WO2023145156A1 - 転写フィルム及び導体パターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

仮支持体と、感光性組成物層と、金属塩を含有する層と、をこの順に有する、転写フィルム、及び上記転写フィルムを使用した導体パターンの形成方法。

Description

転写フィルム及び導体パターン形成方法
 本開示は、転写フィルム及び導体パターン形成方法に関する。
 所定の導体パターンを有するプリント配線基板を製造する方法として、基材上にシード層を形成し、シード層上にレジストパターンを形成し、露出したシード層上に金属層を形成する方法が知られている。
 基材上へのシード層の形成は、スパッタ法、シード層形成用組成物の基材への塗布及び加熱等の方法により行われている。
 特開2014-27211号公報においては、基材上に、金属塩及び還元剤を含む組成物を塗布して金属塩を含有する層を形成させ、この金属塩を含有する層を加熱することにより、金属塩を還元させ、金属単体を含むシード層を形成することが行われている。
 また、特開2014-27211号公報においては、基材とシード層との密着性を向上させることを目的として、基材に対し粗面化処理を施すことが提案されている。
 今般、本発明者らは、スパッタ法、シード層形成用組成物の基材への塗布及び加熱の方法等により形成されるシード層は、基材(特には、液晶ポリマー基材)との密着性の点において改善の余地があることを見出した。
 また、基材に対し粗面化処理を施した場合、高周波数領域における伝送損失が大きくなり、プリント配線基板への使用適性が低下する恐れがあることを見出した。
 本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、基材に対し粗面化処理を施すことなく、基材と、シード層等の金属を含む層との密着性を向上させることができる、転写フィルム及び上記転写フィルムを使用した導体パターンの形成方法を提供することである。
 課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 仮支持体と、感光性組成物層と、金属塩を含有する層と、をこの順に有する、転写フィルム。
<2> 上記感光性組成物層が、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物及び光重合開始剤を含有する、上記<1>に記載の転写フィルム。
<3> 上記金属塩を含有する層の厚さが、10nm~1000nmである、上記<1>又は<2>に記載の転写フィルム。
<4> 上記金属塩を含有する層の総質量に対する上記金属塩の含有量が、10質量%~70質量%である、上記<1>~<3>のいずれか1つに記載の転写フィルム。
<5> 上記金属塩が、金属カルボン酸塩である、上記<1>~<4>のいずれか1つに記載の転写フィルム。
<6> 上記金属塩を含有する層が、還元剤を含有する、上記<1>~<5>のいずれか1つに記載の転写フィルム。
<7> 上記金属塩を含有する層が、シード層形成用層である、上記<1>~<6>のいずれか1つに記載の転写フィルム。
<8> 仮支持体と、感光性組成物層と、金属塩を含有する層と、をこの順に有する転写フィルムを準備する工程と、上記転写フィルムを、基材にラミネートし、上記基材、上記金属塩を含有する層、上記感光性組成物層及び上記仮支持体をこの順に有する積層体を形成する工程と、上記感光性組成物層をパターン露光する工程と、上記感光性組成物層を現像することにより、レジストパターンを形成し、上記金属塩を含有する層又はシード層の一部を露出させる工程と、上記露出したシード層上に金属層を形成する工程と、をこの順に有し、且つ上記積層体を形成する工程よりも後、上記金属層を形成する工程よりも前に、上記金属塩を含有する層に含有される金属塩を還元させ、シード層を形成する工程を有する、導体パターン形成方法。
<9> 上記露出したシード層上に金属層を形成する工程の後に、上記レジストパターンを除去する工程と、上記レジストパターンの除去により露出するシード層を除去する工程と、をこの順に有する、上記<8>に記載の導体パターン形成方法。
 本開示の一実施形態によれば、基材に対し粗面化処理を施すことなく、基材と、シード層等の金属を含む層との密着性を向上させることができる、転写フィルム及び上記転写フィルムを使用した導体パターンの形成方法を提供することができる。
図1は、本開示の転写フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。
 本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
 本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
 本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
 本開示において「層」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
 本開示において、「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
 本明細書において、「透明」とは、波長400nm~700nmの可視光の平均透過率が、80%以上であることを意味し、90%以上であることが好ましい。
 本明細書において、透過率は、分光光度計を用いて測定される値であり、例えば、日立製作所(株)製の分光光度計U-3310を用いて測定できる。
 本明細書において、特段の断りのない限り、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、カラムとして、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、若しくは、TSKgel G2000HxL(いずれも東ソー(株)製の商品名)、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)、検出器として示差屈折計、及び、標準物質としてポリスチレンを使用し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により測定した標準物質のポリスチレンを用いて換算した値である。
 本明細書において、特段の断りがない限り、高分子の構成単位の比は質量比である。
 本明細書において、特段の断りがない限り、分子量分布がある化合物の分子量は、重量平均分子量(Mw)である。
 本開示において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念である。「(メタ)アクリロキシ基」は、アクリロキシ基及びメタアクリロキシ基の両方を包含する概念である。「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタアクリロイル基の両方を包含する概念である。
 なお、本明細書において、「アルカリ可溶性」とは、22℃において炭酸ナトリウムの1質量%水溶液100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。
 本明細書において「水溶性」とは、液温が22℃であるpH7.0の水100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。したがって、例えば、水溶性樹脂とは、上述の溶解度条件を満たす樹脂を意図する。
 本明細書において、組成物の「固形分」とは、組成物を用いて形成される組成物層を形成する成分を意味し、組成物が溶剤(有機溶剤、水等)を含む場合、溶剤を除いたすべての成分を意味する。また、組成物層を形成する成分であれば、液体状の成分も固形分とみなす。
 本開示において、「厚み」は、SEM(走査型電子顕微鏡:Scanning Electron Microscope)を使用した対象の断面観察により測定した任意の5点の平均値として算出する。
 本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
[転写フィルム]
 本開示の転写フィルム1は、図1に示すように、仮支持体10と、感光性組成物層11と、金属塩を含有する層12(以下、「金属塩含有層」とも記載する。)と、をこの順に有する。
 本開示の転写フィルム1は、図1に示すように、仮支持体10と感光性組成物層11との間に、中間層13を備えていてもよい。
 本開示の転写フィルム1は、仮支持体10と感光性組成物層11との間、又は中間層13と感光性組成物層11との間に、熱可塑性樹脂層14を備えていてもよい。なお、図1においては、中間層13と感光性組成物層11との間に、熱可塑性樹脂層14を備える構成を示した。
 本開示の転写フィルム1は、図1に示すように、金属塩含有層12上に、保護フィルム15を備えていてもよい。
 本開示の転写フィルムは、仮支持体、感光性組成物層、金属塩含有層等がこの順に積層されていることが好ましい。
 本開示の転写フィルムの態様の一例を以下に示すが、これに制限されない。
(1)「仮支持体/感光性組成物層/金属塩含有層/保護フィルム」
(2)「仮支持体/感光性組成物層/金属塩含有層」
(3)「仮支持体/中間層/感光性組成物層/金属塩含有層/保護フィルム」
(4)「仮支持体/中間層/感光性組成物層/金属塩含有層」
(5)「仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性組成物層/金属塩含有層/保護フィルム」
(6)「仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性組成物層/金属塩含有層」
<<仮支持体>>
 転写フィルムは、仮支持体を備える。
 仮支持体は、感光性組成物層等を支持する部材であり、最終的には剥離処理により除去される。
 仮支持体は、単層構造を有するものであっても、複層構造を有するものであってもよい。
 仮支持体は、フィルムであることが好ましく、樹脂フィルムであることがより好ましい。仮支持体としては、可撓性を有し、且つ、加圧下、又は、加圧及び加熱下において、著しい変形、収縮又は伸びを生じないフィルムが好ましい。
 樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルム、及び、ポリカーボネートフィルムが挙げられ、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
 樹脂フィルムは、延伸処理が施されていてもよく、1軸延伸樹脂フィルムであってもよく、2軸延伸樹脂フィルムであってもよい。
 また、仮支持体として使用するフィルムには、シワ等の変形及び傷等がないことが好ましい。
 感光性組成物層の露光は、仮支持体を剥離した後に行ってもよく、剥離前に行ってもよいが、上記露光を仮支持体の剥離前に行う場合、仮支持体を介してパターン露光できるという点から、仮支持体は透明性が高いことが好ましい。
 具体的には、仮支持体は、波長313nm、365nm、313nm、405nm及び436nmの光の透過率が、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましく、90%以上が最も好ましい。透過率の好ましい値としては、例えば、87%、92%、98%等を挙げることができる。
 露光を仮支持体の剥離前に行った場合の導体パターン形成性及び仮支持体の透明性の観点から、仮支持体のヘイズ値は小さい方が好ましい。具体的には、仮支持体のヘイズ値は、2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.1%以下が更に好ましい。
 ヘイズ値は、ヘイズメーターを用いて、JIS K 7105(1981)に準ずる方法により測定する。本開示に記載のヘイズ値は、ヘイズメーター(NDH-2000、日本電色工業(株)製)を用いて測定した値である。
 露光を仮支持体の剥離前に行った場合の導体パターン形成性及び仮支持体の透明性の観点から、仮支持体に含まれる微粒子、異物及び欠陥の数は少ない方が好ましい。仮支持体中における直径1μm以上の微粒子、異物及び欠陥の数は、50個/10mm以下が好ましく、10個/10mm以下がより好ましく、3個/10mm以下が更に好ましく、0個/10mmが特に好ましい。
 仮支持体の厚みは特に制限されないが、5μm~200μmが好ましく、取り扱いやすさ及び汎用性の点から、5μm~150μmがより好ましく、5μm~50μmが更に好ましく、5μm~25μmが最も好ましい。
 仮支持体と感光性組成物層との密着性を向上させるために、仮支持体の組成物層と接する側の表面は、UV照射、コロナ放電、プラズマ等により改質されていてもよい。
 UV照射により仮支持体表面の改質を行う場合、露光量は10mJ/cm~2000mJ/cmが好ましく、50mJ/cm~1000mJ/cmがより好ましい。
 UV照射のための光源としては、150nm~450nm波長帯域の光を発する低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、発光ダイオード(LED)等を挙げることができる。光照射量がこの範囲にできる限り、ランプ出力、照度等は特に制限はない。
 仮支持体としては、膜厚16μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、膜厚12μmの2軸延伸PETフィルム、及び、膜厚9μmの2軸延伸PETフィルム等が挙げられる。
 仮支持体の好ましい形態としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落[0017]~[0018]、特開2016-027363号公報の段落[0019]~[0026]、国際公開第2012/081680号の段落[0041]~[0057]、及び、国際公開第2018/179370号の段落[0029]~[0040]に記載が挙げられ、これらの公報の内容は本明細書に組み込まれる。
 ハンドリング性を付与する点で、仮支持体の表面に、微小な粒子を含む層(滑剤層)を設けてもよい。滑剤層は仮支持体の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。滑剤層に含まれる粒子の直径は、0.05μm~0.8μmが好ましい。また、滑剤層の膜厚は、0.05μm~1.0μmが好ましい。
 仮支持体は市販品を使用してもよく、ルミラー(登録商標)16KS40、ルミラー(登録商標)16FB40、ルミラー(登録商標)#38-U48、ルミラー(登録商標)#75-U34(以上、東レ(株)製)、コスモシャイン(登録商標)A4100、コスモシャイン(登録商標)A4160、コスモシャイン(登録商標)A4300、コスモシャイン(登録商標)A4360、コスモシャイン(登録商標)A8300(以上、東洋紡(株)製)等を挙げることができる。
 仮支持体はリサイクル品であってもよい。リサイクル品としては、使用済みフィルム等を洗浄、チップ化し、これらを材料とするフィルム等が挙げられる。リサイクル品の具体例としては、東レ(株)製のEcouse(登録商標)シリーズが挙げられる。
<<感光性組成物層>>
 感光性組成物層は、ネガ型感光性組成物層であってもよく、ポジ型感光性組成物層であってもよい。
 タッチパネル等の静電容量型入力装置を備えた表示装置(有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置及び液晶表示装置等)では、視認部のセンサーに相当する電極パターン、周辺配線部分及び取り出し配線部分の配線等の導電層パターンがタッチパネル内部に設けられている。一般的にパターン化した層の形成には、転写フィルム等を用いて基材上にネガ型感光性組成物層(感光層)を設け、その感光層に対して所望のパターンを有するマスクを介して露光した後、現像する方法が広く採用されている。したがって、感光性組成物層としては、ネガ型感光性組成物層であるのが好ましい。感光性組成物層がネガ型感光性組成物層である場合、形成されるパターンは硬化層に該当する。
請求項2
 感光性組成物層がネガ型感光性組成物層である場合、ネガ型感光性組成物層は、樹脂、重合性化合物、及び重合開始剤を含むことが好ましい。また、感光性組成物層がネガ型感光性組成物層である場合、後述の通り、樹脂の一部又は全部としてアルカリ可溶性樹脂(アルカリ可溶性樹脂である重合体A等)が含まれることも好ましい。
 つまり、一態様において、感光性組成物層は、アルカリ可溶性樹脂を含む樹脂、重合性化合物、及び重合開始剤(好ましくは、光重合開始剤)を含むのが好ましい。
 このような感光性組成物層(すなわち、ネガ型感光性組成物層)は、感光性組成物層の全質量を基準として、樹脂:10質量%~90質量%;重合性化合物:5質量%~70質量%;重合開始剤:0.01質量%~20質量%を含むことが好ましい。
 以下において、各成分を順に説明する。
<重合体A(樹脂)>
 感光性組成物層がネガ型感光性組成物層である場合に、感光性組成物層中に含まれる樹脂を、特に、重合体Aともいう。
 重合体Aとしては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、アミドエポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、及び、エポキシアクリレート樹脂と酸無水物との反応で得られる酸変性エポキシアクリレート樹脂が挙げられる。これには限定されない。
 重合体Aとしては、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位を有する樹脂を意味する。(メタ)アクリル樹脂において、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の含有量は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましい。
 重合体Aとしては、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位及びスチレン化合物に由来する構成単位を有する重合体も好ましい。
 重合体Aは、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
 重合体Aの酸価は、現像液によるネガ型感光性組成物層の膨潤を抑制することにより、解像性がより優れる観点から、220mgKOH/g以下が好ましく、200mgKOH/g未満がより好ましく、190mgKOH/g未満が更に好ましい。
 重合体Aの酸価の下限は特に制限されないが、現像性がより優れる観点から、60mgKOH/g以上が好ましく、70mgKOH/g以上がより好ましく、80mgKOH/g以上が更に好ましく、90mgKOH/g以上が特に好ましい。
 なお、酸価(mgKOH/g)とは、試料1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの質量[mg]である。酸価は、例えば、化合物中における酸基の平均含有量から算出できる。
 重合体Aの酸価は、重合体Aを構成する構成単位の種類及び酸基を含む構成単位の含有量により調整すればよい。
 重合体Aの重量平均分子量は、5,000~500,000が好ましい。重量平均分子量が500,000以下の場合、解像性及び現像性を向上させる観点から好ましい。重量平均分子量は、100,000以下がより好ましく、60,000以下が更に好ましい。
 一方で、重量平均分子量が5,000以上の場合、現像凝集物の性状、並びにネガ型感光性樹脂積層体とした場合のエッジフューズ性及びカットチップ性等の未露光膜の性状を制御する観点から好ましい。重量平均分子量は、10,000以上がより好ましく、12,000以上が更に好ましく、15,000以上が特に好ましい。
 エッジフューズ性とは、ネガ型感光性組成物層を備える転写フィルムをロール状に巻き取った場合に、ロールの端面からの、ネガ型感光性組成物層のはみ出し易さの程度をいう。カットチップ性とは、未露光膜をカッターで切断した場合に、チップの飛び易さの程度をいう。このチップが、ネガ型感光性組成物層を備える転写フィルムの上面等に付着すると、後の露光工程等でマスクに転写して、不良品の原因となる。
 重合体Aの分散度は、1.0~6.0が好ましく、1.0~5.0がより好ましく、1.0~4.0が更に好ましく、1.0~3.0が特に好ましい。本開示において、分散度は、数平均分子量に対する重量平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)である。
 ネガ型感光性組成物層は、露光時の焦点位置がずれたときの線幅太りや解像度の悪化を抑制する観点から、重合体Aは、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含むことが好ましい。なお、このような芳香族炭化水素基としては、例えば、置換又は非置換のフェニル基、及び置換又は非置換のアラルキル基が挙げられる。重合体Aにおける芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位の含有量は、重合体Aの全質量に対して、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。上限としては特に限定されないが、95質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましい。なお、重合体Aを複数種類含む場合、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位の含有量の平均値が上記範囲内になることが好ましい。
 芳香族炭化水素基を有する単量体としては、例えば、アラルキル基を有するモノマー、スチレン、及び重合可能なスチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー、及びスチレントリマー等)が挙げられる。なかでも、アラルキル基を有するモノマー、又はスチレンが好ましい。一態様において、重合体Aにおける芳香族炭化水素基を有する単量体成分がスチレンである場合、スチレンに基づく構成単位の含有量は、重合体Aの全質量に対して、20質量%~70質量%が好ましく、25質量%~65質量%がより好ましく、30質量%~60質量%が更に好ましく、30質量%~55質量%が特に好ましい。なお、感光性組成物層が複数の種類の重合体Aを含む場合、芳香族炭化水素基を有する構成単位の含有量は、重量平均値として求められる。
 アラルキル基としては、置換又は非置換のフェニルアルキル基(ベンジル基を除く)、及び置換又は非置換のベンジル基等が挙げられ、置換又は非置換のベンジル基が好ましい。
 フェニルアルキル基を有する単量体としては、フェニルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 ベンジル基を有する単量体としては、ベンジル基を有する(メタ)アクリレート、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、及びクロロベンジル(メタ)アクリレート等;ベンジル基を有するビニルモノマー、例えば、ビニルベンジルクロライド、及びビニルベンジルアルコール等が挙げられる。なかでも、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。一態様において、重合体Aにおける芳香族炭化水素基を有する単量体成分がベンジル(メタ)アクリレートである場合、ベンジル(メタ)アクリレートに基づく構成単位の含有量は、重合体Aの全質量に対して、50質量%~95質量%が好ましく、60質量%~90質量%がより好ましく、70質量%~90質量%が更に好ましく、75質量%~90質量%が特に好ましい。
 芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含む重合体Aは、芳香族炭化水素基を有する単量体と、後述する第一の単量体の少なくとも1種及び/又は後述する第二の単量体の少なくとも1種とを重合することにより得られることが好ましい。
 芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含まない重合体Aは、後述する第一の単量体の少なくとも1種を重合することにより得られることが好ましく、第一の単量体の少なくとも1種と後述する第二の単量体の少なくとも1種とを共重合することにより得られることがより好ましい。
 第一の単量体は、分子中にカルボキシル基を有する単量体である。第一の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、4-ビニル安息香酸、マレイン酸無水物、及びマレイン酸半エステル等が挙げられる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
 重合体Aにおける第一の単量体に基づく構成単位の含有量は、重合体Aの全質量に対して、5質量%~50質量%が好ましく、10質量%~40質量%がより好ましく、14質量%~30質量%が更に好ましい。
 上記含有量を5質量%以上にすることは、良好な現像性を発現させる観点、エッジフューズ性を制御する等の観点から好ましい。上記含有量を50質量%以下にすることは、レジストパターンの高解像性及びスソ形状の観点から、更にはレジストパターンの耐薬品性の観点から好ましい。
 第二の単量体は、非酸性であり、且つ、分子中に重合性不飽和基を少なくとも1個有する単量体である。第二の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物;酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル化合物;並びに(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。なかでも、メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、又はn-ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
 重合体Aにおける第二の単量体に基づく構成単位の含有量は、重合体Aの全質量に対して、5質量%~60質量%が好ましく、15質量%~50質量%がより好ましく、17質量%~45質量%が更に好ましい。
 重合体Aがアラルキル基を有する単量体に基づく構成単位及び/又はスチレンを単量体に基づく構成単位を含む場合、露光時の焦点位置がずれたときの線幅太りや解像度の悪化を抑制する観点から好ましい。例えば、メタクリル酸に基づく構成単位とベンジルメタクリレートに基づく構成単位とスチレンに基づく構成単位を含む共重合体、メタクリル酸に基づく構成単位とメチルメタクリレートに基づく構成単位とベンジルメタクリレートに基づく構成単位とスチレンに基づく構成単位を含む共重合体等が好ましい。
 一態様において、重合体Aは、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を25質量%~55質量%、第一の単量体に基づく構成単位を20質量%~35質量%、第二の単量体に基づく構成単位を15質量%~45質量%含む重合体であることが好ましい。また、別の態様において、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を70質量%~90質量%、第一の単量体に基づく構成単位を10質量%~25質量%含む重合体であることが好ましい。
 重合体Aは、側鎖に直鎖構造、分岐構造、及び、脂環構造のいずれかを有してもよい。側鎖に分岐構造を有する基を含むモノマー、又は側鎖に脂環構造を有する基を含むモノマーを使用することによって、重合体Aの側鎖に分岐構造や脂環構造を導入することができる。脂環構造を有する基は単環又は多環であってもよい
 側鎖に分岐構造を有する基を含むモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸tert-アミル、(メタ)アクリル酸sec-アミル、(メタ)アクリル酸2-オクチル、(メタ)アクリル酸3-オクチル及び(メタ)アクリル酸tert-オクチル等が挙げられる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert-ブチルが好ましく、メタクリル酸イソプロピル又はメタクリル酸tert-ブチルがより好ましい。
 側鎖に脂環構造を有する基を含むモノマーの具体例としては、単環の脂肪族炭化水素基を有するモノマー、及び、多環の脂肪族炭化水素基を有するモノマーが挙げられる。また、炭素原子数5~20個の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。より具体的な例としては、(メタ)アクリル酸(ビシクロ〔2.2.1]ヘプチル-2)、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-5-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5,8-トリエチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-8-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-メチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-エチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-5-イル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-1-イルメチル、(メタ)アクリル酸-1-メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸-3-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-ビシクロ〔3.1.1〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸-3,7,7-トリメチル-4-ヒドロキシ-ビシクロ〔4.1.0〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸-2,2,5-トリメチルシクロヘキシル、及び(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。これら(メタ)アクリル酸エステルのなかでも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸1-メンチル、又は(メタ)アクリル酸トリシクロデカンが好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、又は(メタ)アクリル酸トリシクロデカンがより好ましい。
 重合体Aは重合性基を有する構成単位を含有していることも好ましい
 重合性基を有する構成単位としては、式(P)で表される構成単位が好ましい。
 式(P)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Lは、2価の連結基を表す。Pは、重合性基を表す。
 Rは、水素原子又はメチル基を表す。
 Rとしては、水素原子が好ましい。
 Lは、2価の連結基を表す。
 上記2価の連結基としては、例えば、-CO-、-O-、-S-、-SO-、-SO-、-NR-、2価の炭化水素基及びそれらを組み合わせた2価の基が挙げられる。Rは、置換基を表す。
 上記炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基及びアリーレン基が挙げられる。
 上記アルキレン基は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。上記アルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、2~8がより好ましく、3~5が更に好ましい。上記アルキレン基は、ヘテロ原子を有していてもよく、上記アルキレン基中のメチレン基がヘテロ原子に置き換わってもよい。上記ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子が好ましく、酸素原子がより好ましい。
 上記シクロアルキレン基は、単環及び多環のいずれであってもよい。上記シクロアルキレン基の炭素数は、3~20が好ましく、5~10がより好ましく、6~8が更に好ましい。
 上記アリーレン基は、単環及び多環のいずれであってもよい。上記アリーレン基の炭素数は、6~20が好ましく、6~15がより好ましく、6~10が更に好ましい。上記アリーレン基としては、フェニレン基が好ましい。
 上記シクロアルキレン基及び上記アリーレン基は、環員原子としてヘテロ原子を有していてもよい。上記ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子が好ましく、酸素原子がより好ましい。
 上記炭化水素基は、更に置換基を有していてもよい。
 上記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子等)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基及びアルケニル基が挙げられ、ヒドロキシ基が好ましい。
 Lとしては、ヘテロ原子を有していてもよいアルキレン基が好ましい。
 Pは、重合性基を表す。
 上記重合性基は、上述したとおりである。
 重合性基を有する構成単位としては、例えば、以下の構成単位が挙げられる。
 式中、Rx及びRyは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。

