WO2023210281A1 - コイル部品、およびフィルタ回路 - Google Patents
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Abstract
本開示は、負のインダクタンスを調整することを容易に行うことができるコイル部品、および当該コイル部品を実装するフィルタ回路を提供する。本開示のコイル部品(1)は、ボビン(2)と、ダミーワイヤ(3)と、第1ワイヤ(4)と、第2ワイヤ(5)と、を備える。ボビン(2)は、ワイヤを巻き付ける胴体部(2a)、および当該胴体部(2a)の両端に設けられた鍔部(2b,2c)を有する。ダミーワイヤ(3)は、胴体部(2a)に巻き付けられる。第1ワイヤは、ダミーワイヤ(3)の外側に重ねて巻き付けられる。第2ワイヤ(5)は、第1ワイヤ(4)と同じ巻き方向で、ダミーワイヤ(3)の外側に重ねて巻き付けられる。
Description
本開示は、コイル部品、および当該コイル部品を実装するフィルタ回路に関する。
電子機器には、導体を流れる電流のうち不要なノイズ成分を除去するフィルタ回路が用いられている。ノイズ対策に用いるフィルタ回路には、例えばEMI(Electro-Magnetic Interference)除去フィルタなどがあり、キャパシタンス素子であるコンデンサが用いられている。そのため、当該コンデンサの寄生インダクタンスである等価直列インダクタンス(ESL:Equivalent Series Inductance)によりフィルタ回路のノイズ抑制効果が低下することが知られている。
コンデンサの等価直列インダクタンスESLを、二つのコイルを磁気結合することで生じる負のインダクタンスで打ち消し、フィルタ回路のノイズ抑制効果を改善することが知られている(例えば、特許文献1)。
フィルタ回路に用いるコイル部品に限らず、二つのコイルを磁気結合させたコイル部品として様々な種類が提案されている。例えば、特許文献2では、コモンモードチョークコイルとして、ボビンに2本のワイヤを巻き付けたコイル部品が提案されている。
ボビンに2本のワイヤを巻き付けたコイル部品を、フィルタ回路に採用する場合であっても、コイル部品に生じる負のインダクタンスで、コンデンサの寄生インダクタンスを打ち消すためにコイル部品に生じる負のインダクタンスを調整する必要がある。しかし、二つのコイルの開口径を変えてコイル部品に生じる負のインダクタンスを調整する場合、あらかじめ胴体部の径が異なるボビンを複数用意しておく必要があり、負のインダクタンスを調整することは困難であった。
そこで、本開示の目的は、負のインダクタンスを調整することを容易に行うことができるコイル部品、および当該コイル部品を実装するフィルタ回路を提供することである。
本開示の一形態に係るコイル部品は、ワイヤを巻き付ける胴体部、および当該胴体部の両端に設けられた鍔部を有するボビンと、胴体部に巻き付けられるダミーワイヤと、ダミーワイヤの外側に重ねて巻き付けられる第1ワイヤと、第1ワイヤと同じ巻き方向で、ダミーワイヤの外側に重ねて巻き付けられる第2ワイヤと、を備える。
本開示の一形態に係るフィルタ回路は、上記のコイル部品と、コイル部品の第1ワイヤおよび第2ワイヤと電気的に接続するコンデンサと、を備える。
本開示の一形態によれば、第1ワイヤおよび第2ワイヤがダミーワイヤの外側に重ねて巻き付けられるので、ダミーワイヤの線径により二つのコイルの開口径を変えてコイル部品に生じる負のインダクタンスを調整することができる。
<実施の形態>
以下に、実施の形態に係るコイル部品について説明する。図1は、実施の形態に係るコイル部品1の側面図である。当該コイル部品1は、例えば、電源ラインのノイズ対策に用いられるフィルタ回路に実装されるトランスコイルである。後述するように、フィルタ回路に実装されるコンデンサの寄生インダクタンスをキャンセルするためにコイル部品1は、磁気結合した二つのコイルを含んでいる。
