対象物７０の挿入に伴う接続対象物７０との直接的な接触によって大きな押圧力を受けて、図１４に示す挿入状態での位置へと移動する。

　遮蔽部６１が回路基板ＣＢの側から開口部５２を塞ぐことで、コネクタ１０の最外部を第１金属部材５０により構成することができる。仮に、第２金属部材６０を第１金属部材５０の外側、例えば上側に配置すると、コネクタ１０の内部に位置する接触部６３とコネクタ１０の最外部に位置する遮蔽部６１とを連結する部分で第１金属部材５０に切り欠きを設ける必要がある。しかしながら、一実施形態に係るコネクタ１０では、このような課題が生じない。同様に、仮に、第２金属部材６０を第１金属部材５０の外側、例えば上側に配置すると、第１金属部材５０における第２金属部材６０の可動領域上に異物及び電子機器内の別の部品などが存在しているときに、第２金属部材６０が可動して引っ掛かる可能性がある。これにより、作業性及び信頼性が低下する。しかしながら、一実施形態に係るコネクタ１０では、このような課題が生じない。

　コネクタ１０は、インシュレータ２０の規制部２８ａが非挿入状態で第２金属部材６０の挿入方向への移動を規制することで、接続対象物７０の挿入に伴わない、第２金属部材６０の意図しない挿入側への移動を軽減可能である。したがって、コネクタ１０は、例えばコネクタ１０の実装後に回路基板ＣＢとの接続状態を確認するときと、ノイズ遮蔽効果を得たりするときとの間で状態を正確に区別可能である。結果として、コネクタ１０に関する作業の精度が向上し、その作業性が向上する。

　コネクタ１０は、規制部２８ａが非挿入状態で接続対象物７０の挿入側から第２金属部材６０と接触又は近接することで、第２金属部材６０の挿入側への移動をインシュレータ２０により、より強く規制することができる。したがって、コネクタ１０は、例えばコネクタ１０の実装後に回路基板ＣＢとの接続状態を確認するときと、ノイズ遮蔽効果を得たりするときとの間で状態をより正確に区別可能である。結果として、コネクタ１０に関する作業の精度がより向上し、その作業性がさらに向上する。

　コネクタ１０は、第１金属部材５０が第２金属部材６０の遮蔽部６１と接触する凸部５５を有することで、接続対象物７０の挿入に伴って第２金属部材６０が第１金属部材５０に対し摺動するときの摺動抵抗を低減することが可能である。したがって、コネクタ１０は、接続対象物７０の挿入に伴って、第２金属部材６０を第１金属部材５０に対しより滑らかにスライドさせることが可能となる。結果として、コネクタ１０の作業性が向上する。

　第１金属部材５０が第２金属部材６０の遮蔽部６１と接触する凸部５５を有することで、第１金属部材５０と第２金属部材６０とを互いに電気的に接続させることが可能になる。これにより、第１金属部材５０によるシールド効果、すなわちノイズ遮蔽効果を第２金属部材６０にまで広げることが可能となる。第１金属部材５０及び第２金属部材６０が１つのシールドとして機能する。結果として、ノイズ遮蔽効果が向上する。

　加えて、第２金属部材６０と凸部５５により接触している第１金属部材５０は、接触部５３ａを介して接続対象物７０の第２グランド部７４と電気的に接触し、第１実装部５６ｂ及び第２実装部５７ｂを介して回路基板ＣＢ上のパターンと電気的に接触する。これにより、第１金属部材５０及び第２金属部材６０が１つのグランドとして安定に機能する。したがって、第１金属部材５０及び第２金属部材６０によるノイズ遮蔽効果が安定して得られる。

　コネクタ１０は、凸部５５が接続対象物７０の挿入方向に沿って直線状に形成されていることで、接続対象物７０の挿入に伴って第２金属部材６０が第１金属部材５０に対し摺動するときの摺動抵抗をさらに低減することが可能である。したがって、コネクタ１０は、接続対象物７０の挿入に伴って、第２金属部材６０を第１金属部材５０に対しより滑らかにスライドさせることが可能となる。結果として、コネクタ１０の作業性がさらに向上する。

