JP7176571B2 - ガラス基板に孔を形成する製造装置および孔を有するガラス基板の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、ガラス基板に孔を形成する製造装置および孔を有するガラス基板の製造方法に関する。
ガラス基板にレーザを照射することにより、ガラス基板に孔を形成する技術が知られている。レーザ照射工程ではガラス基板をベースプレートに載置し、レーザを照射する。ベースプレートの中央に凹部を設け、ガラス基板の加工領域とベースプレートの面の間に空間を設けることによって、照射したレーザのベースプレートへの反射や、加工に伴う熱の蓄積などにより、孔形状が歪んでしまうことを阻止することが知られている。
しかし、ガラス基板が薄板化すると、このようなベースプレートではガラス基板のたわみが無視できず、たわみによりレーザ焦点の位置がずれることで、意図した形状の孔を開けることができないという課題があった。
そこで、特許文献1には、レーザを照射工程で、ガラス基板を載置するベースプレートに関して、ベースプレート中央の凹部に棒状の支柱を格子状に配置することが提案されており、特許文献2には、支柱を可動式にすることで、基板上の加工困難な領域を解消する方法が記載されている。
特許文献1に記載されたベースプレートでは、厚さ0.3mm~0.7mmのガラス基板のたわみを十分に解消し、孔加工の精度を向上させるには、支柱間隔を30mmまで狭くする必要があった。レーザ加工は、ガラス基板の直下に支柱がある領域を精度よく加工できないため、このように支柱間隔が狭くなると、ガラス基板とベースプレート間に空間のある領域が減少し、加工困難な領域が増加してしまう。また、特許文献2のように支柱を可動式にしても、支柱を避けるためには加工のための移動経路を長くするか、支柱の移動回数を増やす必要があるため、生産効率が低下する。更に、これらの文献に記載されたベースプレートでは、厚さ0.3mm以下のガラス基板のたわみを十分に抑制できなかった。
更に、細い棒状の支柱を複数有するベースプレートを加工することは、技術的に困難であり、時間・コストがかかる他、支柱のガラス基板を支持する面の高さがばらつく原因になった。
本発明は、ガラス基板に形成される孔の開口径の目標値からのずれを低減できる技術を提供する。または、本発明は、ガラス基板に形成される孔の開口径の目標値からのずれを同じ程度に維持しつつ、孔の加工の妨げになる凸部の間隔を従来の支柱の間隔よりも大きくできる技術を提供する。
本発明は、
相互に対向する第1の表面と第2の表面を有するガラス基板の、前記第1の表面の側にレーザ光を照射するレーザ光源と、
前記ガラス基板の前記第2の表面の側に配置されるベースプレートを有し、
前記ベースプレートは、前記ガラス基板を支持する外枠部と、前記外枠部の内側に前記外枠部から離れてストライプ状に配置され前記ガラス基板を支持する複数の凸部とを有し、
前記複数の凸部は、間隔dで互いに平行に配置され、
前記ガラス基板の厚さをtとすると、0.15mm≦t≦0.70mmの範囲において、
前記間隔dは、下記式(1)
d≦109.3t+23.464(mm)・・・(1)
で表される範囲にあり、
隣り合う2つの前記凸部の間に形成される凹部は、前記外枠部の前記ガラス基板を支持する面からの深さが70μm以上である、孔を有するガラス基板の製造装置、を提供する。
相互に対向する第1の表面と第2の表面を有するガラス基板の、前記第1の表面の側にレーザ光を照射するレーザ光源と、
前記ガラス基板の前記第2の表面の側に配置されるベースプレートを有し、
前記ベースプレートは、前記ガラス基板を支持する外枠部と、前記外枠部の内側に前記外枠部から離れてストライプ状に配置され前記ガラス基板を支持する複数の凸部とを有し、
前記複数の凸部は、間隔dで互いに平行に配置され、
前記ガラス基板の厚さをtとすると、0.15mm≦t≦0.70mmの範囲において、
前記間隔dは、下記式(1)
d≦109.3t+23.464(mm)・・・(1)
で表される範囲にあり、
隣り合う2つの前記凸部の間に形成される凹部は、前記外枠部の前記ガラス基板を支持する面からの深さが70μm以上である、孔を有するガラス基板の製造装置、を提供する。
更に、本発明は、
(1)相互に対向する第1の表面と第2の表面を有するガラス基板を準備する工程と、
(2)前記第1の表面の側にレーザ光を照射し、前記ガラス基板に孔を形成する工程と、を備えた、孔を有するガラス基板の製造方法であって、
前記(2)の工程では、前記ガラス基板が、前記第2の表面がベースプレートに近くなる向きで、前記ベースプレート上に設置され、
前記ベースプレートは、前記ガラス基板を支持する外枠部と、前記外枠部の内側に前記外枠部から離れてストライプ状に配置され前記ガラス基板を支持する複数の凸部とを有し、
前記複数の凸部は、間隔dで互いに平行に配置され、
前記ガラス基板の厚さをtとすると、0.15mm≦t≦0.70mmの範囲において、
前記間隔dは、下記式(1)
d≦109.3t+23.464(mm)・・・(1)
で表される範囲にあり、
隣り合う2つの前記凸部の間に形成される凹部は、前記外枠部の前記ガラス基板を支持する面からの深さhが70μm以上である、孔を有するガラス基板の製造方法、
を提供する。
(1)相互に対向する第1の表面と第2の表面を有するガラス基板を準備する工程と、
(2)前記第1の表面の側にレーザ光を照射し、前記ガラス基板に孔を形成する工程と、を備えた、孔を有するガラス基板の製造方法であって、
前記(2)の工程では、前記ガラス基板が、前記第2の表面がベースプレートに近くなる向きで、前記ベースプレート上に設置され、
前記ベースプレートは、前記ガラス基板を支持する外枠部と、前記外枠部の内側に前記外枠部から離れてストライプ状に配置され前記ガラス基板を支持する複数の凸部とを有し、
前記複数の凸部は、間隔dで互いに平行に配置され、
前記ガラス基板の厚さをtとすると、0.15mm≦t≦0.70mmの範囲において、
前記間隔dは、下記式(1)
d≦109.3t+23.464(mm)・・・(1)
で表される範囲にあり、
隣り合う2つの前記凸部の間に形成される凹部は、前記外枠部の前記ガラス基板を支持する面からの深さhが70μm以上である、孔を有するガラス基板の製造方法、
を提供する。
本発明によれば、凸部の間隔が従来の支柱の間隔と同じ場合、ガラス基板に形成される孔の開口径の目標値からのずれを低減できる。または、本発明によれば、ガラス基板に形成される孔の開口径の目標値からのずれを同じ程度に維持しつつ、孔の加工の妨げになる凸部の間隔を従来の支柱の間隔よりも大きくできる。
本発明におけるベースプレートは、相互に対向する第1の表面と第2の表面を有するガラス基板の、前記第1の表面の側にレーザ光を照射するレーザ光源と、前記ガラス基板の前記第2の表面の側に配置されるベースプレートを有する。ベースプレートは、中央部分に設けられた凹部、および該凹部の底面上に配置され、前記ガラス基板を支持する複数の凸部を有する。複数の凸部は、間隔dで互いに平行に配置され、ガラス基板の厚さをtとすると、0.15mm≦t≦0.70mmの範囲において、間隔dは、式
d≦109.3t+23.464(mm)
を満たすように選択されることで、加工したいガラス基板の厚さに応じた適切な凸部間隔
でベースプレートを設計できる。
凸部をこのような間隔dで、ベースプレートの凹部底面上に規則的に配置することにより、ベースプレートの上部に配置されるガラス基板の変形を有意に抑制することができる。また、これにより、レーザ光の焦点形成位置が、ガラス基板の厚さ方向にずれることを抑制し、孔加工の精度を高め、均一な開口形状及び開口径を有する孔を形成することが可能になる。
d≦109.3t+23.464(mm)
を満たすように選択されることで、加工したいガラス基板の厚さに応じた適切な凸部間隔
でベースプレートを設計できる。
凸部をこのような間隔dで、ベースプレートの凹部底面上に規則的に配置することにより、ベースプレートの上部に配置されるガラス基板の変形を有意に抑制することができる。また、これにより、レーザ光の焦点形成位置が、ガラス基板の厚さ方向にずれることを抑制し、孔加工の精度を高め、均一な開口形状及び開口径を有する孔を形成することが可能になる。
より好ましくは、ガラス基板の厚さが0.30mm以上であれば、間隔dは60mmより小さく、ガラス基板の厚さが0.30mm未満であれば、間隔dは40mmより小さくなるように選択される。このようにすることで、ベースプレートの上部に配置されるガラス基板の変形を十分に抑制でき、レーザ光の焦点形成位置が、ガラス基板の厚さ方向にずれることを抑制し、孔加工の精度を高め、均一な開口形状及び開口径を有する孔を形成することが可能になる。一方、間隔dは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは1mm以上であると、凸部とレーザ光との干渉を避けられるため好ましい。間隔dは、より好ましくは30mm以上であると、特許文献1の支柱を備えたベースプレートに比べ、凸部同士の間隔を広くできるため、従来よりも高効率な孔加工が可能になる。
また、本発明におけるベースプレートの隣り合う凸部の間に形成された凹部の、外枠部のガラス基板を支持する面からの深さhは70μm以上であるという特徴を有する。