以下に、実施の形態に係るコイル部品について説明する。図1は、実施の形態に係るコイル部品1の側面図である。当該コイル部品1は、例えば、電源ラインのノイズ対策に用いられるフィルタ回路に実装されるトランスコイルである。後述するように、フィルタ回路に実装されるコンデンサの寄生インダクタンスをキャンセルするためにコイル部品1は、磁気結合した二つのコイルを含んでいる。
コイル部品1は、ボビン2と、ダミーワイヤ3と、第1ワイヤ4と、第2ワイヤ5とを含んでいる。ボビン2は、ワイヤを巻き付ける胴体部2aと、当該胴体部2aの両端に設けられた鍔部2b,2cとを有している。ボビン2は、非導電性材料、具体的に、アルミナのような非磁性体、Ni-Zn系フェライトのような磁性体、または樹脂などで構成される。なお、ボビン2を樹脂で構成する場合、たとえば、金属粉、フェライト粉などの磁性粉を含有する樹脂、シリカ粉などの非磁性体粉を含有する樹脂、粉末などのフィラーを含有しない樹脂などで構成される。
コイル部品1のサイズが、2.0mm×1.25mmの場合、ボビン2の胴体部2aが1.0mm×1.0mmの角柱である。なお、本開示では、胴体部2aを角柱として説明するが、円柱であっても多角柱であってもよい。コイル部品1では、この胴体部2aに直接、第1ワイヤ4、第2ワイヤ5を巻き付けるのではなく、ダミーワイヤ3を胴体部2aに巻き付け、当該ダミーワイヤ3の外側に重ねて第1ワイヤ4、第2ワイヤ5を巻き付けている。なお、ダミーワイヤ3、第1ワイヤ4、および第2ワイヤ5は、例えば銅ワイヤである。
そのため、第1ワイヤ4で形成される第1コイルL1および第2ワイヤ5で形成される第2コイルL2の開口径は、胴体部2aの径だけでは決まらず、ダミーワイヤ3の線径(ダミーワイヤ径)を含める必要がある。図2は、実施の形態に係るコイル部品1の断面図である。
図2に示すように、胴体部2aの径R1、ダミーワイヤ3の線径r1、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5の線径(トランスワイヤ径)r2とした場合、第1コイルL1および第2コイルL2の開口径R2は、式1として表すことができる。ここで、胴体部2aの形状が角柱であるため、胴体部2aの径R1は角柱の断面の一辺の長さとなるが、胴体部2aの形状が円柱であれば、胴体部2aの径R1は円柱の直径となる。
R2=R1+(r1×2) ・・・(式1)
つまり、第1コイルL1および第2コイルL2の開口径R2は、胴体部2aの径R1にダミーワイヤ3の線径r1の2倍を加えた値となる。そのため、コイル部品1では、胴体部2aの径R1を変えることなく、ダミーワイヤ3の線径r1を変えることで第1コイルL1および第2コイルL2の開口径R2の調整することができる。胴体部2aの径R1が異なるボビン2を複数用意しておいて、第1コイルL1および第2コイルL2の開口径R2の調整する場合に比べて、ダミーワイヤ3の線径r1を変えて第1コイルL1および第2コイルL2の開口径R2の調整する方が容易である。
R2=R1+(r1×2) ・・・(式1)
つまり、第1コイルL1および第2コイルL2の開口径R2は、胴体部2aの径R1にダミーワイヤ3の線径r1の2倍を加えた値となる。そのため、コイル部品1では、胴体部2aの径R1を変えることなく、ダミーワイヤ3の線径r1を変えることで第1コイルL1および第2コイルL2の開口径R2の調整することができる。胴体部2aの径R1が異なるボビン2を複数用意しておいて、第1コイルL1および第2コイルL2の開口径R2の調整する場合に比べて、ダミーワイヤ3の線径r1を変えて第1コイルL1および第2コイルL2の開口径R2の調整する方が容易である。
また、線径r1の異なるダミーワイヤ3が多く存在しており、容易に入手することが可能である。そのため、たとえば0.5mm単位で線径r1が異なるダミーワイヤ3を用意しておけば、第1コイルL1および第2コイルL2の開口径R2の微調整が可能となる。
第1コイルL1および第2コイルL2の開口径R2を調整することで、第1コイルL1と第2コイルL2との相互インダクタンスを変更することができ、コイル部品1に生じる負のインダクタンスを調整することができる。図3は、実施の形態に係るコイル部品1においてダミーワイヤ径を変更した場合の相互インダクタンスの変化を示す図である。
