JP2023076381A - 感光性組成物、転写フィルム、パターン形成方法、回路配線の製造方法 - Google Patents

感光性組成物、転写フィルム、パターン形成方法、回路配線の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】波長365nmの光では感光しづらく、波長436nmの光で感光し易く、且つ、黄色灯下での保存安定性に優れる、感光性組成物を提供する。また、波長365nmの光では感光しづらく、波長405nmの光で感光し易く、且つ、黄色灯下での保存安定性に優れる、感光性組成物を提供する。また、上記感光性組成物を使用した、転写フィルム、パターン形成方法、及び回路配線の製造方法を提供する。【解決手段】アルカリ可溶性樹脂と、重合性化合物と、光重合開始剤と、を含む感光性組成物であって、所定の要件3及び4を満たす、感光性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、感光性組成物、転写フィルム、パターン形成方法、及び回路配線の製造方法に関する。
昨今、両面プリント配線基板等の製造に際して、透明基材と上記透明基材の両面に配置された透明導電層(透明導電膜)とを有する透明導電層付き基材の各透明導電層に感光性組成物層を配置し、両面リソグラフィープロセス(両面露光)によって、透明基材の両面にパターン化された透明導電層を形成する方法が検討されている。また、感光性組成物層としては、通常、ネガ型感光性組成物から形成される層が使用されている。更に、所定のパターンを得るための工程数が少ないことから、転写フィルムを用いて感光性組成物層を透明導電層付き基材に配置する場合もある。
ところで、両面露光処理では、露光かぶりが生じやすい問題がある。露光かぶりとは、透明基材の対向する2つの表面において透明基材側から順に透明導電層及び感光性組成物層を各々有する積層体に対して両面露光を行う場合、一方の感光性組成物層の露光の際に、この露光光によって他方の感光性組成物層も露光してしまう現象(fogging)である。
例えば、特許文献1では、両面露光における露光かぶりを抑制可能なパターン形成方法として、透明基材の表裏両面に配置された透明導電膜のパターン形成において、上記透明導電膜の少なくとも一方の上に露光光を遮光する不透明層を形成してから、更にフォトレジスト膜(感光性組成物層)を積層するパターン形成方法を開示している。
特開2011-154080号公報
上述の特許文献1のパターン形成方法は、不透明層を使用して両面露光での露光かぶりの抑制を実現しているが、一方で、タッチパネル等の可視光領域に透明性を有する導電性配線を形成する場合には、上記技術を適用できない問題があった。このため、両面露光において、露光かぶりを抑制し得る感光性組成物を検討する余地があった。また、昨今では、両面露光において異なる波長の露光光を適用することも検討されている。両面露光において適用される露光光の組み合わせとしては、例えば、436nmを主波長とする露光波長/365nmを主波長とする露光波長、及び、405nmを主波長とする露光波長/365nmを主波長とする露光波長等の組み合わせが挙げられる。
更に、感光性組成物は、転写フィルムに導入される等の理由により感光性組成物の層として流通することが多く、且つ、目的外の感光を避ける目的で黄色灯(セーフライト。波長約500nmの光を発光)の下で取り扱われる場合が多い。このため、感光性組成物には、黄色灯下に長期間晒されてもパターン形成性への影響が少ない(以下「保存安定性に優れる」)ことも基本性能として求められる。
そこで、本発明は、波長365nmの光では感光しづらく、波長436nmの光で感光し易く、且つ、黄色灯下での保存安定性に優れる、感光性組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、波長365nmの光では感光しづらく、波長405nmの光で感光し易く、且つ、黄色灯下での保存安定性に優れる、感光性組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記感光性組成物を使用した、転写フィルム、パターン形成方法、及び回路配線の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
〔1〕
アルカリ可溶性樹脂と、
重合性化合物と、
光重合開始剤と、を含む感光性組成物であって、
以下の要件4及び5を満たす、感光性組成物。
要件4:上記感光性組成物の層を中心波長が436±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量4を求め、上記最低露光量4の逆数を分光感度4とし、
上記感光性組成物の層を中心波長が365±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量2を求め、上記最低露光量2の逆数を分光感度2とした場合、分光感度2に対する分光感度4の比が1.5以上である。
要件5:上記感光性組成物の層を中心波長が436±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量4を求め、上記最低露光量4の逆数を分光感度4とし、
上記感光性組成物の層を中心波長が500±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量3を求め、上記最低露光量3の逆数を分光感度3とした場合、分光感度3に対する分光感度4の比が10以上である。
〔2〕
更に、以下の要件6を満たす、〔1〕に記載の感光性組成物。
要件6:上記感光性組成物の層を中心波長が436±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量4を求め、上記最低露光量4の逆数を分光感度4とし、
上記感光性組成物の層を中心波長が405±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量1を求め、上記最低露光量1の逆数を分光感度1とした場合、分光感度1に対する分光感度4の比が1.0より大きい。
〔3〕
アルカリ可溶性樹脂と、
重合性化合物と、
光重合開始剤と、を含む感光性組成物であって、
以下の要件1及び2を満たす、感光性組成物。
要件1:上記感光性組成物の層を中心波長が405±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量1を求め、上記最低露光量1の逆数を分光感度1とし、
上記感光性組成物の層を中心波長が365±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量2を求め、上記最低露光量2の逆数を分光感度2とした場合、分光感度2に対する分光感度1の比が1.5以上である。
要件2:上記感光性組成物の層を中心波長が405±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量1を求め、上記最低露光量1の逆数を分光感度1とし、
上記感光性組成物の層を中心波長が500±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量3を求め、上記最低露光量3の逆数を分光感度3とした場合、分光感度3に対する分光感度1の比が10以上である。
〔4〕
更に、以下の要件3を満たす、〔3〕に記載の感光性組成物。
要件3:上記感光性組成物の層を中心波長が405±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量1を求め、上記最低露光量1の逆数を分光感度1とし、
上記感光性組成物の層を中心波長が436±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量4を求め、上記最低露光量4の逆数を分光感度4とした場合、分光感度4に対する分光感度1の比が1.0より大きい。
〔5〕
上記感光性組成物が、可視光領域のうち波長550nm以上の光に対して実質的に感度を持たない、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の感光性組成物。
〔6〕
更に、重合禁止剤を含む、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の感光性組成物。
〔7〕
更に、増感剤を含み、
上記増感剤が、クマリン系化合物、アセン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アクリドン系化合物、チオキサントン系化合物、及びメロシアニン系化合物からなる群から選ばれる1種以上を含む、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の感光性組成物。
〔8〕
上記増感剤が、クマリン系化合物を含む、〔7〕に記載の感光性組成物。
〔9〕
上記増感剤の紫外可視吸収スペクトルにおいて、極大吸収波長が、405±15nmの範囲にあるか、又は、436±15nmの範囲にある、〔7〕又は〔8〕のいずれかに記載の感光性組成物。
〔10〕
上記増感剤の紫外可視吸収スペクトルにおいて、長波長側の吸収端が波長500nm以下の範囲にある、〔7〕~〔9〕のいずれかに記載の感光性組成物。
〔11〕
上記光重合開始剤の含有量に対する上記増感剤の含有量の質量比が、0.050以上である、〔7〕~〔10〕のいずれかに記載の感光性組成物。
〔12〕
上記光重合開始剤の紫外可視吸収スペクトルにおいて、長波長側の吸収端が波長400nm以下の範囲にある、〔1〕~〔11〕のいずれかに記載の感光性組成物。
〔13〕
上記光重合開始剤が、ビイミダゾール系化合物を含む、〔1〕~〔12〕のいずれかに記載の感光性組成物。
〔14〕
更に、紫外線吸収剤を含む、〔1〕~〔13〕のいずれかに記載の感光性組成物。
〔15〕
仮支持体と、
〔1〕~〔14〕のいずれかに記載の感光性組成物からなる感光性組成物層と、を有する、転写フィルム。
〔16〕
上記感光性組成物層の厚みが1~10μmである、〔15〕に記載の転写フィルム。
〔17〕
〔1〕又は〔2〕に記載の感光性組成物からなる第3の感光性組成物層と、基材と、上記第3の感光性組成物層とは異なる感光性組成物層であって波長365nmの光に感光する第4の感光性組成物層と、を有する積層体を準備する工程と、
上記第3の感光性組成物層を波長436nmを主波長とする露光波長で露光する工程と、
上記第4の感光性組成物層を波長365nmを主波長とする露光波長で露光する工程と、
露光された上記第3の感光性組成物層を現像して第3の樹脂パターンを形成する工程と、
露光された上記第4の感光性組成物層を現像して第4の樹脂パターンを形成する工程と、を含む、パターン形成方法。
〔18〕
〔3〕又は〔4〕に記載の感光性組成物からなる第1の感光性組成物層と、基材と、上記第1の感光性組成物層とは異なる感光性組成物層であって波長365nmの光に感光する第2の感光性組成物層と、を有する積層体を準備する工程と、
上記第1の感光性組成物層を波長405nmを主波長とする露光波長で露光する工程と、
上記第2の感光性組成物層を波長365nmを主波長とする露光波長で露光する工程と、
露光された上記第1の感光性組成物層を現像して第1の樹脂パターンを形成する工程と、
露光された上記第2の感光性組成物層を現像して第2の樹脂パターンを形成する工程と、を含む、パターン形成方法。
〔19〕
〔17〕に記載のパターン形成方法を含む、回路基板の製造方法。
〔20〕
〔18〕に記載のパターン形成方法を含む、回路基板の製造方法。
本発明によれば、波長365nmの光では感光しづらく、波長436nmの光で感光し易く、且つ、黄色灯下での保存安定性に優れる、感光性組成物を提供できる。
また、本発明によれば、波長365nmの光では感光しづらく、波長405nmの光で感光し易く、且つ、黄色灯下での保存安定性に優れる、感光性組成物を提供できる。
また、本発明によれば、上記感光性組成物を使用した、転写フィルム、パターン形成方法、及び回路配線の製造方法を提供できる。
最低露光量の測定方法を説明するための模式図である。 転写フィルムの実施形態の一例を説明するための模式図である。 積層体の実施形態の一例を説明するための模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
本明細書において、特段の断りのない限り、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、カラムとして、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、若しくは、TSKgel G2000HxL(いずれも東ソー株式会社製の商品名)、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)、検出器として示差屈折計、及び標準物質としてポリスチレンを使用し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により測定した標準物質のポリスチレンを用いて換算した値である。
本明細書において、特段の断りがない限り、分子量分布がある化合物の分子量は、重量平均分子量(Mw)である。
本明細書において、特段の断りがない限り、ポリマーの構成単位の比は質量比である。
本明細書において、特段の断りがない限り、金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)分光分析装置を用いて測定した値である。
本明細書において、特段の断りがない限り、屈折率は、波長550nmでエリプソメーターを用いて測定した値である。
本明細書において、特段の断りがない限り、色相は、色差計(CR-221、ミノルタ株式会社製)を用いて測定した値である。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロキシ基」は、アクリロキシ基及びメタアクリロキシ基の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含する概念である。
なお、本明細書において、「アルカリ可溶性」とは、22℃において炭酸ナトリウムの1質量%水溶液100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。
本明細書において「水溶性」とは、液温が22℃であるpH7.0の水100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。したがって、例えば、水溶性樹脂とは、上述の溶解度条件を満たす樹脂を意図する。
本明細書において、組成物の「固形分」とは、組成物を用いて形成される組成物層を形成する成分を意味し、組成物が溶剤(有機溶剤、水等)を含む場合、溶剤を除いたすべての成分を意味する。また、組成物層を形成する成分であれば、液体状の成分も固形分とみなす。
本明細書において、「露光波長」とは、感光性組成物層を露光する際に照射される光の波長であって、感光性組成物層に到達する光の波長を意味する。例えば、波長選択性を有するフィルターを介して感光性組成物層を露光する場合、上記フィルターを通過する前の光の波長は露光波長に該当しない。ここで、「波長選択性」とは、特定の波長範囲の光を透過する性質を意味する。本明細書において、光の波長及び光の強度は、公知の分光器(例えば、RPS900-R、International Light Technologies社製)を用いて測定する。
本明細書において、「主波長」とは、感光性組成物層に到達する光の波長(すなわち露光波長)のうち強度が最も強い光の波長を指す。例えば、感光性組成物層に到達する光が、波長365nmと波長436nmとを有し、波長365nmの強度が波長436nmの強度よりも大きい露光光である場合、上記露光光の主波長は365nmとなる。本明細書において、「露光光」とは、感光性組成物層を露光するために使用される光を意味する。
本発明において「透明」とは、露光波長のうち主波長における透過率が30%以上であることを意味する。上記透過率としては、50%以上であるのが好ましく、60%以上であるのがより好ましく、80%以上であるのが更に好ましく、90%以上であるのが特に好ましい。上記透過率の上限としては、特に制限されず、例えば、100%以下である。
透過率は、公知の透過率測定器(例えば、日本分光社製V-700series)を用いて測定する。
[第1実施形態の感光性組成物]
本発明の第1実施形態の感光性組成物(以下「第1実施形態の感光性組成物」ともいう。)は、アルカリ可溶性樹脂と、重合性化合物と、光重合開始剤と、を含む感光性組成物であって、後述する要件1及び2を満たす。
第1実施形態の感光性組成物は、上記構成(主に、要件1)により、波長365nmの光では感光しづらく、波長405nmの光で感光し易い。この結果として、両面露光に際して透明導電層付き基材の一方の面に配置される感光性組成物層として第1実施形態の感光性組成物から形成される感光性組成物層を適用した積層体は、上記透明導電層付き基材の他方の面に配置される感光性組成物層が365nmを主波長とする露光波長にて好適に感光する感光性組成物層である場合、露光かぶりが抑制され得る(つまり、第1実施形態の感光性組成物から形成される感光性組成物層は、透明導電層付き基材の対向する他方の面に配置された感光性組成物層の露光光によって感光しにくい)。また、第1実施形態の感光性組成物は、上記構成(主に要件2)により、黄色灯下での保存安定性に優れる。
以下において、両面露光に適用された際に第1実施形態の感光性組成物から形成される感光性組成物層の露光かぶりがより抑制されること、両面露光に適用された際に第1実施形態の感光性組成物から形成される感光性組成物層の解像性がより優れること、及び/又は、第1実施形態の感光性組成物の黄色灯下での保存安定性がより優れることを、「本発明の効果がより優れる」という場合もある。
〔第1実施形態の感光性組成物の特性〕
第1実施形態の感光性組成物は、要件1及び2を満たす。
要件1:感光性組成物の層を中心波長が405±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量1を求め、上記最低露光量1の逆数を分光感度1とし、
感光性組成物の層を中心波長が365±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量2を求め、上記最低露光量2の逆数を分光感度2とした場合、分光感度2に対する分光感度1の比(分光感度1/分光感度2)が1.5以上である。
要件2:感光性組成物の層を中心波長が405±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量1を求め、上記最低露光量1の逆数を分光感度1とし、
感光性組成物の層を中心波長が500±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量3を求め、上最低露光量3の逆数を分光感度3とした場合、分光感度3に対する分光感度1の比(分光感度1/分光感度3)が10以上である。
第1実施形態の感光性組成物は、本発明の効果がより優れる点で、更に要件3を満たすのも好ましい。
要件3:感光性組成物の層を中心波長が405±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量1を求め、上記最低露光量1の逆数を分光感度1とし、
感光性組成物の層を中心波長が436±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量4を求め、上記最低露光量4の逆数を分光感度4とした場合、分光感度4に対する分光感度1の比(分光感度1/分光感度4)が1.0より大きい。
以下、まず、要件1における分光感度比の具体的な測定手順について説明する。
≪感光性組成物の層の作製≫
まず、分光感度1及び分光感度2の測定に際して、ガラス基板上と、ガラス基板上に配置された第1実施形態の感光性組成物の層とからなる試験片を各々作製する。
具体的には、ガラス基板上に、第1実施形態の感光性組成物を塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を乾燥することにより感光性組成物の層を形成する。
ガラス基板としては、例えば、ソーダガラス、無アルカリガラス、及び石英ガラス等を使用できる。
感光性組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート及びスリットコート等が使用できる。
塗膜の乾燥方法としては、例えば、ホットプレート、コンベクションオーブン、及び、IRオーブン等が使用できる。
塗膜の乾燥温度としては、60~110℃であるのが好ましく、70~110℃であるのがより好ましい。また、乾燥時間は、1~10分であるのが好ましく、2~5分であるのがより好ましい。
感光性組成物の層の乾燥後の厚みとしては、0.5~15μmであるのが好ましく、2~10μmであるのがより好ましく、6.0μmであるのが更に好ましい。
≪分光感度1の測定≫
次いで、所定の光源を用い、感光性組成物の層に対して、露光量を増加させながら複数の箇所において、中心波長が405±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光する。
上記露光方法の一例としては、露光量を1mJ/cmから3mJ/cm毎増加させながら、感光性組成物の層の異なる位置に露光を15箇所以上行う方法(つまり、感光性組成物の層の表面の異なる15箇所以上の位置に対して、異なる露光量の露光をそれぞれ行う方法)が挙げられる。図1に具体的な方法の一例を示す。図1では、白抜き矢印で表されるように、感光性組成物の層1の3か所の異なる位置において露光量を変えた露光を行っている。図1中の一番左側の露光では露光量ZmJ/cmでの露光が行われ、真ん中の露光では露光量(Z+3)mJ/cmでの露光が行われ、一番右側の露光では露光量(Z+3×2)mJ/cmでの露光が行われる(つまり、露光箇所毎に、露光量を3mJ/cm毎増加させながら、露光が行われる)。なお、露光箇所の数の上限は特に制限されないが、例えば、50箇所以下である。また、上記露光箇所の面積は特に制限されないが、例えば、縦5mm×横25mm程度が挙げられる。
感光性組成物の層の異なる箇所に露光量を変えた露光は、市販のステップタブレットマスクを使用して実施してもよい。ステップタブレットマスクの市販品としては、例えば、ストーファー社製のストーファー41段ステップタブレット、及び、富士フイルム株式会社製の15段ステップタブレットマスク(ST15-T-001)等が使用できる。
露光装置としては、所定の波長の光を照射可能であれば特に制限されないが、例えば、超高圧水銀灯を使用するのが好ましい。
また、露光装置としては、プロキシミティー型露光機(例えば、日立ハイテク電子エンジニアリング社製のプロキシミティー型露光機)を使用するのが好ましい。
超高圧水銀灯のように離散的な(g線、h線、i線のように)光量分布を持つ光源光の場合、波長選択性を有するフィルター(バンドパスフィルター)を介することで、露光光を、中心波長が405±2nmであり、半値幅が10±2nmの波長特性の光に調整できる。上記波長特性の光を調整し得るバンドパスフィルターとしては、例えば、朝日分光株式会社製の「HMZ0405」等を使用できる。
超高圧水銀ランプでの露光時の照度は、5~100mW/cmが好ましく、10~50mW/cmがより好ましい。
また、露光は、例えば、コンタクト露光、プロキシミティ露光方式、レンズ系若しくはミラー系のプロジェクション露光方式、及び、露光レーザー等を用いたダイレクト露光方式の中から適宜選択して適用してよい。また、露光は、大気下で実施してもよいし、減圧又は真空下で行ってもよい。
露光の好適な一態様としては、例えば、真空下(例えば、真空度が20~70Pa)でのコンタクト露光が挙げられる。
露光処理の具体的な実施方法としては、乾燥膜厚6.0μmの感光性組成物の層に対して、超高圧水銀灯を使用して、真空下(具体的には、真空度が50Pa程度)にて、バンドパスフィルター及びステップタブレットマスクを介したコンタクト露光を実施する方法であるのが好ましい。
露光処理された感光性組成物層は、現像処理に供される前に、25℃60%RHの環境下にて所定期間(例えば、24時間)の間保管されるのが好ましい。
露光後、露光された感光性組成物の層に対して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像処理を実施する。また、現像処理後に、任意で洗浄処理を実施してもよい。
現像処理及び洗浄処理は、山縣機械社製の現像機「YCD-500WA」を使用し、シャワーノズルとして「フルコーンノズル」を使用して実施できる。
現像処理及び洗浄処理の具体的な実施方法としては、山縣機械社製の現像機「YCD-500WA」を使用して、温度30℃の1.0質量%濃度の炭酸カリウム水溶液を使用して60秒間の現像処理(現像方式:シャワー現像、シャワーノズル:「フルコーンノズル」、シャワー圧力:0.10MPa、シャワー流量は1000mL/min、当てる角度:90°)を実施し、その後、温度30℃の純水を使用して30秒間の洗浄処理(洗浄方式:シャワー洗浄、シャワーノズル:「フルコーンノズル」、シャワー圧力:0.10MPa、シャワー流量は1000mL/min、当てる角度:90°)とする方法が挙げられる。
なお、現像処理後に洗浄処理を実施しない場合、上述の手順において洗浄処理を省けばよい。
上記現像処理及び洗浄処理を実施後、乾燥を実施することが好ましい。
乾燥温度としては特に制限されないが、例えば、30~80℃であるのが好ましく、30~60℃であるのがより好ましい。
乾燥時間としては特に制限されないが、例えば、5~30分であるのが好ましく、5~10分であるのがより好ましい。
上述の現像処理及び洗浄処理を行うと、露光箇所において感光性組成物の層の硬化膜が得られる。
次いで、現像処理後のガラス基板の露光部を目視にて観察する。
現像処理後のガラス基板上の露光部においては、異なる露光量にて露光された複数の箇所が存在する。各箇所の残膜の有無を目視にて確認し、残膜が発生した箇所の各露光量(mJ/cm)のうちの最も低い露光量(すなわち、残膜が発生し始める露光量)を最低露光量として判定する。つまり、上記の最低露光量を最低露光量1(mJ/cm)とする。
得られた最低露光量1(mJ/cm)の逆数をとり、分光感度1を求める。
≪分光感度2の測定≫
露光光の波長特性を中心波長が365±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光に変更した以外は、上述の分光感度1の測定方法と同様にして最低露光量2(mJ/cm)の測定を実施する。
上記波長特性の光を調整し得るバンドパスフィルターとしては、例えば、朝日分光株式会社製の「MZ0365」等を使用できる。
得られた最低露光量2(mJ/cm)の逆数をとり、分光感度2を求める。
《分光感度比》
第1実施形態の感光性組成物において、分光感度2に対する分光感度1の比(分光感度1/分光感度2)が1.5以上を満たし、2.0以上であるのが好ましい。上記分光感度比の上限値としては特に制限されないが、例えば、10以下である。
次に、要件2における分光感度比の具体的な測定手順について説明する。
≪分光感度1の測定≫
分光感度1の測定方法としては、上述の要件1の分光感度1の測定方法と同じである。
≪分光感度3の測定≫
露光光を中心波長が500±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光に変更した以外は、上述の分光感度1の測定方法と同様にして最低露光量3(mJ/cm)の測定を実施する。
上記波長特性の光を調整し得るバンドパスフィルターとしては、例えば、朝日分光株式会社製の「HMZ0436」等を使用できる。
得られた最低露光量3(mJ/cm)の逆数をとり、分光感度3を求める。
《分光感度比》
第1実施形態の感光性組成物において、分光感度3に対する分光感度1の比(分光感度1/分光感度3)が10以上を満たし、20以上であるのが好ましく、100以上がより好ましい。上記分光感度比の上限値としては特に制限されないが、例えば、200以下である。
次に、要件3における分光感度比の具体的な測定手順について説明する。
≪感光性組成物の層の作製≫
まず、分光感度1及び分光感度4の測定に際して、ガラス基板上と、ガラス基板上に配置された第1実施形態の感光性組成物の層とからなる試験片を各々作製する。各試験片の作製方法としては、上述の要件1において説明した作製方法と同じである。
≪分光感度1の測定≫
分光感度1の測定方法としては、上述の要件1の分光感度1の測定方法と同じである。
≪分光感度4の測定≫
露光光を中心波長が436±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光に変更した以外は、上述の分光感度1の測定方法と同様にして最低露光量4(mJ/cm)の測定を実施する。
上記波長特性の光を調整し得るバンドパスフィルターとしては、例えば、朝日分光株式会社製の「HMZ0436」等を使用できる。
得られた最低露光量4(mJ/cm)の逆数をとり、分光感度4を求める。
《分光感度比》
第1実施形態の感光性組成物において、分光感度4に対する分光感度1の比(分光感度1/分光感度4)が1.0より大きいのが好ましく、本発明の効果がより優れる点で、1.5以上であるのが好ましい。上記分光感度比の上限値としては特に制限されないが、例えば、500以下であるのが好ましい。
更に、第1実施形態の感光性組成物は、黄色灯下の保存安定性がより優れる点で、可視光領域のうち波長550nm以上の光に対して実質的に感度を持たないことが好ましい。
ここで、可視光領域のうち波長550nm以上の光に対して実質的に感度を持たないか否かは、以下の測定に基づいて最低露光量X(mJ/cm)を求めたときに、最低露光量Xが5000mJ/cm以上であることを意味する。
なお、可視光とは、波長400~700nmの光を意味する。
≪最低露光量X(mJ/cm)の測定≫
露光波長を波長550nm以上の光に変更した以外は、上述の分光感度1の測定方法と同様にして最低露光量X(mJ/cm)の測定を実施する。
上記波長特性の光を調整し得るバンドパスフィルターとしては、例えば、ロングパスフィルターLV0550(朝日分光社製)を使用できる。
[第2実施形態の感光性組成物]
本発明の第2実施形態の感光性組成物(以下「第2実施形態の感光性組成物」ともいう。)は、アルカリ可溶性樹脂と、重合性化合物と、光重合開始剤と、を含む感光性組成物であって、後述する要件4及び5を満たす。
第2実施形態の感光性組成物は、上記構成(主に、要件4)により、波長365nmの光では感光しづらく、波長436nmの光で感光し易い。この結果として、両面露光に際して透明導電層付き基材の一方の面に配置される感光性組成物層として第2実施形態の感光性組成物から形成される感光性組成物層を適用した積層体は、上記透明導電層付き基材の他方の面に配置される感光性組成物層が365nmを主波長とする露光波長にて好適に感光する感光性組成物層である場合、露光かぶりが抑制され得る(つまり、第2実施形態の感光性組成物から形成される感光性組成物層は、透明導電層付き基材の対向する他方の面に配置された感光性組成物層の露光光によって感光しにくい)。また、第2実施形態の感光性組成物は、上記構成(主に要件5)により、黄色灯下での保存安定性に優れる。
以下において、両面露光に適用された際に第2実施形態の感光性組成物から形成される感光性組成物層の露光かぶりがより抑制されること、両面露光に適用された際に第2実施形態の感光性組成物から形成される感光性組成物層の解像性がより優れること、及び/又は、第2実施形態の感光性組成物の黄色灯下での保存安定性がより優れることを、「本発明の効果がより優れる」という場合もある。
〔第2実施形態の感光性組成物の特性〕
第2実施形態の感光性組成物は、要件4及び5を満たす。
