WO2022196510A1 - ガラス基板、貫通孔形成用ガラス原板及びガラス基板の製造方法 - Google Patents

ガラス基板、貫通孔形成用ガラス原板及びガラス基板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
WO2022196510A1
WO2022196510A1 PCT/JP2022/010505 JP2022010505W WO2022196510A1 WO 2022196510 A1 WO2022196510 A1 WO 2022196510A1 JP 2022010505 W JP2022010505 W JP 2022010505W WO 2022196510 A1 WO2022196510 A1 WO 2022196510A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
glass substrate
holes
less
glass
era
Prior art date
Application number
PCT/JP2022/010505
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
雅貴 牧田
Original Assignee
日本電気硝子株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日本電気硝子株式会社 filed Critical 日本電気硝子株式会社
Priority to CN202280019824.6A priority Critical patent/CN116981645A/zh
Priority to JP2023507040A priority patent/JPWO2022196510A1/ja
Priority to KR1020237033099A priority patent/KR20230157991A/ko
Publication of WO2022196510A1 publication Critical patent/WO2022196510A1/ja

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C15/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by etching
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C23/00Other surface treatment of glass not in the form of fibres or filaments
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C23/00Other surface treatment of glass not in the form of fibres or filaments
    • C03C23/007Other surface treatment of glass not in the form of fibres or filaments by thermal treatment
    • GPHYSICS
    • G09EDUCATION; CRYPTOGRAPHY; DISPLAY; ADVERTISING; SEALS
    • G09FDISPLAYING; ADVERTISING; SIGNS; LABELS OR NAME-PLATES; SEALS
    • G09F9/00Indicating arrangements for variable information in which the information is built-up on a support by selection or combination of individual elements
    • G09F9/30Indicating arrangements for variable information in which the information is built-up on a support by selection or combination of individual elements in which the desired character or characters are formed by combining individual elements
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/03Use of materials for the substrate
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K3/00Apparatus or processes for manufacturing printed circuits

Abstract

本発明のガラス基板は、貫通孔を有するガラス基板において、ガラス基板のHFエッチングレートをER、そのガラス基板を熱処理した後のHFエッチングレートをERaとした時に、ER/ERaの値が1.50以下になることを特徴とする。