ベースプレートの凹部の深さhをこのように調整することにより、レーザ照射中に、ベースプレートの凹部内に蓄積される熱により孔の第2の開口が熱溶融することを有意に回避することができる。また、これにより、孔の開口形状を真円に近づけることが可能となる。好ましくは、凹部の深さhは8000μm以下であり、より好ましくは1400μm以下であり、更に好ましくは500μm以下である。このようにすることで、凸部が曲がり、凸部のガラス基板を支持する面の高さがばらつくことを抑制できる。
以上のような構成を有することにより、本発明の装置・製造方法では、所望の直径および開口形状を有する孔を、より高い確度で形成することが可能となる。
(本発明の一実施形態による孔形成装置)
次に、図1~図2を参照して、本発明の一実施形態による孔形成装置について説明する。
次に、図1~図2を参照して、本発明の一実施形態による孔形成装置について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による孔形成装置の構成の断面図を概略的に示したものである。また、図2には、孔形成装置が備えるベースプレートの概略的な上面図を示す。なお、図1は図2のAA’における断面図である。また、図2において、外枠部164に囲まれた領域(凹部169)は図の簡略化のため白く示しているが、図1の断面図からわかるように凹部底面が存在している。また、図2ではガラス基板を省略している。
図1に示す、第1の孔形成装置100は、ガラス基板180に孔195を形成することができる装置である。
ガラス基板180は、第1の表面182および第2の表面184を有する。ガラス基板の第1の表面182および第2の表面184には、保護フィルムが設置されても良い。これらの保護フィルムは、加工中に、ガラス基板180の両表面182、184に、デブリ(加工屑)が付着することを回避する役割を有する。ただし、保護フィルムは、本発明において、必須の部材ではなく、省略されてもよい。
ガラス基板180の厚さは、例えば、インターポーザとして用いられる場合の要請から、0.05mm~1.0mmの範囲であってもよい。ガラス基板の厚さは、好ましくは0.15mm以上、より好ましくは0.3mm以上である。ガラス基板がこの範囲であると、ベースプレートにガラス基板を設置した際、ガラス基板のたわみを抑制し、均一な開口径の孔を形成しやすい。ガラス基板は、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。ガラス基板がこの範囲であると、レーザにより高品質な貫通孔が形成しやすい。
今後インターポーザの更なる薄板化が進むと、0.3mm以上の厚さに加え、厚さ0.15mm~0.3mmのガラス基板への需要が高まると考えられる。従来の支柱を備えたベースプレートでは、これらのガラスのたわみを十分に抑制できなかった。しかし、本願発明の凸部を備えたベースプレートを用いれば、これらの薄板にも高精度の孔を加工することができる。
レーザ光源110は、ガラス基板180の第1の表面182に向かってレーザビーム113を照射する役割を有する。レーザ光源110の種類は、特に限られない。例えば、CO2レーザ、He-Neレーザ、Arイオンレーザ、エキシマXeFレーザ、YAGレーザ、ルビーレーザ、ファイバーレーザ、フェムト秒レーザ、ピコ秒レーザ等であって良い。
ベースプレート160は、上部にガラス基板180を支持し、保持する役割を有する。ベースプレート160は、例えば、アルミニウム金属またはアルミニウム合金のような導電性材料でも、また、ステンレス鋼のような加工しやすく、高い精度で加工可能な材料で構成されても良く、また、樹脂のような絶縁性材料で構成されても良い。
ベースプレート160の形状は、特に限られない。例えば図2の上面図に示すように、ベースプレート160は、略矩形の形状を有しても良い。この時、ベースプレート160の外周は、ガラス基板180の外周より大きくなるように選定されることが好ましい。このようにすることで、ガラス基板180の外周に割れ欠けが発生することを抑制する。
また、ベースプレート160は、外枠部164と、外枠部164に区画された凹部と、外枠部164の内側に、外枠部164から離れてストライプ状に配置されガラス基板を支持する複数の凸部170を有する。ベースプレート160の外枠部164に囲まれた領域は、ガラス基板180の外周よりも小さくなるように選択されると良い。このようにすることで、ガラス基板180は、ベースプレート160の外枠部164の上部表面163上に載置され、以下で説明する吸引孔162で吸着保持される。
さらに、ベースプレート160は、1または2以上の吸引孔162を有しても良い。この吸引孔162は、外部吸引装置(図示されていない)に接続される。ベースプレート160は、吸引孔162により、上部に載置されるガラス基板180を外枠部164の上部表面163に吸引保持することができる。なお、吸引孔はベースプレート160に必須の構成ではなく、また、図1とは異なる位置に設置されても良い。
凸部170は、外枠部164の内側に、間隔dで互いに平行に配置され、間隔dは、ガラス基板の厚さをtとすると、0.15mm≦t≦0.70mmの範囲において、式
d≦109.3t+23.464(mm)
を満たすように選択される。より好ましくは、ガラス基板の厚さが0.30mm以上であれば、間隔dは60mmより小さく、ガラス基板の厚さが0.30mm未満であれば、間隔dは40mmより小さくなるよう選択される。
凸部170をこのような間隔dで、ベースプレートの外枠部164の内側にストライプ状に規則的に配置することにより、ベースプレートの上部に配置されるガラス基板のたわみを有意に抑制することができる。また、これにより、レーザ光の焦点位置が、ガラス基板の厚さ方向にずれることを抑制し、孔加工の精度を高め、均一な開口形状および開口径を有する孔を形成することが可能になる。
d≦109.3t+23.464(mm)
を満たすように選択される。より好ましくは、ガラス基板の厚さが0.30mm以上であれば、間隔dは60mmより小さく、ガラス基板の厚さが0.30mm未満であれば、間隔dは40mmより小さくなるよう選択される。
凸部170をこのような間隔dで、ベースプレートの外枠部164の内側にストライプ状に規則的に配置することにより、ベースプレートの上部に配置されるガラス基板のたわみを有意に抑制することができる。また、これにより、レーザ光の焦点位置が、ガラス基板の厚さ方向にずれることを抑制し、孔加工の精度を高め、均一な開口形状および開口径を有する孔を形成することが可能になる。
ここで、一般に、ガラス基板180のうち凸部170の上部表面173上に位置する領域にレーザを照射すると、ガラス基板180と凸部170の上部表面173との間に空間がないため、レーザ加工による熱が蓄積することから、孔品質を維持した状態で孔を形成することは難しい。そのため、凸部170の配置間隔が極端に狭くなると、凸部170の上部表面173の面積が増大し、ガラス基板180の加工可能領域が著しく制限されるという問題が生じ得る。このような凸部170の上部表面173上に位置するため加工が困難なガラス基板180の領域を、以下では「デッドポジション」と称する。
従来の棒形状の支柱を備えたベースプレートでは、ガラス基板が0.3mm以上の厚さであれば、支柱間隔dを30mmまで小さくすることで、高品質な孔形状の孔を形成できた。しかし、本発明の凸部を備えたベースプレートでは、ガラス基板180が0.3mm以上の厚さであれば、凸部170の間隔を60mmまで拡張することができるため、デッドポジションを減らし、ガラス基板180の加工可能領域を広げることが可能であり、ガラス基板が0.3mm以下であっても、凸部170の間隔を40mmより小さくなるよう選択すれば、高精度な加工が可能であるため、薄板化に対応できる。
また、隣り合う凸部170同士の間に形成される凹部169の深さhは、
70μm≦h (2)式
となるように選定される。
ベースプレートの凹部169の深さhをこのように調整することにより、加工中に、ベースプレートの凹部内に蓄積される熱により孔の第2の開口が熱溶融することを有意に回避することができる。また、これにより、孔の開口形状を真円形状に近づけることが可能となる。好ましくは、凹部169の深さhは8000μm以下であり、より好ましくは1400μm以下であり、更に好ましくは500μm以下である。このようにすることで、凸部170が曲がり、凸部高さがばらつくことを抑制できる。
70μm≦h (2)式
となるように選定される。
ベースプレートの凹部169の深さhをこのように調整することにより、加工中に、ベースプレートの凹部内に蓄積される熱により孔の第2の開口が熱溶融することを有意に回避することができる。また、これにより、孔の開口形状を真円形状に近づけることが可能となる。好ましくは、凹部169の深さhは8000μm以下であり、より好ましくは1400μm以下であり、更に好ましくは500μm以下である。このようにすることで、凸部170が曲がり、凸部高さがばらつくことを抑制できる。
隣り合う凸部170同士の間に形成される凹部169の深さhは、外枠部164のガラス基板180を支持する面(例えば外枠部164の上部表面163)を基準として測定する。隣り合う凸部170同士の間に形成される凹部169の深さhは、外枠部164と外枠部164に最も近い凸部170との間に形成される凹部の深さHと同じあることが好ましい。Hも、hと同様に、外枠部164のガラス基板180を支持する面を基準として測定する。