要件4:感光性組成物の層を中心波長が436±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量4を求め、上記最低露光量4の逆数を分光感度4とし、
感光性組成物の層を中心波長が365±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量2を求め、上記最低露光量2の逆数を分光感度2とした場合、分光感度2に対する分光感度4の比(分光感度4/分光感度2)が1.5以上である。
要件5:感光性組成物の層を中心波長が436±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量4を求め、上記最低露光量4の逆数を分光感度4とし、
感光性組成物の層を中心波長が500±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量3を求め、上記最低露光量3の逆数を分光感度3とした場合、分光感度3に対する分光感度4の比(分光感度4/分光感度3)が10以上である。
第2実施形態の感光性組成物は、本発明の効果がより優れる点で、更に要件6を満たすのも好ましい。
要件6:感光性組成物の層を中心波長が436±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量4を求め、上記最低露光量4の逆数を分光感度4とし、
感光性組成物の層を中心波長が405±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量1を求め、上記最低露光量1の逆数を分光感度1とした場合、分光感度1に対する分光感度4の比(分光感度4/分光感度1)が1.0より大きい。
以下、まず、要件4における分光感度比の具体的な測定手順について説明する。
≪感光性組成物の層の作製≫
まず、分光感度4及び分光感度1の測定に際して、ガラス基板上と、ガラス基板上に配置された第2実施形態の感光性組成物の層とからなる試験片を各々作製する。
具体的には、ガラス基板上に、第2実施形態の感光性組成物を塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を乾燥することにより感光性組成物の層を形成する。
ガラス基板としては、例えば、ソーダガラス、無アルカリガラス、及び石英ガラス等を使用できる。
感光性組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート及びスリットコート等が使用できる。
塗膜の乾燥方法としては、例えば、ホットプレート、コンベクションオーブン、及び、IRオーブン等が使用できる。
塗膜の乾燥温度としては、60~110℃であるのが好ましく、70~110℃であるのがより好ましい。また、乾燥時間は、1~10分であるのが好ましく、2~5分であるのがより好ましい。
感光性組成物の層の乾燥後の厚みとしては、0.5~15μmであるのが好ましく、2~10μmであるのがより好ましく、6.0μmであるのが更に好ましい。
≪分光感度4の測定≫
次いで、所定の光源を用い、感光性組成物の層に対して、露光量を増加させながら複数の箇所において、中心波長が436±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光する。
上記露光方法の一例としては、露光量を1mJ/cmから3mJ/cm毎増加させながら、感光性組成物の層の異なる位置に露光を15箇所以上行う方法(つまり、感光性組成物の層の表面の異なる15箇所以上の位置に対して、異なる露光量の露光をそれぞれ行う方法)が挙げられる。図1に具体的な方法の一例を示す。図1では、白抜き矢印で表されるように、感光性組成物の層1の3か所の異なる位置において露光量を変えた露光を行っている。図1中の一番左側の露光では露光量ZmJ/cmでの露光が行われ、真ん中の露光では露光量(Z+3)mJ/cmでの露光が行われ、一番右側の露光では露光量(Z+3×2)mJ/cmでの露光が行われる(つまり、露光箇所毎に、露光量を3mJ/cm毎増加させながら、露光が行われる)。なお、露光箇所の数の上限は特に制限されないが、例えば、50箇所以下である。また、上記露光箇所の面積は特に制限されないが、例えば、縦5mm×横25mm程度が挙げられる。
感光性組成物の層の異なる箇所に露光量を変えた露光は、市販のステップタブレットマスクを使用して実施してもよい。ステップタブレットマスクの市販品としては、例えば、ストーファー社製のストーファー41段ステップタブレット、及び、富士フイルム株式会社製の15段ステップタブレットマスク(ST15-T-001)等が使用できる。
露光装置としては、所定の波長の光を照射可能であれば特に制限されないが、例えば、超高圧水銀灯を使用するのが好ましい。
また、露光装置としては、プロキシミティー型露光機(例えば、日立ハイテク電子エンジニアリング社製のプロキシミティー型露光機)を使用するのが好ましい。
超高圧水銀灯のように離散的な(g線、h線、i線のように)光量分布を持つ光源光の場合、波長選択性を有するフィルター(バンドパスフィルター)を介することで、露光光を、中心波長が436±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光に調整できる。上記波長特性の光を調整し得るバンドパスフィルターとしては、例えば、朝日分光株式会社製の「HMZ0436」等を使用できる。
超高圧水銀ランプでの露光時の照度は、5~100mW/cmが好ましく、10~50mW/cmがより好ましい。
また、露光は、例えば、コンタクト露光、プロキシミティ露光方式、レンズ系若しくはミラー系のプロジェクション露光方式、及び、露光レーザー等を用いたダイレクト露光方式の中から適宜選択して適用してよい。また、露光は、大気下で実施してもよいし、減圧又は真空下で行ってもよい。
露光の好適な一態様としては、例えば、真空下(例えば、真空度が20~70Pa)でのコンタクト露光が挙げられる。
露光処理の具体的な実施方法としては、乾燥膜厚6.0μmの感光性組成物の層に対して、超高圧水銀灯を使用して、真空下(具体的には、真空度が50Pa程度)にて、バンドパスフィルター及びステップタブレットマスクを介したコンタクト露光を実施する方法であるのが好ましい。
露光処理された感光性組成物層は、現像処理に供される前に、25℃60%RHの環境下にて所定期間(例えば、24時間)の間保管されるのが好ましい。
露光後、露光された感光性組成物の層に対して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像処理を実施する。また、現像処理後に、任意で洗浄処理を実施してもよい。
現像処理及び洗浄処理は、山縣機械社製の現像機「YCD-500WA」を使用し、シャワーノズルとして「フルコーンノズル」を使用して実施できる。
現像処理及び洗浄処理の具体的な実施方法としては、山縣機械社製の現像機「YCD-500WA」を使用して、温度30℃の1.0質量%濃度の炭酸カリウム水溶液を使用して60秒間の現像処理(現像方式:シャワー現像、シャワーノズル:「フルコーンノズル」、シャワー圧力:0.10MPa、シャワー流量は1000mL/min、当てる角度:90°)を実施し、その後、温度30℃の純水を使用して30秒間の洗浄処理(洗浄方式:シャワー洗浄、シャワーノズル:「フルコーンノズル」、シャワー圧力:0.10MPa、シャワー流量は1000mL/min、当てる角度:90°)とする方法が挙げられる。
なお、現像処理後に洗浄処理を実施しない場合、上述の手順において洗浄処理を省けばよい。
上記現像処理及び洗浄処理を実施後、乾燥を実施することが好ましい。
乾燥温度としては特に制限されないが、例えば、30~80℃であるのが好ましく、30~60℃であるのがより好ましい。
乾燥時間としては特に制限されないが、例えば、5~30分であるのが好ましく、5~10分であるのがより好ましい。
上述の現像処理及び洗浄処理を行うと、露光箇所において感光性組成物の層の硬化膜が得られる。
次いで、現像処理後のガラス基板の露光部を目視にて観察する。
現像処理後のガラス基板上の露光部においては、異なる露光量にて露光された複数の箇所が存在する。各箇所の残膜の有無を目視にて確認し、残膜が発生した箇所の各露光量(mJ/cm)のうちの最も低い露光量(すなわち、残膜が発生し始める露光量)を最低露光量として判定する。つまり、上記の最低露光量を最低露光量4(mJ/cm)とする。
得られた最低露光量4(mJ/cm)の逆数をとり、分光感度4を求める。
≪分光感度2の測定≫
露光光の波長特性を中心波長が365±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光に変更した以外は、上述の分光感度4の測定方法と同様にして最低露光量2(mJ/cm)の測定を実施する。
上記波長特性の光を調整し得るバンドパスフィルターとしては、例えば、朝日分光株式会社製の「MZ0365」等を使用できる。
得られた最低露光量2(mJ/cm)の逆数をとり、分光感度2を求める。
《分光感度比》
第2実施形態の感光性組成物において、分光感度2に対する分光感度4の比(分光感度4/分光感度2)が1.5以上を満たし、2.0以上であるのが好ましい。上記分光感度比の上限値としては特に制限されないが、例えば、10以下である。
次に、要件5における分光感度比の具体的な測定手順について説明する。
≪分光感度4の測定≫
分光感度4の測定方法としては、上述の要件4の分光感度4の測定方法と同じである。
≪分光感度3の測定≫
露光光を中心波長が500±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光に変更した以外は、上述の分光感度4の測定方法と同様にして最低露光量3(mJ/cm)の測定を実施する。
上記波長特性の光を調整し得るバンドパスフィルターとしては、例えば、朝日分光株式会社製の「HMZ0436」等を使用できる。
得られた最低露光量3(mJ/cm)の逆数をとり、分光感度3を求める。
《分光感度比》
第2実施形態の感光性組成物において、分光感度3に対する分光感度4の比(分光感度4/分光感度3)が10以上を満たし、20以上であるのが好ましく、40以上であるのがより好ましい。上記分光感度比の上限値としては特に制限されないが、例えば、200以下である。
次に、要件6における分光感度比の具体的な測定手順について説明する。
≪分光感度4の測定≫
分光感度4の測定方法としては、上述の要件4の分光感度4の測定方法と同じである。
≪分光感度1の測定≫
露光波長の波長特性を中心波長が405±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光に変更した以外は、上述の分光感度4の測定方法と同様にして最低露光量1(mJ/cm)の測定を実施する。
上記波長特性の光を調整し得るバンドパスフィルターとしては、例えば、朝日分光株式会社製の「HMZ0405」等を使用できる。
得られた最低露光量1(mJ/cm)の逆数をとり、分光感度1を求める。
《分光感度比》
第2実施形態の感光性組成物において、分光感度1に対する分光感度4の比(分光感度4/分光感度1)が1.0より大きいのが好ましく、本発明の効果がより優れる点で、1.5以上であるのが好ましい。上記分光感度比の上限値としては特に制限されないが、例えば、5.0以下であるのが好ましい。
更に、第2実施形態の感光性組成物は、黄色灯下での保存安定性がより優れる点で、可視光領域のうち波長550nm以上の光に対して実質的に感度を持たないことが好ましい。
ここで、可視光領域のうち波長550nm以上の光に対して実質的に感度を持たないか否かは、以下の測定に基づいて最低露光量X(mJ/cm)を求めたときに、最低露光量Xが5000mJ/cm以上であることを意味する。
なお、可視光とは、波長400~700nmの光を意味する。
≪最低露光量X(mJ/cm)の測定≫
露光波長を波長550nm以上の光に変更した以外は、上述の分光感度1の測定方法と同様にして最低露光量X(mJ/cm)の測定を実施する。
上記波長特性の光を調整し得るバンドパスフィルターとしては、例えば、ロングパスフィルターLV0550(朝日分光社製)を使用できる。
[第1実施形態及び第2実施形態の感光性組成物]
第1実施形態及び第2実施形態の感光性組成物(以下「感光性組成物」と総称する。)が含み得る成分について述べる。
なお、第1実施形態及び第2実施形態の感光性組成物の組成は、増感剤の極大吸収波長の好適範囲が異なる点以外は同様の構成とすることができる。
第1実施形態及び第2実施形態の感光性組成物は、主に、増感剤及び光重合開始剤の各含有量、光重合開始剤に対する増感剤の含有量比、増感剤の極大吸収波長位置、及び/又は、増感剤及び光重合開始剤の紫外可視吸収スペクトルにおける長波長側の吸収端の波長等を調整することで所期の効果が得られやすい。
<樹脂>
感光性組成物は、樹脂を含む。
また、感光性組成物が含む樹脂のうち少なくとも一部はアルカリ可溶性樹脂である。換言すると、感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含む。現像性がより優れる点で、感光性組成物が含む樹脂のすべてがアルカリ可溶性樹脂であるのが好ましい。
以下、アルカリ可溶性樹脂の好適態様の一例について述べる。
露光時の焦点位置にずれが生じたときの線幅太り及び解像度の悪化を抑制する点で、アルカリ可溶性樹脂は、芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含むのが好ましい。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、置換基を有していてもよいフェニル基及び置換基を有していてもよいアラルキル基が挙げられる。
芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位の含有量は、アルカリ可溶性樹脂の全質量に対して、10.0質量%以上が好ましく、20.0質量%以上がより好ましく、30.0質量%以上が更に好ましい。上限は、アルカリ可溶性樹脂の全質量に対して、80.0質量%以下が好ましく、60.0質量%以下がより好ましく、55.0質量%以下が更に好ましい。感光性組成物が複数のアルカリ可溶性樹脂を含む場合、芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位の含有量の質量平均値が、上記範囲内であるのが好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体としては、例えば、アラルキル基を有する単量体、スチレン及び重合可能なスチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー及びスチレントリマー等)が挙げられ、アラルキル基を有する単量体又はスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体がスチレンである場合、スチレンに由来する構成単位の含有量は、アルカリ可溶性樹脂の全質量に対して、10.0~80.0質量%が好ましく、20.0~60.0質量%がより好ましく、30.0~55.0質量%が更に好ましい。感光性組成物が複数のアルカリ可溶性樹脂を含む場合、芳香族炭化水素基を有する構成単位の含有量の質量平均値が、上記範囲内であるのが好ましい。
アラルキル基としては、例えば、置換基を有していてもよいフェニルアルキル基(ただし、ベンジル基を除く)及び置換基を有していてもよいベンジル基が挙げられ、置換基を有していてもよいベンジル基が好ましい。
フェニルアルキル基を有する単量体としては、例えば、フェニルエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ベンジル基を有する単量体としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート及びクロロベンジル(メタ)アクリレート等のベンジル基を有する(メタ)アクリレート;ビニルベンジルクロライド及びビニルベンジルアルコール等のベンジル基を有するビニルモノマーが挙げられ、ベンジル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体がベンジル(メタ)アクリレートである場合、ベンジル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量は、アルカリ可溶性樹脂の全質量に対して、10.0~90.0質量%が好ましく、20.0~85.0質量%がより好ましく、30.0~85.0質量%が更に好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含むアルカリ可溶性樹脂は、芳香族炭化水素基を有する単量体と、後述する第1単量体を少なくとも1種及び/又は後述する第2単量体を少なくとも1種と、を重合することにより得られるのが好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含まないアルカリ可溶性樹脂は、後述する第1単量体の少なくとも1種を重合することにより得られるのが好ましく、第1単量体の少なくとも1種と後述する第2単量体の少なくとも1種とを重合することにより得られることがより好ましい。
第1単量体は、分子中にカルボキシ基を有する単量体である。
第1単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、4-ビニル安息香酸、マレイン酸無水物及びマレイン酸半エステルが挙げられ、(メタ)アクリル酸が好ましい。
第1単量体に由来する構成単位の含有量は、アルカリ可溶性樹脂の全質量に対して、5.0~50.0質量%が好ましく、10.0~40.0質量%がより好ましく、10.0~30.0質量%が更に好ましい。
上記含有量が5.0質量%以上である場合、優れる現像性及びエッジフューズ性の制御等を実現できる。上記含有量が50.0質量%以下である場合、レジストパターンの高解像性、スソ形状の制御及びレジストパターンの高耐薬品性を実現できる。
第2単量体は、非酸性(酸性基を有さない)であり、かつ、分子中に重合性基を有する単量体である。
重合性基は、後述する重合性化合物が有する重合性基と同義であり、好適態様も同じである。
第2単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類;(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
なかでも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はn-ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレート又はエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
第2単量体に由来する構成単位の含有量は、アルカリ可溶性樹脂の全質量に対して、1.0~80.0質量%が好ましく、1.0~60.0質量%がより好ましく、10.0~50.0質量%が更に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、側鎖に、直鎖構造、分岐構造及び脂環構造のいずれかを有していてもよい。
側鎖に分岐構造を有する基を含む単量体又は側鎖に脂環構造を有する基を含む単量体を使用することによって、アルカリ可溶性樹脂の側鎖に分岐構造又は脂環構造を導入することができる。脂環構造を有する基は、単環及び多環のいずれであってもよい。
「側鎖」とは、主鎖から枝分かれした原子団を意味する。「主鎖」とは、アルカリ可溶性樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を意味する。
側鎖に分岐構造を有する基を含む単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸tert-アミル、(メタ)アクリル酸sec-アミル、(メタ)アクリル酸2-オクチル、(メタ)アクリル酸3-オクチル及び(メタ)アクリル酸tert-オクチルが挙げられる。
なかでも、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル又はメタクリル酸tert-ブチルが好ましく、メタクリル酸イソプロピル又はメタクリル酸tert-ブチルがより好ましい。
側鎖に脂環構造を有する基を含む単量体としては、例えば、単環の脂肪族炭化水素基を有する単量体及び多環の脂肪族炭化水素基を有する単量体が挙げられる。また、炭素数5~20の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
具体的には、(メタ)アクリル酸(ビシクロ〔2.2.1〕ヘプチル-2)、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-5-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5,8-トリエチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-8-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-メチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-エチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-5-イル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-1-イルメチル、(メタ)アクリル酸-1-メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸-3-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-ビシクロ〔3.1.1〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸-3,7,7-トリメチル-4-ヒドロキシ-ビシクロ〔4.1.0〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸-2,2,5-トリメチルシクロヘキシル及び(メタ)アクリル酸シクロヘキシルが挙げられる。
なかでも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸1-メンチル又は(メタ)アクリル酸トリシクロデカンが好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル又は(メタ)アクリル酸トリシクロデカンがより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、重合性基を有するのも好ましい。
アルカリ可溶性樹脂が重合性基を有する場合、アルカリ可溶性樹脂は、重合性基を有する構成単位を含むことがより好ましく、側鎖にエチレン性不飽和基を有する構成単位を含むことが更に好ましい。
上記重合性基としては、後述する重合性化合物が有する重合性基が挙げられ、エチレン性不飽和基が好ましく、アクリロイル基又はメタアクリロイル基がより好ましい。
また、上記重合性基は、重合性化合物の重合性基と重合反応し得る重合性基も好ましい。
重合性基を有する構成単位を含むアルカリ可溶性樹脂は、第1単量体に由来する構成単位を含む樹脂と、第3単量体とを反応することにより得られるのが好ましい。
第3単量体は、分子中に2つ以上の重合性基を有する単量体であり、分子中に2つの重合性基を有する単量体であるのが好ましい。
上記重合性基としては、例えば、後述する重合性化合物が有する重合性基が挙げられる。なかでも、第3単量体は、2種の重合性基を有するのが好ましく、エチレン性不飽和基とカチオン性重合性基とを有することがより好ましく、アクリロイル基又はメタアクリロイル基とエポキシ基とを有することが更に好ましい。
第3単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂が重合性基を有する構成単位を含む場合、重合性基を有する構成単位の含有量は、アルカリ可溶性樹脂の全質量に対して、5.0~70.0質量%が好ましく、10.0~50.0質量%がより好ましく、15.0~40.0質量%が更に好ましく、20.0~40.0質量%が特に好ましい。
なお、重合性基を樹脂に導入する方法としては、例えば、樹脂が有する、ヒドロキシ基、カルボキシ基、第1級アミノ基、第2級アミノ基、アセトアセチル基、及びスルホ基等の基に、エポキシ化合物、ブロックイソシアネート化合物、イソシアネート化合物、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物及びカルボン酸無水物を反応させる方法が挙げられる。
重合性基を樹脂に導入する方法の好適態様としては、例えば、第1単量体を重合反応により合成した後、得られた樹脂の第1単量体に由来する構成単位のカルボキシ基の一部に第3単量体(好ましくは、グリシジル(メタ)アクリレート)を高分子反応させて、樹脂に重合性基(好ましくは、(メタ)アクリロキシ基)を導入する方法が挙げられる。上記高分子反応の反応温度は、80~110℃が好ましい。上記高分子反応は、触媒を用いるのが好ましく、アンモニウム塩(テトラエチルアンモニウムブロミド)を用いることがより好ましい。
上記重合反応の反応温度は、70~100℃が好ましく、80~90℃がより好ましい。上記重合反応は、重合開始剤を用いるのが好ましく、重合開始剤としてアゾ系開始剤を用いることがより好ましく、重合開始剤としてV-601(富士フイルム和光純薬社製)又はV-65(富士フイルム和光純薬社製)が更に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、現像性がより優れる点で、なかでも、メタクリル酸に由来する構成単位とメチルメタクリレートに由来する構成単位とスチレンに由来する構成単位又はベンジルメタクリレートに由来する構成単位とを含む樹脂、及び、メタクリル酸に由来する構成単位とスチレンに由来する構成単位とを含む樹脂が好ましい。
また、上記樹脂の各態様において、各構成単位の含有量を、上述したそれぞれの好適態様にすることも好ましい。
アルカリ可溶性樹脂のTgは、60~135℃が好ましく、70~115℃がより好ましく、75~105℃が更に好ましく、80~100℃が特に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、220mgKOH/g以下が好ましく、200mgKOH/g未満がより好ましく、170mgKOH/g未満が更に好ましい。下限は、10mgKOH/g以上が好ましく、50mgKOH/g以上がより好ましく、70mgKOH/g以上が更に好ましい。
「酸価(mgKOH/g)」とは、試料1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの質量(mg)を意味する。酸価は、例えば、JIS K0070:1992に準拠して求めることができる。
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、樹脂が有する構成単位の種類及び/又は酸基を含む構成単位の含有量によって調整できる。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量としては、5,000~500,000が好ましく、10,000~100,000がより好ましく、20,000~60,000が特に好ましい。
重量平均分子量が500,000以下である場合、解像性及び現像性を向上できる。また。重量平均分子量が5,000以上である場合、現像凝集物の性状、並びに、転写フィルムのエッジフューズ性及びカットチップ性等の未露光膜の性状を制御できる。「エッジフューズ性」とは、転写フィルムをロール状に巻き取った場合に、ロールの端面からの、感光性組成物層のはみ出し易さの程度を意味する。「カットチップ性」とは、未露光膜をカッターで切断した場合に、チップの飛び易さの程度を意味する。このチップが転写フィルムの上面等に付着すると、後の露光工程等でマスクに転写して不良品の原因となる。
アルカリ可溶性樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1.0~6.0が好ましく、1.0~4.0がより好ましく、1.0~3.0が更に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の合成方法としては、例えば、上述した単量体を、アセトン、メチルエチルケトン及びイソプロパノール等の溶剤で希釈した溶液に、過酸化ベンゾイル及びアゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を適量添加し、加熱撹拌する方法が挙げられる。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成してもよい。また、反応終了後、更に溶剤を加えて、所望の濃度に調整してもよい。
なお、アルカリ可溶性樹脂の合成方法としては、上記以外に、例えば、塊状重合、懸濁重合及び乳化重合が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
感光性組成物は、上述した樹脂以外のその他樹脂を含んでいてもよい。
その他樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン-アクリル系共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びポリアルキレングリコールが挙げられる。
感光性組成物において、樹脂の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、10.0~90.0質量%が好ましく、20.0~80.0質量%がより好ましく、30.0~70.0質量%が更に好ましい。樹脂の含有量が、感光性組成物の全固形分に対して、90.0質量%以下である場合、現像時間を制御できる。また、樹脂の含有量が、感光性組成物の全固形分に対して、10.0質量%以上である場合、耐エッジフューズ性を向上できる。
アルカリ可溶性樹脂の含有量としては、樹脂の全質量に対して、60~100質量%が好ましく、75~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましい。
また、感光性組成物において、アルカリ可溶性樹脂の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、10.0~90.0質量%が好ましく、20.0~80.0質量%がより好ましく、30.0~70.0質量%が更に好ましい。
<重合性化合物>
感光性組成物は、重合性化合物を含む。
重合性化合物とは、重合性基を1つ以上有し、後述する重合開始剤の作用で重合する化合物を意図する。また、重合性化合物は、上記樹脂(アルカリ可溶性樹脂を含む)とは異なる化合物である。
重合性化合物が有する重合性基としては、重合反応に関与する基であればよく、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基及びマレイミド基等のエチレン性不飽和基を有する基;エポキシ基及びオキセタン基等のカチオン性重合性基を有する基が挙げられる。
重合性基としては、エチレン性不飽和基を有する基が好ましく、アクリロイル基又はメタアクリロイル基がより好ましい。
重合性化合物としては、感光性組成物の感光性がより優れる点で、1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「エチレン性不飽和化合物」ともいう。)が好ましく、分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「多官能エチレン性不飽和化合物」ともいう。)がより好ましい。