図3では、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5の線径r2(ワイヤ径)を0.06mmで固定し、図1に示すように第1ワイヤ4と第2ワイヤ5と同じ巻き方向で胴体部2aに1巻きした第1コイルL1と第2コイルL2との相互インダクタンスMを求めている。胴体部2aの断面形状は、サイズが0.8mm×0.7mmの長方形である。ここでは、第1ワイヤ4に流れる電流と第2ワイヤ5に流れる電流が逆向きである場合について求めているため、相互インダクタンスMは負の値となる。まず、ダミーワイヤ3を設けない場合(r1=0)の第1コイルL1と第2コイルL2との相互インダクタンスMは、-0.91nHとなる。
ダミーワイヤ3の線径が0.02mmの場合(r1=0.02mm)の第1コイルL1と第2コイルL2との相互インダクタンスMは、-0.99nHとなる。ダミーワイヤ3の線径が0.06mmの場合(r1=0.06mm)の第1コイルL1と第2コイルL2との相互インダクタンスMは、-1.10nHとなる。ダミーワイヤ3の線径が0.10mmの場合(r1=0.10mm)の第1コイルL1と第2コイルL2との相互インダクタンスMは、-1.21nHとなる。つまり、ダミーワイヤ3の線径を大きくすることで、第1コイルL1と第2コイルL2との相互インダクタンスMの絶対値を大きくすることができる。
このように、ダミーワイヤ3の線径が変化することで、第1コイルL1と第2コイルL2との相互インダクタンスMが変化するため、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5を確実にダミーワイヤ3の外側に重ねて巻き付ける必要がある。そこで、コイル部品1では、図1に示すように、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5の巻き方向を、ダミーワイヤ3の巻き方向に対して反対にしてある。また、コイル部品1では、ダミーワイヤ3の巻き回数を、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5の巻き回数より多くすることで、第1コイルL1および第2コイルL2の開口径R2をより一定に保つことができる。ダミーワイヤ3に対して第1ワイヤ4および第2ワイヤ5の巻き方向を反対にすることで、ダミーワイヤ3を密に巻かなくとも第1ワイヤ4および第2ワイヤ5をダミーワイヤ3上に確実に巻きつけることができる。すなわち、ダミーワイヤ3に使用するワイヤ長を減らすことができ、製造に必要な時間も費用も削減することができる。
コイル部品1おいて、第1コイルL1と第2コイルL2との相互インダクタンスMを調整するパラメータは、第1コイルL1および第2コイルL2の開口径R2に限定されず、第1コイルL1と第2コイルL2との距離(結合係数k)や第1ワイヤ4および第2ワイヤ5の巻き数でもよい。さらに、ダミーワイヤ3に磁性材料を用いることで第1コイルL1と第2コイルL2との相互インダクタンスMを調整してもよい。
次に、ダミーワイヤ3を固定する端子、第1ワイヤ4を固定する端子、および第2ワイヤ5を固定する端子について説明する。図4は、実施の形態に係るコイル部品1の端子を説明するため斜視図である。
ボビン2の両側に設けられている鍔部2b、2cには、図4に示すように、第1ワイヤ4の端部と接続する端子6a,6b(第1端子)と、第2ワイヤ5の端部と接続する端子6c,6d(第2端子)とが設けられている。さらに、端子6a,6bおよび端子6c,6dを設ける鍔部2b、2cの面と対向する面に、ダミーワイヤ3の端部と接続するダミー端子7a,7bを設けている。