Description

ガラス基板、貫通孔形成用ガラス原板及びガラス基板の製造方法
 本発明はガラス基板、貫通孔形成用ガラス原板及びガラス基板の製造方法に関する。具体的には、エッチングにより形成された貫通孔を有するガラス基板、貫通孔形成用ガラス原板及び貫通孔を有するガラス基板の製造方法に関する。
 貫通孔を有するガラス基板は、例えば、ガラスインターポーザーやマイクロLEDディスプレイに使用されている(特許文献1、2参照)。これらの用途では、ガラス基板の表面における貫通孔の孔径が小さい程、貫通孔を高密度に作製し得るため、ガラス基板上に半導体を高密度に実装することができる。
 貫通孔を形成する第一の方法として、ガラス原板にレーザー光を照射して貫通孔を形成する方法が知られている(特許文献3参照)。第二の方法として、レーザーにより初期貫通孔を形成した後、エッチングにより孔径を拡大する方法も提案されている(特許文献4参照)。
 しかし、これら第一及び第二の方法は、レーザーによる熱加工により貫通孔を形成しているため、ガラス基板にクラック等が生じる問題があった。
 そこで、第三の方法として、レーザー光の照射により改質部を作製した後、エッチングにより改質部を除去することで貫通孔を形成する方法が検討されている(特許文献5参照)。そして、改質部の作製には、超短パルスレーザーが用いられるため、熱影響を限りなく小さくすることができ、前述したような問題が発生しない。
 また、第三の方法で貫通孔を作製する場合、厚み方向で貫通孔がテーパー形状を有する。貫通孔を高密度で作製するためには貫通孔のテーパー角を小さくすることが重要であり、そのために例えばガラスに着色元素を添加することが提案されている(特許文献6参照)。
特開2015-146401号公報 特表2020-522884公報 特開2016-55295号公報 特許第5994954号公報 特許第6333282号公報 特許第6700201号公報
 ところで、ディスプレイ用途では無アルカリガラスが広く使用されている。しかし、無アルカリガラスに対して、第三の方法で貫通孔を形成すると、貫通孔のテーパー角が大きくなり、孔密度を高くすることができなかった。そのため、マイクロLEDディスプレイの用途に適用することができなかった。
 特許文献6の記載のように、貫通孔のテーパー角を小さくするために、ガラス組成中に着色元素を添加することが考えられる。しかし、着色元素を添加すると、従来のガラスに比べて、物理的特性、化学的特性、光学的特性が大きく変動し、例えばパネルメーカーにおける成膜工程等において、成膜条件等の調整が困難になる。
 本発明の目的は、ディスプレイ用途に使用可能であり、且つ貫通孔のテーパー角が小さいガラス基板及びその製造方法を提供すると共に、貫通孔のテーパー角を低減し得る貫通孔形成用ガラス原板を提供することである。
 本発明者は、鋭意検討の結果、熱処理した後のエッチングレート比を所定値以下に規制することにより、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明のガラス基板は、貫通孔を有するガラス基板において、ガラス基板のHFエッチングレートをER、そのガラス基板を熱処理した後のHFエッチングレートをERaとした時に、ER/ERaの値が1.50以下になることを特徴とする。ここで、HFエッチングレートを評価するための「熱処理」とは、ガラス基板に対して、25℃から5℃/分の昇温速度でガラス基板の(徐冷点Ta+30℃)の温度まで昇温し、(Ta+30℃)の温度で30分間保持した後、3℃/分の降温速度で(Ta-170℃)の温度まで降温し、その後10℃/分の降温速度で25℃まで降温することである(図1参照)。「ガラス基板の徐冷点Ta」は、ASTM C336の方法に基づいて測定することができる。「HFエッチングレート」は、以下の方法により測定した値である。まず試料の両面を光学研磨した後、一部をマスキングする。また、2.5mоl/LのHF溶液300mLについて、ウォーターバススターラーを用いて30℃に設定し、約600rpmで撹拌する。次に、このHF溶液中に試料を20分間浸漬させる。その後、マスクを除去し、試料を洗浄し、マスク部分と浸食部分の段差をサーフコーダ(ET4000A:小坂研究所社製)で測定する。最後に、その値を浸漬時間で除することでエッチングレートを算出する。
 第三の方法で貫通孔を形成する場合、貫通孔のテーパー角は、ガラス表面における孔径の拡大速度と改質部の板厚方向のエッチング速度との比により決まる。ここで、前者はガラス本来のエッチング速度と考えられる。そのため、ガラスの熱履歴によって二種類のエッチング速度の比を変えることができれば、貫通孔のテーパー角を変化させることができる。
 ところで、ガラス物性は仮想温度により変化し、例えば密度、屈折率、HFエッチングレート、熱収縮率、IRスペクトル、ラマンスペクトルなどは、仮想温度により変化する。仮想温度が低くなると、密度が大きくなり、またHFエッチングレートは低くなる。そのため、密度やHFエッチングレートは、仮想温度を表す指標として用いることができる。
 ガラス原板の仮想温度は、成形時の冷却速度により大きく変化し、例えばオーバーフローダウンドロー法により成形されたガラス原板の仮想温度は、フロート法により成形されたガラス原板よりも仮想温度が高くなる。また、成形後のガラス原板に対してアニールを行うことによっても仮想温度を変化させることができる。
 HFエッチングレートは、上記の通り、ガラス原板の仮想温度により変化する。よって、レーザー改質した後にHFエッチングを行うことで形成される貫通孔の形状も仮想温度によって変化することが推定される。ガラス原板の製造工程やその後のアニール工程により、ガラス原板の仮想温度は変化するため、仮想温度とテーパー角の関係を把握することは、ガラス原板に貫通孔を形成する上で非常に重要である。しかしながら、ガラス原板の仮想温度が貫通孔のテーパー角に与える影響については現在まで知られていなかった。
 本発明者は、鋭意検討の結果、上記点に着目した上で、ガラス基板(ガラス原板)のHFエッチングレートをER、熱処理後のHFエッチングレートをERaとした時に、ER/ERaの値を1.50以下に規制することにより、貫通孔のテーパー角が小さいガラス基板が得られることを見出したものである。特に、アニール等によって予めガラス原板の仮想温度を低くすると、ER/ERaの値を低減し得ることを見出したものである。
 また、本発明のガラス基板は、ガラス基板の表面における貫通孔の孔直径が1μm~200μmであることが好ましい。
 また、本発明のガラス基板は、貫通孔の厚み方向の平均テーパー角θが0°~13°であることが好ましい。ここで、「平均テーパー角θ」とは、ガラス基板の第一面から貫通孔の狭窄部までの貫通孔の断面形状から計算されるテーパー角θ1と、ガラス基板の第一面と対向する第二面から貫通孔の狭窄部までの貫通孔の断面形状から計算されるテーパー角θ2の平均値である(図2参照)。
 また、本発明の貫通孔形成用ガラス原板は、貫通孔を形成するための貫通孔形成用ガラス原板であって、ガラス原板のHFエッチングレートをER、そのガラス原板を熱処理した後のHFエッチングレートをERaとした時に、ER/ERaの値が1.50以下になることを特徴とする。
 本発明のガラス基板の製造方法は、貫通孔を形成するための貫通孔形成用ガラス原板を用意する工程と、ガラス原板に貫通孔を形成して、貫通孔を有するガラス基板を得る工程と、を備え、ガラス基板のHFエッチングレートをER、そのガラス基板を熱処理した後のHFエッチングレートをERaとした時に、ER/ERaの値が1.50以下になることを特徴とする。
 本発明のガラス基板の製造方法は、貫通孔を形成するための貫通孔形成用ガラス原板を用意する工程と、ガラス原板に貫通孔を形成して、貫通孔を有するガラス基板を得る工程と、を備え、ガラス原板のHFエッチングレートをER、そのガラス原板を熱処理した後のHFエッチングレートをERaとした時に、ER/ERaの値が1.50以下になることを特徴とする。
 また、本発明のガラス基板の製造方法は、貫通孔の厚み方向の平均テーパー角θが0°~13°であることが好ましい。