外枠部164のガラス基板を支持する面(例えば外枠部164の上部表面163)の高さをゼロとしたとき、各凸部170のガラス基板180を支持する面(例えば各凸部170の上部表面173)の高さが-10μm以上+10μm以下である。凸部170の上部表面173の高さが負であることは、凸部170の上部表面173が外枠部164の上部表面163よりも下方に位置することを意味する。また、凸部170の上部表面173の高さが正であることは、凸部170の上部表面173が外枠部164の上部表面163よりも上方に位置することを意味する。各凸部170の上部表面173の高さがばらつくのは、ベースプレート作成時(より詳細には凸部作成時)の加工歪みが原因である。各凸部170の上部表面173の高さが-10μm以上+10μm以下の範囲であると、ガラス基板180の孔加工時にガラス基板180を一定の高さに保つことができ、高品質な孔を形成できる。従来の支柱を備えたベースプレートでは、技術的に支柱の上部表面の高さのばらつきを-10μm以上+10μm以下の範囲にすることは困難であったが、本願の凸部を備えたベースプレートでは、以下で述べるように、ベースプレート自体の成型が従来の支柱型に比べ容易なことから、凸部170の上部表面173の高さのばらつきを抑制しやすい。
各凸部170の幅wは、例えば0.3mm~10mmの範囲である。各凸部170の幅wは、好ましくは0.5mm以上であり、より好ましくは1mm以上である。各凸部170の幅wがこの範囲であると、ガラス基板180と接する凸部の上部表面173の面積が十分確保できるため、ガラス基板180を強固に支持し、高品質な孔を形成することが可能である。また、凸部170の強度を確保できるため、製造時や使用時に凸部170が曲がり、凸部170の高さがばらつくことを抑制できる。一方、各凸部170の幅wは、好ましくは5mm以下であり、より好ましくは3mm以下である。各凸部170の幅wがこの範囲であると、デッドポジションを減らし、効率良く加工することができる。
各凸部170は略直方体である。図3には、各凸部170のXZ面(310)、YZ面(320)、XY面(330)の概略図をそれぞれ示した。図3中のXYZ座標は、図1中の座標と対応している。凸部170の辺312、辺314は、面取りされることが好ましい。面取りはC面取り、R面取りなどであって良く、R面とりが好ましい。R面取りは、好ましくは、面取り部の曲率半径が0.05mm以上、より好ましくは0.10mm以上で実施される。R値がこの範囲で実施されると、ガラス基板180と接触した際に、角によりガラス基板180に傷が発生することを有意に抑制できる。一方、R面取りは、好ましくは面取り部の曲率半径が5.00mm以下で実施される。値がこの範囲で実施されると、凸部の上部表面173の平坦な面の面積を確保できるため、ガラス基板180と凸部の上部表面173の接触面積を確保でき、ガラス基板180のたわみを抑制しやすい。
凸部170は、ベースプレートの外枠部164内の任意の位置に配置される。例えば、図2に示すように、凸部170は幅w、長さLの矩形状であり、矩形状のベースプレート160の外枠部164と平行に配置されてもよい。なお、凸部170の配置形態は、凸部170同士が平行であれば、これに限られない。
凸部170は、凸部170の頂点部分が樹脂などの絶縁性材料でコーティングされていてもよい。例えば、導電性材料で構成された凸部170の頂点部分を樹脂でコーティングされていても良い。凸部170の頂点部分をコーティングすることで、凸部170と接触するガラス基板180の接触面の傷つきを防止できる。
ベースプレート160の加工方法は特に限られないが、例えば、一つの材料から、凸部170を残して凹部169を削り出す方法を用いても良い。この方法では、各凸部170間の高さhのばらつきを小さくすることができる。従来の支柱を備えたベースプレートを同様の方法で成型した場合、狭いピッチで設置される棒状の支柱を残して凹部を削り出すため、加工に長い時間を要し、コストも高かった。一方、本願の凸部を備えたベースプレートでは、凸部170の間隔dが広いことや、図2に示すように、凸部170の配置が単純であるため、従来のベースプレートに比べ加工が容易であり、大幅に加工時間、コストを削減することが可能である。
また、ベースプレート160の別の加工方法として、例えばベースプレート160の底部と凸部170を分けて加工し、凸部170を底部に後から設置する方法を用いても良い。この方法では、加工が比較的容易であり、加工時間を短くし、コストを低くすることができる。従来の支柱を備えたベースプレートを、同様の方法で加工した場合、細い棒状の支柱を底部に設置していくため、各支柱上部表面の高さのばらつきが大きくなった。一方、本願の凸部を備えたベースプレートでは、凸部170の間隔dが広いことや、凸部170が支柱に比べ大きな底面積を持ち底部への設置がしやすいことから、加工時間やコストを抑えつつも、従来のベースプレートに比べ高い精度で加工することが可能である。
更に、凸部170を備えたベースプレート160は、使用時のメンテナンスや耐久性の面でもメリットがある。例えば、加工時に発生するデブリを除去する作業を行う場合、従来の支柱を備えたベースプレートでは、狭いピッチの支柱間にたまったデブリを清掃することが難しく、またふき取り作業により支柱が摩耗したり、曲がったりすることが、各支柱の上部表面の高さにばらつきが生じる原因になっていた。一方、本願の凸部170を備えたベースプレート160では、図2に示すように、凸部170の間隔が広いため清掃がしやすく、凸部170は板状のため細い棒状の支柱と比べ摩耗しにくいことから、長期の使用でも各凸部間の高さにばらつきが生じにくい。このように、本願のベースプレートは、従来技術に比べ、メンテナンスや耐久性についても利点がある。
(本発明の他の実施形態における装置)
なお、上記装置は本発明の一実施形態であり、これに限られるものではない。以下で、図4~図7を用いて本発明のその他の実施形態における装置について説明する。
なお、上記装置は本発明の一実施形態であり、これに限られるものではない。以下で、図4~図7を用いて本発明のその他の実施形態における装置について説明する。
(移動可能な凸部)
図4に示すように、ベースプレート160は、凸部支持プレート172と、底部プレート166により構成される。支持プレート172は、複数の凸部170を含む。複数の凸部170は、一体化されている。底部プレート166は、外枠部164と、外枠部164とで囲まれる空間168を有し、空間168には凸部支持プレート172が設置されている。凸部支持プレート172は、底部プレート166とは独立した部品であり、底部プレート166上を矢印174の方向に平行移動することができる。
図4に示すように、ベースプレート160は、凸部支持プレート172と、底部プレート166により構成される。支持プレート172は、複数の凸部170を含む。複数の凸部170は、一体化されている。底部プレート166は、外枠部164と、外枠部164とで囲まれる空間168を有し、空間168には凸部支持プレート172が設置されている。凸部支持プレート172は、底部プレート166とは独立した部品であり、底部プレート166上を矢印174の方向に平行移動することができる。
隣り合う凸部同士の間に形成される凹部の深さhは、外枠部のガラス基板を支持する面(例えば外枠部の上部表面163)を基準として測定する。隣り合う凸部同士の間に形成される凹部の深さhは、外枠部164と外枠部164に最も近い凸部との間に形成される凹部の深さHと同じであることが好ましい。Hも、hと同様に、外枠部のガラス基板を支持する面を基準として測定する。
凸部支持プレート172を動かすことにより、凸部172を構成するすべての凸部170が、XY平面上の第1の位置から第2の位置へ移動することになる。凸部170が第1の位置に存在しなくなったことにより、第1の位置上にあるガラス基板に孔を形成することができる。このように、凸部支持プレート172を移動することで、デッドポジションを解消し、ガラス基板180上の任意の位置に孔を形成することができる。
ガラス基板180に孔を形成する工程は、凸部170がガラス基板180の第1の部分を支持すると共に、レーザ光がガラス基板180の第2の部分に照射されるステップを有する。また、ガラス基板180に孔を形成する工程は、凸部170が、ガラス基板180の第1の部分から、ガラス基板180の第2の部分に移動するステップを有する。さらに、ガラス基板180に孔を形成する工程は、凸部170がガラス基板180の第2の部分を支持すると共に、レーザ光がガラス基板180の第1の部分に照射されるステップを有する。なお、ガラス基板は、第3の部分を有してもよい。第3の部分は、凸部で支持されないし、レーザ光も照射されない部分である。
ベースプレート160は、凸部支持プレート172と底部プレート166の間に、凸部支持プレートの円滑な移動を補助する機構を有しても良い。例えばフラットローラー、車輪などがあげられる。また、凸部支持プレート172を移動させる動力は、特に限られず、例えば手動やエアシリンダー等であってよい。凸部支持プレート172は、レーザ照射中はベースプレート160に固定されていても良い。これにより設置したガラス基板180が安定するため、孔品質が向上する。固定方法は特に限られないが、例えば磁力で固定されても良く、負圧により吸着されても良く、エアシリンダーによって、凸部支持プレート172を、底部プレート166の外枠部164に、押し付けることで固定されても良い。
なお、凸部170の移動方法は、これに限られない。例えば凸部170は、それぞれが独立して移動可能な機構であっても良い。また、凸部170の移動方法は、このようなXY平面上の平行移動方式に限られず、例えばXY平面上を回転してもよく、ピストン方式などによりZ方向へ上下する形であってもよい。
