JP6295897B2 - ガラス基板に貫通孔を形成する装置および方法 - Google Patents

ガラス基板に貫通孔を形成する装置および方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6295897B2
JP6295897B2 JP2014181226A JP2014181226A JP6295897B2 JP 6295897 B2 JP6295897 B2 JP 6295897B2 JP 2014181226 A JP2014181226 A JP 2014181226A JP 2014181226 A JP2014181226 A JP 2014181226A JP 6295897 B2 JP6295897 B2 JP 6295897B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass substrate
base plate
hole
workpiece
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014181226A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016055295A (ja
Inventor
孝則 小橋
孝則 小橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2014181226A priority Critical patent/JP6295897B2/ja
Publication of JP2016055295A publication Critical patent/JP2016055295A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6295897B2 publication Critical patent/JP6295897B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)
  • Laser Beam Processing (AREA)

Description

本発明は、ガラス基板に貫通孔を形成する装置および方法に関する。
ガラス基板にレーザ光を照射することにより、ガラス基板に貫通孔を形成する技術が知られている。
また、最近では、ガラス基板に貫通孔を形成する技術として、レーザ溶融式放電除去技術が提案されている(例えば、特許文献1)。このレーザ溶融式放電除去技術では、レーザ光照射でガラス材料を溶融した後、電極間放電現象によって溶融した絶縁材料を除去し、ガラス基板に貫通孔を形成することができる。
国際公開第WO2011/038788号
従来の貫通孔形成技術を用いて形成された貫通孔の中には、しばしば、寸法および形状に問題があるものが含まれる場合が認められる。例えば、形成された複数の貫通孔の中に、所定の直径範囲に属さないものが含まれたり、真円から逸脱した形態の開口を有する貫通孔が含まれたりする場合がある。
このため、所望の寸法および形状を有する貫通孔を、高い確度で形成することが可能な貫通孔形成技術が要望されている。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、所望の直径および開口形状を有する貫通孔を、より高い確度で形成することが可能な装置ならびに方法を提供することを目的とする。
本発明では、ガラス基板に第1の表面から第2の表面に至る貫通孔を形成する装置であって、
ガラス基板の第1の表面の側にレーザ光を照射するレーザ光源と、
前記ガラス基板の第2の表面の側に配置されるベースプレートと、
を有し、
前記ベースプレートは、中央部分に設けられた空間、および該空間に配置され前記ガラス基板を支持する複数の支柱を有し、
前記複数の支柱は、該支柱の延伸方向に略垂直な第1の方向の間隔がdとなり、前記第1の方向と垂直な第2の方向の間隔がdとなるように、格子状に配置され、
前記dおよびdは、5mm以上であり、30mmより小さく、
前記支柱は、高さhが100μm〜1400μmの範囲である、装置が提供される。
また、本発明では、ガラス基板に第1の表面から第2の表面に至る貫通孔を形成する装置であって、
ガラス基板の第1の表面の側にレーザ光を照射するレーザ光源と、
前記ガラス基板の前記第1の表面の側に配置される、略針状の先端を有する第1の電極と、
前記ガラス基板の前記第2の表面の側に配置される第2の電極と、
前記第1の電極と第2の電極の間に放電を発生させる直流電圧電源と、
を有し、
前記第2の電極は、中央部分に設けられた空間、および該空間に配置され前記ガラス基板を支持する複数の支柱を有するベースプレートで構成され、
前記複数の支柱は、該支柱の延伸方向に略垂直な第1の方向の間隔がdとなり、前記第1の方向と垂直な第2の方向の間隔がdとなるように、格子状に配置され、
前記dおよびdは、5mm以上であり、30mmより小さく、
前記支柱は、高さhが100μm〜1400μmの範囲である、装置が提供される。
さらに、本発明では、ガラス基板に第1の表面から第2の表面に至る貫通孔を形成する方法であって、
(a)被加工体を準備するステップであって、前記被加工体は、第1および第2の表面を有するガラス基板を有し、さらに任意で、前記ガラス基板の前記第1の表面に設置された第1の保護フィルム、および/または前記ガラス基板の前記第2の表面に設置された第2の保護フィルムを有するステップと、
(b)前記ガラス基板の前記第1の表面の側からレーザ光を照射し、前記ガラス基板に貫通孔を形成するステップと、
(c)前記貫通孔を介して、前記ガラス基板に放電を発生させるステップと、
を有し、
前記(b)および(c)のステップは、前記被加工体をベースプレート上に載置した状態で実施され、前記被加工体は、前記ガラス基板の前記第2の表面の側が前記ベースプレートに近い側となるように載置され、
前記ベースプレートは、中央部分に設けられた空間、および該空間に配置され前記被加工体を支持する複数の支柱を有し、
前記複数の支柱は、該支柱の延伸方向に略垂直な第1の方向の間隔がdとなり、前記第1の方向と垂直な第2の方向の間隔がdとなるように、格子状に配置され、
前記dおよびdは、5mm以上であり、30mmより小さく、前記支柱は、高さhが100μm〜1400μmの範囲、となるように選定される、方法が提供される。