 
 重合体Aは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
 2種以上を使用する場合には、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含む重合体Aを2種類混合使用すること、又は芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含む重合体Aと芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含まない重合体Aとを混合使用することが好ましい。後者の場合、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含む重合体Aの使用割合は、重合体Aの全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
 重合体Aの合成は、上述された単数又は複数の単量体を、アセトン、メチルエチルケトン、及びイソプロパノール等の溶剤で希釈した溶液に、過酸化ベンゾイル、及びアゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を適量添加し、加熱攪拌することにより行われることが好ましい。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成を行う場合もある。反応終了後、更に溶剤を加えて、所望の濃度に調整する場合もある。合成手段としては、溶液重合以外に、塊状重合、懸濁重合、又は乳化重合を用いてもよい。
 重合体Aのガラス転移温度Tgは、30℃~135℃が好ましい。135℃以下のTgを有する重合体Aを使用することによって、露光時の焦点位置がずれたときの線幅太りや解像度の悪化を抑制できる。この観点から、重合体AのTgは、130℃以下より好ましく、120℃以下が更に好ましく、110℃以下が特に好ましい。また、30℃以上のTgを有する重合体Aを使用することは、耐エッジフューズ性を向上させる観点から好ましい。この観点から、重合体AのTgは、40℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましく、60℃以上が特に好ましく、70℃以上が最も好ましい。
 ネガ型感光性組成物層は、上述以外のその他の樹脂を重合体Aとして含んでもよい。
 その他の樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン-アクリル系共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、及びポリアルキレングリコールが挙げられる。
 重合体Aとして、後述する熱可塑性樹脂層の説明で述べるアルカリ可溶性樹脂を使用してもよい。
 重合体Aの含有量は、ネガ型感光性組成物層の全質量に対して、10質量%~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、30質量%~70質量%が更に好ましく、40~60質量%が特に好ましい。重合体Aの含有量を90質量%以下にすることは、現像時間を制御する観点から好ましい。一方で、重合体Aの含有量を10質量%以上にすることは、耐エッジフューズ性を向上させる観点から好ましい。
<重合性化合物B>
 感光性組成物層がネガ型感光性組成物層である場合、ネガ型感光性組成物層は、重合性基を有する重合性化合物を含むことが好ましい。
 感光性組成物層中に含まれる重合性化合物を、特に、重合性化合物Bともいう。
 なお、本明細書において「重合性化合物」とは、後述する重合開始剤の作用を受けて重合する化合物であって、上述した重合体Aとは異なる化合物を意味する。
 重合性化合物が有する重合性基としては、重合反応に関与する基であれば特に制限され
ず、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基及びマレイミド基等のエチレン性不飽和基を有する基;並びに、エポキシ基及びオキセタン基等のカチオン性重合性基を有する基が挙げられる。
 重合性基としては、エチレン性不飽和基を有する基が好ましく、アクリロイル基又はメタアクリロイル基がより好ましい。
 重合性化合物としては、ネガ型感光性組成物層の感光性がより優れる点で、1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(エチレン性不飽和化合物)が好ましく、一分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(多官能エチレン性不飽和化合物)がより好ましい。
 また、解像性及び剥離性により優れる点で、エチレン性不飽和化合物が一分子中に有するエチレン性不飽和基の数は、6つ以下が好ましく、3つ以下がより好ましく、2つ以下が更に好ましい。
 ネガ型感光性組成物層の感光性と解像性及び剥離性とのバランスがより優れる点で、一分子中に2つ又は3つのエチレン性不飽和基を有する2官能又は3官能エチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、一分子中に2つのエチレン性不飽和基を有する2官能エチレン性不飽和化合物を含むことがより好ましい。
 重合性化合物の全質量に対する2官能エチレン性不飽和化合物の含有量は、剥離性に優れる観点から、20質量%以上が好ましく、40質量%超がより好ましく、55質量%以上が更に好ましい。上限は特に制限されず、100質量%であってもよい。即ち、重合性化合物が全て2官能エチレン性不飽和化合物であってもよい。
 また、エチレン性不飽和化合物としては、重合性基として(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
(重合性化合物B1)
 ネガ型感光性組成物層は、芳香環及び2つのエチレン性不飽和基を有する重合性化合物B1を含むことも好ましい。重合性化合物B1は、上述した重合性化合物Bのうち、一分子中に1つ以上の芳香環を有する2官能エチレン性不飽和化合物である。
 ネガ型感光性組成物層中、重合性化合物Bの全質量に対する重合性化合物B1の含有量の質量比は、解像性がより優れる観点から、40%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、55質量%以上が更に好ましく、60質量%以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、剥離性の観点から、例えば100質量%以下であり、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下が更に好ましく、85質量%以下が特に好ましい。
 重合性化合物B1が有する芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環等の芳香族炭化水素環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環及びピリジン環等の芳香族複素環、並びに、それらの縮合環が挙げられ、芳香族炭化水素環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。なお、上記芳香環は、置換基を有してもよい。
 重合性化合物B1は、芳香環を1つのみ有してもよく、2つ以上の芳香環を有してもよい。
 重合性化合物B1は、現像液による感光性組成物層の膨潤を抑制することにより、解像性が向上する観点から、ビスフェノール構造を有することが好ましい。
 ビスフェノール構造としては、例えば、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)に由来するビスフェノールA構造、ビスフェノールF(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン)に由来するビスフェノールF構造、及びビスフェノールB(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン)に由来するビスフェノールB構造が挙げられ、ビスフェノールA構造が好ましい。
 ビスフェノール構造を有する重合性化合物B1としては、例えば、ビスフェノール構造と、そのビスフェノール構造の両端に結合した2つの重合性基(好ましくは(メタ)アクリロイル基)とを有する化合物が挙げられる。
 ビスフェノール構造の両端と2つの重合性基とは、直接結合してもよく、1つ以上のアルキレンオキシ基を介して結合してもよい。ビスフェノール構造の両端に付加するアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基がより好ましい。ビスフェノール構造に付加するアルキレンオキシ基の付加数は特に制限されないが、1分子あたり4~16個が好ましく、6~14個がより好ましい。
 ビスフェノール構造を有する重合性化合物B1については、特開2016-224162号公報の段落0072~0080に記載されており、この公報に記載の内容は本明細書に組み込まれる。
 重合性化合物B1としては、ビスフェノールA構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物が好ましく、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンがより好ましい。
 2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン(FA-324M、昭和電工マテリアルズ(株)製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシエトキシプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン(BPE-500、新中村化学工業(株)製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシドデカエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン(FA-3200MY、昭和電工マテリアルズ(株)製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン(BPE-1300、新中村化学工業(株)製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン(BPE-200、新中村化学工業(株)製)、及びエトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート(NKエステルA-BPE-10、新中村化学工業(株)製)が挙げられる。
 重合性化合物B1としては、下記一般式(B1)で表される化合物も好ましい。
 一般式B1中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。AはCを表す。BはCを表す。n1及びn3は各々独立に1~39の整数であり、且つ、n1+n3は2~40の整数である。n2及びn4は各々独立に0~29の整数であり、且つ、n2+n4は0~30の整数である。-(A-O)-及び-(B-O)-の構成単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよい。そして、ブロックの
場合、-(A-O)-と-(B-O)-とのいずれがビスフェニル基側でもよい。
 一態様において、n1+n2+n3+n4は、2~20が好ましく、2~16がより好ましく、4~12が更に好ましい。また、n2+n4は、0~10が好ましく、0~4がより好ましく、0~2が更に好ましく、0が特に好ましい。
 重合性化合物B1は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
 重合性化合物B1の含有量は、解像性がより優れる観点から、ネガ型感光性組成物層の全質量に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、転写性及びエッジフュージョン(転写フィルムの端部から感光性樹脂が滲み出す現象)の観点から、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
 ネガ型感光性組成物層は、上述した重合性化合物B1以外の重合性化合物を含んでもよい。
 重合性化合物B1以外の重合性化合物は、特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択できる。例えば、一分子中に1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(単官能エチレン性不飽和化合物)、芳香環を有さない2官能エチレン性不飽和化合物、及び3官能以上のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
 単官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
 芳香環を有さない2官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、及びトリメチロールプロパンジアクリレートが挙げられる。
 アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP、新中村化学工業(株)製)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP、新中村化学工業(株)製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(A-NOD-N、新中村化学工業(株)製)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(A-HD-N、新中村化学工業(株)製)、エチレングリコールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
 ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、及びポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
 ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、プロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。の市販品としては、例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル(株)製)、UA-32P(新中村化学工業(株)製)、及びUA-1100H(新中村化学工業(株)製)が挙げられる。
 3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、及びこれらのアルキレンオキサイド変性物が挙げられる。
 ここで、「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
 一態様において、ネガ型感光性組成物層は、上述した重合性化合物B1及び3官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むことも好ましく、上述した重合性化合物B1及び2種以上の3官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むことがより好ましい。この場合、重合性化合物B1と3官能以上のエチレン性不飽和化合物の質量比は、(重合性化合物B1の合計質量):(3官能以上のエチレン性不飽和化合物の合計質量)=1:1~5:1が好ましく、1.2:1~4:1がより好ましく、1.5:1~3:1が更に好ましい。
 また、一態様において、ネガ型感光性組成物層は、上述した重合性化合物B1及び2種以上の3官能のエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましい。
 3官能以上のエチレン性不飽和化合物のアルキレンオキサイド変性物としては、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物(日本化薬(株)製のKAYARAD(登録商標)DPCA-20、新中村化学工業(株)製のA-9300-1CL等)、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物(日本化薬(株)製のKAYARAD(登録商標)RP-1040、新中村化学工業(株)製のATM-35E及びA-9300、ダイセル・オルネクス(株)製のEBECRYL(登録商標) 135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業(株)製、A-GLY-9E等)、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成(株)製)、アロニックスM-520(東亞合成(株)製)、及びアロニックスM-510(東亞合成(株)製)が挙げられる。
 また、重合性化合物として、酸基(カルボキシ基等)を有する重合性化合物を使用してもよい。上記酸基は酸無水物基を形成していてもよい。酸基を有する重合性化合物としては、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成(株)製)、アロニックス(登録商標)M-520(東亞合成(株)製)、及びアロニックス(登録商標)M-510(東亞合成(株)製)が挙げられる。
 酸基を有する重合性化合物として、例えば、特開2004-239942号公報の段落0025~0030に記載の酸基を有する重合性化合物を用いてもよい。
 重合性化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
 重合性化合物の含有量は、ネガ型感光性組成物層の全質量に対し、10質量%~70質量%が好ましく、15質量%~70質量%がより好ましく、20質量%~70質量%が更に好ましい。
 重合性化合物(重合性化合物B1を含む)の分子量(分子量分布を有する場合は重量平均分子量)としては、200~3,000が好ましく、280~2,200がより好ましく、300~2,200が更に好ましい。
<重合開始剤>
 感光性組成物層がネガ型感光性組成物層である場合、ネガ型感光性組成物層は、重合開始剤を含むことも好ましい。
 重合開始剤は重合反応の形式に応じて選択され、例えば、熱重合開始剤、及び光重合開始剤が挙げられる。
 重合開始剤は、ラジカル重合開始剤でもカチオン重合開始剤でもよい。
 ネガ型感光性組成物層は、光重合開始剤を含むことが好ましい。
 光重合開始剤は、紫外線、可視光線及びX線等の活性光線を受けて、重合性化合物の重合を開始する化合物である。光重合開始剤としては、特に制限されず、公知の光重合開始剤を使用できる。
 光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤が挙げられ、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
 光ラジカル重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤、及びN-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤が挙げられる。
 また、ネガ型感光性組成物層は、感光性、露光部及び非露光部の視認性、及び解像性の観点から、光ラジカル重合開始剤として、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。なお、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体における2つの2,4,5-トリアリールイミダゾール構造は、同一であっても異なっていてもよい。
 2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体の誘導体としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、及び2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体が挙げられる。
 光ラジカル重合開始剤としては、例えば、特開2011-95716号公報の段落0031~0042、特開2015-14783号公報の段落0064~0081に記載された重合開始剤を用いてもよい。
 光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸エチル(DBE、CAS No.10287-53-3)、ベンゾインメチルエーテル、アニシル(p,p’-ジメトキシベンジル)、TAZ-110(商品名:みどり化学(株)製)、ベンゾフェノン、4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、TAZ-111(商品名:みどり化学(株)製)、Irgacure(登録商標)OXE01、OXE02、OXE03、OXE04(BASF社製)、Omnirad(登録商標)651及び369(商品名:IGM Resins B.V.社製)、及び2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール(東京化成工業(株)製)が挙げられる。
 光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、1-[4-(フェニルチオ)]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:IRGACURE(登録商標)OXE-01、BASF社製)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE(登録商標)OXE-02、BASF社製)、IRGACURE(登録商標)OXE-03(BASF社製)、IRGACURE(登録商標)OXE-04(BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン(商品名:Omnirad(登録商標)379EG、IGM Resins B.V.製)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(商品名:Omnirad(登録商標)907、IGM Resins B.V.製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン(商品名:Omnirad(登録商標)127、IGM Resins B.V.製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1(商品名:Omnirad(登録商標)369、IGM Resins B.V.製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(商品名:Omnirad(登録商標)1173、IGM Resins B.V.製)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:Omnirad(登録商標)184、IGM Resins B.V.製)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名:Omnirad(登録商標)651、IGM Resins B.V.製)、2,4,6-トリメチルベンゾリル-ジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名:Omnirad(登録商標)TPO H、IGM Resins B.V.製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾリル)フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:Omnirad(登録商標)819、IGM Resins B.V.製)、オキシムエステル系の光重合開始剤(商品名:Lunar(登録商標)6、DKSHジャパン社製)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビスイミダゾール(2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体)(商品名:B-CIM、Hampford社製)、及び2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体(商品名:BCTB、東京化成工業(株)製)、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-305、常州強力電子新材料社製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(商品名:TR-PBG-326、常州強力電子新材料社製)、及び3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-391、常州強力電子新材料社製)が挙げられる。
 光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)は、活性光線を受けて酸を発生する化合物である。光カチオン重合開始剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300~450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造は制限されない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光カチオン重合開始剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく使用できる。
 光カチオン重合開始剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤がより好ましく、pKaが2以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤が特に好ましい。pKaの下限値は特に定めないが、例えば、-10.0以上が好ましい。
 光カチオン重合開始剤としては、イオン性光カチオン重合開始剤及び非イオン性光カチオン重合開始剤が挙げられる。
 イオン性光カチオン重合開始剤として、例えば、ジアリールヨードニウム塩及びトリアリールスルホニウム塩等のオニウム塩化合物、並びに、第4級アンモニウム塩が挙げられる。
 イオン性光カチオン重合開始剤としては、特開2014-085643号公報の段落0114~0133に記載のイオン性光カチオン重合開始剤を用いてもよい。
 非イオン性光カチオン重合開始剤としては、例えば、トリクロロメチル-s-トリアジン化合物、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及びオキシムスルホネート化合物が挙げられる。トリクロロメチル-s-トリアジン化合物、ジアゾメタン化合物及びイミドスルホネート化合物としては、特開2011-221494号公報の段落0083~0088に記載の化合物を用いてもよい。また、オキシムスルホネート化合物としては、国際公開第2018/179640号の段落0084~0088に記載された化合物を用いてもよい。
 ネガ型感光性組成物層は、光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましく、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
 重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
 重合開始剤(好ましくは光重合開始剤)の含有量は、特に制限されないが、ネガ型感光性組成物層の全質量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、ネガ型感光性組成物層の全質量に対し、20質量%以下が好ましく、15質量%以下が更に好ましく、10質量%以下がより好ましい。
<色素>
 感光性組成物層は、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性、及び解像性の観点から、発色時の波長範囲400nm~780nmにおける最大吸収波長が450nm以上であり、且つ、酸、塩基、又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素(「色素N」ともいう)を含むことも好ましい。色素Nを含むと、詳細なメカニズムは不明であるが、隣接する層(例えば水溶性樹脂層)との密着性が向上し、解像性により優れる。
 本明細書において、色素が「酸、塩基、又はラジカルにより極大吸収波長が変化する」とは、発色状態にある色素が酸、塩基、又はラジカルにより消色する態様、消色状態にある色素が酸、塩基、又はラジカルにより発色する態様、及び発色状態にある色素が他の色相の発色状態に変化する態様のいずれの態様を意味してもよい。
 具体的には、色素Nは、露光により消色状態から変化して発色する化合物であってもよいし、露光により発色状態から変化して消色する化合物であってもよい。この場合、露光により酸、塩基、又はラジカルが感光性組成物層内において発生し作用することにより、発色又は消色の状態が変化する色素でもよく、酸、塩基、又はラジカルにより感光性組成物層内の状態(例えばpH)が変化することで発色又は消色の状態が変化する色素でもよい。また、露光を介さずに、酸、塩基、又はラジカルを刺激として直接受けて発色又は消色の状態が変化する色素でもよい。
 なかでも、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、色素Nは、酸又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素が好ましく、ラジカルにより最大吸収波長が変化する色素がより好ましい。
 感光性組成物層がネガ型感光性組成物層である場合は、ネガ型感光性組成物層は、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、色素Nとしてラジカルにより最大吸収波長が変化する色素、及び光ラジカル重合開始剤の両者を含むことが好ましい。
 また、露光部及び非露光部の視認性の観点から、色素Nは、酸、塩基、又はラジカルにより発色する色素であることが好ましい。
 色素Nの発色機構の例としては、感光性組成物層に光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)、又は光塩基発生剤を添加して、露光後に光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、又は光塩基発生剤から発生するラジカル、酸、又は塩基によって、ラジカル反応性色素、酸反応性色素、又は塩基反応性色素(例えばロイコ色素)が発色する態様が挙げられる。
 色素Nは、露光部及び非露光部の視認性の観点から、発色時の波長範囲400nm~780nmにおける極大吸収波長が、550nm以上であることが好ましく、550nm~700nmであることがより好ましく、550nm~650nmであることが更に好ましい。
 また、色素Nは、発色時の波長範囲400nm~780nmにおける極大吸収波長を1つのみ有していてもよく、2つ以上有していてもよい。色素Nが発色時の波長範囲400nm~780nmにおける極大吸収波長を2つ以上有する場合は、2つ以上の極大吸収波長のうち吸光度が最も高い極大吸収波長が450nm以上であればよい。
 色素Nの極大吸収波長は、大気雰囲気下で、分光光度計:UV3100((株)島津製作所製)を用いて、400nm~780nmの範囲で色素Nを含む溶液(液温25℃)の透過スペクトルを測定し、光の強度が極小となる波長(極大吸収波長)を検出することにより、得られる。
 露光により発色又は消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物が挙げられる。
 露光により消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物、ジアリールメタン系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素、及びアントラキノン系色素が挙げられる。
 色素Nとしては、露光部及び非露光部の視認性の観点から、ロイコ化合物が好ましい。
 ロイコ化合物としては、例えば、トリアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(トリアリールメタン系色素)、スピロピラン骨格を有するロイコ化合物(スピロピラン系色素)、フルオラン骨格を有するロイコ化合物(フルオラン系色素)、ジアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(ジアリールメタン系色素)、ローダミンラクタム骨格を有するロイコ化合物(ローダミンラクタム系色素)、インドリルフタリド骨格を有するロイコ化合物(インドリルフタリド系色素)、及びロイコオーラミン骨格を有するロイコ化合物(ロイコオーラミン系色素)が挙げられる。
 なかでも、トリアリールメタン系色素又はフルオラン系色素が好ましく、トリフェニルメタン骨格を有するロイコ化合物(トリフェニルメタン系色素)又はフルオラン系色素がより好ましい。
 ロイコ化合物としては、露光部及び非露光部の視認性の観点から、ラクトン環、スルチン環、又はスルトン環を有することが好ましい。これにより、ロイコ化合物が有するラクトン環、スルチン環、又はスルトン環を、光ラジカル重合開始剤から発生するラジカル又は光カチオン重合開始剤から発生する酸と反応させて、ロイコ化合物を閉環状態に変化させて消色させるか、又はロイコ化合物を開環状態に変化させて発色させることができる。
 ロイコ化合物としては、ラクトン環、スルチン環、又はスルトン環を有し、ラジカル、又は酸によりラクトン環、スルチン環又はスルトン環が開環して発色する化合物が好ましく、ラクトン環を有し、ラジカル又は酸によりラクトン環が開環して発色する化合物がより好ましい。
 色素Nとしては、例えば、以下の染料及びロイコ化合物が挙げられる。