(ガラス基板保持の他の方法)
図5aは、ベースプレートの断面の概略図において、ベースプレート160の吸引孔162の位置が、凸部170同士の間に形成される凹部169の下部に設けられた例を示している。一方、図5bは、吸引孔162が無い例を示している。図5bのように、吸引孔162が無い場合は、ガラス基板180は吸着以外の方法で保持される。例えば静電気を用いる方法や、冶具や粘着テープによる固定があげられる。吸着保持以外の方法で保持される場合、ベースプレートの外枠部164に囲まれた領域は、ガラス基板180より必ずしも小さい必要はない。
図5aは、ベースプレートの断面の概略図において、ベースプレート160の吸引孔162の位置が、凸部170同士の間に形成される凹部169の下部に設けられた例を示している。一方、図5bは、吸引孔162が無い例を示している。図5bのように、吸引孔162が無い場合は、ガラス基板180は吸着以外の方法で保持される。例えば静電気を用いる方法や、冶具や粘着テープによる固定があげられる。吸着保持以外の方法で保持される場合、ベースプレートの外枠部164に囲まれた領域は、ガラス基板180より必ずしも小さい必要はない。
(凸部の他の配置)
図6の上面図に示すように、凸部170は図のY軸方向に複数段に分けて配置されても良い。例えば2段であってもよく、3段であってもよい。このようにすることで、加工の際に発生する熱が蓄積することを抑制できる。このとき、凸部170は段ごとに長さLが異なっていても良い。また、吸引孔と凸部の位置関係は、例えば図6に示すように、凸部170の各段の間と、吸引孔が横並びにならないように配置されても良い。このようにすることで、ガラス基板を吸引した時に、凸部170の各段の間でガラス基板がたわむことを抑制できる。
図6の上面図に示すように、凸部170は図のY軸方向に複数段に分けて配置されても良い。例えば2段であってもよく、3段であってもよい。このようにすることで、加工の際に発生する熱が蓄積することを抑制できる。このとき、凸部170は段ごとに長さLが異なっていても良い。また、吸引孔と凸部の位置関係は、例えば図6に示すように、凸部170の各段の間と、吸引孔が横並びにならないように配置されても良い。このようにすることで、ガラス基板を吸引した時に、凸部170の各段の間でガラス基板がたわむことを抑制できる。
また、図7には、凸部170のその他の配置形態を示した。なお、凸部170の配置形態はこれらに限られるものではなく、図7aに示すように、凸部170は矩形状のベースプレート160の外枠部164とは平行でなくても良く、図7bのように、ベースプレート160が円形状であっても凸部170は互いに平行に配置可能である。ベースプレートの形状や凸部の配置形態は、加工するガラス基板に合わせて選定される。
(本発明の一実施形態による製造方法)
次に、本発明の一実施形態における製造方法として、図1に示した孔形成装置100を用いて複数の孔を有するガラス基板を製造する方法を説明する。
次に、本発明の一実施形態における製造方法として、図1に示した孔形成装置100を用いて複数の孔を有するガラス基板を製造する方法を説明する。
まず、被加工用のガラス基板180が準備される。ガラス基板は相互に対向する第1の表面182および第2の表面184を有する。前述のように、ガラス基板の第1の表面182および第2の表面184には、保護フィルムが設置されても良い。
ガラス基板の厚みは特に限られないが、例えば0.05mm~1.0mmである。ガラス基板180は矩形状であり、ガラス基板180の外周は外枠部164の内周より大きい。
次に、ガラス基板180は外枠部164の上部表面163及び凸部170の上部表面173の上に設置される。この時、ガラス基板180は、吸引孔162をふさぐように設置される。吸引が開始され、ガラス基板180がベースプレート160に吸着保持される。
次に、レーザ光源110からレーザビーム113が発振され、ガラス基板180の第1の表面182に照射される。これにより、図1に示すように、ガラス基板180に孔195が形成される。
同様にしてレーザビーム113を照射することで、ガラス基板180に複数の孔195が形成される。この時、レーザビーム113は、デッドポジションを避けて照射される。これにより、複数の孔を有するガラス基板が製造される。
(本発明の他の実施形態による製造方法)
次に、本発明の他の実施形態として、図4に示した移動可能な凸部を有する孔形成装置100を用いた製造方法について説明する。図8、図9には、凸部の移動と孔が形成される様子を示した。
次に、本発明の他の実施形態として、図4に示した移動可能な凸部を有する孔形成装置100を用いた製造方法について説明する。図8、図9には、凸部の移動と孔が形成される様子を示した。
まず、本発明の一実施形態による製造方法と同様に、ガラス基板と保護フィルムの準備を行う。
ガラス基板180は外枠部164の上部表面163の上に設置される。この時、ガラス基板180は、吸引孔162を塞ぐように設置される。吸引が開始され、ガラス基板180がベースプレート160に吸着保持される。
次に、レーザ光源110からレーザビーム113が発振され、ガラス基板180の第1の表面182に照射される。これにより、ガラス基板180に孔195が形成される。図8aには、ガラス基板に孔195が1孔形成された様子を模式的に示した。
同様にして、ガラス基板180の直下に凸部170が存在しない領域に、孔195を複数形成していく。図8bには、ガラス基板180の直下に凸部170が存在しない領域に、複数の孔が形成された様子を模式的に示した。
次に、凸部170を移動し、残りの領域に孔195を形成する。ここで、図8では、凸部170が一体となり凸部支持プレート172を形成しているため、凸部支持プレート172の移動に合わせ、すべての凸部170が移動することになる。図8cには、凸部170を右方向に移動したことで、図8a、bのガラス基板においてデッドポジションだった位置に、孔を形成した様子を模式的に示した。この移動方法は、レーザの移動距離は長くなるが、凸部の移動回数が一度で済むというメリットがある。
なお、凸部170の移動順序はこの方法に限られない。例えば図9では、1孔加工するごとに、凸部170を左右に平行移動することで、ガラス基板180の未加工領域を無くしている。この移動方法は、図8に記載の移動方法と比べ、凸部の移動回数は増えるが、レーザの移動距離が短くて済むというメリットがある。また、高速化レーザなど、レーザの移動方向が制限されるような方法で加工を行う場合にも有効である。この場合、従来の支柱型のベースプレートと比較して、凸部型のベースプレートは凸部間隔が広いため、移動回数を顕著に減らすことができるため、加工時間の短縮にも大きく寄与できる。
次に、本発明の実施例と比較例とについて説明する。なお、下記の試験例1~15のうち、試験例1~2が比較例であり、試験例3~15が実施例である。
(試験例1)
まず、従来の支柱を備えたベースプレートを用いて実験を行った。
まず、従来の支柱を備えたベースプレートを用いて実験を行った。
ガラス基板には、直径200mm×厚さ0.3mmの寸法の無アルカリガラスを使用した。ガラス基板の第1の表面に、厚さ75μmの第1の樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)を設置し、ガラス基板の第2の表面に、厚さ75μmの第2の樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)を設置し、被加工体を作製した。
図10、11に使用したベースプレートの概略図を示した。図10にはベースプレートの上面図が示されている。ベースプレートには、アルミニウム製の吸引式ベースプレート(寸法:直径約220mm)を使用した。支柱1170は、ベースプレートの外枠部164内に、XY方向に沿って格子状に配置した。X方向における支柱1170の間隔d1=20mmとし、Y方向における支柱の間隔d2=20mmとした。各支柱1170は円柱形状とし、支柱1170の太さは、直径1mmφとし、支柱1170の、外枠部164内の領域の底面からの高さhは、500μmとした。この時支柱1170の外枠部164の上部表面163を基準とした高さのばらつきは±20μmだった。
また、本実験では、レーザ照射により貫通孔を形成した後、放電処理を行った。放電は、レーザ光照射によってガラス基板に孔を形成した際に生じるネッキングを低減する目的で行った。ここで「ネッキング」とは、レーザ加工後に貫通孔内に形成され得る狭窄部を意味する。なお、放電処理より、貫通孔の径は0.5μm程度大きくなる。
図11には、放電に用いた機構が図示されている。第1の電極1102および第2の電極1103は、直流高電圧電源1001と接続されている。第1の電極1102は、針状の形状を有する。一方、第2の電極1103は、ベースプレートがその機能を果たす。第1の電極1102は、レーザにより形成された孔の上方に設置される。
被加工体に照射するレーザ光は、CO2レーザ(出力100W)とし、照射時間は、165μsecで加工を行った。事前の実験で、ガラス基板のある位置において、レーザを照射し、形成された孔の第1の表面側における開口径が最も小さくなるように、レーザ照射位置を調整して、焦点位置を設定した。レーザ光照射を完了してから、第1の針状電極とベースプレートとの間で、放電を発生させた。