本発明では、所望の直径および開口形状を有する貫通孔を、より高い確度で形成することが可能な装置ならびに方法を提供することができる。
従来の貫通孔形成装置の構成を概略的に示した図である。 本発明の一実施形態による貫通孔形成装置の構成を概略的に示した図である。 図2に示した貫通孔形成装置に使用されるベースプレートの概略的な上面図である。 本発明の一実施形態による別の貫通孔形成装置の構成を概略的に示した図である。 本発明の一実施形態によるガラス基板に貫通孔を形成する方法のフローを概略的に示した図である。 実験1−1において得られた、ベースプレートの支柱の間隔dと平均開口直径daveの関係を、まとめて示した図である。 実験1−2において得られた、ベースプレートの支柱の間隔dと平均開口直径daveの関係を、まとめて示した図である。 実験1−3において得られた、ベースプレートの支柱の間隔dと平均開口直径daveの関係を、まとめて示した図である。 実験2における各加工後に得られた貫通孔の底部開口の状態をまとめて示した図である。
以下、本発明について詳しく説明する。
(従来の貫通孔形成装置)
本発明についてより良く理解するため、まず、図1を参照して、従来の貫通孔形成装置の構成について、簡単に説明する。
図1には、ガラス基板に貫通孔を形成する際に使用される従来の貫通孔形成装置の構成を概略的に示す。
図1に示すように、従来の貫通孔形成装置1は、レーザ光源10と、直流高圧電源25と、第1の電極40および第2の電極45とを有する。
レーザ光源10は、被加工対象となるガラス基板80に向かってレーザ光13を照射する役割を有する。
第1の電極40および第2の電極45は、それぞれ、導体50および55と電気的に接続されており、これらの導体50および55は、直流高圧電源25と接続されている。
第1の電極40は、略針状の形状を有し、ガラス基板80から離して配置されている。第2の電極45は、略平板状の形状を有し、ガラス基板80の直下に、該ガラス基板80と接するように配置されている。第2の電極45は、ガラス基板80を支持するベースプレートとしても機能する。第2の電極45は、中央部分に空間46を有する。この空間46の存在により、加工中にガラス基板80から生じるデブリを、第2の電極45の内部に収容することができる。
このような貫通孔形成装置1を用いて、ガラス基板80に複数の貫通孔を形成する際には、まず、ガラス基板80が両電極40、45の間に配置される。ガラス基板80は、第1の表面82および第2の表面84を有し、例えば、第1の表面82が第1の電極40に近い側となるように配置される。次に、第2の電極45を水平方向に移動させることにより、ガラス基板80が所定の位置に配置される。
次に、レーザ光源10からガラス基板80の第1の表面82に向かって、レーザ光13が照射される。レーザ光13は、ガラス基板80の第1の表面82の照射領域93に照射される。
これにより、ガラス基板80の照射領域93の温度が局部的に上昇し、その直下に溶融部が形成される。
次に、直流高圧電源25を用いて、両電極40、45間に直流高電圧が印加される。これにより、両電極40、45間において、放電が生じる。放電は、ガラス基板80の照射領域93、すなわち溶融部を介して生じる傾向にある。放電の発生により、溶融部が貫通孔95となる。
次に、第2の電極45を水平方向に移動させ、ガラス基板80を所定の場所に配置する。その後、同様の工程により、第2の貫通孔が形成される。
このような工程を繰り返すことにより、ガラス基板80に複数の貫通孔を形成できる。
ここで、このような従来の貫通孔形成装置1を用いて形成された貫通孔95の中には、しばしば、寸法および形状に問題があるものが含まれる場合がある。例えば、形成された貫通孔95の直径が、意図した範囲から逸脱していたり、真円から逸脱した形態の開口を有する貫通孔95が含まれたりする場合がある。
本願発明者らは、このような問題に対処するため、鋭意研究開発を実施してきた。その結果、本願発明者らは、ガラス基板80のある領域では、第1の表面82に照射されるレーザ光13の焦点が、他の領域に比べてZ方向(ガラス基板80の厚さ方向)にずれる場合があり、これが貫通孔95の直径が意図した範囲から逸脱する原因となっていることを見出した。なお、レーザ光13の焦点のずれの要因としては、
・第2の電極45上に配置されるガラス基板80の自重により、ガラス基板80がたわむこと、および
・加工中に、ガラス基板80が熱応力によって変形すること
などが考えられる。
また、本願発明者らは、第2の電極45の空間46の深さが貫通孔95の第2の開口(ガラス基板80の第2の表面84の側の開口)の形状(真円度)に関係していることを見出した。より具体的には、第2の電極45の空間46の深さが比較的浅い場合、貫通孔95の第2の開口の真円度が悪くなる傾向にある。なお、この原因として、空間46内に蓄積される熱により、貫通孔95の第2の開口が熱溶融することが考えられる。
本願発明者らは、以上の考察に基づき、以下の(i)および(ii)の対策により、前述のような問題が抑制されることを見出し、本願発明に至った:
(i)ガラス基板80の第1の表面82上の加工領域内で、レーザ光13が、場所によらずなるべく一定の焦点を形成できるようにすることにより、貫通孔の直径の精度を高める;および
(ii)第2の電極45の空間46の深さを所定の範囲以上とすることにより、貫通孔95の第2の開口が熱溶融することを回避する。
すなわち、本願発明では、第1の形態(本願第1発明)として、
ガラス基板に第1の表面から第2の表面に至る貫通孔を形成する装置であって、
ガラス基板の第1の表面の側にレーザ光を照射するレーザ光源と、
前記ガラス基板の第2の表面の側に配置されるベースプレートと、
を有し、