 色素Nのうち染料の具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α-ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩、ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学工業(株)製)、オイルブルー#603(オリヱント化学工業(株)製)、オイルピンク#312(オリヱント化学工業社製)、オイルレッド5B(オリヱント化学工業(株)製)、オイルスカーレット#308(オリヱント化学工業(株)製)、オイルレッドOG(オリヱント化学工業(株)製)、オイルレッドRR(オリヱント化学工業(株)製)、オイルグリーン#502(オリヱント化学工業社製)、スピロンレッドBEHスペシャル(保土谷化学工業(株)製)、m-クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4-p-ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシアニリノ-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシステアリルアミノ-4-p-N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アミノ-フェニルイミノナフトキノン、1-フェニル-3-メチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロン、及び1-β-ナフチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロンが挙げられる。
 色素Nのうちロイコ化合物の具体例としては、p,p’,p”-ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2-(N-フェニル-N-メチルアミノ)-6-(N-p-トリル-N-エチル)アミノフルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、3,6-ジメトキシフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-5-メチル-7-(N,N-ジベンジルアミノ)フルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メトキシ-7-アミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-(4-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-ベンジルアミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7,8-ベンゾフロオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3,3-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-ザフタリド、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、及び3’,6’-ビス(ジフェニルアミノ)スピロイソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン-3-オンが挙げられる。
 色素Nは、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性、及び解像性の観点から、ラジカルにより最大吸収波長が変化する色素であることが好ましく、ラジカルにより発色する色素であることがより好ましい。
 色素Nとしては、ロイコクリスタルバイオレット、クリスタルバイオレットラクトン、ブリリアントグリーン、又はビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩が好ましい。
 色素Nは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
 色素Nの含有量は、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性、及び解像性の観点から、感光性組成物層の全質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.1質量%~10質量%がより好ましく、0.1質量%~5質量%が更に好ましく、0.1質量%~1質量%が特に好ましい。
 色素Nの含有量は、感光性組成物層の全質量中に含まれる色素Nの全てを発色状態にした場合の色素の含有量を意味する。以下に、ラジカルにより発色する色素を例に、色素Nの含有量の定量方法を説明する。
 メチルエチルケトン100mLに、色素0.001g及び0.01gを溶かした溶液を調製する。得られた各溶液に、光ラジカル重合開始剤Irgacure(登録商標)OXE01(BASFジャパン(株)製)を加え、365nmの光を照射することによりラジカルを発生させ、全ての色素を発色状態にする。その後、大気雰囲気下で、分光光度計(UV3100、(株)島津製作所製)を用いて、液温が25℃である各溶液の吸光度を測定し、検量線を作成する。
 次に、色素に代えて感光性組成物層3gをメチルエチルケトンに溶かすこと以外は上記と同様の方法で、色素を全て発色させた溶液の吸光度を測定する。得られた感光性組成物層を含む溶液の吸光度から、検量線に基づいて感光性組成物層に含まれる色素の含有量を算出する。
 なお、感光性組成物層3gとは、感光性樹脂組成物中の全固形分の3gと同様である。
<熱架橋性化合物>
 感光性組成物層がネガ型感光性組成物層である場合、得られる硬化膜の強度、及び得られる未硬化膜の粘着性の観点から、熱架橋性化合物を含むことが好ましい。なお、本明細書においては、後述するエチレン性不飽和基を有する熱架橋性化合物は、重合性化合物としては扱わず、熱架橋性化合物として扱うものとする。
 熱架橋性化合物としては、メチロール化合物、及びブロックイソシアネート化合物が挙げられる。なかでも、得られる硬化膜の強度、及び得られる未硬化膜の粘着性の観点から、ブロックイソシアネート化合物が好ましい。
 ブロックイソシアネート化合物は、ヒドロキシ基及びカルボキシ基と反応するため、例えば、樹脂及び/又は重合性化合物等が、ヒドロキシ基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する場合には、形成される膜の親水性が下がり、ネガ型感光性組成物層を硬化した膜を保護膜として使用する場合の機能が強化される傾向がある。
 なお、ブロックイソシアネート化合物とは、「イソシアネートのイソシアネート基をブロック剤で保護(いわゆる、マスク)した構造を有する化合物」を指す。
 ブロックイソシアネート化合物の解離温度は、特に制限されないが、100~160℃が好ましく、130~150℃がより好ましい。
 ブロックイソシアネートの解離温度とは、「示差走査熱量計を用いて、DSC(Differential scanning calorimetry)分析にて測定した場合における、ブロックイソシアネートの脱保護反応に伴う吸熱ピークの温度」を意味する。
 示差走査熱量計としては、例えば、セイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計(型式:DSC6200)を好適に使用できる。但し、示差走査熱量計は、これに限定されない。
 解離温度が100℃~160℃であるブロック剤としては、活性メチレン化合物〔マロン酸ジエステル(マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn-ブチル、マロン酸ジ2-エチルヘキシル等)〕、オキシム化合物(ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、及びシクロヘキサノンオキシム等の分子内に-C(=N-OH)-で表される構造を有する化合物)が挙げられる。
 これらのなかでも、解離温度が100℃~160℃であるブロック剤としては、例えば、保存安定性の観点から、オキシム化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
 ブロックイソシアネート化合物は、例えば、膜の脆性改良、被転写体との密着力向上等の観点から、イソシアヌレート構造を有することが好ましい。
 イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート化して保護することにより得られる。
 イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物のなかでも、オキシム化合物をブロック剤として用いたオキシム構造を有する化合物が、オキシム構造を有さない化合物よりも解離温度を好ましい範囲にしやすく、且つ、現像残渣を少なくしやすいという観点から好ましい。
 ブロックイソシアネート化合物は、重合性基を有していてもよい。
 重合性基としては、特に制限はなく、公知の重合性基を用いることができ、ラジカル重合性基が好ましい。
 重合性基としては、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、及びスチリル基等のエチレン性不飽和基、並びに、グリシジル基等のエポキシ基を有する基が挙げられる。
 なかでも、重合性基としては、エチレン性不飽和基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基がより好ましく、アクリロキシ基が更に好ましい。
 ブロックイソシアネート化合物としては、市販品を使用できる。
 ブロックイソシアネート化合物の市販品の例としては、カレンズ(登録商標) AOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BP等(以上、昭和電工(株)製)、ブロック型のデュラネートシリーズ(例えば、デュラネート(登録商標) TPA-B80E、デュラネート(登録商標) WT32-B75P等、旭化成ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
 また、ブロックイソシアネート化合物として、下記の構造の化合物を用いることもできる。
 熱架橋性化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
 感光性組成物層が熱架橋性化合物を含む場合、熱架橋性化合物の含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、1質量%~50質量%が好ましく、5質量%~30質量%がより好ましい。
<その他の添加剤>
 感光性組成物層は、上記成分以外に、必要に応じて公知の添加剤を含んでもよい。
 添加剤としては、例えば、ラジカル重合禁止剤、増感剤、可塑剤、ヘテロ環状化合物(トリアゾール等)、ベンゾトリアゾール化合物、カルボキシベンゾトリアゾール化合物、ピリジン化合物(イソニコチンアミド等)、プリン塩基(アデニン等)、及び界面活性剤が挙げられる。
 各添加剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
 感光性組成物層は、ラジカル重合禁止剤を含んでもよい。
 ラジカル重合禁止剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0018に記載された熱重合防止剤が挙げられる。なかでも、フェノチアジン、フェノキサジン、又は4-メトキシフェノールが好ましい。その他のラジカル重合禁止剤としては、ナフチルアミン、塩化第一銅、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、及びジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。感光性組成物層の感度を損なわないために、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩をラジカル重合禁止剤として使用することが好ましい。
 感光性組成物層が重合禁止剤を含む場合、重合禁止剤の含有量は、感光性組成物層全質量に対して、0.001質量%~5.0質量%が好ましく、0.01質量%~3.0質量%がより好ましく、0.02質量%~2.0質量%が更に好ましい。重合禁止剤の含有量は、重合性化合物全質量に対しては、0.005質量%~5.0質量%が好ましく、0.01質量%~3.0質量%がより好ましく、0.01質量%~1.0質量%が更に好ましい。
 ベンゾトリアゾール化合物としては、例えば、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-クロロ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、ビス(N-2-エチルヘキシル)アミノメチレン-1,2,3-ベンゾトリアゾール、ビス(N-2-エチルヘキシル)アミノメチレン-1,2,3-トリルトリアゾール、及びビス(N-2-ヒドロキシエチル)アミノメチレン-1,2,3-ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
 カルボキシベンゾトリアゾール化合物としては、例えば、4-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、及びN-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。カルボキシベンゾトリアゾール化合物としては、例えば、CBT-1(城北化学工業(株))等の市販品を使用できる。
 ベンゾトリアゾ-ル化合物、及びカルボキシベンゾトリアゾ-ル化合物の合計含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、0.01質量%~3質量%が好ましく、0.05質量%~1質量%がより好ましい。含有量が0.01質量%以上の場合、感光性組成物層の保存安定性がより優れる。一方、含有量が3質量%以下である場合、感度の維持及び染料の脱色を抑制がより優れる。
 感光性組成物層は、増感剤を含んでもよい。
 増感剤は、特に制限されず、公知の増感剤、染料及び顔料を使用できる。増感剤としては、例えば、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、クマリン化合物、キサントン化合物、チオキサントン化合物、アクリドン化合物、オキサゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、トリアゾール化合物(例えば、1,2,4-トリアゾール)、スチルベン化合物、トリアジン化合物、チオフェン化合物、ナフタルイミド化合物、トリアリールアミン化合物、及びアミノアクリジン化合物が挙げられる。
 増感剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
 感光性組成物層が増感剤を含む場合、増感剤の含有量は、目的により適宜選択できるが、光源に対する感度の向上、及び重合速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の観点から、感光性組成物層の全質量に対して、0.01質量%~5質量%が好ましく、0.05質量%~1質量%がより好ましい。
 感光性組成物層は、可塑剤及びヘテロ環状化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい。
 可塑剤及びヘテロ環状化合物としては、国際公開第2018/179640号の段落0097~0103及び0111~0118に記載された化合物が挙げられる。
 感光性組成物層は、界面活性剤を含んでいてもよい。
 界面活性剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落[0017]、及び、特開2009-237362号公報の段落[0060]~[0071]に記載の界面活性剤が挙げられる。
 界面活性剤としては、炭化水素系界面活性剤、フッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤を挙げることができる。環境適性向上の観点から、界面活性剤はフッ素原子を含まないことが好ましい。界面活性剤としては、炭化水素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤が好ましい。
 フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファック(登録商標)F-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F-475、F-477、F-479、F-482、F-551-A、F-552、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP.MFS-330、EXP.MFS-578、EXP
.MFS-578-2、EXP.MFS-579、EXP.MFS-586、EXP.MFS-587、EXP.MFS-628、EXP.MFS-631、EXP.MFS-603、R-41、R-41-LM、R-01、R-40、R-40-LM、RS-43、TF-1956、RS-90、R-94、RS-72-K、DS-21(以上、DIC(株)製)、フロラード(登録商標)FC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロン(登録商標)S-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)、フタージェント(登録商標)710FL、710FM、610FM、601AD、601ADH2、602A、215M、245F、251、212M、250、209F、222F、208G、710LA、710FS、730LM、650AC、681、683(以上、(株)NEOS製)、U-120E(ユニケム(株)社)等が挙げられる。
 また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファック(登録商標)DSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日))、例えばメガファック(登録商標)DS-21が挙げられる。
 また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素化アルキル基又はフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。
 また、フッ素系界面活性剤としては、ブロックポリマーも使用できる。
 また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく使用できる。
 また、フッ素系界面活性剤としては、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する含フッ素重合体も使用できる。メガファック(登録商標)RS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K(以上、DIC(株)製)等が挙げられる。
 フッ素系界面活性剤としては、環境適性向上の観点から、パーフルオロオクタン酸(PFOA)及びパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等の炭素数が7以上の直鎖状パーフルオロアルキル基を有する化合物の代替材料に由来する界面活性剤であることが好ましい。
 炭化水素系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、等が挙げられる。
 具体例としては、プルロニック(登録商標)L10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック(登録商標)304、701、704、901、904、150R1、HYDROPALAT WE 3323(以上、BASF社製)、ソルスパース 20000(以上、日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(以上、富士フイルム和光純薬(株)製)、パイオニン D-1105、D-6112、D-6112-W、D-6315(以上、竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(以上、日信化学工業(株)製)等が挙げられる。
 シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマー、及び、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
 シリコーン系界面活性剤の具体例としては、EXP.S-309-2、EXP.S-315、EXP.S-503-2、EXP.S-505-2(以上、DIC(株)製)、DOWSIL 8032 ADDITIVE、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)並びに、X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、K354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-6191、X-22-4515、KF-6004、KF-6001、KF-6002、KP-101KP-103、KP-104、KP-105、KP-106、KP-109、KP-109、KP-112、KP-120、KP-121、KP-124、KP-125、KP-301、KP-306、KP-310、KP-322、KP-323、KP-327、KP-341、KP-368、KP-369、KP-611、KP-620、KP-621、KP-626、KP-652(以上、信越シリコーン(株)製)、F-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、BYK300、BYK306、BYK307、BYK310、BYK320、BYK323、BYK325、BYK330、BYK313、BYK315N、BYK331、BYK333、BYK345、BYK347、BYK348、BYK349、BYK370、BYK377、BYK378、BYK323(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)等が挙げられる。
 また、界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤が好ましい。
 界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
 感光性組成物層が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量は、感光性組成物層全質量に対して、0.01質量%~3.0質量%が好ましく、0.01質量%~1.0質量%がより好ましく、0.05質量%~0.80質量%が更に好ましい。
 また、感光性組成物層は、金属酸化物粒子、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、紫外線吸収剤、増粘剤、架橋剤、及び有機又は無機の沈殿防止剤等の公知の添加剤を更に含んでもよい。
 感光性組成物層に含まれる添加剤については特開2014-085643号公報の段落0165~0184に記載されており、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
 感光性組成物層における水の含有量は、信頼性及びラミネート性を向上させる観点から、0.01質量%~1.0質量%が好ましく、0.05質量%~0.5質量%がより好ましい。
<不純物等>
 感光性組成物層は、所定量の不純物を含んでいてもよい。
 不純物の具体例としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、銅、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ、ハロゲン及びこれらのイオンが挙げられる。なかでも、ハロゲン化物イオン、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンは不純物として混入し易いため、下記の含有量にすることが好ましい。
 感光性組成物層における不純物の含有量は、質量基準で、80ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、2ppm以下が更に好ましい。不純物の含有量は、質量基準で、1ppb以上とすることができ、0.1ppm以上としてもよい。
 不純物を上記範囲にする方法としては、組成物の原料として不純物の含有量が少ないものを選択すること、感光性組成物層の作製時に不純物の混入を防ぐこと、及び洗浄して除去することが挙げられる。このような方法により、不純物量を上記範囲内とすることができる。
 不純物は、例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法、原子吸光分光法、及びイオンクロマトグラフィー法等の公知の方法で定量できる。
 感光性組成物層における、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、1,3-ブタジエン、四塩化炭素、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びヘキサン等の化合物の含有量は、少ないことが好ましい。これら化合物の感光性組成物層の全質量に対する含有量としては、質量基準で、100ppm以下が好ましく、20ppm以下がより好ましく、4ppm以下が更に好ましい。
 下限は、質量基準で、感光性組成物層の全質量に対して、10ppb以上とすることができ、100ppb以上とすることができる。これら化合物は、上記の金属の不純物と同様の方法で含有量を抑制できる。また、公知の測定法により定量できる。
 感光性組成物層における水の含有量は、信頼性及びラミネート性を向上させる観点から、0.01質量%~1.0質量%が好ましく、0.05質量%~0.5質量%がより好ましい。
<顔料>
 感光性組成物層は、顔料を含む着色樹脂層となっていてもよい。
 近年の電子機器が有する液晶表示窓には、液晶表示窓を保護するために、透明なガラス基材等の裏面周縁部に黒色の枠状遮光層が形成されたカバーガラスが取り付けられている場合がある。このような遮光層を形成するために着色樹脂層が使用され得る。
 顔料としては、所望とする色相に合わせて適宜選択すればよく、黒色顔料、白色顔料、黒色及び白色以外の有彩色の顔料の中から選択できる。なかでも、黒色系のパターンを形成する場合には、顔料として黒色顔料が好適に選択される。
 黒色顔料としては、本開示の転写フィルムの効果を損なわない範囲であれば、公知の黒色顔料(有機顔料又は無機顔料等)を適宜選択することができる。なかでも、光学濃度の観点から、黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、チタンカーバイド、酸化鉄、酸化チタン、及び黒鉛等が好適に挙げられ、特にカーボンブラックは好ましい。カーボンブラックとしては、表面抵抗の観点から、表面の少なくとも一部が樹脂で被覆されたカーボンブラックが好ましい。
 黒色顔料の粒子径は、分散安定性の観点から、数平均粒径で0.001μm~0.1μmが好ましく、0.01μm~0.08μmがより好ましい。
 ここで、粒径とは、電子顕微鏡で撮影した顔料粒子の写真像から顔料粒子の面積を求め、顔料粒子の面積と同面積の円を考えた場合の円の直径を指し、数平均粒径は、任意の100個の粒子について上記の粒径を求め、求められた100個の粒径を平均して得られる平均値である。
 黒色顔料以外の顔料として、白色顔料については、特開2005-007765号公報の段落0015及び0114に記載の白色顔料を使用できる。具体的には、白色顔料のうち、無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、リトポン、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、又は硫酸バリウムが好ましく、酸化チタン又は酸化亜鉛がより好ましく、酸化チタンが更に好ましい。無機顔料としては、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンが更に好ましく、ルチル型の酸化チタンが特に好ましい。
 また、酸化チタンの表面は、シリカ処理、アルミナ処理、チタニア処理、ジルコニア処理、又は有機物処理が施されていてもよく、二つ以上の処理が施されてもよい。これにより、酸化チタンの触媒活性が抑制され、耐熱性及び褪光性等が改善される。
 加熱後の感光性組成物層の厚みを薄くする観点から、酸化チタンの表面への表面処理としては、アルミナ処理及びジルコニア処理の少なくとも一方が好ましく、アルミナ処理及びジルコニア処理の両方が特に好ましい。
 また、感光性組成物層が着色樹脂層である場合、転写性の観点から、感光性組成物層は、黒色顔料及び白色顔料以外の有彩色の顔料を更に含んでいることも好ましい。有彩色の顔料を含む場合、有彩色の顔料の粒径としては、分散性がより優れる点で、0.1μm以下が好ましく、0.08μm以下がより好ましい。
 有彩色の顔料としては、例えば、ビクトリア・ピュアーブルーBO(Color Index(以下C.I.)42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・エローGT(C.I.ピグメント・エロー12)、パーマネント・エローGR(C.I.ピグメント・エロー17)、パーマネント・エローHR(C.I.ピグメント・エロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメント・バイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)、ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメント・レッド81)、モナストラル・ファースト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)及びカーボン、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64、及びC.I.ピグメント・バイオレット23等が挙げられる。なかでも、C.I.ピグメント・レッド177が好ましい。
 感光性組成物層が顔料を含む場合、顔料の含有量としては、感光性組成物層の全質量に対して、3質量%超40質量%以下が好ましく、3質量%超35質量%以下がより好ましく、5質量%超35質量%以下が更に好ましく、10質量%以上35質量%以下が特に好ましい。
 感光性組成物層が黒色顔料以外の顔料(白色顔料及び有彩色の顔料)を含む場合、黒色顔料以外の顔料の含有量は、黒色顔料に対して、30質量%以下が好ましく、1質量%~20質量%がより好ましく、3質量%~15質量%が更に好ましい。
 なお、感光性組成物層が黒色顔料を含み、且つ、感光性組成物層が感光性樹脂組成物で形成される場合、黒色顔料(好ましくはカーボンブラック)は、顔料分散液の形態で感光性樹脂組成物に導入されることが好ましい。
 分散液は、黒色顔料と顔料分散剤とをあらかじめ混合して得られる混合物を、有機溶剤(又はビヒクル)に加えて分散機で分散させることによって調製されるものでもよい。顔料分散剤は、顔料及び溶剤に応じて選択すればよく、例えば市販の分散剤を使用することができる。なお、ビヒクルとは、顔料分散液とした場合に顔料を分散させている媒質の部分を指し、液状であり、黒色顔料を分散状態で保持するバインダー成分と、バインダー成分を溶解及び希釈する溶剤成分(有機溶剤)と、を含む。
 分散剤としては、例えば、ポリウレタン等のウレタン系分散剤、ポリアクリレート等のリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステル、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミド及びその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ-ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が挙げられる。分散剤の態様は、特開2021-012355号公報の段落[0021]~[0065]に記載された事項から選択されてもよい。
 好ましい分散剤としては、例えば、塩基性重合体型分散剤が挙げられる。塩基性重合体型分散剤としては、例えば、窒素原子を含む重合体が挙げられる。窒素原子は、重合体の主鎖に含まれていてもよい。窒素原子は、重合体の側鎖に含まれていてもよい。窒素原子は、重合体の主鎖及び側鎖に含まれていてもよい。塩基性重合体型分散剤は、側鎖に窒素原子を含む重合体であることが好ましい。
 カーボンブラックの表面は一般に酸性であるため、顔料としてカーボンブラックが用いられる場合、分散剤としては、塩基性重合体型分散剤が特に好ましい。
 窒素原子を含む重合体(好ましくは側鎖に窒素原子を含む重合体)としては、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基及び含窒素複素環基からなる群より選択される少なくとも1種の原子団を含む重合体が挙げられる。例えば、第4級アンモニウム塩基を含む重合体が好ましい。原子団は、重合体の側鎖に導入されていることが好ましい。例えば、側鎖に第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基及び含窒素複素環基からなる群より選択される少なくとも1種の原子団を含む重合体が好ましく、側鎖に第4級アンモニウム塩基を含む重合体がより好ましい。第4級アンモニウム塩基における第4級アンモニウムカチオンの対イオンとしては、例えば、カルボン酸イオンが挙げられる。カルボン酸イオンとしては、例えば、脂肪族カルボン酸イオン及び芳香族カルボン酸イオンが挙げられる。
 窒素原子を含む重合体(好ましくは側鎖に窒素原子を含む重合体)は、スチレンに由来の構成単位と、マレイミド誘導体に由来の構成単位と、を含む重合体であることが好ましく、スチレンとマレイミド誘導体との共重合体であることがより好ましい。マレイミド誘導体は、マレイミドの少なくとも1つの水素原子が置換基により置換された構造を有する。マレイミド誘導体としては、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基及び含窒素複素環基からなる群より選択される少なくとも1種の原子団を含むマレイミド誘導体が挙げられる。マレイミド誘導体は、第4級アンモニウム塩基を含むマレイミド誘導体が好ましい。
 分散剤は、市販の分散剤であってもよく、例えば、BYK-2012(ビックケミー・ジャパン(株)製)が挙げられる。
 感光性組成物層は、顔料に加えて分散助剤(顔料分散助剤ともいう。)を含んでいてもよい。分散助剤は、公知の分散助剤から選択されてもよい。
 分散助剤としては、例えば、有機色素残基を有する化合物が挙げられる。有機色素としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料等が挙げられる。有機色素残基を有する化合物は、酸性置換基、塩基性置換基又は中性置換基を有していてもよい。酸性置換基としては、例えば、スルホ基、カルボキシ基及びリン酸基が挙げられる。塩基性置換基としては、例えば、スルホンアミド基及びアミノ基が挙げられる。中性置換基としては、例えば、フェニル基及びフタルイミドアルキル基が挙げられる。分散助剤の態様は、特開2021-012355号公報の段落[0067]~[0084]に記載された事項から選択されてもよい。