この時形成された孔の開口径を目標開口径とすると、目標開口径は70.5μmであった。
この時形成された孔の開口径を目標開口径とすると、目標開口径は70.5μmであった。
このような条件下で、ガラス基板の中央部分(30mm四方の領域)に合計17856個の貫通孔からなるパターンを形成した。各貫通孔同士のピッチは、200μmとした。なお、ガラス基板のサンプル数は2とし、すなわち、同一の条件で、2枚のガラス基板に貫通孔の同じパターンを形成した。
得られた貫通孔のガラス基板の第1の表面側における開口(貫通孔の上部開口)の直径を評価した。なお、評価する貫通孔の数は、それぞれのガラス基板において4個とし、これらは、格子状に配置された4つの支柱で取り囲まれた最小正方形単位(すなわち20mm×20mm)に相当するガラス基板の領域の中から選定した。このようにして選定した合計8個の貫通孔の上部開口の直径を平均して、平均開口直径daveを求めた。
また、ベースプレートの支柱の間隔d1、d2を5mm~40mmの範囲で変化させて、同様の加工を実施し、得られた貫通孔から、同様の方法により平均開口直径daveを求めた。なお、いずれの加工においても、支柱の間隔d1=d2とした。
図12に、試験例1の結果を示した。この結果から、支柱間隔d(d1およびd2)が5mm~20mmの範囲では、貫通孔の平均開口直径daveは、いずれも70.5μmであり、目標開口径の値とほぼ一致した。これに対して、支柱間隔d(d1およびd2)が30mmおよび40mmでは、平均開口直径daveは、それぞれ、73.1μmおよび74.8μmであり、目標開口径よりそれぞれ2.6μm、4.3μm大きくなった。目標孔径からのずれを2μm以下にするためには、支柱間隔dを少なくとも30mm未満にすれば良いことが分かった。
(試験例2)
次に、ベースプレートの支柱を三角格子状に配置して実験を行った。ガラス基板は同じものを用い、同様に保護フィルムを設置した。
次に、ベースプレートの支柱を三角格子状に配置して実験を行った。ガラス基板は同じものを用い、同様に保護フィルムを設置した。
ベースプレートには、アルミニウム製の吸引式ベースプレート(寸法:直径約220mm)を使用した。図13に示すように、全ての支柱1170は、ベースプレートの外枠部164内に三角格子状に配置した。支柱1170の間隔d=20mmとした。各支柱1170は円柱形状とし、支柱1170の太さは、直径1mmとし、支柱1170の、外枠部164内の領域の底面からの高さhは、500μmとした。この時、支柱1170の外枠部164の上部表面163を基準とした高さのばらつきは±20μmだった。
試験例1と同様のレーザ条件、放電条件で実験を行った。ガラス基板の中央部分(30mm四方の領域)に合計17856個の孔からなるパターンを形成し、各孔同士のピッチは、200μmとした。ガラス基板のサンプル数は2とした。
得られた孔のガラス基板の第1の表面側における開口(孔の上部開口)の直径を評価した。なお、評価する孔の数は、それぞれのガラス基板において4個とし、これらは、三角格子状に配置された3つの支柱で取り囲まれた最小三角形単位に相当するガラス基板の領域の中から選定した。このようにして選定した合計8個の孔の上部開口の直径を平均して、平均開口直径daveを求めた。
また、ベースプレートの支柱の間隔dを5mm~40mmの範囲で変化させて、同様の加工を実施し、得られた孔から、同様の方法により平均開口直径daveを求めた。
図14に、試験例2の結果を示した。この結果から、支柱間隔dが5mm~20mmの範囲では、孔の平均開口直径daveは、いずれも70.8μmであり、目標開口径との差は0.3μmと小さくなった。これに対して、支柱間隔dが30mmおよび40mmでは、平均開口直径daveは、それぞれ、73.4μmおよび75.1μmであり、目標開口径よりそれぞれ2.9μm、4.6μm大きくなった。このように、目標孔径からのずれを2μm以下にするためには、支柱間隔dを少なくとも30mm未満にすれば良いことが分かった。
(試験例3)
次に、前述の図4に示したような構成の孔形成装置100を用いてガラス基板に複数の孔を形成し、その状態を評価した。
次に、前述の図4に示したような構成の孔形成装置100を用いてガラス基板に複数の孔を形成し、その状態を評価した。
ガラス基板には、縦300mm×横300mm×厚さ0.3mmの寸法の無アルカリガラスを使用した。ガラス基板の第1の表面に、厚さ75μmの第1の樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)を設置し、ガラス基板の第2の表面に、厚さ75μmの第2の樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)を設置した。
ベースプレートはアルミニウムを用い、一辺約320mm×約320mmの略矩形状とした。凸部は、一体化して凸部支持プレートを形成しており、各凸部は、間隔d=30mmで配置されている。凸部の幅wは2mm、隣り合う2つの凸部の間に形成される凹部の深さhは5mmとし、ガラス基板と接触する面の長辺(図3の辺312、314に当たる)は、R=0.2mmで面取りした。外枠部の上部表面を基準とした、各凸部間の高さhのばらつきは、±10μm以下であった。
凸部支持プレートは一つの金属塊から削り出しにより一体成型された。凸部支持プレートは、ベースプレートのY方向内壁と平行となるように、ベースプレートの凹部底面上にフラットローラーを介して設置された。凸部支持プレートの移動動力としてはエアシリンダーを用い、レーザ照射の際は、エアシリンダーで凸部支持プレートをベースプレート内壁に押し付けることで固定した。
ガラス基板の第2の表面がベースプレートの側に来るようにして、ガラス基板をベースプレートの上に設置した。
レーザ光はCO2レーザを用い、出力90W、照射時間は200μsec、ガラス基板へのレーザ照射面におけるレーザ光の焦点位置は、約71.50μm~72.0μmを目標とし、目標開口径は71.5μmとした。ガラス基板へレーザを照射した。貫通孔同士の間隔は200μmに設定して孔あけを行った。
ガラス基板に貫通孔が形成された。次に、ガラス基板の凸部間中央付近に対応する部分に形成した合計20点の貫通孔について、ガラス基板の第1の表面側における開口径を測定した。
20点の孔における開口直径平均は71.55μmであり、目標開口径の71.50μmとの差は0.05μmであった。これより、支柱型のベースプレートと比較して、凸部型のベースプレートでは、間隔d=30mmでも目標開口径からのずれが非常に小さくできることが分かった。
以上のように、支柱を備えたベースプレートと、凸部型ベースプレートにおいて、開口径の目標開口径からのずれに差があったのは、ベースプレート上に設置されたガラス基板のたわみ量の差に起因するものと考えられる。
そこで、図15には、レーザの厚さ方向の焦点位置と開口径の関係について、検討を行った結果を示した。目標開口径は、71.50μmとし、ガラス基板厚みは0.3mmを想定した。これより、焦点位置がガラス基板の厚さ方向に±35μm以下であれば、目標開口径からのずれが2μm以下に収まることが分かる。
また、この結果を用いて、試験例1、2、3における、開口径の目標開口径からのずれから、焦点位置のずれを推定した。試験例1では、支柱間隔がd=30mmの時、開口径のずれは2.6μmであるので、焦点位置のずれは±40μm程度であり、試験例2では、開口径のずれは2.9μmであるので、焦点位置のずれは±40μm~±50μm程度 、試験例3では、開口径のずれは0.05μmであったので、焦点位置のずれは±5μm~±10μm以下であったと考えられる。
次に、試験例3における焦点位置のずれを実測した。焦点位置のずれは、ガラス基板のたわみによって生じるため、たわみ量を測定すればよい。ガラス基板のたわみ量の測定には、孔加工に用いたものと同様のガラス基板の表面を黒く塗装し、ベースプレートの上に設置して基板表面の高さをレーザ変位計により測定した。
図16に、凸部間のたわみ量の測定結果を示す。たわみ量とはZ方向変位である。測定位置が0mm、30mmの地点に凸部が設置されている。測定位置とはX方向位置である。また、図16ではたわみ量を、測定位置0mmの地点にある凸部上面を基準とした際のマイナス方向への変位量として示している。この測定結果によると、凸部間におけるガラス基板のたわみ量の最大は5μmであり、図15による焦点位置のずれの推定量とよく一致することが分かった。
(試験例4)
次に、厚さ0.3mmのガラス基板において、凸部間隔dを変更した時の孔径のずれの量について、推定を行った。
次に、厚さ0.3mmのガラス基板において、凸部間隔dを変更した時の孔径のずれの量について、推定を行った。
2つの凸部で支持された板の、重力による最大たわみ量の計算結果を図17中に実線で示した。なお、この計算では、2つの凸部の高さに差が無いと仮定した。この計算によると、凸部間隔d=30mmにおける最大たわみ量は4.5μmとなり、試験例3の結果とよく一致する。また、凸部間隔dは57mm以下であれば、最大たわみ量を35μm未満に充分抑えることができ、その結果、開口径のずれを2μm以下に抑えることができることが分かった。
