WO2022185960A1

WO2022185960A1 - 荷室の遮蔽構造

Info

Publication number: WO2022185960A1
Application number: PCT/JP2022/006802
Authority: WO
Inventors: 剛高須賀
Original assignee: 林テレンプ株式会社
Priority date: 2021-03-02
Filing date: 2022-02-21
Publication date: 2022-09-09
Also published as: JPWO2022185960A1

Abstract

荷室の遮蔽構造が、複数の遮蔽部材５ａ，５ｂと、荷室３の上部に設けられたレール部４を有する。少なくとも１つの遮蔽部材５ａ，５ｂは、当該遮蔽部材の外周輪郭を形成するワイヤーフレームとワイヤーフレームに固定されてワイヤーフレームに囲まれた空間を覆う可撓性のシートを含み、かつ、他の遮蔽部材５ｂと隣接して他の遮蔽部材５ｂとともに荷室３の上部の開口部分を塞ぐ位置と、他の遮蔽部材５ｂと重なり合って荷室３の上部の開口部分の一部のみを塞いで上部の開口部分の他の部分を開放させる位置との間をスライド可能である。レール部４は、スライド可能な遮蔽部材５ａのスライド方向に沿って設けられ、当該遮蔽部材５ａの、スライド方向に直交する方向の端部をスライド可能に保持する。

Description

荷室の遮蔽構造

　本発明は荷室の遮蔽構造に関する。

　車両に設けられている荷室の上部の開口部分を遮蔽するために、トノカバーと呼ばれるシート状の遮蔽部材が設けられている。特許文献１には、バックドアの開閉と連動して遮蔽部材が回動して開閉する構成が開示されている。特許文献２，３には、バックドアを開いた状態で板状の遮蔽部材を後方へ抜き取り可能な構成が開示されている。特許文献４には、遮蔽部材が２つのボードに分割されている構成が開示されている。

特許第６５７２１０８号公報特許第４２９７３４３号公報特開２００７－１５５８１号公報実開昭６３－２６４３号公報

　特許文献１に記載された構成のように、バックドアの開閉と連動して遮蔽部材が回動して開閉する構成では、バックドアが閉じた状態では荷室内の物品を取り出すことはできない。また、バックドアを開いた状態であっても車両内の座席側から荷室内の荷物を取り出すことは困難である。

　特許文献２，３に記載された構成では、バックドアを開いた状態で遮蔽部材を後方へスライドさせることにより荷室内の物品を取り出すことができる。しかし、車両の外部から荷室内の物品を取り出し易くするためには、遮蔽部材を荷室の上部から完全に取り外さなければならない。取り外した板状の遮蔽部材を車両の外部において一時的に保管しておくスペースが必要であるとともに、物品を取り出す前の作業が煩雑である。特許文献３には、遮蔽部材を荷室の上部で回動させて遮蔽部材の後部を持ち上げる構成も記載されているが、このように遮蔽部材を回動させたとしても、遮蔽部材が妨げになって座席側から荷室内の荷物を取り出すことは困難である。また、遮蔽部材が回動するためのスペースを空けておく必要があり、荷室内に物品を置けない無駄なスペースが生じる。

　特許文献１～３に記載された構成において１枚の遮蔽部材のみで荷室の上部の開口部分を覆う構成の場合、荷室の上部の開口部分のほぼ全体を塞ぐ状態と、荷室の上部の開口部分のほぼ全体を開放させる状態のいずれかを取り、荷室の上部の開口部分の一部のみを塞いで他の部分を開放させることはできない。これらの構成は、荷室の後方（バックドア側）から荷室内の荷物を取り出すことと、荷室の前方（座席側）から荷室内の荷物を取り出すこととの両方を、いずれも容易に行い得るものではない。一方、特許文献３，４には、遮蔽部材が２つの板状の部材からなる構成が示唆されている。しかし、そのような構成であっても、荷室の前部（座席に近接する部分）に位置する部材は移動できないため荷室の前部において開口部を開放させることはできず、座席側から荷室内の荷物を取り出すことは困難である。特許文献３の、２つの板状の部材からなる遮蔽部材が回動する構成であっても、座席側から荷室内の荷物を取り出すことは困難である。