また、解像性及び剥離性がより優れる点で、エチレン性不飽和化合物が分子中に有するエチレン性不飽和基の数は、1~6が好ましく、1~3がより好ましく、2~3が更に好ましい。
重合性化合物は、アルキレンオキシ基を有していてもよい。
上記アルキレン基としては、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基が好ましく、本発明の効果がより優れる点から、エチレンオキシ基がより好ましい。重合性化合物に付加するアルキレンオキシ基の付加数は、1分子当たり2~30が好ましく、2~20がより好ましい。
感光性組成物の感光性と解像性及び剥離性とのバランスがより優れる点から、重合性化合物は、分子中に2又は3つのエチレン性不飽和基を有する2官能又は3官能エチレン性不飽和化合物を含むのが好ましい。
2官能エチレン性不飽和化合物の含有量は、重合性化合物の全質量に対して、剥離性に優れる点で、20.0質量%以上が好ましく、40.0質量%超がより好ましく、55.0質量%以上が更に好ましい。上限は、100.0質量%以下が好ましく、80.0質量%以下がより好ましい。つまり、感光性組成物に含まれる全ての重合性化合物が2官能エチレン性不飽和化合物であってもよい。
3官能エチレン性不飽和化合物の含有量は、重合性化合物の全質量に対して、10.0質量%以上が好ましく、20.0質量%以上がより好ましい。上限は、100.0質量%以下が好ましく、80.0質量%以下がより好ましく、50.0質量%以下が更に好ましい。つまり、感光性組成物に含まれる全ての重合性化合物が3官能エチレン性不飽和化合物であってもよい。
また、エチレン性不飽和化合物としては、重合性基として(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
-重合性化合物B1-
感光性組成物は、芳香環及び2つのエチレン性不飽和基を有する重合性化合物B1を含むことも好ましい。
重合性化合物B1は、上記重合性化合物のうち、分子中に1つ以上の芳香環を有する2官能エチレン性不飽和化合物である。
重合性化合物B1が有する芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環等の芳香族炭化水素環;チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環及びピリジン環等の芳香族複素環;これらの縮合環が挙げられ、芳香族炭化水素環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。上記芳香環は、置換基を有してもよい。
重合性化合物B1は、1つ又は2つ以上の芳香環を有していてもよい。
重合性化合物B1は、現像液による感光性組成物層の膨潤を抑制することにより、解像性が向上する点から、ビスフェノール構造を有するのが好ましい。
ビスフェノール構造としては、例えば、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)に由来するビスフェノールA構造、ビスフェノールF(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン)に由来するビスフェノールF構造及びビスフェノールB(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン)に由来するビスフェノールB構造が挙げられ、ビスフェノールA構造が好ましい。
ビスフェノール構造を有する重合性化合物B1としては、例えば、ビスフェノール構造と、そのビスフェノール構造の両端に結合した2つの重合性基(好ましくは(メタ)アクリロイル基)とを有する化合物が挙げられる。
ビスフェノール構造の両端と2つの重合性基とは、直接結合してもいてもよく、1つ以上のアルキレンオキシ基を介して結合してもよい。ビスフェノール構造の両端に付加するアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基がより好ましい。ビスフェノール構造に付加するアルキレンオキシ基(好ましくは、エチレンオキシ基)の付加数は、1分子当たり2~30が好ましく、2~20がより好ましい。
ビスフェノール構造を有する重合性化合物B1としては、例えば、特開2016-224162号公報の段落[0072]~[0080]が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
重合性化合物B1としては、ビスフェノールA構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物が好ましく、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンがより好ましい。
2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン(FA-324M、日立化成社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシエトキシプロポキシ)フェニル)プロパン及び2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン等のエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(BPEシリーズ、新中村化学工業社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシドデカエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン(FA-3200MY、日立化成社製)、並びに、エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート(NKエステルA-BPE-10、新中村化学工業社製)が挙げられる。
重合性化合物B1としては、式(B1)で表される化合物も好ましい。
Figure 2023076381000001
式(B1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。Aはエチレン基を表す。Bはプロピレン基を表す。n1及びn3は、それぞれ独立に、1~39の整数を表す。n1+n3は、2~40の整数を表す。n2及びn4は、それぞれ独立に、0~29の整数を表す。n2+n4は、0~30の整数を表す。
-(A-O)-及び-(B-O)-の構成単位の配列は、ランダム及びブロックのいずれであってもよい。ブロックである場合、-(A-O)-及び-(B-O)-のいずれがビスフェニル基側であってもよい。
n1+n2+n3+n4としては、2~20が好ましく、2~16がより好ましく、4~12が更に好ましい。また、n2+n4は、0~10が好ましく、0~4がより好ましく、0~2が更に好ましく、0が特に好ましい。
重合性化合物B1の含有量は、解像性がより優れる点から、感光性組成物の全固形分に対して、10.0質量%以上が好ましく、20.0質量%以上がより好ましく、25.0質量%以上が更に好ましい。上限は、転写性及びエッジフュージョン(転写部材の端部から感光性組成物が滲み出す現象)の点から、70.0質量%以下が好ましく、60.0質量%以下がより好ましく、50.0質量%以下が更に好ましく、40.0質量%以下が特に好ましい。
重合性化合物B1の含有量は、重合性化合物の全質量に対して、解像性がより優れる点から、40.0質量%以上が好ましく、50.0質量%以上がより好ましく、55.0質量%以上が更に好ましい。上限は、重合性化合物の全質量に対して、剥離性の点から、100.0質量%以下が好ましく、99.0質量%以下がより好ましく、95.0質量%以下が更に好ましく、90.0質量%以下が特に好ましく、80.0質量%以下が最も好ましい。
-その他の重合性化合物-
感光性組成物は、上記以外に、その他の重合性化合物を含んでいるのも好ましい。
その他の重合性化合物としては、例えば、公知の重合性化合物が挙げられる。
具体的には、分子中に1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(単官能エチレン性不飽和化合物)、芳香環を有さない2官能エチレン性不飽和化合物及び3官能以上のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
単官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
芳香環を有さない2官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパンジアクリレートが挙げられる。
アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP、新中村化学工業社製)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP、新中村化学工業社製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(A-NOD-N、新中村化学工業社製)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(A-HD-N、新中村化学工業社製)、エチレングリコールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート及びポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、プロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。また、ウレタンジ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル社製)、UA-32P(新中村化学工業社製)及びUA-1100H(新中村化学工業社製)が挙げられる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート及びこれらのアルキレンオキサイド変性物が挙げられる。
「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」とは、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念である。また、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」とは、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物のアルキレンオキサイド変性物としては、例えば、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物(日本化薬社製KAYARAD(登録商標)DPCA-20及び新中村化学工業社製A-9300-1CL等)、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物(日本化薬社製KAYARAD RP-1040、新中村化学工業社製ATM-35E及びA-9300、ダイセル・オルネクス社製EBECRYL(登録商標) 135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製A-GLY-9E等)、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成社製)、アロニックスM-520(東亞合成社製)及びアロニックスM-510(東亞合成社製)が挙げられる。
重合性化合物は、酸基(例えば、カルボキシ基等)を有する重合性化合物であってもよい。上記酸基は、酸無水物基を形成していてもよい。
酸基を有する重合性化合物としては、例えば、アロニックス(登録商標)(例えば、TO-2349、M-520及びM-510等、東亞合成社製)が挙げられる。
酸基を有する重合性化合物としては、例えば、特開2004-239942号公報の段落[0025]~[0030]に記載の酸基を有する重合性化合物が挙げられる。
重合性化合物の分子量は、200~3000が好ましく、280~2200がより好ましく、300~2200が更に好ましい。
重合性化合物の25℃における粘度は、1~10000mPa・sが好ましく、5~3000mPa・sがより好ましく、10~1500mPa・sが更に好ましい。
重合性化合物は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
重合性化合物の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、5.0~70.0質量%が好ましく、15.0~70.0質量%がより好ましく、30.0~70.0質量%が更に好ましい。
<光重合開始剤>
感光性組成物は、光重合開始剤を含む。
光重合開始剤は、紫外線、可視光線、及びX線等の活性光線を受けて、重合性化合物の重合を開始する化合物である。光重合開始剤としては、特に制限されず、公知の光重合開始剤を使用できる。
光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤が挙げられ、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、紫外可視吸収スペクトルにおいて、長波長側の吸収端が波長400nm以下の範囲にあるのが好ましい。光重合開始剤の紫外可視吸収スペクトルの長波長側の吸収端の波長が400nm以下の範囲にある場合、形成されるパターンの解像性がより優れる。
紫外可視吸収スペクトルにおける長波長側の吸収端の波長は、以下の手順により測定できる。
大気雰囲気下で、分光光度計:UV3100(島津製作所社製)を用いて、300~780nmの範囲で、光重合開始剤を含む濃度0.01質量%の溶液(液温25℃)の透過スペクトルを光路長1mmの石英セルにより測定する。得られた吸収スペクトルにおいて、吸光度が0.01以下となる最も長波長側の波長を、光重合開始剤の紫外可視吸収スペクトルの長波長側の吸収端としてみなす。
溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びトルエン等が使用できる。
光ラジカル重合開始剤は、本発明の効果がより優れる点、並びに、露光部及び非露光部の視認性及び解像性の点で、ビイミダゾール系化合物(イミダゾール二量体及びその誘導体)を含むのが好ましく、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含むのがより好ましい。なお、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体における2つの2,4,5-トリアリールイミダゾール構造は、同一であっても異なっていてもよい。
2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体の誘導体としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体及び2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、特開2011-095716号公報の段落[0031]~[0042]及び特開2015-014783号公報の段落[0064]~[0081]に記載される光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
また、光ラジカル重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤、N-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤、及び有機過酸物構造を有する光重合開始剤が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸エチル(DBE)、ベンゾインメチルエーテル、アニシル(p,p’-ジメトキシベンジル)、TAZ-110(みどり化学社製)、TAZ-111(みどり化学社製)、1-[4-(フェニルチオ)]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(IRGACURE(登録商標) OXE-01、BASF社製)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)(IRGACURE OXE-02、BASF社製)、IRGACURE OXE-03(BASF社製)、IRGACURE OXE-04(BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン(Omnirad 379EG、IGM Resins B.V.社製)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(Omnirad 907、IGM Resins B.V.社製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン(Omnirad 127、IGM Resins B.V.社製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1(Omnirad 369、IGM Resins B.V.社製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(Omnirad 1173、IGM Resins B.V.社製)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Omnirad 184、IGM Resins B.V.社製)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(Omnirad 651、IGM Resins B.V.社製)、2,4,6-トリメチルベンゾリル-ジフェニルフォスフィンオキサイド(Omnirad TPO H、IGM Resins B.V.社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾリル)フェニルフォスフィンオキサイド(Omnirad 819、IGM Resins B.V.社製)、オキシムエステル系の光重合開始剤(Lunar 6、DKSHジャパン社製)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビスイミダゾール(2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体)(B-CIM、Hampford社製)、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体(BCTB、東京化成工業社製)、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(TR-PBG-305、常州強力電子新材料社製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(TR-PBG-326、常州強力電子新材料社製)、3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(TR-PBG-391、常州強力電子新材料社製)、及び、3,3’,4,4’-テトラキス(tert-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)は、活性光線を受けて酸を発生する化合物である。光カチオン重合開始剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300~450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造は制限されない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光カチオン重合開始剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく使用できる。
光カチオン重合開始剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤がより好ましく、pKaが2以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤が特に好ましい。pKaの下限値は特に定めないが、例えば、-10.0以上が好ましい。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、イオン性光カチオン重合開始剤及び非イオン性光カチオン重合開始剤が挙げられる。
イオン性光カチオン重合開始剤として、例えば、ジアリールヨードニウム塩類及びトリアリールスルホニウム塩類等のオニウム塩化合物、並びに、第4級アンモニウム塩類が挙げられる。また、イオン性光カチオン重合開始剤としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落[0114]~[0133]に記載のイオン性光カチオン重合開始剤が挙げられる。
非イオン性光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物及びオキシムスルホネート化合物が挙げられる。
ジアゾメタン化合物及びイミドスルホネート化合物としては、例えば、特開2011-221494号公報の段落[0083]~[0088]に記載の化合物が挙げられる。
オキシムスルホネート化合物としては、例えば、国際公開第2018/179640号の段落[0084]~[0088]に記載された化合物が挙げられる。
光重合開始剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
光重合開始剤の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。上限は、感光性組成物の全固形分に対して、20.0質量%以下が好ましく、15.0質量%以下がより好ましく、10.0質量%以下が更に好ましい。
<重合禁止剤>
感光性組成物は、重合禁止剤(好ましくはラジカル重合禁止剤)を含むのが好ましい。
重合禁止剤とは、重合反応を遅延又は禁止させる機能を有する化合物を意味する。
感光性組成物が重合禁止剤を含む場合、本発明の効果がより優れる。
重合禁止剤としては、例えば、公知の重合禁止剤を使用できる。重合禁止剤の具体例としては、例えば、フェノチアジン、ビス-(1-ジメチルベンジル)フェノチアジン、及び、3,7-ジオクチルフェノチアジン等のフェノチアジン系化合物;ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、及び、ペンタエリスリトールテトラキス3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のヒンダードフェノール系化合物;フェノキサジン等のフェノキサジン系化合物;4-ニトロソフェノール、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、及び、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等のニトロソ化合物又はその塩;メチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、及び、4-ベンゾキノン等のキノン化合物;4-メトキシフェノール、4-メトキシ-1-ナフトール、及び、t-ブチルカテコール等のフェノール化合物;ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸マンガン、及び、ジフェニルジチオカルバミン酸マンガン等の金属塩化合物が挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、重合禁止剤としては、フェノチアジン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、及び、フェノキサジン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
重合禁止剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性組成物が重合禁止剤を含む場合、重合禁止剤の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、0.001~5.0質量%が好ましく、0.01~3.0質量%がより好ましく、0.02~2.0質量%が更に好ましく、0.01~1.0質量%が特に好ましく、0.01~0.5質量%が最も好ましい。
<増感剤>
感光性組成物は、増感剤を含むのが好ましい。
増感剤としては、例えば、公知の増感剤、染料、及び顔料が挙げられる。
第1実施形態の感光性組成物に使用される増感剤としては、本発明の効果がより優れる点で、紫外可視吸収スペクトルにおいて、極大吸収波長が405±15nmの範囲にあるのが好ましい。
また、第2実施形態の感光性組成物に使用される増感剤としては、本発明の効果がより優れる点で、紫外可視吸収スペクトルにおいて、極大吸収波長が436±15nmの範囲にあるのが好ましい。
増感剤の極大吸収波長は、大気雰囲気下で、分光光度計:UV3100((株)島津製作所製)を用いて、300~780nmの範囲で、増感剤を含む溶液(液温25℃)の透過スペクトルを測定し、光の強度が極小となる波長(極大吸収波長)を検出することにより得られる。溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及び、トルエン等が使用できる。
更に、増感剤の紫外可視吸収スペクトルにおいて、長波長側の吸収端が波長500nm以下の範囲にあるのも好ましい。紫外可視吸収スペクトルにおいて長波長側の吸収端の波長が500nm以下の増感剤を使用した場合、感光性組成物が要件2(第1実施形態の場合)及び要件5(第2実施形態の場合)を満たしやすくなり、結果として、黄色灯下での保存安定性が優れやすい。
増感剤の紫外可視吸収スペクトルにおける長波長側の吸収端の波長は、以下の手順により測定できる。
大気雰囲気下で、分光光度計:UV3100(島津製作所社製)を用いて、300~780nmの範囲で、増感剤を含む濃度0.01質量%の溶液(液温25℃)の透過スペクトルを光路長1mmの石英セルにより測定する。得られた吸収スペクトルにおいて、吸光度が0.01以下となる最も長波長側の波長を、増感剤の紫外可視吸収スペクトルの長波長側の吸収端としてみなす。
溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びトルエン等が使用できる。
増感剤としては、例えば、クマリン系化合物、アセン系化合物(好ましくはアントラセン系化合物)、ベンゾフェノン系化合物(好ましくは、ジアルキルアミノベンゾフェノン系化合物)、アクリドン系化合物、チオキサントン系化合物、メロシアニン系化合物、シアニン系化合物、ピラゾリン系化合物、キサントン系化合物、オキサゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、トリアゾール系化合物(例えば、1,2,4-トリアゾール)、スチルベン系化合物、トリアジン系化合物、チオフェン系化合物、ナフタルイミド系化合物、トリアリールアミン系化合物、及びアミノアクリジン系化合物が挙げられる。
本発明の効果がより優れる点で、なかでも、クマリン系化合物、アセン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アクリドン系化合物、チオキサントン系化合物、及びメロシアニン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、クマリン系化合物であるのがより好ましい。
染料系の増感剤としては、発色系染料も使用できる。発色系染料とは、光照射によって発色する機能を有する化合物である。発色系染料としては、例えば、ロイコ染料及びフルオラン染料が挙げられる。
増感剤の具体例としては、例えば、クマリン6、クマリン7、クマリン102、クマリン314、3-アセチル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、1-フェニル-3-(4-ビフェニル)-5-(4-tert-ブチルーフェニル)-ピラゾリン、9,10-ジブトキシアントラセン、10-ブチル-2-クロロ-9(10H)-アクリドン、2,4-ジエチルチオキサントン、フクシン、フタロシアニングリーン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、DOCヨージド、インドモノカルボシアニンナトリウム、オーラミン塩基、カルコキシドグリーンS、パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン(保土ヶ谷化学株式会社製、アイゼン(登録商標) MALACHITE GREEN)、ベイシックブルー20、ダイアモンドグリーン(保土ヶ谷化学株式会社製、アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)、下記化合物1a、及び、下記化合物2a等が挙げられる。
Figure 2023076381000002

Figure 2023076381000003
感光性組成物は、1種単独の増感剤を含んでいてもよく、2種以上の増感剤を含んでいてもよい。
増感剤の含有量は、本発明の効果がより優れる点で、感光性組成物の全固形分に対して、0.01~5.0質量%であるのが好ましく、0.05~3.0質量%であるのがより好ましい。
光重合開始剤の含有量に対する増感剤の含有量の質量比としては、本発明の効果が得られやすい点で、0.050以上であるのが好ましく、0.100以上であるのがより好ましい。上限値としては特に制限されないが、例えば、0.60以下である。
<色素>
感光性組成物は、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性、及び解像性の点から、発色時の波長範囲400~780nmにおける最大吸収波長が450nm以上であり、且つ、酸、塩基、又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素(「色素N」ともいう)を含むことも好ましい。色素Nを含むと、詳細なメカニズムは不明であるが、隣接する層(例えば水溶性樹脂層)との密着性が向上し、解像性により優れる。
本明細書において、色素が「酸、塩基、又はラジカルにより最大吸収波長が変化する」とは、発色状態にある色素が酸、塩基、又はラジカルにより消色する態様、消色状態にある色素が酸、塩基、又はラジカルにより発色する態様、及び発色状態にある色素が他の色相の発色状態に変化する態様のいずれの態様を意味してもよい。
具体的には、色素Nは、露光により消色状態から変化して発色する化合物であってもよいし、露光により発色状態から変化して消色する化合物であってもよい。この場合、露光により酸、塩基、又はラジカルが感光性組成物内において発生し作用することにより、発色又は消色の状態が変化する色素でもよく、酸、塩基、又はラジカルにより感光性組成物内の状態(例えばpH)が変化することで発色又は消色の状態が変化する色素でもよい。また、露光を介さずに、酸、塩基、又はラジカルを刺激として直接受けて発色又は消色の状態が変化する色素でもよい。
なかでも、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の点から、色素Nは、酸又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素が好ましく、ラジカルにより最大吸収波長が変化する色素がより好ましい。