端子6a~6d、ダミー端子7a,7bには、例えばAgペーストが焼き付けられ、NiめっきやSnめっきが施されている。そのため、端子6a,6bに第1ワイヤ4の端部を、端子6c,6dに第2ワイヤ5の端部を、ダミー端子7a,7bにダミーワイヤ3の端部をそれぞれ当てて熱圧着、もしくはレーザー溶接してワイヤと端子とをそれぞれ固定してある。もちろん、ワイヤと端子との固定方法はこれに限られず、金属端子を使って圧着したり、かしめたり、はんだ付けしたりする固定方法を採用してもよい。さらに、金属端子を使ってかしめてワイヤと端子とを固定した上でさらにレーザー溶接してもよい。
図4では、ダミー端子7a,7bを設ける鍔部2b、2cの面を、端子6a~6dを設ける鍔部2b、2cの面と対向する面としているが、コイル部品1は、端子6a~6dを設ける鍔部2b、2cの面と異なる面であればいずれの面でもよい。ダミー端子7a,7bを設ける鍔部2b、2cの面と端子6a~6dを設ける鍔部2b、2cの面とを異ならせることで、同じ面に設けた場合に比べてコイル部品1自体を小型化できる。また、ワイヤを端子に固定する作業もしやすくなる。
さらに、ボビン2の胴体部2aにワイヤを巻き付ける場合、巻き始めの部分でワイヤの浮きが発生しやすい。そのため、ダミー端子7a,7bを設ける鍔部2b、2cの面と端子6a~6dを設ける鍔部2b、2cの面とを異ならせることで、ダミーワイヤ3の巻き始めの位置と、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5の巻き始めの位置とを異ならせることができる。よって、第1コイルL1および第2コイルL2の開口径R2は、ダミーワイヤ3の巻き始め部分による浮きの影響を受け難くなる。
端子6a~6dを設ける鍔部2b、2cの面が、電源ラインなどが設けてある基板に実装する面である。コイル部品1の端子6aと端子6dとを電源ラインに接続し、端子6bおよび端子6cにコンデンサを接続することで、電源ラインのノイズ対策に用いられるフィルタ回路が形成される。図示していないが、基板は、複数の絶縁層が積層されて形成され、例えば低温同時焼成セラミックス、ガラスエポキシ樹脂等で形成される。基板の表面には、電源ラインなど配線パターン、コイル部品1、コンデンサなどの部品を実装するための電極パターンなどが形成され、それぞれCuやAg、Al等の電極材料として一般的に採用される金属材料で形成されている。
次に、コイル部品1を含むフィルタ回路について説明する。図5は、実施の形態に係るフィルタ回路の回路図である。フィルタ回路100は、具体的にEMI除去フィルタ回路であり、3次のT型LCフィルタ回路である。なお、本開示では、フィルタ回路100の構成として3次のT型LCフィルタ回路を用いて説明するが、5次のT型LCフィルタ回路や、より高次のT型LCフィルタ回路に対しても同様の構成を適用することができる。まず、フィルタ回路100は、図5に示すように、コイル部品1、およびコンデンサC1を含む。
コイル部品1は、入力端子となる端子6a,出力端子となる端子6d,中間端子となる端子6b,6c、第1コイルL1、および第2コイルL2を含んでいる。なお、基板に実装するコイル部品1の向きを反対にしてもフィルタ回路100を形成することができる。この場合、コイル部品1は、入力端子が端子6b,出力端子が端子6cとなる。
コンデンサC1は、図5に示すように中間端子となる端子6b,6cと接地電極(GND)との間に直列接続されている。コンデンサC1は、1つでも良いが、車に載せることなどを想定してコンデンサを2つ直列に配して冗長な回路構成としてもよい。
なお、コンデンサC1は、BaTiO3(チタン酸バリウム)を主成分とした積層セラミックコンデンサだけでなく、他の材料を主成分とした積層セラミックコンデンサでも、積層セラミックコンデンサでない、例えばアルミ電解コンデンサなどの他の種類のコンデンサでもよい。
コイル部品1に接続されるコンデンサC1は、寄生インダクタンス(等価直列インダクタンス(ESL))としてインダクタL3を有している。そのため、フィルタ回路100は、図5に示すように、インダクタL3がコンデンサC1に直列接続された回路構成と等価となる。