　このように、特許文献１～４のいずれにも、荷室内の物品を荷室の後方（バックドア側）からも荷室の前方（座席側）からも容易に取り出すことができる構成は示唆されていない。

　また、従来から存在する巻き取り式のトノカバーを有する遮蔽構造は、トノカバーの巻き取った部分を収容するケースや、トノカバーの巻き取り機構や、繰り出した状態のトノカバーを固定する機構など、複雑な機構が多数必要である。また、トノカバーに加えて、ケースの外部に位置するサブカバーも設けられている。この遮蔽構造では、巻き取り機構は車体に固定され、その巻き取り機構が、特定の方向、例えば荷室の前方（座席側）からの物品の取り出しの妨げになる可能性がある。

　本発明の目的は、荷室内の物品を荷室の後方からも前方からも容易に取り出すことが可能な荷室の遮蔽構造を提供することにある。

　本発明は、車両に設けられており少なくとも上部が開口している荷室の遮蔽構造において、複数の遮蔽部材と、前記荷室の上部に設けられたレール部と、を有し、少なくとも１つの前記遮蔽部材は、当該遮蔽部材の外周輪郭を形成するワイヤーフレームと、前記ワイヤーフレームに固定されて前記ワイヤーフレームに囲まれた空間を覆う可撓性のシートと、を含み、かつ、他の前記遮蔽部材と隣接して他の前記遮蔽部材とともに前記荷室の上部の開口部分を塞ぐ位置と、他の前記遮蔽部材と重なり合って前記荷室の上部の開口部分の一部のみを塞いで前記上部の開口部分の他の部分を開放させる位置との間をスライド可能であり、前記レール部は、スライド可能な前記遮蔽部材のスライド方向に沿って設けられ、当該遮蔽部材の、前記スライド方向に直交する方向の端部をスライド可能に保持することを特徴とする。

　本発明の荷室の遮蔽構造によると、荷室内の物品を荷室の後方からも前方からも容易に取り出すことが可能である。

本発明の荷室の遮蔽構造を備えた車両の一部の模式的な側面図である。図１に示す遮蔽構造の一部の斜視図である。図１に示す遮蔽構造のレール部の斜視図である。図１に示す遮蔽構造の、荷室の上部の開口部分の一部を塞ぐ状態を示す斜視図である。図１に示す遮蔽構造の、荷室の上部の開口部分の一部を塞ぐ他の状態を示す斜視図である。図１に示す遮蔽構造の遮蔽部材の斜視図である。図１に示す遮蔽構造の１つの遮蔽部材の凹状部がレール部の凸状部に係合した状態を示す斜視図である。図１に示す遮蔽構造の１つの遮蔽部材の凹状部がレール部の凸状部に係合した状態を模式的に示す平面図である。図１に示す遮蔽構造のレール部の要部の拡大斜視図である。図１に示す遮蔽構造のレール部の、回動した遮蔽部材を支持している状態を示す斜視図である。図１に示す遮蔽構造のレール部の、回動した遮蔽部材を支持している他の状態を示す斜視図である。本発明の遮蔽部材の他の例を示す斜視図である。

　以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
　図１は、本発明の荷室の遮蔽構造を備えた車両１の一部を模式的に示している。図２Ａは車両１の遮蔽構造の一部を示す斜視図、図２Ｂはその遮蔽構造のレール部を示す斜視図である。この車両１は、座席２の後方（進行方向の後方（リア側））に荷室３を有している。荷室３は、上方および後方に向かって開放されている。便宜上、荷室３の上方に向かって開放されている部分を上部の開口部分と称し、後方に向かって開放されている部分を後部の開口部分と称する。この荷室３の上部の開口部分および後部の開口部分を塞ぐように、車両１の最後部に開閉可能なバックドア１５が設けられている。バックドア１５が閉じている状態を実線で、開いている状態を２点鎖線でそれぞれ図示している。