ここで、各凸部間の高さのばらつきが±10μmであることを考慮すると、各凸部の高さにばらつきがないと仮定した場合と比較して、たわみ量は最大で10μm大きくなる可能性がある。各凸部の高さばらつきにより、たわみ量が10μm大きくなった場合の、最大のたわみ量を図17中に破線で示した。この場合であっても、凸部間隔は51mm以下であれば、たわみ量を35μm以下に抑えることができ、開口径のずれを2μm以下に抑えることができることが分かった。このように、凸部型ベースプレートでは、従来の支柱を備えたベースプレートよりも凸部間隔を大きくすることができる。
以上より、凸部型ベースプレートでは、凸部間隔d=30mmのときのガラス基板の最大たわみ量は5μmで、形成された孔の開口径の目標開口径からのずれは0.05μmであり、一方、目標開口径からのずれを2μm以下にするためには、凸部間隔をd≦57mmとすれば良いことが分かった。
(試験例5~15)
次に、試験例4と同様の推定を厚さ0.15mm~0.25mm、0.35mm~0.70mmのガラス基板についても行った。各厚さのガラス基板において、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる凸部間隔dの上限値dmax(以下、「最大凸部間隔dmax」とも呼ぶ。)を算出した結果を図18中に示した。また、試験例4と同様に、各凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮して算出した最大凸部間隔dmaxを図19に示した。
次に、試験例4と同様の推定を厚さ0.15mm~0.25mm、0.35mm~0.70mmのガラス基板についても行った。各厚さのガラス基板において、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる凸部間隔dの上限値dmax(以下、「最大凸部間隔dmax」とも呼ぶ。)を算出した結果を図18中に示した。また、試験例4と同様に、各凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮して算出した最大凸部間隔dmaxを図19に示した。
(試験例5)
試験例4と同様の推定を厚さ0.70mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、98mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、90mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例5の場合、凸部間隔dが98mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが60mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
試験例4と同様の推定を厚さ0.70mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、98mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、90mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例5の場合、凸部間隔dが98mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが60mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
(試験例6)
試験例4と同様の推定を厚さ0.65mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、93mmであった(図18)。また、凸部の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、84mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例6の場合、凸部間隔dが93mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが60mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
試験例4と同様の推定を厚さ0.65mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、93mmであった(図18)。また、凸部の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、84mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例6の場合、凸部間隔dが93mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが60mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
(試験例7)
試験例4と同様の推定を厚さ0.60mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、89mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、80mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例7の場合、凸部間隔dが89mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが60mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
試験例4と同様の推定を厚さ0.60mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、89mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、80mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例7の場合、凸部間隔dが89mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが60mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
(試験例8)
試験例4と同様の推定を厚さ0.55mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、84mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、76mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例8の場合、凸部間隔dが84mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが60mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
試験例4と同様の推定を厚さ0.55mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、84mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、76mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例8の場合、凸部間隔dが84mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが60mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
(試験例9)
試験例4と同様の推定を厚さ0.50mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、79mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、72mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例9の場合、凸部間隔dが79mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが60mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
試験例4と同様の推定を厚さ0.50mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、79mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、72mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例9の場合、凸部間隔dが79mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが60mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
(試験例10)