端子6b,6cには、コンデンサC1の他に第1コイルL1および第2コイルL2が接続されている。第1コイルL1と第2コイルL2とは磁気結合しており、負のインダクタンス成分(相互インダクタンスM)を生じている。この負のインダクタンス成分を用いて、コンデンサC1の寄生インダクタンス(インダクタL3)を打ち消すことができ、コンデンサC1のインダクタンス成分を見かけ上小さくすることができる。なお、図5では、インダクタL3を打ち消すための相互インダクタンスM(-M)がコンデンサC1に対して直列に接続され、第1コイルL1および第2コイルL2の各々に相互インダクタンスM(+M)を加えた等価回路として図示してある。
コンデンサC1、第1コイルL1および第2コイルL2で構成されるフィルタ回路100は、第1コイルL1と第2コイルL2との相互インダクタンスMによる負のインダクタンス成分で、コンデンサC1の寄生インダクタンスを打ち消すことにより、高周波帯のノイズ抑制効果を向上させることができる。
以上のように、実施の形態に係るコイル部品1は、ボビン2と、ダミーワイヤ3と、第1ワイヤ4と、第2ワイヤ5と、を備える。ボビン2は、ワイヤを巻き付ける胴体部2a、および当該胴体部2aの両端に設けられた鍔部2b,2cを有する。ダミーワイヤ3は、胴体部2aに巻き付けられる。第1ワイヤは、ダミーワイヤ3の外側に重ねて巻き付けられる。第2ワイヤ5は、第1ワイヤ4と同じ巻き方向で、ダミーワイヤ3の外側に重ねて巻き付けられる。
これにより、実施の形態に係るコイル部品1は、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5がダミーワイヤ3の外側に重ねて巻き付けられるので、ダミーワイヤ3の線径により二つのコイル(第1コイルL1,第2コイルL2)の開口径を変えてコイル部品1に生じる負のインダクタンスを調整することができる。
また、実施の形態に係るフィルタ回路100は、上記のコイル部品1と、コイル部品1の第1ワイヤ4および第2ワイヤ5と電気的に接続するコンデンサC1と、を備える。これにより、フィルタ回路100は、コンデンサC1の寄生インダクタンスを打ち消し、高周波帯のノイズ抑制効果を向上させることができる。
<変形例1>
図1に示すコイル部品1では、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5の巻き方向を、ダミーワイヤ3の巻き方向に対して反対にしてあると説明したが、これに限られず、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5の巻き方向を、ダミーワイヤ3の巻き方向と同じ方向としてもよい。図6は、変形例1に係るコイル部品1Aの平面図である。なお、図6に示すコイル部品1Aにおいて、図1に示すコイル部品1と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図1に示すコイル部品1では、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5の巻き方向を、ダミーワイヤ3の巻き方向に対して反対にしてあると説明したが、これに限られず、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5の巻き方向を、ダミーワイヤ3の巻き方向と同じ方向としてもよい。図6は、変形例1に係るコイル部品1Aの平面図である。なお、図6に示すコイル部品1Aにおいて、図1に示すコイル部品1と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
コイル部品1Aでは、第1コイルL1と第2コイルL2との相互インダクタンスMを調整するために、ダミーワイヤ3の外側に重ねて第1ワイヤ4、第2ワイヤ5を巻き付けている。コイル部品1Aでは、第1コイルL1および第2コイルL2の開口径が胴体部2aの径にダミーワイヤ3の線径の2倍を加えた値となるように、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5の巻き方向を、ダミーワイヤ3の巻き方向と同じ方向にして第1ワイヤ4および第2ワイヤ5をダミーワイヤ3に重ねてある。また、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5が接続する端子6a~6dは、ダミーワイヤ3を接続するダミー端子7a,7bが設けられている鍔部2b,2cの面と異なる面に設けられている。