　荷室３の上部に、本発明の遮蔽構造が設けられている。すなわち、車体の側壁の内面によって構成されている荷室３の上部の側部の内壁面にレール部４が設けられており、このレール部４に、トノカバーと呼ばれるシート状の遮蔽部材５がスライド可能に取り付けられている。具体的には、図２Ａに示すように、本実施形態の遮蔽構造は２つの遮蔽部材５ａ，５ｂを有している。図２Ｂに示すように、レール部４は、上壁部４ａと、下壁部４ｂと、上壁部４ａと下壁部４ｂとの間に位置する中間壁部である兼用壁部４ｃとを有している。レール部４の各壁部４ａ，４ｂ，４ｃが延びる方向は、遮蔽部材５ａ，５ｂのスライド方向と一致している。レール部４の上壁部４ａおよび兼用壁部４ｃは、上側の遮蔽部材５ａの、スライド方向と直交する方向の端部を上下から挟み込んでスライド可能に保持している。レール部４の兼用壁部４ｃおよび下壁部４ｂは、下側の遮蔽部材５ｂの、スライド方向と直交する方向の端部を上下から挟み込んでスライド可能に保持している。兼用壁部４ｃは、上側の遮蔽部材５ａをスライド可能に保持する下壁部としての機能と、下側の遮蔽部材５ｂをスライド可能に保持する上壁部としての機能とを兼ね備えている。図２Ａ，２Ｂには、上側の遮蔽部材５ａの、スライド方向と直交する方向の両端部のうちの一方の端部を支持するレール部４のみを図示しているが、他方の端部を支持するレール部４（図示せず）も実質的に同様な構成である。レール部４の一例は、一般的な樹脂材料（例えばポリプロピレン）からなる射出成形品であり、各壁部４ａ，４ｂ，４ｃの厚さは１０ｍｍ～１５ｍｍ程度である。レール部４を、荷室３の内壁面になる車体のパネルと一体的に形成することもできる。

　本実施形態の２つの遮蔽部材５ａ，５ｂは、それぞれ独立してスライド可能である。従って、図２Ａに示すように、遮蔽部材５ａと遮蔽部材５ｂとが隣接して並び、荷室３の上部の開口部分をともに塞ぐことができる。また、図３に示すように、２つの遮蔽部材５ａ，５ｂをいずれも荷室３の前部に配置して互いに重なり合わせ、荷室３の上部の開口部分の前部のみを塞いで上部の開口部分の他の部分（後部）を開放させることもできる。図３に示す状態では、荷室３の上部の開口部分の後部が開放されているため、車両１の外部の後方から、荷室３内の物品を容易に取り出すことができる。一方、図４に示すように、２つの遮蔽部材５ａ，５ｂをいずれも荷室３の後部に配置して互いに重なり合わせ、荷室３の上部の開口部分の後部のみを塞いで上部の開口部分の他の部分（前部）を開放させることもできる。図４に示す状態では、荷室３の上部の開口部分の前部が開放されているため、車両１の内部、すなわち座席２側から、荷室３内の物品を容易に取り出すことができる。特に、図示しないが遮蔽部材５ａ，５ｂに取っ手を形成してもよく、座席２側から取っ手に手が届く場合には、座席２から遮蔽部材５ａと遮蔽部材５ｂを手動でスライドさせて、荷室３内の物品をより容易に取り出すことができる。

　このように、本実施形態では、上側の遮蔽部材５ａと下側の遮蔽部材５ｂとをそれぞれ独立してスライド可能であり、荷室３の後方（車両１の外部後方）からも、荷室の前方（車室の内部の座席２側）からも、荷室３内の物品を容易に取り出すことができる。

　次に、本実施形態の遮蔽構造の各部材の詳細な構成について説明する。図５に示すように、本実施形態の遮蔽部材５ａ，５ｂは、遮蔽部材５ａ，５ｂの外周輪郭を形成する閉じた形状の、弾性変形可能なワイヤーフレーム６と、ワイヤーフレーム６に固定されて、ワイヤーフレーム６に囲まれた空間を覆う可撓性のシート７と、を含む。ワイヤーフレーム６の一例としては、断面が１．６ｍｍ×４．０ｍｍの四角形であるワイヤーからなる。このような構成であるため、遮蔽部材５ａ，５ｂが軽量であって取り扱いが容易である。本実施形態の遮蔽部材５ａ，５ｂは板状の部材ではなく、弾性変形可能なワイヤーフレーム６と可撓性のシート７とからなる部材であるが、前述したように荷室３の上部にレール部４が設けられていることによって、レール部材４に沿って円滑にスライドすることが可能である。