　コネクタ１０は、挿入状態で接続対象物７０の被ロック部７５と係合するロック部５４を第１金属部材５０が有することで、挿入部２３に挿入された接続対象物７０の抜止保持を可能にする。このような状態で、抜去力とは異なる、抜去力よりも弱い意図しない力が接続対象物７０に対し抜去方向に加わったとしても、接続対象物７０の保持部７６がロック部５４の第２接触部５４ｂと接触して接続対象物７０の抜去方向への移動が規制される。したがって、接続対象物７０の意図しない抜去が軽減され、接続対象物７０が効果的に抜止保持される。

　第３金属部材４０の第１接触部４２と第２コンタクト３０ｂの弾性接触片３３ｂとが互いに接触することで、第３金属部材４０と第２コンタクト３０ｂとを互いに電気的に接続させることが可能になる。このとき、第２コンタクト３０ｂは、実装部３２ｂを介して回路基板ＣＢ上のパターンと電気的に接触する。第３金属部材４０は、第１接触部４２を介して接続対象物７０の接触線７２と電気的に接触し、第２接触部４３を介して接続対象物７０の第１グランド部７３と電気的に接触し、実装部４４を介して回路基板ＣＢ上のパターンと電気的に接触する。これにより、第３金属部材４０、第２コンタクト３０ｂ、及び第２コンタクト３０ｂに対応する接触線７２が１つのグランドとして安定に機能する。

　コネクタ１０は、第１金属部材５０が上方、左右方向、及び後方における外周を構成する外周部５１を有することで、コネクタ１０のシールド機能を第１金属部材５０の外周部５１により実現可能である。コネクタ１０は、外周部５１がコネクタ１０の各構成部を外側から覆うことで、上述したノイズ遮蔽効果をさらに向上させることが可能である。

　コネクタ１０は、第１金属部材５０が折曲部５７ａを有することで、第１金属部材５０の角部で外周部５１に隙間が生じないように構成可能である。これにより、コネクタ１０のシールド機能がさらに向上し、上述したノイズ遮蔽効果がさらに向上する。

　第１金属部材５０の後側の角部は、折曲部５７ａにおいて前後方向に延在する部分と側部５１ｂの後端部とによる左右方向に沿った二重構造として形成されている。これにより、コネクタ１０のシールド機能がさらに向上し、上述したノイズ遮蔽効果がさらに向上する。

　コネクタ１０は、第２金属部材６０が折返部６４を有することで、非挿入状態で第２金属部材６０の抜去方向への移動を規制可能である。例えば、第２金属部材６０は、非挿入状態で第２金属部材６０が抜去方向へ移動しようとしても、折返部６４が天井壁２１ａの後面と接触して抜去方向へそれ以上移動しない。

　本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。

　例えば、上述した各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数などは、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数などは、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。

　上述したコネクタ１０の組立方法は、上記の説明の内容に限定されない。コネクタ１０の組立方法は、それぞれの機能が発揮されるように組み立てることができるのであれば、任意の方法であってもよい。例えば、第１コンタクト３０ａ、第２コンタクト３０ｂ、第３金属部材４０、及び第１金属部材５０の少なくとも１つは、インサート成形によってインシュレータ２０と一体的に成形されてもよい。

　上記実施形態では、第２金属部材６０は、接続対象物７０の挿入部２３への挿入により接続対象物７０と接触して接続対象物７０の挿入方向に向けた押圧力を受ける接触部６３を有すると説明したが、これに限定されない。このような、接続対象物７０の挿入に伴う第２金属部材６０と接続対象物７０との直接的な接触に限定されず、接続対象物７０の挿入に伴う第２金属部材６０と接続対象物７０との間接的な接触によって、挿入状態で遮蔽部６１が開口部５２を塞いでもよい。例えば、第２金属部材６０と接続対象物７０との間に新たな別部材を設けて、第２金属部材６０と接続対象物７０とを間接的に接触させてもよい。

