WO2023171510A1 - セラミック焼結体及びその製造方法、並びに焼結助剤粉末 - Google Patents

セラミック焼結体及びその製造方法、並びに焼結助剤粉末 Download PDF

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Abstract

セラミック粒子を含み、断面10において0.05μm以上のサイズを有する気孔20の面積比率の平均値が6%以下である、セラミック焼結体を提供する。焼結助剤原料を粉砕機で粉砕してメジアン径が0.5~1μmの焼結助剤粉末を得る工程と、セラミック粉末と焼結助剤粉末とを含む混合原料を調製する工程と、混合原料の成形体を焼成して、断面10において0.05μm以上のサイズを有する気孔20の面積比率が6%以下であるセラミック焼結体を得る工程と、を有する、セラミック焼結体の製造方法を提供する。

Description

セラミック焼結体及びその製造方法、並びに焼結助剤粉末
 本開示は、セラミック焼結体及びその製造方法、並びに焼結助剤粉末に関する。
 近年、モーター等の産業機器、及び電気自動車等の製品には、大電力制御用のパワーモジュールが用いられている。このようなパワーモジュールには、半導体素子から発生する熱を効率的に拡散するとともに、漏れ電流を抑制するため、セラミック板を備える回路基板等が用いられている。このようなセラミック板に用いられるセラミック焼結体は、通常、セラミック原料粉末を所定形状に成形してセラミック成形体とした後に、セラミック成形体を焼結することで製造される。
 セラミック焼結体としては、窒化物、炭化物、硼化物、又は珪化物等で構成されるものが知られている。このようなセラミック焼結体を製造する際には、焼結を促進するため、焼結助剤が用いられる。例えば、特許文献1では、窒化ケイ素焼結基板を製造する際に、Si粉末、MgO粉末及びY粉末を用いることが提案されている。
国際公開第2017/170247号
 パワーモジュール等の電子部品は、高性能化とともに小型化及び薄型化が図られている。これに伴って、電子部品に用いられる各種製品の性能の要求レベルが益々高くなっていくと考えられる。そこで、本開示は、高い熱伝導率を有するセラミック焼結体及びその製造方法を提供する。また、本開示は、そのようなセラミック焼結体の製造に有用な焼結助剤粉末を提供する。
 本開示は、一つの側面において、セラミック粒子を含むセラミック焼結体であって、断面において0.05μm以上のサイズを有する気孔の面積比率の平均値が6%以下である、セラミック焼結体を提供する。
 上記セラミック焼結体は、断面において0.05μm以上のサイズを有する気孔の面積比率が十分に小さい。このため上記セラミック焼結体は、十分に高い熱伝導率を有する。このようなセラミック焼結体は、例えばパワーモジュールの回路基板等、高い放熱性が求められる製品に好適に用いることができる。
 上記セラミック焼結体の上記断面において、0.2mmあたり20μm以上の長軸を有するセラミック粒子の平均個数は10個以上であってよい。このような十分に長い長軸を有するセラミック粒子を含むセラミック焼結体は、一層高い熱伝導率を有する。
 上記セラミック焼結体の上記断面における上記気孔のサイズの平均値は1μm以下であり、上記気孔のサイズの標準偏差は0.6μm以下であってよい。このようなセラミック焼結体は、高い均一性を有する組織で構成されるため、一層高い熱伝導率を有する。また、高い抗折強度を有するため、信頼性にも優れる。
 上記断面において上記気孔の平均個数が400個/mm未満であってよい。これによって、熱伝導率を一層高くすることができる。本明細書における気孔の平均個数は、1mmあたりの平均個数である。
 上記セラミック焼結体に含まれるセラミック粒子は窒化ケイ素粒子を含有し、当該窒化ケイ素粒子に固溶している酸素量の平均値が0.08質量%以下であってよい。酸素量が低減された窒化ケイ素粒子は高い熱伝導率を有する。したがって、このような窒化ケイ素粒子を含むセラミック焼結体は、より一層高い熱伝導率を有する。
 本開示は、一つの側面において、焼結助剤原料を粉砕機で粉砕してメジアン径が0.5~1μmの焼結助剤粉末を得る工程と、セラミック粉末と焼結助剤粉末とを含む混合原料を調製する工程と、混合原料の成形体を焼成して、断面おいて0.05μm以上のサイズを有する気孔の面積比率の平均値が6%以下であるセラミック焼結体を得る工程と、を有する、セラミック焼結体の製造方法を提供する。
 上記製造方法は、焼結助剤原料を粉砕機で粉砕してメジアン径が0.5~1μmの焼結助剤粉末を得る工程を有する。このような焼結助剤粉末は、粒子径が十分に小さく、且つ凝集が十分に抑制されている。このような焼結助剤を含む混合原料を用いることによって、セラミック粉末の粒成長が均一且つ円滑に進行し、十分に気孔が低減されたセラミック焼結体を得ることができる。これによって気孔の比率を十分に低くすることができる。このようなセラミック焼結体は、十分に高い熱伝導率を有する。
 本開示は、一つの側面において、アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物、希土類酸化物とは異なる遷移金属酸化物、シリカ及びアルミナからなる群より選ばれる少なくとも二つを含み、レーザー回折・散乱法を用いて測定される体積基準の粒子径分布におけるピークが一つであり、当該粒子径分布から求められるメジアン径が0.5~1μmである、焼結助剤粉末を提供する。