　図６Ａ，６Ｂに示すように、荷室３の内壁面には、レール部４の一部に位置する凸状部８が設けられている。図５，６Ａ，６Ｂに示すように、遮蔽部材５ａ，５ｂのワイヤーフレーム６の一部には、凸状部８に係合する凹状部９が設けられている。図６Ａは、１つの凸状部８と１つの凹状部９とが係合した状態の斜視図であり、図６Ｂは、その状態の模式的な平面図である。凸状部８は、レール部４内の１個所のみに形成されていてもよいが、複数個所に形成されていてもよい。また、凸状部８は、上側の遮蔽部材５ａの凹状部９と係合する位置のみならず、下側の遮蔽部材５ｂの凹状部９と係合する位置に形成されていてもよい。遮蔽部材５ａ，５ｂをレール部４に沿ってスライドさせて、凸状部８を凹状部９に係合させた時点で、遮蔽部材５ａ，５ｂのスライドに対する抵抗が生じる。従って、凸状部８が凹状部９に係合した位置で遮蔽部材５ａ，５ｂが位置決めされる。予め、荷室３内の物品の取り出しの妨げになりにくい位置や、遮蔽部材５ａ，５ｂが荷室３の上部の開口部を塞ぐ位置に対応して凸状部８を形成しておくと、特に手動で遮蔽部材５ａ，５ｂをスライドさせる際に、適切な位置に容易に遮蔽部材５ａ，５ｂを位置決めすることができる。しかも、遮蔽部材５ａ，５ｂは、一旦その適切な位置（凸状部８が凹状部９に係合した位置）に位置決めされると、意図せずに位置ずれするおそれが小さい。なお、遮蔽部材５ａ，５ｂのワイヤーフレーム６は、弾性変形可能である。それにより、遮蔽部材５ａ，５ｂのスライド中にワイヤーフレーム６が弾性変形しながら、凹状部９が凸状部８と係合する位置から遮蔽部材５ａ，５ｂのスライド方向の前方および後方へ移動可能である。すなわち、本実施形態の遮蔽部材５ａ，５ｂは板状の部材ではなく、弾性変形可能なワイヤーフレーム６と可撓性のシート７とからなる部材である。そのため、ワイヤーフレーム６が弾性変形しながら、遮蔽部材５ａ，５ｂが、凹状部９が凸状部８と係合する位置に到達することができるとともに、凹状部９が凸状部８と係合する位置から離れることもできる。

　なお、上側の遮蔽部材５ａと下側の遮蔽部材５ｂの両方に同様な凹状部９が設けられ、上側の遮蔽部材５ａの凹状部９と係合可能な凸状部８と、下側の遮蔽部材５ｂの凹状部９と係合可能な凸状部８とが設けられている構成であってもよい。ただし、上側の遮蔽部材５ａと下側の遮蔽部材５ｂの一方にのみ凹状部９が設けられていてもよい。また、レール部４の延びる方向において２個所、すなわち遮蔽部材５ａ，５ｂを荷室３の前部に位置決めする位置と、荷室３の後部に位置決めする位置とに、凸状部８が設けられていてもよい。しかし、そのような構成に限定されない。凸状部８の数と位置は任意に設定可能である。

　前述したようにワイヤーフレーム６に凹状部９が形成され、レール部４に凸状部８が形成されて、凹状部９と凸状部８とが係合する構成であると、遮蔽部材５ａ，５ｂがスライド可能でありながら特定の位置に容易に位置決めすることができる。ただし、このような構成に限定されない。ワイヤーフレーム６に凹状部９が設けられておらず、レール部４に凸状部８が設けられておらず、遮蔽部材５ａ，５ｂの側端部がレール部４の側壁に対して隙間なく接しており、遮蔽部材５ａ，５ｂが一定の摺動抵抗（摩擦力）を受けながらレール部４に対してスライド可能な構成にすることもできる。このような構成にすることによって、遮蔽部材５ａ，５ｂを任意の位置に配置して、簡単には位置ずれしないように保持することが可能である。