 また、本発明のガラス基板の製造方法は、ガラス原板をアニールする工程を更に備えることが好ましい。ここで、「アニールする工程」とは、成形工程時の冷却処理を含まず、成形後のガラス原板を室温から歪点Ps以上の温度まで昇温した後、室温まで降温する工程を指す。
 本発明によれば、ガラス基板のHFエッチングレートをER、熱処理後のHFエッチングレートをERaとした時に、ER/ERaの値を1.50以下に規制すると、ガラス組成中に着色元素等を導入しなくても、貫通孔のテーパー角が小さいガラス基板を得ることができる。これにより、貫通孔の高密度が高くなり、マイクロLEDディスプレイの用途に適用することができる。
HFエッチングレートERaを測定する前の熱処理の温度プロファイルである。 本発明の一実施形態の貫通孔を有するガラス基板を示す模式的断面図である。 貫通孔が形成される前のガラス原板の模式的断面図である。 本発明の一実施形態の貫通孔を有するガラス基板の模式的断面図である。 無アルカリガラス原板(無アルカリガラス基板)の熱処理の温度プロファイルである。 [実施例3]に係る無アルカリガラス原板のアニールの温度プロファイルである。 [実施例4]に係る無アルカリガラス原板のアニールの温度プロファイルである。 [実施例5]に係る無アルカリガラス原板のアニールの温度プロファイルである。 [実施例8]に係る無アルカリガラス原板のアニールの温度プロファイルである。
 本発明のガラス基板において、ガラス基板のHFエッチングレートをER、熱処理後のHFエッチングレートをERaとした時に、ER/ERaの値は1.50以下であり、好ましくは1.40以下、1.30以下、1.20以下、1.15以下、1.14以下、1.13以下、1.12未満、1.11以下、1.10以下、1.09以下、1.08以下、1.07以下、1.06以下、1.05以下、1.04以下、1.03以下、1.02以下、1.01以下、1.00以下、0.99以下、0.98以下、0.96以下、特に0.95以下である。特に1.12未満のとき、貫通孔のテーパー角を小さくする効果が顕著になる。本発明の貫通孔形成用ガラス原板において、ガラス原板のHFエッチングレートをER、熱処理後のHFエッチングレートをERaとした時に、ER/ERaの値は1.50以下であり、好ましくは1.40以下、1.30以下、1.20以下、1.15以下、1.14以下、1.13以下、1.12未満、1.11以下、1.10以下、1.09以下、1.08以下、1.07以下、1.06以下、1.05以下、1.04以下、1.03以下、1.02以下、1.01以下、1.00以下、0.99以下、0.98以下、0.96以下、特に0.95以下である。ER/ERaが大き過ぎると、貫通孔のテーパー角が大きくなり過ぎる。
 ER/ERaの値を低減する方法として、アニール等によって予めガラス原板の仮想温度を低くすることが有効であり、特に成形後のガラス原板について、アニールを行うこと、特にオフラインアニールを行うことが好ましい。また成形時の板引き速度を遅くすることも有効である。
 本発明のガラス基板において、貫通孔の平均テーパー角θは、好ましくは13°以下、11°以下、10°以下、9°以下、8°以下、特に7°以下である。貫通孔の平均テーパー角θが大き過ぎると、ガラス表面における貫通孔の孔径が大きくなり過ぎて、貫通孔を高密度に作製することが困難になる。
 第三の方法でガラス原板に貫通孔を形成して、貫通孔を有するガラス基板を作製する後、ガラス基板の表裏面の導通を取るため、貫通孔内壁に導電部を形成するためのメッキ工程が必要となる。貫通孔の平均テーパー角θが小さ過ぎると、このメッキ工程で、スパッタによるシード層を作製する時に貫通孔の深い位置まで成膜することが困難になる。よって、貫通孔の平均テーパー角θは0°以上、1°以上、2°以上、3°以上、4°以上であることが好ましい。
 ガラス基板の表面における貫通孔の孔直径は、好ましくは200μm以下、150μm以下、125μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、65μm以下、60μm以下、55μm以下、50μm以下、45μm以下、40μm以下、35μm以下、特に30μm以下である。孔直径が大き過ぎると、ガラス基板上に貫通孔を高密度に形成できなくなり、ディスプレイの画素密度を高め難くなる。一方、孔直径が小さ過ぎると、孔内部にメッキを充填することが難しくなる。よって、孔直径は、好ましくは1μm以上、5μm以上、10μm以上、15μm以上、特に20μm以上である。
 次に、貫通孔のテーパー角の評価方法について説明する。
図2は、本発明の一実施形態の貫通孔を有するガラス基板を示す模式的断面図である。図2において、貫通孔20の平均テーパー角θは、以下の式1から計算される値である。
 θ=(θ1+θ2)/2 ・・・ 式1
 また、テーパー角θ1及びθ2は、以下の式2及び式3から計算することができる。
 θ1=arctan((Φ1―Φ3)/(2*t1)) ・・・ 式2
 θ2=arctan((Φ2―Φ3)/(2*t2)) ・・・ 式3
 平均テーパー角θの計算に必要な値は、以下の方法により測定できる。第一面101及び第二面102における孔径Φ1、Φ2は、例えばガラス基板の表面を透過型光学顕微鏡(例えばECLIPSE LV100ND:NIKON社製)により観察し、画像から測長することで測定できる。貫通孔20の狭窄部の直径Φ3、第一面101から狭窄部までの距離t1及び第二面102から狭窄部までの距離t2は、貫通孔20を断面方向から観察し、焦点をガラス内部に移動することで焦点を合わせ、画像から測長することで測定できる。この際、貫通孔20が断面に露出しないようにガラス基板100にスクライブを入れ、これを折り割ることで断面を得ることが望ましい。
 また、非貫通孔であっても同様に平均テーパー角θを計算することができる。図3は、貫通孔が形成される前のガラス原板の模式的断面図である。この時のテーパー角θ1及びθ2は、以下の式4及び式5から計算することができる。このテーパー角θ1及びθ2と式1を用いて平均テーパー角θを計算することができる。
 θ1=arctan(Φ1/(2*t1)) ・・・ 式4
 θ2=arctan(Φ2/(2*t2)) ・・・ 式5
 第一面101及び第二面102における孔径Φ1、Φ2及び孔深さt1、t2は、貫通孔の場合と同様に、透過型光学顕微鏡で得た画像から測長することができる。
 第一面101及び第二面102における孔径Φ1、Φ2及び孔深さt1、t2は、貫通孔の場合と同様に、また、貫通孔20がガラス内部に狭窄部を持たない場合、平均テーパー角θは以下のように定義される。図4はガラス内部に狭窄部を持たない貫通孔20を有するガラス基板の模式的断面図である。この時の平均テーパー角θは、式6から計算される値として定義される。第一面101及び第二面102における孔径Φ1、Φ2及び板厚tは、上記の場合と同様に、透過型光学顕微鏡を用いて得た画像から測長することで測定できる。
θ=arctan((Φ1―θ2)/(2*t)) ・・・ 式6
 次に、ガラス原板に貫通孔を形成する方法について説明する。改質部はガラス原板にフェムト秒又はピコ秒パルスレーザーを照射することにより形成することができる。レーザー波長は、1030nm以下の波長を用いることができる。
 なお、レーザーのビーム形状としては、ガウシアンビーム形状又はベッセルビーム形状を用いることができる。この内、ベッセルビーム形状を用いることが好ましい。ベッセルビーム形状とすれば、ワンショットで板厚方向に貫くように改質部を形成することができ、改質部の作製に必要な時間を短縮することができる。ベッセルビーム形状は、例えばアルコキシレンズを用いることで形成することができる。
 改質部のエッチングに用いるエッチング液の種類は、ガラス原板よりも改質部のエッチングレートが速いエッチング液であれば特に限定されず、例えばHF、BHF,KOH等を使用することができる。特に、エッチングレートが速く、貫通孔の形成にかかる時間を短縮し得るため、HFが好ましい。また、HF溶液に対して、HCl、HSO、HNOなどの酸から一つ又は複数種類選び、これを加えた混合溶液としてもよい。