 好ましい分散助剤としては、例えば、フタロシアニン残基を有する化合物が挙げられる。具体的に、分散助剤は、酸性置換基を有するフタロシアニン系顔料誘導体又はその塩であることが好ましく、スルホ基、カルボキシ基及びリン酸基からなる群より選択される少なくとも1種の酸性置換基を有するフタロシアニン系顔料誘導体又はその塩であることがより好ましく、スルホ基を有するフタロシアニン系顔料誘導体又はその塩であることが更に好ましい。フタロシアニン系顔料誘導体は、例えば、特開2007-226161号公報、国際公開第2016/163351号、特開2017-165820号公報及び特許第5753266号公報に記載されている。これらの公報は、参照により本明細書に取り込まれる。
 分散機としては、特に制限はなく、例えば、ニーダー、ロールミル、アトライター、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、及びサンドミル等の公知の分散機が挙げられる。更に、機械的摩砕により摩擦力を利用して微粉砕してもよい。分散機及び微粉砕については、「顔料の事典」(朝倉邦造著、第一版、朝倉書店、2000年、438頁、310頁)の記載を参照することができる。
 感光性組成物層の層厚(膜厚)は、一般的には0.1μm~300μmであり、0.2μm~100μmが好ましく、0.5μm~50μmがより好ましく、0.5μm~15μmが更に好ましく、0.5μm~10μmが特に好ましく、0.5μm~8μmが最も好ましい。これにより、感光性組成物層の現像性が向上し、解像性を向上させることができる。
 また、一態様において、0.5μm~5μmが好ましく、0.5μm~4μmがより好ましく、0.5μm~3μmが更に好ましい。
 また、密着性により優れる観点から、感光性組成物層の波長365nmの光の透過率は、10%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、50%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、99.9%以下が好ましい。
<<金属塩含有層>>
 金属含有層は、シード層形成用層であってもよい。シード層とは、導体パターンを形成する際に用いられる電極層であり、導体パターンはシード層上に形成される。
 金属塩含有層に含有される金属塩中の金属イオンは、熱又は還元剤により還元され、金属単体となり、形成されるシード層の導電性を発現させることができる。
 金属塩は酸の水素原子を金属イオンに置換した化合物である。金属塩はイオン結合性の化合物であることが好ましい。本発明において金属酸化物は金属塩に含まれない。
 金属塩としては、金属イオンを含有する化合物であればよく、特に限定するものではなく、例えば、金属イオンと、無機アニオン及び有機アニオンの少なくとも一方とからなる金属塩が挙げられる。
 溶解度の面から、金属塩は、金属イオンと有機アニオンとからなる金属塩であることが好ましく、金属カルボン酸塩及び金属イオンとアセチルアセトン誘導体との錯塩からなる群より選ばれる一種又は二種以上であることがより好ましく、金属カルボン酸塩であることが更に好ましい。
 本開示において、アセチルアセトン誘導体とは、アセチルアセトン骨格を有する化合物を指し、例えば、アセチルアセトンの共役塩基であるアセチルアセトナート等が挙げられる。
 上記金属カルボン酸塩を構成するカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、2-メチル酪酸、2-エチル酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ネオデカン酸等の脂式カルボン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸等のジカルボン酸、安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、ヒドロキシ酢酸、グリオキシル酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等が挙げられる。
 また、金属とアセチルアセトン誘導体との錯塩としては、例えば、アセチルアセトナート金属塩、1,1,1-トリメチルアセチルアセトナート金属塩、1,1,1,5,5,5-ヘキサメチルアセチルアセトナート金属塩、1,1,1-トリフルオロアセチルアセトナート金属塩及び1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロアセチルアセトナート金属塩等が挙げられる。
 金属イオンとしては、銅イオン、銀イオン、スズイオン、ニッケルイオン、アンチモンイオン、インジウムイオン等が挙げられ、銅イオン又は銀イオンが好ましく、銀イオンがより好ましい。
 これらの中でも、基材との密着性及び形成されるシード層の抵抗特性の観点から、金属塩は、カルボン酸銅塩又はカルボン酸銀塩が好ましく、カルボン酸銀塩がより好ましい。
 特には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、グリオキシル酸、2-エチルヘキサン酸及びネオデカン酸からなる群より選択されるカルボン酸の銅塩又は銀塩が好ましく、銀塩がより好ましい。
 基材との密着性の観点から、金属塩含有層の総質量に対する金属塩の含有量は、10質量%~70質量%が好ましく、15質量%~60質量%がより好ましく、20質量%~50質量%が更に好ましい。
 また、金属塩の含有量を上記数値範囲とすることにより、本開示の転写フィルムを使用して導体パターンを形成する際に、パターン上部の線幅に対するパターン底部の線幅の比が小さくすることができ、良好な導体パターンを形成することができる(以下、導体パターン形成性ともいう。)。
 金属塩含有層は、上記金属塩に含まれる金属イオンを還元して金属単体とすることを目的として、還元剤を含有してもよい。
 還元剤は、金属塩含有層の金属塩に含まれる金属イオンに対し還元性を有していれば特に限定するものではない。
 上記の還元剤としては、例えば、チオール基、ニトリル基、アミノ基、ヒドロキシ基、及びヒドロキシカルボニル基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の官能基を有する化合物、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる一種又は二種以上のヘテロ原子を分子構造内に有する化合物等が挙げられる。
 上記した官能基を有する化合物としては、アルカンチオール化合物、アミン化合物、ヒドラジン化合物、モノアルコール化合物、ジオール化合物、ヒドロキシアミン化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、カルボン酸化合物、カルボン酸化合物の塩等が挙げられる。
 ヘテロ原子を分子構造内に有する化合物としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。
 上記した中でも、金属塩の溶解性及びシード層形成時の除去性の観点から、還元剤は、アルカンチオール化合物、アミン化合物、カルボン酸化合物及びカルボン酸化合物の塩からなる群より選択される一種又は二種以上であることが好ましく、アミン化合物、カルボン酸化合物及びカルボン酸化合物の塩からなる群より選択される一種又は二種以上であることがより好ましい。
 アルカンチオール化合物としては、エタンチオール、n-プロパンチオール、i-プロパンチオール、n-ブタンチオール、i-ブタンチオール、t-ブタンチオール、n-ペンタンチオール、n-ヘキサンチオール、シクロヘキサンチオール、n-ヘプタンチオール、n-オクタンチオール、2-エチルヘキサンチオール等が挙げられる。
 アミン化合物としては、エチルアミン、n-プロピルアミン、i-プロピルアミン、n-ブチルアミン、i-ブチルアミン、t-ブチルアミン、n-ペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、2-エチルヘキシルプロピルアミン、3-メトキシプロピルアミン、3-エトキシプロピルアミン、n-ノニルアミン、n-デシルアミン、n-ウンデシルアミン、n-ドデシルアミン、n-トリデシルアミン、n-テトラデシルアミン、n-ペンタデシルアミン、n-ヘキサデシルアミン、ベンジルアミン、アミノアセトアルデヒドジエチルアセタール等のモノアミン化合物、エチレンジアミン、N-メチルエチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N-エチルエチレンジアミン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、N,N’-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、N,N’-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、N,N’-ジメチル-1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、N,N’-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミン化合物、ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、N-(アミノエチル)ピペラジン、N-(アミノプロピル)ピペラジン等のトリアミン化合物などが挙げられる。
 カルボン酸化合物としては、金属塩に対し還元性を有するものであれば特に限定するものではなく、ギ酸、ヒドロキシ酢酸、グリオキシル酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等が挙げられる。
 カルボン酸化合物の塩としては、上記したカルボン酸化合物のアンモニウム塩等が挙げられる
 金属塩含有層は、金属塩の種類に応じてこれを還元できる還元剤を一種又は二種以上を適宜選択又は組み合わせて含有することができる。
 基材との密着性及び導体パターン形成性の観点から、金属塩含有層の総質量に対する還元剤の含有量は、1質量%~99質量%が好ましく、10質量%~90質量%がより好ましく、30質量%~90質量%が更に好ましく、40質量%~85質量%が特に好ましく、45質量%~80質量%が最も好ましい。
 金属塩含有層は、金属塩及び還元剤以外の添加剤を含有していてもよく、界面活性剤、可塑剤、増感剤等が挙げられる。
 基材との密着性及び導体パターン形成性の観点から、金属塩含有層の厚さは、10nm~1000nmが好ましく、100nm~500nmがより好ましく、150nm~400nmが更に好ましい。
<<中間層>>
 本開示の転写フィルムは、中間層を備えることができる。中間層は、仮支持体と感光性組成物層との間、後述する熱可塑性樹脂層と感光性組成物層との間に設けることができる。
 熱可塑性樹脂層と感光性組成物層との間に中間層が存在することにより、熱可塑性樹脂層及び感光性組成物層の塗布形成の際及び塗布形成後の保存の際に生じ得る成分の混合を抑制できる。
 中間層としては、水溶性樹脂を含む水溶性樹脂層が使用できる。
 また、中間層としては、特開平5-072724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断層も使用できる。中間層が酸素遮断層であると、露光時の感度が向上し、露光機の時間負荷が低減し、生産性が向上するため、好ましい。
 中間層として用いられる酸素遮断層は、上記公報等に記載された公知の層から適宜選択すればよい。中でも、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液(22℃の炭酸ナトリウムの1質量%水溶液)に分散又は溶解する酸素遮断層が好ましい。
 以下、水溶性樹脂層(中間層)が含み得る各成分について説明する。
 水溶性樹脂層(中間層)は、樹脂を含む。
 上記樹脂は、その一部又は全部として、水溶性樹脂を含む。
 水溶性樹脂として使用可能な樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体等の樹脂が挙げられる。
 また、水溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体等も使用できる。(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体としては、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アリルの共重合体が好ましく、メタクリル酸/メタクリル酸アリルの共重合体がより好ましい。
 水溶性樹脂が(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体である場合、各組成比(モル%)としては、例えば、90/10~20/80が好ましく、80/20~30/70がより好ましい。
 水溶性樹脂の重量平均分子量の下限値としては、5,000以上が好ましく、7,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましい。また、その上限値としては、200,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。
 水溶性樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1~10が好ましく、1~5がより好ましい。
 なお、水溶性樹脂層(中間層)の層間混合抑制能をより向上させる点で、水溶性樹脂層(中間層)中の樹脂は、水溶性樹脂層(中間層)の一方の面側に配置される層に含まれる樹脂及び他方の面側に配置される層に含まれる樹脂とは異なる樹脂であることが好ましい。例えば、感光性組成物層中に重合体Aが含まれ、熱可塑性樹脂層中に熱可塑性樹脂(アルカリ可溶性樹脂)が含まれる場合、水溶性樹脂層(中間層)の樹脂は、重合体A及び熱可塑性樹脂(アルカリ可溶性樹脂)とは異なる樹脂であるのが好ましい。
 水溶性樹脂は、酸素遮断性、並びに、層間混合抑制能をより向上させる点で、ポリビニルアルコールを含むことが好ましく、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンの両者を含むことがより好ましい。
 水溶性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
 水溶性樹脂の含有量は特に制限されないが、酸素遮断性、並びに、層間混合抑制能をより向上させる点で、水溶性樹脂層(中間層)の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましい。なお、その上限値としては特に制限されないが、例えば、99.9質量%以下が好ましく、99.8質量%以下が更に好ましい。
 中間層は、必要に応じて界面活性剤などの公知の添加剤を含んでいてもよい。
 水溶性樹脂層(中間層)の層厚は、特に制限されないが、0.1μm~5μmが好ましく、0.5μm~3μmがより好ましい。水溶性樹脂層(中間層)の厚みが上記の範囲内であると、酸素遮断性を低下させることがなく、層間混合抑制能が優れる。また、更に、現像時の水溶性樹脂層(中間層)除去時間の増大も抑制できる。
<<保護フィルム>>
 転写フィルムは、保護フィルムを有していてもよい。
 保護フィルムとしては、耐熱性及び耐溶剤性を有する樹脂フィルムを用いることができ、例えば、ポリプロピレンフィルム及びポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、並びに、ポリスチレンフィルムが挙げられる。
 また、保護フィルムとして上述の仮支持体と同じ材料で構成された樹脂フィルムを用いてもよい。なかでも、保護フィルムとしては、ポリオレフィンフィルムが好ましく、ポリプロピレンフィルム又はポリエチレンフィルムがより好ましく、ポリエチレンフィルムが更に好ましい。
 保護フィルムの厚みは、1μm~100μmが好ましく、5μm~50μmがより好ましく、5μm~40μmが更に好ましく、15μm~30μmが特に好ましい。
 保護フィルムの厚みは、機械的強度に優れる点で、1μm以上が好ましく、比較的安価となる点で、100μm以下が好ましい。
 また、保護フィルムにおいては、保護フィルム中に含まれる直径80μm以上のフィッシュアイ数が、5個/m以下であることが好ましい。
 なお、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸及びキャスティング法等の方法によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、及び、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
 保護フィルムに含まれる直径3μm以上の粒子の数は、30個/mm以下が好ましく、10個/mm以下がより好ましく、5個/mm以下が更に好ましい。
 これにより、保護フィルムに含まれる粒子に起因する凹凸が感光性組成物層又は導電層に転写されることにより生じる欠陥を抑制することができる。
 巻き取り性を付与する点から、保護フィルムの組成物層と接する面とは反対側の表面の算術平均粗さRaは、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が更に好ましい。一方で、0.50μm未満が好ましく、0.40μm以下がより好ましく、0.30μm以下が更に好ましい。
 保護フィルムは、転写時の欠陥抑制の点から、組成物層と接する面の表面粗さRaは、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が更に好ましい。一方で、0.50μm未満が好ましく、0.40μm以下がより好ましく、0.30μm以下が更に好ましい。
 保護フィルムはリサイクル品であってもよい。リサイクル品としては、使用済みフィルム等を洗浄、チップ化し、これらを材料とするフィルム等が挙げられる。リサイクル品の具体例としては、東レ(株)製のEcouse(登録商標)シリーズが挙げられる。
 本開示の転写フィルムは、感光性組成物層を硬化した硬化膜の120℃における破断伸びが15%以上であり、仮支持体の感光性組成物層側の表面の算術平均粗さRaが50nm以下であり、且つ保護フィルムの感光性組成物層側の表面の算術平均粗さRaが150nm以下であることが好ましい。
 本開示の転写フィルムは、下記式(1)を満たすことが好ましい。
 X×Y<1500   式(1)
 ここで、式(1)中、Xは、感光性組成物層を硬化した硬化膜の120℃における破断伸びの値(%)を表し、Yは、上記仮支持体の上記感光性組成物層側の表面の算術平均粗さRaの値(nm)を表す。
 上記X×Yは、750以下がより好ましい。
 上記Xの具体的な数値としては、18%、25%、30%、35%等を挙げることができる。
 上記X×Yの具体的な数値としては、4nm、8nm、15nm、30nm等を挙げることができる。
 上記X×Yの具体的な数値としては、150、200、300、360、900等を挙げることができる。
 感光性組成物層を硬化した硬化膜の23℃での破断伸びに対し、120℃での破断伸びが2倍以上大きいことが好ましい。
 破断伸びは、厚み20μmの感光性組成物層を超高圧水銀ランプで120mJ/cm露光して硬化した後、高圧水銀ランプで400mJ/cmでさらに追加露光し、145℃で30分間加熱した後の硬化膜について、引っ張り試験によって測定する。
 本開示の転写フィルムは、下記式(2)を満たすことが好ましい。
 Y≦Z   式(2)
 ここで、式(2)中、Yは、仮支持体の感光性組成物層側の表面の算術平均粗さRaの値(nm)を表し、Zは、保護フィルムの感光性組成物層側の表面の算術平均粗さRaの値(nm)を表す。
<<熱可塑性樹脂層>>
 本開示の転写フィルムは、熱可塑性樹脂層を備えることができる。熱可塑性樹脂層は、通常、仮支持体と感光性組成物層との間に備える。転写フィルムが熱可塑性樹脂層を備えることで、転写フィルムと基材との貼合工程における基材への追従性が向上して、基材と転写フィルムとの間の気泡の混入を抑制できる。この結果として、熱可塑性樹脂層に隣接する層(例えば仮支持体)との密着性を担保できる。
 熱可塑性樹脂層は、樹脂を含む。上記樹脂は、その一部又は全部として、熱可塑性樹脂を含む。つまり、一態様において、熱可塑性樹脂層は、樹脂が熱可塑性樹脂であることも好ましい。
<アルカリ可溶性樹脂(熱可塑性樹脂)>
 熱可塑性樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
 アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリル系共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、及びポリアルキレングリコールが挙げられる。
 アルカリ可溶性樹脂としては、現像性及び隣接する層との密着性の観点から、アクリル樹脂が好ましい。
 ここで、アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び(メタ)アクリル酸アミドに由来する構成単位からなる群から選ばれた少なくとも1種の構成単位を有する樹脂を意味する。
 アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び(メタ)アクリル酸アミドに由来する構成単位の合計含有量が、アクリル樹脂の全質量に対して50質量%以上であることが好ましい。
 なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の合計含有量が、アクリル樹脂の全質量に対して、30~100質量%が好ましく、50~100質量%がより好ましい。
 また、アルカリ可溶性樹脂は、酸基を有する重合体であることが好ましい。
 酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、及びホスホン酸基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
 アルカリ可溶性樹脂は、現像性の観点から、酸価60mgKOH/g以上のアルカリ可溶性樹脂がより好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂が更に好ましい。
 アルカリ可溶性樹脂の酸価の上限は、特に制限されないが、300mgKOH/g以下が好ましく、250mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下が更に好ましく、150mgKOH/g以下が特に好ましい。
 酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂としては、特に制限されず、公知の樹脂から適宜選択して使用できる。
 例えば、特開2011-095716号公報の段落0025に記載のポリマーのうち酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であるアルカリ可溶性樹脂、特開2010-237589号公報の段落0033~0052に記載のポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂、及び特開2016-224162号公報の段落0053~0068に記載のバインダーポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂が挙げられる。
 上記カルボキシ基含有アクリル樹脂におけるカルボキシ基を有する構成単位の共重合比は、アクリル樹脂の全質量に対して、5~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましく、12~30質量%が更に好ましい。
 アルカリ可溶性樹脂としては、現像性及び隣接する層との密着性の観点から、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を有するアクリル樹脂が特に好ましい。
 アルカリ可溶性樹脂は、反応性基を有していてもよい。反応性基としては、付加重合可能な基であればよく、エチレン性不飽和基;ヒドロキシ基及びカルボキシ基等の重縮合性基;エポキシ基、(ブロック)イソシアネート基等の重付加反応性基が挙げられる。
 アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上が好ましく、1万~10万がより好ましく、2万~5万が更に好ましい。
 アルカリ可溶性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
 アルカリ可溶性樹脂の含有量は、現像性及び隣接する層との密着性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、10質量%~99質量%が好ましく、20質量%~90質量%がより好ましく、40質量%~80質量%が更に好ましく、50質量%~75質量%が特に好ましい。
<色素>
 熱可塑性樹脂層は、発色時の波長範囲400nm~780nmにおける最大吸収波長が450nm以上であり、酸、塩基、又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素(単に「色素B」ともいう。)を含むことが好ましい。
 色素Bの好ましい態様は、後述する点以外は、上述した色素Nの好ましい態様と同様である。
 色素Bは、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、酸又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素が好ましく、酸により最大吸収波長が変化する色素であることがより好ましい。
 熱可塑性樹脂層は、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、色素Bとしての酸により最大吸収波長が変化する色素、及び後述する光により酸を発生する化合物の両者を含むことが好ましい。
 色素Bは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
 色素Bの含有量は、露光部及び非露光部の視認性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.2質量%以上が好ましく、0.2質量%~6質量%がより好ましく、0.2質量%~5質量%が更に好ましく、0.25質量%~3.0質量%が特に好ましい。
 ここで、色素Bの含有量は、熱可塑性樹脂層に含まれる色素Bの全てを発色状態にした場合の色素の含有量を意味する。以下に、ラジカルにより発色する色素を例に、色素Bの含有量の定量方法を説明する。
 メチルエチルケトン100mLに、色素0.001g及び0.01gを溶かした溶液を調製する。得られた各溶液に、光ラジカル重合開始剤Irgacure(登録商標)OXE01(商品名、BASFジャパン(株))を加え、365nmの光を照射することによりラジカルを発生させ、全ての色素を発色状態にする。その後、大気雰囲気下で、分光光度計(UV3100、(株)島津製作所製)を用いて、液温が25℃である各溶液の吸光度を測定し、検量線を作成する。
 次に、色素に代えて熱可塑性樹脂層0.1gをメチルエチルケトンに溶かすこと以外は上記と同様の方法で、色素を全て発色させた溶液の吸光度を測定する。得られた熱可塑性樹脂層を含む溶液の吸光度から、検量線に基づいて熱可塑性樹脂層に含まれる色素の量を算出する。
 なお、熱可塑性樹脂層3gとは、組成物の固形分の3gと同様である。
<光により酸、塩基、又はラジカルを発生する化合物>
 熱可塑性樹脂層は、光により酸、塩基、又はラジカルを発生する化合物(単に「化合物C」ともいう。)を含んでもよい。
 化合物Cとしては、紫外線及び可視光線等の活性光線を受けて、酸、塩基、又はラジカルを発生する化合物が好ましい。
 化合物Cとしては、公知の、光酸発生剤、光塩基発生剤、及び光ラジカル重合開始剤(光ラジカル発生剤)を使用できる。
(光酸発生剤)
 熱可塑性樹脂層は、解像性の観点から、光酸発生剤を含んでもよい。
 光酸発生剤としては、上述したネガ型感光性組成物層が含んでもよい光カチオン重合開始剤が挙げられ、後述する点以外は好ましい態様も同じである。
 光酸発生剤としては、感度及び解像性の観点から、オニウム塩化合物、及びオキシムスルホネート化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、感度、解像性、及び密着性の観点から、オキシムスルホネート化合物を含むことがより好ましい。
 また、光酸発生剤としては、以下の構造を有する光酸発生剤も好ましい。
(光ラジカル重合開始剤)
 熱可塑性樹脂層は、光ラジカル重合開始剤を含んでもよい。
 光ラジカル重合開始剤としては、上述したネガ型感光性組成物層が含んでもよい光ラジカル重合開始剤が挙げられ、好ましい態様も同じである。
(光塩基発生剤)
 熱可塑性樹脂層は、光塩基発生剤を含んでもよい。
 光塩基発生剤としては、公知の光塩基発生剤であれば特に制限されず、例えば、2-ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、トリフェニルメタノール、O-カルバモイルヒドロキシルアミド、O-カルバモイルオキシム、[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6-ジアミン、4-(メチルチオベンゾイル)-1-メチル-1-モルホリノエタン、(4-モルホリノベンゾイル)-1-ベンジル-1-ジメチルアミノプロパン、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン、2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2-ニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジン、及び2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2,4-ジニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジンが挙げられる。
 化合物Cは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
 化合物Cの含有量は、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.1質量%~10質量%が好ましく、0.5質量%~5質量%がより好ましい。
<可塑剤>
 熱可塑性樹脂層は、解像性、隣接する層との密着性、及び現像性の観点から、可塑剤を含むことが好ましい。
 可塑剤は、アルカリ可溶性樹脂よりも分子量(オリゴマー又はポリマーであり分子量分布を有する場合は重量平均分子量)が小さいことが好ましい。可塑剤の分子量(重量平均分子量)は、200~2,000が好ましい。
 可塑剤は、アルカリ可溶性樹脂と相溶して可塑性を発現する化合物であれば特に制限されないが、可塑性付与の観点から、可塑剤は、分子中にアルキレンオキシ基を有することが好ましく、ポリアルキレングリコール化合物がより好ましい。可塑剤に含まれるアルキレンオキシ基は、ポリエチレンオキシ構造又はポリプロピレンオキシ構造を有することがより好ましい。
 また、可塑剤は、解像性及び保存安定性の観点から、(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。相溶性、解像性、及び隣接する層との密着性の観点から、アルカリ可溶性樹脂がアクリル樹脂であり、且つ、可塑剤が(メタ)アクリレート化合物を含むことがより好ましい。
 可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、上述したネガ型感光性組成物層に含まれる重合性化合物として記載した(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
 転写フィルムにおいて、熱可塑性樹脂層とネガ型感光性組成物層とが直接接触して積層される場合、熱可塑性樹脂層及びネガ型感光性組成物層がいずれも同じ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。同じ(メタ)アクリレート化合物を熱可塑性樹脂層及びネガ型感光性組成物層がそれぞれ含むことで、層間の成分拡散が抑制され、保存安定性が向上するためである。
 熱可塑性樹脂層が可塑剤として(メタ)アクリレート化合物を含む場合、熱可塑性樹脂層と隣接する層との密着性の観点から、露光後の露光部においても(メタ)アクリレート化合物が重合しないことが好ましい。
 また、可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、熱可塑性樹脂層の解像性、隣接する層との密着性、及び現像性の観点から、一分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
 更に、可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、酸基を有する(メタ)アクリレート化合物又はウレタン(メタ)アクリレート化合物も好ましい。
 可塑剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
 可塑剤の含有量は、熱可塑性樹脂層の解像性、隣接する層との密着性、及び現像性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、1質量%~70質量%が好ましく、10質量%~60質量%がより好ましく、20質量%~50質量%が更に好ましい。
<増感剤>
 熱可塑性樹脂層は、増感剤を含んでもよい。
 増感剤としては、特に制限されず、上述したネガ型感光性組成物層が含んでもよい増感剤が挙げられる。
 増感剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
 増感剤の含有量は、目的により適宜選択できるが、光源に対する感度の向上、並びに、露光部及び非露光部の視認性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.01質量%~5質量%が好ましく、0.05質量%~1質量%がより好ましい。
<添加剤等>
 熱可塑性樹脂層は、上記成分以外に、必要に応じて界面活性剤等の公知の添加剤を含んでもよい。
 また、熱可塑性樹脂層については、特開2014-085643号公報の段落0189~0193に記載されており、この公報に記載の内容は本明細書に組み込まれる。