　上記実施形態では、第２金属部材６０は、第１金属部材５０よりも回路基板ＣＢの側に位置すると説明したが、これに限定されない。第２金属部材６０は、第１金属部材５０よりも回路基板ＣＢと反対側に位置してもよい。このとき、遮蔽部６１は、接続対象物７０と第２金属部材６０との直接的又は間接的な接触により回路基板ＣＢと反対側から開口部５２を塞いでもよい。

　上記実施形態では、インシュレータ２０は、非挿入状態で第２金属部材６０の挿入方向への移動を規制する規制部２８ａを有すると説明したが、これに限定されない。コネクタ１０は、このような規制部２８ａに相当する構成部を有さなくてもよい。

　上記実施形態では、規制部２８ａは、円形状の突部として取付溝２８の側面に形成されていると説明したが、これに限定されない。規制部２８ａは、第２金属部材６０の挿入方向への移動を規制可能であれば、任意の形状及び配置に基づいて形成されていてもよい。

　上記実施形態では、規制部２８ａは、非挿入状態で接続対象物７０の挿入側から第２金属部材６０と接触又は近接すると説明したが、これに限定されない。規制部２８ａは、第２金属部材６０の挿入方向への移動を規制可能であれば、非挿入状態で任意の方向から第２金属部材６０と接触又は近接してもよい。例えば、規制部２８ａは、インシュレータ２０の取付溝２８において左右方向の外側から第２金属部材６０の被規制部６２を押圧する板ばねとして構成されてもよい。

　上記実施形態では、接続対象物７０のコネクタ１０からの抜去が完了して第３状態へと移行しても、第２金属部材６０は図１４に示す第２状態での位置に維持されると説明したが、これに限定されない。コネクタ１０は、図１４に示す第２状態での位置から図１３に示す第１状態での位置へと第２金属部材６０を復帰させるように、第３状態への移行の際に抜去方向に向けて第２金属部材６０を付勢する付勢部材をさらに有してもよい。このような構成部によって、第２金属部材６０は、接続対象物７０のコネクタ１０からの抜去が完了して挿入側への押圧力が第２金属部材６０に加わらなくなると、付勢部材による付勢力により、図１３に示す第１状態での位置へと復帰可能になる。

　上記実施形態では、接続対象物７０の挿入過程で、金属材料の被規制部６２が樹脂材料の規制部２８ａに乗り上げるときに、規制部２８ａの円形状の突部が削れる場合もあると説明したが、これに限定されない。規制部２８ａは、取付溝２８の側面上で弾性変形可能な部材により形成されていてもよい。このとき、規制部２８ａは、挿入過程で被規制部６２が規制部２８ａに乗り上げると左右方向の内側に向けて弾性変形する。規制部２８ａは、例えば上記の付勢部材によって第２金属部材６０が図１３に示す第１状態での位置へと復帰すると、左右方向の内側に向けた弾性変形状態から、弾性変形しない自由状態へと復帰する。規制部２８ａは、非挿入状態で第２金属部材６０の挿入方向への移動を規制するという機能を、挿入部２３に対し接続対象物７０が繰り返し挿抜されたときであっても維持可能である。

　その他にも、被規制部６２は、規制部２８ａを乗り越えるときに規制部２８ａと接触する被規制部６２の傾斜部６２ａの表面がＲ形状を有するように構成されてもよい。これにより、一例として円形状の突部により構成される規制部２８ａは、金属材料の被規制部６２が樹脂材料の規制部２８ａを乗り越えても削れにくくなる。したがって、規制部２８ａは、非挿入状態で第２金属部材６０の挿入方向への移動を規制するという機能を、挿入部２３に対し接続対象物７０が繰り返し挿抜されたときであっても維持可能である。

　上記実施形態では、コネクタ１０は、挿入部２３に対し接続対象物７０が一度も挿入されたことがない第１状態で、開口部５２からの複数のコンタクト３０の視認を可能にすると説明したが、これに限定されない。コネクタ１０は、挿入部２３に対し接続対象物７０の挿抜が繰り返されたときの第３状態であっても、開口部５２からの複数のコンタクト３０の視認を繰り返し可能にしてもよい。コネクタ１０では、挿入部２３に対する接続対象物７０の繰り返しの挿抜に合わせて、開口部５２に対する遮蔽部６１の挿抜方向への繰り返しのスライドが上記の付勢部材により実現されてもよい。