 エッチング液の温度は特に限定されないが、温度を高くすることが有効である。HFを含むエッチング液の場合、その温度範囲は好ましくは0~50℃であり、より好ましくは20~40℃である。エッチング液の温度を高くすると、ガラス原板よりも改質部のエッチング速度の増加の割合の方が大きくなる。そのため、貫通孔の作製にかかる時間を短縮し得るため、板厚の減少量を小さくすることができる。一方、エッチング液の温度が高過ぎると、HFが揮発して、エッチング液中でのHFの濃度ムラが生じ、孔形状のばらつきが大きくなる。
 エッチング時間が長い程、平均テーパー角θが大きくなる。これは、以下の理由に依るものである。エッチングにより生じた残渣が形成途中の孔内部に堆積し、この残渣が孔の伸展する方向のエッチングを阻害するため、エッチング時間が長くなるにつれて貫通孔のテーパー角が増加していく。よって、エッチング時間は、好ましくは100分間以下、60分間以下、40分間経過、30分間以下、特に20分間以下である。なお、ガラス原板の仮想温度を低いと、HFエッチングレートが低下し、単位時間辺りに生じる残渣量が低減されるため、テーパー角の増加速度を低下させることができる。
 ガラス原板のエッチングの際に、エッチング液の撹拌又は超音波を印加することが好ましい。特に超音波の印加により、孔内壁への残渣の固着及び再付着を抑制することができる。超音波の周波数は、好ましくは100kHz以下であり、より好ましくは45kHz以下である。このような範囲の周波数であれば、超音波によるキャビテーションの効果を大きくすることができる。
 本発明のガラス基板(又はガラス原板)は、ガラス組成として、質量%で、SiO 50~70%、Al 12~25%、B 0~12%、LiO+NaO+KO(LiO、NaO及びKOの合量) 0~1%未満、MgO 0~8%、CaO 0~15%、SrO 0~12%、BaO 0~15%を含有することが好ましく、その中でも、以下のガラス組成例(1)~(4)が特に好ましい。このようにすれば、ディスプレイ用ガラス基板として好適になる。
(1)ガラス組成として、質量%で、SiO 50~70%、Al 12~22%(特に15~20%)、B 7~15%(特に6~10%)、LiO+NaO+KO 0~1%未満(特に0~0.5%)、MgO 0~3%、CaO 6~13%(特に6~9%)、SrO 0.1~5%(特に0.1~3%)、BaO 3~10%(特に4~7%)を含有することが好ましい。このようにすれば、溶融温度を低下させつつ、液相粘度を高めることができる。結果として、ガラス基板の製造コストを低廉化することができる。
(2)ガラス組成として、質量%で、SiO 58~68%、Al 15~23%(特に17~21%)、B 3~9%(特に3~5%)、LiO+NaO+KO 0~1%未満(特に0~0.5%)、MgO 0~6%(特に1~4%)、CaO 3~13%(特に5~10%)、SrO 0~10%(特に0.1~3%)、BaO 0.1~5%を含有することが好ましい。このようにすれば、液相粘度とヤング率を高めることができる。結果として、薄肉のガラス基板を作製し易くなり、更にそのガラス基板の撓み量を低減し易くなる。
(3)ガラス組成として、質量%で、SiO 58~65%、Al 18~23%、B 0~3%(特に0.1~1%未満)、LiO+NaO+KO 0~1%未満(特に0~0.5%)、MgO 0.1~6%(特に2~5%)、CaO 2~7%(特に4~6%)、SrO 0~5%、BaO 2~15%(特に5~10%)を含有することが好ましい。このようにすれば、歪点を730℃以上に高め易くなる。
(4)ガラス組成として、質量%で、SiO 60~70%(特に65~70%)、Al 7~20%(特に7~16%)、B 0~8%(特に2~8%)、LiO+NaO+KO 0~1%未満(特に0~0.5%)、MgO 0~10%(特に0.1~5%)、CaO 0~7%、SrO 0~7%、BaO 0~15%を含有することが好ましい。このようにすれば、HFエッチングレートを低くし易くなる。結果として、HFエッチングにより貫通孔を作製する際に生じる残渣量を低減し易くなり、貫通孔のテーパー角を低減し易くなる。
 Fe、Ce、Bi、W、Mo、Co、Mn、Cr、V、及びCuからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物の合量又は個別含有量は、好ましくは1%未満、0.1%未満、特に0.01%未満である。また、TiOの含有量は、好ましくは1%未満、0.1%未満、特に0.01%未満である。これらの成分の含有量が多過ぎると、物理的特性、化学的特性、光学的特性が大きく変動し、例えばパネルメーカーにおける成膜工程等において、成膜条件等の調整が困難になる。
 本発明のガラス基板(ガラス原板)は、以下の特性を有することが好ましい。
 30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数は、好ましくは30×10-7~50×10-7/℃、より好ましくは32×10-7~48×10-7/℃、より好ましくは33×10-7~45×10-7/℃、より好ましくは34×10-7~44×10-7/℃、特に好ましくは35×10-7~43×10-7/℃である。このようにすれば、TFTに使用されるSiの熱膨張係数に整合し易くなる。なお、「30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数」は、ディラトメーターで測定した値である。
 ヤング率は、好ましくは65GPa以上、より好ましくは70GPa以上、より好ましくは75GPa以上、より好ましくは77GPa以上、特に好ましくは78GPa以上である。ヤング率が低過ぎると、ガラス基板の撓みに起因した不具合が発生し易くなる。なお、「ヤング率」は、周知の共振法で測定した値を指す。
 歪点は、好ましくは650℃以上、より好ましくは680℃以上、より好ましくは686℃超、特に好ましくは690℃以上である。このようにすれば、TFT製造プロセスにおいて、ガラス基板の熱収縮を抑制することができる。なお、「歪点」は、ASTM C336の方法に基づいて測定した値である。
 液相温度は、好ましくは1350℃以下、より好ましくは1350℃未満、より好ましくは1300℃以下、特に好ましくは1000~1280℃である。液相粘度は、好ましくは104.0dPa・s以上、より好ましくは104.1dPa・s以上、より好ましくは104.2dPa・s以上、特に好ましくは104.3dPa・s以上である。このようにすれば、成形時に失透結晶が発生して、生産性が低下する事態を防止し易くなる。更にオーバーフローダウンドロー法で成形し易くなるため、ガラス基板の表面品位を高め易くなると共に、ガラス基板の製造コストを低廉化することができる。なお、液相温度は、耐失透性の指標であり、液相温度が低い程、耐失透性に優れる。「液相温度」は、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れて、温度勾配炉中に24時間保持した後、結晶が析出する温度である。「液相粘度」は、液相温度TLにおけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値である。
 高温粘度102.5dPa・sにおける温度は、好ましくは1700℃以下、より好ましくは1690℃以下、より好ましくは1680℃以下、特に好ましくは1400~1670℃である。高温粘度102.5dPa・sにおける温度が高過ぎると、ガラスバッチを溶解し難くなって、ガラス基板の製造コストが高騰する。なお、高温粘度102.5dPa・sにおける温度は、溶融温度に相当し、この温度が低い程、溶融性が向上する。また、「高温粘度102.5dPa・sにおける温度」は、例えば、白金球引き上げ法等で測定可能である。