 熱可塑性樹脂層の層厚は、特に制限されないが、隣接する層との密着性の観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、現像性及び解像性の観点から、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、8μm以下が更に好ましい。
[転写フィルムの製造方法]
 上記転写フィルムの製造方法は特に制限されず、公知の方法を使用できる。
 転写フィルムの製造方法としては、例えば、仮支持体の表面に熱可塑性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して熱可塑性樹脂層を形成する工程と、熱可塑性樹脂層の表面に水溶性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して中間層を形成する工程と、中間層の表面に感光性組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して感光性組成物層を形成する工程と、感光性組成物装の表面に金属塩含有組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して金属塩含有層を形成する工程と、を含む方法が挙げられる。
 上述の製造方法により製造された積層体の金属塩含有層上に、保護フィルムを貼り合わせてもよい。
 転写フィルムの製造方法としては、金属塩含有層の仮支持体側とは反対側の面に接するように保護フィルムを設ける工程を含むことにより、仮支持体、熱可塑性樹脂層、中間層、感光性組成物層、金属塩含有層及び保護フィルムを備える転写フィルムを製造することが好ましい。
 上記の製造方法により転写フィルムを製造した後、転写フィルムを巻き取ることにより、ロール形態の転写フィルムを作製及び保管してもよい。ロール形態の転写フィルムは、後述するロールツーロール方式での基材との貼合工程にそのままの形態で提供できる。
 また、上記の転写フィルムの製造方法としては、カバーフィルム上に、金属塩含有層、感光性組成物層及び中間層を形成した後、中間層の表面に熱可塑性樹脂層を形成する方法であってもよい。
<熱可塑性樹脂層形成用組成物及び熱可塑性樹脂層の形成方法>
 仮支持体上に熱可塑性樹脂層を形成する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、仮支持体上に熱可塑性樹脂層形成用組成物を塗布し、そして、必要に応じて乾燥させることにより形成できる。
 熱可塑性樹脂層形成用組成物としては、上述した熱可塑性樹脂層を形成する各種成分と溶剤とを含むのが好ましい。なお、熱可塑性樹脂層形成用組成物において、組成物の全固形分に対する各成分の含有量の好適範囲は、上述した熱可塑性樹脂層の全質量に対する各成分の含有量の好適範囲と同じである。
 溶剤としては、溶剤以外の各成分を溶解又は分散可能であれば特に制限されず、公知の溶剤を使用できる。溶剤としては、後述する感光性組成物が含む溶剤と同様のものが挙げられ、好適態様も同じである。
 溶剤の含有量は、組成物の全固形分100質量部に対して、50質量部~1,900質量部が好ましく、100質量部~900質量部がより好ましい。
 熱可塑性樹脂層の形成方法は、上記の成分を含む層を形成可能な方法であれば特に制限されず、例えば、公知の塗布方法(スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、及びインクジェット塗布等)が挙げられる。
<水溶性樹脂組成物及び中間層(水溶性樹脂層)の形成方法>
 水溶性樹脂組成物としては、上述した中間層(水溶性樹脂層)を形成する各種成分と溶剤とを含むのが好ましい。なお、水溶性樹脂組成物において、組成物の全固形分に対する各成分の含有量の好適範囲は、上述した水溶性樹脂層の全質量に対する各成分の含有量の好適範囲と同じである。
 溶剤としては、水溶性樹脂を溶解又は分散可能であれば特に制限されず、水及び水混和性の有機溶剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、水又は水と水混和性の有機溶剤との混合溶剤がより好ましい。
 水混和性の有機溶剤としては、例えば、炭素数1~3のアルコール、アセトン、エチレングリコール、及びグリセリンが挙げられ、炭素数1~3のアルコールが好ましく、メタノール又はエタノールがより好ましい。
 溶剤を、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
 溶剤の含有量は、組成物の全固形分100質量部に対して、50質量部~2,500質量部が好ましく、50質量部~1,900質量部がより好ましく、100質量部~900質量部が更に好ましい。
 水溶性樹脂層の形成方法は、上記の成分を含む層を形成可能な方法であれば特に制限されず、例えば、公知の塗布方法(スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、及びインクジェット塗布等)が挙げられる。
<感光性組成物及び感光性組成物層の形成方法>
 生産性に優れる点で、上述した感光性組成物層を構成する成分(例えば、バインダーポリマー、重合性化合物、及び、重合開始剤等)、及び、溶剤を含む感光性組成物を使用して塗布法により形成されるのが望ましい。
 転写フィルムの製造方法としては、具体的には、中間層上に感光性組成物を塗布して塗膜を形成し、この塗膜に所定温度にて乾燥処理を施して感光性組成物層を形成する方法であるのが好ましい。
 感光性組成物としては、上述した感光性組成物層を形成する各種成分と溶剤とを含むのが好ましい。なお、感光性組成物において、組成物の全固形分に対する各成分の含有量の好適範囲は、上述した感光性組成物層の全質量に対する各成分の含有量の好適範囲と同じである。
 溶剤としては、溶剤以外の各成分を溶解又は分散可能であれば特に制限されず、公知の溶剤を使用できる。具体的には、例えば、アルキレングリコールエーテル溶剤、アルキレングリコールエーテルアセテート溶剤、アルコール溶剤(メタノール及びエタノール等)、ケトン溶剤(アセトン及びメチルエチルケトン等)、芳香族炭化水素溶剤(トルエン等)、非プロトン性極性溶剤(N,N-ジメチルホルムアミド等)、環状エーテル溶剤(テトラヒドロフラン等)、エステル溶剤(酢酸nプロピル等)、アミド溶剤、ラクトン溶剤、並びにこれらの2種以上を含む混合溶剤が挙げられる。
 溶剤としては、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。なかでも、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選択される少なくとも1種と、ケトン溶剤及び環状エーテル溶剤からなる群より選択される少なくとも1種とを含む混合溶剤がより好ましく、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選択される少なくとも1種、ケトン溶剤を少なくとも含む混合溶剤が更に好ましい。
 アルキレングリコールエーテル溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、及びジプロピレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
 アルキレングリコールエーテルアセテート溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートが挙げられる。
 ケトン溶剤としては、アセトン、2-ブタノン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられ、2-ブタノンが好ましい。
 溶剤としては、国際公開第2018/179640号の段落0092~0094に記載された溶剤、及び特開2018-177889公報の段落0014に記載された溶剤を用いてもよく、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
 溶剤を、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
 溶剤の含有量は、組成物の全固形分100質量部に対し、50質量部~1,900質量部が好ましく、100質量部~1200質量部が更に好ましく、100質量部~900質量部が更に好ましい。
 感光性組成物の塗布方法としては、例えば、印刷法、スプレー法、ロールコート法、バーコート法、カーテンコート法、スピンコート法、及び、ダイコート法(すなわち、スリットコート法)が挙げられる。
 感光性組成物の塗膜の乾燥方法としては、加熱乾燥及び減圧乾燥が好ましい。
 乾燥温度としては、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。また、その上限値としては130℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。温度を連続的に変化させて乾燥させることもできる。
 また、乾燥時間としては、20秒以上が好ましく、40秒以上がより好ましく、60秒以上が更に好ましい。また、その上限値としては特に制限されないが、600秒以下が好ましく、300秒以下がより好ましい。
<金属塩含有組成物及び金属塩含有層の形成方法>
 金属塩含有組成物としては、上述した金属塩含有層を形成する各種成分と溶剤とを含むのが好ましい。なお、金属塩含有組成物において、組成物の全固形分に対する各成分の含有量の好適範囲は、上述した金属塩含有層の全質量に対する各成分の含有量の好適範囲と同じである。
 金属塩含有組成物は、組成物の粘度を調節して生産性を向上させる観点や、低抵抗かつ均一な導電層を得る観点から、溶剤を含有することが好ましい。溶剤の沸点は200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、150℃以下が更に好ましい。混合溶剤の場合、質量比の大きい溶剤の沸点が上記範囲であることが好ましく、使用するすべての溶剤の沸点が上記範囲であることが更に好ましい。
 具体的には、水、アルコール化合物、アミド化合物、ケトン化合物、エーテル化合物、エステル化合物、脂肪族炭化水素化合物、及び芳香族炭化水素化合物からなる群より選ばれる一種、又は相溶性のある二種以上の混合物が挙げられる。
 アルコール化合物としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、メトキシエタノール、エーテル基を有するアルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノールなど)などが挙げられる。
 アミド化合物としては、N、N-ジメチルホルムアミド、N、N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドンなどが挙げられる。
 ケトン化合物としては、アセトン、2-ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる
 エーテル化合物としては、例えば、ヘキシルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン等が挙げられる。
 エステル化合物としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ-ブチロラクトン、乳酸エチル等が挙げられる。
 脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン、シクロヘキサン、デカリン等が挙げられる。
 芳香族炭化水素化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n-プロピルベンゼン、i-プロピルベンゼン、n-ブチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
これらの溶剤のうち、感光性組成物層との混合を避ける観点から、水を含有する溶剤が好ましく、水と水溶性有機溶剤の混合溶剤が好ましく、水とアルコールの混合溶剤が更に好ましい。
 本実施の形態の金属塩含有組成物に含有される溶剤の含有量は、本実施形態の組成物の全量に対して0質量%~99.5質量%の範囲であり、70質量%~99質量%の範囲であることが好ましい。
 溶剤としては、水溶性樹脂を溶解又は分散可能であれば特に制限されず、水及び水混和性の有機溶剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、水又は水と水混和性の有機溶剤との混合溶剤がより好ましい。
 金属塩含有層の形成方法は、上記の成分を含む層を形成可能な方法であれば特に制限されず、例えば、公知の塗布方法(スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、及びインクジェット塗布等)が挙げられる。
<保護フィルムの貼り合わせ>
 更に、保護フィルムを金属塩含有層に貼り合わせてもよい。
 保護フィルムを金属塩含有層に貼り合わせる方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられる。
 保護フィルムを金属塩含有層に貼り合わせる装置としては、真空ラミネーター、及び、オートカットラミネーター等の公知のラミネーターが挙げられる。
 ラミネーターはゴムローラー等の任意の加熱可能なローラーを備え、加圧及び加熱ができるものであることが好ましい。
[導体パターンの形成方法]
 本開示の導体パターンの形成方法は、仮支持体と、感光性組成物層と、金属塩を含有する層と、をこの順に有する転写フィルムを準備する工程と、転写フィルムを、基材にラミネートし、基材、金属塩を含有する層、感光性組成物層及び前記仮支持体をこの順に有する積層体を形成する工程と、感光性組成物層をパターン露光する工程と、感光性組成物層を現像することにより、レジストパターンを形成し、金属塩を含有する層又はシード層の一部を露出させる工程と、露出したシード層上に金属層を形成する工程と、をこの順に有し、且つ上記積層体を形成する工程よりも後、上記金属層を形成する工程よりも前に、金属塩を含有する層に含有される金属塩を還元させ、シード層を形成する工程を有する。
 本開示の導体パターンの形成方法は、仮支持体と、感光性組成物層と、金属塩を含有する層(金属塩含有層)と、をこの順に有する転写フィルムを準備する工程と、転写フィルムを、基材にラミネートし、基材、金属塩を含有する層、感光性組成物層及び仮支持体をこの順に有する積層体を形成する工程と、金属塩含有層に含有される金属塩を還元させ、シード層を形成する工程と、感光性組成物層をパターン露光する工程と、感光性組成物層を現像することにより、レジストパターンを形成し、シード層の一部を露出させる工程と、露出したシード層上に金属層を形成する工程と、をこの順に有することが好ましい。
 本開示の導体パターンの形成方法は、露出したシード層上に金属層を形成する工程の後に、レジストパターンを除去する工程と、レジストパターンの除去により露出するシード層を除去する工程と、をこの順に有することができる。
 本開示の導体パターンの形成方法は、感光性組成物層をパターン露光する工程の前又は後に、仮支持体を剥離する工程を有することができる。
<<転写フィルムを準備する工程>>
 転写フィルムは、上記した方法により製造することができる。
<<積層体を形成する工程>>
 本開示の導体パターンの形成方法は、転写フィルムを、基材にラミネートし、基材、金属塩含有層、感光性組成物層及び仮支持体をこの順に有する積層体を形成する工程を有する。
 転写フィルムが、熱可塑性樹脂層及び中間層を備える場合、積層体は、基材、金属塩含有層、感光性組成物層、中間層、熱可塑性樹脂層及び仮支持体をこの順に有する
 転写フィルムが保護フィルムを備える場合は、保護フィルムを剥離した後にラミネートを行う。
 ラミネート方法は、特に限定されず、例えば、金属塩含有層の表面を、基材に重ね、ロール等により加圧及び加熱を行うことにより実施されることが好ましい。
 ラミネートには、真空ラミネーター、オートカットラミネーター等の公知のラミネーターを使用できる。
 ラミネート温度としては特に制限されないが、例えば、70℃~130℃が好ましい。
 基材としては、例えば、樹脂基材、ガラス基材、半導体基材等が挙げられる。
 樹脂基材としては、ポリイミド基材、ポリエステル基材(例えば、ポリエチレンテレフタレート基材及びポリエチレンナフタレート基材)、ポリカーボネート基材、アクリル樹脂基材等が挙げられる。また、樹脂基材は、液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer:LCP)基材であってもよい。通常、LCP基材は、シード層との密着性が低い傾向にある。本開示の導体パターンの形成方法においては、上記転写フィルムを用いて、LCP基材上に金属塩含有層を転写した後、金属塩含有層に含有される金属塩を還元させ、シード層を形成する。上記方法によればLCP基材とシード層との密着性を向上することができる。
 基材の厚みは5μm~200μmが好ましく、10μm~100μmがより好ましい。
<<シード層を形成する工程>>
 本開示の導体パターンの形成方法は、積層体を形成する工程よりも後、金属層を形成する工程よりも前に、金属塩含有層に含有される金属塩を還元させ、シード層を形成する工程を有する。
 シード層を形成する工程は、積層体を形成する工程よりも後、金属層を形成する工程よりも前に実施されればよく、例えば、積層体を形成する工程の後、且つ感光性組成物層をパターン露光する工程の前に実施してもよく、金属塩含有層の一部を露出させる工程よりも後、且つ金属層を形成する工程よりも前に実施してもよい。
 金属塩の還元は、加熱により行うことができる。金属塩含有層の加熱温度は、80℃~200℃が好ましく、100℃~150℃がより好ましい。金属塩含有層の加熱時間は、5分間~60分間が好ましく、10分間~40分間がより好ましい。
<<パターン露光する工程>>
 本開示の導体パターンの形成方法は、感光性組成物層をパターン露光する工程を有する。
 ここで、「パターン露光」とは、パターン状に露光する形態、すなわち、露光部と非露光部とが存在する形態の露光を指す。
 パターン露光における露光領域と未露光領域との位置関係は特に制限されず、適宜調整される。
 感光性組成物層の露光は、基材側とは反対側から行ってもよく、基材側から行ってもよい。
 パターン露光の光源としては、少なくとも感光性組成物層を硬化し得る波長域の光(例えば、365nm又は405nm)を照射できるものであれば適宜選定して使用できる。なかでも、パターン露光の露光光の主波長は、365nmが好ましい。なお、主波長とは、最も強度が高い波長である。
 光源としては、例えば、各種レーザー、発光ダイオード(LED)、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、及び、メタルハライドランプが挙げられる。
 露光量は、5mJ/cm~200mJ/cmが好ましく、10mJ/cm~200mJ/cmがより好ましい。
 転写フィルムを用いて基材上に感光性組成物層を設けた場合、パターン露光は、仮支持体の剥離後に行ってもよいし、仮支持体を剥離する前に行ってもよい。即ち、仮支持体を介さずにパターン露光しても良いし、仮支持体を介してパターン露光しても良い。
 感光性組成物層、中間層、あるいは熱可塑性樹脂層とマスクの接触によるマスクの汚染を防止する観点、及びマスクに付着した異物による露光への影響を避ける観点からは、仮支持体を剥離せずに露光することが好ましい。仮支持体による露光光の散乱を抑制すること、及びマスクを透過した光の回折を抑制することによって、解像度を向上させる観点からは、仮支持体を剥離した後に露光することが好ましい。
 なお、パターン露光は、マスクを介した露光でもよいし、レーザー等を用いたダイレクト露光でもよい。
 露光マスクを介して露光する場合のマスクの基材としては、石英マスク、ソーダライムガラスマスク、フィルムマスクなどが挙げられる。中でも、石英マスクは寸法精度に優れる点が好ましく、フィルムマスクは大サイズ化が容易である点で好ましい。フィルムマスクの基材としては、ポリエステルフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。フィルムマスクの基材の具体例としては、XPR-7S SG(富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(株)製)が挙げられる。
 露光に使用する光源、露光量及び露光方法の好ましい態様としては、例えば、国際公開第2018/155193号の段落[0146]~[0147]に記載があり、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<<金属塩を含有する層又はシード層を露出させる工程>>
 本開示の導体パターンの形成方法は、感光性組成物層を現像することにより、レジストパターンを形成し、金属塩を含有する層又はシード層の一部を露出させる工程を有する。
 上記したシード層を形成する工程を、感光性組成物層の現像よりも前に実施する場合、露出する層は、シード層であり、感光性組成物層の現像よりも後に実施する場合、露出する層は、金属塩含有層である。
 感光性組成物層の現像は、現像液を用いて行うことができる。
 現像液として、アルカリ性水溶液が好ましい。アルカリ性水溶液に含まれ得るアルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、及び、コリン(2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)が挙げられる。
 現像の方式としては、例えば、パドル現像、シャワー現像、スピン現像、及び、ディップ現像等の方式が挙げられる。
 本明細書において好適に用いられる現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落[0194]に記載の現像液が挙げられ、好適に用いられる現像方式としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落[0195]に記載の現像方式が挙げられる。
 上記現像によって得られたレジストパターンを、露光(以下、ポスト露光ともいう。)及び/又は加熱(以下、ポストベークともいう。)していてもよい。
 ポスト露光及びポストベークを共に実施する場合、ポスト露光の後、ポストベークを実施することが好ましい。ポスト露光の露光量は、100mJ/cm~5000mJ/cmが好ましく、200mJ/cm~3000mJ/cmがより好ましい。ポストベークの温度は、80℃~250℃が好ましく、90℃~160℃がより好ましい。ポストベークの時間は、1分~180分が好ましく、10分~60分がより好ましい。
<<金属層を形成する工程>>
 本開示の導体パターンの形成方法は、露出したシード層上に金属層を形成する工程を有する。露出したシード層上に金属層を形成することによりパターニングされた配線を形成することができる。
 金属層は、金属を含み、銅、銀、スズ、ニッケル、アンチモン、インジウム等が挙げられ、銅又は銀が好ましい。
 金属層における金属の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。金属の含有量の上限は、特に限定されず、100質量%以下とすることができる。
 金属層の形成は、特に限定されず、電解めっき法、無電解めっき法等の従来公知の方法を利用することにより実施することができる。
<<レジストパターンを除去する工程>>
 本開示の導体パターンの形成方法は、露出したシード層上に金属層を形成する工程の後に、レジストパターンを除去する工程を有することができる。
 レジストパターンの除去する方法は、特に限定されず、従来公知の剥離液を使用することにより行うことができる。
 剥離液の液温は、好ましくは30℃~80℃、50℃~80℃であることがより好ましい。
 剥離液としては、例えば、無機アルカリ成分又は有機アルカリ成分を、水、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン又はこれらの混合溶液に溶解させた除去液が挙げられる。無機アルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。有機アルカリ成分としては、第1級アミン化合物、第2級アミン化合物、第3級アミン化合物及び第4級アンモニウム塩化合物が挙げられる。
<<シード層を除去する工程>>
 本開示の導体パターンの形成方法は、レジストパターンの除去により露出するシード層を除去する工程(以下、エッチング工程ともいう。)を有することができる。
 エッチング処理の方法としては、公知の方法を適用でき、例えば、特開2017-120435号公報の段落[0209]~[0210]に記載の方法、特開2010-152155号公報の段落[0048]~[0054]等に記載の方法、エッチング液に浸漬するウェットエッチング法、及び、プラズマエッチング等のドライエッチングによる方法が挙げられる。
 ウェットエッチングに用いられるエッチング液は、エッチングの対象に合わせて酸性又はアルカリ性のエッチング液を適宜選択すればよい。
 酸性のエッチング液としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、フッ酸、シュウ酸及びリン酸から選択される酸性成分単独の水溶液、並びに、酸性成分と、塩化第2鉄、フッ化アンモニウム及び過マンガン酸カリウムから選択される塩との混合水溶液が挙げられる。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせた成分であってもよい。
 アルカリ性のエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、及び、有機アミンの塩(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等)から選択されるアルカリ成分単独の水溶液、並びに、アルカリ成分と塩(過マンガン酸カリウム等)との混合水溶液が挙げられる。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせた成分であってもよい。
<<仮支持体を剥離する工程>>
 本開示の導体パターンの形成方法は、積層体を形成する工程よりも後であり、金属塩を含有する層又はシード層を露出させる工程よりも前に、仮支持体を剥離する工程を有する
ことができる。
 剥離方法は特に制限されず、特開2010-072589号公報の段落[0161]~[0162]に記載されたカバーフィルム剥離機構と同様の機構を使用できる。
<<その他の工程>>
 本開示の導体パターンの形成方法は、上述した工程以外の任意の工程(その他の工程)を含んでもよい。
 例えば、国際公開第2019/022089号の段落[0172]に記載の絶縁膜上に新たな導電層を形成する工程等が挙げられるが、これらの工程に制限されない。
<絶縁膜を形成する工程、絶縁膜の表面に新たな導電層を形成する工程>
 本開示の導体パターンの形成方法は、上記のようにして形成した導体パターンの表面に絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜の表面に新たなシード層を形成する工程と、を含むことも好ましい。
 上記の工程により、第一の導体パターンと、第一の導体パターンとは絶縁した第二の導体パターンを形成することができる。
 絶縁膜を形成する工程としては、特に制限されず、公知の永久膜を形成する方法が挙げられる。また、絶縁性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの絶縁膜を形成してもよい。
 絶縁膜上に新たなシード層を形成する工程は、特に制限されず、上記した転写フィルムを使用することにより行ってもよい。
<導体パターンの用途>
 本開示の導体パターンの形成方法により形成される導体パターンは、種々の装置に適用することができる。上記導体パターンを備えた装置としては、例えば、表示装置、プリント配線板、半導体パッケージ、入力装置、タッチパネルが挙げられ、プリント配線板、半導体パッケージが好ましい。また、上記入力装置は、有機EL表示装置及び液晶表示装置等の表示装置に適用できる。
 以下、上記実施形態を実施例により具体的に説明するが、上記実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
(調製例1:中間層形成用組成物の調製)
 下記表1に示す材料を、表1に記載の割合で混合し、中間層形成用組成物を得た。なお、表1中の数値の単位は質量部である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 表1に記載した材料の詳細は以下の通りである。
・ポリビニルアルコール:製品名「クラレポバール(登録商標)PVA-205」、(株)クラレ製
・ポリビニルピロリドン:製品名「ポリビニルピロリドンK-30」、(株)日本触媒製・ヒドロキシプロピルメチルセルロース:製品名「メトローズ(登録商標)60SH-03」、信越化学工業(株)製
・フッ素系界面活性剤:製品名「メガファックF444」、DIC(株)製
(調製例2:感光性組成物の調製)
 表2に示す材料を表2に示す割合で混合し、感光性組成物K1~感光性組成物K11を得た。なお、表2中の数値の単位は質量部であり、固形分換算前の数値である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 表2に記載した材料の詳細は以下の通りである。
(樹脂)
(樹脂A-1の合成)
 3つ口フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル(75.0g)を入れ、窒素雰囲気下で液温を90℃に昇温した。スチレン(52.0g)、メタクリル酸(29.0g)、メタクリル酸メチル(19.0g)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(0.8g)、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(75.0g)を含む溶液を、90℃±2℃に維持した3つ口フラスコ内の液に2時間かけて滴下した。
 滴下終了後、90℃±2℃で混合液を2時間撹拌した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル(質量比50/50)固形分濃度が30.0質量%となるように希釈し、樹脂A-1を含む溶液(固形分濃度:30.0質量%)を得た。樹脂A-1のGPCにおける標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、60,000であった。
(樹脂A-3の合成)
 プロピレングリコールモノメチルエーテル113.5gをフラスコに仕込み窒素気流下90℃に加熱した。この液にスチレン172g、メタクリル酸メチル4.7g、メタクリル酸112.1gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30gに溶解させた溶液、及び、重合開始剤V-601(富士フイルム和光純薬(株)製)25.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテル57.7gに溶解させた溶液を同時に3時間かけて滴下した。
 滴下終了後、1時間おきに3回V-601を2.5g添加した。その後更に3時間反応させた。その後プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート160.7g、プロピレングリコールモノメチルエーテル233.3gで希釈した。空気気流下、反応液を100℃に昇温し、テトラエチルアンモニウムブロミド1.8g、p-メトキシフェノール0.86gを添加した。これにグリシジルメタクリレート(日油(株)製、ブレンマーGH)71.9gを20分かけて滴下した。これを100℃で7時間反応させた。
 プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル(質量比50/50)固形分濃度が30.0質量%となるように希釈し、アルカリ可溶性の樹脂A-2の溶液を得た。GPCにおける標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は18,000であった。
(樹脂A-2、樹脂A-4及び樹脂A-5の合成)
 樹脂A-2、樹脂A-4及び樹脂A-5についても上記した方法と同様の手法を用いて合成した(30.0質量%溶液、溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル(質量比50/50))。
 得られた樹脂についてガスクロマトグラフィーを用いて測定した残存モノマー量はいずれのモノマーにおいても樹脂の固形分に対し0.1質量%未満であった。
・樹脂A1~樹脂A5:それぞれ下記化学式で表され、Mw、Mw/Mn、及び酸価は以下の通りである。なお、各化学式の括弧横に記載される数字は各構成単位の含有量(質量%)を示す。
 ・樹脂A-1:Mw=60,000、Mw/Mn=2.6、酸価189mgKOH/g
 ・樹脂A-2:Mw=32,000、Mw/Mn=2.4、酸価150mgKOH/g
 ・樹脂A-3:Mw=18,000、Mw/Mn=2.1、酸価124mgKOH/g
 ・樹脂A-4:Mw=17,000、Mw/Mn=2.2、酸価95mgKOH/g
 ・樹脂A-5:Mw=10,000、Mw/Mn=2.0、酸価130mgKOH/g
(重合性化合物)
・SR454:エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、巴工業(株)製
・BPE500:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、平均エチレンオキシユニット数10、新中村化学工業(株)製
・BPE100:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、平均エチレンオキシユニット数2.6、新中村化学工業(株)製
・M270:アロニックスM-270、ポリプロピレングリコールジアクリレート(n≒12)、東亞合成(株)製
・4G:NKエステル4G、ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート、新中村化学工業(株)製
(色素)
・ロイコクリスタルバイオレット:東京化成工業(株)製
(防錆剤)
・CBT-1:カルボキシベンゾトリアゾール、城北化学工業(株)製
(界面活性剤)
・F552:メガファック(登録商標)F-552、DIC(株)製
(溶剤)
・MMPGAc:1-メトキシ-2-プロピルアセテート
・MEK:メチルエチルケトン
(調製例3:金属塩含有組成物の調製)
 メタノール中において、表3に示す材料を表3に示す割合で混合し、十分撹拌した後、水を加え、固形分濃度5質量%、メタノール/水=70/30の質量比となるように希釈し、フッ素系界面活性剤(製品名「メガファックF444」、DIC(株)製)を固形分に対し0.1質量%添加して、金属塩含有組成物S1~金属塩含有組成物S13を得た。なお、表3中の数値の単位は質量部である。
 