また、露光部及び非露光部の視認性の点から、色素Nは、酸、塩基、又はラジカルにより発色する色素であることが好ましい。
色素Nの発色機構の例としては、感光性組成物に光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)、又は光塩基発生剤を添加して、露光後に光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、又は光塩基発生剤から発生するラジカル、酸、又は塩基によって、ラジカル反応性色素、酸反応性色素、又は塩基反応性色素(例えばロイコ色素)が発色する態様が挙げられる。
色素Nは、露光部及び非露光部の視認性の点から、発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長が、550nm以上であることが好ましく、550~700nmであることがより好ましく、550~650nmであることが更に好ましい。
また、色素Nは、発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長を1つのみ有していてもよく、2つ以上有していてもよい。色素Nが発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長を2つ以上有する場合は、2つ以上の極大吸収波長のうち吸光度が最も高い極大吸収波長が450nm以上であればよい。
色素Nの極大吸収波長は、大気雰囲気下で、分光光度計:UV3100((株)島津製作所製)を用いて、400~780nmの範囲で色素Nを含む溶液(液温25℃)の透過スペクトルを測定し、光の強度が極小となる波長(極大吸収波長)を検出することにより、得られる。
露光により発色又は消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物が挙げられる。
露光により消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物、ジアリールメタン系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素、及びアントラキノン系色素が挙げられる。
色素Nとしては、露光部及び非露光部の視認性の点から、ロイコ化合物が好ましい。
ロイコ化合物としては、例えば、トリアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(トリアリールメタン系色素)、スピロピラン骨格を有するロイコ化合物(スピロピラン系色素)、フルオラン骨格を有するロイコ化合物(フルオラン系色素)、ジアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(ジアリールメタン系色素)、ローダミンラクタム骨格を有するロイコ化合物(ローダミンラクタム系色素)、インドリルフタリド骨格を有するロイコ化合物(インドリルフタリド系色素)、及びロイコオーラミン骨格を有するロイコ化合物(ロイコオーラミン系色素)が挙げられる。
なかでも、トリアリールメタン系色素又はフルオラン系色素が好ましく、トリフェニルメタン骨格を有するロイコ化合物(トリフェニルメタン系色素)又はフルオラン系色素がより好ましい。
ロイコ化合物としては、露光部及び非露光部の視認性の点から、ラクトン環、スルチン環、又はスルトン環を有することが好ましい。これにより、ロイコ化合物が有するラクトン環、スルチン環、又はスルトン環を、光ラジカル重合開始剤から発生するラジカル又は光カチオン重合開始剤から発生する酸と反応させて、ロイコ化合物を閉環状態に変化させて消色させるか、又はロイコ化合物を開環状態に変化させて発色させることができる。ロイコ化合物としては、ラクトン環、スルチン環、又はスルトン環を有し、ラジカル、又は酸によりラクトン環、スルチン環又はスルトン環が開環して発色する化合物が好ましく、ラクトン環を有し、ラジカル又は酸によりラクトン環が開環して発色する化合物がより好ましい。
色素Nとしては、例えば、以下の染料及びロイコ化合物が挙げられる。
色素Nのうち染料の具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α-ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩、ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学工業社製)、オイルブルー#603(オリヱント化学工業社製)、オイルピンク#312(オリヱント化学工業社製)、オイルレッド5B(オリヱント化学工業社製)、オイルスカーレット#308(オリヱント化学工業社製)、オイルレッドOG(オリヱント化学工業社製)、オイルレッドRR(オリヱント化学工業社製)、オイルグリーン#502(オリヱント化学工業社製)、スピロンレッドBEHスペシャル(保土谷化学工業社製)、m-クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4-p-ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシアニリノ-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシステアリルアミノ-4-p-N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アミノ-フェニルイミノナフトキノン、1-フェニル-3-メチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロン、及び1-β-ナフチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロンが挙げられる。
色素Nのうちロイコ化合物の具体例としては、p,p’,p”-ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2-(N-フェニル-N-メチルアミノ)-6-(N-p-トリル-N-エチル)アミノフルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、3,6-ジメトキシフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-5-メチル-7-(N,N-ジベンジルアミノ)フルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メトキシ-7-アミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-(4-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-ベンジルアミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7,8-ベンゾフロオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3,3-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-ザフタリド、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、及び3’,6’-ビス(ジフェニルアミノ)スピロイソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン-3-オンが挙げられる。
色素Nは、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性、及び解像性の点から、ラジカルにより最大吸収波長が変化する色素であることが好ましく、ラジカルにより発色する色素であることがより好ましい。
色素Nとしては、ロイコクリスタルバイオレット、クリスタルバイオレットラクトン、ブリリアントグリーン、又はビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩が好ましい。
色素Nは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
色素Nの含有量は、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性、及び解像性の点から、感光性組成物の全質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.1~10質量%がより好ましく、0.1~5質量%が更に好ましく、0.1~1質量%が特に好ましい。
色素Nの含有量は、感光性組成物の全質量中に含まれる色素Nの全てを発色状態にした場合の色素の含有量を意味する。以下に、ラジカルにより発色する色素を例に、色素Nの含有量の定量方法を説明する。
メチルエチルケトン100mLに、色素0.001g及び0.01gを溶かした溶液を調製する。得られた各溶液に、光ラジカル重合開始剤Irgacure OXE01(商品名、BASFジャパン株式会社)を加え、365nmの光を照射することによりラジカルを発生させ、全ての色素を発色状態にする。その後、大気雰囲気下で、分光光度計(UV3100、(株)島津製作所製)を用いて、液温が25℃である各溶液の吸光度を測定し、検量線を作成する。
次に、色素に代えて感光性組成物3gをメチルエチルケトンに溶かすこと以外は上記と同様の方法で、色素を全て発色させた溶液の吸光度を測定する。得られた感光性組成物を含む溶液の吸光度から、検量線に基づいて感光性組成物に含まれる色素の含有量を算出する。
なお、感光性組成物3gとは、感光性組成物中の全固形分の3gと同様である。
<熱架橋性化合物>
感光性組成物は、得られる硬化膜の強度、及び得られる未硬化膜の粘着性の点から、熱架橋性化合物を含んでいてもよい。なお、本明細書においては、後述するエチレン性不飽和基を有する熱架橋性化合物は、重合性化合物としては扱わず、熱架橋性化合物として扱うものとする。
熱架橋性化合物としては、メチロール化合物、及びブロックイソシアネート化合物が挙げられる。なかでも、得られる硬化膜の強度、及び得られる未硬化膜の粘着性の点から、ブロックイソシアネート化合物が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、ヒドロキシ基及びカルボキシ基と反応するため、例えば、樹脂及び/又は重合性化合物等が、ヒドロキシ基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する場合には、形成される膜の親水性が下がり、感光性組成物を硬化した膜を保護膜として使用する場合の機能が強化される傾向がある。
なお、ブロックイソシアネート化合物とは、「イソシアネートのイソシアネート基をブロック剤で保護(いわゆる、マスク)した構造を有する化合物」を指す。
ブロックイソシアネート化合物の解離温度は、特に制限されないが、100~160℃が好ましく、130~150℃がより好ましい。
ブロックイソシアネートの解離温度とは、「示差走査熱量計を用いて、DSC(Differential scanning calorimetry)分析にて測定した場合における、ブロックイソシアネートの脱保護反応に伴う吸熱ピークの温度」を意味する。
示差走査熱量計としては、例えば、セイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計(型式:DSC6200)を好適に使用できる。但し、示差走査熱量計は、これに限定されない。
解離温度が100~160℃であるブロック剤としては、活性メチレン化合物〔マロン酸ジエステル(マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn-ブチル、マロン酸ジ2-エチルヘキシル等)〕、オキシム化合物(ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、及びシクロヘキサノンオキシム等の分子内に-C(=N-OH)-で表される構造を有する化合物)が挙げられる。
これらのなかでも、解離温度が100~160℃であるブロック剤としては、例えば、保存安定性の点から、オキシム化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、例えば、膜の脆性改良、被転写体との密着力向上等の点から、イソシアヌレート構造を有することが好ましい。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート化して保護することにより得られる。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物のなかでも、オキシム化合物をブロック剤として用いたオキシム構造を有する化合物が、オキシム構造を有さない化合物よりも解離温度を好ましい範囲にしやすく、且つ、現像残渣を少なくしやすいという点から好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、重合性基を有していてもよい。
重合性基としては、特に制限はなく、公知の重合性基を用いることができ、ラジカル重合性基が好ましい。
重合性基としては、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、及びスチリル基等のエチレン性不飽和基、並びに、グリシジル基等のエポキシ基を有する基が挙げられる。
なかでも、重合性基としては、エチレン性不飽和基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基がより好ましく、アクリロキシ基が更に好ましい。
ブロックイソシアネート化合物としては、市販品を使用できる。
ブロックイソシアネート化合物の市販品の例としては、カレンズ(登録商標) AOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BP等(以上、昭和電工社製)、ブロック型のデュラネートシリーズ(例えば、デュラネート(登録商標) TPA-B80E、デュラネート(登録商標) WT32-B75P等、旭化成ケミカルズ社製)が挙げられる。
また、ブロックイソシアネート化合物として、下記の構造の化合物を用いることもできる。
Figure 2023076381000004
熱架橋性化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
感光性組成物が熱架橋性化合物を含む場合、熱架橋性化合物の含有量は、感光性組成物の全質量に対して、1~50質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
<顔料>
感光性組成物は、顔料を含んでいてもよい。
感光性組成物が顔料を含む場合、感光性組成物は着色樹脂層に該当する。
近年の電子機器が有する液晶表示窓には、液晶表示窓を保護するために、透明なガラス基板等の裏面周縁部に黒色の枠状遮光層が形成されたカバーガラスが取り付けられている場合がある。このような遮光層を形成するために着色樹脂層が使用され得る。
顔料としては、所望とする色相に合わせて適宜選択すればよく、例えば、黒色顔料、白色顔料、並びに、黒色及び白色以外の有彩色の顔料が挙げられ、黒色系のパターンを形成する場合、顔料としては、黒色顔料が好ましい。
黒色顔料としては、例えば、公知の黒色顔料(例えば、有機顔料及び無機顔料等)が挙げられる。
なかでも、光学濃度の点から、黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、チタンカーバイド、酸化鉄、酸化チタン又は黒鉛が好ましく、カーボンブラックがより好ましい。カーボンブラックとしては、表面抵抗の点から、表面の少なくとも一部が樹脂で被覆された表面修飾カーボンブラックが好ましい。
黒色顔料の粒径(数平均粒径)は、分散安定性の点から、0.001~0.1μmが好ましく、0.01~0.08μmがより好ましい。
「粒径」とは、電子顕微鏡で撮影した顔料粒子の写真像から顔料粒子の面積を求め、顔料粒子の面積と同面積の円を考えた場合の円の直径を意味する。また、「数平均粒径」とは、任意の100個の粒子について上記粒径を求め、求められた100個の粒径を平均して得られる平均値を意味する。
白色顔料としては、例えば、無機顔料、特開2005-007765号公報の段落[0015]及び[0114]に記載の白色顔料が挙げられる。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、リトポン、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム又は硫酸バリウムが好ましく、酸化チタン又は酸化亜鉛がより好ましく、酸化チタンが更に好ましく、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンが特に好ましく、ルチル型の酸化チタンが最も好ましい。
また、酸化チタンの表面は、シリカ処理、アルミナ処理、チタニア処理、ジルコニア処理又は有機物処理が施されていてもよく、これらの2つ以上の処理が施されてもよい。これにより、酸化チタンの触媒活性が抑制され、耐熱性及び褪光性が改善できる。
加熱後の感光性組成物の厚みを薄くする点から、酸化チタンの表面への表面処理としては、アルミナ処理及びジルコニア処理の少なくとも一方を施すことが好ましく、アルミナ処理及びジルコニア処理の両方を施すことがより好ましい。
感光性組成物が着色樹脂層である場合、転写性の点から、感光性組成物は、黒色顔料及び白色顔料以外の有彩色の顔料を含むことも好ましい。
有彩色の顔料の粒径(数平均粒径)としては、分散性がより優れる点から、0.1μm以下が好ましく、0.08μm以下がより好ましい。下限は、10nm以上が好ましい。
有彩色の顔料としては、例えば、ビクトリア・ピュアーブルーBO(Color Index(以下、「C.I.」ともいう。)42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・エローGT(C.I.ピグメント・エロー12)、パーマネント・エローGR(C.I.ピグメント・エロー17)、パーマネント・エローHR(C.I.ピグメント・エロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメント・バイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)、ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメント・レッド81)、モナストラル・ファースト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)及びカーボン、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64及びC.I.ピグメント・バイオレット23が挙げられ、C.I.ピグメント・レッド177が好ましい。
顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
顔料の含有量は、感光性組成物の全質量に対して、3質量%超40質量%以下が好ましく、3質量%超35質量%以下がより好ましく、5質量%超35質量%以下が更に好ましく、10~35質量%が特に好ましい。
感光性組成物が黒色顔料以外の顔料(例えば、白色顔料及び有彩色の顔料等)を含む場合、黒色顔料以外の顔料の含有量は、黒色顔料の全質量に対して、30質量%以下が好ましく、1~20質量%がより好ましく、3~15質量%が更に好ましい。
感光性組成物が黒色顔料を含む場合、黒色顔料(好ましくはカーボンブラック)は、顔料分散液の形態で感光性組成物に導入されることが好ましい。
分散液は、黒色顔料と顔料分散剤とを事前に混合して得られる混合物を、有機溶剤(又はビヒクル)に加えて分散機で分散させることによって調製されるものであってもよい。顔料分散剤は、顔料及び溶剤に応じて選択すればよく、例えば、市販の分散剤を使用することができる。
「ビヒクル」とは、顔料分散液とした場合に顔料を分散させている媒質の部分を意味する。上記ビヒクルは、液状であり、黒色顔料を分散状態で保持するバインダー成分と、バインダー成分を溶解及び希釈する溶剤成分(有機溶剤)とを含む。
分散機としては、例えば、ニーダー、ロールミル、アトライター、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー及びサンドミル等の公知の分散機が挙げられる。
また、機械的摩砕により摩擦力を利用して微粉砕してもよい。分散機及び微粉砕としては、例えば、「顔料の事典」(朝倉邦造著、第一版、朝倉書店、2000年、438頁、310頁)の記載が挙げられる。
<溶剤>
感光性組成物は、溶剤を含んでいてもよい。
溶剤としては、通常用いられる溶剤を特に制限なく使用できる。
溶剤としては、有機溶剤が好ましい。
有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(別名:1-メトキシ-2-プロピルアセテート)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びこれらの混合溶剤が挙げられる。
溶剤としては、メチルエチルケトンとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの混合溶剤、メチルエチルケトンとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとメタノールとの混合溶剤、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの混合溶剤、又はメチルエチルケトンとプロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの混合溶剤が好ましい。
溶剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
感光性組成物が溶剤を含む場合、感光性組成物の固形分は、5~80質量%が好ましく、8~40質量%がより好ましく、10~30質量%が更に好ましい。つまり、感光性組成物が溶剤を含む場合、溶剤の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、20~95質量%が好ましく、60~95質量%がより好ましく、70~95質量%が更に好ましい。
感光性組成物が溶剤を含む場合、感光性組成物の粘度(25℃)は、塗布性の点から、1~50mPa・sが好ましく、2~40mPa・sがより好ましく、3~30mPa・sが更に好ましい。
粘度は、例えば、VISCOMETER TV-22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて測定する。
感光性組成物が溶剤を含む場合、感光性組成物の表面張力(25℃)は、塗布性の点から、5~100mN/mが好ましく、10~80mN/mがより好ましく、15~40mN/mが更に好ましい。
表面張力は、例えば、Automatic Surface Tensiometer
CBVP-Z(協和界面科学(株)製)を用いて測定する。
溶剤としては、米国出願公開2005/282073号明細書の段落0054及び0055に記載のSolventを用いることもでき、この明細書の内容は本明細書に組み込まれる。
また、溶剤として、必要に応じて沸点が180~250℃である有機溶剤(高沸点溶剤)を使用することもできる。
<その他の添加剤>
感光性組成物は、上記成分以外に、必要に応じて公知の添加剤を含んでもよい。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤(例えば、フェニドン等)、防錆剤(例えば、ベンゾトリアゾール類及びカルボキシベンゾトリアゾール類等)、増感剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、可塑剤、ヘテロ環状化合物(例えば、トリアゾール等)、ピリジン類(例えば、イソニコチンアミド等)及びプリン塩基(例えば、アデニン等)が挙げられる。
また、その他添加剤としては、例えば、金属酸化物粒子、連鎖移動剤、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、紫外線吸収剤、増粘剤、架橋剤、有機又は無機の沈殿防止剤及び特開2014-085643号公報の段落[0165]~[0184]が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
各添加剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
ベンゾトリアゾール類としては、例えば、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-クロロ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、ビス(N-2-エチルヘキシル)アミノメチレン-1,2,3-ベンゾトリアゾール、ビス(N-2-エチルヘキシル)アミノメチレン-1,2,3-トリルトリアゾール、及びビス(N-2-ヒドロキシエチル)アミノメチレン-1,2,3-ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、4-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、及びN-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、CBT-1(城北化学工業株式会社、商品名)等の市販品を使用できる。
ベンゾトリアゾール類、及びカルボキシベンゾトリアゾール類の合計含有量は、感光性組成物の全質量に対して、0.01~3質量%が好ましく、0.05~1質量%がより好ましい。含有量が0.01質量%以上の場合、感光性組成物の保存安定性がより優れる。一方、含有量が3質量%以下である場合、感度の維持及び染料の脱色を抑制がより優れる。
感光性組成物は、界面活性剤を含んでもいてもよい。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性(非イオン性)界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられ、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系界面活性剤、及び、フッ素系界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、国際公開第2018/179640号の段落0120~段落0125に記載の界面活性剤も使用できる。
また、界面活性剤としては、特許第4502784号公報の段落0017、特開2009-237362号公報の段落0060~0071に記載の界面活性剤も使用できる。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファック F-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F-475、F-477、F-479、F-482、F-551、F-551-A、F-552、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP、MFS-330、MFS-578、MFS-579、MFS-586、MFS-587、R-41、R-41-LM、R-01、R-40、R-40-LM、RS-43、TF-1956、RS-90、R-94、RS-72-K、DS-21(以上、DIC株式会社製)、フロラード FC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)、フタージェント 710FL、710FM、610FM、601AD、601ADH2、602A、215M、245F、251、212M、250、209F、222F、208G、710LA、710FS、730LM、650AC、681、683(以上、(株)NEOS製)、U-120E(ユニケム株式会社)等が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファック DSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日))、例えばメガファック DS-21が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素化アルキル基又はフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。
また、フッ素系界面活性剤としては、ブロックポリマーも使用できる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく使用できる。
また、フッ素系界面活性剤としては、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する含フッ素重合体も使用できる。メガファック RS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K(以上、DIC株式会社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、環境適性向上の観点から、パーフルオロオクタン酸(PFOA)及びパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等の炭素数が7以上の直鎖状パーフルオロアルキル基を有する化合物の代替材料に由来する界面活性剤であることが好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニック(登録商標) L10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(以上、BASF社製)、テトロニック 304、701、704、901、904、150R1(以上、BASF社製)、ソルスパース 20000(以上、日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(以上、富士フイルム和光純薬(株)製)、パイオニン D-6112、D-6112-W、D-6315(以上、竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(以上、日信化学工業(株)製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマー、及び、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
界面活性剤の具体例としては、DOWSIL 8032 ADDITIVE、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)並びに、X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、K354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-6191、X-22-4515、KF-6004、KP-341、KF-6001、KF-6002、KP-101KP-103、KP-104、KP-105、KP-106、KP-109、KP-109、KP-112、KP-120、KP-121、KP-124、KP-125、KP-301、KP-306、KP-310、KP-322、KP-323、KP-327、KP-341、KP-368、KP-369、KP-611、KP-620、KP-621、KP-626、KP-652(以上、信越シリコーン株式会社製)、F-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、BYK300、BYK306、BYK307、BYK310、BYK320、BYK323、BYK330、BYK313、BYK315N、BYK331、BYK333、BYK345、BYK347、BYK348、BYK349、BYK370、BYK377、BYK378、BYK323(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量は、感光性組成物の全質量に対して、0.01~3.0質量%が好ましく、0.01~1.0質量%がより好ましく、0.05~0.80質量%が更に好ましい。