試験例4と同様の推定を厚さ0.45mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、74mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、67mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例10の場合、凸部間隔dが74mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが60mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
試験例4と同様の推定を厚さ0.45mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、74mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、67mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例10の場合、凸部間隔dが74mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが60mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
(試験例11)
試験例4と同様の推定を厚さ0.40mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、69mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、62mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例11の場合、凸部間隔dが69mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが60mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
試験例4と同様の推定を厚さ0.40mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、69mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、62mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例11の場合、凸部間隔dが69mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが60mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
(試験例12)
試験例4と同様の推定を厚さ0.35mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、64mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、57mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例12の場合、凸部間隔dが64mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが60mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
試験例4と同様の推定を厚さ0.35mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、64mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、57mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例12の場合、凸部間隔dが64mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが60mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
(試験例13)
試験例4と同様の推定を厚さ0.25mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、51mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、46mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例13の場合、凸部間隔dが51mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが40mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
試験例4と同様の推定を厚さ0.25mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、51mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、46mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例13の場合、凸部間隔dが51mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが40mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
(試験例14)
試験例4と同様の推定を厚さ0.20mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、44mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、40mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例14の場合、凸部間隔dが44mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが40mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
試験例4と同様の推定を厚さ0.20mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、44mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、40mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例14の場合、凸部間隔dが44mm以下であればガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。更に、凸部間隔dが40mmより小さい場合には、たわみ量を更に抑制できるため、開口径のずれをより小さくできる。
(試験例15)
試験例4と同様の推定を厚さ0.15mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、37mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、33mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例14の場合、凸部間隔dが40mmより小さければガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。
試験例4と同様の推定を厚さ0.15mmのガラス基板について行った。その結果、たわみ量が35μm以下になり、開口径のずれを2μm以下にできる最大凸部間隔dmaxは、37mmであった(図18)。また、凸部間の高さのばらつきによりたわみ量が10μm大きくなった場合を考慮しても、最大凸部間隔dmaxは、33mmであった(図19)。
試験例4に示したように、たわみ量は凸部間隔が狭いほど小さくなる。従って、試験例14の場合、凸部間隔dが40mmより小さければガラス基板のたわみ量を抑制でき、開口径のずれを2μm以下に抑制できる。
図18に示した、凸部の高さのばらつきがゼロである場合のガラス基板の厚さと最大凸部間隔の関係を直線近似すると、ガラス基板厚さをtとすると、0.15mm≦t≦0.7mmにおいて、
(最大凸部間隔dmax)=109.3t+23.464(mm)
と表せ、よって、間隔dが、
d≦109.3t+23.464(mm)
であれば、ガラス基板のたわみ量を35μm以下に抑え、開口径のずれを2μm以下にできることが分かった。
(最大凸部間隔dmax)=109.3t+23.464(mm)
と表せ、よって、間隔dが、
d≦109.3t+23.464(mm)
であれば、ガラス基板のたわみ量を35μm以下に抑え、開口径のずれを2μm以下にできることが分かった。
同様に、図19に示した、凸部の高さのばらつきが±10μmである場合のガラス基板の厚さと最大凸部間隔の関係を直線近似すると、ガラス基板厚さをtとすると、0.15mm≦t≦0.7mmにおいて、
(最大凸部間隔dmax)=100.42t+20.488(mm)
と表せる。よって、間隔dが、
d≦100.42t+20.488(mm)
であれば、ガラス基板のたわみ量を35μm以下に抑え、開口径のずれを2μm以下にできることが分かった。
(最大凸部間隔dmax)=100.42t+20.488(mm)
と表せる。よって、間隔dが、
d≦100.42t+20.488(mm)