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
<実施例1>
[転写フィルムの作製]
 仮支持体(厚み16μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(製品名「ルミラー(登録商標)16KS40」、東レ社製)の表面に、上記中間層形成用組成物を、バーコーターを用いて、乾燥後の厚みが1.0μmになるように塗布し、塗布膜を形成した。オーブンを用いて90℃で塗布膜を乾燥させ、中間層を形成した。
 次いで、中間層の表面に、上記感光性組成物K1を、バーコーターを用いて乾燥後の厚みが3.0μmになるように塗布し、塗布膜を形成した。オーブンを用いて80℃で塗布膜を乾燥させ、感光性組成物層(ネガ型感光性組成物層)を形成した。
 次に、感光性組成物層の表面に、上記金属塩含有組成物S1を、乾燥後の厚みが300nmになるように塗布し、80℃で1分間乾燥させ、感光性組成物層と直接接する金属塩含有層(シード層形成用層)を形成した。
 シード層形成用層の上に、厚み16μmのPETフィルム(製品名「ルミラー(登録商標)16KS40」、東レ(株)製)を圧着することにより、保護フィルムを形成し、転写フィルムを得た。
[積層体の作製]
 転写フィルムから保護フィルムを剥離し、液晶ポリマーを含有する基材(商品名「ベクスター(登録商標)CTQ-50」、(株)クラレ製、厚さ50μm、以下、LCP基材と記載する。)の上にラミネートし、仮支持体/中間層/感光性組成物層/シード層形成用層/LCP基材の積層構造を有する積層体A1を形成した。
 なお、ラミネートの条件は、ラミロール温度100℃、線圧3N/cm、搬送速度2m/分とした。
 積層体A1をオーブンにて窒素気流下、120℃において20分間加熱し、シード層形成用層中の金属塩を還元し、シード層とした。
 これにより、仮支持体/中間層/感光性組成物層/シード層/LCP基材の積層構造を有する積層体A2を得た
<実施例2~実施例22、実施例25>
 感光性組成物及び金属塩含有組成物の少なくとも一方を表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルム及び積層体を作製した。
<実施例23及び実施例24>
 感光性組成物層の厚さ及びシード層形成用層の厚さを表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルム及び積層体を作製した。
<比較例1>
[転写フィルムの作製]
 シード層形成用層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、転写フィルム(以下、比較転写フィルムと記載する。)を作製した。
[積層体の作製]
 上記LCP基材の上に、スパッタ法により、銅からなるシード層(厚さ300nm)を形成した。
 比較転写フィルムから保護フィルムを剥離し、上記シード層の上にラミネートし、仮支持体/中間層/感光性組成物層/シード層/LCP基材の積層構造を有する積層体Bを得た。なお、ラミネート条件は、実施例1と同様とした。
<比較例2>
[積層体の作製]
 上記LCP基材の上に、乾燥後の膜厚が300nmとなるように上記金属塩含有組成物S1をバーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥させ、シード層形成用層を形成した。
 比較転写フィルムから保護フィルムを剥離し、上記シード層形成用層の上にラミネートし、仮支持体/中間層/感光性組成物層/シード層形成用層/LCP基材の積層構造を有する積層体C1を得た。なお、ラミネート条件は、実施例1と同様とした。
 積層体C1をオーブンにて窒素気流下、120℃において20分間加熱し、シード層形成用層中の金属塩を還元し、シード層とした。
 これにより、仮支持体/中間層/感光性組成物層/シード層/LCP基材の積層構造を有する積層体C2を得た
<<密着性評価>>
 各実施例及び比較例において作製した積層体から仮支持体を剥離し、高圧水銀ランプ(主波長365nm)を用いて、100mJ/cmの露光量で全面露光した。なお、上記露光は、仮支持体を剥離した方向から行った。
 露光後の積層体に対し、JIS K 5600-5-1(1999)に準拠して、クロスカット試験を行った。
 試験後の積層体を目視により観察し、下記評価基準に基づいて評価した。評価結果を表4にまとめた。
(評価基準)
A:シード層とLCP基材との間における剥離が確認されなかった。
B:シード層の全面積に対するLCP基材から剥離したシード層の面積の割合が、0%超、5%未満であった。
C:シード層の全面積に対するLCP基材から剥離したシード層の面積の割合が、5%以上、15%未満であった。
D:シード層の全面積に対するLCP基材から剥離したシード層の面積の割合が、15%以上、35%未満であった。
E:シード層の全面積に対するLCP基材から剥離したシード層の面積の割合が、35%以上であった。
<<導体パターン形成性評価>>
 各実施例及び比較例において作製した積層体から仮支持体を剥離し、積層体の表面に中間層を露出させ、マスクを密着させた。
 なお、マスクは、ラインアンドスペースパターンを有するマスクを使用した(ライン線幅2μm、スペース線幅4μm)。
 マスクを配置した方向から、積層体に対し、高圧水銀灯露光機(製品名「MAP-1200L」、(株)大日本科研製、主波長:365nm)を用いて光を照射し、感光性組成物層をパターン露光した。なお、露光量は、現像後に得られるレジストパターンが、ラインアンドスペースパターン(ライン線幅2μm、スペース線幅4μm)となるように調整した。
 露光後、28℃の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液を現像液として使用して、感光性組成物層の現像を行った。具体的には、上記現像液を使用したシャワー処理を30秒間行い、AirKnife(エアナイフ)処理をした後、純水を使用したシャワー処理を30秒間行い、さらにAirKnife処理を行った。
 これにより、ラインアンドスペースパターン(ライン線幅2μm、スペース線幅4μm)であるレジストパターンを有する積層体を得た。また、上記パターンのスペース領域において、積層体が備えるシード層が露出していることが確認された。
 レジストパターンを有する積層体を、硫酸銅めっき液(硫酸銅75g/L、硫酸190g/L、塩素イオン50質量ppm、カパーグリームPCM(メルテックス社製)5mL/L)に浸漬し、1A/dmの条件で銅めっき処理を行うことにより、積層体の表面に金属層を形成した。
 銅めっき処理後の積層体を水洗し、乾燥した後、50℃の1質量%水酸化カリウム水溶液(pH13.5)に浸漬することによりレジストパターンを除去した。
 レジストパターンの除去により露出したシード層を、0.1質量%硫酸及び0.1質量%過酸化水素を含む水溶液を使用して除去し、導体パターンを形成した。
 上記金属層により構成される導体パターンの断面形状を、走査型電子顕微鏡にて観察し、パターン上部の線幅に対するパターン底部の線幅の比(パターン底部の線幅/パターン上部の線幅)を算出し、以下の評価基準により、導体パターン形成性を評価した。評価結果を表4にまとめた。
 値が1に近いほどパターン底部とパターン上部の線幅差が小さく、導体パターンが良好に形成されていることを表す。
(評価基準)
A:パターン底部の線幅/パターン上部の線幅が0.95以上1.00以下であった。
B:パターン底部の線幅/パターン上部の線幅が0.9以上0.95未満であった。
C:パターン底部の線幅/パターン上部の線幅が0.8以上0.9未満であった。
D:パターン底部の線幅/パターン上部の線幅が0.8未満であった。