　図６Ａ，６Ｂに示すように、本実施形態のレール部４は、上側の遮蔽部材５ａの端部の上方への移動を阻止する上壁部４ａと、下方への移動を阻止する下壁部として機能する兼用壁部４ｃとを有している。上壁部４ａの一部には遮蔽部材５ａの端部が通過可能な切り欠き部１０が設けられている。この切り欠き部１０は、上側の遮蔽部材５ａの、荷室３の上部からの取り外しを可能にするものである。具体的には、遮蔽部材５ａをスライドさせて遮蔽部材５ａの一部を切り欠き部１０内に進入させ、遮蔽部材５ａの、切り欠き部１０内に進入した部分を上壁部４ａより上方に持ち上げつつ、さらに遮蔽部材５ａを順次切り欠き部１０内に進入させていくことができる。その結果、遮蔽部材５ａ全体を、切り欠き部１０を介して上壁部４ａの上方に移動させることにより、遮蔽部材５ａを荷室３から取り外すことができる。

　本実施形態では、図７Ａに示すように、上側の遮蔽部材５ａの端部の下方への移動を阻止する下壁部として機能する兼用壁部４ｃに、レール部４の延びる方向（遮蔽部材５ａ，５ｂのスライド方向）に直交する方向に延びる溝部（溝状の支持部）１１が設けられている。前述したように荷室３から取り外した遮蔽部材５ａを荷室３の外部で回動させて、回動して傾斜した状態の遮蔽部材５ａを溝部１１に差し込むことにより、この遮蔽部材５ａを支持することができる。図７Ｂに示すように、下側の遮蔽部材５ｂに重ならない位置で遮蔽部材５ａを溝部１１によって支持することも可能である。また、図７Ｃに示すように、下側の遮蔽部材５ｂに重なる位置で遮蔽部材５ａを溝部１１によって支持することもできる。このように、回動して傾斜した状態の遮蔽部材５ａの一部を溝部１１によって支持することにより、荷室３の上部の開口部分を開放させたままにしておくことができ、その間に遮蔽部材５ａを邪魔にならないように保持しておくことができる。なお、図示されている例では溝部１１は兼用壁部４ｃに形成されている。しかし、このような構成に限定されず、溝部１１は、上壁部４ａ、兼用壁部４ｃ、下壁部４ｂのうちの少なくとも１つに形成すればよい。溝部１１の形成位置は、上壁部４ａ、兼用壁部４ｃ、下壁部４ｂにおける切り欠き部１０の有無や、切り欠き部１０が設けられている場合の切り欠き部１０と溝部１１との位置関係や、遮蔽部材５ａが上壁部４ａの上方に突出する適切な長さ等に応じて任意に決定すればよい。

　また、図示しないが、溝部１１に代えて突起状の支持部を設けることもできる。突起状の支持部が、回動して傾斜した姿勢の遮蔽部材５ａの一部を支持することにより、前述した溝部１１と同様の効果を得ることができる。突起状の支持部は、上壁部４ａ、兼用壁部４ｃ、下壁部４ｂのうちの少なくとも１つに形成すればよい。突起状の支持部を形成する位置は、上壁部４ａ、兼用壁部４ｃ、下壁部４ｂにおける切り欠き部１０の有無や、切り欠き部１０が設けられている場合の切り欠き部１０と突起状の支持部との位置関係や、遮蔽部材５ａが上壁部４ａの上方に突出する適切な長さ等に応じて任意に決定すればよい。突起状の支持部と溝部１１とを組み合わせた構成にすることもできる。

　図示しないが、遮蔽部材５ａを、両側のレール部４に挟まれた位置で回動させて、図７Ｂ，図７Ｃに示す状態と同様に溝部１１や突起状の支持部を利用して、回動して傾斜した姿勢の遮蔽部材５ａの一部を支持することもできる。例えば、遮蔽部材５ａの一端部を、溝部１１の、レール部４の長手方向の前部または後部の端面に突き当てた状態で、その突き当て位置を回動中心として遮蔽部材５ａの一部（溝部１１の端面に突き当てられた端部と反対側の部分）を荷室３の上方へ引き上げるように回動させることが考えられる。このように回動して傾斜した遮蔽部材５ａを、溝部１１や突起状の支持部を利用して支持することにより、荷室３の上部の開口部分を開放させたままにしつつ、遮蔽部材５ａを邪魔にならないように保持しておくことができる。