　上記実施形態では、コネクタ１０は、第２金属部材６０が折返部６４を有することで、非挿入状態で第２金属部材６０の抜去方向への移動を規制可能であると説明したが、これに限定されない。コネクタ１０は、挿入状態でも第２金属部材６０の抜去方向への移動を規制可能な任意の構成を有してもよい。これにより、コネクタ１０は、挿入状態における第２金属部材６０の抜去方向への意図しない移動を軽減可能である。したがって、挿入状態で開口部５２と遮蔽部６１との重なりが意図せず解消して、開口部５２が開くようなことが起きにくくなる。結果として、第２金属部材６０の遮蔽部６１は、挿入状態で開口部５２と重なることができる。

　上記実施形態では、第２金属部材６０と接触する凸部５５を第１金属部材５０が有すると説明したが、これに限定されない。第１金属部材５０に代えて、又は加えて、第２金属部材６０が、第１金属部材５０と接触する凸部を有してもよい。

　上記実施形態では、凸部５５は、天井部５１ａにおける回路基板ＣＢの側の内面で接続対象物７０の挿入方向に沿って直線状に一対形成されていると説明したが、これに限定されない。凸部５５は、接続対象物７０の挿入に伴って第２金属部材６０が第１金属部材５０に対し摺動するときの摺動抵抗を低減することが可能であれば、任意の形状、配置、向き、及び個数に基づいて形成されていてもよい。

　上記実施形態では、第１金属部材５０の一対のロック部５４の各々は、天井部５１ａから回路基板ＣＢの側に向けて延出し、図１３に示す形状及び大きさを有すると説明したが、これに限定されない。ロック部５４は、接続対象物７０の抜止保持に関する機能を実現可能であれば、任意の形状、大きさ、配置、向き、及び個数に基づいて形成されていてもよい。

　上記実施形態では、第１金属部材５０は、挿入状態で接続対象物７０の被ロック部７５と係合するロック部５４を有すると説明したが、これに限定されない。コネクタ１０は、このようなロック部５４に相当する構成部を有さなくてもよい。

　上記実施形態では、第１金属部材５０の天井部５１ａにおいてロック部５４が形成されている部分は切り欠かれているが、これに限定されない。このような切り欠きは、ノイズ遮蔽効果をさらに向上させるために覆われていてもよい。

　上記実施形態では、開口部５２は、実装部３２ａ及び実装部３２ｂを含む実装部のすべてに対し天井部５１ａにおいて直上に位置するように天井部５１ａに形成されていると説明したが、これに限定されない。開口部５２は、非挿入状態で実装部３２ａ及び実装部３２ｂを含む実装部の少なくとも一部が視認可能であれば、任意の形状、大きさ、配置、向き、及び個数に基づいて形成されていてもよい。例えば、開口部５２は、実装部３２ａ及び実装部３２ｂを含む実装部の少なくとも一部に対し天井部５１ａにおいて斜め上方に位置するように天井部５１ａに形成されていてもよい。このとき、開口部５２は、非挿入状態で、第１金属部材５０の上面に対し実装部の少なくとも一部を斜め上方から視認可能にする。

　上記実施形態では、遮蔽部６１は、挿入部２３への接続対象物７０の挿入に伴って移動し、挿入状態で開口部５２の全体と重なると説明したが、これに限定されない。コネクタ１０は、所定のノイズ遮蔽効果が得られるのであれば、遮蔽部６１が挿入状態で開口部５２の一部のみと重なるように構成されてもよい。

　上記実施形態では、第２金属部材６０は、インシュレータ２０に取り付けられていると説明したが、これに限定されない。第２金属部材６０は、第１金属部材５０に取り付けられていてもよいし、インシュレータ２０及び第１金属部材５０の両方に取り付けられていてもよい。