 このような焼結助剤粉末は、十分に小さい粒子径を有するとともに、粒子同士の凝集が抑制されている。このような焼結助剤粉末を用いてセラミック焼結体を製造すれば、セラミック焼結体に含まれる気孔を十分に低減することができる。これによって、十分に高い熱伝導率を有するセラミック焼結体を製造することができる。
 本開示によれば、高い熱伝導率を有するセラミック焼結体及びその製造方法を提供することができる。また、そのようなセラミック焼結体の製造に有用な焼結助剤粉末を提供することができる。
図1は、セラミック焼結体の断面の一部を模式的に示す拡大断面図である。 図2は、レーザー回折・散乱法による焼結助剤粉末の体積基準の粒子径分布の一例を示す図である。 図3は、製造方法の一例において焼結が進行するときの粒成長のイメージを示す図である。 図4は、走査型電子顕微鏡による実施例4の断面の写真(1000倍)である。 図5は、従来の製造方法において焼結が進行するときの粒成長のイメージを示す図である。 図6は、走査型電子顕微鏡による、従来の成形体(セラミックグリーンシート)の断面(200倍)と、当該断面に含まれる焼結助剤粉末の凝集体の写真である。 図7は、走査型電子顕微鏡による従来のセラミック焼結体の断面の写真(200倍)である。 図8は、レーザー回折・散乱法による従来の焼結助剤粉末の粒子径分布を示す図である。 図9は、走査型電子顕微鏡による比較例6の断面の写真(1000倍)である。
 以下、場合により図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。なお、「~」の記号で示される数値範囲は、下限値及び上限値を含む。すなわち、「A~B」で示される数値範囲は、A以上且つB以下を意味する。
 一実施形態に係るセラミック焼結体は、セラミック粒子を含む。セラミック焼結体は気孔を含んでもよい。セラミック焼結体の断面における0.05μm以上のサイズを有する気孔の面積比率の平均値は6%以下である。このようなセラミック焼結体は高い熱伝導率を有する。熱伝導率を一層向上する観点から、気孔の面積比率の平均値は4%以下であってよく、3%以下であってもよい。気孔の面積比率の平均値は、0.5%以上であってよく、1%以上であってもよい。なお、気孔の下限を0.05μmとしたのは、微小な気孔は熱伝導率に大きく影響しないためである。気孔の面積比率は焼結助剤粉末の粒子径及び凝集度を変えることで調整することができる。
 セラミック焼結体の断面の面積をA、当該断面に含まれる0.05μm以上のサイズを有する気孔の合計面積をAとしたとき、0.05μm以上のサイズを有する気孔の面積比率はA/A×100の計算式で求めることができる。
 図1は、セラミック焼結体の断面の一部を走査型電子顕微鏡で観察したときの画像(倍率:1000倍)の一例を模式的に示す図である。図1に示されるようにセラミック焼結体の断面10は、セラミック粒子と0.05μm以上のサイズを有する気孔20(以下、単に「気孔20」ということもある。)とを含む。図1では、気孔20を模式的に拡大して示している。なお、断面10には多数のセラミック粒子が含まれているが、図1では、便宜上、セラミック粒子の表示を省略している。
 気孔20のサイズは、気孔20の外縁において間隔が最も大きくなるように選択される2点を結ぶ線分Lの長さである。そして、この線分Lの長さが0.05μm以上である気孔20を識別しそれぞれの面積を算出する。気孔20の個数と合計面積の算出には、ImageJ等の画像処理ソフトウエアを用いてもよい。測定は、5箇所以上の視野において行い、各視野における気孔の面積比率の平均値を求める。
 断面10は、気孔20及びセラミック粒子の他に、焼結助剤相を含んでよい。断面10におけるセラミック粒子(セラミック相)の面積比率の平均値は、70~90%であってよく、75~85%であってもよい。断面10における焼結助剤相の面積比率の平均値は、10~25%であってよく、16~22%であってよい。セラミック粒子及び焼結助剤相をこのような面積比率で含む断面10を有するセラミック焼結体は、十分に高い熱伝導率と抗折強度を有する。断面10におけるセラミック粒子の面積比率及び焼結助剤相の面積比率も、ImageJ等の画像処理ソフトウエアを用いて算出してもよい。ただし、セラミック粒子と焼結助剤相の色が似ている場合には、実施例に示すように画像を加工した後、それぞれの面積比率とその平均値を算出してもよい。
 セラミック焼結体の断面10における気孔20の平均個数Pは400個/mm未満である。本明細書における平均個数Pは、1mmあたりの気孔20の平均個数である。気孔20の平均個数Pは、走査型電子顕微鏡による断面(倍率:1000倍)を5箇所以上の視野において観察し、それぞれの視野に含まれる気孔20を足し合わせた合計個数に基づいて、以下の計算式で求められる。
  気孔の平均個数P=気孔の合計個数/視野数/1視野当たりの面積
 セラミック焼結体の熱伝導率と抗折強度を十分に高い水準で両立する観点から、気孔の平均個数Pは、350個/mm未満であってよく、320個/mm未満であってよく、290個/mm未満であってよく、210個/mm未満であってもよい。気孔の平均個数Pは、10個/mm以上であってもよく、50個/mm未満以上であってもよく、100個/mm以上であってもよい。気孔の平均個数Pは、例えば、焼結助剤粉末の粒子径及び凝集度を変えることで調整することができる。