前記ベースプレートは、中央部分に設けられた空間、および該空間に配置され前記ガラス基板を支持する複数の支柱を有し、
前記複数の支柱は、該支柱の延伸方向に略垂直な第1の方向の間隔がdとなり、前記第1の方向と垂直な第2の方向の間隔がdとなるように、格子状に配置され、
前記dおよびdは、30mmより小さく、
前記支柱は、高さhが70μmよりも大きい、装置が提供される。
また、本願発明では、第2の形態(本願第2発明)として、
ガラス基板に第1の表面から第2の表面に至る貫通孔を形成する装置であって、
ガラス基板の第1の表面の側にレーザ光を照射するレーザ光源と、
前記ガラス基板の前記第1の表面の側に配置される、略針状の先端を有する第1の電極と、
前記ガラス基板の前記第2の表面の側に配置される第2の電極と、
前記第1の電極と第2の電極の間に放電を発生させる直流電圧電源と、
を有し、
前記第2の電極は、中央部分に設けられた空間、および該空間に配置され前記ガラス基板を支持する複数の支柱を有するベースプレートで構成され、
前記複数の支柱は、該支柱の延伸方向に略垂直な第1の方向の間隔がdとなり、前記第1の方向と垂直な第2の方向の間隔がdとなるように、格子状に配置され、
前記dおよびdは、30mmより小さく、
前記支柱は、高さhが70μmよりも大きい、装置が提供される。
本願第1発明および第2発明では、ベースプレートの空間内に複数の支柱が格子状に設けられる。これらの複数の支柱は、第1の方向の間隔がdとなり、前記第1の方向と垂直な第2の方向の間隔がdとなるように、格子状に配置され、dおよびdは、30mmより小さいという特徴がある。
支柱をこのような間隔dおよびdで、ベースプレートの空間内に規則的に配置することにより、ベースプレートの上部に配置されるガラス基板の変形を有意に抑制することができる。また、これにより、レーザ光が、ガラス基板の第1の表面上で場所によらず実質的に一定の焦点を形成できるようになり、貫通孔の直径の精度を高めることが可能になる。
また、本願第1発明および第2発明では、ベースプレートの支柱の高さhが70μmよりも高いという特徴を有する。
ベースプレートの支柱の高さhをこのように調整することにより、加工中に、ベースプレートの空間内に蓄積される熱により貫通孔の第2の開口が熱溶融することを有意に回避することができる。また、これにより、貫通孔の開口形状を所望の形状(真円)に近づけることが可能となる。
以上のような効果により、本願第1発明および第2発明では、所望の直径および開口形状を有する貫通孔を、より高い確度で形成することが可能となる。
(本発明の一実施形態による貫通孔形成装置)
次に、図2〜図3を参照して、本発明の一実施形態による貫通孔形成装置について説明する。
図2には、本発明の一実施形態による貫通孔形成装置(以下、「第1の貫通孔形成装置」という)の構成を概略的に示す。また、図3には、第1の貫通孔形成装置が備えるベースプレートの概略的な上面図を示す。
図2に示すように、第1の貫通孔形成装置100は、被加工体130に貫通孔195を形成することができる装置である。
被加工体130は、第1の表面182および第2の表面184を有するガラス基板180を有する。また、被加工体130は、ガラス基板180の第1の表面182側に設置された第1の保護フィルム132と、ガラス基板180の第2の表面184側に設置された第2の保護フィルム134とを有する。従って、被加工体130の第1の表面133は、第1の保護フィルム132の外表面で構成され、被加工体130の第2の表面135は、第2の保護フィルム134の外表面で構成される。
これらの保護フィルム132、134は、加工中に、ガラス基板180の両表面182、184に、デブリ(加工屑)が付着することを回避する役割を有する。ただし、保護フィルム132、134は、本発明において、必須の部材ではなく、省略されてもよい。
ガラス基板180の厚さは、例えば、0.05mm〜0.7mmの範囲であってもよい。
図2に示すように、第1の貫通孔形成装置100は、レーザ光源110と、ベースプレート160とを有する。
レーザ光源110は、被加工体130の第1の表面133に向かってレーザ光113を照射する役割を有する。
ベースプレート160は、上部に被加工体130を支持し、固定する役割を有する。ベースプレート160の中央部分には、空間169が形成されている。ベースプレート160は、例えば、アルミニウム金属またはアルミニウム合金のような導電性材料で構成されても良い。
図3に示すように、ベースプレート160は、略円形の形状を有し、この外径は、被加工体130の直径よりも大きくなるように選定される。
また、ベースプレート160は、空間169を区画する内壁164と、空間169に設けられた複数の支柱170を有する。図2に示すように、ベースプレート160の内壁164の直径は、被加工体130の外径よりも小さくなるように形成される。従って、被加工体130は、ベースプレート160の上部表面163上に載置することができる。
さらに、ベースプレート160は、1または2以上の吸引孔162を有し、この吸引孔162は、外部吸引装置(図示されていない)に接続される。ベースプレート160は、吸引孔162により、上部に載置される被加工体130を上部表面163に吸引固定することができる。
ベースプレート160の各支柱170は、空間169内に、規則的に配置される。より具体的には、各支柱170は、空間169内に、XY方向に沿って、格子状に配置される。図3に示すように、X方向における支柱170の間隔はdであり、Y方向における支柱170の間隔はdである。間隔d=間隔dであってもよい。なお本願では、間隔dおよび間隔dを、単に「間隔d」と称する場合がある。間隔d(すなわちdおよび間隔d)は、いずれも