感光性組成物は、波長365nmにおける分光感度の調整の観点から、紫外線吸収剤を含んでいるのも好ましい。
紫外線吸収剤としては公知の紫外線吸収剤が使用でき、なかでも、5-(ジエチルアミノ)-2-(フェニルスルホニル)-2,4-ペンタジエン酸オクチルが好ましい。
紫外線吸収剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性組成物が紫外線吸収剤を含む場合、紫外線吸収剤の含有量は、感光性組成物の全質量に対して、0.1~3.0質量%が好ましく、0.2~2.0質量%がより好ましく、0.2~1.0質量%が更に好ましい。
<不純物等>
感光性組成物は、不純物を含む場合がある。
不純物としては、例えば、金属不純物又はそのイオン、ハロゲン化物イオン、残存有機溶剤、残存モノマー及び水が挙げられる。
金属不純物としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、銅、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ及びこれらのイオン、並びに、ハロゲン化物イオンが挙げられる。
なかでも、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びハロゲン化物イオンは、混入し易い点から、下記の含有量にすることが好ましい。
金属不純物は、転写フィルムに含まれ得る上記粒子(例えば、金属酸化物粒子)と異なる化合物である。
金属不純物の含有量は、感光性組成物の全質量に対して、80質量ppm以下が好ましく、10質量ppm以下がより好ましく、2質量ppm以下が更に好ましい。下限は、感光性組成物の全質量に対して、1質量ppb以上が好ましく、0.1質量ppm以上がより好ましい。
不純物の含有量を調整する方法としては、例えば、感光性組成物の原料として不純物の含有量が少ないものを選択する方法、並びに、感光性組成物の形成時に不純物の混入を防ぐ方法及び洗浄して除去する方法が挙げられる。
不純物の含有量は、例えば、ICP発光分光分析法、原子吸光分光法及びイオンクロマトグラフィー法等の公知の方法により定量できる。
残存有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、1,3-ブタジエン、四塩化炭素、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びヘキサンが挙げられる。
残存有機溶剤の含有量は、感光性組成物の全質量に対して、100質量ppm以下が好ましく、20質量ppm以下がより好ましく、4質量ppm以下が更に好ましい。下限は、感光性組成物の全質量に対して、10質量ppb以上が好ましく、100質量ppb以上がより好ましい。
残存有機溶剤の含有量を調整する方法としては、後述する転写フィルムの製造方法における乾燥処理条件を調整する方法が挙げられる。また、残存有機溶剤の含有量は、例えば、ガスクロマトグラフィー分析等の公知の方法により定量できる。
感光性組成物における水の含有量は、信頼性及びラミネート性を向上させる点から、感光性組成物の全質量に対して、0.01~1.0質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
[転写フィルム]
本発明の転写フィルムは、仮支持体と感光性組成物層とを有する。上記感光性組成物層は、上述の第1実施形態又は第2実施形態の感光性組成物から形成される層である。
転写フィルムは、仮支持体及び感光性組成物層以外に、その他層を有していてもよい。
その他層としては、例えば、後述する中間層が挙げられる。また、転写フィルムは、後述するその他部材(例えば、保護フィルム等)を有していてもよい。
転写フィルムの実施態様としては、例えば、以下の構成(1)又は(2)が挙げられ、構成(2)が好ましい。
(1)「仮支持体/感光性組成物層/保護フィルム」
(2)「仮支持体/中間層/感光性組成物層/保護フィルム」
転写フィルムは中間層を有することが好ましい。
上記各構成における感光性組成物層としては、後述する感光性組成物層又は後述する着色樹脂層が好ましい。
上述した貼合工程における気泡発生抑止の点から、転写フィルムのうねりの最大幅は、300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、60μm以下が更に好ましい。なお、うねりの最大幅の下限値としては、0μm以上であり、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。
転写フィルムのうねりの最大幅は、以下の手順により測定される値である。
まず、転写フィルムを縦20cm×横20cmのサイズとなるように主面に垂直な方向に裁断し、試験サンプルを作製する。なお、転写フィルムが保護フィルムを有する場合には、保護フィルムを剥離する。次いで、表面が平滑で且つ水平なステージ上に、上記試験サンプルを仮支持体の表面がステージに対向するように静置する。静置後、試験サンプルの中心10cm角の範囲について、試験サンプルの表面をレーザー顕微鏡(例えば、(株)キーエンス社製 VK-9700SP)で走査して3次元表面画像を取得し、得られた3次元表面画像で観察される最大凸高さから最低凹高さを引き算する。上記操作を10個の試験サンプルについて行い、その算術平均値を「転写フィルムのうねり最大幅」とする。
転写フィルムの感光性組成物層において、感光性組成物層の仮支持体とは反対側の表面に、更に他の組成物層を有する場合、他の組成物層の合計厚みは、感光性組成物層の合計厚みに対して、0.1~30%が好ましく、0.1~20%がより好ましい。
密着性により優れる点から、感光性組成物層の波長365nmの光の透過率は、10%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、50%以上が更に好ましい。上限は、99.9%以下が好ましく、99.0%以下がより好ましい。
転写フィルムの実施形態の例について説明する。
図2に示す転写フィルム10は、仮支持体11と、中間層13及び感光性組成物層15を含む組成物層17と、保護フィルム19とを、この順に有する。
図2で示す転写フィルム10は、中間層13及び保護フィルム19を有する形態であるが、中間層13及び保護フィルム19を有していなくてもよい。
図2においては、仮支持体11上に配置され得る保護フィルム19を除く各層(例えば、感光性組成物層及び中間層等)を、「組成物層」ともいう。
以下、転写フィルムについて、各部材及び各成分を詳細に説明する。
〔仮支持体〕
転写フィルムは、仮支持体を有する。
仮支持体は、感光性組成物層を支持する部材であり、最終的には剥離処理により除去される。
仮支持体は、単層構造及び多層構造のいずれであってもよい。
仮支持体としては、フィルムが好ましく、樹脂フィルムがより好ましい。また、仮支持体としては、可撓性を有し、かつ、加圧下又は加圧下及び加熱下において、著しい変形、収縮又は伸びを生じないフィルムも好ましく、シワ等の変形及び傷がないフィルムも好ましい。
フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)、ポリメチルメタクリレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルム及びポリカーボネートフィルムが挙げられ、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
仮支持体は、仮支持体を介してパターン露光できるという点から、透明性が高いことが好ましく、313nm、365nm、313nm、405nm、及び、436nmでの透過率はいずれも60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましく、90%以上が最も好ましい。透過率の好ましい値としては、例えば、82%、91%、97%等を挙げることが出来る。
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性、及び、仮支持体の透明性の点から、仮支持体のヘイズは小さい方が好ましい。具体的には、仮支持体のヘイズ値が、2%以下が好ましく、1.0%以下がより好ましく、0.1%以下が更に好ましい。下限は特に制限されないが、0.01%が挙げられる。
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性、及び、仮支持体の透明性の点から、仮支持体に含まれる微粒子、異物、及び、欠陥の数は少ない方が好ましい。仮支持体中における直径1μm以上の微粒子、異物、及び、欠陥の数は、50個/10mm以下が好ましく、10個/10mm以下がより好ましく、3個/10mm以下が更に好ましく、0個/10mmが特に好ましい。
仮支持体の厚みは、5μm以上が好ましく、6μm以上がより好ましい。上限は、200μm以下が好ましく、取り扱いやすさ及び汎用性の点から、150μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましく、25μm以下が特に好ましく、16μm以下が最も好ましい。
仮支持体の厚みは、SEM(走査型電子顕微鏡:Scanning Electron Microscope)による断面観察により測定した任意の5点の平均値として算出する。
仮支持体は、ハンドリング性の点から、仮支持体の片面又は両面に、微粒子を含む層(滑剤層)を有していてもよい。
滑剤層に含まれる微粒子の直径は、0.05~0.8μmが好ましい。
滑剤層の厚みは、0.05~1.0μmが好ましい。
仮支持体と感光性組成物層との密着性を向上させる点から、仮支持体の感光性組成物層と接する面は、表面改質処理されていてもよい。
表面改質処理としては、例えば、UV照射、コロナ放電及びプラズマ等を用いる処理が挙げられる。
UV照射における露光量は、10~2000mJ/cmが好ましく、50~1000mJ/cmがより好ましい。
露光量が上記範囲であれば、ランプ出力及び照度は特に制限されない。
UV照射における光源としては、例えば、150~450nm波長帯域の光を発する低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ及び発光ダイオード(LED)が挙げられる。
仮支持体としては、例えば、膜厚16μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、膜厚12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、及び、膜厚9μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。
また、仮支持体としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落[0017]~[0018]、特開2016-027363号公報の段落[0019]~[0026]、国際公開第2012/081680号の段落[0041]~[0057]及び国際公開第2018/179370号の段落[0029]~[0040]も挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
仮支持体の市販品としては、例えば、登録商標ルミラー16KS40及び登録商標ルミラー16FB40(以上、東レ社製);コスモシャインA4100、コスモシャインA4160、コスモシャインA4300、コスモシャインA4360、及びコスモシャインA8300(以上、東洋紡社製)が挙げられる。
〔感光性組成物層〕
転写フィルムは、感光性組成物層を有する。
感光性組成物層は、上述の第1実施形態又は第2実施形態の感光性組成物によって形成される層である。従って、感光性組成物層は、感光性組成物における固形分を含むことが好ましい。
感光性組成物層に含まれる成分(具体的には、アルカリ可溶性樹脂、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物、及び、光重合開始剤など)については、上述したとおりである。
感光性組成物層の形成方法は後述する。
<感光性組成物層の層厚>
感光性組成物の層厚(膜厚)は、一般的には0.1~300μmであり、0.2~100μmが好ましく、0.5~50μmがより好ましく、0.5~15μmが更に好ましく、1~10μmが特に好ましい。これにより、感光性組成物層の現像性が向上し、解像性を向上させることができる。好ましい膜厚の具体例として、例えば、1.2μm、2.5μm、3.5μm、5.0μm、6.0μm、及び、7.0μmを挙げることができる。
<感光性組成物層の透過率>
感光性組成物層の膜厚1.0μmあたりの可視光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上が最も好ましい。
可視光の透過率としては、波長400~800nmの平均透過率、波長400~800nmの透過率の最小値、波長400nmmの透過率、いずれも上記を満たすことが好ましい。透過率の好ましい値としては、例えば、87%、92%、及び、98%等を挙げることができる。
感光性組成物層を硬化して得られる硬化膜の膜厚1.0μmあたりの透過率も、上記と同様の透過率が好ましい。
〔熱可塑性樹脂層〕
転写フィルムは、熱可塑性樹脂層を有していてもよい。
熱可塑性樹脂層は、通常、仮支持体と感光性組成物層との間に配置される。転写フィルムが熱可塑性樹脂層を備えることで、転写フィルムと基板との貼合工程における基板への追従性が向上して、基板と転写フィルムとの間の気泡の混入を抑制できる。この結果として、熱可塑性樹脂層に隣接する層(例えば仮支持体)との密着性を担保できる。
熱可塑性樹脂層は、樹脂を含む。上記樹脂は、その一部又は全部として、熱可塑性樹脂を含む。つまり、一態様において、熱可塑性樹脂層は、樹脂が熱可塑性樹脂であることも好ましい。
<アルカリ可溶性樹脂(熱可塑性樹脂)>
熱可塑性樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリル系共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、及びポリアルキレングリコールが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、現像性及び隣接する層との密着性の観点から、アクリル樹脂が好ましい。
ここで、アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び(メタ)アクリル酸アミドに由来する構成単位からなる群から選ばれた少なくとも1種の構成単位を有する樹脂を意味する。
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び(メタ)アクリル酸アミドに由来する構成単位の合計含有量が、アクリル樹脂の全質量に対して50質量%以上であることが好ましい。
なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の合計含有量が、アクリル樹脂の全質量に対して、30~100質量%が好ましく、50~100質量%がより好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂は、酸基を有する重合体であることが好ましい。
酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、及びホスホン酸基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、現像性の観点から、酸価60mgKOH/g以上のアルカリ可溶性樹脂がより好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂が更に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の酸価の上限は、特に制限されないが、300mgKOH/g以下が好ましく、250mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下が更に好ましく、150mgKOH/g以下が特に好ましい。
酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂としては、特に制限されず、公知の樹脂から適宜選択して使用できる。
例えば、特開2011-095716号公報の段落0025に記載のポリマーのうち酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であるアルカリ可溶性樹脂、特開2010-237589号公報の段落0033~0052に記載のポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂、及び特開2016-224162号公報の段落0053~0068に記載のバインダーポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂が挙げられる。
上記カルボキシ基含有アクリル樹脂におけるカルボキシ基を有する構成単位の共重合比は、アクリル樹脂の全質量に対して、5~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましく、12~30質量%が更に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、現像性及び隣接する層との密着性の観点から、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を有するアクリル樹脂が特に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、反応性基を有していてもよい。反応性基としては、付加重合可能な基であればよく、エチレン性不飽和基;ヒドロキシ基及びカルボキシ基等の重縮合性基;エポキシ基、(ブロック)イソシアネート基等の重付加反応性基が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上が好ましく、1万~10万がより好ましく、2万~5万が更に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、現像性及び隣接する層との密着性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、10~99質量%が好ましく、20~90質量%がより好ましく、40~80質量%が更に好ましく、50~75質量%が特に好ましい。
<色素>
熱可塑性樹脂層は、発色時の波長範囲400~780nmにおける最大吸収波長が450nm以上であり、酸、塩基、又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素(単に「色素B」ともいう。)を含むことが好ましい。
色素Bの好ましい態様は、後述する点以外は、上述した色素Nの好ましい態様と同様である。
色素Bは、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、酸又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素が好ましく、酸により最大吸収波長が変化する色素であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂層は、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、色素Bとしての酸により最大吸収波長が変化する色素、及び後述する光により酸を発生する化合物の両者を含むことが好ましい。
色素Bは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
色素Bの含有量は、露光部及び非露光部の視認性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.2質量%以上が好ましく、0.2~6質量%がより好ましく、0.2~5質量%が更に好ましく、0.25~3.0質量%が特に好ましい。
ここで、色素Bの含有量は、熱可塑性樹脂層に含まれる色素Bの全てを発色状態にした場合の色素の含有量を意味する。以下に、ラジカルにより発色する色素を例に、色素Bの含有量の定量方法を説明する。
メチルエチルケトン100mLに、色素0.001g及び0.01gを溶かした溶液を調製する。得られた各溶液に、光ラジカル重合開始剤Irgacure OXE01(商品名、BASFジャパン株式会社)を加え、365nmの光を照射することによりラジカルを発生させ、全ての色素を発色状態にする。その後、大気雰囲気下で、分光光度計(UV3100、(株)島津製作所製)を用いて、液温が25℃である各溶液の吸光度を測定し、検量線を作成する。
次に、色素に代えて熱可塑性樹脂層0.1gをメチルエチルケトンに溶かすこと以外は上記と同様の方法で、色素を全て発色させた溶液の吸光度を測定する。得られた熱可塑性樹脂層を含む溶液の吸光度から、検量線に基づいて熱可塑性樹脂層に含まれる色素の量を算出する。
なお、熱可塑性樹脂層3gとは、組成物の固形分の3gと同様である。
<光により酸、塩基、又はラジカルを発生する化合物>
熱可塑性樹脂層は、光により酸、塩基、又はラジカルを発生する化合物(単に「化合物C」ともいう。)を含んでもよい。
化合物Cとしては、紫外線及び可視光線等の活性光線を受けて、酸、塩基、又はラジカルを発生する化合物が好ましい。
化合物Cとしては、公知の、光酸発生剤、光塩基発生剤、及び光ラジカル重合開始剤(光ラジカル発生剤)を使用できる。
(光酸発生剤)
熱可塑性樹脂層は、解像性の観点から、光酸発生剤を含んでもよい。
光酸発生剤としては、上述した感光性組成物層が含んでもよい光カチオン重合開始剤が挙げられ、後述する点以外は好ましい態様も同じである。
光酸発生剤としては、感度及び解像性の観点から、オニウム塩化合物、及びオキシムスルホネート化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、感度、解像性、及び密着性の観点から、オキシムスルホネート化合物を含むことがより好ましい。
また、光酸発生剤としては、以下の構造を有する光酸発生剤も好ましい。
Figure 2023076381000005
(光ラジカル重合開始剤)
熱可塑性樹脂層は、光ラジカル重合開始剤を含んでもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、上述した感光性組成物層が含んでもよい光ラジカル重合開始剤が挙げられ、好ましい態様も同じである。
(光塩基発生剤)
熱可塑性樹脂組成物は、光塩基発生剤を含んでもよい。
光塩基発生剤としては、公知の光塩基発生剤であれば特に制限されず、例えば、2-ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、トリフェニルメタノール、O-カルバモイルヒドロキシルアミド、O-カルバモイルオキシム、[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6-ジアミン、4-(メチルチオベンゾイル)-1-メチル-1-モルホリノエタン、(4-モルホリノベンゾイル)-1-ベンジル-1-ジメチルアミノプロパン、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン、2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2-ニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジン、及び2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2,4-ジニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジンが挙げられる。
化合物Cは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
化合物Cの含有量は、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
<可塑剤>
熱可塑性樹脂層は、解像性、隣接する層との密着性、及び現像性の観点から、可塑剤を含むことが好ましい。
可塑剤は、アルカリ可溶性樹脂よりも分子量(オリゴマー又はポリマーであり分子量分布を有する場合は重量平均分子量)が小さいことが好ましい。可塑剤の分子量(重量平均分子量)は、200~2,000が好ましい。
可塑剤は、アルカリ可溶性樹脂と相溶して可塑性を発現する化合物であれば特に制限されないが、可塑性付与の観点から、可塑剤は、分子中にアルキレンオキシ基を有することが好ましく、ポリアルキレングリコール化合物がより好ましい。可塑剤に含まれるアルキレンオキシ基は、ポリエチレンオキシ構造又はポリプロピレンオキシ構造を有することがより好ましい。
また、可塑剤は、解像性及び保存安定性の観点から、(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。相溶性、解像性、及び隣接する層との密着性の観点から、アルカリ可溶性樹脂がアクリル樹脂であり、且つ、可塑剤が(メタ)アクリレート化合物を含むことがより好ましい。
可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、上述した感光性組成物層に含まれる重合性化合物として記載した(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
転写フィルムにおいて、熱可塑性樹脂層と感光性組成物層とが直接接触して積層される場合、熱可塑性樹脂層及び感光性組成物層がいずれも同じ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。同じ(メタ)アクリレート化合物を熱可塑性樹脂層及び感光性組成物層がそれぞれ含むことで、層間の成分拡散が抑制され、保存安定性が向上するためである。
熱可塑性樹脂層が可塑剤として(メタ)アクリレート化合物を含む場合、熱可塑性樹脂層と隣接する層との密着性の観点から、露光後の露光部においても(メタ)アクリレート化合物が重合しないことが好ましい。
また、可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、熱可塑性樹脂層の解像性、隣接する層との密着性、及び現像性の観点から、一分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
更に、可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、酸基を有する(メタ)アクリレート化合物又はウレタン(メタ)アクリレート化合物も好ましい。
可塑剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
可塑剤の含有量は、熱可塑性樹脂層の解像性、隣接する層との密着性、及び現像性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、1~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましく、20~50質量%が更に好ましい。
<増感剤>
熱可塑性樹脂層は、増感剤を含んでもよい。
増感剤としては、特に制限されず、上述した感光性組成物層が含んでもよい増感剤が挙げられる。
増感剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
増感剤の含有量は、目的により適宜選択できるが、光源に対する感度の向上、並びに、露光部及び非露光部の視認性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.01~5質量%が好ましく、0.05~1質量%がより好ましい。
<添加剤等>
熱可塑性樹脂層は、上記成分以外に、必要に応じて界面活性剤等の公知の添加剤を含んでもよい。
また、熱可塑性樹脂層については、特開2014-085643号公報の段落0189~0193に記載されており、この公報に記載の内容は本明細書に組み込まれる。
熱可塑性樹脂層の層厚は、特に制限されないが、隣接する層との密着性の観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、現像性及び解像性の観点から、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、8μm以下が更に好ましい。
〔中間層〕
転写フィルムは、仮支持体と感光性組成物層との間に中間層を有することも好ましい。
中間層としては、例えば、水溶性樹脂層及び特開平5-072724号公報に「分離層」として記載される酸素遮断機能のある酸素遮断層が挙げられる。
中間層としては、露光時の感度が向上して露光機の時間負荷が低減して生産性が向上する点から、酸素遮断層が好ましく、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液(22℃の炭酸ナトリウムの1質量%水溶液)に分散又は溶解する酸素遮断層がより好ましい。
以下、水溶性樹脂層(中間層)が含み得る各成分について説明する。
水溶性樹脂層(中間層)は、樹脂を含む。
上記樹脂は、その一部又は全部として、水溶性樹脂を含むことが好ましい。
水溶性樹脂として使用可能な樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体等の樹脂が挙げられる。
また、水溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体等も使用できる。(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体としては、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アリルの共重合体が好ましく、メタクリル酸/メタクリル酸アリルの共重合体がより好ましい。
水溶性樹脂が(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体である場合、各組成比(モル%)としては、例えば、90/10~20/80が好ましく、80/20~30/70がより好ましい。
水溶性樹脂の重量平均分子量の下限値としては、5000以上が好ましく、7000以上がより好ましく、10000以上が更に好ましい。また、その上限値としては、200000以下が好ましく、100000以下がより好ましく、50000以下が更に好ましい。
水溶性樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1~10が好ましく、1~5がより好ましい。
水溶性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
水溶性樹脂の含有量は特に制限されないが、酸素遮断性、並びに、層間混合抑制能をより向上させる点で、水溶性樹脂層(中間層)の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましい。なお、その上限値としては特に制限されないが、例えば、99.9質量%以下が好ましく、99.8質量%以下が更に好ましい。