　上記実施形態では、第１接触部４２及び第２接触部４３は、第３金属部材４０において左側に２組、右側に２組で合計４組形成されていると説明したが、これに限定されない。第１接触部４２及び第２接触部４３は、第３金属部材４０において少なくとも１組形成されていればよく、第３金属部材４０において任意の配置及び個数で形成されていてもよい。例えば、第１接触部４２及び第２接触部４３は、第３金属部材４０において左側に１組、右側に１組で合計２組のみ形成されていてもよい。

　上記実施形態では、コネクタ１０は、接続対象物７０を挿抜可能であると説明したが、これに限定されない。コネクタ１０は、挿抜以外の任意の方法で接続対象物７０と接続されてもよい。

　以上のようなコネクタ１０は、電子機器に搭載される。電子機器は、例えばスマートフォンなどの通信機器を含む。これに限定されず、電子機器は、例えばパーソナルコンピュータ、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、及び複合機などの任意の情報機器を含んでもよい。電子機器は、例えばカメラ、レーダ、ドライブレコーダ、及びエンジンコントロールユニットなどの任意の車載機器を含んでもよい。電子機器は、例えばカーナビゲーションシステム、先進運転支援システム、及びセキュリティシステムなどの車載システムにおいて使用される任意の車載機器を含んでもよい。その他、電子機器は、任意の産業機器を含んでもよい。電子機器は、例えば液晶テレビ、レコーダ、カメラ、及びヘッドフォンなどの任意の音響映像機器を含んでもよい。

　このような電子機器では、作業性及びノイズ遮蔽効果が向上する。

　本開示からは、以下の概念を抽出できる。
（１）
　接続対象物が挿入される挿入部を有するインシュレータと、
　前記インシュレータに取り付けられ、回路基板に実装される実装部を有する複数のコンタクトと、
　前記インシュレータに取り付けられている第１金属部材と、
　前記インシュレータ及び前記第１金属部材の少なくとも一方に取り付けられている第２金属部材と、
　を備え、
　前記第１金属部材は、前記接続対象物が前記挿入部に挿入されていない非挿入状態で、前記第１金属部材の外面から前記実装部を視認可能にする開口部を有し、
　前記第２金属部材は、前記挿入部への前記接続対象物の挿入に伴って移動し、前記接続対象物が前記挿入部に挿入された挿入状態で前記開口部と重なる遮蔽部を有する、
　コネクタ。
（２）
　前記第２金属部材は、前記接続対象物の前記挿入部への挿入により前記接続対象物と接触して前記接続対象物の挿入方向に向けた押圧力を前記接続対象物から受ける接触部を有する、
　上記（１）に記載のコネクタ。
（３）
　前記第２金属部材は、前記インシュレータを前記回路基板と反対側から覆う前記第１金属部材の前記開口部を前記回路基板の側から塞ぐ、
　上記（１）又は（２）に記載のコネクタ。
（４）
　前記インシュレータは、前記非挿入状態で前記第２金属部材の前記挿入方向への移動を規制する規制部を有する、
　上記（２）に記載のコネクタ。
（５）
　前記第１金属部材及び前記第２金属部材の少なくとも一方は、他方と接触する凸部を有する、
　上記（１）乃至（４）のいずれか１つに記載のコネクタ。
（６）
　前記第１金属部材は、前記インシュレータを前記回路基板と反対側から覆う天井部であって、前記開口部を有する前記天井部を有し、
　前記凸部は、前記天井部における前記回路基板の側の内面で前記接続対象物の挿入方向に沿って直線状である、
　上記（５）に記載のコネクタ。
（７）
　前記第１金属部材は、前記天井部から前記回路基板の側に向けて延出する弾性変形可能なロック部であって、前記挿入状態で前記接続対象物の被ロック部と係合する前記ロック部を有する、
　上記（６）に記載のコネクタ。
（８）
　上記（１）乃至（７）のいずれか１つに記載のコネクタを備える電子機器。