d<30mm (1)式

を満たすように選定される。
また、各支柱170(および内壁164)は、高さhを有し、この高さhは、

70μm<h (2)式

となるように選定される。
なお、図3において、支柱170は、円柱状の形態として示されている。しかしながら、これは単なる一例であって、支柱170の形態は、三角角柱状および四角柱状など、その他の形態であっても良い。
このようなベースプレート160を有する第1の貫通孔形成装置100を用いて、ガラス基板180に貫通孔を形成する場合、まずベースプレート160上に、被加工体130が配置される。次に、外部吸引装置(図示されていない)が稼働される。これにより、ベースプレート160の吸引孔162を介して、被加工体130がベースプレート160の上部表面163上に吸引され、ここに固定される。
次に、レーザ光源110から被加工体130の第1の表面133に向かって、レーザ光113が照射される。レーザ光113は、被加工体130の第1の表面133の照射領域193に照射される。
これにより、被加工体130の照射領域193の温度が局部的に上昇し、その直下に存在する各部材(第1の保護フィルム132、ガラス基板180、および第2の保護フィルム134)の部分が除去される。これにより、ガラス基板180に貫通孔195が形成される。
ここで、前述のように、従来の貫通孔形成装置1では、形成された貫通孔95の直径が、意図した範囲から逸脱していたり、真円から逸脱した形態の開口を有する貫通孔95が生じたりする場合がある。
これに対して、第1の貫通孔形成装置100では、支柱170は格子状に規則的に配置され、支柱170の間隔dは、30mmを超えないように選定されている。例えば、支柱170の間隔dは、15mm〜25mmの範囲である。
この場合、ベースプレート160の上部表面163上に配置される被加工体130の厚さ方向の変形が有意に抑制される。また、これにより、被加工体130の第1の表面133に照射されるレーザ光113の焦点が、Z方向(被加工体130の厚さ方向)に沿ってずれることが有意に抑制される。その結果、形成される貫通孔195の直径の精度を高めることが可能になる。
また、第1の貫通孔形成装置100では、ベースプレート160の支柱170の高さhは、(2)式を満たすように選定されている。例えば、支柱170の高さhは、100μm〜1400μmの範囲である。
この場合、空間169内に蓄積される熱により、貫通孔195の第2の開口(ガラス基板180の第2の表面184の側の開口)が熱溶融することが有意に抑制される。
その結果、第1の貫通孔形成装置100では、所望の直径および開口形状を有する貫通孔195を、高い確度で形成することが可能となる。
なお、一般に、支柱の位置では孔品質を維持した状態で貫通孔を形成することは難しいため、支柱の配置間隔が極端に狭くなると、ガラス基板の加工可能領域が著しく制限されるという問題が生じ得る。
この問題に対処するため、第1の貫通孔形成装置100において、支柱170の間隔dは、10mmを超えるように選定することが好ましい。これにより、ガラス基板180の加工可能領域が狭くなり、ガラス基板180の未使用領域が増加するという問題を有意に回避することができる。
特に、加工可能領域の観点からは、支柱170の太さ(延伸方向に垂直な断面の最大寸法)は、できる限り細いことが好ましい。支柱170の太さは、例えば、500μm〜5000μmの範囲であってもよい。
(本発明の一実施形態による別の貫通孔形成装置)
次に、図4を参照して、本発明の一実施形態による別の貫通孔形成装置について説明する。
図4には、本発明の一実施形態による別の貫通孔形成装置(以下、「第2の貫通孔形成装置」という)の構成を概略的に示す。
なお、図4に示した第2の貫通孔形成装置は、「放電補助式レーザ孔加工技術」を用いて、ガラス基板に複数の貫通孔を形成できる装置である。
ここで、「放電補助式レーザ孔加工技術」とは、以下に示すような、ガラス基板に対するレーザ光照射によってガラス基板の照射領域に貫通孔を形成し、その後電極間放電現象により、前記貫通孔の形状を調整する技術の総称を意味する。なお、貫通孔形状の調整とは、レーザ光照射によってガラス基板に貫通孔を形成した際に生じるネッキングを低減することを意味する。ここで「ネッキング」とは、レーザ加工後に貫通孔内に形成され得る狭窄部を意味する。
図4に示すように、第2の貫通孔形成装置200は、レーザ光源210と、直流高電圧電源225と、第1の電極240および第2の電極260とを有する。
レーザ光源210は、被加工体230に向かってレーザ光213を照射する。
第1の電極240および第2の電極260は、それぞれ、導体250および255と電気的に接続されており、これらの導体250および255は、直流高電圧電源225と接続されている。
第1の電極240は、針状の形状を有する。一方、第2の電極260は、前述の図2および図3を参照して説明したベースプレート160と同様のベースプレートで構成される。従って、以下、第2の電極260をベースプレート260とも称する。
また、ベースプレート260は、前述のベースプレート160と同様の構成を有するため、図4のベースプレート260において、図2および図3に示したベースプレート160を構成する各部分に対応する部分には、図2および図3に示した参照符号に100を加えた参照符号が使用されている。例えば、ベースプレート260は、空間269内に、縦横規則的に配置された支柱270を有する。また、ベースプレート260は、被加工体230を上部表面263に吸引固定するための吸引孔262を有する。
被加工体230は、第1の表面282および第2の表面284を有するガラス基板280を有する。また、被加工体230は、ガラス基板280の第1の表面282側に設置された第1の保護フィルム232と、ガラス基板280の第2の表面284側に設置された第2の保護フィルム234とを有する。従って、被加工体230の第1の表面233は、第1の保護フィルム232の外表面で構成され、被加工体230の第2の表面235は、第2の保護フィルム234の外表面で構成される。本願では、被加工体230の第1の表面233を、「照射面」とも称する。
なお、保護フィルム232、234は、本発明において、必須の部材ではなく、省略されてもよい。
このような第2の貫通孔形成装置200を用いて、被加工体230のガラス基板280に複数の貫通孔295を形成する場合、まず、被加工体230がベースプレート260の上に配置される。次に、外部吸引装置(図示されていない)が稼働される。これにより、ベースプレート260の吸引孔262を介して、被加工体230がベースプレート260の上部表面263上に吸引され、ここに固定される。
次に、レーザ光源210から被加工体230の第1の表面233に向かって、レーザ光213が照射される。レーザ光213は、被加工体230の第1の表面233の照射領域293に照射される。
これにより、被加工体230の照射領域293の温度が局部的に上昇し、その直下に存在する各部材(第1の保護フィルム232、ガラス基板280、および第2の保護フィルム234)の部分が昇華する。これにより、ガラス基板280に貫通孔が形成される。
レーザ光213の照射後、直流高電圧電源225を用いて、第1の電極240と第2の電極(ベースプレート)260の間に直流高電圧が印加される。これにより、電極240とベースプレート260間で放電が生じる。放電は、貫通孔を介して生じる傾向にある。これは、この位置では、抵抗が他の部分よりも低くなっているためである。
放電の発生により、貫通孔の形状が整えられ、ガラス基板280に貫通孔295が形成される。
以降、同様の操作を行うことにより、ガラス基板280に複数の貫通孔を形成することができる。
ここで、第2の貫通孔形成装置200においても、ベースプレート260の支柱270の間隔dは、前述の(1)式を満たすように選定されている。例えば、支柱270の間隔dは、15mm〜25mmの範囲である。
従って、第2の貫通孔形成装置200においても、ベースプレート260の上部表面263上に配置される被加工体230の厚さ方向の変形が有意に抑制される。また、これにより、被加工体230の第1の表面233に照射されるレーザ光213の焦点が、Z方向(被加工体230の厚さ方向)に沿ってずれることが有意に抑制される。その結果、形成される貫通孔295の直径の精度を高めることが可能になる。
さらに、第2の貫通孔形成装置200においても、ベースプレート260の支柱270の高さhは、前述の(2)式を満たすように選定されている。例えば、支柱270の高さhは、100μm 〜1400μmの範囲である。
この場合、空間269内に蓄積される熱により、貫通孔295の第2の開口(ガラス基板280の第2の表面284の側の開口)が熱溶融することが有意に抑制される。
その結果、第2の貫通孔形成装置200では、所望の直径および開口形状を有する貫通孔295を、高い確度で形成することが可能となる。
第2の貫通孔形成装置200においても、支柱270の間隔dは、10mmを超えるように選定されることが好ましい。これにより、ガラス基板280の加工可能領域が狭くなり、ガラス基板280の未使用領域が増加するという問題を、有意に回避することができる。
なお、第2の貫通孔形成装置200では、第1の電極240の先端から、被加工体230の第1の表面233のレーザ光213の焦点の中心までの距離をaとし、被加工体230の厚さをTとし、支柱270の高さをhとしたとき、a+T+hで表される距離Dは