　図６Ａ，６Ｂ，７Ａに示すように、切り欠き部１０の内部に突起１０ａが設けられていてもよい。突起１０ａは、前述したように遮蔽部材５ａの切り欠き部１０内に進入した部分を上壁部４ａより上方に持ち上げてレール部４から取り外す際に、遮蔽部５ａの一部を上方から軽く押さえつけて、遮蔽部５ａの不規則な移動を抑える。この突起１０ａの作用によって、遮蔽部材５ａの荷室３からの取り外し作業を常に安定した一定の動作で行える。また、遮蔽部材５ａをスライドさせて切り欠き部１０内に進入させる際に、ワイヤーフレーム６を弾性変形させながら遮蔽部材５ａを突起１０ａに対向する位置を通過させて、遮蔽部材５ａを、上壁部４ａと兼用壁部４ｃとの間の位置から実質的に水平にスライドさせることも可能である。その場合には、遮蔽部材５ａは、突起１０ａに妨げられることなく、切り欠き部１０内で荷室３の上部の開口部分の一部を塞ぐ位置に移動する。そして、遮蔽部材５ａは突起１０ａによって、レール部４から意図せずに脱落することがないように保持される。

　以上、図６Ａ～７Ｃを参照して、上側の遮蔽部材５ａを荷室３の上方に取り外すことができる構成について説明したが、下側の遮蔽部材５ｂを荷室３の上方に取り外すことができる構成にすることもできる。その場合、一般的には、前述したように上側の遮蔽部材５ａを荷室３の上方に取り外した後に、下側の遮蔽部材５ｂを荷室３の上方に取り外すことになる。前述した上側の遮蔽部材５ａに関する説明の、上壁部４ａと、上側の遮蔽部材５ａのための下壁部として機能する兼用壁部４ｃとに関する記載を、下側の遮蔽部材５ｂのための上壁部として機能する兼用壁部４ｃと、下壁部４ｂとに関するものとして読み替えることによって、下側の遮蔽部材５ｂに関する構成を示すものとして理解することができる。

　また、遮蔽部材５ａ，５ｂをレール部４の下方（荷室３の内部）に取り外すこともできる。その場合、図示しないが、少なくとも下壁部４ｂに切り欠き部が設けられる。下側の遮蔽部材５ｂを下壁部４ｂの切り欠き部から下方へ取り外し、その後に上側の遮蔽部材５ａも下壁部４ｂの切り欠き部から下方へ取り外すこともできる。その場合、兼用壁部４ｃにも切り欠き部を設けておくとよい。あるいは、上側の遮蔽部材５ａをレール部４の上方に取り外し、下側の遮蔽部材５ｂをレール部４の下方に取り外す構成にすることもできる。その場合、少なくとも上壁部４ａと下壁部４ｂとに切り欠き部が設けられる。これらの切り欠き部内に、前述したような突起１０ａをそれぞれ設けてもよい。

　以上、独立してスライド可能な２つの遮蔽部材５ａ，５ｂと、それらに対応するレール部４と、を有する遮蔽構造について説明したが、本発明はそのような構成に限定されない。本発明の遮蔽構造は、３つ以上の遮蔽部材を有し、少なくとも１つの遮蔽部材がスライド可能な構成であって、そのスライド可能な遮蔽部材のためのレール部材が設けられている構成であってもよい。スライド可能な遮蔽部材は、他の遮蔽部材と隣接して他の遮蔽部材とともに荷室３の上部の開口部分を塞ぐ位置と、他の遮蔽部材と重なり合って荷室３の上部の開口部分の一部のみを塞いで開口部分の他の部分を開放させる位置との間をスライド可能であってもよい。ただし、より好ましくは、複数の遮蔽部材の全てがそれぞれ独立してスライド可能であり、全ての遮蔽部材に対応するレール部がそれぞれ設けられる。