 セラミック焼結体の断面10に含まれる気孔のサイズの最大値は、6μm以下であってよく、5μm以下であってよく、3μm以下であってもよい。セラミック焼結体の断面10に含まれる気孔のサイズの最大値の下限は、0.5μmであってよく、1μmであってよく、1.2μmであってよい。これによって、セラミック焼結体の熱伝導率を一層高くすることができる。気孔のサイズの最大値は、走査型電子顕微鏡による断面(倍率:200倍)を5箇所以上の視野において観察したときに検出される全気孔のサイズの測定値から求められる。
 抗折強度のばらつきの低減、及び抗折強度を一層高くする観点から、セラミック焼結体の断面10に含まれる気孔20のサイズの平均値は1μm以下であり、当該サイズの標準偏差は0.6μm以下であってよい。幾つかの例では、セラミック焼結体に含まれる気孔のサイズの平均値は0.7μm以下であり、当該サイズの標準偏差は0.5μm以下であってよい。別の幾つかの例では、セラミック焼結体の断面10に含まれる気孔のサイズの平均値は0.6μm以下であり、当該サイズの標準偏差は0.47μm以下であってよい。セラミック焼結体の断面10に含まれる気孔のサイズの平均値は0.1μm以上であってよい。気孔20のサイズの平均値は、上述の平均個数Pを求めるときと同様の方法で求められる。すなわち、5箇所以上の視野に含まれる気孔20のサイズの算術平均として求められる。微小気孔のサイズの標準偏差も5箇所以上の視野に含まれる微小気孔のサイズの標準偏差として求められる。
 セラミック焼結体の断面10に含まれる、20μm以上の長軸を有するセラミック粒子の個数は多い方が好ましい。これによって、熱伝導率を一層向上することができる。20μm以上の長軸を有するセラミック粒子の個数の測定は、走査型電子顕微鏡を用いて1000倍に拡大して示す画像(視野面積:0.02m)を用いて行う。セラミック粒子のサイズは、気孔20と同様にして測定することができる。すなわち、セラミック粒子のサイズは、セラミック粒子の外縁において間隔が最も大きくなるように選択される2点を結ぶ線分(長軸)の長さである。
 測定は、5箇所以上の視野において行い、各視野(視野面積:0.02m)で長軸の長さが20μm以上であるセラミック粒子の個数の平均値を平均個数とする。0.02mあたりの20μm以上の長軸を有するセラミック粒子の平均個数は10個以上であってよく、15個以上であってよく、17個以上であってもよい。20μm以上の長軸を有するセラミック粒子の平均個数は、50個以下であってよく、45個以下であってよく、40個以下であってもよい。0.02mあたりの20μm以上の長軸を有するセラミック粒子の個数の標準偏差は0.6個未満であってよく、0.5個未満であってもよい。20μm以上の長軸を有するセラミック粒子の個数の標準偏差は0.1個以上であってよく、0.15個以上であってよい。このようなセラミック焼結体の微細構造は高い均一性を有する。このため、信頼性に優れる。
 20μm以上の長軸(サイズ)を有するセラミック粒子のアスペクト比は、3以上であってよく、4以上であってもよい。このような形状及びサイズを有するセラミック粒子の個数は、微細で凝集度が小さい焼結助剤粉末を用いて焼結の際の粒成長を円滑に進行させることによって増やすことができる。アスペクト比は、短軸の長さに対する長軸の長さの比である。短軸は、長軸に直交する方向において、セラミック粒子の外縁において間隔が最も大きくなるように選択される2点を結ぶ線分である。
 セラミック焼結体を構成するセラミック粒子は、窒化ケイ素粒子、窒化アルミニウム粒子及びアルミナ粒子からなる群より選ばれる少なくとも一つを含有していてもよい。セラミック粒子が窒化ケイ素粒子を含有する場合、窒化ケイ素粒子に固溶している酸素量の平均値は0.08質量%以下であってよく、0.06質量%以下であってよく、0.0質量%であってよい。このような窒化ケイ素粒子を含むセラミック粒子で構成されるセラミック焼結体は、十分に高い熱伝導率を有する。酸素量の測定は以下の通り行う。具体的には、各窒化ケイ素焼結体を破砕して得たサンプルを黒鉛ルツボに入れる。この黒鉛ルツボを280℃(融解電圧0.5KW)で50秒保持して、表面吸着物を除去する。その後、2400℃(融解電圧5.5KW)まで、200秒で昇温する。予め、空の黒鉛ルツボによって同条件で処理したバックグラウンドを差し引いて、酸素及び窒素の昇温抽出曲線を得る。酸素及び窒素の検出及び定量には、酸素窒素分析装置(堀場製作所製、EMGA-920)を用いることができる。酸素量の平均値は、5個以上のサンプルの測定値を平均して求められる。
 セラミック焼結体としては、主成分として窒化ケイ素粒子を含む窒化ケイ素焼結体、主成分として窒化アルミニウム粒子を含む窒化アルミニウム焼結体、及び、主成分としてアルミナ粒子を含むアルミナ焼結体が挙げられる。また、複数種類のセラミック粒子を含む複合焼結体であってもよい。
 本実施形態のセラミック焼結体は、十分に高い抗折強度を有する。また、抗折強度のばらつきが小さいため、信頼性に優れる。このようなセラミック焼結体は、例えば、パワーモジュールの回路基板に好適に用いることができる。ただし、セラミック焼結体の用途はこれに限定されない。
 一実施形態に係る焼結助剤粉末は、アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物、当該希土類酸化物とは異なる遷移金属酸化物、シリカ及びアルミナからなる群より選ばれる少なくとも二つを含む。焼結助剤粉末は、当該群から選ばれる少なくとも三つを含んでよい。