D(=a+T+h)≦3000μm (3)式

を満たすように選定されることが好ましい。
距離Dが(3)式を満たさない場合、第1の電極240とベースプレート260の間で生じる放電が不安定になるおそれがあるからである。距離Dを3000μm以下とすることにより、両電極240、260間に安定した放電を発生させ、ネッキングが適正に抑制された貫通孔295を形成することが可能となる。
以上、第1の貫通孔形成装置100および第2の貫通孔形成装置200を例に、本発明の一実施例の特徴について説明した。ただし、本発明は、これらの貫通孔形成装置100、200の態様に限られるものではなく、例えば、貫通孔形成装置100、200において、各種変更および置換が可能であることは当業者には明らかである。
例えば、第1の貫通孔形成装置100および第2の貫通孔形成装置200では、ベースプレート160、260の吸引孔162、262は、空間169、269内の支柱170、270のない領域に設けられる。しかしながら、この代わりにまたはこれに加えて、吸引孔は、支柱170、270の内部に形成されてもよい。さらに、吸引孔は、ベースプレート160、260の上部表面163、263に開口が形成されるように設けられても良い。
また、ベースプレート160、260の形状は、円形に限られるものではなく、ガラス基板180、280の形状に応じて、各種形状を選択しても良い。例えば、ベースプレート160、260は、正方形状、矩形状、および楕円状等であってもよい。その他にも各種変更が可能である。
(本発明の一実施形態によるガラス基板に貫通孔を形成する方法)
次に、図5を参照して、本発明の一実施形態によるガラス基板に貫通孔を形成する方法について説明する。
図5には、本発明の一実施形態によるガラス基板に貫通孔を形成する方法(以下、「第1の貫通孔形成方法」と称する)のフローを概略的に示す。
図5に示すように、第1の貫通孔形成方法は、
(a)被加工体を準備するステップであって、前記被加工体は、第1および第2の表面を有するガラス基板を有し、さらに任意で、前記ガラス基板の前記第1の表面に設置された第1の保護フィルム、および/または前記ガラス基板の前記第2の表面に設置された第2の保護フィルムを有するステップ(ステップS110)と、
(b)前記ガラス基板の前記第1の表面の側からレーザ光を照射し、前記ガラス基板に貫通孔を形成するステップ(ステップS120)と、
(c)前記貫通孔を介して、前記ガラス基板に放電を発生させるステップ(ステップS130)と、
を有する。
ここで、ステップS120〜ステップS130は、被加工体をベースプレート上に載置した状態で実施される。なお、被加工体は、ガラス基板の第2の表面の側がベースプレートに近い側となるように載置される。
また、ベースプレートは、中央部分に設けられた空間、および該空間に配置され前記被加工体を支持する複数の支柱を有し、該複数の支柱は、該支柱の延伸方向に略垂直な第1の方向の間隔がdとなり、前記第1の方向と垂直な第2の方向の間隔がdとなるように、格子状に配置される。この間隔dおよびdは、10mmより大きく30mmより小さく、前記支柱は、高さhが70μmよりも大きくなるように選定される。
このような第1の貫通孔形成方法では、前述のように、被加工体の厚さ方向の変形が有意に抑制される。また、これにより、形成される貫通孔の直径の精度を高めることが可能になる。
また、ベースプレートの空間内に蓄積される熱により、貫通孔の第2の開口(ガラス基板の第2の表面の側の開口)が熱溶融することが有意に抑制される。その結果、第1の貫通孔形成方法では、所望の直径および開口形状を有する貫通孔を、高い確度で形成することが可能となる。
なお、第1の貫通孔形成方法において、ステップS130における放電は、ガラス基板の第1の表面の側に配置された針状の第1の電極と、ベースプレートとの間で生じても良い。この場合、ベースプレートは、導電性材料で構成される。
また、被加工体の厚さをTとし、第1の電極の先端から、被加工体の照射面(被加工体のレーザ光が照射される側の表面)上のレーザ光の焦点までの距離をaとしたとき、a+T+hで表される距離Dは、3000μm未満であることが好ましい。この場合、第1の電極とベースプレートの間で安定した放電を発生させることが可能となる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実験1−1)
前述の図4に示したような構成の貫通孔形成装置200を用いてガラス基板に複数の貫通孔を形成し、その状態を評価した。
ガラス基板には、縦50mm×横50mm×厚さ0.3mmの寸法の無アルカリガラスを使用した。ガラス基板の第1の表面に、厚さ75μmの第1の樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)を設置し、ガラス基板の第2の表面に、厚さ75μmの第2の樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)を設置し、被加工体を作製した。
ベースプレートには、アルミニウム製の吸引式ベースプレート(寸法:約50mm×約50mm)を使用した。支柱は、ベースプレートの空間内に、XY方向に沿って格子状に配置した。X方向における支柱の間隔d=20mmとし、Y方向における支柱の間隔d=20mmとした。各支柱は円柱形状とし、支柱の太さは、直径1mmφとし、支柱の高さhは、500μmとした。
被加工体に照射するレーザ光は、COレーザ(出力100W)とし、照射時間は、165μsecとした。被加工体の照射面でのレーザ光の焦点は、約69μm〜71μmを目標とした。レーザ光照射を完了してから、第1の針状電極とベースプレートとの間で、放電を発生させた。
このような条件下で、ガラス基板の中央部分(30mm四方の領域)に合計17856個の貫通孔からなるパターンを形成した。各貫通孔同士のピッチは、200μmとした。
なお、ガラス基板のサンプル数は2とし、すなわち、同一の条件で、2枚のガラス基板に貫通孔の同じパターンを形成した。
得られた貫通孔のガラス基板の第1の表面側における開口(貫通孔の上部開口)の直径を評価した。なお、評価する貫通孔の数は、それぞれのガラス基板において4個とし、これらは、格子状に配置された4つの支柱で取り囲まれた最小正方形単位(すなわち20mm×20mm)に相当するガラス基板の領域の中から選定した。このようにして選定した合計8個の貫通孔の上部開口の直径を平均して、平均開口直径daveを求めた。
また、ベースプレートの支柱の間隔d、dを5mm〜40mmの範囲で変化させて、同様の加工を実施し、得られた貫通孔から、同様の方法により平均開口直径daveを求めた。なお、いずれの加工においても、支柱の間隔d=dとした。
実験1−1において得られた結果を、まとめて図6に示す。
この結果から、支柱間隔d(dおよびd)が5mm〜20mmの範囲では、貫通孔の平均開口直径daveは、いずれも70.5μmであり、レーザ光の目標焦点径である69μm〜71μmとよい一致を示していることがわかる。これに対して、支柱間隔d(dおよびd)が30mmおよび40mmでは、平均開口直径daveは、それぞれ、73.1μmおよび74.8μmとなっており、レーザ光の目標焦点径から逸脱していることがわかる。
このように、支柱間隔dを30mm未満とすることにより、形成される貫通孔の直径の精度を高められることが確認された。
(実験1−2)
実験1−1と同様の評価を実施した。ただし、この実験1−2では、実験1−1の場合とは異なり、ガラス基板の厚さは、0.2mmとした。また、被加工体に照射するレーザ光の出力は、100Wとし、照射時間は、110μsecとした。被加工体の照射面でのレーザ光の焦点は、約63μm〜65μmを目標とした。その他の条件は、実験1−1の場合と同様である。
実験1−2において得られた結果を、まとめて図7に示す。
この結果から、支柱間隔d(dおよびd)が5mm〜20mmの範囲では、貫通孔の平均開口直径daveは、64.3μm〜64.7μmの範囲であり、レーザ光の目標焦点径である64μm〜66μmとよい一致を示していることがわかる。これに対して、支柱間隔d(dおよびd)が30mmおよび40mmでは、平均開口直径daveは、それぞれ、67.3μmおよび67.6μmとなっており、レーザ光の目標焦点径から逸脱していることがわかる。