　本発明の遮蔽構造は、折り畳み可能な遮蔽部材を有する構成であってもよい。図８に示す遮蔽部材１２ａは、隣接して並べて配置された２つの閉じた形状のワイヤーフレーム１３ａ１，１３ａ２が遮蔽部材１２ａの外周輪郭を構成している。そして、この２つのワイヤーフレーム１３ａ１，１３ａ２の互いに近接する部分が、ヒンジ１４ａ１，１４ａ２によってそれぞれ独立して回動可能、かつ互いに分離不能に保持されている。このワイヤーフレーム１３ａ１，１３ａ２およびヒンジ１４ａ１，１４ａ２を一括して覆うように可撓性のシート７が配置され、ワイヤーフレーム１３ａ１，１３ａ２に取り付けられている。この遮蔽部材１２ａは、ヒンジ１４ａ１，１４ａ２を中心としてワイヤーフレーム１３ａ１，１３ａ２を回動させることにより、折り畳み可能かつ拡開可能である。遮蔽部材１２ａは凹状部９を有している。

　遮蔽部材１２ｂも、遮蔽部材１２ａと同様に、隣接して並べて配置された２つのワイヤーフレーム１３ｂ１，１３ｂ２が遮蔽部材１２ｂの外周輪郭を構成するとともに、２つのヒンジ１４ｂ１，１４ｂ２によってそれぞれ独立して回動可能に保持されている。そして、可撓性のシート７がワイヤーフレーム１３ｂ１，１３ｂ２およびヒンジ１４ｂ１，１４ｂ２を一括して覆ってワイヤーフレーム１３ｂ１，１３ｂ２に取り付けられている。こうして、遮蔽部材１２ｂは折り畳み可能かつ拡開可能である。遮蔽部材１２ｂは凹状部９を有している。

　このような折り畳み可能な遮蔽部材１２ａ，１２ｂを有する遮蔽構造では、遮蔽部材１２ａ，１２ｂを僅かに折り畳みながら荷室３から容易に取り外すことができる。さらに、荷室３から取り外した遮蔽部材１２ａ，１２ｂは折り畳んで保管しておくことができ、保管するためのスペースは小さくてすむ。この遮蔽部材１２ａ，１２ｂのワイヤーフレーム１３ａ１，１３ａ２，１３ｂ１，１３ｂ２自体は曲げられないため、過剰な可撓性を有する必要はない。従って、ワイヤーフレーム１３ａ１，１３ａ２，１３ｂ１，１３ｂ２の弾性を利用して、凹状部９と凸状部８（図６Ａ，６Ｂ参照）との係合および係合解除を自在に行うことが可能である。同様に、ワイヤーフレーム１３ａ１，１３ａ２，１３ｂ１，１３ｂ２はこのように過剰な可撓性を有していないため、遮蔽部材１２ａ，１２ｂはレール部４に沿って安定してスライド可能であり、また、突起１０ａ（図７Ａ，７Ｂ，７Ｃ参照）と対向する位置を通過することや、回動した状態で溝部１１または凸状の保持部を用いて支持することが可能である。

　以上説明した実施形態は本発明の具体例を示したものであるが、様々な変更を施すことができる。前述した実施形態では２つの遮蔽部材５と２つのレール部４とが設けられているが、そのような構成に限定されない。例えば、３つ以上の遮蔽部材５が設けられていてもよい。各遮蔽部材５は、荷室３の上部の開口部分の全体を覆う大きな仮想の遮蔽部材を車両の前後方向に複数に分割したものとみなすことができる。そして、複数の遮蔽部材５のうちの一部のみがスライド可能であって、他の遮蔽部材５は荷室３の前側または後側に固定されている構成であってもよい。固定されている遮蔽部材５は、硬質ボード（トノボード、リヤシェルフ、パッケージトレイなど）であってもよく、ボックス状のトレイであっても構わない。レール部１の数は１つであっても３つ以上であってもよく、スライド可能な遮蔽部材５の数に応じた数のレール部４を設けることが好ましい。