<変形例2>
図4に示すコイル部品1では、端子6a,6bおよび端子6c,6dを設ける鍔部2b、2cの面と対向する面に、ダミーワイヤ3の端部と接続するダミー端子7a,7bを設けていると説明したが、これに限られない。端子6a,6bおよび端子6c,6dを設ける鍔部2b、2cの面に、ダミーワイヤ3の端部と接続するダミー端子7a,7bを設けてもよい。図7は、変形例2に係るコイル部品1Bの斜視図である。なお、図7では、ダミーワイヤ3、第1ワイヤ4、および第2ワイヤ5を省略して図示している。
図4に示すコイル部品1では、端子6a,6bおよび端子6c,6dを設ける鍔部2b、2cの面と対向する面に、ダミーワイヤ3の端部と接続するダミー端子7a,7bを設けていると説明したが、これに限られない。端子6a,6bおよび端子6c,6dを設ける鍔部2b、2cの面に、ダミーワイヤ3の端部と接続するダミー端子7a,7bを設けてもよい。図7は、変形例2に係るコイル部品1Bの斜視図である。なお、図7では、ダミーワイヤ3、第1ワイヤ4、および第2ワイヤ5を省略して図示している。
ボビン2の両側に設けられている鍔部2b、2cには、図7に示すように、第1ワイヤ4の端部と接続する端子6a,6b(第1端子)と、第2ワイヤ5の端部と接続する端子6c,6d(第2端子)とが設けられている。さらに、端子6aと端子6cとを設けた鍔部2bの面の中央部に窪みを形成し、当該窪みにダミーワイヤ3の端部と接続するダミー端子7aを設けている。同様に、端子6bと端子6dとを設けた鍔部2cの面の中央部に窪みを形成し、当該窪みにダミーワイヤ3の端部と接続するダミー端子7bを設けている。
端子6a~6dを設ける鍔部2b、2cの面が、電源ラインなどが設けてある基板に実装する面である。ダミー端子7a,7bは、基板に設けた配線などと電気的に接続することがないので、ダミー端子7a,7bが誤って基板に設けた配線などと電気的に接続しないために、鍔部2b,2cの面の中央部に形成した窪みにダミー端子7a,7bを設けてある。
<その他の変形例>
前述の実施の形態、および変形例に記載のコイル部品は例示であって、図面などに記載された形状などに限定されるものではない。例えば、前述の実施の形態、および変形例に係るコイル部品では、ダミーワイヤ、第1ワイヤおよび第2ワイヤがボビンの胴体部の延伸方向に対して対称な角度で巻き付けられている図が示されている。しかし、図示されているコイル部品は一例であって、ボビンの胴体部の延伸方向に対して非対称な角度で各々のワイヤが巻き付けられていてもよい。さらに、ボビンの胴体部に巻き付けられている各々のワイヤの角度が異なっていてもよい。
前述の実施の形態、および変形例に記載のコイル部品は例示であって、図面などに記載された形状などに限定されるものではない。例えば、前述の実施の形態、および変形例に係るコイル部品では、ダミーワイヤ、第1ワイヤおよび第2ワイヤがボビンの胴体部の延伸方向に対して対称な角度で巻き付けられている図が示されている。しかし、図示されているコイル部品は一例であって、ボビンの胴体部の延伸方向に対して非対称な角度で各々のワイヤが巻き付けられていてもよい。さらに、ボビンの胴体部に巻き付けられている各々のワイヤの角度が異なっていてもよい。
<態様>
(1)本開示のコイル部品は、ワイヤを巻き付ける胴体部、および当該胴体部の両端に設けられた鍔部を有するボビンと、胴体部に巻き付けられるダミーワイヤと、ダミーワイヤの外側に重ねて巻き付けられる第1ワイヤと、第1ワイヤと同じ巻き方向で、ダミーワイヤの外側に重ねて巻き付けられる第2ワイヤと、を備える。