 本発明のガラス基板(ガラス原板)は、オーバーフローダウンドロー法で成形されてなることが好ましい。オーバーフローダウンドロー法は、耐熱性の樋状構造物の両側から溶融ガラスを溢れさせて、溢れた溶融ガラスを樋状構造物の下端で合流させながら、下方に延伸成形してガラス原板を製造する方法である。オーバーフローダウンドロー法では、ガラス原板の表面となるべき面は樋状耐火物に接触せず、自由表面の状態で成形される。このため、未研磨で表面品位が良好なガラス原板を安価に製造することができ、薄型化も容易である。
 オーバーフローダウンドロー法以外にも、例えば、ダウンドロー法(スロットダウン法等)、フロート法等でガラス原板を成形することも可能である。
 本発明のガラス基板(ガラス原板)において、板厚は、特に限定されるものではないが、0.7mm未満、0.6mm以下、0.6mm未満、0.5mm以下、0.4mm以下、0.3mm以下、0.2mm以下が好ましく、0.01mm以上、0.05mm以上、0.1mm以上が好ましい。特に0.05~0.5mmが好ましい。板厚が薄くなる程、貫通孔の孔径を小さくすることができる。結果として、貫通孔を高密度に作製することができる。その一方で、板厚が薄くなり過ぎると、ガラス基板が破損し易くなる。なお、板厚は、成形時の流量や板引き速度等で調整可能である。
 本発明のガラス基板は、マイクロLEDディスプレイ、特にタイリング方式のマイクロLEDディスプレイの基板に用いることが好ましい。タイリング方式のマイクロLEDディスプレイでは、貫通孔を介して、ガラス基板の表裏面の導通をとることで、ガラス表面の発光素子をガラス裏面から駆動することができる。本発明のガラス基板は、貫通孔を高密度に作製し得るため、タイリング方式のマイクロLEDディスプレイを高精細化することができる。
 本発明のガラス基板の製造方法は、貫通孔形成用ガラス原板を用意する工程と、ガラス原板に貫通孔を形成して、貫通孔を有するガラス基板を得る工程と、を備え、貫通孔を有するガラス基板のHFエッチングレートをER、そのガラス基板を熱処理した後のHFエッチングレートをERaとした時に、ER/ERaの値が1.50以下になることを特徴とする。本発明のガラス基板の製造方法は、貫通孔形成用ガラス原板を用意する工程と、ガラス原板に貫通孔を形成して、貫通孔を有するガラス基板を得る工程と、を備え、ガラス原板のHFエッチングレートをER、そのガラス原板を熱処理した後のHFエッチングレートをERaとした時に、ER/ERaの値が1.50以下になることを特徴とする。ER/ERaの値を低減する方法として、アニール等によって予めガラス原板の仮想温度を低くすることが有効であり、特に成形後のガラス原板について、アニールを行うこと、特にオフラインアニールを行うことが好ましい。また成形時の板引き速度を遅くすることも有効である。なお、本発明のガラス基板の製造方法の技術的特徴は、本発明のガラス基板の説明において既に記載しているため、ここでは詳細な説明を省略する。
 以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
 まず、板厚500μmの無アルカリガラス原板(日本電気硝子社製商品名OA-11、徐冷点Ta743℃)を準備し、図5に示す温度プロファイルに沿って室温(25℃)からオフラインアニールし、この無アルカリガラス原板の密度とHFエッチングレート(ER)を測定した。更に、この無アルカリガラス原板を図5に示す温度プロファイルに沿って室温(25℃)から熱処理し、HFエッチングレート(ERa)を測定した。
 密度は、周知のアルキメデス法により測定した値である。
 HFエッチングレートは、以下の方法により測定した値である。まず試料の両面を光学研磨した後、一部をマスキングした。2.5mоl/LのHF溶液300mLについて、ウォーターバススターラーを用いて30℃に設定し、約600rpmで撹拌した。このHF溶液中に無アルカリガラス原板を20分間浸漬した。その後、マスクを除去し、試料を洗浄し、マスク部分と浸食部分の段差をサーフコーダ(ET4000A:小坂研究所社製)で測定した。その値を浸漬時間で除することでエッチングレートを算出した。
 続いて、図5に示す温度プロファイルでオフラインアニールした無アルカリガラス原板について、以下の方法により貫通孔を形成し、貫通孔を有する無アルカリガラス基板を得た。40mm×20mmの矩形状となるよう切断した無アルカリガラス原板に対して、ベッセルビーム形状に成形したフェムト秒パルスレーザーをピッチ間隔が約200μmとなるように照射し、無アルカリガラス原板に約8000個の改質部を形成した。
 次に、下記条件によって湿式エッチングにより無アルカリガラス原板をエッチングした。エッチング時間は15分間及び30分間とした。エッチング液を入れたPP製試験管に無アルカリガラス原板を入れ、超音波をエッチング液に印加してエッチングを行った。この際、テフロン製治具を用いて、無アルカリガラス原板を試験管底部から10mm離した状態で固定した。エッチング液として、HFを2.5mol/L、HCLを1.0mol/Lの濃度で含むエッチング液を使用した。エッチング液の温度は30℃とした。超音波印加中の温度上昇を防ぐため、チラーを用いて超音波装置内の水を循環させ、水温を30℃に保った。超音波振動の印加には、超音波洗浄機(VS―100III:アズワン社製)を用い、28kHzの超音波をエッチング液に印加した。これにより形成された孔のテーパー角を前述の方法により求めた。
(実施例2)
 厚さ500μmの無アルカリガラス原板(日本電気硝子社製商品名OA-11)を準備し、アニールを行わずに、密度とHFエッチングレート(ER)を測定した。更に、この無アルカリガラス原板を図5に示す温度プロファイルに沿って室温(25℃)から熱処理し、HFエッチングレート(ERa)を測定した。また、この無アルカリガラス原板(熱処理をしていないもの)について、実施例1と同様の方法により孔の形成を行った。
 表1に実施例1、2に係る無アルカリガラス原板の密度及びHFエッチングレートを示し、表2に実施例1、2に係る無アルカリガラス基板の孔形状を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 
 表1、2から、無アルカリガラス原板の仮想温度が低いと、熱処理後の無アルカリガラス原板のエッチングレートERaが低下し、ER/ERaの値が小さくなった。その結果、貫通孔の平均テーパー角θが小さくなった。
 上記では、孔を形成していない無アルカリガラス原板について、ER/ERaの値を評価したが、貫通孔を形成した後の実施例1に係る無アルカリガラス基板(熱処理されていない貫通孔を有するガラス基板)について、ER/ERaの値を評価したところ、ERとERaの値が0.89であり、ER/ERaの値が1.00であった。また貫通孔を形成した後の実施例2に係る無アルカリガラス基板(熱処理されていない貫通孔を有する無アルカリガラス基板)について、ER/ERaの値を評価したところ、ERの値が1.00、ERaの値が0.89であり、ER/ERaの値が1.12であった。
(実施例3)
 まず、板厚500μmの無アルカリガラス原板(日本電気硝子社製商品名OA-11、徐冷点Ta743℃)を準備し、図6に示す温度プロファイルに沿って室温(25℃)からオフラインアニールし、この無アルカリガラス原板のHFエッチングレート(ER)を測定した。更に、この無アルカリガラス原板を図5に示す温度プロファイルに沿って室温(25℃)から熱処理し、HFエッチングレート(ERa)を測定した。また、この無アルカリガラス原板(アニール済み、且つ熱処理をしていないもの)について、実施例1と同様の方法により孔の形成を行った。
(実施例4)
 まず、板厚500μmの無アルカリガラス原板(日本電気硝子社製商品名OA-11、徐冷点Ta743℃)を準備し、図7に示す温度プロファイルに沿って室温(25℃)からオフラインアニールし、この無アルカリガラス原板のHFエッチングレート(ER)を測定した。更に、この無アルカリガラス原板を図5に示す温度プロファイルに沿って室温(25℃)から熱処理し、HFエッチングレート(ERa)を測定した。また、この無アルカリガラス原板(アニール済み、且つ熱処理をしていないもの)について、実施例1と同様の方法により孔の形成を行った。