中間層は、上記水溶性樹脂以外に、その他成分を含んでいてもよい。
その他成分としては、多価アルコール類、多価アルコール類のアルキレンオキサイド付加物、フェノール誘導体又はアミド化合物が好ましく、多価アルコール類、フェノール誘導体又はアミド化合物がより好ましい。
また、その他成分としては、例えば、公知の界面活性剤も挙げられる。
多価アルコール類としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン及びジエチレングリコールが挙げられる。
多価アルコール類が有するヒドロキシ基の数としては、2~10が好ましい。
多価アルコール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、上記多価アルコール類にエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基等を付加した化合物が挙げられる。
アルキレンオキシ基の平均付加数は、1~100が好ましく、2~50が好ましく、2~20がより好ましい。
フェノール誘導体としては、例えば、ビスフェノールA及びビスフェノールSが挙げられる。
アミド化合物としては、例えば、N-メチルピロリドンが挙げられる。
中間層は、水溶性セルロース誘導体、多価アルコール類、多価アルコール類のオキサイド付加物、ポリエーテル系樹脂、フェノール誘導体及びアミド化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
その他成分の分子量は、5000未満が好ましく、4000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましく、2000以下が特に好ましく、1500以下が最も好ましい。下限は、60以上が好ましい。
その他成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
その他成分の含有量は、中間層の全質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、30質量%未満が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
中間層は、不純物を含んでいてもよい。
不純物としては、例えば、上記感光性組成物層に含まれる不純物が挙げられる。
水溶性樹脂層(中間層)の層厚は、特に制限されないが、0.1~5μmが好ましく、0.5~3μmがより好ましい。水溶性樹脂層(中間層)の厚みが上記の範囲内であると、酸素遮断性を低下させることがなく、層間混合抑制能が優れる。また、更に、現像時の水溶性樹脂層(中間層)除去時間の増大も抑制できる。
〔保護フィルム〕
転写フィルムは、感光性組成物層上に保護フィルムを有していてもよい。
保護フィルムとしては、耐熱性及び耐溶剤性を有する樹脂フィルムを用いることができ、例えば、ポリプロピレンフィルム及びポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、並びに、ポリスチレンフィルムが挙げられる。
また、保護フィルムとして上述の仮支持体と同じ材料で構成された樹脂フィルムを用いてもよい。
なかでも、保護フィルムとしては、ポリオレフィンフィルムが好ましく、ポリプロピレンフィルム又はポリエチレンフィルムがより好ましく、ポリエチレンフィルムが更に好ましい。
保護フィルムの厚みは、1~100μmが好ましく、5~50μmがより好ましく、5~40μmが更に好ましく、15~30μmが特に好ましい。
保護フィルムの厚みは、機械的強度に優れる点で、1μm以上が好ましく、比較的安価となる点で、100μm以下が好ましい。
また、保護フィルムにおいては、保護フィルム中に含まれる直径80μm以上のフィッシュアイ数が、5個/m以下であることが好ましい。
なお、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸及びキャスティング法等の方法によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、及び、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
保護フィルムに含まれる直径3μm以上の粒子の数は、30個/mm以下が好ましく、10個/mm以下がより好ましく、5個/mm以下が更に好ましい。
これにより、保護フィルムに含まれる粒子に起因する凹凸が感光性組成物層又は導電層に転写されることにより生じる欠陥を抑制することができる。
巻き取り性を付与する点から、保護フィルムの感光性組成物層と接する面とは反対側の表面の算術平均粗さRaは、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が更に好ましい。一方で、0.50μm未満が好ましく、0.40μm以下がより好ましく、0.30μm以下が更に好ましい。
保護フィルムは、転写時の欠陥抑制の点から、感光性組成物層と接する面の表面粗さRa、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が更に好ましい。一方で、0.50μm未満が好ましく、0.40μm以下がより好ましく、0.30μm以下が更に好ましい。
〔転写フィルムの製造方法〕
転写フィルムの製造方法としては特に制限されず、公知の方法が挙げられる。
上記転写フィルム10の製造方法としては、例えば、仮支持体11の表面に中間層形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して中間層13を形成する工程と、中間層13の表面に感光性組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して感光性組成物層15を形成する工程と、を含む方法、及び、仮支持体11の表面に感光性組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して感光性組成物層15を形成する工程を含む方法が挙げられる。
転写フィルム10が保護フィルム19を有する場合、上記製造方法により製造された転写フィルム10の組成物層17上に、保護フィルム19を圧着してもよい。
転写フィルム10の製造方法としては、組成物層17の仮支持体11側とは反対側の面に接するように保護フィルム19を設ける工程を含むことにより、仮支持体11、中間層13、感光性組成物層15及び保護フィルム19を備える転写フィルム10を製造することが好ましい。
上記製造方法により転写フィルム10を製造した後、転写フィルム10を巻き取ることにより、ロール形態の転写フィルムを作製及び保管してもよい。ロール形態の転写フィルム10は、後述するロールツーロール方式での基板との貼合工程にそのままの形態で提供できる。
また、上記転写フィルム10の製造方法は、保護フィルム19上に、組成物層17を形成する方法であってもよい。
<熱可塑性樹脂層形成用組成物及び熱可塑性樹脂層の形成方法>
転写フィルムが熱可塑性樹脂層を有する場合、仮支持体上に熱可塑性樹脂層を形成する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、仮支持体上に熱可塑性樹脂層形成用組成物を塗布し、そして、必要に応じて乾燥させることにより形成できる。
熱可塑性樹脂層形成用組成物としては、上述した熱可塑性樹脂層を形成する各種成分と溶剤とを含むのが好ましい。なお、熱可塑性樹脂層形成用組成物において、組成物の全固形分に対する各成分の含有量の好適範囲は、上述した熱可塑性樹脂層の全質量に対する各成分の含有量の好適範囲と同じである。
溶剤としては、溶剤以外の各成分を溶解又は分散可能であれば特に制限されず、公知の溶剤を使用できる。溶剤としては、後述する感光性組成物が含む溶剤と同様のものが挙げられ、好適態様も同じである。
溶剤の含有量は、組成物の全固形分100質量部に対して、50~1,900質量部が好ましく、100~900質量部がより好ましい。
<水溶性樹脂組成物及び中間層(水溶性樹脂層)の形成方法>
水溶性樹脂組成物としては、上述した中間層(水溶性樹脂層)を形成する各種成分と溶剤とを含むことが好ましい。なお、水溶性樹脂組成物において、組成物の全固形分に対する各成分の含有量の好適範囲は、上述した水溶性樹脂層の全質量に対する各成分の含有量の好適範囲と同じである。
溶剤としては、水溶性樹脂を溶解又は分散可能であれば特に制限されず、水及び水混和性の有機溶剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、水又は水と水混和性の有機溶剤との混合溶剤がより好ましい。
水混和性の有機溶剤としては、例えば、炭素数1~3のアルコール、アセトン、エチレングリコール、及びグリセリンが挙げられ、炭素数1~3のアルコールが好ましく、メタノール又はエタノールがより好ましい。
溶剤を、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
溶剤の含有量は、組成物の全固形分100質量部に対して、50~2500質量部が好ましく、50~1900質量部がより好ましく、100~900質量部が更に好ましい。
水溶性樹脂層の形成方法は、上記の成分を含む層を形成可能な方法であれば特に制限されず、例えば、公知の塗布方法(スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、及びインクジェット塗布等)が挙げられる。
<感光性組成物及び感光性組成物層の形成方法>
生産性に優れる点で、上述した感光性組成物を構成する成分(例えば、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物、及び、光重合開始剤等)、及び溶剤を含む感光性組成物を使用して塗布法により形成されることが望ましい。なお、感光性組成物において、組成物の全固形分に対する各成分の含有量の好適範囲は、上述した感光性組成物層の全質量に対する各成分の含有量の好適範囲と同じである。
転写フィルムの製造方法としては、具体的には、中間層上に感光性組成物を塗布して塗膜を形成し、この塗膜に所定温度にて乾燥処理を施して感光性組成物層を形成する方法であることが好ましい。
感光性組成物の塗布方法としては、例えば、印刷法、スプレー法、ロールコート法、バーコート法、カーテンコート法、スピンコート法、及び、ダイコート法(すなわち、スリットコート法)が挙げられる。
感光性組成物の塗膜の乾燥方法としては、加熱乾燥及び減圧乾燥が好ましい。なお、本明細書において「乾燥」とは、組成物に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去することを意味する。乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、及び、減圧乾燥が挙げられる。上記した方法を単独で又は複数組み合わせて適用することができる。
乾燥温度としては、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。また、その上限値としては130℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。温度を連続的に変化させて乾燥させることもできる。
また、乾燥時間としては、20秒以上が好ましく、40秒以上がより好ましく、60秒以上が更に好ましい。また、その上限値としては特に制限されないが、600秒以下が好ましく、300秒以下がより好ましい。
更に、保護フィルムを感光性組成物層に貼り合わせることにより、転写フィルムを製造できる。
保護フィルムを感光性組成物層に貼り合わせる方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられる。
保護フィルムを感光性組成物層に貼り合わせる装置としては、真空ラミネーター、及び、オートカットラミネーター等の公知のラミネーターが挙げられる。
ラミネーターはゴムローラー等の任意の加熱可能なローラーを備え、加圧及び加熱ができるものであることが好ましい。
〔用途〕
本発明の感光性組成物及び転写フィルムは、種々の用途に適用できる。例えば、電極保護膜、絶縁膜、平坦化膜、オーバーコート膜、ハードコート膜、パッシベーション膜、隔壁、スペーサ、マイクロレンズ、光学フィルター、反射防止膜、エッチングレジスト、及びめっき部材などに適用できる。より具体的な例として、タッチパネル電極の保護膜又は絶縁膜、プリント配線板の保護膜又は絶縁膜、TFT基板の保護膜又は絶縁膜、カラーフィルター、カラーフィルター用オーバーコート膜、配線形成のためのエッチングレジスト等が挙げられる。
また、本発明の感光性組成物及び転写フィルムは、両面露光に好適に使用され得る。
[積層体]
本発明の積層体は、基材と、2層以上の感光性組成物層と、を有する。
本発明の積層体の具体的な態様の一例しては、基材と、上記基材の両面に配置された感光性組成物層と、を有する積層体が挙げられる。また、本発明の積層体の具体的な態様の他の一例しては、基材と、上記基材の片面に配置された2層の感光性組成物層と、を有する積層体が挙げられる。
また、本発明の積層体における2層以上の感光性組成物層のうち、少なくとも1種は上述した第1実施形態又は第2実施形態の感光性組成物から形成される層であり、少なくとも1種は上述した第1実施形態又は第2実施形態の感光性組成物から形成される層とは異なる層であって、且つ、波長365nmを主波長とする露光光により好適に感光しうる感光性組成物層であるのが好ましい。
また、本発明の積層体における基材としては特に制限されないが、透明基材であるのが好ましい。透明基材としては公知のものが使用できるが、なかでも、透明導電層付き基材がより好ましい。
本発明の積層体としては、なかでも、透明基材と上記透明基材の両面に配置された透明導電層とを有する透明導電層付き基材と、上記透明導電層付き基材の両面に配置された感光性組成物層とを有する積層体が好ましい。このような積層体の具体的な実施形態の一例としては、図3に示す積層体20が挙げられる。図3に示す積層体20は、透明基材21と透明基材21の両面に配置された透明導電層23、25とを有する透明導電層付き基材27と、透明導電層付き基材27の両面に配置された感光性組成物層29、31とを有する。
以下において、透明基材と上記透明基材の両面に配置された透明導電層とを有する透明導電層付き基材と、上記透明導電層付き基材の両面に配置された感光性組成物層とを有する積層体について詳述する。
〔透明導電層付き基材〕
以下、透明導電層付き基材について説明する。
<透明基材>
透明導電層付き基材は、透明基材を有する。
透明基材の材料としては、例えば、樹脂材料及び無機材料が挙げられる。
樹脂材料としては、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート)、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー、及びポリカーボネート等が挙げられる。
無機材料としては、例えば、ガラス及び石英等が挙げられる。
透明基材は、樹脂フィルムであるのが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、又はシクロオレフィンポリマーフィルムであるのが好ましい。
透明基材の厚さは、特に制限されない。透明基材の平均厚さとしては、搬送性、電気特性、及び製膜性の点で、10~100μmであるのが好ましく、10~60μmであるのがより好ましい。透明基材の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、透明基材の面内方向に対して垂直方向の断面を観察することによって測定される、10箇所の厚さの平均値とする。
<透明導電層>
透明導電層付き基材は、上記透明基材の両面に配置された透明導電層を有する。
透明導電層の体積抵抗率としては、1×10Ωcm未満であるのが好ましく、1×10Ωcm未満であるのがより好ましい。なお、下限値としては、1Ωcm以上である。体積抵抗率は、公知の抵抗率計(例えば、抵抗測定器EC-80P、ナプソン株式会社製)を用いて測定する。
透明導電層は、金属ナノワイヤ及び金属ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含むのが好ましい。
金属ナノ粒子としては、例えば、銀ナノ粒子、銅ナノ粒子、金ナノ粒子、及び白金ナノ粒子等の金属ナノ粒子が挙げられる。金属ナノワイヤとしては、例えば、銀ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、金ナノワイヤ、及び白金ナノワイヤ等が挙げられ、透明性がより優れる点で、銀ナノ粒子又は銀ナノワイヤが好ましい。
透明導電層の厚さは、特に制限されない。透明導電層の平均厚さは、導電性及び製膜性がより優れる点で、0.001~1,000μmであるのが好ましく、0.005~15μmであるのがより好ましく、0.01~10μmであるのが更に好ましい。透明導電層の平均厚さは、上記透明基材の平均厚さの測定方法に準ずる方法により測定する。
透明導電層は、透明基材の全体に配置されていてもよいし、又は透明基材の一部に配置されていてもよい。
また、透明導電層付き基材は、例えば、透明導電層の保護、電気特性制御、及び、透明導電層へ転写フィルムを貼合した後の透明導電層と転写フィルムとの密着性制御を目的として、透明導電層の透明基材側とは反対面に、更に他の層を有していてもよい。
上記他の層としては特に制限されない。他の層としては、有機物で構成された層、無機物で構成された層、有機物のマトリクス中に無機物が分散した層、及び無機物のマトリックス中に有機物が分散した層等のいずれであってもよい。
(透明導電層付き基材の形成方法)
透明導電層付き基材の形成方法としては、特に制限されず、公知の方法を利用できる。
透明導電層付き基材の形成方法としては、透明基材上に、例えば、塗布、真空蒸着、スパッタリング、及びめっき等によって透明導電層を形成する方法が挙げられる。
なお、透明導電層付き基材が、第透明導電層の透明基材側とは反対面に更に他の層を有する場合、他の層の形成方法としては、例えば、塗布、真空蒸着、スパッタリング、及びラミネート等の公知の方法が挙げられる。
〔感光性組成物層〕
上記透明導電層付き基材の両面のうち一方の面に配置される感光性組成物層は、上述した第1実施形態又は第2実施形態の感光性組成物から形成される層である。
上記感光性組成物層は、上述した本発明の転写フィルムを貼合して形成されたものであってもよい。換言すると、積層体は、透明導電層付き基材に本発明の転写フィルムを貼合して形成されたものであってもよい。貼合の際、転写フィルム中の保護フィルムを剥離してから、保護フィルムの剥離により露出する面と透明導電層付き基材の透明導電層とを貼り合せるのが好ましい。また、貼合後、転写フィルム中の仮支持体を剥離してもよい。換言すると、積層体は、仮支持体を有していてもよいし、有していなくてもよい。
上記透明導電層付き基材の両面のうち他方の面に配置される感光性組成物層は、上述した第1実施形態又は第2実施形態の感光性組成物から形成される層とは異なり、波長365nmを主波長とする露光波長により好適に感光しうる感光性組成物層であるのが好ましい。このような感光性組成物層としては、公知の感光性組成物を適用できる。転写フィルムを貼合して形成されたものであってもよい。
[パターン形成方法]
〔第1実施形態のパターン形成方法〕
本発明の第1実施形態のパターン形成方法は、
上述の第1実施形態の感光性組成物からなる第1の感光性組成物層と、基材と、上記第1の感光性組成物層とは異なる感光性組成物層であって波長365nmの光に感光する第2の感光性組成物層と、を有する積層体を準備する工程と、
上記第1の感光性組成物層を波長405nmを主波長とする露光波長で露光する工程(以下「第1露光工程」ともいう。)と、
上記第2の感光性組成物層を波長365nmを主波長とする露光波長で露光する工程(以下「第2露光工程」ともいう。)と、
露光された上記第1の感光性組成物層を現像して第1の樹脂パターンを形成する工程(以下「第1現像工程」ともいう。)と、
露光された上記第2の感光性組成物層を現像して第2の樹脂パターンを形成する工程(以下「第2現像工程」ともいう。)と、を含む。
以下、第1実施形態のパターン形成方法の各工程について具体的に説明する。
ここで、第1の感光性組成物層は、上述した第1実施形態の感光性組成物から形成される層である。
上記感光性組成物層は、上述した本発明の転写フィルムを貼合して形成されたものであってもよい。換言すると、積層体は、透明導電層付き基材に本発明の転写フィルムを貼合して形成されたものであってもよい。貼合の際、転写フィルム中の保護フィルムを剥離してから、保護フィルムの剥離により露出する面と透明導電層付き基材の透明導電層とを貼り合せるのが好ましい。また、貼合後、転写フィルム中の仮支持体を剥離してもよい。換言すると、積層体は、仮支持体を有していてもよいし、有していなくてもよい。
第2の感光性組成物層は、上述した第1実施形態又は第2実施形態の感光性組成物から形成される層とは異なり、波長365nmを主波長とする露光波長により好適に感光しうる感光性組成物層であるのが好ましい。このような感光性組成物層としては、公知の感光性組成物を適用できる。また、転写フィルムを貼合して形成されたものであってもよい。
また、基材としては、例えば、上述した積層体が有する透明導電層付き基材等が挙げられる。
<第1露光工程>
第1の感光性組成物層を露光する方法としては、例えば、フォトマスクを用いる方法が挙げられる。例えば、第1の感光性組成物層と光源との間にフォトマスクを配置することで、フォトマスクを介して第1の感光性組成物層をパターン状に露光できる。第1の感光性組成物層をパターン露光することで、第1の感光性組成物層において露光部及び未露光部を形成できる。
第1露光工程においては、コンタクト露光、プロキシミティ露光方式、レンズ系若しくはミラー系のプロジェクション露光方式、及び、露光レーザー等を用いたダイレクト露光方式のなかから適宜選択して適用できる。レンズ系のプロジェクション露光方式の場合、必要な解像力及び焦点深度に応じて、適当なレンズの開口数(NA)を有する露光機を使用できる。ダイレクト露光方式の場合は、直接感光性組成物層に描画を行ってもよいし、レンズを介して感光性組成物層に縮小投影露光をしてもよい。また、露光は大気下で行うだけでなく、減圧又は真空下で行ってもよく、また、光源と感光性組成物層の間に水等の液体を介在させて露光してもよい。
第1の感光性組成物層上に仮支持体が配置されている場合、仮支持体を介して第1の感光性組成物層を露光してもよく、第1の感光性組成物層から仮支持体を除去した後で第1の感光性組成物層を露光してもよい。コンタクト露光によって第1の感光性組成物層を露光する場合、フォトマスクの汚染及びフォトマスクに付着した異物による露光への影響を避ける観点から、仮支持体を介して第1の感光性組成物層を露光するのが好ましい。仮支持体を介して第1の感光性組成物層を露光した場合、仮支持体を除去した後、後述する第1現像工程を行うのが好ましい。
仮支持体を介して第1の感光性組成物層を露光する場合に用いられる仮支持体は、露光の際に照射される光を透過可能なフィルムであるのが好ましい。
露光の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、及び発光ダイオード(LED)が挙げられる。
第1露光工程における露光波長は、波長365nmを含まないのが好ましい。本明細書において「波長365nmを含まない」とは、露光波長全域における強度の最大値(すなわち主波長の強度をいう。以下同じ。)を100%とする場合、波長365nmの強度が30%以下であることを意味する。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長365nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長365nmの強度の下限としては、特に制限されない。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長365nmの強度は、例えば、0%以上である。
更に、第1露光工程における露光波長は、波長436nmを含まないこともまた好ましい。本明細書において「波長436nmを含まない」とは、露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長436nmの強度が30%以下であることを意味する。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長436nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長436nmの強度の下限としては、特に制限されない。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長436nmの強度は、例えば、0%以上である。
第1露光工程における露光波長は、波長405nmを主波長として、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度及び波長436nmの強度が30%以下であるのが好ましい。主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度及び波長436nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長365nmの強度及び波長436nmの強度の下限は特に制限されない。主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度及び波長436nmの強度は、例えば、0%以上である。
第1露光工程における露光波長を調節する方法としては、例えば、波長選択性を有するフィルター(バンドパスフィルター)を用いる方法、及び、特定の波長を有する光を照射可能な光源を用いる方法が挙げられる。例えば、波長選択性を有するフィルターを介して第1の感光性組成物層を露光することで、第1の感光性組成物層に到達する光の波長を特定の範囲に調節できる。上記波長特性の光を調整し得るバンドパスフィルターとしては、例えば、朝日分光株式会社製の「HMZ0405」等を使用できる。
露光量は、5~1,000mJ/cmであるのが好ましく、10~500mJ/cmであるのがより好ましく、10~200mJ/cmであるのが更に好ましい。露光量は、光源照度及び露光時間に基づいて決定される。また、露光量は、光量計を用いて測定してもよい。
第1露光工程においては、フォトマスクを用いずに第1の感光性組成物層を露光してもよい。フォトマスクを用いずに第1の感光性組成物層を露光する場合(以下、「マスクレス露光」ということもある。)、例えば、直接描画装置を用いて第1の感光性組成物層を露光できる。
直接描画装置は、活性エネルギー線を用いて直接画像を描くことが可能である。マスクレス露光における光源としては、例えば、波長405nmの光を主波長として照射可能な、レーザー(例えば、半導体レーザー、ガスレーザー、及び固体レーザー等)、及び水銀ショートアークランプ(例えば、超高圧水銀灯)等が挙げられる。
露光波長の好ましい範囲は、既述のとおりである。露光量は、光源照度、及び積層体の移動速度に基づいて決定される。描画パターンは、コンピュータによって制御できる。
<第2露光工程>
第2の感光性組成物層を露光する方法としては、例えば、フォトマスクを用いる方法が挙げられる。例えば、第2の感光性組成物層と光源との間にフォトマスクを配置することで、フォトマスクを介して第2の感光性組成物層をパターン状に露光できる。第2の感光性組成物層をパターン露光することで、第2の感光性組成物層において露光部及び未露光部を形成できる。
第2露光工程は、露光波長が異なる点以外は、第1露光工程と同様の方法により実施できる。
露光の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、及び発光ダイオード(LED)が挙げられる。
更に、第1露光工程における露光波長は、波長405nmを含まないことが好ましい。本明細書において「波長405nmを含まない」とは、露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長405nmの強度が30%以下であることを意味する。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長405nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長405nmの強度の下限としては、特に制限されない。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長405nmの強度は、例えば、0%以上である。
第2露光工程における露光波長は、波長436nmを含まないこともまた好ましい。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長436nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長436nmの強度の下限としては、特に制限されない。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長436nmの強度は、例えば、0%以上である。
第2露光工程における露光波長は、波長365nmを主波長として、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長405nmの強度及び波長436nmの強度が30%以下であるのが好ましい。主波長の強度を100%とする場合、波長405nmの強度及び波長436nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長405nmの強度及び波長436nmの強度の下限は特に制限されない。主波長の強度を100%とする場合、波長405nmの強度及び波長436nmの強度は、例えば、0%以上である。
第2露光工程における露光波長を調節する方法としては、例えば、波長選択性を有するフィルターを用いる方法、及び特定の波長を有する光を照射可能な光源を用いる方法が挙げられる。例えば、波長選択性を有するフィルターを介して第2の感光性組成物層を露光することで、第2の感光性組成物層に到達する光の波長を特定の範囲に調節できる。上記波長特性の光を調整し得るバンドパスフィルターとしては、例えば、朝日分光株式会社製の「MZ0365」等を使用できる。
露光量は、5~1,000mJ/cmであるのが好ましく、10~500mJ/cmであるのがより好ましく、10~200mJ/cmであるのが更に好ましい。露光量は、光源照度、及び露光時間に基づいて決定される。また、露光量は、光量計を用いて測定してもよい。
第2露光工程においては、フォトマスクを用いずに第2の感光性組成物層を露光してもよい。フォトマスクを用いずに第2の感光性組成物層を露光する場合(以下、「マスクレス露光」ということもある。)、例えば、直接描画装置を用いて第2の感光性組成物層を露光できる。
直接描画装置は、活性エネルギー線を用いて直接画像を描くことが可能である。マスクレス露光における光源としては、例えば、波長365nmの光を主波長として照射可能な、レーザー(例えば、半導体レーザー、ガスレーザー、及び固体レーザー等)、及び水銀ショートアークランプ(例えば、超高圧水銀灯)等が挙げられる。
露光波長の好ましい範囲は、既述のとおりである。露光量は、光源照度、及び積層体の移動速度に基づいて決定される。描画パターンは、コンピュータによって制御できる。
本発明のパターン形成方法において、第1露光工程及び第2露光工程は、同時に行われてもよいし、又は、逐次に行われてもよい。第1露光工程及び第2露光工程の実施順序としては、第1露光工程→第2露光工程の順に実施されてもよいし、第2露光工程→第1露光工程の順に実施されてもよい。生産性がより向上する点で、第1露光工程及び第2露光工程は、同時に行われるのが好ましい。