 アルカリ土類金属酸化物は、構成元素としてアルカリ土類金属と酸素とを有する。アルカリ土類金属酸化物は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム及び酸化ストロンチウムからなる群より選ばれる少なくとも一つを含んでよい。希土類酸化物は、構成元素として希土類元素と酸素とを有する。希土類酸化物は、例えば、酸化イットリウム及び酸化セリウムからなる群より選ばれる少なくとも一つを含んでよい。当該希土類酸化物とは異なる遷移金属酸化物は、構成元素として、希土類とは異なる遷移金属と酸素とを有する。このような遷移金属酸化物は、例えば、酸化鉄を含んでよい。
 焼結助剤粉末の一例は、酸化マグネシウム、希土類酸化物、及びシリカを含む。この場合、焼結助剤粉末の全体を100質量部としたときに、希土類酸化物の含有量は、30~80質量部であってよく、40~70質量部であってもよい。このとき、酸化マグネシウムの含有量は5~40質量部であってよく、10~30質量部であってもよい。このとき、シリカの含有量は5~40質量部であってよく、10~30質量部であってもよい。
 焼結助剤粉末のD50(メジアン径)は、0.5~1μmである。このような焼結助剤粉末は、例えば、焼結助剤原料を粉砕機で粉砕して調製してもよい。粉砕機としては、ビーズミル式粉砕機を用いることができる。一方、焼結助剤粉末のD50が1μmを超えると、セラミック焼結体の断面10における気孔20の面積割合が増大して、熱伝導率が低下する。焼結助剤粉末のD50は0.5μm未満になると、粉砕機から焼結助剤原料に加えられる入力エネルギーと粉砕比の関係性により、粉砕された粒子が凝集する傾向にある。この要因としては、粉砕が進むと粉砕された粒子同士の接触頻度が増加すること、及び、ポテンシャルエネルギーが引力リッチになることが考えられる。
 焼結助剤粉末のD50は、レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定装置によって測定される体積基準の粒子径分布に基づいて求められる。焼結助剤粉末のD50が上記範囲であることによって、焼結助剤粉末に含まれる粒子が十分に小さく、且つ粒子同士が凝集することを抑制できる。これによって、セラミック焼結体を作製する際に、焼結助剤粉末の粒子及び凝集体に起因する気孔の発生を抑制することができる。また、セラミック粒子の粒成長を高い均一性で進行させることができる。
 図2は、レーザー回折・散乱法による焼結助剤粉末の体積基準の粒子径分布の一例を示す図である。横軸は、対数目盛の粒径[μm]であり、縦軸は頻度[体積%]である。本開示における粒子径分布は、JIS Z 8825:2013「粒子径解析-レーザー回折・散乱法」に記載の方法に準拠して測定される。粒子径分布測定には、ベックマンコールター社製のLS-13 320(商品名)を用いる。測定条件としては、粒子屈折率を2.2、溶媒の屈折率を1.33とする。
 焼結助剤粉末は、図2に示されるように、粒子径分布(頻度%)におけるピークが一つのみである。このような焼結助剤粉末は、凝集が十分に抑制されているため、セラミック焼結体における気孔のサイズ及び個数を十分に低減することができる。粒子径分布におけるピークは、シャープであってよい。例えば、焼結助剤粉末のD100は、5.5μm未満であってよく、5.0μm未満であってもよい。例えば、D50に対するD100の比は、5以下であってよい。D100の下限の一例は2μmである。D50に対するD100の比の下限の一例は2である。
 一実施形態に係るセラミック焼結体の製造方法は、焼結助剤原料を粉砕機で粉砕してD50(メジアン径)が0.5~1μmの焼結助剤粉末を得る粉砕工程と、セラミック粉末と焼結助剤粉末とを含む混合原料を調製する混合工程と、混合原料の成形体を焼成する焼成工程と、を有する。粉砕工程で用いる粉砕機としては、ビーズミル式粉砕機を用いることができる。ビーズミル式粉砕機のビーズの直径、ロータの周速及び粉砕時間からなる群より選ばれる少なくとも一つの条件を変更することで、焼結助剤粉末の粒子径分布を調整してもよい。ビーズの直径は0.1~0.3mmであってよい。ロータの周速は8~12m/秒であってよい。粉砕時間は5~20分間であってよい。ビーズミル式粉砕機以外の粉砕機としては、ボールミル、振動ミル、及びポットミル等が挙げられる。
 混合工程では、粉砕によって得られた焼結助剤粉末、セラミック粉末、及び、必要に応じて添加剤を配合し、例えばボールミル等を用いて混合する。このようにして、焼結助剤粉末とセラミック粉末を含む混合原料を調製する。添加剤としては、バインダ、可塑剤、分散媒、及び離型剤等が挙げられる。バインダとしては、例えば、可塑性又は界面活性効果を有するメチルセルロース系のもの、熱分解性に優れたアクリル酸エステル系のものが挙げられる。可塑剤としては、例えばグリセリンが挙げられる。分散媒としては、イオン交換水及びエタノール等が挙げられる。
 セラミック粉末としては、例えば、窒化ケイ素粉末、窒化アルミニウム粉末、又は酸化アルミニウム粉末等を用いることができる。セラミック粉末のD50(メジアン径)は、0.1~6μmであってよく、0.5~4μmであってもよい。これによって、十分に緻密化したセラミック焼結体を得ることができる。セラミック粉末のD50は、焼結助剤粉末のD50と同じ方法で求められる。セラミック粉末の粒子径分布(頻度%)のピークの数も一つであってよい。
 セラミック粉末に対する焼結助剤粉末の質量基準の配合比は、0.03~0.12であってよく、0.05~0.1であってもよい。これによって、セラミック焼結体が緻密化し易くなり、熱伝導率を十分に高くすることができる。