(実施例5)
 まず、板厚500μmの無アルカリガラス原板(日本電気硝子社製商品名OA-11、徐冷点Ta743℃)を準備し、図8に示す温度プロファイルに沿って室温(25℃)からオフラインアニールし、この無アルカリガラス原板のHFエッチングレート(ER)を測定した。更に、この無アルカリガラス原板を図5に示す温度プロファイルに沿って室温(25℃)から熱処理し、HFエッチングレート(ERa)を測定した。また、この無アルカリガラス原板(アニール済み、且つ熱処理をしていないもの)について、実施例1と同様の方法により孔の形成を行った。
 表3に実施例3~5に係る無アルカリガラス原板のHFエッチングレートを示し、更に実施例3~5に係る無アルカリガラス基板の孔形状を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 
 表3によると、アニール時の冷却速度を遅くすると、無アルカリガラス原板(無アルカリガラス基板)の仮想温度が低くなり、無アルカリガラス原板のエッチングレートERが低下し、ER/ERaの値が小さくなった。その結果、孔の平均テーパー角θが小さくなった。
 上記では、孔を形成していない無アルカリガラス原板について、ER/ERaの値を評価したが、貫通孔を形成した後の実施例3に係る無アルカリガラス基板(熱処理されていない貫通孔を有する無アルカリガラス基板)について、ER/ERaの値を評価したところ、ERの値が0.93、ERaの値が0.89であり、ER/ERaの値が1.04であった。また、貫通孔を形成した後の実施例4に係る無アルカリガラス基板(熱処理されていない貫通孔を有する無アルカリガラス基板)について、ER/ERaの値を評価したところ、ERの値が0.94、ERaの値が0.89であり、ER/ERaの値が1.06であった。更に、貫通孔を形成した後の実施例5に係る無アルカリガラス基板(熱処理されていない貫通孔を有する無アルカリガラス基板)について、ER/ERaの値を評価したところ、ERの値が0.97、ERaの値が0.89であり、ER/ERaの値が1.09であった。
 なお、実施例2~5において、無アルカリガラス原板に形成された孔は非貫通であったが、貫通孔を形成するためにエッチング時間を長くした場合であっても、ER/ERaの値を小さくすると、孔の平均テーパー角θを小さくし得ることが読み取れる。更に、表3によると、貫通孔を形成するための無アルカリガラス原板をオフラインアニールする際は、冷却速度が遅いことが好ましい。この結果は、オフラインアニールを行わなくても、オーバーフローダウンドロー法による成形時において、通常よりも板引き速度を遅くすること等の成形条件の調整により、貫通孔のテーパー角を低減し得ることを示している。
(実施例6)
 まず、板厚500μmの無アルカリガラス原板(日本電気硝子社製商品名OA-11、徐冷点Ta743℃)を準備し、以下の温度プロファイルに沿ってオフラインアニールした。まずアニーラー内に無アルカリガラス原板を入れて室温(25℃)から885℃まで5℃/秒の昇温速度で昇温し、885℃で10分保持した後、アニーラーから無アルカリガラス原板を取り出してカーボン板上で室温まで空冷した。その後、得られたガラス原板のHFエッチングレート(ER)を測定した。更に、この無アルカリガラス原板を図5に示す温度プロファイルに沿って室温(25℃)から熱処理し、HFエッチングレート(ERa)を測定した。また、この無アルカリガラス原板(アニール済み、且つ熱処理をしていないもの)について、実施例1と同様の方法により孔の形成を行った。
 表4に実施例6に係る無アルカリガラス原板の密度及びHFエッチングレートを示し、表5に実施例6に係る無アルカリガラス基板の孔形状を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 
 表4から分かるように、実施例6に係る無アルカリガラス原板のERの値は1.02、ERaの値は0.89であり、ER/ERaの値が1.15となった。この結果から、無アルカリガラス原板を急冷する工程を含むアニールを行うと、ER/ERaの値が大きくなることが分かる。そして、オーバーフローダウンドロー法、フロート法等による成形時において、生産性の向上又は薄板化のために、通常よりも板引き速度を速くする等の成形条件の調整を行うと、ER/ERaの値が大きくなることも分かる。また、実施例6に係る無アルカリガラス原板は、実施例1~5に係る無アルカリガラス原板よりも、ER/ERaの値が大きいため、貫通孔のテーパー角が大きくなるものと予想される。
 上記では、孔を形成していない無アルカリガラス原板について、ER/ERaの値を評価したが、貫通孔を形成した後の実施例6に係る無アルカリガラス基板(熱処理されていない貫通孔を有する無アルカリガラス基板)について、ER/ERaの値を評価したところ、ERの値が1.02、ERaの値が0.89であり、ER/ERaの値が1.15であった。
(実施例7)
 まず、板厚500μmの無アルカリガラス原板(日本電気硝子社製商品名OA-31、徐冷点Ta809℃)を準備し、図9に示す温度プロファイルに沿って室温(25℃)からオフラインアニールし、この無アルカリガラス原板の密度とHFエッチングレート(ER)を測定した。更に、この無アルカリガラス原板を図9に示す温度プロファイルに沿って室温(25℃)から熱処理し、HFエッチングレート(ERa)を測定した。また、この無アルカリガラス原板(アニール済み、且つ熱処理をしていないもの)について、実施例1と同様の方法により孔の形成を行った。
(実施例8)
 まず、板厚500μmの無アルカリガラス原板(日本電気硝子社製商品名OA-31、徐冷点Ta809℃)を準備し、アニールを行わずに、密度とHFエッチングレート(ER)を測定した。更に、この無アルカリガラス原板を図9に示す温度プロファイルに沿って室温(25℃)から熱処理し、HFエッチングレート(ERa)を測定した。また、この無アルカリガラス原板(熱処理をしていないもの)について、実施例1と同様の方法により孔の形成を行った。
 表6に実施例7、8に係る無アルカリガラス原板の密度及びHFエッチングレートを示し、表7に実施例7、8に係る無アルカリガラス基板の孔形状を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 
 表6、7から、無アルカリガラス原板の仮想温度が低いと、熱処理後の無アルカリガラス原板のエッチングレートERaが低下し、ER/ERaの値が小さくなった。その結果、孔の平均テーパー角θが小さくなった。
 上記では、孔を形成していない無アルカリガラス原板について、ER/ERaの値を評価したが、孔を形成した後の実施例7に係る無アルカリガラス基板(熱処理されていない貫通孔を有する無アルカリガラス基板)について、ER/ERaの値を評価したところ、ERとERaの値が0.76であり、ER/ERaの値が1.00であった。また孔を形成した後の実施例8に係る無アルカリガラス基板(熱処理されていない貫通孔を有する無アルカリガラス基板)について、ER/ERaの値を評価したところ、ERの値が0.85、ERaの値が0.76であり、ER/ERaの値が1.12であった。
 実施例1、2、7、8の結果から、ガラス原板の仮想温度を下げてER/ERaの値を小さくすると、ガラスの種類によらず、孔の平均テーパー角θを小さくし得ることが分かる。
 また、アルカリ含有ガラス原板として、オーバーフローダウンドロー法により成形されたT2X-1(日本電気硝子社製、徐冷点Ta614℃)及びBDA(日本電気硝子社製、徐冷点Ta573℃)を用いた場合において、実施例1、2と同様の実験により、ER/ERaの値を小さくすると、孔の平均テーパー角θを小さくし得ることが確認されている。つまりER/ERaの値を小さくすると、ガラスの種類によらず、孔の平均テーパー角θを小さくし得ることが分かる。
 100 ガラス基板(ガラス原板)
 20 貫通孔
 21 非貫通孔
 101 第一面
 100 第二面