このように、支柱間隔dを30mm未満とすることにより、形成される貫通孔の直径の精度を高められることが確認された。
(実験1−3)
実験1−1と同様の評価を実施した。ただし、この実験1−3では、実験1−1の場合とは異なり、ガラス基板の厚さは、0.5mmとした。また、被加工体に照射するレーザ光の出力は、100Wとし、照射時間は、410μsecとした。被加工体の照射面でのレーザ光の焦点は、約89μm〜91μmを目標とした。その他の条件は、実験1−1の場合と同様である。
実験1−3において得られた結果を、まとめて図8に示す。
この結果から、支柱間隔d(dおよびd)が5mm〜20mmの範囲では、貫通孔の平均開口直径daveは、89.5μm〜90.4μmの範囲であり、レーザ光の目標焦点径である89μm〜91μmとよい一致を示していることがわかる。これに対して、支柱間隔d(dおよびd)が30mmおよび40mmでは、平均開口直径daveは、それぞれ、91.1μmおよび92.2μmとなっており、レーザ光の目標焦点径から逸脱していることがわかる。
このように、支柱間隔dを30mm未満とすることにより、ガラス基板に形成される貫通孔の開口直径の精度を高められることが確認された。
実験1−1〜実験1−3において得られた結果を、まとめて以下の表1に示した。
(実験2)
前述の図4に示したような構成の貫通孔形成装置200を用いてガラス基板に複数の貫通孔を形成し、その状態を評価した。
ガラス基板には、縦50mm×横50mm×厚さ0.3mmの寸法の無アルカリガラスを使用した。ガラス基板の第1の表面に、厚さ75μmの第1の樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)を設置し、ガラス基板の第2の表面に、厚さ75μmの第2の樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)を設置し、被加工体を作製した。
ベースプレートには、アルミニウム製の吸引式ベースプレート(外寸法:約50mm×約50mm)を使用した。
なお、このベースプレートでは、外周(4辺)に沿って枠状に形成された内壁によって空間が区画されており、空間内に支柱は配置されていない。すなわち、ベースプレートには、内壁と外周部の間の枠状の上部表面によって、被加工体を支持する構造のものを使用した。空間の寸法は、縦25mm×横25mmとした。この縦または横の寸法は、ベースプレートの支柱間隔d(dまたはd)に対応するパラメータとなる。また、空間の深さは、100μmとした。この空間の深さPは、前述の支柱の高さhに対応するパラメータとなる。
被加工体に照射するレーザ光は、COレーザ(出力100W)とし、照射時間は、168μsec〜173μsecとした。被加工体に照射されるレーザ光の焦点は、ガラス基板の第2の表面に形成される貫通孔の第2の開口の直径が38μm(目標値)となるように設定した。レーザ光照射を完了してから、放電を発生させた。
このような条件下で、ガラス基板の中央部分に、単一の貫通孔を形成した。
得られた貫通孔のガラス基板の第2の表面側における開口(以下、「貫通孔の底部開口」と称する)の形状を評価した。
また、ベースプレートの支柱の高さhに対応するパラメータとなる空間の深さPを、0μm〜440μmの範囲で変化させて、同様の加工を実施し、貫通孔の底部開口の形状を評価した。
図9には、得られた結果をまとめて示す。図9には、各加工において得られた貫通孔の底部開口の状態を示す。
図9に示すように、空間の深さPによって、貫通孔の底部開口の状態が変化していることがわかる。特に、空間の深さPが70μm以下の場合、貫通孔の底部開口の形状は、真円から大きく逸脱している。これに対して、空間の深さPが100μm以上の場合、貫通孔の底部開口の形状は、真円に近くなっている。
なお、空間の深さPが70μm以下の場合、貫通孔加工後に、被加工体の第2の保護フィルムがベースプレートの空間に付着していることが認められた。このことから、空間の深さPが70μm以下の条件では、加工中に第2の保護フィルムが貫通孔の直下のベースプレートの底面に付着して、ここに密閉空間が形成され、この密閉空間に蓄積された熱により、貫通孔の底部開口が熱溶融したものと予想される。
このように、空間の深さP、すなわちベースプレートの支柱の高さhを70μm超とすることにより、貫通孔の底部開口の形状を所望の形状(真円)に近づけられることが確認された。
(実験3)
前述の図4に示したような構成の貫通孔形成装置200を用いてガラス基板に複数の貫通孔を形成した。
ガラス基板には、縦50mm×横50mm×厚さ0.3mmの寸法の無アルカリガラスを使用した。ガラス基板の第1および第2の表面にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを設置し、被加工体を作製した。
被加工体の厚さTは、0.4mmである。
ベースプレートには、アルミニウム製の吸引式ベースプレート(寸法:約50mm×約50mm)を使用した。支柱は、ベースプレートの空間内に、XY方向に沿って格子状に配置した。X方向における支柱の間隔d=20mmとし、Y方向における支柱の間隔d=20mmとした。各支柱は、略円柱状形状とし、支柱の太さは、直径1mmφとした。
なお、ベースプレートとして、空間の深さ、すなわち支柱の高さhが1010μmのもの、および1480μmのものの2種類を使用した。
被加工体に照射するレーザ光は、COレーザ(出力100W)とし、照射時間は、168μsec〜173μsecとした。被加工体に照射されるレーザ光の焦点は、ガラス基板の第2の表面に形成される貫通孔の第2の開口の直径が38μm(目標値)となるように設定した。レーザ光照射を完了してから、放電を発生させた。
放電の際の第1の電極の先端から、被加工体の照射面におけるレーザ光の焦点までの距離aは、約1200μmである。従って、a+T+hで表される距離Dは、2610μm(支柱の高さhが1010μmの場合)、および3080μm(支柱の高さhが1480μmの場合)である。
以上のような条件下で、ガラス基板に複数の貫通孔を形成した。
実験の結果、ベースプレートの支柱の高さhを1010μmとした場合(距離D=2610μm)、加工の際に、安定的に放電を発生させることができることがわかった。これに対して、ベースプレートの支柱の高さhを1480μmとした場合(距離D=3080μm)、意図しない場所で放電が生じたり、放電が生じなくなったりして、安定した放電現象が生じ難くなることがわかった。
この結果から、a+T+hで表される距離Dは、3000μm以下にすることが好ましく、2610μm以下にすることがより好ましいと言える。
1 従来の貫通孔形成装置
10 レーザ光源
13 レーザ光
25 直流高圧電源
40 第1の電極
45 第2の電極(ベースプレート)
46 空間
50 導体
55 導体
80 ガラス基板
82 第1の表面
84 第2の表面
93 照射領域
95 貫通孔
100 本発明による第1の貫通孔形成装置
110 レーザ光源
113 レーザ光
130 被加工体
132 第1の保護フィルム
133 第1の表面
134 第2の保護フィルム
135 第2の表面
160 ベースプレート
162 吸引孔
163 上部表面
164 内壁
169 空間
170 支柱
180 ガラス基板
182 第1の表面
184 第2の表面
193 照射領域
195 貫通孔
200 本発明による第2の貫通孔形成装置
210 レーザ光源
213 レーザ光
225 直流高電圧電源
230 被加工体
232 第1の保護フィルム
233 第1の表面
234 第2の保護フィルム
235 第2の表面
240 第1の電極
250 導体
255 導体
260 ベースプレート(第2の電極)
262 吸引孔
263 上部表面
264 内壁
269 空間
270 支柱
280 ガラス基板
282 第1の表面
284 第2の表面
293 照射領域
295 貫通孔