 
 
 表4から、仮支持体と、感光性組成物層と、シード層形成用層と、をこの順に有する転写フィルムを使用することにより製造した実施例の導体パターンは、シード層形成用層を備えていない転写フィルムを使用し、且つ基材上にスパッタ法又は金属塩含有組成物の基材への塗布及び乾燥の方法により基材上へシード層形成用層を形成した比較例の導体パターンに比べて、基材及びシード層の密着性に優れることが分かる。
<実施例1A~実施例25A>
 転写フィルムの作製に使用した仮支持体及び保護フィルムを下記材料に変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルム及び積層体を作製した。実施例1と同様に、密着性及び導体パターン形成性を評価し、結果を表5にまとめた。
・仮支持体:製品名「コスモシャイン(登録商標)A4160」、東洋紡(株)製、厚さ50μm、PETフィルム
・保護フィルム:製品名「アルファン(登録商標)E-210F」、王子エフテックス(株)製、厚さ50μm、ポリプロピレンフィルム
<実施例1B~実施例25B>
 転写フィルムの作製に使用した仮支持体及び保護フィルムを下記材料に変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルム及び積層体を作製した。実施例1と同様に、密着性及び導体パターン形成性を評価し、結果を表6にまとめた。
・仮支持体:製品名「コスモシャイン(登録商標)A4360」、東洋紡(株)製、厚さ38μm、PETフィルム
・保護フィルム:製品名「アルファン(登録商標)FG-201」、王子エフテックス(株)製、厚さ30μm、ポリプロピレンフィルム