Claims (8)

  1.  貫通孔を有するガラス基板において、ガラス基板のHFエッチングレートをER、そのガラス基板を熱処理した後のHFエッチングレートをERaとした時に、ER/ERaの値が1.50以下になることを特徴とするガラス基板。
  2.  ガラス基板の表面における貫通孔の孔直径が1μm~200μmであることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板。
  3.  貫通孔の厚み方向の平均テーパー角θが0°~13°であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス基板。
  4.  貫通孔を形成するための貫通孔形成用ガラス原板であって、ガラス原板のHFエッチングレートをER、そのガラス原板を熱処理した後のHFエッチングレートをERaとした時に、ER/ERaの値が1.50以下になることを特徴とする貫通孔形成用ガラス原板。
  5.  貫通孔を形成するための貫通孔形成用ガラス原板を用意する工程と、
     ガラス原板に貫通孔を形成して、貫通孔を有するガラス基板を得る工程と、を備え、
     ガラス基板のHFエッチングレートをER、そのガラス基板を熱処理した後のHFエッチングレートをERaとした時に、ER/ERaの値が1.50以下になることを特徴とするガラス基板の製造方法。
  6.  貫通孔を形成するための貫通孔形成用ガラス原板を用意する工程と、
     ガラス原板に貫通孔を形成して、貫通孔を有するガラス基板を得る工程と、を備え、
     ガラス原板のHFエッチングレートをER、そのガラス原板を熱処理した後のHFエッチングレートをERaとした時に、ER/ERaの値が1.50以下になることを特徴とするガラス基板の製造方法。
  7.  貫通孔の厚み方向の平均テーパー角θが0°~13°であることを特徴とする請求項5又は6に記載のガラス基板の製造方法。
  8.  ガラス原板をアニールする工程を更に備えることを特徴とする請求項5~7の何れかに記載のガラス基板の製造方法。
PCT/JP2022/010505 2021-03-15 2022-03-10 ガラス基板、貫通孔形成用ガラス原板及びガラス基板の製造方法 WO2022196510A1 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
CN202280019824.6A CN116981645A (zh) 2021-03-15 2022-03-10 玻璃基板、贯通孔形成用玻璃原板以及玻璃基板的制造方法
JP2023507040A JPWO2022196510A1 (ja) 2021-03-15 2022-03-10
KR1020237033099A KR20230157991A (ko) 2021-03-15 2022-03-10 유리 기판, 관통 구멍 형성용 유리 원판 및 유리 기판의 제조 방법