　図示しないが、車両の前後方向に延びるレール部４をさらに延長して、延長部分が屈曲して上下方向に延びる構成にすることもできる。その場合、スライド可能な遮蔽部材５を、レール部４の延長部分に沿って、荷室３の内部において上下方向に延びる位置に導き、荷室３の内部の空間を前後方向に分割する仕切りとして用いることができる。また、レール部４をリアシートバックに沿うように延長した構成にすることもできる。その場合、遮蔽部材５の不使用時に、遮蔽部材５を、レール部４によってリアシートバックに沿う位置までスライドさせて格納するようにしてもよい。

１　　　車両
２　　　座席
３　　　荷室
４　　　レール部
４ａ　　上壁部
４ｂ　　下壁部
４ｃ　　兼用壁部
５，５ａ，５ｂ，１２ａ，１２ｂ　　　　　遮蔽部材
６，１３ａ１，１３ａ２，１３ｂ１，１３ｂ２　　　ワイヤーフレーム
７　　　シート
８　　　凸状部
９　　　凹状部
１０　　切り欠き部
１０ａ　突起
１１　　溝部（溝状の支持部）
１４ａ１，１４ａ２，１４ｂ１，１４ｂ２　　　ヒンジ
１５　　バックドア

Claims

　車両に設けられており少なくとも上部が開口している荷室の遮蔽構造において、
　複数の遮蔽部材と、前記荷室の上部に設けられたレール部と、を有し、
　少なくとも１つの前記遮蔽部材は、当該遮蔽部材の外周輪郭を形成するワイヤーフレームと、前記ワイヤーフレームに固定されて前記ワイヤーフレームに囲まれた空間を覆う可撓性のシートと、を含み、かつ、他の前記遮蔽部材と隣接して他の前記遮蔽部材とともに前記荷室の上部の開口部分を塞ぐ位置と、他の前記遮蔽部材と重なり合って前記荷室の上部の開口部分の一部のみを塞いで前記上部の開口部分の他の部分を開放させる位置との間をスライド可能であり、
　前記レール部は、スライド可能な前記遮蔽部材のスライド方向に沿って設けられ、当該遮蔽部材の、前記スライド方向に直交する方向の端部をスライド可能に保持することを特徴とする、荷室の遮蔽構造。
　複数の前記遮蔽部材の全てがそれぞれ独立してスライド可能であり、全ての前記遮蔽部材に対応する前記レール部がそれぞれ設けられている、請求項１に記載の荷室の遮蔽構造。
　前記荷室の内壁面には、前記レール部の一部に位置する凸状部が設けられており、前記ワイヤーフレームの一部には、前記凸状部に係合する凹状部が設けられており、
　前記ワイヤーフレームは弾性変形可能であり、弾性変形しながら、前記凹状部が前記凸状部に係合する位置から前記スライド方向の前方および後方へ移動可能である、請求項１または２に記載の荷室の遮蔽構造。
　少なくとも１つの前記遮蔽部材は、前記荷室の上部から取り外し可能に設けられている、請求項１から３のいずれか１項に記載の荷室の遮蔽構造。
　少なくとも１つの前記遮蔽部材は、一部を前記荷室の上方へ引き上げるように回動可能である、請求項１から４のいずれか１項に記載の荷室の遮蔽構造。
　前記レール部には、回動した状態の前記遮蔽部材の一部を支持する突起状または溝状の支持部が設けられている、請求項４または５に記載の荷室の遮蔽構造。
　前記レール部は、前記遮蔽部材の前記端部の上方への移動を阻止する上壁部と下方への移動を阻止する下壁部とを有し、前記上壁部または前記下壁部の一部には前記端部が通過可能な切り欠き部が設けられている、請求項４から６のいずれか１項に記載の荷室の遮蔽構造。
　前記切り欠き部の内部には突起が設けられており、
　前記ワイヤーフレームは弾性変形可能であり、弾性変形しながら、前記切り欠き部の内部の前記突起に対向する位置を通過可能である、請求項７に記載の荷室の遮蔽構造。
　前記遮蔽部材は折り畳み可能である、請求項１から８のいずれか１項に記載の荷室の遮蔽構造。