 混合工程で得られた混合原料を、ドクターブレード法、カレンダー法、又は押し出し法等によって離型フィルム上に所定の厚みで塗布して乾燥し、成形して成形体を得る。成形圧力は3.0~30MPaであってよい。成形体は一軸加圧して作製してもよいし、CIPによって作製してもよい。また、ホットプレスによって成形しながら焼成してもよい。例えば、ドクターブレード法等の上記方法によってセラミックグリーンシート基材を作製した後、ダイとパンチを備える金型を用いてセラミックグリーンシート基材を打ち抜いて成形体を得てもよい。
 金型で打ち抜かれる際のセラミックグリーンシート基材の固形分の含有量は、65~85質量%であってよく、75~85質量%であってもよい。固形分の含有量は、金型で打ち抜く前に、セラミックグリーンシート基材を乾燥する乾燥工程を行って調節してもよい。
 焼成工程で成形体を焼成する前に、成形体の脱脂を行ってもよい。脱脂方法は特に限定されず、例えば、成形体を空気中又は窒素等の非酸化雰囲気中で300~700℃に加熱して行ってよい。加熱時間は、例えば1~10時間であってよい。
 セラミック焼結体は、成形体を焼成して得ることができる。焼成時の雰囲気、温度及び時間等は、セラミック焼結体の種類に応じて適宜設定することができる。セラミック焼結体として窒化ケイ素焼結体を製造する場合、窒素ガス又はアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で行ってよい。焼成時の圧力は、0.7~1MPaであってよい。焼成温度は1860~2100℃であってよく、1880~2000℃であってもよい。当該焼成温度における焼成時間は6~20時間であってよく、8~16時間であってよい。
 セラミック焼結体として窒化アルミニウム焼結体を製造する場合、焼成温度は例えば1760~1840℃であってよい。1760~1840℃の温度範囲における保持時間は、例えば1~10時間であってよい。焼成は大気圧下で行ってよい。窒化ケイ素及び窒化アルミニウム焼結体以外のセラミック焼結体(例えば、及び酸化アルミニウム焼結体)を製造する場合、焼結体の緻密化が十分に進行するような焼結条件を適宜設定すればよい。
 図3は、本実施形態の製造方法の一例において焼結が進行するときの粒成長のイメージを示す図である。この例では、図3の(a)に示されるように、成形体において、微細な焼結助剤粉末32がセラミック粒子12中に高い均一性で分散している。このような成形体を焼成すると、図3の(b)に示されるように液化した焼結助剤相32aが毛細管現象によって粒界に拡散する。焼結助剤相32aが拡散すると成形体(セラミック焼結体)の収縮が進行し、図3の(c)のように気孔22が消滅する。加熱を継続すると、セラミック粒子12が焼結助剤相32a中に溶けて、図3の(d)に示されるように柱状のセラミック粒子14が生成する。セラミック粒子14の長軸の長さは20μm以上であり、アスペクト比は3以上であってよい。このように、液相焼結が進行する際に、セラミック粒子の円滑な粒成長に伴って気孔22が十分に消滅するため、セラミック焼結体に含まれる気孔を十分に低減することができる。焼結助剤相32aの一部はセラミック焼結体に残存してもよい。
 図5は、従来の製造方法において焼結が進行するときの粒成長のイメージを示す図である。従来の製造方法では、図5の(a)に示されるように、成形体において、焼結助剤粉末の凝集体132がセラミック粒子112中に含まれている。そのような従来の成形体の断面写真が図6に示されている。このような成形体を焼成すると、図5の(b)に示されるように液化した焼結助剤相132aが凝集体132を起点に毛細管現象によって粒界に拡散する。毛細管現象による拡散が進行すると、凝集体132のサイズが大きいため、凝集体132の部分に気孔122が生じる。気孔122は大きいサイズを有するため、成形体が収縮しても消滅せず、図5の(c)に示されるように気孔122がセラミック焼結体中に残存する。このようにして、セラミック焼結体中に含まれるサイズの大きな気孔の個数が増加する。図7は、このようにして得られる従来のセラミック焼結体の断面110を示している。断面110には凝集体132に由来する気孔122が含まれている。
 従来の製造方法に対し、本実施形態の製造方法では、焼結助剤粉末の粒子が十分に微細であり、且つ粒子同士の凝集が抑制されている。このため、焼結助剤粉末の痕跡として残存する気孔を低減できる。これによって、焼結過程で生じる気孔の個数を低減するとともに、気孔のサイズを小さくすることができる。このようにして得られるセラミック焼結体の気孔の個数は十分に低減されるとともに、気孔のサイズは十分に低減されている。また、セラミック粒子が十分に粒成長しており、且つセラミック粒子に固溶している酸素量が低減されている。セラミック粒子に含まれる酸素量の範囲は、セラミック焼結体の説明において述べたとおりである。このため、セラミック焼結体は十分に高い熱伝導率を有する。セラミック焼結体の断面10における気孔20及びセラミック粒子に関する各数値範囲は上述したとおりである。
 以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、セラミック焼結体及び焼結助剤粉末の各実施形態に関する説明内容は、セラミック焼結体の製造方法にも適用される。セラミック焼結体の製造方法の実施形態に関する説明内容は、セラミック焼結体及び焼結助剤粉末にも適用される。また、セラミック焼結体の製造方法は、上記実施形態に係る製造方法に限定されない。
 本開示は以下の実施形態を含む。