Claims (17)

  1. ガラス基板に第1の表面から第2の表面に至る貫通孔を形成する装置であって、
    ガラス基板の第1の表面の側にレーザ光を照射するレーザ光源と、
    前記ガラス基板の第2の表面の側に配置されるベースプレートと、
    を有し、
    前記ベースプレートは、中央部分に設けられた空間、および該空間に配置され前記ガラス基板を支持する複数の支柱を有し、
    前記複数の支柱は、該支柱の延伸方向に略垂直な第1の方向の間隔がdとなり、前記第1の方向と垂直な第2の方向の間隔がdとなるように、格子状に配置され、
    前記dおよびdは、5mm以上であり、30mmより小さく、
    前記支柱は、高さhが100μm〜1400μmの範囲である、装置。
  2. 前記dおよびdは、10mmよりも大きい、請求項1に記載の装置。
  3. 前記ベースプレートは、前記ガラス基板を吸引固定する吸引機構を有する、請求項1または2に記載の装置。
  4. 前記ベースプレートの前記空間は、前記ベースプレートの外周部に形成された内壁により区画される、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の装置。
  5. 前記支柱は、最大寸法が500μm〜5000μmの範囲の太さを有する、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の装置。
  6. 前記ガラス基板は、0.05mm〜0.7mmの範囲の厚さを有する、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の装置。
  7. 前記ガラス基板の前記第1の表面には、第1の保護フィルムが設置され、前記第2の表面には、第2の保護フィルムが設置される、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の装置。
  8. 前記ベースプレートは、導電性材料で構成される、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の装置。
  9. ガラス基板に第1の表面から第2の表面に至る貫通孔を形成する装置であって、
    ガラス基板の第1の表面の側にレーザ光を照射するレーザ光源と、
    前記ガラス基板の前記第1の表面の側に配置される、略針状の先端を有する第1の電極と、
    前記ガラス基板の前記第2の表面の側に配置される第2の電極と、
    前記第1の電極と第2の電極の間に放電を発生させる直流電圧電源と、
    を有し、
    前記第2の電極は、中央部分に設けられた空間、および該空間に配置され前記ガラス基板を支持する複数の支柱を有するベースプレートで構成され、
    前記複数の支柱は、該支柱の延伸方向に略垂直な第1の方向の間隔がdとなり、前記第1の方向と垂直な第2の方向の間隔がdとなるように、格子状に配置され、
    前記dおよびdは、5mm以上であり、30mmより小さく、
    前記支柱は、高さhが100μm〜1400μmの範囲である、装置。
  10. 前記dおよびdは、10mmよりも大きい、請求項9に記載の装置。
  11. 前記ベースプレートは、前記ガラス基板を吸引固定する吸引機構を有する、請求項9または10に記載の装置。
  12. 前記ベースプレートの前記空間は、前記ベースプレートの外周側に形成された内壁により区画される、請求項9乃至11のいずれか一つに記載の装置。
  13. 前記支柱は、最大寸法が500μm〜5000μmの範囲の太さを有する、請求項9乃至12のいずれか一つに記載の装置。
  14. 前記ガラス基板は、0.05mm〜0.7mmの厚さを有する、請求項9乃至13のいずれか一つに記載の装置。
  15. 前記ガラス基板の前記第1の表面には、第1の保護フィルムが設置され、前記第2の表面には、第2の保護フィルムが設置され、
    前記ガラス基板と前記第1および第2の保護フィルムとの合計厚さTは、0.1mm〜0.9mmの範囲であり、
    前記第1の電極の前記先端から、前記第1の保護フィルムの前記レーザ光の焦点までの距離をaとしたとき、
    a+T+hで表される距離Dは、3000μm以下である、請求項9乃至14のいずれか一つに記載の装置。
  16. ガラス基板に第1の表面から第2の表面に至る貫通孔を形成する方法であって、
    (a)被加工体を準備するステップであって、前記被加工体は、第1および第2の表面を有するガラス基板を有し、さらに任意で、前記ガラス基板の前記第1の表面に設置された第1の保護フィルム、および/または前記ガラス基板の前記第2の表面に設置された第2の保護フィルムを有するステップと、
    (b)前記ガラス基板の前記第1の表面の側からレーザ光を照射し、前記ガラス基板に貫通孔を形成するステップと、
    (c)前記貫通孔を介して、前記ガラス基板に放電を発生させるステップと、
    を有し、
    前記(b)および(c)のステップは、前記被加工体をベースプレート上に載置した状態で実施され、前記被加工体は、前記ガラス基板の前記第2の表面の側が前記ベースプレートに近い側となるように載置され、
    前記ベースプレートは、中央部分に設けられた空間、および該空間に配置され前記被加工体を支持する複数の支柱を有し、
    前記複数の支柱は、該支柱の延伸方向に略垂直な第1の方向の間隔がdとなり、前記第1の方向と垂直な第2の方向の間隔がdとなるように、格子状に配置され、
    前記dおよびdは、5mm以上であり、30mmより小さく、前記支柱は、高さhが100μm〜1400μmの範囲、となるように選定される、方法。
  17. 前記(c)のステップにおいて、前記放電は、前記ガラス基板の前記第1の表面の側に配置された針状の第1の電極と前記ベースプレートとの間で生じ、
    前記被加工体の厚さをTとし、前記被加工体の前記レーザ光が照射される側の表面を照射面と称し、
    前記第1の電極の先端から、前記被加工体の前記照射面上の前記レーザ光の焦点までの距離をaとしたとき、
    a+T+hで表される距離Dは、3000μm以下である、請求項16に記載の方法。
JP2014181226A 2014-09-05 2014-09-05 ガラス基板に貫通孔を形成する装置および方法 Active JP6295897B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014181226A JP6295897B2 (ja) 2014-09-05 2014-09-05 ガラス基板に貫通孔を形成する装置および方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014181226A JP6295897B2 (ja) 2014-09-05 2014-09-05 ガラス基板に貫通孔を形成する装置および方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016055295A JP2016055295A (ja) 2016-04-21
JP6295897B2 true JP6295897B2 (ja) 2018-03-20