本明細書において、「第1露光工程及び第2露光工程が、同時に行われる」とは、第1の感光性組成物層の露光と第2の感光性組成物層の露光が完全に同時に行われる場合に制限されず、第1の感光性組成物層を露光する期間と第2の感光性組成物層を露光する期間とが重複する場合を含む。
また、「第1露光工程及び第2露光工程が、逐次に行われる」とは、第1の感光性組成物層を露光する期間と第2の感光性組成物層を露光する期間とが重複しない範囲で、第1の感光性組成物層及び第2の感光性組成物層をそれぞれ露光することを意味する。
<第1現像工程>
本発明のパターン形成方法は、露光された第1の感光性組成物層を現像して第1樹脂パターンを形成する工程(第1現像工程)を含む。第1現像工程において、例えば、露光された第1の感光性組成物層のうち現像液に対する溶解性が相対的に大きい部分を除去することで、第1樹脂パターンを形成できる。
現像方法としては、特に制限されず、公知の方法を利用できる。例えば、現像液を用いて、第1の感光性組成物層を現像できる。
現像液としては、特に制限されず、公知の現像液を利用できる。現像液としては、例えば、特開平5-072724号公報に記載された現像液が挙げられる。好ましい現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落0194に記載された現像液が挙げられる。
現像液は、pKaが7~13の化合物を含むアルカリ水溶液系の現像液であるのが好ましい。上記アルカリ水溶液系の現像液において、pKaが7~13の化合物の濃度は、0.05~5mol/Lであるのが好ましい。
現像液は、上記以外の成分として、例えば、水と混和性を有する有機溶剤、及び界面活性剤を含んでいてもよい。
現像液の温度は、20~40℃であるのが好ましい。
現像方式としては、特に制限されず、公知の方法を利用できる。現像方式としては、例えば、パドル現像、シャワー現像、シャワー、及びスピン現像、並びにディップ現像が挙げられる。
第1現像工程は、第1樹脂パターンを加熱処理(「ポストベーク」ともいう。)する工程を含んでいてもよい。
加熱処理は、8.1~121.6kPaの環境下で行うのが好ましく、8.1~114.6kPaの環境下で行うのがより好ましく、8.1~101.3kPaの環境下で行うのが更に好ましい。
加熱処理の温度は、20~250℃であるのが好ましく、30~170℃であるのがより好ましく、50~150℃であるのが更に好ましい。
加熱処理の時間は、1~30分であるのが好ましく、2~10分であるのがより好ましく、2~4分であるのが更に好ましい。
加熱処理は、空気環境下で行ってもよく、窒素置換環境下で行ってもよい。
<第2現像工程>
本発明のパターン形成方法は、露光された第2の感光性組成物層を現像して第2樹脂パターンを形成する工程(第2現像工程)を含む。第2現像工程において、例えば、露光された第2の感光性組成物層のうち現像液に対する溶解性が相対的に大きい部分を除去することで、第2樹脂パターンを形成できる。
第2現像工程の具体的な実施形態としては既述の第1現像工程と同じであり、また好適態様も同じである。
本発明のパターン形成方法において、第1現像工程及び第2現像工程は、同時に行われてもよいし、又は、逐次に行われてもよい。第1現像工程及び第2現像工程の実施順序としては、第1現像工程→第2現像工程の順に実施されてもよいし、第2現像工程→第1現像工程の順に実施されてもよい。生産性がより向上する点で、第1現像工程及び第2現像工程は、同時に行われるのが好ましい。
本明細書において、「第1現像工程及び第2現像工程が、同時に行われる」とは、第1の感光性組成物層の現像と第2の感光性組成物層の現像が完全に同時に行われる場合に制限されず、第1の感光性組成物層を現像する期間と第2の感光性組成物層を現像する期間とが重複する場合を含む。
また、「第1現像工程及び第2現像工程が、逐次に行われる」とは、第1の感光性組成物層を現像する期間と第2の感光性組成物層を現像する期間とが重複しない範囲で、第1の感光性組成物層及び第2の感光性組成物層をそれぞれ露光することを意味する。
パターン形成方法の好適な一実施形態としては、第1露光工程及び第2露光工程が同時に行われ、且つ、第1現像工程及び第2現像工程が同時に行われる実施形態が挙げられる。上記実施形態によれば、露光後から現像開始までの時間及び環境を同一にできるため、製品品質を安定にすることが容易となるほか、工程長を短くでき、プロセスコストを削減できる。
また、パターン形成方法の好適な他の実施形態としては、第1露光工程及び第2露光工程が逐次に行われ、又は、第1現像工程及び第2現像工程が逐次に行われるのが好ましい。例えば、第1の感光性組成物層及び第2の感光性組成物層に関して露光後の反応進行速度が大幅に異なる場合、又は、異なる露光光源を感光性組成物層から離して配置する必要がある場合、第1露光工程及び第2露光工程は逐次に行われるのが好ましい。また、例えば、第1の感光性組成物層の現像に使用される現像液と第2の感光性組成物層の現像に使用される現像液とが異なる場合には、第1現像工程及び第2現像工程は逐次に行われるのが好ましい。
<エッチング工程>
パターン形成方法は、現像工程後に、エッチング工程を有しているのも好ましい。
なお、以下では第1樹脂パターンが配置された透明導電層、及び、第2樹脂パターンが配置された透明導電層を、各々第1透明導電層及び第2透明導電層という場合もある。
エッチング工程は、第1樹脂パターンをマスクとして用いて第1透明導電層をエッチングする工程及び第2樹脂パターンをマスクとして用いて第2透明導電層をエッチングする工程の少なくとも一方を実施する工程である。
エッチング工程を経ることで、透明基材上に、第1透明導電層のパターン及び/又は第2透明導電層のパターンを形成できる。
エッチングとしては、例えば、ドライエッチング及びウェットエッチングが挙げられる。エッチングは、真空プロセスが不要であり、そしてプロセスが簡便であることから、ウェットエッチングであるのが好ましい。エッチングとしては、特開2010-152155号公報の段落0048~段落0054に記載された方法も挙げられる。
ウェットエッチングにおいて用いられるエッチング液としては、例えば、酸性タイプのエッチング液及びアルカリ性タイプのエッチング液が挙げられる。
酸性タイプのエッチング液としては、例えば、酸性成分(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、及びリン酸)を含む水溶液、及び、酸性成分と塩(例えば、塩化第二鉄、フッ化アンモニウム、硝酸鉄、及び過マンガン酸カリウム)とを含む水溶液が挙げられる。
酸性タイプのエッチング液は、酸性成分が1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。また、酸性タイプのエッチング液は、塩が1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
アルカリ性タイプのエッチング液としては、例えば、アルカリ成分〔例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、及び有機アミンの塩(例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド〕を含む水溶液、及びアルカリ成分と塩(例えば、過マンガン酸カリウム)とを含む水溶液が挙げられる。
アルカリ性タイプのエッチング液は、アルカリ成分が1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。また、アルカリ性タイプのエッチング液は、塩が1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
エッチング液は、エッチングレートの制御の観点から、防錆剤を含んでいてもよい。防錆剤としては、例えば、含窒素含有化合物(例えば、トリアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、及びテトラゾール系化合物等)が挙げられる。
エッチング液の温度は、45℃以下であるのが好ましい。
本発明のパターン形成方法において、マスクとして用いられる第1樹脂パターン及びマスクとして用いられる第2樹脂パターンは、エッチング耐性がより優れる点で、60℃以下のエッチング液に対する耐性が優れているのが好ましい。
エッチング工程において、第1透明導電層及び第2透明導電層のエッチング処理は、同時に行われてもよいし、又は、逐次に行われてもよい。生産性がより向上する点で、第1露光工程及び第2露光工程は、同時に行われるのが好ましい。
<洗浄工程及び乾燥工程>
本発明のパターン形成方法は、工程ラインの汚染を防ぐ観点から、上記エッチング工程後に、必要に応じて、洗浄工程及び乾燥工程を含んでいてもよい。
洗浄工程の具体的な一例としては、常温(例えば、25℃)で純水を使用して、積層体を洗浄する方法が挙げられる。洗浄時間は、例えば、10~300秒の範囲で適宜設定できる。
乾燥工程の具体的な一例としては、エアブローを使用して積層体を乾燥する方法が挙げられる。エアブロー圧は、0.1~5kg/cmであるのが好ましい。
<全面露光工程>
本発明のパターン形成方法は、第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンの少なくとも一方を全面露光する工程(以下「全面露光工程」ともいう。)を含んでいてもよい。全面露光工程は、後述する除去工程の前に実施されるのが好ましい。本発明のパターン形成方法が全面露光工程を含むことで、現像後に残存したパターンの反応度を更に向上できる。
なお、「全面露光」とは、透明導電層付き基材上の第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンが配置された領域を露光することを意図する。透明導電層付き基材上の第1樹脂パターンが配置されていない領域、及び、透明導電層付き基材上の第2樹脂パターンが配置されていない領域は、露光されてもよいし、露光されなくてもよい。簡便性がより優れる点で、透明導電層付き基材上の全面が露光されるのが好ましい。
露光の光源としては、特に制限されず、公知の光源を利用できる。露光の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、及び発光ダイオード(LED)が挙げられる。
露光量は、5~1,000mJ/cmであるのが好ましく、10~800mJ/cmであるのがより好ましく、100~500mJ/cmであるのが更に好ましい。
第1樹脂パターンを全面露光する場合、露光波長は第1露光工程での露光波長と同じであるのが好ましい。また、露光量は、第1露光工程における露光量以上であるのが好ましく、第1露光工程における露光量より大きいのがより好ましい。
第2樹脂パターンを全面露光する場合、露光波長は第2露光工程での露光波長と同じであるのが好ましい。また、露光量は、第2露光工程における露光量以上であるのが好ましく、第2露光工程における露光量より大きいのがより好ましい。
露光照度は、5~25,000mW/cmであるのが好ましく、20~20,000mW/cmであるのがより好ましく、30~15,000mW/cmであるのが更に好ましい。照度を大きくすることで全面露光に要する時間が短縮される。
<加熱工程>
本発明のパターン形成方法は、全面露光工程の間、全面露光工程の実施前、及び、後述する除去工程の実施前の少なくとも一方において、第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンの少なくとも一方を加熱する工程(以下「加熱工程」ともいう。)を含んでいてもよい。本発明のパターン形成方法が加熱工程を含むことで、第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンの除去を容易に行うことができる。
加熱装置としては、特に制限されず、公知の加熱装置を利用できる。加熱装置としては、例えば、赤外線ヒーター、ホットブロワー、及びコンベクションオーブンが挙げられる。
加熱温度は、除去性の観点から、30~100℃であるのが好ましく、30~80℃であるのがより好ましく、30~60℃であるのが特に好ましい。
加熱時間は、除去性の観点から、1~600秒であるのが好ましく、1~120秒であるのがより好ましく、5~60秒であるのが特に好ましい。ここで、「加熱時間」とは、透明導電層付き基材表面が設定温度に到達した時から起算した時間を意味し、昇温中の時間は含まない。
加熱雰囲気は、空気(相対湿度:10~90%RH)であるのが好ましい。加熱雰囲気は、不活性ガス(例えば、窒素及びアルゴン)であってもよい。
圧力は、常圧であるのが好ましい。
透明導電層付き基材上に多量の水が付着しているような場合、上記加熱工程の前及び加熱工程中の少なくとも一方において、加熱効率を高める観点から、エアナイフ等で余分な水を吹き飛ばす工程を組み合わせてもよい。
<除去工程>
本発明のパターン形成方法は、第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンの少なくとも一方を除去する工程(以下「除去工程」といもいう。)を含んでいてもよい。なお、以下において、第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンを「樹脂パターン」と総称する場合もある。
樹脂パターンを除去する方法としては、例えば、除去液等の薬品を使用する方法が挙げられ、具体的な一例として、積層体を除去液に浸漬する方法が挙げられる。
除去液としては、樹脂パターンを溶解又は分散可能なものが好ましい。
除去液の温度は、30~80℃であるのが好ましく、50~80℃であるのがより好ましい。
除去液への浸漬時間は、1~30分間であるのが好ましい。
除去液は、除去性がより向上する点で、水を含むのが好ましい。
除去液中の水の含有量が、30質量%以上であるのが好ましく、50質量%以上であるのがより好ましく、70質量%以上であるのが更に好ましい。
除去液としては、無機アルカリ成分又は有機アルカリ成分を含むのが好ましい。
無機アルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。有機アルカリ成分としては、例えば、第1級~第3級のアミン化合物及び第4級アンモニウム塩化合物が挙げられる。
除去液としては、なかでも、除去性がより向上する点で、有機アルカリ成分を含むのがより好ましい。除去液中の有機アルカリ成分の含有量としては、除去性がより優れる点で、除去液の全質量に対して、0.01~20質量%であるのが好ましく、0.1~10質量%であるのがより好ましい。
除去液は、除去性の観点から、界面活性剤を含むのが好ましい。界面活性剤としては、特に制限されず、公知の界面活性剤を利用できる。
界面活性剤の含有量は、除去性の観点から、除去液の全質量に対して、0.1~10質量%であるのが好ましい。
除去液は、水溶性有機溶剤を含むのも好ましい。水溶性有機溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド、低級アルコール、グリコールエーテル、及びN-メチルピロリドンが挙げられる。
除去工程において除去液と樹脂パターンとを接触させる方法としては、例えば、スプレー法、シャワー法、及びパドル法が挙げられる。
除去液としては、特開平11-021483号公報、特開2002-129067号公報、特開平07-028254号公報、特開2001-188363号公報、特開平04-048633号公報、及び特許第5318773号公報に記載された剥離液を適用することもできる。
第1樹脂パターンの除去及び第2樹脂パターンの除去は、同時に行われても逐次に行われてもよい。第1樹脂パターンの除去、及び第2樹脂パターンの除去は、生産性の観点から、同時に行われるのが好ましい。
<ロールツーロール方式>
本発明のパターン形成方法は、ロールツーロール方式により実施されるのが好ましい。
ロールツーロール方式としては、特に制限されず、公知のロールツーロール方式を利用できる。例えば、本発明のパターン形成方法において、少なくとも1つの工程の前後に、少なくとも積層体を巻き出す工程及び少なくとも積層体を巻き取る工程をそれぞれ設けることで、積層体を搬送しながら加工できる。
<他の工程>
本発明のパターン形成方法は、上記以外の工程を含んでいてもよい。上記以外の工程としては、例えば、以下の工程が挙げられる。
(可視光線反射率を低下させる工程)
本発明のパターン形成方法は、第1透明導電層及び第2透明導電層の一部又は全ての可視光線反射率を低下させる処理をする工程を含んでいてもよい。
可視光線反射率を低下させる処理としては、例えば、酸化処理が挙げられる。例えば、第1透明導電層及び第2透明導電層が銅を含む場合、銅を酸化処理して酸化銅とすることで、第1透明導電層及び第2透明導電層の可視光線反射率を低下させることができる。
可視光線反射率を低下させる処理の好ましい態様については、特開2014-150118号公報の段落0017~段落0025、並びに特開2013-206315号公報の段落0041、段落0042、段落0048、及び段落0058に記載があり、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
〔第2実施形態のパターン形成方法〕
本発明の第2実施形態のパターン形成方法は、
上述の第2実施形態の感光性組成物からなる第3の感光性組成物層と、基材と、上記第3の感光性組成物層とは異なる感光性組成物層であって波長365nmの光に感光する第4の感光性組成物層と、を有する積層体を準備する工程と、
上記第3の感光性組成物層を波長436nmを主波長とする露光波長で露光する工程(以下「第3露光工程」ともいう。)と、
上記第4の感光性組成物層を波長365nmを主波長とする露光波長で露光する工程(以下「第4露光工程」ともいう。)と、
露光された上記第3の感光性組成物層を現像して第3の樹脂パターンを形成する工程(以下「第3現像工程」ともいう。)と、
露光された上記第4の感光性組成物層を現像して第4の樹脂パターンを形成する工程(以下「第4現像工程」ともいう。)と、を含む。
以下、第2実施形態のパターン形成方法の各工程について具体的に説明する。
第2実施形態のパターン形成方法の手順は、主に露光波長おいてのみ第1実施形態のパターン形成方法の手順と異なる。そこで以下では、主に露光波長についてのみ説明する。
また、第2実施形態のパターン形成方法の第3露光工程は、露光波長の点以外は第1実施形態のパターン形成方法の第1露光工程と同様であり、第2実施形態のパターン形成方法の第4露光工程は、露光波長の点以外は第1実施形態のパターン形成方法の第2露光工程と同じである。また、第2実施形態のパターン形成方法の第3現像工程及び第4現像工程は、第1実施形態のパターン形成方法の第1現像工程及び第2現像工程と各々同じである。
〔第3露光工程の露光波長〕
第3露光工程における露光波長は、波長365nmを含まないのが好ましい。本明細書において「波長365nmを含まない」とは、露光波長全域における強度の最大値(すなわち主波長の強度をいう。以下同じ。)を100%とする場合、波長365nmの強度が30%以下であることを意味する。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長365nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長365nmの強度の下限としては、特に制限されない。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長365nmの強度は、例えば、0%以上である。
更に、第3露光工程における露光波長は、波長405nmを含まないこともまた好ましい。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長405nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長405nmの強度の下限としては、特に制限されない。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長405nmの強度は、例えば、0%以上である。
第3露光工程における露光波長は、波長436nmを主波長として、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度及び波長405nmの強度が30%以下であるのが好ましい。主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度及び波長405nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長365nmの強度及び波長405nmの強度の下限は特に制限されない。主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度及び波長405nmの強度は、例えば、0%以上である。
第3露光工程における露光波長を調節する方法としては、例えば、波長選択性を有するフィルターを用いる方法、及び、特定の波長を有する光を照射可能な光源を用いる方法が挙げられる。例えば、波長選択性を有するフィルターを介して第3の感光性組成物層を露光することで、第3の感光性組成物層に到達する光の波長を特定の範囲に調節できる。上記波長特性の光を調整し得るバンドパスフィルターとしては、例えば、朝日分光株式会社製の「HMZ0436」等を使用できる。
露光量は、5~1,000mJ/cmであるのが好ましく、10~500mJ/cmであるのがより好ましく、10~200mJ/cmであるのが更に好ましい。露光量は、光源照度及び露光時間に基づいて決定される。また、露光量は、光量計を用いて測定してもよい。
第3露光工程においては、フォトマスクを用いずに第3の感光性組成物層を露光してもよい。フォトマスクを用いずに第3の感光性組成物層を露光する場合(以下、「マスクレス露光」ということもある。)、例えば、直接描画装置を用いて第3の感光性組成物層を露光できる。
直接描画装置は、活性エネルギー線を用いて直接画像を描くことが可能である。マスクレス露光における光源としては、例えば、波長436nmの光を主波長として照射可能な、レーザー(例えば、半導体レーザー、ガスレーザー、及び固体レーザー等)、及び水銀ショートアークランプ(例えば、超高圧水銀灯)等が挙げられる。
露光波長の好ましい範囲は、既述のとおりである。露光量は、光源照度、及び積層体の移動速度に基づいて決定される。描画パターンは、コンピュータによって制御できる。
〔第4露光工程の露光波長〕
更に、第4露光工程における露光波長は、波長436nmを含まないことが好ましい。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長436nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長436nmの強度の下限としては、特に制限されない。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長436nmの強度は、例えば、0%以上である。
第4露光工程における露光波長は、波長405nmを含まないこともまた好ましい。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長405nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長405nmの強度の下限としては、特に制限されない。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長405nmの強度は、例えば、0%以上である。
第4露光工程における露光波長は、波長365nmを主波長として、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長405nmの強度及び波長436nmの強度が30%以下であるのが好ましい。主波長の強度を100%とする場合、波長405nmの強度及び波長436nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長405nmの強度及び波長436nmの強度の下限は特に制限されない。主波長の強度を100%とする場合、波長405nmの強度及び波長436nmの強度は、例えば、0%以上である。
第4露光工程における露光波長を調節する方法としては、例えば、波長選択性を有するフィルターを用いる方法、及び特定の波長を有する光を照射可能な光源を用いる方法が挙げられる。例えば、波長選択性を有するフィルターを介して第4の感光性組成物層を露光することで、第4の感光性組成物層に到達する光の波長を特定の範囲に調節できる。上記波長特性の光を調整し得るバンドパスフィルターとしては、例えば、朝日分光株式会社製の「MZ0365」等を使用できる。
露光量は、5~1,000mJ/cmであるのが好ましく、10~500mJ/cmであるのがより好ましく、10~200mJ/cmであるのが更に好ましい。露光量は、光源照度、及び露光時間に基づいて決定される。また、露光量は、光量計を用いて測定してもよい。
第4露光工程においては、フォトマスクを用いずに第4の感光性組成物層を露光してもよい。フォトマスクを用いずに第4の感光性組成物層を露光する場合(以下、「マスクレス露光」ということもある。)、例えば、直接描画装置を用いて第4の感光性組成物層を露光できる。
直接描画装置は、活性エネルギー線を用いて直接画像を描くことが可能である。マスクレス露光における光源としては、例えば、波長365nmの光を主波長として照射可能な、レーザー(例えば、半導体レーザー、ガスレーザー、及び固体レーザー等)、及び水銀ショートアークランプ(例えば、超高圧水銀灯)等が挙げられる。
露光波長の好ましい範囲は、既述のとおりである。露光量は、光源照度、及び積層体の移動速度に基づいて決定される。描画パターンは、コンピュータによって制御できる。
[回路基板の製造方法]
本発明の回路基板の製造方法は、本発明のパターン形成方法を含む。
なお、本発明のパターン形成方法は、既述のとおりである。
回路基板としては、例えば、プリント配線板及びタッチパネルセンサーが挙げられる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1~19及び比較例1~2]
〔感光性組成物の調製〕
表1に記載の成分及び配合に基づいて、実施例及び比較例の各感光性組成物を調製した。表1に記載された各成分の量(添加量)の単位は、質量部である。
以下、表1中の各略語について説明する。
<各略語の説明>
(バインダー)
「AA-1」:スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチルの共重合体(各モノマーの比率:52質量%/29質量%/19質量%、Mw:70,000)
「AA-2」:スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/メタクリル酸のグリシジルメタクリレート付加体の共重合体(各モノマーの比率:47質量%/19質量%/2質量%/32質量%、Mw:18,000)
(重合性化合物)
「AB-1」:BPE-500(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、新中村化学工業株式会社製)
「AB-2」:NKエステルHD-N(1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、新中村化学工業株式会社製)
「AB-3」:NKエステルA-DCP(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、新中村化学工業株式会社製)
(光重合開始剤)
「AC-1」:B-CIM(黒金化成株式会社製。ビイミダゾール系化合物(ビイミダゾール系開始剤)に該当)
「AC-2」:IRGACURE OXE-02(BASFジャパン株式会社製。オキシムエステル系開始剤に該当)
「AC-3」:BTTB(日本油脂株式会社製。有機過酸物系開始剤に該当)
「AC-4」2,2 '-ビス(o-メトキシフ ェニル)-4,5,4 ', 5 '-テトラフェニル-1,1 '-ビイミダゾール(ビイミダゾール系開始剤に該当)
(増感剤)
「BC-1」:3-アセチル-7-(ジエチルアミノ)クマリン(富士フイルム和光純薬株式会社製。クマリン系化合物に該当)
「BC-2」:クマリン7(東京化成工業株式会社製。クマリン系化合物に該当)
「BC-3」:クマリン314(東京化成工業株式会社製。クマリン系化合物に該当)
「BC-4」:1-フェニル-3-(4-ビフェニル)-5-(4-tert-ブチルーフェニル)-ピラゾリン(ピラゾリン系化合物に該当)
「BC-5」:9,10-ジブトキシアントラセン(富士フイルム和光純薬株式会社製。アセン系化合物に該当)
「BC-6」:10-ブチル-2-クロロ-9(10H)-アクリドン(黒金化成株式会社製。アクリドン系化合物に該当)
「BC-7」:下記化合物1a(メロシアニン系化合物に該当)。
Figure 2023076381000006
「BC-8」:2,4-ジエチルチオキサントン(東京化成工業株式会社製。チオキサントン系化合物に該当)
「BC-9」:下記化合物2a(クマリン系化合物に該当)。
Figure 2023076381000007
(重合禁止剤)
「AD-1」:TDP-G(フェノチアジン、川口化学工業株式会社製)
「AD-2」:1-フェニル-3-ピラゾリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)
(添加剤)
「AE-1」:ロイコクリスタルバイオレット(東京化成工業株式会社製)
「AE-2」:N-フェニルカルバモイルメチル-N-カルボキシメチルアニリン(富士フイルム和光純薬株式会社製)
「AE-3」:CBT-1(カルボキシベンゾトリアゾール類、城北化学工業株式会社製)
「AE-4」:5-(ジエチルアミノ)-2-(フェニルスルホニル)-2,4-ペンタジエン酸オクチル(紫外線吸収剤)
「AE-5」:メガファックF-552(界面活性剤、DIC株式会社製)
(溶剤)
「AF-1」:メチルエチルケトン(MEK、三協化学株式会社製)
「AF-2」:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、
昭和電工株式会社製)
「AF-3」:メタノール(MeOH、三菱ガス化学株式会社製)
<増感剤の紫外可視吸収スペクトル測定>
上述した増感剤について、以下の手順にて紫外可視吸収スペクトル測定を行い、極大吸収波長、並びに、紫外可視吸収スペクトルの長波長側の吸収端となる位置の波長を求めた。
(測定手順)
大気雰囲気下で、分光光度計:UV3100(島津製作所社製)を用いて、300~780nmの範囲で、増感剤を含む濃度0.01質量%の溶液(溶剤:メチルエチルケトン、液温:25℃)の透過スペクトルを光路長1mmの石英セルにより測定した。得られた吸収スペクトルにおいて、吸光度が0.01以下となる最も長波長側の波長を、増感剤の紫外可視吸収スペクトルの長波長側の吸収端としてみなした。
増感剤の紫外可視吸収スペクトル測定により、増感剤BC-1~BC-3、BC-9は、極大吸収波長が、436±15nmの範囲にあり、増感剤BC-4~BC-8は、極大吸収波長が、405±15nmの範囲にあることが確認された。
また、増感剤BC-1~BC-8の紫外可視スペクトルにおいて、長波長側の吸収端が波長500nm以下の範囲にあることが確認された。
<光重合開始剤の紫外可視吸収スペクトル測定>
上述した光重合開始剤について、以下の手順にて紫外可視吸収スペクトル測定を行い、紫外可視吸収スペクトルの長波長側の吸収端となる位置の波長を求めた。
(測定手順)