１０　　コネクタ
２０　　インシュレータ
２１　　外周壁
２１ａ　天井壁
２１ｂ　底壁
２１ｃ　側壁
２２　　後壁
２３　　挿入部
２３ａ　挿入口
２３ｂ　第１傾斜面
２３ｃ　第２傾斜面
２３ｄ　内面
２４　　第１コンタクト取付溝
２５　　第２コンタクト取付溝
２６　　金具取付部
２６ａ　金具取付溝
２６ｂ　第１切欠部
２７　　取付部
２７ａ　溝
２７ｂ　第１貫通孔
２７ｃ　第２切欠部
２７ｄ　第２貫通孔
２８　　取付溝
２８ａ　規制部
３０　　コンタクト
３０ａ　第１コンタクト
３１ａ　係止部
３２ａ　実装部
３３ａ　弾性接触片
３０ｂ　第２コンタクト
３１ｂ　係止部
３２ｂ　実装部
３３ｂ　弾性接触片
４０　　第３金属部材
４１　　基部
４１ａ　第１部分
４１ｂ　第２部分
４２　　第１接触部
４３　　第２接触部
４４　　実装部
４５　　係止部
５０　　第１金属部材
５１　　外周部
５１ａ　天井部
５１ｂ　側部
５１ｃ　後部
５２　　開口部
５３ａ　接触部
５３ｂ　保持部
５４　　ロック部
５４ａ　第１接触部
５４ｂ　第２接触部
５５　　凸部
５６ａ　係止部
５６ｂ　第１実装部
５７ａ　折曲部
５７ｂ　第２実装部
６０　　第２金属部材
６１　　遮蔽部
６２　　被規制部
６２ａ　傾斜部
６３　　接触部
６３ａ　接触面
６４　　折返部
７０　　接続対象物
７１　　補強部
７１ａ　先端面
７２　　接触線
７２ａ　第１接触線
７２ｂ　第２接触線
７３　　第１グランド部
７４　　第２グランド部
７５　　被ロック部
７６　　保持部
７７　　誘い込み部
ＣＢ　　回路基板
Ｒ　　　境界部

Claims

　接続対象物が挿入される挿入部を有するインシュレータと、
　前記インシュレータに取り付けられ、回路基板に実装される実装部を有する複数のコンタクトと、
　前記インシュレータに取り付けられている第１金属部材と、
　前記インシュレータ及び前記第１金属部材の少なくとも一方に取り付けられている第２金属部材と、
　を備え、
　前記第１金属部材は、前記接続対象物が前記挿入部に挿入されていない非挿入状態で、前記第１金属部材の外面から前記実装部を視認可能にする開口部を有し、
　前記第２金属部材は、前記挿入部への前記接続対象物の挿入に伴って移動し、前記接続対象物が前記挿入部に挿入された挿入状態で前記開口部と重なる遮蔽部を有する、
　コネクタ。
　前記第２金属部材は、前記接続対象物の前記挿入部への挿入により前記接続対象物と接触して前記接続対象物の挿入方向に向けた押圧力を前記接続対象物から受ける接触部を有する、
　請求項１に記載のコネクタ。
　前記第２金属部材は、前記インシュレータを前記回路基板と反対側から覆う前記第１金属部材の前記開口部を前記回路基板の側から塞ぐ、
　請求項１又は２に記載のコネクタ。
　前記インシュレータは、前記非挿入状態で前記第２金属部材の前記挿入方向への移動を規制する規制部を有する、
　請求項２に記載のコネクタ。
　前記第１金属部材及び前記第２金属部材の少なくとも一方は、他方と接触する凸部を有する、
　請求項１又は２に記載のコネクタ。
　前記第１金属部材は、前記インシュレータを前記回路基板と反対側から覆う天井部であって、前記開口部を有する前記天井部を有し、
　前記凸部は、前記天井部における前記回路基板の側の内面で前記接続対象物の挿入方向に沿って直線状である、
　請求項５に記載のコネクタ。
　前記第１金属部材は、前記天井部から前記回路基板の側に向けて延出する弾性変形可能なロック部であって、前記挿入状態で前記接続対象物の被ロック部と係合する前記ロック部を有する、
　請求項６に記載のコネクタ。
　請求項１又は２に記載のコネクタを備える電子機器。