[1]セラミック粒子を含むセラミック焼結体であって、
 断面において0.05μm以上のサイズを有する気孔の面積比率の平均値が6%以下である、セラミック焼結体。
[2]前記断面において、0.2mmあたり20μm以上の長軸を有する前記セラミック粒子の平均個数が10個以上である、[1]に記載のセラミック焼結体。
[3]前記気孔のサイズの平均値が1μm以下であり、標準偏差が0.6μm以下である、[1]又は[2]に記載のセラミック焼結体。
[4]前記気孔の平均個数が400個/mm未満である、[1]~[3]のいずれか一つに記載のセラミック焼結体。
[5]前記セラミック粒子は窒化ケイ素粒子を含有し、
 前記窒化ケイ素粒子に固溶している酸素量の平均値が0.08質量%以下である、[1]~[4]のいずれか一つに記載のセラミック焼結体。
[6]焼結助剤原料を粉砕機で粉砕してメジアン径が0.5~1μmの焼結助剤粉末を得る工程と、
 セラミック粉末と前記焼結助剤粉末とを含む混合原料を調製する工程と、
 前記混合原料の成形体を焼成して、断面において0.05μm以上のサイズを有する気孔の面積比率の平均値が6%以下であるセラミック焼結体を得る工程と、を有する、セラミック焼結体の製造方法。
[7]アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物、前記希土類酸化物とは異なる遷移金属酸化物、シリカ及びアルミナからなる群より選ばれる少なくとも二つを含み、
 レーザー回折・散乱法を用いて測定される体積基準の粒子径分布におけるピークが一つであり、当該粒子径分布から求められるメジアン径が0.5~1μmである、焼結助剤粉末。
 実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明するが、本開示は下記の具体例に限定されるものではない。
[焼結助剤粉末の調製]
(比較例1~5、実施例1~3)
 焼結助剤粉末の原料として、市販の酸化イットリウム粉末、酸化マグネシウム粉末及びシリカ粉末を準備した。これらを、Y:MgO:SiO=5:2:2の質量比となるように配合して混合粉末を得た。ビーズミル式粉砕機(アシザワ・ファインテック株式会社製、装置名:スターミルLMZ)を用いて混合粉末を粉砕し、焼結助剤粉末を得た。ビーズミル式粉砕機による粉砕条件(ビーズの直径、ロータの周速及び粉砕時間)を表1及び表2に示すとおりに変更して、粉砕条件が互いに異なる複数種類の焼結助剤粉末を調製した。
 レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定装置(日機装株式会社製、装置名:粒子径分布測定器 MT3000II)を用いて、各焼結助剤粉末の体積基準の粒子径分布を測定した。これらの粒子径分布の測定結果から、D50(メジアン径)、及び、D100(最大粒子径)を求めた。結果は、表1及び表2に示すとおりであった。表1及び表2には、D50に対するD100の比も示した。実施例1~3の粒子径分布は、図2に示すようにいずれもピークを一つのみ有していた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表1の比較例1~3の結果から、ビーズの直径を小さくすることによって、焼結助剤のD50及びD100を小さくできることが確認された。また、比較例3,4及び実施例1の結果から、ロータの周速を大きくすることによって、D50及び/又はD100を小さくできることが確認された。実施例1,2の結果から、粉砕時間を長くするとD50及びD100を小さくできることが確認された。一方、実施例2,3の結果から、粉砕時間を長くし過ぎると、D50及びD100が大きくなることが確認された。これは、粉砕粉が凝集することに起因すると考えられる。
[窒化ケイ素焼結体の作製]
(実施例4)
 市販の窒化ケイ素粉末(D50:0.7μm)、実施例2の焼結助剤粉末及び添加剤(溶剤系のバインダ)を、ビーズミルに入れて混合し、原料スラリーを調製した。窒化ケイ素粉末と焼結助剤粉末の質量基準の配合比は、窒化ケイ素粉末:焼結助剤粉末=91:9とした。次に、離型フィルム上にドクターブレード法によって、上述の原料スラリーを塗布し、塗布厚みが0.4mmのグリーンシートを作製した。作製したセラミックグリーンシートを、縦×横=250mm×180mmとなるように切断し、70枚積層して積層体を得た。上記積層体を、カーボンヒータを備える電気炉中に配置し、空気中、500℃で20時間加熱して脱脂した。
 脱脂後の成形体を焼成炉内に置いて、焼成炉内を100Pa以下に減圧し、900℃まで昇温した。その後、焼成炉内に窒素ガスを導入し、約0.9MPaの加圧下で1500℃まで昇温し、4時間保持した。保持後、1830℃まで昇温し、1830℃で5時間保持した。このようにして窒化ケイ素焼結体を得た。
(実施例5)
 実施例2の焼結助剤粉末に代えて、実施例1の焼結助剤粉末を用いたこと以外は、実施例4と同様にして窒化ケイ素焼結体を得た。
(実施例6)
 実施例2の焼結助剤粉末に代えて、実施例3の焼結助剤粉末を用いたこと以外は、実施例4と同様にして窒化ケイ素焼結体を得た。
(比較例6)