 
 
<実施例1C~実施例25C>
 転写フィルムの作製に使用した仮支持体及び保護フィルムを下記材料に変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルム及び積層体を作製した。実施例1と同様に、密着性及び導体パターン形成性を評価し、結果を表7にまとめた。
・仮支持体:製品名「ルミラー(登録商標)#38-U48」、東レ(株)製、厚さ38μm、PETフィルム
・保護フィルム:製品名「アルファン(登録商標)E-210F」、王子エフテックス(株)製、厚さ50μm、ポリプロピレンフィルム
<実施例1D~実施例25D>
 転写フィルムの作製に使用した仮支持体及び保護フィルムを下記材料に変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルム及び積層体を作製した。実施例1と同様に、密着性及び導体パターン形成性を評価し、結果を表8にまとめた。
・仮支持体:製品名「ルミラー(登録商標)#75-U34」、東レ(株)製、厚さ75μm、PETフィルム
・保護フィルム:製品名「アルファン(登録商標)FG-201」、王子エフテックス(株)製、厚さ30μm、ポリプロピレンフィルム

 
 
<実施例1E~実施例25E>
 転写フィルムの作製に使用した仮支持体及び保護フィルムを下記材料に変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルム及び積層体を作製した。実施例1と同様に、密着性及び導体パターン形成性を評価し、結果を表9にまとめた。
・仮支持体:製品名「ルミラー(登録商標)16FB40」、東レ(株)製、厚さ16μm、PETフィルム
・保護フィルム:製品名「アルファン(登録商標)E-210F」、王子エフテックス(株)製、厚さ50μm、ポリプロピレンフィルム

 
 
<実施例1F~実施例25F>
 転写フィルムの作製に使用した仮支持体及び保護フィルムを下記材料に変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルム及び積層体を作製した。実施例1と同様に、密着性及び導体パターン形成性を評価し、結果を表10にまとめた。
・仮支持体:製品名「ルミラー(登録商標)16FB40」、東レ(株)製、厚さ16μm、PETフィルム
・保護フィルム:製品名「アルファン(登録商標)FG-201」、王子エフテックス(株)製、厚さ30μm、ポリプロピレンフィルム

 
 
<実施例1G~実施例25G>
 転写フィルムの作製に使用した仮支持体及び保護フィルムを下記材料に変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルム及び積層体を作製した。実施例1と同様に、密着性及び導体パターン形成性を評価し、結果を表11にまとめた。
・仮支持体:製品名「ルミラー(登録商標)16KS40」、東レ(株)製、厚さ16μm、PETフィルム
・保護フィルム:製品名「アルファン(登録商標)FG-201」、王子エフテックス(株)製、厚さ30μm、ポリプロピレンフィルム

 
 
 2022年1月28日に出願された日本国特許出願2022-012230号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記載された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。

Claims (9)

  1.  仮支持体と、
     感光性組成物層と、
     金属塩を含有する層と、
    をこの順に有する、転写フィルム。
  2.  前記感光性組成物層が、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物及び光重合開始剤を含有する、請求項1に記載の転写フィルム。
  3.  前記金属塩を含有する層の厚さが、10nm~1000nmである、請求項1又は請求項2に記載の転写フィルム。
  4.  前記金属塩を含有する層の総質量に対する前記金属塩の含有量が、10質量%~70質量%である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の転写フィルム。
  5.  前記金属塩が、金属カルボン酸塩である、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の転写フィルム。
  6.  前記金属塩を含有する層が、還元剤を含有する、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の転写フィルム。
  7.  前記金属塩を含有する層が、シード層形成用層である、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の転写フィルム。
  8.  仮支持体と、感光性組成物層と、金属塩を含有する層と、をこの順に有する転写フィルムを準備する工程と、
     前記転写フィルムを、基材にラミネートし、前記基材、前記金属塩を含有する層、前記感光性組成物層及び前記仮支持体をこの順に有する積層体を形成する工程と、
     前記感光性組成物層をパターン露光する工程と、
     前記感光性組成物層を現像することにより、レジストパターンを形成し、前記金属塩を含有する層又はシード層の一部を露出させる工程と、
     前記露出したシード層上に金属層を形成する工程と、
    をこの順に有し、且つ
     前記積層体を形成する工程よりも後、前記金属層を形成する工程よりも前に、前記金属塩を含有する層に含有される金属塩を還元させ、シード層を形成する工程を有する、導体パターン形成方法。
  9.  前記露出したシード層上に金属層を形成する工程の後に、
     前記レジストパターンを除去する工程と、
     前記レジストパターンの除去により露出するシード層を除去する工程と、
    をこの順に有する、請求項8に記載の導体パターン形成方法。
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