(1)本開示のコイル部品は、ワイヤを巻き付ける胴体部、および当該胴体部の両端に設けられた鍔部を有するボビンと、胴体部に巻き付けられるダミーワイヤと、ダミーワイヤの外側に重ねて巻き付けられる第1ワイヤと、第1ワイヤと同じ巻き方向で、ダミーワイヤの外側に重ねて巻き付けられる第2ワイヤと、を備える。
本開示のコイル部品によれば、第1ワイヤおよび第2ワイヤがダミーワイヤの外側に重ねて巻き付けられるので、ダミーワイヤの線径により二つのコイルの開口径を変えてコイル部品に生じる負のインダクタンスを調整することができる。
(2)(1)に記載のコイル部品であって、第1ワイヤで形成される第1コイルおよび第2ワイヤで形成される第2コイルの開口径は、胴体部の径にダミーワイヤの線径の2倍を加えた値となる。これにより、ダミーワイヤの線径の2倍の単位で、二つのコイルの開口径を変えることができる。
(3)(1)または(2)に記載のコイル部品であって、ダミーワイヤの巻き回数は、第1ワイヤの巻き回数および第2ワイヤの巻き回数より多い。これにより、ダミーワイヤの外側に重ねて第1ワイヤおよび第2ワイヤを安定して巻き付けることができる。
(4)(1)~(3)のいずれか1項に記載のコイル部品であって、第1ワイヤの巻き回数および第2ワイヤの巻き回数が1巻きである。これにより、第1ワイヤおよび第2ワイヤの巻き回数で二つのコイルのインダクタンスを調整することができる。
(5)(1)~(4)のいずれか1項に記載のコイル部品であって、第1ワイヤの巻き方向は、ダミーワイヤの巻き方向に対して反対である。これにより、ダミーワイヤの外側に第1ワイヤおよび第2ワイヤを確実に巻き付けることができる。
(6)(1)~(5)のいずれか1項に記載のコイル部品であって、各々の鍔部は、第1ワイヤの端部と接続する第1端子と、第2ワイヤの端部と接続する第2端子と、ダミーワイヤの端部と接続するダミー端子と、を含み、ダミー端子を設ける面は、第1端子を設ける面および第2端子を設ける面と異なる面にある。これにより、第1ワイヤの端部、第2ワイヤの端部、およびダミーワイヤの端部を鍔部に設けた各々の端子に固定することができる。
(7)(6)に記載のコイル部品であって、第1端子を設ける面と第2端子を設ける面とは同じ面である。これにより、コイル部品を基板に実装しやすくなる。
(8)(7)に記載のコイル部品であって、各々の前記鍔部に形成された前記第1端子と前記第2端子との配置は、千鳥配置である。
(9)(6)~(8)のいずれか1項に記載のコイル部品であって、ダミー端子を設ける面は、第1端子を設ける面および第2端子を設ける面と対向する面にある。これにより、ダミー端子が基板に設けた配線などと誤って電気的に接続されることを防ぐことができるとともに、コイル部品の小型化が可能となる。
(10)(1)~(9)のいずれか1項に記載のコイル部品であって、ダミーワイヤは、磁性材料で形成されている。これにより、コイル部品に生じる負のインダクタンスを調整することができる。
(11)(1)~(5)のいずれか1項に記載のコイル部品であって、各々の鍔部は、第1ワイヤの端部と接続する第1端子と、第2ワイヤの端部と接続する第2端子と、ダミーワイヤの端部と接続するダミー端子と、を含み、第1端子および第2端子は、各々の鍔部において同じ面に設けられ、ダミー端子は、第1端子および第2端子を設けた鍔部の面に形成された凹部の底面に設けられている。
(12)本開示のフィルタ回路は、(1)~(11)のいずれか1項に記載のコイル部品と、コイル部品の第1ワイヤおよび第2ワイヤと電気的に接続するコンデンサと、を備える。これにより、本開示のフィルタ回路は、コンデンサの寄生インダクタンスを打ち消し、高周波帯のノイズ抑制効果を向上させることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,1A,1B コイル部品、2 ボビン、2a 胴体部、2b,2c 鍔部、3 ダミーワイヤ、4 第1ワイヤ、5 第2ワイヤ、6a~6d 端子、7a,7b ダミー端子、100 フィルタ回路。
Claims (12)