 市販の酸化イットリウム粉末、酸化マグネシウム粉末及びシリカ粉末を、実施例1と同じ質量比で配合して混合粉末を得た。この混合粉末を、ビーズミル式粉砕機で粉砕することなく焼結助剤粉末として実施例4で用いた窒化ケイ素粉末及び添加剤と配合した。ボールミルを用いてこれらを混合して原料スラリーを調製した。この原料スラリーを用いたこと以外は、実施例4と同様にして窒化ケイ素焼結体を得た。実施例1で用いた粒子径分布測定装置を用いて、ボールミルに入れる前の混合粉末(焼結助剤粉末)の粒子径分布を測定した。この粒子径分布の測定結果から、D50(メジアン径)、及び、D100(最大粒子径)を求めた。その結果、D50は3.171μm、D100は497.7μmであった。また、比較例6で用いた焼結助剤粉末の粒子径分布(頻度%)は図8に示すように2つのピークを有していた。このように2つのピークがあるのは、焼結助剤粉末に粒子の凝集体が含まれていることによるものである。
[窒化ケイ素焼結体の評価]
<密度の測定>
 実施例4~6及び比較例6で得られた窒化ケイ素焼結体の密度を測定した。具体的には、実施例4~6及び比較例6で得られた窒化ケイ素焼結体をそれぞれ5つずつ任意に選び、アルキメデス法によって密度を測定した。結果は、表3に示すとおりであった。表3に示すとおり、実施例4~6及び比較例6の窒化ケイ素焼結体の密度は同等であった。このことから、密度に基づいて、気孔の面積割合を推測することは難しいと考えられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
<断面の観察>
 実施例4~6及び比較例6で得られた窒化ケイ素焼結体を厚さ方向に沿って切断し、各切断面を研磨した。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、切断面を観察した。図4は、実施例4の切断面の観察画像(1000倍)を示すSEM写真である。図9は、比較例6の切断面(1000倍)を示すSEM写真である。このようなSEM写真から、比較例6よりも実施例4~6の断面の方が気孔の個数が少なく、且つ気孔のサイズも小さいことが確認された。
 画像処理ソフトウエア(ImageJ)を用いて、図4及び図9に示すような1000倍に拡大された断面に含まれる気孔の個数とそれぞれの気孔の面積を求めた。そして、それぞれの気孔の面積を足し合わせて、0.05μm以上のサイズを有する気孔の合計面積Aを求めた。この合計面積Aと、断面の面積Aから、0.05μm以上のサイズを有する気孔の面積比率Rを、R=A/A×100の式で算出した。結果は、表4に示すとおりであった。
 当該断面における窒化ケイ素粒子の面積比率R、及び、焼結助剤相の面積比率Rも同様にして求めた。ただし、これらの色が似ており、画像処理ソフトウエアで自動識別することが難しかったため、焼結助剤相を黒色に塗りつぶした後、画像処理ソフトウエアを用いて気孔の面積比率Rと焼結助剤相の面積比率Rの合計を求めた。その後、窒化ケイ素粒子の面積比率Rを、R=100-R-Rの計算式で求めた。面積比率R,R,Rを、5視野(N=5)においてそれぞれ求めた。その平均値は表4に示すとおりであった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
<気孔の測定>
 図4及び図9のようなSEM写真(1000倍)に含まれる気孔のサイズと個数を、画像処理ソフトウエア(ImageJ)を用いて測定した。図4及び図9に示すような観察を、各切断面において24視野(1視野あたりの面積:0.02mm)で行って、各気孔のサイズと気孔の合計個数を測定した。上述したとおり、一つの気孔の外縁において間隔が最も大きくなるように選択される2点を結ぶ線分の長さが0.05μm以上の気孔を測定対象とした。測定結果に基づいて、気孔の平均個数P、気孔のサイズ(当該線分)の最大値、平均値、最小値及び標準偏差を求めた。結果は、表5に示すとおりであった。
<窒化ケイ素粒子の測定>
 実施例4~6及び比較例の断面(1視野あたりの面積:0.02mm)のSEM写真(1000倍)に含まれる窒化ケイ素粒子のうち、その外縁において間隔が最も大きくなるように選択される2点を結ぶ線分(長軸)の長さが20μm以上である窒化ケイ素粒子の個数を計測した。結果は、表5の「粒子の個数」の欄に示すとおりであった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 表5に示すとおり、気孔のサイズの平均値は、実施例4~6及び比較例6で大きな違いはなかった。一方で、気孔のサイズのばらつき(標準偏差)は、実施例4~6の方が比較例6よりも小さかった。なお、比較例6では、気孔のサイズの算出に用いた24視野以外の場所に10μmを超える気孔が20個以上存在していた。これらの気孔を計算に含めると、気孔のサイズのばらつきは、表5に示す値よりもさらに大きくなると考えられる。
 表5に示す「粒子の個数」の測定結果から、実施例4~6の方が比較例6よりも窒化ケイ素粒子の粒成長が十分に進んでいることが確認された。実施例4~6の窒化ケイ素焼結体に含まれる、上記線分(長軸)の長さが20μm以上である窒化ケイ素粒子はいずれも4以上のアスペクト比を有していた。表5の「粒子の個数」の結果は、1視野での測定結果であるが、10視野で同様の測定を行ったところ、実施例4~6では、各視野における、長軸の長さが20μm以上である窒化ケイ素粒子の個数はいずれも15個以上であった。
<固溶酸素量の測定>
 実施例4~6及び比較例6の窒化ケイ素焼結体に含まれる窒化ケイ素粒子に固溶している酸素量(固溶酸素量)を測定した。具体的には、各窒化ケイ素焼結体を破砕して得たサンプルを黒鉛ルツボに入れた。この黒鉛ルツボを280℃(融解電圧0.5KW)で50秒保持して、表面吸着物を除去した。その後、2400℃(融解電圧5.5KW)まで、200秒で昇温した。予め、空の黒鉛ルツボによって同条件で処理したバックグラウンドを差し引いて、酸素及び窒素の昇温抽出曲線を得た。酸素及び窒素の検出及び定量には、酸素窒素分析装置(堀場製作所製、EMGA-920)を用いた。