Family

ID=55756916

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014181226A Active JP6295897B2 (ja) 2014-09-05 2014-09-05 ガラス基板に貫通孔を形成する装置および方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6295897B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017088467A (ja) * 2015-11-16 2017-05-25 旭硝子株式会社 ガラス基板に孔を形成する装置および方法

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018074560A1 (ja) * 2016-10-20 2018-04-26 旭硝子株式会社 孔を有するガラス基板の製造方法、インターポーザの製造方法、およびガラス基板に孔を形成する方法
WO2020090203A1 (ja) * 2018-10-31 2020-05-07 Agc株式会社 ガラス基板に孔を形成する製造装置および孔を有するガラス基板の製造方法
WO2022196019A1 (ja) 2021-03-15 2022-09-22 日本電気硝子株式会社 ガラス基板、貫通孔形成用ガラス原板及びガラス基板の製造方法

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63163290U (ja) * 1987-04-13 1988-10-25
JP2614697B2 (ja) * 1994-03-29 1997-05-28 栄電子工業株式会社 小径穴加工装置及びそれを使用する小径穴加工方法
JP3388129B2 (ja) * 1997-04-02 2003-03-17 シャープ株式会社 基板ビーム加工装置
JPH11197950A (ja) * 1998-01-14 1999-07-27 Hitachi Beer Mechanics Kk プリント基板の小径穴加工装置
JP2001259878A (ja) * 2000-03-15 2001-09-25 Hitachi Ltd レーザ加工装置
EP2324975B1 (en) * 2004-04-01 2016-12-21 PicoDrill SA Manufacturing and use of microperforated substrates
JP4470827B2 (ja) * 2005-07-20 2010-06-02 株式会社デンソー 複合加工装置およびそれを用いた加工方法
US8736026B2 (en) * 2009-02-27 2014-05-27 Picodrill Sa Method of generating a hole or recess or well in a substrate
JP2013010651A (ja) * 2011-06-28 2013-01-17 Asahi Glass Co Ltd インターポーザ用基板の製造方法
JPWO2013129165A1 (ja) * 2012-02-27 2015-07-30 旭硝子株式会社 ガラス基板を製造する方法、およびガラス基板
JP2014076513A (ja) * 2012-10-10 2014-05-01 Asahi Glass Co Ltd レーザ誘導式放電加工装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017088467A (ja) * 2015-11-16 2017-05-25 旭硝子株式会社 ガラス基板に孔を形成する装置および方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016055295A (ja) 2016-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6295897B2 (ja) ガラス基板に貫通孔を形成する装置および方法
KR101210653B1 (ko) 전기장을 이용한 레이저 가공장치 및 가공방법
JP2017088467A (ja) ガラス基板に孔を形成する装置および方法
JP4453840B2 (ja) 電極組立体およびめっき装置
TWI705749B (zh) 印刷電路板的雷射加工方法及其雷射加工機
JP5308892B2 (ja) 集積型薄膜太陽電池の製造装置
Kwon et al. Precise glass microstructuring with laser induced backside wet etching using error-compensating scan path
JP6050002B2 (ja) レーザ加工方法
JP2010192488A (ja) プラズマ処理装置
JP4684544B2 (ja) シリコンから形成された半導体ウエーハの分割方法及び装置
JP2019145729A5 (ja)
JP2015054348A (ja) レーザ光を用いて絶縁基板に貫通孔を形成する方法
JP2015133437A (ja) ウェーハの加工方法
JP2012240107A (ja) レーザ加工方法
WO2013058169A1 (ja) 絶縁基板に貫通孔を形成する方法およびインターポーザ用の絶縁基板を製造する方法
JP5800654B2 (ja) レーザアニール装置、及び、レーザアニール方法
TW201915230A (zh) 基板製造方法
JP2012020303A (ja) 積層基板の溝加工方法
JP6608732B2 (ja) ウエーハの加工方法
TW201505501A (zh) 藉雷射光照射於玻璃基板上形成貫通孔之方法
WO2014185206A1 (ja) 放電補助式レーザ孔加工方法
JP2014223640A (ja) 放電補助式レーザ孔加工方法および放電補助式レーザ孔加工装置
JP7176571B2 (ja) ガラス基板に孔を形成する製造装置および孔を有するガラス基板の製造方法
JP6870968B2 (ja) マイクロ電極体の製造方法
JP2017534461A (ja) ベルヌーイプロセスヘッド

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171031

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180123

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180205

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6295897

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250