大気雰囲気下で、分光光度計:UV3100(島津製作所社製)を用いて、300~780nmの範囲で、光重合開始剤を含む濃度0.01質量%の溶液(溶剤:メチルエチルケトン、液温:25℃)の透過スペクトルを光路長1mmの石英セルにより測定する。得られた吸収スペクトルにおいて、吸光度が0.01以下となる最も長波長側の波長を、光重合開始剤の紫外可視吸収スペクトルの長波長側の吸収端としてみなす。
光重合開始剤AC-1~AC-3の紫外可視スペクトルにおいて、長波長側の吸収端が波長400nm以下の範囲にあることが確認された。
〔感光性組成物の分光感度の測定〕
ガラス基板上に、実施例及び比較例の各感光性組成物を塗布して塗膜を得た。得られた塗膜をコンベクションオーブンによって100℃にて2分間乾燥し、乾燥膜厚が6.0μmの感光性組成物層を形成した。
得られた感光性組成物層に対して、バンドパスフィルター及びストーファー社製のストーファー41段ステップタブレットを介して50Paの真空度にてバキュームコンタクト条件で後述する露光処理を実施した。10分後に常圧に戻した後に、露光処理後の感光性組成物層に対して後述する現像処理を実施した。
次いで、現像処理後のガラス基板の露光部を目視にて観察し、残膜の有無を調べて最低露光量(mJ/cm)を判定し、得られた最低露光量の値の逆数を分光感度とした。
なお、本測定においては、以下に示す通り、感光性組成物層に対して露光波長が異なる複数の露光処理条件にて露光処理を実施し、各露光波長毎に最低露光量及び分光感度を求めた。
以下、各露光波長毎の露光処理条件、及び、現像処理条件について詳述する。
<露光処理条件>
(中心波長が365±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光での露光処理条件(S365))
超高圧水銀灯(USH-500MB、ウシオ電機株式会社製)を用い、バンドパスフィルター(製品名:MZ0365、朝日分光株式会社製)及びストーファー社製のストーファー41段ステップタブレットを介して露光した。露光量は100mJ/cmとした。
そして後述の現像条件で現像した際の残膜の状況に応じて、以下の手順(A)又は手順(B)により露光処理を実施した。なお、各露光量は、バンドパスフィルターの中心波長で測定した。
手順(A):上記100mJ/cmの露光量での露光後、後述の現像条件で現像した際に残膜が生じない場合には200mJ/cmで処理を行った。それでも残膜が生じない場合には、残膜が発生するまで100mJ/cmずつ露光量を増やした。
手順(B):上記100mJ/cmの露光量での露光後、後述の現像条件で現像した際に膜が完全に除去される段がない場合には80mJ/cmで処理を行った。それでも膜が完全に除去される段がない場合には、膜が完全に除去される段が発生するまで20mJ/cmずつ露光量を減らした。
(中心波長が405±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光での露光処理条件(S405))
超高圧水銀灯(USH-500MB、ウシオ電機株式会社製)を用い、バンドパスフィルター(製品名:HMZ0405、朝日分光株式会社製)及びストーファー社製のストーファー41段ステップタブレットを介して露光した。露光量は100mJ/cmとした。
そして後述の現像条件で現像した際の残膜の状況に応じて、以下の手順(A)又は手順(B)により露光処理を実施した。なお、各露光量は、バンドパスフィルターの中心波長で測定した。
手順(A):上記100mJ/cmの露光量での露光後、後述の現像条件で現像した際に残膜が生じない場合には200mJ/cmで処理を行った。それでも残膜が生じない場合には、残膜が発生するまで100mJ/cmずつ露光量を増やした。
手順(B):上記100mJ/cmの露光量での露光後、後述の現像条件で現像した際に膜が完全に除去される段がない場合には80mJ/cmで処理を行った。それでも膜が完全に除去される段がない場合には、膜が完全に除去される段が発生するまで20mJ/cmずつ露光量を減らした。
(中心波長が436±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光での露光処理条件(S436))
超高圧水銀灯(USH-500MB、ウシオ電機株式会社製)を用い、バンドパスフィルター(製品名:HMZ0436、朝日分光株式会社製)及びストーファー社製のストーファー41段ステップタブレットを介して露光した。露光量は100mJ/cmとした。
そして後述の現像条件で現像した際の残膜の状況に応じて、以下の手順(A)又は手順(B)により露光処理を実施した。なお、各露光量は、バンドパスフィルターの中心波長で測定した。
手順(A):上記100mJ/cmの露光量での露光後、後述の現像条件で現像した際に残膜が生じない場合には200mJ/cmで処理を行った。それでも残膜が生じない場合には、残膜が発生するまで100mJ/cmずつ露光量を増やした。
手順(B):上記100mJ/cmの露光量での露光後、後述の現像条件で現像した際に膜が完全に除去される段がない場合には80mJ/cmで処理を行った。それでも膜が完全に除去される段がない場合には、膜が完全に除去される段が発生するまで20mJ/cmずつ露光量を減らした。
(中心波長が500±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光での露光処理条件(S500))
キセノンショートアークランプ(UXL-500D、ウシオ電機株式会社製)を用い、バンドパスフィルター(製品名:HMZ0500、朝日分光株式会社製)及びストーファー社製のストーファー41段ステップタブレットを介して露光した。露光量は100mJ/cmとした。
そして後述の現像条件で現像した際の残膜の状況に応じて、以下の手順(A)又は手順(B)により露光処理を実施した。なお、各露光量は、バンドパスフィルターの中心波長で測定した。
手順(A):上記100mJ/cmの露光量での露光後、後述の現像条件で現像した際に残膜が生じない場合には200mJ/cmで処理を行った。それでも残膜が生じない場合には、残膜が発生するまで100mJ/cmずつ露光量を増やした。
手順(B):上記100mJ/cmの露光量での露光後、後述の現像条件で現像した際に膜が完全に除去される段がない場合には80mJ/cmで処理を行った。それでも膜が完全に除去される段がない場合には、膜が完全に除去される段が発生するまで20mJ/cmずつ露光量を減らした。
<現像条件>
露光後のサンプルを25℃60%RHの環境で24時間保持した。その後、山縣機械社製の現像機YCD-500WAを使用して現像処理及び洗浄処理を実施した。現像条件としては、温度30℃の1.0質量%濃度の炭酸カリウム水溶液を使用して、新液を供給しながらのシャワー現像処理(シャワーノズル:フルコーンノズル、シャワー圧力:0.10MPa、シャワー流量:1000mL/min、当てる角度:90°)、現像時間は60秒間とした。現像処理の後、直ちに純水を使用して洗浄処理(リンス処理)を行った。洗浄条件(リンス条件)としては、温度30℃の純水を使用したシャワー洗浄処理(シャワーノズル:フルコーンノズル、シャワー圧力:0.10MPa、シャワー流量:1000mL/min、当てる角度:90°)とした。シャワー洗浄時間としては30秒間とした。
洗浄処理後、感光性組成物層を乾燥し、上述の方法により最低露光量及び分光感度を求めた。
なお、以下において、中心波長が405±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光処理を実施した場合に得られる最低露光量及び分光感度を各々「最低露光量1」及び「分光感度1」、中心波長が365±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光処理を実施した場合に得られる最低露光量及び分光感度を各々「最低露光量2」及び「分光感度2」、中心波長が500±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光処理を実施した場合に得られる最低露光量及び分光感度を各々「最低露光量3」及び「分光感度3」、並びに、中心波長が436±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光処理を実施した場合に得られる最低露光量及び分光感度を各々「最低露光量4」及び「分光感度4」という場合もある。
次いで、得られた各露光波長毎の分光感度に基づいて、下記式SA1~SA3及び式SB1~SB3表される分光感度比を各々求めた。
式SA1:分光感度1/分光感度2(以下「405/365」と表記する場合がある)
式SA2:分光感度1/分光感度3(以下「405/500」と表記する場合がある)
式SA3:分光感度1/分光感度4(以下「405/436」と表記する場合がある)
式SB1:分光感度4/分光感度2(以下「436/365」と表記する場合がある)
式SB2:分光感度4/分光感度3(以下「436/500」と表記する場合がある)
式SB3:分光感度4/分光感度1(以下「436/405」と表記する場合がある)
[各種評価]
〔評価サンプルの作製〕
<転写フィルム(転写フィルムA)の作製>
表1に記載された実施例及び比較例の各感光性組成物を使用して、以下の手順により、転写フィルム(転写フィルムA)を作製した。
仮支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ:16μm、ヘイズ:0.12%)上に、スリット状ノズルを用いて、表1に記載された組成の感光性組成物を塗布した。仮支持体上の感光性組成物を、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥して感光性組成物層を形成した。なお、感光性組成物層は、乾燥後の膜厚が表1に記載の膜厚となるように形成した。
次いで、得られた感光性組成物層上に保護フィルム(ポリプロピレンフィルム、厚さ:12μm、ヘイズ:0.2%)を貼り合わせて転写フィルム(転写フィルムA)を作製した。
<積層体の作製>
(波長365nm露光用転写フィルム(転写フィルムB)の作製)
下記に示す成分を混合して波長365nm露光用感光性組成物を調製した。次いで、感光性組成物として波長365nm露光用感光性組成物を使用した点以外は上述の<転写フィルム(転写フィルムA)の作製>と同様にして波長365nm露光用転写フィルム(転写フィルムB)を作製した。なお、感光性組成物層の膜厚は、乾燥厚みで6.0μmとなるようにした。
《波長365nm露光用感光性組成物》
・スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチルの共重合体(各モノマーの比率:52質量%/29質量%/19質量%、Mw:70,000):9.84質量部
・BPE-500(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、新中村化学工業株式会社製):5.3質量部
・NKエステルHD-N(1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、新中村化学工業株式会社製):2.8質量部
・4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成工業株式会社製):0.06質量部
・2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体(Hampford Research社製):1.3質量部
・メガファックF-552(DIC株式会社製):0.03質量部
・メチルエチルケトン(三協化学株式会社製):39.50質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(昭和電工株式会社製):9.51質量部
上述の転写フィルムA及び転写フィルムBを使用して、以下の手順により、積層体を作製した。
まず、転写フィルムA及び転写フィルムBから保護フィルムを剥がし、次いで、ロール温度90℃、線圧0.8MPa、線速度3.0m/分のラミネート条件で、各転写フィルムを透明基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ:40μm)の対向する2つの面に各々貼り合わせた。
なお、以下において、透明基材の一方の面に貼合された転写フィルムAに由来する感光性組成物層を「感光性組成物層A」、透明基材の他方の面に貼合された転写フィルムBに由来する感光性組成物層を「感光性組成物層B」という場合もある。上記積層体は、仮支持体/感光性組成物層A/透明基材/感光性組成物層B/仮支持体の構成である。
〔評価〕
<黄色灯かぶり>
作製した転写フィルムAを、FLR40S・Y-F/M(日立グローバルライフソリューションズ(株)製)の照射下に7日晒した前後での最短現像時間の変化率を黄色灯かぶりの指標として評価を実施した。照射時の蛍光灯と転写フィルムAとの距離は1m、23℃55%RH雰囲気であった。
照射後の転写フィルムAから保護フィルムを剥がし、次いで、ロール温度90℃、線圧0.8MPa、線速度3.0m/分のラミネート条件で、転写フィルムをガラス上に貼り合わせた後、仮支持体を剥離し、最短現像時間評価用のサンプルとした。
最短現像時間とは、液温30℃の1.0質量%(現像液)を用い、シャワー現像にて2秒刻みで転写後の感光性組成物層を現像したとき、感光性組成物層の膜厚が0になるまでの時間を意味する。照射前後で最短現像時間の変化率が小さい程好ましい。
また、照射前後での最短現像時間の変化率は、下記式(A1)により求められる。
式(A1):変化率(%)=|照射後の現像時間-照射前の現像時間|/照射前の時間
(評価基準)
「A」:照射前後での最短現像時間の変化率が5%未満
「B」:照射前後での最短現像時間の変化率が5%以上10%未満
「C」:照射前後での最短現像時間の変化率が10%以上20%未満
「D」:照射前後での最短現像時間の変化率が20%以上50%未満
「E」:照射前後での最短現像時間の変化率50%以上、又は、現像不能
〔解像性及び露光かぶりの評価〕
作製した積層体を使用してパターン形成を行い、以下の手順により、解像性及び露光かぶりの評価を実施した。
<実施例1~12、比較例1:パターン形成性1(波長436nm/波長365nmでの両面露光)>
仮支持体を剥離せずに、線幅3~40μmのラインアンドスペースパターンを有するガラスマスク(Duty比 1:1)を積層体の両面(積層体の最外層である仮支持体面)にそれぞれ密着させた。このとき、平面視した場合にガラスマスクのラインパターンが互いに直交するように、積層体の両面にそれぞれガラスマスクを配置した。次に、感光性組成物層A側にバンドパスフィルターHMZ0436(朝日分光(株)製)を、感光性組成物層B側にバンドパスフィルターMZ0365(朝日分光(株)製)を設置した後、これらのフィルターを通して同時に露光した。感光性組成物層A及び感光性組成物層Bを同時に露光する際、透明基材を基準にして感光性組成物層Aが配置された側(A面側)から感光性組成物層Aを露光し、そして、透明基材を基準にして感光性組成物層Bが配置された側(B面側)から感光性組成物層Bを露光した。
露光条件は、以下のようにして決定した。
感光性組成物層A:感光性組成物層Aに対し、超高圧水銀灯(USH-500MB、ウシオ電機株式会社製)を用いて、バンドパスフィルターHMZ0436(朝日分光(株)製)と上記ガラスマスクを介して露光した後、露光後1時間放置し、現像した際にライン50ミクロン/スペース50ミクロンのパターン部において、残存パターン幅が49.0ミクロンから51.0ミクロンの範囲となるような露光量とした。
感光性組成物層B:感光性組成物層Bに対し、超高圧水銀灯(USH-500MB、ウシオ電機株式会社製)を用いて、バンドパスフィルターMZ0365(朝日分光(株)製)と上記ガラスマスクを介して露光した後、露光後1時間放置し、現像した際にライン50ミクロン/スペース50ミクロンのパターン部において、残存パターン幅が49.0ミクロンから51.0ミクロンの範囲となるような露光量とした。
露光後1時間放置した後、仮支持体を剥離し、次いで、現像によって樹脂パターンを形成した。現像は、液温30℃の1.0質量%炭酸カリウム水溶液(現像液)を用い、シャワー現像で30秒間行った。
作製した樹脂パターン付き基板を用いて、解像性及び露光かぶりを評価した。
(解像性)
感光性組成物層Aに由来して形成される樹脂パターンのうち、最も高解像度であったパターンの線幅を到達解像度とした。到達解像度に基づき、以下の基準に従って解像性を評価した。なお、パターンの側壁部に大きな荒れが生じている場合、又は裾引きが顕著に生じ隣接するラインパターンとつながっているような場合はEとした。解像できるパターン線幅が小さい程好ましい。
《評価基準》
「A」:10μm以下
「B」:10μm超、18μm以下
「C」:18μm超、20μm以下
「D」:20μm超、30μm以下
「E」:30μm超、又は解像できていない
(露光かぶり)
樹脂パターン付き基板の表面のうち非露光部(非露光部の反対側の基板表面が露光部である部分に限る。以下、本段落において同じ。)を観察し、以下の基準に従って露光かぶりを評価した。露光かぶりが発生すると、上記非露光部において感光性組成物層に由来する残渣・パターンの太りが観察される。評価としては、残渣が少なく、パターン太りが小さい程好ましい。
《評価基準》
「A」:倍率50倍の光学顕微鏡で観察した際に、感光性組成物層Aが配置されていた側に残渣・パターン太りが認められない。
「B」:倍率50倍の光学顕微鏡で観察した際に、感光性組成物層Aが配置されていた側に感光性組成物層B側のマスクの露光部に沿ってパターンの両側が1μm以上3μm未満太っている。
「C」:倍率50倍の光学顕微鏡で観察した際に、感光性組成物層Aが配置されていた側に感光性組成物層B側のマスクの露光部に沿ってパターンの両側が3μm以上5μm未満太っている。
「D」:倍率50倍の光学顕微鏡で観察した際に、感光性組成物層Aが配置されていた側に感光性組成物層B側のマスクの露光部に沿ってパターンの両側が5μm以上太っている。
「E」:倍率50倍の光学顕微鏡で観察した際に、感光性組成物層Aが配置されていた側に、感光性組成物層B側のマスクの露光部に沿った残渣が認められる。
<実施例13~19、比較例2:パターン形成性2(波長405nm/波長365nmでの両面露光)>
仮支持体を剥離せずに、線幅3~40μmのラインアンドスペースパターンを有するガラスマスク(Duty比 1:1)を積層体の両面(積層体の最外層である仮支持体面)にそれぞれ密着させた。このとき、平面視した場合にガラスマスクのラインパターンが互いに直交するように、積層体の両面にそれぞれガラスマスクを配置した。次に、感光性組成物層A側にバンドパスフィルターHMZ0405(朝日分光(株)製)を、感光性組成物層B側にバンドパスフィルターMZ0365(朝日分光(株)製)を設置した後、これらのフィルターを通して同時に露光した。感光性組成物層A及び感光性組成物層Bを同時に露光する際、透明基材を基準にして感光性組成物層Aが配置された側(A面側)から感光性組成物層Bを露光し、そして、透明基材を基準にして感光性組成物層Bが配置された側(B面側)から感光性組成物層Bを露光した。
露光条件は、以下のようにして決定した。
感光性組成物層A:感光性組成物層Aに対し、超高圧水銀灯(USH-2004MB、ウシオ電機株式会社製)を用いて、バンドパスフィルターHMZ0405(朝日分光(株)製)と上記ガラスマスクを介して露光した後、露光後1時間放置し、現像した際にライン50ミクロン/スペース50ミクロンのパターン部において、残存パターン幅が49.0ミクロンから51.0ミクロンの範囲となるような露光量とした。
感光性組成物層B:感光性組成物層Bに対し、超高圧水銀灯(USH-2004MB、ウシオ電機株式会社製)を用いて、バンドパスフィルターMZ0365(朝日分光(株)製)と上記ガラスマスクを介して露光した後、露光後1時間放置し、現像した際にライン50ミクロン/スペース50ミクロンのパターン部において、残存パターン幅が49.0ミクロンから51.0ミクロンの範囲となるような露光量とした。
露光後1時間放置した後、仮支持体を剥離し、次いで、現像によって樹脂パターンを形成した。現像は、液温30℃の1.0質量%炭酸カリウム水溶液(現像液)を用い、シャワー現像で30秒間行った。
作製した樹脂パターン付き基板を用いて、上述の<パターン形成性1>と同様の方法により解像性及び露光かぶりを評価した。
以下、表1を示す。
なお、表1中の「分光感度比」欄において、「405/365」とは、式SA1にて表される分光感度比(分光感度1/分光感度2)、「405/500」とは、式SA2にて表される分光感度比(分光感度1/分光感度3)、「405/436」とは、式SA3にて表される分光感度比(分光感度1/分光感度4)、「436/365」とは、式SB1にて表される分光感度比(分光感度4/分光感度2)、「436/500」とは、式SB2にて表される分光感度比(分光感度4/分光感度3)、「436/405」とは、式SB3にて表される分光感度比(分光感度4/分光感度1)を意図する。
また、表1中「増感剤と開始剤の含有量比」は、光重合開始剤の含有量に対する増感剤の含有量の質量比を意味する。
また、表1中「>100」は、分光感度比が100超であったことを意味する。
また、表1中「-」は、測定しなかったことを表す。
Figure 2023076381000008
Figure 2023076381000009
Figure 2023076381000010
表1の結果から、実施例の感光性組成物により形成される感光性組成物層は、主波長の異なる露光波長にて両面露光(具体的には主波長が波長436nm及び365nmの両面露光、及び、主波長が波長405nm及び365nmの両面露光)を実施する積層体の感光性組成物層として適用された場合において、露光かぶりが生じにくいことが明らかである。また、黄灯下での保存安定性にも優れていることが明らかである。
なお、表1中の比較例2の組成物の分光感度比「436/365」の値を求めたところ、分光感度比「405/365」と同様に0であった。
また、実施例1~12の対比等から、分光感度4/分光感度3(表中「436/500」)が40以上の場合、黄灯下での保存安定性がより優れることが確認された。
また、実施例1~5、9~12と実施例6及び8との対比等から、光重合開始剤がビイミダゾール化合物を含む場合、解像性がより優れることが確認された。
また、実施例1~5、9~12と実施例7との対比等から、重合禁止剤を含む場合、解像性がより優れ、且つ、露光かぶりがより抑制されることが確認された。
また、実施例1~5、9~12の対比から、分光感度4/分光感度2(表中「436/365」)が2.5以上の場合、露光かぶりがより抑制されることが確認された。
また、実施例3及び4の対比から、感光性組成物が紫外線吸収剤を含む場合、露光かぶりがより抑制されることが確認された。
また、実施例13~19の対比等から、感光性組成物が紫外線吸収剤を含む場合、露光かぶりがより抑制されることが確認された。
また、実施例13~19の対比等から、重合禁止剤を含む場合、解像性がより優れ、且つ、露光かぶりがより抑制されることが確認された。
また、実施例13~19の対比等から、感光性組成物が増感剤としてクマリン系化合物、アセン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アクリドン系化合物、チオキサントン系化合物、及びメロシアニン系化合物からなる群から選ばれる1種以上を含む場合、解像性がより優れることが確認された。
<実施例1A~1G>
実施例1の転写フィルムAの作製において、仮支持体及び保護フィルムを以下の組み合わせに変更したこと以外は同様の手順で転写フィルムを作製した。また、得られた転写フィルムを使用して、実施例1と同様の評価を実施したところ、いずれについても実施例1と同じ評価結果となった。
Figure 2023076381000011
10 転写フィルム
11 仮支持体
13 中間層
1、15、29、31 感光性組成物層
17 組成物層
19 保護フィルム
20 積層体
21 透明基材
23、25 透明導電層
27 透明導電層付き基材

Claims (20)

  1. アルカリ可溶性樹脂と、
    重合性化合物と、
    光重合開始剤と、を含む感光性組成物であって、
    以下の要件4及び5を満たす、感光性組成物。
    要件4:前記感光性組成物の層を中心波長が436±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量4を求め、前記最低露光量4の逆数を分光感度4とし、
    前記感光性組成物の層を中心波長が365±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量2を求め、前記最低露光量2の逆数を分光感度2とした場合、分光感度2に対する分光感度4の比が1.5以上である。
    要件5:前記感光性組成物の層を中心波長が436±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量4を求め、前記最低露光量4の逆数を分光感度4とし、
    前記感光性組成物の層を中心波長が500±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量3を求め、前記最低露光量3の逆数を分光感度3とした場合、分光感度3に対する分光感度4の比が10以上である。
  2. 更に、以下の要件6を満たす、請求項1に記載の感光性組成物。
    要件6:前記感光性組成物の層を中心波長が436±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量4を求め、前記最低露光量4の逆数を分光感度4とし、
    前記感光性組成物の層を中心波長が405±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量1を求め、前記最低露光量1の逆数を分光感度1とした場合、分光感度1に対する分光感度4の比が1.0より大きい。
  3. アルカリ可溶性樹脂と、
    重合性化合物と、
    光重合開始剤と、を含む感光性組成物であって、
    以下の要件1及び2を満たす、感光性組成物。
    要件1:前記感光性組成物の層を中心波長が405±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量1を求め、前記最低露光量1の逆数を分光感度1とし、
    前記感光性組成物の層を中心波長が365±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量2を求め、前記最低露光量2の逆数を分光感度2とした場合、分光感度2に対する分光感度1の比が1.5以上である。
    要件2:前記感光性組成物の層を中心波長が405±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量1を求め、前記最低露光量1の逆数を分光感度1とし、
    前記感光性組成物の層を中心波長が500±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量3を求め、前記最低露光量3の逆数を分光感度3とした場合、分光感度3に対する分光感度1の比が10以上である。
  4. 更に、以下の要件3を満たす、請求項3に記載の感光性組成物。
    要件3:前記感光性組成物の層を中心波長が405±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量1を求め、前記最低露光量1の逆数を分光感度1とし、
    前記感光性組成物の層を中心波長が436±2nmであり、且つ、半値幅が10±2nmの波長特性を有する光で露光して、1.0質量%の炭酸カリウム水溶液を用いて現像する処理を実施する際に、露光量を変化させ、露光部が残存する最低露光量4を求め、前記最低露光量4の逆数を分光感度4とした場合、分光感度4に対する分光感度1の比が1.0より大きい。
  5. 前記感光性組成物が、可視光領域のうち波長550nm以上の光に対して実質的に感度を持たない、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  6. 更に、重合禁止剤を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  7. 更に、増感剤を含み、
    前記増感剤が、クマリン系化合物、アセン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アクリドン系化合物、チオキサントン系化合物、及びメロシアニン系化合物からなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  8. 前記増感剤が、クマリン系化合物を含む、請求項7に記載の感光性組成物。
  9. 前記増感剤の紫外可視吸収スペクトルにおいて、極大吸収波長が、405±15nmの範囲にあるか、又は、436±15nmの範囲にある、請求項7に記載の感光性組成物。
  10. 前記増感剤の紫外可視吸収スペクトルにおいて、長波長側の吸収端が波長500nm以下の範囲にある、請求項7に記載の感光性組成物。
  11. 前記光重合開始剤の含有量に対する前記増感剤の含有量の質量比が、0.050以上である、請求項7に記載の感光性組成物。
  12. 前記光重合開始剤の紫外可視吸収スペクトルにおいて、長波長側の吸収端が波長400nm以下の範囲にある、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  13. 前記光重合開始剤が、ビイミダゾール系化合物を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  14. 更に、紫外線吸収剤を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  15. 仮支持体と、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性組成物からなる感光性組成物層と、を有する、転写フィルム。
  16. 前記感光性組成物層の厚みが1~10μmである、請求項15に記載の転写フィルム。
  17. 請求項1又は2に記載の感光性組成物からなる第3の感光性組成物層と、基材と、前記第3の感光性組成物層とは異なる感光性組成物層であって波長365nmの光に感光する第4の感光性組成物層と、を有する積層体を準備する工程と、
    前記第3の感光性組成物層を波長436nmを主波長とする露光波長で露光する工程と、
    前記第4の感光性組成物層を波長365nmを主波長とする露光波長で露光する工程と、
    露光された前記第3の感光性組成物層を現像して第3の樹脂パターンを形成する工程と、
    露光された前記第4の感光性組成物層を現像して第4の樹脂パターンを形成する工程と、を含む、パターン形成方法。
  18. 請求項3又は4に記載の感光性組成物からなる第1の感光性組成物層と、基材と、前記第1の感光性組成物層とは異なる感光性組成物層であって波長365nmの光に感光する第2の感光性組成物層と、を有する積層体を準備する工程と、
    前記第1の感光性組成物層を波長405nmを主波長とする露光波長で露光する工程と、
    前記第2の感光性組成物層を波長365nmを主波長とする露光波長で露光する工程と、
    露光された前記第1の感光性組成物層を現像して第1の樹脂パターンを形成する工程と、
    露光された前記第2の感光性組成物層を現像して第2の樹脂パターンを形成する工程と、を含む、パターン形成方法。
  19. 請求項17に記載のパターン形成方法を含む、回路基板の製造方法。
  20. 請求項18に記載のパターン形成方法を含む、回路基板の製造方法。
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