 酸素及び窒素の抽出曲線は共に約1650℃にピークがあるが、酸素はそれよりもかなり低温側にも分布が見られた。そこで、酸素の昇温抽出曲線をピーク分離し、高温側で窒素と同時に抽出される分布を固溶酸素、それ以外の低温側の分布を表面酸素に由来するものとみなした。分離したピークの面積割合から固溶酸素と表面酸素の比率αを求めた。酸素量及び窒素量が既知の窒化ケイ素粉末(日本セラミックス協会認証、JCRM R005)の測定値から作成した検量線を用いて、全酸素量を求めた。この全酸素量と比率αを用いて、窒化ケイ素粒子に固溶する酸素量(固溶酸素量)を求めた。測定は、5個のサンプルを用いて行った(N=5)。酸素量の平均値、最大値、最小値及び標準偏差は、表6に示すとおりであった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 表6に示すとおり、比較例6よりも実施例4~6の窒化ケイ素焼結体の方が、窒化ケイ素粒子に固溶している酸素量が少なかった。このことは、窒化ケイ素焼結体を作製する際、窒化ケイ素の粒子の粒成長の過程において、実施例4~6では液相焼結が高い均一性で進行していることを示している。すなわち、実施例4~6では、粒子内に気孔が取り残され難くなり、その結果、固溶する酸素量も低減していると考えられる。
<熱伝導率の測定>
 実施例4~6及び比較例6の窒化ケイ素焼結体の熱伝導率を測定した。測定は、実施例4~6及び比較例6のそれぞれにおいて5個のサンプルを用いて行った(N=5)。測定は、JIS R1611:2010に準拠し、レーザーフラッシュ法で測定した。サンプルは、縦×横×厚さ=50mm×50mm×1.0mmの直方体形状に加工して測定に用いた。サンプル数は5個とした(N=5)。測定装置は、株式会社リガク製のLF/TCM-8510B(商品名)を用いた。測定温度は、23±1℃とした。熱伝導率の平均値、最大値、最小値及び標準偏差は、表7に示すとおりであった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 表7に示すとおり、実施例4~6の窒化ケイ素焼結体は、比較例6の窒化ケイ素焼結体よりも高い熱伝導率を有することが確認された。
<抗折強度の測定>
 実施例4~6及び比較例6の窒化ケイ素焼結体の3点曲げ抗折強度を測定した。測定は、JIS R 1601:2008に準拠し、市販の抗折強度計(株式会社島津製作所製、装置名:AG-2000)を用いて行った。実施例4~6及び比較例6において測定試料を20個ずつ作製して測定を行った(N=20)。測定値の平均値、最大値、最小値及び標準偏差は表8に示すとおりであった。また、測定値に基づいてワイブルプロットを作成し、ワイブル係数を決定した。ワイブル係数は表8に示すとおりであった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
 表8に示すとおり、比較例6に比べて実施例4~6の窒化ケイ素焼結体の方が高い抗折強度を有していた。また、抗折強度のばらつきが少なく、信頼性に優れることが確認された。
 本開示によれば、高い抗折強度を有するセラミック焼結体及びその製造方法が提供される。また、そのようなセラミック焼結体の製造に有用な焼結助剤粉末が提供される。
 10,110…断面、12,14,112…セラミック粒子、20,22,122…気孔、32…焼結助剤粉末、32a,132a…焼結助剤相、132…凝集体。

 

Claims (7)

  1.  セラミック粒子を含むセラミック焼結体であって、
     断面において0.05μm以上のサイズを有する気孔の面積比率の平均値が6%以下である、セラミック焼結体。
  2.  前記断面において、0.2mmあたり20μm以上の長軸を有する前記セラミック粒子の平均個数が10個以上である、請求項1に記載のセラミック焼結体。
  3.  前記気孔のサイズの平均値が1μm以下であり、標準偏差が0.6μm以下である、請求項1又は2に記載のセラミック焼結体。
  4.  前記気孔の平均個数が400個/mm未満である、請求項1又は2に記載のセラミック焼結体。
  5.  前記セラミック粒子は窒化ケイ素粒子を含有し、
     前記窒化ケイ素粒子に固溶している酸素量の平均値が0.08質量%以下である、請求項1又は2に記載のセラミック焼結体。
  6.  焼結助剤原料を粉砕機で粉砕してメジアン径が0.5~1μmの焼結助剤粉末を得る工程と、
     セラミック粉末と前記焼結助剤粉末とを含む混合原料を調製する工程と、
     前記混合原料の成形体を焼成して、断面において0.05μm以上のサイズを有する気孔の面積比率の平均値が6%以下であるセラミック焼結体を得る工程と、を有する、セラミック焼結体の製造方法。
  7.  アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物、前記希土類酸化物とは異なる遷移金属酸化物、シリカ及びアルミナからなる群より選ばれる少なくとも二つを含み、
     レーザー回折・散乱法を用いて測定される体積基準の粒子径分布におけるピークが一つであり、当該粒子径分布から求められるメジアン径が0.5~1μmである、焼結助剤粉末。

     
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