- ワイヤを巻き付ける胴体部、および当該胴体部の両端に設けられた鍔部を有するボビンと、
前記胴体部に巻き付けられるダミーワイヤと、
前記ダミーワイヤの外側に重ねて巻き付けられる第1ワイヤと、
前記第1ワイヤと同じ巻き方向で、前記ダミーワイヤの外側に重ねて巻き付けられる第2ワイヤと、を備える、コイル部品。 - 前記第1ワイヤで形成される第1コイルおよび前記第2ワイヤで形成される第2コイルの開口径は、前記胴体部の径に前記ダミーワイヤの線径の2倍を加えた値となる、請求項1に記載のコイル部品。
- 前記ダミーワイヤの巻き回数は、前記第1ワイヤの巻き回数および前記第2ワイヤの巻き回数より多い、請求項1または請求項2に記載のコイル部品。
- 前記第1ワイヤの巻き回数および前記第2ワイヤの巻き回数が1巻きである、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のコイル部品。
- 前記第1ワイヤの巻き方向は、前記ダミーワイヤの巻き方向に対して反対である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のコイル部品。
- 各々の前記鍔部は、
前記第1ワイヤの端部と接続する第1端子と、
前記第2ワイヤの端部と接続する第2端子と、
前記ダミーワイヤの端部と接続するダミー端子と、を含み、
前記ダミー端子を設ける面は、前記第1端子を設ける面および前記第2端子を設ける面と異なる面にある、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のコイル部品。 - 前記第1端子を設ける面と前記第2端子を設ける面とは同じ面である、請求項6に記載のコイル部品。
- 各々の前記鍔部に形成された前記第1端子と前記第2端子との配置は、千鳥配置である、請求項7に記載のコイル部品。
- 前記ダミー端子を設ける面は、前記第1端子を設ける面および前記第2端子を設ける面と対向する面にある、請求項6~請求項8のいずれか1項に記載のコイル部品。
- 前記ダミーワイヤは、磁性材料で形成されている、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のコイル部品。
- 各々の前記鍔部は、
前記第1ワイヤの端部と接続する第1端子と、
前記第2ワイヤの端部と接続する第2端子と、
前記ダミーワイヤの端部と接続するダミー端子と、を含み、
前記第1端子および前記第2端子は、各々の前記鍔部において同じ面に設けられ、
前記ダミー端子は、前記第1端子および前記第2端子を設けた前記鍔部の面に形成された凹部の底面に設けられている、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のコイル部品。 - 請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の前記コイル部品と、
前記コイル部品の前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤと電気的に接続するコンデンサと、を備える、フィルタ回路。
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JP2022-071870 | 2022-04-25 | ||
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PCT/JP2023/014086 WO2023210281A1 (ja) | 2022-04-25 | 2023-04-05 | コイル部品、およびフィルタ回路 |
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2023
- 2023-04-05 WO PCT/JP2023/014086 patent/WO2023210281A1/ja unknown
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