であれば、ガラス基板のたわみ量を35μm以下に抑え、開口径のずれを2μm以下にできることが分かった。
凸部間隔dを上記範囲にすることで、凸部型ベースプレートでは加工熱の蓄積を防ぎながらも、ガラス基板の焦点ずれを抑制し高品質な孔を開けられることが分かった。
更に、支柱型のベースプレートに比べても、同じ支柱・凸部間隔においては、開口径の目標値からのずれを大幅に小さくすることができ、また、開口径の目標値からのずれをある一定値以下にしたい場合は、凸部間隔を広くすることができる。これにより、ガラス基板のデッドポジションを減少させ、もしくは、凸部を移動する場合の移動回数を減らすことができるため、コストの削減や製造効率の向上に寄与できる。
更に、支柱型のベースプレートに比べても、同じ支柱・凸部間隔においては、開口径の目標値からのずれを大幅に小さくすることができ、また、開口径の目標値からのずれをある一定値以下にしたい場合は、凸部間隔を広くすることができる。これにより、ガラス基板のデッドポジションを減少させ、もしくは、凸部を移動する場合の移動回数を減らすことができるため、コストの削減や製造効率の向上に寄与できる。
以上、ガラス基板の製造装置およびガラス基板の製造方法の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、および組合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
本出願は、2018年10月31日に日本国特許庁に出願された特願2018-206006号に基づく優先権を主張するものであり、特願2018-206006号の全内容を本出願に援用する。
100 孔形成装置
110 レーザ光源
113 レーザビーム
160 ベースプレート
162 吸引孔
163 ベースプレートの外枠部の上部表面
164 ベースプレートの外枠部
166 底部プレート
168 外枠部に囲まれた空間
169 隣り合う凸部同士の間に形成される凹部
170 凸部
172 凸部支持プレート
173 凸部の上部表面
174 凸部支持プレートの移動方向
180 ガラス基板
182 第1の表面
184 第2の表面
195 孔
310 凸部170の断面図
312 凸部170の辺
314 凸部170の辺
320 凸部170の側面図
330 凸部170の上面図
1101放電用電源
1102放電用電極1
1103放電用電極2
1170支柱
d 凸部170同士の間隔
h 隣り合う2つの凸部の間に形成される凹部の外枠部のガラス基板を支持する面からの深さ
H 外枠部と外枠部に最も近い凸部との間に形成される凹部の深さ
L 凸部170の長さ
w 凸部170の幅
110 レーザ光源
113 レーザビーム
160 ベースプレート
162 吸引孔
163 ベースプレートの外枠部の上部表面
164 ベースプレートの外枠部
166 底部プレート
168 外枠部に囲まれた空間
169 隣り合う凸部同士の間に形成される凹部
170 凸部
172 凸部支持プレート
173 凸部の上部表面
174 凸部支持プレートの移動方向
180 ガラス基板
182 第1の表面
184 第2の表面
195 孔
310 凸部170の断面図
312 凸部170の辺
314 凸部170の辺
320 凸部170の側面図
330 凸部170の上面図
1101放電用電源
1102放電用電極1
1103放電用電極2
1170支柱
d 凸部170同士の間隔
h 隣り合う2つの凸部の間に形成される凹部の外枠部のガラス基板を支持する面からの深さ
H 外枠部と外枠部に最も近い凸部との間に形成される凹部の深さ
L 凸部170の長さ
w 凸部170の幅
Claims (18)
- 相互に対向する第1の表面と第2の表面を有するガラス基板の、前記第1の表面の側にレーザ光を照射するレーザ光源と、
前記ガラス基板の前記第2の表面の側に配置されるベースプレートを有し、
前記ベースプレートは、前記ガラス基板を支持する外枠部と、前記外枠部の内側に前記外枠部から離れてストライプ状に配置され前記ガラス基板を支持する複数の凸部とを有し、
前記複数の凸部は、間隔dで互いに平行に配置され、
前記ガラス基板の厚さをtとすると、0.15mm≦t≦0.70mmの範囲において、
前記間隔dは、下記式(1)
d≦109.3t+23.464(mm)・・・(1)
で表される範囲にあり、
隣り合う2つの前記凸部の間に形成される凹部は、前記外枠部の前記ガラス基板を支持する面からの深さhが70μm以上である、孔を有するガラス基板の製造装置。 - 前記凸部の幅wは0.3mm~10mmの範囲である、請求項1に記載の製造装置。
- 前記外枠部の前記ガラス基板を支持する面の高さをゼロとしたとき、各前記凸部の前記ガラス基板を支持する面の高さが-10μm以上+10μm以下である、請求項1または2に記載の製造装置。
- 前記凸部は直方体であり、前記凸部の、前記ガラス基板の前記第2の表面に接触する面が有する辺のうち、長辺が、曲率半径0.05mm~5.00mmでR面取りされている、請求項1から3のいずれか一つに記載の製造装置。
- 前記外枠部によって保持されている前記ガラス基板に対し、前記凸部が移動可能である、請求項1から4のいずれか一つに記載の製造装置。
- 前記ベースプレートは、前記複数の凸部を含む支持プレートと、底部プレートで構成され、
前記底部プレートは、前記外枠部と、前記外枠部で取り囲まれる凹部を有し、
前記支持プレートは、前記底部プレートの前記凹部の底面上に設置され、前記底部プレートの前記凹部の底面と接触した状態で、前記底部プレートの前記凹部の底面と平行な方向に移動可能である、請求項5に記載の製造装置。 - 前記ベースプレートは、前記ガラス基板を吸引する吸引孔を有する、請求項1から6のいずれか一つに記載の製造装置。
- 前記ガラス基板の厚さtと、前記間隔dは、
(A)前記ガラス基板の厚さtが0.30mm以上であり、前記間隔dは、60mmより小さい、
(B)前記ガラス基板の厚さtが0.30mm未満であり、前記間隔dは、40mmより小さい、
で表される(A)または(B)の条件を満たし、且つ上記式(1)の条件を満たす、請求項1から7のいずれか一つに記載の製造装置。 - (1)相互に対向する第1の表面と第2の表面を有するガラス基板を準備する工程と、
(2)前記第1の表面の側にレーザ光を照射し、前記ガラス基板に孔を形成する工程と、を備えた、孔を有するガラス基板の製造方法であって、
前記(2)の工程では、前記ガラス基板が、前記第2の表面がベースプレートに近くなる向きで、前記ベースプレート上に設置され、
前記ベースプレートは、前記ガラス基板を支持する外枠部と、前記外枠部の内側に前記外枠部から離れてストライプ状に配置され前記ガラス基板を支持する複数の凸部とを有し、
前記複数の凸部は、間隔dで互いに平行に配置され、
前記ガラス基板の厚さをtとすると、0.15mm≦t≦0.70mmの範囲において、
前記間隔dは、下記式(1)
d≦109.3t+23.464(mm)・・・(1)
で表される範囲にあり、
隣り合う2つの前記凸部の間に形成される凹部は、前記外枠部の前記ガラス基板を支持する面からの深さhが70μm以上である、孔を有するガラス基板の製造方法。 - 前記凸部の幅wは0.3mm~10mmの範囲である、請求項9に記載の製造方法。
- 前記外枠部の前記ガラス基板を支持する面の高さをゼロとしたとき、各前記凸部の前記ガラス基板を支持する面の高さが-10μm以上+10μm以下である、請求項9または10に記載の製造方法。
- 前記凸部は直方体であり、前記凸部の、前記ガラス基板の前記第2の表面に接触する面が有する辺のうち、長辺が、曲率半径0.05mm~5.00mmでR面取りされている、請求項9から11のいずれか一つに記載の製造方法。
- 前記外枠部によって保持されている前記ガラス基板に対し、前記凸部が移動可能である、請求項9から12のいずれか一つに記載の製造方法。
- 前記ベースプレートは、前記複数の凸部を含む支持プレートと、底部プレートで構成され、
前記底部プレートは、前記外枠部と、前記外枠部で取り囲まれる凹部を有し、
前記支持プレートは、前記底部プレートの前記凹部の底面上に設置され、前記底部プレートの前記凹部の底面と接触した状態で、前記底部プレートの前記凹部の底面と平行な方向に移動可能である、請求項13に記載の製造方法。 - 前記ベースプレートは、前記ガラス基板を吸引する吸引孔を有する、請求項9から14のいずれか一つに記載の製造方法。
- 前記ガラス基板の厚さtと、前記間隔dは、
(A)前記ガラス基板の厚さtが0.30mm以上であり、前記間隔dは、60mmより小さい、
(B)前記ガラス基板の厚さtが0.30mm未満であり、前記間隔dは、40mmより小さい、
で表される(A)または(B)の条件を満たす、請求項9から15のいずれか一つに記載の製造方法。 - 前記ガラス基板の前記第2の表面に保護フィルムが設置される、請求項9から16のいずれか一つに記載の製造方法。
- 前記(2)の工程は、
前記凸部が前記ガラス基板の第1の部分を支持すると共に、前記レーザ光が前記ガラス基板の第2の部分に照射されるステップと、
前記凸部が、前記ガラス基板の前記第1の部分から、前記ガラス基板の前記第2の部分に移動するステップと、
前記凸部が前記ガラス基板の前記第2の部分を支持すると共に、前記レーザ光が前記ガラス基板の前記第1の部分に照射されるステップと、
を含む、請求項9から17のいずれか一つに記載の製造方法。
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