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021040949 2021-03-15
JP2021-040949 2021-03-15
PCT/JP2021/047908 WO2022196019A1 (ja) 2021-03-15 2021-12-23 ガラス基板、貫通孔形成用ガラス原板及びガラス基板の製造方法
JPPCT/JP2021/047908 2021-12-23

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2022196510A1 true WO2022196510A1 (ja) 2022-09-22

Family

ID=83320094

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2021/047908 WO2022196019A1 (ja) 2021-03-15 2021-12-23 ガラス基板、貫通孔形成用ガラス原板及びガラス基板の製造方法
PCT/JP2022/010505 WO2022196510A1 (ja) 2021-03-15 2022-03-10 ガラス基板、貫通孔形成用ガラス原板及びガラス基板の製造方法

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2021/047908 WO2022196019A1 (ja) 2021-03-15 2021-12-23 ガラス基板、貫通孔形成用ガラス原板及びガラス基板の製造方法

Country Status (5)

Country Link
JP (1) JPWO2022196510A1 (ja)
KR (1) KR20230157991A (ja)
CN (1) CN116981645A (ja)
TW (1) TW202248155A (ja)
WO (2) WO2022196019A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024070319A1 (ja) * 2022-09-30 2024-04-04 Toppanホールディングス株式会社 ガラス基板、多層配線基板、およびガラス基板の製造方法
WO2024070320A1 (ja) * 2022-09-30 2024-04-04 Toppanホールディングス株式会社 ガラス基板、多層配線基板、およびガラス基板の製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013537723A (ja) * 2010-08-26 2013-10-03 コーニング インコーポレイテッド ガラスインターポーザパネル及びその作製方法
JP2019055888A (ja) * 2017-09-20 2019-04-11 日本電気硝子株式会社 レーザーアシストエッチング用ガラス基板、及びそれを用いた有孔ガラス基板の製造方法
JP2019089082A (ja) * 2017-11-13 2019-06-13 ビアメカニクス株式会社 レーザ加工方法
JP2019530629A (ja) * 2016-09-08 2019-10-24 コーニング インコーポレイテッド 形態的属性を備えた孔を有する物品及びその製作方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9346706B2 (en) 2012-11-29 2016-05-24 Corning Incorporated Methods of fabricating glass articles by laser damage and etching
JP2015146401A (ja) 2014-02-04 2015-08-13 大日本印刷株式会社 ガラスインターポーザー
JP6295897B2 (ja) 2014-09-05 2018-03-20 旭硝子株式会社 ガラス基板に貫通孔を形成する装置および方法
CN107207325A (zh) 2015-02-10 2017-09-26 日本板硝子株式会社 激光加工用玻璃以及使用其的带孔玻璃的制造方法
JP5994954B1 (ja) 2015-09-25 2016-09-21 旭硝子株式会社 貫通孔を有するガラス基板の製造方法、貫通電極を備えるガラス基板の製造方法、およびインターポーザの製造方法
TWI785052B (zh) 2017-06-01 2022-12-01 美商康寧公司 包括穿透孔洞貫孔的組件基板及其製作方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013537723A (ja) * 2010-08-26 2013-10-03 コーニング インコーポレイテッド ガラスインターポーザパネル及びその作製方法
JP2019530629A (ja) * 2016-09-08 2019-10-24 コーニング インコーポレイテッド 形態的属性を備えた孔を有する物品及びその製作方法
JP2019055888A (ja) * 2017-09-20 2019-04-11 日本電気硝子株式会社 レーザーアシストエッチング用ガラス基板、及びそれを用いた有孔ガラス基板の製造方法
JP2019089082A (ja) * 2017-11-13 2019-06-13 ビアメカニクス株式会社 レーザ加工方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024070319A1 (ja) * 2022-09-30 2024-04-04 Toppanホールディングス株式会社 ガラス基板、多層配線基板、およびガラス基板の製造方法
WO2024070320A1 (ja) * 2022-09-30 2024-04-04 Toppanホールディングス株式会社 ガラス基板、多層配線基板、およびガラス基板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
KR20230157991A (ko) 2023-11-17
CN116981645A (zh) 2023-10-31
JPWO2022196510A1 (ja) 2022-09-22
WO2022196019A1 (ja) 2022-09-22
TW202248155A (zh) 2022-12-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2022196510A1 (ja) ガラス基板、貫通孔形成用ガラス原板及びガラス基板の製造方法
TWI675019B (zh) 玻璃基板
TWI658024B (zh) 雷射加工用玻璃、及使用其之附孔玻璃之製造方法
TWI412499B (zh) Glass and glass plate manufacturing methods
JP5233998B2 (ja) ガラス板およびその製造方法ならびにtftパネルの製造方法
JP2014097927A (ja) カバーガラスの製造方法及びカバーガラス
JP2007051028A (ja) 板ガラスの成形方法
KR20210009447A (ko) 유리
KR20200003274A (ko) 무알칼리 유리 및 이것을 사용한 무알칼리 유리판
JP2003335548A (ja) 無アルカリガラス及びこれを用いたディスプレイ用ガラス基板
JP2008184335A (ja) 無アルカリガラス基板
KR102291291B1 (ko) 무알칼리 유리의 제조 방법
JP5071878B2 (ja) 無アルカリガラスおよびこれを用いた無アルカリガラス基板
US20230399253A1 (en) Glass substrate
JP6323730B2 (ja) ガラス及びガラス基板
WO2022075068A1 (ja) 貫通孔を有するガラス基板
JP5804846B2 (ja) カバーガラスの製造方法
JP2007311168A (ja) 電界放出表示装置用ガラス基板およびその製造方法
JP6172481B2 (ja) ガラス基板及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 22771261

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1

ENP Entry into the national phase

Ref document number: 2023507040

Country of ref document: JP

Kind code of ref document: A

WWE Wipo information: entry into national phase

Ref document number: 202280019824.6

Country of ref document: CN

ENP Entry into the national phase

Ref document number: 20237033099

Country of ref document: KR

Kind code of ref document: A

NENP Non-entry into the national phase

Ref country code: DE

122 Ep: pct application non-entry in european phase

Ref document number: 22771261

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1